説明

ゲーム装置、ゲームプログラムおよびゲームシステム

【課題】 ユーザの体感する現実感を充分に生かしつつ、仮想空間における多様な展開を実現する。
【解決手段】
現実空間において、出発地点(SP)と、出発地点(SP)を含む所定範囲の領域RA1が設定されて、軌跡(TR)はユーザが鉄道路線(RW)を利用したことにより、領域RA1を越え、別個の領域RA2に至っている。
ゲーム装置(GM1)においては、仮想空間の領域が、現実空間の領域(RA1、RA2)に対応して生成され、現実空間の位置情報を取得して、位置情報に基づいた軌跡を生成、記憶する。すなわち、ゲーム装置(GM1)は現実空間の位置情報に基づく軌跡を仮想空間にマッピングする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム装置、ゲームプログラムおよびゲームシステムに係り、特に仮想空間内でのキャラクタ等のオブジェクトの動作と、現実空間でのユーザの動作を関連付けたゲーム装置、ゲームプログラムおよびゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが体感可能な種々のゲームが存在する。例えば特許文献1は室内において屋外のゴルフをシミュレーションするゲーム施設であり、特許文献2は、金庫のある室内を模した空間で、防犯装置を回避しつつ金庫破りを体感するゲーム施設である。
【0003】
一方、テレビゲームの仮想空間内のメインキャラクタの動作を、現実空間における入力装置の動きによって制御する体感ゲームが存在する。例えば特許文献3の体感ボールゲーム装置では加速度センサーを備えたバット型入力装置によって仮想空間内のバットの動きを制御する。
【0004】
【特許文献1】特開平11−164928号公報
【特許文献2】特開2002−177628号公報
【特許文献3】特開2001−104636号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2のような体感ゲームでは現実を越えた演出、構成を実現することは困難であり、ゴルフゲームでは実際のゴルフの楽しさに及ぶべくもない。
【0006】
特許文献3のような仮想空間と連携した体感ゲームは、特許文献1、2に比較して多様な娯楽性を与えることが可能であるが、入力し得るパラメータが極めて限定されたものであり、現実感が希薄になる。
【0007】
本発明はこのような従来の問題点を解消すべく創案されたもので、ユーザの体感する現実感を充分に生かしつつ、仮想空間における多様な展開を実現することを目的とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザの体感する現実感を充分に生かしつつ、仮想空間における多様な展開を実現し得る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るゲーム装置は、仮想空間を生成する仮想空間生成手段と、前記仮想空間内のオブジェクトを動作させる第1のオブジェクト制御手段と、現実空間の位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記位置情報取得手段で取得した位置情報に基づいて軌跡を生成する軌跡生成手段と、前記軌跡を前記仮想空間に適合させる軌跡適合手段と、前記軌跡適合手段によって前記仮想空間に適合された軌跡に基づいて前記オブジェクトを動作させる第2のオブジェクト制御手段とを備える。これによって、ユーザの体感する現実感を充分に生かしつつ、仮想空間における多様な展開を実現し得る。
【0010】
本発明に係るゲーム装置において、前記位置情報取得手段は、例えば、ユーザの移動体通信端末がGPS(global positioning system)信号に基づいて算出した位置情報を、前記移動体通信端末から受信する。これによって現実感あふれる位置情報を適用し得る。
【0011】
本発明に係るゲーム装置において、前記軌跡適合手段は、前記軌跡を仮想空間内の所定の領域に納めるように前記軌跡を修正し、そのために、例えば、前記軌跡を縮小し、あるいは、仮想空間内の複数の領域間の不連続移動を設定し、あるいは、前記オブジェクトの移動速度が所定値以上のときに、前記オブジェクトを他の領域内の所定位置に不連続移動させる。
【0012】
本発明に係るゲーム装置は、前記位置情報に基づいて、現実空間内の移動速度を算出する速度算出手段をさらに備えるものであってもよい。これによって、前記現実空間内の移動速度に応じた縮小率で前記軌跡を縮小する等の処理が可能である。
【0013】
本発明に係るゲーム装置は、前記移動速度に基づいて、前記仮想空間内で前記オブジェクトに発生するイベントを設定するイベント設定手段をさらに備えるものであってもよい。これによって、多様なイベント設定を自動的に生成し得る。
【0014】
本発明に係るゲームシステムは、現実空間で、GPS(global positioning system)信号に基づいて位置情報を算出して、送信する移動体通信端末と、
仮想空間を生成する仮想空間生成手段と、前記仮想空間内のオブジェクトを動作させる第1のオブジェクト制御手段と、前記移動体通信端末が送信する位置情報を受信する位置情報取得手段と、前記位置情報取得手段で取得した位置情報に基づいて軌跡を生成する軌跡生成手段と、前記軌跡を前記仮想空間に適合させる軌跡適合手段と、前記軌跡適合手段によって前記仮想空間に適合された軌跡に基づいて前記オブジェクトを動作させる第2のオブジェクト制御手段と、を備えたゲーム装置と、を備える。
【0015】
これによって、ユーザの体感する現実感を充分に生かしつつ、仮想空間における多様な展開を実現し得る。
【0016】
本発明に係るゲームプログラムは、仮想空間を生成する仮想空間生成ステップと、前記仮想空間内のオブジェクトを動作させる第1のオブジェクト制御ステップと、現実空間の位置情報を取得する位置情報取得ステップと、前記位置情報取得手段で取得した位置情報に基づいて軌跡を生成する軌跡生成ステップと、前記軌跡を前記仮想空間に適合させる軌跡適合ステップと、前記軌跡適合手段によって前記仮想空間に適合された軌跡に基づいて前記オブジェクトを動作させる第2のオブジェクト制御ステップとを備える。これによって、ユーザの体感する現実感を充分に生かしつつ、仮想空間における多様な展開を実現し得る。
なお、前記軌跡適合手段によって前記領域に適合化された前記軌跡について、前記オブジェクトに発生するイベントを設定するイベント設定手段をさらに備えてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
【実施例】
【0018】
