説明

ゲームプログラム、対戦ゲーム装置、及び対戦ゲーム制御方法

【課題】打撃側のプレイヤに対する過大な操作性を軽減し、対戦者間のゲーム操作のバランスを取る。
【解決手段】区分された区分体(マス目)を有する枠オブジェクト60をホームベース上に設定する指標枠設定部104と、投球後、枠オブジェクト60を通過するまでのボールオブジェクト72の移動軌跡を設定し、移動を行わせる移動処理部107と、ジョイスティック194の操作信号を受け付け、モニタ21上のカーソル80を区分体の1つに一致させ、該区分体を作用範囲に指定する打撃範囲指定部108と、ボタン193からの操作信号の受付時に、ボールオブジェクト72を打つ指示を行う打撃指示部109と、設定打撃範囲とボールオブジェクト72の枠オブジェクト60の通過位置との一致度合い及びボールオブジェクト72が枠オブジェクト60を通過するタイミングと作用タイミング指示との一致度合いによって打撃結果を決定する結果処理部113とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1回のシーケンス毎に、モニタに表示される仮想3次元のゲーム空間内で移動する移動体オブジェクトに、一方のプレイヤからの指示を受け付けて作用させ、その作用結果に基づいて進行する対戦ゲームをコンピュータに行わせる制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モニタに仮想3次元の野球を模擬したゲーム空間内を表示し、このゲーム空間内で移動する、すなわち投手キャラクタによって投球されたボールオブジェクトにカーソルを一致させることで、自己キャラクタの所持するバットオブジェクトによるボールオブジェクトへの作用、すなわち打撃を決定させる野球ゲームが知られている。この野球ゲームでは、プレイヤによってコントローラの十字キーが操作されることで、カーソルがホームベース上で任意に移動可能にされている。また、近年、加速度センサを備えるコントローラを採用したゲームが提案されている(特許文献1)。特許文献1には、プレイヤがコントローラをバットを振るようにして振ることにより、投球されたボールオブジェクトを撃つゲームが提案されている。このゲームの場合、コントローラと、制御部を内蔵するゲーム機本体とは無線による近接通信方式を採用しているため、プレイヤの遊技位置等の自由度が高く、また、一人のプレイヤがモニタ部を占有することもなく複数人でゲームを楽しむことができる。
【特許文献1】特開2007−167531号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の野球ゲームでは、投球されたボールオブジェクトのホームベース上での通過位置に対して打撃位置を示すカーソルをコントローラで指定し、両者の位置が一致するときボールオブジェクトが打たれたと判断するものである。しかしながら、カーソルは、ストライクゾーンに対してほぼ点状乃至は小円の小領域であるため、位置指定のための許容時間の短さ、モニタ上での位置指定の精度の点で、位置指定操作は必ずしも容易ではなかった。そのため、投手側(守備側)のプレイヤに比して、打者側(攻撃側)のプレイヤにはゲーム操作が相対的に難しいという傾向があり、攻守のゲームバランスや面白味という点で改善の余地があった。特に、特許文献1に記載のコントローラの場合、操作の汎用性、自由性がある反面、細かい位置指定操作はプレイヤの感覚に依存する部分があり、またコントローラを空中で把持した状態で操作することから手振れ等も生じやすく、一般的には容易とは言い難く、また経験を要するものであった。従って、単に、加速度センサを備えるコントローラによりカーソルを移動させる構成を採用しただけでは、操作の難易度が過大となり、ゲームの面白みに欠ける虞がある。
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、作用対象である移動体オブジェクトの通過指標となる指標枠オブジェクトを設定すると共に、この指標枠オブジェクトを所定数の区分体に区分けし、移動体オブジェクトとの作用を少なくとも1つの区分体以上とすることで作用位置の指定に対する過大な操作性を軽減し、対戦する両者間のゲーム操作に対するバランスを取り、ゲームの面白味を醸し出すゲームプログラム、対戦ゲーム装置、及び対戦ゲーム制御方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、モニタに表示される仮想3次元のゲーム空間内で移動する移動体オブジェクトに、一方のプレイヤからの指示を受け付けて作用させ、その作用結果に基づいて進行する対戦ゲームをコンピュータに行わせるゲームプログラムにおいて、前記ゲーム空間内の予め設定された移動開始位置から移動を開始する前記移動体オブジェクトが通過する指標としての、所定数の区分体に区分けされた所定サイズの指標枠オブジェクトを前記ゲーム空間内の所定位置に対応して設定する指標枠設定手段と、前記移動開始位置から前記指標枠オブジェクトを通過するまでの前記移動体オブジェクトの移動軌跡を設定し、設定された移動軌跡に従って前記移動体オブジェクトの移動動作を行わせる移動処理手段と、前記モニタ上で移動可能にカーソルを表示すると共に、前記一方のプレイヤが操作するコントローラの第1の操作部材から方向を指示するための操作信号を受け付け、この操作信号に応じて前記カーソルを前記所定数の区分体の1つに一致させることで少なくとも当該1つの区分体を作用範囲として指定する作用範囲指定手段と、前記一方のプレイヤが操作する前記コントローラの第2の操作部材からの操作信号を受け付けたタイミングで、前記移動開始位置から前記指標枠オブジェクトへ向けて移動中の移動体オブジェクトと作用させる指示を行う作用タイミング指示手段と、前記作用範囲指定手段で指定された区分体と前記移動体オブジェクトの前記指標枠オブジェクトの通過位置との一致度合い、及び前記移動体オブジェクトが前記指標枠オブジェクトを通過するタイミングと前記作用タイミング指示手段による作用を指示するタイミングとの一致度合いによって作用の結果を決定する作用結果処理手段として前記コンピュータを機能させるゲームプログラムである。
【0006】
請求項16記載の発明は、モニタに表示される仮想3次元のゲーム空間内で移動する移動体オブジェクトに、一方のプレイヤからの指示を受け付けて作用させ、その作用結果に基づいて進行する対戦ゲームをコンピュータに行わせる対戦ゲーム装置において、前記ゲーム空間内の予め設定された移動開始位置から移動を開始する前記移動体オブジェクトが通過する指標としての、所定数の区分体に区分けされた所定サイズの指標枠オブジェクトを前記ゲーム空間内の所定位置に対応して設定する指標枠設定手段と、前記移動開始位置から前記指標枠オブジェクトを通過するまでの前記移動体オブジェクトの移動軌跡を設定し、設定された移動軌跡に従って前記移動体オブジェクトの移動動作を行わせる移動処理手段と、前記モニタ上で移動可能にカーソルを表示すると共に、前記一方のプレイヤが操作するコントローラの第1の操作部材から方向を指示するための操作信号を受け付け、この操作信号に応じて前記カーソルを前記所定数の区分体の1つに一致させることで、少なくとも当該1つの区分体を作用範囲として指定する作用範囲指定手段と、前記一方のプレイヤが操作する前記コントローラの第2の操作部材からの操作信号を受け付けたタイミングで、前記移動開始位置から前記指標枠オブジェクトへ向けて移動中の移動体オブジェクトと作用させる指示を行う作用タイミング指示手段と、前記作用範囲指定手段で指定された区分体と前記移動体オブジェクトの前記指標枠オブジェクトの通過位置との一致度合い、及び前記移動体オブジェクトが前記指標枠オブジェクトを通過するタイミングと前記作用タイミング指示手段による作用を指示するタイミングとの一致度合いによって作用の結果を決定する作用結果処理手段とを備えたことを特徴とする対戦ゲーム装置である。
【0007】
請求項17記載の発明は、モニタに表示される仮想3次元のゲーム空間内で移動する移動体オブジェクトに、一方のプレイヤからの指示を受け付けて作用させ、その作用結果に基づいて進行する対戦ゲームをコンピュータに行わせる対戦ゲーム制御方法において、前記コンピュータの指標枠設定手段が、前記ゲーム空間内の予め設定された移動開始位置から移動を開始する前記移動体オブジェクトが通過する指標としての、所定数の区分体に区分けされた所定サイズの指標枠オブジェクトを前記ゲーム空間内の所定位置に対応して設定し、前記コンピュータの移動処理手段が、前記移動開始位置から前記指標枠オブジェクトを通過するまでの前記移動体オブジェクトの移動軌跡を設定し、設定された移動軌跡に従って前記移動体オブジェクトの移動動作を行わせ、前記コンピュータの作用範囲指定手段が、前記モニタ上で移動可能にカーソルを表示すると共に、前記一方のプレイヤが操作するコントローラの第1の操作部材から方向を指示するための操作信号を受け付け、この操作信号に応じて前記カーソルを前記所定数の区分体の1つに一致させることで、少なくとも当該1つの区分体を作用範囲として指定し、前記コンピュータの作用タイミング指示手段が、前記一方のプレイヤが操作する前記コントローラの第2の操作部材からの操作信号を受け付けたタイミングで、前記移動開始位置から前記指標枠オブジェクトへ向けて移動中の移動体オブジェクトと作用させる指示を行い、前記コンピュータの作用結果処理手段が、前記作用範囲指定手段で指定された区分体と前記移動体オブジェクトの前記指標枠オブジェクトの通過位置との一致度合い、及び前記移動体オブジェクトが前記指標枠オブジェクトを通過するタイミングと前記作用タイミング指示手段による作用を指示するタイミングとの一致度合いによって作用の結果を決定するようにしたことを特徴とする対戦ゲーム制御方法である。
【0008】
これらの発明によれば、モニタに仮想3次元のゲーム空間内で移動する移動体オブジェクトが表示され、この移動体オブジェクトを介して対戦ゲームが行われる。この移動体オブジェクトは、一方のプレイヤからの指示によって作用させられ、その作用結果に基づいて対戦ゲームが進行する。対戦ゲームでは、コンピュータの指標枠設定手段によって、前記ゲーム空間内の予め設定された移動開始位置から移動を開始する前記移動体オブジェクトが通過する指標としての、所定数の区分体で区分けされた所定サイズの指標枠オブジェクトが前記ゲーム空間内の所定位置に対応して設定される。そして、コンピュータの移動処理手段によって、前記移動開始位置から前記指標枠オブジェクトを通過するまでの前記移動体オブジェクトの移動軌跡が設定、すなわち算出され、算出された移動軌跡のデータに従って移動体オブジェクトの移動動作が実行される。一方、コンピュータの作用範囲指定手段によって、前記モニタ上で移動可能にカーソルが表示されると共に、前記一方のプレイヤが操作するコントローラの第1の操作部材から方向を指示するための操作信号が受け付けられ、この操作信号に応じて前記カーソルが前記所定数の区分体の1つに一致させられることで、少なくとも当該1つの区分体が作用範囲として指定される。さらに、コンピュータの作用タイミング指示手段によって、前記一方のプレイヤが操作する前記コントローラの第2の操作部材からの操作信号が受け付けられたタイミングで、前記移動開始位置から前記指標枠オブジェクトへ向けて移動中の移動体オブジェクトと作用させる指示が行われる。そして、前記コンピュータの作用結果処理手段によって、前記作用範囲指定手段で指定された区分体と前記移動体オブジェクトの前記指標枠オブジェクトの通過位置との一致度合い、及び前記移動体オブジェクトが前記指標枠オブジェクトを通過するタイミングと前記作用タイミング指示手段による作用を指示するタイミングとの一致度合いによって作用の結果が決定される。従って、指標枠オブジェクトを所定数の区分体に区分けし、移動体オブジェクトとの作用を少なくとも1つの区分体以上とすることにより、プレイヤは区分体単位での作用位置の指定が可能となり、作用位置の指定に対する過大な操作性が軽減されて、対戦する両者間のゲーム操作に対するバランスが図られて、ゲームの面白味が増す。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のゲームプログラムにおいて、前記作用タイミング指示手段は、前記モニタに前記第2の操作部材で操作される自己キャラクタを表示し、前記操作信号によって前記自己キャラクタに対して前記移動体オブジェクトとの作用のための動作を指示することを特徴とするものである。この構成によれば、移動体オブジェクトと自己キャラクタとがモニタに表示されることで、両者間の作用のタイミング指示が容易となり、また作用の内容もモニタに表示される。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載のゲームプログラムにおいて、前記第1の操作部材から出力される操作信号は、前記指標枠オブジェクト内で前記カーソルを移動させる指示を行うカーソル移動指示信号であり、前記第2の操作部材から出力される操作信号は、作用タイミングを指示するタイミング指示信号であり、前記作用範囲指定手段は、前記第1の操作部材から受け付けた前記操作信号に従って前記指標枠オブジェクト内で前記カーソルを移動させ、かつ前記第2の操作部材から前記操作信号を受け付けた時に前記カーソルが現に位置している区分体を作用区分体として指定するものであることを特徴とするものである。この構成によれば、第1の操作部材から受け付けた操作信号に従って指標枠オブジェクト内で前記カーソルが移動可能にされており、この状態で、第2の操作部材から操作信号が受け付けられると、その時に、カーソルが現に位置している区分体が作用区分体として指定されるようにしたので、作用位置の指定の確定と作用タイミングとが第2の操作部材で同時に行われる分、操作が容易となる。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項3記載のゲームプログラムにおいて、前記作用範囲指定手段は、前記作用区分体を他の区分体とは異なる表示形態に変更することを特徴とするものである。この構成によれば、指定された区分体が他の区分体とは、例えば、色違いで表示されることで、作用区分体の認識が容易となる。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項2〜4のいずれかに記載のゲームプログラムにおいて、前記自己キャラクタの前記対戦ゲームでのゲーム能力を規定する能力パラメータを記憶する能力パラメータ記憶手段と、前記作用範囲指定手段は、前記能力パラメータが高い場合、前記作用区分体より広い範囲を、前記移動体オブジェクトと作用する作用範囲として設定することを特徴とするものである。この構成によれば、自己キャラクタの能力パラメータによっては、より広い範囲が作用範囲とされることがあり、作用結果の変化性、意外性の高いゲームが提供される。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項5記載のゲームプログラムにおいて、前記作用範囲は、前記自己キャラクタの能力パラメータの種類に応じて、前記作用区分体に対応して予め設定された配置関係にある1又は所定数の区分体であることを特徴とするものである。この構成によれば、能力パラメータの種類によって作用範囲の広がりが種々異なるので、作用の変化性、意外性の高いゲームが提供される。
