グローブボックス
【課題】本体に開設されたフィルタ交換口を介したフィルタの交換作業の簡易化を図る。
【解決手段】フィルタ交換口20は、本体10の奥壁14および一方の側壁12に亘って開設される。フィルタ交換口20を開閉する扉部材50は、フィルタ交換口20における側壁12側の第1開口領域20Aに整合する側方扉体52と、奥壁14側の第2開口領域20Bに整合する後方扉体60とを備える。側方扉体52は、本体10に第1ヒンジ部36を介して枢支され、ヒンジ端と対向する他端が第1開口領域20Aから離間するよう姿勢変位する。後方扉体60は、側方扉体52の他端に第2ヒンジ部40を介して枢支され、該側方扉体52に対し折り重なる状態に姿勢変位する。これにより扉部材50は、本体10から取り外すことなくフィルタ交換口20を開閉し得る。
【解決手段】フィルタ交換口20は、本体10の奥壁14および一方の側壁12に亘って開設される。フィルタ交換口20を開閉する扉部材50は、フィルタ交換口20における側壁12側の第1開口領域20Aに整合する側方扉体52と、奥壁14側の第2開口領域20Bに整合する後方扉体60とを備える。側方扉体52は、本体10に第1ヒンジ部36を介して枢支され、ヒンジ端と対向する他端が第1開口領域20Aから離間するよう姿勢変位する。後方扉体60は、側方扉体52の他端に第2ヒンジ部40を介して枢支され、該側方扉体52に対し折り重なる状態に姿勢変位する。これにより扉部材50は、本体10から取り外すことなくフィルタ交換口20を開閉し得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グローブボックスに関し、更に詳細には、本体の奥壁および一方の側壁に亘って開設されたフィルタ交換口を開放可能に閉成する扉部材を取付けたグローブボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図12に示すように、自動車の乗員室におけるフロントガラス下部には、車両内装部材であるインストルメントパネルIPが、その前面側を乗員室後方に向けた状態で配設されている。このインストルメントパネルIPには、運転席側にスピードメーターやタコメーター等を纏めた計器ユニット等が取付けられていると共に、助手席側に車体装備品や携帯品等を収納し得るグローブボックスGBが配設されている。このグローブボックスGBは、上方に開口する物品収納部を画成したバケット状に形成されてインストルメントパネルIPに回転可能に取付けられるバケットタイプや、乗員室側に開口する物品収納部を画成したボックス状に形成されてインストルメントパネルIPに固定されるボックスタイプ等がある。なお図12では、ボックスタイプのグローブボックスGBを示しており、インストルメントパネルIPの一部をなす開閉扉80により、該インストルメントパネルIPの前面側に開口した前側開口部が開閉されるようになっている。
【0003】
また、前記インストルメントパネルIPの内部には、図13に示すように、乗員室内の空調に供されるエアコンユニットACが搭載される。そして、エアコンユニットACのフィルタ配設部AC1は、乗員席側から見てグローブボックスGBの後方側に位置している。このため、ボックスタイプのグローブボックスGBの場合は、図12および図13に示すように、該グローブボックスGBの本体10におけるエアコンユニットACに対応する位置にフィルタ交換口20を開口形成し、このフィルタ交換口20を介してフィルタ配設部AC1に対するフィルタAFの着脱を行ない得るよう構成されている。そして、フィルタ交換口20には、該フィルタ交換口20の開口形状に整合する外郭形状の蓋部材30が着脱可能に装着され、フィルタAFの交換作業時に取外すようになっている。なお、グローブボックスGBに設けたフィルタ交換口20を介してフィルタAFを交換する構成に関しては、特許文献1に開示されている。
【0004】
ところで、グローブボックスGBの配設位置およびエアコンユニットACの搭載位置は車種毎に異なり、図12および図13に示すように、グローブボックスGBの斜め後方にフィルタ配設部AC1が位置する場合がある。両者の位置関係がこのような場合には、フィルタAFのフィルタ通過領域Lが、本体10のフィルタ配設部AC1に臨むコーナー部分10Aを挟んで隣接する側壁12および奥壁14に跨るようになるので、フィルタ交換口20は奥壁14から側壁12に亘って開口する平面視L形となる。従って、フィルタ交換口20に装着される蓋部材30も、該フィルタ交換口20の形態に合わせたL形となっている。
【特許文献1】特開2002−347525号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述した蓋部材30は、図12および図13に示すように、該蓋部材30の下端部や側端部等に設けた係止片部32を、フィルタ交換口20の開口縁部に係止させることで、本体10に着脱可能に装着する構造となっている。このため、蓋部材30の取外し時には、該蓋部材30を手前へ強く引張らなければ係止片部32が外れないと共に、蓋部材30の取付け時には、該蓋部材30を奥側へ強く押込まなければ係止片部32が本体10に係止されない。すなわち、蓋部材30の弾性変形に基づいて着脱が可能な構成となっているうえに、蓋部材30がL形となっているため、着脱作業を行ない難い欠点があった。また、蓋部材30をフィルタ交換口20へ取付ける際に、係止片部32と本体10とが適切に整合していないと、蓋部材30がフィルタ交換口20を介して本体10の裏側へ脱落する不都合もあった。更に、本体10から蓋部材30を取外した際および蓋部材30を本体10に取付ける際に、蓋部材30がグローブボックスGBの内面に接触し易く、内面に傷が付いてしまう不都合等もあった。また更に、取り外した蓋部材30の置き場所を確保する必要があり、床等に置いた蓋部材30を踏んで破損させたり紛失するおそれもあった。
【0006】
そこで本発明では、前述した従来の技術に内在している課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、本体の奥壁および一方の側壁に亘って開設されたフィルタ交換口を、本体に取り付けた扉部材を該本体から取り外すことなく開閉させ得るよう構成することで、フィルタ交換口を介したフィルタの交換作業の簡易化を図ったグローブボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、車両内装部材に設けられて乗員室側に開口する本体と、該本体の奥壁および一方の側壁に亘って開設され、空調用のフィルタを出し入れ可能なフィルタ交換口と、前記本体に配設され、前記フィルタ交換口を開閉可能な扉部材とを備えるグローブボックスであって、
前記扉部材は、
前記フィルタ交換口における奥壁側または側壁側の何れか一方の開口領域に整合し、前記フィルタ交換口の一方の端部において前記本体に第1ヒンジ部を介して枢支され、該第1ヒンジ部から離間する他端が前記一方の開口領域から離間するよう姿勢変位可能な第1扉体と、
前記フィルタ交換口における他方の開口領域に整合し、前記第1扉体の他端に第2ヒンジ部を介して枢支され、該第1扉体に対し折り重なる状態に姿勢変位可能な第2扉体とを備えることを要旨とする。
【0008】
