説明

コイル部品

【課題】小型化を図る場合であっても、部品精度を十分に確保することができるコイル部品を提供する。
【解決手段】コイル部品1は、磁性体材料を含む圧粉体によって構成される本体部8と、本体部8の内部に配置されるコイル9と、コイル9から本体部8の外側にそれぞれ引き出される一対のリード線2,3と、本体部8の外側においてリード線2,3と電気的に接続される端子金具6,7と、リード線2,3と端子金具6,7とを接続する溶接部11,12と、を備える。また、一対のリード線2,3は、いずれもコイル9の軸線方向と直交する第一方向D1へ向かって引き出されている。本体部8の引出面21,23は、本体部8の第一方向D1における端である第一側面16よりもコイル9側に配置されている。また、引出面21,23は、リード線2,3と垂直に交わっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコイル部品として、内部にコイルが配置されると共に一対のリード線が引き出され、磁性体材料を含む圧粉体によって構成される本体部を有するものが知られている。コイル部品は、コイルと圧粉体とを一体成形することによって構成されている。一対のリード線は、コイル部品の本体部の外側へ向かって引き出されている。このコイル部品において、一対のリード線は、コイルの軸線方向を中心として、互いに180°をなすように引き出されている。各リード線が互いに180°をなすため、コイルを構成する巻き線部分とリード線との間には、屈曲部分が形成されている(例えば図9(a)を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−228825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のコイル部品は、一対のリード線が互いに異なる方向へ引き出される構成であり、リード線を屈曲させるようにフォーミングする必要がある。従って、リード線の位置精度を確保することが難しい場合があった。特に、近年コイル部品の小型化が要求されており、リード線の位置精度を十分に確保することが求められている。更に、小型化に伴いリード線の径が細くなると、屈曲させた形状を維持しておくことが難しくなる。また、リード線と端子金具との溶接を確実に行うことも求められていた。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、小型化を図る場合であっても、部品精度を十分に確保することができるコイル部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るコイル部品は、磁性体材料を含む圧粉体によって構成される本体部と、本体部の内部に配置されるコイルと、コイルから本体部の外側にそれぞれ引き出される一対のリード線と、本体部の外側においてリード線と接続される端子金具と、を備え、リード線と端子金具とが溶接されることによって、溶接部が形成され、一対のリード線は、いずれもコイルの軸線方向と直交する第一方向へ向かって引き出され、本体部は、リード線が外側へ引き出された引出面を有し、引出面は、本体部における第一方向の端よりもコイル側に配置されていると共に、リード線と垂直に交わっていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るコイル部品によれば、一対のリード線は、いずれもコイルの軸線方向と直交する第一方向へ向かって引き出されている。すなわち、一対のリード線は、互いに同じ方向へ引き出されている。従来のコイル部品は、互いのリード線が180°をなして異なる方向へ引き出されるため、リード線を屈曲させるようにフォーミングする必要があり、リード線の位置精度を確保することが難しい。一方、本発明に係るコイル部品の構成は、一対のリード線が同じ方向へ引き出されるため、屈曲部分を設けるようにフォーミングする必要がなく、リード線の位置決めが行い易くなる。これによって、部品の小型化を実現し易くなる。また、本発明に係るコイル部品では、本体部の引出面は、本体部における第一方向の端よりもコイル側に配置されている。すなわち、リード線は、本体部の第一方向における端よりも外側に突出しなくなる。このような構成により、リード線に形成される溶接部は、本体部の外形寸法の範囲内に配置されることが可能となる。これによって、部品の小型化を実現し易くなる。また、引出面は、リード線と垂直に交わっている。例えば、リード線が引出面から斜めに引き出されるような構成においては、引出面と溶接部との間のリード線の遊びを大きくする必要が生じる。リード線の遊びが大きい場合、リード線と端子金具とを接続するための溶接部の形状が不安定となる可能性がある。一方、リード線が引出面から垂直に引き出されるような構成においては、引出面と溶接部との間のリード線の遊びを小さく設定することが可能となる。このように、リード線の遊びを小さく設定した場合、リード線と端子金具とを接続するための溶接部の形状が安定する。以上によって、本発明に係るコイル部品によれば、小型化を図る場合であっても、部品精度を十分に確保することができる。
【0008】
