説明

ケーシング構造及びモータ

【課題】液体が内部側に浸入することを低減できるケーシング構造を提供すること。
【解決手段】導電性金属材料よりなるギヤハウジング11と電気絶縁性樹脂材料よりなるハウジングカバー12の各縁部(ハウジング側縁部11aとカバー側縁部12a)を合わせ、該縁部の所定箇所に形成された締結穴11bと締結孔12bにネジ31が挿通されてギヤハウジング11及びハウジングカバー12が互いに締結固定されるとともに、ハウジングカバー12に設けられるアースターミナル21に形成された共締め接続部21bが前記締結固定によりネジ31の周囲でギヤハウジング11に電気的に接続されるように共締めされる。カバー側縁部12aにはギヤハウジング11との間に介在させるシール部材22を配置するためのシール溝23が形成され、シール溝23は共締め接続部21bとハウジングカバー12の内部側との間を通るように形成されたターミナル溝23bを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、減速ギヤを収容するモータ等のケーシング構造及びモータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両ワイパ装置等に用いられるモータ等は、モータ本体とギヤ部とを有する。ギヤ部は、ハウジングとハウジングの開口部を閉塞するカバーとの内部に減速ギヤや各種ターミナル等の電気部品を収容してなる。そして、このようなモータ(そのケーシング構造)としては、電気絶縁性樹脂材料よりなるカバーに設けられた電気部品としてのアースターミナルの一部(共締め接続部)をハウジングとカバーの両縁部(重ね合わされる面)の締結される部分に挟持させることで導電性金属材料よりなるハウジングに接続するものがある(例えば、特許文献1参照)。詳しくは、カバーの縁部に形成された孔を貫通してハウジングの縁部に形成された穴(雌ねじ穴)に螺合されるネジにてハウジング及びカバーを締結固定するとともに、前記共締め接続部をネジの周囲で前記両縁部にて挟持(共締め)させることでアースターミナルをハウジングに電気的に接続したものがある。又、このケーシング構造では、カバーの縁部にシール溝が形成され、そのシール溝が前記アースターミナルの共締め接続部の外側を迂回するように形成され、そのシール溝にハウジングとの間に介在させるシール部材が配置されることで、内部側への液体の浸入が防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−67421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようなケーシング構造では、シール溝及びシール部材が共締め接続部の外側を迂回するように配置されているため、例えば、毛細管現象などにより締結部材を伝って共締め接続部の位置まで水(液体)が浸入すると、更にその水(液体)が第1ケーシングと第2ケーシング(アースターミナル)の間を伝って内部側に浸入することが懸念される。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、液体が内部側に浸入することを低減することができるケーシング構造及びモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明では、導電性金属材料よりなる第1ケーシングと電気絶縁性樹脂材料よりなる第2ケーシングの各縁部を合わせ、該縁部の所定箇所に形成された被締結部に締結部材が挿通されて前記第1及び第2ケーシングが互いに締結固定されるとともに、前記第2ケーシングに設けられるアースターミナルに形成された共締め接続部が前記締結固定により前記締結部材の周囲で前記第1ケーシングに電気的に接続されるように共締めされるケーシング構造であって、前記第2ケーシングの縁部には、前記第1ケーシングとの合わせ面間に介在させるシール部材を配置するためのシール溝が形成され、該シール溝は、前記共締め接続部と前記第2ケーシングの内部側との間を通り前記アースターミナルを横切るように形成された横断溝を含むことを要旨とする。
【0007】