【0014】
請求項7記載の発明は、請求項5記載のゲームプログラムにおいて、前記作用範囲指定手段は、前記能力パラメータの高さに応じて前記作用範囲を段階的に拡張するものであることを特徴とするものである。この構成によれば、選手パラメータの高さが複数で設定されている場合には、それに応じて作用範囲が異なるので、実際に近いゲームの演出が可能となる。
【0015】
請求項8記載の発明は、請求項2〜7のいずれかに記載のゲームプログラムにおいて、所定の条件下で前記カーソルのサイズを基準サイズより拡縮方向に変更するカーソルサイズ変更手段として前記コンピュータを機能させ、前記作用範囲指定手段は、前記カーソルのサイズが拡大された場合に、拡大されたサイズに対応して、前記作用区分体より広い範囲を、前記移動体オブジェクトと作用する作用範囲として設定することを特徴とするものである。この構成によれば、ある条件が成立すると、カーソルのサイズが通常時の表示サイズ(基準サイズ)に比して変更されるので、作用範囲に広狭変化が生じることが直ちに視認でき、戦略性に富んだゲームが提供される。
【0016】
請求項9記載の発明は、請求項8記載のゲームプログラムにおいて、前記自己キャラクタを前記指標枠オブジェクトの位置と所定の関係を有する基準位置に位置決めすると共に、この自己キャラクタを前記コントローラの第3の操作部材からの操作信号を受け付けて、前記指標枠オブジェクトとの位置関係を、前記基準位置から、前記指標枠オブジェクトと接離する方向に所定量だけ変更する第1の自己キャラクタ位置設定手段として前記コンピュータを機能させ、前記カーソルサイズ変更手段は、前記所定の条件としての、前記自己キャラクタの位置が前記基準位置から変更された場合、前記指標枠オブジェクトに対して、前記カーソルが前記自己キャラクタの移動方向と同一方向側に位置する時は前記カーソルのサイズを所定量だけ拡大し、前記カーソルが前記自己キャラクタの移動方向と逆方向側に位置する時は前記カーソルのサイズを所定量だけ縮小することを特徴とするものである。この請求項9記載の発明を野球ゲームに適用した場合、例えば打者がホームベースに近づくほど、ボールに当てる(ミートさせる)ためのカーソルの大きさを、外角については大きく、内角については小さくするようにすればよい。これによって、打者(プレイヤ)の読み通り、外角にボールが投球された場合は、カーソルが大きい、すなわち通常より有利な状態で打撃ができるが、読みに反し、内角にボールが投球された場合は、カーソルが小さい、すなわち通常より不利な状態で打撃を行うことになる。また、上記とは逆に、打者がホームベースから離れるほど、ボールに当てる(ミートさせる)ためのカーソルの大きさを、内角については大きく、外角については小さくするようにすればよい。この場合は、上記とは逆に、内角にボールが投球された方が有利となる。このように、請求項9記載の発明を利用した場合は、打者のホームベースに対する立ち位置によって(プレイヤの読み)によって、打者の有利、不利な状況に変化が生まれるので、従来よりも興趣性の高いゲームを実現できる。
【0017】
また、請求項10記載の発明は、請求項8記載のゲームプログラムにおいて、前記自己キャラクタを前記指標枠オブジェクトの位置と所定の関係を有する基準位置に位置決めすると共に、この自己キャラクタを前記コントローラの第3の操作部材からの操作信号を受け付けて、前記指標枠オブジェクトとの位置関係を、前記基準位置から、前記移動開始位置に接近する方向に所定量だけ変更する第2の自己キャラクタ位置設定手段として前記コンピュータを機能させ、前記カーソルサイズ変更手段は、前記所定の条件としての、前記自己キャラクタの位置が前記基準位置から変更された場合、前記カーソルのサイズを所定量だけ拡大することを特徴とするものである。この請求項10記載の発明を野球ゲームに適用した場合、例えば打者が投手側に近づくほど、ボールに当てる(ミートさせる)ためのカーソルの大きさを大きくすればよい。但し、この場合、カーソルが大きくなるので、ボールに対してバットを当て易くなる反面、投手との距離が近くなる分、打撃タイミングが早めになるので、どこにボールが投げられるかの読み、または迅速なバットコントロールが必要となる。このように、請求項10記載の発明を採用した場合は、プレイヤがボールの読みやバットコントロールに自身がある場合には、打撃タイミングが早めになっても投手側に近づいて打撃をするといった対戦手法をとることが可能となる。
【0018】
これらの請求項9や請求項10の構成によれば、自己キャラクタが基準位置から移動すると、それに応じてカーソルサイズが変更されるので、作用範囲に広狭変化が生じることが直ちに視認でき、戦略性に富んだゲームが提供される。
【0019】
請求項11記載の発明は、請求項8記載のゲームプログラムにおいて、前記移動体オブジェクトとの作用時における大きさである作用力を設定する作用条件設定手段として前記コンピュータを機能させ、前記カーソルサイズ変更手段は、前記所定の条件として、前記コントローラが内蔵する少なくとも1軸に対する回転を検出するセンサからの、前記コントローラの前記1軸周りの回転情報を取得した場合、前記カーソルのサイズを所定量だけ縮小し、前記作用範囲指定手段は、前記回転情報を取得した場合、前記作用範囲を作用区分体とし、前記作用条件設定手段は、前記回転情報を取得した場合、前記作用力を前記基準サイズの場合に比して所定量だけ増大させることを特徴とするものである。この構成によれば、コントローラ自身が回転操作されると、作用範囲は狭くなる反面、移動体オブジェクトとの作用時における作用力、例えば移動する移動体オブジェクトへ仮想的な外力、例えば打つとか弾く等の力が増すという戦略を取ることができ、変化性(多様性)のあるゲームが提供可能となる。この請求項11記載の発明を野球ゲームに適用した場合、例えば、コントローラを、長手方向を軸として右回りに回した(ひねった)場合に、ボールに当てる(ミートさせる)ためのカーソルの大きさを小さくする。そして、このとき、カーソルが小さくなることで、当然ながらボールをバットに当てることは困難になるものの、ボールがバットに当たった場合の飛距離や打球速度を大きくするようにするといった設定とすることができる。
【0020】
請求項12記載の発明は、請求項8記載のゲームプログラムにおいて、前記対戦ゲームを行う他方のプレイヤからの指示に基づいて前記指標枠オブジェクトに対する前記移動体オブジェクトの通過位置を指定する通過位置指定手段と、ゲーム中における所定の状態の継続を計時する計時手段として前記コンピュータを機能させ、前記対戦ゲームは、経時方向に複数のシーケンスから構成され、各シーケンスは、前記他方のプレイヤが操作する操作部材への操作が許可された後、前記作用結果処理手段による処理が終了するまでの期間であり、前記計時手段は、前記シーケンスの開始から前記第2の操作部材からの操作信号が受け付けられるまでの間に前記第1の操作部材からの操作信号が継続して一定である時間を計時するものであり、前記カーソルサイズ変更手段は、前記所定の条件として前記計時した時間が所定時間に達した場合、前記カーソルのサイズを前記基準サイズに比して所定量だけ拡大し、かつ前記カーソルのサイズが拡大された後に前記第1の操作部材からの操作信号が変化した時は、前記カーソルのサイズを、前記基準サイズを最小限のサイズとして縮小するようにしたことを特徴とするものである。この構成によれば、複数のシーケンスが経時方向に順次実行されることで、ゲームが進行される。1回のシーケンス内で、例えば、移動体オブジェクトに対する相手側のプレイヤ(コンピュータによって制御される仮想的なプレイヤを含む)からの指示に先んじて、作用位置に対する予測が所定時間継続して変化されない場合、すなわち、相手側のプレイヤに先に自己の手の内を見せる、いわゆる読みの態様を採用することで、そのリスクと、作用範囲が拡大されるというメリットとにチャレンジできるという面白さのあるゲームが提供可能となる。一方、前記カーソルのサイズが拡大された後に前記第1の操作部材からの操作信号が変化した時は、前記カーソルのサイズが基準サイズを最小限のサイズとして縮小されるので、メリットは消滅する。このことはまた、いわゆる集中力を擬似的に演出するべく、所定時間カーソルが静止している場合には、それを集中力とみなしてカーソルのサイズが拡大され、拡大後に動かしてしまうと、集中力が切れた、あるいは読みが外れたので移動体オブジェクトに対する作用位置を変更したとみなしてカーソルのサイズは元の基準サイズに戻される。すなわち、集中したり集中が切れたりすることに応じてカーソルが大きくなったり、縮小してしまったりという両方向への動きがあることで、対戦における面白さと緊張感とを有するゲームが提供可能となる。この請求項12記載の発明を野球ゲームに適用した場合、打者(プレイヤ)が、ボールに当てる(ミートさせる)ためのカーソルを動かすことなく静止させている場合は、打者が投手(ボール)に対して集中しているとし、この状況を表現するため、カーソルの大きさを拡大するといった演出をとることができる。
【0021】
請求項13記載の発明は、請求項1〜11のいずれかに記載のゲームプログラムにおいて、前記対戦ゲームを行う他方のプレイヤが操作する第4の操作部材からの操作信号を受け付けて、前記指標枠オブジェクトに対する前記移動体オブジェクトの通過位置を指定する通過位置指定手段として前記コンピュータを機能させるものである。この構成によれば、導体オブジェクトの指標枠オブジェクトに対する通過位置が相手側のプレイヤによって設定されるので、2人のプレイヤ間で互いの作戦をぶつけ合いながら対戦ゲームが行える。
【0022】
請求項14記載の発明は、請求項1〜13のいずれかに記載のゲームプログラムにおいて、前記作用範囲指定手段及び作用タイミング指示手段は、前記第1の操作部材乃至は第4の操作部材からの各信号を無線で受け付けるものであることを特徴とするものである。この構成によれば、コントローラの操作性が増し、従来の有線式に比して場所の制約も緩和される。
【0023】
請求項15記載の発明は、請求項1〜14のいずれかに記載のゲームプログラムにおいて、前記対戦ゲームは野球を模擬したゲームであり、前記移動体オブジェクトはボールを模擬したものであり、前記指標枠オブジェクトはホームベース上に設定される投球ゾーンであり、前記自己キャラクタは打者を模擬した打者キャラクタであることを特徴とするものである。この構成によれば、仮想的なボールを介して、その投球と、投球されたボールを打ち返すという野球ゲームの実行が可能となる。
【発明の効果】
【0024】
請求項1,16,17記載の発明によれば、指標枠オブジェクトを所定数の区分体に区分けし、移動体オブジェクトとの作用を少なくとも1つの区分体以上とすることにより、プレイヤに対して、区分体単位での作用位置の指定を可能とさせ、作用位置の指定に対する過大な操作性を軽減させ得て、対戦する両者間のゲーム操作に対するバランスを図ることができる。
【0025】
請求項2記載の発明によれば、移動体オブジェクトと自己キャラクタとをモニタに表示することで、両者間の作用のタイミング指示を容易とさせ、また作用の内容もモニタに表示させて、視認可能となる。
【0026】
請求項3記載の発明によれば、作用位置の指定の確定と作用タイミングとを第2の操作部材で同時に行わせる分、操作を容易に行わせることができる。
【0027】
請求項4記載の発明によれば、指定された区分体を他の区分体とは、例えば色違いで表示することで、作用区分体の認識を容易にできる。
【0028】
請求項5記載の発明によれば、自己キャラクタの能力パラメータによっては、より広い範囲を作用範囲とし得るため、作用結果の変化性、意外性の高いゲームを提供できる。
【0029】
請求項6記載の発明によれば、能力パラメータの種類によって作用範囲の広がりを種々異なるようにできるため、作用の変化性、意外性の高いゲームを提供できる。
【0030】
請求項7記載の発明によれば、選手パラメータの高さを複数で設定している場合には、それに応じて作用範囲を異なるようにしたので、実際に近いゲームの演出を行わせることができる。
【0031】
請求項8記載の発明によれば、ある条件が成立すると、カーソルのサイズを、通常時の表示サイズ(基準サイズ)に比して変更するので、作用範囲に広狭変化が生じることが直ちに視認でき、戦略性に富んだゲームを提供できる。
【0032】
請求項9,10記載の発明によれば、自己キャラクタが基準位置から移動すると、それに応じてカーソルサイズを変更させるようにしたので、作用範囲に広狭変化が生じることが直ちに視認でき、戦略性に富んだゲームを提供できる。
【0033】
請求項11記載の発明によれば、コントローラ自身が回転操作されると、作用範囲を狭くする反面、作用力を増大させるという、いわばジャストミートを心掛けたような戦略を取ることができ、変化性のあるゲームを提供できる。
【0034】
請求項12記載の発明によれば、集中したり集中が切れたりすることに応じてカーソルが大きくなったり、縮小してしまったりという両方向への動きがあることで、対戦における面白さと緊張感とを有するゲームを提供できる。また、いわゆる読みの態様を採用することで、そのリスクと作用範囲が拡大するというメリットとにチャレンジできるという面白さのあるゲームが提供できる。
【0035】
請求項13記載の発明によれば、導体オブジェクトの指標枠オブジェクトに対する通過位置を相手側のプレイヤによって設定するようにしたので、2人のプレイヤ間で互いの作戦をぶつけ合いながら対戦ゲームを行うことができる。
【0036】
請求項14記載の発明によれば、コントローラの操作性を増大させ、また、従来の有線式に比して場所の制約を緩和することができる。
【0037】
