説明

コイルばね製造方法およびコイルばね製造装置

【課題】コイルばねを効率よく製造できるコイルばね製造装置を提供する。
【解決手段】コイル用線材を湾曲させ、複数分のコイルばねを連続して備えたコイルばね基材を形成するコイリング手段と、コイルばね基材を、コイルばね基材のコイル軸41を搬送方向に沿わせて搬送する搬送路と、搬送路に沿って配置され、コイルばね基材に各処理を行う処理手段と、搬送路の下流に設けられ、コイルばね基材を、コイルばね基材のコイル軸41に対して垂直な面で切断する切断手段と、からコイルばね製造装置を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルばねを製造するコイルばね製造方法、およびその製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の弁ばねは、エンジン作動中に常に繰り返し荷重がかかり、不純物や傷など不均一な箇所が存在するとそこに応力が集中し、重大な事態が発生することがある。そのため弁ばねなどに使用されるコイルばねは、均質な材料と平滑な表面が必要とされ、コイル用線材を均質に製造する他、コイル用線材をコイリングした後、低温焼鈍、ショットピーニングなど多くの処理工程を経て製造されている。
【0003】
一例としては、コイル用線材をコイリングマシンでコイル状に形成し、形成されたコイルを、切断機で所定の長さに切断する。所定の長さに形成されたコイルばねを焼鈍機で低温焼鈍し、研削機で端面を研削し、コイル軸に対して垂直に形成する。また端面の面取りを行い、挿入するブッシュとの干渉を防止する。その後、ショットピーニングを行う。更に低温処理を行い、へたり処理を行う。
【0004】
普通車の内燃機関に使用される弁ばねのような、直径が1〜3cm程度で、長さが2〜10cm程度の大きさのコイルばねは、従来、多数のコイルばねをまとめ、一括して処理を行っていた。例えばショットピーニングにおいては、ショットピーニングの処理容器内に多数のコイルばねを収容させ、コイルばねを攪拌させながらショットピーニング処理を行っていた。
【0005】
また、特許文献1には、コイリングしながらコイルを所定の長さに切断するスプリングの製造方法と装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4391150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来各処理工程においては、それぞれの処理工程で処理形態が異なっており、処理を行うごとにコイルばねを処理工程にあった形態に整列させ、そして次の工程では、その工程の処理形態に合わせてコイルばねを整列させ、処理を行っていた。したがって製造ラインが複雑となり、また段取り作業の中などには重複する作業など無駄な作業も多く存在することが考えられている。
【0008】
また、コイルばねを各処理工程でバッジ処理するため、ショットピーニング処理、熱処理、端面研削処理などの装置は、大型なものとなり、段取り変えや装置の補修整備などの作業が大がかりになり、大型の工具や多くの手間を要し、効率がよくない状態となっていた。
【0009】
例えば、熱処理用の炉においては、多数のコイルばねを一括で処理するため、コイルばねを炉内に投入する際の温度低下や、搬入、搬出口からの放熱などを防止するため、炉の全長や全幅が大型化していた。
【0010】
ショットピーニング装置においては、装置内部で微小な鉄球などのショットを高速で多数のコイルばねに衝突させるため、騒音が発生したり、粉塵などが装置の周囲に飛散することなどがあった。またショットピーニングにおいては、コイルばねどうしが重なるために、効率よくショットを当てることができず、全てのコイルばねにショットピーニングの処理を平均に施すために、多くの処理時間を要していた。
【0011】
コイルばねの端面研削においては、上下に配した研削砥石で研削して端面の直角性を確保するため、研削装置のマガジン孔にコイルばねを個々に挿入する必要があり、段取りなどに多くの手間とコストがかかっていた。
【0012】
本発明は、上記課題を解決し、効率よく処理が可能なコイルばね製造方法、およびコイルばね製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明はコイルばね製造方法、およびコイルばね製造装置を次のように構成した。
【0014】
コイル用線材をカーリング(湾曲)させ、所望のコイルばねの複数分を連続してコイルばね基材としてコイリング手段で形成する。形成されたコイルばね基材を、コイルばね基材のコイル軸を搬送方向に沿わせて搬送路で搬送させる。搬送路に沿って配置された処理手段により、コイルばね基材に各処理を行う。搬送路の下流に切断手段を設け、所定の各処理が終了したコイルばね基材を、コイルばね基材のコイル軸に対して垂直な面で切断し、各コイルばねを形成することとした。
