説明

コタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法

【課題】コタラヒンブツに含有される有効成分を該コタラヒンブツから非常に効率良く多量に抽出することが可能であり、その上、抽出された有効成分は体内に非常に吸収され易い状態とすることができる為、コタラヒンブツに含有される有効成分による種々の秀れた効能、即ち、血糖値上昇抑制作用、抗肥満作用,肝臓保護作用,抗酸化作用,抗腫瘍作用等が従来の発酵されないコタラヒンブツに比し極めて良好に発揮できるこれまでにないコタラヒンブツを含有した健康食品及びその製造方法を提供するものである。
【解決手段】コタラヒンブツを、少なくとも酵母菌を含む液中で発酵させ、これにより得た発酵液を健康食品とすることを特徴とするコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コタラヒンブツを含有した健康食品及びコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コタラヒンブツ(学名:サラシア・レティキュラータ(Salacia reticulata))はスリランカに植生するトチノキ科のつる性植物で、血糖値上昇抑制作用、肥満抑制作用、肝臓保護作用等の薬効作用を有することで知られている。
【0003】
即ち、コタラヒンブツはサラシノール(Salacinol),コタラノール(Kotalanol)及びポリフェノールをはじめとする種々の有効成分を含有し、これら有効成分によって、血糖値上昇抑制作用、抗肥満作用,肝臓保護作用,抗酸化作用,抗腫瘍作用等の効能が発揮される。
【0004】
【特許文献1】特開2003−267881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このコタラヒンブツを服用する場合には、通常、コタラヒンブツを水に浸漬して有効成分をある程度抽出するか、コタラヒンブツを煎じて有効成分をある程度抽出するかして抽出液を得、これを服用している(上記特許文献1参照。)。
【0006】
しかしながら、コタラヒンブツを水に浸漬したり煎じたりするだけでは該コタラヒンブツ中の有効成分を十分抽出できているとは言い難く、また、前述の抽出液を飲用しても、抽出液中の有効成分を体内に効率良く吸収できているとは言い難い。
【0007】
これは、コタラヒンブツの細胞内若しくは細胞膜内に存在する有効成分が、該コタラヒンブツを単に(例えば大気圧状態下で)水に浸漬したり煎じたりするだけでは効率良く抽出することができないためと考えられる。
【0008】
また、コタラヒンブツからある程度抽出された有効成分は高分子状態となっており、これにより、前記抽出液を飲用しても例えば腸管から体内に効率良く吸収できない為と考えられる。
【0009】
従って、従来では、コタラヒンブツに含有される種々の有効成分による秀れた効能が十分に発揮されてはいない。
【0010】
本発明は、コタラヒンブツに含有される有効成分を該コタラヒンブツから非常に効率良く多量に抽出することが可能であり、その上、抽出された有効成分は体内に非常に吸収され易い状態とすることができる為、コタラヒンブツに含有される有効成分による種々の秀れた効能、即ち、血糖値上昇抑制作用、抗肥満作用,肝臓保護作用,抗酸化作用,抗腫瘍作用等が従来の発酵されないコタラヒンブツに比し極めて良好に発揮される、これまでにないコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の要旨を説明する。
【0012】
コタラヒンブツを、少なくとも酵母菌を含む液中で発酵させ、これにより得た発酵液を健康食品とすることを特徴とするコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法に係るものである。
【0013】
また、コタラヒンブツを、少なくとも酵母菌を含む液中で発酵させ、これにより得た発酵後の発酵コタラヒンブツを健康食品とすることを特徴とするコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法に係るものである。
【0014】
また、コタラヒンブツを、少なくとも酵母菌を含む液中で発酵させ、これにより得た発酵後の発酵コタラヒンブツから抽出された抽出物を健康食品とすることを特徴とするコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法に係るものである。
【0015】
また、請求項1〜3いずれか1項に記載のコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法において、前記発酵液、発酵後の発酵コタラヒンブツ若しくは発酵後の発酵コタラヒンブツから抽出された抽出物を発酵乾燥させ、水分量を所定の量まで減少させて健康食品とすることを特徴とするコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法に係るものである。
【0016】
また、請求項1〜3いずれか1項に記載のコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法において、前記発酵液、発酵後の発酵コタラヒンブツ若しくは発酵後の発酵コタラヒンブツから抽出された抽出物をスプレー乾燥若しくは風乾して粉末状若しくは顆粒状等の乾燥物とし、この粉末状若しくは顆粒状等の乾燥物を健康食品とすることを特徴とするコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法に係るものである。
【0017】
また、コタラヒンブツを、少なくとも酵母菌を含む液中で発酵させ、これにより得た発酵液,発酵後の発酵コタラヒンブツ,及び発酵後の発酵コタラヒンブツから抽出された抽出物のいずれか2種類若しくは全てを混合して健康食品とすることを特徴とするコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法に係るものである。
【0018】