従って、請求項1に係る発明によれば、本体の奥壁から一方の側壁に亘って開設されたフィルタ交換口であっても、第1扉体および該第1扉体に連結した第2扉体を折り重ねた状態で姿勢変位させることで、扉部材を本体に取り付けた状態でフィルタ交換口を容易に開放することができ、フィルタ交換口を介したフィルタの交換作業を可能とし得る。そして、扉部材が本体に連結されているので、フィルタ交換口を開閉させる際に扉部材が本体の裏側へ脱落することがない。また、フィルタ交換口を開閉させる際に扉部材を本体から取り外さないので、扉部材の置き場所を確保する必要がないと共に、破損させたり紛失することもない。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記第2扉体における第2ヒンジ部から離間する他端が、前記フィルタ交換口の他方の端部に係止手段を介して係脱自在に係止されることを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、フィルタ交換口を閉成した第2扉体が、本体の外方へ姿勢変位することが防止される。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記第2扉体は、スライド手段を介して前記第1扉体にスライド可能に連結されることを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、第2扉体が第1扉体に対してスライド可能となり、第1扉体に折り重ねた第2扉体が該第1扉体から突出しないようにし得る。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るグローブボックスによれば、本体の奥壁および一方の側壁に亘って開設されたフィルタ交換口を、本体に取り付けた扉部材を該本体から取り外すことなく開閉させ得るので、フィルタ交換口を介したフィルタの交換作業を簡易に行ない得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明に係るグローブボックスにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。実施例では、グローブボックスGBの奥行き方向(側壁12の延在方向)を前後方向とし、グローブボックスGBの左右方向(奥壁14の延在方向)を左右方向と指称する。そして、インストルメントパネルIPの乗員席側を指向する方向、すなわち本体10の開口部側をグローブボックスGBの「前方」とし、本体10の奥側を「後方」と指称する。
【実施例】
【0013】
図1は、グローブボックスGBにおける本体10のコーナー部分10Aに設けたフィルタ交換口20と、このフィルタ交換口20を開閉するように本体10に取付けられる扉部材50とを示した分解斜視図である。実施例のグローブボックスGBは、図12に示すように、車両内装部材であるインストルメントパネルIPにおける助手席側の部分に、乗員席側に開口するボックス状の本体10を備えている。この本体10は、底壁16、図示省略した上壁、左右の側壁(左側の側壁は図示省略)12および奥壁14から構成されている。
【0014】
フィルタ交換口20は、コーナー部分10Aを挟んで隣接する奥壁14から右側の側壁12に亘って開設され、平面視L形の横長矩形状に開口している。ここで説明の便宜上、フィルタ交換口20のコーナー部分10Aを境とした側壁12側に位置する一方の開口領域を第1開口領域20Aとし、奥壁14側に位置する他方の開口領域を第2開口領域20Bと指称する。なおフィルタ交換口20は、図1に示すように、第1開口領域20Aの前後開口幅W1より、第2開口領域20Bの左右開口幅W2の方が大きく設定されている。また、第2開口領域20Bの左右開口幅W2は、フィルタ交換口20の上縁における本体10の奥行き寸法Dより大きく設定されている。
【0015】
そして、フィルタ交換口20の第1開口領域20Aにおける前縁部を第1縁部21、上縁部を第2縁部22、下縁部を第3縁部23とすると、第1縁部21と第2縁部22との角部および第1縁部21と第3縁部23との角部には、第1ヒンジ部36を構成する第1ヒンジ孔38,38が、第1開口領域20Aに開口するように形成されている。また、第2縁部22の後端および第3縁部23の後端、すなわちコーナー部分10Aの近傍には、第2ヒンジ部40を構成する第2ヒンジピン41,41(後述)が右方から嵌合保持される凹部43,43が形成されている。更に、フィルタ交換口20の第2開口領域20Bにおける左縁部を第4縁部24、上縁部を第5縁部25、下縁部を第6縁部26とすると、第5縁部25および第6縁部26には、左端から各縁部25,26に沿って第2開口領域20B側に開口するガイド溝27,27が所要長さで延設されている。なお、第2ガイド溝27,27の右端は奥壁14の前方向へ折曲し、奥壁14の内面に開口した挿通部27A,27Aとなっている。
【0016】
扉部材50は、図1に示すように、フィルタ交換口20の第1開口領域20Aに整合する外郭形状に形成された第1扉体としての側方扉体52と、該フィルタ交換口20の第2開口領域20Bに整合する外郭形状に形成された第2扉体としての後方扉体60とから構成されている。すなわち、側方扉体52および後方扉体60からなる扉部材50により、フィルタ交換口20が全面的に閉成され得るようになっている。なお、側方扉体52の前端部を第1端部53、上端部を第2端部54、下端部を第3端部55、後端部を第4端部56と指称すると共に、後方扉体60の左端部を第5端部61、上端部を第6端部62、下端部を第7端部63、右端部を第8端部64と指称する。
【0017】
側方扉体52は、図1に示すように、略正方形状のプレート状部材であって、該側方扉体52の前後長H1は、第1開口領域20Aの前後開口幅W1と同一となっている。そして、側方扉体52における第2端部54の前端および第3端部55の前端には、第1ヒンジ部36を構成する第1ヒンジピン37,37が、垂直方向の同一軸線上において上方および下方へ突出形成されている。また、第2端部54の後端および第3端部55の後端には、第2ヒンジ部40を構成する第2ヒンジピン41,41が、垂直方向の同一軸線上において上方および下方へ突出形成されている。従って側方扉体52は、第1ヒンジピン37,37を対応の第1ヒンジ孔38,38に夫々突入嵌合させることで、フィルタ交換口20における一方の端部である第1縁部21において本体10に回転可能に取付けられる。これにより側方扉体52は、フィルタ交換口20の第1開口領域20Aに整合した状態(図2)と、ヒンジ端となる第1端部53と対向離間する自由端である第4端部56が、フィルタ交換口20から右方(外方)へ離間した状態(図5)とに姿勢変位可能となっている。
【0018】
なお、側方扉体52が第1開口領域20Aに整合した際には、前述した第2ヒンジピン41,41が凹部43,43に嵌合するので、側方扉体52がグローブボックスGBの内側方向へ姿勢変位することが規制される。また、凹部43,43の第2ヒンジピン41,41が通過する開口部分の幅寸法は、該第2ヒンジピン41,41の直径より僅かに小さく設定されており、凹部43,43に対する第2ヒンジピン41,41の嵌脱は若干の力を付与することで実現される。従って、凹部43,43に第2ヒンジピン41,41が嵌合している状態では、側方扉体52が第1開口領域20Aに整合した状態に姿勢保持される。
【0019】
後方扉体60は、図1に示すように、略長方形状のプレート状部材であって、該後方扉体60の左右長H2は、本体10の前述した奥行き寸法Dより大きく、第2開口領域20Bの左右開口幅W2と同一となっている。そして、後方扉体60の後述するガイドピン45,45を除く部分は、フィルタ交換口20の第1開口領域20Aおよび第2開口領域20Bに対して、本体10の内外方向への通過が可能な形状・サイズに形成されている。この後方扉体60における第6端部62の左端および第7端部63の左端には、前述したガイド溝27,27に摺動自在に係合するガイドピン(係止手段)45,45が、垂直方向の同一軸線上において上方および下方へ突出形成されている。また、後方扉体60の第6端部62および第7端部63には、右端から両端部62,63に沿う長孔状の第2ヒンジ孔42,42が、後方扉体60の延在方向に沿って延在するように形成されている。これら第2ヒンジ孔42,42には、前述した第2ヒンジピン41,41が上下に貫通し、該第2ヒンジ孔42,42の上方および下方へ突出した第2ヒンジピン41,41の突出端部が、前述した凹部43,43に嵌合するよう構成されている。従って、第2ヒンジ孔42,42に第2ヒンジピン41,41が係合することで、後方扉体60は側方扉体52に対して回転可能に連結される(図4)。また、第2ヒンジピン41,41が第2ヒンジ孔42,42に沿って移動することで、後方扉体60は側方扉体52に対してスライド可能に連結され、第2ヒンジ部40はスライド手段としての機能を併有している(図3)。なお図1に示すように、ガイド溝27の全長S1と第2ヒンジ孔42の全長S2とは同一となっている。また、側方扉体52の前後長H1と、後方扉体60における第2ヒンジ孔42が形成されていない部位の長さH3とが略同一となっている。
【0020】
