説明

ゲームプログラム

【課題】プレイヤがゲームプレイ中に見ている画面領域とは異なる画面領域に重要な説明などを表示する際に、そのことをプレイヤに自然に気付かせることのできる表示手法を提供すること。
【解決手段】プレイヤキャラクタ40の操作方法が第1のLCD11に表示されるときに、第2のLCD12に表示されている敵キャラクタ41の動きが一時的に停止し、プレイヤキャラクタ40が波線の矢印で示すように、第2のLCD12の表示画面から第1のLCD11の表示画面へと移動する。これにより、プレイヤキャラクタ40の移動に伴ってプレイヤの視線が第2のLCD12の表示画面から第1のLCD11の表示画面へと誘導され、プレイヤは、第1のLCD11の表示画面にプレイヤキャラクタ40の操作方法の説明が表示されたことを見逃すことなく確認することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム装置のコンピュータにゲーム処理を実行させるためのゲームプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオゲームの進行中にゲームに関する説明を画面に表示する技術として特許文献1に記載の技術がある。特許文献1には、上画面にゲーム画像を表示し、ゲームの進行に応じて下画面に説明画像を表示することが記載されている。これにより、プレイヤは必要に応じて説明画像を見ながらゲームをプレイすることができる。
【特許文献1】特開2005−192689号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の技術では、ゲーム画面とは異なる画面に説明が表示されるため、所定のタイミングでゲームの進行状況に関する重要な説明画面が表示されても、プレイヤがゲームに熱中していて、説明が表示されたことに全く気付かないことがある。
【0004】
それゆえに、本発明は、プレイヤがゲームプレイ中に見ている画面領域とは異なる画面領域に例えば重要な説明などを表示する際に、そのことをプレイヤに自然に気付かせることのできる表示手法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および図番号は本発明の理解を助けるために付したものであって、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0006】
本発明のゲームプログラムは、少なくとも2つの画像表示領域(11、12)を備えたゲーム装置(10)のコンピュータ(21)を、第1画像表示制御手段、第2画像表示制御手段、および視線誘導オブジェクト表示制御手段として機能させるためのゲームプログラムである。
第1画像表示制御手段は、第1画像表示領域(11)に第1画像を表示させる手段である(50)。
第2画像表示制御手段は、第2画像表示領域(12)に第2画像を表示させる手段である(51)。
視線誘導オブジェクト表示制御手段は、プレイヤの視線を前記第2画像表示領域から前記第1画像表示領域へと誘導するための視線誘導オブジェクト(40、42、44)が前記第1画像表示領域と前記第2画像表示領域の境界を横断して前記第2画像内の第2地点から前記第1画像内の第1地点へと徐々に移動するように、前記第1画像表示領域および前記第2画像表示領域に当該視線誘導オブジェクトを表示させる手段である(52)。
【0007】
本発明のゲームプログラムの第1の好ましい実施例は、前記第1画像表示領域と前記第2画像表示領域は、互いに近接して配置された2つの表示画面(11、12)にそれぞれ対応することを特徴とする。これにより、視線誘導オブジェクトを利用して、互いに近接して配置された2つの表示画面の一方から他方へとプレイヤの視線を自然に誘導することができる。
【0008】
本発明のゲームプログラムの第2の好ましい実施例は、前記ゲームに関する説明は、ゲーム空間の地図の説明、ゲームの操作方法の説明、およびゲームの進行状況の説明のいずれかであることを特徴とする。
【0009】
本発明のゲームプログラムの第3の好ましい実施例は、前記第2画像表示制御手段は、少なくとも、前記視線誘導オブジェクトが前記第2画像表示領域から前記第1画像表示領域に移動している間、前記第2画像表示領域に表示されている他のオブジェクトの動きを一時的に停止させることを特徴とする。これにより、視線誘導オブジェクトが第2画像表示領域から第1画像表示領域に移動している間はゲームの進行が中断されるので、プレイヤは安心して視線を第1画像表示領域に移すことができる。
