説明

コネクタ及びその製造方法

【課題】二度のインサート成形により形成されるハウジングに通気口を備えながらも同ハウジングの大型化を回避する。
【解決手段】複数の端子金具10が装着されたハウジング20には、各端子金具10の一端部13A,13Bを内部に臨ませた中空の嵌合部21が設けられ、嵌合部21が機器のケース等に開口された取付孔に密閉状態に嵌着されるとともに、嵌合部21の内面からハウジング20の外面に達する通気口35が設けられたコネクタCであって、ハウジング20が、端子金具10を中子とした一次インサート成形で形成された一次成形体41と、この端子金具10を埋設した一次成形体41を中子40とした二次インサート成形で形成された二次成形体55により構成され、一次成形体41と二次成形体55の境界面50,56に、互いに合わされることで通気口35を構成するべく分割溝51,57が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
中継コネクタは、複数の端子金具をインサート成形によってハウジング内に組み込む一方、同ハウジングに、各端子金具の一端側と他端側とをそれぞれ臨ませた嵌合部を形成した構造になり、例えば一方の嵌合部を機器のケースを貫通して嵌着するとともに、他方の嵌合部に外部コネクタを嵌合するといった形態で使用される。ここで、2個の嵌合部が互いに交差する向きに形成されたもののように、端子金具の形状も含めてハウジングの形状が複雑なものになると、一度のインサート成形でコネクタを成形することが難しい。
そこで従来、端子金具を中子とした一次インサート成形により同端子金具を埋設した一次成形体を成形したのち、この端子金具を埋設した一次成形体を中子とした二次インサート成形をすることにより一次成形体の回りに二次成形体を成形し、最終的なハウジングすなわちコネクタを形成するようにしたものが知られている(下記特許文献1参照)。
【0003】
一方、この種の中継コネクタを防水を図って機器に取り付けるには、一方の嵌合部を機器のケースに開口された取付孔にシール部材を介して密閉状態で嵌着する手段が採られるが、その場合は、使用時において機器のケース内が温度上昇する等によってケースの内圧が上昇する可能性がある。
そのため、ハウジングに対して、嵌合部の内面から同ハウジングの外面に達する圧抜き用の通気口を形成するようにしており、上記のように二度のインサート成形によりハウジングを形成するものにあっては、中子となる一次成形体に予め通気口を形成するか、あるいは二次インサート成形で二次成形体を成形する際に同二次成形体に併せて通気口を形成する手段が講じられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−174697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
すなわち従来では、一次成形体または二次成形体のいずれか一方に通気口を形成したのであるが、通気口を設けるからにはその周りに相応の樹脂肉が必要となるため、その分、通気口を設けた一次成形体または二次成形体の嵩が大きくならざるを得ず、ひいてはハウジングすなわちコネクタの大型化を招くことになるため、さらなる改良が切望されていた。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、二度のインサート成形により形成されるハウジングに通気口を備えながらも同ハウジングの大型化を回避したコネクタ並びにその製造方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコネクタの製造方法は、複数の端子金具が装着されたハウジングには、前記各端子金具の一端側を内部に臨ませてなる中空の嵌合部が形成され、同嵌合部が機器のケース等に開口された取付孔に密閉状態で嵌着されるとともに、前記嵌合部の内面から前記ハウジングの外面に達する通気口が設けられたコネクタの製造方法であって、前記端子金具を中子とした一次インサート成形を行うことにより同端子金具を埋設しかつ外面に前記通気口の二分割された一側を構成する第1の分割溝を形成してなる一次成形体を成形する工程と、前記端子金具を埋設した前記一次成形体を中子として前記第1の分割溝を成形ピンに嵌めつつ二次成形型にセットして二次インサート成形を行うことにより、前記一次成形体を埋設し、かつ前記第1の分割溝が形成された前記一次成形体の外面と接触した外面に前記通気口の二分割された他側を構成する第2の分割溝を形成してなる二次成形体を成形する工程と、前記成形ピンを抜きつつ前記二次成形型を型開きして前記二次成形体を取り出す工程と、が備えられたところに特徴を有する。
