説明

ケラチン繊維上への塗布液を使用するための塗布デバイス

本発明の目的は、ケラチン繊維上に塗布液を塗布するための塗布デバイス(1)であって、塗布液を受容するための少なくとも1つの容器(2)と、該少なくとも1つの容器(2)に接続しており、および繊維をオーバーコーティングすることにより塗布液を与えるための多孔性塗布要素(31)を有する塗布ヘッド(3)とを有し、該塗布液は、少なくとも1つの染料および/または染料前駆体と、少なくとも1つのアルキルリン酸エステルとを含んでなる、塗布デバイスを提供することにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン繊維上への塗布液を使用するための特定の塗布デバイスに関する。ここで、該塗布液は、少なくとも1つの染料および/または染料前駆体および少なくとも1つのアルキルリン酸エステルを含んでなる。
【背景技術】
【0002】
ケラチン繊維の一例としての人毛は、現在、毛髪美容調製物を使用して、様々に処理されている。これらの処理には、例えば、シャンプーを使用する毛髪洗浄、リンスおよびキュアを使用するケアおよび再生、ならびに着色剤、染色剤、パーマネントウェーブローションおよびスタイリング調製物を使用する毛髪の脱色、着色およびスタイリングが含まれる。これらのなかでも、毛髪の色を変化させるかニュアンスを与える剤が、重要な役割を果たしている。
【0003】
一時的着色のために、いわゆる直接染料を着色成分として含有する着色剤または染色剤が一般に使用される。これらは、毛髪に直接付着し、発色のための酸化過程を必要としない染料分子である。これらの染料は、例えば、身体および毛髪を着色するために古くから知られているヘンナを包含する。このような染料は、一般に、洗髪に対して感受性であり、望ましくないニュアンスの変化、または目に見える「脱色」さえも、生じるという結果を伴う。
【0004】
対応する堅牢性を有する持続性の強い着色のために、いわゆる酸化染料が使用される。そのような染料は、酸化染料前駆体、「顕色成分」および「カプラー成分」を一般に含んでなる。酸化剤または大気中の酸素の影響下で、顕色剤成分が、互いに、または1以上のカプラー成分と結合して、実際の染料を形成する。酸化染料は、顕著な持続性着色効果を特徴とする。自然に見える着色のために、比較的多数の酸化染料前駆体の混合物を一般に使用しなければならない(多くの場合、さらなる直接染料もニュアンスを与えるために使用される)。
【0005】
最後に、最近、新しいタイプの染色方法が多くの関心を集めている。この方法において、天然毛髪染料メラニンの前駆体を毛髪に塗布し、毛髪内での酸化過程で、これらが天然類似染料を形成する。
【0006】
5,6-ジヒドロキシインドリンを染料前駆体として用いるこのタイプの生成物が、EP-B1-530229に開示されている。5,6-ジヒドロキシインドリンを含有する剤を使用する場合、特に繰り返して使用する場合、白髪の人において自然な毛髪の色を復元することができる。この場合、大気中の酸素を唯一の酸化剤として着色が起こり、これは他の酸化剤に頼る必要がないことを意味する。元々中程度のブロンドないし褐色の毛髪の人のために、インドリンは唯一の染料前駆体として使用することができる。これと対照的に、元々赤色、特に濃色ないし黒色の毛髪の人に使用する場合、さらなる染料成分、特に特定の酸化染料前駆体との併用によってのみ、満足のゆく結果が得られることが多い。
【0007】
通常、上記3つのカテゴリーの着色剤は、クリーム、ゲルまたは溶液の形態で、通常ブラシを用いて繊維に塗布される。さらに、着色剤は、市販されており、これらは、シャンプー調製物またはコンディショナー処方物として繊維に塗布される。これらの全ての塗布形態において、得られる頭皮の着色は、重要な役割を果たしており、これは不都合であると考えられる。
【0008】
これらのむしろ伝統的な塗布方法に加えて、非常に多様な塗布デバイスが、直接染料および酸化染料に基づく一時的な着色剤のために、これまで開発された。これらのデバイスによって、該組成物を、ケラチン繊維または該繊維の特定領域に塗布し得た。直接染料に基づく着色剤を含んでなる塗布デバイスは、得られる色があまり耐久性ではないという不都合を有する。一方、酸化染料の前駆体に基づく着色剤を含んでなる塗布デバイスは、着色剤の二成分が塗布直前まで別々に包装されたままでなければならないために、非常に精巧に設計されなければならないという不都合を有する。
【0009】
実施例において、DE 199 22 092 A1は、染毛剤を含有する容器に取り付けられた、毛髪の房を着色するためのキャップ様塗布デバイスを記載する。この塗布デバイスは、染毛剤を広げるための複数の出口開口部およびそれに隣接した、塗布の間の櫛の動きによって毛髪内を引き回されるガイド突起部を含む。さらに、染毛剤のより均一な塗布を得るために、剛毛が出口開口部の周りに配置されている。それにも関わらず、剛毛を有する出口開口部は、染毛剤の十分に計量された塗布を可能にしない。特に、染毛剤の過剰放出が起こり得、その結果、所望されない頭皮の濡れも効果的に排除することができない。さらに、先行技術からのこれらの手段は、着色に関して、すなわち、得られる色の強さに関して完全には納得のいくものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の主題は、取扱いが容易で、頭皮をほとんど着色することなく繊維を強く染色することができる着色系を開発することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
鋭意研究した結果、驚くべきことに、染料および/または染料前駆体に基づく塗布液と、アルキルリン酸エステルとを組み合わせた特定の塗布デバイスが、先行技術の不都合を解消することを見出した。今後、本発明の塗布デバイスを用いて、白髪の領域、特に側頭部、輪郭部および頂部の領域を選択的に染色することが可能である。これにより、本発明の着色は、ほとんど頭皮の着色もなく得られる。
【0012】
したがって、本発明の第一の主題は、ケラチン繊維上に塗布液を塗布するための塗布デバイス(1)であって、塗布液を受容するための少なくとも1つの容器(2)と、該少なくとも1つの容器(2)に接続しており、および繊維をオーバーコーティングすることにより塗布液を与えるための多孔性塗布要素(31)を有する塗布ヘッド(3)とを有し、該塗布液は、少なくとも1つの染料および/または染料前駆体と、少なくとも1つのアルキルリン酸エステルとを含んでなる、塗布デバイスである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一般的な塗布デバイスの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に本質的である第一成分として、本発明の塗布液は、少なくとも1つのアルキルリン酸エステルを含んでなる。
【0015】
本発明によれば、塗布液が、式(I):
【0016】
【化1】

【0017】
[式中、R1、R2およびR3は、互いに独立して水素原子、アルカリ金属カチオン、または式(II):
-(C2H4O)m-(C3H6O)n-R4 (II)
(式中、mおよびnは、互いに独立して0と20との間の整数を意味し、およびR4は、飽和または不飽和、分枝状または非分枝状のC5-28アルキル基を意味する。)
で示される基を意味し、
ただし、R1基、R2基またはR3基の少なくとも1つは式(II)で示される基を意味する。]
で示される少なくとも1つのアルキルリン酸エステルを含んでなる場合が好適であり得る。
【0018】
さらに、塗布液が、式(I)で示される少なくとも1つのアルキルリン酸エステル(式中、R1基、R2基またはR3基の1つは水素原子である。)を含んでなる場合、好適であることが判明した。
【0019】
同様に、R1基、R2基またはR3基の少なくとも1つが、アルカリ金属カチオン、好ましくはナトリウムカチオン、カリウムカチオン、またはリチウムカチオンを意味する場合、好適であることが判明した。ナトリウムカチオンおよびカリウムカチオンは、とりわけ好ましい。
【0020】
さらに、塗布液が、式(I)で示される少なくとも1つのアルキルリン酸エステル(式中、R4基は、飽和または不飽和、分枝状または非分枝状のC12-22-アルキル基、特に不飽和アルキル基、とりわけ好ましくはオレイル基を意味する。)を含んでなる場合、好適であることが判明した。
【0021】
例示の適当なアルキルリン酸エステルは、リン酸とエトキシル化ラウリルアルコールとのジエステル(INCI名:ジラウレス-4ホスフェート)、商品名Hostaphat(登録商標) KO 200のもとClariantから市販されるリン酸とオレイルアルコールとのモノエステルおよびジエステルの混合物(INCI名:オレイルホスフェート)、リン酸とエトキシル化セテアリルアルコールとのトリエステル(INCI名:トリセテアレス-4ホスフェート)、リン酸とエトキシル化オレイルアルコールとのトリエステル(INCI名:トリオレス-8ホスフェート)、リン酸とオレイルアルコールとのトリエステル(INCI名:トリオレイルホスフェート)、並びにINCI名ジセチルホスフェート、カリウムセチルホスフェート、ナトリウムラウリルホスフェートを有するリン酸エステルである。
【0022】
同様に、部分または完全フッ素化アルキル基を有するアルキルリン酸エステル、例えば、一般式(I)[式中、R1基、R2基およびR3基は、互いに独立して、上記意味に加えて、Rf(CH2)x-(OCH2CH2)y-基(式中、Rfは、4〜20個、好ましくは6〜18個の炭素原子を有する完全フッ素化アルキル基を意味し、xは、0〜4の数、好ましくは2を意味し、およびyは、0〜20の数を意味する。)も意味し得る。]で示されるものが好ましい。
【0023】
適当なフッ素化アルキルリン酸エステルは、フッ素化、必要に応じてエトキシル化されたアルコールと、リン酸、POCl3、P4O10またはポリリン酸との反応からの反応生成物である。例えば、商品名HOE S 2746のもとClariantから市販されているパーフルオロアルキルエチルホスフェートのジエタノールアンモニウム塩が適当である。
【0024】
本発明が基づく研究において、塗布液が2つの異なるアルキルリン酸エステルを含んでなる場合、有利であることが判明した。
【0025】
少なくとも1つのジアルキルリン酸エステルおよび/または少なくとも1つのエトキシル化モノアルキルリン酸エステルを含んでなる塗布液は、本発明に特に好適である。
【0026】
塗布液が、2つの異なるアルキルリン酸エステルを、エトキシル化モノアルキルリン酸エステルとジアルキルリン酸エステルとの比1:5〜5:1、特に1:1〜2:1で含んでなる場合、特に適当であることが判明した。
【0027】
本発明のとりわけ好適なアルキルリン酸エステルの組合せは、例えば商品名Crodafos(登録商標) HCEのもとCrodaによって市販されているような、オレス-5ホスフェートとジオレイルホスフェートとの組合せである。
【0028】
アルキルリン酸エステルは、0.01〜80重量%の量で、特に好ましくは0.1〜10重量%の量で好適に用いられる。
【0029】
さらに、塗布液を低粘度であるように処方した場合、特に好ましいことが判明した。酸化剤調製物との混合後、0〜2000 mPasの粘度(22℃にて、ブルックフィールド粘度計、スピンドル4、速度4 rpmで測定)を示す塗布液が、特に好適であることが判明した。本発明によれば、0〜100 mPasの粘度(上記条件で測定)が特に好ましい。本発明によれば、50〜500 mPasの粘度(20℃(ブルックフィールド粘度計タイプRV-T、スピンドル4、回転速度20 rpmで測定)がとりわけ好ましい。
【0030】
本発明に本質的である第二の成分として、本発明の塗布液は、少なくとも1つの染料および/または少なくとも1つの染料前駆体を含んでなる。
第一の好適な実施態様において、塗布液は、少なくとも1つの染料を含んでなる。
【0031】
直接染料は、好ましくはニトロフェニレンジアミン、ニトロアミノフェノール、アゾ染料、アントラキノンまたはインドフェノールから選択される。特に好適な直接染料は、下記の国際名または商品名で既知の化合物である:HC Yellow 2、HC Yellow 4、HC Yellow 5、HC Yellow 6、HC Yellow 12、Acid Yellow 1、Acid Yellow 10、Acid Yellow 23、Acid Yellow 36、HC Orange 1、Disperse Orange 3、Acid Orange 7、HC Red 1、HC Red 3、HC Red 10、HC Red 11、HC Red 13、Acid Red 33、Acid Red 52、HC Red BN、Pigment Red 57:1、HC Blue 2、HC Blue 12、Disperse Blue 3、Acid Blue 7、Acid Green 50、HC Violet 1、Disperse Violet 1、Disperse Violet 4、Acid Violet 43、Disperse Black 9、Acid Black 1およびAcid Black 52、および1,4-ジアミノ-2-ニトロベンゼン、2-アミノ-4-ニトロフェノール、1,4-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-ニトロベンゼン、3-ニトロ-4-(β-ヒドロキシエチル)アミノフェノール、2-(2'-ヒドロキシエチル)アミノ-4,6-ジニトロフェノール、1-(2'-ヒドロキシエチル)アミノ-4-メチル-2-ニトロベンゼン、1-アミノ-4-(2'-ヒドロキシエチル)アミノ-5-クロロ-2-ニトロベンゼン、4-アミノ-3-ニトロフェノール、1-(2'-ウレイドエチル)アミノ-4-ニトロベンゼン、4-アミノ-2-ニトロジフェニルアミン-2'-カルボン酸、6-ニトロ-1,2,3,4-テトラヒドロキノキサリン、2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン、ピクラミン酸およびその塩、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、4-エチルアミノ-3-ニトロ安息香酸および2-クロロ-6-エチルアミノ-1-ヒドロキシ-4-ニトロベンゼン。
【0032】
さらに、本発明の剤は、少なくとも1つのカチオン性直接染料を含んでなることが好ましい。特に好ましいのは、下記のカチオン染料である:
(a)カチオントリフェニルメタン染料、例えば、Basic Blue 7、Basic Blue 26、Basic Violet 2およびBasic Violet 14;
(b)第四級窒素原子によって置換された芳香族系、例えば、Basic Yellow 57、Basic Red 76、Basic Blue 99、Basic Brown 16およびBasic Brown 17;および
(c)例えばEP-A2-998908(参照により本明細書に明示的に組み入れられる)の請求項6〜11に特定されているような、少なくとも1つの第四級窒素原子を含有する複素環を有する直接染料。
【0033】
(c)群の好ましいカチオン性直接染料は、特に下記の化合物である:
【0034】
【化2】

