説明

コイル構成体

コイルが、チップ(CH)の基板(1)の表面(A)とほぼ平行な面内に集積回路(IC)のチップ(CH)において堆積される透磁物質(4)の層を有する。第一の導体要素(6a, 6b; BW10, BW11; 60a, 60b)が、基板(1)から離れる方向に面する透磁物質(4)の第一の側に構成される。第二の導体要素(2a, 2b; T1, T2)が、第一の側と対向する透磁物質(4)の第二の側に構成される。相互接続部(8a, 8b; P2, P4)が、第一の導体要素(6a, 6b; BW10, BW11; 60a, 60b)の第一の端部と第二の導体要素(2a, 2b; T1, T2)の第一の端部とを相互接続する。相互接続部(8a, 8b; P2, P4)、第一の導体要素(6a, 6b; BW10, BW11; 60a, 60b)、及び第二の導体要素(2a, 2b; T1, T2)が、透磁物質(4)の周りに巻き線を形成するように構成される。巻き線は、基板(1)の表面(A)とほぼ垂直な面内で電流(I)を導通させるために基板(1)の表面(A)とほぼ垂直な面内に延在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルと、集積回路と、当該コイル形成するためのプリント回路基板(printed circuit board)及び集積回路の構成体と、当該コイルを有する電子装置と、当該コイル及び更なるコイルを有する2次元アンテナ(two-dimensional antenna)とに関する。コイルは、少なくとも部分的に、集積回路に集積される(組み込まれる)要素(素子)で形成される。
【0002】
このような小型且つ安価なコイルは、高周波(RF)タグにおけるエネルギの誘導(induction)に対して特に有用である。更に、当該コイルは、パーソナルエリア(個人領域)ネットワーク(personal area network)におけるアンテナとして使用され得る。
【背景技術】
【0003】
日本国特許第JP-A-2001-284533号公報は、オンチップコイル(on-chip coil)を開示している。チップは、上に第一の絶縁層(insulation layer)が形成される基板を有している。第一の螺旋(スパイラル)巻き線(spiral winding)が、基板表面と平行な面内で第一の絶縁層上に設けられる。第二の絶縁層が第一の螺旋巻き線上に設けられる。第一の螺旋巻き線と同じ形状を有する第二の螺旋巻き線が第二の絶縁層の上に構成される。第二の螺旋巻き線は第一の螺旋巻き線と、互いの上にもたらされるように位置合わせ(アライン(align))される。第二の絶縁層において、第一の螺旋巻き線と第二の螺旋巻き線とを導電的に相互接続するために、第一の螺旋巻き線と第二の螺旋巻き線との間に、強誘電物質(ferroelectric material)で満たされる(充填される)比較的小さな開口部(穴(孔)(hole))が形成される。第一及び第二の螺旋巻き線の中心において、並列構成の第一及び第二の螺旋巻き線のための磁心(芯)(magnetic core)を形成するために、強誘電物質で満たされる第二の絶縁層において比較的大きな開口部が形成される。電気的且つ機械的に並列構成の第一及び第二の螺旋巻き線は、磁心と共に、磁心に起因する高いインダクタンス及び二つの螺旋巻き線の並列構成に起因する低い抵抗を備える小型オンチップコイルを構成する。
【0004】
当該コイルの軸は、基板表面と垂直方向に向けられる。励磁(energize)される場合、当該コイルは基板表面の面とほぼ垂直の磁場を生成する。若しくは、アンテナとして使用される場合、コイルは、基板表面の面と垂直の磁場成分に対して最も感度が高くなり、基板表面の面内の磁場に対して感度が低くなる。
【0005】
磁心の大きさが比較的小さくなることは当該コイルの欠点になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、少なくとも部分的にチップに組み込まれると共により大きな体積を備える磁心を有するコイルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様は、請求項1に記載のコイルをもたらす。本発明の第二の態様は、請求項12に記載の集積回路をもたらす。本発明の第三の態様は、請求項16に記載の集積回路及びプリント回路基板の構成体をもたらす。本発明の第四の態様は、請求項17に記載の電子装置をもたらす。本発明の第五の態様は、請求項19に記載の2次元アンテナをもたらす。有利な実施例が従属請求項に規定される。