同構成によれば、第2ケーシングの縁部に形成され、第1ケーシングとの合わせ面間に介在させるシール部材を配置するためのシール溝は、共締め接続部と第2ケーシングの内部側との間を通りアースターミナルを横切るように形成された横断溝を含むため、水(液体)が締結固定部位から第1ケーシングと第2ケーシングの間を伝って内部側に浸入することが低減される。即ち、共締め接続部と第2ケーシングの内部側との間を通りアースターミナルを横切るように形成された横断溝を含むシール溝にシール部材が配置されるため、例えば、締結部材を伝って共締め接続部の位置まで水(液体)が浸入しても、その水(液体)が第1ケーシングと第2ケーシングの間を伝って内部側にまで浸入することが防止される。尚、シール部材は横断溝を含むシール溝に配置されるため、例えば横断溝を設けずに単に露出したアースターミナル(平面)上にシール部材を盛って配置した場合のようにシール部材が共締め接続部と第1ケーシングとの電気的な接続を阻害してしまうことが防止される。詳しくは、例えば横断溝を設けずに単に露出したアースターミナル(平面)上にシール部材を盛って配置すると、シール部材が第1ケーシングによる圧力で広がって共締め接続部と第1ケーシングとの間にも入り込んでしまってそれらの接触面積を小さくし、それらの電気的な接続を阻害してしまう虞があるが、これを回避することができる。よって、共締め接続部の第1ケーシングへの電気的な接続を確保することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のケーシング構造において、前記アースターミナルは、中間部分が前記第2ケーシングに埋設されており、前記第2ケーシングの縁部で露出するように設けられた露出部を介して前記共締め接続部が形成されており、前記横断溝は、前記露出部に形成されたターミナル溝であることを要旨とする。
【0009】
同構成によれば、アースターミナルは、中間部分が第2ケーシングに埋設されているが、その縁部で露出するように設けられた露出部を介して共締め接続部が露出部とともに露出状態で形成されており、前記横断溝は、アースターミナルの露出部に形成されたターミナル溝であるため、特に僅かな隙間が発生し易い導電性金属材料同士の間(アースターミナルと第1ケーシングとの間)で水(液体)の内部側への浸入を防止することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、請求項1に記載のケーシング構造において、前記アースターミナルは、中間部分が前記第2ケーシングに埋設されるとともに、前記第2ケーシングの縁部で露出しないように埋設された埋没部を介して前記共締め接続部が露出形成されており、前記横断溝は、前記埋没部と対応した位置の前記第2ケーシングに成形された横断成形溝であることを要旨とする。
【0011】
同構成によれば、アースターミナルは、中間部分が第2ケーシングに埋設されているが、その縁部で露出しないように埋設された埋没部を介して共締め接続部が露出状態で形成されており、前記横断溝は、前記埋没部と対応した位置の前記第2ケーシングに成形された横断成形溝であるため、横断溝(横断成形溝)を含むシール溝を切れ目や段差が無いように容易に成形することができる。よって、水(液体)が第1ケーシングと第2ケーシングとの間を伝って内部側に浸入することがより低減される。
【0012】
請求項4に記載の発明では、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のケーシング構造において、第2ケーシングにおける前記被締結部としての締結孔の周縁には、該被締結部を囲繞するように締結方向に突出した防水リップ部が形成され、前記防水リップ部は、前記締結部材の座面にて圧潰されたことを要旨とする。
【0013】
同構成によれば、第2ケーシングにおける前記被締結部としての締結孔の周縁には、該被締結部を囲繞するように締結方向に突出した防水リップ部が形成され、前記防水リップ部は、第1及び第2ケーシングを締結固定するための前記締結部材の座面にて圧潰される。よって、圧潰された防水リップ部により外部から共締め接続部側に水(液体)が浸入することが防止される。これにより、別部材を必要とせず簡単な形状としながら特に別工程の作業も行うことなく、水(液体)が第1ケーシングと第2ケーシングとの間を伝って内部側に浸入することをより低減することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明では、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のケーシング構造における前記第1及び第2ケーシングは、回転軸を駆動するモータ本体に固定され前記回転軸の回転を減速して出力する減速ギヤを収容するギヤハウジング及びそのギヤハウジングの開口部を閉塞するハウジングカバーであり、前記ギヤハウジングと前記ハウジングカバーと前記モータ本体とを備えたモータを要旨とする。