また、請求項6記載のコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法において、前記発酵液、発酵後の発酵コタラヒンブツ若しくは発酵後の発酵コタラヒンブツから抽出された抽出物を発酵乾燥させ、水分量を所定の量まで減少させて健康食品とすることを特徴とするコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法に係るものである。
【0019】
また、請求項6記載のコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法において、前記発酵液、発酵後の発酵コタラヒンブツ若しくは発酵後の発酵コタラヒンブツから抽出された抽出物をスプレー乾燥若しくは風乾して粉末状若しくは顆粒状等の乾燥物とし、この粉末状若しくは顆粒状等の乾燥物を健康食品とすることを特徴とするコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法に係るものである。
【0020】
また、請求項5,8いずれか1項に記載のコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法において、前記発酵液、発酵後の発酵コタラヒンブツ若しくは発酵後の発酵コタラヒンブツから抽出された抽出物にデキストリン若しくはサイクロデキストリンを混合した後、スプレー乾燥若しくは風乾を行うことを特徴とするコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法に係るものである。
【0021】
また、請求項1〜9いずれか1項に記載のコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法において、前記液中に乳酸菌が含まれていることを特徴とするコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法に係るものである。
【0022】
また、請求項10記載のコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法において、前記液は共棲培養液であることを特徴とするコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法に係るものである。
【0023】
また、請求項1〜11いずれか1項に記載のコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法において、前記液中に糸状菌が含まれていることを特徴とするコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法に係るものである。
【0024】
また、請求項1〜12いずれか1項に記載のコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法において、前記液中に野菜及び果物の発酵液を混合したことを特徴とする健康食品の製造方法に係るものである。
【0025】
また、コタラヒンブツを、酵母菌、乳酸菌及び糸状菌を含む菌類と野菜及び果物の発酵液を混合した液中で発酵させ、続いて、このコタラヒンブツを含む液を濾過して固形物と濾過液とを得、続いて、この濾過液を再度濾過して第一エキス分を得るとともに前記固形物からエキスを抽出して第二エキス分を得、続いて、この第二エキス分及び前記第一エキス分を混合した混合エキス分をスプレー乾燥して乾燥物を得、この乾燥物を健康食品とすることを特徴とするコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法に係るものである。
【0026】
また、請求項14記載のコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法において、前記第二エキス分は、前記固形物に加水後、大気圧下で75〜95℃程度に加熱し、1.5〜2.5時間程度保持する温水抽出により得られるものであることを特徴とするコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法に係るものである。
【0027】
また、請求項14,15いずれか1項に記載のコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法において、前記混合エキス分にデキストリン若しくはサイクロデキストリンを混合した後、スプレー乾燥を行うことを特徴とするコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法に係るものである。
【0028】
また、請求項1〜16いずれか1項に記載のコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法において、前記液中での発酵は24〜72時間行うことを特徴とするコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法に係るものである。
【0029】
また、請求項1〜17いずれか1項に記載のコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法において、前記液中の水分を20〜70%程度に調整して発酵を行うことを特徴とするコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法に係るものである。
【0030】
また、請求項1〜18いずれか1項に記載の健康食品の製造方法において、前記健康食品は、パン、炊飯米、米菓、氷菓若しくは飲料であることを特徴とするコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法に係るものである。
【発明の効果】
【0031】
本発明は上述のように構成したから、コタラヒンブツに含有される有効成分を該コタラヒンブツから非常に効率良く多量に抽出することが可能であり、その上、抽出された有効成分は体内に非常に吸収され易い状態とすることができる為、コタラヒンブツに含有される有効成分による種々の秀れた効能、即ち、血糖値上昇抑制作用、抗肥満作用,肝臓保護作用,抗酸化作用,抗腫瘍作用等が従来の発酵されないコタラヒンブツに比し極めて良好に発揮されるこれまでにないコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