【0015】
各処理手段においては、基本的にコイルばね基材は、その搬送方向を大きく変更することなく移動させることとする。コイルばね基材は、所望のコイルばねを、コイルばねの間に切断代のみを設けて連続して形成させても、コイル用線材を数巻き分巻いた中間部分を設けてコイルばねを形成させてもよい。中間部分は、ピッチを小さくして密に巻いた状態が好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかるコイルばね製造方法、およびコイルばね製造装置は、次の効果を有する。
【0017】
所望のコイルばねを複数連続させてコイルばね基材を形成し、このコイルばね基材を一単位として扱うので、コイルばねの各処理工程において複数のコイルばねを同時に処理でき、扱いが容易となる。コイルばねが、コイルばねのコイル軸を搬送方向に揃えた状態で搬送路上を搬送されるので、整列などの処理工程が簡易となる。
【0018】
搬送路の下流にて、コイルばね基材が切断手段にて切断され、所定の長さのコイルばねが形成され、しかも、コイルばね基材がコイル軸の中心に対して垂直な面で切断されるので、コイルばねの端面処理が容易、簡素化される。
【0019】
ラインを連続して構築できる。各処理手段を小型化できる。複数のコイルばねのセッチングを同時に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態にかかるコイルばね製造装置を示すブロック図である。
【図2】同コイルばね製造装置のコイリング装置を示す斜視図である。
【図3】同コイルばね製造装置におけるコイルばね基材を示す正面図である。
【図4】同コイルばね製造装置におけるコイルばね基材を示す正面図である。
【図5】同コイルばね製造装置におけるコイルばね基材の他の例を示す正面図である。
【図6】同コイルばね製造装置のショットピーニング装置を示す斜視図である。
【図7】同コイルばね製造装置の切断装置を示す斜視図である。
【図8】同コイルばね製造装置の切断装置の他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明にかかるコイルばね製造装置の一実施形態について、図を用いて説明する。
【0022】
図1に、コイルばね製造装置10を示す。コイルばね製造装置10は、コイル用線材供給装置12と、コイリング手段としてのコイリング装置14と、低温焼鈍炉16と、ショットピーニング装置18と、低温処理装置20と、へたり処理装置22と、切断手段としての切断装置24と、搬送路26などを備えて構成されている。
【0023】
コイル用線材供給装置12は、所定の径に形成されたコイル用線材28をリールに巻回して保管している。コイル用線材供給装置12は、適宜コイル用線材28をコイリング装置14に送り出す。
【0024】
コイリング装置14は、図2に示すようにコイリングピン30とピッチプラグ32と切断刃34と送りローラ35などを備え、コイル用線材供給装置12から供給されてくるコイル用線材28を、コイリングピン30でカーリング(湾曲)させ、ピッチプラグ32で所定量のピッチを付与し所望のコイルばねを成形する。コイリング装置14は、コイリングピン30とピッチプラグ32を任意に設定可能で、所望の径、および所望のピッチのコイルばねを連続して成形する。
【0025】
図3にコイリング装置14により形成された、所望のコイルばね36を複数連続させて形成した部材をコイルばね基材40を示す。コイルばね基材40には、図3に示すように2個の所望のコイルばね36がコイル軸41の方向に連続させて形成されている。コイルばね基材40が形成された時点で切断刃34が作動し、コイル用線材28が切断刃34により切断される。これにより、所望のコイルばね36を所定量連続させた個々のコイルばね基材40が形成される。尚、コイルばね基材40に含まれるコイルばね36の個数は、2個に限定するものではなく、更にコイルばね基材40として個々に切断せず、コイルばね36を連続して形成し、各処理装置に送るようにしてもよい。
【0026】
低温焼鈍炉16とコイリング装置14とは、搬送路26で接続されている。搬送路26は、コイルばね基材40を搬送する搬送路であり、コイルばね基材40のコイル軸41を搬送方向に沿わせてコイルばね基材40を搬送する。搬送路26は、並列に複数設けられていてもよい。以下、他の装置間を接続させている搬送路26も、上記構成と同様な構成を有している。
【0027】
低温焼鈍炉16は、低温(350℃〜430℃程度)で加熱し金属を焼鈍させる炉であり、コイルばね基材40を移動させる送り機構(図示せず。)を備え、コイリング装置14で成形されたコイルばね基材40を送り機構により移動させながら連続して焼鈍させる。