また、本発明に係るコイル部品において、端子金具は、本体部における軸線方向と交わる主面に沿って延び、本体部に接続される基体片と、リード線に沿って延び、リード線と共に溶接される溶接片と、を有し、基体片は、主面と接着される接着面、及び接着面の裏面側において外部の部品に実装される実装面を有し、溶接片は、リード線と対向する溶接面を有することが好ましい。このような構造によって、端子金具は、接着面を有する基体片において本体部に十分に固定された状態で、溶接片の溶接面でリード線を十分に支持することができる。従って、溶接部を形成するための溶接作業において、リード線と溶接片は安定した状態で溶接される。これによって、引出面と溶接部との間のリード線の遊びが小さくなるように溶接することが可能となる。
【0009】
また、本発明に係るコイル部品において、溶接面は、溶接片における溶接面の裏面よりも、リード線を構成する材料に対する濡れ性が高いことが好ましい。例えば、溶接面の裏面が、溶接面と同等以上の濡れ性を有していた場合、溶接部が裏面側に引っ張られてしまう可能性がある。このような場合、溶接部の形状が安定しない可能性がある。一方、本発明に係るコイル部品において、溶接片における溶接面は、裏面よりも高い濡れ性を有している。従って、溶接部は、裏面側に引っ張られることなく、安定した形状となることができる。
【0010】
また、本発明に係るコイル部品において、本体部は、第一方向における端と引出面との間に傾斜面を有し、傾斜面は、第一方向に向かうに従って溶接部から遠ざかるように傾斜していることが好ましい。このような構成によって、溶接部を形成したときの熱が、傾斜面を介して本体部に伝わることを抑制することができる。
【0011】
また、本発明に係るコイル部品において、一対のリード線は、互いに広がるように本体部の外側へ向かって延びることが好ましい。このような構成によって、一対のリード線を引き出す引出面は、本体部の角部側に配置される。引出面は、本体部の端よりもコイル側に配置される面である。よって、引出面が本体部の中央位置付近に形成された場合、当該引出面付近におけるコイルに対する肉厚が薄くなる可能性がある。本発明に係るコイル部品においては、引出面が角部寄りに配置されるため、コイルに対する肉厚を十分に確保することができる。
【0012】
また、本発明に係るコイル部品において、本体部は、外形寸法を規定する外形寸法規定領域を有しており、溶接部は、外形寸法規定領域内に配置されることが好ましい。これによって、コイル部品が外部の部品に実装されたとき、溶接部が他の部品と干渉してしまうことを防止することができる。
【0013】
また、本発明に係るコイル部品において、溶接部は、引出面から離間していることが好ましい。これによって、溶接部を形成したときの熱が引出面を介して本体部に伝わることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、小型化を図る場合であっても、部品精度を十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係るコイル部品の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るコイル部品を端子金具側から見た斜視図である。
【図3】図1に示すコイル部品をコイルの軸線方向から見た平面図である。
【図4】リードフレームに接続された状態での端子金具を示す斜視図である。
【図5】リードフレームに接続された状態での端子金具の裏面側を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係るコイル部品の製造方法を示すフロー図である。
【図7】本発明の実施形態に係るコイル部品の製造方法を示す斜視図である。
【図8】貼り合せ工程S4から溶接工程S7までの処理を説明するための概略断面図である。
【図9】本発明の実施形態に係るコイル部品の作用・効果を説明するための図である。
【図10】本発明の実施形態に係るコイル部品の作用・効果を説明するための概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0017】
図1、図2及び図3を参照して、本発明の実施形態に係るコイル部品1の構成を説明する。図1は、本発明の実施形態に係るコイル部品の斜視図である。図2は、本発明の実施形態に係るコイル部品を端子金具側から見た斜視図である。図3は、図1に示すコイル部品をコイルの軸線方向から見た平面図である。図3は、紙面左側半分の領域において、本体部8を破断してコイル9を示している。
【0018】
図1、図2及び図3に示すように、コイル部品1は、リード線2,3が引き出された成形体4と、当該成形体4に取り付けられた端子金具6,7と、を備えて構成されている。また、リード線2と端子金具6と溶接することによって、溶接部11が形成され、リード線3と端子金具7とを溶接することによって溶接部12が形成される。成形体4は、磁性体材料を含む圧粉体によって構成される本体部8と、本体部8の内部に配置されるコイル9と、コイル9から本体部8の外側にそれぞれ引き出される一対のリード線2,3と、を備えている。成形体4は、磁性粉末中にコイルを配置し、一体成形することによって構成されている。端子金具6は、成形体4に接着されると共に、外側に露出されたリード線2と溶接部11を介して電気的に接続される。端子金具7は、成形体4に接着されると共に、外側に露出されたリード線2と溶接部12を介して電気的に接続される。
【0019】