次に本発明に係るゲーム装置およびゲームシステムの実施例を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は本発明に係るゲーム装置の実施例を示すブロック図、図2は、図1のゲーム装置を含むゲームシステムを示すブロック図、図3は、図2における移動体通信端末を示すブロック図である。
【0020】
[ゲーム装置]
図1において、ゲーム装置GM1はゲーム装置全体を制御するCPU1000と、ゲーム装置を起動させるためのプログラムを格納するブートロム1010と、CPU1000によって実行されるプログラムやデータを格納するシステムメモリ1020とを有する。
【0021】
ゲーム装置GM1には、表示すべき画像を生成、制御するビデオディスプレイプロセッサ1030と、生成される画像の元となる画像や生成された画像を記憶するグラフィックメモリ1040が設けられ、ビデオディスプレイプロセッサ1030は、生成した画像に基づいてLCDコントローラ1050を駆動して、カラーLCD(液晶ディスプレイ)等の表示部1060に画像を表示する。
【0022】
インストラクション装置INS1には、音声を生成するオーディオプロセッサ1070と、生成される音声のデータを記憶するオーディオメモリ1080とが設けられ、オーディオプロセッサ1070はオーディオメモリ1080に記憶されたデータに基づいて音声のデジタル信号を生成し、このデジタル信号はオーディオDACアンプ1090によってアナログ信号に変換されつつ適性なレベルに増幅される。オーディオDACアンプ1090のアナログ信号はスピーカ1100や、ヘッドフォンジャック1110に接続されたヘッドフォン(図示省略)に入力されて音声が出力される。
【0023】
ゲーム装置GM1には、記憶媒体としてのカートリッジ1120を接続するためのカートリッジコネクタ1130が設けられ、カートリッジ112に格納されたゲームプログラムやデータがカートリッジコネクタ1130からシステムメモリ1020、グラフィックメモリ1040、オーディオメモリ1080に読み込まれる。尚、カートリッジ1120は、CDやDVD等の光ディスク媒体でもよく、カートリッジコネクタ1130は、これら光ディスクから情報を読み込むためのディスク装置であってもよい。
【0024】
ゲーム装置GM1には、ゲームの操作のための方向キー、ボタン等の入力装置1140が接続され、ゲームの実行に際しては、遊戯者は入力装置1140によって種々の操作を行う。
【0025】
ゲーム装置GM1には、他のゲーム装置その他の機器との間でプログラムやデータを送受信するためのシリアル通信端末1150と、このシリアル通信端末1150を接続するためのシリアルインターフェース1160が設けられている。
【0026】
ゲーム装置GM1には、CPU1000その他の構成要素の相互の通信を調停するバスアービタ1170が設けられ、プログラムやデータは適性に読み出し、書き込みされる。
【0027】
なお記憶媒体はICメモリやハードディスク等が格納されたカートリッジ1形状に限定されるものではなく、カード状の記憶媒体でもよく、ゲーム装置にフロッピディスクや光ディスク等の記憶媒体のためのドライブ等を設け、フロッピディスクその他の記憶媒体を採用してもよい。またこれら記憶媒体に起動用プログラムを格納しておけば、ゲーム装置が起動するためのブートロム101を省略し得る。
【0028】
表示部106はカラーLCDに限定されるものではなく、CRT、プラズマディスプレィ、DLP方式プロジェクタ等任意の表示手段を採用し得る。
【0029】
他のゲーム装置との通信はシリアル通信に限定されるものではなく、パラレル通信であってもよく、また無線、有線のいずれの通信方式であってもよい。
【0030】
汎用コンピュータをゲーム装置とし、本発明に係るゲームプログラムを汎用コンピュータにおいて実行する際には、ゲームプログラムの各ステップを汎用コンピュータに実行させるためプログラムコードを含むコンピュータ実行可能なプログラムを、汎用コンピュータに読み込ませる。
【0031】
コンピュータ実行可能なプログラムは、汎用コンピュータに内蔵されたROMや、汎用コンピュータが読み取り得る記憶媒体から読み込まれ、あるいはネットワークを通じてサーバ等から読み込まれ、システムメモリ1020やカートリッジ1120等の記憶媒体に記憶される。
【0032】
[ゲームシステム]
図2において、ゲームシステムは図1のゲーム装置GM1を含み、ゲーム装置GM1は、モニタ1060を備えた小型のゲーム装置よりなるゲーム装置GM2、1個あるいは複数のパーソナルコンピュータPC、1個あるいは複数の携帯電話HP等の移動体通信端末が接続された、インターネット等のネットワークINに接続されている。さらにネットワークINには必要に応じてサーバSVが接続されている。携帯電話HPは基地局BSを通じてゲーム装置GM1等と通信可能である。
【0033】
サーバSVは、接続されるゲーム装置GM1等と種々の情報の入出力を行う。
【0034】
図3において、移動体通信端末HPは、カラーLCD(液晶ディスプレイ)等の表示部3010と、表示すべき画像に基づいて表示部3010を駆動して画像を表示する表示制御部3012を有する。
【0035】
表示制御部3012には、移動体通信端末HP全体を制御し、CPUや各ブロックとの情報の入出力を行うインターフェース(図示しない)等で構成する制御部3020に接続され、制御部3020には、システムメモリ3030、ROM3032、メモリカード等外部メモリ3050が接続されている。表示部3010に表示すべき画像は制御部3020によって生成され、あるいはシステムメモリ3030、ROM3032、外部メモリ3034に格納されている。
【0036】
制御部3020には基地局BSとの通信のための送受信部3040が接続され、音声通話およびデータ通信が可能である。音声通話に関しては、マイク3052およびスピーカ3054が接続された音声入出部3050が、制御部3020が接続されている。
【0037】
携帯電話HPで実行されるプログラム、データは外部メモリ3034からロードされ、あるいはデータ通信によってダウンロードされる。
【0038】
制御部3020には、基地局BSとの通信や種々の操作を行うための操作入力部3060と、マナーモード呼び出しのためのバイブレータ3070を駆動するバイブレーション制御部3072、時間管理のためのタイマ3080、電子マネー等に使用されるID等が記憶されたICチップ3090、携帯電話HPをTVリモコンとして使用するためのTVリモコン部3092、携帯電話HPのユーザの指紋認証のための指紋認証部3094が接続されている。
【0039】
