説明

ケーブル収容管点検装置

【課題】ケーブルが収容されている地中埋設管路の目視点検のためのケーブル収容管点検装置を提供する。
【解決手段】本発明のケーブル収容管点検装置1は、地中埋設管路100に合わせて設定した外形寸法及び長さ寸法のマンドレル形状10を有し、マンドレル形状10の管路軸方向に前記ケーブルを通過させるための通し穴20を有し、マンドレル形状10の管路軸方向の少なくとも一方の面には牽引ロープ60,70が設けられるとともに、管路内を照射する光源及び管路内を撮像して記録する撮像カメラのカメラヘッド30a,30b,30cが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルが収容されている地中埋設管路の目視点検に用いるケーブル収容管点検装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、管路の通線・通過試験の方法として、通過性確認機能としてマンドレルを用いる方法がある。この方法は、点検する管路に合わせて設定した外形寸法及び長さ寸法を有するマンドレルを用意し、一方のマンホール側にマンドレルを設置して他方のマンホール口から牽引することにより、一方のマンホール口から他方のマンホール口までの管路の通過性阻害要因の有無を点検することができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案公開平6−60247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マンドレルによる管路の点検は、ある一定の品質管理に役立つものであるが、簡易的な点検技法に過ぎない。さらに、マンドレルは、ケーブルを収容していない管路で利用できるものの、ケーブル収容管ではそのまま使用することができない。
【0005】
また、管路内を詳細に点検する技法として、ケーブルを収容していない管路であれば例えばマンドレルに撮影カメラを設置して記録するやり方も考えられるが、ケーブル設置済みの管路の点検のために、ケーブルを除去して行うのでは効率的な点検方法とはいえない。
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑みて為されたものであり、ケーブルが収容されている地中埋設管路の目視点検に用いるケーブル収容管点検装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のケーブル収容管点検装置は、ケーブルが収容されている地中埋設管路の目視点検のためのケーブル収容管点検装置であって、前記地中埋設管路に合わせて設定した外形寸法及び長さ寸法のマンドレル形状を有し、前記マンドレル形状の管路軸方向に前記ケーブルを通過させるための通し穴を有し、当該マンドレル形状の管路軸方向の少なくとも一方の面には牽引ロープが設けられるとともに、管路内を照射する光源及び管路内を撮像して記録する撮像カメラのカメラヘッドが設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明のケーブル収容管点検装置において、前記地中埋設管路の距離を測定する測距部と、前記管路内を撮像して記録する撮像カメラと、前記測距部により計測される位置に応じて前記撮像カメラによる撮像を制御する制御部と、前記撮像カメラによって撮像したデータを記憶する記憶部とを備え、前記測距部、前記撮像カメラの本体部分、前記記憶部及び前記制御部を密封して内蔵することを特徴とする。
【0009】
本発明のケーブル収容管点検装置において、前記撮像カメラは複数台設けられ、前記複数の撮像カメラの各カメラヘッドは、前記マンドレル形状の管路軸方向の面上で、当該通し穴の周囲にそれぞれ管路軸中心から等角配置され、前記ケーブルの周囲の管円周方向360度全体の管路内を点検可能にしたことを特徴とする。
【0010】
本発明のケーブル収容管点検装置において、前記複数の撮像カメラは、各々が画角180度広角レンズのカメラヘッドを有する2台の撮像カメラからなることを特徴とする。
【0011】
本発明のケーブル収容管点検装置において、前記複数の撮像カメラは、各々が画角120度広角レンズのカメラヘッドを有する3台の撮像カメラからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
管内の収容ケーブルをリフトアップし、かつ複数の広角カメラヘッドにより、今まで点検できなかったケーブル下の点検が可能となる。つまり、管内牽引時にケーブル収容管点検装置本体が回転したり、傾いても広角レンズによりリフトアップしたケーブル下も含め管円周方向360度全体の点検を可能とした。