好適と考える本発明の実施形態を説明する。
【0033】
コタラヒンブツを、酵母により発酵させる。この発酵によってコタラヒンブツの細胞壁若しくは細胞膜が破壊されることにより、該コタラヒンブツの細胞内若しくは細胞膜内に含有されている有効成分が外部に抽出される。
【0034】
即ち、コタラヒンブツを発酵させずに単に水に含浸したり煎じたりするだけの場合に比して、非常に多量の有効成を効率良く該コタラヒンブツから抽出することができる。
【0035】
その上、コタラヒンブツの細胞内若しくは細胞膜内の有効成分は、前記発酵作用によって低分子化(非クラスタ化)され、これにより、該有効成分は服用することで例えば腸管から効率良く体内に吸収されることになる。
【0036】
これにより、コタラヒンブツから該コタラヒンブツの有効成分を効率良く多量に抽出することができ、更に該有効成分を体内に効率良く吸収できるから秀れた種々の効能が極めて良好に発揮される。
【0037】
また、コタラヒンブツの抽出エキスを発酵させるのではなく、コタラヒンブツそのものを発酵させる為、極めて作業性が良い。
【0038】
しかも、コタラヒンブツの発酵に乳酸菌も用いた場合、腸内において該腸内に存在する糖類を乳酸に分解する作用を発揮し、これにより、腸内を弱酸性に保って例えば病原菌や腐敗菌等の悪玉菌(ウェルシュ菌等)の増殖を抑え、善玉菌(ビフィズス菌等)が活発に活動できる状態、即ち、乳酸菌によって腸内に作り出された乳酸や酢酸等の有機酸により腸が刺激されて該腸のぜん動運動が活発となる状態を作り出し得る為、コタラヒンブツの有効成分が一層良好に吸収されることになる。
【0039】
よって、体内に吸収され易い低分子状態となった多量のコタラヒンブツの有効成分は、消化吸収の働きが非常に活発となった例えば腸から極めて効率良く体内に吸収されることになる。
【0040】
更に、コタラヒンブツの発酵に糸状菌も用いた場合、この糸状菌がコタラヒンブツのセルロース等の繊維素をグルコースに分解し、このグルコースを基質として酵母菌がアルコールを生成するから、酵母菌単独の場合に比し、液中のアルコール生成が促進されることになる。そして、このアルコールの作用により、コタラヒンブツの細胞内若しくは細胞膜内に含有されている有効成分の抽出効率を一層向上させることができる。
【0041】
尚、本発明における液中のアルコール濃度は、発酵後72時間で2.5〜3.0%程度含有されるようにすることが好ましい。
【0042】
また、本発明において、前記液中でコタラヒンブツを発酵させて得られた発酵液、発酵後の発酵コタラヒンブツ若しくは発酵後の発酵コタラヒンブツから抽出された抽出物のうち、発酵液及び発酵後の発酵コタラヒンブツから抽出された抽出物は、スプレー乾燥により乾燥させると、極めて短時間で効率よく乾燥物となり、乾燥物は熱変性がなく、よって、コタラヒンブツの有効成分の分解を可及的に防止できるため好ましい。特に、このスプレー乾燥によれば、コタラヒンブツに多く含まれるポリフェノール等の色素の分解を抑制する効果が高い。
【0043】
また、このようにスプレー乾燥により得られる乾燥物は、粒径が極めて微細で、且つ粒子形状が均一に整っており、流動性や分散性に優れている。
【0044】
また、前記発酵後の発酵コタラヒンブツは風乾させることが好ましい。
【0045】
更に、スプレー乾燥や風乾を施す前に、前記液中でコタラヒンブツを発酵させて得られた発酵液、発酵後の発酵コタラヒンブツ若しくは発酵後の発酵コタラヒンブツから抽出された抽出物にデキストリン若しくはサイクロデキストリンを混合することで、コタラヒンブツの有する独特なにおいを閉じ込めて服用し易い状態にすることができる。
【0046】
また、デキストリン若しくはサイクロデキストリンを混合することで、このデキストリン若しくはサイクロデキストリンを賦形剤として造粒や打錠による錠剤化も容易に行うことができることになる。
【0047】
また、本発明において、前記液中での発酵時間は24〜72時間とすると、該コタラヒンブツの有効成分が外部に良好に抽出されるに関わらず、製品化した場合の濁りの原因となる該コタラヒンブツの過剰な分解(繊維化)を防止できるため好ましい。
【0048】
尚、前記液中での発酵時間が24時間より短いと、コタラヒンブツの有効成分を十分抽出できないため好ましくなく、また、前記液中での発酵時間が72時間より長いとコタラヒンブツの過剰な分解(繊維化)が生じてしまい、更に、ポリフェノール等の色素成分の微生物分解が生じるため好ましくない。
【0049】
本発明は上述のように構成したから、コタラヒンブツの効能、即ち、サラシノール(Salacinol),コタラノール(Kotalanol)及びコタラヒンブツに特に多いポリフェノール等の色素をはじめとする種々の有効成分による血糖値上昇抑制作用、抗肥満作用,肝臓保護作用,抗酸化作用,抗腫瘍作用等が従来の発酵されないコタラヒンブツに比し極めて良好に発揮されるこれまでにないコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法となる。
【実施例】
【0050】
本発明の実施例を説明する。
【0051】
原料となるコタラヒンブツ(例えば1kg)と、このコタラヒンブツを発酵させる液(例えば3.46L)を混合する。
【0052】
原料となるコタラヒンブツは、コタラヒンブツの根と葉を除いた部分(所謂、コタラヒンブツ原木)である。
【0053】
本実施例は、一辺が1cm以下となるように粉砕したコタラヒンブツを採用した。
【0054】
このように粉砕コタラヒンブツを採用することで、後述するコタラヒンブツの発酵を良好に進め、該コタラヒンブツからの有効成分の抽出効率を向上させることができる。
【0055】
本実施例は、コタラヒンブツを発酵させる液として少なくとも酵母菌を含む液を採用している。具体的には、この酵母菌を含む液に更に、乳酸菌、糸状菌及び放線菌とともに野菜及び果物の発酵液を混合した共棲培養液を採用している。
