説明

ケラチン繊維メイクアップキット

【課題】ケラチン繊維メイクアップキットおよび対応するメイクアップ法、特にまつ毛メイクアップ法およびそのキットの提供。
【解決手段】少なくとも、30mN/m以下の表面エネルギーを有する第1の組成物、ならびに、これの表面エネルギーと第1の組成物の表面エネルギーとの間の差が5mN/m以上であるような表面エネルギー、および0.001〜2Pa.秒の粘度を有する第2の組成物を含む、ケラチン繊維メイクアップキットおよび対応するメイクアップ法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン繊維メイクアップキットおよび対応するメイクアップ法に関する。
本発明は、ケラチン繊維、例えばまつ毛、眉毛および毛髪をメイクアップすることに関し、より特には、まつ毛をメイクアップすることに関する。
本発明のメイクアップキットは、まつ毛もしくは眉毛のためのメイクアップキット、または毛髪メイクアップキットの形態であり得る。より詳細には、本発明は、マスカラに関する。特に、まつ毛メイクアップキットであり得る。
【背景技術】
【0002】
実際には、本質的に2つのタイプのマスカラ処方物があり、すなわち一方では水性連続相を有するマスカラ(「エマルジョンマスカラ」として知られる)であって、水中のワックスのエマルジョンの形態のものであり、他方では、溶媒もしくは油の連続相を有するマスカラであって、無水であるか、または低含量の水および/または水溶性溶媒を有し(「防水マスカラ」として知られる)、非水性溶媒中のワックスの分散物の形態で処方されるものである。さらに、ある種のマスカラは、「防水」とまた呼ばれる、水中のワックスのエマルジョンの形態である。これらのマスカラ組成物は、少なくとも1種のラテックスもしくは擬似ラテックス、すなわち、耐水性を与える膜-形成ポリマーのコロイド懸濁物の存在によって特徴付けられる。
【0003】
慣用的には、マスカラは、特にまつ毛のコーティングを可能にする少なくとも1種の膜-形成ポリマーを含む。
【0004】
本発明の望ましい目的は、マスカラ使用者に、種々のメイクアップ効果を生じる手段を提供するための1つの装置を提供することであり、この装置は、施与が行われるやり方に依存して容易に変更できる。
【0005】
欧州特許EP 953 332号公報は、膜-形成ポリマーの粒子の少なくとも1種の水性分散物および少なくとも1種の増粘剤を含むメイクアップ組成物であって、500秒-1の剪断で測定された0.001〜2Pa.秒の範囲の粘度を有することを特徴とする組成物、ならびにまた、適当な速度で施与した後、ケラチン繊維に沿って分配された真珠色の形成を可能にする、関連するケラチン繊維メイクアップ法を開示する。
【0006】
ケラチン繊維に施与された後、好ましくは透明である、特定のポリマーの存在により特徴づけられるドロップを得るための組成物がさらに、フランス国特許FR 2 844 706号公報に開示される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、それぞれ次のことによって特徴づけられる2種の組成物の連続施与によって、広範囲のタイプのケラチン繊維メイクアップを得ることが可能であることを見出した:そのうちの第1のものについては、30 mN/mの最大表面エネルギーによって特徴づけられ、その第2のものについては、第1の組成物の表面エネルギーに対して5 mN/m以上の表面エネルギー値の差を示す表面エネルギーおよび0.001〜2Pa.秒の粘度によって特徴づけられる。
【0008】
メイクアップの結果の例は、添付の図面に図式で示される。
【0009】
言い換えれば、本発明のメイクアップキットの実施は、ケラチン繊維に沿った物質の望まれる堆積物の量だけでなく、ケラチン繊維上の場所にも変化をつけることを可能にする。実際、第1および第2の組成物の特徴は、毛管現象により物質の転位を生じさせ、それは、乾燥およびかくして硬化後、メイクアップの結果を、例えば別々に乗せられた各まつ毛上の単一もしくは多数滴の形態に、あるいは、ケラチン繊維間の「ブリッジ」の形態に設定する。かくして、第1の組成物と同じ光学効果、特に同じ色を有するか、または有しないことができる「過剰の物質」の形成があり、これは、通常のマスカラを用いて得られるものと比べた時に、特定のメイクアップの結果を与える。これに反して、通常のマスカラは一般に、各ケラチン繊維に沿った均質なメイクアップに向けられる。
【0010】
本発明のメイクアップ法はまた、大きな堆積体積の印象を与えることによって外観を強調するように、まつ毛をメイクアップするのに使用することができる。特に、本発明の方法の実施によって得られる、まつ毛に沿った正確な地点に位置する物質の大きな堆積物は、この印象を達成することを可能にする。
【0011】
かくして、第1の態様に従えば、本発明は、少なくとも
- 30 mN/m以下の表面エネルギーを有する第1の組成物、ならびに
- 乾燥前に、これの表面エネルギーと第1の組成物の表面エネルギーとの間の差が5 mN/m以上であるような表面エネルギー、および0.001〜2Pa.秒の粘度を有する第2の組成物
を含むケラチン繊維メイクアップキットに関する。
【0012】
第2の態様に従えば、本発明は、メイクアップ法および/またはケラチン繊維を非治療的にケアする方法であって、本発明の第1の組成物をケラチン繊維の全部または一部に施与して、第1の堆積物を形成する少なくとも1つの工程、ならびに本発明の第2の組成物を第1の堆積物および/またはケラチン繊維の全部または一部に施与する少なくとも1つの工程を含むことを特徴とする方法に関する。
【0013】
本発明においては、「ケラチン繊維」という語は、特に毛髪、まつ毛および眉毛を意味する。
【0014】
本発明のメイクアップキットは、生理学的に許容される媒体、特に化粧用に許容される媒体、すなわち、特にケラチン繊維、例えば毛髪、まつ毛および眉毛と適合性である媒体を含む。
【0015】
本発明においては、「化粧用に許容される」という語は、その使用がケラチン物質への施与と適合性である化合物をいう。
【0016】
本発明において望まれるメイクアップの結果の明示は、特に第2の組成物が第1の組成物の後に逐次堆積されるときに観察される。かくして、少なくとも2つの施与行為が、所望のメイクアップ効果を得るために必要である。
【0017】
2種の組成物の施与は、以下に記載するように、任意の施与手段またはアプリケーターを用いて行うことができる。
【0018】
第1および第2の組成物はまた、それぞれ「ベースコート」および「トップコート」と呼ばれ得る。
【0019】
以下の説明において、「乾燥堆積物」という語は、組成物を支持体上に施与および乾燥後に、特に室温(23±2℃)および制御された相対湿度RH50±5%にて24時間この堆積物を乾燥後に形成される堆積物を意味する。
【0020】
より詳細には、本発明は、少なくとも
- 30mN/m以下の、乾燥堆積物上で測定された表面エネルギーを有する第1の組成物、ならびに
- これの表面エネルギーと乾燥堆積物上で測定された第1の組成物の表面エネルギーとの間の差が5 mN/m以上であるような、乾燥前に測定された表面エネルギーおよび0.001〜2Pa.秒の粘度を有する第2の組成物
を含むケラチン繊維メイクアップキットに関する。
【0021】
表面エネルギーの測定
表面エネルギーは種々の方法で測定することができる。
【0022】
第1の組成物について、表面エネルギーは、例えば乾燥堆積物上で測定される。そこで、測定は次のやり方で行われる:
100μmの湿潤厚みを有する第1の組成物の堆積物が、接触角張力計、例えばフィブロ(Fibro)社(スウェーデン)により販売されているDAT 1100張力計のベークライト試料ホルダー上に製造される。
第1の組成物の堆積物は、張力計の試料ホルダー上に、寸法10×20 mmおよび100 μm厚の長方形の金属ステンシルを平らに置くことによって製造される。ステンシル枠の内部に組成物が充填され、過剰の物質を除くために、標準の顕微鏡のスライド(ガラススライド、寸法26×76 mm)を用いて、表面が平らにされる。
これらの堆積物を室温(23±2℃)および制御された相対湿度RH50±5%にて24時間乾燥後、以下の溶媒:水、グリセロール、パーレムオイル(parleam oil)、ジヨードメタンおよびホルムアミドのうち少なくとも3種を用いて、20±1℃および水での50%相対湿度にて接触角測定が行われる。
各溶媒について、2〜10マイクロリットルの体積を有する溶媒の液滴が、第1の組成物により形成された乾燥堆積物上に堆積される。張力計の光学および画像分析系は、液滴の広がりの時間にわたる変化を追跡することを可能にする。第1の組成物により形成される乾燥堆積物上の液体の接触角は、組成物/液体接触表面と、液滴、空気および表面の遭遇点を通過する液滴への接線との間の角度に相当する。液滴の各側で1つの、2つの角度が測定され、コンピュータがこれら2つの角度の平均を計算する。
不可欠な表面エネルギーを決定するために使用される接触角値は、第1の組成物により形成される堆積物上で5〜10滴について測定される接触角の平均であり、角度の値は、1秒に等しい、溶媒の液滴と第1の組成物により形成される堆積物との間の接触時間後に取られる。
【0023】
各第1の組成物の表面エネルギーを計算するために、フォークス(Fowkes)等式(すなわち、「表面における分子間相互作用の付加性を査定することによる、表面における界面張力、接触角および分散力の決定(Determination of interfacial tensions, contact angles, anddispersion forces in surfaces by assuming additivity of intermolecularinteractions in surfaces)」、フォークス(Fowkes) F.M., Journal of Physical Chemistry (1962年), 66, 382頁 および「接触角、湿潤能力および接着、化学系列における進歩(Contact angle, wet ability and adhesion, advances in chemistryseries), No 43 フォークス(Fowkes) (1964年)を用いて、ヤングのモデル(Young’s model)が使用される。
溶媒の分散成分および極成分(それぞれ、mJ/m2 で表したgLd およびgLp、また表面エネルギーgLは gL = gLd + gLpで定義される)および、溶媒と組成物の堆積物との間で測定される接触角θを知って、グラフ:
[数1]

が、
[数2]

の関数としてプロットされる。
このグラフの形は、わずかに正の傾きの直線に近く、この直線の傾きは、
[数3]

に相当し、原点に対する縦座標は、
[数4]

に相当する。gSd およびgSp の値はかくして得られる。すなわち、第1の組成物により形成される堆積物の自由表面エネルギーの分散成分および極成分である。
【0024】
組成物の表面エネルギーgSは、関係:gS = gSd + gSpにより定義される。
【0025】
第2の組成物については、表面エネルギーは、組成物を乾燥させる前に、換言すれば液体形態の処方物で、5.2a)欄に記載されている白金測定体を用いた、規格ISO 304-1985 (F)に記載されたウィルヘルミースライド法(Wilhelmy slide method)に従って、測定される。測定は、20℃の温度にて、Krüss K12張力計にて行われ、スライドの組成物中への浸入の深さは、2mmに設定され、他のパラメータは、界面膜の破損を避けるように、機械のソフトウェアによって選択される。
【0026】
液体の場合には、表面エネルギーはまた、表面張力として知られる。張力計のスライドおよびガラス製品の清掃は、このプロトコルのために以下に詳述される。
【0027】
適当な溶媒(例えばアセトン)で清掃した後、スライドは、赤くなるまで、ブンゼンバーナーの炎で処理される。ガラス製品(結晶皿)に関しては、デコン(Decon)タイプの洗剤の溶液中に12時間浸漬される。その後、超高純度水で数回すすがれ、熱ストリッパーにて乾燥される。
【0028】
清掃の質は、超高純度水の表面張力を測定することによりチェックされる。72.3± 0.5 mN/nが得られるべきである。
【0029】
粘度の測定
粘度は、直径2〜6cmおよび1〜2°の接触角を有する円錐/プレートの形の軸を備え、軸の選択は、測定されるべき粘度の関数としてなされる(処方物が液体であればあるほど、選択される円錐の直径が大きくなり、角度が小さくなる)、テルモ レオ (Thermo Rheo) 社からのハーク(Haake)RS600応力負荷レオメーターを用いて、25°C±0.5℃にて測定される。測定は、油性試料に、5分間の持続時間、10-3〜1000秒-1の範囲の剪断勾配g.の対数傾斜を課すことによって行われる。剪断勾配g.の関数として粘度の変化を示すレオグラムが次に、プロットされる。保持された値は、この勾配で測定されるか、または実験点がこの値に対応しないなら、プロットから外挿されるかのいずれかで、500秒-1での粘度の値である。
【0030】
第1の組成物
第1の組成物は、30mN/m以下の表面エネルギーを有する。
【0031】
1つの好ましい実施態様に従えば、第1の組成物の表面エネルギーは、25 mN/m以下、なおさらに好ましくは、20 mN/m以下である。
【0032】
そのような表面エネルギーを達成するために、第1の組成物は有利には、特にシリコーンワックスおよび/またはフルオロワックス、シリコーンおよび/またはフルオロ表面コーティングもしくは処理を有する顔料ならびにそれらの混合物から選択される、シリコーンおよび/またはフルオロ化合物を含む。
【0033】
組成物は特に、フルオロワックスおよび/もしくはシリコーンワックス、またはシリコーンおよび/もしくはフルオロ部分を含むワックスを含むことができる。
【0034】
ワックスの一般的な定義に関しては、以下の説明においてそれについて示した段落が参照される。
【0035】
フルオロワックス
「フルオロワックス」という語は、炭素主鎖および、好ましくは水素原子より多い多数のフッ素原子を含む化合物を意味し、炭素主鎖は、あるいは、少なくとも1個の酸素原子で中断される。このワックスは、フッ素、水素および炭素およびあるいは酸素原子、のみを含む。
【0036】
炭素主鎖を有するフルオロワックスの中で、特に、以下の式(VI):
【化1】