【0010】
本発明のゲームプログラムの第4の好ましい実施例は、前記第2画像は、プレイヤによって操作されるプレイヤキャラクタ(40)を含むゲーム世界を表す画像であり、前記第1画像は、当該プレイヤキャラクタの操作方法をプレイヤに説明するための画像であることを特徴とする。これにより、ゲームに熱中しているプレイヤに対して、プレイヤキャラクタの操作方法を確実に知らせることができる。
【0011】
本発明のゲームプログラムの第5の好ましい実施例は、前記視線誘導オブジェクトは、前記プレイヤキャラクタであることを特徴とする(図4)。これにより、プレイヤがゲームプレイ中に最も注目しているオブジェクトであるプレイヤキャラクタを視線誘導オブジェクトとして利用することで、効果的にプレイヤの視線を第1画像表示領域に誘導することができる。
【0012】
本発明のゲームプログラムの第6の好ましい実施例は、前記視線誘導オブジェクトは、前記プレイヤキャラクタとは異なるキャラクタ(42)であることを特徴とする(図6)。これにより、プレイヤキャラクタを視線誘導オブジェクトとして利用する場合と比較して、視線誘導オブジェクトが第2画像表示領域から第1画像表示領域に移動したときの違和感を小さくすることができる。
【0013】
本発明のゲームプログラムの第7の好ましい実施例は、前記視線誘導オブジェクト表示制御手段は、前記第1画像表示制御手段が前記第1画像表示領域に前記説明を表示するときに、前記視線誘導オブジェクトが前記第2地点から前記第1地点へと移動するように、前記第1画像表示領域および前記第2画像表示領域に当該視線誘導オブジェクトを表示させることを特徴とする。
【0014】
本発明のゲームプログラムの第8の好ましい実施例は、前記第2画像は、ゲーム世界を表す画像であり、前記第1画像は、前記ゲーム世界の地図を表す画像であることを特徴とする。これにより、ゲームをプレイ中のプレイヤに、ゲーム世界の地図を確実に見させることができる。
【0015】
本発明のゲームプログラムの第9の好ましい実施例は、前記第1地点は、ゲーム世界における前記第1画像表示領域に表示されている地点に対応する、地図上の地点であることを特徴とする(図8)。これにより、第2画像表示領域に表示されている地点に対応する地図上の地点を、プレイヤに分かりやすく知らせることができる。
【0016】
本発明のゲームプログラムの第10の好ましい実施例は、前記視線誘導オブジェクト表示制御手段は、前記第1画像の地図を利用して目的地への経路をプレイヤに知らせるときに、前記視線誘導オブジェクトが前記第2地点から前記第1地点へと移動するように、前記第1画像表示領域および前記第2画像表示領域に当該視線誘導オブジェクトを表示させることを特徴とする。これにより、第1画像表示領域に表示された地図を利用して目的地への経路をプレイヤに知らせるときに、プレイヤの視線を確実に第1画像表示領域へと誘導することができる。
【0017】
本発明のゲームプログラムの第11の好ましい実施例は、前記第1地点は、ゲーム世界における前記第1画像表示領域に表示されている地点で起きたイベントが作用する地点に対応する、地図上の地点であることを特徴とする(図11)。これにより、ゲーム世界で発生したイベントの作用地点に対応する地図上の地点を、プレイヤに分かりやすく知らせることができる。
【0018】
本発明のゲームプログラムの第12の好ましい実施例は、前記視線誘導オブジェクト表示制御手段は、前記イベントの作用地点をプレイヤに知らせるときに、前記視線誘導オブジェクト(44)が前記第2地点から前記第1地点へと移動するように、前記第1画像表示領域および前記第2画像表示領域に当該視線誘導オブジェクトを表示させることを特徴とする。これにより、第1画像表示領域に表示された地図を利用してイベントの作用地点をプレイヤに知らせるときに、プレイヤの視線を確実に第1画像表示領域へと誘導することができる。
【0019】