【0056】
先ず、前記野菜及び果物の発酵液の製造工程について説明する。
【0057】
野菜、果物の発酵液は、野菜及び果物を所定の大きさ(なるべく均一な大きさ)に切断し、両者を混在せしめ、室温(約20〜30℃)で所定期間(約2〜3週間)放置する。
【0058】
野菜は、モヤシ,キュウリ,ニンジン,キャベツ,ゴボウ,タマネギ,レンコン,ジャガイモ,ダイコン,ホウレンソウ,トマト,小松菜,ブロッコリー,パセリ等を採用する。
【0059】
果物は、パイナップル,パパイヤ,リンゴ,レモン,オレンジ,キウイフルーツ、その他の適宜な果物を採用する。
【0060】
前記所定期間放置により、野菜と果物との混合物には、先ず、野菜と果物に付着していた天然の酵母菌が繁殖して酵母発酵を始め、しばらくしてから、野菜と果物に付着していた天然の乳酸菌が繁殖して、酵母発酵と同時に乳酸発酵が進行する。
【0061】
本実施例は、もともと野菜及び果物に付着している野菜及び果物の発酵能力に秀れた天然の酵母菌及び乳酸菌の繁殖によって、例えば、人為的に培養された酵母菌及び乳酸菌若しくは空気中の酵母菌及び乳酸菌による酵母発酵や乳酸発酵を行う場合に比し、野菜及び果物の発酵を良好に進めることができる。
【0062】
また、この野菜及び果物の発酵を更に良好に行う為、前記野菜と果物とに糖類を混合する。
【0063】
糖類は、ショ糖,オリゴトース,果糖,ブドウ糖,水飴,蜂蜜,黒糖等を採用する。
【0064】
また、ブドウ糖や水飴、乳酸菌の繁殖を促進する作用を発揮する酵素ブドウ糖(酵素処理されたブドウ糖)、若しくは乳酸菌の繁殖を適当な繁殖度合いに抑制する作用と後で混合するコタラヒンブツの酸化を防止する作用を発揮する酵素水飴(酵素処理された水飴)を採用するとより好ましい。尚、乳酸菌の繁殖を良好に行う為には、オリゴトースを主体とすると良い。
【0065】
続いて、発酵させた野菜及び果物の混合物をプレス濾過し、固形分を除去して液状の発酵液(野菜及び果物の発酵液)を得る。
【0066】
尚、本実施例以外に、前記野菜及び果物の発酵液に、野草の抽出物を混合しても良い。その場合、野草は、薬効成分を有する野草、例えば、ドクダミ,オオバコ,ハト麦,スギナ,ハブソウ,ヨモギ,カンゾウ,クマザサ,ニンドウ,クユ葉,オトギリソウ等を主に採用する。
【0067】
また、薬効成分を有するその他の野草、カワラケツメイ,カキドウシ,キダチアロエ,クユ子,桂皮,エゾウコギ,タンポポ,ツユクサ,ツルナ,ナンテン葉,松葉,マタタビ(木),山イモ,ウコギ,ウコン,イチョウ葉,アカザ,アカメガシワ,アマチャズル,アマドコロ等を多数混合した方が様々な薬効を発揮できる。
【0068】
抽出処理は、野草を熱湯で煮て野草中に含まれる薬効成分を熱湯中に抽出することで抽出物を得る煮出し処理、若しくは、野草を糖溶液に浸漬して野草中に含まれる薬効成分を浸透圧により糖溶液中に抽出することで抽出物を得る浸糖圧処理のいずれを採用しても良い。また、煮出し処理する場合には、熱湯中に糖類を混合した方が良い。得られた液状の抽出物は、前記野菜及び果物の発酵液と混合する。
【0069】
また、野草の抽出物以外にも、昆布,根昆布,ワカメ等の海草やシイタケ,マイタケ等のキノコ類を前記野菜及び果物の発酵液と混合することで、他の様々な薬効成分を添加したり、味覚を向上させたりしても良く、前記キノコ類に含まれるβ−グルカン、海草が酵母発酵されることで生成されるβ−グルカンは様々な健康向上作用を有する。
【0070】
次に、前記野菜及び果物の発酵液に更に糖類、酵母菌、乳酸菌、糸状菌及び放線菌を混入する工程について説明する。
【0071】
前記糖類は、前述の野菜及び果物の発酵液の製造工程と同様のものを採用する。
【0072】
また、糖類は、液中に35〜55度となるように加える。糖度を35〜55度とすることで、酵母菌や乳酸菌等の菌類を活動し易い状態にできる。
【0073】
前記酵母菌としては、サッカロマイセス・セレビシェや市販の3〜5種類のイースト酵母を適宜採用する。
【0074】
尚、前記イースト酵母は、発酵のスターターとして作用させて、液中の雑菌汚染を防止する。即ち、液中の糖類をスターターとなるイースト酵母が資化して液中に微弱なアルコールを生成させることで、この液中に雑菌が繁殖したりすることを防止できる。
【0075】
前記乳酸菌としては、有胞子乳酸菌、例えばプランタルム,フェカリス,ビフィズス,ブルガリア、サーモフィラス及びアシドフィラス等を適宜採用する。
【0076】
前記糸状菌としては、コタラヒンブツ葉のセルロース等の繊維素をグルコースに分解し得るセルラーゼ生産菌、例えば、Aspergillus属やTrichoderma属等の糸状菌を適宜採用する。
【0077】
前記放線菌としては、コタラヒンブツ葉のセルロース等の繊維素をグルコースに分解し得るセルラーゼ生産菌、例えば、Streptomyces属等の放線菌を適宜採用する。
【0078】
更に、本実施例は、液中に、土壌中から分離して得られた糸状菌、酵母菌、乳酸菌及び放線菌を含む有用菌(例えば52種類の有用菌類)を混入しても良い。
【0079】
尚、本実施例以外にも、前記菌類を添加した後の液を、室温(約20〜30℃)で所定期間(6〜8カ月)放置し、酵母菌、乳酸菌、糸状菌及び放線菌の培養(酵母発酵及び乳酸発酵を含む)を行い、発酵及び熟成した液としても良く、この発酵及び熟成の際にも、先ず酵母発酵が始まり、この酵母発酵がある程度進んでから乳酸発酵が始まり、また、この乳酸発酵の際に酵母発酵も同時に進行することは前述の通りであるが、更に、乳酸発酵と酵母発酵と共に、糸状菌及び放線菌の培養(繁殖)がなされる。
【0080】
尚、乳酸発酵が進行していくと、生成される乳酸によってpHが低下し、酵母発酵の進行速度が徐々に低下していく。また、糖度も上昇し、50〜55度程度となる。
【0081】
次に、前記液とコタラヒンブツとを混合してコタラヒンブツを発酵させるコタラヒンブツ発酵工程について説明する。
【0082】
前記液中にコタラヒンブツを投入し、コタラヒンブツが前記液中に浸漬した状態とし、16〜28℃程度の室温下で24〜72時間発酵を行う。
【0083】