【0035】
【化3】

【0036】
【化4】

【0037】
Basic Yellow 87、Basic Orange 31およびBasic Red 51の名称でも既知の式(DZ1)(DZ3)および(DZ5)の化合物は、(c)群の特に好ましいカチオン性直接染料である。
商品名Arianor(登録商標)で市販されているカチオン性直接染料も、特に好ましい本発明のカチオン性直接染料である。
【0038】
さらに、本発明の調製物は、例えば、ヘンナレッド、ヘンナナチュラル、ヘンナブラック、カミツレの花、ビャクダン、紅茶、セイヨウイソノキの樹皮、セージ、ロッグウッド、アカネの根、カテキュー、セダーおよびアルカンナの根に存在するような、天然に存在する染料も含んでなることができる。
【0039】
本発明の剤は、直接染料を、好ましくは全塗布液に基づいて0.01〜20重量%の量で含有する。
【0040】
本実施態様において、本発明の塗布液が、少なくとも1つのアニオン性直接染料を含んでなることがとりわけ好ましいことが分かった。
【0041】
染料に加えて、または染料の代わりに、本発明の塗布液は、少なくとも1つの染料前駆体を含んでなり得る。本発明に好適な染料前駆体としては、第一に、顕色剤型およびカプラー型の酸化染料前駆体、および第二に、天然類似染料の前駆体が挙げられる。
【0042】
通常、本発明の塗布液は、少なくとも1つの顕色剤成分および少なくとも1つのカプラー成分を含んでなる。したがって、塗布液が、少なくとも1つの顕色剤成分を含んでなることが好適であると分かった。
【0043】
顕色剤成分は、通常、パラまたはオルト位にさらなる遊離または置換ヒドロキシまたはアミノ基を有する第一級芳香族アミン、ジアミノピリジン誘導体、複素環式ヒドラゾン、4-アミノピラゾロン誘導体、並びに2,4,5,6-テトラアミノピリミジンおよびその誘導体である。
【0044】
本発明によれば、p-フェニレンジアミン誘導体またはその生理的適合性塩の1つを、顕色剤成分として使用するのが好ましい。特に好ましいのは、式(E1)のp-フェニレンジアミン誘導体である:
【0045】
【化5】

[式中、
- G1は、水素原子、C1〜C4アルキル基、C1〜C4モノヒドロキシアルキル基、C2〜C4ポリヒドロキシアルキル基、(C1〜C4)アルコキシ(C1〜C4)アルキル基、4'-アミノフェニル基であるか、または窒素含有基、フェニル基もしくは4'-アミノフェニル基によって置換されたC1〜C4アルキル基であり;
- G2は、水素原子、C1〜C4アルキル基、C1〜C4モノヒドロキシアルキル基、C2〜C4ポリヒドロキシアルキル基、(C1〜C4)アルコキシ(C1〜C4)アルキル基、または窒素含有基によって置換されたC1〜C4アルキル基であり;
- G3は、水素原子、ハロゲン原子、例えば、塩素、臭素、ヨウ素またはフッ素原子、C1〜C4アルキル基、C1〜C4モノヒドロキシアルキル基、C2〜C4ポリヒドロキシアルキル基、C1〜C4ヒドロキシアルコキシ基、C1〜C4アセチルアミノアルコキシ基、C1〜C4メシルアミノアルコキシ基、またはC1〜C4カルバモイルアミノアルコキシ基であり;
- Gは、水素原子、ハロゲン原子またはC1〜C4アルキル基であるか;または
- G3およびG4が互いにオルト位にある場合、それらは一緒になって架橋α,ω-アルキレンジオキソ基、例えばエチレンジオキシ基を形成しうる。]。
【0046】
本発明の化合物における置換基として指定されるC1〜C4アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよびブチル基である。エチルおよびメチルが好ましいアルキル基である。本発明に好ましいC1〜C4アルコキシ基は、例えば、メトキシまたはエトキシ基である。さらに、指定しうるC1〜C4ヒドロキシアルキル基の好ましい例は、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシプロピル基または4-ヒドロキシブチル基である。2-ヒドロキシエチル基が特に好ましい。特に好ましいC2〜C4ポリヒドロキシアルキル基、1,2-ジヒドロキシエチル基である。本発明によれば、ハロゲン原子の例は、F、ClまたはBr原子であり、Cl原子が特に好ましい。本発明によれば、使用される他の用語は、ここに示す定義から派生される。式(E1)の窒素含有基の例は、特に、アミノ基、C1〜C4モノアルキルアミノ基、C1〜C4ジアルキルアミノ基、C1〜C4トリアルキルアンモニウム基、C1〜C4モノヒドロキシアルキルアミノ基、イミダゾリニウムおよびアンモニウムである。
【0047】
式(E1)の特に好ましいp-フェニレンジアミンは、下記の化合物から選択される:p-フェニレンジアミン、p-トルイレンジアミン、2-クロロ-p-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-p-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-p-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-p-フェニレンジアミン、2,5-ジメチル-p-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-p-フェニレンジアミン、N,N-ジエチル-p-フェニレンジアミン、N,N-ジプロピル-p-フェニレンジアミン、4-アミノ-3-メチル-(N,N-ジエチル)アニリン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルアニリン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-クロロアニリン、2-(β-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、2-(α,β-ジヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、2-フルオロ-p-フェニレンジアミン、2-イソプロピル-p-フェニレンジアミン、N-(β-ヒドロキシプロピル)-p-フェニレンジアミン、2-ヒドロキシメチル-p-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-3-メチル-p-フェニレンジアミン、N,N-(エチル-β-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、N-(β,γ-ジヒドロキシプロピル)-p-フェニレンジアミン、N-(4'-アミノフェニル)-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-p-フェニレンジアミン、2-(β-ヒドロキシエチルオキシ)-p-フェニレンジアミン、2-(β-アセチルアミノエチルオキシ)-p-フェニレンジアミン、N-(β-メトキシエチル)-p-フェニレンジアミン、N-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-N-[3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル]アミン、および5,8-ジアミノベンゾ-1,4-ジオキサン、並びにそれらの生理的適合性塩。
【0048】
本発明によれば、特に好ましい式(E1)のp-フェニレンジアミン誘導体は、p-フェニレンジアミン、p-トルイレンジアミン、2-(β-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、2-(α,β-ジヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミンおよびN,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミンである。
【0049】
本発明によれば、アミノ基および/またはヒドロキシル基によって置換された少なくとも2個の芳香核を有する化合物を、顕色剤成分として使用するのも好ましい。
【0050】
本発明の着色組成物に使用しうる二核顕色剤の中で特に挙げられるのは、下記の式(E2)で示される化合物、およびその生理的適合性塩である:
【0051】
【化6】