本発明のゲーム装置は、第1画像表示領域(11)に第1画像を表示させる第1画像表示制御手段(21、50)、第2画像表示領域に第2画像を表示させる第2画像表示制御手段(21、51)、およびプレイヤの視線を前記第2画像表示領域から前記第1画像表示領域へと誘導するための視線誘導オブジェクト(40、42、44)が前記第1画像表示領域と前記第2画像表示領域の境界を横断して前記第2画像内の第2地点から前記第1画像内の第1地点へと移動するように、前記第1画像表示領域および前記第2画像表示領域に当該視線誘導オブジェクトを表示させる視線誘導オブジェクト表示制御手段(21、52)を備えたゲーム装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、たとえプレイヤがゲームに熱中していたとしても、視線誘導オブジェクトを目で追うことによって、説明等を表示している画面領域に必然的に視線を移すことになり、ゲームの進行に必要な情報などをプレイヤが見落としてしまうことを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係るゲーム装置の構成および動作を説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係るゲーム装置の外観図である。図1において、ゲーム装置10は、第1のLCD(Liquid Crystal Display:液晶表示装置)11および第2のLCD12を含む。ハウジング13は上側ハウジング13aと下側ハウジング13bとによって構成されており、第1のLCD11は上側ハウジング13aに収納され、第2のLCD12は下側ハウジング13bに収納される。第1のLCD11および第2のLCD12の解像度はいずれも256dot×192dotである。なお、本実施形態では表示装置としてLCDを用いているが、例えばEL(Electro Luminescence:電界発光)を利用した表示装置など、他の任意の表示装置を利用することができる。また任意の解像度のものを利用することができる。
【0023】
上側ハウジング13aには、後述する1対のスピーカ(図2の30a、30b)からの音を外部に放出するための音抜き孔18a、18bが形成されている。
【0024】
下側ハウジング13bには、入力装置として、十字スイッチ14a、スタートスイッチ14b、セレクトスイッチ14c、Aボタン14d、Bボタン14e、Xボタン14f、Yボタン14g、Lボタン14LおよびRボタン14Rが設けられている。また、さらなる入力装置として、第2のLCD12の画面上にタッチパネル15が装着されている。また、下側ハウジング13bには、電源スイッチ19や、メモリカード17やスティック16を収納するための挿入口も設けられている。
【0025】
タッチパネル15としては、例えば抵抗膜方式や光学式(赤外線方式)や静電容量結合式など、任意の方式のものを利用することができる。タッチパネル15は、その表面をスティック16で触れると、その接触位置に対応する座標データを出力する機能を有している。なお、以下ではプレイヤがタッチパネル15をスティック16で操作するものとして説明を行うが、スティック16の代わりにペン(スタイラスペン)や指でタッチパネル15を操作することももちろん可能である。本実施形態では、タッチパネル15として、第2のLCD12の解像度と同じく256dot×192dotの解像度(検出精度)のものを利用する。ただし、必ずしもタッチパネル15の解像度と第2のLCD12の解像度が一致している必要はない。
【0026】
メモリカード17はゲームプログラムを記録した記録媒体であり、下部ハウジング13bに設けられた挿入口に着脱自在に装着される。
【0027】
次に、図2を参照してゲーム装置10の内部構成を説明する。
【0028】
図2において、ハウジング13に収納される電子回路基板20には、CPUコア21が実装される。CPUコア21には、バス22を介して、コネクタ23が接続されるとともに、入出力インターフェース回路(図面ではI/F回路と記す)25、第1GPU(Graphics Processing Unit)26、第2GPU27、RAM24、およびLCDコントローラ31が接続される。コネクタ23には、メモリカード17が着脱自在に接続される。メモリカード17は、ゲームプログラムを記憶するROM17aと、バックアップデータを書き換え可能に記憶するRAM17bを搭載する。メモリカード17のROM17aに記憶されたゲームプログラムはRAM24にロードされ、RAM24にロードされたゲームプログラムがCPUコア21によって実行される。RAM24には、ゲームプログラムの他にも、CPUコア21がゲームプログラムを実行して得られる一時的なデータや、ゲーム画像を生成するためのデータが記憶される。I/F回路25には、タッチパネル15、右スピーカ30a、左スピーカ30bおよび図1の十字スイッチ14aやAボタン14d等から成る操作スイッチ部14が接続される。右スピーカ30aと左スピーカ30bは、音抜き孔18a、18bの内側にそれぞれ配置される。
【0029】
