説明

ケーブル識別具、ケーブル識別方法

【課題】ケーブルを選択するときに作業者に選択すべきケーブルを示す。
【解決手段】本発明のケーブル識別具は、本体と取り付け手段と開口手段を備える。本体は、第1コンタクト、第2コンタクト、発光部、カバーを有する。第1コンタクトと第2コンタクトは、対象となるケーブルの2つの導線に別々に接続される。発光部は、第1導体、第2導体、発光素子を有する。第1導体は、第1コンタクトと電気的に接続される。第2導体は、第2コンタクトと電気的に接続される。発光素子は、第1導体と第2導体との間に所定の電力が供給された場合に発光する。カバーは、可視光を通す材質で形成され、発光素子を覆う。取り付け手段は、ケーブル識別具を対象となるケーブルに固定する。開口手段は、第1導体と第2導体との間に外部から電力を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルを識別するためにケーブルに取り付けられるケーブル識別具と、そのケーブル識別具を用いたケーブル識別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配線された多数のケーブルの中からケーブルを特定する技術として、特許文献1が知られている。この技術では、ケーブルの一端側で接地線と絶縁線を短絡し、他端で接地線と絶縁線の導通をテスタなどで確認することでケーブルの両端の対応関係を確認する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−17016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ケーブルの対応関係を確認したいという要求は、多数のケーブルが配線された状況で生じる。例えば、オフィスでパソコンを撤去するときに、そのパソコンに接続されていたLANケーブルを撤去することを考える。LANケーブルの一端側はパソコンなどに接続されているので、撤去するLANケーブルの一端を識別することは容易である。しかし、二重床などを通ったうえでハブに接続されている他端側では、どのLANケーブルを抜けばよいのかが分からないことが多い。特許文献1の技術はこのような状況でハブから抜いてよいLANケーブルを特定するために有効である。
【0005】
しかしながら、従来技術は、作業者が撤去の対象だろうと予測したケーブルを選択し、テスタの接触針を接地線と絶縁線に接触させなければ対応関係が確認できない。したがって、予測したケーブルが撤去の対象でなかった場合にはケーブルの選択と接触針の接触を繰返し行わなければならない。したがって、大量のケーブルが集中している場所では、ケーブルの選択と接触針の接触の繰返しが増えることが多い。また、ハブが机や床の下などにあり、テスタの接触針を接触させにくい作業環境では、繰返し作業は行いにくい。
【0006】
本発明は、ケーブルを選択するときに作業者に選択すべきケーブルを示すことのできるケーブル識別具とそのケーブル識別具を用いたケーブル識別方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のケーブル識別具は、ケーブルの対応関係を確認するために、対象となるケーブルに取り付けられる。本発明のケーブル識別具は、本体と取り付け手段と開口手段を備える。本体は、第1コンタクト、第2コンタクト、発光部、カバーを有する。第1コンタクトと第2コンタクトは、対象となるケーブルの2つの導線に別々に接続される。発光部は、第1導体、第2導体、発光素子を有する。第1導体は、第1コンタクトと電気的に接続される。第2導体は、第2コンタクトと電気的に接続される。発光素子は、第1導体と第2導体との間に所定の電力が供給された場合に発光する。カバーは、可視光を通す材質で形成され、発光素子を覆う。取り付け手段は、ケーブル識別具を対象となるケーブルに固定する。開口手段は、第1導体と第2導体との間に外部から電力を供給する。
【0008】
