コイル用ボビン、巻線部品、コイル部品、スイッチング電源装置、及びコイル部品の製造方法
【課題】磁性体コア部材のコア間ギャップを高精度に且つ容易な組立作業により設ける。
【解決手段】巻線部品1のボビン40は、少なくとも一方が脚部を有する一対の磁性体コア部材と、該脚部が内挿された状態で該一対の磁性体コア部材に挟まれるコイル巻線2とを電気的に絶縁するためのコイル用ボビンであって、コイル巻線2の内周側において該コイル巻線の中心軸線方向に沿って設けられる筒状部40aと、筒状部40a内に設けられ一対の磁性体コア部材間にギャップを設けるためのスペーサ部61と、筒状部40aの内壁とスペーサ部61とを連結し、スペーサ部61を支持する支持片63と、を備え、磁性体コア部材の脚部によってスペーサ部61を押圧することにより、支持片63が延伸又は切断される。
【解決手段】巻線部品1のボビン40は、少なくとも一方が脚部を有する一対の磁性体コア部材と、該脚部が内挿された状態で該一対の磁性体コア部材に挟まれるコイル巻線2とを電気的に絶縁するためのコイル用ボビンであって、コイル巻線2の内周側において該コイル巻線の中心軸線方向に沿って設けられる筒状部40aと、筒状部40a内に設けられ一対の磁性体コア部材間にギャップを設けるためのスペーサ部61と、筒状部40aの内壁とスペーサ部61とを連結し、スペーサ部61を支持する支持片63と、を備え、磁性体コア部材の脚部によってスペーサ部61を押圧することにより、支持片63が延伸又は切断される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル用ボビン、巻線部品、コイル部品、スイッチング電源装置、及びコイル部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の搭載部品として、高電圧を低電圧に変換、あるいは、低電圧を高電圧に変換するDC−DCコンバータ等のスイッチング電源装置が知られている。このスイッチング電源装置のトランス等に用いられるコイル部品として、コイル巻線と筒状の絶縁性のコイル用ボビンとを備えるものが知られている。このコイル部品のコイル用ボビンはコイル巻線に内挿され、コイル部品は、一対の磁性体コア部材により、コイル用ボビンの開口内にコイル巻線の軸線方向に沿って磁性体コア部材の脚部が内挿された状態で挟まれる。
【0003】
上記のコイル部品では、一般的に、一対の磁性体コア部材の脚部の端面の間に間隙(ギャップ)を設けることにより、コイル部品のAL値(インダクタンス係数)の調整が行われる。そして、漏洩磁束による損失を少なくし、AL値を一定化することを目的として、一対の磁性体コア部材の脚部の端面間に所定の厚さの絶縁性のギャップスペーサが設けられる。従来、コイル用ボビンとギャップスペーサとは別の部材で用いられていたが、例えば、特許文献1には、コイル用部品の組立作業の簡素化を図る目的から、筒状のコイル用ボビンの内壁にギャップ用のスペーサ部を設けることにより、ギャップスペーサとコイル用ボビンとが一体成形された構成が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3054397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1記載の構成では、コイル用ボビンに対してギャップスペーサが固定されているために、コイル用ボビン及びギャップスペーサの寸法公差が累積する影響によって一対の磁性体コア部材間のコア間ギャップを所定の間隔に保持できない場合があり、AL値が変動してしまって、設計通りのコイル用部品の特性を得ることができない等の問題が発生してしまう可能性がある。
【0006】
本発明は上記を鑑みてなされたものであり、磁性体コア部材のコア間ギャップを高精度に且つ容易な組立作業により設けることができるコイル用ボビン、巻線部品、コイル部品、スイッチング電源装置、及びコイル部品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るコイル用ボビンは、少なくとも一方が脚部を有する一対の磁性体コア部材と、該脚部が内挿された状態で該一対の磁性体コア部材に挟まれるコイル巻線とを電気的に絶縁するためのコイル用ボビンであって、前記コイル巻線の内周側において該コイル巻線が巻回する軸線方向に沿って設けられる筒状部と、前記筒状部内に設けられ前記一対の磁性体コア部材間にギャップを設けるためのスペーサ部と、前記筒状部の内壁と前記スペーサ部とを連結し、前記スペーサ部を支持する支持部と、を備え、前記脚部によって前記スペーサ部を押圧することにより、前記支持部が延伸又は切断されることを特徴とする。
【0008】
上記の構成によれば、脚部によるスペーサ部の押圧により、支持部が延伸又は切断されるため、コイル巻線が巻回する軸線方向に沿ってスペーサ部が開口内を移動した位置において、一対の磁性体コア部材間のギャップが設けられる。このように、上記のコイル用ボビンでは、スペーサ部がコイル用ボビンにより支持される位置とは異なる位置に移動可能であるため、コイル用ボビン及びギャップスペーサの寸法公差が累積することなく、コア間ギャップの大きさがより高い精度で調整される。また、上記のコイル用ボビンにおいては、スペーサ部が一体化して設けられているため、別体のギャップスペーサを一対の磁性体コア部材の間に挿入する場合と比較して組立作業が容易となる。
【0009】
また、本発明に係る巻線部品は、少なくとも一方が脚部を有する一対の磁性体コア部材によって、該脚部が内挿された状態で挟まれるコイル巻線と、前記コイル巻線と前記一対の磁性体コア部材とを電気的に絶縁する上記のコイル用ボビンとを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るコイル部品は、少なくとも一方が脚部を有する一対の磁性体コア部材と、前記一対の磁性体コア部材によって、前記脚部が内挿された状態で挟まれるコイル巻線と、前記コイル巻線と前記一対の磁性体コア部材とを電気的に絶縁する請求項1記載のコイル用ボビンと、を備えることを特徴とする。
【0011】
そして、上記のコイル部品の製造方法は、前記磁性体コア部材の前記脚部を前記コイル用ボビンの前記筒状部に内挿し、前記スペーサ部を押圧することにより、前記支持部を延
伸又は切断させることを特徴とする。
【0012】
上記の巻線部品及びコイル部品によれば、磁性体コア部材の脚部がコイル用ボビンの筒状部に内挿され、スペーサ部を押圧することにより、支持部が延伸又は切断されるため、スペーサ部が軸線方向に沿って開口内を移動した位置において、コア間のギャップが設けられる。このため、上記の巻線部品及びコイル部品によれば、スペーサ部がコイル用ボビンにより支持される位置とは異なる位置でコア間ギャップが設けられるため、コイル用ボビン及びギャップスペーサの寸法公差が累積することなく、コア間ギャップの大きさがより高い精度で調整される。
【0013】
また、本発明に係る巻線部品の他の構成は、少なくとも一方が脚部を有する一対の磁性体コア部材によって、該脚部が内挿された状態で挟まれる複数のコイル巻線と、前記複数のコイル巻線と前記一対の磁性体コア部材とを電気的に絶縁する複数の上記のコイル用ボビンと、を備え、前記複数のコイル巻線は、前記コイル巻線が巻回する軸線方向が沿うように並設されることを特徴とする。
【0014】
そして、本発明に係るコイル部品の他の構成は、少なくとも一方が脚部を有する一対の磁性体コア部材と、前記一対の磁性体コア部材によって、前記脚部が内挿された状態で挟まれる複数のコイル巻線と、前記複数のコイル巻線と前記一対の磁性体コア部材とを電気的に絶縁する複数の請求項1記載のコイル用ボビンと、を備え、前記複数のコイル巻線は、前記コイル巻線が巻回する軸線方向が沿うように並設されることを特徴とする。
【0015】
そして、上記のコイル部品の製造方法は、前記磁性体コア部材の前記脚部を前記複数のコイル用ボビンの前記筒状部にそれぞれ内挿し、前記スペーサ部をそれぞれ押圧することにより、前記支持部を延伸又は切断させることを特徴とする。
【0016】
上記のように、複数のコイル巻線が巻回する軸線方向が沿うように並設される巻線部品及びコイル部品において、磁性体コア部材の脚部がコイル用ボビンの筒状部に内挿され、スペーサ部を押圧することにより、支持部が延伸又は切断されるため、スペーサ部が軸線方向に沿って開口内を移動した位置において、コア間のギャップが複数のコイル用ボビンに対応してそれぞれ設けられる。このように、上記の巻線部品及びコイル部品によれば、スペーサ部がコイル用ボビンにより支持される位置とは異なる位置でコア間ギャップが設けられるため、コイル用ボビン及びギャップスペーサの寸法公差が累積することなく、コア間ギャップの大きさがより高い精度で調整される。また、上記のコイル部品では、スペーサ部が一体化して設けられているため、別体のギャップスペーサを複数のコイル巻線に対して設けられる複数のコイル用ボビンの筒状部内に挿入する場合と比較して、コイル部品の組立作業が容易となる。
【0017】
また、上記の巻線部品及びコイル部品において、上記のコイル用ボビンと、前記コイル巻線とは、インサート成形により一体成形されて態様とすることができる。
【0018】
上記のようにコイル用ボビンとコイル巻線とが一体成形されている場合、コイル用ボビンに対してコイル巻線を巻回させる作業を省略することができるため、コイル部品の組立作業をさらに容易とすることができる。そして、脚部によってスペーサ部が押圧されることにより、支持部が延伸又は切断され、スペーサ部が移動した位置においてコア間ギャップが設けられるため、高い精度でコア間ギャップが調整される。
【0019】
また、本発明に係るスイッチング電源装置は、上記に記載のコイル部品を備えることを特徴とする。この場合、磁性体コア部材のコア間ギャップを高精度に且つ容易な組立作業により設けられたスイッチング電源装置を得ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、磁性体コア部材のコア間ギャップを高精度に且つ容易な組立作業により設けることができるコイル用ボビン、巻線部品、コイル部品、スイッチング電源装置、及びコイル部品の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係る巻線部品を示す斜視図である。
【図2】図1の巻線部品の底面側からの斜視図である。
【図3】(a)は図1の巻線部品の平面図であり、(b)は巻線部品の底面図である。
【図4】(a)は図3(a)の巻線部品のIVA−IVA線における端面を示す図であり、(b)は図3(a)の巻線部品のIVB−IVB線における端面を示す図である。
【図5】図1の巻線部品を構成するコイル巻線及び接続部材を示す斜視図である。
【図6】(a)はコイル巻線の平面図であり、(b)はコイル巻線の底面図である。
【図7】コイル巻線の側面図である。
【図8】第1実施形態に係るコイル部品の分解斜視図である。
【図9】図8に示すコイル部品のIX−IX線における端面を示す図である。
【図10】第1実施形態に係るスイッチング電源装置の回路図である。
【図11】第1実施形態に係るスイッチング電源装置の斜視図である。
【図12】第2実施形態に係るコイル部品を説明する図である。
【図13】第3実施形態に係るコイル用ボビンを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0023】
(第1実施形態)
まず、図1〜図7を参照して、第1実施形態に係るコイル用ボビンを含む巻線部品の構成を説明する。図1は、本実施形態に係るコイル用ボビンを含む巻線部品を示す斜視図である。図2は、図1の巻線部品の底面側からの斜視図である。図3(a)は、図1の巻線部品の平面図であり、図3(b)は、図1の巻線部品の底面図である。図4(a)は、図3(a)の巻線部品のIVA−IVA線における端面を示す図であり、図4(b)は、図3(a)の巻線部品のIVB−IVB線における端面を示す図である(なお、図4(b)では巻線部品1に対して接続部材3を省略している)。また、図5は、図1の巻線部品を構成するコイル巻線及び接続部材を示す斜視図である。図6(a)は、コイル巻線の平面図であり、図6(b)は、このコイル巻線の底面図である。また、図7は、コイル巻線の側面図である。
【0024】