従って後方扉体60は、図2に示すように、側方扉体52が第1開口領域20Aに整合した状態において、第2ヒンジピン41,41が第2ヒンジ孔42,42の左端に到来するまで右方へスライドさせると、ガイドピン45,45がガイド溝27,27の挿通部27A,27Aに整合するよう構成されている。また、この状態で後方扉体60を左方向へ押すと、ガイドピン45,45がガイド溝27,27に沿って移動すると共に、第2ヒンジピン41,41が第2ヒンジ孔42,42に沿って相対的に移動することで、後方扉体60は左方向へ移動して第2開口領域20Bに整合した状態となる。また、第2ヒンジ部40から対向離間する第5端部61側に設けたガイドピン45,45がガイド溝27,27に係止されることで、後方扉体60の第5端部61側が本体10の外方向(後方)へ移動するよう姿勢変位することが規制される。
【0021】
なお、後方扉体60の裏面には、図1に示すように、第5端部61から左方へ延出した係止片部65が形成され、この係止片部65の前面には凸部66が形成されている。また、奥壁14の裏面には、図1に示すように、後方扉体60が第2開口領域20Bに整合した際に前述した凸部66が係合する凹部67が形成されている。また、後方扉体60の前面には陥凹状の指掛部68が形成されており、後方扉体60を左右にスライドさせる際に指先を掛け得るようになっている。
【0022】
従って、前述のように構成された実施例のグローブボックスGBでは、扉部材50がフィルタ交換口20を閉成した際には、前述すると共に図2に示すように、側方扉体52が該フィルタ交換口20の第1開口領域20Aに整合し、後方扉体60が該フィルタ交換口20の第2開口領域20Bに整合する。そして、後方扉体60が第2開口領域20Bに整合した際に凸部66が凹部67に嵌合するので、該後方扉体60は第2開口領域20Bを閉成した状態に姿勢保持される。また、後方扉体60が第2開口領域20Bに整合した状態では、第2ヒンジピン41,41が第2ヒンジ孔42,42の右端に位置して凹部43,43に嵌合保持されるので、側方扉体52は第1開口領域20Aを閉成した状態に姿勢保持される。
【0023】
そして、フィルタ交換口20を開放する場合には、先ず図3に示すように、後方扉体60を右方向へスライド移動させる。すなわち、指掛部68に指先を掛けたもとで後方扉体60を右方向へ押すと凸部66と凹部67との嵌合が解除され、後方扉体60が右方向へスライドし始める。この際に、ガイドピン45,45がガイド溝27,27に沿って右方向へ移動すると共に、第2ヒンジ孔42,42に対して第2ヒンジピン41,41が左方向へ相対的に移動するので、後方扉体60は前後方向への姿勢変位が規制されながら第2開口領域20Bに沿って右方向へ移動する。そして、ガイドピン45,45がガイド溝27,27の右端に当接すると同時に、第2ヒンジピン41,41が第2ヒンジ孔42,42の左端に当接すると、後方扉体60は図3に示した位置で位置規制される。
【0024】
次いで、図4に示すように、後方扉体60の第5端部61を前方に引張る。これにより後方扉体60は、第2ヒンジピン41,41を中心として本体10の前方へ回転し、側方扉体52の左側に折り重なった状態となる。なお、前述すると共に図1に示すように、側方扉体52の前後長H1と、後方扉体60の第2ヒンジ孔42が形成されていない部位の長さH3とが略同一となっているので、後方扉体60の第5端部61は、側方扉体52の第1端部53と略同じ位置となってグローブボックスGBから前方(外方)へ突出しない。すなわち、後方扉体60の左右長H2が本体10の奥行き寸法Dより大きく設定されているが、後方扉体60はスライドした状態で回転するため、グローブボックスGBから前方へ突出しない。また、後方扉体60は第2ヒンジ部40を介して側方扉体52に連結されているので、前方へ回転する際に該後方扉体60が本体10の底壁16や上壁に接触することがなく、よって本体10の内面に傷が付くことが防止される。
【0025】
次いで、図5に示すように、後方扉体60の後側部分を右方向へ押すと、凹部43,43に嵌合保持されていた第2ヒンジピン41,41が該凹部43,43が抜け出て、側方扉体52が第1ヒンジ部36を中心として右方(外方)へ回転する。これにより、側方扉体52に連結された後方扉体60も、側方扉体52の回転に連動して右方向へ姿勢変位する。従って、側方扉体52および後方扉体60は、図5に示すように、フィルタAFのフィルタ通過領域Lから側方へ退避した位置へ姿勢変位してフィルタ交換口20を開放し、フィルタ交換口20を介したフィルタAFの交換作業が可能となる。なお、側方扉体52は第1ヒンジ部36を介して本体10に連結されているので、側方扉体52に追従して姿勢変位する後方扉体60が本体10の底壁16や上壁に接触することがなく、よって本体10の内面に傷が付くことが防止される。
【0026】
フィルタ交換口20を閉成する場合は、図5の状態において、先ず後方扉体60の後側部分を左方向へ移動させる。これにより、後方扉体60および側方扉体52が第1ヒンジ部36を中心として左方向へ回転し、第2ヒンジピン41,41が各凹部43,43に嵌合することで、側方扉体52が第1開口領域20Aに整合する(図4)。
【0027】
次いで、前方を指向している後方扉体60の第5端部61を左後方へ押すと、該後方扉体60は各第2ヒンジピン41,41を中心として後方へ回転し、ガイドピン45,45が挿通部27A,27Aからガイド溝27,27に係止される(図3)。そして、後方扉体60を左方向へスライドさせ、第1ガイドピン45,45がガイド溝27,27の左端に当接すると共に第2ヒンジピン41,41が第2ヒンジ孔42,42の右端に当接することで、後方扉体60は第2開口領域20Bに整合した状態となる(図2)。
【0028】
このように、実施例のグローブボックスGBによれば、本体10の奥壁14から一方の側壁12に亘って開設されたフィルタ交換口20を、該本体10に取り付けた側方扉体52および該側方扉体52に連結した後方扉体60により閉成することが可能である。また、フィルタ交換口20を開放する際には、後方扉体60を側方扉体52に対して折り重ねると共に、折り重ねた後方扉体60と側方扉体52とを本体10に対して回転させることで、扉部材50を本体10から取り外すことなくフィルタ交換口20を開放することができ、フィルタ交換口20を介したフィルタAFの交換作業を簡易に行ない得る。そして、後方扉体60が側方扉体52に対してスライド可能に連結されているので、側方扉体52に折り重なった後方扉体60の左右長H2が本体10の奥行き寸法Dより大きく設定されていても、該後方扉体60が本体10(グローブボックスGB)の外方へ突出することが防止される。また、フィルタ交換口20を開放する際に扉部材50を本体10から取り外さないので、該扉部材50の置き場所を確保する必要がないと共に、取り外すことによる紛失や破損等を防止し得る。また、フィルタ交換口20を開閉する際に、扉部材50が本体10の内面に接触しないので、該本体10の内面に傷が付くこともない。
【0029】
(変更例1)
図6は、変更例1に係るグローブボックスGBを示した斜視図である。この変更例1のグローブボックスGBは、前述した実施例のグローブボックスGBと比較すると、第2ヒンジピン41,41が突入嵌合する第2ヒンジ孔42,42を、該第2ヒンジピン41,41がスライド不能な丸孔に構成したものである。すなわち、第2扉体としての後方扉体60は、第1扉体としての側方扉体52に対してスライドせずに回転のみが可能に連結される。なお、後方扉体60が側方扉体52に対してスライドしないため、フィルタ交換口20の第5縁部25の左端および第6縁部26の左端に、第1ガイドピン45,45が本体10の内方から係合可能な凹部70,70が形成されている。また、後方扉体60の第5端部61の上下方向の中央に凸部71が形成され、フィルタ交換口20の第4縁部24の上下中央に、凸部71が嵌合する凹部72が形成されている。更に、後方扉体60を本体10の前方へ引出して回転可能とするため、指先を掛け得る鉤状の指掛部73が、後方扉体60の前面左方に形成されている。
【0030】
このような変更例1のグローブボックスGBでは、フィルタ交換口20を開放する場合には、先ず図7の閉成状態において、指掛部73を把持しながら後方扉体60を本体10の前方に引張る。これにより後方扉体60は、図8に示すように、凹部72と凸部71との嵌合が解除されて第2ヒンジ部40を中心として回転し、側方扉体52の左側に折り重なった状態まで姿勢変位する。なお、本体10の奥行き寸法Dより後方扉体60の左右長H2が大きいので、側方扉体52に折り重なった後方扉体60は、本体10から前方(外方)へ突出した状態となる。
【0031】
