説明

コイン送出装置

【課題】 ホッパやコイン回転駆動部材などの剛性を低くすることができて安価に製造することができるコイン送出装置を提供する。
【解決手段】 コイン送出装置10によれば、多数のコイン32を収容するためのホッパ16と、そのコイン16を厚み方向に通過させる複数のコイン穴62を有してそのホッパ16の底穴60を塞ぐように設けられ、そのコイン穴62を通過したコイン32を外周側へ送り出すために回転駆動されるコイン駆動部材52とが備えられ、そのホッパ16の内周面の底穴60の近傍に、そのホッパ16内で流動させられるコイン32を攪拌するための攪拌突起82、84が設けられていることから、ホッパ16内においてコイン32が溜まり易い部分に攪拌突起82、84が設けられていることになって高い攪拌効率が得られるので、攪拌突起82、84が比較的小さくでもコインが十分に攪拌され、剛性の低い安価なホッパを用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、偏平な円形板であるコインを連続的に送出することができるコイン送出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】両替機に用いられる硬貨、遊戯機械等に用いられるメダルやトークンなどの偏平な円形板であるコイン状部材(以下コインと称する)を連続的に送出するコイン送出装置が知られている。たとえば、特公平6−44305号公報に記載された装置がそれである。このような装置によれば、複数のコインを収容するためのバケットすなわちホッパと、そのコインを厚み方向に通過させるための複数のコイン穴を有してそのホッパの底穴を塞ぐように設けられ、そのコイン穴を通過したコインを外周側へ送り出すために回転駆動されるコイン駆動部材とが備えられ、そのホッパに収容されたコインが攪拌されつつ上記コイン穴を通過させられて連続的に送出される。
【0003】ところで、上記従来のコイン送出装置によれば、ホッパの内壁面に複数の攪拌用突起が形成されており、ホッパ内の大量のコインが攪拌されつつ安定的にコイン駆動部材のコイン穴内に差し入れられ、またホッパ内のコインが少なくなったときにおいてもホッパの内壁面に張りついた或いはもたれかかったコインがコイン駆動部材のコイン穴内に嵌まり込み易い姿勢すなわち略水平な姿勢に戻されて、コインの送出効率が高められる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しなしながら、上記従来のコイン送出装置によれば、必要な剛性を維持しつつ攪拌突起を設けるためにホッパの構造などを複雑にしなくてはならないため、部品価格が高くなるという不都合があった。たとえば、コイン回転駆動部材により回転させられるホッパ内の大量のコインに衝突してそれを攪拌するための攪拌用突起が受けるトルクは比較的大きなものであることから、その攪拌用突起が設けられるホッパの剛性は比較的大きなものが必要とされるとともに、その攪拌用突起が設けられることによりコイン回転駆動部材に必要とされる駆動トルクも比較的大きなものが必要とされて、その回転軸受けやコイン回転駆動部材を駆動するモータおよび減速機の容量やコイン回転駆動部材の剛性も大きなものとされるので、装置が大型且つ高価となるという不都合があったのである。
【0005】本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、ホッパやコイン回転駆動部材などの剛性を低くすることができて安価に製造することができるコイン送出装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、複数のコインを収容するためのホッパと、そのコインを厚み方向に通過させる複数のコイン穴を有して該ホッパの底穴を塞ぐように設けられ、そのコイン穴を通過したコインを外周側へ送り出すために回転駆動されるコイン駆動部材とを備え、そのホッパに収容されたコインを攪拌しつつ前記コイン穴を通過させて連続的に送出するコイン送出装置において、前記ホッパの内周面の前記底穴の近傍に、そのホッパ内で流動させられるコインを攪拌するための攪拌突起を設けたことにある。
【0007】
【発明の効果】このようにすれば、ホッパの内周面の前記底穴の近傍に、そのホッパ内で流動させられるコインを攪拌するための攪拌突起が設けられていることから、ホッパ内においてコインが溜まり易い部分に攪拌突起が設けられていることになって高い攪拌効率が得られるので、攪拌突起が比較的小さくでもコインが十分に攪拌され、剛性の低い安価なホッパを用いることができる。