図1に示す巻線部品1は、インダクタンス素子、コンバータ、インバータ等のスイッチング電源装置、ノイズフィルタ等に用いられるものである。この巻線部品1は、導体板からなる2つのコイル巻線2と、2つのコイル巻線の内周側に設けられるボビン40と、2つのコイル巻線2を電気的に接続する接続部材3と、を含んで構成される。すなわち、巻線部品1は、導体板からなるコイル巻線2と、ボビン40とを含んで構成される巻線部品5(5A,5B)が2つ並設され、これらが接続部材3により電気的に接続して構成される。ボビン(コイル用ボビン)40は、電気絶縁性の絶縁部材からなり、コイル巻線2の内周側に設けられてコイル巻線2が巻回された筒状部40aと、コイル巻線2の周囲を覆う被覆部40bと、筒状部40aの開口52,54内に設けられたスペーサ部61と、開口52,54の内壁に設けられてスペーサ部61を開口52,54内で支持する支持片(支持部)63(63a,63b)とから構成される。接続部材3は、巻線部品5にそれぞれ含まれるコイル巻線2同士を接続する。以下、まず巻線部品1を構成するコイル巻線2について説明し、次に2つのコイル巻線2を接続部材3により接続した構成4について説明し、最後にこれを絶縁部材により覆ってボビン40とコイル巻線2とを一体化した(すなわち、2つの巻線部品5を接続部材3により接続した)巻線部品1について説明する。
【0025】
コイル巻線2は、図5〜図7に示すように、間を隔てて並設された有端リング状であり且つ板状の第1及び第2のコイル部材10,12を、所定の巻き方向に連なるように連結させたものである。
【0026】
有端リング状の第1及び第2のコイル部材10,12はいわゆるC字状を呈しており、中央に円形状の開口14,16を有している。また、第1及び第2のコイル部材10,12の一端と他端との間は、内周から外周まで延びるスリット20,22になっている。第1コイル部材10と第2のコイル部材12とは、開口14,16が連通するように同軸上に重なり合っている。なお、第1コイル部材10と第2のコイル部材12とは、スリット20とスリット22との位置をずらした状態で(つまりこれらが連通しないように)重なり合っている。そのため、第1のコイル部材10の他端部が第2のコイル部材12の一端部と重なり合うことになる。なお第1及び第2のコイル部材10,12の形状は上記のC字状の有端リング状に限られず、例えば楕円形状や、四角形状等の他の形状であってもよい。
【0027】
第1のコイル部材10の一端部には、開口14の中心軸線に対し外方に向かって突出する第1の端子部24が一体的に設けられており、第1のコイル部材10の他端部はU字状の連結部18を介して第2のコイル部材12の一端部に連結されている。第2のコイル部材12の他端部には、開口16の中心軸線に対し外方に向かって突出する第2の端子部26が一体的に設けられている。
【0028】
このような構成のコイル巻線2では、第1の端子部24がコイル巻線2の始端、第2の端子部26がコイル巻線2の終端になっている。第1の端子部24に入力された電力は、第1のコイル部材10、連結部18、第2のコイル部材12の順で流れ、第2の端子部26から出力される。
【0029】
第1のコイル部材10の内周縁には、外方に向けて切り込まれた切込部30が形成されている。さらに、第1のコイル部材10の外周縁のうち、開口14の中心軸線と切込部30とを結ぶ線を延長した領域には、第1のコイル部材10の外周縁が径方向に大きくなるように、外方に膨らんだ突出部34が設けられる。
【0030】
一方、第2のコイル部材12の内周縁には、外方に向けて切り込まれた切込部32が形成されている。さらに、第2のコイル部材12の外周縁のうち、開口16の中心軸と切込部32とを結ぶ線を延長した領域には、第2のコイル部材12の外周縁が径方向に大きくなるように、外方に膨らんだ突出部36が設けられる。
【0031】
切込部30,32は、第1及び第2のコイル部材10,12の厚さ方向に貫通している。開口14,16の中心軸線方向から見ると、切込部30,32は、開口14,16の周縁に沿って所定の幅を有しており、開口14,16の径方向に所定の奥行きを有している。また、第1のコイル部材10に設けられる切込部30と、第2のコイル部材12に設けられる切込部32とは、開口14,16の中心軸線方向から見たときに、互いに異なる位置に設けられる。また、第1のコイル部材10に設けられる突出部34と、第2のコイル部材12に設けられる突出部36とは、それぞれ第1及び第2のコイル部材10,12の外周縁に沿って所定の幅を有しており、外周縁が外方へ所定の幅だけ突出するように設けられる。
【0032】
また、突出部34,36はそれぞれ開口14,16の中心軸線と切込部30,32とを結んだ直線を延長した外周縁に設けられる。これにより、切込部30,32の形成領域における第1及び第2のコイル部材10,12の幅(導体板の幅)を確保し、切込部30,32の周囲で第1及び第2のコイル部材10,12が細くなり、発熱等の原因となる電気抵抗が増加することを回避している。このように本実施形態では、切込部30,32の形成領域における第1及び第2のコイル部材10,12の幅を、突出部34,36を設けることにより確保して、導体板の幅と厚みとで決まる各コイル部材10,12の断面積の減少による電気抵抗の増加を抑えている。なお、突出部34,36は、開口14,16の中心軸線方向から見ると互いに異なる位置に設けられる。
【0033】
さらに、第1及び第2のコイル部材10,12はそれぞれ突出部34,36とは異なる突出部33,35を備える。突出部33は、第1のコイル部材10の外周のうち上述の突出部34とは異なる位置(例えば、図6(a)に示すように、コイル巻線2が巻回される軸線を基準として連結部18に対して90度となる位置)に設けられる。また、突出部35は、第2のコイル部材12の外周のうち上述の突出部36とは異なる位置(例えば、図6(b)に示すように、コイル巻線2が巻回される軸線を基準として連結部18に対して−90度となる位置)に設けられる。このように、第1及び第2のコイル部材10,12は、複数の突出部を備えていてもよい。
【0034】
以上の構成を有するコイル巻線2は、電気伝導性が高い一枚の基板を打ち抜き加工することで形成可能である。より具体的には、銅板、アルミニウム板等の基板から、第1の端子部24と、第1の端子部24に連続する第1のコイル部材10と、第2のコイル部材12と、第2のコイル部材12に連続する第2の端子部26と、第1及び第2のコイル部材10,12を連結するI字状の連結部18と、を打ち抜き加工により得る。そして、連結部18をU字状に屈曲させることによって第1のコイル部材10と第2のコイル部材12とを所定の間隙をもって重ね合わせる。これにより、導体板からなるコイル巻線2が完成する。なお、コイル巻線2はこのような折り曲げコイルに限られず、例えば、コイル部材と連結部とをねじ留めしたものであってもよいし、溶接したものであってもよい。また、リベットで固定してもよい。
【0035】
なお、本実施形態に係る巻線部品1では、図5に示すように、並設される2つのコイル巻線2(2A,2B)の双方の第2の端子部26が接続部材3を介して接続された構成4が用いられる。この接続部材3と2つのコイル巻線2の第2端子部26とは、それぞれネジ38により固定される。これにより、コイル巻線2Aの第1の端子部24に入力された電流は、第1のコイル部材10、連結部18、第2のコイル部材12の順で流れ、コイル巻線2Aの第2の端子部26まで流れた後、接続部材3を介してコイル巻線2Bの第2端子部26に入力される。そして、コイル巻線2Bの第2コイル部材12、連結部18、第1のコイル部材10の順で流れ、コイル巻線2Bの第1の端子24から出力される。
【0036】
次に、接続部材3により接続された2つのコイル巻線2に対して絶縁部材が一体成形された巻線部品1について説明する。
【0037】
図1に示すように、巻線部品1には、2つのコイル巻線2の第1及び第2のコイル部材10,12の一部領域をそれぞれ覆うように絶縁材料により構成されるボビン40が設けられる。具体的には、ボビン40は、第1及び第2のコイル部材の内周縁を覆う筒状部40aと、後述の磁性体コア部材と対向する第1及び第2のコイル部材10,12の最外の板面と、隣接する第1及び第2のコイル部材10,12の間とを覆うように延在する被覆部40bと、後述の一対の磁性体コア部材にコア間ギャップを設けるために筒状部40aの開口52,54内に設けられたスペーサ部61と、スペーサ部61を開口52,54内で支持する支持片63(63a,63b)を含んで構成される。また、本実施形態に示す巻線部品1では、第1及び第2のコイル部材10,12の外周縁もボビン40の被覆部40bにより覆われる。なお、ボビン40に用いられる絶縁材料としては、例えばPBT(Poly Butylene Terephthalate)樹脂やPPS(Poly Phenylene Sulfide)樹脂等が、耐熱性、耐薬品性、難燃性、寸法安定性等の特性に優れていることから好適に用いられる。
【0038】
ボビン40の被覆部40bは、2つのコイル巻線2のうち、第1の端子部24及び第2の端子部26を除く第1及び第2のコイル部材10,12の表面を覆う。また、ボビン40の筒状部40aの内部にはコイル巻線2の軸線方向に沿って開口52,54が形成される。すなわち、巻線部品1はコイル部材10,12と同様に中空状となる。この開口52,54は、後述の磁性体コア部材の脚部を挿通することができるように設けられる。
【0039】
そして、ボビン40の筒状部40aの開口52,54内には、図3及び図4等に示すように、絶縁部材からなり、後述の一対の磁性体コア部材間のギャップを設けるためのスペーサ部61と、筒状部40aの内壁とスペーサ部61を連結し、開口52,54内でスペーサ部61を支持する支持片63a,63bとがそれぞれ備えられる。
【0040】
スペーサ部61は、略円盤状の平板からなり、その直径は開口52,54内においてボビン40の筒状部40aの内径よりも小さいが、筒状部40aの開口52,54が延びる軸線方向における断面をほぼ塞ぐ大きさであることが好ましい。また、スペーサ部61には、後述の磁性体コア部材による磁束を調整する目的から切欠部65が設けられているが、この切欠部65は設けなくてもよい。また、スペーサ部61の形状は、楕円や三角、四角等に変更してもよい。本実施形態に係るスペーサ部61は、略円形状の表面が筒状部40aの開口52,54が延びる軸線方向に対して垂直となるように筒状部40aの内壁から離間して設けられる。スペーサ部61の厚さは、後述の一対の磁性体コア部材のコア間ギャップに応じて設計される。このスペーサ部61は、その端面が、開口52,54が延びる軸線方向において筒状部40aの開口52,54の端部と一致するか、もしくは端部よりも内側に位置するように、支持片63a,63bにより支持される。
【0041】
筒状部40aとスペーサ部61とを連結し、開口52,54内においてスペーサ部61を支持する支持片63a,63bは、開口52,54が延びる軸線方向においてスペーサ部61と同じ位置であって、且つスペーサ部61の中心を介して対向するように設けられる。この支持片63a,63bは細い柱状とされ、開口52,54が延びる軸線方向においてスペーサ部61が押圧された場合に、容易に切断される構成とされる。スペーサ部61が押圧されることにより、支持片63a,63bの少なくとも一部が切断された場合には、スペーサ部61は開口内52,54を移動可能となる。また、支持片63a,63bの全てが切断された場合には、スペーサ部61は筒状部40aから分離し、開口内52,54内を移動可能となる。
【0042】
また、巻線部品1は、図2、図3(b)に示すように、底面側にはボビン40と同じ絶縁材料により構成された、外部に突出する凸部50a,50bを備える。これは、後述の磁性体コア部との間の位置決めを行うために設けられたものである。さらに、ボビン40は、図4(a),(b)等に示すように、第1のコイル部材10と第2のコイル部材12の間を埋めるように構成される。ただし、コイル巻線2の突出部34,36の表面の一部領域と、第2コイル部材12において、開口14,16の中心軸線に沿って第1のコイル部材10の切込部30に対応する領域の一部と、第1コイル部材10において、開口14,16の中心軸線に沿って第2のコイル部材12の切込部32に対応する領域の一部とでは、コイル巻線2の表面をボビン40が被覆する構成ではなく、コイル巻線2が外部に露出する構成となる。以下、このコイル巻線2が露出される領域について説明する。
【0043】
まず、コイル巻線2の突出部34,36は、その表面のうち、開口14,16の中心軸線に垂直な面(すなわち、図3(a)、(b)における表面34a,34b,36a,36b)は、外部に露出される。そして、突出部34,36の外周はそれぞれ被覆部40bから延びる樹脂部44,46により覆われる。このように、突出部34,36の表面の一部領域が外部に露出されることにより、この露出された部分から例えば熱伝導性の部材を介して外部に設けられた放熱部材と電気的には絶縁されて接続することにより、コイル巻線2からの放熱を行うことができる。また、突出部34,36の外周はそれぞれ樹脂部44,46により覆われることにより、巻線部品1の周囲に配置される他の装置等との接触した際の絶縁性を保つことができる。また、コイル巻線2の外周がボビン40に覆われており、且つ、突出部34,36の外周も樹脂部44,46により覆われることにより、本実施形態のように巻線部品1がボビン40と一体化されたコイル巻線2を2つ並置した構成となる場合には、巻線部品1の2つのコイル巻線2間の絶縁性を保つことができる。
