説明

ゲーム装置、ゲーム制御方法、ならびに、プログラム

【課題】 仮想世界においてキャラクターをあるオブジェクトから別のオブジェクトへ移動させるゲームにおいて、移動ができそうな方向をプレイヤーに提示するゲーム装置等を提供する。
【解決手段】 ゲーム装置301の入力受付部305は、キャラクターを、それが居るオブジェクト内や他のオブジェクトへ移動させる指示入力を受け付け、指標計算部303は、キャラクターが居るオブジェクトから、他のオブジェクトへキャラクターを移動させると仮定した場合に、移動が失敗しない度合を表す指標を計算し、画像表示部304は、計算された指標に対応付けられる画像を、他のオブジェクトの方向に対応付けられる位置に表示し、キャラクタ移動部306は、入力を受け付けられた指示入力により、キャラクターを、キャラクターが居るオブジェクトで移動させ、他のオブジェクトへ移動させ、もしくは、他のオブジェクトへの移動を失敗させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想世界においてキャラクターをあるオブジェクトから別のオブジェクトへ移動させるようなゲームにおいて、移動ができそうな方向をプレイヤーにわかりやすく提示するゲーム装置、ゲーム制御方法、ならびに、これらをコンピュータにて実現するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、仮想世界においてキャラクターをあるオブジェクトから別のオブジェクトへ移動させるゲームは広く提供されている。このようなオブジェクト間の移動は、たとえばアクションゲームやシューティングゲーム、ロールプレイングゲーム等で、エレベーターで階床を移動したりする場合や、はね橋の一方から他方へわたる場合、風船などにつかまって場所を移動する場合、空飛ぶ絨毯に乗って場所を移動する場合など、種々想定される。そして、移動が失敗した場合、単に移動ができないのみであるもののほか、墜落してゲームオーバーとなるものなど、種々の態様が提供されている。このようなゲーム装置に関する技術は、以下の文献に開示されている。
【特許文献1】特許第3491754号
【0003】
本文献では、キャラクターと目標のオブジェクトとの距離が近く、所定の指向条件が満たされる場合には、キャラクターの一部の姿勢を自動的に変化させて目標のオブジェクトの方向を向くようにして、プレイヤーに、ゲームにおける目標をわかりやすく提示する技術が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、キャラクターの移動の自由度が高く、目標が必ずしも定められない場合や、キャラクターが移動可能な方向が複数ある場合などにも、プレイヤーにわかりやすくキャラクターが移動可能な方向を提示したい、との要望は大きい。
【0005】
また、このような移動可能な方向の提示は、キャラクターが移動する仮想世界のオブジェクトの配置(一般には「マップ」と呼ばれる。)が動的に生成されたり、マップが時間とともに変化する場合にも対応する必要がある。
【0006】
さらに、このような移動可能な方向の提示は、仮想世界の世界観とうまくマッチする工夫が可能なようにしたいという要望もある。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するものであり、仮想世界においてキャラクターをあるオブジェクトから別のオブジェクトへ移動させるようなゲームにおいて、移動ができそうな方向をプレイヤーにわかりやすく提示するゲーム装置、ゲーム制御方法、ならびに、これらをコンピュータにて実現するプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の目的を達成するため、本発明の原理にしたがって、下記の発明を開示する。
【0009】
本発明の第1の観点に係るゲーム装置は、複数のオブジェクトが配置され、当該複数のオブジェクトの少なくとも1つが移動する仮想世界において、あるオブジェクトの表面から他のオブジェクトの表面へキャラクターを移動させ、入力受付部、指標計算部、画像表示部、キャラクター移動部を備え、以下のように構成する。
【0010】
すなわち、入力受付部は、当該キャラクターを、当該キャラクターが現在配置されているオブジェクトの表面で移動させ、もしくは、他のオブジェクトの表面へ移動させる指示入力を受け付ける。
【0011】
キャラクターが配置されるオブジェクトとしては、エレベーターの床オブジェクト、跳ね橋の路面オブジェクト、廊下や階段などの通路オブジェクト、乗ると空を飛べる空飛ぶ絨毯オブジェクト、つかまると空を飛べる風船や鳥オブジェクト、のようなものが想定される。エレベーターの扉やドアなどは、本発明でいう「オブジェクト」としない。すなわち、本発明でいう「オブジェクト」は、キャラクターが、配置された「オブジェクト」とともに移動、もしくは、その「オブジェクト」の表面を移動という局面がゲーム上存在するものである。
【0012】
一方、指標計算部は、当該キャラクターが現在配置されているオブジェクトの表面から、他のオブジェクトの表面へ当該キャラクターを移動させる指示入力があったと仮定した場合に、当該移動が失敗しない度合を表す指標を計算する。
【0013】
この「指標」は移動が成功する確率そのものを使用しても良いが、もっと単純なものを使用しても良い。たとえば、エレベーターに扉がある場合は、たとえある階に近付いたとしても、扉が開くまで、その階の通路へ移動する指示入力があったと仮定しても扉という障害物があるからその移動は必ず失敗することとなるのであるが、本発明では、もっと単純に「度合」を考えても良い。
【0014】
たとえば、エレベーターの床からある階へ移動する場合は、その階に近付けば近づくほど、当該移動が失敗しない度合を高くする、等である。この場合には、プレイヤーは、エレベーターの扉が開く前から、扉の開く方向を予想することができるので、キャラクターの向きをあらかじめその方向に設定しておき、迅速にキャラクターを移動させることも可能となる。
【0015】
さらに、画像表示部は、計算された指標に対応付けられる画像を、当該他のオブジェクトの方向に対応付けられる位置に表示する。
【0016】
すなわち、どちらの方向に進むことができそうであるか、を表す画像が画面に表示されるのである。表示の手法は種々考えられる。たとえば、8方向に移動指示が出せるコントローラを使用している場合、画面の隅に円を8分割した扇形領域を用意しておき、8分割のそれぞれの方向に存在する他のオブジェクトへ移動できる可能性が高ければ扇形を明るく、低ければ扇形を暗く、あるいは、透明に表示する等である。ゲーム世界にマッチするような表示手法については、後述する。
【0017】
一方、キャラクター移動部は、入力を受け付けられた指示入力により、当該キャラクターを、当該キャラクターが現在配置されているオブジェクトの表面で移動させ、他のオブジェクトの表面へ移動させ、もしくは、他のオブジェクトの表面への移動を失敗させる。