請求項15記載の発明によれば、仮想的なボールを介して、その投球と、投球されたボールを打ち返すという野球ゲームの実行が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
図1は、本発明に係る対戦ゲーム装置の構成の一実施形態を示すブロック図である。以下の説明では、ゲーム装置の一例として家庭用ビデオゲーム機を家庭用テレビジョンに接続することによって構成される家庭用ビデオゲーム装置について説明する。しかし、本発明はこの例に限定されず、モニタが一体に構成された業務用ビデオゲーム装置、本発明によるゲームプログラムを実行することによってビデオゲーム装置として機能するパーソナルコンピュータ等にも同様に適用することができる。
【0039】
図1に示すビデオゲーム装置は、家庭用ゲーム機(ゲーム機本体)100及び家庭用テレビジョン200を備える。家庭用ゲーム機100は、ゲームプログラムが記録されたコンピュータ読み出し可能な記録媒体300が装填可能な構成を備えている。記録媒体300がゲーム機本体100に装填された状態で、ゲームプログラムが適宜読み出されて対戦ゲームが実行される。
【0040】
家庭用ゲーム機100は、CPU(Central Processing Unit)1、バスライン2、グラフィックスデータ生成プロセッサ3、インターフェース回路(I/F)4、メインメモリ5、ROM(Read Only Memory)6、伸張回路7、パラレルポート8、シリアルポート9、描画プロセッサ10、音声プロセッサ11、デコーダ12、インターフェース13、バッファ14〜16、記録媒体ドライブ17、メモリ18、及びコントローラ19を含む。家庭用テレビジョン200はテレビジョンモニタ(モニタ)21、増幅回路22及びスピーカ23を含む。
【0041】
CPU1は、バスライン2およびグラフィックスデータ生成プロセッサ3に接続されている。バスライン2は、アドレスバス、データバス及びコントロールバス等を含み、CPU1、インターフェース回路4、メインメモリ5、ROM6、伸張回路7、パラレルポート8、シリアルポート9、描画プロセッサ10、音声プロセッサ11、デコーダ12及びインターフェース13を相互に接続している。
【0042】
描画プロセッサ10は、バッファ14に接続されている。音声プロセッサ11は、バッファ15及び増幅回路22に接続されている。デコーダ12は、バッファ16及び記録媒体ドライブ17に接続されている。インターフェース13は、メモリ18及びコントローラ19に接続されている。
【0043】
モニタ21は、描画プロセッサ10に接続されている。スピーカ23は、増幅回路22に接続されている。なお、業務用ビデオゲーム装置の場合、モニタ21、増幅回路22及びスピーカ23は、家庭用ゲーム機100を構成する各ブロックとともに1つの筺体に収納される場合がある。
【0044】
また、ビデオゲーム装置が、パーソナルコンピュータやワークステーション等を核として構成されている場合、モニタ21は、コンピュータ用のディスプレイに対応する。また、伸張回路7、描画プロセッサ10及び音声プロセッサ11等は、それぞれ記録媒体300に記録されているプログラムデータの一部又はコンピュータの拡張スロットに搭載される拡張ボード上のハードウエアに対応する。また、インターフェース回路4、パラレルポート8、シリアルポート9及びインターフェース13は、コンピュータの拡張スロットに搭載される拡張ボード上のハードウエアに対応する。また、バッファ14〜16はそれぞれメインメモリ5又は拡張メモリの各記憶エリアに対応する。
【0045】
次に、図1に示す各構成要素について説明する。グラフィックスデータ生成プロセッサ3は、CPU1のいわばコプロセッサとしての役割を果たす。すなわち、グラフィックスデータ生成プロセッサ3は、座標変換や光源計算、例えば固定小数点形式の行列やベクトルの演算を並列処理によって行う。
【0046】
グラフィックスデータ生成プロセッサ3が行う主な処理としては、CPU1から供給される画像データの2次元又は3次元空間内における各頂点の座標データ、移動量データ、及び回転量データ等に基づいて、所定の表示エリア上における処理対象画像のアドレスデータを求めてCPU1に返す処理、仮想的に設定された光源からの距離やこの光源に対する傾きに応じて画像の輝度を計算する処理等がある。
【0047】
インターフェース回路4は、周辺デバイス、例えばマウスやトラックボール等のポインティングデバイス等のインターフェース用に用いられる。メインメモリ5はRAM(Random ccess Memory)で構成される。ROM6にはビデオゲーム装置のオペレーティングシステムとなるプログラムデータが記憶されている。
【0048】
伸張回路7は、動画に対するMPEG(Moving Picture Experts Group)規格や静止画に対するJPEG(Joint Photographic Experts Group)規格に準拠したイントラ符号化によって圧縮された圧縮画像に対して伸張処理を施す。伸張処理は、デコード処理(VLC:Variable Length Codeによってエンコードされたデータのデコード)、逆量子化処理、IDCT(Inverse Discrete Cosine Transform)処理、及びイントラ画像の復元処理等を含む。
【0049】
描画プロセッサ10は、所定時間T(例えば、1フレームでT=1/60秒)ごとにCPU1が発行する描画命令に基づいてバッファ14に対する描画処理を行う。
【0050】
バッファ14は、例えばRAMで構成され、表示エリア(フレームバッファ)と非表示エリアとに分けられる。表示エリアは、モニタ21の表示面上に表示するデータの展開エリアで構成される。非表示エリアは、スケルトンを定義するデータ、ポリゴンを定義するモデルデータ、モデルに動きを行わせるアニメーションデータ、各アニメーションの内容を示すパターンデータ、テクスチャデータ及びカラーパレットデータ等の記憶エリアで構成される。
【0051】
ここで、テクスチャデータは、2次元の画像データである。カラーパレットデータは、テクスチャデータ等の色を指定するためのデータである。CPU1は、記録媒体300から一度に又はゲームの進行状況に応じて複数回に分けて、これらのデータを予めバッファ14の非表示エリアに読み出して記録する。
【0052】
また、描画命令としては、ポリゴンを用いて立体的な画像を描画するための描画命令、通常の2次元画像を描画するための描画命令がある。ここで、ポリゴンは多角形の2次元仮想図形であり、例えば、三角形や四角形が用いられる。
【0053】
ポリゴンを用いて立体的な画像を描画するための描画命令は、ポリゴン頂点座標データのバッファ14の表示エリア上における記憶位置を示すポリゴン頂点アドレスデータ、ポリゴンに貼り付けるテクスチャのバッファ14上における記憶位置を示すテクスチャアドレスデータ、テクスチャの色を示すカラーパレットデータのバッファ14上における記憶位置を示すカラーパレットアドレスデータ及びテクスチャの輝度を示す輝度データのそれぞれに対して行われるものである。
【0054】
上記のデータのうち表示エリア上のポリゴン頂点アドレスデータは、グラフィックスデータ生成プロセッサ3がCPU1からの3次元空間上におけるポリゴン頂点座標データを移動量データ及び回転量データに基づいて座標変換することによって2次元上でのポリゴン頂点座標データに置換されたものである。輝度データは、CPU1からの上記座標変換後のポリゴン頂点座標データによって示される位置から仮想的に配置された光源までの距離等に基づいてグラフィックスデータ生成プロセッサ3によって決定される。
【0055】
ポリゴン頂点アドレスデータは、バッファ14の表示エリア上のアドレスを示す。描画プロセッサ10は、3個のポリゴン頂点アドレスデータで示されるバッファ14の表示エリアの範囲に対応するテクスチャデータを書き込む処理を行う。
【0056】
ゲーム空間内におけるキャラクタ等の物体は、複数のポリゴンで構成される。CPU1は、各ポリゴンの3次元空間上の座標データを対応するスケルトンのベクトルデータと関連させてバッファ14に記憶する。そして、後述するコントローラ19の操作によって、モニタ21の表示画面上でキャラクタを移動させる等の場合において、キャラクタの動きを表現したり、キャラクタを見ている、仮想カメラの視点位置を変えたりするときに、以下の処理が行われる。
【0057】
すなわち、CPU1は、グラフィックスデータ生成プロセッサ3に対してバッファ14の非表示エリア内に保持されている各ポリゴンの頂点の3次元座標データと、スケルトンの座標及びその回転量のデータから求められた各ポリゴンの移動量データ及び回転量データとを与える。
【0058】
グラフィックスデータ生成プロセッサ3は、各ポリゴンの頂点の3次元座標データと各ポリゴンの移動量データ及び回転量データとに基づいて各ポリゴンの移動後及び回転後の3次元座標データを順次求める。
【0059】
このようにして求められた各ポリゴンの3次元座標データのうち、水平及び垂直方向の座標データは、バッファ14の表示エリア上のアドレスデータ、すなわちポリゴン頂点アドレスデータとして描画プロセッサ10に供給される。
【0060】
描画プロセッサ10は、3個のポリゴン頂点アドレスデータによって示されるバッファ14の表示エリア上に予め割り当てられているテクスチャアドレスデータによって示されるテクスチャデータを書き込む。これによって、モニタ21の表示画面上には、対応するテクスチャの貼り付けられた多数のポリゴンから構成される物体が表示される。
【0061】
通常の2次元画像を描画するための描画命令は、頂点アドレスデータ、テクスチャアドレスデータ、テクスチャデータの色を示すカラーパレットデータのバッファ14上における記憶位置を示すカラーパレットアドレスデータ及びテクスチャの輝度を示す輝度データに対して行われる。これらのデータのうち頂点アドレスデータは、CPU1からの2次元平面上における頂点座標データをCPU1からの移動量データ及び回転量データに基づいてグラフィックスデータ生成プロセッサ3で座標変換することによって得られる。
【0062】
音声プロセッサ11は、記録媒体300から読み出されたADPCM(Adaptive Differential Pulse Code Modulation)データをバッファ15に記憶させる。バッファ15に記憶されたADPCMデータが音源となる。
【0063】
また、音声プロセッサ11は、例えば、周波数44.1kHzのクロック信号に基づき、バッファ15からADPCMデータを読み出す。音声プロセッサ11は、読み出したADPCMデータに対してピッチの変換、ノイズの付加、エンベロープの設定、レベルの設定及びリバーブの付加等の処理を施す。
【0064】
記録媒体300から読み出される音声データがCD−DA(Compact Disk Digital Audio)等のPCM(Pulse Code Modulation)データの場合、音声プロセッサ11は、この音声データをADPCMデータに変換する。また、PCMデータに対するプログラムによる処理は、メインメモリ5上において直接行われる。そして、メインメモリ5上において処理されたPCMデータは、音声プロセッサ11に供給されてADPCMデータに変換される。その後、上述した各種処理が施され、音声がスピーカ23から出力される。
記録媒体ドライブ17としては、例えば、DVD−ROMドライブ、CD−ROMドライブ、ハードディスクドライブ、光ディスクドライブ、フレキシブルディスクドライブ、シリコンディスクドライブ、カセット媒体読み取り機等が用いられる。この場合、記録媒体300としては、DVD−ROM、CD−ROM、ハードディスク、光ディスク、フレキシブルディスク、半導体メモリ等が用いられる。
【0065】
記録媒体ドライブ17は、記録媒体300から画像データ、音声データ及びプログラムデータを読み出し、読み出したデータをデコーダ12に供給する。デコーダ12は、記録媒体ドライブ17からデータを再生し、さらに、ECC(Error Correction Code)によるエラー訂正処理を施し、エラー訂正処理を施したデータをメインメモリ5又は音声プロセッサ11に供給する。
【0066】
メモリ18としては、例えばカード型のメモリが用いられる。カード型のメモリは、例えばゲームを中断した場合において中断時点での状態を保持するべく、例えば中断時点での各種ゲームパラメータを保持するため等に用いられる。
【0067】
コントローラ19は、プレイヤが把持可能な形状、例えば棒状の外形を有し、その表面適所に種々の操作部分が設けられている。コントローラ19は、プレイヤが種々の操作指令を入力するために使用する操作装置であり、プレイヤの操作に応じた操作信号をCPU1に送出する。コントローラ19には、インターフェース191、加速度センサ192、さらに、操作部分としての、ボタン193、360°方向の傾倒方向と角度とが検出可能な操作桿(ジョイスティック)194、4方向(十字方向)が検出可能な十字キー195、及びボタン196が設けられている。インターフェース191は、例えば、赤外線や電波等による近接通信のための無線信号を送出する回路で構成され、コントローラ19から送出される操作信号を無線信号に変換してインターフェース13に送出する。
【0068】
加速度センサ192は、3軸の加速度センサにより構成され、3軸方向のそれぞれの加速度を加速度信号として検出する。加速度センサは、少なくともコントローラ19の軸周りの回転を検出する。加速度センサ192としては、例えば、ピエゾ抵抗型、静電容量型、又は磁気センサ型等の加速度センサを採用することができる。
【0069】
ジョイスティック194は、例えば、キャラクタやオブジェクトや後述するようにカーソル等をモニタ21の画面上で上下左右乃至は斜め方向に移動させるコマンドをCPU1に与えるために使用される。
【0070】
コントローラ19のボタン193及び十字キー195は、外部からの押圧力によって中立位置から押圧されるとオンになり、押圧力が解除されると上記中立位置に復帰してオフになるオンオフスイッチで構成される。
【0071】
次に、上記のビデオゲーム装置の概略動作について説明する。記録媒体300が記録媒体ドライブ17に装填されている場合、電源スイッチ(図示省略)がオンされてビデオゲーム装置に電源が投入されると、ROM6に記憶されているオペレーティングシステムに基づいて、CPU1は、記録媒体300からゲームプログラムをメインメモリ5へ読み出すように記録媒体ドライブ17に指示する。これによって、記録媒体ドライブ17は、記録媒体300から画像データ、音声データ及びプログラムデータをデコーダ12へ読み出す。読み出された画像データ、音声データ及びプログラムデータは、デコーダ12によってエラー訂正処理が各データに施される。