[式中、
- Z1およびZ2は、互いに独立して、ヒドロキシル基またはNH2基であって、C1〜C4アルキル基、C1〜C4ヒドロキシアルキル基および/または架橋Yによって任意に置換されていてよく、または任意に、架橋環系の一部であってよく;
- 架橋Yは、炭素原子1〜14個を有するアルキレン基、例えば、直鎖または分岐鎖アルキレン基またはアルキレン環であって、1個以上の窒素含有基および/または1個以上のヘテロ原子、例えば、酸素、硫黄または窒素原子により中断されるか、または末端化されてもよく、かつ、1個以上のヒドロキシル基またはC1〜C8アルコキシ基によって置換されている場合もある、またはYは直接結合であり;
- G5およびG6は、互いに独立して、水素またはハロゲン原子、C1〜C4アルキル基、C1〜C4モノヒドロキシアルキル基、C2〜C4ポリヒドロキシアルキル基、C1〜C4アミノアルキル基、または架橋Yへの直接結合であり;
- G7、G8、G9、G10、G11およびG12は、互いに独立して、水素原子、架橋Yへの直接結合、またはC1〜C4アルキル基であり;
但し、
- 式(E2)の化合物は、1分子につき唯1つの架橋Yを有するものとする。]。
本発明によれば、式(E2)における置換基は、前記と同様に定義される。
【0052】
好ましい式(E2)の二核顕色剤成分は、特に下記の化合物である:N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)-1,3-ジアミノプロパン-2-オール、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)エチレンジアミン、N,N'-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(4-メチルアミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ジエチル-N,N'-ビス(4'-アミノ-3'-メチルフェニル)エチレンジアミン、ビス(2-ヒドロキシ-5-アミノフェニル)メタン、N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)-1,4-ジアザシクロヘプタン、N,N'-ビス(2-ヒドロキシ-5-アミノベンジル)ピペラジン、N-(4'-アミノフェニル)-p-フェニレンジアミンおよび1,10-ビス(2',5'-ジアミノフェニル)-1,4,7,10-テトラオキサデカン、ならびにそれらの生理的適合性塩。
【0053】
特に好ましい式(E2)の二核顕色剤成分は、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)-1,3-ジアミノプロパン-2-オール、ビス(2-ヒドロキシ-5-アミノフェニル)メタン、1,3-ビス(2,5-ジアミノフェノキシ)プロパン-2-オール、N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)-1,4-ジアザシクロヘプタン、および1,10-ビス(2',5'-ジアミノフェニル)-1,4,7,10-テトラオキサデカン、またはそれらの生理的適合性塩の1つ。
【0054】
さらに、本発明によれば、p-アミノフェノール誘導体またはその生理的適合性塩の1つを、顕色剤成分として使用するのも好ましい。特に好ましいのは、式(E3)のp-アミノフェノール誘導体である:
【0055】
【化7】

[式中、
- G13は、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C4アルキル基、C1〜C4モノヒドロキシアルキル基、C2〜C4ポリヒドロキシアルキル基、(C1〜C4)アルコキシ(C1〜C4)アルキル基、C1〜C4アミノアルキル基、ヒドロキシ(C1〜C4)アルキルアミノ基、C1〜C4ヒドロキシアルコキシ基、C1〜C4ヒドロキシアルキル(C1〜C4)アミノアルキル基、または(ジ- C1〜C4アルキルアミノ)(C1〜C4)アルキル基であり;
- G14は、水素またはハロゲン原子、C1〜C4アルキル基、C1〜C4モノヒドロキシアルキル基、C2〜C4ポリヒドロキシアルキル基、(C1〜C4)アルコキシ(C1〜C4)アルキル基、C1〜C4アミノアルキル基、またはC1〜C4シアノアルキル基であり;
- G15は、水素、C1〜C4アルキル基、C1〜C4モノヒドロキシアルキル基、C2〜C4ポリヒドロキシアルキル基、フェニル基またはベンジル基であり;
- G16は、水素またはハロゲン原子である。]。
本発明によれば、式(E3)における置換基は、前記と同様に定義される。
【0056】
好ましい式(E3)のp-アミノフェノールは、特に下記の化合物である:p-アミノフェノール、N-メチル-p-アミノフェノール、4-アミノ-3-メチルフェノール、4-アミノ-3-フルオロフェノール、2-ヒドロキシメチルアミノ-4-アミノフェノール、4-アミノ-3-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-(β-ヒドロキシエトキシ)フェノール、4-アミノ-2-メチルフェノール、4-アミノ-2-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メトキシメチルフェノール、4-アミノ-2-アミノメチルフェノール、4-アミノ-2-(β-ヒドロキシエチルアミノメチル)フェノール、4-アミノ-2-(α,β-ジヒドロキシエチル)フェノール、4-アミノ-2-フルオロフェノール、4-アミノ-2-クロロフェノール、4-アミノ-2,6-ジクロロフェノール、4-アミノ-2-(ジエチルアミノメチル)フェノールおよびそれらの生理的適合性塩。
【0057】
特に好ましい式(E3)の化合物は、p-アミノフェノール、4-アミノ-3-メチルフェノール、4-アミノ-2-アミノメチルフェノール、4-アミノ-2-(α,β-ジヒドロキシエチル)フェノール、および4-アミノ-2-(ジエチルアミノメチル)フェノールである。
【0058】
さらに、顕色剤成分は、o-アミノフェノールおよびその誘導体、例えば、2-アミノ-4-メチルフェノール、2-アミノ-5-メチルフェノールまたは2-アミノ-4-クロロフェノールから選択することもできる。
【0059】
さらに、顕色剤成分は、複素環式顕色剤成分、例えば、ピリジン、ピリミジン、ピラゾール、ピラゾール-ピリミジン誘導体、およびそれらの生理的適合性塩から選択することもできる。
【0060】
好ましいピリジン誘導体は、特に、GB 1026978およびGB 1153196に開示されている化合物、例えば、2,5-ジアミノピリジン、2-(4'-メトキシフェニル)アミノ-3-アミノピリジン、2,3-ジアミノ-6-メトキシピリジン、2-(β-メトキシエチル)アミノ-3-アミノ-6-メトキシピリジンおよび3,4-ジアミノピリジンから選択される。
【0061】
好ましいピリミジン誘導体は、特に、ドイツ特許DE 2359399、日本公開公報JP 02019576 A2または国際公開公報WO 96/15765に開示されている化合物、例えば、2,4,5,6-テトラアミノピリミジン、4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン、2-ヒドロキシ-4,5,6-トリアミノピリミジン、2-ジメチルアミノ-4,5,6-トリアミノピリミジン、2,4-ジヒドロキシ-5,6-ジアミノピリミジンおよび2,5,6-トリアミノピリミジンである。
【0062】
好ましいピラゾール誘導体は、特に、特許DE 3843892、DE 4133957、ならびに特許出願WO 94/08969、WO 94/08970、EP-740931およびDE 19543988に開示されている化合物、例えば、下記の化合物である:4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール、3,4-ジアミノピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(4'-クロロベンジル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1,3-ジメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-フェニルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-メチル-3-フェニルピラゾール、4-アミノ-1,3-ジメチル-5-ヒドラジノピラゾール、1-ベンジル-4,5-ジアミノ-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-tert-ブチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-tert-ブチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-(4'-メトキシフェニル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-ヒドロキシメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-イソプロピルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-イソプロピルピラゾール、4-アミノ-5-(β-アミノエチル)アミノ-1,3-ジメチルピラゾール、3,4,5-トリアミノピラゾール、1-メチル-3,4,5-トリアミノピラゾール、3,5-ジアミノ-1-メチル-4-メチルアミノピラゾールおよび3,5-ジアミノ-4-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-1-メチルピラゾール。
【0063】
好ましいピラゾロピリミジン誘導体は、特に、下記の式(E4)のピラゾロ[1,5-a]ピリミジンの誘導体、および、互変異性平衡が存在する場合に、その互変異性型である:
【0064】
【化8】

[式中、
- G17、G18、G19およびG20は、互いに独立して、水素原子、C1〜C4アルキル基、アリール基、C1〜C4ヒドロキシアルキル基、C2〜C4ポリヒドロキシアルキル基、(C1〜C4)アルコキシ(C1〜C4)アルキル基、C1〜C4アミノアルキル基(アセチルウレイドまたはスルホニル基によって任意に保護されていてよい)、(C1〜C4)アルキルアミノ(C1〜C4)アルキル基、ジ[(C1〜C4)-アルキル](C1〜C4)アミノアルキル基(該ジアルキル基は、5または6個の鎖員と共に炭素環または複素環を任意に形成してよい)、C1〜C4-ヒドロキシアルキルまたはジ(C1〜C4)[ヒドロキシアルキル](C1〜C4)アミノアルキル基であり;
- X基は、互いに独立して、水素原子、C1〜C4アルキル基、アリール基、C1〜C4ヒドロキシアルキル基、C2〜C4ポリヒドロキシアルキル基、C1〜C4アミノアルキル基、(C1〜C4)アルキルアミノ(C1〜C4)アルキル基、ジ[(C1〜C4)-アルキル](C1〜C4)アミノアルキル基(該ジアルキル基は、5または6個の鎖員と共に炭素環または複素環を任意に形成してよい)、C1〜C4ヒドロキシアルキルまたはジ(C1〜C4ヒドロキシアルキル)アミノアルキル基、アミノ基、C1〜C4アルキルまたはジ(C1〜C4ヒドロキシアルキル)アミノ基、ハロゲン原子、カルボン酸基またはスルホン酸基であり;
- iは、0、1、2または3の数値であり;
- pは、0または1の数値であり;
- qは、0または1の数値であり;
- nは、0または1の数値であり;
但し、
- p+qの合計は0でないものとし;
- p+qが2の場合、nは0の数値であり、NG17G18基およびNG19G20基は、(2,3)、(5,6)、(6,7)、(3,5)または(3,7)の位置にあるものとし;
- p+qが1の場合、nは1の数値であり、NG17G18(またはNG19G20)基およびOH基は、(2,3)、(5,6)、(6,7)、(3,5)または(3,7)の位置にあるものとする。]。
本発明によれば、式(E4)における置換基は前記と同様に定義される。
【0065】
前記の式(E4)のピラゾロ[1,5-a]ピリミジンが、環系の2、5または7位の1つにヒドロキシル基を有する場合、例えば下記の式で示されるような互変異性平衡が存在する:
【0066】
【化9】