【0008】
コイルは、チップの基板の表面とほぼ平行な面内で集積回路において堆積される透磁物質(permeable material)の層を有している。集積回路は、電子要素、ボンドワイヤ、及び集積回路の外界に対するコネクタ(連結器(connector))を備えるチップの入れ物(encasing)を有する実際のチップの構成体として規定される。第一の導体要素(素子)が、基板から離れる方向に向けられる透磁物質の第一の側に構成される。第二の導体要素が、第一の側と対向する透磁物質の第二の側に構成される。相互接続部が、第一の導体の第一の端部と第二の導体の第一の端部とを相互接続する。相互接続部、第一の導体、及び第二の導体が、透磁物質の周りのひと巻き数の巻き線(a one turn winding)を形成するように構成される。巻き線は、基板表面とほぼ垂直に延在する面内で電流を導通させるように、基板の表面とほぼ垂直な面内に構成される。対照的に、日本国特許第JP-A-2001-284533号公報の螺旋巻き線における電流は基板表面とほぼ平行に流れる。
【0009】
本発明の当該態様により実現されるコイルは、第一の導体要素と第二の導体要素との間に挟まれる(サンドイッチされる)透磁物質を有する。透磁物質はコイルの芯(コア(core))になり、第一及び第二の導体要素は芯の周りに巻き線を形成する。従って芯は第一の導体要素と第二の導体要素との間にもたらされ、それ故に透磁物質の寸法(ディメンション)が、螺旋巻き線の中心領域に制限されることはない。好ましくは透磁物質はフェライト(ferrite)になる。
【0010】
請求項7に記載の好ましい実施例において、いくつかの第一及び第二の導体要素が、透磁物質の周りに複数巻き線をもたらすように相互接続されている。チップの部分になる透磁物質は、基板表面と平行に構成される層になる。好ましくは、透磁物質は絶縁層上に堆積される。相互接続された第一及び第二の導体要素は、芯の周りに螺旋(ヘリカル(helical))状巻き線を形成する。螺旋状巻き線が環状になる必要はない。第一及び/又は第二の導体要素は平坦(フラット(flat))であってもよく、基板表面とほぼ平行な面内に延在していてもよい。相互接続部は、基板表面とほぼ垂直に構成されてもよい。当該コイルは、基板表面と平行になる軸を有する。軸は直線であってもよく、又は曲がっていてもよい。
【0011】
請求項10に記載の実施例において、励磁される場合、当該コイルは基板表面とほぼ平行な面内で磁場を生成する。
【0012】
請求項11に記載の実施例において、アンテナとして使用される場合、コイルは、基板表面と平行な面内の磁場成分に対して最も感度が高くなる。
【0013】
請求項2に記載の実施例において、第一の導体要素は集積回路の部分になる。このことは、集積回路の外側に当該導体をもたらすことが必要とされないという利点を有する。複数の巻き部を有する巻き線を備えるコイルを得るために複数の第一の導体要素をもたらすことが可能である。
【0014】
請求項3に記載の実施例において、第一の導体要素は集積回路におけるボンドワイヤになる。ボンドワイヤは、基板から離れる方向に面する透磁物質の側において透磁物質の間に構成される。
【0015】
請求項4に記載の実施例において、第一の導体要素はチップ上の導電性トラック(線路)になる。好ましい実施例において、当該導電性トラックは、基板から離れる方向に面する側において透磁物質をカバーする絶縁層上に構成される。
【0016】
請求項5に記載の実施例において、第二の導体要素はチップの部分になり、透磁物質と基板との間に構成される。好ましくは、第二の導体要素は、基板上にもたらされる絶縁層上に堆積される。複数の巻き部を有する巻き線を備えるコイルを得るために複数の第一の導体要素と相互接続される複数の第二の導体要素をもたらすことが可能である。
【0017】
一つ又は複数の第一の導体要素と一つ又は複数の第二の導体要素との両方が、チップ上に堆積される導電性トラックになる場合、相互接続部は、絶縁層を通じるビア(via)を備えるチップ上に形成される。第一の導体要素がボンドワイヤになる場合、相互接続部は、ビア及びボンドパッド(bond pad)を介して形成される。
【0018】
請求項6に記載の実施例において、第二の導体要素が、集積回路を保持するプリント回路基板上に構成されている。集積回路、ボンドワイヤ、ボンドパッド、及びビアのピンを介して相互接続部が形成される。