さらに制御部3020には、GPS(Global Positioning System)信号を受信するとともに、GPS信号に基づいて位置情報を算出するGPS部3000が接続され、算出された位置情報を逐次ゲーム装置GM1等に送信する。尚、GPSは、複数のGPS用の人工衛星から発信される現在の時刻を示す電波をそれぞれ受信し、この電波が衛星から受信機に届くまでの時間を、受信機の時計と衛星から送られてきた時刻の情報を比較し、それらの差を正確に調べることによって距離が求められる仕組みのものである。通常、4機の人工衛星から発せられる電波を同時に受信して、このうちの3機の衛星から同時に受信した時刻情報と、受信機の時計の時刻情報との差分から、それぞれの人工衛星までの距離を求め、三角測量法などによって位置を特定する。4機目の人工衛星からの時刻情報は、受信機側の時計の修正や、航空機などで高度を求める際に用いられている。携帯端末の場合、GPS用の人工衛星ではなく、基地局からの時刻情報を用いて位置を特定する方法も取られる場合がある。この場合は、GPS3000を用いずに、送受信部3040を用いることとなる。
【0040】
図1、図2の携帯電話HPは、例えば図4に示す現実空間で携帯電話HPを所持する遊戯者の移動する位置情報(破線TRでその軌跡を示す。)を検出する。位置情報は所定のインターバルで複数回算出され、例えば、その複数の位置情報同士を線で結ぶことによって軌跡が生成される。
[マッピング]
【0041】
図4の現実空間において、出発地点SP(例えばユーザの自宅)と、出発地点SPを含む所定範囲の領域RA1が設定されている。一方軌跡TRはユーザが鉄道路線RWを利用したことにより、領域RA1を越え、別個の領域RA2に至っている。
【0042】
ゲーム装置(例えばGM1)においては、仮想空間の領域VA1(図5)および領域VA2(図6)が、現実空間の領域RA1、RA2に対応して生成され、現実空間の遊戯者の位置情報を順次取得して、その順次取得した複数の位置情報に基づいた軌跡を生成、記憶する。その後、ゲーム装置GM1は現実空間の位置情報に基づく軌跡を仮想空間に重ね合わせてマッピング(対応付け)する。仮想空間の軌跡は、例えば、現実空間の位置情報に対応した座標を順次直線や曲線で接続することによって生成される。
【0043】
仮想空間内では、ユーザが直接入力装置1140を操作することによってメインキャラクタ等のオブジェクトMC(図7)等を制御作することが可能であり、さらに、現実空間の位置情報に基づく軌跡をゲームに取り込むことによって、ユーザの体感する現実感を充分に生かしつつ、軌跡に基づきオブジェクトを制御し、仮想空間における多様な展開を実現し得る。
【0044】
仮想空間の生成に関して、CPU1000、システムメモリ1020、ビデオディスプレイプロセッサ1030、グラフィックメモリ1040、LCDコントローラ1050、カラーLCD1060、オーディオプロセッサ1070、オーディオメモリ1080、オーディオDACアンプ1090、スピーカ1100、ヘッドフォンジャック1110は協働して仮想空間生成手段として機能する。
【0045】
ユーザの直接操作によるオブジェクト制御に関して、CPU1000、システムメモリ1020、ビデオディスプレイプロセッサ1030、グラフィックメモリ1040は第1のオブジェクト制御手段として機能し、現実空間の位置情報に基づいた軌跡に基づくオブジェクト制御に関してCPU1000、システムメモリ1020、ビデオディスプレイプロセッサ1030、グラフィックメモリ1040は第2のオブジェクト制御手段として機能する。
【0046】
現実空間の位置情報の取得に関して、CPU1000、システムメモリ1020、シリアル通信手段1150、シリアルI/F1160は軌跡取得手段として機能する。
【0047】
現実空間の位置情報に基づく軌跡生成に関して、CPU1000、システムメモリ1020は軌跡生成手段として機能する。
【0048】
ゲーム装置GM1では、仮想空間領域VA1において、領域RA1内を巡り、領域RA1の外に伸びる軌跡TRがまず登録され、その後領域VA1の軌跡と、領域VA2の軌跡との不連続を解消するために、領域VA1から領域VA2への不連続移動(ワープ)を設定する。
【0049】
まず図6の領域VA2では、領域VA1からの不連続移動ポイント(ワープポイント)WP6を設定し、領域RA2進入以降の軌跡TR6を生成、記憶する。
【0050】
一方、図7に示すように、領域VA1では、例えばメインキャラクタMCが鉄道路線RWを利用した駅等を不連続移動ポイントWP7と設定し、この不連続移動ポイントWP7を領域VA1内の軌跡TR7の終点とする。不連続移動ポイントは、仮想空間内の領域(VA1、VA2等)間を不連続に移動する点であり、領域VA1から領域VA2に移動する場合、領域VA1の不連続移動ポイント(WA7等)はオブジェクト消失点となり、領域VA2内の不連続移動ポイントWP6はオブジェクト発生点となる。
なお、領域VA1には、メインキャラクタMCが、種々の人物や出来事等に遭遇するイベントポイントIP1、IP2が設定され、軌跡TR7はイベントポイントIP1を通過している。また、軌跡TR7上にイベントポイントIP1、IP2を設定するようにしても良い。
【0051】
領域VA1には、不連続移動ポイントWP7以外の不連続移動ポイントWP8を設定することも可能であり、軌跡TR7の状況その他の条件に応じて不連続移動ポイントWP8を選択し得る。図8は不連続移動ポイントWP2を終点とした軌跡TR7を示し、軌跡TR7は現実空間RA1内の軌跡TRから変更されている。終点変更のための軌跡TR7の修正は、例えば、軌跡TR7における不連続移動ポイントWP8に最も近接した点NP8と、不連続移動ポイントWP8とを直接結ぶ。
【0052】
図6の軌跡TR6の高さH6は、領域VA2の高さH0に比較して大であり、軌跡TR6は領域VA2からはみだしている。軌跡TR6の領域VA2外の部分については、仮想空間VA2内での処理が不可能であるので、何らかの修正処理を要する。
【0053】
修正処理としては、図7、図8に示した不連続移動も採用可能であるが、軌跡サイズや軌跡の起点STから最も遠い点までの距離等を基準として修正するものが可能である。軌跡サイズを基準とする場合、例えば、高さH6と高さH0の比が比較的小さい場合には、軌跡TR6を縮小して領域VA2内に納める方が、現実空間RA2の軌跡と対応関係が保持され、メインキャラクタMCの動きの現実性を確保し得る。
【0054】
図9は軌跡TR6の高さH6をH0に縮小した軌跡TR9を示す。軌跡TR9は全体の幅を一定に保ちつつ高さのみをH0/H6に縮小している。軌跡TR9は領域VA2内に収まっているので、メインキャラクタMCの軌跡として処理可能となる。