【0072】
画像データは、デコーダ12によってエラー訂正処理が施され、バスライン2を介して伸張回路7に供給される。伸張回路7によって上述した伸張処理が行われた画像データは、描画プロセッサ10に供給され、描画プロセッサ10によってバッファ14の非表示エリアに書き込まれる。音声データは、デコーダ12によってエラー訂正処理が施され、メインメモリ5又は音声プロセッサ11を介してバッファ15に書き込まれる。デコーダ12によってエラー訂正処理が施されたプログラムデータはメインメモリ5に書き込まれる。
【0073】
以降、CPU1は、メインメモリ5に記憶されているゲームプログラム及びプレイヤがコントローラ19を用いて指示する内容に基づいてビデオゲームを進行させる。すなわち、プレイヤがコントローラ19を用いて指示する内容に基づいて、CPU1はゲーム状況の変更の制御、及びこれに基づく画像処理の制御、音声処理の制御及び内部処理の制御等を適宜行う。
【0074】
画像処理の制御として、例えば、キャラクタに指示されるアニメーションに該当するパターンデータから各スケルトンの座標の計算又はポリゴンの頂点座標データの計算、得られた3次元座標データや視点位置データのグラフィックスデータ生成プロセッサ3への供給、グラフィックスデータ生成プロセッサ3で求めたバッファ14の表示エリア上のアドレスデータや輝度データを含む描画命令の発行等が行われる。
【0075】
音声処理の制御として、例えば、音声プロセッサ11に対する音声出力コマンドの発行、レベル、リバーブ等の指定が行われる。内部処理の制御として、例えばコントローラ19の操作に応じた演算等が行われる。
【0076】
図3は、ビデオゲーム装置においてモニタ21に表示される画像の一例を示した図である。まず、本ビデオゲーム装置を用いて野球ゲームを行う場合の、野球ゲームの概要について説明する。本発明で実行される野球ゲームは、一般的には2名のプレイヤがそれぞれコントローラ19を把持し、それぞれ操作指示を発することで、攻撃側と守備側とを交互に受け持って、得点を得るための攻撃動作と得点を与えないための守備動作とを所定イニング数だけ実行し、各イニングで得られた得点の合計で勝敗を競う対戦ゲームである。なお、プレイヤの一方をコンピュータによって制御される仮想的なプレイヤに見立て、守備時には守備側の各キャラクタ(投手キャラクタや野手キャラクタ)による守備動作を実行させ、攻撃時には攻撃側の各キャラクタ(打者キャラクタや走者キャラクタ)の動作を実行させることで、1人のプレイヤがCPU対戦という形で対戦ゲームを行う態様であってもよい。
【0077】
図3に示すように、野球ゲームは、仮想3次元のゲーム空間として設定された野球場で行う態様とされ、基本画面の構図としては、ホームベースの直ぐ後ろ、すなわち、通常、守備側の捕手の位置に仮想カメラが設定され、所要の画角を有して投手側に視線が向けられている。ホームベース上には所定サイズを有する投球領域を示す枠オブジェクト60がゲーム空間内に立設された姿勢で設定され、通常は表示されている。本実施形態では、枠オブジェクト60はストライクゾーンと一致している。なお、後述するように枠オブジェクト60の外周には、表示はされないが、所定の投球ゾーンが設定されている。枠オブジェクト60は、投手による投球範囲の指標とされるものであり、また、打者による打撃位置の指定のために使用される。
【0078】
投手キャラクタ71が、移動体オブジェクトとしてのボールオブジェクト72を枠オブジェクト60に向けて投げ、作用キャラクタとしての打者キャラクタ73が、ボールオブジェクト72をバットオブジェクト74(作用キャラクタの一部としての意義を有する。)により打ち返す、すなわち、打者キャラクタ73がバットオブジェクト74を介して、移動中のボールオブジェクト72に作用(すなわち打撃)を与える野球ゲームである。
【0079】
枠オブジェクト60は、ホームベース上でのストライクゾーンに対応する範囲を示すもので、画面上で所定形状、サイズの複数のマス目(区分体)に、例えば縦横に均等に所定数、例えば3(行)×3(列)個のマス目61に区分けされている。カーソル80は、コントローラ19のジョイスティック194の傾倒操作に対応した方向に画面上で移動可能になされている。カーソル80は、枠オブジェクト60を構成するマス目61に対する作用範囲(打撃範囲)の指定用として用いられる。
【0080】
なお、本実施形態では、守備時においてプレイヤにより投球位置及び球種(例えば直球、各種の変化球)が設定される場合、枠オブジェクト60は、表示中の9個のマス目61の外周に1マス目分ずつ増やして(5(行)×5(列)、図中、符号60’で示す。)、すなわち、さらに16個のマス目61が非表示状態で設定される。なお、図6(b)では、説明の便宜上、外周の16個のマス目61を示している。投球位置を指定し得る範囲は、ストライクゾーン内、及びボールとなる前記16個のマス目範囲(ボールゾーン)である。投球位置の指定範囲をストライクゾーンの外側であるボールゾーンまで広げることで、打者との駆け引きに一層の面白味を与えている。
【0081】
投球位置の設定は、球種が設定された後に投球動作が指示されて、図6(a)に示すような投球画面となり、この画面において、ボールオブジェクト72がホームベース(枠オブジェクト60)を通過するまでの間に、例えばボールを模擬した投球位置指定用のカーソル81がジョイスティック194によってモニタ21の画面上を移動可能に操作され、ボタン193を押下することで投球位置の指定(マス目61単位での指定としてもよいが、本実施形態ではポイントの指定とする)が行われる。ここに、本実施形態において、指定位置とは、球種が直球の場合、投球されたボールオブジェクト72が枠オブジェクト60を通過する時点の位置である。球種が変化球の場合における指定位置とは、変化前のボールオブジェクト72に対する枠オブジェクト60の位置である。ボールオブジェクト72は、この指定位置から、指定された球種に応じた、後述の変化を行って枠オブジェクト60を通過する。なお、変化球の場合における指定位置として、変化後のボールオブジェクト72が枠オブジェクト60を通過する時点の位置としてもよい。
【0082】
一方、攻撃側にあるプレイヤは、コントローラ19のジョイスティック194を操作することで打撃範囲指定用のカーソル80を画面上で動かして、1シーケンスがスタートする投球前の球種指定の許可時から、投球後におけるボールオブジェクト72が枠オブジェクト60に到達するまでに、ボタン193を押下操作することで、カーソル80の表示位置(打撃範囲)を指定する。攻撃側にあるプレイヤは、自分が予想するマス目61に、または投球後の移動中のボールオブジェクト72が表示されているマス目61に、あるいは変化球による軌道変化を予想したマス目61に合わせ、かつボールオブジェクト72が枠オブジェクト60に到達したときに、ボタン193を押下することで、ボールオブジェクト72を所定のパワー(作用力)で打ち返すことができる。ボールオブジェクト72が打ち返されると、CPU1によってボールオブジェクト72の打球速さ及び打球方向が計算され、さらに打者側、守備側の各キャラクタに野球ゲームのルールに従った行動がCPU1から指令され、これによって野球を模擬した展開が実現される。例えば、3塁に走者がいる場面でヒットを打った場合、3塁走者がホームインして得点が入る。逆に、打撃範囲であるマス目及び打撃タイミングが、ボールオブジェクト72の投球位置及び枠オブジェクト60の通過時点に対して、少なくとも一方がずれていた場合、空振りとなる。ボタン193が押下されない(打撃指示がない)場合、見送りとなる。
【0083】
このように、投手側のプレイヤからの操作が許可、例えば球種の指定操作が許可された時点から、打撃後の一連の動作までを1回のシーケンスとして処理し、各シーケンスの結果に従って、ストライクカウント、ボールカウント、所定アウトカウント、及び所定イニング数までの野球ゲームが進行する。また、図3において、モニタ21の画面の適所、例えば右下には投球履歴とアウトカウント数とが表示され、他の適所、例えば左上には、現時点までの両方のチームの得点と経過イニング数とが表示されている。
【0084】
次に、上記のように構成されたビデオゲーム装置を用いて野球ゲームを行う場合のビデオゲーム装置の主要な機能について説明する。図2は、図1に示すビデオゲーム装置の主要な機能ブロック図である。
【0085】
図2に示すように、ビデオゲーム装置は、プログラム実行部であるCPU1を備え、コントローラ19、モニタ21と接続されている。また、CPU1は、記憶媒体300から取り込まれた各種画像データを記憶する画像記憶部141、及び野球ゲームに登場する、プレイヤ側のチーム乃至は両チームの各選手データ(図4に、その一部、特に選手パラメータ部分を示す。)を記憶する選手データ記憶部142を有するバッファ14、及び記憶媒体300から取り込まれたゲームプログラムのデータを記憶するプログラム記憶部51を有するメインメモリ5と接続されている。画像記憶部141は、枠オブジェクト60、投手キャラクタ71、ボールオブジェクト72、打者キャラクタ73、バットオブジェクト74、打撃時のカーソル80、投球時のカーソル81、野球場の背景画像、及び野球ゲームを行う上で必要な種々の画像データを記憶している。ここで、野球場の背景画像の画像データとしては、例えば仮想3次元空間内において予め作成された仮想3次元モデルを所定の視点からレンダリングすることにより予め作成された画像データを採用することができる。
【0086】
図4は、選手データの内、特に野球ゲームに対する能力を示す選手パラメータを示す図であり、打者キャラクタに対しては、例えば「ミート」、「パワー」、「走力」、「肩力」、「守備力」、「チャンス」、「得意コース」その他種々の選手パラメータが、及び投手キャラクタについても種々の能力を示す選手パラメータ(図略)が設定されており、選手データ記憶部142に記憶されている。また、選手データ記憶部142には、各選手キャラクタの個人成績である、打率、打点、ホームラン本数等も記憶されており、ゲーム進行に応じて更新されるようになされている。なお、ここで「チャンス」に関する選手パラメータとは、2塁、3塁のスコアリングポジションに走者がいるといった得点チャンスにおいて、通常の打撃能力よりも強い打撃能力が発揮されるか否か、すなわち、いわゆるチャンスに強いかどうか、といったレベルを示す打者の選手パラメータを示している。
【0087】
コントローラ19は、ボタン193が押下されることによりプレイヤにより打撃タイミングを決定するための打撃コマンドが入力された時、打撃指示信号としてCPU1に出力する。また、コントローラ19は、ジョイスティック194が傾倒操作されることによりプレイヤにより打撃範囲を指定するための操作信号が入力された場合に、マス目指定信号としてCPU1に出力する。さらに、コントローラ19は、コントローラ19自体がプレイヤにより動かされる(例えば、棒状のコントローラ19の長手方向を軸とみなして、この軸中心に回転させる(軸周り)方向にひねるように動かす)ことによって加速度センサ192により検出される加速度信号をCPU1に出力する。コントローラ19は、例えば一定の時間間隔で加速度信号を出力してもよいし、加速度センサ192により加速度が検出された場合に加速度信号を出力してもよい。
【0088】
図5は、プレイヤによるゲーム操作の状況の一場面例を示す図である。プレイヤPはモニタ21の正面に適当距離離れて位置し、手にコントローラ19を把持している。このコントローラ19に設けられた各操作部(193〜196)を操作して、モニタ21の画面に表示される野球ゲームにおいて、投手側になったり、打者側になったりしてゲーム進行を行う。図では見えていないが、2人プレイの場合には、プレイヤPの近くに相手側プレイヤがいることになる。従って、本実施形態では、コントローラ19を従来のように、バットに見立てて振ったり、ボールに見立てて投げる動作を行うのではなく、コントローラ19の先端をモニタ21側に向けた状態で、その先端のみを動かすことで各操作を行うものである。
【0089】
図2に戻り、CPU1は、メインメモリ5に記憶されているゲームプログラムを実行することによって、コントローラ19から受信された操作信号をデジタル信号として取得する取得部101、野球ゲームの全体進行を野球ルール(ゲームプログラムの一部)に基づいて制御するゲーム進行制御部102、ゲーム進行に沿ったゲーム画像をモニタ21に表示する画像表示制御部103として機能する。
【0090】
また、CPU1は、メインメモリ5に記憶されているゲームプログラムを実行することによって、枠オブジェクト60をホームベース上に設定する指標枠設定部104、投手キャラクタ71の投じるボールオブジェクト72の球種を設定する球種設定部105、及び枠オブジェクト60に対して所望する位置を投球コースとして設定する投球位置設定部106、投手キャラクタ71の投じたボールオブジェクト72を枠オブジェクト60内の設定位置を通過させる軌道計算及び移動処理を行う移動処理部107、コントローラ19のジョイスティック194及びボタン193からの操作信号からマス目の指定を行うと共に選手データ内の選手パラメータに応じて、また所定の条件に従って、さらにはカーソルサイズの変更に応じて、1個のマス目(作用マス目)又は少なくとも1以上のマス目の範囲を作用範囲(打撃範囲)として設定する打撃範囲指定部108、コントローラ19のボタン193からの操作信号から打者キャラクタ73に打撃動作(バットオブジェクト74へのスイング動作)を指示する打撃指示部109、ゲーム中の所定の条件が成立すると、カーソル80の表示サイズを拡大、縮小方向に変更するカーソルサイズ変更部110、打者キャラクタ73の基本的な表示位置を、枠オブジェクト60に対して所定量だけ接近又は離反させたり、投手キャラクタ71が投球動作を行うマウンド(移動開始位置)側に所定量だけ移動させたりする自己キャラクタ位置設定部111、また、他の所定の条件下で、バットオブジェクト74のスイング速度、すなわち図4の「パワー」パラメータの値を所定量だけ増大させる特別打撃設定部112、及び打者キャラクタ73による打撃指示に基づいて打撃結果(作用結果)を算出処理し、かつバットオブジェクト74がボールオブジェクト72に当たった(空振り、見送りではない)場合に、ボールオブジェクト72の打球速さ、打球方向を例えば力学的に算出する処理、それに伴う守備側の各選手キャラクタ及び走者がいる場合の走塁処理を野球のルールに従って演出する処理を実行する結果処理部113として機能する。