【0018】
たとえば、エレベーター内で向きや位置を変更したり、エレベーターがある階床に到着した場合に、その通路へ移動したり、扉が開いていなければ移動を失敗させエレベーター内にとどまることとしたり、扉がなくその方向に床もない場合にそちらに移動したときはキャラクターを墜落させてゲームオーバーとしたり等の態様が考えられる。
【0019】
本発明によれば、仮想世界においてキャラクターをあるオブジェクトから別のオブジェクトへ移動させるようなゲームにおいて、移動ができそうな方向をプレイヤーにわかりやすく提示することができる。
【0020】
また、本発明のゲーム装置において、画像表示部は、当該計算された指標に対応付けられる画像を、当該キャラクターが現在配置されているオブジェクトの表面の周縁に割り当てられた複数の領域のうち、当該他のオブジェクトの方向に配置される領域に合成して表示するように構成することができる。
【0021】
たとえば、床が4角形で、4方向の壁のいずれにもドアがあるようなエレベーターを考える。そのエレベーターの床の周縁部に帯状の領域を4つ設定する。そして、次に移動する階で、扉が開く側の帯を明るくランプが光るように表示する。
【0022】
本発明によれば、仮想世界に配置されるオブジェクトの表面を用いて、キャラクターが移動できそうな方向をプレイヤーに提示するので、プレイヤーは、仮想世界に没入することができる一方で、オブジェクト表面を用いた直観的な提示によって、移動できそうな方向を容易に把握することができるようになる。
【0023】
また、本発明のゲーム装置において、指標計算部は、当該移動が失敗しない度合を表す指標を、当該キャラクターが現在配置されているオブジェクトと他のオブジェクトとの距離、および、当該距離の増減の傾向から計算するように構成する。
【0024】
すなわち、移動が成功する可能性は、当該キャラクターが現在配置されているオブジェクトと他のオブジェクトとの距離が小さければ小さいほど高いし、当該距離が減少傾向にあれば他のオブジェクトに近付いていることとなるから、高くなる、と想定する実施形態である。したがって、距離が近ければ近いほど、かつ、距離が減少傾向であればあるほど目立つように、これを表示する。
【0025】
たとえば、距離が近ければ近いほど、その方向に対応付けられる画像を明るく表示する。また、距離が増加傾向であれば青い度合を増し、距離が減少傾向もしくは維持傾向(あまり変化しない)であれば赤い度合を増す、のように、色彩を変化させて表示する。
【0026】
本発明によれば、当該移動が失敗しない度合を表す指標を容易に計算することができる一方で、画像を適切に指標に対応付ければ、プレイヤーは移動できそうな方向をあらかじめ知得することができるようになる。
【0027】
また、本発明のゲーム装置は、オブジェクト移動部をさらに備え、オブジェクト移動部は、当該仮想世界において、当該複数のオブジェクトのうち第1のオブジェクトを、第2のオブジェクトの近傍と第3のオブジェクトの近傍との間で移動させるように構成する。
【0028】
エレベーター(第1のオブジェクト)がある階床(第2のオブジェクト)と別の階床(第3のオブジェクト)との間を昇降するような場合を想定したもので、本発明は、上記発明の好適実施形態である。
【0029】
また、本発明のゲーム装置は、オブジェクト移動部をさらに備え、オブジェクト移動部は、当該仮想世界において、当該複数のオブジェクトのうち第1のオブジェクトが、第2のオブジェクトの近傍と、近傍でないところと、を移動するように、第1のオブジェクトと第2のオブジェクトの一方または双方を移動させる。
【0030】
跳ね橋の一方(第1のオブジェクト)と他方(第2のオブジェクト)や、棚状のエレベーターが左右に連続して配置され、これらが独立に上下に移動する場合に、ある棚から別の棚へ移動するような場合を想定したもので、本発明は、上記発明の好適実施形態である。
【0031】
また、本発明のゲーム装置は、指標計算部にかえて推測部を備えるように構成し、推測部は、現在から所定の時間内に、当該キャラクターが現在配置されているオブジェクトの表面から、他のオブジェクトの表面へ移動できるようになるか否かを推測し、画像表示部は、推測部により、移動できるようになると判断された場合、移動できるようになる旨を報知する画像を、当該他のオブジェクトの方向に対応付けられる位置に表示するように構成することができる。
【0032】
すなわち、本発明は、「移動が失敗しないと予想される指標」として「現在から所定時間内に、キャラクターが他のオブジェクトに移動できるようになるか否か」を採用するものである。
【0033】
本発明のその他の観点に係るゲーム制御方法は、複数のオブジェクトが配置され、当該複数のオブジェクトの少なくとも1つが移動する仮想世界において、あるオブジェクトの表面から他のオブジェクトの表面へキャラクターを移動させるゲーム装置を制御し、当該ゲーム装置は、入力受付部、指標計算部、画像表示部、キャラクター移動部を有し、当該ゲーム制御方法は、入力受付工程、指標計算工程、画像表示工程、キャラクター移動工程を備え、以下のように構成する。
【0034】
すなわち、入力受付工程では、入力受付部が、当該キャラクターを、当該キャラクターが現在配置されているオブジェクトの表面で移動させ、もしくは、他のオブジェクトの表面へ移動させる指示入力を受け付ける。
【0035】
一方、指標計算工程では、指標計算部が、当該キャラクターが現在配置されているオブジェクトの表面から、他のオブジェクトの表面へ当該キャラクターを移動させる指示入力があったと仮定した場合に、当該移動が失敗しない度合を表す指標を計算する。
【0036】
さらに、画像表示工程では、画像表示部が、計算された指標に対応付けられる画像を、当該他のオブジェクトの方向に対応付けられる位置に表示する。
【0037】
そして、キャラクター移動工程では、キャラクター移動部が、入力を受け付けられた指示入力により、当該キャラクターを、当該キャラクターが現在配置されているオブジェクトの表面で移動させ、他のオブジェクトの表面へ移動させ、もしくは、他のオブジェクトの表面への移動を失敗させる。
【0038】
また、本発明のゲーム制御方法は、指標計算部にかえて推測部を有するゲーム装置を制御するように構成し、指標計算工程にかえて推測工程を備え、推測工程では、推測部が現在から所定の時間内に、当該キャラクターが現在配置されているオブジェクトの表面から、他のオブジェクトの表面へ移動できるようになるか否かを推測し、画像表示工程では、画像表示部は、推測部により、移動できるようになると判断された場合、移動できるようになる旨を報知する画像を、当該他のオブジェクトの方向に対応付けられる位置に表示するように構成することができる。
【0039】
本発明のその他の観点に係るプログラムは、コンピュータを上記のゲーム装置として機能させ、コンピュータに上記のゲーム制御方法を実行させるように構成する。
【0040】
