説明

ゲームプログラムおよびゲーム装置

【課題】仮想カメラの移動速度の算出にかかる処理負荷を軽減することが可能なゲームプログラムおよびゲーム装置を提供すること。
【解決手段】仮想カメラで撮影した3次元ゲーム空間の様子を示す2次元ゲーム画像を生成して表示装置に表示するゲームプログラムであって、2次元ゲーム画像において、3次元ゲーム空間内の仮想カメラの注視点に対応する注視点画素から当該2次元ゲーム画像上における所定の画素である目標画素までの直線距離での画素数を算出する。次に、当該算出した画素数に応じて仮想カメラの移動速度を設定する。そして、3次元ゲーム空間内において、設定された移動速度に従って仮想カメラを所定の位置まで移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想カメラで撮影した3次元ゲーム空間の様子を示す2次元ゲーム画像を生成して表示装置に表示するゲームプログラムに関し、より特定的には、3次元ゲーム空間における仮想カメラの移動に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ゲームシステムに含まれるコンピュータの高性能化に伴い、3次元コンピュータグラフィックス技術を利用した3次元ゲームが増えている。3次元ゲームでは、プレイヤオブジェクトや地形オブジェクト等のポリゴンによって構成されるオブジェクトを3次元のゲーム空間に配置し、所定の視点によってそのゲーム空間内の様子を3次元ゲーム画面として表示している。
【0003】
このような3次元ゲーム画面を表示するゲーム装置のひとつに、プレイヤキャラクタの移動に仮想カメラを追従させるゲーム装置が知られている(例えば、特許文献1)。より具体的には、上記のゲームでは、プレイヤキャラクタのキャラクタ位置を目標位置とし、この目標位置に仮想カメラの注視点の位置(注視位置)が所定の割合で近づくように、目標位置までの距離に応じた速度で仮想カメラを移動させている。
【特許文献1】特開2004−329463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような上記特許文献1に開示されたゲーム装置においては、以下に示す問題点があった。すなわち、上記目標位置までの距離に応じた移動速度を算出するために、3次元のゲーム空間を前提とした複雑な計算処理(3次元計算処理)を行っている。そのため、ゲーム装置への処理負荷が高くなるという問題があった。
【0005】
それ故に、本発明の目的は、仮想カメラの移動速度の算出にかかる処理負荷を軽減することが可能なゲームプログラムおよびゲーム装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明等は、本発明の理解を助けるために後述する実施形態との対応関係の一例を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0007】
第1の発明は、仮想カメラで撮影した3次元ゲーム空間の様子を示す2次元ゲーム画像を生成して表示装置に表示するゲーム装置のコンピュータに実行させるゲームプログラムであって、コンピュータを、画素数算出手段(S41、S45〜S48)と、移動速度設定手段(S28)と、カメラ移動制御手段(S3)として機能させる。画素数算出手段は、3次元ゲーム空間内における仮想カメラの注視点に対応する2次元ゲーム画像上の画素である注視点画素から当該2次元ゲーム画像上における所定の画素である目標画素までの直線距離における画素数を算出する。移動速度設定手段は、画素数算出手段が算出した画素数に基づいて仮想カメラの移動速度を設定する。カメラ移動制御手段は、3次元ゲーム空間内において、移動速度設定手段が設定した移動速度に従って仮想カメラを所定の位置まで移動させる。
【0008】
第1の発明によれば、2次元ゲーム画像における画素数の算出という処理に基づいて、仮想カメラの移動速度を設定することができる。これにより、複雑な3次元空間での計算処理を用いることなく、仮想カメラの移動速度を決定することができ、コンピュータの処理負荷を軽減することができる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、ゲームプログラムは、コンピュータを、奥行き値記憶手段(S21)と、注視点奥行値算出手段(S24)と、目標画素検出手段(S27,S29)として更に機能させる。奥行き値記憶手段は、2次元ゲーム画像に表示されるオブジェクトの3次元ゲーム空間内における奥行き方向の距離を示す奥行き値を当該2次元ゲーム画像の画素毎に対応づけて所定の記憶部に記憶させる。注視点奥行値算出手段は、3次元ゲーム空間内における仮想カメラの注視点に対応する奥行き値を算出する。目標画素検出手段は、注視点奥行値算出手段が算出した奥行き値と2次元ゲーム画像に対応する奥行き値とを比較し、当該比較した結果に基づいて目標画素の位置を検出する。
【0010】
第2の発明によれば、奥行き値を用いて目標画素の位置を検出できる。これにより、複雑な3次元計算処理を用いることなく目標画素が算出でき、処理負荷を軽減できる。
【0011】
第3の発明は、第2の発明において、ゲームプログラムは、コンピュータを、障害物存在判定手段(S21〜S26)として更に機能させる。障害物存在判定手段は、3次元ゲーム空間内において、仮想カメラの視点と当該仮想カメラの注視点とを結ぶ直線上に障害物が存在するか否かを判定する。また、画素数算出手段は、障害物存在判定手段が障害物が存在すると判定したときに、注視点画素から目標画素までの直線距離における画素数を算出する。
【0012】
第3の発明によれば、3次元ゲーム空間において、障害物に隠れて表示されないオブジェクトがあるときに、目標画素と注視点画素との間の画素数に応じて仮想カメラの移動速度を決定することができる。
【0013】
第4の発明は、第3の発明において、カメラ移動制御手段は、3次元ゲーム空間内において、仮想カメラの視点と注視点とを結ぶ直線上に障害物が存在しなくなる位置まで当該仮想カメラを移動させる。
【0014】
第4の発明によれば、3次元ゲーム空間内において、障害物に隠れて表示されないオブジェクト(注視点が設定されているオブジェクト)があるときに、目標画素と注視画素との間の画素数に応じた移動速度で仮想カメラを移動させ、当該オブジェクトが表示されるようにすることができる。
【0015】
第5の発明は、第4の発明において、画素数算出手段は、2次元ゲーム画像において、注視点画素から真上方向へ延びる直線上の目標画素までの画素数を算出する。また、カメラ移動制御手段は、仮想カメラの視点と注視点とを結ぶ直線上に障害物が存在しなくなる位置まで当該仮想カメラを上方向に移動させる。
【0016】
第5の発明によれば、仮想カメラを障害物の上方に回り込ませるように移動させることができ、プレイヤに違和感を感じさせないゲーム画面を提供することができる。
【0017】
第6の発明は、第3の発明において、注視点は、プレイヤの操作対象となるプレイヤオブジェクトに含まれる所定の点である。
【0018】
第6の発明によれば、プレイヤオブジェクトが障害物に隠されて見えない状態になることを防ぐことができる。
【0019】
第7の発明は、第6の発明において、ゲームプログラムは、コンピュータを、射影位置算出手段(S22)と、奥行き値差分算出手段(S25)として更に機能させる。射影位置算出手段は、2次元ゲーム画像の座標系におけるプレイヤオブジェクトの表示位置を射影変換によって算出する。奥行き値差分算出手段は、射影位置の画素において、注視点奥行値算出手段で算出された奥行き値と当該射影位置の画素に対応する奥行き値との差分を算出する。また、障害物判定手段は、奥行き値差分算出手段で算出した差分が所定値以上のときに障害物が存在すると判定する。
【0020】
第7の発明によれば、注視点が設定されたプレイヤオブジェクトと仮想カメラとの間の障害物の有無を、奥行き値を用いることで判定でき、コンピュータの処理負荷を軽減することができる。
【0021】
第8の発明は、第6の発明において、ゲームプログラムは、コンピュータを、3次元ゲーム空間における仮想カメラの視点からプレイヤオブジェクトに含まれる所定の点までの距離と仮想カメラの視点からプレイヤオブジェクトに含まれる所定の点の方向の障害物までの距離との差分を算出する距離差分算出手段(S25)として更に機能させる。また、障害物判定手段は、距離差分算出手段で算出した差分が所定値以上のときに障害物が存在すると判定する。
【0022】
第8の発明によれば、注視点が設定されたプレイヤオブジェクトと仮想カメラとの間の障害物の有無については、3次元ゲーム空間内における距離の差で判定している。そのため、より精度の高い判定が可能となる。
【0023】
第9の発明は、第2の発明において、目標画素検出手段は、注視点奥行値算出手段が算出した奥行き値より2次元ゲーム画像に対応する奥行き値の方が奥にある画素の位置を検出する。
【0024】
第9の発明によれば、奥行き値を用いて目標画素の位置を検出できる。これにより、複雑な3次元計算処理を用いることなく目標画素が算出でき、処理負荷を軽減できる。
【0025】
第10の発明は、第1の発明において、移動速度設定手段は、画素数算出手段が算出した画素数が大きくなるに連れて、移動速度を速い速度に設定する。
【0026】
第10の発明によれば、仮想カメラの移動距離が長い場合は速度を高め、移動距離が短い場合は移動速度を低下させることができる。これにより、仮想カメラの移動距離の大小に関わらず、同じような時間で仮想カメラの移動を完了させることができる。
【0027】
第11の発明は、第10の発明において、移動速度設定手段は、画素数算出手段が算出した画素数に基づいて仮想カメラの移動加速度を算出する加速度算出手段を含む。そして、移動速度設定手段は、加速度に基づいて移動速度を算出して設定する。
【0028】
第11の発明によれば、算出された画素数に基づいて仮想カメラの加速度を算出し、当該加速度に基づいて仮想カメラを移動させる。これにより、仮想カメラの移動によるゲーム画像の変化について、プレイヤに違和感を感じさせないような動きを実現することができる。
【0029】
第12の発明は、第11の発明において、ゲームプログラムは、コンピュータを、戻し画素数算出手段(S81、S86〜S89)と、カメラ戻し制御手段(S28)として更に機能させる。戻し画素数算出手段は、カメラ移動制御手段が加速度に基づく移動速度に従って仮想カメラを移動し、当該仮想カメラが停止した後、注視点画素から2次元ゲーム画像上における所定の画素である戻し画素までの直線距離における画素数を算出する。カメラ戻し制御手段は、戻し画素数算出手段が算出した画素数が所定値以上であるときは、カメラ移動制御手段が移動させた仮想カメラの移動方向とは逆の方向に向けて、所定の移動速度で当該仮想カメラを移動させる。
【0030】
第12の発明によれば、加速度を用いて仮想カメラを移動させたとき、移動後の仮想カメラの位置を調整することができる。これにより、プレイヤにとって見やすいゲーム画像を提供することができる。
【0031】
第13の発明は、第12の発明において、カメラ戻し制御手段は、戻し画素数算出手段が算出した画素数が大きいほど、仮想カメラを速い移動速度で移動させる。
【0032】
第13の発明によれば、仮想カメラの移動距離が長い場合は速度を高め、移動距離が短い場合は移動速度を低下させることができる。これにより、仮想カメラの移動距離の大小に関わらず、同じような時間で仮想カメラの移動を完了させることができる。
【0033】