第1GPU26には、第1VRAM(Video RAM)28が接続され、第2GPU27には、第2VRAM29が接続される。第1GPU26は、CPUコア21からの指示に応じて、RAM24に記憶されているゲーム画像を生成するためのデータに基づいて第1のゲーム画像を生成し、第1VRAM28に描画する。第2GPU27は、同様にCPUコア21からの指示に応じて第2のゲーム画像を生成し、第2VRAM29に描画する。第1VRAM28および第2VRAM29はLCDコントローラ31に接続されている。
【0030】
LCDコントローラ31はレジスタ32を含む。レジスタ32はCPUコア21からの指示に応じて0または1の値を記憶する。LCDコントローラ31は、レジスタ32の値が0の場合は、第1VRAM28に描画された第1のゲーム画像を第1のLCD11に出力し、第2VRAM29に描画された第2のゲーム画像を第2のLCD12に出力する。また、レジスタ32の値が1の場合は、第1VRAM28に描画された第1のゲーム画像を第2のLCD12に出力し、第2VRAM29に描画された第2のゲーム画像を第1のLCD11に出力する。
【0031】
なお、上記のようなゲーム装置10の構成は単なる一例に過ぎず、本発明は、少なくとも1つの表示装置を有する任意のコンピュータシステムに適用することができる。また、本発明のゲームプログラムは、メモリカード17などの外部記憶媒体を通じてコンピュータシステムに供給されるだけでなく、有線または無線の通信回線を通じてコンピュータシステムに供給されてもよいし、さらにはコンピュータシステム内部の不揮発性記憶装置に予め記録されていてもよい。
【0032】
以下、ゲーム装置10によって実行されるゲーム処理の流れを、ゲーム画面例を参照しながら説明する。
【0033】
図3は、ゲーム世界において、プレイヤによって操作されるプレイヤキャラクタ40が敵キャラクタ41に遭遇し、まさにこれから敵キャラクタ41と戦おうとしているときの第1のLCD11および第2のLCDの表示画像例を示している。なお、第1のLCD11には、プレイヤキャラクタ40の操作方法等をプレイヤに知らせるための画像が表示されるのであるが、ここではまだ説明は表示されていない。第2のLCD12には、敵キャラクタ41がプレイヤキャラクタ40に接近している様子が表示されている。
【0034】
図3のような状況になると、その直後、敵キャラクタ41と戦うときのプレイヤキャラクタ40の操作方法が第1のLCD11に表示される。図4は、プレイヤキャラクタ40の操作方法が第1のLCD11に表示されるときの第1のLCD11および第2のLCDの表示画像例を示している。ここでは、第2のLCD12に表示されている敵キャラクタ41の動きが一時的に停止し(すなわち第2のLCD12に表示されているゲーム世界における時間の流れが一時的に停止する)、プレイヤキャラクタ40が図4の波線の矢印で示すように、第2のLCD12の表示画面から第1のLCD11の表示画面へと徐々に移動する。これにより、プレイヤキャラクタ40の移動に伴ってプレイヤの視線が第2のLCD12の表示画面から第1のLCD11の表示画面へと誘導され、プレイヤは第1のLCD11の表示画面にプレイヤキャラクタ40の操作方法の説明が表示されたことを見逃すことなく確認することができる。
【0035】
なお、プレイヤキャラクタ40が第2のLCD12の表示画面から第1のLCD11の表示画面へと瞬時に移動させると、プレイヤはプレイヤキャラクタ40を見失って困惑してしまう可能性があるが、本実施形態では、図4の波線の矢印で示すように、プレイヤキャラクタ40が第1のLCD11と第2のLCDの境界を横断して移動するように表示されるので、プレイヤを困惑させることなく、プレイヤの視線を第2のLCD12の表示画面から第1のLCD11の表示画面へと自然に誘導することができる。なお、プレイヤキャラクタ40が第2のLCD12から、第1のLCD11と第2のLCDの境界を横断して第1のLCD11に移動する際に、プレイヤキャラクタ40が第2のLCD12の表示画面から完全に消えた後に第1のLCD11の表示画面に現れるように表示しても良いし(つまり、プレイヤキャラクタ40が第1のLCD11の表示画面と第2のLCD11の表示画面の両方に同時に表示される瞬間がない場合)、プレイヤキャラクタ40が第2のLCD12の表示画面から完全に消える前に第1のLCD11の表示画面からプレイヤキャラクタ40の一部分が現れるように表示しても良い(つまり、プレイヤキャラクタ40が第1のLCD11の表示画面と第2のLCD11の表示画面の両方に同時に表示される瞬間がある場合)。
【0036】