また、本発明のプログラムは、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、半導体メモリ等のコンピュータ読取可能な情報記憶媒体に記録することができる。
【0041】
上記プログラムは、プログラムが実行されるコンピュータとは独立して、コンピュータ通信網を介して配布・販売することができる。また、上記情報記憶媒体は、コンピュータとは独立して配布・販売することができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、仮想世界においてキャラクターをあるオブジェクトから別のオブジェクトへ移動させるようなゲームにおいて、移動ができそうな方向をプレイヤーにわかりやすく提示するゲーム装置、ゲーム制御方法、ならびに、これらをコンピュータにて実現するプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下に本発明の実施形態を説明する。以下では、理解を容易にするため、ゲーム用の情報処理装置を利用して本発明が実現される実施形態を説明するが、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【実施例1】
【0044】
図1は、プログラムを実行することにより、本発明のゲーム装置の機能を果たす典型的な情報処理装置の概要構成を示す模式図である。以下、本図を参照して説明する。
【0045】
情報処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM 102と、RAM(Random Access Memory)103と、インターフェイス104と、コントローラ105と、外部メモリ106と、画像処理部107と、DVD−ROM(Digital Versatile Disc ROM)ドライブ108と、NIC(Network Interface Card)109と、音声処理部110と、を備える。
【0046】
ゲーム用のプログラムおよびデータを記憶したDVD−ROMをDVD−ROMドライブ108に装着して、情報処理装置100の電源を投入することにより、当該プログラムが実行され、本実施形態のゲーム装置が実現される。
【0047】
CPU 101は、情報処理装置100全体の動作を制御し、各構成要素と接続され制御信号やデータをやりとりする。また、CPU 101は、レジスタ(図示せず)という高速アクセスが可能な記憶域に対してALU(Arithmetic Logic Unit)(図示せず)を用いて加減乗除等の算術演算や、論理和、論理積、論理否定等の論理演算、ビット和、ビット積、ビット反転、ビットシフト、ビット回転等のビット演算などを行うことができる。さらに、マルチメディア処理対応のための加減乗除等の飽和演算や、三角関数等、ベクトル演算などを高速に行えるように、CPU 101自身が構成されているものや、コプロセッサを備えて実現するものがある。
【0048】
ROM 102には、電源投入直後に実行されるIPL(Initial Program Loader)が記録され、これが実行されることにより、DVD−ROMに記録されたプログラムをRAM 103に読み出してCPU 101による実行が開始される。また、ROM 102には、情報処理装置100全体の動作制御に必要なオペレーティングシステムのプログラムや各種のデータが記録される。
【0049】
RAM 103は、データやプログラムを一時的に記憶するためのもので、DVD−ROMから読み出したプログラムやデータ、その他ゲームの進行やチャット通信に必要なデータが保持される。また、CPU 101は、RAM 103に変数領域を設け、当該変数に格納された値に対して直接ALUを作用させて演算を行ったり、RAM 103に格納された値を一旦レジスタに格納してからレジスタに対して演算を行い、演算結果をメモリに書き戻す、などの処理を行う。
【0050】
インターフェイス104を介して接続されたコントローラ105は、ユーザがレーシングゲームなどのゲーム実行の際に行う操作入力を受け付ける。
【0051】
射撃ゲームなどの場合には、拳銃型コントローラ(図示せず)がインターフェース104に接続され、ユーザの操作入力を受け付けるとともに、モニタに対する拳銃型コントローラの位置および向きを情報処理装置100において推定する。拳銃型コントローラの詳細については、後述する。
【0052】
図2は、コントローラ105の外観を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0053】
コントローラ105の左方には、上下左右を示す操作入力を行うのに利用される↑ボタン201、↓ボタン202、←ボタン203、→ボタン204が配置されている。
【0054】
右方には、決定操作入力を行うのに利用される○ボタン205、取消操作入力を行うのに利用される×ボタン206、メニュー表示等の指示入力を行うのに利用される△ボタン207、その他の指示入力を行うのに利用される□ボタン208が配置されている。
【0055】
中央には、SELECTボタン209、STARTボタン210のほか、アナログ入力の開始・停止を指示するためのANALOGボタン211、および、アナログ入力が有効か無効かを表示するためのインジケータ212が配置されている。
【0056】
また中央下部には、上下左右に限らない方向に大きさを伴う指示入力を行うためのジョイスティック213、214が配置されている。
【0057】
さらに、上方には、各種の指示入力に用いることができるL1ボタン215、L2ボタン216、R1ボタン217、R2ボタン218が配置されている。
【0058】
コントローラ105の各ボタン201〜208、215〜218には、圧力センサが配備され、アナログ入力が有効となっている場合には、いずれのボタンが押圧操作されているかを検知することができるほか、ユーザの押圧操作の圧力の大きさを0〜255の256段階で得ることができる。
【0059】
コントローラ105のジョイスティック213、214は、ひずみゲージが配備され、これらがどの方向にどれだけ曲げられているか、を検知することができる。
【0060】
図1に戻り、インターフェイス104を介して着脱自在に接続された外部メモリ106には、レーシングゲーム等のプレイ状況(過去の成績等)を示すデータ、ゲームの進行状態を示すデータ、チャット通信のログ(記録)のデータなどが書き換え可能に記憶される。ユーザは、コントローラ105を介して指示入力を行うことにより、これらのデータを適宜外部メモリ106に記録することができる。
【0061】
DVD−ROMドライブ108に装着されるDVD−ROMには、ゲームを実現するためのプログラムとゲームに付随する画像データや音声データが記録される。CPU 101の制御によって、DVD−ROMドライブ108は、これに装着されたDVD−ROMに対する読み出し処理を行って、必要なプログラムやデータを読み出し、これらはRAM 103等に一時的に記憶される。
【0062】