尚、液中での発酵時間が24時間より短いと、コタラヒンブツの有効成分を十分抽出できないため好ましくなく、また、液中での発酵時間が72時間より長いとコタラヒンブツの過剰な分解(繊維化)と、ポリフェノール等の色素成分の微生物分解が生じるため好ましくない。
【0084】
この発酵の際、酵母菌及び糸状菌のはたらきにより液中にアルコールが生成するが、このアルコールの存在下でコタラヒンブツの細胞内若しくは細胞膜内に含有されている有効成分が効率良く抽出される。
【0085】
このアルコールの生成は、例えば発酵後72時間で2.5〜3.0%程度の範囲となるようにすると良い。
【0086】
尚、コタラヒンブツの発酵工程において、前記液中のpHを2.5〜4程度にして発酵を行うことで、雑菌の繁殖や腐敗による発酵の阻害を防止できる。
【0087】
また、コタラヒンブツの発酵工程において、前記液に適宜水を加えても良い。水分を20〜70%程度に調整した液中でコタラヒンブツの発酵を行うことで、コタラヒンブツの発酵が良好に進み、且つこの液中に有効成分を良好に溶出させることができる。
【0088】
また、コタラヒンブツを投入する前記液中に更にイースト酵母を加えることで、コタラヒンブツの発酵を一層効率的に行うことができる。
【0089】
次に、発酵後のコタラヒンブツを含む液を濾過してエキス分を抽出する工程について説明する。
【0090】
前記発酵後のコタラヒンブツを含む液を遠心分離や濾過等の適宜な分離手段によって、固形物と濾過液とに分離する。
【0091】
前記固形物には主に発酵後の発酵コタラヒンブツが含まれており、この固形物の3〜4倍重量の加水を行い、大気圧下で75℃〜95℃となるまで加熱してこの温度をおよそ1.5時間〜2.5時間保持する温水抽出により、前記発酵コタラヒンブツに残存しているミネラル及び水溶性食物繊維をはじめとする種々の有効成分を抽出する。この際、95℃で2時間抽出することが最も好ましい。
【0092】
大気圧下での温水抽出を行うのは、コタラヒンブツに含まれる抗酸化酵素が破壊されたり若しくは活性を失うことを防止しつつ、種々の有効成分を効率良く抽出する為である。
【0093】
温水抽出後、遠心分離や濾過等の適宜な分離手段によって、更に、抽出後のコタラヒンブツ残渣と第一エキス分(コタラヒンブツ抽出エキス分)とを固液分離する。
【0094】
尚、本実施例以外にも、前記第一エキス分を抽出する際に水の代わりにアルコールを用いても良い。
【0095】
また、前記濾過液は、遠心分離や濾過等の適宜な分離手段によって、菌体やその他の挟雑物とを分離した第ニエキス分とする。
【0096】
前記第一エキス分と第二エキス分とを混合して混合エキス分を得る。
【0097】
次に、前記混合エキス分を乾燥する工程について説明する。
【0098】
本実施例は、前記混合エキス分にデキストリン若しくはサイクロデキストリン等の環状オリゴ糖を混合した後、スプレー乾燥し、粉末状や顆粒状等の乾燥物とする。
【0099】
このデキストリン若しくはサイクロデキストリン等の環状オリゴ糖は、においを吸収してその内部に閉じ込める性質を有し、これにより、第一及び第二エキス分が有する独特なにおいを閉じ込めて服用し易い状態にできる。
【0100】
また、本実施例は、前記混合エキス分をスプレー乾燥により極めて短時間で乾燥させるため、極めて短時間で効率よく乾燥物となり、乾燥物の熱変性がなく、よって、コタラヒンブツの有効成分の分解を可及的に防止できる。特に、このスプレー乾燥によれば、ポリフェノール色素等の分解を抑制する効果が高く、鮮やかなワインレッドの乾燥物を得ることができる。
【0101】
また、スプレー乾燥により得られる乾燥物は、粒径が極めて微細で、且つ粒子形状が均一に整っており、流動性や分散性に優れている。
【0102】
尚、本実施例は、混合エキス分のスプレー乾燥と同時にデキストリン若しくはサイクロデキストリン等の環状オリゴ糖を吹き付けしながら乾燥物としても良い。
【0103】
前記乾燥物は135℃で15〜20秒間保持して殺菌処理し、製品とする。
【0104】
また、本実施例の乾燥物は、前記デキストリン若しくはサイクロデキストリンを賦形剤として利用し、顆粒、打錠、カプセル化させても良く、その場合、手軽に服用できる製品となる。
【0105】
尚、本実施例は、前記第一エキス分、前記第二エキス分若しくはこの第二エキス分を得る前の菌体やその他の挟雑物を含む濾過液とを別々にスプレー乾燥して乾燥物を得、これを適宜混合しても良い。
【0106】
尚、本実施例は、前記スプレー乾燥の代わりに単に風乾による乾燥を行っても良い。
【0107】
また、前記風乾により、前記第一エキス分を抽出する前の固形物をそのまま風乾して乾燥物としても良い。
【0108】
また、発酵後の発酵コタラヒンブツを含む前記液や、前記濾過液の発酵を継続させながら乾燥(以下、発酵乾燥という。)させて水分量を所定の量まで減少させても良い。
【0109】
具体的には、前記液や前記濾過液の水分量がおよそ5.0%(重量)となるまで発酵乾燥を行う。
【0110】
この発酵乾燥は、25℃〜35℃で風乾や除湿乾燥等により24時間〜38時間行う。
【0111】
発酵乾燥を25℃〜35℃で風乾や除湿乾燥により行うのは、酵母菌や乳酸菌等の菌類が熱に弱いからである(乾燥温度が高いと、酵母菌や乳酸菌等の菌類が熱分解されてしまう。)。また、風乾する場合には、低風力で行う。
【0112】
発酵乾燥させた液や濾過液を粉末化して殺菌処理する。
【0113】
この殺菌処理は、粉末中の有効成分が分解されたり活性を失ったりすることのない範囲内において、該粉末を高温高圧処理することにより行う。
【0114】
尚、殺菌後の粉末に、サイクロデキストリン等の環状オリゴ糖を加えて、製品化すると、コタラヒンブツが有する独特なにおいを閉じ込めて服用し易い状態となる。また、得られた粉末を顆粒、打錠、カプセル化させても良い。
【0115】
また、本実施例は、共棲培養液を用いずに、酵母菌を単独で使用してコタラヒンブツを発酵させても良い。その場合、酵母菌と糖類とを水に懸濁して得た液中にコタラヒンブツを浸漬して、16〜28℃程度の室温下で24〜72時間コタラヒンブツの発酵を行っても良い。この場合の酵母も本実施例同様、サッカロマイセス・セレビシェや市販の3〜5種類のイースト酵母を適宜採用する。