【0055】
図10に示すように、仮想空間の領域VA2にイベントポイントIP11、IP12が設けられている場合、軌跡TR9を、これらイベントポイントIP11、IP12を通過するように修正することによって、イベントの発生頻度を確保することも可能である。軌跡TR9の修正は、イベントポイントIP11、IP12に最も近接した軌跡TR9上の点とイベントポイントを結ぶ等、種々の手法を採用し得るが、図10においては、町並みによる街路STが設定され、軌跡TR9上から最初にイベントポイントIP11を見通せた点LP1とイベントポイントIP11を結び、イベントポイントIP1から見通せる最もWP6よりの点LP2とIP11とを結ぶ手法を採用し得る。同様にイベントポイントIP12を見通せる最初の街路ST内の軌跡TR9上の点LP3と、イベントポイントIP12を結ぶことができる。このように修正された軌跡TR9の修正部分を2点鎖線TR90、その修正後の状態を1点鎖線TR91、修正されなかった部分をTR92で示す。なお街路STから外れて、町並み内を通過する軌跡TR9は建物内を訪れることを示す。
【0056】
図11は、軌跡TR6を領域VA2内に納める他の手法を示す。
【0057】
図6と同様、図11において領域VA2から高さH6の軌跡TR6がはみ出しており、軌跡TR6の幅はW6(<H0)、領域VA2の幅はW0(>H6)である。そこで、軌跡TR6を、不連続移動ポイントWP6を中心に90度(例えば時計まわりに)回転すれば、領域VA2に収まるサイズの軌跡TR611が生成される。TR611はそのままでは領域VAからはみ出すので、不連続移動ポイントWP6をWP611に移動した軌跡TR612を生成する。このような軌跡の回転によっても軌跡を領域内に収めることができ、回転および/または移動と縮小を組み合わせることも当然可能である。さらには、所望により、縮小に替えて拡大を採用し得る。
【0058】
以上の処理では現実空間の軌跡TRを部分的に仮想空間内の領域VA1、VA2に写像したが、鉄道路線RW上の軌跡のサイズによっては全体を仮想空間に投影することも可能である。
【0059】
図12は新たな仮想空間を示し、領域VA1、VA2よりも大きな領域VA3を設定している。
【0060】
図13に示すように、領域VA3は幅W00、高さH00であり、軌跡TRは幅W13全高H1131である。また軌跡TRを、領域RA1内の歩行範囲TR131と、鉄道路線部分TR132、領域RA2内およびその近傍の歩行範囲TR133に分けて考えるとき、鉄道路線部分TR132の高さはH132である。そこで、鉄道路線部分TR132を歩行部分TR131、TR133に比較して大きな縮小率で縮小して、領域VA3内に軌跡全体を収めるようにする。ここに、鉄道路線部分TR132は、歩行範囲TR131、TR133に比較して、行動パターンが限定され、その経路の長さに比較して経過時間も短いため、ゲームの効果、演出、娯楽性を損なう可能性は低い。
【0061】
図14は、起点STを固定したまま、歩行部分TR131、RT133を縮小せず、鉄道路線部分TR132の高さH132のみをH142に縮小し、全高をH141(<=H00)とした軌跡TR14を示す。なお、起点の移動が許容される場合には、H14をH00と等しいか、若干小さい高さに縮小すれば、軌跡を領域VA3内に納めることができる。
【0062】
以上のとおり、現実空間の位置情報に基づく軌跡は、適宜仮想空間に適合するよう修正され、ゲームの構成、演出を損なうことなく、現実空間のユーザ等の行動に密接に関連したオブジェクト動作を実現できる。このような軌跡の仮想空間への適合化に関して、CPU1000、システムメモリ1020は軌跡適合手段として機能する。
[位置情報検出・送信プログラム]
【0063】
ゲームシステムにおいて、携帯電話HPで検出した位置情報をゲーム装置GM1等に送信するために、携帯電話HPは図15、図16、図17の処理を実行する。
【0064】
図15において、携帯電話HPで検出した位置情報をゲーム装置GM1に送信するプログラムをインストールする際には、以下の各ステップが実行される。
【0065】
ステップS1501:まず、ゲーム装置GM1で実行されるゲームに関連した専用サイトから、位置情報を送信するプログラムをダウンロード等の方法で、プログラムを取得する。
【0066】
ステップS1502:ステップS1501に続いて、位置情報送信プログラムを起動し、ステップS1503に進む。
【0067】
ステップS1503:位置情報送信プログラムの初期設定(ゲーム装置アドレス、送信タイミング等)が完了しているか否か判断する。初期設定が完了しているときは、ステップS1507に進み、未設定のときはステップS1504に進む。
【0068】
ステップS1504:位置情報の送信先、すなわちゲーム装置GM1等のメールアドレスを設定し、ステップS1505に進む。
【0069】
ステップS1505:GPS信号に基づく位置検出実行のインターバル(タイミング)を設定する画面を表示部3010に表示し、ユーザが操作入力部3060からインターバルを入力したときに、ステップS1506に進む。
【0070】
ステップS1506:位置情報を自動送信するか否の設定や、自動送信タイミングの設定を行うための画面を表示部3010に表示し、ユーザが操作入力部3060からこれらの設定を行ったときに、ステップS1508に進む。
【0071】
ステップS1507:位置検出実行のタイミング、自動送信・手動送信の設定、自動送信タイミング等の設定変更を行うか否かを問い合わせる画面を表示部3010に表示する。ユーザが操作入力部3060によって設定変更を選択したときはステップS1504に進み、そうでないときはステップS1508に進む。
【0072】
ステップS1508:以上の設定に基づいて、GPS信号から位置情報を算出し、保存し、適宜ゲーム装置GM1に送信する。
【0073】
図16において、携帯電話HPにおけるステップS1508の処理は以下の各ステップによって実行される。
【0074】
ステップS1601:まづ、GPS信号を受信し、GPS信号に基づいて位置情報を算出するとともに、算出した位置情報をシステムメモリ3030に保存する。
【0075】
ステップS1602:ステップS1506で設定した位置情報送信のタイミングか否かを判断する。位置情報送信のタイミングとなったときはステップS1606に進み、そうでないときはステップS1603に進む。
【0076】
ステップS1603:システムメモリ3030のメモリ残量が所定値以上であるか否か、すなわち位置情報を保存するのに充分であるか否かを判断する。メモリ残量が所定値以下のときはステップS1604に進み、そうでないときいはステップS1601に戻る。