【0013】
また、ケーブル収容管点検装置内部に記憶部、測距部、制御部などを内蔵しカメラコード類を排除した構造とするとともに、装置本体の外径自体でマンドレル機能(通過性機能)を有するように構成したため、詳細なデータを位置情報と共に記録することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(A),(B)は、本発明による第1の実施形態のケーブル収容管点検装置の正面図及び断面図である。
【図2】本発明による第1の実施形態のケーブル収容管点検装置の正面図及び断面図である。
【図3】本発明による第1の実施形態のケーブル収容管点検装置による点検態様を例示する図である。
【図4】(A),(B)は、本発明による第2の実施形態のケーブル収容管点検装置の正面図及び断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明による各実施形態のケーブル収容管点検装置を説明する。
【0016】
〔第1の実施形態〕
図1(A),(B)は、本発明による第1の実施形態のケーブル収容管点検装置の正面図及び断面図である。図2は、本発明による第1の実施形態のケーブル収容管点検装置の正面図及び断面図である。図3は、本発明による第1の実施形態のケーブル収容管点検装置による点検態様を例示する図である。本実施形態のケーブル収容管点検装置1は、ケーブル80が収容されている地中埋設管路の目視点検のための装置である。
【0017】
ケーブル収容管点検装置1は、地中埋設管路100に合わせて設定した外形寸法及び長さ寸法のマンドレル形状10を有している。また、ケーブル収容管点検装置1は、マンドレル形状の管路軸方向にケーブル80を通過させるための通し穴20を有しており、マンドレル形状の管路軸方向の面上で、通し穴の径L1はケーブル80を通過させるのに十分な寸法とし、マンドレル形状の径L2は、地中埋設管路100の管路径L3を有する管路の通過性確認を行うのに十分な寸法とする。
【0018】
ケーブル収容管点検装置1は、マンドレル形状の管路軸方向の少なくとも一方の面にはこの装置本体を牽引するための牽引ロープ60,70が設けられ、さらに、管路内を照射する光源の例として3組のLED白色光源(LEDa1,LEDa2の組,LEDb1,LEDb2の組,LEDc1,LEDc2の組)と、各組のLED白色光源の中央には、管路内を撮像して記録する撮像カメラのカメラヘッド30a,30b,30cがそれぞれ設けられている(図1(A)参照)。
【0019】
また、ケーブル収容管点検装置1は、撮像に必要な機器を内蔵するための収納領域40や各機器を制御するための制御部50が内部に設けられており、具体的には、ケーブル収容管点検装置1は、GPSやレーザー方式等で構成される地中埋設管路100の距離を測定する測距部40bと、各カメラヘッド30a,30b,30cに対応する管路内を撮像して記録する撮像カメラ(図示せず)と、測距部40bにより計測される位置に応じて撮像カメラによる撮像を制御する制御部50と、撮像カメラによって撮像したデータを記憶する記憶部40aとを備えており、測距部40b、撮像カメラの本体部分、記憶部40a及び制御部50を密封して内蔵されている。
【0020】
つまり、本実施形態では、複数の撮像カメラとして、各々が画角120度広角レンズのカメラヘッド30a,30b,30cを有する3台の撮像カメラから構成され、各カメラヘッド30a,30b,30cは、マンドレル形状の管路軸方向の面上で、当該通し穴20の周囲にそれぞれ管路軸中心から等角配置されている。これにより、ケーブル80を敷設したままで、ケーブル80の存在に起因して撮像できない領域をなくし、ケーブル80の周囲の管円周方向360度全体の管路内を点検可能にした。
【0021】
図3を参照するに、マンホールM1及びM2間を結ぶケーブル80が収容されている地中埋設管路100の点検をする際に、試験者Hは、牽引ロープ60,70を用いてケーブル収容管点検装置1を牽引するのみで、マンホールM1及びM2間の管路位置に応じた管路内の様子を撮像及び記録することができる。尚、図3では、リール90に巻かれる牽引ロープ60で接続されたケーブル収容管点検装置1を、他方の面に設けた牽引ロープ70で牽引して、牽引ロープ70側に設けた各カメラヘッド30a,30b,30cによって管路内を撮像する例を示しているが、これに限定するものではない。即ち、牽引ロープ70側に設けた各カメラヘッド30a,30b,30cによって管路内を撮像する際に、リール90による巻上げ時に管路内を撮像するとしてもよい。牽引ロープ60,70側の双方に所定のカメラヘッドを設けてもよく、この場合、マンドレル機能を実行させる前後の様子を撮像することができる。