次いで、図9に示すように、後方扉体60の後側部分を右方向へ押すと、側方扉体52が第1ヒンジ部36を中心として右方向へ回転する。そして、側方扉体52に連結された後方扉体60も、側方扉体52の回転に追従して右方向へ姿勢変位する。従って、側方扉体52および後方扉体60は、フィルタAFのフィルタ通過領域Lから側方へ退避した位置へ姿勢変位してフィルタ交換口20を開放し、フィルタ交換口20を介してフィルタAFの交換作業が可能となる。
【0032】
このように変更例1のグローブボックスGBにおいては、後方扉体60の第5端部61側がグローブボックスGBから外方へ突出するものの、後方扉体60を側方扉体52を姿勢変位させることで、フィルタ交換口20を開放させ得る。特に、変更例1のグローブボックスGBの場合では、後方扉体60がフィルタ交換口20からグローブボックスGBの後方へ突出しないので、グローブボックスGBにエアコンユニットACが近接して搭載されている場合に有効である。また、扉部材50を本体10から取り外すことなくフィルタ交換口20を開放し得るので、前述した実施例と同等の作用効果が得られる。
【0033】
(変更例2)
図10は、変更例2に係るグローブボックスGBを示した斜視図である。この変更例2のグローブボックスGBは、前述した変更例1と比較すると、第1扉体および第2扉体の配設構成が逆となっており、後方扉体60が本体10に枢支される第1扉体として機能し、側方扉体52が第1扉体に枢支される第2扉体として機能するようになっている。すなわち、後方扉体60の第6端部62の左端および第7端部63の左端に、第1ヒンジ部36を構成する第1ヒンジピン37,37を設けると共に、フィルタ交換口20の第5縁部25の左端および第6縁部26の左端に、第1ヒンジ部36を構成する第1ヒンジ孔38,38を設けることで、後方扉体60は第1ヒンジ部36を介して本体10に枢支される。また、後方扉体60の第6端部62の右端および第7端部63の右端に、第2ヒンジ部40を構成する第2ヒンジピン41,41を設けると共に、側方扉体52の第2端部54の後端および第3端部55の後端に、第2ヒンジ部40を構成する第2ヒンジ孔42,42を設けることで、側方扉体52は後方扉体60の第4縁部64側に枢支される。そして、側方扉体52の第2端部54の前端および第3端部55の前端にガイドピン45,45が立設されると共に、フィルタ交換口20の第2縁部22の前端および第3縁部23の前端に、ガイドピン45,45が左方から嵌合可能な凹部70,70が形成されている。更に、側方扉体52の第1端部53における上下方向の中央に凸部71が形成され、フィルタ交換口20の第1縁部21における上下方向の中央に、凸部71が嵌合する凹部72が形成されている。また、側方扉体52の第1端部53の近傍に鉤状の指掛部73が形成されている。
【0034】
このような変更例2のグローブボックスGBでは、フィルタ交換口20を開放する場合には、先ず、指掛部73を把持しながら側方扉体52の前側部分を左方に引張る。これにより側方扉体52は、凸部71と凹部72との嵌合が解除され、第2ヒンジ部40を中心として回転して、後方扉体60の前側に折り重なった状態となる。次いで、後方扉体60の右側部分を手前方向へ引くと、後方扉体60が第1ヒンジ部36を中心として左方向へ回転し、後方扉体60に連結された側方扉体52も、後方扉体60の回転に追従して左方向へ姿勢変位する。従って、側方扉体52および後方扉体60は、図11に示すように、フィルタAFのフィルタ通過領域Lから側方へ退避した位置へ姿勢変位してフィルタ交換口20を開放し、フィルタ交換口20を介してフィルタAFの交換作業が可能となる。従って、変更例2に係るグローブボックスGBも、変更例1に係るグローブボックスGBと同等の作用効果が得られる。
【0035】
なお、第1ヒンジ部36および第2ヒンジ部40は、実施例および各変更例に示した構成に限定されるものではない。例えば、蝶番等のヒンジ手段で、第1扉体52を本体10に回転可能に配設したり、第2扉体60を第1扉体52に回転可能に配設することが可能である。
【0036】
実施例では、第2ヒンジピン41および長孔状の第2ヒンジ孔42から第2ヒンジ部40を構成することで、該第2ヒンジ部40にスライド手段としての機能を併有するようにしたが、第2ヒンジ部40を第1ヒンジ部36と同じ形態として、スライド手段を別に設けるようにしてもよい。例えば、後方扉体60に第2ヒンジ孔42として設けた長孔を、スライド手段を構成するスライド溝とする一方、第2ヒンジピン41が嵌合する丸孔状の第2ヒンジ孔およびスライド溝にスライド自在に係合するスライドピンを夫々設けた連結部材を準備する。そして、側方扉体52を連結部材に対して回転可能に枢支させると共に、後方扉体52を該連結部材に対してスライド可能に連結すれば、後方扉体60が側方扉体52に対して回転およびスライド可能に連結された構成とし得る。なおスライド手段は、長溝に対してピンがスライド自在に係合する形態に限定されず、後方扉体60を側方扉体52にスライド可能に連結し得れば様々な形態が実施可能である。
【0037】
フィルタ交換口20の開口形状や、第1扉体52および第2扉体60の形状は、実施例および各変更例に示した形状に限定されない。例えば第1扉体52は、フィルタ交換口20を通過して本体10内へ姿勢変位しないので、第1開口領域20Aより大きく設定してもよい。また、フィルタ交換口20の第1開口領域20Aおよび第2開口領域20Bの開口比率や、第1扉体52と第2扉体60の寸法比率等も、実施例に示したものに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施例に係るグローブボックス示した分解斜視図である。
【図2】実施例における扉部材の側方扉体および後方扉体により、フィルタ交換口を閉成した状態を示した平断面図である。
【図3】後方扉体を右方へスライドさせた状態を示した平断面図である。
【図4】後方扉体を第2ヒンジ部を中心として本体の前方へ回転させ、該後方扉体を側方扉体へ折り重ねた状態を示した平断面図である。
【図5】後方扉体および側方扉体を第1ヒンジ部を中心として右方へ回転させ、両扉体をフィルタ通過領域から退避した位置へ姿勢変位させてフィルタ交換口を開放させた状態を示した平断面図である。
【図6】変更例1に係るグローブボックス示した分解斜視図である。
【図7】変更例1における扉部材の側方扉体および後方扉体により、フィルタ交換口を閉成した状態を示した平断面図である。
【図8】変更例1における後方扉体を第2ヒンジ部を中心として本体の前方へ回転させ、該後方扉体を側方扉体へ折り重ねた状態を示した平断面図である。
【図9】変更例1における後方扉体および側方扉体を第1ヒンジ部を中心として右方へ回転させ、両扉体をフィルタ通過領域から退避した位置へ姿勢変位させてフィルタ交換口を開放させた状態を示した平断面図である。
【図10】変更例2に係るグローブボックスを示した分解斜視図である。
【図11】変更例2における扉部材の側方扉体を後方扉体に対して回転させた後、側方扉体および後方扉体を第1ヒンジ部を中心として左方へ回転させ、両扉体をフィルタ通過領域から退避した位置へ姿勢変位させてフィルタ交換口を開放させた状態を示した平断面図である。
【図12】グローブボックスにおける本体に設けたフィルタ交換口から蓋部材を取外し、このフィルタ交換口を介してフィルタを取外す状態を示した斜視図である。
【図13】図12の状態を示した平断面図である。
【符号の説明】
【0039】
10 本体,12 側壁,14 奥壁,20 フィルタ交換口,36 第1ヒンジ部
40 第2ヒンジ部(スライド手段),45 ガイドピン(係止手段),50 扉部材
52 側方扉体(第1扉体/第2扉体),60 後方扉体(第2扉体/第1扉体)
AF フィルタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、グローブボックスに関し、更に詳細には、本体の奥壁および一方の側壁に亘って開設されたフィルタ交換口を開放可能に閉成する扉部材を取付けたグローブボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図12に示すように、自動車の乗員室におけるフロントガラス下部には、車両内装部材であるインストルメントパネルIPが、その前面側を乗員室後方に向けた状態で配設されている。このインストルメントパネルIPには、運転席側にスピードメーターやタコメーター等を纏めた計器ユニット等が取付けられていると共に、助手席側に車体装備品や携帯品等を収納し得るグローブボックスGBが配設されている。このグローブボックスGBは、上方に開口する物品収納部を画成したバケット状に形成されてインストルメントパネルIPに回転可能に取付けられるバケットタイプや、乗員室側に開口する物品収納部を画成したボックス状に形成されてインストルメントパネルIPに固定されるボックスタイプ等がある。なお図12では、ボックスタイプのグローブボックスGBを示しており、インストルメントパネルIPの一部をなす開閉扉80により、該インストルメントパネルIPの前面側に開口した前側開口部が開閉されるようになっている。