画像処理部107は、DVD−ROMから読み出されたデータをCPU 101や画像処理部107が備える画像演算プロセッサ(図示せず)によって加工処理した後、これを画像処理部107が備えるフレームメモリ(図示せず)に記録する。フレームメモリに記録された画像情報は、所定の同期タイミングでビデオ信号に変換され画像処理部107に接続されるモニタ(図示せず)へ出力される。これにより、各種の画像表示が可能となる。
【0063】
画像演算プロセッサは、2次元の画像の重ね合わせ演算やαブレンディング等の透過演算、各種の飽和演算を高速に実行できる。
【0064】
また、仮想3次元空間に配置され、各種のテクスチャ情報が付加されたポリゴン情報を、Zバッファ法によりレンダリングして、所定の視点位置から仮想3次元空間に配置されたポリゴンを所定の視線の方向へ俯瞰したレンダリング画像を得る演算の高速実行も可能である。
【0065】
さらに、CPU 101と画像演算プロセッサが協調動作することにより、文字の形状を定義するフォント情報にしたがって、文字列を2次元画像としてフレームメモリへ描画したり、各ポリゴン表面へ描画することが可能である。
【0066】
NIC 109は、情報処理装置100をインターネット等のコンピュータ通信網(図示せず)に接続するためのものであり、LAN(Local Area Network)を構成する際に用いられる10BASE−T/100BASE−T規格にしたがうものや、電話回線を用いてインターネットに接続するためのアナログモデム、ISDN(Integrated Services Digital Network)モデム、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)モデム、ケーブルテレビジョン回線を用いてインターネットに接続するためのケーブルモデム等と、これらとCPU 101との仲立ちを行うインターフェース(図示せず)により構成される。
【0067】
音声処理部110は、DVD−ROMから読み出した音声データをアナログ音声信号に変換し、これに接続されたスピーカ(図示せず)から出力させる。また、CPU 101の制御の下、ゲームの進行の中で発生させるべき効果音や楽曲データを生成し、これに対応した音声をスピーカから出力させる。
【0068】
音声処理部110では、DVD−ROMに記録された音声データがMIDIデータである場合には、これが有する音源データを参照して、MIDIデータをPCMデータに変換する。また、ADPCM形式やOgg Vorbis形式等の圧縮済音声データである場合には、これを展開してPCMデータに変換する。PCMデータは、そのサンプリング周波数に応じたタイミングでD/A(Digital/Analog)変換を行って、スピーカに出力することにより、音声出力が可能となる。
【0069】
このほか、情報処理装置100は、ハードディスク等の大容量外部記憶装置を用いて、ROM 102、RAM 103、外部メモリ106、DVD−ROMドライブ108に装着されるDVD−ROM等と同じ機能を果たすように構成してもよい。
【0070】
図3は、本発明の一つの実施形態に係るゲーム装置の概要構成を示す模式図である。以下、本図を参照して説明する。
【0071】
本実施形態のゲーム装置301は、オブジェクト移動部302、指標計算部303、画像表示部304、入力受付部305、キャラクタ移動部306を備える。
【0072】
オブジェクト移動部302は、仮想世界におけるマップの設定や生成と、エレベーターの床など、仮想世界で移動するオブジェクトの移動の制御とを担うもので、これらの位置や姿勢、移動の速度等を記憶するRAM 103と共働して、CPU 101がオブジェクト移動部302として機能する。
【0073】
入力受付部305は、オブジェクト表面でのキャラクターの移動やオブジェクトからオブジェクトへのキャラクターの移動の指示をプレイヤーから受け付けるもので、コントローラ105が入力受付部305として機能する。なお、矢印ボタンによってキャラクターの移動方向を指示することにより、オブジェクト表面でのキャラクターの移動とオブジェクトからオブジェクトへのキャラクターの移動の両方の指示を表現することも可能である。
【0074】
指標計算部303は、オブジェクト同士の位置関係やその関係の変化から、キャラクターがあるオブジェクトから別のオブジェクトへ移動できるか否かの可能性を推測するもので、オブジェクトの位置や姿勢、移動の速度等を記憶するRAM 103と共働して、CPU 101が指標計算部303として機能する。
【0075】
画像表示部304は、移動できると推測された方向を画面に表示してプレイヤーに知らせる役割を担い、CPU 101の制御の下、画像処理部107が画像表示部304として機能する。
【0076】
キャラクタ移動部306は、コントローラ105から入力された指示に基づいて仮想世界の中でキャラクターを移動させるもので、キャラクターの位置や姿勢、移動の速度、現在キャラクターが配置されているオブジェクトはどれか、等を記憶するRAM 103と共働して、CPU 101がキャラクタ移動部306として機能する。
【0077】
上記のように、ゲーム装置101にて実現されるゲームは、複数のオブジェクトが配置され、当該複数のオブジェクトの少なくとも1つが移動する仮想世界においてあるオブジェクトの表面から他のオブジェクトの表面へ、プレイヤーの指示に基づいて、キャラクターを移動させる局面を有するもので、本実施形態は、アクションゲーム、シューティングゲーム、ロールプレイイングゲーム等、各種のゲームに適用が可能である。
【0078】
図4は、本実施形態のゲーム装置にて実行されるゲーム制御処理の流れを示すフローチャートである。以下、本図を参照して説明する。
【0079】
ゲーム装置301において、まず、オブジェクト移動部302は、仮想空間に配置されるオブジェクト(キャラクターが移動可能なもの)と、各種障害物(キャラクターが移動できないもの)と、の位置、姿勢、移動の速度などのパラメータを初期設定する(ステップS401)。当該初期設定では、公知の自動マップ生成の技術などを応用することができる。
【0080】
次に、キャラクタ移動部306は、仮想空間に配置されるキャラクターの位置、姿勢、移動の速度、現在そのキャラクターが配置されているオブジェクトはどれか、などのパラメータを初期設定する(ステップS402)。
【0081】
尚、オブジェクト、障害物、キャラクターのパラメータは、いずれもRAM 103に一時的に記憶されるか、ハードディスクなどの外部記憶装置に記憶されることとする。
【0082】
キャラクターが配置されるオブジェクトとしては、エレベーターの床オブジェクト、跳ね橋の路面オブジェクト、廊下や階段などの通路オブジェクト、乗ると空を飛べる空飛ぶ絨毯オブジェクト、つかまると空を飛べる風船や鳥オブジェクト、のようなものが想定される。また、エレベーターの扉やドアなどは、障害物と考える。障害物には、所定の条件が満たされる(所定の階床に到着すると扉が開く、キャラクターが押すとドアが開く等。)と移動したりするものもある。
