説明

ケーブル

【課題】 映像信号の伝送方向を検出することができ、検出した映像信号の伝送方向に応じて処理を行うことができるケーブルを提供する。
【解決手段】 ケーブル1は、第1プラグ2及び第2プラグ5と、電圧印加線と、第1伝送線と、第2伝送線と、第1回線切替えユニット27と、第2回線切替えユニット37と、制御部と、を備えている。制御部は、第1プラグ2及び第2プラグ5間の映像信号の伝送方向を検出し、検出した伝送方向に応じて第1回線切替えユニット27及び第2回線切替えユニット37を制御し、第1プラグ及び第2プラグ間を第1伝送線及び第2伝送線の何れか一方で接続させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、パーソナルコンピュータ及びディスプレイの接続標準規格であるDVI(Digital Visual Interface)規格、並びにAV(audio-visual)機器間のインターフェイス規格として、例えば、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)規格が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。HDMI規格は、映像伝送機能を有するDVI規格を基に、音声伝送機能を加えるなど改良されたものである。
【0003】
HDMI規格に準拠したHDMIケーブルは、送信機及び受信機に接続され使用される。HDMIケーブルは、TMDS(Transition Minimized Differential Signaling)伝送部と、+5V電源伝送部と、HPD(Hot Plug Detect)信号線と、EDID(Extended Display Identification Data)信号伝送部と、CEC(Consumer Electronics Control)信号線と、を有している。
【0004】
TMDS信号伝送部は、送信機から受信機に映像成分及び音声成分を含む映像信号を伝送する。+5V電源線は、HDMIケーブルが送信機及び受信機に接続されることにより、送信機から受信機に+5Vの電圧を与える。これにより、HDMIケーブルが送信機及び受信機に接続されたことを受信機に知らせることができる。HPD信号線は、受信機が映像信号を受信する準備が整ったことを示すHPD信号を受信機から送信機に伝送する。EDID信号伝送部は、送信機及び受信機間でEDID信号を双方向に伝送する。これにより、送信機及び受信機間の認証を行うことができる。CEC信号線は、送信機及び受信機間でCEC信号を双方向に伝送する。これにより、システム全体の制御を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−310197号公報
【特許文献2】特開2008−72419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記HDMIケーブルは、ソース側の装置からシンク側の装置へと、映像信号を1方向に伝送する。ここで、HDMIケーブルの映像信号の伝送を光ファイバ等で行なう場合には、光ファイバは通常、信号を一方向にしか伝送できないため、当該HDMIケーブルが送信機及び受信機に逆に接続された場合、映像信号を送信機から受信機に伝送することができない。このため、映像信号の伝送方向を検出することができ、検出した映像信号の伝送方向に応じて処理を行うことができるケーブルが求められている。
【0007】
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、映像信号の伝送方向を検出することができ、検出した映像信号の伝送方向に応じて処理を行うことができるケーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の態様に係るケーブルは、
第1プラグ及び第2プラグと、
前記第1プラグ及び第2プラグ間に接続されたメタル線で形成され、前記第1プラグ及び第2プラグの一方から電圧が印加される電圧印加線と、
前記第1プラグ及び第2プラグ間に接続され、映像信号を伝送する複数の光ファイバの第1光ファイバ群を有し、前記第1プラグから前記第2プラグに映像信号を伝送可能な第1伝送線と、
前記複数の光ファイバの第2光ファイバ群を有し、前記第2プラグから前記第1プラグに映像信号を伝送可能な第2伝送線と、