【0077】
ステップS1604:メモリ残量が不足している旨のメッセージを表示部3010に表示し、ステップS1605に進む。
【0078】
ステップS1605:位置情報をゲーム装置GM1に送信して、保存している位置情報を削除するか否かを問い合わせるメッセージを表示部3010に表示し、ユーザは操作入力部3060によって、位置情報の送信、削除を行うか否かを入力する。
【0079】
ユーザが位置情報の送信、削除を選択したときはステップS1606に進み、そうでないときはステップS1611に進む。
【0080】
ステップS1606:位置情報をゲーム装置GM1に送信し、保存された位置情報を削除する。
【0081】
ステップS1607:位置情報送信プログラムの終了を問い合わせる画面を表示し、ユーザは操作入力部3060によって、位置情報送信プログラムを終了するか否かを入力する。ユーザが位置情報送信プログラムの終了を選択したときはステップS1608に進み、そうでないときはステップS1601に戻る。
【0082】
ステップS1608:そのときシステムメモリ3030に保存されている、位置情報等の内容、容量やメモリ残量を表示部3010に表示し、ステップS1609に進む。
【0083】
ステップS1609:プログラム終了後にも位置情報をシステムメモリ3030や外部メモリ3034に保存するか否かを問い合わせる画面を表示部3010に表示し、ユーザは操作入力部3060によって、保存するか否かを入力する。ユーザが位置情報保存を選択したときはステップS1610に進み、そうでないときはステップS1611に進む。
【0084】
ステップS1610:位置情報をシステムメモリ3030や外部メモリ3034に保存し、そのまま処理を終了する。
【0085】
ステップS1611:保存データのエディット画面を表示し、一部の位置情報の削除等を実行し、そのまま処理を終了する。
【0086】
図17において、携帯電話HPにおけるステップS1601の処理は以下の各ステップによって実行される。
【0087】
ステップS1701:まず、GPS信号を検出するタイミングか否かを判断する。GPS信号を検出するタイミングであるとおきはステップS1702に進み、そうでないときはステップS1704に進む。
【0088】
ステップS1702:GPS信号を受信し得る受信圏内であるか否かを判断する。圏内であるときいはステップS703に進み、そうでないときはステップS1705に進む。
【0089】
ステップS1703:GPS信号を検出し、検出したGPS信号に基づいて位置情報を算出する。算出した位置情報はシステムメモリ3030に保存する。
【0090】
ステップS1704:プログラムを終了するか否かを判断する。終了すべきときはそのまま処理を終了し、そうでなけらばステップS1701に戻る。
【0091】
ステップS1705:携帯電話HPが圏外に位置したことを示す圏外フラグをオンとし、ステップS1706に進む。
【0092】
ステップS1706:圏内に入ったか否かを判断する。圏内に入ったときはステップS1707に進み、そうでなければステップS1710に進む。
【0093】
ステップS1707:携帯電話HPが圏外に位置した期間にGPS信号検出のタイミングに至ったか否かを判断する。GPS信号検出のタイミングになったことがある場合、ステップS1708に進み、そうでなければステップS1709にジャンプする。
【0094】
ステップS1708:GPS信号を検出して位置情報を算出し、前回の圏外のタイミングの位置情報として保存する。
【0095】
ステップS1709:圏外フラグを外す。また圏外となる状況をハプニング要素として活用し、例えばハプニングポイントを「1」加算する等の処理が可能である。その後ステップS1701に戻る。
[ゲームプログラム]
【0096】
図18において、ゲーム装置GM1で実行されるゲームプログラムは以下の各ステップを実行する。
【0097】
ステップS1801:ゲームを開始すると、まず携帯電話HPから位置情報のメールが存在するか否かを判断する。位置情報を受信したときは、ステップS1802に進み、そうでないときはステップS1807に進む。
【0098】
ステップS1802:「位置情報を受信しました。計算しますか。」のメッセージをカラーLCD1060に表示する。
【0099】
ステップS1803:ユーザが入力装置1140によって、位置情報から軌跡を計算することを選択するか否かを判断する。「計算する」を選択した場合には、ステップS1804に進み、そうでないときはステップS1807に戻る。
【0100】
ステップS1804:位置情報に基づき軌跡を算出するとともに、イベント発生等のパラメータの設定を表示し、変更要否問い合わせのメッセージをカラーLCD1060に表示する。
【0101】
ステップS1805:ユーザが入力装置1140によって設定変更を選択するか否かを判断する。「設定変更」を選択した場合には、ステップS1808に進み、そうでないときはステップS1806に進む。
【0102】
ステップS1806:軌跡を採用したゲームを進行し、ゲーム終了後、処理を終了する。
【0103】
ステップS1807:位置情報に基づく軌跡を使用しないゲームを実行し、ゲーム終了後そのまま処理を終了する。
【0104】
ステップS1808:ステップS1805で「設定変更」が選択されたときは、設定変更画面をカラーLCD1060に表示し、ユーザは入力装置1140によって設定変更を行う。
【0105】
図19において、ステップS1807において軌跡を使用するゲームを実行する際には、以下の各ステップによってマッピングを実行する。
【0106】
ステップS1901:図5、図6、図13に示すように、まず現実空間の位置情報から計算した軌跡をそのまま仮想空間に投影してみる。
【0107】
ステップS1902:ステップS1901に続いて軌跡上のユーザの移動速度を解析し、ステップS1903に進む。
【0108】
移動速度解析に関して、CPU1000、システムメモリ1020は協働して速度検出手段として機能する。
【0109】
ステップS1903:仮想空間における所定の領域(図5のVA1、図6のVA2、図13のVA3等)に軌跡が収まったか否かを判断する。軌跡が領域内に収まったときはステップS1911に進み、そうでないときはステップS1904に進む。
【0110】
ステップS1904:軌跡のサイズと領域のサイズの比率を評価する。例えば図5において、仮想空間軌跡領域VA1内に軌跡TRが全て収まり、あるいは領域VA1のサイズに対する軌跡TRのサイズの比率が所定値(例えば2倍)以下であれば、領域VA1に軌跡TR全体を収めるような処理を実行する。一方、図4〜図6のように軌跡TRが領域VA1に比較して大きい(2倍以上)ため、領域VA1の他に領域VA2を生成し、図6のようにマッピングを実行する。