【0044】
さらに、巻線部品1では、上述のように、第2コイル部材12において、開口14,16の中心軸線に沿って第1のコイル部材10の切込部30に対応する領域の一部と、第1コイル部材10において、開口14,16の中心軸線に沿って第2のコイル部材12の切込部32に対応する領域の一部と、が外部に露出される。具体的には、図1、図3、図4に示すように、切込部30に対しても他の内周縁と同様の厚さのボビン40の筒状部40aが設けられる。これにより、図4(a)に示すように、第2コイル部材12において、開口14,16の中心軸線に沿って第1のコイル部材10の切込部30に対応する領域が、ボビン40が内側に設けられた切込部30と比較して、内周縁内方へ突出する構成となる。そして、この突出する領域(第1のコイル部材10の切込部30に対応する第2のコイル部材12の領域)の一部である面43aとその裏面43bとが外部に露出される。なお、外部に露出される面43a及びその裏面43bの内側(内周部分)は、図4(a)に示すように、第1及び第2のコイル部材10,12の他の内周部分と同様にボビン40の筒状部40aが設けられる。これにより、巻線部品1の開口52,54の内周縁には全て絶縁材料からなるボビン40が設けられることとなり、開口52,54に挿入される磁性体コア部材とコイル巻線2との間での絶縁性を保つことができる。
【0045】
なお、第1のコイル部材10において、開口14,16の中心軸線に沿って第2のコイル部材12の切込部32に対応する領域についても同様の形状となる。すなわち、上述の第1のコイル部材10の切込部30に対応する第2コイル部材12の領域と同様に、図4(b)に示すように、第2のコイル部材12の切込部32に対応する領域に対応する第1コイル部材10の領域が、切込部32と比較して内周縁内方へ突出する構成となる。そして、この突出する領域の一部である面41aとその裏面41bとが外部に露出される。なお、外部に露出される面41a及びその裏面41bの内側(内周部分)は、図4(b)に示すように、第1及び第2のコイル部材10,12の他の内周部分と同様にボビン40が設けられる構成となる。
【0046】
さらに、巻線部品1では、コイル巻線2を構成する第1及び第2のコイル部材10,12に設けられた突出部33,35がそれぞれ外部に完全に露出する態様となっている(すなわち、突出部の外周もボビン40により覆われていない)。これらの突出部33,35のように、ボビン40の被覆部40bに覆われずに外部に露出される領域は、必ずしもその外周が絶縁部材に覆われる必要はない。
【0047】
以上のように、上述の外部に露出される領域(突出部33,35及び突出部34,36の面34a,34b,36a,36bと、切込部30,32に対応する領域である面41a,41b,43a,43b)が設けられることにより、当該領域が絶縁部材により覆われる場合と比較して、コイル巻線2の熱を外部に効率よく放出することができる。
【0048】
上述の巻線部品1は、例えば以下の方法により製造される。まず、第1のコイル部材10及び第2のコイル部材12が連結部18により接続されたコイル巻線2を準備する。次に、このコイル巻線2をボビン40の形状に構成された金型内に設置しインサート部品とし、ボビン40を構成する樹脂を金型内に注入することによりモールド成形し、第1のコイル部材10及び第2のコイル部材12の周囲の一部にボビン40が一体成形された巻線部品5を得ることができる。次いで、巻線部品5のコイル巻線2に含まれる第2端子部26同士を導電性の接続部材3に対してネジ38により固定することにより、巻線部品1が得られる。
【0049】
なお、巻線部品5の成形時の成形圧力(すなわち金型内に樹脂を注入する際の圧力)により、コイル巻線2が変形して短絡が発生することがある。しかし、成形時にコイル巻線2が仮に変形した場合であっても、一体成形後にはコイル巻線2に短絡が発生しているかを確認することが困難である。このため、本実施形態の巻線部品1の成形時には、成形圧力によるコイル巻線2の変形を防止する目的から、第1及び第2のコイル部材10,12に設けられた突出部34,36と、第2コイル部材12において、開口14,16の中心軸線に沿って第1のコイル部材10の切込部30に対応する領域の一部と、第1コイル部材10において、開口14,16の中心軸線に沿って第2のコイル部材12の切込部32に対応する領域の一部と、を成形金型により機械的に固定する。これにより、成形時のコイル巻線2の変形の発生が抑制される。なお、機械的に固定する領域は樹脂により覆われることなく、外部に露出する領域(すなわち、突出部34,36の面34a,34b,36a,36bと、切込部30,32に対応する領域である面41a,41b,43a,43b)となる。
【0050】
次に、コイル部品70について説明する。このコイル部品70は、上記の巻線部品1が更に磁性体コア部材を備えるものである。すなわち、一対の磁性体コア部材8,9と、この一対の磁性体コア部材8,9の脚部81,82が内挿された状態で挟まれる2つのコイル巻線2と、これらのコイル巻線2と一対の磁性体コア部材8,9とを電気的に絶縁する2つのコイル用ボビン40とを備え、2つのコイル巻線2がコイル巻線が巻回する軸線方向が沿うように並設される構成とされる。コイル部品70は、例えば、後述するスイッチング電源装置のチョークコイルとして機能する。図8は、本実施形態に係るコイル部品70の分解斜視図であり、図9は、図8に示すコイル部品70のIX−IX線における端面を示す図である。
【0051】
図8,図9に示すように、巻線部品1が好適に用いられるコイル部品70は、コイル巻線2の表面をボビン40により覆った巻線部品1と、一対の磁性体コア部材8,9と、を備えている。磁性体コア部材8,9は、巻線部品1のコイル巻線2の開口14,16の中心軸線に沿って巻線部品1を挟むように配置される。一対の磁性体コア部材8,9で挟まれた状態において、第1及び第2の端子部24,26及び接続部材3は、磁性体コア部材8,9から突出された構成となる。
【0052】
磁性体コア部材8,9は、フェライト粉末を圧粉成形して得られるいわゆるU型コアとI型コアである。より具体的には、磁性体コア部材8は、長手方向を有する平板状の基部80と、基部80の一方の主面に突設された2本の円柱状の脚部81,82とからなっており、脚部81と脚部82とは、基部80に空間的に離間して接続されている。一方、磁性体コア部材9は、長手方向を有する平板状の基部90からなっている。脚部81,82の厚さ(図8における上下方向の長さ)は、磁性体コア部材8のコア間ギャップに応じて設計されるが、スペーサ部61の厚さと脚部81,82の厚さの和が巻線部品1の厚さと等しくなるように、設計されている。この磁性体コア部材8の脚部81,82は、巻線部品1に含まれるボビン40の筒状部40aに設けられた開口52,54にそれぞれ挿入される。
【0053】
また、磁性体コア部材8の基部80の一方の主面は、巻線部品1の一方の主面(図1に示される上面側)のボビン40に当接する。また、磁性体コア部材9の基部90の一方の主面は、巻線部品1の他方の主面(図2に示される底面)のボビン40に当接する。このとき、ボビン40に設けられた凸部50a,50bが基部90の長手方向において対向する2つ側面とそれぞれ当接することにより、磁性体コア部材9と巻線部品1との間の幅方向の位置ズレの発生が抑制される。なお、本実施形態に係る巻線部品1のボビン40に設けられた凸部50a,50bは、それぞれ基部90の長手方向の外周に沿ってリブ状に形成されているが、凸部の形状は上記に限られず、例えば、基部90の外周に沿って短手方向を含む数箇所に設ける態様とすることもできるし、基部90に凹部を設けて、これと対応する位置に凸部を形成することにより巻線部品1と磁性体コア部材9との位置を当接位置を決定する態様とすることもできる。
【0054】
ここで、磁性体コア部材8,9を備えるコイル部品70の製造方法について説明する。具体的には、コイル巻線2とボビン40とが一体化された巻線部品1の一方の主面(図2に示される底面)の凸部50a,50bに対応する位置に磁性体コア部材9を配置し、磁性体コア部材8の脚部81,82をそれぞれ巻線部品1に含まれるボビン40の筒状部40aに設けられた開口52,54に挿入し脚部81,82の端面がそれぞれ磁性体コア部材9の主面と対向するように配置する。このとき、磁性体コア部材8の脚部81,82は、開口52,54内に設けられたスペーサ部61を押圧する。この押圧によりスペーサ部61を支持する支持片63a,63bの一部又は全部が切断され、開口52,54内を移動可能となる。この結果、図9に示すように、スペーサ部61が磁性体コア部材9の基部90の主面と当接する位置に移動し、磁性体コア部材9の基部90の主面と脚部81,82の端面とにより挟持される構成となる。そして、このスペーサ部61の厚さが磁性体コア部材8と磁性体コア部材9とのコア間ギャップとなる。
【0055】
なお、本実施形態に係るコイル部品70では、巻線部品1に含まれて並設された2つの巻線部品5A,5Bに含まれるボビン40の筒状部40aに設けられた開口52,54に対して、脚部81,82がそれぞれ同時に挿入される。したがって、巻線部品5Aのスペーサ部61及び巻線部品5Bのスペーサ部61が、脚部81,82の押圧によって同時に移動し、磁性体コア部材9にそれぞれ当接する構成となる。
【0056】
次に、上記のコイル部品70が好適に用いられるスイッチング電源装置について説明する。図10は、スイッチング電源装置100の回路図である。また、図11は、スイッチング電源装置100の斜視図である。本実施形態に係るスイッチング電源装置100は、DC−DCコンバータとして機能するものであり、例えば100Vから500V程度の電圧を蓄電する高圧バッテリ等から供給される高圧の直流入力電圧Vinを低圧の直流出力電圧Voutに変換し、12〜16V程度の電圧を蓄電する低圧バッテリ等へ供給する。
【0057】
このスイッチング電源装置100は、図11に示すように、ベースプレート101を有し、このベースプレート上に、入力平滑コンデンサ(入力フィルタ)130と、スイッチング回路120と、メイントランス140と、整流回路150と、チョークコイル(コイル部品)70と、平滑コンデンサ162と、からなる平滑回路160と、が固定されている。
【0058】
このスイッチング電源装置100は、より具体的には、1次側高圧ライン121と1次側低圧ライン122との間に設けられたスイッチング回路120及び入力平滑コンデンサ130と、1次側及び2次側トランスコイル部141,142を有するメイントランス140と、2次側トランスコイル部142に接続された整流回路150と、整流回路150に接続された平滑回路160と、を備えている。
【0059】
スイッチング回路120は、スイッチング素子S1〜S4で構成されたフルブリッジ型の回路構成とされている。スイッチング回路120は、例えば駆動回路(不図示)から供給される駆動信号に応じて、入力端子T1,T2間に印加される直流入力電圧Vinを入力交流電圧に変換する。
【0060】
入力平滑コンデンサ130は、入力端子T1、T2から入力された直流入力電圧Vinを平滑化する。トランス140は、スイッチング回路120で生成された入力交流電圧を変圧し、出力交流電圧を出力する。1次側及び2次側トランスコイル部141,142の巻数比は、変圧比によって適宜設定されている。ここでは、1次側トランスコイル部141の巻数を、2次側トランスコイル部142の巻数よりも多くしている。2次側トランスコイル部142は、センタータップ型のものであり、接続部C及び出力ラインLOを介して出力端子T3に導かれている。
【0061】
整流回路150は、整流ダイオード151A,151Bからなる単層全波整流型のものである。各整流ダイオード151A,151Bのカソードは、2次側トランスコイル部142に接続されている一方、アノードは、接地ラインLGに接続され、出力端子T4に導かれている。これにより、整流回路150は、トランス140からの出力交流電圧の各半短波期間を、個別に整流して直流電圧を生成する。
【0062】
平滑回路160は、チョークコイル70と出力平滑コンデンサ162とを含んで構成されている。チョークコイル70は、出力ラインLOに挿入配置されている。出力平滑コンデンサ162は、出力ラインLOにおいてチョークコイル70と接地ラインLGとの間に接続されている。これにより、平滑回路160は、整流回路150で整流された直流電圧を平滑化して直流出力電圧Voutを生成し、この直流出力電圧Voutを出力端子T3,T4から低圧バッテリ等へ供給する。