【0003】
また、前記インストルメントパネルIPの内部には、図13に示すように、乗員室内の空調に供されるエアコンユニットACが搭載される。そして、エアコンユニットACのフィルタ配設部AC1は、乗員席側から見てグローブボックスGBの後方側に位置している。このため、ボックスタイプのグローブボックスGBの場合は、図12および図13に示すように、該グローブボックスGBの本体10におけるエアコンユニットACに対応する位置にフィルタ交換口20を開口形成し、このフィルタ交換口20を介してフィルタ配設部AC1に対するフィルタAFの着脱を行ない得るよう構成されている。そして、フィルタ交換口20には、該フィルタ交換口20の開口形状に整合する外郭形状の蓋部材30が着脱可能に装着され、フィルタAFの交換作業時に取外すようになっている。なお、グローブボックスGBに設けたフィルタ交換口20を介してフィルタAFを交換する構成に関しては、特許文献1に開示されている。
【0004】
ところで、グローブボックスGBの配設位置およびエアコンユニットACの搭載位置は車種毎に異なり、図12および図13に示すように、グローブボックスGBの斜め後方にフィルタ配設部AC1が位置する場合がある。両者の位置関係がこのような場合には、フィルタAFのフィルタ通過領域Lが、本体10のフィルタ配設部AC1に臨むコーナー部分10Aを挟んで隣接する側壁12および奥壁14に跨るようになるので、フィルタ交換口20は奥壁14から側壁12に亘って開口する平面視L形となる。従って、フィルタ交換口20に装着される蓋部材30も、該フィルタ交換口20の形態に合わせたL形となっている。
【特許文献1】特開2002−347525号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述した蓋部材30は、図12および図13に示すように、該蓋部材30の下端部や側端部等に設けた係止片部32を、フィルタ交換口20の開口縁部に係止させることで、本体10に着脱可能に装着する構造となっている。このため、蓋部材30の取外し時には、該蓋部材30を手前へ強く引張らなければ係止片部32が外れないと共に、蓋部材30の取付け時には、該蓋部材30を奥側へ強く押込まなければ係止片部32が本体10に係止されない。すなわち、蓋部材30の弾性変形に基づいて着脱が可能な構成となっているうえに、蓋部材30がL形となっているため、着脱作業を行ない難い欠点があった。また、蓋部材30をフィルタ交換口20へ取付ける際に、係止片部32と本体10とが適切に整合していないと、蓋部材30がフィルタ交換口20を介して本体10の裏側へ脱落する不都合もあった。更に、本体10から蓋部材30を取外した際および蓋部材30を本体10に取付ける際に、蓋部材30がグローブボックスGBの内面に接触し易く、内面に傷が付いてしまう不都合等もあった。また更に、取り外した蓋部材30の置き場所を確保する必要があり、床等に置いた蓋部材30を踏んで破損させたり紛失するおそれもあった。
【0006】
そこで本発明では、前述した従来の技術に内在している課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、本体の奥壁および一方の側壁に亘って開設されたフィルタ交換口を、本体に取り付けた扉部材を該本体から取り外すことなく開閉させ得るよう構成することで、フィルタ交換口を介したフィルタの交換作業の簡易化を図ったグローブボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、車両内装部材に設けられて乗員室側に開口する本体と、該本体の奥壁および一方の側壁に亘って開設され、空調用のフィルタを出し入れ可能なフィルタ交換口と、前記本体に配設され、前記フィルタ交換口を開閉可能な扉部材とを備えるグローブボックスであって、
前記扉部材は、
前記フィルタ交換口における奥壁側または側壁側の何れか一方の開口領域に整合し、前記フィルタ交換口の一方の端部において前記本体に第1ヒンジ部を介して枢支され、該第1ヒンジ部から離間する他端が前記一方の開口領域から離間するよう姿勢変位可能な第1扉体と、
前記フィルタ交換口における他方の開口領域に整合し、前記第1扉体の他端に第2ヒンジ部を介して枢支され、該第1扉体に対し折り重なる状態に姿勢変位可能な第2扉体とを備えることを要旨とする。
【0008】
従って、請求項1に係る発明によれば、本体の奥壁から一方の側壁に亘って開設されたフィルタ交換口であっても、第1扉体および該第1扉体に連結した第2扉体を折り重ねた状態で姿勢変位させることで、扉部材を本体に取り付けた状態でフィルタ交換口を容易に開放することができ、フィルタ交換口を介したフィルタの交換作業を可能とし得る。そして、扉部材が本体に連結されているので、フィルタ交換口を開閉させる際に扉部材が本体の裏側へ脱落することがない。また、フィルタ交換口を開閉させる際に扉部材を本体から取り外さないので、扉部材の置き場所を確保する必要がないと共に、破損させたり紛失することもない。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記第2扉体における第2ヒンジ部から離間する他端が、前記フィルタ交換口の他方の端部に係止手段を介して係脱自在に係止されることを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、フィルタ交換口を閉成した第2扉体が、本体の外方へ姿勢変位することが防止される。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記第2扉体は、スライド手段を介して前記第1扉体にスライド可能に連結されることを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、第2扉体が第1扉体に対してスライド可能となり、第1扉体に折り重ねた第2扉体が該第1扉体から突出しないようにし得る。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るグローブボックスによれば、本体の奥壁および一方の側壁に亘って開設されたフィルタ交換口を、本体に取り付けた扉部材を該本体から取り外すことなく開閉させ得るので、フィルタ交換口を介したフィルタの交換作業を簡易に行ない得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明に係るグローブボックスにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。実施例では、グローブボックスGBの奥行き方向(側壁12の延在方向)を前後方向とし、グローブボックスGBの左右方向(奥壁14の延在方向)を左右方向と指称する。そして、インストルメントパネルIPの乗員席側を指向する方向、すなわち本体10の開口部側をグローブボックスGBの「前方」とし、本体10の奥側を「後方」と指称する。
【実施例】
【0013】
図1は、グローブボックスGBにおける本体10のコーナー部分10Aに設けたフィルタ交換口20と、このフィルタ交換口20を開閉するように本体10に取付けられる扉部材50とを示した分解斜視図である。実施例のグローブボックスGBは、図12に示すように、車両内装部材であるインストルメントパネルIPにおける助手席側の部分に、乗員席側に開口するボックス状の本体10を備えている。この本体10は、底壁16、図示省略した上壁、左右の側壁(左側の側壁は図示省略)12および奥壁14から構成されている。
【0014】