【0067】
前記の式(E4)のピラゾロ[1,5-a]ピリミジンの中で、特に下記の化合物が挙げられる:
- ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン;
- 2,5-ジメチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン;
- ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,5-ジアミン;
- 2,7-ジメチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,5-ジアミン;
- 3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-オール;
- 3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-5-オール;
- 2-(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミノ)エタノール;
- 2-(7-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イルアミノ)エタノール;
- 2-[(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール;
- 2-[(7-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール;
- 5,6-ジメチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン;
- 2,6-ジメチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン;
- 3-アミノ-7-ジメチルアミノ-2,5-ジメチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン;
ならびにそれらの生理的適合性塩、および互変異性平衡が存在する場合にそれらの互変異性型。
【0068】
文献に記載されているように、前記の式(E4)のピラゾロ[1,5-a]ピリミジンは、アミノピラゾールまたはヒドラジンから開始する環化によって製造することができる。
【0069】
他の好ましい態様において、本発明の着色剤は、少なくとも1つのカプラー成分を含んでなる。
【0070】
使用されるカプラー成分は、一般に、m-フェニレンジアミン誘導体、ナフトール、レゾルシノールおよびレゾルシノール誘導体、ピラゾロンおよびm-アミノフェノール誘導体である。好適なカプラー物質は、特に下記の物質である:1-ナフトール、1,5-、2,7-および1,7-ジヒドロキシナフタレン、5-アミノ-2-メチルフェノール、m-アミノフェノール、レゾルシノール、レゾルシノールモノメチルエーテル、m-フェニレンジアミン、1-フェニル-3-メチルピラゾロン-5、2,4-ジクロロ-3-アミノフェノール、1,3-ビス(2',4'-ジアミノフェノキシ)プロパン、2-クロロレゾルシノール、4-クロロレゾルシノール、2-クロロ-6-メチル-3-アミノフェノール、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、2-メチルレゾルシノール、5-メチルレゾルシノールおよび2-メチル-4-クロロ-5-アミノフェノール。
【0071】
本発明によれば、好ましいカプラー成分は、下記の物質である:
- m-アミノフェノールおよびその誘導体、例えば、5-アミノ-2-メチルフェノール、N-シクロペンチル-3-アミノフェノール、3-アミノ-2-クロロ-6-メチルフェノール、2-ヒドロキシ-4-アミノフェノキシエタノール、2,6-ジメチル-3-アミノフェノール、3-トリフルオロアセチルアミノ-2-クロロ-6-メチルフェノール、5-アミノ-4-クロロ-2-メチルフェノール、5-アミノ-4-メトキシ-2-メチルフェノール、5-(2'-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルフェノール、3-(ジエチルアミノ)フェノール、N-シクロペンチル-3-アミノフェノール、1,3-ジヒドロキシ-5-(メチルアミノ)ベンゼン、3-エチルアミノ-4-メチルフェノールおよび2,4-ジクロロ-3-アミノフェノール;
- o-アミノフェノールおよびその誘導体;
- m-ジアミノベンゼンおよびその誘導体、例えば、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、1,3-ビス(2',4'-ジアミノフェノキシ)プロパン、1-メトキシ-2-アミノ-4-(2'-ヒドロキシエチルアミノ)ベンゼン、1,3-ビス(2',4'-ジアミノフェニル)プロパン、2,6-ビス(2'-ヒドロキシエチルアミノ)-1-メチルベンゼン、2-({3-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-4-メトキシ-5-メチルフェニル}アミノ)エタノール、2-({3-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-メトキシ-5-メチルフェニル}アミノ)エタノール、2-({3-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-4,5-ジメチルフェニル}-アミノ)エタノール、2-[3-モルホリン-4-イルフェニル)アミノ]エタノール、3-アミノ-4-(2-メトキシエトキシ)-5-メチルフェニルアミンおよび1-アミノ-3-ビス(2'-ヒドロキシエチル)アミノベンゼン);
- o-ジアミノベンゼンおよびその誘導体、例えば、3,4-ジアミノ安息香酸、および2,3-ジアミノ-1-メチルベンゼン;
- ジ-またはトリヒドロキシベンゼン誘導体、例えば、レゾルシノール、レゾルシノールモノメチルエーテル、2-メチルレゾルシノール、5-メチルレゾルシノール、2,5-ジメチルレゾルシノール、2-クロロレゾルシノール、4-クロロレゾルシノール、ピロガロールおよび1,2,4-トリヒドロキシベンゼン;
- ピリジン誘導体、例えば、2,6-ジヒドロキシピリジン、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、2-アミノ-5-クロロ-3-ヒドロキシピリジン、3-アミノ-2-メチルアミノ-6-メトキシピリジン、2,6-ジヒドロキシ-3,4-ジメチルピリジン、2,6-ジヒドロキシ-4-メチルピリジン、2,6-ジアミノピリジン、2,3-ジアミノ-6-メトキシピリジンおよび3,5-ジアミノ-2,6-ジメトキシピリジン;
- ナフタレン誘導体、例えば、1-ナフトール、2-メチル-1-ナフトール、2-ヒドロキシメチル-1-ナフトール、2-ヒドロキシエチル-1-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、1,8-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレンおよび2,3-ジヒドロキシナフタレン;
- モルホリン誘導体、例えば、6-ヒドロキシベンゾモルホリンおよび6-アミノベンゾモルホリン;
- キノキサリン誘導体、例えば、6-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノキサリン;
- ピラゾール誘導体、例えば、1-フェニル-3-メチルピラゾル-5-オン;
- インドール誘導体、例えば、4-ヒドロキシインドール、6-ヒドロキシインドールおよび7-ヒドロキシインドール;
- ピリミジン誘導体、例えば、4,6-ジアミノピリミジン、4-アミノ-2,6-ジヒドロキシピリミジン、2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、2,4,6-トリヒドロキシピリミジン、2-アミノ-4-メチルピリミジン、2-アミノ-4-ヒドロキシ-6-メチルピリミジンおよび4,6-ジヒドロキシ-2-メチルピリミジン;または
- メチレンジオキシベンゼン誘導体、例えば、1-ヒドロキシ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、1-アミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼンおよび1-(2'-ヒドロキシエチル)アミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン;
ならびにそれらの生理的適合性塩。
【0072】
本発明によれば、特に好ましいカプラー成分は、1-ナフトール、1,5-、2,7-および1,7-ジヒドロキシナフタレン、3-アミノフェノール、5-アミノ-2-メチルフェノール、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、レゾルシノール、4-クロロレゾルシノール、2-クロロ-6-メチル-3-アミノフェノール、2-メチルレゾルシノール、5-メチルレゾルシノール、2,5-ジメチルレゾルシノールおよび2,6-ジヒドロキシ-3,4-ジメチルピリジン。
【0073】
本発明の染色剤組成物は、顕色剤成分およびカプラー成分を、全酸化染色剤組成物に基づいて、それぞれ0.005〜20重量%、好ましくは0.1〜5重量%の量で含んでなるのが好ましい。この場合、顕色剤成分およびカプラー成分は、互いにほぼモル量で一般に使用される。モル使用は好都合であることが分かっているが、個々の酸化染料前駆体の特定の過剰は不都合ではなく、これは、顕色剤成分およびカプラー成分が、モル比1:0.5〜1:3、特に1:1〜1:2で存在しうることを意味する。
【0074】
本発明の他の態様において、本発明の塗布液は、少なくとも1つの天然類似染料の前駆体を、染料前駆体(DP)として含有する。使用される天然類似染料の前駆体は、少なくとも1個のヒドロキシまたはアミノ基を、好ましくは6員環上の置換基として有するインドールおよびインドリンであるのが好ましい。これらの基は、例えばヒドロキシ基のエーテル化もしくはエステル化またはアミノ基のアルキル化の形態の、さらなる置換基を有することができる。第二の好ましい態様において、着色剤は、少なくとも1つのインドールおよび/またはインドリン誘導体を含有する。
【0075】
天然類似毛髪染料の前駆体として特に適しているのは、式(NAV I):
【0076】
【化10】

【0077】
[式中、互いに独立して、
- G19は、水素、C1〜C4アルキル基またはC1〜C4ヒドロキシアルキル基であり;
- G20は、水素または-COOH基であり、該-COOH基は、生理的適合性カチオンとの塩として存在することもでき;
- G21は、水素またはC1〜C4アルキル基であり;
- G22は、水素、C1〜C4アルキル基または-CO-G24基であり、ここでG24はC1〜C4アルキル基であり;
- G23は、G22について示した基の1つである。]
で示される5,6-ジヒドロキシインドリンの誘導体、ならびにそれらの化合物と有機または無機酸との生理的適合性塩である。
【0078】
特に好ましいインドリン誘導体は、5,6-ジヒドロキシインドリン、N-メチル-5,6-ジヒドロキシインドリン、N-エチル-5,6-ジヒドロキシインドリン、N-プロピル-5,6-ジヒドロキシインドリン、N-ブチル-5,6-ジヒドロキシインドリン、5,6-ジヒドロキシインドリン-2-カルボン酸および6-ヒドロキシインドリン、6-アミノインドリンおよび4-アミノインドリンである。
【0079】
この群の中で、特に重要なのは、N-メチル-5,6-ジヒドロキシインドリン、N-エチル-5,6-ジヒドロキシインドリン、N-プロピル-5,6-ジヒドロキシインドリン、N-ブチル-5,6-ジヒドロキシインドリン、特に5,6-ジヒドロキシインドリンである。
【0080】
特に好適な天然類似染毛剤前駆体は、式(NAV II):
【0081】
【化11】