本体部8を構成する磁性体材料は、例えば、フェライト粉末や強磁性金属粉末などである。本体部8は、扁平な略矩形状の形状を有しており、外形寸法は縦2.5〜5mm、横2.5〜5mm、高さ1.0〜2.0mm程度に設定されている。本体部8は、厚み方向に互いに対向する第一主面13と第二主面14とを有し、第一主面13及び第二主面14と直交すると共に互いに対向する第一側面16と第二側面17とを有し、第一主面13及び第二主面14と直交すると共に第一側面16及び第二側面17と直交して互いに対向する第三側面18と第四側面19とを有する。ここで、第二側面17から第一側面16へ向かう方向を第一方向D1として、以下の説明を行う。このように第一方向D1を定義した場合、第一側面16は、本体部8における第一方向D1の端に該当する。
【0020】
本体部8は、第一側面16と第三側面18との間の角部において切り欠かれたような形状を有している。具体的には、本体部8は、第一側面16と第三側面18との間に、第一主面13及び第二主面14と直交する引出面21及び傾斜面22を有している。引出面21は、リード線2を外側へ引き出す機能を有している。引出面21は、第三側面18と垂直に連結されており、第一側面16及び第二側面17と平行をなしている。また、引出面21は、本体部8の第一方向D1における端である第一側面16よりも、コイル9側、すなわち第二側面17側に配置されている。傾斜面22は、第一側面16と引出面21との間に設けられている。傾斜面22は、引出面21から第一方向D1へ向かって本体部8が先細りとなるように傾斜している。後述で説明する溶接部11の位置を基準にした場合、傾斜面22は、第一方向D1に向かうに従ってリード線2、すなわち溶接部11から遠ざかるように傾斜している。
【0021】
本体部8は、第一側面16と第四側面19との間の角部において切り欠かれたような形状を有している。具体的には、本体部8は、第一側面16と第四側面19との間に、第一主面13及び第二主面14と直交する引出面23及び傾斜面24を有している。引出面23は、リード線3を外側へ引き出す機能を有している。引出面23は、第四側面19と垂直に連結されており、第一側面16及び第二側面17と平行をなしている。また、引出面23は、本体部8の第一方向D1における端である第一側面16よりも、コイル9側、すなわち第二側面17側に配置されている。傾斜面24は、第一側面16と引出面23との間に設けられている。傾斜面24は、引出面23から第一方向D1へ向かって本体部8が先細りとなるように傾斜している。後述で説明する溶接部11の位置を基準にした場合、傾斜面24は、第一方向D1に向かうに従ってリード線3、すなわち溶接部12から遠ざかるように傾斜している。
【0022】
図3に示すように、コイル9は、巻き線を中心軸線L1(図3においては、紙面垂直方向に延びている)周りに巻回させることによって構成されている。コイル9は、その中心軸線L1が本体部8における厚み方向と一致するように配置されている。すなわち、コイル9の軸線方向は、第一方向D1と直交する。また、中心軸線L1は、厚み方向から見たときの本体部8の外形寸法領域における中央位置に配置される。コイル9の巻き線のうち、一方の端はリード線2として本体部8の外側へ引き出され、他方の端はリード線3として本体部8の外側へ引き出される。リード線2とリード線3は、いずれも第一方向D1へ向かって引き出されている。すなわち、リード線2とリード線3は、いずれも第二側面17から第一側面16へ向かう方向へ引き出されている。リード線2は、第三側面18に沿って引出面21へ向かって延び、当該引出面21にて本体部8の外側に引き出されている。リード線3は、第四側面19に沿って引出面23へ向かって延び、当該引出面23にて本体部8の外側に引き出されている。リード線2とコイル9の巻き線との間、すなわち、リード線2がコイル9の巻回方向から外れる部分(図3においてBP1で示される部分)は、リード線3とコイル9の巻き線との間で、180°の位相をなしている。
【0023】
また、リード線2は、引出面21と垂直に交わるように引き出されている。リード線3は、引出面23と垂直に交わるように引き出されている。なお、ここで用いる垂直とは、完全に垂直な状態のみならず、製造時に生じる誤差の範囲内において垂直なものも含む。また、リード線2及びリード線3は、コイル9から第一方向D1へ向かって互いに広がるように延びている。すなわち、第三側面18と第四側面19との間の中心線をL2としたとき、リード線2は、コイル9から第一方向D1へ向かって中心線L2から遠ざかり、第三側面18へ近づくように延びる。一方、リード線3は、コイル9から第一方向D1へ向かって中心線L2から遠ざかり、第四側面19へ近づくように延びる。また、リード線2は、円形に巻かれているコイル9の巻き線部分との間(図3においてBP1で示す部分)で屈曲することなく滑らかに引き出されている。つまり、リード線2は、コイル9の巻き線部分から離れる部分BP1において、コイル9に対する接線に近い形状となる。リード線3についても同様である。
【0024】