【0019】
請求項8に記載の実施例において、第一の導体要素がほぼ平行に構成されている。このことは、透磁物質の上に多くの第一の導体要素を構成させるために効率的な態様になる。
【0020】
請求項9に記載の実施例において、第二の導体要素がほぼ平行に構成されている。これは、透磁物質の下に多くの第二の導体要素を構成させるために効率的な態様になる。
【0021】
好ましい実施例において、ワイヤで巻かれたコイルに厳密に類似する巻き線を得るために、第一の導体要素と第二の導体要素との両方がほぼ平行に構成されている。
【0022】
本発明の第二の態様において、集積回路はチップを有する。チップは、基板と、基板の表面にほぼ平行な面内に堆積される透磁物質の層とを有している。集積回路は、基板から離れる方向に面する透磁物質の第一の側において構成される第一の導体要素を更に有する。更に、コイルを得るために、第二の導体要素が、第一の側に対向する透磁物質の第二の側において構成され、相互接続部が、第一の導体の第一の端部と第二の導体の第一の端部とを相互接続するためにもたらされる。従って、集積回路は、少なくとも第一の導体要素及び透磁物質並びに相互接続部の部分を有している。相互接続部の実際の実現例は、第一の導体(チップ上のトラック又はボンドワイヤ)及び第二の導体(チップ上のトラック又はプリント回路基板上のトラック)の実際の構成体に依存している。
【0023】
請求項13に記載の実施例において、第二の導体はチップの部分にもなる。これにより、集積回路内に完全にもたらされる非常に小型のコイルがもたらされる。
【0024】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載された実施例から明らかであり、これらの実施例を参照して説明されるであろう。
【0025】
第五の態様によれば、本発明によるコイルは、基板の表面と平行な面内で、知られている螺旋コイルと結合される。当該フェライト要素は、巻き線にフェライト要素の周りの巻き部を、当該巻き部が表面とほぼ垂直な面内にもたらされるように設けることによって本発明によるコイルのために使用される。本発明による当該コイルは磁場を生成するか、又は表面とほぼ平行な磁場に対して最も感度が高くなる。同じフェライト要素は、巻き部が表面と平行な面内にもたらされる、知られている螺旋コイルの中心の芯(central core)としても使用される。当該コイルは磁場を生成するか、又は表面とほぼ垂直な磁場に対して最も感度が高くなる。当該態様で2次元アンテナを得ることが可能であるが、たった一つのフェライトしか必要とされない。フェライト要素又は一つのフェライトがチップにおける層として堆積される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
異なる図における同じ参照符号は、同じ要素及び信号を参照する。
【0027】
図1は、本発明の実施例によるコイルを有するチップのいくつかの図を示す。図1Aは部分的に開放されたチップを示す。図1Bは部分的に開放されたチップの前面図を示す。図1Cは第二の導体要素の上面図を示し、図1Dは第一の導体要素の上面図を示す。
【0028】
図1Aは、ボトムからトップに層の次のスタック、すなわち表面Aを備える基板1と、表面A上に堆積されると共に絶縁層3によってカバーされる第二の導体要素2a及び2bと、絶縁層3上に堆積されると共に絶縁層7によって側面を接せられる透磁層4と、透磁層4上に堆積される絶縁層5と、絶縁層5上に堆積される第一の導体要素6a及び6bとを有するチップCHを示す。チップCHは、第一の導体要素6a及び6bの端部を第二の導体要素2a及び2bの端部に相互接続する相互接続部8a及び8bを示すために部分的に開放している。当該相互接続部8a及び8bは、知られている態様でもたらされている導電性ビアである。
【0029】
例示によって示されているコイルは、透磁層4になる芯の周りに構成される二つの巻き部を有する。第一の巻き部は、第一の導体要素6a、相互接続部8a、及び第二の導体要素2aによって実現される。第二の巻き部は、第一の導体要素6b、相互接続部8b、及び第二の導体要素2bによって実現される。二つの巻き部コイルは接続部10及び11を有する。実際の実現態様において、巻き部の数は、導体要素2a, 2b, 6a, 及び6bの寸法とチップCHの寸法とによって制限されて、1と高い数との間で変化してもよい。巻き部の数が整数であることは必要とされない。例えば、第二の導体要素2bは省略されてもよい。好ましくはフェライトになる透磁物質4は、透磁物質4の最大体積を得るために、好ましくは第一の導体要素6a及び6bと第二の導体要素2a及び2bとの間の空き領域(空間)を最大限に満たす。