【0015】
同構成によれば、例えば、締結部材を伝って被締結部の位置まで水(液体)が浸入しても、その水(液体)がギヤハウジングとハウジングカバーとの合わせ面間を伝って減速ギヤ等が収容された内部側に浸入することが低減されるモータを提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、液体が内部側に浸入することを低減することができるケーシング構造及びモータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態におけるモータの一側面図。
【図2】本実施の形態におけるハウジングカバーの平面図。
【図3】図1におけるA−A線と対応した分解断面図。
【図4】図1におけるA−A線と対応した断面図。
【図5】別例における分解断面図。
【図6】別例における断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図1〜図4に従って説明する。
図1に示すように、モータ1は、車両のフロントガラスに付着した雨滴等を払拭する車両用ワイパ装置の駆動源として用いられるワイパモータであって、モータ本体2及び減速部3から構成されている。
【0019】
モータ本体2は、略有底筒状のヨーク4と、ヨーク4の内周に固着されるマグネット5と、ヨーク4内に収容されたアーマチャ6とを備え、アーマチャ6を回転駆動する。アーマチャ6の回転軸7は、その先端側がヨーク4の開口部から突出しており、その先端側にはウォーム8が形成されている。
【0020】
減速部3は、第1ケーシングとしてのカップ状のギヤハウジング11と、ギヤハウジング11の開口を閉塞する第2ケーシングとしてのハウジングカバー12と、ギヤハウジング11内に収容されて前記ウォーム8に噛合されるウォームホイール13と、ウォームホイール13と一体回転するように設けられる図示しない出力軸とを備える。尚、本実施の形態では、前記ウォーム8及びウォームホイール13が減速ギヤを構成している。
【0021】
ギヤハウジング11は、導電性金属材料よりなり(本実施の形態ではアルミ合金をダイカスト成形してなり)、図3に示すように、その縁部としてのハウジング側縁部11aの所定箇所には、被締結部としての締結穴11bが(ウォーム8及びウォームホイール12を収容する収容凹部と同方向に開口するように)凹設されている。この締結穴11bの開口側には、底側より大径の大径部11cが形成されている。又、締結穴11bの底側は雌ネジとされている。
【0022】
ハウジングカバー12は、電気絶縁性樹脂材料よりなり、図2に示すように、略板形状で、その縁部としてのカバー側縁部12aが前記ハウジング側縁部11aに合わせられることにより、ギヤハウジング11の開口部(ウォーム8及びウォームホイール12を収容する収容凹部)を閉塞可能な形状に形成されている。
【0023】
このハウジングカバー12の前記カバー側縁部12aにおいて、図3に示すように、前記締結穴11bと対応した所定箇所には、被締結部としての締結孔12bが形成されている。
【0024】
又、図3に示すように、ハウジングカバー12における締結孔12bの周縁には、該締結孔12bを囲繞するように締結方向(図3中、上方向)に突出した防水リップ部12cが形成されている。詳しくは、ハウジングカバー12において、前記ハウジング側縁部11aに合わせられるカバー側縁部12aの反対面側(図3中、上側)には、前記締結孔12bを中心として該締結孔12bより大径に凹設された凹部12dが形成されている。そして、凹部12dの底部において締結孔12bの周縁に該締結孔12bを囲繞するように締結方向(図3中、上方向)に突出した防水リップ部12cが形成されている。本実施の形態の防水リップ部12cは、後述する組み付け前(圧潰される前)の状態において、その断面が先端(図3中、上端)に向かうほど径方向幅が小さくなる三角形状とされている。
【0025】