本発明のケーブル識別方法は、本発明のケーブル識別具をあらかじめ複数個取り付けたケーブルの対応関係を確認する。本発明のケーブル識別方法は、電力供給ステップと確認ステップを有する。電力供給ステップは、いずれか1つのケーブル識別具の第1導体と第2導体との間に開口手段を用いて電力を供給する。このように電力を供給すれば、その他のすべてのケーブル識別具の第1導体と第2導体との間には、1つの導線と他の1つの導線を用いて所定の電力が供給される。確認ステップは、電力供給ステップによって発光しているケーブル識別具を探すことでケーブルの対応関係を確認する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のケーブル識別具によれば、複数のケーブル識別具を1つのケーブルに取り付けることができる。そして、ケーブル識別具を取り付けたいずれかの位置でケーブルを特定した場合に、そのケーブル識別具に所定の電力を供給すればすべてのケーブル識別具を発光させることができる。つまり、ケーブルを特定できていない場所(ケーブルを特定したい場所)では、作業者に選択すべきケーブルを示すことができる。したがって、ケーブルを特定できていない場所でケーブルの選択と接触針の接触を繰返し行う必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のケーブル識別具をケーブルに取り付けた様子を示す図。
【図2】ブーツを備えたケーブル識別具の展開斜視図。
【図3】展開したケーブル識別具の構造を示す図。
【図4】展開したケーブル識別具の構造を示す斜視図。
【図5】ケーブル識別具をコネクタ付ケーブルに取り付けた様子を示す図。
【図6】発光部の構成を示す図。
【図7】複数のケーブル識別具をケーブルに取り付けたときの配線の様子を示す図。
【図8】ケーブル識別具に電力を供給するための電源装置の構成例を示す図。
【図9】ケーブル識別具に外部から電力を提供する様子を示す図。
【図10】1つのケーブル識別具に電力を供給したときの様子を示す図。
【図11】取り付け手段の変形例を示す図。
【図12】発光部の向きを変更した例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例1】
【0012】
<ケーブル識別具>
図1に本発明のケーブル識別具をケーブルに取り付けた様子を示す。図1(A)はブーツを備えたケーブル識別具の斜視図であり、図1(B)はブーツがないケーブル識別具のカバーを取り除いた斜視図である。図2はブーツを備えたケーブル識別具の展開斜視図である。図2(A)は斜め上からの展開斜視図、図2(B)は斜め下からの展開斜視図である。
【0013】
図1,2の例では、ケーブル識別具100’は、コネクタ990が取り付けられたケーブル900の一端に取り付けられている。ケーブル識別具100’は、ケーブル識別具100とブーツ500で構成されている。ケーブル識別具100は、本体110とベース180を備える。ベース180は、本体110をケーブル900に取り付ける取り付け手段として機能する。本体110は本体ボディ120とカバー130からなる。また、カバー130を取り除くと、その内部には発光部140が備えられている。また、ケーブル識別具100は、発光部140に外部から電力を供給するための開口手段170も備えている。
【0014】
従来技術の課題ではLANケーブルを例として説明したが、ケーブルもコネクタもLAN用に限定する必要はない。また、形状も丸型のケーブルに限定する必要もないし、ケーブル識別具と同等の大きさのコネクタに限定する必要もない。さらには、ケーブル識別具を取り付ける位置もコネクタが取り付けられるようなケーブルの端である必要もない。後述するが、2心以上の導線を含んだケーブルであれば、本発明のケーブル識別具を利用できる。
【0015】
まず、ブーツがない状態でのケーブル識別具の構造について詳細に説明する。図3は展開したケーブル識別具の構造を示す図である。図3(A)は平面図、図3(B)は側面図、図3(C)は正面図、図3(D)は背面図である。図4は展開したケーブル識別具の構造を示す斜視図である。図4(A)は正面側の斜め上からの斜視図、図4(B)は正面側の斜め下からの斜視図、図4(C)は背面側の斜め上からの斜視図である。図5はケーブル識別具をコネクタ付ケーブルに取り付けた様子を示す図である。図5(A)は側面図、図5(B)は図5(A)のA−A線で切断した断面図(ただし、ケーブルの内部構造は省略)、図5(c)は図5(A)のB−B線で切断した断面図(ただし、ケーブルの内部構造は省略)である。図6は発光部の構成を示す図である。図6(A)はブリッジ回路を含まない構成例を示す図、図6(B)はブリッジ回路を含む構成例を示す図である。