【0030】
第一の導体要素6a及び6bは互いにほぼ平行に延在する。第二の導体要素2a及び2bも互いにほぼ平行に延在する。図1Aにおいて、例示によって、第一の導体要素と第二の導体要素との両方6a, 6b, 2a, 及び2bが全て、基板1の端部の一つに平行な同じ方向に延在する。第一及び第二の導体要素6a, 6b, 2a, 及び2bの全ては、基板1の端部に平行でない同じ方向に延在してもよい。平行に構成された第一の導体要素6a及び6bは、平行に構成された第二の導体要素2a及び2bに対してある角度を有していてもよい。例えば、導体要素6bは、相互接続部8bと共に作用(動作)するために、一方の端部が図1Aに示されている位置にある直線(まっすぐな)要素(straight element)であってもよい。図1Aに示されている状態に関して、直線要素6bは、相互接続部8cを介して直線の第二の導体要素8aに接続されるべき図1Aにおける接続部10の位置に他方の端部がもたらされるように相互接続部8bの周りで回転させられる。第一の導体要素6aは、第一の導体要素6bと平行になるように相互接続部8aの周りで回転させられなければならない。代わりに、第二の導体要素2aは直線であってもよく、第二の導体要素2aの他方の端部が相互接続部8cを介して直線の第一の導体要素6bと共に作用するように相互接続部8aの周りで回転させられてもよい。当然のことながら、第一及び第二の導体要素6a, 6b, 2a, 及び2bの他の配列が可能である。重要な点は、導体要素6a, 6b, 2a, 及び2bが透磁物質の周りに巻き線のターン(巻き部)を形成することにあり、当該巻き部は表面Aと平行な面内に構成されず、表面Aと垂直な面内で構成される。当該コイル構成体は、当該構成体が比較的大きな体積の透磁物質の使用を可能にするという利点を有する。当該コイルが、当該コイルを通じて電流Iをもたらすことによって励磁される場合、当該コイルは、表面Aとほぼ平行に方向付けられる磁場Bを生成するであろう。コイルがアンテナである場合、コイルは、表面Aと平行な面内に発生する磁場に対して自身の最大感度を有するであろう。表面Aと垂直な磁場は、コイルに電流をほぼ誘導しないであろう。
【0031】
図1Bは、第一の導体要素6a及び6bと第二の導体要素2a及び2bとの間の相互接続部8a及び8b並びに層のスタックを示す。絶縁層3及び7が単一の層として堆積されてもよい。
【0032】
図1Cは、基板1の表面A上の第二の導体要素2a及び2bの実施例を示す。図1Dは、絶縁層5上の第一の導体要素6a及び6bの実施例を示す。図1Cと1Dとの両方において、明確化のために、相互接続部8a, 8b,
及び8cのみが小さな丸によって示されている。第二の導体要素2aは、相互接続部8cを介して第一の導体要素6bの突出部12bに当該導体要素を相互接続することを可能にするために突出部12aを有している。矢印は、導体要素2a, 2b, 8a, 及び8bにおける電流Iの方向を示している。当該電流Iは、コイルによって受信される磁場Bを変化させることによって誘導されてもよい。電流Iは、磁場Bを生成するために接続部10及び11を介してコイルにもたらされてもよい。全電流Iが逆方向を有していてもよい。
【0033】
図2は、本発明による他の実施例のプリント回路基板上のトラック及びチップによって形成されるコイルの図を示す。チップCH1は、図1のチップCHに基づいている。第二の導体要素2a及び2bは除去される。これらの第二の導体要素はこの場合、プリント回路基板PCB上のトラックT1及びT2になる。第一の導体要素はこの場合、60a及び60bによって示される。チップCH1のハウジング(容器(housing))上において底(ボトム)のプレートENのみが示されている。実際、チップCH1のハウジングはチップCH1を完全に封止(encapsulate)する。集積回路ICの四つのピンP1, P2, P3, 及びP4が示されている。これらのピンP1, P2, P3, 及びP4は、プリント回路基板PCBの裏(背)の表面(back surface)BSに半田付け(solder)される。