【0082】
[式中、互いに独立して、
- G25は、水素、C1〜C4アルキル基またはC1〜C4ヒドロキシアルキル基であり;
- G26は、水素または-COOH基であり、該-COOH基は、生理的適合性カチオンとの塩として存在することもでき;
- G27は、水素またはC1〜C4アルキル基であり;
- G28は、水素、C1〜C4アルキル基または-CO-G30基であり、ここでG30はC1〜C4アルキル基であり;
- G29は、G28について示した基の1つである。]
で示される5,6-ジヒドロキシインドール誘導体、ならびにそれらの化合物と有機または無機酸との生理的適合性塩である。
【0083】
特に好ましいインドール誘導体は、5,6-ジヒドロキシインドール、N-メチル-5,6-ジヒドロキシインドール、N-エチル-5,6-ジヒドロキシインドール、N-プロピル-5,6-ジヒドロキシインドール、N-ブチル-5,6-ジヒドロキシインドール、5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸、6-ヒドロキシインドール、6-アミノインドールおよび4-アミノインドールである。
【0084】
この群の中で特に重要なのは、N-メチル-5,6-ジヒドロキシインドール、N-エチル-5,6-ジヒドロキシインドール、N-プロピル-5,6-ジヒドロキシインドール、N-ブチル-5,6-ジヒドロキシインドール、特に5,6-ジヒドロキシインドールである。
【0085】
インドリンおよびインドール誘導体は、本発明の着色剤において、遊離塩基としてか、または無機もしくは有機酸とそれらとの生理的適合性塩、例えば塩酸塩、硫酸塩および臭化水素酸塩の形態で使用しうる。インドールまたはインドリン誘導体は、本発明の着色剤中に、0.05〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%の量で存在する。
【0086】
さらなる実施態様において、染毛剤組成物において、インドリンまたはインドール誘導体を、少なくとも1つのアミノ酸またはオリゴペプチドと組み合わせて使用することが本発明に好適であり得る。該アミノ酸は、有利にはα-アミノ酸である。とりわけ好適なα-アミノ酸は、アルギニン、オルニチン、リジン、セリンおよびヒスチジン、特にアルギニンである。
【0087】
本発明の第三の重要な局面は、塗布デバイスの開発である。
実際の塗布デバイスの有利な設計は、多孔性塗布要素が毛管現象を達成するために連続孔を有するように手配される。塗布液が毛管現象で運ばれることにより連絡される塗布要素の毛管特性は、容器からの塗布液の信頼性のある輸送、並びに繊維全体に渡るオーバーコーティングによる塗布液の計量された塗布を確実にする。さらなる開発された塗布デバイスの変形によれば、塗布要素は、好ましくは繊維、スポンジ、発泡、フェルトまたは焼結タイプの材料構造を有する。この材料構造は、例えば、塗布要素からの塗布液の所望されない漏れまたは滴下が起こらず、同時に信頼性のある液体輸送が塗布要素によって確保されるように、塗布要素の必要とされる毛管現象を与える。
【0088】
多孔性塗布要素の本質的にブロック状の設計の代替物として、該要素は、複数の鉛筆状突出部も有し得る。これは、塗布要素の活性表面を増大させ、これにより塗布液の塗布を改善する。結果として、ケラチン繊維(特に毛髪)全体に渡る塗布要素のストローク運動によって、より良好な着色結果が、量的におよび質的に確保される。
【0089】
塗布デバイスのさらなる好適な実施態様は、必要に応じて取り外し可能な複数の櫛歯を有する塗布ヘッドにおいて達成される。これらの櫛歯は、特に塗布ヘッドに近接して配置される。櫛歯によって、使用の間の塗布ヘッド全体のストローク運動は、最初に繊維または毛髪の解きほぐしを与え、したがって、特に塗布液の均一な塗布を与える。塗布ヘッド上の櫛歯の取り外し可能な配置は、本質的に、塗布デバイスのより多目的の利用を可能にする。また、このタイプの配置は、櫛歯が多孔性塗布要素から突出する場合、有利であることが分かった。毛髪に使用される場合、これは、毛髪に近接した皮膚(特に頭皮)が塗布液で濡れることを回避する。塗布デバイスの好適な実施態様は、塗布ヘッドの櫛歯が、塗布要素の周囲に環状に配置されることからなる。各ストローク運動の方向に独立して、繊維または毛髪は、通常、塗布の間に最初に解きほぐされ、その後、塗布液の実際の塗布が生じる。
【0090】
本発明において、塗布液が適当な水性、アルコール性または水性-アルコール性担体を含む場合、好適であることが分かった。本発明の目的のため、このような担体は、例えば、クリーム、エマルジョン、ゲルまたは界面活性剤含有発泡溶液、例えば、シャンプー、発泡エーロゾルまたは毛髪への使用に適当である他の調製物などである。
【0091】
本発明において、水性-アルコール性溶液は、3〜70重量%のC1-C4アルコール(特に、エタノールまたはイソプロパノール)を含んでなる水溶液を意味すると理解される。本発明の組成物は、さらなる有機溶媒、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、メトキシブタノール、ベンジルアルコール、エチレンジグリコールまたは1,2-プロピレングリコールなどをさらに含み得る。ここで、好ましくは、全ての水溶性有機溶媒が与えられる。
【0092】
少なくとも1つのC1-C4アルコール、並びに少なくとも1つのさらなる有機溶媒を含んでなる水性担体が、本発明に特に好適であることが分かった。これに関して、各々全塗布液に基づいて、含水量が20〜60重量%、好ましくは30〜50重量%であり、C1-C4アルコール含量が20〜60重量%、好ましくは30〜50重量%であり、および有機溶媒含量が1〜30重量%、好ましくは5〜15重量%である場合に、好適であり得る。本実施態様において、水、エタノールおよびプロピレンカーボネートを含んでなる組成物は、特に好適であり得る。
【0093】
本発明の第一の実施態様において、塗布液は、着色成分として、直接染料(好ましくはアニオン性直接染料)のみを本質的に含んでなる。
【0094】
本実施態様において、塗布液は、1〜5、好ましくは1.5〜3のpHである場合が好適であると分かった。
【0095】
本実施態様の塗布液は、好ましくはpHを調整するための有機酸または無機酸を含んでなる。塩酸、硫酸およびリン酸が、好適な無機酸として特に挙げられる。酢酸、グリコール酸、クエン酸、酒石酸、乳酸およびリンゴ酸が、好適な有機酸として特に挙げられる。リンゴ酸が、特に好適に添加される酸である。
【0096】
第二の、同様に好適な実施態様において、塗布液は、少なくとも1つの染料前駆体を含み得る。
【0097】
本実施態様において、本発明の塗布液は、好ましくは酸性化剤および/またはアルキル化剤によって、7〜11、特に8.5〜10のpHに調整される。
【0098】
この目的のために、好適なアルキル化剤は、水酸化アルカリ金属または水酸化アルカリ土類金属、アンモニアまたは有機アミンである。これに関して、有機アミンは、好ましくはモノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチルブタノールおよびトリエタノールアミンからなる群から選択される。特に、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、並びに2-アミノ-2-メチル-プロパノールおよび2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオールが、この群の範囲のなかで好ましい。本発明において、アミノ酸および/またはオリゴペプチド、例えばω-アミノカプロン酸などを、アルカリ化剤として使用することも好ましい。
【0099】
さらに、それらのアミノ酸およびオリゴペプチドが好適に用いられる。その2.5重量%水溶液は、9およびそれより高いpHを示す。このタイプのアミノ酸としては、アルギニンが好ましく用いられる。
本発明に好適な酸に関して、上記実施態様が明確に参照される。
【0100】
原則として、本発明の両実施態様の塗布液は、さらに、このような調製物について既知の全ての活性物質、添加剤および助剤を含み得る。界面活性剤を含まないように塗布液を処方する場合が特に好適であることが判明しているけれども、別の実施態様において、本発明の塗布液はまた、少なくとも1つの界面活性剤を含んでなり得る。ここで、原則として、アニオン性ばかりでなく、双性イオン性、両性、非イオン性およびカチオン性界面活性剤も適当である。しかしながら、多くの場合、アニオン性、双性イオン性または非イオン性界面活性剤の中から界面活性剤を選択することが有利であることが判明した。これに関して、アニオン性界面活性剤がとりわけ好適であり得る。
【0101】
本発明の調製物に好適なアニオン性界面活性剤は、人体に使用するのに好適なあらゆるアニオン性界面活性物質である。これらは、水溶性アニオン性基、例えば、カルボキシレート基、スルフェート基、スルホネート基またはホスホネート基、および炭素原子約10〜22個を有する親油性アルキル基を特徴とする。さらに、グリコールまたはポリグリコールエーテル基、エステル、エーテルおよびアミド基、ならびにヒドロキシル基も、分子中に存在しうる。好適なアニオン性界面活性剤の例は、それぞれの場合に、ナトリウム、カリウムおよびアンモニウム塩の形態、ならびにアルカノール基に2または3個の炭素原子を有するモノ-、ジ-およびトリアルカノールアンモニウム塩である;
- 炭素原子10〜22個を有する直鎖脂肪酸(石鹸):
- 式R-O-(CH2-CH2O)x-CH2-COOHのエーテルカルボン酸[式中、Rは炭素原子10〜22個を有する直鎖アルキル基であり、xは0または1〜16である。];
- アシル基に10〜18個の炭素原子を有するアシルサルコシド;
- アシル基に10〜18個の炭素原子を有するアシルタウリド;
- アシル基に10〜18個の炭素原子を有するアシルイセチオネート;
- アルキル基に8〜18個の炭素原子を有するスルホコハク酸モノ-およびジアルキルエステル、およびアルキル基に8〜18個の炭素原子を有し、オキシエチル基1〜6個を有するスルホコハク酸モノアルキルポリオキシエチルエステル;
- 炭素原子12〜18個を有する直鎖アルカンスルホネート;
- 炭素原子12〜18個を有する直鎖α-オレフィンスルホネート;
- 炭素原子12〜18個を有する脂肪酸の、α-スルホ脂肪酸メチルエステル;
- 式R-O(CH2-CH2O)x-SO3Hのアルキルスルフェートおよびアルキルポリグリコールエーテルスルフェート[式中、Rは、好ましくは、炭素原子10〜18個を有する直鎖アルキル基であり、xは0または1〜12である。];
- DE-A-3725030による界面活性ヒドロキシスルホネートの混合物;
- DE-A-3723354におけるような、硫酸化ヒドロキシアルキルポリエチレンおよび/またはヒドロキシアルキレンプロピレングリコールエーテル;
- DE-A-3926344におけるような、炭素原子12〜24個および二重結合1〜6個を有する不飽和脂肪酸のスルホネート;
- 酒石酸およびクエン酸と、アルコール(炭素原子8〜22個を有する脂肪アルコールへの約2〜15分子のエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの付加生成物)とのエステル。
【0102】
好ましいアニオン性界面活性剤は、アルキル基に10〜18個の炭素原子を有し、分子中に12個までのグリコールエーテル基を有する、アルキルスルフェート、アルキルポリグリコールエーテルスルフェートおよびエーテルカルボン酸、特に、飽和、特に不飽和C8〜C22カルボン酸、例えば、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸およびパルミチン酸の塩である。
【0103】
非イオン性界面活性剤は、例えば、ポリオール基、ポリオアルキレングリコールエーテル基、またはポリオール基およびポリグリコールエーテル基の組み合わせを、親水基として含有する。そのような化合物は、例えば下記の化合物である:
- 炭素原子8〜22個を有する直鎖脂肪アルコール、炭素原子12〜22個を有する脂肪酸、およびアルキル基に炭素原子8〜15個を有するアルキルフェノールへの、エチレンオキシド2〜30molおよび/またはプロピレンオキシド0〜5molの付加生成物;
- グリセロールへのエチレンオキシド1〜30molの付加生成物の、C12〜C22脂肪酸モノ-およびジエステル;
- C8〜C22アルキルモノ-およびオリゴグリコシド、ならびにそれらのエトキシル化類似体;および
- ヒマシ油および水素化ヒマシ油への、エチレンオキシド5〜60molの付加生成物。
【0104】
好ましい非イオン界面活性剤は、一般式R1O-(Z)xのアルキルポリグリコシドである。これらの化合物は、下記のパラメーターを特徴とする。
【0105】
アルキル基R1は、炭素原子6〜22個を有し、直鎖または分岐鎖であってよい。直鎖であるか、または2位でメチル分岐した第一級脂肪族基が好ましい。そのようなアルキル基は、例えば、1-オクチル、1-デシル、1-ラウリル、1-ミリスチル、1-セチルおよび1-ステアリルである。特に好ましいのは、1-オクチル、1-デシル、1-ラウリル、1-ミリスチルである。いわゆる「オキソアルコール」を出発物質として使用した場合、アルキル基に奇数個の炭素原子を有する化合物が優勢である。
【0106】
本発明に使用されるアルキルポリグリコシドは、例えば、単一の所定のアルキル基R1を有することができる。しかしながら、一般に、これらの化合物は、天然油脂または鉱油から出発して生成できる。この場合、アルキル基Rは、出発化合物に対応するか、または各々の化合物のワークアップに対応する混合物として存在する。
【0107】
R1が下記からなるアルキルポリグリコシドが特に好ましい:
- 本質的にC8-およびC10-アルキル基;
- 本質的にC12-およびC14-アルキル基;
- 本質的にC8〜C16-アルキル基;または
- 本質的にC12〜C16-アルキル基。
【0108】
使用しうる糖構成単位Zは、任意の単糖またはオリゴ糖である。一般に、炭素原子5または6個を有する糖、および対応するオリゴ糖が使用される。そのような糖は、例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、アラビノース、リボース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、マンノース、グロース、イドース、タロースおよびスクロースである。好ましい糖構成単位は、グルコース、フルクトース、ガラクトース、アラビノースおよびスクロースであり、グルコースが特に好ましい。
【0109】
本発明に使用しうるアルキルポリグリコシドは、平均で1.1〜5個の糖単位を有する。1.1〜1.6のx値を有するアルキルポリグリコシドが好ましい。特に好ましいのは、xが1.1〜1.4であるアルキルグリコシドである。
【0110】
アルキルグリコシドは、その界面活性作用に加えて、毛髪における香り成分の固定を向上させるようにも作用しうる。従って、毛髪処理期間を越えて持続する毛髪における香油の作用が所望される場合、当業者は、この種の物質を、本発明の調製物の付加的成分として使用するのが好ましい。
【0111】
特定のアルキルポリグリコシドのアルコキシル化同族体も本発明に使用しうる。これらの同族体は、アルキルグリコシド単位当たり平均で10個までのエチレンオキシド単位および/またはプロピレンオキシド単位を有しうる。
【0112】
さらに、双性イオン性界面活性剤も、補助界面活性剤として特に使用することができる。双性イオン性界面活性剤は、少なくとも1個の第四級アンモニウム基および少なくとも1個の-COO-または-SO3-基を分子中に有する界面活性化合物である。特に適当な双性イオン性界面活性剤は、いわゆるベタイン、例えばN-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート(例えばココアルキルジメチルアンモニウムグリシネート)、N-アシルアミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート(例えばココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート)、および2-アルキル-3-カルボキシメチル-3-ヒドロキシエチルイミダゾリンであって、アルキルまたはアシル基の炭素数が8〜18個のもの、並びにココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。好ましい双性イオン性界面活性剤は、INCI名Cocamidopropyl Betaineとして知られる脂肪酸アミド誘導体である。
【0113】
両性界面活性剤も、補助界面活性剤として特に好適である。両性界面活性剤は、C8〜C18アルキルまたはアシル基の他に、少なくとも1個の遊離アミノ基および少なくとも1個の-COOHまたは-SO3H基を分子中に有し、分子内塩を形成しうる界面活性化合物を意味するものと理解される。好適な両性界面活性剤の例は、N-アルキルグリシン、N-アルキルプロピオン酸、N-アルキルアミノ酪酸、N-アルキルイミノジプロピオン酸、N-ヒドロキシエチル-N-アルキルアミドプロピルグリシン、N-アルキルタウリン、N-アルキルサルコシン、2-アルキルアミノプロピオン酸およびアルキルアミノ酢酸であり、これらはそれぞれ、アルキル基に約8〜18個の炭素原子を有する。特に好ましい両性界面活性剤は、N-ココアルキルアミノプロピオネート、ココアシルアミノエチルアミノプロピオネートおよびC12〜18アシルサルコシンである。
【0114】
本発明によれば、カチオン性界面活性剤として、特に第四級アンモニウム化合物型、エステルクォート型およびアミドアミン型が使用される。
【0115】
好適な第四級アンモニウム化合物は、ハロゲン化アンモニウム、特に塩化アンモニウムおよび臭化アンモニウム、例えば塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウムおよび塩化トリアルキルメチルアンモニウム、例えば塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ラウリルジメチルアンモニウム、塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウムおよび塩化トリセチルメチルアンモニウム、並びにINCI名クオタニウム-27およびクオタニウム-83のもと既知であるイミダゾリウム化合物である。上記界面活性剤のアルキル長鎖は、好ましくは10〜18個の炭素原子を有する。
【0116】
エステルクォートは、少なくとも1個のエステル官能基および少なくとも1個の第四級アンモニウム基の両方を、構成成分として含有する既知の物質である。好ましいエステルクォートは、脂肪酸とトリエタノールアミンとの第四級化エステル塩、脂肪酸とジエタノールアルキルアミンとの第四級化エステル塩、および脂肪酸と1,2-ヒドロキシプロピルジアルキルアミンとの第四級化エステル塩である。そのような製品は、例えば、商品名Stepantex(登録商標)、Dehyquart(登録商標)およびArmocare(登録商標)で市販されている。製品Armocare(登録商標) VGH-70、N,N-ビス(2-パルミトイルオキシエチル)ジメチルアンモニウムクロリド、ならびにDehyquart(登録商標) F-75およびDehyquart(登録商標) AU-35は、そのようなエステルクォートの例である。
【0117】
アルキルアミドアミンは、天然または合成脂肪酸および脂肪酸画分のジアルキルアミノアミンでのアミド化によって一般に製造される。本発明に特に好適な、この物質群からの化合物は、商品名Tegoamido(登録商標)S 18で市販されているステアラミドプロピルジメチルアミンである。
【0118】
第四級化タンパク質加水分解物は、さらなる本発明に使用可能なカチオン性界面活性剤を表し、ここで、塩基性タンパク質加水分解物は、動物(例えばコラーゲン、ミルクまたはケラチン)、植物(例えば小麦、トウモロコシ、米、ポテト、ダイズまたはアーモンド)、海洋生物(例えば魚コラーゲンまたは藻類)、または生物工学的に得られるタンパク質加水分解物に由来し得る。
【0119】
本発明のカチオン性誘導体に基づくタンパク質加水分解物は、化学的、特にアルカリまたは酸加水分解によって、酵素加水分解によって、および/または両加水分解の組合せによって、対応するタンパク質から得られる。タンパク質の加水分解は、分子量分布約100ダルトン〜数千ダルトンのタンパク質加水分解物を一般に生じる。分子量100〜25000ダルトン、好ましくは250〜5000ダルトンを有するタンパク質に基づくカチオン性タンパク質加水分解物が好ましい。さらに、カチオン性タンパク質加水分解物は、第四級化アミノ酸およびそれらの混合物を包含するものと理解される。タンパク質加水分解物またはアミノ酸の第四級化は、第四級アンモニウム塩、例えば、N,N-ジメチル-N(n-アルキル)-N-(2-ヒドロキシ-3-クロロ-n-プロピル)アンモニウムハライドを使用して行なわれる場合が多い。さらに、カチオン性タンパク質加水分解物をさらに誘導体化することもできる。
【0120】
本発明のカチオン性タンパク質加水分解物および誘導体の一般的な例は、商業的に入手可能な生成物および「International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook」(第7版、1997年、The Cosmetic, Toiletry, and Fragrance Association 1101 17th Street、N.W.、Suite 300、Washinton、DC 20036-4702)に記載されている化合物である:
【0121】
ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解カゼイン、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解毛髪ケラチン、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ケラチン、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解米タンパク質、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解大豆タンパク質、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解小麦タンパク質、