【0008】
【発明の他の態様】ここで、好適には、前記ホッパの底穴およびそれを塞ぐコイン回転駆動部材は傾斜させられており、前記攪拌突起は、該傾斜させられた底穴の周縁部のうち低い側の領域に設けられたものである。このようにすれば、ホッパ内においてコインが溜まり易い部分に攪拌突起が設けられていることになって高い攪拌効率が得られるので、攪拌突起が比較的小さくでもコインが十分に攪拌され、一層剛性の低い安価なホッパを用いることができる。
【0009】また、好適には、前記攪拌突起は、前記ホッパ内でコイン回転駆動部材の回転方向に流動させられるコインの流動方向に交差する方向の長手状突起である。このようにすれば、コインに対して比較的高い攪拌効率が得られるので、攪拌突起が比較的小さくでもコインが十分に攪拌され、一層剛性の低い安価なホッパを用いることができる。
【0010】また、好適には、前記コイン穴のホッパ側開口の外周縁部に面取り部が設けられたものである。このようにすれば、コイン回転駆動部材の回転トルクを小さくできるので、コイン回転駆動部材の剛性、それを駆動する減速機およびモータを小さくすることができ、コイン送出装置が一層安価に構成され得る。
【0011】
【発明の好適な実施の形態】以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0012】図1は、本発明の一実施例のコイン送出装置10の側面を示している。このコイン送出装置10は、合成樹脂製或いは金属製の基台フレーム12と、その基台フレーム12の30度程度に傾斜した傾斜上面に固設された合成樹脂製或いは金属製の厚板状の案内部材14と、その案内部材14に取り付られた合成樹脂製の上端が開口した容器状(バケット状)のホッパ16とを備えている。上記傾斜させられた案内部材14の下側端部には取付フランジ18が設けられているとともに、その案内部材14の上側端部には1対の取付フック20が設けられており、ホッパ16に設けられた取付ピン22がその取付フック20に掛け止められた状態でそのホッパ16に設けられた固定部24に上記取付フランジ18の取付穴26を通して固定ボルト28が螺合されることにより、上記ホッパ16が案内部材14および基台フレーム12に固定されている。上記ホッパ16に設けられた固定部24にはたとえばインサート成形によってナット30が埋設されており、上記固定ボルト28が螺合されている。これにより、上記ホッパ16の樹脂射出成形に用いる成形型の構造が単純となる利点がある。因みに、従来のホッパは、作業性を考慮して上方から螺合する取付ねじを用いていたため、取付部が成形時において抜き方向とは異なる方向へ延びる形状とせざるを得ず、成形型が複雑となっていたのである。
【0013】図2は、ホッパ16を取り外して案内部材14に対して垂直な方向から見た、コイン回転駆動部材52の一部を切り欠いて示す平面図であり、図3は、図2のIII-III 視断面図である。図2および図3に示すように、上記案内部材14は、ホッパ16内に収容された円形板状の金属部材であるコイン32を案内するためのものであって、浅い3段の同心の段付穴である相対的に最小径の第1穴34、中間径の第2穴36、および大径の第3穴38がその上面に形成されている。上記第1穴34の底面40が案内すべきコイン32の一面に摺接する案内平面として機能し、第1穴34の内周面42がコイン32を周方向に案内する案内内周面として機能している。上記傾斜させられた案内部材14の側部の上側位置において、上記第1穴34、第2穴36、および第3穴38の内周面の一部が切り欠かれており、上記底面40と面一(つらいち)の溝底を有する送出溝44が傾斜した案内部材14の横方向すなわち水平方向に形成されている。
