コネクタ付き基板の製造方法および製造治具とコネクタ付き基板
【課題】高精度なサイズ管理が不要で,コネクタの端子を基板に容易に挿入でき,確実に接続させることができるとともに,複数個の端子を有するコネクタであっても,個々の端子の接続品質を管理できるコネクタ付き基板の製造方法および製造治具とコネクタ付き基板を提供すること。
【解決手段】本発明の製造方法は,ピン34として,挿入前における幅が基板21に形成されたスルーホール31の径より小さいとともに押圧されることにより変形して拡幅する先端部34aを有するものを用い,スルーホール31にピン34を挿入して,ピン34の先端がスルーホール31を通って反対側に突出した状態とし,スルーホール31の外部からピン34を基板21の厚さ方向に押圧することにより,先端部34aをスルーホール31の径方向に拡幅させるとともに,拡幅した先端部34aをスルーホール31の壁面に接触させて接続するものである。
【解決手段】本発明の製造方法は,ピン34として,挿入前における幅が基板21に形成されたスルーホール31の径より小さいとともに押圧されることにより変形して拡幅する先端部34aを有するものを用い,スルーホール31にピン34を挿入して,ピン34の先端がスルーホール31を通って反対側に突出した状態とし,スルーホール31の外部からピン34を基板21の厚さ方向に押圧することにより,先端部34aをスルーホール31の径方向に拡幅させるとともに,拡幅した先端部34aをスルーホール31の壁面に接触させて接続するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,コネクタ等の電子部品を基板等に取り付け,導通をとるようにされたコネクタ付き基板の製造方法および製造治具とコネクタ付き基板に関する。さらに詳細には,ハンダを用いることなく,基板等に設けられたスルーホールに,コネクタ等に設けられたピンを挿入して接続することによるコネクタ付き基板の製造方法および製造治具とコネクタ付き基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より,基板等に取り付けて使用されるコネクタとして,プレスフィット端子を有するものが知られている。このようなコネクタは,スルーホール径よりやや広幅に形成されたプレスフィット端子を,基板に設けられたスルーホールに圧入することにより接続される。そのため,圧入荷重を大きくしすぎることなく,確実な電気的接触を得られるように,様々な工夫がなされている。
【0003】
例えば,特許文献1には,スルーホールの端子接合部分と,プレスフィット端子の基板挿入部分とに,それぞれめっき層が設けられたプレスフィット端子と基板の接続構造が開示されている。この文献では,これらのめっき層の金属として,相互溶解度の高い組み合わせを選択することにより,安定した接続が得られるとされている。
【0004】
また,このようなコネクタの多くには,複数個のプレスフィット端子が一列あるいは複数列に配設されている。このようなコネクタを基板に取り付ける場合には,通常,基板に設けられた複数個のスルーホールに対し,それぞれ対応するプレスフィット端子をまとめて圧入する。例えば,何らかの治具を用いて,全部のプレスフィット端子に同時に圧入荷重をかけるようにしている。
【特許文献1】特開2007−122952号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,従来の技術ではいずれのものにおいても,スルーホール径とプレスフィット端子の径との関係において,高精度なサイズ管理が必要であった。スルーホール径に対して,プレスフィット端子の径が大きすぎれば,圧入が困難となる。小さすぎれば,電気的接続が不安定なものとなるおそれがある。さらに,複数個のプレスフィット端子が配設されたコネクタ等を接続する場合には,プレスフィット端子の位置とスルーホールの位置との関係において,高い位置精度が要求される。またさらに,前記のようにまとめて圧入されることから,個々の端子の圧入荷重を個別に把握することはできないという問題点もあった。
【0006】
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,高精度なサイズ管理が不要で,コネクタの端子を基板に容易に挿入でき,確実に接続させることができるとともに,複数個の端子を有するコネクタであっても,個々の端子の接続品質を管理できるコネクタ付き基板の製造方法および製造治具とコネクタ付き基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題の解決を目的としてなされた本発明のコネクタ付き基板の製造方法は,基板に形成されたスルーホールに対して,コネクタに配設されたピンを接続することによるコネクタ付き基板の製造方法であって,ピンとして,挿入前における幅がスルーホールの径より小さいとともに押圧されることにより変形して拡幅する被挿入範囲を有するものを用い,スルーホールにピンを挿入して,ピンの先端がスルーホールを通って反対側に突出した状態とし,スルーホールの外部からピンを基板の厚さ方向に押圧することにより,被挿入範囲をスルーホールの径方向に拡幅させるとともに,拡幅した被挿入範囲をスルーホールの壁面に接触させて接続するものである。
【0008】
本発明のコネクタ付き基板の製造方法によれば,挿入前における幅がスルーホールの径より小さいピンを用いるので,スルーホール内への挿入は容易である。厳密なサイズ調整の必要はない。そして,ピンが,押圧されることにより変形して拡幅する被挿入範囲を有しているので,被挿入範囲がスルーホール内に配置されるようにすれば,拡幅により接触させることができる。多少の位置ずれは問題にならない。すなわち,ピンを挿入後に,スルーホールの外部からピンを基板の厚さ方向に押圧するだけで,確実に接続させることができる。
【0009】
さらに本発明では,複数のピンを有するコネクタおよび複数のスルーホールが形成された基板を用いて,複数のスルーホールの個々に対して,コネクタに配設された複数のピンの個々を接続する方法であり,ピンの先端を押圧する先端側押圧部材を使用し,先端側押圧部材によって,個々のピンの先端を根元側へ向かって押圧することにより,被挿入範囲をそれぞれ拡幅させることが望ましい。
このようなものであれば,各ピンごとに確実に押圧することができ,確実に接続させることができる。
【0010】
さらに本発明では,複数のピンの先端を個別に押圧する複数の先端側押圧部材を使用し,複数の先端側押圧部材を共通の押圧力で押圧するともに,その時の押圧力の変化を取得し,取得された押圧力の変化に基づいて,ピンの接続状態の良否を判断することが望ましい。
このようなものであれば,押圧力のバラツキによりピンの先端の変形量がばらつくことは防止される。従って,各ピンごとに確実に押圧することができ,確実に接続させることができる。
【0011】
さらに本発明では,複数のピンの先端を個別に押圧する複数の先端側押圧部材を使用し,複数の先端側押圧部材を個別に押圧するとともに,その時の押圧力の変化を個別に取得し,取得された押圧力の変化に基づいて,ピンの接続状態の良否を個別に判断することが望ましい。
このようなものであれば,ピンごとに押圧力の変化を取得することができる。従って,複数個の端子を有するコネクタであっても,個別に良否を判断でき,個々の端子の接続品質を管理できる。