【0122】
ヒドロキシプロピルアルギニンラウリル/ミリスチルエーテルHCl、ヒドロキシプロピルトリモニウムゼラチン、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解カゼイン、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解コラーゲン、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解コンキオリンタンパク質、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解ケラチン、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解米糠タンパク質、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解大豆タンパク質、ヒドロキシプロピル加水分解植物性タンパク質、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解小麦タンパク質、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解小麦タンパク質/シロキシシリケート、
【0123】
ラウルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解大豆タンパク質、ラウルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解小麦タンパク質、ラウルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解小麦タンパク質/シロキシシリケート、ラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解カゼイン、ラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン、ラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ケラチン、ラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解大豆タンパク質、
【0124】
ステアルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解カゼイン、ステアルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン、ステアルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ケラチン、ステアルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解米タンパク質、ステアルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解大豆タンパク質、ステアルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解植物性タンパク質、ステアルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解小麦タンパク質、ステアルトリモニウムヒドロキシエチル加水分解コラーゲン、
【0125】
クオタニウム-76加水分解コラーゲン、クオタニウム-79加水分解コラーゲン、クオタニウム-79加水分解ケラチン、クオタニウム-79加水分解ミルクタンパク質、クオタニウム-79加水分解大豆タンパク質、クオタニウム-79加水分解小麦タンパク質。
【0126】
下記の市販製品のようなカチオン性シリコーン油も本発明に好適である:Q2-7224(製造会社:Dow Corning;安定化トリメチルシリルアモジメチコーン)、Dow Corning 929エマルジョン(アモジメチコーンとも称されるヒドロキシルアミノ改質シリコーンを含有する)、SM-2059(製造会社:General Electric)、SLM-55067(製造会社:Wacker)ならびにAbil(登録商標)-Quat 3270および3272(製造会社:Th. Goldschmidt;ジ第四級ポリジメチルシロキサン、クオタニウム-80)。
【0127】
カチオン性界面活性剤第四級糖誘導体の一例は、市販品Glucquat(登録商標) 100、INCI名「ラウリルメチルグルセス-10ヒドロキシプロピルジモニウムクロリド」である。
【0128】
界面活性剤として使用されるアルキル基を有する化合物について、それらは、各々純物質であり得る。しかしながら、通常、これらの材料の製造のために、天然植物または動物原料で開始し、結果として、各原料に依存する異なるアルキル鎖長を有する物質混合物を得ることが好ましい。
【0129】
脂肪アルコールへのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの付加生成物またはこれらの付加生成物の誘導体であるこれらの界面活性剤について、「通常の」同族体分布を有する生成物、並びに狭い同族体分布を有する生成物を使用しうる。用語「通常の」同族体分布は、アルカリ金属、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属アルコレートを触媒として使用して脂肪アルコールとアルキレンオキシドとの反応から得られる同族体の混合物を意味するものと理解される。その一方、狭い同族体分布は、例えば、ヒドロタルサイト、エーテルカルボン酸のアルカリ土類金属塩、アルカリ土類金属の酸化物、水酸化物またはアルコレートを触媒として使用した場合に得られる。狭い同族体分布を有する生成物の使用が好ましい。
【0130】
さらに、本発明の方法に使用される剤は、好ましくは、カチオン性界面活性剤、カチオン性ポリマー、アルキルアミドアミン、パラフィン油、植物油および合成油からなる群から選択される、別のコンディショニング活性生成物を含んでなり得る。
好適なコンディショニング活性生成物は、カチオン性ポリマーであり得る。これらは、通常、例えばアンモニウム基の形態で第四級窒素原子を含んでなるポリマーである。
【0131】
好適なカチオン性ポリマーは、例えば、以下のものである:
- 第四級化セルロース誘導体。これらは、Celquat(登録商標)およびPolymer JR(登録商標)の名称のもと市販されている。化合物Celquat(登録商標) H 100、Celquat(登録商標) L 200およびPolymer JR(登録商標) 400は、好適な第四級化セルロース誘導体である。
- ポリマージメチルジアリルアンモニウム塩、並びにアクリル酸、およびアクリル酸およびメタクリル酸のエステルおよびアミドとのそれらのコポリマー。市販品Merquat (Merquat(登録商標) 100(ポリ(塩化ジメチルジアリルアンモニウム))、Merquat(登録商標) 550(塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリルアミドコポリマー)およびMerquat(登録商標) 280(塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸コポリマー)が、このようなカチオン性ポリマーの例である。
- ビニルピロリドンと、ジアルキルアミノアクリレートおよびジアルキルアミノメタクリレートの第四級化誘導体とのコポリマー、例えばビニルピロリドン-ジエチル硫酸で第四級化されたジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマーなど。このような化合物は、商品名Gafquat(登録商標) 734およびGafquat(登録商標) 755のもと市販されている。
- ビニルピロリドン-メトイミダゾリニウムクロリドコポリマー。これらは商品名Luviquat(登録商標)のもと提供されている。
- 第四級化ポリビニルアルコール、
並びにポリマー主鎖中に第四級窒素原子を含有する既知のポリマー、
- ポリクオタニウム-2、
- ポリクオタニウム-17、
- ポリクオタニウム-18、および
- ポリクオタニウム-27。
【0132】
最初に挙げた4つの群のカチオン性ポリマーが特に好ましく、ポリクオタニウム-2、ポリクオタニウム-10およびポリクオタニウム-22がとりわけ好ましい。
【0133】
さらに、シリコーン油および/またはシリコーンガムは、コンディショニング活性物質として好適であり得る。
【0134】
本発明によると、適当なシリコーンまたはシリコーンガムは、とりわけ、ジアルキルおよびアルキルアリルシロキサン、例えば、ジメチルポリシロキサンおよびメチルフェニルポリシロキサン並びにそれらのアルコキシル化、第四級化およびアニオン性誘導体である。
そのようなシリコーンの例としては、以下のものが挙げられる:
- ポリジメチルシクロシロキサンオリゴマー(INCI名:シクロメチコン)、とりわけDC 344およびDC 345の名称でDow Corningから市販されている四量体および五量体化合物、
- ヘキサメチルジシロキサン(INCI名:ヘキサメチルジシロキサン)、例えばAbil(登録商標) K 520の名称の市販製品、
- ポリジメチルシロキサンポリマー(INCI名:ジメチコン)、例えばDC 200の名称のDow Corningによる市販製品、
- ポリフェニルメチルシロキサン(INCI名:フェニルトリメチコン)、例えばDC 566 Fluidの名称のDow Corningによる市販製品、
- シリコーン-グリコールコポリマー(INCI名:ジメチコンコポリオール)、例えばDC 190およびDC 193の名称のDow Corningによる市販製品、
- シリコーン-グリコールコポリマーのエステルおよび部分エステル: Fancorsil(登録商標) LIMの名称でFanningにより市販されている(INCI名:ジメチコンコポリオール メドーフォーメート)、
- ヒドロキシ末端化ジメチルシロキサン(INCI名:ジメチコノール)、例えばDow Corningによる市販製品であるDC 1401およびQ2-1403、
- アミノ官能性ポリジメチルシロキサンおよびヒドロキシアミノ変性シリコーン(INCI名:とりわけアモジメチコンおよびクオタニウム-80)、例えば市販製品 XF42-B1989(製造業者:GE 東芝シリコーン)、Q2-7224(製造業者:Dow Corning、安定化トリメチルシリルアモジメチコン)、Dow Corning(登録商標) 939 Emulsion(アモジメチコンとしても既知のヒドロキシアミノ変性シリコーンを含有する)、SM-2059(製造業者:General Electric)、SLM-55067(製造業者:Wacker)およびAbil(登録商標)-Quat 3270および3272(製造業者:Th. Goldschmidt)、
- アニオン性シリコーン油、例えば、製品Dow Corning(登録商標) 1784。
- アミノ変性有機シリコーン、例えば、製品Abil Soft A843(製造業者:Osi Specialities)。
【0135】
好ましい態様では、本発明の調製物は、揮発性および不揮発性のシリコーンを含有する。本発明において、揮発性シリコーンは、環状五量体ジメチルシロキサンの揮発性と同じかそれより高い揮発性を示すシリコーンである。そのような組合せは市販製品 (例えば、それぞれシクロメチコンおよびジメチコノールの混合物であるDow Corning(登録商標) 1401、Dow Corning(登録商標) 1403およびDow Corning(登録商標) 1501)としても得ることができる。
【0136】
特に好ましい実施態様によれば、本発明の調製物は、ジアルキルポリシロキサンまたはその誘導体の1種を含む。アルキル基であるメチル、エチル、i-プロピルおよびn-プロピルが好ましい。ジメチルポリシロキサンまたはその誘導体の1種が特に好ましい。ジメチルポリシロキサンのアミノ官能性誘導体は特に好ましい。最も好ましい誘導体はアモジメチコンのINCI名で市販されている。本塗布が基づく研究において、アルキルリン酸エステルとジアルキルポリシロキサンとの活性物質の組合せ、特にアルキルリン酸エステルとアモジメチコンとの活性物質の組合せが、本発明の課題をとりわけ高度に解消することを示すことができた。
【0137】
本発明の組成物は、好ましくは最終用途調製物に基づいて0.01〜10重量%、特に0.1〜5重量%の量のシリコーンを含んでなる。
【0138】
シリコーン油、特にジアルキルおよびアルキルアリールシロキサン、例えばジメチルポリシロキサンおよびメチルフェニルポリシロキサンなど、並びにそれらのアルコキシル化および第四級化類似体が、適当なコンディショニング活性生成物である。このようなシリコーンの例は、商品名DC 190、DC 200、DC 344、DC 345およびDC 1401のもとDow Corningからのもの、並びに市販品Q2-7224(製造業者:Dow Corning;安定化トリメチルシリルアモジメチコン)、Dow Corning(登録商標) 929エマルジョン(ヒドロキシアミノ変性シリコーンを含んでなり、アモジメチコンとも呼ばれる)、SM-2059(製造業者:General Electric)、SLM-55067(製造業者:Wacker)、およびAbil(登録商標)-Quat 3270および3272(製造業者:Th. Goldschmidt;ジ第四級ポリジメチルシロキサン、クオタニウム-80)である。
【0139】
コンディショニング活性成分として、同様に、パラフィン油、合成的に調製したアルケンオリゴマー、および植物油、例えばホホバ油、ヒマワリ油、オレンジ油、アーモンド油、小麦胚種油および杏仁油を使用することもできる。
【0140】
同様に適当な毛髪コンディショニング化合物は、リン脂質、例えば大豆レシチン、卵レシチンおよびケファリンである。
【0141】
さらなる活性成分、助剤および添加剤の例は、下記の通りである:
- 非イオン性ポリマー、例えば、ビニルピロリドン/ビニルアクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドンおよびビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマーおよびポリシロキサン;
- 双性イオン性および両性ポリマー、例えば、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/アクリレートコポリマーおよびオクチルアクリルアミド/メチルメタクリレート/tert-ブチルアミノエチルメタクリレート/2-ヒドロキシプロピルメタクリレートコポリマー;
- アニオン性ポリマー、例えば、ポリアクリル酸、架橋ポリアクリル酸、ビニルアセテート/クロトン酸コポリマー、ビニルピロリドン/ビニルアクリレートコポリマー、ビニルアセテート/ブチルマレエート/イソボルニルアクリレートコポリマー、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマーおよびアクリル酸/エチルアクリレート/N-tert-ブチルアクリルアミドターポリマー;
- 増粘剤、例えば、寒天、グアールガム、アルギン酸塩、キサンタンガム、アラビアゴム、カラヤゴム、イナゴマメフラワー、アマニゴム、デキストラン、セルロース誘導体、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース、アミロース、アミロペクチンおよびデキストリンのデンプン画分および誘導体、クレー、例えばベントナイト、または合成親水性コロイド、例えばポリビニルアルコール;
- 構造剤(structurants)、例えばマレイン酸および乳酸;
- ヘアコンディショニング化合物、例えば、リン脂質、例えば、大豆レシチン、卵レシチンおよびセファリン;
- 香油、ジメチルイソソルビドおよびシクロデキストリン;
- 溶媒および可溶化剤、例えば、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンおよびジエチレングリコール;
- 繊維構造を向上させる活性成分、特に、単糖、二糖およびオリゴ糖、例えば、グルコース、ガラクトース、フルクトース、果糖およびラクトースなど;
- 第四級化アミン、例えば、メチル-1-アルキルアミドエチル-2-アルキルイミダゾリウムメトスルフェート;
- 消泡剤、例えば、シリコーン;
- 組成物着色用の染料;
- フケ防止活性成分、例えば、ピロクトンオラミン、亜鉛オマジンおよびクリムバゾール;
- 光防護剤、特に、誘導体化ベンゾフェノン、桂皮酸誘導体およびトリアジン;
- pH調整物質、例えば、一般的な酸、特に食用酸および塩基;
- 活性成分、例えば、アラントイン、ピロリドンカルボン酸およびその塩、ならびにビサボロール;
- コレステロール;
- コンシステンシー調節剤、例えば、糖エステル、ポリオールエステルまたはポリオールアルキルエーテル;
- 脂肪および蝋、例えば、鯨蝋、蜜蝋、モンタン蝋およびパラフィン;
- 脂肪酸アルカノールアミド;
- 錯化剤、例えば、EDTA、NTA、β-アラニン二酢酸およびホスホン酸;
- 膨潤および浸透物質、例えば、グリセロール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、カーボネート、炭酸水素、グアニジン、尿素、ならびに第一、第二および第三リン酸塩;
- 不透明剤、例えば、ラテックス、スチレン/PVPおよびスチレン/アクリルアミドコポリマー;
- 真珠光沢剤、例えば、エチレングリコールモノ-およびジステアレート、ならびにPEG-3ジステアレート;
- 顔料;
- 過酸化水素および他の酸化剤用の安定剤;
- 噴射剤、例えば、プロパン-ブタン混合物、N2O、ジメチルエーテル、CO2および空気;
- 酸化防止剤。
【0142】
さらなる任意の成分およびそれらの使用量に関して、特に当業者に既知の関連ハンドブック、例えばK. Schraderによるモノグラフ、Grundlagen und Rezepturen der Kosmetika、第2版、Huethig Buch Verlag、ハイデルベルク(1989年)が参照される。
【0143】
水性担体の成分は、本発明の塗布液を製造するための通常の量で添加される。例えば、乳化剤は、全着色剤に基づいて0.5〜30重量%の濃度で添加され、および増粘剤は、全着色剤に基づいて0.1〜25重量%の濃度で添加される。
【0144】
好適な実施態様によれば、着色は、唯一の酸化剤としての空気からの酸素によって形成される。
【実施例】
【0145】
本発明のさらなる特徴は、一般的な塗布デバイスを斜視図で示す1つの図面から明らかになる。また、本発明のさらなる特徴を以下に詳細に記載する。
【0146】
図1に示される塗布デバイス1は、液状染毛剤の塗布のために設計されている。しかしながら、このタイプの塗布デバイス1はまた、本質的に、ケラチン繊維のための任意の塗布液の塗布に通常使用することができる。ここで、塗布液は、ストローク運動によって繊維上に広げられる。塗布デバイス1は、染毛剤または塗布液を受容し、および使用するまで貯蔵する容器2を有する。染毛剤または塗布液を吸収するために、例えば繊維またはスポンジの形態で、容器の内側に吸収剤貯蔵要素を提供することが好適であり得る。塗布ヘッド3は、容器の開口端上に固定され、および毛髪上に染毛剤を広げるのに役立つ。塗布ヘッド3は、本質的に、多孔性塗布要素31および有利には少なくとも1つの櫛要素34に一体になるように結合している複数の櫛歯33を含む。図1において、塗布デバイス1は、使用準備ができた状態、すなわち、開放された塗布ヘッド3を有する状態で示されている。使用しない場合、塗布ヘッド3は、例えばねじ山4によって、容器上にしっかり固定されるキャップ(図示せず)で覆われる。このような方法で、塗布ヘッド3は、液状染毛剤の乾燥を効果的に防止するように、環境から切り離される。
【0147】
詳細には、毛髪上に広げるための準備のため、塗布ヘッド31は、一種の毛管現象によって運ぶことにより容器から液体を運ぶために液状染毛剤または塗布液と接触したままである。これに関して、多孔性塗布要素31は、適切な毛管現象を達成するために、連続孔を組み込んだ材料構造を有する。塗布要素31は、特に繊維-、スポンジ-、発泡-、フェルト-または焼結材料からなる。塗布要素31のこのような設計の利点は、染毛剤組成物の信頼性のある送達ばかりでなく、高液体吸収能力にもある。すなわち、高液体吸収能力は、塗布デバイス1からの染毛剤の任意の所望されない漏れまたは滴下を防止する。塗布デバイス31の幾何学的形状は、好ましくはブロック状(図示せず)または複数の鉛筆状突出部32を有する。主として、複数の鉛筆状突出部32を有する実施態様は、毛髪を通してストロークする場合、より良好な着色結果を達成するように、塗布要素31の有効表面を増大させる。
【0148】
塗布要素31のすぐ近くにもある塗布ヘッド3上の櫛歯33は、塗布デバイス1を使用する場合に毛髪を解きほぐすのに役立つ。この毛髪の解きほぐしは、毛髪へのより均一な色の塗布を可能にする。個々の櫛歯33は、通常、取扱い並びに製造を簡単にするために、特に少なくとも1つの櫛要素34に一体になるように結合している。さらに、特別な場合のための櫛歯33または櫛要素34を使用することなく塗布を可能にするために、櫛歯33または櫛要素34が塗布ヘッド3上に取り外し可能なようにしっかり固定されることが好ましい。全体として、櫛歯33は、主に毛髪への塗布の間の頭皮と塗布要素31または塗布液との如何なる接触も避けるように、塗布要素31から塗布デバイス1に対して縦方向に突出する。
【0149】
実施態様のさらなる変形(図示せず)によれば、櫛歯33は、塗布ヘッド3上の塗布要素31の周りに環状に配列される。このようにして、塗布デバイス1を使用する場合、各ストローク運動の方向に独立して、通常、毛髪を最初に解きほぐし、その後に塗布液の実際の塗布が生じる。これは、改善された着色結果を与える。
【0150】
上記塗布デバイスを使用して、以下の塗布液を、可視領域(頂部、輪郭部および側頭部)中の毛髪上に広げた(量は、重量パーセントである):
【0151】
【表1】