【0014】図2に示すように、上記案内部材14には、固定ローラ46および可動ローラ48がそれに垂直な方向に立設されている。固定ローラ46は、上記送出溝44内において、回転中心が内周面42の延長線よりも外周側に位置し且つ外周面がその延長線上に位置するように設けられている。この固定ローラ46は、コイン32との間の摩擦に起因する摩耗を防止して案内部材14の耐久性を高めるためのものであり、コイン32の案内内周面として機能する内周面42の案内内周面終端部に対応している。また、上記可動ローラ48は、内周面42の径方向すなわちコイン駆動部材52の径方向において、コイン32の外周側位置の移動軌跡すなわち内周面42の延長線よりも内周側に位置し、且つ固定ローラ46に対して接近離隔方向の移動可能に案内部材14に設けられるとともに、その固定ローラ46に接近する向きに付勢されている。すなわち、案内部材14の底面40の送出溝44の近傍には、上記可動ローラ48の移動を許容する周方向の長穴50が設けられており、その長穴50を通して立設された可動ローラ48は図示しないスプリングによって図2の左下方向へ付勢されている。
【0015】コイン駆動部材52は、ホッパ16内のコイン32を1個ずつ案内するために駆動する円盤状を成した部材であって、基台フレーム12の固定された電動モータ54および減速機56により図2の矢印方向へ連続的に回転駆動されるようになっている。上記コイン駆動部材52は、減速機56の出力軸58に連結されており、上記内周面42の曲率中心に位置し且つ底面40に垂直な軸心まわりに回転駆動される。このコイン駆動部材52は案内部材14の第2穴36内に回転可能に収容されており、前記ホッパ16の下端部は案内部材14の第3穴38内に嵌め入れられた状態で基台フレーム12に固定されているので、前記長穴50およびそれをを通して立設された可動ローラ48はそのコイン駆動部材52の下側に位置してそれにより覆われているとともに、そのコイン駆動部材52は傾斜した状態でホッパ16の底穴60を塞ぐように配置されている。
【0016】コイン駆動部材52は、その上面の内周部から回転軸心方向すなわち上方へ突き出すコーン状の隆起部61と、コイン32を厚み方向に通過させるための複数(本実施例では8個)のコイン穴62と、そのコイン穴62を通過したコイン32を駆動するために、そのコイン32に当接してコイン32を周方向且つ外周方向に向かう方向へ付勢するように、外周側に向かうほど反回転方向に向かうように傾斜させられた当接面64を備えて下面に形成された複数(本実施例では8個)の駆動突起66とを備えている。
【0017】上記コイン穴62は、コイン32の径よりも所定値だけ大径であって、コイン駆動部材52の厚み方向に貫通して形成されており、その上面の開口縁すなわちホッパ16側の全外周縁部には、コイン駆動部材52の回転駆動トルクを低減し且つホッパ16内のコイン32がコイン穴62内へ一層円滑に嵌まり込むようにするための上面面取り部68が形成されている。この上面面取り部68は、コイン穴62の中心を通るコイン駆動部材52の径方向の線とコイン穴62に中心を通るコイン駆動部材52の周方向の線とにより分割された4領域のうち、回転方向下流側且つコイン駆動部材52の外周側に位置する領域において他の領域よりも幅広く形成されている。
【0018】また、上記コイン穴62には、その内周縁(内周面)であってコイン駆動部材52の回転方向下流側部分から上流側に向かって突き出す張出部70と、コイン穴62の内周縁であって上記張出部70の反対側部分の下面側すなわち案内部材14側に形成された下面面取り部72とが形成されている。上記張出部70は、前記コイン穴62内においてコイン駆動部材52の下面側で案内部材14によって受けられたコイン32が複数枚(本実施例では2枚)重ねられた高さ以上の高い位置に形成されている。また、この張出部70は、図2に示すように、回転軸心方向からの平面視で三日月状に形成されている。この三日月状に形成された張出部70の中心位置は、コイン穴62の中心を通るコイン駆動部材52の径方向の線とコイン穴62に中心を通るコイン駆動部材52の周方向の線とにより分割された4領域の内、回転方向下流側且つコイン駆動部材52の内周側に位置する領域に設けられている。
【0019】上記のように張出部70が、コイン穴62内においてコイン駆動部材52の下面側で案内部材14によって受けられたコイン32が複数枚(本実施例では2枚)重ねられた高さ以上の高い位置に形成されていることから、コイン投入初期においてコイン32がコイン穴62内の最下位置へ落され易くなっている。たとえば張出部70がコイン32の一枚分の高さであるとするとコイン投入初期においてもコイン32の一端がその張出部70の上に載せられて傾斜させられた状態で落とし込まれるため、コイン32の傾斜が小さい分だけ落としこまれる確率が低くなり、コイン投入初期におけるコイン32のコイン穴62からの排出が円滑に行われない可能性があった。