ピンP1はコイルの接続部の一つであり、ボンドワイヤB1を介して第一の導体要素60aの一方の端部に接続される。第一の導体要素60aの他方の端部はボンドワイヤB2を介してピンP2に接続される。プリント回路基板PCB上のトラックT1はピンP2をピンP4に接続する。ピンP4はボンドワイヤB3を介して第一の導体60bの一方の端部に接続される。第一の導体60bの他方の端部はボンドワイヤB4を介して、コイルの他の接続部になるピンP3に接続される。ピンP1及びP4が位置されるチップの側に戻されるプリント回路基板PCB上のトラックT2がもたらされる場合、巻き部の追加の半分は得られる。同じ態様で、コイルにたった一つの巻き部又は二つよりも多くの巻き部を供給することが可能である。当該コイルが、方向は参照符号Iの近くの矢印によって示されている電流Iで励磁される場合、磁場Bは参照符号Bの近くの矢印の方向に生成されるであろう。電流Iと場Bとの極性は逆であってもよい。好ましくは、交流電流(alternating current)Iが使用される。コイルは、磁場Bを受信するために使用されてもよい。集積回路ICは、チップCH1、ボンドワイヤB1乃至B4、及びピンP1乃至P4を有する。通常、集積回路ICは、プリント回路基板PCBの裏の表面BS上のトラックにピンP1乃至P4を半田付けすることによってプリント回路基板に取り付けられる。
【0034】
多くの代わりの構成体が実現されてもよい。トラックT1及びT2が、プリント回路基板PCBの表の表面FS上に位置されてもよく、集積回路ICが、表の表面FSにおけるトラックにピンP1乃至P4を半田付けすることによってプリント回路基板に取り付けられてもよい。ICがピンを有する必要はないが、対応するトラック上に押し付けられるコンタクト(接触)領域又はプリント回路基板上のコンタクト領域を有していてもよい。
【0035】
図3は、本発明の他の実施例によるコイルを有するチップの図を示す。チップCH2は図1のチップCHに基づく。第一の導体要素6a及び6bはチップCH2においてもたらされない。これらの第一の導体要素はこの場合、集積回路ICのボンドワイヤBW10及びBW11になる。図3は、チップCH1のハウジングの底プレートENのみを示す。実際、チップCH1のハウジングはチップCH1を完全に封止する。集積回路ICのピンP10乃至P12のトップのみが示されている。ピンP10はコイルの接続部になる。ピンP10はボンドワイヤBW10を介してボンドパッドBP10に接続される。ボンドパッドBP10は相互接続部を介して、又はV2を介して第二の導体要素2aの一方の端部に接続される。第二の導体要素2aの他方の端部はビアV1を介してボンドパッドBP11に接続される。従ってボンドワイヤBW10と第二の導体要素2aとは、透磁物質4の周りに巻き部を形成する(図3において図示略)。ボンドパッドBP11はボンドワイヤBW11を介してピンP11に接続される。ボンドパッドBP11とBP12との間にボンドワイヤを直接もたらすことも可能になるであろう。ピンP11はボンドワイヤBW12を介してボンドパッドBP12に接続される。ボンドパッドBP12はビアV3を介して第二の導体要素2bの一方の端部に接続される。第二の導体要素2bの他方の端部はビアV4を介してボンドパッドBP13に接続される。ボンドパッドBP13はボンドワイヤBW13を介して、コイルの接続部になるピンP12に接続される。ボンドワイヤBW11と第二の導体要素2bとは、コイルの第二の巻き部を形成する。コイルの接続部P10及びP12は集積回路ICの外側の回路に形成される。しかしながら、コイルに接続される回路がチップCH2においてもたらされ得るとき、これらの接続部は実際使用されなくてもよい。参照符号Bの近くの矢印は、当該態様で実現されるコイルが、基板1の表面Aの面と平行な面内において磁場を生成し、それ故に面内において基板1は延在することを示している。
【0036】
図4は、このようなコイルを有する装置を示す。当該装置は、コイルCO及び信号処理回路SPを有する。コイルが、磁場Bを生成するために使用される場合、信号処理回路SPは、信号OSに応じてコイルCOの電流をもたらす。例えば、コイルがワイヤレスシステムにおいて電磁場を生成してもよい。信号処理回路SPは、信号OSを含むように変調される高周波信号(high frequent signal)を生成する。コイルが、電磁場を受信するために使用される場合、信号処理回路SPは、高周波キャリア上で変調される信号OSを抽出する(取り出す)。
【0037】