【0152】
Crodafos(登録商標) HCE: 約5EO単位を有するエトキシル化オレイルアルコールとジオレイルホスフェートとの複合混合物(INCI名:オレス-5ホスフェート、ジオレイルホスフェート)(Croda)
【0153】
SME 253 (Silicone)): アミノ官能性シリコーンマイクロエマルジョン(INCI名:アモジメチコンおよびC11-15パレス-7およびラウレス-9およびグリセリンおよびトリデセス-12)(GE Silicones)
【0154】
次いで、生成物を洗い流すことなく毛髪を乾燥させ、そして通常のように髪をとかした。以下の着色が得られた:
処方物1:中程度のブロンド
処方物2:赤褐色
処方物3:暗褐色
処方物4:黒色

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン繊維上に塗布液を塗布するための塗布デバイス(1)であって、
塗布液を受容するための少なくとも1つの容器(2)と、
該少なくとも1つの容器(2)に接続しており、および繊維をオーバーコーティングすることにより塗布液を与えるための多孔性塗布要素(31)を有する塗布ヘッド(3)と
を有し、
該塗布液は、少なくとも1つの染料および/または染料前駆体と、少なくとも1つのアルキルリン酸エステルとを含んでなる、
塗布デバイス。
【請求項2】
塗布液は、式(I):
【化1】

