説明

コアヤーン紡績装置における芯糸のテンション調整装置

【課題】コアヤーン紡績装置において、芯糸の供給ライン上に、テンサーを設け、該テンサーに対する芯糸の巻き付き角を変更可能にし、芯糸のテンションの微調整、糸継ぎ時のテンションの調整を可能になした芯糸テンション調整装置を提供すること。
【解決手段】ドラフトされた繊維束4に対し芯糸Fを供給しつつ、旋回空気流を作用させて、該繊維束と芯糸とによりコアヤーンを製造するコアヤーン紡績装置において、供給中における芯糸のテンションを調整するためのテンション調整装置であり、芯糸の供給ライン上に、一定の間隔を隔てて配置される上流側ヤーンガイド22および下流側ヤーンガイド23を備えており、上流側ヤーンガイドと下流側ヤーンガイドとの間に、芯糸の糸道を屈曲させて、芯糸の巻き付き角を変更することによって芯糸のテンションを調整するようにした糸道屈曲変更手段30を設けたことをコアヤーン紡績装置における芯糸のテンション調整装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コアヤーンの製造時における芯糸の供給に際して、該芯糸のテンションを調整するためのテンション調整装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ドラフト装置でドラフトされた繊維束に、フィラメント糸あるいはスパン糸などの芯糸を供給して、これらを空気紡績ノズルに導入通過させて、その旋回空気流の作用により、コアヤーンを製造するコアヤーン製造装置ならびに製造方法がよく知られている。
【0003】
従来のコアヤーンの製造装置を使用してコアヤーンを紡出する際、紡糸中にコアとなる芯糸に適正なテンションを付与することが、糸品質を左右する重要な要素である。一方また、自動コアヤーン製造装置において、糸継ぎ時に芯糸を供給する際には、過度のテンションが掛かっていると、芯糸の供給ができないために、糸継ぎ時には、芯糸のテンションを下げる必要がある。
【0004】
このように、コアヤーンの製造装置において、ドラフトされた繊維束に対して芯糸を供給する際、状況に応じて、該芯糸のテンションを調整する必要があり、そのための幾種類かのテンサーが提供されている。
【0005】
紡糸中の芯糸に対して適正なテンションを付与する装置として、現状では、上下のテンサーディスクにより芯糸を挟み、上側に錘を乗せて、それによってテンションの制御をする構造のものが提案されている。さらに、現状のテンション付与装置では、紡糸開始時にはこの上側のディスクを持ち上げ、無テンションの状態にすることができるようにもなっている。この上側ディスクを持ち上げて、無テンションの状態にする理由は、芯糸入れ時に、該芯糸にテンションをかからなくするためである。紡績開始時(芯糸入れ時)は、芯糸を紡績装置のドラフト部に入れるため空気の力で芯糸を飛ばしているが、このときに、芯糸にテンションがかかっていると空気の力でドラフト部まで該芯糸が届かなくなり、芯糸入れミスとなるからである。
【0006】
芯糸のテンションを調整するためのテンサーとしては、例えば、特許文献1に示すようなスプリング加圧式のテンサー10が知られている。このスプリング加圧式のテンサー10は、向かい合わせ状のテンサー片間に芯糸を通過させ、スプリングの手段によって該テンサー片間を加圧して、芯糸のテンションを調整するものであった。このスプリング加圧式のテンサー10は、スプリングによる加圧式であるため、芯糸に対して所望の張力を正確に掛けることができなかった。
【0007】
これに対して、特許文献2に示すようなリング状のウエイト22によるディスクテンサー16が開発されている。このディスクテンサー16は、両端に相対応した糸ガイド孔17、17を有するフレーム18を備え、このフレーム18の略中央部には、ロッド19が起立して設けられ、このロッド19には、皿状の下部テンサー片20が嵌装され、この下部テンサー片20に重なるようにして皿状の上部テンサー片21が昇降および回動自在に嵌装され、この上部テンサー片21上にリング状のウエイト22が積層状に乗せられ、両テンサー20、21間にフィラメント糸Fを挟んで、該フィラメント糸Fに所望の張力を掛けるようになっている。