【0063】
以上のように構成されたスイッチング電源装置100において、入力端子T1,T2から供給される直流入力電圧Vinがスイッチングされて入力交流電圧が生成され、トランス140の1次側トランスコイル部141へと供給される。そして、生成された入力交流電圧が変圧され、2次側トランスコイル部142から出力交流電圧として出力される。そして、この出力交流電圧が整流回路150によって整流されると共に平滑回路160によって平滑化され、出力端子T3,T4から直流出力電圧Voutとして出力されることとなる。
【0064】
以上のように、本実施形態に係る巻線部品1と、巻線部品1が一対の磁性体コア部材8,9をさらに備えるコイル部品70とでは、磁性体コア部材8の脚部81,82によるスペーサ部61に対する押圧によって支持片63a,63bが切断されて、筒状部40aに設けられた開口52,54内を移動したスペーサ部61により、磁性体コア部材8の脚部81,82の端面と、この端面が対向する他方の磁性体コア部材9の主面との間のコア間ギャップが形成される。したがって、一対の磁性体コア部材8,9の形状に応じてコア間ギャップの大きさがより高い精度で調整される。また、上記のボビン40では、スペーサ部61が支持片63a,63bにより一体化して設けられているため、別体のギャップスペーサを一対の磁性体コア部材の間に挿入する場合と比較して組立作業が容易となる。
【0065】
また、本実施形態の巻線部品1では、コイル巻線2が巻回する軸線方向が沿うようにコイル巻線2が2つ並設され、それぞれのコイル巻線2の内周側にボビン40の筒状部40aを備え、それぞれの筒状部40aの開口52,54内にスペーサ部61が設けられて、各々のスペーサ部61が磁性体コア部材81,82により押圧される。すなわち、巻線部品1では、巻線部品5(5A,5B)がコイル巻線2が巻回する軸線方向が沿うように2つ並設され、これらの開口52,54に対して磁性体コア部材8の脚部81,82がそれぞれ挿入される。この場合、各開口52,54内のコア間ギャップを一度に設けることができるため、別体のギャップスペーサを複数の巻線部品のコイル用ボビンの筒状部内にそれぞれ挿入してコア間ギャップを設ける場合と比較して、コイル部品70の組立作業が容易となる。
【0066】
また、本実施形態に係る巻線部品1のボビン40とコイル巻線2とが一体成形されている場合、ボビン40に対してコイル巻線2を巻回させる作業を省略することができるため、巻線部品1の組立作業をさらに容易とすることができる。
【0067】
また、上記の巻線部品1をスイッチング電源装置100に用いることにより、磁性体コア部材のコア間ギャップを高精度且つ容易な組立作業により設けられた巻線部品1を用いたスイッチング電源装置100を得ることができる。なお、この巻線部品1をメイントランス140に用いる場合であっても、同様に、磁性体コア部材のコア間ギャップを高精度且つ容易な組立作業により設けられた巻線部品1を用いたスイッチング電源装置100を得ることができる。
【0068】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るコイル部品70Aを図12を用いて説明する。図12は、第2実施形態に係るコイル部品70Aを説明する図である。本実施形態に係るコイル部品70Aが第1実施形態に係るコイル部品70と異なる点は、支持片63a,63bを延伸可能な材料から形成される支持部64とした点である。なお、図12では、わかりやすくするために、支持部(支持部片)64の取り付け位置を第1実施形態に係る巻線部品1とは異なる位置にしている。
【0069】
支持部64を延伸可能な材料から形成することにより、磁性体用コア部材8の脚部81,82によりスペーサ部61が押圧されたときに、この押圧に応じて支持部64が伸びることにより、スペーサ部61は筒状部40aと分離しない状態で移動可能となる。したがって、図12に示すように、スペーサ部61は、支持部64によりスペーサ部61と筒状部40aと接続した状態のまま、開口52,54内を移動し、磁性体コア部材8の脚部81,82と磁性体コア部材9の主面との間に挟持される。なお、支持部64の形成に用いることが好ましい延伸可能な材料としては、例えば、ゴム等の弾性を有する材料等が挙げられる。
【0070】
このように、第2実施形態に係るコイル部品70Aにおいても、第1実施形態に係るコイル部品70と同様に、磁性体コア部材8の脚部81,82がボビン40の開口52,54にそれぞれ挿入され、スペーサ部61を軸線方向に沿って開口52,54内を移動させることによって、スペーサ部61が、磁性体コア部材8の脚部81,82の端面とこの端面が対向する他方の磁性体コア部材9の面とにより挟持される。このように、このコイル部品70では、スペーサ部61に対する脚部81,82による押圧によって支持部64が延伸されて、ボビン40により支持される位置とは異なる位置に移動した状態で磁性体コア部材8,9により挟持されてコア間ギャップが設けられるため、磁性体コア部材の形状に応じてコア間ギャップの大きさがより高い精度で調整される。
【0071】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係るボビン200を図13を用いて説明する。図13は、第3実施形態に係るボビン200を説明する図である。
【0072】
上述の第1、第2実施形態では、スペーサ部61を備えるボビン40がコイル巻線2に対して一体成形された構成について説明した。しかしながら、コイル用ボビンは、コイル巻線2と一体成形される必要はなく、コイル用ボビン単体でも上述の効果が奏される。
【0073】
すなわち、図13に示すボビン(コイル用ボビン)200は、導電性のコイル巻線が巻回され、中央部に開口201と、開口201内に設けられたスペーサ部61と、筒状部40aの内壁とスペーサ部61とをスペーサ部61を連結し、スペーサ部61を開口101内で支持する支持片(支持部)63a,63b(63bは不図示)と、筒状部40aの外周面から突出して巻線間に介在可能な突起部202を備える。そして、磁性体コア部材の脚部によりスペーサ部61がコイル巻線が巻回される軸線方向に押圧された場合には、支持片63a,63bの少なくとも一部が切断されることにより、スペーサ部61が脚部の押圧によって移動可能となる。
【0074】
このように、筒状部40aにスペーサ部61と支持片63a,63bとが設けられた本実施形態に係るボビン200の構成であっても、スペーサ部61が開口202内を移動し、ボビン200により支持される位置とは異なる位置に移動するため、一対の磁性体コア部材の形状に応じてコア間ギャップの大きさがより高い精度で調整されるという効果が奏される。また、他の実施形態と同様に、スペーサ部61がボビン200に対して一体化して設けられているため、別体のギャップスペーサを一対の磁性体コア部材の間に挿入する場合と比較して組立作業が容易となる。
【0075】
なお、本実施形態においてボビン200に備えられ、スペーサ部61に対する押圧により切断可能な支持片63a,63bに代えて、第2実施形態に示した延伸可能な支持片64を設ける構成としてもよい。また、上記のボビン200に対して、コイル巻線2を巻回することにより、巻線部品とすることができる。また、上記のボビン200に対して、コイル巻線2を巻回すると共に少なくとも一方が脚部を有する一対の磁性体コア部材の脚部を内挿することにより、磁性体コア部材を有するコイル部品を製造することもできる。
【0076】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されず、種々の変更を行うことができる。例えば、スペーサ部61の形状は上記実施形態で示す形状に限られず、例えば、筒状部40bの開口52,54のコイルが巻回される軸線方向に垂直な断面の形状とは異なる形状としてもよい。
【0077】
また、筒状部40a内に支持片63a,63bより取り付けられるスペーサ部61の開口の中心軸線に沿った方向での取り付け位置は、上記実施形態のように中心軸線方向の中央である必要はなく、上下方向に移動することができる。また、スペーサ部61を支持する支持片63a,63の数は適宜変更することができる。
【0078】
また、一対の磁性体コア部材8,9の形状は、上記実施形態に示すように一方の磁性体コア部材8が脚部81,82を備えるいわゆるUI型の形状に限られない。例えば、磁性体コア部材8,9の双方が脚部を備えるいわゆるUU型の形状とすることもできる。また、EE型、EI型等の磁性体コア部材を用いることもできる。この場合、磁性体コア部材の脚部のうちのコイル巻線が巻回される脚部に対して、本実施形態に係る巻線部品が好適に用いられる。
【0079】
また、コイル巻線2のコイル部材の数は、特に限定されない。なお、本実施形態のようにコイル部材が複数個連結されてなる場合、そのコイル部材に設けられる突出部は、例えば突出部34と突出部36との配置の差異のように、連結時(コイル巻線を構成する場合)には、コイル巻線の軸線方向において互いに異なる位置に設けられることが好ましい。また、第1及び第2実施形態のように、コイル部品70の巻線部品1に含まれる2つのコイル巻線2が接続部材3等により接続されていなくてもよい。
【0080】
また、スイッチング電源装置の構成は図10,11に限られない。すなわち、上記実施形態に係るボビン40,200は、例えばインバータ等にも好適に用いられる。また、スイッチング電源装置100において巻線部品1が用いられるのはチョークコイル70に限られず、メイントランス140に対しても好適に用いられる。
【符号の説明】
【0081】
1,5…巻線部品、2…コイル巻線、3…接続部材、8,9…磁性体コア部材、10…第1のコイル部材、12…第2のコイル部材、14,16,52,54,202…開口、18…連結部、20,22…スリット、30,32…切込部、34,36…突出部、40,200…ボビン、61…スペーサ部、63…連結部、70…チョークコイル、100…スイッチング電源装置、140…メイントランス。
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル用ボビン、巻線部品、コイル部品、スイッチング電源装置、及びコイル部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の搭載部品として、高電圧を低電圧に変換、あるいは、低電圧を高電圧に変換するDC−DCコンバータ等のスイッチング電源装置が知られている。このスイッチング電源装置のトランス等に用いられるコイル部品として、コイル巻線と筒状の絶縁性のコイル用ボビンとを備えるものが知られている。このコイル部品のコイル用ボビンはコイル巻線に内挿され、コイル部品は、一対の磁性体コア部材により、コイル用ボビンの開口内にコイル巻線の軸線方向に沿って磁性体コア部材の脚部が内挿された状態で挟まれる。
【0003】
上記のコイル部品では、一般的に、一対の磁性体コア部材の脚部の端面の間に間隙(ギャップ)を設けることにより、コイル部品のAL値(インダクタンス係数)の調整が行われる。そして、漏洩磁束による損失を少なくし、AL値を一定化することを目的として、一対の磁性体コア部材の脚部の端面間に所定の厚さの絶縁性のギャップスペーサが設けられる。従来、コイル用ボビンとギャップスペーサとは別の部材で用いられていたが、例えば、特許文献1には、コイル用部品の組立作業の簡素化を図る目的から、筒状のコイル用ボビンの内壁にギャップ用のスペーサ部を設けることにより、ギャップスペーサとコイル用ボビンとが一体成形された構成が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3054397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1記載の構成では、コイル用ボビンに対してギャップスペーサが固定されているために、コイル用ボビン及びギャップスペーサの寸法公差が累積する影響によって一対の磁性体コア部材間のコア間ギャップを所定の間隔に保持できない場合があり、AL値が変動してしまって、設計通りのコイル用部品の特性を得ることができない等の問題が発生してしまう可能性がある。
【0006】
本発明は上記を鑑みてなされたものであり、磁性体コア部材のコア間ギャップを高精度に且つ容易な組立作業により設けることができるコイル用ボビン、巻線部品、コイル部品、スイッチング電源装置、及びコイル部品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るコイル用ボビンは、少なくとも一方が脚部を有する一対の磁性体コア部材と、該脚部が内挿された状態で該一対の磁性体コア部材に挟まれるコイル巻線とを電気的に絶縁するためのコイル用ボビンであって、前記コイル巻線の内周側において該コイル巻線が巻回する軸線方向に沿って設けられる筒状部と、前記筒状部内に設けられ前記一対の磁性体コア部材間にギャップを設けるためのスペーサ部と、前記筒状部の内壁と前記スペーサ部とを連結し、前記スペーサ部を支持する支持部と、を備え、前記脚部によって前記スペーサ部を押圧することにより、前記支持部が延伸又は切断されることを特徴とする。