【0028】
ショットピーニング装置18は、図6に示すようにコイルばね基材40を移動させる送り機構42と、覆い部材44と、噴射機構46などから構成されている。送り機構42は、2対のローラ48からなりコイルばね基材40を所定の速度で移動させる。覆い部材44は、搬入口50と搬出口52とを有し、全体を覆うとともに搬入口50からコイルばね基材40を搬入させ、搬出口52より搬出させる。噴射機構46は、少なくとも噴射口54が覆い部材44の内部に設けられ、コイルばね基材40に向けてショットを噴射させる。噴射口54は、固定であっても、アームなどにより移動可能に構成されていてもよい。
【0029】
ショットピーニング装置18は、送り機構42がコイルばね基材40をコイルばね基材40のコイル軸41の方向に移動させながら、噴射口54から所定の金属片や砂粒などからなるショットをコイルばね基材40に吹き付け、コイルばね基材40の全体にショットピーニング処理を行なわせる。
【0030】
低温処理装置20は、低温の加熱炉と、送り機構(いずれも図示せず。)とを備え、ショットピーニング装置18でショットピーニング処理が終了したコイルばね基材40を低温加熱(230℃程度)し、ショットピーニングにより付加された圧縮残留応力を損なわない範囲で、低下したコイルばね基材40の弾性限度を回復させる。
【0031】
へたり処理装置22は、コイルばね基材40に、コイルばね36のばね作動方向にコイルばね36の弾性限度以上の荷重を加え、予めへたりを与える装置である。へたり処理装置22は、コイルばね基材40を、コイルばね基材40のコイル軸41に沿った両側からコイル軸41の方向に沿って圧縮荷重を加え、コイルばね基材40を構成している所望の各コイルばね36に所定の荷重によるへたりを与える。
【0032】
切断装置24は、図7に示すように円盤状の切断砥石60を、コイルばね基材40のコイル軸41と垂直な面内に移動可能に備え、駆動機構62で回転された切断砥石60が前後進機構(図示せず。)により前後進自在に設けられている。切断装置24は、切断砥石60を前進させてコイルばね基材40を切断し、また切断した端面をコイルばね基材40のコイル軸41に対して垂直な研削面に形成する。
【0033】
図4に、切断装置24によりコイルばね基材40をコイル軸41に対して垂直に切断し、2個のコイルばね36を形成した状態を示す。コイルばね36は、一方がコイル軸41に対して垂直に切断された端面を有し、他方がコイル用線材28をコイル用線材28の中心軸に対して垂直に切断した断面を有する端面となっている。切断装置24でコイルばね基材40から個々に分割されたコイルばね36は、コイルばね製造装置10の端部に設けられた収納容器等(図示せず。)に収納される。
【0034】
次に、コイルばね製造装置10を用いたコイルばね製造方法について説明する。
【0035】
コイル用線材28を、コイル用線材供給装置12からコイリング装置14送り、コイリング装置14で所定形状のコイル状に湾曲させる。コイリング装置14は、コイル用線材28をカーリングさせ、図3に示すように所望のコイルばね36を2個分連続させたコイルばね基材40を形成する。コイルばね基材40は、前後両端に1〜2巻き分程度ピッチが密に巻かれた端部分47と、コイルばね36とコイルばね36の間に、3巻き分程度ピッチが密に形成されている中間部分43とを有して形成されている。尚コイルばね基材40は、これに限らず、必要な形状であればよく、ピッチを等間隔に形成したものでもよい。コイル用線材28は、コイリング装置14により所定の数のコイルばね36が形成されるごとに切断刃34により切断される。
【0036】
尚、コイルばね基材40は、各処理工程において処理可能な長さであれば、長くしてもよい。更に処理が可能であれは、コイルばね基材40として分割せず、コイルばね36を連続させてもよい。またコイルばね36の端面を座として用いる場合には、切断部分のピッチは密の方が好ましいが、コイルばね基材40は、端部分47など密巻き部分を形成せず、所定幅の切断代のみを設けコイルばね36どうしを連続させて形成してもよい。
【0037】
コイルばね基材40が形成されると、搬送路26により低温焼鈍炉16に搬送される。コイルばね基材40は、コイルばね基材40のコイル軸41の方向を搬送方向として、搬送路26により搬送される。低温焼鈍炉16にて、コイルばね基材40は、所定の熱処理が行われる。
【0038】
低温焼鈍炉16で低温焼鈍が終了したコイルばね基材40は、所定の温度に低下した後、ショットピーニング装置18に送られる。ショットピーニング装置18では、覆い部材44内に設けられた噴射口54から噴射されたショットにより、コイルばね基材40がショットピーニング処理される。