(ここで、
R4は、水素原子または基
【化2】

を表し、
Aは、アルキレンまたはアルキレン炭化水素-に基づく鎖を表し、該鎖は、線状または分岐し、任意的にヒドロキシル化され、1〜18個の炭素原子を有し、
cは1〜17の範囲にあり、
dは1〜18の範囲にある)
に対応するフルオロエステルを挙げることができる。
【0037】
式(VI)の化合物の中で、特に以下の式:
【化3】

を有する2F-オクチルエチル1,12-ドデカンジオエートおよび、C1-C6パーフルオロアルキルトリシトレート、より詳細には、デュポン(DuPont)社によりZonyl TBC(商標)の名称の下に販売されているパーフルオロブチルトリシトレートを挙げることができる。本発明において使用することができる他のフルオロワックスとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ワックスを挙げることができる。
【0038】
好ましくは、45〜150℃の範囲の融点を有するワックス、特に例えば式(VI)のフルオロエステルが使用される。
【0039】
フルオロワックスのミクロ分散物、例えばミクロパウダーズ(MicroPowders)からのMicrodispersion 411を使用することがまた可能であり、これは、ポリエチレンワックスと、ミクロパウダーズ(MicroPowders) からの製品Aquapolyfluo 411(ポリエチレンワックスとポリテトラフルオロエチレンとの混合物である)との混合物である。
【0040】
シリコーンワックス
本発明の組成物において使用できるシリコーンワックスは有利には、好ましくは低融点を有する置換ポリシロキサンである。それらは特に、それぞれのモル割合mおよびnで、式(II)および(III):
【化4】

(ここで、
- 各置換基Rは前記と同義であり、
- 各R'は独立して、線状もしくは分岐した、飽和もしくは不飽和の炭化水素に基づく、6〜30個の炭素原子を含む鎖を表すか、または基-X-R''であり、各Xは独立して、-O-、-(CH2)a-O-CO-、-(CH2)b-O-CO-を表し、aおよびbは独立して、あるいは0〜6の範囲にある数を表し、各R''は独立して、飽和もしくは不飽和の炭化水素に基づく、6〜30個の炭素原子を含む鎖を表し、
- mは、あるいは0〜400、特に0〜100の範囲にある数であり、
- nは、あるいは1〜200、特に1〜100の範囲にある数であり、
合計(m+n)は400未満であり、特に100以下である)
の単位で本質的に構成される(末端基とは違う)置換線状ポリシロキサンである。
【0041】
これらのシリコーンワックスは公知であるか、または公知の方法に従って製造することができる。市販のこのタイプのシリコーンワックスの中で、特にAbil Wax 9800, 9801もしくは9810 (ゴールドシュミット (Goldschmidt))、KF910 およびKF7002 (シンエツ(Shin-Etsu))、または176-1118-3 および176-11481(ジェネラル エレクトリック (General Electric))の名称の下に販売されているものを挙げることができる。
【0042】
使用できるシリコーンワックスはまた、式(IV):
【化5】

(ここで:
Rは前記と同義であり、
R1は、1〜30個の炭素原子を含むアルキル基、6〜30個の炭素原子を含むアルコキシ基または、式:
【化6】

の基を表し、
R2は、6〜30個の炭素原子を含むアルキル基、6〜30個の炭素原子を含むアルコキシ基または、式:
【化7】

の基を表し、
aおよびbは0〜6の数を表し、
R''は、6〜30個の炭素原子を含むアルキル基であり、かつ
zはあるいは1〜100の範囲の数である)
の化合物から選択することができる。
【0043】
式(IV)のシリコーンワックスの中で、特にアルコキシジメチコーン、例えば以下の市販の製品:Abil Wax 2428, 2434 および2440 (ゴールドシュミット (Goldschmidt))またはVP 1622 およびVP 1621 (ワッカー(Wacker))、ならびにまた(C20-C60) アルキルジメチコーン、特に (C30-C45) アルキルジメチコーン、例えばジーイーバイエルシリコーンズ(GE-Bayer Silicones)社により SF-1642の名称の下に販売されているシリコーンワックスが挙げられる。
【0044】
シリコーンもしくはフルオロ基で変性された、炭化水素に基づくワックスを使用することがまた可能であり、例えばシリコニル カンデリラ、シリコニル蜜ワックスおよび、コステル コイネン(Koster Keunen)からのFluorobeeswaxである。
【0045】
フルオロワックスおよび/またはシリコーンワックスは、組成物の全重量に対して、0.1〜50重量%の範囲、好ましくは1〜40重量%の範囲、選択的には5〜25重量%の範囲の含量で組成物中に存在することができる。
【0046】
シリコーンおよび/またはフルオロ表面コーティングもしくは処理を有する顔料
なお必要とされる表面エネルギーを達成する目的で、第1の組成物は、フルオロおよび/またはシリコーン処理で処理された顔料を含むことができる。
【0047】
より特には、顔料は、有機フッ素化合物またはシリコーン化合物でコーティングされることができる。フルオロおよび/またはシリコーン処理で処理された該顔料の混合物を含むことができる。
【0048】
顔料をコーティングする有機フッ素化合物は特に、パーフルオロアルキルホスフェートまたはポリヘキサフルオロプロピレンオキシドであり得る。
【0049】
パーフルオロアルキルホスフェートでコーティングされた顔料は、特に米国特許US 3 632 744号明細書、日本国特許出願JP-A-04 330 007 号および JP-A-2001-316 223号公報に記載されている。
【0050】
パーフルオロアルキルホスフェートは特に、式(I):
【化8】

(mは1〜21の範囲の整数であり;nは1〜14の整数であり;y=1、2または3であり;Mは-H、アルカリ金属カチオン、アンモニウム基または1〜3個のC1-C8 アルキル基で置換されたアンモニウム基である)
のものから選択することができる。
【0051】
パーフルオロアルキルホスフェートでコーティングされた顔料としては、LCW-ワックヘル(LCW-Wackherr)からのCovafluor系およびダイトウ カセイ コウギョウ(Daito Kasei Kogyo)からのPF 5 Black BL 100を挙げることができる。
【0052】
別の実施態様に従えば、顔料は、シリコーン化合物、例えばメチコーン、ジメチコーン、パーフルオロアルキル、パーフルオロポリエーテル基およびパーフルオロアルキルシランを含むポリオルガノシロキサンでコーティングすることができる。
【0053】
コーティングされた顔料としては、例えば以下のものを本発明において使用することができる:
- パーフルオロアルキルホスフェートおよびブチルアクリレート/パーフルオロ(C6-C14)アルキルエチルアクリレート/メルカプトプロピルジメチコーンコポリマーでコーティングされた顔料であり、Novatech NFP Double Treated Talc, Novatech NFP Double Treated Sericite, Novatech NFP Double Treated Yellow Iron Oxide, Novatech NFP Double Treated Red Iron Oxide, Novatech NFP Double Treated Black Iron Oxide およびNovatech NFP Double Treated Titanium Dioxideの名称の下にダイキン(Daikin)社により販売されている;
- パーフルオロアルキルホスフェート、ブチルアクリレート/パーフルオロ(C6-C14)アルキルエチルアクリレート/メルカプトプロピルジメチコーンコポリマー、およびヒドロキシエチルメタクリレート/パーフルオロ(C6-C14)アルキルエチルアクリレートコポリマーでコーティングされた顔料であり、Novatech NFP Triple Treated Talc, Novatech NFP Triple Treated Sericite, Novatech NFP Triple Treated Yellow Iron Oxide, Novatech NFP Triple Treated Red Iron Oxide, Novatech NFP Triple Treated Black Iron Oxide およびNovatech NFP Triple Treated Titanium Dioxideの名称の下にダイキン(Daikin)社により販売されている。
【0054】
顔料をコーティングする、有機フッ素化合物またはシリコーン化合物は、コーティングされる顔料の全重量に対して0.01〜60重量%の範囲、好ましくは0.05〜40重量%の範囲、選択的には0.1〜40重量%の範囲の含量で存在し得る。
【0055】
上記したコーティングされた顔料は、本発明の第1の組成物中に、組成物の全重量に対して0.01〜30重量%の範囲、好ましくは0.1〜20重量%の範囲、選択的には0.5〜10重量%の範囲の含量で存在し得る。
【0056】
必要とされる表面エネルギーを達成するための成分として、第1の組成物は、フルオロワックスおよび/またはシリコーンワックスのみ、またはあるいは、フルオロおよび/またはシリコーン処理で処理された顔料のみ、またはあるいは、フルオロワックスおよび/またはシリコーンワックスと、フルオロおよび/またはシリコーン処理で処理された顔料との混合物を含むことができる。
【0057】