【0008】
上記の構成によれば、脚部によるスペーサ部の押圧により、支持部が延伸又は切断されるため、コイル巻線が巻回する軸線方向に沿ってスペーサ部が開口内を移動した位置において、一対の磁性体コア部材間のギャップが設けられる。このように、上記のコイル用ボビンでは、スペーサ部がコイル用ボビンにより支持される位置とは異なる位置に移動可能であるため、コイル用ボビン及びギャップスペーサの寸法公差が累積することなく、コア間ギャップの大きさがより高い精度で調整される。また、上記のコイル用ボビンにおいては、スペーサ部が一体化して設けられているため、別体のギャップスペーサを一対の磁性体コア部材の間に挿入する場合と比較して組立作業が容易となる。
【0009】
また、本発明に係る巻線部品は、少なくとも一方が脚部を有する一対の磁性体コア部材によって、該脚部が内挿された状態で挟まれるコイル巻線と、前記コイル巻線と前記一対の磁性体コア部材とを電気的に絶縁する上記のコイル用ボビンとを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るコイル部品は、少なくとも一方が脚部を有する一対の磁性体コア部材と、前記一対の磁性体コア部材によって、前記脚部が内挿された状態で挟まれるコイル巻線と、前記コイル巻線と前記一対の磁性体コア部材とを電気的に絶縁する請求項1記載のコイル用ボビンと、を備えることを特徴とする。
【0011】
そして、上記のコイル部品の製造方法は、前記磁性体コア部材の前記脚部を前記コイル用ボビンの前記筒状部に内挿し、前記スペーサ部を押圧することにより、前記支持部を延
伸又は切断させることを特徴とする。
【0012】
上記の巻線部品及びコイル部品によれば、磁性体コア部材の脚部がコイル用ボビンの筒状部に内挿され、スペーサ部を押圧することにより、支持部が延伸又は切断されるため、スペーサ部が軸線方向に沿って開口内を移動した位置において、コア間のギャップが設けられる。このため、上記の巻線部品及びコイル部品によれば、スペーサ部がコイル用ボビンにより支持される位置とは異なる位置でコア間ギャップが設けられるため、コイル用ボビン及びギャップスペーサの寸法公差が累積することなく、コア間ギャップの大きさがより高い精度で調整される。
【0013】
また、本発明に係る巻線部品の他の構成は、少なくとも一方が脚部を有する一対の磁性体コア部材によって、該脚部が内挿された状態で挟まれる複数のコイル巻線と、前記複数のコイル巻線と前記一対の磁性体コア部材とを電気的に絶縁する複数の上記のコイル用ボビンと、を備え、前記複数のコイル巻線は、前記コイル巻線が巻回する軸線方向が沿うように並設されることを特徴とする。
【0014】
そして、本発明に係るコイル部品の他の構成は、少なくとも一方が脚部を有する一対の磁性体コア部材と、前記一対の磁性体コア部材によって、前記脚部が内挿された状態で挟まれる複数のコイル巻線と、前記複数のコイル巻線と前記一対の磁性体コア部材とを電気的に絶縁する複数の請求項1記載のコイル用ボビンと、を備え、前記複数のコイル巻線は、前記コイル巻線が巻回する軸線方向が沿うように並設されることを特徴とする。
【0015】
そして、上記のコイル部品の製造方法は、前記磁性体コア部材の前記脚部を前記複数のコイル用ボビンの前記筒状部にそれぞれ内挿し、前記スペーサ部をそれぞれ押圧することにより、前記支持部を延伸又は切断させることを特徴とする。
【0016】
上記のように、複数のコイル巻線が巻回する軸線方向が沿うように並設される巻線部品及びコイル部品において、磁性体コア部材の脚部がコイル用ボビンの筒状部に内挿され、スペーサ部を押圧することにより、支持部が延伸又は切断されるため、スペーサ部が軸線方向に沿って開口内を移動した位置において、コア間のギャップが複数のコイル用ボビンに対応してそれぞれ設けられる。このように、上記の巻線部品及びコイル部品によれば、スペーサ部がコイル用ボビンにより支持される位置とは異なる位置でコア間ギャップが設けられるため、コイル用ボビン及びギャップスペーサの寸法公差が累積することなく、コア間ギャップの大きさがより高い精度で調整される。また、上記のコイル部品では、スペーサ部が一体化して設けられているため、別体のギャップスペーサを複数のコイル巻線に対して設けられる複数のコイル用ボビンの筒状部内に挿入する場合と比較して、コイル部品の組立作業が容易となる。
【0017】
また、上記の巻線部品及びコイル部品において、上記のコイル用ボビンと、前記コイル巻線とは、インサート成形により一体成形されて態様とすることができる。
【0018】
上記のようにコイル用ボビンとコイル巻線とが一体成形されている場合、コイル用ボビンに対してコイル巻線を巻回させる作業を省略することができるため、コイル部品の組立作業をさらに容易とすることができる。そして、脚部によってスペーサ部が押圧されることにより、支持部が延伸又は切断され、スペーサ部が移動した位置においてコア間ギャップが設けられるため、高い精度でコア間ギャップが調整される。
【0019】
また、本発明に係るスイッチング電源装置は、上記に記載のコイル部品を備えることを特徴とする。この場合、磁性体コア部材のコア間ギャップを高精度に且つ容易な組立作業により設けられたスイッチング電源装置を得ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、磁性体コア部材のコア間ギャップを高精度に且つ容易な組立作業により設けることができるコイル用ボビン、巻線部品、コイル部品、スイッチング電源装置、及びコイル部品の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係る巻線部品を示す斜視図である。
【図2】図1の巻線部品の底面側からの斜視図である。
【図3】(a)は図1の巻線部品の平面図であり、(b)は巻線部品の底面図である。
【図4】(a)は図3(a)の巻線部品のIVA−IVA線における端面を示す図であり、(b)は図3(a)の巻線部品のIVB−IVB線における端面を示す図である。
【図5】図1の巻線部品を構成するコイル巻線及び接続部材を示す斜視図である。
【図6】(a)はコイル巻線の平面図であり、(b)はコイル巻線の底面図である。
【図7】コイル巻線の側面図である。
【図8】第1実施形態に係るコイル部品の分解斜視図である。
【図9】図8に示すコイル部品のIX−IX線における端面を示す図である。
【図10】第1実施形態に係るスイッチング電源装置の回路図である。
【図11】第1実施形態に係るスイッチング電源装置の斜視図である。
【図12】第2実施形態に係るコイル部品を説明する図である。
【図13】第3実施形態に係るコイル用ボビンを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0023】
(第1実施形態)
まず、図1〜図7を参照して、第1実施形態に係るコイル用ボビンを含む巻線部品の構成を説明する。図1は、本実施形態に係るコイル用ボビンを含む巻線部品を示す斜視図である。図2は、図1の巻線部品の底面側からの斜視図である。図3(a)は、図1の巻線部品の平面図であり、図3(b)は、図1の巻線部品の底面図である。図4(a)は、図3(a)の巻線部品のIVA−IVA線における端面を示す図であり、図4(b)は、図3(a)の巻線部品のIVB−IVB線における端面を示す図である(なお、図4(b)では巻線部品1に対して接続部材3を省略している)。また、図5は、図1の巻線部品を構成するコイル巻線及び接続部材を示す斜視図である。図6(a)は、コイル巻線の平面図であり、図6(b)は、このコイル巻線の底面図である。また、図7は、コイル巻線の側面図である。
【0024】
図1に示す巻線部品1は、インダクタンス素子、コンバータ、インバータ等のスイッチング電源装置、ノイズフィルタ等に用いられるものである。この巻線部品1は、導体板からなる2つのコイル巻線2と、2つのコイル巻線の内周側に設けられるボビン40と、2つのコイル巻線2を電気的に接続する接続部材3と、を含んで構成される。すなわち、巻線部品1は、導体板からなるコイル巻線2と、ボビン40とを含んで構成される巻線部品5(5A,5B)が2つ並設され、これらが接続部材3により電気的に接続して構成される。ボビン(コイル用ボビン)40は、電気絶縁性の絶縁部材からなり、コイル巻線2の内周側に設けられてコイル巻線2が巻回された筒状部40aと、コイル巻線2の周囲を覆う被覆部40bと、筒状部40aの開口52,54内に設けられたスペーサ部61と、開口52,54の内壁に設けられてスペーサ部61を開口52,54内で支持する支持片(支持部)63(63a,63b)とから構成される。接続部材3は、巻線部品5にそれぞれ含まれるコイル巻線2同士を接続する。以下、まず巻線部品1を構成するコイル巻線2について説明し、次に2つのコイル巻線2を接続部材3により接続した構成4について説明し、最後にこれを絶縁部材により覆ってボビン40とコイル巻線2とを一体化した(すなわち、2つの巻線部品5を接続部材3により接続した)巻線部品1について説明する。
【0025】
コイル巻線2は、図5〜図7に示すように、間を隔てて並設された有端リング状であり且つ板状の第1及び第2のコイル部材10,12を、所定の巻き方向に連なるように連結させたものである。
【0026】
有端リング状の第1及び第2のコイル部材10,12はいわゆるC字状を呈しており、中央に円形状の開口14,16を有している。また、第1及び第2のコイル部材10,12の一端と他端との間は、内周から外周まで延びるスリット20,22になっている。第1コイル部材10と第2のコイル部材12とは、開口14,16が連通するように同軸上に重なり合っている。なお、第1コイル部材10と第2のコイル部材12とは、スリット20とスリット22との位置をずらした状態で(つまりこれらが連通しないように)重なり合っている。そのため、第1のコイル部材10の他端部が第2のコイル部材12の一端部と重なり合うことになる。なお第1及び第2のコイル部材10,12の形状は上記のC字状の有端リング状に限られず、例えば楕円形状や、四角形状等の他の形状であってもよい。
【0027】
第1のコイル部材10の一端部には、開口14の中心軸線に対し外方に向かって突出する第1の端子部24が一体的に設けられており、第1のコイル部材10の他端部はU字状の連結部18を介して第2のコイル部材12の一端部に連結されている。第2のコイル部材12の他端部には、開口16の中心軸線に対し外方に向かって突出する第2の端子部26が一体的に設けられている。
【0028】
このような構成のコイル巻線2では、第1の端子部24がコイル巻線2の始端、第2の端子部26がコイル巻線2の終端になっている。第1の端子部24に入力された電力は、第1のコイル部材10、連結部18、第2のコイル部材12の順で流れ、第2の端子部26から出力される。
【0029】
第1のコイル部材10の内周縁には、外方に向けて切り込まれた切込部30が形成されている。さらに、第1のコイル部材10の外周縁のうち、開口14の中心軸線と切込部30とを結ぶ線を延長した領域には、第1のコイル部材10の外周縁が径方向に大きくなるように、外方に膨らんだ突出部34が設けられる。
【0030】
一方、第2のコイル部材12の内周縁には、外方に向けて切り込まれた切込部32が形成されている。さらに、第2のコイル部材12の外周縁のうち、開口16の中心軸と切込部32とを結ぶ線を延長した領域には、第2のコイル部材12の外周縁が径方向に大きくなるように、外方に膨らんだ突出部36が設けられる。
【0031】
切込部30,32は、第1及び第2のコイル部材10,12の厚さ方向に貫通している。開口14,16の中心軸線方向から見ると、切込部30,32は、開口14,16の周縁に沿って所定の幅を有しており、開口14,16の径方向に所定の奥行きを有している。また、第1のコイル部材10に設けられる切込部30と、第2のコイル部材12に設けられる切込部32とは、開口14,16の中心軸線方向から見たときに、互いに異なる位置に設けられる。また、第1のコイル部材10に設けられる突出部34と、第2のコイル部材12に設けられる突出部36とは、それぞれ第1及び第2のコイル部材10,12の外周縁に沿って所定の幅を有しており、外周縁が外方へ所定の幅だけ突出するように設けられる。
【0032】