リード線2の先端は、端子金具6と溶接されることによって溶接部11を有している。また、リード線3の先端は、端子金具7と溶接されることによって溶接部12を有している。溶接部11及び溶接部12は、本体部8の外形寸法規定領域OE内に配置されている。ここで、外形寸法規定領域OEは、本体部8の縦、横、長さの外形寸法を規定するために設定された六面体の領域である。コイル部品1を用いた製品設計の際には、外形寸法規定領域によって規定される外形寸法に基づいた設計が行われる。本実施形態において、外形寸法規定領域OEは、第一主面13を含んで広がる平面、第二主面14を含んで広がる平面、第一側面16を含んで広がる平面、第二側面17を含んで広がる平面、第三側面18を含んで広がる平面、及び第四側面19を含んで広がる平面によって取り囲まれる領域によって規定される。本実施形態では、引出面21,23及び傾斜面22,24は、外形寸法規定領域OE内に配置される。図3においては、外形寸法規定領域OEを規定する六つの平面のうち、コイル9の中心軸線L1と平行な平面の一部が点線で記載されている。すなわち、第一側面16を含んで広がる平面F1、第三側面18を含んで広がる平面F3、及び第四側面19を含んで広がる平面F4が記載されている。溶接部11は、平面F1(第一側面16)よりもコイル9側であって、平面F3(第三側面18)よりもコイル9側に配置されている。また、溶接部12は、平面F1(第一側面16)よりもコイル9側であって、平面F4(第四側面19)よりもコイル9側に配置されている。なお、図1や図2から明らかなように、溶接部11,12は、第一主面13と第二主面14との間に配置され、厚み方向においても外形寸法規定領域OE内に配置される。溶接部11及び溶接部12は、引出面21,23から離間している。具体的には、図3において、S1で示す部分の寸法は、0.05〜0.1mm程度とすることが好ましい。
【0025】
図4は、リードフレームに接続された状態での端子金具を示す斜視図である。図5は、リードフレームに接続された状態での端子金具の裏面側を示す斜視図である。製造時において、端子金具6,7は、リードフレームLFに複数接続された状態で、成形体4との接着・溶接が行われる。図1、図2、図4及び図5に示すように、端子金具6は、本体部8における中心軸線L1と交わる第二主面14に沿って延び、本体部8に接続される基体片31と、リード線2に沿って延び、リード線2と共に溶接される溶接片32と、基体片31と溶接片32とを連結する連結片33とを有する。基体片31は、断面L字状の板材であり、第二主面14と接触する底部34と、第三側面18と対向する側部36を有する。連結片33は、断面L字状の帯状部材であり、底部34から第一方向D1へ水平に延びる水平部37と、水平部37の端部から溶接片32へ向かって引出面21に沿って垂直に延びる垂直部38とを有する。基体片31の底部34は、第二主面と接着される接着面34aを有し、接着面34aの裏面側において外部の部品(基板など)に実装される実装面34bを有する。溶接片32は、リード線2と対向する溶接面32aを有する。端子金具7は、本体部8における中心軸線L1と交わる第二主面14に沿って延び、本体部8に接続される基体片41と、リード線3に沿って延び、リード線3と共に溶接される溶接片42と、基体片41と溶接片42とを連結する連結片43とを有する。基体片41は、断面L字状の板材であり、第二主面14と接触する底部44と、第四側面19と接触する側部46を有する。連結片43は、断面L字状の帯状部材であり、底部44から第一方向D1へ水平に延びる水平部47と、水平部47の端部から溶接片42へ向かって引出面23に沿って垂直に延びる垂直部48とを有する。基体片41の底部44は、第二主面と接着される接着面44aを有し、接着面44aの裏面側において外部の部品(基板など)に実装される実装面44bを有する。溶接片42は、リード線3と対向する溶接面42aを有する。
【0026】
端子金具6,7の表面は、場所によって異なる濡れ性を有している。濡れ性とは、リード線2,3を構成する材料に対する濡れ性である。具体的には、溶接片32,42の溶接面32a,42a、基体片31,41の底部34,44の実装面34b,44b、基体片31,41の側部36,46における本体部8と反対側の面、及び、連結片33,43の水平部37,47及び垂直部38,48における本体部8と反対側の面は、表面にめっきが施され、高い濡れ性を有する面である。めっきとしては、例えば、厚さ0.5μm程度のNiめっきや、厚さ5μm程度のSnめっきが用いられる。なお、Niめっきの上にSnめっきが形成され、最外装はSnめっきになる。一方、溶接片32,42の溶接面32a,42aの裏面32b,42b、基体片31,41の底部34,44の接着面34a,44a、基体片31,41の側部36,46における本体部8と対向する面、及び、連結片33,43の水平部37,47及び垂直部38,48における本体部8と対向する面は、銅面が露出しており、低い濡れ性を有する面である(図4、5においてハッチングが付された部分)。これによって、溶接片32,42の溶接面32a,42aは、裏面32b,42bよりも高い濡れ性を有する。また、基体片31,41の底部34,44の実装面34b,44bは、濡れ性が高く、他部品に対して実装しやすくなっている。基体片31,41の底部34,44の接着面34a,44aは、銅面が露出して濡れ性が低く、本体部8を接着し易くなっている。なお、少なくとも溶接面32a,42a及び実装面34b,44bがめっき面であり、少なくとも裏面32b,42b(特に先端側の溶接部11,12が形成される部分)及び接着面34a,44aが銅面であることが好ましく、他の部分についてはめっきとしても銅面としてもよい。
【0027】
次に、コイル部品1の製造方法について、図6、図7及び図8を参照して説明する。
【0028】
まず、図6に示すように、巻き線工程S1が実行される。巻き線工程S1は、図7(a)に示すように、巻き線を巻くことによってコイル9を形成すると共にリード線2,3を引き出す工程である。次に、本体部8を形成するための本体部形成工程S2が実行される。本体部形成工程S2は、コイル9と共に磁性体材料を一体成形することによって、本体部8を形成する工程である。図7(a)に示すような成形体4は、巻き線工程S1及び本体部形成工程S2が実行されることによって形成される。すなわち、巻き線工程S1及び本体部形成工程S2は、内部にコイル9が配置されてリード線2,3が引き出された本体部8を準備する工程を構成する。