有利には、第1の組成物は、油性連続相を有する。本発明において認識される油または有機溶媒を以下に詳述する。
「油性連続相を有する組成物」という表現は、組成物が、23mS/cm(マイクロジーメン/cm)未満の、25℃で測定された導電率を有することを意味し、導電率は、例えばメトラー トレド(Mettler Toledo)からのMPC227コンダクティメーターおよびInlab730導電率測定セルを用いて測定される。セルの2つの電極間で生じがちな空気の気泡を除去するように、測定セルは、組成物中に浸漬される。導電率の読みは、コンダクティメーターの値が安定したら行う。少なくとも3回の連続測定で、平均が決定される。
第1の組成物中の全油含量は、第1の組成物の全重量に対して30〜90重量%、好ましくは40〜80重量%、よりよくはなお50〜75重量%の範囲にあり得る。
別の特定の実施態様に従えば、第1の組成物は、後に定義される少なくとも1種の揮発性油を含む。
1つの特定の実施態様に従えば、第1の組成物が少なくとも1種の不揮発性油を含むとき、不揮発性油含量より大きい揮発性油含量を示す。かくして、揮発性油の含量は、有利には第1の組成物中の油の全重量に対して50〜100%(限度を含む)、特に60〜100%、選択的には80〜100%である。
別の実施態様に従えば、第1の組成物は無水である。「無水」という語は、5%以下、好ましくは3%以下の水および/または水溶性溶媒の含量を有する、よりよくはなお添加された水を含まない組成物を意味する。
【0058】
構造化剤
第1の組成物は、少なくとも1種の追加の、油性相のための構造化剤を含むことができ、前記したフルオロワックスおよび/またはシリコーンワックス以外の追加のワックス、半結晶ポリマーおよび親油性ゲル化剤およびそれらの混合物から選択される。該構造化剤は、以下の段落で詳述される。
好ましくは、追加の構造化剤は、第1の組成物中に、第1の組成物の全重量に対して0.1〜20重量%、特に0.5〜10重量%、例えば1〜10重量%の範囲の含量で存在する。
【0059】
膜-形成ポリマー
第1の組成物はまた、膜-形成ポリマーを含むことができる。そのような膜-形成ポリマーは、第1の組成物の全重量に対して0.1〜20重量%、特に0.5〜15重量%、好ましくは1〜10重量%の範囲の固形分含量で、第1の組成物中に存在し得る。
一般に、第1の組成物は、その添加が、必要とされるエネルギー表面特性に特に関係するとするならば、ケラチン繊維をメイクアップするための化粧組成物、特にマスカラに慣用的に含まれる任意の化合物を含むことができる。
本発明の1つの有利な実施態様に従えば、第1の組成物は、第2の組成物のための溶媒として振舞うべきではない。よって、第1および第2の組成物間に非相溶性があるといわれる。
この特徴の結果は、この第2の組成物が水性連続相を有するとき、第2の組成物の容量を測定することに向かうプロトコルを実行することによって、第1の組成物を基体に施与後に形成される堆積物を乾燥した後に得られる層への浸透に耐えるようにされた。
プロトコルは、次のようである:
接触角張力計、例えばフィブロ(Fibro)社(スウェーデン)により販売されているDAT 1100動的接触角張力計の平らなベークライト試料ホルダー上に、第1の組成物を用いて、100μmの湿潤厚みに、堆積物が生成される。
第1の組成物を施与することによって形成されるそのような堆積物を得るために、寸法10×20 mm および100 μm厚の長方形の金属ステンシルが、張力計の試料ホルダー上に平らに置かれる。ステンシル枠の内部に組成物が充填され、過剰の物質を除くために、標準の顕微鏡のスライド(ガラススライド、寸法26×76 mm)を用いて、表面が平らにされる。
これらの堆積物を室温(すなわち23±2℃)および制御された相対湿度RH50±5%にて24時間乾燥後、DAT 1100機を用いて、20±1℃および水での50%相対湿度にて接触角測定が行われる。
2〜10マイクロリットルの体積を有する水滴が、第1の組成物によって形成された乾燥堆積物上に機械により自動的に堆積される。張力計の光学および画像分析系は、液滴の広がりの時間にわたる変化を追跡することを可能にする。第1の組成物により形成された堆積物上の液体の接触角は、組成物/液体接触表面と、液滴、空気および表面の遭遇点を通過する液滴への接線との間の角度に相当する。Fibro DAT 1100張力計のソフトウェアはまた、液滴の体積の変化を監視することを可能にする。
光学画像分析系に結合された張力計を使用すると、1分間にわたる、接触角θの変化および液滴の体積の変化が監視される(一般に、20ms毎に測定を行うことが可能である)。
以下の条件:
[数5]

(V30sは堆積後30秒の水滴の体積であり、V0は液滴を堆積直後の液滴の体積である(すなわち、20msで、最大で0.100秒まででの第1の測定値の取得)。θ. 30sは、30秒後に測定された接触角である)
に合うときには、第1の組成物により形成される堆積物(低い表面エネルギーを有する)と、第2の組成物の主要溶媒である水との間に相溶性はないと考えられる。
【0060】
第2の組成物
第2の組成物は、これの表面エネルギーと第1の組成物の表面エネルギーとの差が5 mN/m以上であるような、表面エネルギーを有する。
【0061】
1つの特定の実施態様に従えば、この差は7 mN/m以上であり、または10 mN/m以上ですらあり得る。
【0062】
第2の組成物はまた、0.001 〜2 Pa.秒の粘度を有する。好ましくは粘度は、0.001〜1 Pa.秒である。1つの特に好ましい実施態様に従えば、粘度は0.01〜0.5 Pa.秒である。
【0063】
1つの好ましい実施態様に従えば、第2の組成物は、水性連続相を有する組成物である。
【0064】
「水性連続相を有する組成物」という表現は、組成物が、23 μS/cm(マイクロジーメン/cm) 以上の、25℃で測定された導電率を有することを意味し、導電率は、先に示したようにして測定される。
特定の実施態様に従えば、第2の組成物の表面エネルギーは、第1の組成物のものより大きい。
【0065】
1つの最も特に好ましい実施態様に従えば、第2の組成物は、構造化剤、特に以下に詳述するようなワックスを含む。
【0066】
そのような構造化剤は、第2の組成物中に、第2の組成物の全重量に対して1〜20重量%、特に0.5〜10重量%、例えば1〜10重量%の範囲の含量で存在し得る。
【0067】
有利には、第2の組成物はまた、以下に詳述する膜-形成ポリマーを含む。
【0068】
全ての場合に、存在するときには、膜-形成ポリマーの固形分含量は、第2の組成物の全重量に対して0.1〜20重量%、0.5〜15重量%、好ましくは1〜10重量%の範囲にあり得る。
【0069】
1つの特定の実施態様に従えば、第2の組成物は界面活性剤を含まない。また有利には、シリコーンワックスおよび/またはフルオロワックスを含まず、またフルオロおよび/またはシリコーン処理で処理された顔料を含まない。
【0070】
実際に、そのような化合物は、この第2の組成物に望まれる表面エネルギーを打ち消す性質を有し得る。
【0071】
1つの好ましい実施態様に従えば、第2の組成物は、組成物の全重量に対して10重量%未満、有利には5重量%未満のワックスを含む。
【0072】
かくして、特に界面活性剤の使用を避けるように、ワックスを含まない組成物が好ましい。
【0073】
別の好ましい実施態様に従えば、第2の組成物は充填剤を含む。このための理由は、先に概要を述べたように、そのような充填剤の存在が「過剰の物質」を固定するための援助をし得るということである。
【0074】
また、1つの特に有利な態様に従えば、第2の組成物は低密度充填剤を含む。
【0075】
本発明の目的のために、「低密度充填剤」という語は、以下に与えられるプロトコルによって測定される、その突き固め密度(tamped density)が、0.01〜0.80 g/cm3の範囲、とりわけ0.05〜0.80 g/cm3の範囲、特に0.10〜0.80 g/cm3の範囲にある充填剤を意味する。
【0076】
突き固め密度(DT)を測定するためのプロトコル:
240〜250mlの体積の粉末を、質量M0 (gで表す)を有する250mlの測定シリンダー中に、漏斗を用いて注ぐ。次に、注がれた粉末の体積V0 (cm3で表す)をシリンダーで読み、粉末を入れたシリンダーを計量して、質量M1 (gで表す)を測定する。
【0077】
次にシリンダーをスタンプ ボリューメーター(Stampf Volumeter)からのSTAV 2003(商標)機上に置く。次にシリンダーを一連の2500回タンピングブロー(tamping blow)に供し、シリンダー中の粉末の体積Vn (2500回タンピングブローのn回目の連続後の体積)を、各連続の最後に測定する。
【0078】
Vn- Vn+1 =< (2 x Vn) / 100となったら、シリンダーの突き固めをやめ、体積Vn (cm3で表す)を書き留める。
【0079】
突き固め密度は、次の関係式:
[数6]
DT = (M1- M0) / Vn
に従って、決定される。
突き固め密度値の例を以下の表に与える:
【表1】

【0080】
典型的には球状の形を有する低密度充填剤の中で、特に次のものを挙げることができる:
- シリカ微小球、特に開放多孔性のもの、特に、中空シリカ微小球、例えばマプレコス(Maprecos)社からの製品Silica Beads SP 700/HA(商標)またはSilica Beads SB 700(商標)、アサヒガラス(Asahi Glass)社からの製品Sunspheres H-33(商標)およびSunspheres H-51(商標)、ならびにサンジン ケミカルズ(Sunjin Chemicals)からのSunsil 130(適当な場合には、これらの微小球は、化粧用活性剤で浸漬され得る)、
- スポンジと同様の構造を有する、微孔性ポリマー微小球;一般に、少なくとも0.5 m2/g、特に少なくとも1m2/gの比表面積を有し、該比表面積は、非常に高い間隙率を有する微小球を作ることの実際的可能性から生じる以外の上限を有さない:比表面積は、例えば1000 m2/gまでか、またはそれより大きいものであり得る。挙げることができるこれらの微小球の実例としては、アクリルポリマー微小球、例えば架橋アクリレートコポリマーでできているもの、RPシェラー(RP Scherrer)社からのPolytrap 6603 Adsorber(商標)、ならびにポリメチルメタクリレートでできているもの、SEPPIC社からのMicropearl M 100(商標)を包含する、
- ポリウレタン粉末、例えば、トシキ(Toshiki)社によりPlastic Powder D-400(商標)の名称の下に販売されている、粉末の、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールヘキシルラクトンとのコポリマー、
- 1つの閉じた空洞のみを有し、貯蔵器を形成する、ポリマーミクロカプセルであって、液体、特に化粧用活性剤を含み得るもの;それらは、公知の方法、例えば米国特許US-A 3 615 972号明細書および欧州特許出願EP-A0 56 219号公報に記載された方法によって製造される。それらは、例えばエチレン性不飽和酸、アミンもしくはエステルモノマーのポリマーもしくはコポリマー、尿素-ホルムアルデヒドポリマー、または塩化ビニリデンポリマーもしくはコポリマーでできていることができる;例として、メチルアクリレートもしくはメタクリレートポリマーもしくはコポリマー、またはあるいは塩化ビニリデンとアクリロニトリルとのコポリマーでできたミクロカプセル、例えばイクスパンセル(Expancel)社からのExpancel(商標)を挙げることができる;これらのポリマーの中で、特に塩化ビニリデンから誘導される単位を20〜60重量%、アクリロニトリルから誘導される単位を20〜60重量%、ならびに例えばアクリルおよび/もしくはスチレンモノマーから誘導される他の単位を0〜40重量%含むものを挙げることができる;架橋アクリルポリマーもしくはコポリマーをまた使用できる、
- エラストマー架橋オルガノポリシロキサン粉末、特に日本国特許出願JP-A-02 243 612号公報に記載されているもの、例えばダウ コーニング(Dow Corning)社によりTrefil Powder E-506Cの名称の下に販売されているもの、シリコーン樹脂、特にシルセスキオキサン樹脂でコーティングされたエラストマー架橋オルガノポリシロキサン粉末、例えば米国特許US 5 538 793号明細書に記載されているようなもの。そのようなエラストマーは、シンエツ(Shin-Etsu)社によりKSP-100, KSP-101, KSP-102,KSP-103, KSP-104 およびKSP-105の名称の下に販売されている、ならびに
- それらの混合物。
【0081】
オルガノシリコーン物質で構成される中空球部分の形態の凹状粒子、例えばタケモト オイル&ファット(Takemoto Oil & Fat)社により販売されている、ボウル形状の架橋オルガノシリコーンにより構成される粒子TAK-110(メチルシラノール/シリケート架橋ポリマー)をまた挙げることができる。
【0082】
本発明の第2の組成物は、低密度充填剤または充填剤混合物を、第2の組成物の全重量に対して0.1〜50重量%、とりわけ0.5〜40重量%、特に1〜30重量%の範囲の含量で含むことができる。
【0083】
上記した成分の他に、本発明のメイクアップキットに含まれる第2の組成物は、化粧料の分野で標準的な他の添加剤を含むことができる。ただし、それぞれの量は、第2の組成物の表面エネルギーおよび粘度による特徴付けを損なわない。
【0084】
かくして、水性連続相を有する組成物の形態で存在するとき、第2の組成物は、後に述べるような水溶性ゲル化剤を含むことができる。
【0085】
以下に挙げられる水溶性膜-形成ポリマーはまた、水溶性ゲル化剤としてふるまうことができる。この点では、例えばヒドロキシエチルセルロースおよびアラビアゴムを挙げることができる。
【0086】
水溶性ゲル化ポリマーは、第2の組成物において、第2の組成物の全重量に対して0.01〜60重量%の範囲、好ましくは0.25〜40重量%の範囲、よりよくはなお0.5〜30重量%の範囲、または1〜20重量%ですらある範囲にある固体物質含量で、存在することができる。
【0087】
別の実施態様に従えば、第2の組成物は無水である。
【0088】