また、第2のLCD12に表示されているゲーム世界の時間の流れが一時的に停止しているため、プレイヤはゲーム世界の状況に気を配ることなく、安心して操作方法の説明を見ることに専念することができる。
【0037】
操作方法の説明が終了すると、図5に示すように、プレイヤキャラクタ40が元の表示位置に戻り、敵キャラクタ41が再び動き始める。
【0038】
なお、上記の例ではプレイヤキャラクタ40を利用してプレイヤの視線を第2のLCD12から第1のLCDに誘導しているが、本発明はこれに限らず、任意のオブジェクトを利用してプレイヤの視線を第2のLCD12から第1のLCDに誘導することができる。図6は、コンピュータによって自動制御されるノンプレイヤキャラクタ42を利用してプレイヤの視線を第2のLCD12から第1のLCDに誘導する例を示している。この場合も、第1のLCD11に説明が表示されている間は、第2のLCD12に表示されているゲーム世界の時間の流れを一時的に停止するのが好ましい。
【0039】
なお、このような視線誘導の手法は、操作方法の説明を表示する場合に限らず有効である。以下、図7から図9を参照して、視線誘導の手法の他の適用例を説明する。
【0040】
図7は、ゲーム世界においてプレイヤキャラクタ40がノンプレイヤキャラクタ42に遭遇したときの第1のLCD11および第2のLCDの表示画像例を示している。第1のLCD11には、ゲーム世界の地図が表示されている。以下では、このノンプレイヤキャラクタ42が所定の目的地へとプレイヤキャラクタ40を誘導する場合の表示例を説明する。
【0041】
まず、ノンプレイヤキャラクタ42が図8の波線の矢印で示すように、第2のLCD12の表示画面から第1のLCD11の表示画面へと移動する。より具体的には、ノンプレイヤキャラクタ42は、図7に示す表示位置から、第1のLCD11と第2のLCD12の境界を横断して、現在位置(すなわちゲーム空間における、第2のLCD12に表示されている地点)に対応する地図上の地点へと移動する。ノンプレイヤキャラクタ42が現在地点に対応する地図上の地点まで移動し終えると、その地点にノンプレイヤキャラクタ42の現在位置を示す印43が表示される。
【0042】
続いて、図9に示すように、地図上でノンプレイヤキャラクタ42の印43が所定の経路を辿って目的地(すなわちプレイヤキャラクタ40を誘導したい地点)へと移動する。これを確認したプレイヤは、プレイヤキャラクタ40を操作して、プレイヤキャラクタ40を目的地へと向かわせる。
【0043】
この例でも、第1のLCD11に表示されている地図上で何の前触れもなく経路案内の表示を行うのではなく、図8に示すようにノンプレイヤキャラクタ43を利用してプレイヤの視線を第2のLCD12の表示画面から第1のLCD11の表示画面へと誘導してから経路案内の表示を行うので、プレイヤが経路案内の表示を見落としてしまうことがなくなる。
【0044】
また、ノンプレイヤキャラクタ42を図8に示すようにまず現在位置に対応する地図上の地点に移動させた後に、そこから図9に示すように目的地へと移動させることによって、プレイヤに「現在地」「目的地」「現在地から目的地へと至る経路」の全てを直感的に把握させることができる。
【0045】
次に、図10および図11を参照して、視線誘導の手法のさらに他の適用例を説明する。
【0046】
図10は、ゲーム世界においてプレイヤキャラクタ40がミサイル44を発射しようとしているときの第1のLCD11および第2のLCDの表示画像例を示している。第1のLCD11にはゲーム世界の地図が表示されており、この地図上には、プレイヤキャラクタ40の現在位置を示す印45と、2体の敵キャラクタの現在位置をそれぞれ示す印46および印47が表示されている。
【0047】
プレイヤの入力操作に応じてプレイヤキャラクタ40がミサイル44を発射すると、図11に示すように、ミサイル44は第2のLCD12の表示画面から、第1のLCD11と第2のLCD12の境界を横断して、ゲーム世界におけるミサイル40の着弾地点に対応する地図上の地点(図11の例では敵キャラクタの現在位置を示す印46が表示されている地点)へと移動する。このような表示により、プレイヤの視線はミサイル40の表示位置の移動に伴って第2のLCD12の表示画面から第1のLCD11の表示画面へと誘導され、プレイヤは、印46に対応する敵キャラクタにミサイル40が命中したことを確実に把握することができる。
【0048】