【0116】
以下、本実施例の具体的な作用効果を示す臨床例について述べる。
(臨床例1)マウスの血糖値に対する本実施例の健康食品の影響
マウス(雌6週齢)を、体重1kgあたり本実施例の健康食品(顆粒)8gを経口投与して5分後に単糖類(グルコース)及び小糖類(マルトース)の糖負荷試験を行うグループ(図中投与群)と、本実施例の健康食品を投与せずに同様の糖負荷試験を行うグループ(図中非投与群)とに分けて、マウスの血糖値に対する本実施例の健康食品の影響を確認した。
【0117】
糖負荷試験はマウスの体重1kgあたり1.5gのグルコースまたは250mgのマルトースを経口投与し、30,60,90,120,180分後に採血し、全血を用いてヘキソキナーゼ法で血糖値を測定した。
【0118】
測定結果を表1,2に示す(検定:Student's t-test(両側):図中* p>0.05、図中** p>0.01、図中***p>0.005)。
【0119】
【表1】

【0120】
【表2】

【0121】
表1,2によれば、本実施例の健康食品の経口投与を行ったグループのマウスは、投与しなかったグループのマウスに比し、単糖類及び小糖類どちらの糖負荷試験においても血糖値の上昇が抑制されていた。従って、本実施例の健康食品の服用により、血糖値の上昇を抑制できるといえる。
(臨床例2)ヒトの血糖値及びインスリン値に対する本実施例の健康食品の影響
19名のヒトを対象者として、本実施例の健康食品を摂取せずに糖負荷(ショ糖50g)を与えた場合の30,60,120分後の血糖値及びインスリン値を測定した(図中非摂取期)。続いて、その1週間後に同じ19名の対象者に対し、本実施例の健康食品(顆粒)800mgを摂取してもらい、その後、糖負荷(ショ糖50g)を与えた場合の30,60,120分後の血糖値及びインスリン値を測定した(図中摂取期)。
【0122】
測定結果を表3,4に示す(検定:Student's t-test(両側):非摂取期に対し* p>0.05、** p>0.001で有意差有り。)。
【0123】
【表3】

【0124】
【表4】

【0125】
表3,4によれば、本実施例の健康食品の摂取を行った対象者は、摂取しない場合に比し、血糖値及びインスリン値の上昇が抑制されていた。従って、本実施例の健康食品の服用により、血糖値及びインスリン値の上昇を抑制できるといえる。
(臨床例3)ヒトの血糖値及びインスリン値に対する本実施例の健康食品の影響
対象者として男性10名、女性7名、合計17名を無作為抽出し、2グループに分け、ダブルブラインド・クロスオーバー試験により、本実施例の健康食品(発酵コタラヒンブツ(乾燥物)150mg+サイクロデキストリン650mg:図中試験食)と対照食品(カラメル色素10mg+サイクロデキストリン790mg:図中プラセボ食)を摂取した場合の30,60,120分後の血糖値及びインスリン値を測定した。
【0126】
測定結果を表5,6に示す(検定:Student's t-test(両側):プラセボ食群に対し* p>0.05、** p>0.005で有意差有り。)。
【0127】
【表5】

【0128】
【表6】

【0129】
表5,6によれば、本実施例の健康食品を摂取した場合の対象者は、プラセボ食を摂取した場合に比し、血糖値及びインスリン値の上昇が抑制されていた。従って、本実施例の健康食品の服用により、血糖値及びインスリン値の上昇を抑制できるといえる。
【0130】
尚、本実施例の健康食品をパンや米に混入すると、コタラヒンブツの種々の効果が発揮される健康に良い食品が得られる。
【0131】
先ず、上述した本実施例の健康食品を小麦粉の重量に対し5〜10%混入し、常法により製造したパンについて説明する。
【0132】
従来、食パンやフランスパンを食べると血糖値が急激に上昇してしまうことから、食後血糖値の抑制を要する糖尿病患者等はパンを食べることを我慢したり、少量しか食べることができなかった。そこで、本実施例の健康食品を混入したパンとすると、食べても血糖値が上昇しにくいパンとなる。
【0133】
食後血糖値の管理を行っている被験者に、本実施例の健康食品を混入したパンを食べてもらったところ、このパンを食する前と後では被験者の血糖値が急激に上昇することがなかった。
【0134】
従って、パンに本実施例の健康食品を混入することによって、血糖値の上昇を抑制する効果が認められた。
【0135】
更に、本実施例の健康食品を混入したパンによれば、体内に吸収され易い低分子状態となった多量のコタラヒンブツの有効成分を、効率良く体内へ吸収することができることとなり、血糖値上昇抑制作用以外にも、抗肥満作用、肝臓保護作用、抗酸化作用、抗腫瘍作用等の秀れた効能が極めて良好に得られるパンとできる。
【0136】
次に、上述した本実施例の健康食品を米の重量に対し5〜10%混入して常法により炊き上げたご飯及び常法により炊き上げたご飯に対し、上述した本実施例の健康食品を5〜10%混入したご飯について説明する。
【0137】
従来、白米のご飯を食べると血糖値が急激に上昇してしまうことから、食後血糖値の抑制を要する糖尿病患者等はご飯を食べることを我慢したり、少量しか食べることができなかった。そこで、本実施例の健康食品を混入したご飯とすると、食べても血糖値が上昇しにくいご飯となる。
【0138】
食後血糖値の管理を行っている被験者に、本実施例の健康食品を混入したご飯を食べてもらったところ、このご飯を食する前と後では被験者の血糖値が急激に上昇することがなかった。
【0139】
従って、ご飯に本実施例の健康食品を混入することによって、血糖値の上昇を抑制する効果が認められた。
【0140】
更に、本実施例の健康食品を混入したご飯によれば、体内に吸収され易い低分子状態となった多量のコタラヒンブツの有効成分を、効率良く体内へ吸収することができることとなり、血糖値上昇抑制作用以外にも、抗肥満作用、肝臓保護作用、抗酸化作用、抗腫瘍作用等の秀れた効能が極めて良好に得られるご飯とできる。
【0141】