本発明のメイクアップキットに含まれる第1および第2の組成物は、1種以上の油または有機溶媒を含むことができる。
【0089】
本発明の組成物中に存在する油は、揮発性油および/または不揮発性油およびそれらの混合物から選択することができる。
【0090】
「揮発性油または有機溶媒」という表現は、室温および大気圧にて1時間未満で、皮膚と接触すると蒸発することができる、油または有機溶媒(または非水性媒体)を意味する。
【0091】
揮発性油は、揮発性化粧用油であり、これは室温で液体であり、室温および大気圧にて、とりわけゼロでない蒸気圧、特に0.13〜40,000Pa(10-3〜300 mmHg)、好ましくは1.3〜8,000Pa (0.01〜60 mmHg)の範囲の蒸気圧を有するものである。
【0092】
特に、揮発性油は、0.002 mg/cm2/分以上の蒸発速度を有する油から選択される。蒸発速度は、次のようにして測定される:
【0093】
15gの試験されるべき油または油の混合物が、調節された温度(25℃)および湿度計(50%相対湿度)を有する約0.3 m3の部屋に配置された天秤上に置かれた結晶皿(直径:7cm)中に導入される。
【0094】
液体が、撹拌されることなく、自由に蒸発させられ、換気は、溶媒を含む結晶皿の上方上に垂直に配置された換気装置(2700rpmで運転され、80×80×42 mmの寸法を有し、例えば、パプスト-モトレン(Papst-Motoren)からの照会符号8550 N、流量は、約50 m3/時間に相当する)によって提供され、翼は結晶皿の方に向けられ、結晶皿の基部から20cm離れている。
【0095】
結晶皿に残っている油の質量が、規則的な間隔で測定される。蒸発速度は、単位時間(分)当たり、単位表面積(cm2)当たりに蒸発した油のmgとして表される。
【0096】
揮発性油(または有機溶媒)は、炭化水素に基づく油、シリコーンオイルまたはフルオロ油または、それらの混合物であることができる。
【0097】
「炭化水素に基づく油」という語は、主として水素原子および炭素原子を含み、任意的に酸素原子、窒素原子、硫黄原子もしくはリン原子を含む油を意味する。揮発性の炭化水素に基づく油は、8〜16個の炭素原子を含む炭化水素に基づく油、特に分岐C8-C16アルカン、例えば石油由来のC8-C16イソアルカン(またイソパラフィンとして知られる)、例えばイソドデカン(また2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとして知られる)、イソデカンおよびイソヘキサデカン、例えばIsopar(商標)または Permethyl(商標)の商品名の下に販売されている油、分岐C8-C16エステルおよびイソヘキシルネオペンタノエート、ならびにそれらの混合物から選択することができる。他の揮発性の炭化水素に基づく油、例えば石油留出物、特にシェル(Shell)社によりShell Solt(商標)の名称の下に販売されているものをまた使用できる。
【0098】
また使用できる揮発性油としては、揮発性シリコーン、例えば揮発性線状もしくは環状シリコーン油、特に粘度≦ 6 センチストーク (6 × 10-6 m2/s)を有し、特に3〜6個のケイ素原子を含むものを包含し、これらのシリコーンは任意的に、1または2個の炭素原子を含むアルキルもしくはアルコキシ基1個以上を含む。本発明において使用できる揮発性シリコーン油としては、特にオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、3-ブチル-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン、3-プロピル-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサンおよび3-エチル-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサンならびにそれらの混合物を挙げることができる。
【0099】
揮発性有機溶媒、特にフッ素化溶媒、例えばノナフルオロメトキシブタンまたはパーフルオロメチルシクロペンタンをまた使用できる。
【0100】
本発明の第1および第2の組成物において使用できる不揮発性シリコーン油は、不揮発性のポリジメチルシロキサン(PDMS)、アルキルもしくはアルコキシ基(ペンダントであるか、および/またはシリコーン鎖の末端にあり、これらの基はそれぞれ、2〜24個の炭素原子を含む)を含むポリジメチルシロキサン、フェニルシリコーン、例えばフェニルトリメチコーン、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサンおよび2-フェニルエチル トリメチルシロキシシリケートであり得る。
【0101】
本発明の第1および第2の組成物において使用できるフルオロ油は特に、欧州特許出願EP-847 752号公報に記載されているような、フルオロシリコーン油、フルオロポリエーテルまたはフルオロシリコーンである。
【0102】
有利には第1の組成物は、少なくとも1種の揮発性油を含む。
【0103】
有利には揮発性油は、8〜16個の炭素原子を含む揮発性の炭化水素に基づく油、例えばイソドデカン、揮発性シリコーン油、例えばデカメチルシクロペンタシロキサン(D5)およびドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)ならびにそれらの混合物から選択される。
【0104】
本発明の第1および第2の組成物はまた、水不溶性であり、室温で液体である少なくとも1種の不揮発性化合物、特に少なくとも1種の不揮発性有機溶媒または油を含むことができ、これは、特に不揮発性の炭化水素に基づく油および/またはシリコーン油および/またはフルオロ油から選択することができる。
【0105】
特に挙げることができる、不揮発性の炭化水素に基づく油としては次のものを包含する:
- プラント由来の炭化水素に基づく油、例えばグリセロールの脂肪酸エステルから成るトリグリセリドであり、その脂肪酸は、C4 〜C24の種々の鎖長を有することができ、これらの鎖はあるいは、線状または分岐しており、飽和もしくは不飽和であり;これらの油は特に小麦胚芽油;ヒマワリ油;ぶどうの種油;ゴマの種子油;トウモロコシ油;アプリコット油;ひまし油;シア(shea)油;アボカド油;オリーブ油;大豆油;スイートアーモンド油;ヤシ油;菜種油;綿実油;ヘーゼルナッツ油;マカデミア油;ホホバ油;アルファルファ油;ケシの実油;カボチャ油;ゴマの種子油;マロウ油(marrowoil);菜種油;クロスグリ油;マツヨイグサ油;雑穀(millet)油;大麦油;キノア油;ライ麦油;ベニバナ油;ククイノキの実油;トケイソウ油;もしくはマスカットローズ油;またはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えばステアリネリーズ ダボイス(Stearineries Dubois)社により販売されているもの、またはダイナミット ノーベル(Dynamit Nobel)社によりMiglyol 810(商標)、812(商標)および818(商標)の名称の下に販売されているもの、
- 10〜40個の炭素原子を含む合成エーテル、
- 線状もしくは分岐した、無機物もしくは合成由来の炭化水素、例えば石油ゼリー、ポリデセン、水素化ポリイソブテン、例えばパーレム(parleam);スクワラン;およびそれらの混合物、
- 合成エステル、例えば式R1COOR2(ここで、R1は、1〜40個の炭素原子を含む線状もしくは分岐した脂肪酸残基を表し、R2は、1〜40個の炭素原子を含む炭化水素に基づく(特に、分岐した)鎖を表し、R1 + R2 ≧10という条件である)の油、例えばパーセリン油(purcellin oil)(オクタン酸セトステアリル)、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、C12〜C15アルコール安息香酸エステル、ラウリン酸ヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸イソステアリル、アルコールもしくはポリアルコールのオクタン酸、デカン酸もしくはリシノール酸エステル、例えばプロピレングリコールジオクタノエート、ヒドロキシル化エステル、例えば乳酸イソステアリルまたはリンゴ酸ジイソステアリルおよびペンタエリスリトールエステル、
- 室温で液体である、12〜26個の炭素原子を含む分岐および/または不飽和の炭素に基づく鎖を有する脂肪アルコール、例えばオクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2-ヘキシルデカノール、2-ブチルオクタノールまたは2-ウンデシルペンタデカノール、
- 高級脂肪酸、例えばオレイン酸、リノール酸またはリノレン酸およびそれらの混合物。
【0106】
本発明の第1および第2の組成物において使用できる不揮発性シリコーン油は、不揮発性のポリジメチルシロキサン(PDMS)、アルキルもしくはアルコキシ基(ペンダントであるか、および/またはシリコーン鎖の末端にあり、これらの基はそれぞれ、2〜24個の炭素原子を含む)を含むポリジメチルシロキサン、フェニルシリコーン、例えばフェニルトリメチコーン、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサンおよび2-フェニルエチル トリメチルシロキシシリケートであり得る。
本発明の第1および第2の組成物において使用できるフルオロ油は特に、欧州特許出願EP-847 752号公報に記載されているような、フルオロシリコーン油、フルオロポリエーテルまたはフルオロシリコーンである。
【0107】
構造化剤
本発明のメイクアップキットに含まれる第1および第2の組成物は、少なくとも1種の、油性相または有機溶媒を構造化するための剤を含むことができ、それは、ワックス、半-結晶ポリマーおよび親油性ゲル化剤ならびにそれらの混合物から選択される。
油性構造化剤の量は、該剤の構造化特性の関数として、当業者により調整され得る。
【0108】
ワックス
本発明において考慮中のワックスは一般に、室温(25℃)で固体であり、固体/液体可逆的状態変化を有し、30℃以上で、200℃まで、特に120℃までであり得る融点を有する、親油性化合物である。
【0109】
ワックスを液体形態に(溶融)することによって、油と混和性にすることを可能にし、かつ顕微鏡的に均質な混合物を形成することを可能にするが、混合物を室温に冷却すると、混合物の油中にワックスの再結晶化が得られる。
【0110】
特に、本発明のために適当なワックスは、45℃以上、特に55℃以上の融点を有することができる。
【0111】
本発明の目的のために、融点は、ISO規格 11357-3; 1999に記載された熱分析(DSC)により観察される最大発熱ピークの温度に相当する。ワックスの融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えばTAインスツルメンツ(TA Instruments)によりMDSC 2920の名称の下に販売されている熱量計を用いて測定することができる。
【0112】
測定プロトコルは、次のようである:
るつぼに入れられた5mgのワックスの試料が、-20〜100℃の範囲の第1の温度上昇に、10℃/分の加熱速度で供せられ、その後、100℃から-20℃に、10℃/分の冷却速度で冷却され、最後に、-20〜100℃の範囲の第2の温度上昇に、5℃/分の加熱速度で供せられる。第2の温度上層中、空のるつぼにより吸収されるエネルギー(power)とワックスの試料を含むるつぼにより吸収されるエネルギー(power)の差の変動が、温度の関数として測定される。化合物の融点は、温度の関数として吸収されたエネルギー(power)の差の変動を表す曲線の極大の頂点に相当する温度値である。
本発明において使用するのに適当なワックスは、動物、植物、鉱物または合成由来の室温で固体であるワックスおよびそれらの混合物から選択される。
化粧組成物において使用することができるワックスは一般に、0.01〜15MPaの範囲、とりわけ0.05MPaより大きい、特に0.1 MPaより大きい硬さを有する。
硬さは、圧縮力を測定することによって決定され、圧縮力は、0.1mm/秒の測定速度で移動し、浸透深さ0.3mmまでワックス中に浸透する、直径2mmのステンレス鋼シリンダーを備えた、レオ(Rheo)社によりTA-XT2の名称の下に販売されているテクスチュロメーター(texturometer)を用いて、20℃で測定される。
【0113】
測定のプロトコルは、以下のようである:
ワックスは、ワックスの融点+10℃に等しい温度で溶融される。溶融したワックスは、直径25mmおよび深さ20mmの容器中に注がれる。ワックスは、ワックスの表面が平らで滑らかであるようにして、室温(25℃)にて24時間再結晶化され、その後、ワックスは、硬さまたは粘着性を測定する前に20℃で少なくとも1時間貯蔵される。
テクスチュロメーターの軸は、0.1mm/秒の速度で移動され、その後、浸透深さ0.3mmまでワックスに浸透する。軸がワックスに0.3mmの深さまで浸透したとき、軸は、1秒間(緩和時間に相当する)静止して保持され、その後、0.5mm/秒の速度で抜き取られる。
硬さ値は、ワックスと接触したテクスチュロメーターのシリンダーの面積で除した、測定された最大圧縮力である。
本発明のために適当なワックスの例としては、特に炭化水素に基づくワックス、例えば蜜ワックス、ラノリンワックス、チャイニーズインセクト(Chineseinsect)ワックス、米糠ワックス、カルナウバワックス、カンデリラワックス、オウリカリー(ouricurry)ワックス、エスパルトグラス(espartograss)ワックス、ベリーワックス、セラックワックス、木ワックスおよびウルシ(sumach)ワックス;モンタンワックス、オレンジワックスおよびレモンワックス、微晶質ワックス、パラフィンおよび地ワックス;ポリエチレンワックス、フィッシャー-トロプシュ(Fischer-Tropsch)合成により得られるワックス、およびワックス状コポリマー、およびまたそれらエステルを挙げることができる。
【0114】
線状もしくは分岐したC8-C32脂肪鎖を含む動物もしくは植物の油の触媒的水素化によって得られるワックスをまた挙げることができる。これらの中で特に挙げることができるワックスは、異性化されたホホバ油、例えば、デザート ホエール(Desert Whale)社により市販の照会符号Iso-Jojoba-50(商標)の下に製造または販売されている、トランス異性化され一部水素化されたホホバ油、水素化されたヒマワリ油、水素化されたひまし油、水素化されたココナツ油、水素化されたラノリン油および、ヘテレン(Heterene)社によりHest 2T-4S(商標)の名称の下に販売されているビス(1,1,1-トリメチロールプロパン)テトラステアレートである。
【0115】
植物油のエステル交換および水素化によって得られるワックス、例えばひまし油またはオリーブ油、例えばソフィム(Sophim)社によりPhytowax ricin 16L64(商標)および 22L73(商標)および Phytowax Olive 18L57の名称の下に販売されているワックスをまた使用できる。そのようなワックスは、フランス国特許出願FR-A-2 792 190号公報に記載されている。
【0116】
本発明においては、平均「有効」体積直径D[4.3]として表現される寸法、約0.1〜20マイクロメートル、特に0.2〜10マイクロメートル、さらに特に0.5〜1マイクロメートルを有する小さい粒子の形態で提供されるワックス(以後、「ミクロワックス」と称される)をまた使用できる。区別する目的のために、大きい寸法の断片の形態で本発明に従い使用されるワックスは、以下では、「慣用的なワックス」と称される。
【0117】
粒径は、種々の技術によって測定することができる:特に光散乱法(動的および静的)、コールターカウンター(Coulter counter)法、沈降速度測定法(ストークスの法則による寸法に関連する)および顕微鏡を挙げることができる。これらの技術は、粒子直径、およびそれらの幾つかについては、粒径分布を測定することを可能にする。
【0118】
化粧組成物中の粒子の粒径および粒径分布は好ましくは、市販の粒度計、たとえばマルベルン(Malvern)からのMaster Sizer 2000を用いて、静的光散乱によって測定される。データは、ミー散乱理論に基づいて処理される。等方性粒子について正確なこの理論は、非球状粒子の場合に、「有効」粒子直径を決定することを可能にする。この理論は特に、ファン デ ハルスト,H.C (Van de Hulst, H.C)による刊行物、「小さい粒子による光散乱(Light Scattering by Small Particles)」、第9 および10章, ウィリー(Wiley), ニューヨーク(New York), 1957年に記載されている。
化粧組成物は、以下のやり方:
[数7]