【0012】
さらに本発明では,ピンとして,被挿入範囲に貫通穴を有し,貫通穴の周囲が押圧により横方向へ広がることにより被挿入範囲が拡幅するものを用いることが望ましい。
このようなものであれば,被挿入範囲を拡幅させることは容易である。
【0013】
さらに本発明では,ピンとして,直線部を有する針状であるとともに,直線部に対して少なくとも2方向に変位した変位部を被挿入範囲に有するものを用い,ピンを押圧によりスルーホール内で屈曲させることにより,被挿入範囲を拡幅させることが望ましい。
このようなものであれば,ピンとして変位部を有するものを用いているので,拡幅箇所がスルーホール内に配置されるようにすることは容易である。さらに,従来より用いられているコネクタを用いることができるので,経済的である。
【0014】
また本発明は,基板に形成された複数のスルーホールに対して,コネクタに配設された複数のピンを個々に接続するコネクタ付き基板の製造治具であって,複数のピンの先端を個別に押圧する複数の先端側押圧部材と,複数の先端側押圧部材に共通の押圧力を印加する圧力発生部とを有し,先端側押圧部材は,圧力発生部の圧力を受けてピンの先端を根元側へ向けて押圧するものであるコネクタ付き基板の製造治具にも及ぶ。
【0015】
また本発明は,基板に形成されたスルーホールに対して,コネクタに配設されたピンを接続したコネクタ付き基板であって,ピンがスルーホールに挿入されているとともに,ピンの少なくとも一部がスルーホールの壁面に接触しており,ピンのうちスルーホール内に配置されている箇所の少なくとも一部は,挿入される前にはスルーホールの径より幅狭であったが押圧によりスルーホールの径方向に拡幅されたものであるコネクタ付き基板にも及ぶ。
【発明の効果】
【0016】
本発明のコネクタ付き基板の製造方法および製造治具とコネクタ付き基板によれば,高精度なサイズ管理が不要で,コネクタの端子を基板に容易に挿入でき,確実に接続させることができるとともに,複数個の端子を有するコネクタであっても,個々の端子の接続品質を管理できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
<第1の形態>
以下,本発明を具体化した第1の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,複数個のプレスフィット端子が配設されたコネクタを複数個のスルーホールが形成された基板に取り付けるための製造方法に,本発明を適用したものである。
【0018】
本形態は,図1に示す基板21とコネクタ22とを接続するための製造方法である。そこでまず,本形態の製造工程で互いに接続される基板21とコネクタ22とについて説明する。基板21は,複数のスルーホール31が形成された配線基板である。スルーホール31の壁面および周囲には,金属めっき等による導通部32が形成されている。
【0019】
コネクタ22は,本体部33に複数のピン34が配設されたものである。各ピン34は,図中奥行き方向に薄い略平板状のものであり,先端部34a,中央部34b,脚部34cを有している。先端部34aは,その中央に貫通穴34dがあり,貫通穴34dの周囲を囲む枠形状の部分である。中央部34bは,先端部34aや脚部34cより幅広に形成されている部分である。脚部34cは,本体部33を貫通して,本体部33の図中下部側に露出され,他部材と接続されるためのコネクタ端子となっている。
【0020】
本形態では,基板21とコネクタ22との組み合わせとして,図1に示すように,挿入前における基板21のスルーホール径Tが,コネクタ22のピン34の先端部34aの幅Pより大きいものを使用する。本形態の各ピン34は,圧入されるものではない。なお,基板21のスルーホール31とコネクタ22のピン34とは,互いに同じ位置関係となるように配置されている。ここでは,それぞれ5個のスルーホール31およびピン34が等間隔に直線上に配置されているものを示している。スルーホール31およびピン34が複数列に配列されているものでもよい。
【0021】
次に,この基板21の各スルーホール31にコネクタ22の各ピン34を接続する手順について説明する。まず,図2に示すように,基板21とコネクタ22とを接近させ,スルーホール31内にピン34を挿入する。そして,ピン34の先端部34aがスルーホール31内に位置するとともに,その先端34eがスルーホール31より図中上側に突出した状態とする。本形態では,先端部34aの幅Pはスルーホール31の径Tに比較して小さいので,この挿入は容易である。また,挿入によってスルーホール31の導通部32を傷つけるおそれはない。なお,基板21やコネクタ22を保持する向きや,挿入の方向はこの図のものに限らない。
【0022】
次に,図3に示すように,治具23をセットする。治具23としては,先端側押圧部材23aと根元側押圧部材23bとを使用する。先端側押圧部材23aは,ピン34の先端を根元側へ向けて押圧する部材である。また,根元側押圧部材23bは,上記の押圧に抗してピン34の根元側を保持する部材である。
【0023】
先端側押圧部材23aは,図3に示すように,各ピン34の先端部34aの先端34eの上方に配置される。これは,各ピン34の配置に対応して,それぞれのピン34ごとに個別に配置される部材である。また,根元側押圧部材23bは,ピン34の脚部34cの両側において,中央部34bの下端34fを支えるように配置される。図1に示すように,中央部34bの幅Sは,脚部34cの幅Lより大きいので,下端34fに根元側押圧部材23bを配置させることにより,先端側押圧部材23aに抗してピン34を支持することができる。なお,ここでは根元側押圧部材23bは,櫛歯状に形成された一体のものであり,図中手前側または奥側から各ピン34の間に差し込まれるようになっている。根元側押圧部材23bもピン34ごとの個別のものとしてもよい。
【0024】
さらに,図3に示すように,各先端側押圧部材23aには,それぞれを図中下方へ向かって押圧する押圧部14が設けられている。本形態の押圧部14は,ロードセルを備え,押圧荷重を随時測定できるようになっている。そして,押圧部14によって,各先端側押圧部材23aを根元側押圧部材23bの方へ向けて,あらかじめ決めた押圧力によってあらかじめ決めた距離だけ押圧する。
【0025】
これにより,図4に示すように,先端部34aが図中上下方向につぶれるように変形するとともに図中左右に押し開かれ,その左右の外側がスルーホール31の壁面に圧接される。これにより,基板21の各導通部32とコネクタ22の各ピン34とが導通される。一旦この状態になれば,ピン34の変形によって圧接されているので,その後は容易に抜けることはない。
【0026】
本形態の製造方法では,各ピン34ごとに個別に先端側押圧部材23aを用い,個別に押圧する。さらに,この押圧を行う際に,各ピン34ごとの押圧荷重の変化を取得するようにしている。この押圧荷重は,通常,図5に示すように変化する。すなわち,押圧開始からしばらくの間は押圧荷重はあまり上昇せず,その後急激に増大する。そして,また再びなだらかな上昇となる。
【0027】
次に,この取得された押圧荷重の変化が,適正なものであるかどうかを判断する。そのために,例えば図5中に破線で示すように,押圧開始後の予め定めた時期における押圧荷重について,良品と判断できる範囲をあらかじめ設定しておく。すなわち,押圧開始からの経過時間が図中の時刻t1〜t2の間,押圧荷重が荷重P1〜P2の範囲内にあれば,適切に押圧されたと判断する。そして,その対応するピン34は正常に変形されたと判断することができる。