又、ハウジングカバー12には、図2及び図3に示すように、アースターミナル21が設けられている。アースターミナル21は、その一端側がハウジングカバー12の内部側(カバー側縁部12aの内側)に設けられる他の電気部品に接続されるとともに、その他端側がギヤハウジング11に電気的に接続されるように設けられている。詳しくは、本実施の形態のアースターミナル21は、中間部分が埋設状態でハウジングカバー12にインサート成形されている。そして、アースターミナル21は、図3に示すように、前記カバー側縁部12a(その前記ハウジング側縁部11aと対向する側)で露出しつつハウジングカバー12の内部側(カバー側縁部12aの内側)から締結孔12b側に延びる露出部21aと、露出部21aの先端で露出部21aと共に露出しており前記締結孔12bの周囲に配置される環状の共締め接続部21bとを有する。尚、本実施の形態の共締め接続部21bの内周側には、図3及び図4に示すように、筒状に突出する筒状部21cが形成されている。又、前記露出部21aは、その露出した表面がハウジングカバー12の表面と面一になるように埋まった状態で設けられている。
【0026】
又、ハウジングカバー12のカバー側縁部12aには、図2及び図3に示すように、ギヤハウジング11のハウジング側縁部11aとの間に介在させるシール部材22(図3参照)を配置するためのシール溝23が形成されている。本実施の形態のシール溝23は、カバー側縁部12aの全周に渡って形成されている。又、シール溝23は、図2に示すように、カバー側縁部12aの表面に成形されたカバー成形溝23aと、前記共締め接続部21bとハウジングカバー12の内部側(カバー側縁部12aの内側)との間を通りアースターミナル21を横切る横断溝としてのターミナル溝23bとを有している。ターミナル溝23bは、図3及び図4に示すように、アースターミナル21の前記露出部21aが湾曲されることで形成され、前記カバー成形溝23aと段差が無く繋がるように形成されている。又、本実施の形態のシール溝23(カバー成形溝23a及びターミナル溝23b)は、断面弧状に凹設されている。
【0027】
そして、シール溝23(カバー成形溝23a及びターミナル溝23b)には、図3に示すように、シール部材22が配設される。尚、本実施の形態のシール部材22は、ブチルゴム系のシール材であって、溶融したものをシール溝23にノズルを用いて塗布(噴射)し、冷めた状態で図3に示すようにシール溝23から一部盛り上がるように配設している。
【0028】
そして、ハウジングカバー12は、ギヤハウジング11に固定されてギヤハウジング11の開口部(ウォーム8及びウォームホイール12を収容する収容凹部)を閉塞する。
詳しくは、ギヤハウジング11とハウジングカバー12とは、ハウジング側縁部11aにカバー側縁部12aが合わせられた状態で、締結孔12bを貫通して締結穴11b(その雌ネジ)に螺合させる締結部材としてのネジ31(図1、図3及び図4参照)にて締結固定される。そして、この状態では、アースターミナル21の共締め接続部21bは、図4に示すように、ネジ31の周囲で共締めされて、ハウジング側縁部11aに電気的に接続されることになる。尚、この状態では、アースターミナル21の筒状部21cがギヤハウジング11の大径部11cに内嵌される。
【0029】
又、この状態では、防水リップ部12cは、図4に示すように、ネジ31の座面31aにて圧潰され、外部から共締め接続部21bに至るまでの間(隙間)は防水リップ部12cにより仕切られることになる。
【0030】
又、この状態では、シール溝23(カバー成形溝23a及びターミナル溝23b)から一部盛り上がるように配設されたシール部材22(図3参照)は、図4に示すように、ハウジング側縁部11aにて圧縮されて(潰されて)挟持される。
【0031】
次に、上記実施の形態の特徴的な効果を以下に記載する。
(1)ハウジングカバー12のカバー側縁部12aに形成され、ギヤハウジング11との合わせ面間に介在させるシール部材22を配置するためのシール溝23は、前記共締め接続部21bとハウジングカバー12の内部側(カバー側縁部12aの内側)との間を通りアースターミナル21を横切る横断溝としてのターミナル溝23bを有する。よって、水(液体)が締結固定部位の締結孔12bからギヤハウジング11とハウジングカバー12の間を伝って内部側に浸入することが低減される。即ち、共締め接続部21bとハウジングカバー12の内部側(カバー側縁部12aの内側)との間を通りアースターミナル21を横切るように形成されたターミナル溝23bを有するシール溝23にはシール部材22が配置される。よって、例えば、ネジ31を伝って共締め接続部21bの位置まで水(液体)が浸入しても、その水(液体)がギヤハウジング11とハウジングカバー12の間を伝ってウォーム8やウォームホイール13等が収容された内部側にまで浸入することが防止される。