前記第1プラグ並びに前記第1伝送線及び第2伝送線の何れか一方を選択的に接続可能な第1回線切替えユニットと、
前記第2プラグ並びに前記第1伝送線及び第2伝送線の何れか一方を選択的に接続可能な第2回線切替えユニットと、
前記電圧印加線に接続され、前記第1プラグ及び第2プラグの何れから前記電圧印加線に電圧が印加されたのかにより前記第1プラグ及び第2プラグ間の映像信号の伝送方向を検出し、前記検出した伝送方向に応じて前記第1回線切替えユニット及び第2回線切替えユニットを制御し、前記第1プラグ及び第2プラグ間を前記第1伝送線及び第2伝送線の何れか一方で接続させる制御部と、を備えている。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、映像信号の伝送方向を検出することができ、検出した映像信号の伝送方向に応じて処理を行うことができるケーブルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係るケーブルの外観を示す図であり、2つのAV機器に接続されるケーブルを示す図である。
【図2】図2は、上記ケーブルの概略構成を示す図である。
【図3】図3は、図1に示した第1プラグ及び第1筐体の内部の概略構成を図2より詳細に示す図である。
【図4】図4は、図1に示した第2プラグ及び第2筐体の内部の概略構成を図2より詳細に示す図である。
【図5】図5は、上記ケーブルが行う第1伝送回線及び第2伝送回線の切替え方法を示すフローチャートである。
【図6】図6は、図5に続く、上記ケーブルが行う第1伝送回線及び第2伝送回線の切替え方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態に係るケーブルについて詳細に説明する。
図1に示すように、ケーブル1は、2つのAV(audio-visual)機器100、200を接続するインターフェイスである。ケーブル1は、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)規格に準拠している。この実施の形態において、AV機器100は送信機であり、AV機器200は受信機である。送信機としては、例えばDVD(digital video disk)レコーダが挙げられる。受信機としては、例えばデジタルテレビジョン受像機が挙げられる。
【0012】
ケーブル1は、それぞれAV機器100、200に接続可能な第1プラグ2及び第2プラグ5と、第1筐体3と、第2筐体6と、ケーブル本体8と、を備えている。第1プラグ2は第1筐体3に取付けられている。第2プラグ5は第2筐体6に取付けられている。ケーブル本体8の一端は第1筐体3に取付けられ、他端は第2筐体6に取付けられている。
【0013】
この実施の形態において、第1プラグ2はAV機器100のレセプタクル101に差し込まれる。これにより、第1プラグ2は定位置に固定され、第1プラグ2の後述する複数の端子ta1乃至ta14はAV機器100に接続される。また、第2プラグ5はAV機器200のレセプタクル201に差し込まれる。これにより、第2プラグ5は定位置に固定され、第2プラグ5の後述する複数の端子tb1乃至tb14はAV機器200に接続される。
【0014】
図1及び図2に示すように、ケーブル本体8は、複数の光ファイバ10と、電圧印加線としての+5V電源線13と、HPD(Hot Plug Detect)信号線15と、接地線16と、DDC data信号線17と、DDC Clock信号線18と、CEC(Consumer Electronics Control)信号線19と、を有している。複数の光ファイバ10、+5V電源線13、HPD信号線15、接地線16、DDC data信号線17、DDC Clock信号線18及びCEC信号線19は、1つに束ねられ、図示しない電気絶縁物で被覆されている。後述するが、上記のような制御信号を伝送する制御信号線はメタル線で形成されている。
【0015】
複数の光ファイバ10は、TMDS(Transition Minimized Differential Signaling)信号を伝送する。複数の光ファイバ10は、第1光ファイバ群11と、第2光ファイバ群12とを形成している。
【0016】
TMDS信号は、映像成分及び音声成分を含む光の映像信号と、光の映像信号の画素データに同期したクロック信号とを有している。TMDS信号は、第1光ファイバ群11及び第2光ファイバ群12の何れか一方を介して伝送される。この実施の形態において、TMDS信号は、第1光ファイバ群11を介して伝送される。