また、上述した本実施例の健康食品を米菓,氷菓若しくは飲料等に適宜混入することもでき、この場合にも体内に吸収され易い低分子状態となった多量のコタラヒンブツの有効成分を、効率良く体内へ吸収することができることとなり、血糖値上昇抑制作用以外にも、抗肥満作用、肝臓保護作用、抗酸化作用、抗腫瘍作用等の秀れた効能が極めて良好に得られる米菓,氷菓若しくは飲料等にできる。
【0142】
本実施例は上述のようにするから、コタラヒンブツの効能、即ち、サラシノール(Salacinol),コタラノール(Kotalanol)及びポリフェノールをはじめとする種々の有効成分による血糖値上昇抑制作用、抗肥満作用,肝臓保護作用,抗酸化作用,抗腫瘍作用等の秀れた効能が極めて良好に得られる上、今まで利用されていなかったコタラヒンブツを有効利用することもできるこれまでにないコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法となる。
【0143】
即ち、コタラヒンブツの繊維素や、このコタラヒンブツの細胞の細胞膜及び細胞壁が、あらかじめ放線菌や糸状菌等のはたらきによって軟化したりある程度分解されるため、コタラヒンブツの細胞内に含有される有効成分が液中に非常に効率良く多量に抽出されるうえ、液中に抽出された有効成分は、液中の酵母菌や乳酸菌等の菌類によって十分に発酵されて該発酵作用によって低分子化(非クラスタ化)される為、体内に非常に吸収され易い状態とすることができる。
【0144】
また、本実施例は、糸状菌や放線菌により、コタラヒンブツのセルロース等の繊維素がグルコースにまで良好に分解され、このグルコースを基質とした酵母のアルコール生成も促進されるが、このアルコールの存在下においては、一層コタラヒンブツの細胞内若しくは細胞膜内に含有されている有効成分の抽出効率が向上する。
【0145】
また、本実施例は、液中に野菜及び果物の発酵液を加えるから、この液中に野菜及び果物由来の天然のミネラル分が補強されることになり、このミネラル分により酵母菌や乳酸菌等の菌類の活性(繁殖)を一層高くすることができ、コタラヒンブツの発酵分解が一層良好に行われることになる。
【0146】
また、本実施例は、酵母菌や乳酸菌等の菌類によって液中に有用な酵素が生成されることにより、一層良好な健康向上作用を発揮できることになる。
【0147】
また、乳酸菌は、腸内において該腸内に存在する糖類を乳酸に分解する作用を発揮し、これにより、腸内を弱酸性に保って例えば病原菌や腐敗菌等の悪玉菌(ウェルシュ菌等)の増殖を抑えて善玉菌(ビフィズス菌等)が活発に活動できる状態を作り出し、即ち、乳酸菌によって腸内に作り出された乳酸や酢酸等の有機酸により腸が刺激されて該腸のぜん動運動が活発となって、コタラヒンブツの有効成分が一層良好に消化吸収される状態が作出される。
【0148】
また、乳酸菌として、乾燥や強酸等厳しい環境下において生き延びる能力に秀れた有胞子菌を使用することで、この有胞子菌は、胃酸や胆汁酸より死滅しにくい為、腸内まで確実に達し、前述したような、腸内細菌のバランスを整える効果をより確実且つ十分に発揮することができる。
【0149】
また、乳酸菌は、免疫細胞を活性化する効果を有するともいわれており、これにより、より一層抗酸化作用,抗腫瘍作用等の秀れた効能が発揮される。
【0150】
また、本実施例は、液中でコタラヒンブツを24〜72時間という比較的短時間で発酵させ、且つスプレー乾燥により短時間で乾燥物を得るため、コタラヒンブツに含有されるポリフェノール等の色素成分をはじめとする有効成分が微生物分解や熱変性によって減少してしまうこともなく、血糖値の上昇を抑制する効果が極めて高い秀れた健康食品となる。更に、比較的短時間で発酵させて得られる乾燥物は、繊維素の過剰な分解が抑制されており、水等に懸濁した際に濁りが発生しない高品質の健康食品となる。
【0151】
以上から、本実施例は、体内に吸収され易い低分子状態となった多量のコタラヒンブツの有効成分を、消化吸収の働きが非常に活発となった例えば腸から極めて効率良く体内へ吸収することができることとなり、よって、血糖値上昇抑制作用、抗肥満作用、肝臓保護作用、抗酸化作用、抗腫瘍作用等の秀れた効能が極めて良好に得られるコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コタラヒンブツを、少なくとも酵母菌を含む液中で発酵させ、これにより得た発酵液を健康食品とすることを特徴とするコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法。
【請求項2】
コタラヒンブツを、少なくとも酵母菌を含む液中で発酵させ、これにより得た発酵後の発酵コタラヒンブツを健康食品とすることを特徴とするコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法。
【請求項3】
コタラヒンブツを、少なくとも酵母菌を含む液中で発酵させ、これにより得た発酵後の発酵コタラヒンブツから抽出された抽出物を健康食品とすることを特徴とするコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか1項に記載のコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法において、前記発酵液、発酵後の発酵コタラヒンブツ若しくは発酵後の発酵コタラヒンブツから抽出された抽出物を発酵乾燥させ、水分量を所定の量まで減少させて健康食品とすることを特徴とするコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜3いずれか1項に記載のコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法において、前記発酵液、発酵後の発酵コタラヒンブツ若しくは発酵後の発酵コタラヒンブツから抽出された抽出物をスプレー乾燥若しくは風乾して粉末状若しくは顆粒状等の乾燥物とし、この粉末状若しくは顆粒状等の乾燥物を健康食品とすることを特徴とするコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法。
【請求項6】