【0091】
取得部101は、図略のインターフェース191,13を介して、コントローラ19の加速度センサ192、ボタン193,196、ジョイスティック194、十字キー195から出力される加速度信号、打撃指示乃至は打撃範囲指定信号、投球指示信号、投球位置指定信号及び球種指定信号をそれぞれ受け付けるものである。また、図には一方側しか示していないが、インターフェース13は、野球ゲームを行う2人のプレイヤがそれぞれ所持するコントローラ19からの信号をそれぞれ識別して受信する。
【0092】
ゲーム進行制御部102は、ゲーム開始から終了まで、より詳細には、野球ゲームを実行するための野球チーム(選手メンバー)の選定処理、ゲーム開始処理、さらに投手キャラクタ71がボールオブジェクト72を投球し、打者キャラクタ73がバットオブジェクト74で、投球後の移動中のボールキャラクタ72に対する打撃を行い、かつ結果処理部113による処理が終了するまでの1シーケンスの処理、このシーケンスを例えば野球ルール通りとすれば、3アウトで攻守の入れ替えを行い(1イニング)、最終イニングである9イニングまで実行させ、両チームの成績、すなわち最終得点による勝敗決定処理までを実行させるものである。
【0093】
画像表示制御部103は、ゲーム進行に応じてゲーム空間に設定された背景画像、枠オブジェクト60、投手、打者キャラクタ71,73、ボール、バットオブジェクト72,74及びカーソル80,81の表示を行う。画像表示制御部103は、打撃動作までは、図3に示すゲーム画像となるように仮想カメラの視点、画角が設定されている。画像表示制御部103は、ボールオブジェクト72にバットオブジェクト74が当たった場合、好ましくは打球であるボールキャラクタ72がプレイヤによって追跡し得るように、すなわちモニタ21の画面の視野枠内に入るようにゲームプログラムによって仮想カメラの位置、視野方向が制御されることでゲーム画像の表示、及び結果処理内容の表示を行う。なお、枠オブジェクト60、打撃時のカーソル80、投球時のカーソル81は、他の画像の表示に対して重なり等によって視認の支障とならないように、画像表示制御部103によって半透明でモニタ21に表示するように半透明処理することが好ましい。半透明処理は、重なる部分の2つの画素の色及び濃度データを所定比率で混合する等の公知の手法によって実現できる。
【0094】
指標枠設定部104は、所定形状、ここでは所定サイズの四角形を有する枠オブジェクト60をゲーム空間内のホームベース上に設定するものである。枠オブジェクト60は投球の際の指標となるもので、マウンドに相当する、ボールオブジェクト72の移動開始位置に対して直角に向けられている。また、指標枠設定部104は、投手側における投球コース、球種の設定時には、縦横に区分けされた5×5個のマス目61から構成される枠オブジェクト80を設定する。5×5個のマス目61のうち、最外周のマス目の領域は投球コースとしてはボールとなる範囲である。また、指標枠設定部104は、打者側における打撃位置の設定時には、ストライクゾーンのみの3×3個のマス目61から構成される枠オブジェクト80を設定する。
【0095】
球種設定部105は、後述する図7、図8に示すような球種の設定を投球開始前に行う。球種は、指定なしの場合の「直球」の他、「スライダー」、「カーブ」、「フォーク」、「シンカー」、「シュート」、「ナックル」等が準備されている。本実施形態のように球種が4種類以上ある場合、球種は、十字キー195の押下位置とボタン193の押下の有無との組合せに対応して予め設定されている。例えば、ボタン193を押下した状態と、押下していない状態とで、十字キー195の操作を行うようにすれば、8種類まで選択可能となる。なお、球種が4種類以内であれば、十字キー195のみでもよい。
【0096】
投球位置設定部106は、図6(a)に示すように、投球位置指定用のカーソル81をモニタ21上で移動可能に表示し、投手キャラクタ71が投じる、あるいは投じたボールオブジェクト72に対して、枠オブジェクト60の9個及びその外周のマス目を含む計25個のマス目61の領域から投球位置を指定するものである。位置指定方法は、コントローラ19のジョイスティック194で操作されるカーソル81によって位置を指定し、ボタン193の押下で指定位置を確定する。
【0097】
投球位置、指定球種の内容は、打者側のプレイヤに判らないように行う必要があることから、投球位置の指定は、ジョイスティック194を操作しながら、すなわちカーソル81を動かしつつ、ボタン193を押下するタイミングで決定されるが、決定に対する演出表示は行われない。また、球種に対しても選択結果はモニタ21上に表示されない。なお、ボタン193により投球位置が決定された後、カーソル81は消去されてもよい。
【0098】
なお、本ゲームは、プレイヤ同士の対戦の他、1人のプレイヤとCPU1によって制御される野球チームと対戦する態様も可能であり、この場合、CPUが守備側の時は、CPUによって制御される投手キャラクタ71の投球する投球位置や球種は、CPU1によって例えば乱数発生器からの乱数等を利用してランダムに設定される。この場合、球種設定部105、投球位置設定部106はCPU1の機能として、球種及び投球位置の設定処理を実行することになる。
【0099】
移動処理部107は、投手キャラクタ71の投じたボールオブジェクト72が枠オブジェクト60に対する設定位置を通過するための軌道の計算を行うと共に、計算された軌道に従ってボールオブジェクト72のゲーム空間上で経時方向に順次位置情報を設定するようにして移動処理を行うものである。この場合、図略の乱数発生器を設け、この乱数発生器で生成される乱数を用いて、設定されている投球位置に対する位置ぶれを付加する態様としてもよい。例えば乱数値に応じてぶれ量、ぶれ方向が対応するように設定されていてもよい。そして、画像表示制御部103は、軌道計算で得られた位置情報に基づいてボールオブジェクト72をモニタ21上に表示する。
【0100】
軌道計算は、通常の運動方程式に倣った乃至は近似式を使用してもよい。また、直球以外の球種の場合、枠オブジェクト60内のマス目61から別のマス目61に位置変化させる演出を行わせるため、上述の計算式とは異なる、マス目61間での移動も行わせるような、軌道変更計算を実行するようにしている。例えば、図7(a)に示すような「スライダ」の場合、投球コースとして指定した位置を含むマス目に向かっているボールオブジェクト72が枠オブジェクト60の手前で、その右側のマス目に向かう(1マス目分だけ曲がる)ように変化するような軌道を算出する。図7(a)は、1行目かつ2列目のマス目61内が投球位置として指定された場合である。中央の変化球の軌道は、予め得た結果を所定の記憶部に軌道データとして記憶しておき、変化球の投球時に読み出すことでボールオブジェクト72の軌道設定を行うようにしてもよい。
【0101】
図7は、各種の変化球の変化内容を説明するための図である。図中の矢印は、変化方向及び変化後のマス目61位置を示している、図7(a)は前述のとおり、「スライダー」、図7(b)は「カーブ」、図7(c)は「フォーク」、図7(d)は「シンカー」、図7(e)は「シュート」、さらに特殊系として、図7(f)は、下方側の3方向への変化を乱数などを利用して変化させる「ナックル」、図7(g)は、左下への2マス目分の変化を行う「サークルチェンジ」、図7(h)は右方側の3方向への変化を乱数などを利用して変化させる「ナックルカーブ」、図7(i)は右下への2マス目分の変化を行う「ドロップカーブ」である。
【0102】
また、図8は、変化球、例えば「スライダー」が2マス目分移動する状態を説明する図である。投手キャラクタの選手パラメータのうち、「変化球の変化量」パラメータが大きい場合、コントローラ19のボタン193を通常より長目に押下する(押下時間が所定の閾値を超える)ような特殊操作で投球指示を行うことで、変化球を指定した場合のボールオブジェクト72の変化量を通常量の所定倍、例えば2倍に設定することが可能となる。
【0103】
打撃範囲指定部108は、球種の設定が許可された時点から、一般的には投手側のプレイヤによって投球位置及び球種が設定された後に、モニタ21上に表示中のカーソル80を、コントローラ19のジョイスティック194からの操作信号によって所要の方向に移動させることで(図9参照、但し、図中の矢印は実際には表示されていない。)、枠オブジェクト60内の所望するマス目61への位置合わせを可能にし、この状態で、ボタン193からの操作信号を受け付けて、現にカーソル80が表示されている位置のマス目61を打撃範囲(作用マス目)として設定するものである。また、打撃範囲指定部108は、ボタン193で指定されたマス目61の他、選手データ記憶部142内の選手パラメータに応じて、及び所定の条件に従って、当該マス目61又はそれ以上のマス目61の一部又は全部の範囲を打撃範囲として設定する。以下、それらの具体例を、図10〜図16を用いて説明する。
【0104】
図10、図11は、打者キャラクタの選手パラメータのうちの「ミート」パラメータの高さに応じて、ボールオブジェクト72にバットオブジェクト74が当たる範囲が、指定したマス目61を中心に広狭する態様を説明する図である。図10は、打撃範囲として枠オブジェクト60の中心のマス目61が指定されている場合の説明図で、図10(a)は「ミート」パラメータが最低値の場合、図10(b)は「ミート」パラメータが中間値の場合、図10(c)は「ミート」パラメータが最高値の場合である。図10に示すように、「ミート」パラメータが高くなるに従って、指定マス目61の外方にカーソル80が拡大していき、最大ランクでは、周囲のマス目の領域の略半分程度まで拡大している。図11は、打撃範囲として枠オブジェクト60の図中、右上のマス目61が指定されている場合の説明図で、図11(a)は「ミート」パラメータが最低値の場合、図11(b)は「ミート」パラメータが中間値の場合、図11(c)は「ミート」パラメータが最高値の場合である。図11(b)(c)に示すように、カーソル80は枠オブジェクト60の9個のマス目の外周を超えて拡大されている。この場合には、ボールゾーンが投球位置として指定された場合にも、ボールオブジェクト72にバットオブジェクト74を当てることができる。なお、図10(a)(b)(c)、図11(a)(b)(c)は、5段階中の第1,3,5段階の状態を示したものである。
【0105】
図12は、打者キャラクタの選手パラメータのうちの「チャンス」パラメータの高さに応じて、ボールオブジェクト72にバットオブジェクト74が当たる範囲が広狭する態様を説明する図である。本実施形態では、「チャンス」パラメータは所定の複数段階が設定されている。打撃範囲指定部108は、打者キャラクタの選手パラメータのうちの「チャンス」パラメータを参照して、「チャンス」パラメータが最強値の打者キャラクタ73の場合には、枠オブジェクト60を、図12(a)〜(d)のような演出表示を行い、最低値の場合には、枠オブジェクト60を、図12(e)のような演出表示を行う。すなわち、図12(a)では、カーソル80が枠オブジェクト60の左上の4つのマス目61内に移動すると、左上の4つのマス目61を一体とした表示色の変更を行う。図12(b)では、カーソル80が枠オブジェクト60の右上の4つのマス目61内に移動すると、右上の4つのマス目61を一体とした表示色の変更を行う。図12(c)では、カーソル80が枠オブジェクト60の右下の4つのマス目61内に移動すると、右下の4つのマス目61を一体とした表示色の変更を行う。図12(d)では、カーソル80が枠オブジェクト60の左下の4つのマス目61内に移動すると、左下の4つのマス目61を一体とした表示色の変更を行う。なお、この表示色の変更は、カーソル80の移動によって生じてもよく、あるいは打撃範囲を指定(ボタン193の押下)して変化させる態様としてもよい。表示色が変更された4つのマス目61内が、ボールオブジェクト72が投球位置として指定された場合、打撃タイミングの条件を除き、ボールオブジェクト72にバットオブジェクト74が当たることになる。図12(e)は「チャンス」パラメータが最低値の場合であることから、1個のマス目61のままとしている。「チャンス」パラメータの値に応じて、4マス目分から1マス目分までの間に複数の段階が設定可能である。例えば、4段階とした場合に、(相似形での)面積比で、1マス目61の場合に対して、2倍、3倍、及び図12(a)〜(d)のような4倍と設定してもよい。なお、2段階の場合には、チャンスに強いか、普通かのいずれかとすればよい。
【0106】
図13、図14は、打者キャラクタの選手パラメータのうちの「コースに強い」パラメータに応じて、ボールオブジェクト72にバットオブジェクト74が当たる範囲が広狭する態様を説明する図である。本実施形態では、「コースに強い」パラメータとして、「普通」の他に、例えば、「高めに強い」「低めに強い」「インコースに強い」「アウトコースに強い」さらに、「インコース寄りに更に強い」(図14(c)参照)がパラメータデータとして設定されている。また、他のパラメータ、例えば「チャンス」パラメータと連携してより多くの、あるいは少ないマス目61が設定される(図13(c)参照、より多くのマス目の設定例)。
【0107】
打撃範囲指定部108は、打者キャラクタの選手パラメータのうちの「コースに強い」パラメータを参照して、図13(a)、(b)、図14(a)〜(c)のような演出表示を行い、さらに、図13(b)において、例えば「チャンス」パラメータも参酌して(組み合わせて)、例えば、図13(c)のような演出表示を行う。すなわち、図13(a)では、カーソル80が枠オブジェクト60の1行目の3つのマス目61内に移動すると、1行目の3つのマス目61を一体とした表示色の変更を行う。図13(b)では、カーソル80が枠オブジェクト60の3行目の3つのマス目61内に移動すると、3行目の3つのマス目61を一体とした表示色の変更を行う。図14(a)では、カーソル80が枠オブジェクト60の1列目(左側の)の3つのマス目61内に移動すると、1列目の3つのマス目61を一体とした表示色の変更を行う。図14(b)では、カーソル80が枠オブジェクト60の3列目(右側の)の3つのマス目61内に移動すると、3列目の3つのマス目61を一体とした表示色の変更を行う。図14(c)では、カーソル80が枠オブジェクト60の1,2列目の6つのマス目61内に移動すると、1,2列目の6つのマス目61を一体とした表示色の変更を行う。さらに、図13(c)では、例えば図12(d)と図13(b)とを組み合わせて、カーソル80が枠オブジェクト60内の該当するマス目61に移動すると、図12(d)と図13(b)とを合わせた5つのマス目61を一体とした表示色の変更を行う。なお、この表示色の変更は、カーソル80の移動によって生じてもよく、あるいは打撃範囲を指定して変化させる態様としてもよい。表示色が変更されたマス目内にボールオブジェクト72が投球位置として指定された場合、打撃タイミングの条件を除き、ボールオブジェクト72にバットオブジェクト74が当たることになる。