第14の発明は、第13の発明において、カメラ戻し制御手段は、戻し画素数算出手段が算出した画素数に基づいた仮想カメラの移動加速度を算出する戻し加速度算出手段を含む。そして、カメラ戻し制御手段は、加速度に基づいた移動速度で移動させる。
【0034】
第14の発明によれば、仮想カメラの移動によるゲーム画像の変化について、プレイヤに違和感を感じさせないような動きを実現することができる。
【0035】
第15の発明は、仮想カメラで撮影した3次元ゲーム空間の様子を示す2次元ゲーム画像を生成して表示装置に表示するゲーム装置であって、画素数算出手段と、移動速度設定手段と、カメラ移動制御手段とを備える。画素数算出手段は、3次元ゲーム空間内における仮想カメラの注視点に対応する2次元ゲーム画像上の画素である注視点画素から当該2次元ゲーム画像上における所定の画素である目標画素までの直線距離における画素数を算出する。移動速度設定手段は、画素数算出手段が算出した画素数に基づいて仮想カメラの移動速度を設定する。カメラ移動制御手段は、3次元ゲーム空間内において、移動速度設定手段が設定した移動速度に従って仮想カメラを所定の位置まで移動させる。
【0036】
第15の発明によれば、第1の発明と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、仮想カメラの移動速度を決める処理について、2次元画像での計算処理で済ませることができ、CPU等の処理負荷を軽減することが可能となる。これにより、処理速度の遅いCPU等を用いたゲーム装置であっても、プレイヤにとって見やすく、かつ、操作しやすくなる3次元ゲームを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。尚、この実施例により本発明が限定されるものではない。
【0039】
(ゲームシステムの全体構成)
図1を参照して、本発明の実施形態に係るゲーム装置を含むゲームシステム1について説明する。図1は、ゲームシステム1の外観図である。以下、据置型のゲーム装置を一例にして、本実施形態のゲーム装置およびゲームプログラムについて説明する。図1において、ゲームシステム1は、テレビジョン受像器(以下、単に「テレビ」と記載する)2、ゲーム装置本体3、光ディスク4、コントローラ7、およびマーカ部8を含む。本システムは、コントローラ7を用いたゲーム操作に基づいてゲーム装置本体3でゲーム処理を実行するものである。
【0040】
ゲーム装置本体3には、当該ゲーム装置本体3に対して交換可能に用いられる情報記憶媒体の一例である光ディスク4が脱着可能に挿入される。光ディスク4には、ゲーム装置本体3において実行されるためのゲームプログラムが記憶されている。ゲーム装置本体3の前面には光ディスク4の挿入口が設けられている。ゲーム装置本体3は、挿入口に挿入された光ディスク4に記憶されたゲームプログラムを読み出して実行することによってゲーム処理を実行する。
【0041】
ゲーム装置本体3には、表示装置の一例であるテレビ2が接続コードを介して接続される。テレビ2には、ゲーム装置本体3において実行されるゲーム処理の結果得られるゲーム画像が表示される。また、テレビ2の画面の周辺(図1では画面の上側)には、マーカ部8が設置される。マーカ部8は、その両端に2つのマーカ8Rおよび8Lを備えている。マーカ8R(マーカ8Lも同様)は、具体的には1以上の赤外LEDであり、テレビ2の前方に向かって赤外光を出力する。マーカ部8はゲーム装置本体3に接続されており、ゲーム装置本体3はマーカ部8が備える各赤外LEDの点灯を制御することが可能である。
【0042】
コントローラ7は、当該コントローラ7自身に対して行われた操作の内容を示す操作データをゲーム装置本体3に与える入力装置である。コントローラ7とゲーム装置本体3とは無線通信によって接続される。本実施形態では、コントローラ7とゲーム装置本体3との間の無線通信には例えばBluetooth(ブルートゥース)(登録商標)の技術が用いられる。なお、他の実施形態においてはコントローラ7とゲーム装置本体3とは有線で接続されてもよい。
【0043】
(ゲーム装置本体3の内部構成)
次に、図2を参照して、ゲーム装置本体3の内部構成について説明する。図2は、ゲーム装置本体3の構成を示すブロック図である。ゲーム装置本体3は、CPU10、システムLSI11、外部メインメモリ12、ROM/RTC13、ディスクドライブ14、およびAV−IC15等を有する。
【0044】
CPU10は、光ディスク4に記憶されたゲームプログラムを実行することによってゲーム処理を実行するものであり、ゲームプロセッサとして機能する。CPU10は、システムLSI11に接続される。システムLSI11には、CPU10の他、外部メインメモリ12、ROM/RTC13、ディスクドライブ14およびAV−IC15が接続される。システムLSI11は、それに接続される各構成要素間のデータ転送の制御、表示すべき画像の生成、外部装置からのデータの取得等の処理を行う。システムLSIの内部構成について後述する。揮発性の外部メインメモリ12は、光ディスク4から読み出されたゲームプログラムや、フラッシュメモリ17から読み出されたゲームプログラム等のプログラムを記憶したり、各種データを記憶したりするものであり、CPU10のワーク領域やバッファ領域として用いられる。ROM/RTC13は、ゲーム装置本体3の起動用のプログラムが組み込まれるROM(いわゆるブートROM)と、時間をカウントするクロック回路(RTC:Real Time Clock)とを有する。ディスクドライブ14は、光ディスク4からプログラムデータやテクスチャデータ等を読み出し、後述する内部メインメモリ11eまたは外部メインメモリ12に読み出したデータを書き込む。
【0045】
また、システムLSI11には、入出力プロセッサ11a、GPU(Graphics Processor Unit)11b、DSP(Digital Signal Processor)11c、VRAM11d、および内部メインメモリ11eが設けられる。図示は省略するが、これらの構成要素11a〜11eは内部バスによって互いに接続される。
【0046】
GPU11bは、描画手段の一部を形成し、CPU10からのグラフィクスコマンド(作画命令)に従って画像を生成する。より具体的には、GPU11bは、当該グラフィクスコマンドに従って3Dグラフィックスの表示に必要な計算処理、例えば、レンダリングの前処理にあたる3D座標から2D座標への座標変換などの処理や、テクスチャの張り込みなどの最終的なレンダリング処理を行うことで、ゲーム画像データを生成する。ここで、CPU10は、グラフィクスコマンドに加えて、ゲーム画像データの生成に必要な画像生成プログラムをGPU11bに与える。
【0047】
VRAM11dは、フレームバッファ11fとZバッファ11gを含み、GPU11bがグラフィクスコマンドを実行するために必要なデータ(ポリゴンデータやテクスチャデータ等のデータ)を記憶する。画像が生成される際には、GPU11bは、VRAM11dに記憶されたデータを用いて画像データを作成する。
【0048】
フレームバッファ11fは、例えば、テレビ2の1フレーム分の画像データを描画(蓄積)しておくためのメモリであり、GPU11bによって1フレーム毎に書き換えられる。後述のAV−IC15がフレームバッファ11fのデータを読み出すことによって、テレビ2の画面上に3Dゲーム画像が表示される。
【0049】
また、Zバッファ11gは、フレームバッファ11fに対応する画素(記憶位置またはアドレス)数×1画素当たりの奥行データのビット数に相当する記憶容量を有し、フレームバッファ11fの各記憶位置に対応するドットの奥行情報または奥行データ(Z値)を記憶するものである。
【0050】
DSP11cは、オーディオプロセッサとして機能し、内部メインメモリ11eや外部メインメモリ12に記憶されるサウンドデータや音波形(音色)データを用いて、音声データを生成する。また、内部メインメモリ11eは、外部メインメモリ12と同様に、プログラムや各種データを記憶したり、CPU10のワーク領域やバッファ領域としても用いられる。
【0051】
上述のように生成された画像データおよび音声データは、AV−IC15によって読み出される。AV−IC15は、読み出した画像データをAVコネクタ16を介してテレビ2に出力するとともに、読み出した音声データを、テレビ2に内蔵されるスピーカ2aに出力する。これによって、画像がテレビ2に表示されるとともに音がスピーカ2aから出力される。
【0052】
入出力プロセッサ(I/Oプロセッサ)11aは、それに接続される構成要素との間でデータの送受信を実行したり、外部装置からのデータのダウンロードを実行したりする。入出力プロセッサ11aは、フラッシュメモリ17、無線通信モジュール18、無線コントローラモジュール19、拡張コネクタ20、および外部メモリカード用コネクタ21に接続される。無線通信モジュール18にはアンテナ22が接続され、無線コントローラモジュール19にはアンテナ23が接続される。
【0053】
入出力プロセッサ11aは、無線通信モジュール18およびアンテナ22を介してネットワークに接続し、ネットワークに接続される他のゲーム装置や各種サーバと通信することができる。入出力プロセッサ11aは、定期的にフラッシュメモリ17にアクセスし、ネットワークへ送信する必要があるデータの有無を検出し、当該データが有る場合には、無線通信モジュール18およびアンテナ22を介してネットワークに送信する。また、入出力プロセッサ11aは、他のゲーム装置から送信されてくるデータやダウンロードサーバからダウンロードしたデータを、ネットワーク、アンテナ22および無線通信モジュール18を介して受信し、受信したデータをフラッシュメモリ17に記憶する。CPU10はゲームプログラムを実行することにより、フラッシュメモリ17に記憶されたデータを読み出してゲームプログラムで利用する。フラッシュメモリ17には、ゲーム装置本体3と他のゲーム装置や各種サーバとの間で送受信されるデータの他、ゲーム装置本体3を利用してプレイしたゲームのセーブデータ(ゲームの結果データまたは途中データ)が記憶されてもよい。
【0054】
また、入出力プロセッサ11aは、コントローラ7から送信される操作データをアンテナ23および無線コントローラモジュール19を介して受信し、内部メインメモリ11eまたは外部メインメモリ12のバッファ領域に記憶(一時記憶)する。
【0055】
さらに、入出力プロセッサ11aには、拡張コネクタ20および外部メモリカード用コネクタ21が接続される。拡張コネクタ20は、USBやSCSIのようなインターフェースのためのコネクタであり、外部記憶媒体のようなメディアを接続したり、他のコントローラのような周辺機器を接続したり、有線の通信用コネクタを接続することによって無線通信モジュール18に替えてネットワークとの通信を行ったりすることができる。外部メモリカード用コネクタ21は、メモリカードのような外部記憶媒体を接続するためのコネクタである。例えば、入出力プロセッサ11aは、拡張コネクタ20や外部メモリカード用コネクタ21を介して、外部記憶媒体にアクセスし、データを保存したり、データを読み出したりすることができる。
【0056】