コタラヒンブツを、少なくとも酵母菌を含む液中で発酵させ、これにより得た発酵液,発酵後の発酵コタラヒンブツ,及び発酵後の発酵コタラヒンブツから抽出された抽出物のいずれか2種類若しくは全てを混合して健康食品とすることを特徴とするコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法。
【請求項7】
請求項6記載のコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法において、前記発酵液、発酵後の発酵コタラヒンブツ若しくは発酵後の発酵コタラヒンブツから抽出された抽出物を発酵乾燥させ、水分量を所定の量まで減少させて健康食品とすることを特徴とするコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法。
【請求項8】
請求項6記載のコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法において、前記発酵液、発酵後の発酵コタラヒンブツ若しくは発酵後の発酵コタラヒンブツから抽出された抽出物をスプレー乾燥若しくは風乾して粉末状若しくは顆粒状等の乾燥物とし、この粉末状若しくは顆粒状等の乾燥物を健康食品とすることを特徴とするコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法。
【請求項9】
請求項5,8いずれか1項に記載のコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法において、前記発酵液、発酵後の発酵コタラヒンブツ若しくは発酵後の発酵コタラヒンブツから抽出された抽出物にデキストリン若しくはサイクロデキストリンを混合した後、スプレー乾燥若しくは風乾を行うことを特徴とするコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜9いずれか1項に記載のコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法において、前記液中に乳酸菌が含まれていることを特徴とするコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法。
【請求項11】
請求項10記載のコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法において、前記液は共棲培養液であることを特徴とするコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜11いずれか1項に記載のコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法において、前記液中に糸状菌が含まれていることを特徴とするコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法。
【請求項13】
請求項1〜12いずれか1項に記載のコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法において、前記液中に野菜及び果物の発酵液を混合したことを特徴とする健康食品の製造方法。
【請求項14】
コタラヒンブツを、酵母菌、乳酸菌及び糸状菌を含む菌類と野菜及び果物の発酵液を混合した液中で発酵させ、続いて、このコタラヒンブツを含む液を濾過して固形物と濾過液とを得、続いて、この濾過液を再度濾過して第一エキス分を得るとともに前記固形物からエキスを抽出して第二エキス分を得、続いて、この第二エキス分及び前記第一エキス分を混合した混合エキス分をスプレー乾燥して乾燥物を得、この乾燥物を健康食品とすることを特徴とするコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法。
【請求項15】
請求項14記載のコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法において、前記第二エキス分は、前記固形物に加水後、大気圧下で75〜95℃程度に加熱し、1.5〜2.5時間程度保持する温水抽出により得られるものであることを特徴とするコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法。
【請求項16】
請求項14,15いずれか1項に記載のコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法において、前記混合エキス分にデキストリン若しくはサイクロデキストリンを混合した後、スプレー乾燥を行うことを特徴とするコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法。
【請求項17】
請求項1〜16いずれか1項に記載のコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法において、前記液中での発酵は24〜72時間行うことを特徴とするコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法。
【請求項18】
請求項1〜17いずれか1項に記載のコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法において、前記液中の水分を20〜70%程度に調整して発酵を行うことを特徴とするコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法。
【請求項19】
請求項1〜18いずれか1項に記載の健康食品の製造方法において、前記健康食品は、パン、炊飯米、米菓、氷菓若しくは飲料であることを特徴とするコタラヒンブツを含有した健康食品の製造方法。

【公開番号】特開2007−97500(P2007−97500A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−292625(P2005−292625)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【出願人】(597142631)
【出願人】(503352729)
【Fターム(参考)】