【0108】
図15は、打者キャラクタの選手パラメータのうちの「変化球打ち」パラメータに応じて、ボールオブジェクト72にバットオブジェクト74が当たる範囲が広狭する態様を説明する図である。本実施形態では、「変化球打ち」パラメータとして、普通の他、「横変化に強い」「縦変化に強い」がパラメータデータとして設定されている。図15(a)では、カーソル80が枠オブジェクト60の1行目の3つのマス目61内に移動すると、1行の3つのマス目61を一体とした表示色の変更を行う。図15(b)では、カーソル80が枠オブジェクト60の1列目の3つのマス目61内に移動すると、1列目の3つのマス目61を一体とした表示色の変更を行う。
【0109】
図16は、打者キャラクタの選手パラメータのうちの「超強打者」パラメータに応じて、ボールオブジェクト72にバットオブジェクト74が当たる範囲が広狭する態様を説明する図である。本実施形態では、「超強打者」パラメータは、普通打者と超強打者の2段階としてパラメータ値として設定されている。なお、普通打者と超強打者との間に「強打者」パラメータが設定されてもよい。「普通」では、図16(a)に示すように、カーソル80の位置にあるマス目61のみが表示色の変更を行う。「超強打者」では、図16(b)に示すように、カーソル80が中央のマス目61から外れると、中央のマス目61を除く全マス目61を一体とした表示色の変更を行う。
【0110】
なお、図15、図16において、表示色の変更は、カーソル80の移動によって生じてもよく、あるいは打撃位置を指定して変化させる態様としてもよい。表示色が変更されたマス目内にボールオブジェクト72が投球位置として指定された場合、打撃タイミングの条件を除き、ボールオブジェクト72にバットオブジェクト74が当たることになる。
【0111】
図2に戻って、打撃指示部109は、コントローラ19のボタン193からの操作信号を取得部101で受け付けて、打者キャラクタ73に対して打撃動作を指示、すなわちバットオブジェクト74が、打撃範囲として設定された範囲の全部を仮想的に通過するようなスイング動作を指示するものである。なお、本実施形態では、ジョイスティック194及びボタン193によって第1の操作部材が構成され、ボタン193によって第2の操作部材が構成される。
【0112】
カーソルサイズ変更部110は、ゲーム中に所定の条件が成立したと判断すると、カーソル80の表示サイズを、成立条件に合わせて予め設定された内容で、拡大、縮小方向に変更するものである。なお、後述するように、カーソル80の表示サイズは、枠オブジェクト60における指定された打撃可能な範囲に対応、すなわち、バットオブジェクト74がボールオブジェクト72に当たる範囲に対応するようにしている。但し、カーソル80が通常の表示サイズ以下になった場合、本実施形態では打撃範囲は1マス目としているが、表示サイズに対応させて1マス目より狭い所定の範囲が設定されるようにしてもよい。
【0113】
自己キャラクタ位置設定部111は、コントローラ19からの指示に従って、打者キャラクタ73の基本的な表示位置(打席位置)を、枠オブジェクト60(ホームベース)に対して所定量だけ接近又は離反させたり、あるいは投手キャラクタ71が投球動作を行うマウンド(移動開始位置)側に所定量だけ移動させたりするものである。具体的には、打席位置の変更は、コントローラ19のボタン196を押下した状態で十字キー195を左右、あるいは前後の各部を押下することで指示信号が出力されるようになっている。これは、野球において、打者がバッターボックス内でベース寄りに構えたり、あるいは逆にベースから離れて構えたり、また、投手寄りに構えたりするような、打席位置を変える状況に対応させたものである。
【0114】
カーソルサイズ変更部110は、自己キャラクタ位置設定部111によって打者キャラクタ73のバッターボックス内での打席位置が移動させられると、移動後の打席位置に対する得手、不得手領域をカーソル80の表示サイズの大きさの変化で演出するようにしている。
【0115】
図17、図18は、カーソル80の表示サイズが変更される場合の画面図の一例である。図17(a)は、打者キャラクタ73の打席位置がバッターボックス内の基準位置にある場合の画面図、図17(b)は、打者キャラクタ73の打席位置が投手寄りに移動した後の画面図である。
【0116】
図18(a)は、コントローラ19が操作される前の、打者キャラクタ73が通常の打席位置に設定されている状態の画面図であり、図18(b)は、十字キー195の右側が押下されて打者キャラクタ73が、所定距離だけホームベース寄りに移動された状態の画面図であり、図18(c)は、十字キー195の左側が押下されて打者キャラクタ73が、所定距離だけホームベースから離れる側に移動された状態の画面図である。
【0117】
すなわち、カーソルサイズ変更部110は、打者キャラクタ73が投手寄りに移動する場面では、通常の画面である図17(a)に比して、図17(b)に示すように、画面全体を所定比率で拡大して枠オブジェクト60も拡大すると共に、同比率に拡大された、あるいは相対的にそれ以上の所定の比率で拡大されたカーソル80を表示するようにしている。また、カーソルサイズ変更部110は、打者キャラクタ73がホームベース(枠オブジェクト60)に対して接離方向に移動された状態で、カーソル80が枠オブジェクト60内で打者キャラクタ73の移動方向と同じ側に移動されると、カーソル80の表示サイズを拡大し(図18(b)(c)のカーソル801参照)、その反対側に移動されると、カーソル80の表示サイズを縮小して(図18(b)(c)のカーソル802参照)表示する。
【0118】
図18(a)では、カーソル80は通常のサイズで表示されている。図18(b)では、枠オブジェクト60の右半部では通常サイズより大きなカーソル801として表示され、一方、枠オブジェクト60の左半部では通常サイズより小さなカーソル802として表示される。また、図18(c)では、図18(b)とは逆に、枠オブジェクト60の左半部では通常サイズより大きなカーソル801として表示され、枠オブジェクト60の右半部では通常サイズより小さなカーソル802として表示される。
【0119】
図19は、シーケンスの開始から打撃指示までの間に、カーソル80に対する移動操作が所定時間継続して行われない場合のカーソルのサイズ変更を説明するための画面図である。図19(a)では、カーソルは通常のサイズで表示されている。この状態で、ジョイスティック194への未操作状態が所定時間継続したことを内部タイマ(計時手段)で検出すると、画面は、カーソルサイズ変更部110によって図19(b)のように変更される。図19(b)では、カーソル80が所定のサイズに拡大されている。図19(b)の状態で、カーソル80の移動操作が行われると、図19(c)に示すように、カーソル80は、カーソルサイズ変更部110によって元の通常サイズに戻される。なお、カーソル80を拡大する条件である、ジョイスティック194が継続して未操作状態である時間(閾値)は、1個である必要はなく、複数段階としてもよく、この場合、閾値に対応して順次カーソル80のサイズが拡大されるようにすると共に、各サイズを予め設定しておけばよい。
【0120】
また、カーソルサイズ変更部110は、コントローラ19を把持したプレイヤが手を動かすことによるコントローラ19自身の動き操作が検知されている間に、ボタン193からの打撃指示を取得すると、カーソル80のサイズを所定のサイズに縮小するようにしている。コントローラ19自身の動き操作としては種々の態様が考えられるが、本実施形態では、コントローラ19を軸を中心にしてひねる(軸周りに回転)操作としている。カーソルサイズ変更部110は、加速度センサ192からの検出信号によって、コントローラ19が軸を中心にひねられたか否かを検出し、ひねられたと判断すると、上記したようにカーソル80のサイズを縮小する。軸周り方向の加速度を検出する加速度センサ192からの経時方向における検出信号を順次2回積分することで回転量を得ることができる。
【0121】
打撃範囲指定部108は、図17〜図19に示す打席移動の場合、及び打撃指定時にコントローラ19のひねりが検出された場合に、カーソルサイズ変更部110によってカーソル80のサイズが変更されたと判断し、拡大又は縮小されたカーソル80のサイズに応じた打撃範囲の設定を行う。
【0122】
また、特別打撃設定部112は、打撃指定前にコントローラ19のひねりが検出された場合に、打者キャラクタの「パワー」パラメータを所定量だけ、あるいは回転量に応じて段階的に増大する設定を行う。
【0123】
図17の場合では、打席位置が投手寄りとなるため、打撃指示は通常のタイミングより所定時間だけ早めに行われる必要がある。従って、打撃指示の操作については難しくなる。しかしながら、球種として変化球が設定されているような場合には、軌道計算に従って、ボールオブジェクト72が変化(枠オブジェクト60内での位置変化)する前に、いわゆる変化球の曲がりっぱなを叩くことができる(球種として直球と同等となる)分、打撃範囲の予測はより容易となる。また、枠オブジェクト60が拡大されること、及び操作時のプレイヤの手振れによる、短時間での微調整の位置指定操作の難しさ加味すれば、ジョイスティック194の操作による位置指定操作が容易となる。
【0124】
図18では、打者キャラクタ73の打席位置がバッターボックスに近い場合、アウトコースは打ちやすくなる一方、インコースは打ちにくくなる。従って、図18(b)では、カーソル80がアウトコース側に移動された場合、拡大されたカーソル801が表示され、このカーソル801にサイズに応じて、より広い打撃位置が設定される。逆にカーソル80がインコース側に移動された場合、縮小されたカーソル802が表示され、このカーソル802にサイズに応じて、より狭い打撃範囲が設定される。図18(c)では、カーソル80がインコース側に移動された場合、拡大されたカーソル801が表示され、このカーソル801にサイズに応じて、より広い打撃範囲が設定される。逆にカーソル80がアウトコース側に移動された場合、縮小されたカーソル802が表示され、このカーソル802にサイズに応じて、より狭い打撃範囲が設定される。なお、本実施形態では、狭い打撃範囲は、1マス目61としている。
【0125】
図19では、図19(b)に示すようにカーソルの拡大サイズに応じて打撃範囲が拡大される。
【0126】
また、コントローラ19のひねりが検出された場合では、すなわちコントローラ19のひねり検出中に打撃位置の指示があったときは、カーソル80が所定サイズだけ縮小される。この場合、打撃範囲は狭くなるというリスクがある一方、特別打撃設定部112によってスイング速度が所定分だけ増大されるというメリットがあるようにしている。なお、カーソル80の縮小及び打撃力の増大を実現するコントローラ19のひねり方向については、方向性を持たせてもよいし、持たせなくてもよい。ここに、方向性を持たせる態様の場合、コントローラ19をある(あるいは特定の)一方方向にひねると、カーソル80が縮小し、かつ打撃力が増大するようにし、その状況で逆方向(あるいは前記特定方向の反対方向)にひねり返すと、現状の拡大されたカーソル80のサイズ及び増強された打撃力の状態から、漸次、カーソル80が基準サイズに向けて縮小変化し、かつ打撃力も元の「パワー」パラメータの値に向けて減少するというように双方向設定を可能としてもよい。
【0127】
結果処理部113は、打撃後の一連の処理である打撃結果の算出処理を実行する。打撃結果処理のひとつは、ボールオブジェクト72にバットオブジェクト74が当たったかどうかの判定、及び当たった場合に、いずれもパラメータで設定されるボールオブジェクト72の球速とバットオブジェクト74のスイング速度とに基づいて、ボールオブジェクト72の打球速さ、打球方向を例えば力学的に算出する処理である。ボールオブジェクト72にバットオブジェクト74が当たったかどうかの判定は、打撃指示のタイミングの他、打撃範囲として指定されたマス目、及び表示色の変更された範囲乃至はマス目、さらにカーソルの拡縮に対応して設定された打撃範囲と指定された投球位置とが一致しているかどうかである。なお、バットオブジェクト74のスイング軌道は、例えば打者オブジェクト73の打席位置の垂直軸を中心に所定高さ位置での水平面での回転と仮定して処理すればよい。複数のマス目61が打撃範囲として設定されている場合、指定された各マス目をバットオブジェクト74が回転運動によって通過するタイミングでボールオブジェクト72との打撃計算を行うようにすればよい。また、この一致判定は、投球指定位置に対する変動要因、例えばパラメータ、乱数による変動確率、また「ひねり」投球の有無も含めた軌道計算の結果に基づいて行われる。結果処理部113は、一致していると判断されると、ボールオブジェクト72にバットオブジェクト74が少なくとも当たったと判断する。それ以外の場合には、空振り、あるいは見逃しとして処理される。
【0128】
結果処理部113は、指定された投球マス目に対して、ボールオブジェクト72にバットオブジェクト74が当たったか否かを判断し、当たったと判断した場合、打球速さを、打撃指定時のカーソル80の位置(ポイント)と指定された投球位置(ポイント)との距離差に応じて所定比率で減少させるように算出するようにしてもよいが、本実施形態は、打撃範囲として設定された領域内では一律に計算するようにして、打撃側のコントローラ19に対する操作性を多少容易とし、これにより攻撃側と守備側との操作の難度のバランスを図っている。
【0129】
また、打球速さは、本実施形態では、ボールオブジェクト72が棒状のバットオブジェクト74に直角に当たったか、真芯からのずれ量、及び選手パラメータである「ミート」、「パワー」その他の各パラメータを反映して算出される。打球方向は、本実施形態では、上下方向には、真芯からのずれ量が反映され、左右方向には、振り遅れや振り急ぎが反映されて算出される。この結果、「1塁側へのゴロ」になったり、「レフトオーバーの長打」になったりする。安打になるかどうかは、打球の強さ、方向に加えて、野手の守備位置、さらに選手パラメータの「守備力」パラメータ等が反映されて処理される。