【0039】
ショットピーニング装置18は、コイルばね基材40が噴射口54の前方を適宜移動することから、コイルばね基材40の全体に効率よく、短時間でショットピーニングが行なわれる。尚ショットピーニング装置18は、噴射口54を複数設けてもよく、更に噴射口54を移動可能に構成し、コイルばね基材40に合わせて適宜移動させるようにしてもよい。
【0040】
ショットピーニング装置18によるショットピーニング処理が終了したなら、コイルばね基材40を搬送路26の作動に従って低温処理装置20に移動させる。低温処理装置20では、コイルばね基材40は低温処理、例えば230℃程度の温度で所定時間加温される。低温処理装置20による低温処理によりコイルばね基材40は、ショットピーニング処理で低下した弾性限界が回復される。
【0041】
低温処理装置20で低温処理されたコイルばね基材は、搬送路26の作動に従いへたり処理装置22に送られる。へたり処理装置22では、コイルばね基材40は、コイルばね基材40のコイル軸41の方向に沿って全体が所定の荷重で圧縮される。荷重は、コイルばね基材40を構成している各コイルばね36が有する弾性限界以上の応力が各コイルばね36に生じるように、コイルばね基材40の全体に加えられる。へたり処理装置22でのへたり処理(セッチング)は、冷間セッチング、熱間セッチング、ホスコート、クリープテンパー等のいずれでもよい。
【0042】
上記各処理工程が終了すると、切断装置24がコイルばね基材40を切断する。切断装置24は、切断砥石60を回転させ、コイルばね基材40を所望のコイルばね36ごとに図4に示すように切断する。切断装置24によるコイルばね基材40の切断は、コイルばね基材40のコイル軸41と垂直な面内で行われる。また切断装置24は、コイルばね基材40から分割された各コイルばね36の端面を、切断砥石60による研削面として形成する。
【0043】
したがって、コイルばね製造装置10によれば、各処理工程を搬送路26で接続させ、連続したラインで製造装置を構築できる。コイルばね基材40を各処理工程における一単位として処理するので、コイルばね36が絡むことがなく、各処理工程におけるコイルばね基材40の取り扱いが容易となる。
【0044】
多量のコイルばね36に対してショットピーニングする必要がなくなるので、ショットピーニング装置18を小型化できる。大型の熱処理装置が不要となり、小型炉、あるいは高周波加熱装置のような熱処理装置を利用し、小型化できる。
【0045】
コイルばね36を弁ばねとして用いる場合、平ワッシャをコイルばね36の端面に接着などにより取り付けることにより、従来用いられていたブッシュを省略でき構造を簡素化することができる。更にブッシュを省略させることにより、従来行っていたブッシュをコイルばねに挿入するためにコイルばね36の内面に生じていたばりを除去する面取り処理が不要となる。コイルばね基材40を一単位としてセッチングすることにより、複数のコイルばね36を同時にへたり処理(セッチング処理)することが可能となる。
【0046】
更にばねの許容応力を上げる熱処理工程を組み入れることにより、高価な高張力線材に代えて安価な硬引き線をコイル用線材として利用可能となり、コストを低減させることができる。
【0047】
各コイルばね基材40は、コイルばね基材40のコイル軸41の方向を進行方向に沿わせて搬送路26を移動させるので、多数のコイルばね36を整列させるなどの処理が不要となり処理が容易となる。コイルばね36は、コイルばね基材40をコイル軸41に垂直な面で切断して形成されるので、端面が垂直面となり、しかも切断砥石60を用いた場合は端面が研削面となり、コイルばね36の端面に座を形成するための後処理が簡易になる。
【0048】
尚、コイルばね基材40の切断は切断砥石60に限らず、例えばレーザー加工機などのレーザー光を用いた切断加工であってもよい。この場合は、切断した端面にレーザー加工の跡が残ることから、レーザー加工した後の端面を、研削機等により若干研削することが好ましい。
【0049】
更に上記例では、コイルばね36の一方のみをコイル軸41に対して垂直に形成したが、図5に示すように前後両端面をコイル軸41に対して垂直に形成してもよい。その場合、一台の切断装置24により、コイルばね基材40を送りながら切断しても、切断装置24を3台設置し、コイルばね基材40を一時に切断するようにしてもよい。
【0050】
次に、コイルばね36の他の製造方法の一例について説明する。図8に、コイルばね36を5個分連続して形成したコイルばね基材45と、コイルばね基材45を切断する切断装置25を示す。
【0051】