で定義される、平均「有効」体積直径D[4.3]によって特徴付けられ、ここで、Viは、有効直径diを有する粒子の体積を表す。このパラメータは特に、粒度計の技術的説明書に記載されている。
【0119】
測定は、25度にて、以下のやり方で組成物から得られる希釈粒子分散物で行われる:1) 水で100倍希釈、2) 溶液の均質化、3) 溶液を18時間静置、4) 白っぽい均質な上澄の回収。
【0120】
「有効」直径は、水についての屈折率1.33および粒子についての平均屈折率1.42を採用することによって得られる。
【0121】
本発明の第1および第2の組成物において使用できるミクロワックスとしては、カルナウバミクロワックス、例えばミクロ パウダーズ(Micro Powders)社によりMicroCare 350(商標)の名称の下に販売されている製品、合成ミクロワックス、例えばミクロ パウダーズ(Micro Powders)社によりMicroEase 114S(商標)の名称の下に販売されている製品、カルナウバワックスとポリエチレンワックスとの混合物から成るミクロワックス、例えばミクロ パウダーズ(Micro Powders)社によりMicro Care 300(商標)および 310(商標)の名称の下に販売されている製品、カルナウバワックスと合成ワックスとの混合物から成るミクロワックス、例えばミクロ パウダーズ(Micro Powders)社によりMicro Care 325(商標)の名称の下に販売されている製品、ポリエチレンミクロワックス、例えば例えばミクロ パウダーズ(Micro Powders)社によりMicropoly 200(商標)、220(商標)、220L(商標)および250S(商標)の名称の下に販売されている製品、ならびにポリテトラフルオロエチレン微粉末、例えばミクロ パウダーズ(Micro Powders)社によりMicroslip 519(商標)および 519 L(商標)の名称の下に販売されている製品を挙げることができる。
【0122】
本発明のメイクアップキットに含まれる第1および第2の組成物においては、ワックスの混合物を使用すること、特に1種以上の慣用のタイプのワックスと、1種以上のミクロワックスとして知られるワックスとを使用することが、明らかに可能である。
【0123】
親油性ゲル化剤
本発明のメイクアップキットに含まれる第1および第2の組成物において使用できるゲル化剤は、有機または無機の、ポリマーまたは分子の親油性ゲル化剤であることができる。
【0124】
挙げることができる無機の親油性ゲル化剤としては、任意的に変性されたクレー、例えばC10〜C22脂肪酸塩化アンモニウムで変性されたヘクトライト(hectorite)、例えばジステアリルジメチルアンモニウムクロリドで変性されたヘクトライト、例えばエレメンティス(Elementis)社によりBentone 38V(商標)の名称の下に販売されている製品を包含する。
【0125】
任意的に疎水性表面処理に供せられたヒュームドシリカをまた挙げることができ、その粒径は、1μm未満である。実際、シリカの表面に存在するシラノール基の数の減少を生じる化学反応によって、シリカの表面を化学的に変性することが可能である。特に、シラノール基を疎水性基で置換することが可能であり、よって疎水性シリカが得られる。疎水性基は、次のものであり得る:
- 特にヒュームドシリカをヘキサメチルジシラザンの存在下で処理することによって得られる、トリメチルシロキシ基。かくして処理されたシリカは、CTFA(第6版、1995年)に従い、シリカ シリレートとして知られる。それらは、例えばデグッサ(Degussa)社により照会符号Aerosil R812(商標)の下に、およびカボット(Cabot)社によりCab-O-Sil TS-530(商標)の下に販売されている;
- 特にヒュームドシリカをポリジメチルシロキサンまたはジメチルジクロロシランの存在下で処理することによって得られる、ジメチルシリルオキシルまたはポリジメチルシロキサン基。かくして処理されたシリカは、CTFA(第6版、1995年)に従い、シリカジメチルシリレートとして知られる。それらは、例えばデグッサ(Degussa)社により照会符号Aerosil R972(商標)およびAerosil R974(商標)の下に、ならびにカボット(Cabot)社によりCab-O-Sil TS-610(商標)およびCab-O-Sil TS-720(商標)の下に販売されている。
【0126】
疎水性のヒュームドシリカは好ましくは、ナノメートル〜マイクロメートルであり得る、例えば約5〜200nmの範囲の粒径を有する。
【0127】
ポリマー有機親油性ゲル化剤は、例えば、三次元構造を有する、一部または全部架橋されたエラストマーオルガノポリシロキサン、例えばシンエツ(Shin-Etsu)からKSG6(商標)、KSG16(商標)およびKSG18(商標)の名称の下に販売されているもの、ダウ コーニング(Dow Corning)からTrefil E-505C(商標)またはTrefil E-506C(商標)の名称の下に販売されているもの、グラントイ インダストリーズ(Grant Industries)からGransil SR-CYC(商標)、SR DMF 10(商標)、SR-DC556(商標)、SR 5CYC gel(商標)、 SR DMF 10 gel(商標)およびSR DC 556 gel(商標)の名称の下に販売されているもの、ならびにジェネラル エレクトリック(General Electric)からSF 1204(商標)およびJK 113(商標)の名称の下に販売されているもの;エチルセルロース、例えばダウ ケミカル(Dow Chemical)によりEthocelの名称の下に販売されている製品;(α)少なくとも32個の炭素原子を含むジカルボン酸、例えば脂肪酸二量体から選択される少なくとも1種の酸、および(β)アルキレンジアミン、特にエチレンジアミンの間の縮合から生じるポリアミドタイプの重縮合物(ここで、ポリアミドポリマーは、少なくとも1個の飽和、線状モノアルコールまたは12〜30個の炭素原子を含む飽和、線状モノアミンでエステル化またはアミド化された少なくとも1個のカルボン酸末端基を含む)、特にエチレンジアミン/ジリノール酸ステアリルコポリマー、例えばアリゾナ ケミカル(Arizona Chemical)社によりUniclear 100 VG(商標)の名称の下に販売されている製品;飽和もしくは不飽和アルキル鎖で置換された、糖1個当たり1〜6個、特に2〜4個のヒドロキシル基を含むガラクトマンナン、例えばC1〜C6、特にC1〜C3アルキル鎖でアルキル化されたガーゴム、ならびにそれらの混合物である。「ジブロック」「トリブロック」もしくは「ラジカル」タイプのブロックコポリマー、ポリスチレン/ポリイソプレンもしくはポリスチレン/ポリブタジエンタイプのブロックコポリマー、例えばBASF社によりLuvitol HSB(商標)の名称の下に販売されている製品、ポリスチレン/コポリ(エチレンプロピレン)タイプのブロックコポリマー、例えばシェル ケミカル社(Shell Chemical Co.)によりKraton(商標)の名称の下に販売されている製品、またはポリスチレン/コポリ(エチレンブチレン)タイプのブロックコポリマーならびに、イソドデカン中のトリブロックおよびラジカル(星形)コポリマーの混合物、例えばペンレコ(Penreco)社によりVersagel(商標)の名称の下に販売されている製品、例えばブチレン/エチレンスチレントリブロックコポリマーと、エチレン/プロピレン/スチレン星形コポリマーのイソドデカン中の混合物(Versagel M 5960)。
【0128】
本発明のメイクアップキットに含まれる化粧組成物において使用できるゲル化剤の中で、デキストリンの脂肪酸エステル、例えばデキストリンパルミテート、特にチバ フラワー(Chiba Flour)社によりRheopearl TL(商標)またはRheopearl KL(商標)の名称の下に販売されている製品をまた挙げることができる。
【0129】
膜-形成ポリマー
1つの特定の実施態様に従えば、本発明のメイクアップキットに含まれる第1および第2の組成物は、少なくとも1種の膜-形成ポリマーを含むことができる。
本発明においては、「膜-形成ポリマー」という表現は、それだけで、または補助的な膜形成剤の存在下で、ケラチン繊維に接着する巨視的に連続した膜、好ましくは粘着性である膜、なおよりよくは、その膜の粘着性および機械的特性が、例えば粘着性でない表面、例えばテフロン(登録商標)コーティングまたはシリコーンコーティングされた表面上に施与することによって該膜が形成されるとき、該膜を分離することができ、かつ別々に取り扱うことができるようである膜を形成することができるポリマーを意味する。
本発明のメイクアップキットに含まれる第1および第2の組成物において使用できる膜-形成ポリマーの中で、合成ポリマー、ラジカルタイプ、または重縮合タイプ、および天然由来のポリマーならびにそれらの混合物を挙げることができる。
【0130】
脂溶性ポリマー
1つの実施態様の変形に従えば、膜-形成ポリマーは、油または有機溶媒、例えば先に挙げられたものを含む油性相に溶解されたポリマーであり得る(よって膜-形成ポリマーは、脂溶性ポリマーといわれる)。
【0131】
挙げることができる脂溶性ポリマーの例としては、ビニルエステル(ビニル基がエステル基の酸素原子に直接結合し、ビニルエステルは、エステル基のカルボニルに結合された飽和、線状もしくは分岐した、1〜19個の炭素原子の炭化水素に基づく基を含む)と、(すでに存在するビニルエステル以外の)ビニルエステル、α-オレフィン(8〜28個の炭素原子を含む)、アルキルビニルエーテル(アルキル基は2〜28個の炭素原子を含む)またはアリルもしくはメタリルエステル(エステル基のカルボニルに結合された飽和、線状もしくは分岐した、1〜19個の炭素原子の炭化水素に基づく基を含む)であり得る、少なくとも1種の他のモノマーとのコポリマーを包含する。
【0132】
これらのコポリマーは、架橋剤の助けを借りて架橋されることができ、架橋剤は、ビニルタイプまたは、アリルもしくはメタリルタイプであることができ、例えば、テトラアリルオキシエタン、ジビニルベンゼン、ジビニルオクタンジオエート、ジビニルドデカンジオエートおよびジビニルオクタデカンジオエートであり得る。
【0133】
挙げることができるこれらのコポリマーの例としては、以下のコポリマーを包含する:酢酸ビニル/ステアリン酸アリル、酢酸ビニル/ラウリン酸ビニル、酢酸ビニル/ステアリン酸ビニル、酢酸ビニル/オクタデセン、酢酸ビニル/オクタデシルビニルエーテル、プロピオン酸ビニル/ラウリン酸アリル、プロピオン酸ビニル/ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル/1-オクタデセン、酢酸ビニル/1-ドデセン、ステアリン酸ビニル/エチルビニルエーテル、プロピオン酸ビニル/セチルビニルエーテル、ステアリン酸ビニル/酢酸アリル、2,2-ジメチルオクタン酸ビニル/ラウリン酸ビニル、2,2-ジメチルペンタン酸アリル/ラウリン酸ビニル、ジメチルプロピオン酸ビニル/ステアリン酸ビニル、ジメチルプロピオン酸アリル/ステアリン酸ビニル、0.2%のジビニルベンゼンで架橋された、プロピオン酸ビニル/ステアリン酸ビニル、0.2%のジビニルベンゼンで架橋された、ジメチルプロピオン酸ビニル/ラウリン酸ビニル、0.2%のテトラアリルオキシエタンで架橋された、酢酸ビニル/オクタデシルビニルエーテル、0.2%のジビニルベンゼンで架橋された、酢酸ビニル/ステアリン酸アリル、0.2%のジビニルベンゼンで架橋された、酢酸ビニル/1-オクタデセン、および0.2%のジビニルベンゼンで架橋された、プロピオン酸アリル/ステアリン酸アリル。
【0134】
また挙げることができる脂溶性膜-形成ポリマーの例としては、脂溶性コポリマー、特に9〜22個の炭素原子を含むビニルエステルまたはアルキルアクリレートもしくはメタクリレートと、10〜20個の炭素原子を含むアルキル基との共重合から生じるものを包含する。
【0135】
そのような脂溶性ポリマーは、ポリビニルステアレート、ジビニルベンゼンの助けを借りて架橋されたポリビニルステアレート、ジアリルエーテルまたはフタル酸ジアリルのコポリマー、ポリステアリル(メタ)アクリレート、ラウリン酸ポリビニルおよびポリラルリル(メタ)アクリレートのコポリマーから選択することができ、これらのポリ(メタ)アクリレートは、エチレングリコールジメタクリレートまたはテトラエチレングリコールジメタクリレートの助けを借りて架橋することが可能である。