【0028】
本形態によれば,各ピン34ごとに押圧荷重の変化を個別に取得できるので,各ピン34ごとに適正に配設されたかどうかを判断できる。なお,押圧荷重を取得する代わりに,先端側押圧部材23aの個別の移動量の変化(あるいは移動速度の変化)を取得することによっても,同様に良否の判断を行うことができる。
【0029】
なお,押圧部14は,上記のようにコネクタ22の各ピン34を一度に押圧してもよいし,あるいは,1つずつのピン34を順に押圧してもよい。順に押圧する場合は,先端側押圧部材23aも1つのものを順に使い回してもよい。また,本形態では,各ピン34をその軸方向に沿ってまっすぐ押圧することが望ましい。そのために,例えば,ピン34の先端部34aの先端を軸方向に垂直な平面状とするとともに,先端側押圧部材23aの下面をも平面状または中央が平面状となった凹状等としてもよい。
【0030】
次に,本形態のように,コネクタ付き基板を,良否判定しつつ製造する方法の手順について,図6のフローチャートを参照して説明する。まず,基板21とコネクタ22とを適切な位置に保持する(S101)。そして,基板21のスルーホール31にコネクタ22のピン34の先端部34aが挿入された状態とする。その状態で,コネクタ22に治具23(先端側押圧部材23aと根元側押圧部材23b)をセットする(S102)。
【0031】
さらに,先端側押圧部材23aを根元側押圧部材23bに向けて押圧する(S103)。このとき,個々のピン34について,押圧荷重の変化を取得する。その取得結果から,押圧荷重が許容範囲内であったかどうかを判断する(S104)。そのワークのすべてのピン34について,許容範囲内であった場合は(S104:Yes),良品であると判断できるので,完了メッセージを表示する(S105)。そして,S101へ戻り,次のワークについて同様に製造する。
【0032】
一方,いずれかのピン34について,押圧荷重が許容範囲内でないものがあった場合は(S104:No),不良品である可能性がある。そこで,エラーメッセージを表示する(S106)。どのピン34が不良と判断されたかについても表示するとよい。さらに,そのワークを不良品処理工程に送る(S107)。そして,次のワークの製造を行う。これで,本形態の製造方法の説明を終了する。
【0033】
なお,上記形態では各ピン34を個別に押圧し,それぞれの押圧荷重を取得するとしたが,各ピン34を個別に押圧する代わりに,全体をまとめて押圧することもできる。コネクタ22の各ピン34の品質精度が高いものでは,これで十分である。この場合には,先端側押圧部材を全体で1つのものとし,それを押圧すればよい。良否の判断は,個別に行うことはできないが,全体としては良品の押圧荷重の合計値との比較で行うことができる。
【0034】
またあるいは,個別に押圧する代わりに,図7に示すような均一加圧部41を使用してもよい。均一加圧部41は,油42を収容する容器43と,その油42中に挿入される共通押圧部44とを有している。また,容器43には,ピン34に対応する配列でシリンダ部43aが形成され,各シリンダ部43aにはそれぞれピストン45が挿入されている。本形態では,ピストン45が先端側押圧部材を兼ねている。また,共通押圧部44と容器43との間には,Oリング46が配置されている。この均一加圧部41が本発明の製造治具に相当する。また,ピストン45が先端側押圧部材に,共通押圧部44が圧力発生部にそれぞれ相当する。
【0035】
この均一加圧部41によって,コネクタ22のピン34の押圧を行う場合には,図7に示すように,コネクタ22に根元側押圧部材23bをセットするとともに各ピン34の先端にピストン45の位置を合わせる。そして,共通押圧部44によって油42を押圧する。これにより,図8に示すように,油42を介して,各ピストン45が押し下げられる。油42によって,内圧は均一に掛かるので,いずれのピン34も共通の押圧力で押圧される。このようにすれば,ピン34の元々の高さに多少バラツキがあっても,共通の押圧力で押圧することができる。この方法では,個別に良否の判断を行うことはできないが,全体としては,良品の押圧荷重との比較で行うことができる。
【0036】
以上詳細に説明したように本形態の製造方法によれば,基板21のスルーホール径Tが,コネクタ22のピン34の先端部34aの幅Pより大きいので,挿入は容易である。そして,挿入後に治具23で保持して各ピン34を押圧する。これにより,先端部34aが変形して開き,スルーホール31に圧接されるので,基板21とコネクタ22とが確実に接続される。さらに,各ピン34ごとに個別に押圧力を加えるとともに,個別に押圧荷重が取得されるので,各ピン34ごとに接続状態の良否を判断することができる。従って,高精度なサイズ管理が不要で,コネクタの端子を基板に容易に挿入でき,確実に接続させることができるとともに,複数個の端子を有するコネクタであっても,個々の端子の接続品質を管理できるものとなっている。
【0037】
<第2の形態>
本形態は,プレスフィット端子を有するコネクタに代えて,棒状の接続ピンを有するコネクタを使用し,複数個のスルーホールが形成された基板に取り付けるための装置および製造方法に,本発明を適用したものである。第1の形態と共通の部分には,同一の符号を付し,説明を省略する。
【0038】
本形態の製造装置は,図9に示すようなコネクタ51を基板21に接続するためのものである。このコネクタ51は,プレスフィット端子ではなく,針状の直線部を有する接続ピン52を有している。そして,複数個の接続ピン52が本体部53に配列されたものである。ただし,接続ピン52の先端はとがっていない。このタイプのコネクタ51は,従来より,ハンダ付けによって基板に接続することにより使用されていたものである。基板21は,第1の形態のものと同様のものであるが,スルーホール31の大きさは,接続ピン52を,後述する変位部を考慮しても余裕を持って挿入できる大きさであればよい。
【0039】
本形態では,スルーホール31に挿入する前に,各接続ピン52に変位部を形成しておく。すなわち,直線状の接続ピン52の途中に,2箇所以上の互いに異なる向きに変位した屈曲箇所を設けておく。そのために,本形態では,図10に示す1組の癖付け金型61を使用する。この癖付け金型61は,直線上の2箇所に凸部と凹部とが形成されているものであり,互いに逆向きに配置した2つの金型がセットにされている。
【0040】
そして,1組の癖付け金型61によって,図11に示すように,1本の接続ピン52を両側から挟む。接続ピン52は,凸部と凹部とに挟まれた箇所において,癖付け金型61の形状に折り曲げられる。これにより,その接続ピン52には,互いに逆向きの2箇所の変位部52a,52bが形成される。
【0041】
本形態の製造方法ではまず,接続しようとするコネクタ51のすべての接続ピン52に2箇所以上の変位部52a,52bを形成する。なお,1つのコネクタ51の各接続ピン52の変位部52a,52bは,いずれも本体部53からの距離がほぼ同じである位置に形成することが望ましい。このようにしたコネクタ51を用いて,第1の形態と同様に,図6のS101〜S107の製造工程を実行する。
【0042】