【0017】
図2乃至図4に示すように、+5V電源線13は、端子ta9及びtb9間に接続されたメタル線で形成されている。第1プラグ2若しくは第2プラグ5がAV機器100、200の一方に接続されることにより、AV機器100、200の一方から+5V電源線13に+5Vの電圧が印加される。この実施の形態において、+5Vの電圧は、AV機器100から第1プラグ2を介して+5V電源線13に印加される。
【0018】
ケーブル1は、制御部としてのマイコン(マイクロコンピュータ)9及びスイッチング素子40をさらに備えている。マイコン9は端子A、Bを有し、端子A、Bは電圧印加線としての+5V電源線13に接続されている。スイッチング素子40は、マイコン9に並列に接続され、例えばTFT(薄膜トランジスタ)で形成されている。
【0019】
マイコン9は、+5V電源線13の電圧の変化を感知する。詳しくは、マイコン9は、+5Vの電圧が端子A及び端子Bの何れに供給されたのか監視する。これにより、AV機器100、200間(第1プラグ2及び第2プラグ5間)のTMDS信号の伝送方向を検出する。
【0020】
例えば、マイコン9が、端子Aへの+5Vの電圧の供給があったことを確認し、端子Bへの+5Vの電圧の供給が無かったことを確認すると、第1プラグ2が送信機であるAV機器100に接続されたと判断し、第1プラグ2から第2プラグ5に向かうTMDS信号の伝送方向を検出する。
【0021】
一方、マイコン9が、端子Aへの+5Vの電圧の供給が無かったことを確認し、端子Bへの+5Vの電圧の供給があったことを確認すると、第2プラグ5が送信機であるAV機器100に接続されたと判断し、第2プラグ5から第1プラグ2に向かうTMDS信号の伝送方向を検出する。
【0022】
また、マイコン9は、+5V電源線13の電圧の変化を感知した後、スイッチング素子40に切替え信号を与え、スイッチング素子40をオフ状態(非導通状態)からオン状態(導通状態)に切替える。+5Vの電圧は、AV機器100からAV機器200に、第1プラグ2、+5V電源線13、スイッチング素子40及び第2プラグ5を介して与えられるため、ケーブル1がAV機器100、200に接続されたことをAV機器200に知らせることができる。
【0023】
HPD信号線15は、端子ta10及びtb10間に接続されたメタル線で形成されている。HPD信号線15は、AV機器200がTMDS信号を受信する準備が整ったことを示すHPD信号をAV機器200からAV機器100に伝送する。HPD信号は、AV機器200に+5Vの電圧が与えられることでAV機器200から出力される。
【0024】
接地線16は、端子ta11及びtb11間に接続されたメタル線で形成され、接地されている。
【0025】
DDC data信号線17は、端子ta12及びtb12間に接続されたメタル線で形成され、AV機器100及びAV機器200間でDDC data信号を双方向に伝送する。
【0026】
DDC Clock信号線18は、端子ta13及びtb13間に接続されたメタル線で形成され、AV機器100及びAV機器200間でDDC Clock信号を双方向に伝送する。
【0027】
DDC data信号及びDDC Clock信号は、EDID(Extended Display Identification Data)を含み、AV機器100及びAV機器200間の認証を行う。
【0028】
CEC信号線19は、端子ta14及びtb14間に接続されたメタル線で形成され、AV機器100及びAV機器200間でCEC信号を双方向に伝送する。CEC信号は、システム全体の制御を行う。
【0029】
ケーブル1は、第1伝送回線C1と、第2伝送回線C2と、第1回線切替えユニット27と、第2回線切替えユニット37とをさらに備えている。
【0030】
第1伝送回線C1は、第1光ファイバ群11と、第1電気/光変換ユニット21と、駆動回路装置25と、第1光/電気変換ユニット33と、増幅回路装置36とを有している。
【0031】
第1電気/光変換ユニット21は、第1光ファイバ群11及び第1プラグ2間に接続され、第1プラグ2から入力される電気のTMDS信号を光のTMDS信号に変換して第1光ファイバ群11に入射させる。第1電気/光変換ユニット21は、電気信号を光信号に変換する複数のレーザダイオード22で形成されている。
【0032】
