説明

グローブボックス

【課題】剛性を高めた場合でも、部材の共通化を図ることができるグローブボックスを提供すること。
【解決手段】グローブボックス2は、物品を収容可能なポケット12を有するインナ部材10と、インナ部材10の表面を覆うように組み付けられるアウタ部材20とを備えている。そして、このグローブボックス2は、そのインナ部材10とアウタ部材20との少なくとも何れか一方がインストルメントパネルに対して揺動可能に組み付けられている。これらインナ部材10とアウタ部材20との間には、補強部材30を選択的に挟み込み可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グローブボックスに関し、詳しくは、物品を収容可能なポケットを有するインナ部材と、インナ部材の表面を覆うように組み付けられるアウタ部材とを備え、インナ部材とアウタ部材との少なくとも何れか一方がインストルメントパネルに対して揺動可能に組み付けられているグローブボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、助手席の向かいのインストルメントパネルには、物品を収容可能なポケットを有するグローブボックスが備えられている。ここで、下記特許文献1には、物品を収容可能なポケットを有するインナ部材と、インナ部材の表面を覆うように組み付けられるアウタ部材とを備え、インナ部材とアウタ部材との少なくとも何れか一方がインストルメントパネルに対して揺動可能に組み付けられているグローブボックスが開示されている。このように揺動可能に組み付けられていると、グローブボックスを乗員の側に引き出すことができるため、ポケットに物品を出し入れする利便性を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平7−32272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したグローブボックスでは、例えば、車両に追突が発生すると、車両の助手席の乗員(以下、単に、「乗員」と記す)は、自身に作用している慣性力により、自身の膝がグローブボックスに入り込むまで前方に移動してしまうことがあった。このように移動してしまうと、グローブボックスに入り込んだ膝を回転の支点とする乗員の前傾動作が行われるため、この乗員がフロントガラスに接触し易いという問題が発生していた。この問題を解決するために、グローブボックスの剛性を高めること、例えば、図7に示すように、グローブボックス101がインナ部材110とアウタ部材120とから構成されている場合、インナ部材110の表面に格子状のリブ132を形成することが考案された。しかしながら、この考案では、剛性を高めない場合におけるグローブボックスのインナ部材(図示しない)との部材の共通化を図ることができなかった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、インナ部材とアウタ部材とから構成されている場合、剛性の有無に関わらず、インナ部材とアウタ部材の共通化を図ることができるグローブボックスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の目的を達成するためのものであって、以下のように構成されている。
請求項1に記載の発明は、物品を収容可能なポケットを有するインナ部材と、インナ部材の表面を覆うように組み付けられるアウタ部材と、を備え、インナ部材とアウタ部材との少なくとも何れか一方がインストルメントパネルに対して揺動可能に組み付けられているグローブボックスであって、インナ部材とアウタ部材との間には、補強部材を選択的に挟み込み可能となっていることを特徴とする構成である。
この構成によれば、どちらのグローブボックス(インナ部材とアウタ部材との間に補強部材が挟み込まれていないグローブボックスとインナ部材とアウタ部材との間に補強部材が挟み込まれているグローブボックス)でも、同一のインストルメントパネルに揺動可能に組み付けることができる。そのため、補強部材による剛性の有無に関わらず、インナ部材とアウタ部材の共通化を図ることができる。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のグローブボックスであって、補強部材は、パネル状に形成されており、パネル状の表面には、格子状のリブが形成されていることを特徴とする構成である。
この構成によれば、補強部材を挟み込んでいないグローブボックスより、補強部材30を挟み込んだグローブボックスの剛性をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の実施例1に係るグローブボックスの分解斜視図である。
【図2】図2は、図1の組み付け状態における縦断面の一部を示す図である。
【図3】図3は、本発明の実施例2に係るグローブボックスの分解斜視図である。
【図4】図4は、図2の組み付け状態における縦断面の一部を示す図である。
【図5】図5は、図4の第1の変形例である。
【図6】図6は、図4の第2の変形例である。
【図7】図7は、従来技術に係るグローブボックスの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を用いて説明する。
(実施例1)
まず、本発明の実施例1を、図1〜2を用いて説明する。この実施例1のグローブボックス1は、主として、インナ部材10とアウタ部材20とから構成されている。
【0010】
インナ部材10は、その内側に物品(図示しない)を収容可能なポケット12を有する略コ字状に形成された枠部材から構成されている。このインナ部材10は、剛性を有する合成樹脂により一体的に成形されている。
【0011】
一方、アウタ部材20は、インナ部材10のコ字の枠を覆うように略矩形状に形成されたパネル部材から構成されている。このアウタ部材20の外の表面は、インストルメントパネル(図示しない)の意匠と一体を成すように形成されている。このアウタ部材20も、インナ部材10と同様に、剛性を有する合成樹脂により一体的に成形されている。
【0012】
そして、インナ部材10とアウタ部材20との適宜の箇所が接合されている。この接合は、例えば、バイブレーション溶着によって行われている。このようにしてグローブボックス1が組み立てられる。なお、このようにして組み立てられたグローブボックス1は、そのインナ部材10がインストルメントパネルの開口の縁(いずれも図示しない)に対して手前側(助手席側)に向けて揺動可能に組み付けられている。これにより、グローブボックス1を乗員の側に引き出すことができるため、ポケット12に物品を出し入れする利便性を高めることができる。グローブボックス1は、このように構成されている。