まず,基板21とコネクタ51とを保持し(図6のS101),図12に示すように,基板21のスルーホール31にコネクタ51の接続ピン52の先端部分を挿入する。そして接続ピン52の先端が,図中上方に突出した状態とする。その状態で,図13に示すように,治具23をセットする(図6のS102)。
【0043】
本形態では,先端側押圧部材23aのみで根元側押圧部材23bは不要である。あるいは,根元側押圧部材として,接続ピン52のうち本体部53から図13中で基板21の下部までの部分を,直立状態で係止するものを用いてもよい。そして,先端側押圧部材23aを図中下方に向けて押圧することにより,接続ピン52の先端を本体部53に向けて押圧する(図6のS103)。
【0044】
これにより,図14に示すように,接続ピン52が変位部52a,52bを中心に変形され,図中左右方向へ拡幅する。この拡幅した箇所が被挿入範囲に相当する。これにより,この範囲の接続ピン52がスルーホール31の壁面に圧接され,コネクタ51の接続ピン52とスルーホール31の導通部32とが導通する。この押圧の際に,第1の形態と同様に,押圧荷重を取得する。その取得結果から,押圧荷重が許容範囲内であったかどうかを判断する(図6のS104)。押圧荷重の変化のグラフの形状は,図5に示す第1の形態のものとほぼ同様のものとなるが,押圧荷重の許容範囲の数値は,第1の形態とは異なるものであってもよい。
【0045】
さらに,この判断の結果を受けて,メッセージ等を表示する工程については(図6のS105〜S107),第1の形態と同様の処理を行う。なお,本形態では,2箇所の変位部52a,52bを設けているが,3箇所以上であってもよいし,螺旋状の変位部を形成したものであってもよい。
【0046】
以上詳細に説明したように本形態の製造装置によっても,高精度なサイズ管理が不要で,コネクタの端子を基板に容易に挿入でき,確実に接続させることができるとともに,複数個の端子を有するコネクタであっても,個々の端子の接続品質を管理できるものとなっている。さらに,本形態で用いるコネクタ51は,従来より多く使用されている安価なものである。それでいて接続のためにハンダを使用することはないので,環境への負担が小さい製造方法となっている。
【0047】
なお,本形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。
例えば,接続されるコネクタのピン数やピン配置およびピン形状の細部等はいずれも変更可能である。また例えば,第2の形態における変位部の形成方法は金型によるものに限らない。また,上記の各形態では,根元側押圧部材として,各ピン34,52の根元側を保持するとしているが,ピンそのものではなく,本体部33,53を保持するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】第1の形態の製造工程で用いられる基板とピンを示す説明図である。
【図2】第1の形態の製造工程を示す説明図である。
【図3】第1の形態の製造工程を示す説明図である。
【図4】第1の形態の製造工程を示す説明図である。
【図5】押圧荷重の変化を示すグラフ図である。
【図6】製造方法を示すフローチャート図である。
【図7】均一加圧部を示す説明図である。
【図8】均一加圧部を示す説明図である。
【図9】第2の形態に係るコネクタを示す説明図である。
【図10】第2の形態に係る癖付け金型を示す説明図である。
【図11】癖付けされた接続ピンを示す説明図である。
【図12】第2の形態の製造工程を示す説明図である。
【図13】第2の形態の製造工程を示す説明図である。
【図14】第2の形態の製造工程を示す説明図である。
【符号の説明】
【0049】
14 押圧部
21 基板
22,51 コネクタ
23 治具
23a 先端側押圧部材
23b 根元側押圧部材
31 スルーホール
34 ピン
34a 先端部
52 接続ピン
【技術分野】
【0001】
本発明は,コネクタ等の電子部品を基板等に取り付け,導通をとるようにされたコネクタ付き基板の製造方法および製造治具とコネクタ付き基板に関する。さらに詳細には,ハンダを用いることなく,基板等に設けられたスルーホールに,コネクタ等に設けられたピンを挿入して接続することによるコネクタ付き基板の製造方法および製造治具とコネクタ付き基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より,基板等に取り付けて使用されるコネクタとして,プレスフィット端子を有するものが知られている。このようなコネクタは,スルーホール径よりやや広幅に形成されたプレスフィット端子を,基板に設けられたスルーホールに圧入することにより接続される。そのため,圧入荷重を大きくしすぎることなく,確実な電気的接触を得られるように,様々な工夫がなされている。
【0003】
例えば,特許文献1には,スルーホールの端子接合部分と,プレスフィット端子の基板挿入部分とに,それぞれめっき層が設けられたプレスフィット端子と基板の接続構造が開示されている。この文献では,これらのめっき層の金属として,相互溶解度の高い組み合わせを選択することにより,安定した接続が得られるとされている。
【0004】
また,このようなコネクタの多くには,複数個のプレスフィット端子が一列あるいは複数列に配設されている。このようなコネクタを基板に取り付ける場合には,通常,基板に設けられた複数個のスルーホールに対し,それぞれ対応するプレスフィット端子をまとめて圧入する。例えば,何らかの治具を用いて,全部のプレスフィット端子に同時に圧入荷重をかけるようにしている。
【特許文献1】特開2007−122952号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,従来の技術ではいずれのものにおいても,スルーホール径とプレスフィット端子の径との関係において,高精度なサイズ管理が必要であった。スルーホール径に対して,プレスフィット端子の径が大きすぎれば,圧入が困難となる。小さすぎれば,電気的接続が不安定なものとなるおそれがある。さらに,複数個のプレスフィット端子が配設されたコネクタ等を接続する場合には,プレスフィット端子の位置とスルーホールの位置との関係において,高い位置精度が要求される。またさらに,前記のようにまとめて圧入されることから,個々の端子の圧入荷重を個別に把握することはできないという問題点もあった。
【0006】
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,高精度なサイズ管理が不要で,コネクタの端子を基板に容易に挿入でき,確実に接続させることができるとともに,複数個の端子を有するコネクタであっても,個々の端子の接続品質を管理できるコネクタ付き基板の製造方法および製造治具とコネクタ付き基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題の解決を目的としてなされた本発明のコネクタ付き基板の製造方法は,基板に形成されたスルーホールに対して,コネクタに配設されたピンを接続することによるコネクタ付き基板の製造方法であって,ピンとして,挿入前における幅がスルーホールの径より小さいとともに押圧されることにより変形して拡幅する被挿入範囲を有するものを用い,スルーホールにピンを挿入して,ピンの先端がスルーホールを通って反対側に突出した状態とし,スルーホールの外部からピンを基板の厚さ方向に押圧することにより,被挿入範囲をスルーホールの径方向に拡幅させるとともに,拡幅した被挿入範囲をスルーホールの壁面に接触させて接続するものである。