【0029】
次に、端子金具準備工程S3が実行される。端子金具準備工程S3は、リードフレームLFに連結された端子金具6,7をプレスなどによって形成すると共に、端子金具6,7の表面にめっきを施す(図4、図5参照)工程である。次に、貼り合せ工程S4が実行される。貼り合せ工程S4は、端子金具6,7を成形体4に張り合わせる工程である。貼り合せ工程S4では、端子金具6,7の接着面34a,44aに接着剤が塗布され、図7(b)に示すように当該接着面34a,44aが成形体4の本体部8に貼り合せられる。貼り合せ工程S4では、一列に並べられて固定された成形体4に対し、リードフレームLF付の端子金具6,7を張り合わせる。あるいは、固定された端子金具6,7に対し、成形体4を張り合わせてもよい。
【0030】
次に、圧力付与工程S5が実行される。圧力付与工程S5は、リード線2,3と端子金具6,7の溶接片32,42とが押圧される工程である。次に、切断工程S6が実行される。切断工程S6は、リード線2,3における長すぎる部分を切断する工程である。次に、溶接工程S7が実行される。溶接工程S7は、図7(c)に示すように、リード線2,3の先端に溶接部11,12を形成する工程である。すなわち、溶接工程S7では、リード線2,3及び端子金具6,7の溶接片32,42において、押圧された部分が溶接される。
【0031】
ここで、図8を用いて貼り合せ工程S4〜溶接工程S7の処理を詳細に説明する。なお、図8はリード線2,3のうち、リード線3側の様子のみを示しているが、リード線2側においても同様の処理がなされる。図8(a)に示すように、貼り合せ工程S4において、端子金具7の接着面44aは、接着剤を介して本体部8の第二主面14に接着される。このとき、リード線3は、端子金具7の溶接片42の溶接面42a上に載置される。次に、図8(b)に示すように、圧力付与工程S5において、リード線3は、端子金具7の溶接片42の溶接面42aに押圧される。具体的には、端子金具7の裏面42bが圧力付与工具PA1の上面で支持され、リード線3が上方から圧力付与工具PA2で押圧される。これによって、リード線3と溶接片42とは、圧力付与工具PA1と圧力付与工具PA2との間で挟まれる。リード線3と溶接片42とが挟まれた部分には、圧力付与部50が形成される。圧力付与部50では、リード線3と溶接片42は、他の部分に比して潰れた平たい形状となっている。なお、「圧力付与部50」とは、圧力付与工具PA1,PA2と直接接触する位置のみならず、当該接触位置付近も含まれる。つまり、「圧力付与部50」には、圧力付与工具PA1,PA2と接触していなくとも、これらのプレス力により引っ張られ、変形する領域も含まれる(例えば、図8において50aで示される部分)。
【0032】
次に、図8(c)に示すように、切断工程S6において、リード線3は、切断工具CAによって切断される。具体的には、リード線3及び溶接片42が圧力付与工具PA1,PA2に挟まれた状態で、リード線3が切断工具CAに切断される。切断工具CAは、圧力付与部50よりもリード線3の先端側を切断する。このとき、リード線3の切断部3aは、溶接片42の端面42cを覆う。すなわち、切断工具CAで切断されることによって、リード線3の切断部3aは、切断方向に沿って引っ張られ、溶接片42側へ入り込む。これによって、溶接前にあってもリード線3と溶接片42との間の位置関係は、切断部3aによって固定(仮止めのような状態である)される。なお、図8(c)では、リード線3のみが切断されている様子が示されているが、リード線3と同時に溶接片32の一部が切断されてもよい。溶接片32とリード線3を同時に切断した場合、溶接片32の端面を覆う切断部3aは、一層大きくなる。次に、図8(d)に示すように、溶接工程S7において、レーザ溶接装置LAは、リード線3と溶接片42の圧力付与部50に対してレーザを照射する。これによって、圧力付与部50には、リード線3と溶接片42とを接続する溶接部12が形成される。なお、レーザ溶接装置LAによりレーザが照射された位置には熱が加わるため、当該熱は、本体部8側に伝達される。従って、図8(d)で矢印PDに示すように、溶接部12は熱伝達に伴ってレーザ照射位置よりも本体部8側に移動する。これによって、溶接部12は、確実に本体部8の外形寸法規定領域OE内に位置することができる。なお、レーザ照射位置は、特に限定されず、最終的に溶接部11,12を本体部8の外形寸法規定領域OE内に配置することができるのであれば、圧力付与部50のどの位置であってもよい。例えば、レーザは、圧力付与部50の先端側(すなわち切断部分に近い位置)に照射されてもよく、圧力付与部50の付根側(すなわち本体部8に近い位置であり、例えば領域50aなど)に照射されてもよい。レーザが圧力付与部50の付根側に照射されたとき、当該レーザ照射位置よりも先端側におけるリード線2,3や溶接片32,42は切断される。
【0033】