しかし、本実施例のように、張出部70がコイン32の2枚分以上の高さであると、コイン32の一端が張出部70の上に載せられて傾斜させられた状態で落とし込まれるときにその傾斜が大きくなるためコイン32が落とし込まれる確率が高められ、コイン投入初期におけるコイン32の排出が円滑となるのである。コイン32が落とし込まれた後は、図3において、コイン32' の位置への落とし込みには余裕時間があるために十分可能となるし、もし仮に可能でないとしても、最下位置のコイン32がコイン穴62から排出されれば、最下位置への落とし込みとなるので、コイン32は最下位置へ落とし込まれて、コイン32の排出が円滑に行われることになる。
【0020】図2では、コイン駆動部材52の一部が切り欠かれて示されており、斜線で示す部分はコイン駆動部材52の下面に一体的に設けられた駆動突起66を表すためにコイン駆動部材52の厚み方向の上側が切り欠かれた部分を示している。そのコイン駆動部材52の下面に形成された駆動突起66は、その先端径がコイン穴62の最外周径以下に設定されており、図4にも示すように、その当接面64は、コイン駆動部材52の径方向に対して傾斜して内周側に位置する第1当接面74と、その第1当接面74よりも大きく傾斜して外周側に位置する第2当接面76との連なりから構成されている。この第1当接面74の傾斜角は、内周面42に沿ってコイン32を案内するときにそのコイン32を軽く内周面42に向かって押圧できる程度の値に設定され、第2当接面76の傾斜角は、固定ローラ46と可動ローラ48とに当接したコイン32をそれら固定ローラ46および可動ローラ48を結ぶ線に対して直角方向の方向成分が大きくなるように設定されている。また、上記第1当接面74と第2当接面76とそれらの境界に位置する角(かど)78とは、案内されたコイン32が固定ローラ46および可動ローラ48に当接したときにその角78がコイン32に当接している形状に設定されている。
【0021】図4は、コイン32が駆動突起66により送られる状態を説明する図である。コイン32が内周面42に沿って案内される案内過程では、図4の実線および1点鎖線に示すコイン32aのように、専ら第1当接面74により押されることによって移動させられる。コイン32が内周面42の外側へ送出される送出過程では、図4の実線および2点鎖線に示すコイン32bのように、専ら第2当接面76により押されることによって、外周側へ向かう方向成分が案内過程よりも大きな推力で内周面42よりも外周側へ押し出されるようになっている。コイン32bが第2当接面76により押されるのは、そのコイン32bの中心が固定ローラ46および可動ローラ48を結ぶ線を越えるまでであり、その後は可動ローラ48の付勢力に基づいて所定の初速度が付与されて送出溝44内を外周側へ移動させられる。
【0022】上記可動ローラ48の高さおよび初期位置すなわちコイン32の当接時の位置は、誘導子を用いることなくコイン32の詰まりの発生しないように設定されている。すなわち、先ず、可動ローラ48の高さは、可動ローラ48とコイン駆動部材52の下面との間に対するコイン32の噛み込みを防止するために、コイン駆動部材52の下面に略接する程度の設定されている。次いで、可動ローラ48と駆動突起66との間にコイン32が噛み込まず、滑らかに外周側へ送出されるように、図4に示すようにコイン32および駆動突起66の接点aとコイン32および可動ローラ48の接点bとを結ぶ直線Lに対してコイン32の中心cが外周側に位置するように、可動ローラ48の位置および駆動突起66の形状が設定されている。また、可動ローラ48とコイン穴62との間にコイン32が噛み込むことすなわち詰まりの発生を防止するために、可動ローラ48の移動軌跡はコイン穴62の最外周径よりも外周側となるように、可動ローラ48の位置およびコイン穴62の位置が設定されている。