駆動回路装置25は、第1電気/光変換ユニット21及び第1プラグ2間に接続されている。駆動回路装置25の+5V電源入力端子はメタル線61を介してHPD信号線15に接続され、駆動回路装置25の接地端子はメタル線71を介して接地線16に接続されている。駆動回路装置25は、複数のレーザダイオード22を駆動し、入力される電気のTMDS信号を第1電気/光変換ユニット21に出力する。
【0033】
第1光/電気変換ユニット33は、第1光ファイバ群11及び第2プラグ5間に接続され、第1光ファイバ群11から出射される光のTMDS信号を電気のTMDS信号に変換して第2プラグ5に出力する。第1光/電気変換ユニット33は、光信号を電気信号に変換する複数のフォトダイオード34で形成されている。
【0034】
増幅回路装置36は、第1光/電気変換ユニット33及び第2プラグ5間に接続されている。増幅回路装置36の+5V電源入力端子はメタル線63を介してHPD信号線15に接続され、増幅回路装置36の接地端子はメタル線73を介して接地線16に接続されている。増幅回路装置36は、入力される電気のTMDS信号を増幅して第2プラグ5に出力する。
【0035】
第2伝送回線C2は、第2光ファイバ群12と、第1電気/光変換ユニット21と同様に形成された第2電気/光変換ユニット31と、駆動回路装置25と同様に形成された駆動回路装置35と、第1光/電気変換ユニット33と同様に形成された第2光/電気変換ユニット23と、増幅回路装置36と同様に形成された増幅回路装置26とを有している。
【0036】
AV機器100に第1プラグ2を接続し、AV機器200に第2プラグ5を接続した場合、TMDS信号の伝送に第2伝送回線C2は使用されないが、ここでは、TMDS信号の伝送に第2伝送回線C2を使用する場合を仮定して説明する。
【0037】
第2電気/光変換ユニット31は、第2光ファイバ群12及び第2プラグ5間に接続され、第2プラグ5から入力される電気のTMDS信号を光のTMDS信号に変換して第2光ファイバ群12に入射させる。第2電気/光変換ユニット31は、電気信号を光信号に変換する複数のレーザダイオード32で形成されている。
【0038】
駆動回路装置35は、第2電気/光変換ユニット31及び第2プラグ5間に接続されている。駆動回路装置35の+5V電源入力端子はメタル線64を介してHPD信号線15に接続され、駆動回路装置35の接地端子はメタル線74を介して接地線16に接続されている。駆動回路装置35は、複数のレーザダイオード32を駆動し、入力される電気のTMDS信号を第2電気/光変換ユニット31に出力する。
【0039】
第2光/電気変換ユニット23は、第2光ファイバ群12及び第1プラグ2間に接続され、第2光ファイバ群12から出射される光のTMDS信号を電気のTMDS信号に変換して第1プラグ2に出力する。第2光/電気変換ユニット23は、光信号を電気信号に変換する複数のフォトダイオード24で形成されている。
【0040】
増幅回路装置26は、第2光/電気変換ユニット23及び第1プラグ2間に接続されている。増幅回路装置26の+5V電源入力端子はメタル線62を介してHPD信号線15に接続され、増幅回路装置26の接地端子はメタル線72を介して接地線16に接続されている。増幅回路装置26は、入力される電気のTMDS信号を増幅して第1プラグ2に出力する。
【0041】
ケーブル1は、第1回線切替えユニット27と、第2回線切替えユニット37と、をさらに備えている。第1回線切替えユニット27は、メタル線で形成された切替え信号線51を介してマイコン9に接続されている。第2回線切替えユニット37は、メタル線で形成された切替え信号線52を介してマイコン9に接続されている。なお、切替え信号線52は、ケーブル本体8を形成し、+5V電源線13などとともに束ねられている。
【0042】
第1回線切替えユニット27は、複数の切替え素子28を有している。各切替え素子28は、端子ta1乃至ta8の何れか1つに接続された端子tcと、駆動回路装置25に接続された端子tdと、増幅回路装置26に接続された端子teとを有している。切替え素子28は、端子tc、並びに端子td及び端子teの何れか一方を選択的に接続するよう切替え可能である。
【0043】