フィルタ交換口20は、コーナー部分10Aを挟んで隣接する奥壁14から右側の側壁12に亘って開設され、平面視L形の横長矩形状に開口している。ここで説明の便宜上、フィルタ交換口20のコーナー部分10Aを境とした側壁12側に位置する一方の開口領域を第1開口領域20Aとし、奥壁14側に位置する他方の開口領域を第2開口領域20Bと指称する。なおフィルタ交換口20は、図1に示すように、第1開口領域20Aの前後開口幅W1より、第2開口領域20Bの左右開口幅W2の方が大きく設定されている。また、第2開口領域20Bの左右開口幅W2は、フィルタ交換口20の上縁における本体10の奥行き寸法Dより大きく設定されている。
【0015】
そして、フィルタ交換口20の第1開口領域20Aにおける前縁部を第1縁部21、上縁部を第2縁部22、下縁部を第3縁部23とすると、第1縁部21と第2縁部22との角部および第1縁部21と第3縁部23との角部には、第1ヒンジ部36を構成する第1ヒンジ孔38,38が、第1開口領域20Aに開口するように形成されている。また、第2縁部22の後端および第3縁部23の後端、すなわちコーナー部分10Aの近傍には、第2ヒンジ部40を構成する第2ヒンジピン41,41(後述)が右方から嵌合保持される凹部43,43が形成されている。更に、フィルタ交換口20の第2開口領域20Bにおける左縁部を第4縁部24、上縁部を第5縁部25、下縁部を第6縁部26とすると、第5縁部25および第6縁部26には、左端から各縁部25,26に沿って第2開口領域20B側に開口するガイド溝27,27が所要長さで延設されている。なお、第2ガイド溝27,27の右端は奥壁14の前方向へ折曲し、奥壁14の内面に開口した挿通部27A,27Aとなっている。
【0016】
扉部材50は、図1に示すように、フィルタ交換口20の第1開口領域20Aに整合する外郭形状に形成された第1扉体としての側方扉体52と、該フィルタ交換口20の第2開口領域20Bに整合する外郭形状に形成された第2扉体としての後方扉体60とから構成されている。すなわち、側方扉体52および後方扉体60からなる扉部材50により、フィルタ交換口20が全面的に閉成され得るようになっている。なお、側方扉体52の前端部を第1端部53、上端部を第2端部54、下端部を第3端部55、後端部を第4端部56と指称すると共に、後方扉体60の左端部を第5端部61、上端部を第6端部62、下端部を第7端部63、右端部を第8端部64と指称する。
【0017】
側方扉体52は、図1に示すように、略正方形状のプレート状部材であって、該側方扉体52の前後長H1は、第1開口領域20Aの前後開口幅W1と同一となっている。そして、側方扉体52における第2端部54の前端および第3端部55の前端には、第1ヒンジ部36を構成する第1ヒンジピン37,37が、垂直方向の同一軸線上において上方および下方へ突出形成されている。また、第2端部54の後端および第3端部55の後端には、第2ヒンジ部40を構成する第2ヒンジピン41,41が、垂直方向の同一軸線上において上方および下方へ突出形成されている。従って側方扉体52は、第1ヒンジピン37,37を対応の第1ヒンジ孔38,38に夫々突入嵌合させることで、フィルタ交換口20における一方の端部である第1縁部21において本体10に回転可能に取付けられる。これにより側方扉体52は、フィルタ交換口20の第1開口領域20Aに整合した状態(図2)と、ヒンジ端となる第1端部53と対向離間する自由端である第4端部56が、フィルタ交換口20から右方(外方)へ離間した状態(図5)とに姿勢変位可能となっている。
【0018】
なお、側方扉体52が第1開口領域20Aに整合した際には、前述した第2ヒンジピン41,41が凹部43,43に嵌合するので、側方扉体52がグローブボックスGBの内側方向へ姿勢変位することが規制される。また、凹部43,43の第2ヒンジピン41,41が通過する開口部分の幅寸法は、該第2ヒンジピン41,41の直径より僅かに小さく設定されており、凹部43,43に対する第2ヒンジピン41,41の嵌脱は若干の力を付与することで実現される。従って、凹部43,43に第2ヒンジピン41,41が嵌合している状態では、側方扉体52が第1開口領域20Aに整合した状態に姿勢保持される。
【0019】
後方扉体60は、図1に示すように、略長方形状のプレート状部材であって、該後方扉体60の左右長H2は、本体10の前述した奥行き寸法Dより大きく、第2開口領域20Bの左右開口幅W2と同一となっている。そして、後方扉体60の後述するガイドピン45,45を除く部分は、フィルタ交換口20の第1開口領域20Aおよび第2開口領域20Bに対して、本体10の内外方向への通過が可能な形状・サイズに形成されている。この後方扉体60における第6端部62の左端および第7端部63の左端には、前述したガイド溝27,27に摺動自在に係合するガイドピン(係止手段)45,45が、垂直方向の同一軸線上において上方および下方へ突出形成されている。また、後方扉体60の第6端部62および第7端部63には、右端から両端部62,63に沿う長孔状の第2ヒンジ孔42,42が、後方扉体60の延在方向に沿って延在するように形成されている。これら第2ヒンジ孔42,42には、前述した第2ヒンジピン41,41が上下に貫通し、該第2ヒンジ孔42,42の上方および下方へ突出した第2ヒンジピン41,41の突出端部が、前述した凹部43,43に嵌合するよう構成されている。従って、第2ヒンジ孔42,42に第2ヒンジピン41,41が係合することで、後方扉体60は側方扉体52に対して回転可能に連結される(図4)。また、第2ヒンジピン41,41が第2ヒンジ孔42,42に沿って移動することで、後方扉体60は側方扉体52に対してスライド可能に連結され、第2ヒンジ部40はスライド手段としての機能を併有している(図3)。なお図1に示すように、ガイド溝27の全長S1と第2ヒンジ孔42の全長S2とは同一となっている。また、側方扉体52の前後長H1と、後方扉体60における第2ヒンジ孔42が形成されていない部位の長さH3とが略同一となっている。
【0020】
従って後方扉体60は、図2に示すように、側方扉体52が第1開口領域20Aに整合した状態において、第2ヒンジピン41,41が第2ヒンジ孔42,42の左端に到来するまで右方へスライドさせると、ガイドピン45,45がガイド溝27,27の挿通部27A,27Aに整合するよう構成されている。また、この状態で後方扉体60を左方向へ押すと、ガイドピン45,45がガイド溝27,27に沿って移動すると共に、第2ヒンジピン41,41が第2ヒンジ孔42,42に沿って相対的に移動することで、後方扉体60は左方向へ移動して第2開口領域20Bに整合した状態となる。また、第2ヒンジ部40から対向離間する第5端部61側に設けたガイドピン45,45がガイド溝27,27に係止されることで、後方扉体60の第5端部61側が本体10の外方向(後方)へ移動するよう姿勢変位することが規制される。
【0021】
なお、後方扉体60の裏面には、図1に示すように、第5端部61から左方へ延出した係止片部65が形成され、この係止片部65の前面には凸部66が形成されている。また、奥壁14の裏面には、図1に示すように、後方扉体60が第2開口領域20Bに整合した際に前述した凸部66が係合する凹部67が形成されている。また、後方扉体60の前面には陥凹状の指掛部68が形成されており、後方扉体60を左右にスライドさせる際に指先を掛け得るようになっている。
【0022】
従って、前述のように構成された実施例のグローブボックスGBでは、扉部材50がフィルタ交換口20を閉成した際には、前述すると共に図2に示すように、側方扉体52が該フィルタ交換口20の第1開口領域20Aに整合し、後方扉体60が該フィルタ交換口20の第2開口領域20Bに整合する。そして、後方扉体60が第2開口領域20Bに整合した際に凸部66が凹部67に嵌合するので、該後方扉体60は第2開口領域20Bを閉成した状態に姿勢保持される。また、後方扉体60が第2開口領域20Bに整合した状態では、第2ヒンジピン41,41が第2ヒンジ孔42,42の右端に位置して凹部43,43に嵌合保持されるので、側方扉体52は第1開口領域20Aを閉成した状態に姿勢保持される。
【0023】
そして、フィルタ交換口20を開放する場合には、先ず図3に示すように、後方扉体60を右方向へスライド移動させる。すなわち、指掛部68に指先を掛けたもとで後方扉体60を右方向へ押すと凸部66と凹部67との嵌合が解除され、後方扉体60が右方向へスライドし始める。この際に、ガイドピン45,45がガイド溝27,27に沿って右方向へ移動すると共に、第2ヒンジ孔42,42に対して第2ヒンジピン41,41が左方向へ相対的に移動するので、後方扉体60は前後方向への姿勢変位が規制されながら第2開口領域20Bに沿って右方向へ移動する。そして、ガイドピン45,45がガイド溝27,27の右端に当接すると同時に、第2ヒンジピン41,41が第2ヒンジ孔42,42の左端に当接すると、後方扉体60は図3に示した位置で位置規制される。