【0008】
本発明のコネクタ付き基板の製造方法によれば,挿入前における幅がスルーホールの径より小さいピンを用いるので,スルーホール内への挿入は容易である。厳密なサイズ調整の必要はない。そして,ピンが,押圧されることにより変形して拡幅する被挿入範囲を有しているので,被挿入範囲がスルーホール内に配置されるようにすれば,拡幅により接触させることができる。多少の位置ずれは問題にならない。すなわち,ピンを挿入後に,スルーホールの外部からピンを基板の厚さ方向に押圧するだけで,確実に接続させることができる。
【0009】
さらに本発明では,複数のピンを有するコネクタおよび複数のスルーホールが形成された基板を用いて,複数のスルーホールの個々に対して,コネクタに配設された複数のピンの個々を接続する方法であり,ピンの先端を押圧する先端側押圧部材を使用し,先端側押圧部材によって,個々のピンの先端を根元側へ向かって押圧することにより,被挿入範囲をそれぞれ拡幅させることが望ましい。
このようなものであれば,各ピンごとに確実に押圧することができ,確実に接続させることができる。
【0010】
さらに本発明では,複数のピンの先端を個別に押圧する複数の先端側押圧部材を使用し,複数の先端側押圧部材を共通の押圧力で押圧するともに,その時の押圧力の変化を取得し,取得された押圧力の変化に基づいて,ピンの接続状態の良否を判断することが望ましい。
このようなものであれば,押圧力のバラツキによりピンの先端の変形量がばらつくことは防止される。従って,各ピンごとに確実に押圧することができ,確実に接続させることができる。
【0011】
さらに本発明では,複数のピンの先端を個別に押圧する複数の先端側押圧部材を使用し,複数の先端側押圧部材を個別に押圧するとともに,その時の押圧力の変化を個別に取得し,取得された押圧力の変化に基づいて,ピンの接続状態の良否を個別に判断することが望ましい。
このようなものであれば,ピンごとに押圧力の変化を取得することができる。従って,複数個の端子を有するコネクタであっても,個別に良否を判断でき,個々の端子の接続品質を管理できる。
【0012】
さらに本発明では,ピンとして,被挿入範囲に貫通穴を有し,貫通穴の周囲が押圧により横方向へ広がることにより被挿入範囲が拡幅するものを用いることが望ましい。
このようなものであれば,被挿入範囲を拡幅させることは容易である。
【0013】
さらに本発明では,ピンとして,直線部を有する針状であるとともに,直線部に対して少なくとも2方向に変位した変位部を被挿入範囲に有するものを用い,ピンを押圧によりスルーホール内で屈曲させることにより,被挿入範囲を拡幅させることが望ましい。
このようなものであれば,ピンとして変位部を有するものを用いているので,拡幅箇所がスルーホール内に配置されるようにすることは容易である。さらに,従来より用いられているコネクタを用いることができるので,経済的である。
【0014】
また本発明は,基板に形成された複数のスルーホールに対して,コネクタに配設された複数のピンを個々に接続するコネクタ付き基板の製造治具であって,複数のピンの先端を個別に押圧する複数の先端側押圧部材と,複数の先端側押圧部材に共通の押圧力を印加する圧力発生部とを有し,先端側押圧部材は,圧力発生部の圧力を受けてピンの先端を根元側へ向けて押圧するものであるコネクタ付き基板の製造治具にも及ぶ。
【0015】
また本発明は,基板に形成されたスルーホールに対して,コネクタに配設されたピンを接続したコネクタ付き基板であって,ピンがスルーホールに挿入されているとともに,ピンの少なくとも一部がスルーホールの壁面に接触しており,ピンのうちスルーホール内に配置されている箇所の少なくとも一部は,挿入される前にはスルーホールの径より幅狭であったが押圧によりスルーホールの径方向に拡幅されたものであるコネクタ付き基板にも及ぶ。
【発明の効果】
【0016】
本発明のコネクタ付き基板の製造方法および製造治具とコネクタ付き基板によれば,高精度なサイズ管理が不要で,コネクタの端子を基板に容易に挿入でき,確実に接続させることができるとともに,複数個の端子を有するコネクタであっても,個々の端子の接続品質を管理できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
<第1の形態>
以下,本発明を具体化した第1の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,複数個のプレスフィット端子が配設されたコネクタを複数個のスルーホールが形成された基板に取り付けるための製造方法に,本発明を適用したものである。
【0018】
本形態は,図1に示す基板21とコネクタ22とを接続するための製造方法である。そこでまず,本形態の製造工程で互いに接続される基板21とコネクタ22とについて説明する。基板21は,複数のスルーホール31が形成された配線基板である。スルーホール31の壁面および周囲には,金属めっき等による導通部32が形成されている。
【0019】
コネクタ22は,本体部33に複数のピン34が配設されたものである。各ピン34は,図中奥行き方向に薄い略平板状のものであり,先端部34a,中央部34b,脚部34cを有している。先端部34aは,その中央に貫通穴34dがあり,貫通穴34dの周囲を囲む枠形状の部分である。中央部34bは,先端部34aや脚部34cより幅広に形成されている部分である。脚部34cは,本体部33を貫通して,本体部33の図中下部側に露出され,他部材と接続されるためのコネクタ端子となっている。
【0020】
本形態では,基板21とコネクタ22との組み合わせとして,図1に示すように,挿入前における基板21のスルーホール径Tが,コネクタ22のピン34の先端部34aの幅Pより大きいものを使用する。本形態の各ピン34は,圧入されるものではない。なお,基板21のスルーホール31とコネクタ22のピン34とは,互いに同じ位置関係となるように配置されている。ここでは,それぞれ5個のスルーホール31およびピン34が等間隔に直線上に配置されているものを示している。スルーホール31およびピン34が複数列に配列されているものでもよい。
【0021】
次に,この基板21の各スルーホール31にコネクタ22の各ピン34を接続する手順について説明する。まず,図2に示すように,基板21とコネクタ22とを接近させ,スルーホール31内にピン34を挿入する。そして,ピン34の先端部34aがスルーホール31内に位置するとともに,その先端34eがスルーホール31より図中上側に突出した状態とする。本形態では,先端部34aの幅Pはスルーホール31の径Tに比較して小さいので,この挿入は容易である。また,挿入によってスルーホール31の導通部32を傷つけるおそれはない。なお,基板21やコネクタ22を保持する向きや,挿入の方向はこの図のものに限らない。
【0022】
次に,図3に示すように,治具23をセットする。治具23としては,先端側押圧部材23aと根元側押圧部材23bとを使用する。先端側押圧部材23aは,ピン34の先端を根元側へ向けて押圧する部材である。また,根元側押圧部材23bは,上記の押圧に抗してピン34の根元側を保持する部材である。
【0023】