ここで、リード線2とリード線3は同じ方向である第一方向D1に引き出されているため、溶接部11を形成する位置と溶接部12を形成する位置は、横一直線に並ぶような構成となる。従って、リード線2と溶接片32との間、及びリード線3と溶接片42との間に対し、一つの圧力付与工具PA1及び一つの圧力付与工具PA2を用いて一度の動作で圧力付与を行うことができる。また、一つの切断工具CAを用いて一度の動作で切断することができる。更に、本実施形態では、各端子金具6,7がリードフレームLFに複数接続されているため、図7に示すように複数の本体部8を横一列に並べることができる。従って、複数のコイル部品1に対し、一つの圧力付与工具PA1及び一つの圧力付与工具PA2を用いて一度の動作で圧力付与を行い、一つの切断工具CAを用いて一度の動作で切断作業を行うことができる。また、レーザ溶接装置LAも、横方向に動くだけで各コイル部品1の溶接部を形成することができるので、溶接の際の位置決めの演算負荷を軽減することができる。
【0034】
図7(c)へ戻り、溶接工程S7の後、リードフレーム切断工程S8が実行される。リードフレーム切断工程S8では、複数の端子金具6,7を連結するリードフレームLFが、各端子金具6,7から切り離される。これによって、各コイル部品1は、それぞれ独立した部品となる。リードフレーム切断工程S8が実行されることによって、図6に示す製造工程は終了する。
【0035】
次に、本実施形態に係るコイル部品1、及びその製造方法の作用・効果について説明する。
【0036】
本実施形態に係るコイル部品1によれば、一対のリード線2,3は、いずれもコイル9の軸線方向と直交する第一方向D1へ向かって引き出されている。すなわち、一対のリード線2,3は、互いに同じ方向へ引き出されている。ここで、図9(a)に示す従来のコイル部品の構成について説明する。従来のコイル部品におけるコイル部109は、互いに180°をなして異なる方向へ引き出されるリード線102,103を有している。また、リード線102とコイル9の巻き線との間の部分(図9においてBP2で示される部分)は、リード線103とコイル9の巻き線との間の部分との間で、180°の位相をなしている。従って、リード線102及びリード線103とコイル9の巻き線との間の部分には、屈曲部が形成される。リード線102,103を屈曲させるようにフォーミングする場合、リード線102,103の位置精度を確保することが難しくなる可能性がある。このような問題は、コイル部品の小型化を図る場合、特に生じ易くなる。更に、小型化に伴いリード線102,103の径が細くなると、屈曲させた形状を維持しておくことが難しくなる。一方、実施形態に係るコイル部品1の構成は、一対のリード線2,3が同じ方向へ引き出されるため、図3のBP1に示すように、リード線2,3とコイル9の巻き線との間で屈曲させる必要がなくなる。このように、屈曲部分を設けるようなフォーミングが不要とされるため、リード線2,3の位置決めが行い易くなる。これによって、部品の小型化を実現し易くなる。
【0037】
また、本実施形態に係るコイル部品1では、本体部8の引出面21,23は、本体部8の第一方向D1における端である第一側面16よりもコイル9側に配置されている。すなわち、リード線2,3は、本体部8の第一方向D1における端である第一側面16よりも外側に突出しなくなる。このような構成により、リード線2,3に形成される溶接部11,12は、本体部8の外形寸法規定領域OEの範囲内に配置されることが可能となる。これによって、部品の小型化を実現し易くなる。また、引出面21,23は、リード線2,3と垂直に交わっている。例えば、図9(b)に示すように、リード線3が引出面23から斜めに引き出されるような構成においては、引出面23と溶接部12との間のリード線3の遊びを大きくする必要が生じる。具体的には、溶接部12と引出面23との間の距離をS1だけ確保するために、図9(b)においてS2で示される分の余分な遊びが必要になる。リード線2,3の遊びが大きい場合、リード線2,3と端子金具6,7とを接続するための溶接部11,12の形状が不安定となる可能性がある。例えば、図9(d)に示すように、溶接部同士が離れ易くなる可能性もある。一方、リード線2,3が引出面21,23から垂直に引き出されるような構成においては、引出面21,23と溶接部11,12との間のリード線2,3の遊びを小さく設定することが可能となる。具体的には、図9(c)に示すように、溶接部12と引出面23との間の距離をS1だけ確保するために、他に余分な遊びを設けることが不要とされる。このように、リード線2,3の遊びを小さく設定した場合、リード線2,3と端子金具6,7とを接続するための溶接部11,12の形状が安定する。以上によって、本実施形態に係るコイル部品1によれば、小型化を図る場合であっても、部品精度を十分に確保することができる。
【0038】
また、本実施形態に係るコイル部品1において、端子金具6,7は、本体部8における第二主面14に沿って延び、本体部8に接続される基体片31,41と、リード線2,3に沿って延び、リード線2,3と共に溶接される溶接片32,42と、を有している。また、基体片31,41は、第二主面14と接着される接着面34a,44a、及び接着面34a,44aの裏面側において外部の部品に実装される実装面34b,44bを有している。溶接片32,42は、リード線2,3と対向する溶接面42a,32aを有している。このような構造によって、端子金具6,7は、接着面34a,44aを有する基体片31,41において本体部8に十分に固定された状態で、溶接片32,42の溶接面32a,42aでリード線2,3を十分に支持することができる。従って、溶接部11,12を形成するための溶接作業において、リード線2,3と溶接片32,42は安定した状態で溶接される。これによって、引出面21,23と溶接部11,12との間のリード線2,3の遊びが小さくなるように溶接することが可能となる。