【0083】
そして、画像表示部304は、当該仮想世界内に設定された視点から、当該仮想世界内に設定された視線の方向へ、当該仮想世界を見た様子の画像をRAM 103に生成する(ステップS403)。この処理は、RAM 103に記憶されたオブジェクト、障害物、キャラクターの位置や姿勢と、これらに割り当てられるポリゴンやテクスチャの情報から、画像処理部107が行う。
【0084】
視点の位置や視線の方向は、プレイヤーが移動を指示するキャラクターの目の位置や視線の方向と一致させても良いし、当該キャラクターを外部から見る客観視点としても良い。
【0085】
ついで、指標計算部303は、RAM 103を参照して、当該キャラクターが現在配置されているオブジェクトを取得する(ステップS404)。そして、取得されたオブジェクトから所定の距離内にある他のオブジェクトを、RAM 103を参照して取得する(ステップS405)。
【0086】
ついで、ステップS404で取得された他のオブジェクトのそれぞれについて、ステップS406〜ステップS410の処理を繰り返す。すなわち、当該他のオブジェクト全部について当該処理をしたか判断し(ステップS406)、まだ未処理のものがあれば(ステップS406;No)、いずれか未処理の他のオブジェクトを選択し(ステップS407)、当該キャラクターが配置されるオブジェクトと、当該選択された他のオブジェクトと、の位置関係や相対速度の関係、両者の間の障害物の有無、当該障害物が移動するか否か、などの情報から、「指標」を計算する(ステップS408)。
【0087】
この「指標」は、キャラクターを、かりに現在配置されているオブジェクトから当該他のオブジェクトへ移動させようと仮定した場合に、その移動が失敗しない度合をあらわすものである。
【0088】
この「指標」は移動が成功する確率そのものを使用しても良いが、もっと単純なものを使用しても良い。たとえば、エレベーターに扉がある場合は、たとえある階に近付いたとしても、その階の通路へ移動する指示入力があったと仮定しても、扉が開くまで扉という障害物があるから、その移動は必ず失敗することとなるのであるが、本発明では、もっと単純に「度合」を考えても良い。
【0089】
たとえば、エレベーターの床からある階へ移動する場合は、その階に近付けば近づくほど、当該移動が失敗しない度合を高くする、等である。この場合には、プレイヤーは、エレベーターの扉が開く前から、扉の開く方向を予想することができるので、キャラクターの向きをあらかじめその方向に設定しておき、迅速にキャラクターを移動させることも可能となる。
【0090】
具体的には、以下のようなものが「指標」として利用可能である。
(a)当該キャラクターが配置されるオブジェクトと、当該他のオブジェクトと、が近ければ近いほど移動が失敗しにくくなるような値。単純に、両者の距離を「指標」とし、距離が大きければ移動が失敗しやすく、距離が小さければ移動が成功しやすい、というような対応付けをすることができる。距離には段階を付けても良い。
(b)上記(a)に加えて、当該キャラクターが配置されるオブジェクトと、当該他のオブジェクトと、が近付いていれば移動が成功しやすくなり、遠ざかっていれば移動が失敗しやすくなる、という値。両者の相対速度が負であれば移動が成功しやすく、両者の相対速度が正であれば移動が失敗しやすい、というような対応付けをすることができる。相対速度には段階を付けても良い。
(c)当該キャラクターが配置されるオブジェクトが移動するとあらかじめ設定された経路内(典型的には、エレベーターの場合の昇降の経路。)において、当該他のオブジェクトの近傍となる経路の部分に当該キャラクターが配置されるオブジェクトがあるか否か。当該他のオブジェクトが移動しない(典型的には、固定された階床の通路。)場合は、経路中でどこが他のオブジェクトの近傍部分となるかは、マップ生成の際にあらかじめ計算しておくことができるため、キャラクターが配置されるオブジェクトの位置のみによって、「指標」を計算することができる。
(d)プレイヤーの指示入力を乱数で生成させて模擬実験(シミュレーション)を行い、移動の成功率・失敗率から「指標」を定めるもの。コンピュータに現在の位置から所定の時間が経過するまでの間のプレイヤーの動作を高速にシミュレートさせてみるものである。
【0091】
さらに、画像表示部304は、得られた「指標」に対応付けられる画像を取得して(ステップS409)、RAM 103の中で、当該キャラクター配置されるオブジェクトから当該他のオブジェクトへの方向に対応付けられる場所に、当該取得された画像を書き込み(ステップS410)、ステップS406に戻る。
【0092】
当該キャラクターが配置されるオブジェクトから当該他のオブジェクトへの方向は、RAM 103に記憶されたこれらのオブジェクトの位置関係から計算することができる。図5は、このような繰り返し処理によって生成される画像の表示例を示す説明図である。
【0093】
本表示例では、(近い将来)どちらの方向にキャラクターが進むことができそうであるか、を表す画像が画面に表示される。
【0094】
本表示例では、画面501の画面の右下隅に円を8分割した扇形502が表示されている。そして、その扇形502のうち、画面上方向と画面左方向に配置されたものが強調表示されている(図中では斜線表示。)。また、それ以外の扇形502は、縁取がされているだけで透明表示されている(図中では点線表示)。
【0095】
これは、それぞれ、キャラクターが「前に移動することができそうである」「左に移動することができそうである」ことを表示している。
【0096】
強調表示の扇形の画像が「そちらの方向に移動できそうであることを表す指標」に対応付けられた画像であり、強調表示されていな扇型の画像が「そちらの方向に移動できなさそうなことを表す指標」に対応付けられた画像である。
【0097】
矢印キー201〜204を用いれば水平の前後左右にキャラクターを動かすことができるようにゲームを構成した場合は、4分割の扇形を利用することも可能である。また、ジョイスティック213を用いれば水平の任意の方向にキャラクターを動かすことができるので、より細かく方向を表すメーターのような図形を採用しても良い。
【0098】
このほか、本表示例では、画面501に、キャラクターの視点から見たエレベーター内の用紙が表示されている。エレベーターの床510、エレベーター正面の扉511、左の扉512、右の扉513も表示されている。
【0099】
床510には、各扉511〜513の下側の周縁部に帯状の発光領域521〜523が表示されている。
【0100】
図6はエレベーターの床オブジェクトの全体を表す説明図である。
【0101】
本図は、エレベーターの床510を上方から見た様子を表すもので、エレベーターの床510は正方形状の形状をしており、4方向に扉が存在する。すなわち、図5に表示される表示例では、背中側となるために表示されない扉も存在する。
【0102】