【0136】
先に定義した脂溶性ポリマーは公知であり、特にフランス国特許出願FR-A-2 232 303号公報に記載されており;それらは、2,000〜500,000の範囲、好ましくは4,000〜200,000の範囲の重量平均分子量を有し得る。
【0137】
本発明において使用することができる脂溶性膜-形成ポリマーとしては、ポリアルキレン、特に、C2-C20アルケンのコポリマー、例えばポリブテン、線状もしくは分岐した飽和もしくは不飽和のC1-C8アルキル基を有するアルキルセルロース、例えばエチルセルロースおよびプロピルセルロース、ビニルピロリドン(VP)のコポリマー、特にビニルピロリドンとC2 〜 C40、よりよくはなおC3 〜 C20アルケンとのコポリマーをまた挙げることができる。本発明において使用できるVPコポリマーの例としては、VP/酢酸ビニル、VP/エチルメタクリレート、ブチル化ポリビニルピロリドン(PVP)、VP/エチルメタクリレート/メタクリル酸、VP/エイコセン、VP/ヘキサデセン、VP/トリアコンテン、VP/スチレンまたはVP/アクリル酸/ラウリルメタクリレートのコポリマーを挙げることができる。
【0138】
一般にシリコーン油中に可溶性または膨潤性であり、架橋ポリオルガノシロキサンポリマーである、シリコーン樹脂をまた挙げることができる。シリコーン樹脂の命名は、名称「MDTQ」の下に公知であり、樹脂は、それが含む種々のシロキサンモノマー単位の関数として記載され、文字「MDTQ」のそれぞれは、単位のタイプを特徴づける。
【0139】
挙げることができる市販されていて入手可能なポリメチルシルセスキオキサン樹脂の例としては、以下のものを包含する:
- 照会符号Resin MKの下に、ワッカー(Wacker)社により販売されているもの、例えばBelsil PMS MK;
- 照会符号KR-220Lの下に、シンエツ(Shin-Etsu)社により販売されているもの。
【0140】
挙げることができるシロキシシリケート樹脂としては、トリメチルシロキシシリケート(TMS)樹脂、例えばジェネラル エレクトリック(General Electric)社により照会符号SR 1000の下に販売されているもの、またはワッカー(Wacker)社により照会符号TMS 803の下に販売されているものを包含する。溶媒、例えばシクロメチコーン中で販売されているトリメチルシロキシシリケート樹脂、シンエツ(Shin-Etsu)社によりKF-7312Jの名称の下に販売されているもの、ダウ コーニング(Dow Corning)社によりDC 749およびDC 593の名称の下に販売されているものをまた挙げることができる。
【0141】
ポリオルガノシロキサンタイプのシリコーンポリアミドをまた使用でき、例えば米国特許明細書US-A-5 874 069号、US-A-5 919 441号、US-A-6 051 216号および US-A-5 981 680号に記載されているものである。
【0142】
これらのシリコーンポリマーは、以下の2つの系統に属することができる:
1) 水素相互作用を確立することができる基少なくとも2個を含むポリオルガノシロキサンであって、これらの2つの基は、ポリマー鎖中に配置される、および/または
2) 水素相互作用を確立することができる基少なくとも2個を含むポリオルガノシロキサンであって、これらの2つの基は、グラフトもしくは枝上に配置される。
本発明の1つの実施態様に従えば、膜-形成ポリマーは、膜-形成線状ブロックエチレン性ポリマーであり、好ましくは、異なるガラス転移温度(Tg)を有する少なくとも第1のブロックおよび少なくとも第2のブロックを含み、該第1および第2のブロックは、少なくとも1個の第1のブロックの構成モノマーおよび少なくとも1個の第2のブロックの構成モノマーを含む中間のブロックによって、互いに結合される。
【0143】
有利には、ブロックポリマーの第1および第2のブロックは、互いに非相溶性である。
【0144】
そのようなポリマーは、例えば欧州特許EP 1 411 069号または国際特許出願公開WO 04/028 488号公報に記載されている。
【0145】
水溶性ポリマー
別の実施態様の変形に従えば、膜-形成ポリマーは、水溶性ポリマーであることができる。そこでポリマーは、組成物の水性相中に可溶化される。挙げることができる水溶性膜-形成ポリマーの例としては、以下を包含する:
- タンパク質、例えば植物由来のタンパク質、例えば小麦タンパク質および大豆タンパク質;動物由来のタンパク質、例えばケラチン、例えばケラチン加水分解物およびスルホンケラチン;
- セルロースのポリマー、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロースおよびエチルヒドロキシエチルセルロース;
- アクリルポリマーもしくはコポリマー、例えばポリアクリレートまたはポリメタクリレート;
- ビニルポリマー、例えばポリビニルピロリドン、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー、酢酸ビニルとクロトン酸とのコポリマー、ビニルピロリドンと酢酸ビニルとのコポリマー、ビニルピロリドンとカプロラクタムとのコポリマー、ポリビニルアルコール;
- 任意的に変性された、天然由来のポリマー、例えば:
- アラビアゴム、ガーゴム、キサンタン誘導体、カラヤゴム;
- アルギネートおよびカラギーナン;
- グリコサミノグリカン、ヒアルロン酸およびその誘導体;
- セラック樹脂、サンダラックゴム、ダマール樹脂、エレミゴムおよびコーパル樹脂;
- デオキシリボ核酸;
- ムコ多糖、例えばコンドロイチン硫酸、
ならびにそれらの混合物。
【0146】
天然由来のポリマー
任意的に変性された、天然由来のポリマーは、セラック樹脂、サンダラックゴム、ダマール樹脂、エレミゴム、コーパル樹脂およびセルロースに基づくポリマーならびにそれらの混合物から選択され得る。
【0147】
分散形態のポリマー
膜-形成ポリマーは、水性相または非水性溶媒相中に分散された粒子の形態で存在することができ、これは一般に、ラテックスまたは擬似ラテックスとして知られる。これらの分散物を製造するための技術は、当業者によく知られている。
【0148】
a) 水性分散物
使用することができる膜-形成ポリマーの水性分散物としては、アベシア-ネオレジンズ(Avecia-Neoresins)社によりNeocryl XK-90(商標)、Neocryl A-1070(商標)、Neocryl A-1090(商標)、Neocryl BT-62(商標)、Neocryl A-1079(商標)および Neocryl A-523(商標)の名称の下に、ダウ ケミカル(Dow Chemical)社によりDow Latex 432(商標)の名称の下に、ダイトウ カセイ コウギョウ(Daito Kasey Kogyo)社によりDaitosol 5000 AD(商標)もしくはDaitosol 5000 SJ(商標)の名称の下に、インターポリマー(Interpolymer)社によりSyntran 5760(商標)の名称の下に、ローム&ハース(Rohm & Haas)社によりAllianz Opt(商標)の名称の下に販売されているアクリル分散物、またはアベシア-ネオレジンズ(Avecia-Neoresins)社によりNeorez R-981(商標)およびNeorez R-974(商標)の名称の下に、ノベオン(Noveon)社によりAvalure UR-405(商標)、Avalure UR-410(商標)、Avalure UR-425(商標)、Avalure UR-450(商標)、Sancure 875(商標)、Avalure UR-445(商標)およびSancure 2060(商標)の名称の下に、バイエル(Bayer)社によりImpranil 85(商標)の名称の下に、およびハイドロマー(Hydromer)社によりAquamere H-1511(商標)の名称の下に販売されているポリウレタンの水性分散物;イーストマン ケミカル プロダクツ(Eastman Chemical Products)社により商標名「Eastman AQ(商標)」の下に販売されているスルホポリエステル、ビニル分散物、例えばMexomer PAM(商標)、ポリ酢酸ビニルの水性分散物、例えばニッシン ケミカル(Nisshin Chemical)社からのVinybran(商標)、またはユニオン カーバイド(Union Carbide)社により販売されているもの、ビニルピロリドンターポリマー、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドおよびラウリルジメチルプロピルメタクリルアミドアンモニウムクロリドターポリマーの水性分散物、例えばISPからのStyleze W、ポリウレタン/ポリアクリルハイブリッドポリマーの水性分散物、例えばエア プロダクツ(Air Products)社により照会符号Hybridur(商標)の下に販売されているもの、もしくはナショナル スターチ(National Starch)社からDuromer(商標)の下に販売されているもの、コア/シェルタイプの分散物:例えばアトフィナ(Atofina)社により照会符号Kynarの下に販売されているもの(コア:フルオロ、シェル:アクリル)、またはあるいは、米国特許明細書US 5 188 899号に記載されているもの(コア:シリカシェル:シリコーン)ならびにそれらの混合物を包含する。
【0149】
b) 非水性分散物
グラフトされたエチレン性ポリマー、好ましくはアクリルポリマーの粒子の液体油性相中の分散物をまた挙げることができ、エチレン性ポリマーは有利には、特に国際特許出願公開WO 04/055 081号公報に記載されてるように、粒子の表面で、追加の安定剤の不在下で分散される。
本発明に従う第1および第2の組成物は、膜-形成ポリマーを用いて膜を形成するのを促進する可塑剤を含むことができる。そのような可塑剤は、望まれる機能を満たすことができるような、当業者に公知の任意の化合物から選択することができる。
これに関しては、イソドデカン中のアクリル分散物、例えばキメックス(Chimex)社からのMexomer PAP(商標)を挙げることができる。
【0150】
水および/または水溶性溶媒
本発明においては、「水溶性溶媒」という語は、室温で液体であり、水混和性である(25℃および大気圧での水中混和性50重量%より大)化合物を示す。
【0151】
該化粧組成物において使用できる水溶性溶媒の中で、特に、1〜5個の炭素原子を含む低級モノアルコール、例えばエタノールおよびイソプロパノール、2〜8個の炭素原子を含むグリコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールおよびジプロピレングリコール、C3およびC4 ケトンおよびC2-C4アルデヒドを挙げることができる。
【0152】
水性相(水および/または水溶性溶媒)は、例えばメイクアップキットに含まれる第1および第2の組成物中に導入されることができるか、または該第1および第2の組成物を構成する1種以上の成分によってその中に組み込まれることができる。かくして水は特に、ラテックスまたは擬似ラテックス、すなわちポリマー粒子の水性分散物を導入することによって、組成物の一方に導入されることができる。
【0153】
染料
本発明のメイクアップキットに含まれる第1および第2の組成物はまた、互いに独立して、少なくとも1種の染料、例えば微粉染料、脂溶性染料および水溶性染料を含むことができる。
【0154】
微粉染料は、顔料および真珠層から選択することができる。
【0155】
顔料は、白色であるかまたは着色されることができ、無機および/または有機であり、コーティングされるか、またはコーティングされないことができる。挙げることができる無機顔料の中には、任意的に表面処理された二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛または酸化セリウム、また酸化鉄または酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物および鉄青がある。挙げることのできる有機顔料の中には、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料および、コチニールカルミンまたは、バリウム、ストロンチウム、カルシウムもしくはアルミニウムに基づくレーキがある。