【0008】
図7Aおよび図7Bに示すような従来のディスクテンサー101は、給糸側のヤーンガイド孔102、張力付加部103、出口側のヤーンガイド孔104との間に形成される糸道105が一定であるために、芯糸Fに対するテンション調整は、リング状のウエイト106にのみ依存するもので、またリング状のウエイト106を浮かした時のテンションは、屈曲で決まるため変更は不可能であった。さらに、与えられる最低のテンションも屈曲によるテンション以下には設定できなかった。
【0009】
要するに、図7Aおよび図7Bに示す従来のディスクテンサーのリング状ウエイト106による調整と、シリンダ107による昇降機構では、芯糸に対するテンションの調整が、ウエイトの量にのみ依存するものであり、微調整が困難である。また、糸継ぎ時におけるテンションも、芯糸のキャラクター、風に乗りやすい、絡まりやすいなどによって調整する必要があるが、この従来の方法では、シリンダ107によりウエイトが解除されてしまうため調整はできない。
【0010】
ディスクに乗せる錘によるテンションの制御は、バラツキが大きく、風綿、ゴミがひっかかった場合、全くテンションがかからなくなる場合がある。これに対して糸を屈曲させた場合、バラツキの少ないテンション制御が得られる。しかし屈曲を付けた場合、現在の構造では、紡糸開始時に、エアの力を用いて芯糸供給装置から、紡績部分に該芯糸を飛ばさなくてはならない。このときに芯糸にテンションがかかっていると、紡績部分に芯糸が届かず芯糸入れミスとなる。
【0011】
【特許文献1】実公平6−50547号公報(図1、図2)
【特許文献2】特開平4−352820号公報(段落番号0011、図4)
【特許文献3】特許第3080113号公報(図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、この発明は、上記する従来技術にみられる問題点を解消すべくなしたものであって、特に重要な要素は、ドラフトされた繊維束と芯糸とによりコアヤーンを製造するコアヤーン紡績装置において、芯糸の供給ライン上に、テンサーを設け、該テンサーに対する芯糸の巻き付き角を変更可能に構成して、紡糸時には、芯糸を糸道屈曲変更用ヤーンガイドにより該芯糸を屈曲させてテンションを付与し、紡糸開始時(芯糸入れ時)には、糸道屈曲変更用ヤーンガイドを動かして、該ヤーンガイドとの接触をなくして該芯糸の屈曲をなくし、芯糸にテンションを与えることがなくなる構造のコアヤーン紡績装置における芯糸のテンション調整装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は、上記する目的を達成するにあたって、具体的には、ドラフトされた繊維束に芯糸を供給しつつ、旋回空気流を作用させて、該繊維束と芯糸とによりコアヤーンを製造するコアヤーン紡績装置において、芯糸の供給ライン上に設けられていて、供給中における芯糸のテンションを調整するためのテンション調整装置であり、芯糸の供給ライン上に、一定の間隔を隔てて配置される上流側ヤーンガイドおよび下流側ヤーンガイドを備えており、上流側ヤーンガイドと下流側ヤーンガイドとの間に、芯糸の糸道を屈曲させて、芯糸の巻き付き角を変更することによって該芯糸のテンションを調整するようにした糸道屈曲変更手段を設けたことをコアヤーン紡績装置における芯糸のテンション調整装置を構成するものである。
【0014】
さらに、この発明において請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコアヤーン紡績装置における芯糸のテンション調整装置であって、糸道屈曲変更手段が、上流側ヤーンガイドおよび下流側ヤーンガイド間における直線状にのびる芯糸に対し、芯糸に接触して該芯糸の糸道を屈曲状に変更する第1の位置と、芯糸に接触しない第2の位置との間を往復移動する少なくとも一本の糸道屈曲変更用ヤーンガイドを含むものからなることを特徴とするものである。
【0015】