ゲーム装置本体3には、電源ボタン24、リセットボタン25、およびイジェクトボタン26が設けられる。電源ボタン24およびリセットボタン25は、システムLSI11に接続される。電源ボタン24がオンにされると、ゲーム装置本体3の各構成要素に対して、図示しないACアダプタを経て電源が供給される。また、一旦電源がオンにされた状態で、再度電源ボタン24を押すと、低電力スタンバイモードへの移行が行われる。この状態でも、ゲーム装置本体3への通電は行われているため、インターネット等のネットワークに常時接続しておくことができる。なお、一旦電源がオンにされた状態で、電源をオフにしたいときは、電源ボタン24を所定時間以上長押しすることで、電源をオフとすることが可能である。リセットボタン25が押されると、システムLSI11は、ゲーム装置本体3の起動プログラムを再起動する。イジェクトボタン26は、ディスクドライブ14に接続される。イジェクトボタン26が押されると、ディスクドライブ14から光ディスク4が排出される。
【0057】
次に、図3および図4を参照して、コントローラ7について説明する。なお、図3は、コントローラ7の上面後方から見た斜視図である。図4は、コントローラ7を下面前方から見た斜視図である。
【0058】
図3および図4において、コントローラ7は、ハウジング71と、当該ハウジング71の表面に設けられた複数個の操作ボタンで構成される操作部72とを備える。本実施例のハウジング71は、その前後方向を長手方向とした略直方体形状を有しており、全体として大人や子供の片手で把持可能な大きさであり、例えばプラスチック成型によって形成されている。
【0059】
ハウジング71上面の中央前面側に、十字キー72aが設けられる。この十字キー72aは、十字型の4方向プッシュスイッチであり、4つの方向(前後左右)に対応する操作部分が十字の突出片にそれぞれ90°間隔で配置される。プレイヤが十字キー72aのいずれかの操作部分を押下することによって前後左右いずれかの方向を選択される。例えばプレイヤが十字キー72aを操作することによって、仮想ゲーム世界に登場するプレイヤキャラクタ等の移動方向を指示したり、複数の選択肢から選択指示したりすることができる。
【0060】
なお、十字キー72aは、上述したプレイヤの方向入力操作に応じて操作信号を出力する操作部であるが、他の態様の操作部でもかまわない。例えば、十字方向に4つのプッシュスイッチを配設し、プレイヤによって押下されたプッシュスイッチに応じて操作信号を出力する操作部を設けてもかまわない。さらに、上記4つのプッシュスイッチとは別に、上記十字方向が交わる位置にセンタスイッチを配設し、4つのプッシュスイッチとセンタスイッチとを複合した操作部を設けてもかまわない。また、ハウジング71上面から突出した傾倒可能なスティック(いわゆる、ジョイスティック)を倒すことによって、傾倒方向に応じて操作信号を出力する操作部を上記十字キー72aの代わりに設けてもかまわない。さらに、水平移動可能な円盤状部材をスライドさせることによって、当該スライド方向に応じた操作信号を出力する操作部を、上記十字キー72aの代わりに設けてもかまわない。また、タッチパッドを、上記十字キー72aの代わりに設けてもかまわない。
【0061】
ハウジング71上面の十字キー72aより後面側に、複数の操作ボタン72b〜72gが設けられる。操作ボタン72b〜72gは、プレイヤがボタン頭部を押下することによって、それぞれの操作ボタン72b〜72gに割り当てられた操作信号を出力する操作部である。例えば、操作ボタン72b〜72dには、1番ボタン、2番ボタン、およびAボタン等としての機能が割り当てられる。また、操作ボタン72e〜72gには、マイナスボタン、ホームボタン、およびプラスボタン等としての機能が割り当てられる。これら操作ボタン72a〜72gは、ゲーム装置本体3が実行するゲームプログラムに応じてそれぞれの操作機能が割り当てられる。なお、図3に示した配置例では、操作ボタン72b〜72dは、ハウジング71上面の中央前後方向に沿って並設されている。また、操作ボタン72e〜72gは、ハウジング71上面の左右方向に沿って操作ボタン72bおよび72dの間に並設されている。そして、操作ボタン72fは、その上面がハウジング71の上面に埋没しており、プレイヤが不意に誤って押下することのないタイプのボタンである。
【0062】
また、ハウジング71上面の十字キー72aより前面側に、操作ボタン72hが設けられる。操作ボタン72hは、遠隔からゲーム装置本体3本体の電源をオン/オフする電源スイッチである。この操作ボタン72hも、その上面がハウジング71の上面に埋没しており、プレイヤが不意に誤って押下することのないタイプのボタンである。
【0063】
また、ハウジング71上面の操作ボタン72cより後面側に、複数のLED702が設けられる。ここで、コントローラ7は、他のコントローラ7と区別するためにコントローラ種別(番号)が設けられている。例えば、LED702は、コントローラ7に現在設定されている上記コントローラ種別をプレイヤに通知するために用いられる。具体的には、コントローラ7からゲーム装置本体3へ送信データを送信する際、上記コントローラ種別に応じて複数のLED702のうち、種別に対応するLEDが点灯する。
【0064】
また、ハウジング71上面には、操作ボタン72bおよび操作ボタン72e〜72gの間に後述するスピーカ(図5のスピーカ706)からの音を外部に放出するための音抜き孔が形成されている。
【0065】
一方、ハウジング71下面には、凹部が形成されている。後述で明らかとなるが、ハウジング71下面の凹部は、プレイヤがコントローラ7の前面をマーカ8Lおよび8Rに向けて片手で把持したときに、当該プレイヤの人差し指や中指が位置するような位置に形成される。そして、上記凹部の傾斜面には、操作ボタン72iが設けられる。操作ボタン72iは、例えばBボタンとして機能する操作部である。
【0066】
また、ハウジング71前面には、撮像情報演算部74の一部を構成する撮像素子743が設けられる。ここで、撮像情報演算部74は、コントローラ7が撮像した画像データを解析してその中で輝度が高い場所を判別してその場所の重心位置やサイズなどを検出するためのシステムであり、例えば、最大200フレーム/秒程度のサンプリング周期であるため比較的高速なコントローラ7の動きでも追跡して解析することができる。この撮像情報演算部74の詳細な構成については、後述する。また、ハウジング71の後面には、コネクタ73が設けられている。コネクタ73は、例えばエッジコネクタであり、例えば接続ケーブルと嵌合して接続するために利用される。
【0067】
ここで、以下の説明を具体的にするために、コントローラ7に対して設定する座標系について定義する。図3および図4に示すように、互いに直交するxyz軸をコントローラ7に対して定義する。具体的には、コントローラ7の前後方向となるハウジング71の長手方向をz軸とし、コントローラ7の前面(撮像情報演算部74が設けられている面)方向をz軸正方向とする。また、コントローラ7の上下方向をy軸とし、ハウジング71の上面(操作ボタン72a等が設けられた面)方向をy軸正方向とする。さらに、コントローラ7の左右方向をx軸とし、ハウジング71の左側面(図3では表されずに図4で表されている側面)方向をx軸正方向とする。
【0068】
次に、図5および図6を参照して、コントローラ7の内部構造について説明する。なお、図5は、コントローラ7の上ハウジング(ハウジング71の一部)を外した状態を後面側から見た斜視図である。図6は、コントローラ7の下ハウジング(ハウジング71の一部)を外した状態を前面側から見た斜視図である。ここで、図6に示す基板700は、図5に示す基板700の裏面から見た斜視図となっている。
【0069】
図5において、ハウジング71の内部には基板700が固設されており、当該基板700の上主面上に操作ボタン72a〜72h、加速度センサ701、LED702、およびアンテナ754等が設けられる。そして、これらは、基板700等に形成された配線(図示せず)によってマイコン751等(図6、図7参照)に接続される。マイコン751は本願発明のボタンデータ発生手段の一例として、操作ボタン72a等の種類に応じた操作ボタンデータを発生させるように機能する。この仕組みは公知技術であるが、例えばキートップ下側に配置されたタクトスイッチなどのスイッチ機構による配線の接触/切断をマイコン751が検出することによって実現されている。より具体的には、操作ボタンが例えば押されると配線が接触して通電するので、この通電がどの操作ボタンにつながっている配線で発生したかをマイコン751が検出し、操作ボタンの種類に応じた信号を発生させている。
【0070】
また、コントローラ7は、図示しない無線モジュール753(図7参照)およびアンテナ754によって、ワイヤレスコントローラとして機能する。なお、ハウジング71内部には図示しない水晶振動子が設けられており、後述するマイコン751の基本クロックを生成する。また、基板700の上主面上に、スピーカ706およびアンプ708が設けられる。また、加速度センサ701は、操作ボタン72dの左側の基板700上(つまり、基板700の中央部ではなく周辺部)に設けられる。したがって、加速度センサ701は、コントローラ7の長手方向を軸とした回転に応じて、重力加速度の方向変化に加え、遠心力による成分の含まれる加速度を検出することができるので、所定の演算により、検出される加速度データからコントローラ7の回転を良好な感度でゲーム装置本体3等が判定することができる。
【0071】
一方、図6において、基板700の下主面上の前端縁に撮像情報演算部74が設けられる。撮像情報演算部74は、コントローラ7の前方から順に赤外線フィルタ741、レンズ742、撮像素子743、および画像処理回路744によって構成されており、それぞれ基板700の下主面に取り付けられる。また、基板700の下主面上の後端縁にコネクタ73が取り付けられる。さらに、基板700の下主面上にサウンドIC707およびマイコン751が設けられている。サウンドIC707は、基板700等に形成された配線によってマイコン751およびアンプ708と接続され、ゲーム装置本体3から送信されたサウンドデータに応じてアンプ708を介してスピーカ706に音声信号を出力する。
【0072】
そして、基板700の下主面上には、バイブレータ704が取り付けられる。バイブレータ704は、例えば振動モータやソレノイドである。バイブレータ704は、基板700等に形成された配線によってマイコン751と接続され、ゲーム装置本体3から送信された振動データに応じてその作動をオン/オフする。バイブレータ704が作動することによってコントローラ7に振動が発生するので、それを把持しているプレイヤの手にその振動が伝達され、いわゆる振動対応ゲームが実現できる。ここで、バイブレータ704は、ハウジング71のやや前方寄りに配置されるため、プレイヤが把持している状態において、ハウジング71が大きく振動することになり、振動を感じやすくなる。
【0073】
次に、図7を参照して、コントローラ7の内部構成について説明する。なお、図7は、コントローラ7の構成を示すブロック図である。
【0074】
図7において、コントローラ7は、上述した操作部72、撮像情報演算部74、加速度センサ701、バイブレータ704、スピーカ706、サウンドIC707、およびアンプ708の他に、その内部に通信部75を備えている。
【0075】