【0023】図5は前記ホッパ16を示す平面図であり、図6は図5のVI-VI 視断面図である。ホッパ16内には、大量に投入されたときのコイン32の荷重を支持してその荷重がコイン駆動部材52へ伝達されることを阻止するために、底穴60のうちの略半分を遮る大きさであってその穴60に中心に向かうほど低くなるように傾斜した状態で一体的に設けられた傾斜板80と、コイン駆動部材52の回転方向へ流動させられるコイン32を攪拌するための攪拌突起82とが設けられている。この攪拌突起82は、ホッパ16の内壁面すなわち内周面においてコイン32が溜まり易い部分である底穴60の近傍の領域であって、その傾斜させられた底穴60の周縁部のうち最も低い部分を周方向に挟んでコイン穴62の2つ分に相当する所定距離離隔した2位置すなわちコイン駆動部材52の回転軸心から見て最も低い部分から45°ずつ開いた位置に1対設けられている。この1対の攪拌突起82は、底穴60の周縁部のうち最も低い部分を周方向に挟んで所定距離離隔した2位置に設けられているので、その2位置の間に位置するコイン32がコイン駆動部材52のコイン穴62内に落とし込み易くされ、また、ホッパ16の深さ方向すなわちコインの流動方向に交差する方向において長手状となるように略一定厚みで形成されて成形時の抜きが容易とされ、金型コストが軽減されている。
【0024】図7乃至図9は、ホッパ16内に設けられた他の攪拌突起84を説明する図であって、図7は平面図、図8は図7のVIII-VIII 視断面図、図9はIX-IX 視断面図である。本実施例の攪拌突起84は、前述の攪拌突起82と同様に、コイン駆動部材52の回転方向へ流動させられるコイン32を攪拌するものであり、ホッパ16の内壁面すなわち内周面においてコイン32が最も溜まり易い部分である底穴60の近傍の領域であって、その傾斜させられた底穴60の周縁部のうち最も低い側の部分に設けられている。この攪拌突起84は、ホッパ16の深さ方向すなわちコインの流動方向に交差する方向において長手状となるように形成されており、外周壁の一部が内側へ逆V字状に曲げられた状態で形成され、成形時の抜きが容易とされ、金型コストが軽減されている。
【0025】以上のように構成されたコイン送出装置10によれば、多数のコイン32を収容するためのホッパ16と、そのコイン16を厚み方向に通過させる複数のコイン穴62を有してそのホッパ16の底穴60を塞ぐように設けられ、そのコイン穴62を通過したコイン32を外周側へ送り出すために回転駆動されるコイン駆動部材52とが備えられ、そのホッパ16の内周面の底穴60の近傍に、そのホッパ16内で流動させられるコイン32を攪拌するための攪拌突起82、84が設けられていることから、ホッパ16内においてコイン32が溜まり易い部分に攪拌突起82、84が設けられていることになって高い攪拌効率が得られるので、攪拌突起82、84が比較的小さくでもコインが十分に攪拌され、剛性の低い安価なホッパを用いることができる。
【0026】また、本実施例によれば、ホッパ16の底穴60およびそれを塞ぐコイン回転駆動部材52は水平面に対して傾斜させられており、上記攪拌突起82、84は、その傾斜させられた底穴60の周縁部のうち低い側の領域に設けられたものであることから、ホッパ16内においてコイン32が溜まり易い部分に攪拌突起82、84が設けられていることになって高い攪拌効率が得られるので、攪拌突起82、84が比較的小さくでもコイン32が十分に攪拌され、一層剛性の低い安価なホッパ16を用いることができる。
【0027】また、本実施例によれば、攪拌突起82、84は、ホッパ16内でコイン回転駆動部材52の回転方向に流動させられるコイン32の流動方向に交差する方向の長手状突起であることから、コイン32に対して比較的高い攪拌効率が得られるので、攪拌突起82、84が比較的小さくでもコインが十分に攪拌され、一層剛性の低い安価なホッパ16を用いることができる。
【0028】また、本実施例によれば、コイン穴62のホッパ15側開口の外周縁部に上面面取り部68が設けられたものであることから、コイン回転駆動部材52の回転トルクを小さくできるので、コイン回転駆動部材52の剛性、それを駆動する減速機56および電動モータ54を小さくすることができ、コイン送出装置10が一層安価に構成され得る。
【0029】以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は他の態様においても適用される。
【0030】たとえば、前述の実施例の攪拌突起82、84は、ホッパ16の深さ方向において長手状を成していたが、必ずしも長手状でなくてもよく、たとえば複数個の突起が深さ方向に配列されていてもよい。
【0031】また、前述の実施例の張出部70は、その中心がコイン穴62の中心を通るコイン駆動部材52の周方向の線上の位置、或いはその位置よりも外周側の位置となるように形成されてもよい。