【0130】
結果処理部113による打撃結果処理としては、さらに、打撃に伴う、守備側の各選手キャラクタの動き(捕球、返球等)、及び走者がいる場合の走塁処理を野球のルールに従って実行させ、かつ画像表示制御部103に演出表示を指示する処理を行う。
【0131】
また、打撃範囲指定部108、打撃指示部109及び特別打撃設定部112に関しては、CPU1内の乱数発生部を用いて、打撃動作の指示毎に乱数を発生させ、バットオブジェクト74のスイング軌道、スイング速さ及び打撃タイミングの少なくとも一つを、発生した乱数に応じて微小範囲内で変化させるようにしている。これにより、同一設定状態であっても打撃結果が常に同じにならないようにして、単純とならず、飽きの来ないゲームを提供し得るようにしている。
【0132】
続いて、CPU1がゲームプログラムに基づいて実行するゲーム処理について、フローチャートを用いて説明する。図20は、ゲームの全体処理を示すフローチャートである。まず、ステップS1において、CPU1は、ゲーム開始のための初期設定を行う。例えば両プレイヤによって選出された対戦チーム及びその選手リストのモニタ21への表示等である。次いで、ゲーム空間の画像、各キャラクタ、各オブジェクト等の画像データが読み出されてモニタ21に表示される(ステップS3)。
【0133】
この状態で、シーケンスが開始され(ステップS5)、次いで対戦処理が実行されて(ステップS7)、結果処理の終了を受けて、1シーケンスの終了処理が行われる(ステップS9)。そして、このシーケンスの結果が三振であったか否かが判定され(ステップS11)、三振でなければ、次の投球に対するシーケンスを実行するべく、ステップS5に戻る。一方、三振であれば、3アウトか否かが判断され(ステップS13)、3アウトでなければ、次の打順の打者キャラクタが設定されて(ステップS15)、次シーケンスに移行する(ステップS5)。一方、ステップS13で、3アウトであれば、ゲームセットか否かが判断され(ステップS17)。ゲームセットでなければ、攻守の入れ替え処理が実行され(ステップS19)、一方、ゲームセットであれば、ゲーム終了処理が実行される(ステップS21)。
【0134】
図21は、CPU1がゲームプログラムに基づいて実行する対戦処理のフローチャートである。まず、コントローラ19からの操作信号の入力の有無がチェックされる。すなわち、球種指定信号が入力されたか否か(ステップS31)、投球位置指定信号が入力されたか否か(ステップS35)、打撃位置指定信号が入力されたか否か(ステップS39)、投球指示信号が入力されたか否か(ステップS43)、及び打撃指示信号が入力されたか否か(ステップS49)が判断される。
【0135】
球種指定信号が入力されたと判断されると、球種の設定が行われ(ステップS33)、投球位置指定信号が入力されたと判断されると、投球位置の設定が行われ(ステップS37)、打撃位置指定信号が入力されたと判断されると、打撃範囲の設定が行われる(ステップS41)。また、投球指示信号が入力されたと判断されると、既に投球指示があったか否かが判断され(ステップS45)、この判断が否定されると、投手キャラクタ71に投球動作を行わせると共に、(球種、投球位置の両方が確定している場合)ボールオブジェクト72の軌道計算が開始される(ステップS47)。一方、既に投球指示が行われている場合には、ステップS47はスキップされ、球種、投球位置の両方が確定した時点から、それまでの一般的な軌道を引き継いで、確定内容に対応させるべく軌道計算が開始される(ステップS48)。また、ステップS43で投球指示がないと判断されると、ステップS31に戻る。
【0136】
次いで、ステップS49で打撃指示信号が入力されていないと判断されると、ボールオブジェクト72がホームベース上を通過したか否かが判断され(ステップS51)、否定されれば(ステップS49)、ステプS31に戻る。逆に、ボールオブジェクト72がホームベース上を通過したと判断されると、見送りとして処理されて(ステップS53)、リターンする。
【0137】
一方、ステップS49で打撃指示信号が入力されたと判断されると、打撃キャラクタ72に打撃指示、すなわちバットオブジェクト74をスイングする処理が実行される(ステップS55)。次いで、スイング結果が当たりか否かが判断され(ステップS57)、当たりでないと判断されると、空振りとして処理されて(ステップS59)、リターンする。一方、当たりと判断されると、打撃結果処理が実行されて(ステップS61)、リターンする。そして、図20に示す1シーケンス終了処理(ステップS9)において、見送り処理(ステップS53)、空振り処理(ステップS59)、及び打撃結果処理(安打か否かの判断含む)(ステップS61)の結果から、ストライクカウント、ボールカウント、アウトカウント処理が実行される。見送り処理の場合、ボールオブジェクト72がボールかストライクかは、球種、投球位置から算出される起動計算の結果から自動的に決まる。
【0138】
なお、投球指示(ステップS43でYES)については、球種指定を条件としてもよく、さらに投球位置指示を条件としてもよい。
【0139】
図22は、図20の対戦処理中で打席移動が指示された場合に、CPU1がゲームプログラムに基づいて実行する「打席移動」処理のフローチャートである。まず、十字キー195からの打席移動指示信号が入力されたか否かが判断され(ステップS101)、次いで、入力信号が前方、後方、左方、右方への移動指示の内のいずれの信号かが判断される(ステップS103,107,111,115)。前方への移動指示信号の場合、カーソル80を含めて画面全体が拡大表示される(ステップS105)。後方への移動指示信号の場合、カーソル80も含めて元のサイズの画面に戻されて表示される(ステップS109)。左方への移動指示信号の場合、打者キャラクタ73がホームベース(枠オブジェクト60)から離れる方向に所定距離だけ移動して表示される。かつ、カーソル80が枠オブジェクト60内で左半部に移動されたときは、カーソル80が拡大表示(図18(c)、カーソル801)され、かつ作用範囲が拡大され、右半部に移動されたときは、カーソルが縮小表示(図18(c)、カーソル802)され、かつ作用範囲が縮小される(ステップS113)。また、右方への移動指示信号の場合、打者キャラクタ73がホームベース(枠オブジェクト60)に近づく方向に所定距離だけ移動して表示される。かつ、カーソル80が枠オブジェクト60内で右半部に移動されたときは、カーソル80が拡大表示(図18(b)、カーソル801)され、かつ作用範囲が拡大され、左半部に移動されたときは、カーソルが縮小表示(図18(b)、カーソル802)され、かつ作用範囲が縮小される(ステップS117)。
【0140】
図23は、図20の対戦処理中に、CPU1がゲームプログラムに基づいて実行する「読みによる作用範囲拡大」処理のフローチャートである。まず、シーケンスが開始されると、タイマが初期リセットされ(ステップS201)、次いで、ジョイスティック194の操作信号が検出され(ステップS203)、前回検出内容との差の有無が検出される(ステップS205)。前回検出内容と差があれば、タイマがクリアされ(ステップS207)、さらに、カーソルのサイズが拡大された状態でなければ(ステップS209でNO)、ステップS211をスキップする。次いで、打撃指示信号が入力されたか否かが判断され(ステップS213)、打撃指示信号が入力されなければ、ステップS203に戻って、同様の処理が繰り返され、一方、打撃指示信号が入力されたのであれば、本フローを終了する。
【0141】
一方、ステップS205で前回検出内容と差がなければ、タイマが所定時間に達したか否かが判断され(ステップS215)、所定時間に達していなければ、ステップS203に戻り、所定時間に達していれば、カーソル80が所定サイズで拡大表示され、かつ打撃範囲が拡大される(ステップS217)。また、ステップS217でカーソル80が拡大表示された状態で、打撃指示が行われる前(ステップS213でNO)では、ステップS203に戻る。そして、ステップS205で、前回検出時とデータ変化ありと判断されると、すなわちカーソル80が動かされたと判断されると、タイマはクリアされ(ステップS207)、さらに、カーソルのサイズが拡大さわれた状態であると(ステップS209でYES)、カーソルは元のサイズに設定、すなわち元のサイズに戻されることになる(ステップS211)。従って、少なくとも所定時間集中したり、あるいは集中が途中で切れたりすることに応じてカーソルが大きくなったり、縮小してしまったりという両方向への動きがあることで、対戦における面白さと緊張感とを有するゲームが提供可能となる。なお、上記例では、カーソル80を拡大表示後に動かしたときには直ちに元のサイズに戻ることとしたが、カーソル80の変化量、または変化時間に応じて縮小量を変えるようにしてもよい。その場合、縮小される最小のサイズは元のサイズが限界であり、それより縮小されることはない。
【0142】
図24は、図20の対戦処理中に、CPU1がゲームプログラムに基づいて実行する「ひねり付加」処理のフローチャートである。コントローラ19の加速度センサ192から検出信号の取得が周期的に行われ(ステップS301)、取得された検出信号に基づいて、コントローラ19の軸周りの回転量が算出される(ステップS303)。次いで、算出された回転量とひねり判定用の閾値とが比較され(ステップS305)、算出された回転量が閾値以下であれば、ひねり無しと判断され、通常の設定内容(ステップS307)で、本フローを終了する。一方、算出された回転量が閾値を超えている場合、ひねり有りと判断され、カーソル80が縮小されて表示され、かつ打者キャラクタ73の「パワー」パラメータがアップされて(ステップS309)、本フローを終了する。なお、ステップS305で、一旦、ひねり有りと判断された後、打撃指示までの間に、コントローラ19への動きによって、ひねりが元に戻された場合、ステップS305でひねり無しと再判断されて、ステップS307へ移行する態様もあり得る。
【0143】
なお、本発明は、以下の態様が採用可能である。
【0144】
(1)本発明は、野球ゲームに限定されず、移動体オブジェクトを介して対戦ゲームが行われるゲームであって、移動体オブジェクトに対して作用を与えることでゲームが進行するような対戦ゲーム全般に適用可能である。例えば、サッカーのPK合戦、テニス等である。
【0145】
(2)本実施形態では、打者キャラクタ73はバットオブジェクト74を用いて移動体オブジェクトとしてのボールオブジェクト72に作用、すなわち打撃操作を行わせるようにしたが、バットオブジェクト74と一体で打者キャラクタ73として扱ってもよい。例えば、サッカーのPK合戦では、ゴールキーパーの手足が作用部分となるように、特別の作用オブジェクトはなくてもよい。
【0146】
(3)各プレイヤが把持するコントローラとしては、全ての操作部などを備えた一体構成でもよいが、操作部を2つに分け、それらを別々のコントローラ部に割り振って2つのコントローラ部で構成した態様であってもよい。例えば、一方のコントローラ部がジョイスティック194のみを備える構成であってもよい。このようにすれば、片手で全ての指示操作を強いられることがなくなる分、操作の容易性が図れる。
【0147】
(4)本実施形態では、打撃範囲の指定の確定を、打撃タイミングの指示を行うボタン193の押下で兼用して操作性の向上を図ったが、別々の操作部材で操作する態様としてもよい。
【0148】
(5)本実施形態では、枠オブジェクトを分割した各区分体はマス目で区切られた正方形の区分体であるが、正方形以外に六角形や菱形、長方形、あるいはそれらの組合せであってもよい。但し、遊技のし易さや画面の見易さを鑑みると、同一形状の区分体に分割するのが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】本発明に係る対戦ゲーム装置の構成の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】図1に示すビデオゲーム装置の主要な機能ブロック図である。
【図3】ゲーム画像の一例を示す画面図である。
【図4】選手データの内、特に野球ゲームに対する能力を示す選手パラメータを示す図である。
【図5】プレイヤによるゲーム操作の状況の一場面例を示す図である。
【図6】枠オブジェクトと投球側のカーソルとの関係を示す図である。
【図7】球種の内容を示す図である。
【図8】球種の内容を示す図である。
【図9】枠オブジェクトと打者側のカーソルとの関係を示す図である。
【図10】打者キャラクタの選手パラメータのうちの「ミート」パラメータの高さに応じて、ボールオブジェクトにバットオブジェクトが当たる範囲が広狭する態様を説明する図である。
【図11】打者キャラクタの選手パラメータのうちの「ミート」パラメータの高さに応じて、ボールオブジェクトにバットオブジェクトが当たる範囲が広狭する態様を説明する図である。
【図12】打者キャラクタの選手パラメータのうちの「チャンス」パラメータの高さに応じて、ボールオブジェクトにバットオブジェクトが当たる範囲が広狭する態様を説明する図である。
【図13】打者キャラクタの選手パラメータのうちの「コースに強い」パラメータに応じて、ボールオブジェクトにバットオブジェクトが当たる範囲が広狭する態様を説明する図である。
【図14】打者キャラクタの選手パラメータのうちの「コースに強い」パラメータに応じて、ボールオブジェクトにバットオブジェクトが当たる範囲が広狭する態様を説明する図である。
【図15】打者キャラクタの選手パラメータのうちの「変化球打ち」パラメータに応じて、ボールオブジェクトにバットオブジェクトが当たる範囲が広狭する態様を説明する図である。
【図16】打者キャラクタの選手パラメータのうちの「超強打者」パラメータに応じて、ボールオブジェクトにバットオブジェクトが当たる範囲が広狭する態様を説明する図である。
【図17】(a)は、打者キャラクタ73の打席位置がバッターボックス内の基準位置にある場合の画面図、(b)は、打者キャラクタ73の打席位置が投手寄りに移動した後の画面図である。
【図18】(a)は、コントローラが操作される前の、打者キャラクタが通常の打席位置に設定されている状態の画面図であり、(b)は、十字キーの右側が押下されて打者キャラクタが、所定距離だけバッターボックス寄りに移動された状態の画面図であり、(c)は、十字キーの左側が押下されて打者キャラクタが、所定距離だけバッターボックスから離れる側に移動された状態の画面図である。
