説明

コイル部品の製造方法

【課題】コイル部品の平坦化工程を単純化し、平坦化工程に必要となる時間を縮めると共に、コイル部品の生産性及び製造費用を節減することができる、コイル部品の製造方法を提供する。
【解決手段】フェライト基板101、該フェライト基板に設けられた導体ライン110,120及び該導体ラインの電気的な外部接続のための外部電極141,142を備えるコイル部品の製造方法であって、外部電極を覆うように磁性層130をコーティングするステップと、該外部電極に磁性層の一部が残留するように、磁性層の表面を機械研磨方式で平坦化するステップと、該残留された磁性層を化学研磨方式で除去して該外部電極を露出させるステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品の製造方法に関し、特に、磁性層の平坦化工程を単純化してコイル部品の生産性を向上すると共に、製造費用を節減することができる、コイル部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1980年代末、米国のIBM社は、半導体製造工程中の一つとして、ウエハなどの基板の表面を平坦化するため、機械的加工と化学的加工とを一つの加工方法として混合したCMP(Chemical Mechanical Polishing)という新たな研磨工程を開発した。
【0003】
このCMP工程は、超微細スケール(submicron scale)のチップ製造に必要な工程であって、デバイス層の全面で継続して適用されなければならず、3次元の形象情報を得るために各層を広域的に平坦化することが主な役目である。このようなCMPは、機械的な作用と化学的な作用とが同時に作用して互いに相互作用を引き起こすような研磨工程である。
【0004】
詳しくは、図1に示すように、CMP工程で平坦化しようとするウエハ1は、パッド2及びスラリ3によって研磨され、パッド2が付着された研磨テーブル(図示せず)は単純な回転運動をし、ヘッド部は回転運動と揺れ運動とを同時に行って一定の圧力で前記ウエハ1を押圧する。
【0005】
すなわち、前記ウエハ1は、表面張力または真空によってヘッド部に装着される。該ヘッド部の自体荷重と印加される押圧力とによって、ウエハ1表面とパッド2とは接触するようになり、該接触面間の微細な隙間(パッドの気孔部分)の間で加工液としてのスラリ3が流動することになる。スラリ3内部にある研磨粒子及びパッド2の表面突起とスラリ3内の化学成分とによって、機械的な除去作用及び化学的な除去作用の両方が同時に行われることになる。
【0006】
CMP工程において、パッド2とウエハ1との間の押圧力によって、デバイス突出部の上部から接触がなされ、該部分に圧力が集中して、相対的に高い表面除去速度を有するようになる。加工が進むほど該突出部が減って、全面積に亘って均一に平坦化が行われることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2006−0052814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、このCMP工程は研磨速度が遅く、且つ高価な工程であり、大面積の平坦化工程には適合ではないという短所がある。
【0009】
そのため、コモンモードフィルタのようなノイズ除去用コイル部品の平坦化工程に適用する場合、コイル部品の製造費用を相当に増加させ、研磨速度が遅くて工程時間が相当にかかる。また、コイル部品の中で平坦化しようとする層の研磨厚さを調節しにくくなり、これによって研磨程度がひどい場合、平坦化層以外に該平坦化層に収容された電極などに損傷を与えるなど、多くの問題点を引き起こした。
【0010】
本発明は上記の問題点に鑑みて成されたものであって、コイル部品の平坦化工程を単純化し、平坦化工程に必要となる時間を縮めると共に、コイル部品の生産性及び製造費用を節減することができる、コイル部品の製造方法を提供することに、その目的がある。
【0011】
本発明の他の目的は、コイル部品の平坦化工程の中で平坦化ターゲットに収容された電極などに損傷やストレスの集中を防止し、製品不良率を最小化すると共に製品信頼性を向上することができる、コイル部品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を解決するために、本発明によれば、フェライト基板、該フェライト基板に設けられた導体ライン及び該導体ラインの電気的な外部接続のための外部電極を含むコイル部品の製造方法であって、前記外部電極を覆うように磁性層をコーティングするステップと、前記外部電極に前記磁性層の一部が残留するように前記磁性層の表面を機械研磨方式によって平坦化するステップと、前記残留された磁性層を化学研磨方式によって除去して前記外部電極を露出させるステップと、を含むコイル部品の製造方法が提供される。
【0013】
一実施形態によれば、前記機械研磨方式によって前記外部電極に残留する磁性層は、前記外部電極の表面から1〜2μmの厚さを有する。
【0014】
一実施形態によれば、前記機械研磨方式は、セラミックスバフとブラッシユ(brush)バフのうちの少なくともいずれか一つを回転させることによって行われる。
【0015】
一実施形態によれば、前記回転速度は、1800RPMである。
【0016】
また、前記化学研磨方式は、前記残留された磁性層をエッチング液にディッピング(dipping)して行われる。
【0017】
一実施形態によれば、前記ディッピングは、10〜30minの時間間行われる。
【0018】