【0024】
次いで、図4に示すように、後方扉体60の第5端部61を前方に引張る。これにより後方扉体60は、第2ヒンジピン41,41を中心として本体10の前方へ回転し、側方扉体52の左側に折り重なった状態となる。なお、前述すると共に図1に示すように、側方扉体52の前後長H1と、後方扉体60の第2ヒンジ孔42が形成されていない部位の長さH3とが略同一となっているので、後方扉体60の第5端部61は、側方扉体52の第1端部53と略同じ位置となってグローブボックスGBから前方(外方)へ突出しない。すなわち、後方扉体60の左右長H2が本体10の奥行き寸法Dより大きく設定されているが、後方扉体60はスライドした状態で回転するため、グローブボックスGBから前方へ突出しない。また、後方扉体60は第2ヒンジ部40を介して側方扉体52に連結されているので、前方へ回転する際に該後方扉体60が本体10の底壁16や上壁に接触することがなく、よって本体10の内面に傷が付くことが防止される。
【0025】
次いで、図5に示すように、後方扉体60の後側部分を右方向へ押すと、凹部43,43に嵌合保持されていた第2ヒンジピン41,41が該凹部43,43が抜け出て、側方扉体52が第1ヒンジ部36を中心として右方(外方)へ回転する。これにより、側方扉体52に連結された後方扉体60も、側方扉体52の回転に連動して右方向へ姿勢変位する。従って、側方扉体52および後方扉体60は、図5に示すように、フィルタAFのフィルタ通過領域Lから側方へ退避した位置へ姿勢変位してフィルタ交換口20を開放し、フィルタ交換口20を介したフィルタAFの交換作業が可能となる。なお、側方扉体52は第1ヒンジ部36を介して本体10に連結されているので、側方扉体52に追従して姿勢変位する後方扉体60が本体10の底壁16や上壁に接触することがなく、よって本体10の内面に傷が付くことが防止される。
【0026】
フィルタ交換口20を閉成する場合は、図5の状態において、先ず後方扉体60の後側部分を左方向へ移動させる。これにより、後方扉体60および側方扉体52が第1ヒンジ部36を中心として左方向へ回転し、第2ヒンジピン41,41が各凹部43,43に嵌合することで、側方扉体52が第1開口領域20Aに整合する(図4)。
【0027】
次いで、前方を指向している後方扉体60の第5端部61を左後方へ押すと、該後方扉体60は各第2ヒンジピン41,41を中心として後方へ回転し、ガイドピン45,45が挿通部27A,27Aからガイド溝27,27に係止される(図3)。そして、後方扉体60を左方向へスライドさせ、第1ガイドピン45,45がガイド溝27,27の左端に当接すると共に第2ヒンジピン41,41が第2ヒンジ孔42,42の右端に当接することで、後方扉体60は第2開口領域20Bに整合した状態となる(図2)。
【0028】
このように、実施例のグローブボックスGBによれば、本体10の奥壁14から一方の側壁12に亘って開設されたフィルタ交換口20を、該本体10に取り付けた側方扉体52および該側方扉体52に連結した後方扉体60により閉成することが可能である。また、フィルタ交換口20を開放する際には、後方扉体60を側方扉体52に対して折り重ねると共に、折り重ねた後方扉体60と側方扉体52とを本体10に対して回転させることで、扉部材50を本体10から取り外すことなくフィルタ交換口20を開放することができ、フィルタ交換口20を介したフィルタAFの交換作業を簡易に行ない得る。そして、後方扉体60が側方扉体52に対してスライド可能に連結されているので、側方扉体52に折り重なった後方扉体60の左右長H2が本体10の奥行き寸法Dより大きく設定されていても、該後方扉体60が本体10(グローブボックスGB)の外方へ突出することが防止される。また、フィルタ交換口20を開放する際に扉部材50を本体10から取り外さないので、該扉部材50の置き場所を確保する必要がないと共に、取り外すことによる紛失や破損等を防止し得る。また、フィルタ交換口20を開閉する際に、扉部材50が本体10の内面に接触しないので、該本体10の内面に傷が付くこともない。
【0029】
(変更例1)
図6は、変更例1に係るグローブボックスGBを示した斜視図である。この変更例1のグローブボックスGBは、前述した実施例のグローブボックスGBと比較すると、第2ヒンジピン41,41が突入嵌合する第2ヒンジ孔42,42を、該第2ヒンジピン41,41がスライド不能な丸孔に構成したものである。すなわち、第2扉体としての後方扉体60は、第1扉体としての側方扉体52に対してスライドせずに回転のみが可能に連結される。なお、後方扉体60が側方扉体52に対してスライドしないため、フィルタ交換口20の第5縁部25の左端および第6縁部26の左端に、第1ガイドピン45,45が本体10の内方から係合可能な凹部70,70が形成されている。また、後方扉体60の第5端部61の上下方向の中央に凸部71が形成され、フィルタ交換口20の第4縁部24の上下中央に、凸部71が嵌合する凹部72が形成されている。更に、後方扉体60を本体10の前方へ引出して回転可能とするため、指先を掛け得る鉤状の指掛部73が、後方扉体60の前面左方に形成されている。
【0030】
このような変更例1のグローブボックスGBでは、フィルタ交換口20を開放する場合には、先ず図7の閉成状態において、指掛部73を把持しながら後方扉体60を本体10の前方に引張る。これにより後方扉体60は、図8に示すように、凹部72と凸部71との嵌合が解除されて第2ヒンジ部40を中心として回転し、側方扉体52の左側に折り重なった状態まで姿勢変位する。なお、本体10の奥行き寸法Dより後方扉体60の左右長H2が大きいので、側方扉体52に折り重なった後方扉体60は、本体10から前方(外方)へ突出した状態となる。
【0031】
次いで、図9に示すように、後方扉体60の後側部分を右方向へ押すと、側方扉体52が第1ヒンジ部36を中心として右方向へ回転する。そして、側方扉体52に連結された後方扉体60も、側方扉体52の回転に追従して右方向へ姿勢変位する。従って、側方扉体52および後方扉体60は、フィルタAFのフィルタ通過領域Lから側方へ退避した位置へ姿勢変位してフィルタ交換口20を開放し、フィルタ交換口20を介してフィルタAFの交換作業が可能となる。
【0032】
このように変更例1のグローブボックスGBにおいては、後方扉体60の第5端部61側がグローブボックスGBから外方へ突出するものの、後方扉体60を側方扉体52を姿勢変位させることで、フィルタ交換口20を開放させ得る。特に、変更例1のグローブボックスGBの場合では、後方扉体60がフィルタ交換口20からグローブボックスGBの後方へ突出しないので、グローブボックスGBにエアコンユニットACが近接して搭載されている場合に有効である。また、扉部材50を本体10から取り外すことなくフィルタ交換口20を開放し得るので、前述した実施例と同等の作用効果が得られる。
【0033】
(変更例2)
図10は、変更例2に係るグローブボックスGBを示した斜視図である。この変更例2のグローブボックスGBは、前述した変更例1と比較すると、第1扉体および第2扉体の配設構成が逆となっており、後方扉体60が本体10に枢支される第1扉体として機能し、側方扉体52が第1扉体に枢支される第2扉体として機能するようになっている。すなわち、後方扉体60の第6端部62の左端および第7端部63の左端に、第1ヒンジ部36を構成する第1ヒンジピン37,37を設けると共に、フィルタ交換口20の第5縁部25の左端および第6縁部26の左端に、第1ヒンジ部36を構成する第1ヒンジ孔38,38を設けることで、後方扉体60は第1ヒンジ部36を介して本体10に枢支される。また、後方扉体60の第6端部62の右端および第7端部63の右端に、第2ヒンジ部40を構成する第2ヒンジピン41,41を設けると共に、側方扉体52の第2端部54の後端および第3端部55の後端に、第2ヒンジ部40を構成する第2ヒンジ孔42,42を設けることで、側方扉体52は後方扉体60の第4縁部64側に枢支される。そして、側方扉体52の第2端部54の前端および第3端部55の前端にガイドピン45,45が立設されると共に、フィルタ交換口20の第2縁部22の前端および第3縁部23の前端に、ガイドピン45,45が左方から嵌合可能な凹部70,70が形成されている。更に、側方扉体52の第1端部53における上下方向の中央に凸部71が形成され、フィルタ交換口20の第1縁部21における上下方向の中央に、凸部71が嵌合する凹部72が形成されている。また、側方扉体52の第1端部53の近傍に鉤状の指掛部73が形成されている。