【0156】
真珠層は、白色真珠層顔料、例えばチタンもしくはオキシ塩化ビスマスでコーティングされたマイカ、着色された真珠層顔料、例えば酸化鉄を有するチタンマイカ、特に鉄青もしくは酸化クロムを有するチタンマイカ、上記したタイプの有機顔料を有するチタンマイカおよびまた、オキシ塩化ビスマスに基づく真珠層顔料から選択することができる。
【0157】
脂溶性染料は、例えばスーダンレッド(Sudan Red)、D&Cレッド(D&C Red)17、D&C グリーン(D&C Green) 6, b-カロテン、大豆油、スーダンブラウン(Sudan Brown)、D&C イエロー(D&C Yellow)11、D&C バイオレット(D&C Violet) 2、D&C オレンジ(D&C Orange) 5、キノリンイエローおよびアナットーである。
【0158】
これらの染料は、第1および第2の組成物のそれぞれの全重量に対して0.01〜30重量%の範囲の含量で存在し得る。
【0159】
染料は、第1および第2の組成物中で同じまたは異なることができる。組成物の色調を変えることによって、メイクアップの結果を随意に個人化することがまた可能である。
【0160】
かくして、1つの実施態様に従えば、組成物は、異なる色調を有することができる。例えば組成物のうちの1方は透明または半透明であり、他方の組成物は着色され得る。1つの変形に従えば、第1および第2の組成物は異なる色を有し得る。
【0161】
1つの変形に従えば、第2の組成物は有利には、真珠層または薄片、例えば反射粒子を
含むことができる。
【0162】
2つの組成物はまた、肉眼で見える任意の光学特性、例えば光沢によって、異なることができる。
【0163】
添加剤
【0164】
繊維
本発明のメイクアップキットに含まれる第1および第2の組成物は、互いに独立してまた、特にケラチン繊維をメイクアップする分野において延ばす効果を改善させる繊維を含むことができる。
「繊維」という語は、Dが繊維の断面が内接する円の直径である、LがDよりずっと大きいような、長さLおよび直径Dの物体を意味すると理解すべきである。特に比L/D(または形状係数)は、3.5〜2,500の範囲、とりわけ5〜500の範囲、特に5〜150の範囲で選択される。
本発明のメイクアップキットに含まれる組成物において使用できる繊維は、合成もしくは天然由来の無機もしくは有機繊維であり得る。それらは、短いかまたは長く、個別であるかまたは統合されており、例えば網目状であり、中空もしくは中実であり得る。それらは任意の形状を有し、特に、意図される特定の用途に依存して、円形もしくは多角形(正方形、六角形もしくは八角形)の断面を有することができる。特に、それらの末端は、怪我を防ぐために、鈍いかおよび/または磨かれている。
特に、繊維は、1μm〜10mmの範囲、好ましくは0.1〜5mmの範囲、よりよくはなお0.3〜3.5mmの範囲の長さを有する。それらの断面は、2nm〜500μm、好ましくは100nm 100μm、よりよくはなお1〜50μmの範囲の直径の円内にあり得る。繊維の重量またはヤーンカウントはしばしば、デニールまたはデシテックスで与えられ、9kmのヤーン当たりのグラムで表した重量を示す。特に、繊維は、0.15〜30デニール、よりよくはなお0.18〜18デニールの範囲で選択されるヤーンカウントを有し得る。
本発明のメイクアップキットに含まれる組成物において使用できる繊維は、堅い繊維または堅くない繊維から選択することができ、合成もしくは天然、無機もしくは有機由来であることができる。
さらには、繊維は、表面処理されるか、またはされないことができ、コーティングされるか、またはされないことができ、着色されるか、またはされないことができる。
本発明の組成物において使用できる繊維として、堅くない繊維、たとえばポリアミド(Nylon(商標))繊維または、堅い繊維、例えばポリイミドアミド繊維、例えばロディア(Rhodia)社によりKermel(商標)およびKermel Tech(商標)の名称の下に販売されているもの、または特にデュポン (DuPont de Nemours) 社によりKevlar(商標)の名称の下に販売されているポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)(またはアラミド)繊維を挙げることができる。
繊維は、第1または第2の組成物中に、組成物の全重量に対して0.01〜10重量%、特に0.05〜5重量%、さらに特に0.1〜3重量%の範囲の含量で存在し得る。
実際には、それらが存在するときには、繊維は第1の組成物中に優先的に存在する。
【0165】
化粧用活性剤
本発明のメイクアップキットに含まれる第1および第2の組成物はまた、互いに独立して、化粧料において慣用的に使用される任意の成分を含むことができる。これらの成分は特に、ポリマー、特に固定ポリマー;乳白剤;芳香剤;増粘剤;ゲル化剤;ヘアダイ;シリコーン樹脂;シリコーンゴム;防腐剤;酸化防止剤;化粧用活性剤;日焼け止め剤;pH安定剤;ビタミン;加湿剤;およびそれらの混合物から選択することができる。これらの種々の成分の量は、考慮下の分野において慣用的に使用される量であり、例えば第1の組成物の全重量に対して0.01〜20重量%、および第2の組成物の全重量に対して0.1〜10重量%である。
言うまでもなく、当業者は、本発明の第1および第2の組成物の有利な特性が、認識される添加によって悪影響を及ぼされない、または実質的に悪影響を及ぼされないように、気をつけてこれらの任意の添加剤および/またはそれらの量を選択するであろう。
【0166】
アプリケーターおよびキット
任意のタイプのアプリケーターを、第1および/または第2の組成物を堆積させる目的のために使用できる。
第1および第2の組成物のそれぞれのアプリケーターは、同じまたは異なることができる。
本発明の1つの変形に従えば、第1および第2の組成物は、同じアプリケーターの2つの異なる施与部分によって、施与することができる。
別の変形に従えば、本発明メイクアップキットは、第1および第2の組成物を施与するための1つ以上の手段を含む。
本発明のメイクアップキットに含まれる第1および第2の化粧組成物は特に、ブラシ、櫛、ねじを切られた軸(threaded stem)または、歯の付いた指回し円形板(toothed thumbwheel)を備えたペンを用いてまつ毛に施与することができる。
本発明の場合には、もし、ケラチン繊維の長さの一部に、まつ毛に施与する時には最大でその長さの2/3に、堆積物を配置させるとするならば、第1の組成物は、任意のアプリケーターを用いて施与することができる。
第1の組成物の施与を櫛を用いて行うことが特に有利である。
第2の組成物の施与を、ねじを切られた軸(threaded stem)または、歯の付いた指回し円形板(toothed thumbwheel)を備えたペンを用いて行うことが特に有利である。
ねじを切られた軸を用いた第2の組成物の施与は特に、第1の組成物がまつ毛の基部に施与された時に、まつ毛の末端に沿ってだいたい均一に整列された細かい液滴を形成することを可能にする。
ねじを切られた軸は、プラスチック材料または金属または任意の他の適当な材料でできていることができる。
歯の付いた指回し円形板を備えたペンは、より特には、米国特許明細書US 5 851 019号またはフランス国特許FR 2 588 733号公報に記載されている。
このペンは、各回転/圧力でピストンを前進させる、歯の付いた指回し円形板または押しボタンを動かした後、ペンの出口で製品の正確な投与量を施与することを可能にする。
この施与手段は特に、第1の組成物がまつ毛の基部に施与されたとき、まつ毛の末端での液滴の、例えば1滴の形成を可能にする。液滴は一般に、ねじを切られた軸を用いて施与することにより得られるより大きい寸法を有する。
本発明のメイクアップキットは、1つの特定の実施態様に従えば、少なくとも2つの別々の包装を含むことができ、一方は第1の組成物を含み、他方は第2の組成物を含む。
実際には、ケラチン繊維は、使用者により多数回の動作によって、すなわち少なくとも2工程で(第1の工程は、「ベースコート」組成物を施与することにあり、第2の工程は、「トップコート」組成物を全体的にまたは部分的に第1の「ベースコート」組成物の上に、かつケラチン繊維上に施与することにある)メイクアップされるので、1つの包装中に整えられたメイクアップキットは、特に使用するのに適当である。この代替物は、本発明の好ましい実施態様を構成する。1つの特に有利な実施態様に従えば、この包装品は、2つの別々のアプリケーターを備える。
キットが1つの包装の形態であるときには、それは、「ベースコート」組成物を含む少なくとも1つの区画もしくは貯蔵器(該区画は閉鎖部材によって閉じられている)および「トップコート」組成物を含む少なくとも1つの区画もしくは貯蔵器(また閉鎖部材によって閉じられている)の範囲を定める容器として提供され得る。
アプリケーターは、一体化して容器に取り付けられ得る。有利にはアプリケーターは、それ自体閉鎖部材に一体化して取り付けられている軸に一体化して取り付けられる。
閉鎖部材は、ねじ込むことによって容器に結合され得る。あるいは、閉鎖部材と容器との結合は、ねじ込むこと以外によって、特に差込みメカニズムによって、クリック固定によって、または締めることによって行う。「クリック固定」という語は特に、一部分、特に閉鎖部材の弾性変形によって材料の縁もしくはビーズを通し、その後、縁もしくはビーズが通過した後、該部分の弾性的に応力を受けない部分に戻ることを含む任意の系を意味する。
有利には2つの区画もしくは貯蔵器を含む容器は、少なくとも部分的に、熱可塑性材料でできていることができる。挙げることができる熱可塑性材料の例としては、ポリプロピレンおよびポリエチレンを包含する。
あるいは、容器は、非熱可塑性材料、特にガラスまたは金属(もしくは合金)でできている。
容器は好ましくは、容器の少なくとも1つの開口の領域に配置された排水器を備える。そのような排水器は、アプリケーターおよび任意的に、それをしっかりと付けることができる軸をぬぐうことを可能にする。そのような排水器は、例えばフランス国特許FR 2 792 618号公報に記載されている。
1つの特定の好ましい実施態様に従えば、メイクアップキットは、「ベースコート」および「トップコート」組成物のうちの1つをそれぞれ含む2つの貯蔵器を含み、それぞれの貯蔵器は、ブラシおよび/または櫛および/またはねじを切られた軸および/または歯の付いた指回し円形板を備えたペンを備えており、特に、「ベースコート」組成物の貯蔵器は、マスカラ櫛を備え、「トップコート」組成物の貯蔵器は、ねじを切られた軸または歯の付いた指回し円形板を備えたペンを備えている。
【0167】
メイクアップおよび/またはケアプロセス
第1の組成物は、ケラチン繊維の全部または一部に、例えば繊維の長さの半分または三分の一に施与されることができ、まつ毛に施与されるときには、全ての場合に、最大でその長さの三分の二に施与され得る。
かくして、まつ毛の基部に施与されるときには、メイクアップの結果は、図2および3に示したのと同様である。
まつ毛の末端に施与されるときには、メイクアップの結果は、図1に示したのと同様である。
第2の組成物はまた、ケラチン繊維の全部または一部に、例えば繊維の長さの半分または三分の一に施与されることができる。それは、第1の組成物により形成される堆積物が完全に乾燥される前に施与することができる。
例えば第2の組成物は、全ケラチン繊維の上に堆積することができ、驚くべきことに、優先的に第1の堆積物によって覆われていないケラチン繊維の領域をメイクアップするために、この第2の組成物の堆積は、第1の組成物が堆積された表面からデウェットする(dewet)ことを見出した。
【0168】
かくして本発明はまた、ケラチン繊維をメイクアップする方法および/またはケラチン繊維を非治療的にケアするための方法であって、本発明の第1の組成物をケラチン繊維の全部または一部に施与して、第1の堆積物を形成する少なくとも1工程、ならびに本発明の第2の組成物を第1の堆積物および/またはケラチン繊維の全部または一部の上に施与する少なくとも1工程を含むことを特徴とする方法に関する。