さらにまた、この発明において請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のコアヤーン紡績装置における芯糸のテンション調整装置であって、糸道屈曲変更用ヤーンガイドが、上流側ヤーンガイドおよび下流側ヤーンガイド間の芯糸の糸道上に、交差してのびる回動軸を含む回動部材上に、回動軸から背反する方向に半径Rを隔てた位置に設けた二本のピンガイドからなることを特徴とするものである。
【0016】
さらにまた、この発明において請求項4に記載の発明は、請求項2に記載のコアヤーン紡績装置における芯糸のテンション調整装置であって、糸道屈曲変更用ヤーンガイドが、上流側ヤーンガイドおよび下流側ヤーンガイド間の芯糸の糸道に対し、一側方から近接並びに離遠する少なくとも一本のピンガイドと、他側方から近接並びに離遠する少なくとも一本のピンガイドとからなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
この発明になるコアヤーン紡績装置における芯糸のテンション調整装置によれば、芯糸の供給ライン上に、一定の間隔を隔てて配置される上流側ヤーンガイドおよび下流側ヤーンガイドを備えており、この上流側ヤーンガイドと下流側ヤーンガイドとの間に、芯糸の糸道を屈曲させて、芯糸の巻き付き角を変更することによって芯糸のテンションを調整するようにした糸道屈曲変更手段を設け、紡糸時には、芯糸を糸道屈曲変更用ヤーンガイドにより該芯糸を屈曲させてテンションを付与し、紡糸開始時(芯糸入れ時)には、糸道屈曲変更用ヤーンガイドを動かして、該ヤーンガイドとの接触をなくして該芯糸の屈曲をなくし、芯糸にテンションを与えないように構成したので、紡糸時と、紡糸開始時(芯糸入れ時)との芯糸に対するテンションを確実に制御することができる点において極めて有効に作用するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明になるコアヤーン紡績装置における芯糸のテンション調整装置について、一例として、フィラメント糸を芯糸Fとした具体的な実施例に基づいて詳細に説明する。なお、この発明では、芯糸がスパン糸である場合においても適用が可能である。図1は、この発明になる芯糸のテンション調整装置を適用したコアヤーン紡績装置の全体構成を示す概略的な側面図である。図1に示すように、コアヤーン紡績装置1は、複数並設された紡績ユニット2に対して、芯糸を供給するための芯糸供給装置3を設けたものからなっている。この紡績ユニット2には図示しないスライバケンスから供給されるスライバSを所定太さの繊維束4にドラフトするドラフト装置5が設けられている。
【0019】
一例になるドラフト装置5は、図1に示すように、それぞれ一対のローラにより構成される二つのバックローラ6、7、エプロン8aを有するミドルローラ8、およびフロントローラ9を、スライバS側から順に配置したものからなり、バックローラ6の上流側にはスライバSを導入するトランペットガイド10が設けてあり、前記スライバSが各ローラ6、7、8、9を通過する間にスライバSが所定の細さに引き延ばされて糸条Yとなる。前記ドラフト装置5におけるフロントローラ9の下流側にはドラフトされた繊維束4に対して旋回空気流を作用させて撚りを掛ける空気紡績ノズル11が配置されている。
【0020】
前記ドラフト装置5に対して、給糸パッケージ12から供給される芯糸Fを、フロントローラ9とエプロン8aを有するミドルローラ8との間から、前記ドラフト装置5でドラフトされた繊維束4に供給する芯糸供給装置3が設けられている。この芯糸供給装置3は、圧縮空気流により芯糸Fを送り出すフィードノズル13を備え、このフィードノズル13の吸込み側と吐出し側には導糸管14、15が連結され、吐出し側の導糸管15には芯糸Fをフロントローラ9とミドルローラ8の間から繊維束4上に誘導する樋状のガイド16が取り付けられている。
【0021】
この発明では、吸込み側の導糸管14の上流側であって、芯糸Fの供給ライン上に、該芯糸Fにテンションを掛け、そのテンションを調整するためのテンション調整装置20が設けてある。前記テンション調整装置20は、具体的には、図2〜図5に示すようなテンサー21からなっている。前記テンサー21は、その上流側にヤーンガイド孔22aを有する上流側ヤーンガイド22を備え、その下流側にヤーンガイド孔23aを有する下流側ヤーンガイド23を備えている。図1〜図2において、矢印Yaは、芯糸Fの送り方向を示す。