【0032】また、前述の実施例においては、固定ローラ46が案内内周面終端部として案内部材14に固設されていたが、固定ピン、固定カムなどの他の部材が設けられていても差し支えない。
【0033】また、前述の実施例では、駆動突起66の当接面64は、角度の異なる直線状の第1当接面74および第2当接面76から構成されていたが、回転方向下流側かつ外周側へ凸となる凸曲線であっても差し支えない。
【0034】また、前述の実施例の可動ローラ48は必ずしもローラである必要はなく、可動ピン或いは可動ブロックなどであってもよい。
【0035】また、前述の実施例では、ホッパ16に貯留されたコイン32がコイン駆動部材52を通して案内されたときに可動ローラ50、固定ローラ46、および駆動突起66によって外周側へ連続的に送出されるように構成されていたが、ホッパ16以外の他の装置から導出されたコイン32を可動ローラ50、固定ローラ46、および駆動突起66によって外周側へ連続的に送出するものであってもよい。
【0036】以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のコイン送出装置の構成を説明するために一部を切り欠いた側面図である。
【図2】図1のコイン送出装置においてホッパを取り外して示す平面図である。
【図3】図2の III-III視断面図である。
【図4】図1のコイン送出装置においてコインの案内および外周側への送出作用を説明する図である。
【図5】図1のコイン送出装置のホッパを説明する平面図である。
【図6】ホッパ内の攪拌突起を説明するための図5のVI-VI 視断面図である。
【図7】他の例の攪拌突起を説明するためのホッパの平面図である。
【図8】図5のVIII-VIII 視断面図である。
【図9】図5の IX-IX視断面図である。
【符号の説明】
10:コイン送出装置
14:案内部材
16:ホッパ
32:コイン
52:コイン駆動部材
60:底穴
72:下面面取り部(面取り部)
82:攪拌突起
84:攪拌突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数のコインを収容するためのホッパと、該コインを厚み方向に通過させる複数のコイン穴を有して該ホッパの底穴を塞ぐように設けられ、該コイン穴を通過したコインを外周側へ送り出すために回転駆動されるコイン駆動部材とを備え、該ホッパに収容されたコインを攪拌しつつ前記コイン穴を通過させて連続的に送出するコイン送出装置において、前記ホッパの内周面の前記底穴の近傍に、該ホッパ内で流動させられるコインを攪拌するための攪拌突起を設けたことを特徴とするコイン送出装置。
【請求項2】 前記ホッパの底穴およびそれを塞ぐコイン回転駆動部材は傾斜させられており、前記攪拌突起は、該傾斜させられた底穴の周縁部のうち低い側の領域に設けられたものである請求項1のコイン送出装置。
【請求項3】 前記攪拌突起は、前記ホッパ内でコイン回転駆動部材の回転方向に流動させられるコインの流動方向に交差する方向の長手状突起である請求項1または2のコイン送出装置。
【請求項4】 前記コイン穴のホッパ側開口の外周縁部に面取り部が設けられたものである請求項1乃至3のいずれかのコイン送出装置。

【図1】
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【図3】
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【図6】
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【図9】
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【図2】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図5】
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【公開番号】特開2002−123853(P2002−123853A)
【公開日】平成14年4月26日(2002.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−314248(P2000−314248)
【出願日】平成12年10月13日(2000.10.13)
【出願人】(000100827)アイシン機工株式会社 (122)
【Fターム(参考)】