このようなコイルは、送信及び/又は受信アンテナが必要とされるいかなる用途においても使用され得る。例えば本発明によるコイルが、高周波(RF)タグ、パーソナルエリアネットワーク、超低電力磁気結合(very low power magnetic coupling (AURA))、又はテストチップにおいて使用されてもよい。
【0038】
上記の実施例が本発明を限定することはなく、当業者が、特許請求の範囲から逸脱することなく、多くの代わりの実施例を設計し得ることは注意されるべきである。実施例は、二つの巻き部を備えるコイルに対して本発明を説明しているが、本発明が、二つの巻き部を有するコイルに限定されることはない。コイルが単一の巻き部又は一つよりも多くの巻き部を有する場合、同じアプローチが可能になる。巻き部の数が正確に整数になることは必要とされない。励磁されるとき、少なくとも透磁物質が堆積されるチップの基板の表面とほぼ平行な面内において磁場を生成する少なくとも一つの巻き部を備える巻き線を本発明によるコイルが有することは適切である。チップを有する集積回路は、チップ上、又は集積回路の外側に位置されてもよい第二のセットの導体要素と共に少なくとも一つのセットの導体要素を有しており、相互接続部がコイルの巻き部を形成している。
【0039】
本発明によるコイルを磁気レンズ(magnetic lens)に結合することと、二つの垂直構成のアンテナに本発明による二つの直交構成のコイルをもたらすこととが可能である。複数のコイル/アンテナがもたらされる場合、最適な信号状態をもたらすコイル/アンテナにスイッチすることが可能である。コイル/アンテナが集積回路ICに完全に組み込まれる場合、外部接続部又はコンポーネントは必要とされず、コイル/アンテナとオンチップ回路との間の優れたインピダンス整合が可能になる。更に、磁場の拡散(拡がり)は非常に少なくなるであろう。変化する磁場若しくは永久磁石の何れかによって、ディスク態様の機能部におけるチップ又はRFタグに磁気エネルギを誘導するためにコイル/アンテナが使用されてもよい。この磁気エネルギは、受信器において電力供給電圧を生成するために使用される。
【0040】
請求項において、括弧の間に置かれる請求項の参照番号は、いずれも当該請求項の保護範囲を限定するものではない。単語“有する”及びその語形変化の使用は、請求項に記述される構成要素以外に構成要素又はステップの存在を排除するものではない。構成要素に先行する冠詞“a”又は“an”は、複数の構成要素の存在を排除するものではない。本発明は、いくつかの独特な構成要素によって、及び適切にプログラミングされたコンピュータによって実現可能である。いくつかの手段を列挙する装置の請求項において、いくつかのこれらの手段は、ハードウエアの一つ及び同じ構成要素によって具現化されることが可能である。ある手段が相互に異なる従属請求項において再び引用されるという事実は、これらの手段の組み合わせが効果的に使われ得ないことを示すものではないということに過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1A】部分的に開放されたチップを示す。
【図1B】部分的に開放されたチップの前面図を示す。
【図1C】第二の導体要素の上面図を示す。
【図1D】第一の導体要素の上面図を示す。
【図2】本発明による他の実施例のプリント回路基板上のトラック及びチップによって形成されるコイルの図を示す。
【図3】本発明の実施例によるコイルを有するチップの図を示す。
【図4】当該コイルを有する装置を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップの基板の表面とほぼ平行な面内に集積回路の前記チップにおいて堆積される透磁物質の層と、
前記基板から離れる方向に面する前記透磁物質の第一の側に構成される第一の導体要素と、
前記第一の側と対向する前記透磁物質の第二の側に構成される第二の導体要素と、
前記第一の導体要素の第一の端部と前記第二の導体要素の第一の端部とを相互接続するための相互接続部とを有するコイルであって、前記相互接続部、前記第一の導体要素、及び前記第二の導体要素が、前記透磁物質の周りに巻き線を形成するように構成され、前記巻き線は、前記基板の表面とほぼ垂直な面内で延在するコイル。
【請求項2】
前記第一の導体要素が前記集積回路の部分になる請求項1に記載のコイル。
【請求項3】
前記第一の導体要素がボンドワイヤを有する請求項2に記載のコイル。