第2回線切替えユニット37は、第1回線切替えユニット27と同様に形成されている。第2回線切替えユニット37は、複数の切替え素子38を有している。各切替え素子38は、端子tb1乃至tb8の何れか1つに接続された端子tfと、増幅回路装置36に接続された端子tgと、駆動回路装置35に接続された端子thとを有している。切替え素子38は、端子tf、並びに端子tg及び端子thの何れか一方を選択的に接続するよう切替え可能である。
【0044】
マイコン9は、第1回線切替えユニット27及び第2回線切替えユニット37を制御し、第1プラグ2及び第2プラグ5間を第1伝送回線C1及び第2伝送回線C2の何れか一方で接続させる。マイコン9は、第1回線切替えユニット27及び第2回線切替えユニット37を制御する際、切替え信号線51、52を介して第1回線切替えユニット27及び第2回線切替えユニット37に切替え信号を与える。
【0045】
図1乃至図4に示すように、第1電気/光変換ユニット21、第2光/電気変換ユニット23、駆動回路装置25、増幅回路装置26、第1回線切替えユニット27及びマイコン9は、第1筐体3に収容されている。第2電気/光変換ユニット31、第1光/電気変換ユニット33、駆動回路装置35、増幅回路装置36及び第2回線切替えユニット37は、第2筐体6に収容されている。この実施の形態において、マイコン9は、第1筐体3に収容されているが、これに限らず、第1筐体3及び第2筐体6の何れか一方に収容されていればよい。
【0046】
上述したように、マイコン9は、第1プラグ2及び第2プラグ5間のTMDS信号の伝送方向を検出し、検出した伝送方向に応じて処理する。この実施の形態において、マイコン9は、AV機器100からAV機器200に向かうTMDS信号の伝送方向を検出し、第1回線切替えユニット27及び第2回線切替えユニット37に切替え信号を与え、端子tc及び端子tdを接続させ、端子tf及び端子tgを接続させる。
【0047】
これにより、マイコン9は、第1プラグ2及び第2プラグ5間を第1伝送回線C1で接続させることができ、第1伝送回線C1を使ってAV機器100からAV機器200にTMDS信号を伝送することができる。
上記のように、ケーブル1が形成されている。
【0048】
次に、上記ケーブル1が行う第1伝送回線C1及び第2伝送回線C2の切替え方法について説明する。特に、マイコン9が、TMDS信号の伝送方向を検出し、検出したTMDS信号の伝送方向に応じて行う処理について説明する。ここでは、ケーブル1の第1プラグ2及び第2プラグ5の何れか一方がAV機器100に接続され、他方がAV機器200に接続される。
【0049】
図1乃至図5に示すように、第1伝送回線C1及び第2伝送回線C2の切替え方法がスタートすると、まず、ステップS1において、ケーブル1の第1プラグ2及び第2プラグ5を2つのAV機器100、200に接続する。これにより、ステップS2において、ケーブル1の+5V電源線13の電圧が0Vから+5Vに変化する。
次いで、ステップS3において、マイコン9は、+5V電源線13に+5Vの電圧が印加されたのは第1プラグ2からであるのかどうか判断する。
【0050】
第1プラグ2から+5Vの電圧が印加された場合、マイコン9は第1プラグ2が送信機であるAV機器100に接続されたと判断し、ステップS4に移行し、マイコン9は第1プラグ2から第2プラグ5に向かうTMDS信号の伝送方向を検出する。
【0051】
その後、ステップS5において、マイコン9は、切替え信号線51、52を介して第1回線切替えユニット27及び第2回線切替えユニット37に切替え信号を与え、第1プラグ2及び第2プラグ5間を第1伝送回線C1で接続させる。これにより、ケーブル1が行う上記切替えが終了する。
【0052】
図1乃至図6に示すように、上記ステップS3において、第1プラグ2から+5Vの電圧が印加されない場合、すなわち、第2プラグ5から+5Vの電圧が印加された場合、マイコン9は第2プラグ5が送信機であるAV機器100に接続されたと判断し、ステップS6に移行する。ステップS6において、マイコン9は第2プラグ5から第1プラグ2に向かうTMDS信号の伝送方向を検出する。
【0053】
その後、ステップS7において、マイコン9は、切替え信号線51、52を介して第1回線切替えユニット27及び第2回線切替えユニット37に切替え信号を与え、第1プラグ2及び第2プラグ5間を第2伝送回線C2で接続させる。これにより、ケーブル1が行う上記切替えが終了する。
【0054】
以上のように構成されたケーブル1によれば、ケーブル1は、第1プラグ2及び第2プラグ5と、前記第1プラグ2及び第2プラグ5の一方から+5Vの電圧が印加される+5V電源線13と、映像信号を含むTMDS信号を伝送する複数の光ファイバ10と、マイコン9と、を備えている。