そして、各扉に対応して、発光領域521〜524が用意されている。この発光領域521〜524のそれぞれは、次の階床に到着したときに、どの扉が開き、どの方向へ移動することができそうか、を予告するものである。
【0103】
上記のように、現在は前と左に移動できそうである、と推測されているから、発光領域521、522が発光するように設定されており、発光領域523、524は暗いまま表示されるように設定されている。
【0104】
発光領域521〜524の発光の詳細については、以下のような態様を採用することもできる。すなわち、移動が成功する可能性は、当該キャラクターが現在配置されているオブジェクトと他のオブジェクトとの距離が小さければ小さいほど高いし、当該距離が減少傾向にあれば他のオブジェクトに近付いていることとなるから、高くなる。したがって、距離が近ければ近いほど、かつ、距離が減少傾向であればあるほど目立つように、これを表示する。たとえば、距離が近ければ近いほど、その方向に対応付けられる発光領域521〜524の画像を明るく表示する。また、距離が増加傾向であれば青い度合を増し、距離が減少傾向もしくは維持傾向(あまり変化しない)であれば赤い度合を増す、のように、色彩を変化させて表示することとしても良い。
【0105】
このほか、障害物である扉512〜514のうち、移動できそうな方向の扉を強調表示したり色彩や明暗を変更することで、指標に対応する画像とすることも可能である。
【0106】
このように、仮想世界のオブジェクトや障害物の画像に、指標に対応付けられる画像(色彩や明度の変更のみを行うものも含む。)を合成することで、プレイヤーに対して、移動できそうな方向を予告することができるのである。
【0107】
一方、すべての取得された他のオブジェクトすべてについて処理が完了したら(ステップS406;Yes)、垂直同期割り込みまで待機する(ステップS411)。この待機の間には、他の処理を適宜コルーチン的に実行することが可能である。
【0108】
垂直同期割り込みが発生したら、RAM 103に生成した画像情報を、フレームメモリに転送し(ステップS412)、モニタに表示させる。
【0109】
そして、コントローラ105のボタンやキーの操作状況を調べて、その操作状況に対応付けられる処理により、当該キャラクターを、当該キャラクターが現在配置されているオブジェクトの表面で移動させ、他のオブジェクトの表面へ移動させ、もしくは、他のオブジェクトの表面への移動を失敗させる等、キャラクターの状態を変化させる(ステップS413)。たとえば、矢印キー201〜204やジョイスティック213の操作がされていたら、その方向にキャラクターを移動させるよう試みるのである。
【0110】
たとえば、エレベーター内で向きや位置を変更したり、エレベーターがある階床に到着した場合に、その通路へ移動したり、扉が開いていなければ移動を失敗させエレベーター内にとどまることとしたり、扉がなくその方向に床もない場合にそちらに移動したときはキャラクターを墜落させてゲームオーバーとしたり等の態様が考えられる。
【0111】
ついで、オブジェクト移動部302は、RAM 103内に記憶されたパラメータに基づいて、オブジェクトや障害物のうち、移動するものを移動させ、RAM 103内に記憶されたパラメータを更新して(ステップS414)、ステップS403に戻る。
【0112】
なお、キャラクターやオブジェクト、障害物のの移動量は、垂直割り込み同期の時間間隔に対応する微小時間(典型的には60分の1秒)に対応する量とすると、プレイヤーにリアルタイム性を感じさせることができる。
【0113】
また、画面表示する画像の生成についても、上記実施形態では、一旦仮想世界の様子を表す画像を生成してから、それに指標に対応付けられる画像を合成していたが、仮想世界を表すポリゴン群に、指標に対応付けられるポリゴンを追加してから、仮想世界の様子を表す画像を生成する、という手順をとっても良い。
【0114】
このほか、一部のオブジェクト(エレベーターの床等)にキャラクターが配置されている場合についてのみ、ステップS404〜ステップS410の処理を行うこととし、そうでないオブジェクト(各階床の通路等)にいるキャラクターがいる場合は、移動できそうな方向の表示は省略することとしても良い。
【0115】
図7は、複数のオブジェクトが移動し、複数のオブジェクトが固定されているような場合の様子を示す説明図である。
【0116】
本図では、移動するオブジェクトは白抜きで、移動しないオブジェクトは斜線塗りでそれぞれ描かれている。
【0117】
キャラクター711が現在いるオブジェクト701は、オブジェクト707よりも上で、上下に移動して、オブジェクト704、オブジェクト705の近傍に移動しうるほか、移動する他のオブジェクト702の近傍に移動することもある。
【0118】
オブジェクト702も上下に移動して、オブジェクト706とオブジェクト707の近傍に移動しうる。オブジェクト703は、オブジェクト707、708の近傍に移動しうる。
【0119】
すなわち、エレベーターが3台存在するような場合に総合する。
【0120】
オブジェクト同士の高さがほぼ同じで隣接している場合には、プレイヤーは、キャラクター711を両オブジェクトの間で移動させることができる。したがって、オブジェクト701、702、703の上下移動に合わせてキャラクターを右や左や奥に移動させると、本例に示すすべてのオブジェクトを通過することも可能である。
【0121】
また、オブジェクト701、702には左右移動が可能な度合をあらわす発光領域が、オブジェクト703にはさらに奥移動が可能な度合をあらわす発光領域が、それぞれ、図6の場合と同様に用意されている。
【0122】
オブジェクト701とオブジェクト702は独立に上下動を行い、その高さが偶然ほぼ同じになった場合に、キャラクター711は、オブジェクト701とオブジェクト702の間を移動できる。
【0123】
高さが固定されたオブジェクトと移動するオブジェクトの間での移動が可能な否かは、移動するオブジェクトの位置(高さ)だけから発光領域を発光させるか否かをあらかじめ決定することも可能であるが、移動する2つのオブジェクトについて、両者が近付いているか否かは、あらかじめ場所を決めることは困難な場合もあり、動的に決定することが望ましい。したがって、オブジェクト701とオブジェクト702との間の移動が可能な否かを示す発光領域は、両者の現在の高さの差によって、発光させるか否かを動的に決めることになる。
【0124】
また、発光領域は、他のいずれかのオブジェクトとの高さの差が小さくなると明るく発光し、どのオブジェクトとも高さが離れていると暗くなるように構成しても良い。これにより、発光領域の明るさを見れば、キャラクター711の移動に成功するかどうか(失敗すれば、オブジェクトから落下したりオブジェクトにつぶされたりしてゲームオーバとなる)を、プレイヤーは容易に知ることができるようになる。
【0125】