【0169】
本発明はまた、ケラチン繊維上のケラチン繊維の端部に真珠もしくはブリッジを形成することを意図される、ケラチン繊維をメイクアップする方法および/またはケラチン繊維を非治療的にケアするための方法であって、ケラチン繊維の基部に本発明の第1の組成物を施与して、第1の堆積物を形成する少なくとも1工程、ならびに本発明の第2の組成物を第1の堆積物および/またはケラチン繊維の全部または一部の上に施与する少なくとも1工程を含むことを特徴とする方法に関する。
【0170】
最後に、本発明は、ケラチン繊維の基部の近くにブリッジを形成することを意図される、ケラチン繊維をメイクアップする方法および/またはケラチン繊維を非治療的にケアするための方法であって、ケラチン繊維の端部に本発明の第1の組成物を施与して、第1の堆積物を形成する少なくとも1工程、ならびに第2の組成物を第1の堆積物および/またはケラチン繊維の全部または一部の上に施与する少なくとも1工程を含むことを特徴とする方法に関する。
【0171】
添付の図面について調べると、本発明をより明らかに理解することができる。
- 図1は、本発明のメイクアップ法のうちの1つに従ってメイクアップされたまつ毛のふさの一部を示す。
- 図2は、本発明のメイクアップ法のうちの別の方法に従ってメイクアップされたまつ毛のふさの一部を示す。
- 図3は、本発明のメイクアップ法のうちのなお別の方法に従ってメイクアップされたまつ毛のふさの一部を示す。
【0172】
全ての図面において、まぶた1の一部が示される。
【0173】
図1においては、メイクアップは、第1の組成物を、部分P1にわたるまつ毛の端部に施与することによって得られ、この部分P1は、図1においては、該まつ毛の長さのほぼ三分の一に相当する。この長さは、メイクアップのタイプを変えることなく、該まつ毛の長さの三分の二にまですることができる。第2の組成物は、まつ毛の全長に施与された。材料
ブリッジ4が、その基部でまつ毛間に作られた。
【0174】
図2および3においては、メイクアップは、、第1の組成物を、まつげの部分P2またはP3にそれぞれ施与することによって得られ、この部分P2またはP3は、図2または3においては、該まつ毛の長さの内側約三分の一に相当する。
【0175】
この部分P2またはP3はそれぞれ、メイクアップのタイプを変えることなく、該まつ毛の長さの三分の二にまですることができる。第2の組成物は、まつ毛の全長に施与された。材料のブリッジ4または真珠5がそれぞれ、その端部でまつ毛間に作られた。
【0176】
まつ毛をメイクアップする場合には、そのような方法は、まつ毛のふさの全部または一部で行うことができる。
【0177】
以下の処方例は、本発明の限定されない実例として与えられる。他に挙げられなければ、量は、重量百分率として与えられる。
【0178】
実施例
以下の組成物を製造することができる:
【0179】
組成物1:アルキルシリコーンおよびフルオロ-コーティングされた顔料を含む防水性マスカラ処方物:
- 17%のC30-45アルキルジメチコーンSF-1642 (GE-バイエル シリコーンズ(GE-Bayer Silicones))
- 7%のステアリン酸アリル/酢酸ビニルコポリマー
- 5%の、リン酸パーフルオロアルキルでコーティングされた黒色酸化鉄、ワックヘル(Wackherr)社によりBlack Iron Oxide Covafluorの名称の下に販売
-5%のQuaternium-18 Bentonite (Bentone 38V(商標)、エレメンティス(Elementis)から)
- 1.6%の炭酸プロピレン
- 64.4%のイソドデカン。
【0180】
組成物2:中空の親水性シリカを含むマスカラ処方物:
- 1.4%のヒドロキシエチルセルロース(Cellosize QP 4400H、ユニオン カーバイド( Union Carbide)から)
- 25%の中空の親水性シリカ(Sunsil 130、サンジン ケミカルズ( Sunjin Chemicals)から)
- 6.69%のアラビアゴム
- 3.35%の顔料(黒色酸化鉄)
- 3.35%のプロピレングリコール
- 0.30%のナトリウムメチルパラベン(防腐剤)
- 十分量の水100g。
組成物1の表面エネルギーを、「第1の組成物」について上記したプロトコルに従って測定した。測定値は、13.73 mN/mであった。
組成物2の表面エネルギーを、「第2の組成物」について上記したプロトコルに従って測定した。3回の測定の平均に関して、測定値は、52.83 mN/mであった。
【0181】
組成物3:テフロン(登録商標)-コーティングされたワックスおよびPDMS-コーティングされた顔料を含む防水性マスカラ処方物:
- 20%の微粉化されたポリテトラフルオロエチレン粉末、ミクロパウダーズ(MicroPowders)社によりMicroslip 519Lの名称の下に販売
- 7%のステアリン酸アリル/酢酸ビニルコポリマー
- 5%の、シリカおよびポリジメチルシロキサンでコーティングされた茶色の酸化鉄、リョウシ カセイ(Lyoshi Kasei)社によりSA-Luce Redの名称の下に販売
- 8%のQuaternium-18 Bentonite(Bentone 38VO、エレメンティス(Elementis)から)
- 2.6%の炭酸プロピレン
- 57.4%のイソドデカン。
【0182】
組成物4:中空のPMMA微小球およびラテックスを含むマスカラ処方物:
- 1.4%のヒドロキシエチルセルロース(Cellosize QP 4400H、ユニオン カーバイド( Union Carbide)から)
- 15%の中空ポリメチルメタクリレート微小球(Covabead LH 85、LCWから)
- 6.69%のアラビアゴム
- 10%のエチルアクリレート/メチルメタクリレート架橋コポリマー、水性50%分散物として、ダイトウ カセイ コウギョウ(Daito Kasei Kogyo)社によりDaitosol 5000 ADの名称の下に販売
- 3.35%の顔料(茶色の酸化鉄)
- 3.35%のプロピレングリコール
- 0.30%のナトリウムメチルパラベン(防腐剤)
- 十分量の水100g。
種々のメイクアップが、1組で、上記の組成物1〜4を用いて、人造のまつ毛の標本上で、試験される。
【0183】
組成物1または3がまつ毛の基部に施与され、組成物2または4がまつ毛のふさ全体に施与されるとき、図3のメイクアップの結果に近づけるように、まつ毛の端部(より高い表面エネルギーの領域)の方へ移動する、組成物2または4のデウェッティング(dewetting)がある。
【0184】
さらには、組成物1がベースコートとして施与され、組成物4がトップコートとして施与されることができる。
【0185】
組成物1または3がまつ毛の端部に施与されるとき、図1のメイクアップの結果に近づけるように、組成物1または3でメイクアップされていない領域(まつ毛の中間部および基部)の方へ移動する、組成物2または4のデウェッティング(dewetting)がある。
【0186】
組成物1がベースコートとして施与され、組成物2がトップコートとして施与されることができる。
【0187】
あるいは、組成物3がベースコートとして施与され、組成物2がトップコートとして施与されることができる。
【0188】
またあるいは、組成物3がベースコートとして施与され、組成物4がトップコートとして施与されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0189】
【図1】図1は、本発明のメイクアップ法のうちの1つに従ってメイクアップされたまつ毛のふさの一部を示す。
【図2】図2は、本発明のメイクアップ法のうちの別の方法に従ってメイクアップされたまつ毛のふさの一部を示す。
【図3】図3は、本発明のメイクアップ法のうちのなお別の方法に従ってメイクアップされたまつ毛のふさの一部を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも:
23±2℃で30mN/m以下の表面エネルギーを有する第1の組成物、ならびに
第2の組成物の表面エネルギーと第1の組成物の表面エネルギーとの間の差が5 mN/m以上であるような表面エネルギー、および25±0.5℃で0.001〜2Pa.秒の粘度を有する第2の組成物
を含む、ケラチン繊維メイクアップキット。
【請求項2】
第1の組成物が、特にフルオロワックスおよび/またはシリコーンワックス、シリコーンおよび/またはフルオロ表面コーティングもしくは処理を有する顔料、およびそれらの混合物から選択されるシリコーンおよび/またはフルオロ化合物を含む請求項1記載のキット。
【請求項3】
フルオロワックスおよび/またはシリコーンワックスが、フルオロエステル、フルオロワックスのミクロ分散物、置換線状ポリシロキサン、アルコキシジメチコーン、(C20-C60)アルキルジメチコーンおよび、シリコーンもしくはフルオロ基で変性された炭化水素に基づくワックスから選択される請求項2記載のキット。
【請求項4】
フルオロワックスおよび/またはシリコーンワックスが、第1の組成物中に、組成物の全重量に対して5〜25重量%の範囲の含量で存在する請求項3記載のキット。
【請求項5】
第1の組成物が、フルオロおよび/またはシリコーン処理で処理された顔料を含む請求項1〜4のいずれか1項記載のキット。
【請求項6】
フルオロおよび/またはシリコーン処理で処理された顔料が、パーフルオロアルキルホスフェート、ポリヘキサフルオロプロピレンオキシドでコーティングされた顔料、およびメチコーン、ジメチコーン、あるいはパーフルオロアルキル、パーフルオロポリエーテルおよびパーフルオロアルキルシラン基を含むポリオルガノシロキサンもしくは他のシリコーン化合物でコーティングされた顔料から選択される請求項5記載のキット。
【請求項7】
フルオロおよび/またはシリコーン処理で処理された顔料が、組成物の全重量に対して0.5〜10重量%の範囲の含量で存在する請求項6記載のキット。
【請求項8】
第1の組成物が油性連続相を有する請求項1〜7のいずれか1項記載のキット。
【請求項9】
第2の組成物が水性連続相を有する請求項1〜8のいずれか1項記載のキット。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項記載の第1の組成物をケラチン繊維の全部または一部に施与して、第1の堆積物を形成する少なくとも1工程、ならびに請求項1〜9のいずれか1項記載の第2の組成物を第1の堆積物および/またはケラチン繊維の全部または一部の上に施与する少なくとも1工程を含むことを特徴とする、ケラチン繊維メイクアップ法。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか1項記載の第1の組成物をケラチン繊維の基部に施与して、第1の堆積物を形成する少なくとも1工程、ならびに請求項1〜9のいずれか1項記載の第2の組成物を第1の堆積物および/またはケラチン繊維の全部または一部に施与する少なくとも1工程を含むことを特徴とする、ケラチン繊維上のケラチン繊維の端部に真珠もしくはブリッジを形成するためのケラチン繊維メイクアップ法。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれか1項記載の第1の組成物をケラチン繊維の端部に施与して、第1の堆積物を形成する少なくとも1工程、ならびに請求項1〜9のいずれか1項記載の第2の組成物を第1の堆積物および/またはケラチン繊維の全部または一部に施与する少なくとも1工程を含むことを特徴とする、ケラチン繊維の基部の近くにブリッジを形成するためのケラチン繊維メイクアップ法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−169209(P2008−169209A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−96(P2008−96)
【出願日】平成20年1月4日(2008.1.4)
【出願人】(595100370)ロレアル (108)
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL
【Fターム(参考)】