【0022】
この発明において、前記上流側ヤーンガイド22と前記下流側ヤーンガイド23との間には、前記芯糸Fの糸道を屈曲させて、芯糸Fの巻き付き角を変更することによって前記芯糸Fのテンションを調整するようにした糸道屈曲変更手段30が設けてある。
【0023】
前記糸道屈曲変更手段30は、前記上流側ヤーンガイド22および下流側ヤーンガイド23間における直線状にのびる芯糸Fに対し、前記芯糸Fに接触して該芯糸Fの糸道を屈曲状に変更する第1の位置P1と、前記芯糸Fに接触しない第2の位置P2との間を往復移動する少なくとも一本の糸道屈曲変更用ヤーンガイド31を含むものからなっている。
【0024】
この発明において、前記糸道屈曲変更手段30は、図2〜図5に示すような第1の実施例になる糸道屈曲変更手段30Aと、図6に示すような第2の実施例になる糸道屈曲変更手段30Bを含むものからなっている。
【0025】
まず、図2〜図5に示す第1の実施例になる糸道屈曲変更手段30Aを搭載するテンション調整装置20の具体的な構成について説明する。この実施例のものでは、上流側ヤーンガイド22を備えたガイドプレート24、下流側ヤーンガイド23を備えたガイドプレート25、基礎フレーム26、該基礎フレーム26上に所定の間隔を隔てて平行する基礎プレート27、該基礎プレート27上に所定の間隔を隔てて平行するように組み立てられたテーブルプレート28とを有するものからなっている。
【0026】
この実施例のものでは、前記上流側ヤーンガイド22および下流側ヤーンガイド23との間であって、この間に直線状にのびる芯糸Fの糸道上に、回動中心をもつ回動駆動機構32によって構成されている。この回動駆動機構32は、図2〜図5に示すように、前記上流側ヤーンガイド22および下流側ヤーンガイド23間の芯糸Fの糸道上に、交差してのびる回動軸33、該回動軸33の上端側に取り付けられていて、前記テーブルプレート28の頂面と面一な面を持つ回動部材34と、回動力伝達手段35を介して機械的に接続してある駆動源36とを含むものからなっている。
【0027】
さらに、具体的には、前記駆動源36は、シリンダ37によって構成されており、該シリンダの出力端37aを往復動するものからなっている。前記回動力伝達手段35は、
前記シリンダの出力端37aに取り付けられていて、側面にギヤをもったラックギヤ38と、固定軸39に回転可能に枢支されたピニオンギヤ40と、該ピニオンギヤ40に一体に固定されている扇形歯車41と、前記回動軸33に固着されていて、前記扇形歯車41に噛合する従動ギヤ42とによって構成されており、前記回動軸33の上端部に前記回動部材34が一体に取り付けてある。
【0028】
この実施例では、前記回動部材34の上面側には、糸道屈曲変更用ヤーンガイド43が設けてある。図2〜図5に示す例において、糸道屈曲変更用ヤーンガイド43は、前記回動軸33から背反する方向に半径Rを隔てた位置に設けた二本のピンガイド43A、43Bによって構成されている。さらに、図に示す例において、前記二本のピンガイド43A、43Bには、皿状の下部テンサー部材44が嵌装されており、この下部テンサー部材44の上に乗るようにして皿状の上部テンサー部材45が昇降および回動自在に嵌装されていて、この上部テンサー部材44上にリング状のディスクウエイトが積層状に重ねて載せられ、前記下部テンサー部材44および上部テンサー部材45の間に芯糸Fを挟んで、該芯糸Fに所望のテンションを掛けることもできるようになっている。
【0029】
この実施例では、前記シリンダの作動によって回動する回動部材34の回動角度を制御するための回動角制御手段46が設けてある。前記回動角制御手段46は、例えば、一端側47aが、前記回動軸33のまわりに回転可能に組み合わされていて、他端47bにハンドル部48を備え、中間にストッパ突起49を備えた回動角調整レバー47によって構成されている。これに対して、前記回動部材34の下面側には、前記回動角調整レバー47のストッパ突起49に当接する当接部材50が設けてある。また、前記基礎プレート27には、前記回動軸33を軸心とする円弧線に沿って複数個のロック孔列51が設けてあり、これに対応して、前記回動角調整レバー47の中間下面に前記ロック孔列51に嵌り合うボス52が設けてある。