また、前記エッチング液は、過マンガン酸カリウムを含む。
【0019】
一実施形態によれば、前記磁性層は、フェライト、エポキシ及びポリイミドのうちのいずれか一つのポリマ材料を含む複合材料から成る。
【発明の効果】
【0020】
本発明の導体ライン兼ビア製造用スタンプ及びこれを用いるコイル部品の製造方法によれば、コイル部品の平埴化工程を単純化することによって、平坦化工程に必要となる時間を縮めると共に、コイル部品の生産性及び製造費用を節減することができるという効果が奏する。
【0021】
また、本発明によれば、コイル部品の平坦化工程の中で平坦化ターゲットに収容された電極などに損傷やストレスの集中を防止することによって、製品不良率を最小化すると共に製品信頼性を向上することができるという効果が奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】従来のチップ製造工程の中でウエハの平坦化工程を説明する断面図である。
【図2】本発明によるコイル部品の製造方法の一実施形態を概略的に示す順序図である。
【図3a】本発明によるコイル部品の製造方法の一実施形態を説明するための工程断面図であり、磁性層をコーティングした状態を概略的に示している。
【図3b】図3aに対応する平面図である。
【図3c】本発明によるコイル部品の製造方法の一実施形態を説明するための工程断面図であり、磁性層の表面を機械研磨方式によって平坦化することを概略的に示している。
【図3d】本発明によるコイル部品の製造方法の一実施形態を説明するための工程断面図であり、磁性層の表面を化学研磨方式によって平坦化することを概略的に示している。
【図3e】本発明によるコイル部品の製造方法の一実施形態を説明するための工程断面図であり、磁性層の平坦化工程が完了した状態を概略的に示している。
【図3f】図3eに対応する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施の形態は図面を参考にして詳細に説明する。次に示される各実施の形態は当業者にとって本発明の思想が十分に伝達されることができるようにするために例として挙げられるものである。従って、本発明は以下で示している各実施の形態に限定されることなく他の形態で具体化されることができる。そして、図面において、装置の大きさ及び厚さなどは便宜上誇張して表現されることができる。明細書全体に渡って同一の参照符号は同一の構成要素を示している。
【0024】
本明細書で使われた用語は、実施形態を説明するためのものであって、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数形は特別に言及しない限り複数形も含む。明細書で使われる「含む」とは、言及された構成要素、ステップ、動作及び/又は素子は、一つ以上の他の構成要素、ステップ、動作及び/又は素子の存在または追加を排除しないことに理解されたい。
【0025】
以下、添付図面を参照して、本発明によるコイル部品の製造方法について詳記する。
【0026】
図2は、本発明によるコイル部品の製造方法の一実施形態を概略的に示す順序図である。図3a〜図3fは各々、本発明によるコイル部品の製造方法の一実施形態を説明するための工程断面図であって、図3aは、磁性層をコーティングした状態を概略的に示す断面図、図3bは、図3aに対応する平面図、図3cは、磁性層の表面を機械研磨方式によって平坦化することを概略的に示す断面図、図3dは、磁性層の表面を化学研磨方式によって平坦化することを概略的に示す断面図、図3eは、磁性層の平坦化工程が完了した状態を概略的に示す断面図、図3fは、図3eに対応する平面図である。
【0027】
図2に示すように、本発明によるコイル部品の製造方法の一実施形態は大きく、磁性層コーティングステップと、機械研磨ステップと、化学研磨ステップとを含んで構成される。
【0028】
詳しくは、図3aに示すように、フェライト基板101の上面に絶縁層102を形成した後、該フェライト基板101上に第1の導体ライン110及び第2の導体ライン120を薄膜工程などによって設ける。
【0029】
前記第1の導体ライン110及び前記第2の導体ライン120は、薄膜工程中に設けられるフォトレジスト層105を介して相互電気的に分離可能に設けられる。
【0030】
続いて、前記第1の導体ライン110の外部電気接続のための第1の外部電極141及び前記第2の導体ライン120の外部電気接続のための第2の外部電極142を薄膜工程などによって設ける。
【0031】
続いて、図3bに示すように、前記第1の外部電極141、前記第2の外部電極142及び前記絶縁層105を覆うように、磁性層130をコーティングする。
【0032】
詳しくは、前記磁性層130は、注入方式で充填してコーティングするため、前記第1の外部電極141及び前記第2の外部電極142まで覆うように設けられる。
【0033】
一実施形態によれば、前記磁性層130は、接合性の向上のために、フェライト以外に、エポキシ及びポリイミドのうちのいずれか一つのポリマ材料を含む複合材料から成る。
【0034】
続いて、前記第1の外部電極141及び前記第2の外部電極142の上面を露出し、前記磁性層130の表面平坦化のために平坦化工程を行う。
【0035】
まず、図3cに示すように、前記磁性層130の表面を機械研磨方式で平坦化する第1の平坦化工程を行う。
【0036】
前記第1の外部電極141及び前記第2の外部電極142の上面に前記磁性層130の一部が残留するように機械研磨を行って、該機械研磨方式で平坦化する工程中に、前記第1の外部電極141及び前記第2の外部電極142にストレスが加えられるか損傷されることを防止することができる。