【0039】
また、本実施形態に係るコイル部品1において、溶接面32a,42aは、溶接片32,42における裏面32b,42bよりも高い濡れ性を有している。例えば、裏面32b,42bが、溶接面32a,42aと同等以上の濡れ性を有していた場合、溶接部11,12が裏面32b,42b側に引っ張られてしまう可能性がある。このような場合、溶接部11,12の形状が安定しない可能性がある。具体的には、図10(b)に示すように、めっきMFが溶接片42の溶接面42aのみならず、裏面42bの全面にわたって形成されていた場合、裏面42bの濡れ性は、溶接面42aの濡れ性と同等となる。このような場合、溶接部12が裏面42b側に引っ張られてしまう。一方、本実施形態に係るコイル部品1において、溶接片32,42における溶接面32a,42aは、裏面32b,42bよりも高い濡れ性を有している。従って、溶接部11,12は、裏面32b,42b側に引っ張られることなく、安定した形状となることができる。具体的には、図10(a)に示すように、めっきMFが溶接片42の溶接面42aのみに形成されており、裏面42bの先端側には形成されていない。これによって、溶接面42aの濡れ性が裏面42bの濡れ性よりも高くなる。従って、溶接部12は裏面42b側に引っ張られることなく安定した形状を維持することができる。なお、溶接部12を引っ張ることのない範囲において、裏面42bにおける付根側にめっきMFが形成されていてもよい。このように、裏面に多少めっきが形成されることを許容することで、めっきの際の、位置あわせ作業を容易にすることができる。
【0040】
また、本実施形態に係るコイル部品1において、本体部8は、第一方向D1における端である第一側面16と引出面21,23との間に傾斜面22,24を有し、傾斜面22,24は、第一方向D1に向かうに従って溶接部11,12から遠ざかるように傾斜している。このような構成によって、溶接部11,12を形成したときの熱が、傾斜面22,24を介して本体部8に伝わることを抑制することができる。
【0041】
また、実施形態に係るコイル部品1において、一対のリード線2,3は、互いに広がるように本体部8の外側へ向かって延びている。このような構成によって、一対のリード線2,3を引き出す引出面21,23は、本体部8の角部側に配置される。引出面21,23は、第一方向D1における本体部8の端である第一側面16よりもコイル9側に配置される面である。よって、リード線2,3が本体部8の中央位置付近に引き出されると、引出面21,23が本体部8の中央位置付近に形成される。引出面21,23が本体部8の中央位置付近に形成された場合、当該引出面21,23付近におけるコイル9に対する肉厚が薄くなる可能性がある。具体的には、図3において二点鎖線で示されるように、引出面23が中央側にまで広がった場合、引出面23付近におけるコイル9と引出面23との間の肉厚は、T1で示すような薄い厚みになってしまう。本実施形態に係るコイル部品1においては、引出面21,23が角部寄りに配置されるため、コイル9に対する肉厚を十分に確保することができる。
【0042】
また、本実施形態に係るコイル部品1において、本体部8は、外形寸法を規定する外形寸法規定領域OEを有しており、溶接部11,12は、外形寸法規定領域OE内に配置される。これによって、コイル部品1が外部の部品に実装されたとき、溶接部11,12が他の部品と干渉してしまうことを防止することができる。また、溶接部11,12を引出面21,23と第一側面16との間に配置するように溶接作業を行うことにより、リード線2,3の遊びを少なくして安定した作業を行うことができる。
【0043】
また、本実施形態に係るコイル部品1において、溶接部11,12は、引出面21,23から離間している。これによって、溶接部11,12を形成したときの熱が引出面21,23を介して本体部8に伝わることを抑制することができる。
【0044】
本実施形態に係るコイル部品1の製造方法では、リード線2,3と溶接片32,42とは、互いに押圧され、当該圧力が付与された圧力付与部50において溶接される。例えば、従来のコイル部品では、図9(d)に示すように、リード線3と溶接片42とが離れてしまい、溶接部が分かれてしまう可能性があった。しかし、本実施形態に係るコイル部品1では、リード線2,3と溶接片32,42とは、確実に固定された状態で溶接される。従って、溶接後のリード線2,3と端子金具6,7とが離れてしまうことは、確実に防止され、リード線2,3と端子金具6,7との間の接続性が確保される。また、リード線2,3と端子金具6,7とを押圧するだけの簡単な作業で、リード線2,3と端子金具6,7とを固定することができる。本実施形態では、圧力付与工具PA2を上下方向に一度往復させるだけでリード線2,3を端子金具6,7に固定することができる。従って、このような圧力付与の作業は、リード線2,3に対して端子金具6,7の一部をかしめるようなかしめ作業(工具の上下方向のみの動作では不可能である)を行う場合や、リード線2,3を端子金具6,7に巻きつける作業に比して、作業動作を大幅に単純にすることができると共に、製造装置の構造や動作を単純化することができる。以上によって、製造の作業効率を向上させると共に、部品の信頼性を向上することができる。
【0045】
また、本実施形態に係るコイル部品1の製造方法において、リード線2,3と溶接片32,42とを押圧した状態で、リード線2,3を切断する切断工程S6を更に備えている。これによって、リード線2,3の切断作業を確実且つ容易に行うことができる。