オブジェクト701、702からは、左右のオブジェクトに渡ることしかできないため、発光領域は左右にしか用意されていないが、オブジェクト703については、奥方向にも移動できるため、発光領域が三方向に用意されている。発光領域が用意されていない方向にキャラクター711を移動させると、墜落してゲームオーバーとなる。このように、移動できる方向をあらかじめマップから抽出して、その方向にのみ、発光領域を用意するような形態を採用することもできる。
【実施例2】
【0126】
上記実施形態では、キャラクターを移動させようとしたと仮定した場合にその移動が成功するか失敗するかの度合をあらわす指標を採用し、当該指標によって画像を適宜選択して表示していたが、本実施形態は、これをさらに単純化するものである。
【0127】
すなわち、本実施形態では、指標計算部303にかえて推測部を有するように、ゲーム装置301を構成する。
【0128】
そして、推測部は、現在キャラクターが配置されているオブジェクト(上記例では、エレベーターの床510やオブジェクト701)、および、その他のオブジェクトが、RAM 103に記憶されている現在のパラメータに基づいてそれぞれ移動したと仮定した場合に、現在から所定の時間内に、現在キャラクターが配置されているオブジェクトが、その他のオブジェクトの近傍となるか、を調べる。
【0129】
たとえば、図7の実施形態では、オブジェクト701〜703はそれぞれが昇降を繰り返しているから、所定時間内にそれぞれのオブジェクトが他のオブジェクトと隣り合って同じ高さになることがあるか否かは、その移動速度と現在の位置から予測することができる。
【0130】
そして、近傍になりうると予想されたオブジェクトの方向を、「現在から所定の時間内にキャラクターが移動可能となる方向」として、その方向を表す画像(上記例では、発光領域521〜524を発光させる画像)を表示するのである。
【0131】
本実施形態は、「キャラクターが移動可能な度合」として「近い将来にそちらの方向に移動可能となるか否か」を推測するものである。「近い将来」の近さの度合を示すパラメータが上記の「所定の時間」であるが、この長さは、オブジェクトの移動の速度等によって適宜変更することが望ましい。
【0132】
また、方向を表す画像を、「現在からどれだけ時間が経過すると移動可能となるのか」の時間長によって変化させても良い。たとえば、発光領域521〜524を発光させる場合は、移動可能な階床の通路に近付いていくとそれだけ、移動可能となるのにこれから必要な時間は短くなるので、それに応じて発光の度合を明るくする、等である。
【産業上の利用可能性】
【0133】
以上説明したように、本発明によれば、表示装置の画面に表示された目印を撮影部により撮影することによって当該撮影部の位置および向きを推定するのに好適なゲーム装置、ゲーム制御方法、ならびに、これらをコンピュータにて実現するプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明のゲーム装置が実現される典型的な情報処理装置の概要構成を示す模式図である。
【図2】本発明のゲーム装置にて使用可能なコントローラの外観を示す説明図である。
【図3】本実施形態に係るゲーム装置の概要構成を示す模式図である。
【図4】ゲーム制御処理の制御の流れを示すフローチャートである。
【図5】本実施形態において生成される画像の表示例を示す説明図である。
【図6】エレベーターの床オブジェクトの全体を表す説明図である。
【図7】複数のオブジェクトが移動し、複数のオブジェクトが固定されているような場合の様子を示す説明図である。
【符号の説明】
【0135】
100 情報処理装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 インターフェイス
105 コントローラ
106 外部メモリ
107 画像処理部
108 DVD−ROMドライブ
109 NIC
110 音声処理部
201 ↑ボタン
202 ↓ボタン
203 ←ボタン
204 →ボタン
205 ○ボタン
206 ×ボタン
207 △ボタン
208 □ボタン
209 SELECTボタン
210 STARTボタン
211 ANALOGボタン
212 インジケータ
213 ジョイスティック
214 ジョイスティック
215 L1ボタン
216 L2ボタン
217 R1ボタン
218 R2ボタン
301 ゲーム装置
302 オブジェクト移動部
303 指標計算部
304 画像表示部
305 入力受付部
306 キャラクタ移動部
501 画面
510 床
511 扉
512 扉
513 扉
521 発光領域
522 発光領域
523 発光領域
524 発光領域
701 上下移動するオブジェクト
702 上下移動するオブジェクト
703 上下移動するオブジェクト
704 高さ固定のオブジェクト
705 高さ固定のオブジェクト
706 高さ固定のオブジェクト
707 高さ固定のオブジェクト
708 高さ固定のオブジェクト
711 キャラクター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のオブジェクトが配置され、当該複数のオブジェクトの少なくとも1つが移動する仮想世界において、あるオブジェクトの表面から他のオブジェクトの表面へキャラクターを移動させるゲーム装置であって、
当該キャラクターを、当該キャラクターが現在配置されているオブジェクトの表面で移動させ、もしくは、他のオブジェクトの表面へ移動させる指示入力を受け付ける入力受付部、
当該キャラクターが現在配置されているオブジェクトの表面から、他のオブジェクトの表面へ当該キャラクターを移動させる指示入力があったと仮定した場合に、当該移動が失敗しない度合を表す指標を計算する指標計算部、
前記計算された指標に対応付けられる画像を、当該他のオブジェクトの方向に対応付けられる位置に表示する画像表示部、
前記入力を受け付けられた指示入力により、当該キャラクターを、当該キャラクターが現在配置されているオブジェクトの表面で移動させ、他のオブジェクトの表面へ移動させ、もしくは、他のオブジェクトの表面への移動を失敗させるキャラクター移動部
を備えることを特徴とする物。
【請求項2】
請求項1に記載のゲーム装置であって、
前記画像表示部は、当該計算された指標に対応付けられる画像を、当該キャラクターが現在配置されているオブジェクトの表面の周縁に割り当てられた複数の領域のうち、当該他のオブジェクトの方向に配置される領域に合成して表示する
ことを特徴とする物。
【請求項3】
請求項1または2に記載のゲーム装置であって、
前記指標計算部は、当該移動が失敗しない度合を表す指標を、当該キャラクターが現在配置されているオブジェクトと他のオブジェクトとの距離、および、当該距離の増減の傾向から計算する
ことを特徴とする物。
【請求項4】
請求項2または3に記載のゲーム装置であって、
当該仮想世界において、当該複数のオブジェクトのうち第1のオブジェクトを、第2のオブジェクトの近傍と第3のオブジェクトの近傍との間で移動させるオブジェクト移動部