[式中、R1、R2およびR3は、互いに独立して水素原子または式(II):
-(C2H4O)m-(C3H6O)n-R4 (II)
(式中、mおよびnは、互いに独立して0と20との間の整数を意味し、およびR4は、飽和または不飽和、分枝状または非分枝状のC5-28アルキル基を意味する。)
で示される基を意味し、
ただし、R1基、R2基またはR3基の少なくとも1つは式(II)で示される基を意味する。]
で示される少なくとも1つのアルキルリン酸エステルを含んでなる、請求項1に記載の塗布デバイス(1)。
【請求項3】
R1基、R2基またはR3基の少なくとも1つは、水素原子を意味する、請求項2に記載の塗布デバイス(1)。
【請求項4】
R4基は、飽和または不飽和、分枝状または非分枝状のC12-22アルキル基を意味する、請求項2または3のいずれかに記載の塗布デバイス(1)。
【請求項5】
R4は、不飽和アルキル基、好ましくはオレイル基を意味する、請求項2〜4のいずれかに記載の塗布デバイス(1)。
【請求項6】
塗布液は、少なくとも2つの異なるアルキルリン酸エステルを含んでなる、請求項1〜5のいずれかに記載の塗布デバイス(1)。
【請求項7】
塗布液は、少なくとも1つのジアルキルリン酸エステルを含んでなる、請求項1〜6のいずれかに記載の塗布デバイス(1)。
【請求項8】
塗布液は、少なくとも1つのエトキシル化モノアルキルリン酸エステルを含んでなる、請求項1〜7のいずれかに記載の塗布デバイス(1)。
【請求項9】
塗布液は、少なくとも1つのアニオン性直接染料を含んでなる、請求項1〜8のいずれかに記載の塗布デバイス(1)。
【請求項10】
塗布液は、少なくとも1つの有機溶媒を含んでなる、請求項1〜9のいずれかに記載の塗布デバイス(1)。
【請求項11】
塗布液は、少なくとも1つのポリマーを含んでなる、請求項1〜10のいずれかに記載の塗布デバイス(1)。
【請求項12】
ポリマーは非イオン性である、請求項11に記載の塗布デバイス(1)。
【請求項13】
塗布液のpHは2と5の間である、請求項1〜12のいずれかに記載の塗布デバイス(1)。
【請求項14】
多孔性塗布要素(31)は、毛管現象を達成するために連続孔を有する、請求項1〜13のいずれかに記載の塗布デバイス(1)。
【請求項15】
塗布要素(31)は、好ましくは繊維-、スポンジ-、発泡-、フェルト-または焼結材料構造を有する、請求項1〜14のいずれかに記載の塗布デバイス(1)。
【請求項16】
多孔性塗布要素(31)が、複数の鉛筆状突出部(32)を有する、請求項1〜15のいずれかに記載の塗布デバイス(1)。
【請求項17】
塗布ヘッド(3)が、必要に応じて取り外し可能な複数の櫛歯(33)を有する、請求項1〜16のいずれかに記載の塗布デバイス(1)。
【請求項18】
櫛歯(33)が、多孔性塗布要素(31)から突出している、請求項17に記載の塗布デバイス(1)。
【請求項19】
塗布ヘッド(3)の櫛歯(33)が、塗布要素(31)の周りに環状に配置されている、請求項17または18のいずれかに記載の塗布デバイス(1)。
【請求項20】
塗布液の20℃で測定した粘度(ブルックフィールド粘度計タイプRV-T、スピンドル4、回転速度20 rpm)は、50 mPasと500 mPasの間である、請求項1〜19のいずれかに記載の塗布デバイス(1)。

【図1】
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【公表番号】特表2009−538875(P2009−538875A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512582(P2009−512582)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【国際出願番号】PCT/EP2007/055218
【国際公開番号】WO2007/141165
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】