【0016】
ケーブル識別具100は、本体110とベース180を備える。本体110は本体ボディ120とカバー130からなる。本体ボディ120は、第1コンタクト151、第2コンタクト152、発光部140を有する。第1コンタクト151と第2コンタクト152は、対象となるケーブル900の2つの導線901、902に別々に接続される。本体ボディ120には、第1開口部171と第2開口部172も形成されている。カバー130は、可視光を通す材質で形成され、発光素子145を覆う。例えば、乳白色の半透明な材料を用いれば、発光素子145の光を作業者が認識しやすいように拡散できる。カバー130は、本体ボディ120に固定するためのカバー爪131を備えている。また、カバー130には、第3開口部173と第4開口部174が形成されている。なお図5に示したケーブル900の心線903〜906は、コネクタ990を介して通信や電力供給などに使用される心線であり、導電性の心線であっても光ファイバなどであってもよい。
【0017】
発光部140は、図6(A)に示すように少なくとも第1導体141、第2導体142、発光素子145を有する。第1導体141は、第1コンタクト151と電気的に接続される。第2導体142は、第2コンタクト152と電気的に接続される。発光素子145は、第1導体141と第2導体142との間に所定の電力が供給された場合に発光する。例えば、発光素子145としてLEDを用いればよい。一般的なLEDの場合は、所定の電圧で所定の電流が供給された場合に発光する。また、発光部140は、第1導体141と第1コンタクト151とを確実に接触させる導通材料143と、第2導体142と第2コンタクト152とを確実に接触させる導通材料144も備えてもよい。導通材料143、144としては、例えば半田を用いればよい。
【0018】
なお、発光部140は、図6(B)に示すようにブリッジ回路146を備えてもよい。ブリッジ回路146を備えれば、発光素子145に極性がある場合でも、ケーブル900への取り付け時に極性を気にすることなく取り付けることができる。工場でケーブルにケーブル識別具を取り付けるのであれば、図6(A)の構成でも極性を確認しながら取り付けることが比較的容易と考えられる。しかし、ケーブルを配線した後に、現場でケーブル識別具を取り付ける場合には極性を確認しながら取り付けにくい。このような場合はブリッジ回路146を備えていれば便利である。
【0019】
第1開口部171、第2開口部172、第3開口部173、第4開口部174で、開口手段170が構成される。第1開口部171は、ケーブル900の長手方向と平行な方向に開口している。第2開口部172は、第1開口部171と同じ方向に開口している。第3開口部173は、ケーブル900の長手方向と垂直な方向に開口している。第4開口部174は、第3開口部と同じ方向に開口している。ここで、コネクタ990を差し込む場所を考えてみる。コネクタ990を差し込む対象(LANの場合であればハブやルータ)が棚などに配列されているときや机の下にあるときには、差込口が水平方向の場合が多い。このような場合は、作業者の目線はケーブル900の長手方向と平行な方向となる。したがって、第1開口部171と第2開口部172を確認しやすいし、外部からの電力も第1開口部171と第2開口部172からならば供給しやすい。一方、コネクタ990を差し込む対象が壁や机の側面などに設置され、差込口が下を向いている場合、作業者の目線はケーブル900の長手方向と垂直な方向となる。したがって、第3開口部173、第4開口部174を確認しやすいし、外部からの電力も第3開口部173、第4開口部174からならば供給しやすい。このように、開口手段として、4つの開口部を備えることで色々な作業環境に対応できる。
【0020】