次に、ゲーム装置10の詳細な動作について説明する。なお、ここでは説明を簡単にするために、図3から図5を参照して説明した表示例を実施する場合のゲーム装置10の動作を説明するが、前述した他の適用例に関しても以下の説明を参考にして実施することが可能である。
【0049】
図12は、RAM24のメモリマップである。RAM24には、第1画像表示制御プログラム50、第2画像表示制御プログラム51、視線誘導オブジェクト表示制御プログラム52、プレイヤキャラクタデータ53、敵キャラクタデータ54、説明データ55、および背景画像データ56が記憶される。
【0050】
第1画像表示制御プログラム50は、第1のLCD11に表示される画像(操作方法を説明するための画像)を生成するためのプログラムである。第2画像表示制御プログラム51は、第2のLCD12に表示される画像(プレイヤキャラクタ40や敵キャラクタ41を含むゲーム世界の画像)を生成するためのプログラムである。視線誘導オブジェクト表示制御プログラム52は、図4および図5に示すように、プレイヤキャラクタ40に第1のLCD11の表示画面と第2のLCD12の表示画面の間を行き来させるためのプログラムである。これらのプログラム(以下では、これらを単にゲームプログラムと総称する)はゲーム開始時にメモリカード17のROM17aからRAM24にロードされ、CPUコア21によって実行される。
【0051】
プレイヤキャラクタデータ53はゲーム世界のプレイヤキャラクタ40に関するデータであって、画像データおよび表示座標データを含んでいる。敵キャラクタデータ54はゲーム世界の敵キャラクタ41に関するデータであって、画像データおよび表示座標データを含んでいる。説明データ55は第1のLCD11に表示される説明のためのデータであって、画像データ、テキストデータおよび表示座標データを含んでいる。背景画像データは第2のLCD12に表示されるゲーム世界の景色を表す画像データである。これらの画像データおよびテキストデータについてはゲーム開始時にメモリカード17のROM17aからRAM24にロードされ、ゲームプログラムの実行中にCPUコア21によって利用される。また、表示座標データについてはゲームプログラムの実行中にCPUコア21によって適宜に更新される。
【0052】
次に、図13に示すフローチャートを参照して、ゲームプログラムに基づくCPUコア21の処理の流れを説明する。
【0053】
まずステップS10でCPUコア21は、プレイヤキャラクタ40を含むゲーム空間の様子を示す画像を生成し、この画像を第1のLCD11に表示させる。
【0054】
ステップS12では、操作スイッチ部14またはタッチパネル15からの信号に基づいてプレイヤによる入力操作を検出する。
【0055】
ステップS14では、ステップS12で検出された入力操作に応じてプレイヤキャラクタ40の動作(移動を含む)を制御し、RAM24に記憶されているプレイヤキャラクタ40の表示座標データを更新する。
【0056】
ステップS16では、所定のアルゴリズムに応じて敵キャラクタ41の動作を制御し、RAM24に記憶されている敵キャラクタ41の表示座標データを更新する。
【0057】
ステップS18では、プレイヤキャラクタ40の操作方法の説明を表示すべき状況かどうかを判断し、操作方法の説明を表示すべき状況である場合には処理はステップS20に進み、操作方法の説明を表示すべき状況ではない場合には処理はステップS22に進む。
【0058】
ステップS20では、視線誘導処理を実行する。この視線誘導処理の詳細については後述する。
【0059】
ステップS22では、ゲームが終了したかどうかを判断し、ゲームが終了した場合にはゲームプログラムの実行を終了し、ゲームが終了していない場合には処理はステップS10に戻る。
【0060】
次に、図14のフローチャートを参照して、図13のステップS20の視線誘導処理の詳細を説明する。なお、視線誘導処理を実行している間は図13のステップS16の処理は実行されないので、第2のLCD12に表示されている敵キャラクタ41の動きは一時的に停止することになる。
【0061】
まずステップS30でCPUコア21は、プレイヤキャラクタ40が現在の表示位置から、第1のLCD11の表示画面と第2のLCD12の表示画面の境界に移動するように、第2のLCD12の表示画像を順次更新する。
【0062】
ステップS32では、プレイヤキャラクタ40が第1のLCD11の表示画面と第2のLCD12の表示画面の境界から、第1のLCD11の所定位置に移動するように、第1のLCD11の表示画像を順次更新する。
【0063】