また、突出部34,36はそれぞれ開口14,16の中心軸線と切込部30,32とを結んだ直線を延長した外周縁に設けられる。これにより、切込部30,32の形成領域における第1及び第2のコイル部材10,12の幅(導体板の幅)を確保し、切込部30,32の周囲で第1及び第2のコイル部材10,12が細くなり、発熱等の原因となる電気抵抗が増加することを回避している。このように本実施形態では、切込部30,32の形成領域における第1及び第2のコイル部材10,12の幅を、突出部34,36を設けることにより確保して、導体板の幅と厚みとで決まる各コイル部材10,12の断面積の減少による電気抵抗の増加を抑えている。なお、突出部34,36は、開口14,16の中心軸線方向から見ると互いに異なる位置に設けられる。
【0033】
さらに、第1及び第2のコイル部材10,12はそれぞれ突出部34,36とは異なる突出部33,35を備える。突出部33は、第1のコイル部材10の外周のうち上述の突出部34とは異なる位置(例えば、図6(a)に示すように、コイル巻線2が巻回される軸線を基準として連結部18に対して90度となる位置)に設けられる。また、突出部35は、第2のコイル部材12の外周のうち上述の突出部36とは異なる位置(例えば、図6(b)に示すように、コイル巻線2が巻回される軸線を基準として連結部18に対して−90度となる位置)に設けられる。このように、第1及び第2のコイル部材10,12は、複数の突出部を備えていてもよい。
【0034】
以上の構成を有するコイル巻線2は、電気伝導性が高い一枚の基板を打ち抜き加工することで形成可能である。より具体的には、銅板、アルミニウム板等の基板から、第1の端子部24と、第1の端子部24に連続する第1のコイル部材10と、第2のコイル部材12と、第2のコイル部材12に連続する第2の端子部26と、第1及び第2のコイル部材10,12を連結するI字状の連結部18と、を打ち抜き加工により得る。そして、連結部18をU字状に屈曲させることによって第1のコイル部材10と第2のコイル部材12とを所定の間隙をもって重ね合わせる。これにより、導体板からなるコイル巻線2が完成する。なお、コイル巻線2はこのような折り曲げコイルに限られず、例えば、コイル部材と連結部とをねじ留めしたものであってもよいし、溶接したものであってもよい。また、リベットで固定してもよい。
【0035】
なお、本実施形態に係る巻線部品1では、図5に示すように、並設される2つのコイル巻線2(2A,2B)の双方の第2の端子部26が接続部材3を介して接続された構成4が用いられる。この接続部材3と2つのコイル巻線2の第2端子部26とは、それぞれネジ38により固定される。これにより、コイル巻線2Aの第1の端子部24に入力された電流は、第1のコイル部材10、連結部18、第2のコイル部材12の順で流れ、コイル巻線2Aの第2の端子部26まで流れた後、接続部材3を介してコイル巻線2Bの第2端子部26に入力される。そして、コイル巻線2Bの第2コイル部材12、連結部18、第1のコイル部材10の順で流れ、コイル巻線2Bの第1の端子24から出力される。
【0036】
次に、接続部材3により接続された2つのコイル巻線2に対して絶縁部材が一体成形された巻線部品1について説明する。
【0037】
図1に示すように、巻線部品1には、2つのコイル巻線2の第1及び第2のコイル部材10,12の一部領域をそれぞれ覆うように絶縁材料により構成されるボビン40が設けられる。具体的には、ボビン40は、第1及び第2のコイル部材の内周縁を覆う筒状部40aと、後述の磁性体コア部材と対向する第1及び第2のコイル部材10,12の最外の板面と、隣接する第1及び第2のコイル部材10,12の間とを覆うように延在する被覆部40bと、後述の一対の磁性体コア部材にコア間ギャップを設けるために筒状部40aの開口52,54内に設けられたスペーサ部61と、スペーサ部61を開口52,54内で支持する支持片63(63a,63b)を含んで構成される。また、本実施形態に示す巻線部品1では、第1及び第2のコイル部材10,12の外周縁もボビン40の被覆部40bにより覆われる。なお、ボビン40に用いられる絶縁材料としては、例えばPBT(Poly Butylene Terephthalate)樹脂やPPS(Poly Phenylene Sulfide)樹脂等が、耐熱性、耐薬品性、難燃性、寸法安定性等の特性に優れていることから好適に用いられる。
【0038】
ボビン40の被覆部40bは、2つのコイル巻線2のうち、第1の端子部24及び第2の端子部26を除く第1及び第2のコイル部材10,12の表面を覆う。また、ボビン40の筒状部40aの内部にはコイル巻線2の軸線方向に沿って開口52,54が形成される。すなわち、巻線部品1はコイル部材10,12と同様に中空状となる。この開口52,54は、後述の磁性体コア部材の脚部を挿通することができるように設けられる。
【0039】
そして、ボビン40の筒状部40aの開口52,54内には、図3及び図4等に示すように、絶縁部材からなり、後述の一対の磁性体コア部材間のギャップを設けるためのスペーサ部61と、筒状部40aの内壁とスペーサ部61を連結し、開口52,54内でスペーサ部61を支持する支持片63a,63bとがそれぞれ備えられる。
【0040】
スペーサ部61は、略円盤状の平板からなり、その直径は開口52,54内においてボビン40の筒状部40aの内径よりも小さいが、筒状部40aの開口52,54が延びる軸線方向における断面をほぼ塞ぐ大きさであることが好ましい。また、スペーサ部61には、後述の磁性体コア部材による磁束を調整する目的から切欠部65が設けられているが、この切欠部65は設けなくてもよい。また、スペーサ部61の形状は、楕円や三角、四角等に変更してもよい。本実施形態に係るスペーサ部61は、略円形状の表面が筒状部40aの開口52,54が延びる軸線方向に対して垂直となるように筒状部40aの内壁から離間して設けられる。スペーサ部61の厚さは、後述の一対の磁性体コア部材のコア間ギャップに応じて設計される。このスペーサ部61は、その端面が、開口52,54が延びる軸線方向において筒状部40aの開口52,54の端部と一致するか、もしくは端部よりも内側に位置するように、支持片63a,63bにより支持される。
【0041】
筒状部40aとスペーサ部61とを連結し、開口52,54内においてスペーサ部61を支持する支持片63a,63bは、開口52,54が延びる軸線方向においてスペーサ部61と同じ位置であって、且つスペーサ部61の中心を介して対向するように設けられる。この支持片63a,63bは細い柱状とされ、開口52,54が延びる軸線方向においてスペーサ部61が押圧された場合に、容易に切断される構成とされる。スペーサ部61が押圧されることにより、支持片63a,63bの少なくとも一部が切断された場合には、スペーサ部61は開口内52,54を移動可能となる。また、支持片63a,63bの全てが切断された場合には、スペーサ部61は筒状部40aから分離し、開口内52,54内を移動可能となる。
【0042】
また、巻線部品1は、図2、図3(b)に示すように、底面側にはボビン40と同じ絶縁材料により構成された、外部に突出する凸部50a,50bを備える。これは、後述の磁性体コア部との間の位置決めを行うために設けられたものである。さらに、ボビン40は、図4(a),(b)等に示すように、第1のコイル部材10と第2のコイル部材12の間を埋めるように構成される。ただし、コイル巻線2の突出部34,36の表面の一部領域と、第2コイル部材12において、開口14,16の中心軸線に沿って第1のコイル部材10の切込部30に対応する領域の一部と、第1コイル部材10において、開口14,16の中心軸線に沿って第2のコイル部材12の切込部32に対応する領域の一部とでは、コイル巻線2の表面をボビン40が被覆する構成ではなく、コイル巻線2が外部に露出する構成となる。以下、このコイル巻線2が露出される領域について説明する。
【0043】
まず、コイル巻線2の突出部34,36は、その表面のうち、開口14,16の中心軸線に垂直な面(すなわち、図3(a)、(b)における表面34a,34b,36a,36b)は、外部に露出される。そして、突出部34,36の外周はそれぞれ被覆部40bから延びる樹脂部44,46により覆われる。このように、突出部34,36の表面の一部領域が外部に露出されることにより、この露出された部分から例えば熱伝導性の部材を介して外部に設けられた放熱部材と電気的には絶縁されて接続することにより、コイル巻線2からの放熱を行うことができる。また、突出部34,36の外周はそれぞれ樹脂部44,46により覆われることにより、巻線部品1の周囲に配置される他の装置等との接触した際の絶縁性を保つことができる。また、コイル巻線2の外周がボビン40に覆われており、且つ、突出部34,36の外周も樹脂部44,46により覆われることにより、本実施形態のように巻線部品1がボビン40と一体化されたコイル巻線2を2つ並置した構成となる場合には、巻線部品1の2つのコイル巻線2間の絶縁性を保つことができる。
【0044】
さらに、巻線部品1では、上述のように、第2コイル部材12において、開口14,16の中心軸線に沿って第1のコイル部材10の切込部30に対応する領域の一部と、第1コイル部材10において、開口14,16の中心軸線に沿って第2のコイル部材12の切込部32に対応する領域の一部と、が外部に露出される。具体的には、図1、図3、図4に示すように、切込部30に対しても他の内周縁と同様の厚さのボビン40の筒状部40aが設けられる。これにより、図4(a)に示すように、第2コイル部材12において、開口14,16の中心軸線に沿って第1のコイル部材10の切込部30に対応する領域が、ボビン40が内側に設けられた切込部30と比較して、内周縁内方へ突出する構成となる。そして、この突出する領域(第1のコイル部材10の切込部30に対応する第2のコイル部材12の領域)の一部である面43aとその裏面43bとが外部に露出される。なお、外部に露出される面43a及びその裏面43bの内側(内周部分)は、図4(a)に示すように、第1及び第2のコイル部材10,12の他の内周部分と同様にボビン40の筒状部40aが設けられる。これにより、巻線部品1の開口52,54の内周縁には全て絶縁材料からなるボビン40が設けられることとなり、開口52,54に挿入される磁性体コア部材とコイル巻線2との間での絶縁性を保つことができる。
【0045】
なお、第1のコイル部材10において、開口14,16の中心軸線に沿って第2のコイル部材12の切込部32に対応する領域についても同様の形状となる。すなわち、上述の第1のコイル部材10の切込部30に対応する第2コイル部材12の領域と同様に、図4(b)に示すように、第2のコイル部材12の切込部32に対応する領域に対応する第1コイル部材10の領域が、切込部32と比較して内周縁内方へ突出する構成となる。そして、この突出する領域の一部である面41aとその裏面41bとが外部に露出される。なお、外部に露出される面41a及びその裏面41bの内側(内周部分)は、図4(b)に示すように、第1及び第2のコイル部材10,12の他の内周部分と同様にボビン40が設けられる構成となる。
【0046】
さらに、巻線部品1では、コイル巻線2を構成する第1及び第2のコイル部材10,12に設けられた突出部33,35がそれぞれ外部に完全に露出する態様となっている(すなわち、突出部の外周もボビン40により覆われていない)。これらの突出部33,35のように、ボビン40の被覆部40bに覆われずに外部に露出される領域は、必ずしもその外周が絶縁部材に覆われる必要はない。
【0047】
以上のように、上述の外部に露出される領域(突出部33,35及び突出部34,36の面34a,34b,36a,36bと、切込部30,32に対応する領域である面41a,41b,43a,43b)が設けられることにより、当該領域が絶縁部材により覆われる場合と比較して、コイル巻線2の熱を外部に効率よく放出することができる。
【0048】
上述の巻線部品1は、例えば以下の方法により製造される。まず、第1のコイル部材10及び第2のコイル部材12が連結部18により接続されたコイル巻線2を準備する。次に、このコイル巻線2をボビン40の形状に構成された金型内に設置しインサート部品とし、ボビン40を構成する樹脂を金型内に注入することによりモールド成形し、第1のコイル部材10及び第2のコイル部材12の周囲の一部にボビン40が一体成形された巻線部品5を得ることができる。次いで、巻線部品5のコイル巻線2に含まれる第2端子部26同士を導電性の接続部材3に対してネジ38により固定することにより、巻線部品1が得られる。
【0049】