【0111】
ステップS1905:ステップS1904で軌跡サイズが領域サイズに比較して所定比率以下と判断されたのときは、領域内に収まるように軌跡を縮小する。これは、図9に示す処理である。なお、ステップS1906でユーザが乗り物に乗っていないにもかかわらず軌跡サイズが大きいと判断されたとき、すなわち極めて長時間のウォーキングを行ったとき等には、一般的な比率を越えて軌跡を縮小して領域内に納める。そうでないときはステップS1911に進む。
【0112】
ステップS1906:ステップS1904で軌跡サイズが領域サイズに比較して所定倍率より大と判断されたのときは、ユーザが現実空間で比較的速い乗り物(例えば、図20のレベルII以上)に乗ったか否かを判断する。乗り物に関する判断は、ユーザの移動速度に基づいて判断する。ユーザが乗り物に乗ったときはステップS1907に進み、そうでないときはステップS1905に戻る。
【0113】
ステップS1907:領域内に不連続移動ポイントが存在するか否かを判断する。図7のWP7、WP8のように不連続移動ポイントが存在するときは、ステップS1909に進み、そうでないときはステップS1908に進む。
【0114】
ステップS1908:軌跡サイズが所定値以下か否かを判断する。所定値以下のときはステップS1905に戻り、一般的な比率を越えて軌跡を縮小して領域内に納める。
【0115】
ステップS1909:不連続移動ポイントから別個の領域へ不連続移動する処理を行い、個々の領域(VA1、VA2)について軌跡を収める処理を実行するために、ステップS1904に戻る。
【0116】
ステップS1910:図13、図14に示すように、乗り物の軌跡を歩行の軌跡よりも大きい縮小率で縮小しつつ、軌跡全体を縮小して領域に納める。その後ステップS1911に進む。
【0117】
ステップS1911:以上の処理により、領域内に収まった軌跡について、適宜最適化を行う。最適化は主にイベントを充分に発生させることを目的に実行される。
【0118】
図20において、ステップS1902の速度解析は以下の各ステップによって実行される。
【0119】
ステップS2001:まず位置情報検出時に圏外となったことがあるか否かを判断する。圏外の判断は位置情報が所定インターバルから外れたことによって判断でき、あるいはステップS1705でオンとした圏外フラグを携帯電話PHで保存しておき、位置情報とともに受信することによっても判定可能できる。圏外となったことがあればステップS2016に進み、そうでなければステップS2002に進む。
【0120】
ステップS2002:速度評価すべき軌跡部分を軌跡の一端に設定し、ステップS2003に進む。
【0121】
ステップS2003:ステップS2002に続いて、順次軌跡各部の位置情報の座標をインターバル(時間)で差分した差分値DLを算出する。差分値DLはユーザの移動速度に対応する。
【0122】
ステップS2004:ステップS2003に続いて、軌跡部分の差分値DLが第1の速度V1(例えば1km/h)より小か否か判断する。速度V1には例えば最低歩行速度が設定される。DL<V1のときはユーザが停止していると判断してステップS2018に進み、そうでないときはステップS2005に進む。ステップS2018では停止フラグをオンにする。
【0123】
ステップS2005:以前の処理で停止フラグがオンになっているか否かを判断する。停止フラグオンのときはステップS2006に進み、そうでないときはステップS2007にジャンプする。
【0124】
ステップS2006:停止フラグをオフとし、ステップS2007に進む。
【0125】
ステップS2007:軌跡部分の差分値DLが第2の速度V2(例えば20km/h)より小か否か判断する。速度V2には例えば最速歩行速度が設定される。DL<V2のときはユーザが歩行していると判断してステップS2020に進み、そうでないときは乗り物に乗っていると判断してステップS2008に進む。
【0126】
ステップS2008:軌跡部分の差分値DLが第3の速度V3(例えば8km/h)より小か否か判断する。速度V3には例えば乗り物最低速度が設定される。DL<V3のときはユーザが乗り物から降りたと判断してステップS2009に進み、そうでないときは乗り物に乗ったと判断してステップS2011に進む。
【0127】
ステップS2009:以前の処理で乗り物フラグがオンになっているか否かを判断する。乗り物フラグオンのときはステップS2010に進み、そうでないときはステップS2016にジャンプする。
【0128】
ステップS2010:乗り物フラグをオフとし、ステップS2016に進む。
【0129】
ステップS2011:乗り物フラグをオンとし、ステップS2012に進む。
【0130】
ステップS2012:差分値DLを第4の速度V4(例えば30km/h)、第5の速度V5(例えば100km/h)と比較し、乗り物の速度レベルを評価する。評価結果に基づき、DL<=V3のときはステップ2013に進み、V4<DL<=V5のときはステップS2014に進み、DL>V5のときはステップS2015に進む。
【0131】
ステップS2013:移動速度を、速度レベルI(例えば自転車等の軽車両の速度)に設定し、ステップS2016に進む。
【0132】
ステップS2014:V3<DL<=V4のときは、速度レベルII(例えば自動車、電車等の速度)に設定し、ステップS2016に進む。
【0133】
ステップS2015:DL>V4のときは、速度レベルIII(航空機、リニアモーターカー等の高速の乗り物の速度)に設定し、ステップS2016に進む。
【0134】
ステップS2016:軌跡区間を進め、ステップS2017に進む。
【0135】
ステップS2017:全ての軌跡部分の処理が終了したか否かを判断する。終了したときはそのまま処理を終了し、未処理軌跡区間が残っているときはステップステップS2003に戻る。
【0136】
ステップS2018:停止フラグをオンとし、ステップS2016に進む。
【0137】
ステップS2019:歩行状態と判定し、ステップS2016に進む。
【0138】
図21において、ステップS2016の圏外位置情報補間は以下の各ステップによって実行される。
【0139】
ステップS2101:圏外区間と推定される区間の前後で検出された圏内位置情報を直線で結び、その中点の位置情報を補間する。
【0140】