撮像情報演算部74は、赤外線フィルタ741、レンズ742、撮像素子743、および画像処理回路744を含んでいる。赤外線フィルタ741は、コントローラ7の前方から入射する光から赤外線のみを通過させる。レンズ742は、赤外線フィルタ741を透過した赤外線を集光して撮像素子743へ出射する。撮像素子743は、例えばCMOSセンサやあるいはCCDのような固体撮像素子であり、レンズ742が集光した赤外線を撮像する。したがって、撮像素子743は、赤外線フィルタ741を通過した赤外線だけを撮像して画像データを生成する。撮像素子743で生成された画像データは、画像処理回路744で処理される。具体的には、画像処理回路744は、撮像素子743から得られた画像データを処理して高輝度部分を検知し、それらの位置座標や面積を検出した結果を示す処理結果データを通信部75へ出力する。なお、これらの撮像情報演算部74は、コントローラ7のハウジング71に固設されており、ハウジング71自体の方向を変えることによってその撮像方向を変更することができる。後述により明らかとなるが、この撮像情報演算部74から出力される処理結果データに基づいて、コントローラ7の位置や動きに応じた信号を得ることができる。
【0076】
コントローラ7は、3軸(x、y、z軸)の加速度センサ701を備えていることが好ましい。この3軸の加速度センサ701は、3方向、すなわち、上下方向、左右方向、および前後方向で直線加速度を検知する。また、他の実施形態においては、ゲーム処理に用いる制御信号の種類によっては、上下および左右方向(または他の対になった方向)のそれぞれに沿った直線加速度のみを検知する2軸の加速度検出手段を使用してもよい。例えば、この3軸または2軸の加速度センサ701は、アナログ・デバイセズ株式会社(Analog Devices, Inc.)またはSTマイクロエレクトロニクス社(STMicroelectronics N.V.)から入手可能であるタイプのものでもよい。加速度センサ701は、シリコン微細加工されたMEMS(Micro Electro Mechanical Systems:微小電子機械システム)の技術に基づいた静電容量式(静電容量結合式)であってもよい。しかしながら、既存の加速度検出手段の技術(例えば、圧電方式や圧電抵抗方式)あるいは将来開発される他の適切な技術を用いて3軸または2軸の加速度センサ701が提供されてもよい。
【0077】
当業者には公知であるように、加速度センサ701に用いられるような加速度検出手段は、加速度センサの持つ各軸に対応する直線に沿った加速度(直線加速度)のみを検知することができる。つまり、加速度センサ701からの直接の出力は、その2軸または3軸のそれぞれに沿った直線加速度(静的または動的)を示す信号である。このため、加速度センサ701は、非直線状(例えば、円弧状)の経路に沿った動き、回転、回転運動、角変位、傾斜、位置、または姿勢等の物理特性を直接検知することはできない。
【0078】
しかしながら、加速度センサ701から出力される加速度の信号に基づいて、ゲーム装置のプロセッサ(例えばCPU10)またはコントローラのプロセッサ(例えばマイコン751)などのコンピュータが処理を行うことによって、コントローラ7に関するさらなる情報を推測または算出(判定)することができることは、当業者であれば本明細書の説明から容易に理解できるであろう。例えば、加速度センサを搭載するコントローラが静的な状態であることを前提としてコンピュータ側で処理する場合(すなわち、加速度センサによって検出される加速度が重力加速度のみであるとして処理する場合)、コントローラが現実に静的な状態であれば、検出された加速度に基づいてコントローラの姿勢が重力方向に対して傾いているか否か又はどの程度傾いているかを知ることができる。具体的には、加速度センサの検出軸が鉛直下方向を向いている状態を基準としたとき、1G(重力加速度)がかかっているか否かだけで傾いているか否かを知ることができるし、その大きさによってどの程度傾いているかも知ることができる。また、多軸の加速度センサの場合には、さらに各軸の加速度の信号に対して処理を施すことによって、各軸が重力方向に対してどの程度傾いているかをより詳細に知ることができる。この場合において、加速度センサ701からの出力に基づいて、プロセッサがコントローラ7の傾き角度のデータを算出する処理をおこなってもよいが、当該傾き角度のデータを算出する処理をおこなうことなく、加速度センサ701からの出力に基づいて、おおよその傾き具合を推定するような処理としてもよい。このように、加速度センサ701をプロセッサと組み合わせて用いることによって、コントローラ7の傾き、姿勢または位置を判定することができる。一方、加速度センサが動的な状態であることを前提とする場合には、重力加速度成分に加えて加速度センサの動きに応じた加速度を検出するので、重力加速度成分を所定の処理により除去すれば、動き方向などを知ることができる。具体的には、加速度センサ701を備えるコントローラ7がユーザの手で動的に加速されて動かされる場合に、加速度センサ701によって生成される加速度信号を処理することによって、コントローラ7のさまざまな動きおよび/または位置を算出することができる。なお、加速度センサが動的な状態であることを前提とする場合であっても、加速度センサの動きに応じた加速度を所定の処理により除去すれば、重力方向対する傾きを知ることが可能である。他の実施例では、加速度センサ701は、信号をマイコン751に出力する前に内蔵の加速度検出手段から出力される加速度信号に対して所望の処理を行うための、組込み式の信号処理装置または他の種類の専用の処理装置を備えていてもよい。例えば、組込み式または専用の処理装置は、加速度センサが静的な加速度(例えば、重力加速度)を検出するためのものである場合、検知された加速度信号をそれに相当する傾斜角(あるいは、他の好ましいパラメータ)に変換するものであってもよい。
【0079】
他の実施形態の例では、コントローラ7の動きを検出する動きセンサとして、回転素子または振動素子などを内蔵したジャイロセンサを用いてもよい。この実施形態で使用されるMEMSジャイロセンサの一例として、アナログ・デバイセズ株式会社から入手可能なものがある。加速度センサ701と異なり、ジャイロセンサは、それが内蔵する少なくとも一つのジャイロ素子の軸を中心とした回転(または角速度)を直接検知することができる。このように、ジャイロセンサと加速度センサとは基本的に異なるので、個々の用途のためにいずれの装置が選択されるかによって、これらの装置からの出力信号に対して行う処理を適宜変更する必要がある。
【0080】
具体的には、加速度センサの代わりにジャイロセンサを用いて傾きや姿勢を算出する場合には、大幅な変更を行う。すなわち、ジャイロセンサを用いる場合、検出開始の状態において傾きの値を初期化する。そして、当該ジャイロセンサから出力される角速度データを積分する。次に、初期化された傾きの値からの傾きの変化量を算出する。この場合、算出される傾きは、角度に対応する値が算出されることになる。一方、加速度センサによって傾きを算出する場合には、重力加速度のそれぞれの軸に関する成分の値を、所定の基準と比較することによって傾きを算出するので、算出される傾きはベクトルで表すことが可能であり、初期化を行わずとも、加速度検出手段を用いて検出される絶対的な方向を検出することが可能である。また、傾きとして算出される値の性質は、ジャイロセンサが用いられる場合には角度であるのに対して、加速度センサが用いられる場合にはベクトルであるという違いがある。したがって、加速度センサに代えてジャイロセンサが用いられる場合、当該傾きのデータに対して、2つのデバイスの違いを考慮した所定の変換を行う必要がある。加速度検出手段とジャイロセンサとの基本的な差異と同様にジャイロセンサの特性は当業者に公知であるので、本明細書ではさらなる詳細を省略する。ジャイロセンサは、回転を直接検知できることによる利点を有する一方、一般的には、加速度センサは、本実施形態で用いるようなコントローラに適用される場合、ジャイロセンサに比べて費用効率が良いという利点を有する。
【0081】
通信部75は、マイクロコンピュータ(Micro Computer:マイコン)751、メモリ752、無線モジュール753、およびアンテナ754を含んでいる。マイコン751は、処理の際にメモリ752を記憶領域として用いながら、送信データを無線送信する無線モジュール753を制御する。また、マイコン751は、アンテナ754を介して無線モジュール753が受信したゲーム装置本体3からのデータに応じて、サウンドIC707およびバイブレータ704の動作を制御する。サウンドIC707は、通信部75を介してゲーム装置本体3から送信されたサウンドデータ等を処理する。また、マイコン751は、通信部75を介してゲーム装置本体3から送信された振動データ(例えば、バイブレータ704をONまたはOFFする信号)等に応じて、バイブレータ704を作動させる。
【0082】
コントローラ7に設けられた操作部72からの操作信号(キーデータ)、加速度センサ701からの加速度信号(x、y、およびz軸方向加速度データ;以下、単に加速度データと記載する)、および撮像情報演算部74からの処理結果データは、マイコン751に出力される。マイコン751は、入力した各データ(キーデータ、加速度データ、処理結果データ)を無線コントローラモジュール19へ送信する送信データとして一時的にメモリ752に格納する。ここで、通信部75から無線コントローラモジュール19への無線送信は、所定の周期毎に行われるが、ゲームの処理は1/60秒を単位として行われることが一般的であるので、それよりも短い周期で送信を行うことが必要となる。具体的には、ゲームの処理単位は16.7ms(1/60秒)であり、ブルートゥース(Bluetooth;登録商標)で構成される通信部75の送信間隔は例えば5msである。マイコン751は、無線コントローラモジュール19への送信タイミングが到来すると、メモリ752に格納されている送信データを一連の操作情報として出力し、無線モジュール753へ出力する。そして、無線モジュール753は、例えばブルートゥース(登録商標)の技術に基づいて、所定周波数の搬送波を用いて操作情報で変調し、その電波信号をアンテナ754から放射する。つまり、コントローラ7に設けられた操作部72からのキーデータ、加速度センサ701からの加速度データ、および撮像情報演算部74からの処理結果データが無線モジュール753で電波信号に変調されてコントローラ7から送信される。そして、ゲーム装置本体3の無線コントローラモジュール19でその電波信号を受信し、ゲーム装置本体3で当該電波信号を復調や復号することによって、一連の操作情報(キーデータ、加速度データ、および処理結果データ)を取得する。そして、ゲーム装置本体3のCPU10は、取得した操作情報とゲームプログラムとに基づいて、ゲーム処理を行う。なお、ブルートゥース(登録商標)の技術を用いて通信部75を構成する場合、通信部75は、他のデバイスから無線送信された送信データを受信する機能も備えることができる。
【0083】
次に、上記のように構成されたゲーム装置本体3の動作について、以下説明する。図8は、本実施形態が想定するゲームの画面の一例である。図8に示すゲーム画面では、斜め上から見下ろした視点で3次元仮想ゲーム空間(以下、単に仮想空間と呼ぶ)が表示されている。そして、ゲーム画面の略中央には、プレイヤオブジェクト101が表示されている。また、プレイヤオブジェクト101の右側には、地形オブジェクト102(仮想空間内では岩山として扱われる。以下、単に岩山と呼ぶ)も表示されている。
【0084】