なお、巻線部品5の成形時の成形圧力(すなわち金型内に樹脂を注入する際の圧力)により、コイル巻線2が変形して短絡が発生することがある。しかし、成形時にコイル巻線2が仮に変形した場合であっても、一体成形後にはコイル巻線2に短絡が発生しているかを確認することが困難である。このため、本実施形態の巻線部品1の成形時には、成形圧力によるコイル巻線2の変形を防止する目的から、第1及び第2のコイル部材10,12に設けられた突出部34,36と、第2コイル部材12において、開口14,16の中心軸線に沿って第1のコイル部材10の切込部30に対応する領域の一部と、第1コイル部材10において、開口14,16の中心軸線に沿って第2のコイル部材12の切込部32に対応する領域の一部と、を成形金型により機械的に固定する。これにより、成形時のコイル巻線2の変形の発生が抑制される。なお、機械的に固定する領域は樹脂により覆われることなく、外部に露出する領域(すなわち、突出部34,36の面34a,34b,36a,36bと、切込部30,32に対応する領域である面41a,41b,43a,43b)となる。
【0050】
次に、コイル部品70について説明する。このコイル部品70は、上記の巻線部品1が更に磁性体コア部材を備えるものである。すなわち、一対の磁性体コア部材8,9と、この一対の磁性体コア部材8,9の脚部81,82が内挿された状態で挟まれる2つのコイル巻線2と、これらのコイル巻線2と一対の磁性体コア部材8,9とを電気的に絶縁する2つのコイル用ボビン40とを備え、2つのコイル巻線2がコイル巻線が巻回する軸線方向が沿うように並設される構成とされる。コイル部品70は、例えば、後述するスイッチング電源装置のチョークコイルとして機能する。図8は、本実施形態に係るコイル部品70の分解斜視図であり、図9は、図8に示すコイル部品70のIX−IX線における端面を示す図である。
【0051】
図8,図9に示すように、巻線部品1が好適に用いられるコイル部品70は、コイル巻線2の表面をボビン40により覆った巻線部品1と、一対の磁性体コア部材8,9と、を備えている。磁性体コア部材8,9は、巻線部品1のコイル巻線2の開口14,16の中心軸線に沿って巻線部品1を挟むように配置される。一対の磁性体コア部材8,9で挟まれた状態において、第1及び第2の端子部24,26及び接続部材3は、磁性体コア部材8,9から突出された構成となる。
【0052】
磁性体コア部材8,9は、フェライト粉末を圧粉成形して得られるいわゆるU型コアとI型コアである。より具体的には、磁性体コア部材8は、長手方向を有する平板状の基部80と、基部80の一方の主面に突設された2本の円柱状の脚部81,82とからなっており、脚部81と脚部82とは、基部80に空間的に離間して接続されている。一方、磁性体コア部材9は、長手方向を有する平板状の基部90からなっている。脚部81,82の厚さ(図8における上下方向の長さ)は、磁性体コア部材8のコア間ギャップに応じて設計されるが、スペーサ部61の厚さと脚部81,82の厚さの和が巻線部品1の厚さと等しくなるように、設計されている。この磁性体コア部材8の脚部81,82は、巻線部品1に含まれるボビン40の筒状部40aに設けられた開口52,54にそれぞれ挿入される。
【0053】
また、磁性体コア部材8の基部80の一方の主面は、巻線部品1の一方の主面(図1に示される上面側)のボビン40に当接する。また、磁性体コア部材9の基部90の一方の主面は、巻線部品1の他方の主面(図2に示される底面)のボビン40に当接する。このとき、ボビン40に設けられた凸部50a,50bが基部90の長手方向において対向する2つ側面とそれぞれ当接することにより、磁性体コア部材9と巻線部品1との間の幅方向の位置ズレの発生が抑制される。なお、本実施形態に係る巻線部品1のボビン40に設けられた凸部50a,50bは、それぞれ基部90の長手方向の外周に沿ってリブ状に形成されているが、凸部の形状は上記に限られず、例えば、基部90の外周に沿って短手方向を含む数箇所に設ける態様とすることもできるし、基部90に凹部を設けて、これと対応する位置に凸部を形成することにより巻線部品1と磁性体コア部材9との位置を当接位置を決定する態様とすることもできる。
【0054】
ここで、磁性体コア部材8,9を備えるコイル部品70の製造方法について説明する。具体的には、コイル巻線2とボビン40とが一体化された巻線部品1の一方の主面(図2に示される底面)の凸部50a,50bに対応する位置に磁性体コア部材9を配置し、磁性体コア部材8の脚部81,82をそれぞれ巻線部品1に含まれるボビン40の筒状部40aに設けられた開口52,54に挿入し脚部81,82の端面がそれぞれ磁性体コア部材9の主面と対向するように配置する。このとき、磁性体コア部材8の脚部81,82は、開口52,54内に設けられたスペーサ部61を押圧する。この押圧によりスペーサ部61を支持する支持片63a,63bの一部又は全部が切断され、開口52,54内を移動可能となる。この結果、図9に示すように、スペーサ部61が磁性体コア部材9の基部90の主面と当接する位置に移動し、磁性体コア部材9の基部90の主面と脚部81,82の端面とにより挟持される構成となる。そして、このスペーサ部61の厚さが磁性体コア部材8と磁性体コア部材9とのコア間ギャップとなる。
【0055】
なお、本実施形態に係るコイル部品70では、巻線部品1に含まれて並設された2つの巻線部品5A,5Bに含まれるボビン40の筒状部40aに設けられた開口52,54に対して、脚部81,82がそれぞれ同時に挿入される。したがって、巻線部品5Aのスペーサ部61及び巻線部品5Bのスペーサ部61が、脚部81,82の押圧によって同時に移動し、磁性体コア部材9にそれぞれ当接する構成となる。
【0056】
次に、上記のコイル部品70が好適に用いられるスイッチング電源装置について説明する。図10は、スイッチング電源装置100の回路図である。また、図11は、スイッチング電源装置100の斜視図である。本実施形態に係るスイッチング電源装置100は、DC−DCコンバータとして機能するものであり、例えば100Vから500V程度の電圧を蓄電する高圧バッテリ等から供給される高圧の直流入力電圧Vinを低圧の直流出力電圧Voutに変換し、12〜16V程度の電圧を蓄電する低圧バッテリ等へ供給する。
【0057】
このスイッチング電源装置100は、図11に示すように、ベースプレート101を有し、このベースプレート上に、入力平滑コンデンサ(入力フィルタ)130と、スイッチング回路120と、メイントランス140と、整流回路150と、チョークコイル(コイル部品)70と、平滑コンデンサ162と、からなる平滑回路160と、が固定されている。
【0058】
このスイッチング電源装置100は、より具体的には、1次側高圧ライン121と1次側低圧ライン122との間に設けられたスイッチング回路120及び入力平滑コンデンサ130と、1次側及び2次側トランスコイル部141,142を有するメイントランス140と、2次側トランスコイル部142に接続された整流回路150と、整流回路150に接続された平滑回路160と、を備えている。
【0059】
スイッチング回路120は、スイッチング素子S1〜S4で構成されたフルブリッジ型の回路構成とされている。スイッチング回路120は、例えば駆動回路(不図示)から供給される駆動信号に応じて、入力端子T1,T2間に印加される直流入力電圧Vinを入力交流電圧に変換する。
【0060】
入力平滑コンデンサ130は、入力端子T1、T2から入力された直流入力電圧Vinを平滑化する。トランス140は、スイッチング回路120で生成された入力交流電圧を変圧し、出力交流電圧を出力する。1次側及び2次側トランスコイル部141,142の巻数比は、変圧比によって適宜設定されている。ここでは、1次側トランスコイル部141の巻数を、2次側トランスコイル部142の巻数よりも多くしている。2次側トランスコイル部142は、センタータップ型のものであり、接続部C及び出力ラインLOを介して出力端子T3に導かれている。
【0061】
整流回路150は、整流ダイオード151A,151Bからなる単層全波整流型のものである。各整流ダイオード151A,151Bのカソードは、2次側トランスコイル部142に接続されている一方、アノードは、接地ラインLGに接続され、出力端子T4に導かれている。これにより、整流回路150は、トランス140からの出力交流電圧の各半短波期間を、個別に整流して直流電圧を生成する。
【0062】
平滑回路160は、チョークコイル70と出力平滑コンデンサ162とを含んで構成されている。チョークコイル70は、出力ラインLOに挿入配置されている。出力平滑コンデンサ162は、出力ラインLOにおいてチョークコイル70と接地ラインLGとの間に接続されている。これにより、平滑回路160は、整流回路150で整流された直流電圧を平滑化して直流出力電圧Voutを生成し、この直流出力電圧Voutを出力端子T3,T4から低圧バッテリ等へ供給する。
【0063】
以上のように構成されたスイッチング電源装置100において、入力端子T1,T2から供給される直流入力電圧Vinがスイッチングされて入力交流電圧が生成され、トランス140の1次側トランスコイル部141へと供給される。そして、生成された入力交流電圧が変圧され、2次側トランスコイル部142から出力交流電圧として出力される。そして、この出力交流電圧が整流回路150によって整流されると共に平滑回路160によって平滑化され、出力端子T3,T4から直流出力電圧Voutとして出力されることとなる。
【0064】
以上のように、本実施形態に係る巻線部品1と、巻線部品1が一対の磁性体コア部材8,9をさらに備えるコイル部品70とでは、磁性体コア部材8の脚部81,82によるスペーサ部61に対する押圧によって支持片63a,63bが切断されて、筒状部40aに設けられた開口52,54内を移動したスペーサ部61により、磁性体コア部材8の脚部81,82の端面と、この端面が対向する他方の磁性体コア部材9の主面との間のコア間ギャップが形成される。したがって、一対の磁性体コア部材8,9の形状に応じてコア間ギャップの大きさがより高い精度で調整される。また、上記のボビン40では、スペーサ部61が支持片63a,63bにより一体化して設けられているため、別体のギャップスペーサを一対の磁性体コア部材の間に挿入する場合と比較して組立作業が容易となる。
【0065】
また、本実施形態の巻線部品1では、コイル巻線2が巻回する軸線方向が沿うようにコイル巻線2が2つ並設され、それぞれのコイル巻線2の内周側にボビン40の筒状部40aを備え、それぞれの筒状部40aの開口52,54内にスペーサ部61が設けられて、各々のスペーサ部61が磁性体コア部材81,82により押圧される。すなわち、巻線部品1では、巻線部品5(5A,5B)がコイル巻線2が巻回する軸線方向が沿うように2つ並設され、これらの開口52,54に対して磁性体コア部材8の脚部81,82がそれぞれ挿入される。この場合、各開口52,54内のコア間ギャップを一度に設けることができるため、別体のギャップスペーサを複数の巻線部品のコイル用ボビンの筒状部内にそれぞれ挿入してコア間ギャップを設ける場合と比較して、コイル部品70の組立作業が容易となる。
【0066】
また、本実施形態に係る巻線部品1のボビン40とコイル巻線2とが一体成形されている場合、ボビン40に対してコイル巻線2を巻回させる作業を省略することができるため、巻線部品1の組立作業をさらに容易とすることができる。
【0067】
また、上記の巻線部品1をスイッチング電源装置100に用いることにより、磁性体コア部材のコア間ギャップを高精度且つ容易な組立作業により設けられた巻線部品1を用いたスイッチング電源装置100を得ることができる。なお、この巻線部品1をメイントランス140に用いる場合であっても、同様に、磁性体コア部材のコア間ギャップを高精度且つ容易な組立作業により設けられた巻線部品1を用いたスイッチング電源装置100を得ることができる。
【0068】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るコイル部品70Aを図12を用いて説明する。図12は、第2実施形態に係るコイル部品70Aを説明する図である。本実施形態に係るコイル部品70Aが第1実施形態に係るコイル部品70と異なる点は、支持片63a,63bを延伸可能な材料から形成される支持部64とした点である。なお、図12では、わかりやすくするために、支持部(支持部片)64の取り付け位置を第1実施形態に係る巻線部品1とは異なる位置にしている。
【0069】
支持部64を延伸可能な材料から形成することにより、磁性体用コア部材8の脚部81,82によりスペーサ部61が押圧されたときに、この押圧に応じて支持部64が伸びることにより、スペーサ部61は筒状部40aと分離しない状態で移動可能となる。したがって、図12に示すように、スペーサ部61は、支持部64によりスペーサ部61と筒状部40aと接続した状態のまま、開口52,54内を移動し、磁性体コア部材8の脚部81,82と磁性体コア部材9の主面との間に挟持される。なお、支持部64の形成に用いることが好ましい延伸可能な材料としては、例えば、ゴム等の弾性を有する材料等が挙げられる。
【0070】