先端側押圧部材23aは,図3に示すように,各ピン34の先端部34aの先端34eの上方に配置される。これは,各ピン34の配置に対応して,それぞれのピン34ごとに個別に配置される部材である。また,根元側押圧部材23bは,ピン34の脚部34cの両側において,中央部34bの下端34fを支えるように配置される。図1に示すように,中央部34bの幅Sは,脚部34cの幅Lより大きいので,下端34fに根元側押圧部材23bを配置させることにより,先端側押圧部材23aに抗してピン34を支持することができる。なお,ここでは根元側押圧部材23bは,櫛歯状に形成された一体のものであり,図中手前側または奥側から各ピン34の間に差し込まれるようになっている。根元側押圧部材23bもピン34ごとの個別のものとしてもよい。
【0024】
さらに,図3に示すように,各先端側押圧部材23aには,それぞれを図中下方へ向かって押圧する押圧部14が設けられている。本形態の押圧部14は,ロードセルを備え,押圧荷重を随時測定できるようになっている。そして,押圧部14によって,各先端側押圧部材23aを根元側押圧部材23bの方へ向けて,あらかじめ決めた押圧力によってあらかじめ決めた距離だけ押圧する。
【0025】
これにより,図4に示すように,先端部34aが図中上下方向につぶれるように変形するとともに図中左右に押し開かれ,その左右の外側がスルーホール31の壁面に圧接される。これにより,基板21の各導通部32とコネクタ22の各ピン34とが導通される。一旦この状態になれば,ピン34の変形によって圧接されているので,その後は容易に抜けることはない。
【0026】
本形態の製造方法では,各ピン34ごとに個別に先端側押圧部材23aを用い,個別に押圧する。さらに,この押圧を行う際に,各ピン34ごとの押圧荷重の変化を取得するようにしている。この押圧荷重は,通常,図5に示すように変化する。すなわち,押圧開始からしばらくの間は押圧荷重はあまり上昇せず,その後急激に増大する。そして,また再びなだらかな上昇となる。
【0027】
次に,この取得された押圧荷重の変化が,適正なものであるかどうかを判断する。そのために,例えば図5中に破線で示すように,押圧開始後の予め定めた時期における押圧荷重について,良品と判断できる範囲をあらかじめ設定しておく。すなわち,押圧開始からの経過時間が図中の時刻t1〜t2の間,押圧荷重が荷重P1〜P2の範囲内にあれば,適切に押圧されたと判断する。そして,その対応するピン34は正常に変形されたと判断することができる。
【0028】
本形態によれば,各ピン34ごとに押圧荷重の変化を個別に取得できるので,各ピン34ごとに適正に配設されたかどうかを判断できる。なお,押圧荷重を取得する代わりに,先端側押圧部材23aの個別の移動量の変化(あるいは移動速度の変化)を取得することによっても,同様に良否の判断を行うことができる。
【0029】
なお,押圧部14は,上記のようにコネクタ22の各ピン34を一度に押圧してもよいし,あるいは,1つずつのピン34を順に押圧してもよい。順に押圧する場合は,先端側押圧部材23aも1つのものを順に使い回してもよい。また,本形態では,各ピン34をその軸方向に沿ってまっすぐ押圧することが望ましい。そのために,例えば,ピン34の先端部34aの先端を軸方向に垂直な平面状とするとともに,先端側押圧部材23aの下面をも平面状または中央が平面状となった凹状等としてもよい。
【0030】
次に,本形態のように,コネクタ付き基板を,良否判定しつつ製造する方法の手順について,図6のフローチャートを参照して説明する。まず,基板21とコネクタ22とを適切な位置に保持する(S101)。そして,基板21のスルーホール31にコネクタ22のピン34の先端部34aが挿入された状態とする。その状態で,コネクタ22に治具23(先端側押圧部材23aと根元側押圧部材23b)をセットする(S102)。
【0031】
さらに,先端側押圧部材23aを根元側押圧部材23bに向けて押圧する(S103)。このとき,個々のピン34について,押圧荷重の変化を取得する。その取得結果から,押圧荷重が許容範囲内であったかどうかを判断する(S104)。そのワークのすべてのピン34について,許容範囲内であった場合は(S104:Yes),良品であると判断できるので,完了メッセージを表示する(S105)。そして,S101へ戻り,次のワークについて同様に製造する。
【0032】
一方,いずれかのピン34について,押圧荷重が許容範囲内でないものがあった場合は(S104:No),不良品である可能性がある。そこで,エラーメッセージを表示する(S106)。どのピン34が不良と判断されたかについても表示するとよい。さらに,そのワークを不良品処理工程に送る(S107)。そして,次のワークの製造を行う。これで,本形態の製造方法の説明を終了する。
【0033】
なお,上記形態では各ピン34を個別に押圧し,それぞれの押圧荷重を取得するとしたが,各ピン34を個別に押圧する代わりに,全体をまとめて押圧することもできる。コネクタ22の各ピン34の品質精度が高いものでは,これで十分である。この場合には,先端側押圧部材を全体で1つのものとし,それを押圧すればよい。良否の判断は,個別に行うことはできないが,全体としては良品の押圧荷重の合計値との比較で行うことができる。
【0034】
またあるいは,個別に押圧する代わりに,図7に示すような均一加圧部41を使用してもよい。均一加圧部41は,油42を収容する容器43と,その油42中に挿入される共通押圧部44とを有している。また,容器43には,ピン34に対応する配列でシリンダ部43aが形成され,各シリンダ部43aにはそれぞれピストン45が挿入されている。本形態では,ピストン45が先端側押圧部材を兼ねている。また,共通押圧部44と容器43との間には,Oリング46が配置されている。この均一加圧部41が本発明の製造治具に相当する。また,ピストン45が先端側押圧部材に,共通押圧部44が圧力発生部にそれぞれ相当する。
【0035】
この均一加圧部41によって,コネクタ22のピン34の押圧を行う場合には,図7に示すように,コネクタ22に根元側押圧部材23bをセットするとともに各ピン34の先端にピストン45の位置を合わせる。そして,共通押圧部44によって油42を押圧する。これにより,図8に示すように,油42を介して,各ピストン45が押し下げられる。油42によって,内圧は均一に掛かるので,いずれのピン34も共通の押圧力で押圧される。このようにすれば,ピン34の元々の高さに多少バラツキがあっても,共通の押圧力で押圧することができる。この方法では,個別に良否の判断を行うことはできないが,全体としては,良品の押圧荷重との比較で行うことができる。
【0036】
以上詳細に説明したように本形態の製造方法によれば,基板21のスルーホール径Tが,コネクタ22のピン34の先端部34aの幅Pより大きいので,挿入は容易である。そして,挿入後に治具23で保持して各ピン34を押圧する。これにより,先端部34aが変形して開き,スルーホール31に圧接されるので,基板21とコネクタ22とが確実に接続される。さらに,各ピン34ごとに個別に押圧力を加えるとともに,個別に押圧荷重が取得されるので,各ピン34ごとに接続状態の良否を判断することができる。従って,高精度なサイズ管理が不要で,コネクタの端子を基板に容易に挿入でき,確実に接続させることができるとともに,複数個の端子を有するコネクタであっても,個々の端子の接続品質を管理できるものとなっている。