【0032】
尚、シール部材22はターミナル溝23bを含むシール溝23に配置されるため、例えばターミナル溝23bを設けずに単に露出したアースターミナル(平面)上にシール部材を盛って配置した場合のようにシール部材が共締め接続部21bとギヤハウジング11との電気的な接続を阻害してしまうことが防止される。詳しくは、例えばターミナル溝23bを設けずにアースターミナル(平面)上にシール部材を盛って配置すると、シール部材がギヤハウジング11による圧力で広がって共締め接続部21bとギヤハウジング11との間にも入り込んでしまってそれらの接触面積を小さくし、それらの電気的な接続を阻害してしまう虞があるが、これを回避することができる。よって、共締め接続部21bのギヤハウジング11への電気的な接続を確保することができる。
【0033】
(2)アースターミナル21は、インサート成形により中間部分がハウジングカバー12に埋設されており、カバー側縁部12aで露出するように設けられた露出部21aを介して共締め接続部21bが露出部21aとともに露出状態で形成されている。そして、ハウジングカバー12の内部側(カバー側縁部12aの内側)と共締め接続部21bとの間を通りアースターミナル21を横切る横断溝は、アースターミナル21の露出部21aに形成されたターミナル溝23bであるため、特に僅かな隙間が発生し易い導電性金属材料同士の間(アースターミナル21とギヤハウジング11との間)で水(液体)の内部側への浸入を防止することができる。
【0034】
(3)ハウジングカバー12における締結孔12bの周縁には、該締結孔12bを囲繞するように締結方向に突出した防水リップ部12cが形成され、その防水リップ部12cは、ギヤハウジング11とハウジングカバー12を締結固定するためのネジ31の座面31aにて圧潰される。よって、圧潰された防水リップ部12c(図4参照)により外部から共締め接続部21b側に水(液体)が浸入することが防止される。これにより、別部材を必要とせず簡単な形状としながら特に別工程の作業も行うことなく、水(液体)がギヤハウジング11とハウジングカバー12の間を伝って内部側に浸入することをより低減することができる。
【0035】
上記実施の形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、アースターミナル21は、インサート成形により中間部分がハウジングカバー12に埋設され、カバー側縁部12aで露出するように設けられた露出部21aを介して共締め接続部21bが露出部21aとともに露出状態で形成されており、横断溝は露出部21aに形成されたターミナル溝23bとされるとしたが、共締め接続部21bとハウジングカバー12の内部側(カバー側縁部12aの内側)との間を通る他の構成の横断溝に変更してもよい。
【0036】
例えば、図5及び図6に示すように変更してもよい。即ち、この例(図5及び図6参照)のアースターミナル41は、インサート成形により中間部分がハウジングカバー12に埋設されており、そのカバー側縁部12eでも露出しないように埋設されつつハウジングカバー12の内部側から締結孔12f側に延びる埋没部41aと、埋没部41aの先端で前記締結孔12fの周囲に露出状態で配置される環状の共締め接続部41bとを有する。そして、共締め接続部41bとハウジングカバー12の内部側(カバー側縁部12eの内側)との間を通りアースターミナル41を横切る横断溝は、前記埋没部41aと対応した位置のハウジングカバー12に成形された横断成形溝42とされている。つまり、この例のシール溝43は、上記実施の形態のカバー成形溝23a(図2参照)と横断成形溝42とがハウジングカバー12に連続して成形されてなる。このようにすると、横断溝(横断成形溝42)を含むシール溝43を(カバー側縁部12eの全周に渡って)切れ目や段差が無いように容易に成形することができる。よって、水(液体)がギヤハウジング11とハウジングカバー12の合わせ面間を伝って内部側に浸入することがより低減される。
【0037】