【0022】
また、ケーブル収容管点検装置1は、組み立ての容易さを考慮して、装置本体を管路軸方向に2分割可能なマンドレル形状ユニットとするのがよい。各マンドレル形状ユニットに、ケーブル80を挟み込んだ後、ビス等で止める構造とすることにより、比較的簡単に、ケーブル80が敷設されたままの状態で、ケーブル収容管点検装置1を設置することができる。
【0023】
次に、図4を参照して、本発明による第2の実施形態のケーブル収容管点検装置を説明する。尚、第1の実施形態と同様な構成要素には同一の参照番号を付している。
【0024】
〔第2の実施形態〕
図4(A),(B)は、本発明による第2の実施形態のケーブル収容管点検装置の正面図及び断面図である。本発明による第2の実施形態のケーブル収容管点検装置1aは、前述した第1の実施形態と比較して、各々が画角180度広角レンズのカメラヘッドを有する2台の撮像カメラで構成した点で相違するのみであり、第1の実施形態の利点や運用方法等の全てを包含する。
【0025】
管路内を照射する光源としても、2組のLED白色光源(LEDd1,LEDd2の組,LEDe1,LEDe2の組)と、各組のLED白色光源の中央には、管路内を撮像して記録する撮像カメラのカメラヘッド30d,30eがそれぞれ設けられている(図4(A)参照)。
【0026】
画角180度広角レンズとしては、例えば魚眼レンズと称されるものが知られており、より一般的に知られる画角120度広角レンズよりも高価になる傾向があるものの、装置全体の小型化または軽量化等の利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明によれば、ケーブルが収容されている地中埋設管路でさえ、マンドレル効果と、管円周方向360度全体を点検することが可能となり、ケーブルが収容されている地中埋設管路を点検する用途に有用である。
【符号の説明】
【0028】
1,1a ケーブル収容管点検装置
10 マンドレル形状
20 通し穴
30a,30b,30c,30d,30e カメラヘッド
40b 測距部
40a 記憶部
50 制御部
60,70 牽引ロープ
80 ケーブル
90 リール
100 地中埋設管路
LEDa1〜LEDe2 LED白色光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルが収容されている地中埋設管路の目視点検のためのケーブル収容管点検装置であって、
前記地中埋設管路に合わせて設定した外形寸法及び長さ寸法のマンドレル形状を有し、
前記マンドレル形状の管路軸方向に前記ケーブルを通過させるための通し穴を有し、
当該マンドレル形状の管路軸方向の少なくとも一方の面には牽引ロープが設けられるとともに、管路内を照射する光源及び管路内を撮像して記録する撮像カメラのカメラヘッドが設けられていることを特徴とするケーブル収容管点検装置。
【請求項2】
前記地中埋設管路の距離を測定する測距部と、
前記管路内を撮像して記録する撮像カメラと、
前記測距部により計測される位置に応じて前記撮像カメラによる撮像を制御する制御部と、
前記撮像カメラによって撮像したデータを記憶する記憶部とを備え、
前記測距部、前記撮像カメラの本体部分、前記記憶部及び前記制御部を密封して内蔵することを特徴とする、請求項1に記載のケーブル収容管点検装置。
【請求項3】
前記撮像カメラは複数台設けられ、
前記複数の撮像カメラの各カメラヘッドは、前記マンドレル形状の管路軸方向の面上で、当該通し穴の周囲にそれぞれ管路軸中心から等角配置され、
前記ケーブルの周囲の管円周方向360度全体の管路内を点検可能にしたことを特徴とする、請求項2に記載のケーブル収容管点検装置。
【請求項4】
前記複数の撮像カメラは、各々が画角180度広角レンズのカメラヘッドを有する2台の撮像カメラからなることを特徴とする、請求項2又は3に記載のケーブル収容管点検装置。
【請求項5】
前記複数の撮像カメラは、各々が画角120度広角レンズのカメラヘッドを有する3台の撮像カメラからなる、請求項2又は3に記載のケーブル収容管点検装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−115041(P2012−115041A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261657(P2010−261657)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】