第1コンタクト151は、導線901を把持する第1スリット部153と、第1開口部171に対応する位置に配置される第1コンタクトボディ155と、第1導体141と接触する第1接触部157とを有する。第2コンタクト152は、導線902を把持する第2スリット部154と、第2開口部172に対応する位置に配置される第2コンタクトボディ156と、第2導体142と接触する第2接触部158とを有する。第1導体141は第3開口部173に対応する位置に配置され、第2導体142は、第4開口部174に対応する位置に配置される。なお、第1コンタクト151、第2コンタクト152、第1導体141、第2導体142は本体ボディ120の内部に収納されている。しかし、第1コンタクトボディ155が、第1開口部171に対応する位置に配置されるので、第1開口部171からピンを挿入すれば第1コンタクトボディ155に接触できる。同様に、第2開口部172からピンを挿入すれば第2コンタクトボディ156に接触でき、第3開口部173からピンを挿入すれば第1導体141に接触でき、第4開口部174からピンを挿入すれば第2導体142に接触できる。したがって、開口手段を介して外部から電力を供給できる。また、第3開口部173と対向する部分は第1導体141の幅を太くしてもよい。第4開口部174と対向する部分は第2導体142の幅を太くしてもよい。このように第1導体141や第2導体142の幅を広くすれば、外部から電力を供給しやすい。
【0021】
ベース180は、本体110をケーブル900に取り付ける取り付け手段である。例えば、本体ボディ120は、カバー130が配置された面の反対側の面にケーブル900と接触するケーブル接触面125を有する。また、ベース180は、ケーブル900と接触するケーブル固定面185を有する。そして、ケーブル固定面185とケーブル接触面125との間にケーブル900を挟むことで、ケーブル識別具100をケーブル900に固定する。さらに、ケーブル接触面125に凸部127を形成し、ケーブル固定面185に凸部187を形成すれば、ケーブル識別具100をケーブル900により確実に固定できる。なお、本体ボディ120とベース180とを簡単に固定するために、本体ボディ120には本体爪128を形成し、ベース180には本体爪128と結合するベース固定部188を形成すればよい。
【0022】
図5の例では、第1コンタクト151は、ベース180の方向に、第1接触部157、第1コンタクトボディ155、第1スリット部153の順番となるように配置されている。また、第2コンタクト152は、ベース180の方向に、第2接触部158、第2コンタクトボディ156、第2スリット部154の順番となるように配置されている。また、ベース180には、第1スリット部153が挿入されるコンタクト用溝183と、第2スリット部154が挿入されるコンタクト用溝184を形成する。さらに、ベース180には、第1スリット部153が挿入されるときに通過する位置に導線901を保持する導線用溝181を形成し、第2スリット部154が挿入されるときに通過する位置に導線902を保持する導線用溝182を形成する。このような構造にすれば、ケーブル900の2つの導線901、902は、ベース180と本体110(または、本体ボディ120)とでケーブル900を挟むときに第1スリット部153と第2スリット部154に別々に把持される。
【0023】
次に、図1と図2に戻り、ブーツ500について説明する。ブーツ500は、ブーツボディ510、第1ガイド521、第2ガイド522を備える。ブーツボディ510は、本体110の第1開口部171と第2開口部172が形成された面に隣接してケーブル900に固定され、ケーブル900が急激に曲げられないようにケーブル900を保護する。第1ガイド521は、ケーブル900の長手方向と平行な方向に形成された溝であって、当該溝の最も深い部分が第1開口部171と対向する。第2ガイド522は、ケーブル900の長手方向と平行な方向に形成された溝であって、当該溝の最も深い部分が第2開口部172と対向する。ブーツ500を取り付ける場合は、ケーブル識別具100の本体110にはブーツ固定部129も形成し、ベース180にはブーツ固定部189も形成すればよい。ブーツ500はこのような構造なので、第1開口部171と第2開口部172から外部電力を供給する場合に作業しやすい。
【0024】
<ケーブル識別方法>
複数のケーブル識別具をケーブルに取り付けたときの配線の様子を図7に示す。ケーブル900に複数のケーブル識別具100−1,…,N(ただし、Nは2以上の整数)を取り付けると、図7に示したような配線となる。導線901には複数の第1コンタクト151−1,…,Nが接続され、導線902には複数の第2コンタクト152が接続される。なお、図6(B)に示したブリッジ回路を含むケーブル識別具の場合は、導線901に接続されたコンタクトを第1コンタクトと呼び、導線902に接続されたコンタクトを第2コンタクトと呼ぶことにする。