【0046】
また、本実施形態に係るコイル部品1の製造方法において、本体部8から一対のリード線2,3が引き出されており、一対のリード線2,3は、いずれも第一方向D1へ向かって引き出されている。このように、一対のリード線2,3を同じ方向へ引き出すことによって、圧力付与工程S5において、一つの圧力付与工具PA1及び一つの圧力付与工具PA2を用いて一度の動作で両方のリード線2,3に圧力を付与することができる。これによって、作業効率を向上させることができる。
【0047】
また、本実施形態に係るコイル部品1の製造方法において、リード線2,3の切断部は、溶接片32,42の端面を覆う。これによって、リード線2,3と溶接片32,42を一層強固に固定することができる。
【0048】
また、本実施形態に係るコイル部品1の製造方法では、端子金具準備工程S3において、複数の端子金具6,7が形成されたリードフレームLFを準備している。これによって、複数のコイル部品1を一度に処理することが可能となり、圧力付与工程S5、切断工程S6、溶接工程S7を一度に行うことが可能となる。
【0049】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0050】
例えば、引出面と第一側面16との間に傾斜面が形成されていたが、引出面と第一側面16に対して垂直な面が形成されてもよい。また、第一方向D1における本体部8の端として、第一側面16が形成されていたが、当該端は面でなくともよい。すなわち、本体部8の外形寸法規定領域を規定することができる形状であれば、どのようなものでもよい。例えば、傾斜面22と傾斜面24とが直接連結した三角形を構成してもよい。このときは、三角形の頂部が、第一方向D1における本体部8の端に該当する。
【0051】
また、切断工程S7を行わず、溶接に伴う切断のみでリード線を切断してもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…コイル部品、2,3…リード線、6,7…端子金具、8…本体、9…コイル、11,12…溶接部、13,14…主面、21,23…引出面、22,24…傾斜面、16…第一側面(第一方向における端)、31,41…基体片、32,42…溶接片、32a,42a…溶接面、32b,42b…裏面、34a,44a…接着面、34b,44b…実装面、50…圧力付与部(押圧された部分)、D1…第一方向、OE…外形寸法規定領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性体材料を含む圧粉体によって構成される本体部と、
前記本体部の内部に配置されるコイルと、
前記コイルから前記本体部の外側にそれぞれ引き出される一対のリード線と、
前記本体部の外側において前記リード線と接続される端子金具と、を備え、
前記リード線と前記端子金具とが溶接されることによって、溶接部が形成され、
一対の前記リード線は、いずれも前記コイルの軸線方向と直交する第一方向へ向かって引き出され、
前記本体部は、前記リード線が外側へ引き出された引出面を有し、
前記引出面は、前記本体部における前記第一方向の端よりも前記コイル側に配置されていると共に、前記リード線と垂直に交わっていることを特徴とするコイル部品。
【請求項2】
前記端子金具は、
前記本体部における前記軸線方向と交わる主面に沿って延び、前記本体部に接続される基体片と、
前記リード線に沿って延び、前記リード線と共に溶接される溶接片と、を有し、
前記基体片は、前記主面と接着される接着面、及び前記接着面の裏面側において外部の部品に実装される実装面を有し、
前記溶接片は、前記リード線と対向する溶接面を有することを特徴とする請求項1記載のコイル部品。
【請求項3】
前記溶接面は、前記溶接片における前記溶接面の裏面よりも、前記リード線を構成する材料に対する濡れ性が高いことを特徴とする請求項2記載のコイル部品。
【請求項4】
前記本体部は、前記第一方向の前記端と前記引出面との間に傾斜面を有し、
前記傾斜面は、前記第一方向に向かうに従って前記リード線から遠ざかるように傾斜していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のコイル部品。
【請求項5】
一対の前記リード線は、互いに広がるように前記本体部の外側へ向かって延びることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載のコイル部品。
【請求項6】
前記本体部は、外形寸法を規定する外形寸法規定領域を有しており、
前記溶接部は、前記外形寸法規定領域内に配置されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載のコイル部品。
【請求項7】
前記溶接部は、前記引出面から離間していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載のコイル部品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−243685(P2011−243685A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113184(P2010−113184)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】