【0055】
マイコン9は、+5V電源線13に接続され、+5V電源線13の電圧の変化を感知することにより第1プラグ2及び第2プラグ5間のTMDS信号の伝送方向を検出し、検出した伝送方向に応じて処理する。この実施の形態において、マイコン9は、検出した伝送方向に応じて、第1プラグ2及び第2プラグ5間を第1伝送回線C1及び第2伝送回線C2のどちらで接続するか切替えることができる。
【0056】
マイコン9は、TMDS信号の伝送方向を自動で切替えることができる。このため、第1プラグ2をAV機器100に接続し、第2プラグ5をAV機器200に接続した場合、ケーブル1は第1伝送回線C1を使ってTMDS信号を伝送することができ、また、第1プラグ2をAV機器200に接続し、第2プラグ5をAV機器100に接続した場合、ケーブル1は第2伝送回線C2を使ってTMDS信号を伝送することができる。
【0057】
ケーブル1は、AV機器100及びAV機器200にどのように接続されてもTMDS信号を伝送できるため、使い勝手のよいものである。ケーブル1は、TMDS信号を1方向にのみ伝送可能な従来のケーブルを使った場合に生じる恐れのある問題、すなわち、ケーブルが送信機及び受信機に逆に接続されケーブルがTMDS信号を伝送できない問題を解決することができる。言うまでもないが、ケーブルが送信機及び受信機に逆に接続された場合、ケーブルの接続をやり直すことになる。
【0058】
上記のことから、映像信号を含むTNDS信号の伝送方向を検出することができ、検出したTMDS信号の伝送方向に応じて処理を行うことができるケーブル1を得ることができる。
【0059】
なお、この発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0060】
例えば、マイコン9は、+5V電源線13に接続されているが、これに限らず、第1プラグ2及び第2プラグ5間に接続されたメタル線で形成され、第1プラグ2及び第2プラグ5の一方から電圧が印加される電圧印加線として機能する線に接続されていればよい。
【0061】
この発明のケーブルは、第1プラグ及び第2プラグと、第1プラグ及び第2プラグ間に接続されたメタル線で形成され、第1プラグ及び第2プラグの一方から電圧が印加される電圧印加線と、第1プラグ及び第2プラグ間に接続され、映像信号を伝送する複数の光ファイバと、電圧印加線に接続され、電圧印加線の電圧の変化を感知することにより第1プラグ及び第2プラグ間の映像信号の伝送方向を検出し、検出した伝送方向に応じて処理する制御部と、を少なくとも備えていればよい。
【0062】
この発明のケーブルは、例えば、第1筐体3及び第2筐体6の少なくとも一方に設けられた発光素子としての発光ダイオードを備えていてもよい。例えば、ケーブルが送信機及び受信機に逆に接続された場合、制御部(マイコン9)の制御の基、発光ダイオードに発光させることができる。
【0063】
この発明は、HDMI規格に準拠したケーブルに限らず、DVI(Digital Visual Interface)規格に準拠したケーブルや、HDMI規格及びDVI規格非準拠のケーブルに適用することも可能である。
【符号の説明】
【0064】
1…ケーブル、2…第1プラグ、3…第1筐体、5…第2プラグ、6…第2筐体、9…マイコン、10…光ファイバ、11…第1光ファイバ群、12…第2光ファイバ群、13…+5V電源線、15…HPD信号線、16…接地線、17…DDC data信号線、18…DDC Clock信号線、19…CEC信号線、21…第1電気/光変換ユニット、23…第2光/電気変換ユニット、27…第1回線切替えユニット、31…第2電気/光変換ユニット、33…第1光/電気変換ユニット、37…第2回線切替えユニット、40…スイッチング素子、51,52…切替え信号線、100,200…AV機器、101,201…レセプタクル、C1…第1伝送回線、C2…第2伝送回線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1プラグ及び第2プラグと、
前記第1プラグ及び第2プラグ間に接続されたメタル線で形成され、前記第1プラグ及び第2プラグの一方から電圧が印加される電圧印加線と、