ステップS34では、第1のLCD11にプレイヤキャラクタ40の操作方法の説明を表示する。なお、このステップS34の処理は、ステップS32の処理またはステップS30の処理の前に実行されても構わない。
【0064】
ステップS36では、プレイヤキャラクタ40が現在の表示位置から、第1のLCD11の表示画面と第2のLCD12の表示画面の境界に移動するように、第1のLCD11の表示画像を順次更新する。
【0065】
ステップS38では、プレイヤキャラクタ40が第1のLCD11の表示画面と第2のLCD12の表示画面の境界から、第2のLCD12の元の表示位置(すなわちステップS30の処理が実行される直前におけるプレイヤキャラクタ40の表示位置)に移動するように、第2のLCD12の表示画像を順次更新する。そして視線誘導処理が終了する。
【0066】
以上のように、本実施形態によれば、プレイヤが第2のLCD12の表示画面を見てゲームをプレイしているときに第1のLCD11の表示画面にプレイヤに知らせたい事項を表示する場合に、第2のLCD12の表示画面から第1のLCD11の表示画面に向かってオブジェクト(プレイヤキャラクタ、ノンプレイヤキャラクタ、またはその他のオブジェクト)が移動するように表示されるので、プレイヤがゲームに熱中していてもその視線を第2のLCD12の表示画面から第1のLCD11の表示画面に確実に誘導することができる。
【0067】
なお、本実施形態では、ゲーム装置が独立した2つの表示画面を備えている場合について説明したが、本発明はこれに限らず、1つの表示画面の全領域を2つの部分領域に分割し、これらの2つの部分領域を仮想的に2つの表示画面として利用する場合にも本発明は有効である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施形態に係るゲーム装置の外観図
【図2】ゲーム装置の内部構成図
【図3】ゲーム画面例
【図4】他のゲーム画面例
【図5】さらに他の他のゲーム画面例
【図6】さらに他の他のゲーム画面例
【図7】さらに他の他のゲーム画面例
【図8】さらに他の他のゲーム画面例
【図9】さらに他の他のゲーム画面例
【図10】さらに他の他のゲーム画面例
【図11】さらに他の他のゲーム画面例
【図12】RAM24のメモリマップ
【図13】ゲーム装置の動作を示すフローチャート
【図14】視線誘導処理の流れを示すフローチャート
【符号の説明】
【0069】
10 ゲーム装置
11 第1のLCD
12 第2のLCD
13 ハウジング
13a 上側ハウジング
13b 下側ハウジング
14 操作スイッチ部
14a 十字スイッチ
14b スタートスイッチ
14c セレクトスイッチ
14d Aボタン
14e Bボタン
14f Xボタン
14g Yボタン
14L Lボタン
14R Rボタン
15 タッチパネル
16 スティック
17 メモリカード
17a ROM
17b RAM
18a,18b 音抜き孔
19 電源スイッチ
20 電子回路基板
21 CPUコア
22 バス
23 コネクタ
24 RAM
25 I/F回路
26 第1GPU
27 第2GPU
28 第1VRAM
29 第2VRAM
30a 右スピーカ
30b 左スピーカ
31 LCDコントローラ
32 レジスタ
40 プレイヤキャラクタ
41 敵キャラクタ
42 ノンプレイヤキャラクタ
43 ノンプレイヤキャラクタの現在位置を示す印
44 ミサイルオブジェクト
45 プレイヤキャラクタの現在位置を示す印
46 敵キャラクタの現在位置を示す印
47 他の敵キャラクタの現在位置を示す印
50 第1画像表示制御プログラム
51 第2画像表示制御プログラム
52 視線誘導オブジェクト表示制御プログラム
53 プレイヤキャラクタデータ
54 敵キャラクタデータ
55 説明データ
56 背景画像データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの画像表示領域を備えたゲーム装置のコンピュータを、
第1画像表示領域に第1画像を表示させる第1画像表示制御手段、
第2画像表示領域に第2画像を表示させる第2画像表示制御手段、および
プレイヤの視線を前記第2画像表示領域から前記第1画像表示領域へと誘導するための視線誘導オブジェクトが前記第1画像表示領域と前記第2画像表示領域の境界を横断して前記第2画像内の第2地点から前記第1画像内の第1地点へと徐々に移動するように、前記第1画像表示領域および前記第2画像表示領域に当該視線誘導オブジェクトを表示させる視線誘導オブジェクト表示制御手段として機能させるためのゲームプログラム。