をさらに備えることを特徴とする物。
【請求項5】
請求項2または3に記載のゲーム装置であって、
当該仮想世界において、当該複数のオブジェクトのうち第1のオブジェクトが、第2のオブジェクトの近傍と、近傍でないところと、を移動するように、第1のオブジェクトと第2のオブジェクトの一方または双方を移動させるオブジェクト移動部
をさらに備えることを特徴とする物。
【請求項6】
複数のオブジェクトが配置され、当該複数のオブジェクトの少なくとも1つが移動する仮想世界において、あるオブジェクトの表面から他のオブジェクトの表面へキャラクターを移動させるゲーム装置を制御するゲーム制御方法であって、当該ゲーム装置は、入力受付部、指標計算部、画像表示部、キャラクター移動部を備え、
前記入力受付部が、当該キャラクターを、当該キャラクターが現在配置されているオブジェクトの表面で移動させ、もしくは、他のオブジェクトの表面へ移動させる指示入力を受け付ける入力受付工程、
前記指標計算部が、当該キャラクターが現在配置されているオブジェクトの表面から、他のオブジェクトの表面へ当該キャラクターを移動させる指示入力があったと仮定した場合に、当該移動が失敗しない度合を表す指標を計算する指標計算工程、
前記画像表示部が、前記計算された指標に対応付けられる画像を、当該他のオブジェクトの方向に対応付けられる位置に表示する画像表示工程、
前記キャラクター移動部が、前記入力を受け付けられた指示入力により、当該キャラクターを、当該キャラクターが現在配置されているオブジェクトの表面で移動させ、他のオブジェクトの表面へ移動させ、もしくは、他のオブジェクトの表面への移動を失敗させるキャラクター移動工程
を備えることを特徴とする方法。
【請求項7】
コンピュータを、複数のオブジェクトが配置され、当該複数のオブジェクトの少なくとも1つが移動する仮想世界において、あるオブジェクトの表面から他のオブジェクトの表面へキャラクターを移動させるゲーム装置として機能させるプログラムであって、
当該プログラムは、当該コンピュータを、
当該キャラクターを、当該キャラクターが現在配置されているオブジェクトの表面で移動させ、もしくは、他のオブジェクトの表面へ移動させる指示入力を受け付ける入力受付部、
当該キャラクターが現在配置されているオブジェクトの表面から、他のオブジェクトの表面へ当該キャラクターを移動させる指示入力があったと仮定した場合に、当該移動が失敗しない度合を表す指標を計算する指標計算部、
前記計算された指標に対応付けられる画像を、当該他のオブジェクトの方向に対応付けられる位置に表示する画像表示部、
前記入力を受け付けられた指示入力により、当該キャラクターを、当該キャラクターが現在配置されているオブジェクトの表面で移動させ、他のオブジェクトの表面へ移動させ、もしくは、他のオブジェクトの表面への移動を失敗させるキャラクター移動部
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
複数のオブジェクトが配置され、当該複数のオブジェクトの少なくとも1つが移動する仮想世界において、あるオブジェクトの表面から他のオブジェクトの表面へキャラクターを移動させるゲーム装置であって、
当該キャラクターを、当該キャラクターが現在配置されているオブジェクトの表面で移動させ、もしくは、他のオブジェクトの表面へ移動させる指示入力を受け付ける入力受付部、
現在から所定の時間内に、当該キャラクターが現在配置されているオブジェクトの表面から、他のオブジェクトの表面へ移動できるようになるか否かを推測する推測部、
前記推測部により、移動できるようになると判断された場合、移動できるようになる旨を報知する画像を、当該他のオブジェクトの方向に対応付けられる位置に表示する画像表示部、
前記入力を受け付けられた指示入力により、当該キャラクターを、当該キャラクターが現在配置されているオブジェクトの表面で移動させ、他のオブジェクトの表面へ移動させ、もしくは、他のオブジェクトの表面への移動を失敗させるキャラクター移動部
を備えることを特徴とする物。
【請求項9】
複数のオブジェクトが配置され、当該複数のオブジェクトの少なくとも1つが移動する仮想世界において、あるオブジェクトの表面から他のオブジェクトの表面へキャラクターを移動させるゲーム装置を制御する制御方法であって、前記ゲーム装置は、入力受付部、推測部、画像表示部、キャラクター移動部を有し、
前記入力受付部が、当該キャラクターを、当該キャラクターが現在配置されているオブジェクトの表面で移動させ、もしくは、他のオブジェクトの表面へ移動させる指示入力を受け付ける入力受付工程、
前記推測部が、現在から所定の時間内に、当該キャラクターが現在配置されているオブジェクトの表面から、他のオブジェクトの表面へ移動できるようになるか否かを推測する推測工程、
前記画像表示部が、前記推測部により、移動できるようになると判断された場合、移動できるようになる旨を報知する画像を、当該他のオブジェクトの方向に対応付けられる位置に表示する画像表示工程、
前記キャラクター移動部が、前記入力を受け付けられた指示入力により、当該キャラクターを、当該キャラクターが現在配置されているオブジェクトの表面で移動させ、他のオブジェクトの表面へ移動させ、もしくは、他のオブジェクトの表面への移動を失敗させるキャラクター移動工程
を備えることを特徴とする方法。
【請求項10】
コンピュータを、複数のオブジェクトが配置され、当該複数のオブジェクトの少なくとも1つが移動する仮想世界において、あるオブジェクトの表面から他のオブジェクトの表面へキャラクターを移動させるゲーム装置として機能させるプログラムであって、
当該プログラムは、当該コンピュータを、
当該キャラクターを、当該キャラクターが現在配置されているオブジェクトの表面で移動させ、もしくは、他のオブジェクトの表面へ移動させる指示入力を受け付ける入力受付部、
現在から所定の時間内に、当該キャラクターが現在配置されているオブジェクトの表面から、他のオブジェクトの表面へ移動できるようになるか否かを推測する推測部、
前記推測部により、移動できるようになると判断された場合、移動できるようになる旨を報知する画像を、当該他のオブジェクトの方向に対応付けられる位置に表示する画像表示部、
前記入力を受け付けられた指示入力により、当該キャラクターを、当該キャラクターが現在配置されているオブジェクトの表面で移動させ、他のオブジェクトの表面へ移動させ、もしくは、他のオブジェクトの表面への移動を失敗させるキャラクター移動部
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−271784(P2006−271784A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−97511(P2005−97511)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】