【0037】
<第2の形態>
本形態は,プレスフィット端子を有するコネクタに代えて,棒状の接続ピンを有するコネクタを使用し,複数個のスルーホールが形成された基板に取り付けるための装置および製造方法に,本発明を適用したものである。第1の形態と共通の部分には,同一の符号を付し,説明を省略する。
【0038】
本形態の製造装置は,図9に示すようなコネクタ51を基板21に接続するためのものである。このコネクタ51は,プレスフィット端子ではなく,針状の直線部を有する接続ピン52を有している。そして,複数個の接続ピン52が本体部53に配列されたものである。ただし,接続ピン52の先端はとがっていない。このタイプのコネクタ51は,従来より,ハンダ付けによって基板に接続することにより使用されていたものである。基板21は,第1の形態のものと同様のものであるが,スルーホール31の大きさは,接続ピン52を,後述する変位部を考慮しても余裕を持って挿入できる大きさであればよい。
【0039】
本形態では,スルーホール31に挿入する前に,各接続ピン52に変位部を形成しておく。すなわち,直線状の接続ピン52の途中に,2箇所以上の互いに異なる向きに変位した屈曲箇所を設けておく。そのために,本形態では,図10に示す1組の癖付け金型61を使用する。この癖付け金型61は,直線上の2箇所に凸部と凹部とが形成されているものであり,互いに逆向きに配置した2つの金型がセットにされている。
【0040】
そして,1組の癖付け金型61によって,図11に示すように,1本の接続ピン52を両側から挟む。接続ピン52は,凸部と凹部とに挟まれた箇所において,癖付け金型61の形状に折り曲げられる。これにより,その接続ピン52には,互いに逆向きの2箇所の変位部52a,52bが形成される。
【0041】
本形態の製造方法ではまず,接続しようとするコネクタ51のすべての接続ピン52に2箇所以上の変位部52a,52bを形成する。なお,1つのコネクタ51の各接続ピン52の変位部52a,52bは,いずれも本体部53からの距離がほぼ同じである位置に形成することが望ましい。このようにしたコネクタ51を用いて,第1の形態と同様に,図6のS101〜S107の製造工程を実行する。
【0042】
まず,基板21とコネクタ51とを保持し(図6のS101),図12に示すように,基板21のスルーホール31にコネクタ51の接続ピン52の先端部分を挿入する。そして接続ピン52の先端が,図中上方に突出した状態とする。その状態で,図13に示すように,治具23をセットする(図6のS102)。
【0043】
本形態では,先端側押圧部材23aのみで根元側押圧部材23bは不要である。あるいは,根元側押圧部材として,接続ピン52のうち本体部53から図13中で基板21の下部までの部分を,直立状態で係止するものを用いてもよい。そして,先端側押圧部材23aを図中下方に向けて押圧することにより,接続ピン52の先端を本体部53に向けて押圧する(図6のS103)。
【0044】
これにより,図14に示すように,接続ピン52が変位部52a,52bを中心に変形され,図中左右方向へ拡幅する。この拡幅した箇所が被挿入範囲に相当する。これにより,この範囲の接続ピン52がスルーホール31の壁面に圧接され,コネクタ51の接続ピン52とスルーホール31の導通部32とが導通する。この押圧の際に,第1の形態と同様に,押圧荷重を取得する。その取得結果から,押圧荷重が許容範囲内であったかどうかを判断する(図6のS104)。押圧荷重の変化のグラフの形状は,図5に示す第1の形態のものとほぼ同様のものとなるが,押圧荷重の許容範囲の数値は,第1の形態とは異なるものであってもよい。
【0045】
さらに,この判断の結果を受けて,メッセージ等を表示する工程については(図6のS105〜S107),第1の形態と同様の処理を行う。なお,本形態では,2箇所の変位部52a,52bを設けているが,3箇所以上であってもよいし,螺旋状の変位部を形成したものであってもよい。
【0046】
以上詳細に説明したように本形態の製造装置によっても,高精度なサイズ管理が不要で,コネクタの端子を基板に容易に挿入でき,確実に接続させることができるとともに,複数個の端子を有するコネクタであっても,個々の端子の接続品質を管理できるものとなっている。さらに,本形態で用いるコネクタ51は,従来より多く使用されている安価なものである。それでいて接続のためにハンダを使用することはないので,環境への負担が小さい製造方法となっている。
【0047】
なお,本形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。
例えば,接続されるコネクタのピン数やピン配置およびピン形状の細部等はいずれも変更可能である。また例えば,第2の形態における変位部の形成方法は金型によるものに限らない。また,上記の各形態では,根元側押圧部材として,各ピン34,52の根元側を保持するとしているが,ピンそのものではなく,本体部33,53を保持するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】第1の形態の製造工程で用いられる基板とピンを示す説明図である。
【図2】第1の形態の製造工程を示す説明図である。
【図3】第1の形態の製造工程を示す説明図である。
【図4】第1の形態の製造工程を示す説明図である。
【図5】押圧荷重の変化を示すグラフ図である。
【図6】製造方法を示すフローチャート図である。
【図7】均一加圧部を示す説明図である。
【図8】均一加圧部を示す説明図である。
【図9】第2の形態に係るコネクタを示す説明図である。
【図10】第2の形態に係る癖付け金型を示す説明図である。
【図11】癖付けされた接続ピンを示す説明図である。
【図12】第2の形態の製造工程を示す説明図である。
【図13】第2の形態の製造工程を示す説明図である。
【図14】第2の形態の製造工程を示す説明図である。
【符号の説明】
【0049】
14 押圧部
21 基板
22,51 コネクタ
23 治具
23a 先端側押圧部材
23b 根元側押圧部材
31 スルーホール
34 ピン
34a 先端部
52 接続ピン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に形成されたスルーホールに対して,コネクタに配設されたピンを接続することによるコネクタ付き基板の製造方法において,
前記ピンとして,挿入前における幅が前記スルーホールの径より小さいとともに押圧されることにより変形して拡幅する被挿入範囲を有するものを用い,
前記スルーホールに前記ピンを挿入して,前記ピンの先端が前記スルーホールを通って反対側に突出した状態とし,
前記スルーホールの外部から前記ピンを前記基板の厚さ方向に押圧することにより,前記被挿入範囲を前記スルーホールの径方向に拡幅させるとともに,拡幅した前記被挿入範囲をスルーホールの壁面に接触させて接続することを特徴とするコネクタ付き基板の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタ付き基板の製造方法において,
複数の前記ピンを有するコネクタおよび複数の前記スルーホールが形成された基板を用いて,複数の前記スルーホールの個々に対して,前記コネクタに配設された複数の前記ピンの個々を接続する方法であり,
前記ピンの先端を押圧する先端側押圧部材を使用し,