【0030】
図2〜図5に示す実施例になるテンション調整装置20は、以下に示すように作動する。まず、通常の紡績時には、図2A−1および図2A−2に示すように、前記回動角制御手段46における回動角調整レバー47を前記ロック孔列51におけるロック孔51aにセットしておく。
【0031】
この場合、前記回動角調整レバー47を前記ロック孔列51のTa側に位置決めしてセットした場合、糸道の屈曲角度が小さくなって、芯糸Fに対するテンションが下がるように作用し、前記回動角調整レバー47を前記ロック孔列51のTn側に位置決めしてセットした場合、糸道の屈曲角度が大きくなって、芯糸Fに対するテンションが上がるように作用する。
【0032】
前記回動角制御手段46をセットして、前記回動部材34の回動角を規制した状態で、前記シリンダ37を作動させると、前記ラックギャ38が前進(図2A−2において左方に突出)し、ピニオンギャ40および扇形歯車41を反時計針方向に回動し、従動ギャ42、回動軸33および回動部材34が時計針方向に回動して、該回動部材34上の二本の糸道屈曲変更用ヤーンガイド43A、43Bが、芯糸Fを引っ掛けて、前記回動角制御手段46によって規制されている回動角分だけ回動して芯糸Fの糸道を屈曲させることができ、芯糸Fに所望のテンションを掛けることができるようになっている(図2A−1および図2A−2参照)。
【0033】
一方、これに対して、紡績開始時(芯糸入れ時)、所謂、糸とばし時には、前記シリンダ37を引き込むことによって、前記回動部材34を反時計針方向に回動させて、前記二本の糸道屈曲変更用ヤーンガイド43A、43Bに掛けられていた芯糸Fを、該ヤーンガイド43A、43Bから開放し、該芯糸Fを無テンション状態にする(図2B−1および図2B−2参照)。このシリンダ37の引き込み位置は、設計上、シリンダのストロークによって決定されるもので、変化しない。
【0034】
この発明になるテンション調整装置は、図6に示すような実施例を含むものからなっている。図6に示す実施例になるテンション調整装置20は、前記上流側ヤーンガイド22と下流側ヤーンガイド23との間に、別の構成例でなる糸道屈曲変更手段30Bを設けたものからなっている。この実施例になる糸道屈曲変更手段30Bは、前記上流側ヤーンガイド22および下流側ヤーンガイド23間の芯糸Fの糸道に対して、その一側方から近接並びに離遠するピンガイド群53と、他側方から近接並びに離遠するピンガイド群54とからなっている。図に示す実施例のものでは、前記ピンガイド群53、54の内の一方を図6に示すように移動させるものであってもよいし、あるいは、その双方を移動させるものであってもよい。
【0035】
さらに、この発明では、図1に示すように、前記テンサー21をテンサー作動位置Pa(実線表示位置)から下方向に向けて、オペレータによる作業位置Pb(仮想線表示位置)に移動可能に構成してある。この場合、前記テンサー21は、前記テンサーを取り付ける機台55に対し、連結アーム手段56を介して回動可能に連結され、オペレータの操作によって、テンサー作動位置Paからオペレータによる作業位置Pbに向けて移動させることができるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、この発明になる芯糸のテンション調整装置を適用したコアヤーン紡績装置の全体構成を示す概略的な側面図である。
【図2】図2は、この発明になる芯糸のテンション調整装置の第1の一実施例を示すものであって、図2A−1は、紡績時において、芯糸Fへのテンション状態を示す概略的な平面図であり、図2A−2は、その概略的な正面図であり、図2B−1は、紡績開始時において、芯糸Fへの無テンション状態を示す概略的な平面図であり、図2B−2は、その概略的な正面図である。
【図3】図3は、第1の実施例になるテンション調整装置の分解した状態を示す概略的な斜視図である。
【図4】図4は、図3に示す状態から一部を組み立てた状態を示す概略的な斜視図である。
【図5】図5は、最終的に組み立てた状態を示す概略的な斜視図である。