【0013】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2を、図3〜4を用いて説明する。この実施例2のグローブボックス2は、実施例1のグローブボックス1と比較すると、剛性を高めたものである。なお、以下の説明にあたって、実施例1で説明した部材と同一または均等な構成の部材には、図面において同一符号を付すことで、重複する説明は省略することとする。
【0014】
この実施例2のグローブボックス2は、主として、インナ部材10とアウタ部材20と補強部材30から構成されている。補強部材30は、アウタ部材20より一回り小さくなるように略矩形状に形成されたパネル部材から構成されている。この補強部材30の外側の表面には、格子状のリブ32が形成されている。この補強部材30も、インナ部材10、アウタ部材20と同様に、剛性を有する合成樹脂により一体的に成形されている。
【0015】
なお、このリブ32の高さは、後述するように、この補強部材30をインナ部材10とアウタ部材20との間に挟み込んでグローブボックス2を組み立てても、この組み立てたグローブボックス2のインナ部材10からアウタ部材20までの厚みが、実施例1のグローブボックス1のそれと同じになるように形成されている。これにより、同一のインストルメントパネルであれば、どちらのグローブボックス1、2でも組み付けることができる。
【0016】
そして、インナ部材10と補強部材30との適宜の箇所が接合され、これと同様に、アウタ部材20と補強部材30との適宜の箇所が接合されている。これらの接合は、例えば、バイブレーション溶着によって行われている。このようにしてグローブボックス2が組み立てられる。なお、このようにして組み立てられたグローブボックス2も、実施例1のグローブボックス1と同様に、そのインナ部材10がインストルメントパネルの開口の縁(いずれも図示しない)に対して手前側(助手席側)に向けて揺動可能に組み付けられている。グローブボックス2は、このように構成されている。
【0017】
上述した実施例1のグローブボックス1と実施例2のグローブボックス2とを比較すると、これらグローブボックス1、2は、互いに共通な部材であるインナ部材10とアウタ部材20との間に補強部材30を挟み込んでいるか否かの点が相違しているだけである。この記載が、特許請求の範囲に記載の「インナ部材とアウタ部材との間には、補強部材を選択的に挟み込み可能となっている」に相当する。
【0018】
本発明の実施例に係るグローブボックス1、2は、上述したように構成されている。この構成によれば、グローブボックス1は、主として、インナ部材10とアウタ部材20とから構成されている。一方、グローブボックス2は、主として、インナ部材10とアウタ部材20と補強部材30から構成されている。そして、これらどちらのグローブボックス1、2でも、同一のインストルメントパネルの開口の縁に揺動可能に組み付けることができる。そのため、補強部材30による剛性の有無に関わらず、インナ部材10とアウタ部材20の共通化を図ることができる。
【0019】
また、この構成によれば、補強部材30の外側の表面には、格子状のリブ32が形成されている。そのため、補強部材30を挟み込んでいないグローブボックス1より、補強部材30を挟み込んだグローブボックス2の剛性をより高めることができる。
【0020】
上述した内容は、あくまでも本発明の一実施の形態に関するものであって、本発明が上記内容に限定されることを意味するものではない。
実施例1、2では、グローブボックス1、2は、そのインナ部材10がインストルメントパネルの開口の縁に対して手前側に向けて揺動可能に組み付けられている例を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、グローブボックス1、2は、そのアウタ部材20がインストルメントパネルの開口の縁に対して手前側に向けて揺動可能に組み付けられていても構わない。
【0021】
また、実施例2では、インナ部材10と補強部材30とをバイブレーション溶着によって接合する例を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、図5に示すように、インナ部材10と補強部材30とをネジ40によって接合しても構わない。その場合、インナ部材10にはボス14を設け、補強部材30にはボス14に対応するようにネジ孔34を設ける必要がある。
【0022】
また、実施例2では、アウタ部材20と補強部材30とをバイブレーション溶着によって接合する例を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、図6に示すように、アウタ部材20と補強部材30とを引っ掛けて接合しても構わない。その場合、アウタ部材20には係合爪22を設け、補強部材30には係合爪22に対応するように係合孔36を設ける必要がある。
【符号の説明】
【0023】
1 グローブボックス(実施例1)
2 グローブボックス(実施例2)
10 インナ部材
12 ポケット
20 アウタ部材
30 補強部材
32 リブ




【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収容可能なポケットを有するインナ部材と、
インナ部材の表面を覆うように組み付けられるアウタ部材と、を備え、
インナ部材とアウタ部材との少なくとも何れか一方がインストルメントパネルに対して揺動可能に組み付けられているグローブボックスであって、
インナ部材とアウタ部材との間には、補強部材を選択的に挟み込み可能となっていることを特徴とするグローブボックス。
【請求項2】
請求項1に記載のグローブボックスであって、
補強部材は、パネル状に形成されており、
パネル状の表面には、格子状のリブが形成されていることを特徴とするグローブボックス。








【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−107414(P2013−107414A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251470(P2011−251470)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(308013436)小島プレス工業株式会社 (386)
【Fターム(参考)】