前記先端側押圧部材によって,個々の前記ピンの先端を根元側へ向かって押圧することにより,前記被挿入範囲をそれぞれ拡幅させることを特徴とするコネクタ付き基板の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載のコネクタ付き基板の製造方法において,
複数の前記ピンの先端を個別に押圧する複数の前記先端側押圧部材を使用し,
複数の前記先端側押圧部材を共通の押圧力で押圧するともに,その時の押圧力の変化を取得し,
取得された押圧力の変化に基づいて,前記ピンの接続状態の良否を判断することを特徴とするコネクタ付き基板の製造方法。
【請求項4】
請求項2に記載のコネクタ付き基板の製造方法において,
複数の前記ピンの先端を個別に押圧する複数の前記先端側押圧部材を使用し,
複数の前記先端側押圧部材を個別に押圧するとともに,その時の押圧力の変化を個別に取得し,
取得された押圧力の変化に基づいて,前記ピンの接続状態の良否を個別に判断することを特徴とするコネクタ付き基板の製造方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1つに記載のコネクタ付き基板の製造方法において,
前記ピンとして,前記被挿入範囲に貫通穴を有し,前記貫通穴の周囲が押圧により横方向へ広がることにより前記被挿入範囲が拡幅するものを用いることを特徴とするコネクタ付き基板の製造方法。
【請求項6】
請求項1から請求項4までのいずれか1つに記載のコネクタ付き基板の製造方法において,
前記ピンとして,直線部を有する針状であるとともに,前記直線部に対して少なくとも2方向に変位した変位部を前記被挿入範囲に有するものを用い,
前記ピンを押圧により前記スルーホール内で屈曲させることにより,前記被挿入範囲を拡幅させることを特徴とするコネクタ付き基板の製造方法。
【請求項7】
基板に形成された複数のスルーホールに対して,コネクタに配設された複数のピンを個々に接続するコネクタ付き基板の製造治具において,
複数の前記ピンの先端を個別に押圧する複数の先端側押圧部材と,
前記複数の先端側押圧部材に共通の押圧力を印加する圧力発生部とを有し,
前記先端側押圧部材は,前記圧力発生部の圧力を受けて前記ピンの先端を根元側へ向けて押圧するものであることを特徴とするコネクタ付き基板の製造治具。
【請求項8】
基板に形成されたスルーホールに対して,コネクタに配設されたピンを接続したコネクタ付き基板において,
前記ピンが前記スルーホールに挿入されているとともに,前記ピンの少なくとも一部が前記スルーホールの壁面に接触しており,
前記ピンのうち前記スルーホール内に配置されている箇所の少なくとも一部は,挿入される前には前記スルーホールの径より幅狭であったが押圧により前記スルーホールの径方向に拡幅されたものであることを特徴とするコネクタ付き基板。
【請求項1】
基板に形成されたスルーホールに対して,コネクタに配設されたピンを接続することによるコネクタ付き基板の製造方法において,
前記ピンとして,挿入前における幅が前記スルーホールの径より小さいとともに押圧されることにより変形して拡幅する被挿入範囲を有するものを用い,
前記スルーホールに前記ピンを挿入して,前記ピンの先端が前記スルーホールを通って反対側に突出した状態とし,
前記スルーホールの外部から前記ピンを前記基板の厚さ方向に押圧することにより,前記被挿入範囲を前記スルーホールの径方向に拡幅させるとともに,拡幅した前記被挿入範囲をスルーホールの壁面に接触させて接続することを特徴とするコネクタ付き基板の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタ付き基板の製造方法において,
複数の前記ピンを有するコネクタおよび複数の前記スルーホールが形成された基板を用いて,複数の前記スルーホールの個々に対して,前記コネクタに配設された複数の前記ピンの個々を接続する方法であり,
前記ピンの先端を押圧する先端側押圧部材を使用し,
前記先端側押圧部材によって,個々の前記ピンの先端を根元側へ向かって押圧することにより,前記被挿入範囲をそれぞれ拡幅させることを特徴とするコネクタ付き基板の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載のコネクタ付き基板の製造方法において,
複数の前記ピンの先端を個別に押圧する複数の前記先端側押圧部材を使用し,
複数の前記先端側押圧部材を共通の押圧力で押圧するともに,その時の押圧力の変化を取得し,
取得された押圧力の変化に基づいて,前記ピンの接続状態の良否を判断することを特徴とするコネクタ付き基板の製造方法。
【請求項4】
請求項2に記載のコネクタ付き基板の製造方法において,
複数の前記ピンの先端を個別に押圧する複数の前記先端側押圧部材を使用し,
複数の前記先端側押圧部材を個別に押圧するとともに,その時の押圧力の変化を個別に取得し,
取得された押圧力の変化に基づいて,前記ピンの接続状態の良否を個別に判断することを特徴とするコネクタ付き基板の製造方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1つに記載のコネクタ付き基板の製造方法において,
前記ピンとして,前記被挿入範囲に貫通穴を有し,前記貫通穴の周囲が押圧により横方向へ広がることにより前記被挿入範囲が拡幅するものを用いることを特徴とするコネクタ付き基板の製造方法。
【請求項6】
請求項1から請求項4までのいずれか1つに記載のコネクタ付き基板の製造方法において,
前記ピンとして,直線部を有する針状であるとともに,前記直線部に対して少なくとも2方向に変位した変位部を前記被挿入範囲に有するものを用い,
前記ピンを押圧により前記スルーホール内で屈曲させることにより,前記被挿入範囲を拡幅させることを特徴とするコネクタ付き基板の製造方法。
【請求項7】
基板に形成された複数のスルーホールに対して,コネクタに配設された複数のピンを個々に接続するコネクタ付き基板の製造治具において,
複数の前記ピンの先端を個別に押圧する複数の先端側押圧部材と,
前記複数の先端側押圧部材に共通の押圧力を印加する圧力発生部とを有し,
前記先端側押圧部材は,前記圧力発生部の圧力を受けて前記ピンの先端を根元側へ向けて押圧するものであることを特徴とするコネクタ付き基板の製造治具。
【請求項8】
基板に形成されたスルーホールに対して,コネクタに配設されたピンを接続したコネクタ付き基板において,
前記ピンが前記スルーホールに挿入されているとともに,前記ピンの少なくとも一部が前記スルーホールの壁面に接触しており,
前記ピンのうち前記スルーホール内に配置されている箇所の少なくとも一部は,挿入される前には前記スルーホールの径より幅狭であったが押圧により前記スルーホールの径方向に拡幅されたものであることを特徴とするコネクタ付き基板。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−114135(P2010−114135A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283148(P2008−283148)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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