【請求項2】
前記第1画像表示領域と前記第2画像表示領域は、互いに近接して配置された2つの表示画面にそれぞれ対応することを特徴とする、請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項3】
前記ゲームに関する説明は、ゲーム空間の地図の説明、ゲームの操作方法の説明、およびゲームの進行状況の説明のいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項4】
前記第2画像表示制御手段は、少なくとも、前記視線誘導オブジェクトが前記第2画像表示領域から前記第1画像表示領域に移動している間、前記第2画像表示領域に表示されている他のオブジェクトの動きを一時的に停止させることを特徴とする、請求項3に記載のゲームプログラム。
【請求項5】
前記第2画像は、プレイヤによって操作されるプレイヤキャラクタを含むゲーム世界を表す画像であり、前記第1画像は、当該プレイヤキャラクタの操作方法をプレイヤに説明するための画像であることを特徴とする、請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項6】
前記視線誘導オブジェクトは、前記プレイヤキャラクタであることを特徴とする、請求項5に記載のゲームプログラム。
【請求項7】
前記視線誘導オブジェクトは、前記プレイヤキャラクタとは異なるキャラクタであることを特徴とする、請求項5に記載のゲームプログラム。
【請求項8】
前記視線誘導オブジェクト表示制御手段は、前記第1画像表示制御手段が前記第1画像表示領域に前記説明を表示するときに、前記視線誘導オブジェクトが前記第2地点から前記第1地点へと移動するように、前記第1画像表示領域および前記第2画像表示領域に当該視線誘導オブジェクトを表示させることを特徴とする、請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項9】
前記第2画像は、ゲーム世界を表す画像であり、前記第1画像は、前記ゲーム世界の地図を表す画像であることを特徴とする、請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項10】
前記第1地点は、ゲーム世界における前記第1画像表示領域に表示されている地点に対応する、地図上の地点であることを特徴とする、請求項9に記載のゲームプログラム。
【請求項11】
前記視線誘導オブジェクト表示制御手段は、前記第1画像の地図を利用して目的地への経路をプレイヤに知らせるときに、前記視線誘導オブジェクトが前記第2地点から前記第1地点へと移動するように、前記第1画像表示領域および前記第2画像表示領域に当該視線誘導オブジェクトを表示させることを特徴とする、請求項10に記載のゲームプログラム。
【請求項12】
前記第1地点は、ゲーム世界における前記第1画像表示領域に表示されている地点で起きたイベントが作用する地点に対応する、地図上の地点であることを特徴とする、請求項9に記載のゲームプログラム。
【請求項13】
前記視線誘導オブジェクト表示制御手段は、前記イベントの作用地点をプレイヤに知らせるときに、前記視線誘導オブジェクトが前記第2地点から前記第1地点へと移動するように、前記第1画像表示領域および前記第2画像表示領域に当該視線誘導オブジェクトを表示させることを特徴とする、請求項12に記載のゲームプログラム。
【請求項14】
第1画像表示領域に第1画像を表示させる第1画像表示制御手段、
第2画像表示領域に第2画像を表示させる第2画像表示制御手段、および
プレイヤの視線を前記第2画像表示領域から前記第1画像表示領域へと誘導するための視線誘導オブジェクトが前記第1画像表示領域と前記第2画像表示領域の境界を横断して前記第2画像内の第2地点から前記第1画像内の第1地点へと移動するように、前記第1画像表示領域および前記第2画像表示領域に当該視線誘導オブジェクトを表示させる視線誘導オブジェクト表示制御手段を備えたゲーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−97839(P2007−97839A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−291641(P2005−291641)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【出願人】(000233778)任天堂株式会社 (1,115)
【Fターム(参考)】