ステップS2102:ステップS2101に続いて、軌跡に対して地形による最適化を要するか否かを判断する。地形による最適化とは、図22に示すように、圏内の位置情報PP221、PP222によって補間された位置情報PP223が前人未踏の森F22の中に位置する場合等、不適当と思われる場合、その修正を行う処理をいう。最適化を要するときはステップS2103に進み、そうでないときはそのまま処理を終了する。
【0141】
ステップS2103:図22の場合、位置情報PP223を通る軌跡TR221を、森F22の北側を通る軌跡TR221、森F22の南側で湖LA22の北側を通る軌跡TR222、森F22の南側で湖LA22の南側を通る軌跡TR223等が候補に挙がり、その中から、例えば最も経路の短い軌跡TR222が選択される。最適化された軌跡は必ずしみ直線にはならないので、連続直線の接続点CP221、CP222を補間位置情報とする。
【0142】
図23において、図19のステップS1911の処理、すなわち軌跡の最適化の処理は以下の各ステップによって実行される。
【0143】
ステップS2301:領域に納められた軌跡において、確率的な処理により充分なイベントが発生するか否かを判断する。充分なイベントが発生するときはそのまま処理を終了し、そうでないときはステップS2302に進む。
【0144】
ステップS2302:イベント発生のために、既に軌跡修正が活用されているか否かを判断する。軌跡修正が活用されていないときはステップS2303に進み、そうでないときはそのまま処理を終了する。
【0145】
ステップS2303:軌跡修正によってあらたに採用し得るイベントポイントが存在するか否かを判断する。軌あらたに採用し得るイベントポイントが存在するときはステップS2305に進み、そうでないときはステップS2304に進む。
【0146】
ステップS2304:現在不連続移動が実行され、現在の不連続移動ポイントを他の不連続移動ポイントに変更し得るか否かを判断する。不連続移動ポイントに変更し得るときはステップS2306に進み、そうでないときはそのまま処理を終了する。
【0147】
ステップS2305:あらたなイベントポイントを採用し得るように軌跡を修正し、そのまま処理を終了する。これは、図10においてイベントポイントIP11、IP12を追加した処理である。
【0148】
ステップS2306:不連続移動ポイント変更によりイベントが増加するか否か判断する。イベントが増加するときはステップS2307に進み、そうでないときはそのまま処理を終了する。
【0149】
ステップS2307:不連続移動ポイントを変更してイベントを増加し、そのまま処理を終了する。
【0150】
なお、増加すべきイベントは、人に遭遇するイベント、店舗に遭遇するイベント、その他のハプニング等、イベントの種類ごとに、確率を変化させてもよい。
【0151】
さらに、図23の処理に加え、軌跡の回転の処理(図11)や、回転と拡大・縮小を組み合わせによりイベントを増加させる処理も適宜採用し得る。
【0152】
図24において、図18のステップS1806(ゲーム進行)におけるイベント設定の処理は以下の各ステップによって実行される。
【0153】
ステップS2401:乗り物フラグがオンか否かを判断する。乗り物フラグがオンのときはステップS2405に進み、そうでないときはステップS2402に進む。
【0154】
ステップS2402:停止フラグがオンか否かを判断する。停止フラグがオンのときはステップS2404に進み、そうでないときはステップS2403に進む。
【0155】
ステップS2403:歩行時の通常のイベントを設定し、そのまま処理を終了する。
【0156】
ステップS2404:停止のイベントである立寄りイベント(店舗等に立寄るイベント)を設定し、そのまま処理を終了する。
【0157】
ステップS2405:乗り物における速度レベルを評価する。速度レベルがレベルIのときはステップS2406に進み、速度レベルがレベルIIのときはステップS2407に進み、速度レベルがレベルIIIのときはステップS2408に進む。
【0158】
ステップS2406:歩行時の通常のイベントを、発生の確率を大幅に低下させて適用する。これは、乗り物利用により高速移動する代償として、歩行中のイベントが一部キャンセルされることを意味する。その後処理を終了する。
【0159】
ステップS2407:歩行時の通常のイベントをキャンセルし、乗合せ客と遭遇するあらたなイベントを設定する。これは、高速の乗り物の利用により歩行とは別個なイベントが生じることを意味する。その後処理を終了する。
【0160】
ステップS2408:歩行時の通常のイベントをキャンセルし、不連続移動および乗合せ客と遭遇するあらたなイベントを設定する。これは、きわめて高速の乗り物の利用による、不連続移動および、あらたなイベントの発生を意味する。その後処理を終了する。
【0161】
以上のとおり、移動状況によりイベントを設定することにより、イベントの態様が種々変化し、ユーザの好奇心刺激することによって、ゲームの楽しみを増大させることができる。
【0162】
イベント設定に関して、CPU1000、システムメモリ1020はイベント設定手段として機能する。
【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】本発明に係るゲーム装置の実施例を示すブロック図である。(実施例)
【図2】図1のゲーム装置を含むゲームシステムを示すブロック図である。(実施例)
【図3】図2のゲームシステムに使用される移動体通信端末を示すブロック図である。(実施例)
【図4】携帯電話によって位置情報が検出された現実空間の例を示す図である。(実施例)
【図5】図4の現実空間の領域に対応する仮想空間の領域を示す図である。(実施例)
【図6】図4の現実空間の他の領域に対応する仮想空間の領域を示す図である。(実施例)
【図7】図4の現実空間からの不連続移動の状況を示す図である。(実施例)
【図8】図4の現実空間からの他の不連続移動の状況を示す図である。(実施例)
【図9】図6の仮想空間の領域における軌跡の最適化の例を示す図である。(実施例)
【図10】図6の仮想空間の領域における軌跡の他の最適化の例を示す図である。(実施例)
【図11】図6の仮想空間の領域における軌跡のさらに他の最適化の例を示す図である。(実施例)
【図12】図4の現実空間の領域に対応する仮想区間の他の領域を示す図である。(実施例)
【図13】図12の仮想空間の領域における、最適化のための軌跡縮小の処理を示す図である。(実施例)
【図14】図13の処理に続く最適化の処理を示す図である。(実施例)
【図15】携帯電話における位置情報送信プログラムのインストールの処理を示すフローチャートである。(実施例)
【図16】図15のステップS1508の処理を示すフローチャートである。(実施例)