【0025】
図8は、ケーブル識別具100−n(ただし、nは1以上N以下の整数)に電力を供給するための電源装置の構成例を示す図である。電源装置200は、電源本体210、ピン221、222、コード223、224を備える。電源本体210は、直流電源211、抵抗212を備える。ピン221、222へは、コード223,224を介して電力が供給される。
【0026】
図9は、ケーブル識別具に外部から電力を提供する様子を示す図である。第1開口部171と第2開口部172からピン221、222を挿入して電力を供給してもよいし、第3開口部173と第4開口部174からピン221、222を挿入して電力を供給してもよい。図9には、2組のピン221、222が示されているが、実際の電力供給は1組のピン221、222で行えばよい。つまり、作業者が作業しやすい方向からピン221、222を挿入すればよい(電力供給ステップ)。なお、作業者は、電力を供給できたことを、ケーブル識別具が発光することで確認できる。なお、図6(A)に示した極性をもつケーブル識別具の場合には、ピン221、222を逆にすると発光部140は発光しない。したがって、作業者は逆向きであることを認識できる。また、図6(B)のブリッジ回路146を備える場合には、ピン221とピン222を逆にしても発光するので、ピンの極性を意識する必要はない。
【0027】
図10に1つのケーブル識別具に電力を供給したときの様子を示す。例えば、ケーブル識別具100−1に外部から電力を供給する場合は、発光部140−1は、開口手段を介して供給された電力で発光する。そして、その他の発光部140−2,…,Nは、導線901、902を介して供給された電力で発光する。作業者は、発光しているケーブル識別具100−2,…,Nを探し出すことでケーブルの対応関係を確認する(確認ステップ)。なお、確認ステップは、電力を供給した状態を維持しながら行う。なお、電源装置200が電力を供給した状態を維持できるようにする電力供給維持手段も備えれば、1人の作業者でも電力を供給した状態を維持させながら、他の位置でケーブルの対応関係を確認できる。電力供給維持手段としては、ピン221とピン222を開口手段に挿入した状態を維持するようなクリップなどの固定具が考えられる。
【0028】
このように、本発明のケーブル識別具とケーブル識別方法によれば、複数のケーブル識別具を1つのケーブルに取り付けることができる。そして、ケーブル識別具を取り付けたいずれかの位置でケーブルを特定した場合に、そのケーブル識別具に所定の電力を供給すればすべてのケーブル識別具を発光させることができる。つまり、ケーブルを特定できていない場所(ケーブルを特定したい場所)では、作業者に選択すべきケーブルを示すことができる。
【0029】
[変形例1]
図11に取り付け手段の変形例を示す。図3,4で示したベース180は本体ボディ120と分離していた。図11のケーブル識別具100は、連結部186も備えている。連結部186はベース180の一部と本体ボディ120の一部とを回転可能な状態で連結しており、ベース180に対して本体ボディ120を回転させることで、ケーブルを固定する状態とケーブルを開放した状態(ケーブルを挿入する状態)を変化させることができる。
【0030】
[変形例2]
図12に発光部の向きを変更した例を示す。図12(A)は、発光部140が配置されている面の法線方向が、ケーブル900の長手方向と45°の場合を示している。図12(B)は、発光部140が配置されている面の法線方向が、ケーブル900の長手方向と一致する場合を示している。図1(B)で示した発光部140が配置されている面の法線は、ケーブル900の長手方向と垂直な方向であった。この方向は、コネクタ990を挿抜するときの作業者の目線がケーブル900の長手方向と垂直な方向の場合に便利である。しかし、必ずしも垂直な方向が便利とは限らない。コネクタ990を挿抜する作業環境によって本体ボディ120の発光部140の角度を選択することも可能である。
【0031】