前記第1プラグ及び第2プラグ間に接続され、映像信号を伝送する複数の光ファイバの第1光ファイバ群を有し、前記第1プラグから前記第2プラグに映像信号を伝送可能な第1伝送線と、
前記複数の光ファイバの第2光ファイバ群を有し、前記第2プラグから前記第1プラグに映像信号を伝送可能な第2伝送線と、
前記第1プラグ並びに前記第1伝送線及び第2伝送線の何れか一方を選択的に接続可能な第1回線切替えユニットと、
前記第2プラグ並びに前記第1伝送線及び第2伝送線の何れか一方を選択的に接続可能な第2回線切替えユニットと、
前記電圧印加線に接続され、前記第1プラグ及び第2プラグの何れから前記電圧印加線に電圧が印加されたのかにより前記第1プラグ及び第2プラグ間の映像信号の伝送方向を検出し、前記検出した伝送方向に応じて前記第1回線切替えユニット及び第2回線切替えユニットを制御し、前記第1プラグ及び第2プラグ間を前記第1伝送線及び第2伝送線の何れか一方で接続させる制御部と、を備えているケーブル。
【請求項2】
第1プラグ及び第2プラグと、
前記第1プラグ及び第2プラグ間に接続されたメタル線で形成され、前記第1プラグ及び第2プラグの一方から電圧が印加される電圧印加線と、
前記第1プラグ及び第2プラグ間に接続され、映像信号を伝送する複数の光ファイバの第1光ファイバ群と、前記第1光ファイバ群及び第1プラグ間に接続され前記第1プラグから入力される電気の映像信号を光の映像信号に変換して前記第1光ファイバ群に入射させる第1電気/光変換ユニットと、前記第1光ファイバ群及び第2プラグ間に接続され前記第1光ファイバ群から出射される光の映像信号を電気の映像信号に変換して前記第2プラグに出力する第1光/電気変換ユニットと、を有した第1伝送線と、
前記複数の光ファイバの第2光ファイバ群と、前記第2光ファイバ群及び第2プラグ間に接続され前記第2プラグから入力される電気の映像信号を光の映像信号に変換して前記第2光ファイバ群に入射させる第2電気/光変換ユニットと、前記第2光ファイバ群及び第1プラグ間に接続され前記第2光ファイバ群から出射される光の映像信号を電気の映像信号に変換して前記第1プラグに出力する第2光/電気変換ユニットと、を有した第2伝送線と、
前記第1プラグ並びに前記第1電気/光変換ユニット及び第2光/電気変換ユニットの何れか一方を選択的に接続可能な第1回線切替えユニットと、
前記第2プラグ並びに前記第1光/電気変換ユニット及び第2電気/光変換ユニットの何れか一方を選択的に接続可能な第2回線切替えユニットと、
前記電圧印加線に接続され、前記第1プラグ及び第2プラグの何れから前記電圧印加線に電圧が印加されたのかにより前記第1プラグ及び第2プラグ間の映像信号の伝送方向を検出し、前記検出した伝送方向に応じて前記第1回線切替えユニット及び第2回線切替えユニットを制御し、前記第1プラグ及び第2プラグ間を前記第1伝送線及び第2伝送線の何れか一方で接続させる制御部と、を備えているケーブル。
【請求項3】
前記第1プラグが取付けられた第1筐体と、
前記第2プラグが取付けられた第2筐体と、をさらに備え、
前記制御部は、前記第1筐体及び第2筐体の何れか一方に収容されている請求項1又は2に記載のケーブル。
【請求項4】
前記制御部及び第1回線切替えユニットと、前記制御部及び第2回線切替えユニットと、にそれぞれ接続されたメタル線で形成された切替え信号線をさらに備え、
前記制御部は、前記第1回線切替えユニット及び第2回線切替えユニットを制御する際、前記切替え信号線を介して前記第1回線切替えユニット及び第2回線切替えユニットに切替え信号を与える請求項1又は2に記載のケーブル。
【請求項5】
前記第1プラグ及び第2プラグ間に接続されたメタル線で形成され、制御信号を伝送する制御信号線をさらに備えている請求項1又は2に記載のケーブル。
【請求項6】
HDMI規格に準拠している請求項1乃至5の何れか1項に記載のケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−138783(P2011−138783A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17769(P2011−17769)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【分割の表示】特願2009−295636(P2009−295636)の分割
【原出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】