ここで、本実施形態のゲーム画面の描画手法として、いわゆるZバッファ法を用いている。すなわち、画面を構成する各画素(ピクセル)に色情報(RGB値)の他に奥行きに関する情報(Z値)を持たせ、画面に描画する際には同じ座標のピクセルの奥行き情報を比較して、最も手前にあるものだけを画面に書き込む手法である。より具体的には、画面の所定のピクセルに物体を描画する際に、当該物体の表面のZ値をZバッファ11gに保存しておく。次に、同じピクセルに別の物体を描画することになった場合、上記保存したZ値と今回描画する物体のZ値の大きさを比較する。もし、今回のZ値の方が大きければ、つまり奥にあれば、手前の描画済み物体に隠されて見えないので新たにピクセルへ描画処理を行わずに済ませる、という手法である。
【0085】
本ゲームは、プレイヤの操作に応じてプレイヤオブジェクト101を移動させるゲームである。そして、本ゲームにおける仮想カメラは、基本的には、プレイヤオブジェクト101が略画面中央に表示されるように、プレイヤオブジェクト101の移動に併せて仮想カメラが追従移動するように構成されている。より具体的には、本ゲームでは、当該プレイヤオブジェクト101の中点を仮想カメラの注視点として設定している。なお、仮想カメラの注視点は、予め定めていれば当該プレイヤオブジェクト101のどの点でも構わない。
【0086】
図9は、図8のようなゲーム画面における仮想カメラとプレイヤオブジェクト101の位置関係を模式的に示す図である。この状態の時は、仮想カメラ(視点)とプレイヤオブジェクト101(注視点)との間に障害物がなく、プレイヤオブジェクト101の姿は仮想カメラで捉えることができている。
【0087】
図8の状態で、プレイヤオブジェクト101を矢印103に示すように右方向に移動させる操作を行うと、図10に示すように、プレイヤオブジェクト101が岩山102のかげに隠れるような状態となる(なお、図10では、説明をわかりやすくするため、岩山102を透かしてプレイヤオブジェクト101を表示している)。図11は、図10のようなゲーム画面における仮想カメラとプレイヤオブジェクト101の位置関係を模式的に示す図である。図11に示すように、この状態では、仮想カメラとプレイヤオブジェクト101とを結ぶ直線上に岩山102が存在する状態となる。そのため、当該状態を表示した図10のようなゲーム画面では、プレイヤオブジェクト101はプレイヤに見えない(ゲーム画面上に描画されない)状態となる。そこで、本ゲームでは、このようにプレイヤオブジェクト101が障害物(図10では岩山102)に遮られて仮想カメラから見えなくなるような状態になると、仮想カメラを上方に移動する。その結果、図12に示すように、仮想カメラが岩山102の上から回り込むように移動することによって、ゲーム画面にプレイヤオブジェクト101が描画される状態となる。図13は、図12のようなゲーム画面における仮想カメラとプレイヤオブジェクト101の位置関係を模式的に示す図である。図13に示すように、プレイヤオブジェクト101が岩山102に隠れないような角度(仰角)になるよう仮想カメラを移動させている。すなわち、図13では、仮想カメラの仰角がθ1からθ2になるように仮想カメラを上方に移動させている(θ1は、図8や図10の状態における仮想カメラの仰角)。
【0088】
上記のように、本ゲームでは、プレイヤオブジェクト101が地形オブジェクト等の障害物に隠れて見えなくなるときは、プレイヤオブジェクト101が見えるように仮想カメラを移動させている。このときの仮想カメラの移動速度について、本実施形態では、以下のような処理を行っている。
【0089】
図14は、本実施形態における仮想カメラの移動速度の決定処理の原理を説明するための図である。まず、仮想カメラから見てプレイヤオブジェクト101が岩山102に隠れた状態になると、スクリーン座標系において、プレイヤオブジェクト101の中点に対応するピクセル151(障害物がないと仮定したら、当該中点が描画されるピクセル)の座標を検出する(以下、当該座標をプレイヤ2D座標と呼ぶ)。なお、本実施形態におけるスクリーン座標系では、画面の左上座標を(1,1)、右下の座標を(640,480)であるものとする。すなわち、画面の右に向かう方向がX軸の正方向となり、画面の下に向かう方向がY軸の正方向となる。
【0090】
そして、当該プレイヤ2D座標から、上方向(Y軸の負方向)に向けて1ピクセルずつ、岩山102が描画されているか否かを調査していき、岩山102が描画されなくなるピクセル152が見つかるまでのピクセル数P1をカウントする。換言すると、当該ピクセル152は、岩山102の輪郭に相当するピクセル群のうちの一つである。そのため、当該プレイヤ2D座標から真上方向に向けて、当該輪郭に相当するピクセルが見つかるまでのピクセル数P1をカウントすることになる。そして、当該ピクセル数P1の値に応じて、仮想カメラの移動速度(回りこみの速度)を設定する。具体的には、ピクセル数の値が高くなるに連れて、仮想カメラの移動速度も上がるように設定する。例えば、図15に示すように、スクリーン座標系において、プレイヤオブジェクト101が岩山102の描画されている領域の上半分内に位置するような場合(プレイヤオブジェクト101a)よりも、岩山102の描画されている領域の下半分内に位置するような場合(プレイヤオブジェクト101b)のほうが、仮想カメラの上昇速度(移動速度)が速くなる。つまり、プレイヤオブジェクト101aを基点としたピクセル数P1よりも、プレイヤオブジェクト101bを基点としたピクセル数P2のほうが多くなるため、仮想カメラの移動速度が速くなる。このような処理を行うことで、移動距離の大小にかかわらず、同じような時間で仮想カメラを目標地点まで移動させることが可能となる。
【0091】
ここで、各ピクセルについて岩山102が描画されているか否かについては、上記Zバッファ11gに格納されている、調査対象ピクセルのZ値と上記のプレイヤ2D座標におけるZ値とを比較することで行われる。本実施形態では、当該Z値は、0.0〜1.0の範囲をとり、手前側(仮想カメラ側)を0.0、奥行き側を1.0とする。そのため、プレイヤ2D座標よりもZバッファに格納されているZ値の方が小さい値であれば、仮想カメラとプレイヤオブジェクト101との間に障害物(図14の例では岩山102)が存在すると判定する。なお、当該判定処理の前提として、当該判定が行われる前に、プレイヤオブジェクト101を遮るような障害物(主に地形オブジェクト)の仮想空間への配置(つまり、地形オブジェクト等の障害物に関するZバッファ11gへの設定)は既に行われているものとする。
【0092】
つまり、本実施形態では、プレイヤ2D座標を基点として上方向に1ピクセルずつ、各ピクセルのZバッファの値を調べていく。そして、各ピクセルのZバッファのZ値がプレイヤ2D座標におけるZ値よりも大きな値になるまで(つまり、プレイヤオブジェクトを遮るものがなくなるまで)のピクセル数をカウントする。そして、当該カウントしたピクセル数に応じて仮想カメラの回り込み速度を決定して移動させるという処理を行う。
【0093】
このように、仮想カメラとプレイヤオブジェクト101との間の障害物の有無をZ値の比較によって判定し、上述したようなピクセル数のカウントの結果に基づいて仮想カメラの移動速度を決定する。そのため、仮想カメラの移動速度を決める処理について、仮想空間内におけるプレイヤオブジェクト101と岩山102との距離を3次元計算を用いて算出し、その算出結果に基づいて仮想カメラの移動速度を決定するような処理に比べて簡易な処理(単にピクセル数をカウントするだけの処理)で済ませることができ、CPU等の処理負荷を軽減することが可能となる。これにより、処理速度の遅いCPU等を用いたゲーム装置であっても、プレイヤにとって見やすく、かつ、操作しやすくなる3次元ゲームを提供することができる。
【0094】
次に、ゲーム装置本体3によって実行されるゲーム処理の詳細を説明する。まず、ゲーム処理の際に外部メインメモリ12に記憶されるデータについて説明する。図16は、図2に示した外部メインメモリ12(ただし、内部メインメモリ11eでもよいし、両方を使用するようにしてもよい)のメモリマップを示す図である。図16において、外部メインメモリ12は、プログラム記憶領域120、データ記憶領域126、作業領域130を含む。プログラム記憶領域120およびデータ記憶領域126のデータは、ディスク4に予め記憶されたものが、ゲーム処理に際して外部メインメモリ12にコピーされたものである。
【0095】
プログラム記憶領域120は、CPU10によって実行されるゲームプログラムを記憶し、このゲームプログラムは、メイン処理プログラム121と、目標角度算出プログラム122と、回り込み速度算出プログラム123と、戻し速度算出プログラム124と、目標角度設定プログラム125などによって構成される。
【0096】
メイン処理プログラム121は、後述する図17のフローチャートの処理に対応するプログラムである。目標角度算出プログラム122、回り込み速度算出プログラム123、戻し速度算出プログラム124、および目標角度設定プログラム125は、上述したような仮想カメラの回り込みの動作を制御する処理をCPU10に実行させるためのプログラムである。
【0097】
データ記憶領域126には、オブジェクトデータ127、障害物データ128、その他画像データ129などのデータが記憶される。
【0098】
オブジェクトデータ127は、プレイヤオブジェクト101や敵オブジェクト等のノンプレイヤオブジェクトのデータである。各オブジェクトのモデリングデータや、テクスチャデータ(RGB値)等が含まれる。
【0099】
障害物データ128は、上述したような岩山102等の地形オブジェクトのデータである。仮想カメラから見たプレイヤオブジェクト101の姿がこれらのオブジェクトによって遮られるようなときに、上述したような仮想カメラの回り込み処理が発生することになる。
【0100】
その他画像データ129は、ゲーム中に用いられる各種エフェクト(煙や光等)や背景画像のデータである。
【0101】
作業領域130には、ゲーム処理中に用いられる以下のような各種変数やフラグ等のデータが記憶される。
【0102】
カメラ加速度131は、仮想カメラの移動速度を決定する際に用いられるパラメータである。
【0103】
カメラ目標角度132は、仮想カメラの仰角を示すデータであり、仮想カメラの移動先を示すデータとなる。すなわち、カメラ目標角度132で示されている仰角となるように仮想カメラを移動する制御処理が行われる。
【0104】
プレイヤ2D座標133は、スクリーン座標系におけるプレイヤオブジェクト101の中点が描画される位置を示すデータである。
【0105】
プレイヤ3D距離134は、仮想空間における、仮想カメラからプレイヤオブジェクト101の中点までの奥行き方向の距離を示すデータである。
【0106】
最前物3D距離135は、Zバッファ11gから取得されるZ値に基づいて算出されるデータである。具体的には、所定のピクセルに描画されるオブジェクトのZ値を仮想空間内の奥行き方向の距離(Z座標)に変換したものである。つまり、所定のピクセルに描画されているオブジェクトが、仮想空間内においては仮想カメラからどの程度の距離に位置しているかを示すデータである。
【0107】
移動速度136は、上述したような、仮想カメラの回り込みを実行する際の仮想カメラの移動速度を示すデータである。
【0108】
仮想カメラの位置座標137は、仮想カメラの位置を示す3次元ゲーム空間内における座標である。
【0109】
中点座標138は、3次元ゲーム空間内におけるプレイヤオブジェクトの中点の位置を示す座標である。
【0110】