・上記実施の形態では、ハウジングカバー12における締結孔12bの周縁には、締結孔12bを囲繞するように締結方向に突出しネジ31の座面31aにて圧潰される防水リップ部12cが形成されるとしたが、これに限定されず、防水リップ部12cが形成されていないハウジングカバーに変更してもよい。
【0038】
・上記実施の形態では、モータ1を車両用ワイパ装置の駆動源として用いられるものとしたが、これに限定されず、例えば、パワーウインド装置の駆動源として用いられるもの等、他の装置用のモータとしてもよい。又、上記実施の形態では、第1及び第2ケーシングをギヤハウジング11及びハウジングカバー12としたが、ギヤハウジング11及びハウジングカバー12以外の第1及び第2ケーシングにて構成されるケーシング構造に具体化してもよい。
【符号の説明】
【0039】
2…モータ本体、7…回転軸、8…減速ギヤの一部を構成するウォーム、11…ギヤハウジング(第1ケーシング)、11a…ハウジング側縁部(縁部)、11b…締結穴(被締結部)、12…ハウジングカバー(第2ケーシング)、12a,12e…カバー側縁部(縁部)、12b,12f…締結孔(被締結部)、12c…防水リップ部、13…減速ギヤの一部を構成するウォームホイール、21,41…アースターミナル、21a…露出部、21b,41b…共締め接続部、22…シール部材、23,43…シール溝、23b…ターミナル溝(横断溝)、31…ネジ(締結部材)、31a…座面、41a…埋没部、42…横断成形溝(横断溝)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性金属材料よりなる第1ケーシングと電気絶縁性樹脂材料よりなる第2ケーシングの各縁部を合わせ、該縁部の所定箇所に形成された被締結部に締結部材が挿通されて前記第1及び第2ケーシングが互いに締結固定されるとともに、前記第2ケーシングに設けられるアースターミナルに形成された共締め接続部が前記締結固定により前記締結部材の周囲で前記第1ケーシングに電気的に接続されるように共締めされるケーシング構造であって、
前記第2ケーシングの縁部には、前記第1ケーシングとの合わせ面間に介在させるシール部材を配置するためのシール溝が形成され、該シール溝は、前記共締め接続部と前記第2ケーシングの内部側との間を通り前記アースターミナルを横切るように形成された横断溝を含むことを特徴とするケーシング構造。
【請求項2】
請求項1に記載のケーシング構造において、
前記アースターミナルは、中間部分が前記第2ケーシングに埋設されており、前記第2ケーシングの縁部で露出するように設けられた露出部を介して前記共締め接続部が形成されており、
前記横断溝は、前記露出部に形成されたターミナル溝であることを特徴とするケーシング構造。
【請求項3】
請求項1に記載のケーシング構造において、
前記アースターミナルは、中間部分が前記第2ケーシングに埋設されるとともに、前記第2ケーシングの縁部で露出しないように埋設された埋没部を介して前記共締め接続部が露出形成されており、
前記横断溝は、前記埋没部と対応した位置の前記第2ケーシングに成形された横断成形溝であることを特徴とするケーシング構造。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のケーシング構造において、
第2ケーシングにおける前記被締結部としての締結孔の周縁には、該被締結部を囲繞するように締結方向に突出した防水リップ部が形成され、前記防水リップ部は、前記締結部材の座面にて圧潰されたことを特徴とするケーシング構造。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のケーシング構造における前記第1及び第2ケーシングは、回転軸を駆動するモータ本体に固定され前記回転軸の回転を減速して出力する減速ギヤを収容するギヤハウジング及びそのギヤハウジングの開口部を閉塞するハウジングカバーであり、前記ギヤハウジングと前記ハウジングカバーと前記モータ本体とを備えたことを特徴とするモータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−147581(P2012−147581A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4064(P2011−4064)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】