【図17】図16のステップS1601の処理を示すフローチャートである。(実施例)
【図18】ゲーム装置における位置情報を用いたゲームを開始する処理を示すフローチャートである。(実施例)
【図19】ゲーム装置における軌跡のマッピングの処理を示すフローチャートである。(実施例)
【図20】図19のステップS1902の処理を示すフローチャートである。(実施例)
【図21】図20のステップS2009の処理を示すフローチャートである。(実施例)
【図22】図21のステップS2103の処理の例を示す図である。(実施例)
【図23】図19のステップS1911の処理を示すフローチャートである。(実施例)
【図24】図18のステップS1806におけるイベント設定の処理を示すフローチャートである。(実施例)
【符号の説明】
【0164】
1000 CPU
1010 ブートROM
1020 システムメモリ
1030 ビデオディスプレイプロセッサ
1040 グラフィックメモリ
1050 LCDコントローラ
1060 カラーLCD
1070 オーディオプロセッサ
1080 オーディオメモリ
3000 GPS部
3010 表示部
3012 表示制御部
3020 制御部
3030 システムメモリ
3032 ROM
3034 外部メモリ
3040 送受信部
3050 音声入出力部
3052 マイク
3054 スピーカ
3060 操作入力部
3070 バイブレータ
3072 バイブレーション制御部
3080 タイマ
3090 ICチップ
3092 TVリモコン部
3094 指紋認証部
INS1、INS2 インストラクション装置
PH 携帯電話
SV サーバ
PC パーソナルコンピュータ
IN ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想空間内でオブジェクトを移動させる第1のオブジェクト制御手段と、
現実空間における遊戯者の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報取得手段で取得した位置情報に基づいて移動の軌跡を生成する軌跡生成手段と、
前記軌跡を前記仮想空間に適合させる軌跡適合手段と、
前記軌跡適合手段によって前記仮想空間に適合された軌跡に基づいて前記オブジェクトを移動させる第2のオブジェクト制御手段と、
を備えたゲーム装置。
【請求項2】
前記位置情報取得手段は、ユーザの移動体通信端末がGPS(global positioning system)信号に基づいて算出した位置情報を、前記移動体通信端末から受信することを特徴とする請求項1記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記軌跡適合手段は、前記軌跡を仮想空間内の所定の領域に納めるように前記軌跡を修正することを特徴とする請求項1または2記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記軌跡適合手段は、前記軌跡を縮小することによって、仮想空間内の所定の領域に納めることを特徴とする請求項3記載のゲーム装置。
【請求項5】
前記軌跡適合手段は、仮想空間内の複数の領域間の不連続移動を設定することによって、前記軌跡を複数の領域に納めることを特徴とする請求項3記載のゲーム装置。
【請求項6】
前記軌跡適合手段は、前記オブジェクトの移動速度が所定値以上のときに、前記オブジェクトを他の領域内の所定位置に不連続移動させることを特徴とする請求項5記載のゲーム装置。
【請求項7】
前記位置情報に基づいて、現実空間内の移動速度を算出する速度算出手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のゲーム装置。
【請求項8】
前記軌跡適合手段は、前記現実空間内の移動速度に応じた縮小率で前記軌跡を縮小することを特徴とする請求項7記載のゲーム装置。
【請求項9】
前記軌跡適合手段によって前記領域に適合化された前記軌跡について、前記オブジェクトに発生するイベントを設定するイベント設定手段をさらに備えることを特徴とする請求項7または8記載のゲーム装置。
【請求項10】
前記移動速度に基づいて、前記仮想空間内で前記オブジェクトに発生するイベントを設定するイベント設定手段をさらに備えることを特徴とする請求項9記載のゲーム装置。
【請求項11】
現実空間で、GPS(global positioning system)信号に基づいて遊戯者の位置情報を算出して、送信する移動体通信端末と、
仮想空間内でオブジェクトを移動させる第1のオブジェクト制御手段と、前記移動体通信端末が送信する位置情報を受信する位置情報取得手段と、前記位置情報取得手段で取得した位置情報に基づいて移動の軌跡を生成する軌跡生成手段と、前記軌跡を前記仮想空間に適合させる軌跡適合手段と、前記軌跡適合手段によって前記仮想空間に適合された軌跡に基づいて前記オブジェクトを移動させる第2のオブジェクト制御手段と、を備えたゲーム装置と、
を備えたゲームシステム。
【請求項12】
前記ゲーム装置における前記軌跡適合手段によって前記領域に適合化された前記軌跡について、前記オブジェクトに発生するイベントを設定するイベント設定手段をさらに備えることを特徴とする請求項11記載のゲーム装置。
【請求項13】
仮想空間内でオブジェクトを移動させる第1のオブジェクト制御ステップと、
現実空間における遊戯者の位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記位置情報取得手段で取得した位置情報に基づいて移動の軌跡を生成する軌跡生成ステップと、
前記軌跡を前記仮想空間に適合させる軌跡適合ステップと、
前記軌跡適合手段によって前記仮想空間に適合された軌跡に基づいて前記オブジェクトを移動させる第2のオブジェクト制御ステップと、
を備えたゲームプログラム。
【請求項14】
前記軌跡適合手段によって前記領域に適合化された前記軌跡について、前記オブジェクトに発生するイベントを設定するイベント設定手段をさらに備えることを特徴とする請求項11記載のゲーム装置。
【請求項15】
請求項13または14に記載のゲームプログラムが格納された情報処理装置読み取り可能な記憶媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2006−280480(P2006−280480A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−101967(P2005−101967)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
【Fターム(参考)】