次に、図17〜図23を参照して、本実施形態で実行されるゲーム処理の詳細について説明する。ゲーム装置本体3の電源が投入されると、ゲーム装置本体3のCPU10は、ROM/RTC13に記憶されている起動プログラムを実行し、これによってメインメモリ33等の各ユニットが初期化される。そして、光ディスク4に記憶されたゲームプログラムが外部メインメモリ12に読み込まれ、CPU10によって当該ゲームプログラムの実行が開始される。図17に示すフローチャートは、以上の処理が完了した後に行われるゲーム処理を示すフローチャートである。
【0111】
まず、ステップS1において、以降の処理において用いられるデータの初期化処理が実行される。具体的には、ゲーム開始時における仮想カメラの初期位置および各種オブジェクトの初期配置を示すデータが外部メインメモリ12に記憶される。また、予め定められている初期角度がカメラ目標角度132として設定され、外部メインメモリ12に記憶される。その他、以降の処理で用いられる作業領域130の各種変数やフラグも初期化される。
【0112】
続いて、3次元仮想ゲーム空間が構築されてテレビ2に表示される。すなわち、CPU10は、3次元のゲーム空間を構築し、各種オブジェクトの初期配置を示すデータに従って各オブジェクトを配置する。以上のように構築されたゲーム空間を上記仮想カメラで撮影したゲーム画像が生成され、生成されたゲーム画像がテレビ2に表示される。以降、ステップS2〜S9の処理ループが1フレーム(本実施形態では1/60秒)毎に繰り返されることによって、ゲームが進行していく。
【0113】
次に、ステップS2において、各種オブジェクトの移動処理が実行される。すなわち、CPU10は、プレイヤオブジェクト101以外のオブジェクト(敵オブジェクト等の、ノンプレイヤオブジェクト)を仮想空間内において適宜移動する。次に、プレイヤが行った操作内容を示す操作データをコントローラ7から取得する。そして、CPU10は、仮想空間内において、プレイヤオブジェクト101を当該操作データの内容に従って移動する。
【0114】
次に、ステップS3において、CPU10は、仮想カメラの仰角がカメラ目標角度132となるような位置に向けて仮想カメラを移動させる。最初のフレームでは、CPU10は、仰角が上記初期処理で設定された初期角度となるように仮想カメラを移動させ、それ以降の処理では、仰角が後述の目標角度算出処理で算出されたカメラ目標角度132になるように仮想カメラを移動させることになる。
【0115】
次に、ステップS4において、地形オブジェクト等の障害物とみなすオブジェクト(仮想カメラから見てプレイヤオブジェクト101を遮るような状態となったときに、上述のような仮想カメラの回り込みの処理が発生するオブジェクト)の描画データが生成される。すなわち、CPU10は、上記カメラ目標角度132へ移動した仮想カメラから見た地形オブジェクト等の描画データを生成する。より具体的には、当該地形オブジェクトについて、射影変換およびスクリーン座標系への変換を行う。これにより、スクリーン上における地形オブジェクトの描画位置(ピクセルの座標)が定まるため、当該描画位置に対応するフレームバッファ11f内のメモリアドレスに当該地形オブジェクトのRGB値を書き込む。このときに、地形オブジェクトのZ値(上記変換処理の際に求められているものとする)に基づいて、Zバッファ11gの更新も行う。ここでは、一例として、図10に示した岩山102のZ値は”0.3”となるものとして説明を続ける。
【0116】
次に、ステップS5において、目標角度の算出処理が実行される。本処理の詳細は後述するが、仮想カメラとプレイヤオブジェクト101との間の障害物の判定やカメラ目標角度132の設定処理が行われる。
【0117】
次に、ステップS6において、各オブジェクトの描画データが作成される。具体的には、CPU10は、各オブジェクトの描画データを生成し、フレームバッファ11fに格納する処理を行う(当然、障害物に遮られた状態のプレイヤオブジェクト101については、ここではフレームバッファに格納されないことになる)。
【0118】
次に、ステップS7において、背景画像や画面エフェクト等の、非障害物の描画データが作成される。すなわち、CPU10は、必要に応じて非障害物の描画データを作成し、フレームバッファ11fに格納する。
【0119】
続くステップS8において、テレビ2への描画処理が実行される。つまり、フレームバッファ11fに格納されているデータ(すなわち、仮想カメラで仮想空間を撮影した画像)が読み出されてゲーム画像としてテレビ2に表示される。ステップS8の後、ステップS9において、ゲーム終了か否かが判断され、YESの場合、ゲーム処理を終了し、NOの場合、ステップS2に戻って、ゲーム処理を繰り返す。
【0120】
次に、上記ステップS5の目標角度算出処理について説明する。まず、図18および図19を用いて、目標角度算出処理の処理概要を説明する。図18は、仮想カメラとプレイヤオブジェクト101との間に岩山102が存在する場合を例とした図である。つまり、上記図11で示したような、プレイヤオブジェクト101が岩山102に隠れて見えない状態を例としている。
【0121】
図18において、本処理では、まず、仮想カメラからプレイヤオブジェクト101の中点までの仮想空間内での距離L1が算出される。次に、上記プレイヤ2D座標133、すなわち、2次元画像(スクリーン座標系)における上記プレイヤオブジェクト101の中点の位置に対応するピクセルの座標が算出される。つまり、図19に示すように、仮想カメラとプレイヤオブジェクト101との間に障害物がなければ描画されるであろうプレイヤオブジェクト101の中点の座標191がプレイヤ2D座標133として算出される。なお、図19においては、画面の左上座標を(1,1)、右下の座標を(640,480)としている。
【0122】
次に、当該プレイヤ2D座標133におけるZ値がZバッファ11gから取得される。本処理が行われる前に、上記のように、地形オブジェクトについての描画データの作成とフレームバッファへの格納、およびZバッファの更新は終わっている(上述のステップS4)。そのため、この処理によって、当該座標において最も手前にある物体のZ値が取得されることになる。本例では、岩山102のZ値である”0.3”が取得される。
【0123】
次に、当該取得したZ値に対応する仮想空間内の奥行き方向の距離(図18の距離L2)が算出される。これは例えば、射影行列を用いることで算出可能である。
【0124】
次に、距離L1と距離L2との差分が算出され、当該差分が所定値以内(つまり、距離L1と距離L2とがほぼ等しい状態)であれば、仮想カメラとプレイヤオブジェクト101との間に障害物はないと判定する。一方、差分が所定値以上であれば、障害物がある(図18のような状態)と判定して、後述する回り込み加速度算出処理を行う。
【0125】
図20は、上記ステップS5で示した目標角度算出処理の詳細を示すフローチャートである。図20において、まず、ステップS21において、CPU10は、ゲーム空間内における仮想カメラの位置座標137からプレイヤオブジェクト101の中点座標138までの距離(図18の距離L1)を算出する。以下、この距離のことをプレイヤ3D距離と呼ぶ。
【0126】
次に、ステップS22において、CPU10は、ゲーム空間内のプレイヤオブジェクトの位置座標を、射影行列を用いて変換することにより、上記プレイヤ2D座標133(図19の座標191)を算出する。
【0127】
次に、ステップS23において、CPU10は、プレイヤ2D座標133におけるZ値をZバッファ11gから取得する。
【0128】
次に、ステップS24において、CPU10は、取得したZ値から仮想空間内の奥行き方向の距離(図18の距離L2)を算出する。つまり、0.0〜1.0の範囲で示されるZバッファ内のZ値を仮想空間内における3次元の奥行き方向の距離に変換する処理を行う。当該変換は、例えば射影行列を用いて実行される。そして、当該算出された距離を最前物3D距離135として作業領域130に記憶する。
【0129】
次に、ステップS25において、CPU10は、プレイヤ3D距離134と最前物3D距離135の差分を算出する。続くステップS26において、CPU10は、当該差分が所定値以内であるか否かを判定する。その結果、所定値以内でないときは(つまり、障害物がある場合)、ステップS27において、後述の回り込み加速度算出処理が実行される。一方、所定値以内であれば(つまり、障害物がない場合)、ステップS29において、後述する戻り加速度処理が実行される。
【0130】
その後、ステップS28において、後述する目標角度設定処理が実行され、カメラ目標角度132が算出、設定される。以上で、目標角度算出処理は終了する。
【0131】
次に、上記ステップS27で示した回り込み加速度算出処理について説明する。この処理では、上述したようなピクセル数のカウントを行う。そして、その結果に基づいて、仮想カメラを回り込ませる(上昇させる)ときの移動速度を決めるためのカメラ加速度131を算出する。ここで、本実施形態で仮想カメラの回り込み時の速度算出に加速度を用いているのは、他の画像処理、例えば、プレイヤオブジェクト101がダメージを受けた際に画面全体をぶれさせるような画面エフェクト処理を行う場合に加速度での制御が必要となるためである。つまり、他の画像処理との兼ね合いから、処理の汎用性を重視して加速度を用いた処理を行っている。そのため、仮想カメラの移動速度の算出に際して必ずしも加速度を用いる必要はなく、後述するように、直接、移動速度を算出するようにしてもよい。
【0132】
図21は、当該回り込み加速度算出処理の詳細を示すフローチャートである。図21において、まず、ステップS41において、CPU10は、プレイヤ2D座標の1ピクセル上のピクセルをチェック対象ピクセルとして設定する。続くステップS42において、CPU10は、ピクセル数に1を設定する。
【0133】
次に、ステップS43において、CPU10は、チェック対象ピクセルのZ値をZバッファ11gから取得する。
【0134】
次に、ステップS44において、CPU10は、ステップS43で取得したチェック対象ピクセルのZ値に対応する仮想空間内の奥行き方向の距離、つまり、最前物3D距離135を算出する。この処理は、上記ステップS24と同様である。
【0135】
次に、ステップS45において、プレイヤ3D距離134が最前物3D距離135より大きいか否かを判定する。ステップS45の判定の結果、プレイヤ3D距離134が最前物3D距離135より小さいとき(ステップS45でNO;なお、この時点のチェック対象ピクセルの一つ下のピクセルが岩山102の輪郭画素に該当することになる)は、ステップS50において、CPU10は、次の式を用いてカメラ加速度131を算出する。
カメラ加速度131 = ピクセル数 / 30
その後、CPU10は、回り込み加速度算出処理を終了する。
【0136】
一方、ステップS45の判定の結果、プレイヤ3D距離が最前物3D距離よりも大きいとき(ステップS45でYES:つまり、障害物が途中にあるとき)は、ステップS46において、CPU10は、チェック対象ピクセルのY座標が表示領域(スクリーン)の上端座標と一致するか否かを判定する。つまり、画面の上端までチェックし終わったか否かが判定されることになる。当該判定の結果、スクリーンの上端座標と一致したとき(ステップS46でYES:つまり、上端までチェックしたとき)は、CPU10は、”0”をカメラ加速度131に設定し、回り込み加速度算出処理を終了する。
【0137】