例えば、発光素子145の発光量が多い方向を、発光部140が配置されている面の法線方向に一致させる。そして、発光部140が配置されている面の角度を作業環境に適応するように選択すればよい。このような構造にすると、第3開口部173と第4開口部174は、発光素子145の発光量が多い方向と同じ方向に開口することになる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、ケーブルが輻輳している場所でのケーブルを確認する作業に利用することができる。
【符号の説明】
【0033】
100 ケーブル識別具 110 本体
120 本体ボディ 125 ケーブル接触面
127、187 凸部 128 本体爪
129、189 ブーツ固定部 130 カバー
131 カバー爪 140 発光部
141 第1導体 142 第2導体
143、144 導通材料 145 発光素子
146 ブリッジ回路 151 第1コンタクト
152 第2コンタクト 153 第1スリット部
154 第2スリット部 155 第1コンタクトボディ
156 第2コンタクトボディ 157 第1接触部
158 第2接触部 170 開口手段
171 第1開口部 172 第2開口部
173 第3開口部 174 第4開口部
180 ベース 181、182 導線用溝
183、184 コンタクト用溝 185 ケーブル固定面
186 連結部 188 ベース固定部
200 電源装置 210 電源本体
211 直流電源 212 抵抗
221、222 ピン 223、224 コード
500 ブーツ 510 ブーツボディ
521 第1ガイド 522 第2ガイド
900 ケーブル 901、902 導線
903〜906 心線 990 コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルの対応関係を確認するために、対象となるケーブルに取り付けられるケーブル識別具であって、
前記ケーブルの2つの導線に別々に接続するための第1コンタクトと第2コンタクトと、
第1コンタクトと電気的に接続された第1導体と、第2コンタクトと電気的に接続された第2導体と、前記第1導体と前記第2導体との間に所定の電力が供給された場合に発光する発光素子とを有する発光部と、
可視光を通す材質で形成され、前記発光素子を覆うカバーと
を有する本体と、
このケーブル識別具を前記ケーブルに固定するための取り付け手段と、
前記第1導体と前記第2導体との間に外部から電力を供給するために形成された開口手段と、
を備えるケーブル識別具。
【請求項2】
請求項1記載のケーブル識別具であって、
前記開口手段は、
前記ケーブルの長手方向と平行な方向に開口している第1開口部と、
前記第1開口部と同じ方向に開口している第2開口部と、
前記発光素子の発光量が多い方向と同じ方向に開口している第3開口部と、
前記第3開口部と同じ方向に開口している第4開口部
で構成され、
前記第1コンタクトは、導線を把持する第1スリット部と、前記第1開口部に対応する位置に配置される第1コンタクトボディと、前記第1導体と接触する第1接触部とを有し、
前記第2コンタクトは、導線を把持する第2スリット部と、前記第2開口部に対応する位置に配置される第2コンタクトボディと、前記第2導体と接触する第2接触部とを有し、
前記第1導体は、前記第3開口部に対応する位置に配置され、
前記第2導体は、前記第4開口部に対応する位置に配置される
ことを特徴とするケーブル識別具。
【請求項3】
請求項1記載のケーブル識別具であって、
前記開口手段は、
前記ケーブルの長手方向と平行な方向に開口している第1開口部と、
前記第1開口部と同じ方向に開口している第2開口部と、
前記ケーブルの長手方向と垂直な方向に開口している第3開口部と、
前記第3開口部と同じ方向に開口している第4開口部
で構成され、
前記第1コンタクトは、導線を把持する第1スリット部と、前記第1開口部に対応する位置に配置される第1コンタクトボディと、前記第1導体と接触する第1接触部とを有し、
前記第2コンタクトは、導線を把持する第2スリット部と、前記第2開口部に対応する位置に配置される第2コンタクトボディと、前記第2導体と接触する第2接触部とを有し、
前記第1導体は、前記第3開口部に対応する位置に配置され、