コイルばね基材45は、前後端にそれぞれ端部分47を備え、前後の端部分47の間に中間部分43を4箇所設けてコイルばね36を5個分有するように形成されている。切断装置25は、所定の間隔で設置された切断装置24を6台備えている。各切断装置24は、コイルばね基材45の切断箇所に対応させて設置されている。すなわち、端部分47に対応させて切断装置24を2台設置し、各中間部分43に対応させて切断装置24を4台設置させてある。
【0052】
上記例の切断装置25を備えたコイルばね製造装置10では、5個分のコイルばね36を各処理装置において一時に処理し、切断装置25により、5個のコイルばね36に切断分割することにより、効率よく同一形状のコイルばね36を製造できる。
【0053】
尚、上記例では、コイルばね36を2個、あるいは5個連続させてコイルばね基材40を形成したが、本発明は連続させるコイルばね36の個数は特に限定しない。また、ばね形状等により切断に要する加工時間が長くならないものは、複数同時切断をしなくても良い場合もあり、切断加工機やレーザー加工機の設置台数は特に規定しない。
【0054】
更に、例えば10個のコイルばねを含むコイルばね基材を、5個のコイルばね分ずつ2回に分けて切断するなど、複数のコイルばねを含むコイルばね基材を、同時に一括して切断せず、複数回に分割して切断してもよい。その場合、コイルばね基材に含まれるコイルばねの個数の整数分の1の台数の切断装置24を設置するのが、整数回の切断処理で、コイルばね基材の全体をあまりなく切断できることから好ましい。
【0055】
更に、コイル用線材28によりコイルばね36を連続して形成した場合は、ラインスタート時、つまりコイリングの先端に形成されたコイルばね部分を切断し破棄するようにすれば、切断装置24を、コイルばね36の個数+1でなく、コイルばね36の個数分の切断装置24を設置して、連続して同一形状のコイルばね36を形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、コイルばねを製造するコイルばね製造方法、およびコイルばね製造装置に利用できる。
【符号の説明】
【0057】
10…製造装置 12…コイル用線材供給装置 14…コイリング装置 16…低温焼鈍炉 18…ショットピーニング装置 20…低温処理装置 22…処理装置 24…切断装置 26…搬送路 28…コイル用線材 30…コイリングピン 32…ピッチプラグ 34…切断刃 40、45…コイルばね基材 41…コイル軸 42…送り機構 43…中間部分 44…覆い部材 46…噴射機構 47…端部分 48…ローラ 50…搬入口 52…搬出口 54…噴射口 60…切断砥石 62…駆動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル用線材をコイリング装置で湾曲させ、所望のコイルばねを、コイル軸方向に沿って連続して複数有するコイルばね基材を形成し、
前記コイルばね基材を、該コイルばね基材のコイル軸に沿った方向を進行方向として処理装置に搬送させ、
前記コイルばね基材に所定の処理を施した後、前記コイルばね基材を、該コイルばね基材のコイル軸に対して垂直な面で切断して、前記コイルばねに分離することを特徴とするコイルばね製造方法。
【請求項2】
コイル用線材を湾曲させ、複数のコイルばねをコイル軸方向に連続させたコイルばね基材を形成するコイリング手段と、
前記コイルばね基材を、該コイルばね基材のコイル軸に沿って搬送する搬送路と、
前記搬送路に沿って配置され、前記コイルばね基材に所定の処理を施す処理手段と、
前記搬送路の下流に設けられ、前記コイルばね基材を、該コイルばね基材のコイル軸に対して垂直な面で切断する切断手段と、から構成したことを特徴とするコイルばね製造装置。
【請求項3】
前記コイルばね基材は、前記コイルばねと前記コイルばねとの間の中間部分のピッチ間隔が、前記コイルばねのピッチ間隔より狭められていることを特徴とする請求項2に記載のコイルばね製造装置。
【請求項4】
前記切断手段を、コイルばね基材を切断して形成される前記コイルばねの本数+1の台数としたことを特徴とする請求項2または3に記載のコイルばね製造装置。
【請求項5】
前記切断手段を、コイルばね基材を切断して形成される前記コイルばねの本数の整数分の1の台数としたことを特徴とする請求項2または3に記載のコイルばね製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−135806(P2012−135806A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291266(P2010−291266)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】