このように、第2実施形態に係るコイル部品70Aにおいても、第1実施形態に係るコイル部品70と同様に、磁性体コア部材8の脚部81,82がボビン40の開口52,54にそれぞれ挿入され、スペーサ部61を軸線方向に沿って開口52,54内を移動させることによって、スペーサ部61が、磁性体コア部材8の脚部81,82の端面とこの端面が対向する他方の磁性体コア部材9の面とにより挟持される。このように、このコイル部品70では、スペーサ部61に対する脚部81,82による押圧によって支持部64が延伸されて、ボビン40により支持される位置とは異なる位置に移動した状態で磁性体コア部材8,9により挟持されてコア間ギャップが設けられるため、磁性体コア部材の形状に応じてコア間ギャップの大きさがより高い精度で調整される。
【0071】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係るボビン200を図13を用いて説明する。図13は、第3実施形態に係るボビン200を説明する図である。
【0072】
上述の第1、第2実施形態では、スペーサ部61を備えるボビン40がコイル巻線2に対して一体成形された構成について説明した。しかしながら、コイル用ボビンは、コイル巻線2と一体成形される必要はなく、コイル用ボビン単体でも上述の効果が奏される。
【0073】
すなわち、図13に示すボビン(コイル用ボビン)200は、導電性のコイル巻線が巻回され、中央部に開口201と、開口201内に設けられたスペーサ部61と、筒状部40aの内壁とスペーサ部61とをスペーサ部61を連結し、スペーサ部61を開口101内で支持する支持片(支持部)63a,63b(63bは不図示)と、筒状部40aの外周面から突出して巻線間に介在可能な突起部202を備える。そして、磁性体コア部材の脚部によりスペーサ部61がコイル巻線が巻回される軸線方向に押圧された場合には、支持片63a,63bの少なくとも一部が切断されることにより、スペーサ部61が脚部の押圧によって移動可能となる。
【0074】
このように、筒状部40aにスペーサ部61と支持片63a,63bとが設けられた本実施形態に係るボビン200の構成であっても、スペーサ部61が開口202内を移動し、ボビン200により支持される位置とは異なる位置に移動するため、一対の磁性体コア部材の形状に応じてコア間ギャップの大きさがより高い精度で調整されるという効果が奏される。また、他の実施形態と同様に、スペーサ部61がボビン200に対して一体化して設けられているため、別体のギャップスペーサを一対の磁性体コア部材の間に挿入する場合と比較して組立作業が容易となる。
【0075】
なお、本実施形態においてボビン200に備えられ、スペーサ部61に対する押圧により切断可能な支持片63a,63bに代えて、第2実施形態に示した延伸可能な支持片64を設ける構成としてもよい。また、上記のボビン200に対して、コイル巻線2を巻回することにより、巻線部品とすることができる。また、上記のボビン200に対して、コイル巻線2を巻回すると共に少なくとも一方が脚部を有する一対の磁性体コア部材の脚部を内挿することにより、磁性体コア部材を有するコイル部品を製造することもできる。
【0076】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されず、種々の変更を行うことができる。例えば、スペーサ部61の形状は上記実施形態で示す形状に限られず、例えば、筒状部40bの開口52,54のコイルが巻回される軸線方向に垂直な断面の形状とは異なる形状としてもよい。
【0077】
また、筒状部40a内に支持片63a,63bより取り付けられるスペーサ部61の開口の中心軸線に沿った方向での取り付け位置は、上記実施形態のように中心軸線方向の中央である必要はなく、上下方向に移動することができる。また、スペーサ部61を支持する支持片63a,63の数は適宜変更することができる。
【0078】
また、一対の磁性体コア部材8,9の形状は、上記実施形態に示すように一方の磁性体コア部材8が脚部81,82を備えるいわゆるUI型の形状に限られない。例えば、磁性体コア部材8,9の双方が脚部を備えるいわゆるUU型の形状とすることもできる。また、EE型、EI型等の磁性体コア部材を用いることもできる。この場合、磁性体コア部材の脚部のうちのコイル巻線が巻回される脚部に対して、本実施形態に係る巻線部品が好適に用いられる。
【0079】
また、コイル巻線2のコイル部材の数は、特に限定されない。なお、本実施形態のようにコイル部材が複数個連結されてなる場合、そのコイル部材に設けられる突出部は、例えば突出部34と突出部36との配置の差異のように、連結時(コイル巻線を構成する場合)には、コイル巻線の軸線方向において互いに異なる位置に設けられることが好ましい。また、第1及び第2実施形態のように、コイル部品70の巻線部品1に含まれる2つのコイル巻線2が接続部材3等により接続されていなくてもよい。
【0080】
また、スイッチング電源装置の構成は図10,11に限られない。すなわち、上記実施形態に係るボビン40,200は、例えばインバータ等にも好適に用いられる。また、スイッチング電源装置100において巻線部品1が用いられるのはチョークコイル70に限られず、メイントランス140に対しても好適に用いられる。
【符号の説明】
【0081】
1,5…巻線部品、2…コイル巻線、3…接続部材、8,9…磁性体コア部材、10…第1のコイル部材、12…第2のコイル部材、14,16,52,54,202…開口、18…連結部、20,22…スリット、30,32…切込部、34,36…突出部、40,200…ボビン、61…スペーサ部、63…連結部、70…チョークコイル、100…スイッチング電源装置、140…メイントランス。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方が脚部を有する一対の磁性体コア部材と、該脚部が内挿された状態で該一対の磁性体コア部材に挟まれるコイル巻線とを電気的に絶縁するためのコイル用ボビンであって、
前記コイル巻線の内周側において該コイル巻線が巻回する軸線方向に沿って設けられる筒状部と、
前記筒状部内に設けられ前記一対の磁性体コア部材間にギャップを設けるためのスペーサ部と、
前記筒状部の内壁と前記スペーサ部とを連結し、前記スペーサ部を支持する支持部と、
を備え、
前記脚部によって前記スペーサ部を押圧することにより、前記支持部が延伸又は切断される
ことを特徴とするコイル用ボビン。
【請求項2】
少なくとも一方が脚部を有する一対の磁性体コア部材によって、該脚部が内挿された状態で挟まれるコイル巻線と、
前記コイル巻線と前記一対の磁性体コア部材とを電気的に絶縁する請求項1記載のコイル用ボビンと、を備えることを特徴とする巻線部品。
【請求項3】
少なくとも一方が脚部を有する一対の磁性体コア部材によって、該脚部が内挿された状態で挟まれる複数のコイル巻線と、
前記複数のコイル巻線と前記一対の磁性体コア部材とを電気的に絶縁する複数の請求項1記載のコイル用ボビンと、
を備え、
前記複数のコイル巻線は、前記コイル巻線が巻回する軸線方向が沿うように並設されることを特徴とする巻線部品。
【請求項4】
前記コイル用ボビンと、前記コイル巻線とは、インサート成形により一体成形されていることを特徴とする請求項2又は3記載の巻線部品。
【請求項5】
少なくとも一方が脚部を有する一対の磁性体コア部材と、
前記一対の磁性体コア部材によって、前記脚部が内挿された状態で挟まれるコイル巻線と、
前記コイル巻線と前記一対の磁性体コア部材とを電気的に絶縁する請求項1記載のコイル用ボビンと、
を備えることを特徴とするコイル部品。
【請求項6】
少なくとも一方が脚部を有する一対の磁性体コア部材と、
前記一対の磁性体コア部材によって、前記脚部が内挿された状態で挟まれる複数のコイル巻線と、
前記複数のコイル巻線と前記一対の磁性体コア部材とを電気的に絶縁する複数の請求項1記載のコイル用ボビンと、
を備え、
前記複数のコイル巻線は、前記コイル巻線が巻回する軸線方向が沿うように並設されることを特徴とするコイル部品。
【請求項7】
前記コイル用ボビンと、前記コイル巻線とは、インサート成形により一体成形されていることを特徴とする請求項5又は6記載の巻線部品。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか一項に記載のコイル部品を備えることを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項9】
請求項5に記載のコイル部品の製造方法であって、
前記磁性体コア部材の前記脚部を前記コイル用ボビンの前記筒状部に内挿し、前記スペーサ部を押圧することにより、前記支持部を延伸又は切断させる
ことを特徴とする製造方法。
【請求項10】
請求項6に記載のコイル部品の製造方法であって、
前記磁性体コア部材の前記脚部を前記複数のコイル用ボビンの前記筒状部にそれぞれ内挿し、前記スペーサ部をそれぞれ押圧することにより、前記支持部を延伸又は切断させる
ことを特徴とする製造方法。
【請求項1】
少なくとも一方が脚部を有する一対の磁性体コア部材と、該脚部が内挿された状態で該一対の磁性体コア部材に挟まれるコイル巻線とを電気的に絶縁するためのコイル用ボビンであって、
前記コイル巻線の内周側において該コイル巻線が巻回する軸線方向に沿って設けられる筒状部と、
前記筒状部内に設けられ前記一対の磁性体コア部材間にギャップを設けるためのスペーサ部と、
前記筒状部の内壁と前記スペーサ部とを連結し、前記スペーサ部を支持する支持部と、
を備え、
前記脚部によって前記スペーサ部を押圧することにより、前記支持部が延伸又は切断される
ことを特徴とするコイル用ボビン。
【請求項2】
少なくとも一方が脚部を有する一対の磁性体コア部材によって、該脚部が内挿された状態で挟まれるコイル巻線と、
前記コイル巻線と前記一対の磁性体コア部材とを電気的に絶縁する請求項1記載のコイル用ボビンと、を備えることを特徴とする巻線部品。
【請求項3】
少なくとも一方が脚部を有する一対の磁性体コア部材によって、該脚部が内挿された状態で挟まれる複数のコイル巻線と、
前記複数のコイル巻線と前記一対の磁性体コア部材とを電気的に絶縁する複数の請求項1記載のコイル用ボビンと、
を備え、
前記複数のコイル巻線は、前記コイル巻線が巻回する軸線方向が沿うように並設されることを特徴とする巻線部品。
【請求項4】
前記コイル用ボビンと、前記コイル巻線とは、インサート成形により一体成形されていることを特徴とする請求項2又は3記載の巻線部品。
【請求項5】
少なくとも一方が脚部を有する一対の磁性体コア部材と、
前記一対の磁性体コア部材によって、前記脚部が内挿された状態で挟まれるコイル巻線と、
前記コイル巻線と前記一対の磁性体コア部材とを電気的に絶縁する請求項1記載のコイル用ボビンと、
を備えることを特徴とするコイル部品。
【請求項6】
少なくとも一方が脚部を有する一対の磁性体コア部材と、
前記一対の磁性体コア部材によって、前記脚部が内挿された状態で挟まれる複数のコイル巻線と、
前記複数のコイル巻線と前記一対の磁性体コア部材とを電気的に絶縁する複数の請求項1記載のコイル用ボビンと、
を備え、
前記複数のコイル巻線は、前記コイル巻線が巻回する軸線方向が沿うように並設されることを特徴とするコイル部品。
【請求項7】
前記コイル用ボビンと、前記コイル巻線とは、インサート成形により一体成形されていることを特徴とする請求項5又は6記載の巻線部品。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか一項に記載のコイル部品を備えることを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項9】
請求項5に記載のコイル部品の製造方法であって、
前記磁性体コア部材の前記脚部を前記コイル用ボビンの前記筒状部に内挿し、前記スペーサ部を押圧することにより、前記支持部を延伸又は切断させる
ことを特徴とする製造方法。
【請求項10】
請求項6に記載のコイル部品の製造方法であって、
前記磁性体コア部材の前記脚部を前記複数のコイル用ボビンの前記筒状部にそれぞれ内挿し、前記スペーサ部をそれぞれ押圧することにより、前記支持部を延伸又は切断させる
ことを特徴とする製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−251364(P2010−251364A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−95966(P2009−95966)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
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