【図19】シーケンスの開始から打撃指示までの間に、カーソルに対する移動操作が所定時間継続して行われない場合のカーソルのサイズ変更を説明するための画面図で、(a)は、カーソルが通常のサイズの場合、(b)は、カーソルが所定のサイズに拡大されている場合、(c)は、カーソルが元の通常サイズに戻された場合である。
【図20】ゲームの全体処理を示すフローチャートである。
【図21】対戦処理のフローチャートである。
【図22】図20の対戦処理中で打席移動が指示された場合に、CPUによって実行される「打席移動」処理のフローチャートである。
【図23】図20の対戦処理中に、CPUによって実行される「読みによる作用範囲拡大」処理のフローチャートである。
【図24】図20の対戦処理中に、CPUによって実行される「ひねり付加」処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0150】
1 CPU1
101 取得部
102 ゲーム進行制御
103 画像表示制御部
104 指標枠設定部(指標枠設定手段)
105 球種設定部
106 投球位置設定部
107 移動処理部(移動処理手段)
108 打撃範囲指定部(作用範囲指定手段)
109 打撃指示部(作用タイミング指示手段)
110 カーソルサイズ変更部(カーソルサイズ変更手段)
111 自己キャラクタ位置設定部(自己キャラクタ位置設定手段)
112 特別打撃設定部(作用条件設定手段)
113 結果処理部(作用結果処理手段)
142 選手データ記憶部(能力パラメータ記憶手段)
19 コントローラ
192 加速度センサ
193 ボタン(第2の操作部材)
194 ジョイスティック(第1の操作部材、第2の操作部材、第4の操作部材)
195 十字キー(第3の操作部材)
196 ボタン(第3の操作部材)
21 モニタ
60 枠オブジェクト(指標枠オブジェクト)
61 マス目(区分体)
60 カーソル
72 ボールオブジェクト(移動体オブジェクト)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モニタに表示される仮想3次元のゲーム空間内で移動する移動体オブジェクトに、一方のプレイヤからの指示を受け付けて作用させ、その作用結果に基づいて進行する対戦ゲームをコンピュータに行わせるゲームプログラムにおいて、
前記ゲーム空間内の予め設定された移動開始位置から移動を開始する前記移動体オブジェクトが通過する指標としての、所定数の区分体に区分けされた所定サイズの指標枠オブジェクトを前記ゲーム空間内の所定位置に対応して設定する指標枠設定手段と、
前記移動開始位置から前記指標枠オブジェクトを通過するまでの前記移動体オブジェクトの移動軌跡を設定し、設定された移動軌跡に従って前記移動体オブジェクトの移動動作を行わせる移動処理手段と、
前記モニタ上で移動可能にカーソルを表示すると共に、前記一方のプレイヤが操作するコントローラの第1の操作部材から方向を指示するための操作信号を受け付け、この操作信号に応じて前記カーソルを前記所定数の区分体の1つに一致させることで、少なくとも当該1つの区分体を作用範囲として指定する作用範囲指定手段と、
前記一方のプレイヤが操作する前記コントローラの第2の操作部材からの操作信号を受け付けたタイミングで、前記移動開始位置から前記指標枠オブジェクトへ向けて移動中の移動体オブジェクトと作用させる指示を行う作用タイミング指示手段と、
前記作用範囲指定手段で指定された区分体と前記移動体オブジェクトの前記指標枠オブジェクトの通過位置との一致度合い、及び前記移動体オブジェクトが前記指標枠オブジェクトを通過するタイミングと前記作用タイミング指示手段による作用を指示するタイミングとの一致度合いによって作用の結果を決定する作用結果処理手段として前記コンピュータを機能させるゲームプログラム。
【請求項2】
前記作用タイミング指示手段は、前記モニタに表示される前記第2の操作部材で操作される自己キャラクタに対して、前記作用信号によって前記移動体オブジェクトとの作用のための動作を指示することを特徴とする請求項1記載のゲームプログラム。
【請求項3】
前記第1の操作部材から出力される操作信号は、前記指標枠オブジェクト内で前記カーソルを移動させる指示を行うカーソル移動指示信号であり、前記第2の操作部材から出力される操作信号は、作用タイミングを指示するタイミング指示信号であり、
前記作用範囲指定手段は、前記第1の操作部材から受け付けた前記操作信号に従って前記指標枠オブジェクト内で前記カーソルを移動させ、かつ前記第2の操作部材から前記操作信号を受け付けた時に前記カーソルが現に位置している区分体を作用区分体として指定するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のゲームプログラム。
【請求項4】
前記作用範囲指定手段は、前記作用区分体を他の区分体とは異なる表示形態に変更することを特徴とする請求項3記載のゲームプログラム。
【請求項5】
前記自己キャラクタの前記対戦ゲームでのゲーム能力を規定する能力パラメータを記憶する能力パラメータ記憶手段と、
前記作用範囲指定手段は、前記能力パラメータが高い場合、前記作用区分体より広い範囲を、前記移動体オブジェクトと作用する作用範囲として設定することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のゲームプログラム。
【請求項6】
前記作用範囲は、前記自己キャラクタの能力パラメータの種類に応じて、前記作用区分体に対応して予め設定された配置関係にある1又は所定数の区分体であることを特徴とする請求項5記載のゲームプログラム。
【請求項7】
前記作用範囲指定手段は、前記能力パラメータの高さに応じて前記作用範囲を段階的に拡張するものであることを特徴とする請求項5記載のゲームプログラム。
【請求項8】
所定の条件下で前記カーソルのサイズを基準サイズより拡縮方向に変更するカーソルサイズ変更手段として前記コンピュータを機能させ、
前記作用範囲指定手段は、前記カーソルのサイズが拡大された場合に、拡大されたサイズに対応して、前記作用区分体より広い範囲を、前記移動体オブジェクトと作用する作用範囲として設定することを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載のゲームプログラム。
【請求項9】
前記自己キャラクタを前記指標枠オブジェクトの位置と所定の関係を有する基準位置に位置決めすると共に、この自己キャラクタを前記コントローラの第3の操作部材からの操作信号を受け付けて、前記指標枠オブジェクトとの位置関係を、前記基準位置から、前記指標枠オブジェクトと接離する方向に所定量だけ変更する第1の自己キャラクタ位置設定手段として前記コンピュータを機能させ、
前記カーソルサイズ変更手段は、前記所定の条件としての、前記自己キャラクタの位置が前記基準位置から変更された場合、前記指標枠オブジェクトに対して、前記カーソルが前記自己キャラクタの移動方向と同一方向側に位置する時は前記カーソルのサイズを所定量だけ拡大し、前記カーソルが前記自己キャラクタの移動方向と逆方向側に位置する時は前記カーソルのサイズを所定量だけ縮小することを特徴とする請求項8記載のゲームプログラム。
【請求項10】
前記自己キャラクタを前記指標枠オブジェクトの位置と所定の関係を有する基準位置に位置決めすると共に、この自己キャラクタを前記コントローラの第3の操作部材からの操作信号を受け付けて、前記指標枠オブジェクトとの位置関係を、前記基準位置から、前記移動開始位置に接近する方向に所定量だけ変更する第2の自己キャラクタ位置設定手段として前記コンピュータを機能させ、
前記カーソルサイズ変更手段は、前記所定の条件としての、前記自己キャラクタの位置が前記基準位置から変更された場合、前記カーソルのサイズを所定量だけ拡大することを特徴とする請求項8記載のゲームプログラム。
【請求項11】
前記移動体オブジェクトとの作用時における大きさである作用力を設定する作用条件設定手段として前記コンピュータを機能させ、
前記カーソルサイズ変更手段は、前記所定の条件として、前記コントローラが内蔵する少なくとも1軸に対する回転を検出するセンサからの、前記コントローラの前記1軸周りの回転情報を取得した場合、前記カーソルのサイズを所定量だけ縮小し、
前記作用範囲指定手段は、前記回転情報を取得した場合、前記作用範囲を作用区分体とし、
前記作用条件設定手段は、前記回転情報を取得した場合、前記作用力を前記基準サイズの場合に比して所定量だけ増大させることを特徴とする請求項8記載のゲームプログラム。
【請求項12】
前記対戦ゲームを行う他方のプレイヤからの指示に基づいて前記指標枠オブジェクトに対する前記移動体オブジェクトの通過位置を指定する通過位置指定手段と、
ゲーム中における所定の状態の継続を計時する計時手段として前記コンピュータを機能させ、
前記対戦ゲームは、経時方向に複数のシーケンスから構成され、各シーケンスは、前記他方のプレイヤが操作する操作部材への操作が許可された後、前記作用結果処理手段による処理が終了するまでの期間であり、
前記計時手段は、前記シーケンスの開始から前記第2の操作部材からの操作信号が受け付けられるまでの間に前記第1の操作部材からの操作信号が継続して一定である時間を計時するものであり、
前記カーソルサイズ変更手段は、前記所定の条件として前記計時した時間が所定時間に達した場合、前記カーソルのサイズを前記基準サイズに比して所定量だけ拡大し、かつ前記カーソルのサイズが拡大された後に前記第1の操作部材からの操作信号が変化した時は、前記カーソルのサイズを、前記基準サイズを最小限のサイズとして縮小するようにしたことを特徴とする請求項8記載のゲームプログラム。
【請求項13】
前記対戦ゲームを行う他方のプレイヤが操作する第4の操作部材からの操作信号を受け付けて、前記指標枠オブジェクトに対する前記移動体オブジェクトの通過位置を指定する通過位置指定手段として前記コンピュータを機能させる請求項1〜11のいずれかに記載のゲームプログラム。
【請求項14】
前記作用範囲指定手段及び作用タイミング指示手段は、前記第1の操作部材乃至は第4の操作部材からの各信号を無線で受け付けるものであることを特徴とする請求項1〜13に記載のゲームプログラム。
【請求項15】
前記対戦ゲームは野球を模擬したゲームであり、前記移動体オブジェクトはボールを模擬したものであり、前記指標枠オブジェクトはホームベース上に設定される投球ゾーンであり、前記自己キャラクタは打者を模擬した打者キャラクタであることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載のゲームプログラム。
【請求項16】
モニタに表示される仮想3次元のゲーム空間内で移動する移動体オブジェクトに、一方のプレイヤからの指示を受け付けて作用させ、その作用結果に基づいて進行する対戦ゲームをコンピュータに行わせる対戦ゲーム装置において、
前記ゲーム空間内の予め設定された移動開始位置から移動を開始する前記移動体オブジェクトが通過する指標としての、所定数の区分体に区分けされた所定サイズの指標枠オブジェクトを前記ゲーム空間内の所定位置に対応して設定する指標枠設定手段と、
前記移動開始位置から前記指標枠オブジェクトを通過するまでの前記移動体オブジェクトの移動軌跡を設定し、設定された移動軌跡に従って前記移動体オブジェクトの移動動作を行わせる移動処理手段と、
前記モニタ上で移動可能にカーソルを表示すると共に、前記一方のプレイヤが操作するコントローラの第1の操作部材から方向を指示するための操作信号を受け付け、この操作信号に応じて前記カーソルを前記所定数の区分体の1つに一致させることで、少なくとも当該1つの区分体を作用範囲として指定する作用範囲指定手段と、
前記一方のプレイヤが操作する前記コントローラの第2の操作部材からの操作信号を受け付けたタイミングで、前記移動開始位置から前記指標枠オブジェクトへ向けて移動中の移動体オブジェクトと作用させる指示を行う作用タイミング指示手段と、
前記作用範囲指定手段で指定された区分体と前記移動体オブジェクトの前記指標枠オブジェクトの通過位置との一致度合い、及び前記移動体オブジェクトが前記指標枠オブジェクトを通過するタイミングと前記作用タイミング指示手段による作用を指示するタイミングとの一致度合いによって作用の結果を決定する作用結果処理手段とを備えたことを特徴とする対戦ゲーム装置。
【請求項17】
モニタに表示される仮想3次元のゲーム空間内で移動する移動体オブジェクトに、一方のプレイヤからの指示を受け付けて作用させ、その作用結果に基づいて進行する対戦ゲームをコンピュータに行わせる対戦ゲーム制御方法において、
前記コンピュータの指標枠設定手段が、前記ゲーム空間内の予め設定された移動開始位置から移動を開始する前記移動体オブジェクトが通過する指標としての、所定数の区分体に区分けされた所定サイズの指標枠オブジェクトを前記ゲーム空間内の所定位置に対応して設定し、
前記コンピュータの移動処理手段が、前記移動開始位置から前記指標枠オブジェクトを通過するまでの前記移動体オブジェクトの移動軌跡を設定し、設定された移動軌跡に従って前記移動体オブジェクトの移動動作を行わせ、
前記コンピュータの作用範囲指定手段が、前記モニタ上で移動可能にカーソルを表示すると共に、前記一方のプレイヤが操作するコントローラの第1の操作部材から方向を指示するための操作信号を受け付け、この操作信号に応じて前記カーソルを前記所定数の区分体の1つに一致させることで、少なくとも当該1つの区分体を作用範囲として指定し、
前記コンピュータの作用タイミング指示手段が、前記一方のプレイヤが操作する前記コントローラの第2の操作部材からの操作信号を受け付けたタイミングで、前記移動開始位置から前記指標枠オブジェクトへ向けて移動中の移動体オブジェクトと作用させる指示を行い、
前記コンピュータの作用結果処理手段が、前記作用範囲指定手段で指定された区分体と前記移動体オブジェクトの前記指標枠オブジェクトの通過位置との一致度合い、及び前記移動体オブジェクトが前記指標枠オブジェクトを通過するタイミングと前記作用タイミング指示手段による作用を指示するタイミングとの一致度合いによって作用の結果を決定するようにしたことを特徴とする対戦ゲーム制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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