一方、ステップS46の判定の結果、上端座標と一致していなければ(ステップS46でNO:つまり、上端までチェックが終わっていない)、ステップS47において、CPU10は、チェック対象ピクセルを1ピクセル上のピクセルに設定する。例えば、上記のようにスクリーン座標の左上の座標を(1,1)、右下の座標を(640,480)とした場合は、CPU10は、チェック対象ピクセルのY座標から1を減算する。
【0138】
次に、ステップS48において、CPU10は、ピクセル数に1を加算し、ステップS43に戻って処理を繰り返す。つまり、障害物のないピクセルが見つかるか、スクリーンの上端までチェックが済むまで、処理が繰り返される。以上で、回り込み加速度算出処理の説明を終了する。
【0139】
次に、目標角度設定処理について説明する。この処理では、上述のようにして算出された加速度に基づいて仮想カメラの移動速度、および、カメラ目標角度132を決定する処理が行われる。図22は、上記ステップS28で示した目標角度設定処理の詳細を示すフローチャートである。まず、ステップS61において、CPU10は、以下の式を用いて、回り込みを行う際の仮想カメラの移動速度136を算出する。
移動速度136 = 移動速度136 × 0.9 + カメラ加速度131 × 単位時間dt
ここで、単位時間dtは定数であり、本実施形態では、1フレーム分の処理時間に相当する”1/60”が設定される。また、上式の”0.9”は、仮想カメラの動きを自然に見せるため(プレイヤに違和感を感じさせないようにするため)に、移動速度を減衰させるための係数である。
【0140】
次に、ステップS62において、CPU10は、以下の式でカメラ目標角度132を算出する。
カメラ目標角度132 = カメラ目標角度132 +移動速度136 × 単位時間dt
これにより、次のフレームにおける処理ループでの仮想カメラの目標角度(つまり、移動させるべき位置)が決定される。以上で、目標角度設定処理は終了する。
【0141】
次に、上記ステップS29で示した戻り加速度算出処理について説明する。当該処理は、上述のような仮想カメラの回り込みの結果、上がりすぎた仮想カメラの位置を少し下げるために行われる処理である。本実施形態では、上記のように、加速度を用いて仮想カメラの速度を設定しているため、回り込み時の仮想カメラの動きは若干の慣性がついた動きとなる。その結果、仮想カメラは、プレイヤオブジェクト101が見えるような角度まで上がっても、すぐには止まらずに更に少し上がりすぎた位置まで進む。そのため、上がりすぎた仮想カメラの位置を少し戻すという処理を行うものである。これは、プレイヤにとって少しでも見やすい画面を提供するためである。
【0142】
図23は、上記ステップS29で示した戻り加速度算出処理の詳細を示すフローチャートである。図23において、まず、ステップS81において、CPU10は、プレイヤ2D座標133の1ピクセル下のピクセルをチェック対象ピクセルに設定する。続くステップS82において、CPU10は、ピクセル数に1を設定する。
【0143】
次に、ステップS83において、CPU10は、チェック対象ピクセルのZ値をZバッファ11gから取得する。続く、ステップS84において、CPU10は、射影行列を用いて、当該Z値から上記最前物3D距離135の算出を行う。
【0144】
次に、ステップS85において、CPU10は、プレイヤ3D距離134と最前物3D距離135との差分を算出する。続くステップS86において、CPU10は、当該算出した差分が所定値以内であるか否かを判定する。当該判定の結果、所定値以内ではないときは(ステップS86でNO)、ステップS90において、CPU10は、プレイヤ2D座標と現在のチェック対象ピクセルとの距離が45ピクセル以上であるか否かを判定する。ステップS90の判定の結果、当該距離が45ピクセル以上のときは(ステップS90でYES)、ステップS91において、CPU10は、次式でカメラ加速度131を算出する。
カメラ加速度131 = −(ピクセル数/40)
【0145】
一方、ステップS90の判定の結果、45ピクセル以上でないときは(ステップS90でNO)、CPU10は、”0”をカメラ加速度131に設定し、戻り加速度算出処理を終了する。
【0146】
一方、上記ステップS86の判定の結果、上記算出した差分が所定値以内であるときは(ステップS86でYES)、ステップS87において、CPU10は、チェック対象ピクセルのY座標が表示領域(スクリーン)の下端座標と一致するか否かを判定する。つまり、画面の下端までチェックし終わったか否かが判定されることになる。当該判定の結果、スクリーンの下端座標と一致したとき(ステップS87でYES:上端までチェックしたとき)は、CPU10は、”0”をカメラ加速度131に設定し、戻り加速度算出処理を終了する。
【0147】
一方、ステップS87の判定の結果、下端座標と一致していなければ(ステップS87でNO)、ステップS88において、CPU10は、チェック対象ピクセルを1ピクセル下のピクセルに設定する。例えば、スクリーン座標の左上座標を(0,0)、右下の座標を(640,480)とした場合は、チェック対象ピクセルのY座標に1を加算する。
【0148】
次に、ステップS89において、CPU10は、ピクセル数に1を加算し、ステップS83に戻って処理を繰り返す。以上で、戻り加速度算出処理の説明を終了する。
【0149】
このように、本実施形態では、スクリーン座標系において、障害物がなければ描画されるであろうプレイヤオブジェクト101のピクセルの位置を基点として、当該プレイヤオブジェクト101を遮っている障害物が描画されなくなるまでの直線距離でのピクセル数をカウントしている。そして、当該カウントしたピクセル数に基づいて、仮想カメラの回り込み速度を設定している。つまり、2次元的な画像処理によって仮想カメラの回り込み速度の算出を行っている。これにより、複雑な3次元計算を用いて仮想カメラの回り込み速度を算出する場合に比べて処理負荷を軽減することができる。そのため、処理能力の低いCPU等のプロセッサを搭載したゲーム装置であっても、プレイヤにとって見やすく、操作しやすい3次元ゲームを提供することが可能となる。
【0150】
なお、上述の実施形態では、上記のようにカウントされたピクセル数に基づいて一旦カメラ加速度131を決定し、当該カメラ加速度131を用いて仮想カメラの移動速度136を決定していた。これに限らず、上記ピクセル数を直接、仮想カメラの移動速度136に反映させるようにしても良い。この場合は、図21を用いて上述したステップS50の処理において、カメラ加速度131を算出する代わりに、以下の式を用いて移動速度136を算出すればよい。
移動速度136 = ピクセル数 / 30
また、ステップS49の処理においても、カメラ加速度131を”0”に設定する代わりに、移動速度136を”0”に設定すればよい。更に、図22を用いて説明した目標角度設定処理におけるステップS61の処理が不要となる。また、ステップS61の処理が不要となる結果、仮想カメラの動きが慣性がつかなくなるような動きとなる。そのため、図20のステップS29で実行される戻り加速度算出処理も不要となる。
【0151】
(変形例)
また、上述した実施形態では、障害物の有無の判定(上記ステップS21〜S26の処理)において、Z値から最前物3D距離を算出を算出していたが(ステップS24)、当該最前物3D距離の算出処理を省いてもよい。つまり、単純に、プレイヤオブジェクト101のZ値と、プレイヤ2D座標におけるZバッファ11gの値の大小を比較して、障害物の有無の判定を行うようにしてもよい。
【0152】
図24は、Z値の大小を比較して障害物の有無の判定を行う場合の目標角度算出処理のフローチャートである。図24において、まず、ステップS121において、CPU10は、射影変換を行うことで上記プレイヤ2D座標およびプレイヤオブジェクト101のZ値を算出する。
【0153】
次に、ステップS122において、CPU10は、上記プレイヤ2D座標におけるZ値をZバッファ11gから取得する。続くステップS123において、CPU10は、上記ステップS121で算出した上記プレイヤオブジェクト101のZ値と、ステップS122でZバッファ11gから取得したZ値との差分を算出する。続くステップS124で、CPU10は、当該差分が所定値以内か否かを判定する。その結果、所定値以内であれば、ステップS125の回り込み加速度算出処理が実行され、所定値以下であれば、ステップS126の戻り加速度算出処理が実行される。
【0154】
なお、当該ステップS124の判定で用いられる所定値に関しては、プレイヤオブジェクト101のZ値に応じて適宜変化させることが好ましい。一般に、仮想空間内の奥行き距離が深くなるほど、射影変換で得られるZ値の精度は落ちる。例えば、仮想空間内における奥行き方向の座標(Z座標)が1500〜2000の範囲であれば、Z値を0.0〜0.5の精度で取得することができるが、Z座標が2500〜3000の範囲では、Z値を0.8〜1.0の精度でしか取得できない。そのため、障害物の有無の判定精度を高めるためには、例えば、プレイヤオブジェクト101のZ値が大きくなるに伴って、当該判定で用いる所定値を大きい値に設定するような処理を加えることが好ましい。
【0155】
次に、ステップS127において目標角度設定処理が実行される。当該目標角度設定処理は、上記ステップS28における処理と同様であるため、説明は省略する。
【0156】
図25は、上記ステップS125で示した回り込み加速度算出処理の詳細を示すフローチャートである。なお、このフローチャートのうちステップS41〜S43、および、ステップS46〜S50は、図21に示したフローチャートと同一であり、両フローチャートにおいて同一のステップには同一の符号が付されている。以下では、本実施形態におけるステップS43以降の処理を中心に説明する。
【0157】
図25において、ステップS43でチェック対象ピクセルのZ値がZバッファ11gから取得されると、続くステップS131において、CPU10は、上記ステップS121で算出されたプレイヤオブジェクト101のZ値が当該チェック対象ピクセルのZ値より大きいか否かを判定する。その結果、大きいとき(つまり、プレイヤオブジェクト101の手前に障害物があるとき:ステップS131でYES)は、上記ステップS46の処理へと進む。一方、大きくないとき(つまり、プレイヤオブジェクト101を遮る障害物がないとき:ステップS131でNO)は、上記ステップS50の処理へと進む。ステップS46以降の処理の説明は既に上述したため、省略する。
【0158】
図26は、上記ステップS126で示した戻り加速度算出処理の詳細を示すフローチャートである。このフローチャートのうちステップS81〜S83、および、ステップS86以降の処理は、図23に示したフローチャートと同一であり、両フローチャートにおいて同一のステップには同一の符号が付されている。以下では、本実施形態におけるステップS83以降の処理を中心に説明する。
【0159】
図26において、ステップS83でチェック対象ピクセルのZ値がZバッファ11gから取得されると、続くステップS141において、CPU10は、上記ステップS121で算出されたプレイヤオブジェクト101のZ値と当該チェック対象ピクセルのZ値との差分を算出する。続くステップS86において、CPU10は、当該差分が所定値以内であるか否かを判定する。その結果、所定値以内であるときは(ステップS86でYES)、上記ステップS87の処理へと進む。一方、所定値以内ではないとき(ステップS86でNO)は、上記ステップS90の処理へと進む。ステップS87以降の処理は上述した処理と同様であるため、説明は省略する。
【0160】