前記第2導体は、前記第4開口部に対応する位置に配置される
ことを特徴とするケーブル識別具。
【請求項4】
請求項2または3記載のケーブル識別具であって、
前記本体は、前記カバーが配置された面の反対側の面に前記ケーブルと接触するケーブル接触面を有し、
前記取り付け手段は、前記ケーブルと接触するケーブル固定面を有するベースであって、前記ケーブル固定面と前記ケーブル接触面との間にケーブルを挟むことで、このケーブル識別具を前記ケーブルに固定する手段であり、
前記第1コンタクトは、前記ベースの方向に、前記第1接触部、前記第1コンタクトボディ、前記第1スリット部の順番となるように配置され、
前記第2コンタクトは、前記ベースの方向に、前記第2接触部、前記第2コンタクトボディ、前記第2スリット部の順番となるように配置され、
前記ケーブルの2つの導線は、前記ベースと前記本体とで前記ケーブルを挟むときに前記第1スリットと前記第2スリットに別々に把持される
ことを特徴とするケーブル識別具。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれかに記載のケーブル識別具であって、
前記ケーブルの長手方向と平行な方向に形成された溝であって、当該溝の最も深い部分が前記第1開口部と対向する第1ガイドと、
前記ケーブルの長手方向と平行な方向に形成された溝であって、当該溝の最も深い部分が前記第2開口部と対向する第2ガイドと、
を有し、前記本体の前記第1開口部と前記第2開口部が形成された面に隣接して前記ケーブルに固定されるブーツも備える
ことを特徴とするケーブル識別具。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のケーブル識別具であって、
前記発光部は、前記第1導体と前記第2導体に供給される電力の極性に関わりなく、前記発光素子の極性に対応した電力を前記発光素子に供給するブリッジ回路も備える
ことを特徴とするケーブル識別具。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載されたケーブル識別具を複数個取り付けたケーブルの対応関係を確認するケーブル識別方法であって、
複数の前記ケーブル識別具は、前記ケーブルの1つの導線にすべての前記ケーブル識別具の第1コンタクトが接続され、前記ケーブルの他の1つの導線にすべての前記ケーブル識別具の第2コンタクトが接続された状態で、前記ケーブルに取り付けられており、
いずれか1つの前記ケーブル識別具の前記第1導体と前記第2導体との間に前記開口手段を用いて電力を供給することで、その他のすべての前記ケーブル識別具の前記第1導体と前記第2導体との間に前記1つの導線と前記他の1つの導線を用いて前記所定の電力を供給する電力供給ステップと、
前記電力供給ステップによって発光している前記ケーブル識別具を探すことでケーブルの対応関係を確認する確認ステップと
を有するケーブル識別方法。
【請求項8】
請求項6記載されたケーブル識別具を複数個取り付けたケーブルの対応関係を確認するケーブル識別方法であって、
複数の前記ケーブル識別具は、前記ケーブルの2つの導線に第1コンタクトと第2コンタクトが別々に接続された状態、前記ケーブルに取り付けられており、
いずれか1つの前記ケーブル識別具の前記第1導体と前記第2導体との間に前記開口手段を用いて電力を供給することで、その他のすべての前記ケーブル識別具の前記第1導体と前記第2導体との間に前記1つの導線と前記他の1つの導線を用いて前記所定の電力を供給する電力供給ステップと、
前記電力供給ステップによって発光している前記ケーブル識別具を探すことでケーブルの対応関係を確認する確認ステップと
を有するケーブル識別方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−243670(P2012−243670A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114797(P2011−114797)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(391005581)三和電気工業株式会社 (66)
【出願人】(391025730)岡野電線株式会社 (55)
【Fターム(参考)】