【0034】
このような変更例2のグローブボックスGBでは、フィルタ交換口20を開放する場合には、先ず、指掛部73を把持しながら側方扉体52の前側部分を左方に引張る。これにより側方扉体52は、凸部71と凹部72との嵌合が解除され、第2ヒンジ部40を中心として回転して、後方扉体60の前側に折り重なった状態となる。次いで、後方扉体60の右側部分を手前方向へ引くと、後方扉体60が第1ヒンジ部36を中心として左方向へ回転し、後方扉体60に連結された側方扉体52も、後方扉体60の回転に追従して左方向へ姿勢変位する。従って、側方扉体52および後方扉体60は、図11に示すように、フィルタAFのフィルタ通過領域Lから側方へ退避した位置へ姿勢変位してフィルタ交換口20を開放し、フィルタ交換口20を介してフィルタAFの交換作業が可能となる。従って、変更例2に係るグローブボックスGBも、変更例1に係るグローブボックスGBと同等の作用効果が得られる。
【0035】
なお、第1ヒンジ部36および第2ヒンジ部40は、実施例および各変更例に示した構成に限定されるものではない。例えば、蝶番等のヒンジ手段で、第1扉体52を本体10に回転可能に配設したり、第2扉体60を第1扉体52に回転可能に配設することが可能である。
【0036】
実施例では、第2ヒンジピン41および長孔状の第2ヒンジ孔42から第2ヒンジ部40を構成することで、該第2ヒンジ部40にスライド手段としての機能を併有するようにしたが、第2ヒンジ部40を第1ヒンジ部36と同じ形態として、スライド手段を別に設けるようにしてもよい。例えば、後方扉体60に第2ヒンジ孔42として設けた長孔を、スライド手段を構成するスライド溝とする一方、第2ヒンジピン41が嵌合する丸孔状の第2ヒンジ孔およびスライド溝にスライド自在に係合するスライドピンを夫々設けた連結部材を準備する。そして、側方扉体52を連結部材に対して回転可能に枢支させると共に、後方扉体52を該連結部材に対してスライド可能に連結すれば、後方扉体60が側方扉体52に対して回転およびスライド可能に連結された構成とし得る。なおスライド手段は、長溝に対してピンがスライド自在に係合する形態に限定されず、後方扉体60を側方扉体52にスライド可能に連結し得れば様々な形態が実施可能である。
【0037】
フィルタ交換口20の開口形状や、第1扉体52および第2扉体60の形状は、実施例および各変更例に示した形状に限定されない。例えば第1扉体52は、フィルタ交換口20を通過して本体10内へ姿勢変位しないので、第1開口領域20Aより大きく設定してもよい。また、フィルタ交換口20の第1開口領域20Aおよび第2開口領域20Bの開口比率や、第1扉体52と第2扉体60の寸法比率等も、実施例に示したものに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施例に係るグローブボックス示した分解斜視図である。
【図2】実施例における扉部材の側方扉体および後方扉体により、フィルタ交換口を閉成した状態を示した平断面図である。
【図3】後方扉体を右方へスライドさせた状態を示した平断面図である。
【図4】後方扉体を第2ヒンジ部を中心として本体の前方へ回転させ、該後方扉体を側方扉体へ折り重ねた状態を示した平断面図である。
【図5】後方扉体および側方扉体を第1ヒンジ部を中心として右方へ回転させ、両扉体をフィルタ通過領域から退避した位置へ姿勢変位させてフィルタ交換口を開放させた状態を示した平断面図である。
【図6】変更例1に係るグローブボックス示した分解斜視図である。
【図7】変更例1における扉部材の側方扉体および後方扉体により、フィルタ交換口を閉成した状態を示した平断面図である。
【図8】変更例1における後方扉体を第2ヒンジ部を中心として本体の前方へ回転させ、該後方扉体を側方扉体へ折り重ねた状態を示した平断面図である。
【図9】変更例1における後方扉体および側方扉体を第1ヒンジ部を中心として右方へ回転させ、両扉体をフィルタ通過領域から退避した位置へ姿勢変位させてフィルタ交換口を開放させた状態を示した平断面図である。
【図10】変更例2に係るグローブボックスを示した分解斜視図である。
【図11】変更例2における扉部材の側方扉体を後方扉体に対して回転させた後、側方扉体および後方扉体を第1ヒンジ部を中心として左方へ回転させ、両扉体をフィルタ通過領域から退避した位置へ姿勢変位させてフィルタ交換口を開放させた状態を示した平断面図である。
【図12】グローブボックスにおける本体に設けたフィルタ交換口から蓋部材を取外し、このフィルタ交換口を介してフィルタを取外す状態を示した斜視図である。
【図13】図12の状態を示した平断面図である。
【符号の説明】
【0039】
10 本体,12 側壁,14 奥壁,20 フィルタ交換口,36 第1ヒンジ部
40 第2ヒンジ部(スライド手段),45 ガイドピン(係止手段),50 扉部材
52 側方扉体(第1扉体/第2扉体),60 後方扉体(第2扉体/第1扉体)
AF フィルタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内装部材に設けられて乗員室側に開口する本体と、該本体の奥壁および一方の側壁に亘って開設され、空調用のフィルタを出し入れ可能なフィルタ交換口と、前記本体に配設され、前記フィルタ交換口を開閉可能な扉部材とを備えるグローブボックスであって、
前記扉部材は、
前記フィルタ交換口における奥壁側または側壁側の何れか一方の開口領域に整合し、前記フィルタ交換口の一方の端部において前記本体に第1ヒンジ部を介して枢支され、該第1ヒンジ部から離間する他端が前記一方の開口領域から離間するよう姿勢変位可能な第1扉体と、
前記フィルタ交換口における他方の開口領域に整合し、前記第1扉体の他端に第2ヒンジ部を介して枢支され、該第1扉体に対し折り重なる状態に姿勢変位可能な第2扉体とを備える
ことを特徴とするグローブボックス。
【請求項2】
前記第2扉体における第2ヒンジ部から離間する他端が、前記フィルタ交換口の他方の端部に係止手段を介して係脱自在に係止される請求項1記載のグローブボックス。
【請求項3】
前記第2扉体は、スライド手段を介して前記第1扉体にスライド可能に連結される請求項1または2記載のグローブボックス。
【請求項1】
車両内装部材に設けられて乗員室側に開口する本体と、該本体の奥壁および一方の側壁に亘って開設され、空調用のフィルタを出し入れ可能なフィルタ交換口と、前記本体に配設され、前記フィルタ交換口を開閉可能な扉部材とを備えるグローブボックスであって、
前記扉部材は、
前記フィルタ交換口における奥壁側または側壁側の何れか一方の開口領域に整合し、前記フィルタ交換口の一方の端部において前記本体に第1ヒンジ部を介して枢支され、該第1ヒンジ部から離間する他端が前記一方の開口領域から離間するよう姿勢変位可能な第1扉体と、
前記フィルタ交換口における他方の開口領域に整合し、前記第1扉体の他端に第2ヒンジ部を介して枢支され、該第1扉体に対し折り重なる状態に姿勢変位可能な第2扉体とを備える
ことを特徴とするグローブボックス。
【請求項2】
前記第2扉体における第2ヒンジ部から離間する他端が、前記フィルタ交換口の他方の端部に係止手段を介して係脱自在に係止される請求項1記載のグローブボックス。
【請求項3】
前記第2扉体は、スライド手段を介して前記第1扉体にスライド可能に連結される請求項1または2記載のグローブボックス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−107581(P2009−107581A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−284395(P2007−284395)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】
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