【請求項4】
前記第一の導体要素が前記チップ上に導電性トラックを有する請求項2に記載のコイル。
【請求項5】
前記第二の導体要素が、前記チップ上に導電性トラックを有すると共に、前記透磁物質と前記基板との間に構成される請求項1に記載のコイル。
【請求項6】
前記第二の導体要素が、前記集積回路を保持するためのプリント回路基板上に構成される導電性トラックを有する請求項1に記載のコイル。
【請求項7】
複数の第一の導体要素が、前記基板の前記表面から離れる方向に面する前記透磁物質の第一の側に構成され、
複数の第二の導体要素が、前記第一の側と対向する前記透磁物質の第二の側に構成され、
複数の相互接続部が、チェーンで前記複数の第一の導体要素と前記複数の第二の導体要素とを相互接続するために構成され、前記相互接続部、前記第一の導体要素、及び前記第二の導体要素が、前記表面とほぼ垂直になる巻き線の巻き部において電流を導通させるために前記透磁物質の周りに巻き線を形成するように構成される請求項1に記載のコイル。
【請求項8】
前記第一の導体要素がほぼ平行に構成される請求項7に記載のコイル。
【請求項9】
前記第二の導体要素がほぼ平行に構成される請求項7に記載のコイル。
【請求項10】
前記コイルが、励磁されるとき、前記表面とほぼ平行な方向を有する磁場を生成する請求項1又は7に記載のコイル。
【請求項11】
前記コイルは、前記表面と平行な方向を有する磁場成分に対して最も感度が高くなるように構成される請求項1又は7に記載のコイル。
【請求項12】
基板を備えるチップ、前記基板の表面とほぼ平行な面内に堆積される前記透磁物質の層、及び前記基板から離れる方向に面する前記透磁物質の前記第一の側に構成される前記第一の導体要素と、
前記第一の側と対向する前記透磁物質の前記第二の側に構成される前記第二の導体要素と、
前記第一の導体の第一の端部と前記第二の導体要素の第一の端部とを相互接続するための相互接続部とを有する集積回路であって、前記相互接続部、前記第一の導体要素、及び前記第二の導体要素が、前記透磁物質の周りに前記巻き線を形成するように構成され、前記巻き線の巻き部は、請求項1に記載のコイルを形成するために前記基板の表面とほぼ垂直な面内で延在する集積回路。
【請求項13】
前記チップが、
前記基板上に堆積される前記第二の導体要素と、
前記第二の導体要素を前記透磁物質から絶縁分離するための絶縁分離層と
を更に有し、前記透磁物質は前記絶縁分離層上の層として堆積される請求項12に記載の集積回路。
【請求項14】
前記第一の導体要素がボンドワイヤを有する請求項12に記載の集積回路。
【請求項15】
前記第一の導体要素が、前記チップ上に導電性トラックを有し、前記チップは、前記透磁物質と前記第一の導体要素との間に構成される絶縁分離層を更に有する請求項12に記載の集積回路。
【請求項16】
請求項1に記載のコイルを形成するためのプリント回路基板及び集積回路の構成体であって、
前記集積回路は、前記プリント基板との少なくとも一つの導電性接続部を有し、
前記チップは、前記透磁物質の層を有し、
前記第一の導体要素は、前記基板から離れる方向に面する前記透磁物質の第一の側に構成され、
前記第二の導体要素は、前記プリント回路基板上に構成され、
前記第一の導体要素と前記第二の導体要素との間の前記相互接続部が、前記導電性接続部を介して形成される
構成体。
【請求項17】
請求項1に記載のコイルを有する電子装置。
【請求項18】
タグになる請求項17に記載の電子装置。
【請求項19】
請求項1に記載のコイルと、
前記表面とほぼ平行な面内で前記透磁物質の層の周りに構成される導体を有する更なるコイルとを有する2次元アンテナであって、前記透磁物質の層は、前記コイルと前記更なるコイルとの両方のための芯を形成する2次元アンテナ。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−513490(P2007−513490A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534865(P2006−534865)
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【国際出願番号】PCT/IB2004/051974
【国際公開番号】WO2005/038916
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】