【図6】図6は、この発明になる芯糸のテンション調整装置の第2の一実施例を示すものであって、図6Aは、紡績時において、芯糸Fへのテンション状態を示す概略的な平面図、図6Bは、紡績開始時において、芯糸Fへの無テンション状態を示す概略的な平面図である。
【図7】図7Aは、従来のテンサーを示す概略的な平面図であり、図7Bは、その概略的な正面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 コアヤーン紡績装置
2 紡績ユニット
3 芯糸供給装置
4 繊維束
S スライバ
5 ドラフト装置
6、7 バックローラ
8 ミドルローラ
8a エプロン
9 フロントローラ
10 トランペットガイド
11 空気紡績ノズル
12 給糸パッケージ
F 芯糸
P1 芯糸の糸道を屈曲状に変更する第1の位置
P2 芯糸に接触しない第2の位置
20 テンション調整装置
21 テンサー
22 上流側ヤーンガイド
22a ヤーンガイド孔
23 下流側ヤーンガイド
23a ヤーンガイド孔
24 上流側ガイドプレート
25 下流側ガイドプレート
26 基礎フレーム
27 基礎プレート
28 テーブルプレート
30 糸道屈曲変更手段
30A 第1の実施例になる糸道屈曲変更手段
30B 第2の実施例になる糸道屈曲変更手段
31 糸道屈曲変更用ヤーンガイド
32 回動機構
33 回動軸
34 回動部材
35 回動力伝達手段
36 駆動源
37 シリンダ部材
38 ラックギャ
39 固定軸
40 ピニオンギャ
41 扇形歯車
42 従動ギャ
43 糸道屈曲変更用ヤーンガイド
46 回動角制御手段
47 回動角調整レバー
51 ロック孔列
52 ボス
53 一方のピンガイド群
54 他方のピンガイド群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドラフトされた繊維束に芯糸を供給しつつ、旋回空気流を作用させて、該繊維束と芯糸とによりコアヤーンを製造するコアヤーン紡績装置において、前記芯糸の供給ライン上に設けられていて、供給中における芯糸のテンションを調整するためのテンション調整装置であり、前記芯糸の供給ライン上に、一定の間隔を隔てて配置される上流側ヤーンガイドおよび下流側ヤーンガイドを備えており、前記上流側ヤーンガイドと下流側ヤーンガイドとの間に、前記芯糸の糸道を屈曲させて、芯糸の巻き付き角を変更することによって前記芯糸のテンションを調整するようにした糸道屈曲変更手段を設けたことをコアヤーン紡績装置における芯糸のテンション調整装置。
【請求項2】
前記糸道屈曲変更手段が、前記上流側ヤーンガイドおよび下流側ヤーンガイド間における直線状にのびる芯糸に対し、前記芯糸に接触して該芯糸の糸道を屈曲状に変更する第1の位置と、前記芯糸に接触しない第2の位置との間を往復移動する少なくとも一本の糸道屈曲変更用ヤーンガイドを含むものからなることを特徴とする請求項1に記載のコアヤーン紡績装置における芯糸のテンション調整装置。
【請求項3】
前記糸道屈曲変更用ヤーンガイドが、前記上流側ヤーンガイドおよび下流側ヤーンガイド間の芯糸の糸道上に、交差してのびる回動軸を含む回動部材上に、前記回動軸から背反する方向に半径Rを隔てた位置に設けた二本のピンガイドからなることを特徴とする請求項2に記載のコアヤーン紡績装置における芯糸のテンション調整装置。
【請求項4】
前記糸道屈曲変更用ヤーンガイドが、前記上流側ヤーンガイドおよび下流側ヤーンガイド間の芯糸の糸道に対し、一側方から近接並びに離遠する少なくとも一本のピンガイドと、他側方から近接並びに離遠する少なくとも一本のピンガイドとからなることを特徴とする請求項2に記載のコアヤーン紡績装置における芯糸のテンション調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−156796(P2008−156796A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−348951(P2006−348951)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】