上記のように、Z値の大小を比較して障害物の存在の判定を行う場合は、3次元計算にかかる処理(例えば、図20のステップS24やS25等)が不要になるため、より処理負荷を軽くすることができる点で有利である。一方、上述したように、一般に、仮想空間内の奥行き距離が深くなるほど、射影変換で得られるZ値の精度は落ちる。そのため、図20を用いて説明したような処理を行う場合は、プレイヤオブジェクト101と障害物の前後関係について、より正確で精度の高い判定ができる点で有利である。つまり、3次元計算を併用して仮想空間内の距離に基づいて判定することで、プレイヤオブジェクト101と岩山102等の障害物との前後関係をより正確に検出することができる点で有利となる。
【産業上の利用可能性】
【0161】
本発明にかかるゲームプログラムおよびゲーム装置は、仮想カメラの移動速度を決定するための処理負荷を軽減することができ、据置型ゲーム装置、携帯型ゲーム装置、パーソナルコンピュータで実行されるゲーム処理等の用途に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】本発明の一実施形態に係るゲームシステム1を説明するための外観図
【図2】図1のゲーム装置本体3の機能ブロック図
【図3】図1のコントローラ7の上面後方から見た斜視図
【図4】図3のコントローラ7を下面前方から見た斜視図
【図5】図3のコントローラ7の上ハウジングを外した状態を示す斜視図
【図6】図3のコントローラ7の下ハウジングを外した状態を示す斜視図
【図7】図3のコントローラ7の構成を示すブロック図
【図8】本実施形態で想定するゲームの画面の一例
【図9】図8のゲーム画面における仮想カメラとプレイヤオブジェクト101の位置関係を模式的に示す図
【図10】本実施形態で想定するゲームの画面の一例
【図11】図10のゲーム画面における仮想カメラとプレイヤオブジェクト101の位置関係を模式的に示す図
【図12】本実施形態で想定するゲームの画面の一例
【図13】図12のゲーム画面における仮想カメラとプレイヤオブジェクト101の位置関係を模式的に示す図
【図14】本実施形態における仮想カメラの移動速度の決定処理の原理を説明するための図
【図15】本実施形態における仮想カメラの移動速度の決定処理の原理を説明するための図
【図16】図2に示した外部メインメモリ12のメモリマップを示す図
【図17】本発明の実施形態に係るゲーム処理を示すフローチャート
【図18】目標角度算出処理の処理概要を説明するための図
【図19】目標角度算出処理の処理概要を説明するための図
【図20】図17のステップS5で示した目標角度算出処理の詳細を示したフローチャート
【図21】図20のステップS27で示した回り込み加速度算出処理の詳細を示すフローチャート
【図22】図20のステップS28で示した目標角度設定処理の詳細を示すフローチャート
【図23】図20のステップS29で示した戻り加速度算出処理の詳細を示すフローチャート
【図24】Z値の大小を比較して障害物の有無の判定を行う場合の目標角度算出処理のフローチャート
【図25】図24のステップS125で示した回り込み加速度算出処理の詳細を示すフローチャート
【図26】図24のステップS126で示した戻り加速度算出処理の詳細を示すフローチャート
【符号の説明】
【0163】
1…ゲームシステム
2…モニタ
2a…スピーカ
3…ゲーム装置本体
4…光ディスク
7…コントローラ
10…CPU
11…システムLSI
11a…入出力プロセッサ
11b…GPU
11c…DSP
11d…VRAM
11e…内部メインメモリ
11f…フレームバッファ
11g…Zバッファ
12…外部メインメモリ
13…ROM/RTC
14…ディスクドライブ
15…AV−IC
16…AVコネクタ
17…フラッシュメモリ
18…無線通信モジュール
19…無線コントローラモジュール
20…拡張コネクタ
21…外部メモリカード用コネクタ
22…アンテナ
23…アンテナ
24…電源ボタン
25…リセットボタン
26…イジェクトボタン
71…ハウジング
72…操作部
73…コネクタ
74…撮像情報演算部
741…赤外線フィルタ
742…レンズ
743…撮像素子
744…画像処理回路
75…通信部
751…マイコン
752…メモリ
753…無線モジュール
754…アンテナ
700…基板
701…加速度センサ
702…LED
703…水晶振動子
704…バイブレータ
707…サウンドIC
708…アンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想カメラで撮影した3次元ゲーム空間の様子を示す2次元ゲーム画像を生成して表示装置に表示するゲーム装置のコンピュータに実行させるゲームプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記3次元ゲーム空間内における前記仮想カメラの注視点に対応する前記2次元ゲーム画像上の画素である注視点画素から当該2次元ゲーム画像上における所定の画素である目標画素までの直線距離における画素数を算出する画素数算出手段と、
前記画素数算出手段が算出した画素数に基づいて前記仮想カメラの移動速度を設定する移動速度設定手段と、
前記3次元ゲーム空間内において、前記移動速度設定手段が設定した移動速度に従って前記仮想カメラを所定の位置まで移動させるカメラ移動制御手段として機能させる、ゲームプログラム。
【請求項2】
前記ゲームプログラムは、前記コンピュータを、
前記2次元ゲーム画像に表示されるオブジェクトの前記3次元ゲーム空間内における奥行き方向の距離を示す奥行き値を当該2次元ゲーム画像の画素毎に対応づけて所定の記憶部に記憶させる奥行き値記憶手段と、
前記3次元ゲーム空間内における前記仮想カメラの注視点に対応する奥行き値を算出する注視点奥行値算出手段と、
前記注視点奥行値算出手段が算出した奥行き値と前記2次元ゲーム画像に対応する奥行き値とを比較し、当該比較した結果に基づいて前記目標画素の位置を検出する目標画素検出手段として更に機能させる、請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項3】
前記ゲームプログラムは、前記コンピュータを、
前記3次元ゲーム空間内において、前記仮想カメラの視点と当該仮想カメラの注視点とを結ぶ直線上に障害物が存在するか否かを判定する障害物存在判定手段として更に機能させ、
前記障害物存在判定手段が前記障害物が存在すると判定したときに、前記画素数算出手段は、前記注視点画素から前記目標画素までの直線距離における画素数を算出する、請求項2に記載のゲームプログラム。
【請求項4】
前記カメラ移動制御手段は、前記3次元ゲーム空間内において、前記仮想カメラの視点と前記注視点とを結ぶ直線上に障害物が存在しなくなる位置に当該仮想カメラを移動させる、請求項3に記載のゲームプログラム。
【請求項5】
前記画素数算出手段は、前記2次元ゲーム画像において、前記注視点画素から真上方向へ延びる直線上の前記目標画素までの画素数を算出し、
前記カメラ移動制御手段は、前記仮想カメラの視点と注視点とを結ぶ直線上に障害物が存在しなくなる位置まで当該仮想カメラを上方向に移動させる、請求項4に記載のゲームプログラム。
【請求項6】
前記注視点は、プレイヤの操作対象となるプレイヤオブジェクトに含まれる所定の点である、請求項3に記載のゲームプログラム。
【請求項7】
前記ゲームプログラムは、前記コンピュータを、
前記2次元ゲーム画像の座標系における前記プレイヤオブジェクトの表示位置を射影変換によって算出する射影位置算出手段と、
前記射影位置の画素において、前記注視点奥行値算出手段で算出された奥行き値と当該射影位置の画素に対応する奥行き値との差分を算出する奥行き値差分算出手段として更に機能させ、
前記障害物判定手段は、前記奥行き値差分算出手段で算出した差分が所定値以上のときに前記障害物が存在すると判定する、請求項6に記載のゲームプログラム。
【請求項8】
前記ゲームプログラムは、前記コンピュータを、前記3次元ゲーム空間における前記仮想カメラの視点から前記プレイヤオブジェクトに含まれる所定の点までの距離と前記仮想カメラの視点から前記プレイヤオブジェクトに含まれる所定の点の方向の前記障害物までの距離との差分を算出する距離差分算出手段として更に機能させ、
前記障害物判定手段は、前記距離差分算出手段で算出した差分が所定値以上のときに前記障害物が存在すると判定する、請求項6に記載のゲームプログラム。
【請求項9】
前記目標画素検出手段は、前記注視点奥行値算出手段が算出した奥行き値より前記2次元ゲーム画像に対応する奥行き値の方が奥にある画素の位置を検出する、請求項2に記載のゲームプログラム。
【請求項10】
前記移動速度設定手段は、前記画素数算出手段が算出した画素数が大きくなるに連れて、前記移動速度を速い速度に設定する、請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項11】
前記移動速度設定手段は、前記画素数算出手段が算出した画素数に基づいて前記仮想カメラの移動加速度を算出する加速度算出手段を含み、
前記加速度に基づいて前記移動速度を算出して設定する、請求項10に記載のゲームプログラム。
【請求項12】
前記ゲームプログラムは、前記コンピュータを、
前記カメラ移動制御手段が前記加速度に基づく移動速度に従って前記仮想カメラを移動し、当該仮想カメラが停止した後、前記注視点画素から前記2次元ゲーム画像上における所定の画素である戻し画素までの直線距離における画素数を算出する戻し画素数算出手段と、
前記戻し画素数算出手段が算出した画素数が所定値以上であるときは、前記カメラ移動制御手段が移動させた仮想カメラの移動方向とは逆の方向に向けて、所定の移動速度で当該仮想カメラを移動させるカメラ戻し制御手段として更に機能させる、請求項11に記載のゲームプログラム。
【請求項13】
前記カメラ戻し制御手段は、前記戻し画素数算出手段が算出した画素数が大きいほど、前記仮想カメラを速い移動速度で移動させる、請求項12に記載のゲームプログラム。
【請求項14】
前記カメラ戻し制御手段は、前記戻し画素数算出手段が算出した画素数に基づいた前記仮想カメラの移動加速度を算出する戻し加速度算出手段を含み、
前記加速度に基づいた前記移動速度で移動させる、請求項13に記載のゲームプログラム。
【請求項15】
仮想カメラで撮影した3次元ゲーム空間の様子を示す2次元ゲーム画像を生成して表示装置に表示するゲーム装置であって、
前記3次元ゲーム空間内における前記仮想カメラの注視点に対応する前記2次元ゲーム画像上の画素である注視点画素から当該2次元ゲーム画像上における所定の画素である目標画素までの直線距離における画素数を算出する画素数算出手段と、
前記画素数算出手段が算出した画素数に基づいて前記仮想カメラの移動速度を設定する移動速度設定手段と、
前記3次元ゲーム空間内において、前記移動速度設定手段が設定した移動速度に従って前記仮想カメラを所定の位置まで移動させるカメラ移動制御手段とを備える、ゲーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2009−148466(P2009−148466A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−330101(P2007−330101)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000233778)任天堂株式会社 (1,115)
【Fターム(参考)】