【0037】
前記機械研磨方式は、セラミックスバフ及びブラッシュバフのうちの少なくともいずれか一つの研磨部材150を回転させ、前記磁性層130の表面を研磨してもよく、セラミックスバフとブラッシュバフとの組み合わせによって研磨してもよい。また、この機械研磨方式は、サンドベルト(sand belt)のような研磨部材で行ってもよい。
【0038】
これらのセラミックスバフ、ブラッシュバフなどの機械研磨のための回転部材の回転は、1800RPMの速度で回転されるが、これに限定するものではない。
【0039】
また、前記機械研磨方式による平坦化工程の際、前記第1の外部電極141及び前記第2の外部電極142に残留する磁性層131は、前記外部電極141、142の各々の表面から1〜2μmの厚さtを有して残留するが、ここに限定されるのではない。
【0040】
続いて、図3dに示すように、前記第1の外部電極141の上面及び前記第2の外部電極142の上面に残留する磁性層131を化学研磨方式によって除去し、前記第1の外部電極141の上面及び前記第2の外部電極142の上面を露出させる第2の平坦化工程を行う。
【0041】
詳しくは、前記機械研磨方式による平坦化工程を経たコイル部品を研磨容器160に収容されたエッチング液165にディッピングして、前記第1の外部電極141の上面及び前記第2の外部電極142の上面に残留する磁性層131を除去する。これによって、図3e及び図3fに示すように、前記第1の外部電極141の上面及び前記第2の外部電極142の上面が露出すると共に、前記磁性層130の表面は化学処理によって光沢が出る平滑な面になる。
【0042】
前記コイル部品のディッピングは、10〜30minの時間間行われてもよい。
【0043】
また、前記エッチング液には、強酸、強アルカリ、酸化剤などが挙げられるが、本実施形態では、過マンガン酸カリウムが挙げられる。
【0044】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、前記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0045】
101 フェライト基板
102 絶縁層
105 フォトレジスト層
110 第1の導体ライン
120 第2の導体ライン
130 磁性層
131 残留磁性層
141 第1の外部電極
142 第2の外部電極
150 研磨部材
160 研磨容器
165 エッチング液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェライト基板、該フェライト基板に設けられた導体ライン及び該導体ラインの電気的な外部接続のための外部電極を備えるコイル部品の製造方法であって、
前記外部電極を覆うように磁性層をコーティングするステップと、
前記外部電極に前記磁性層の一部が残留するように、前記磁性層の表面を機械研磨方式で平坦化するステップと、
前記残留された磁性層を化学研磨方式で除去して、前記外部電極を露出させるステップ
とを含むコイル部品の製造方法。
【請求項2】
前記機械研磨方式によって前記外部電極に残留する磁性層は、前記外部電極の表面から1〜2μmの厚さを有する、請求項1に記載のコイル部品の製造方法。
【請求項3】
前記機械研磨方式は、セラミックスバフ及びブラッシュバフのうちの少なくともいずれか一つを回転させて前記磁性層の表面を研磨する、請求項1または2に記載のコイル部品の製造方法。
【請求項4】
前記回転の速度は、1800RPMである、請求項3に記載のコイル部品の製造方法。
【請求項5】
前記化学研磨方式は、前記残留された磁性層をエッチング液にディッピングして行われる、請求項1に記載のコイル部品の製造方法。
【請求項6】
前記ディッピングは、10〜30minの時間間行われる、請求項5に記載のコイル部品の製造方法。
【請求項7】
前記エッチング液は、過マンガン酸カリウムを含む、請求項5または6に記載のコイル部品の製造方法。
【請求項8】
前記磁性層は、フェライト、エポキシ及びポリイミドのうちのいずれか一つのポリマ材料を含む複合材料から成る、請求項1に記載のコイル部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図3e】
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【図3f】
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【公開番号】特開2013−102160(P2013−102160A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−244185(P2012−244185)
【出願日】平成24年11月6日(2012.11.6)
【出願人】(512255804)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (21)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electro−Mechanics Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】150, Maeyeong−ro, Yeongtong−gu, Suwon−si, Gyeonggi−do, Republic of Korea
【Fターム(参考)】