また本発明のコネクタは、複数の端子金具が装着されたハウジングには、前記各端子金具の一端側を内部に臨ませてなる中空の嵌合部が設けられ、同嵌合部が機器のケース等に開口された取付孔に密閉状態に嵌着されるとともに、前記嵌合部の内面から前記ハウジングの外面に達する通気口が設けられたコネクタであって、前記ハウジングが、前記端子金具を中子とした一次インサート成形により形成された一次成形体と、この端子金具を埋設した一次成形体を中子とした二次インサート成形により形成された二次成形体によって構成され、かつ、前記一次成形体と前記二次成形体のそれぞれの境界面には、互いに合わされることにより前記通気口を構成するべく分割溝が形成されているところに特徴を有する。
【0007】
本発明では、ハウジングが、二度のインサート成形によって一次成形体の回りに二次成形体を成形することで形成されるものにおいて、一次成形体と二次成形体の互いに密着する面にそれぞれ分割溝を形成して両分割溝を合わせることで通気口が形成されている。すなわち、一次成形体と二次成形体の境界面において両者に亘って通気口を形成するようにしたから、一次成形体または二次成形体のいずれか一方に通気口を形成した場合と比較すると、通気口を構成する分割溝の周りに肉盛りをすることが不要にでき、その分一次成形体または二次成形体、ひいてはハウジングが嵩高となることが避けられ、結果コネクタの小型化を図ることができる。
【0008】
また、二次インサート成形の中子となる一次成形体に分割溝が設けられていて、この中子を二次成形型にセットする場合に、二次成形型に設けた成形ピンを分割溝に嵌めて中子を受けることができ、そのため同中子を樹脂圧を受けても移動不能に安定して支持することができ、ひいては二次インサート成形において二次成形体を正規形状に成形することができる。
【0009】
また、コネクタとして、以下のような構成としてもよい。
(1)前記通気口が複数本形成されている。中子を二次成形型内においてより安定して支持することができる。
(2)前記一次成形体には複数の前記端子金具が間隔を開けて並んで埋設されており、前記分割溝は、前記一次成形体の境界面のうち隣り合う前記端子金具の間に対応する位置に形成されている。
分割溝を、一次成形体の境界面のうちの隣り合う端子金具の間の位置といった、元々樹脂の肉厚が大きい部分に形成するようにしたから、分割溝を設けるに当たっての格別の肉盛りが不要にでき、一次成形体の嵩高化をより確実に回避できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、二度のインサート成形により形成されるハウジングに通気口を備えながらも同ハウジングの大型化を回避したコネクタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るコネクタの正面図
【図2】同底面図
【図3】同側面図
【図4】同縦断面図
【図5】図4のV−V線断面図
【図6】二次インサート成形の中子の正面図
【図7】同底面図
【図8】同側面図
【図9】二次成形型内に中子をセットした状態の断面図
【図10】図9のX−X線拡大断面図
【図11】二次インサート成形時の二次成形型の断面図
【図12】二次成形型を型開きした状態の断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
本発明の一実施形態を図1ないし図12によって説明する。
この実施形態では、コネクタCとして、電子機器ユニット(ECU)等の機器のケースに一体的に取り付けられる中継コネクタを例示している。
【0013】
先にコネクタCの全体構造を、図1ないし図5によって説明する。コネクタCは、合成樹脂製のハウジング20と、同ハウジング20に装着される図示10本の端子金具10とから構成されている。
ハウジング20は、方形の深皿を伏せたように形状になる第1嵌合部21と、この第1嵌合部21の右側面の中央幅位置から突出形成された角形のフード状をなす第2嵌合部22とが連設された形状であり、第2嵌合部22の奥壁からそれに隣接した第1嵌合部21の右側壁、さらには同第1嵌合部21の天井壁の右側縁部に亘る領域において端子装着部23が形成されている。
【0014】
第1嵌合部21の下端部の外周にはフランジ26が形成されている一方、同フランジ26の下部側の周壁27が、図示はしないが、機器のケースに開口された取付孔にシール部材を介して密閉して嵌着されるようになっている。第2嵌合部22は、これも図示はしないが、ハーネスの端末等に接続された外部コネクタが嵌合されるようになっている。同第2嵌合部22の上面には、相手の外部コネクタを嵌合状態にロックするためのロック部30とその保護壁31が、また左右の側面と下面とには、同じく外部コネクタを嵌合案内するリブ32が立てられている。
【0015】
端子金具10は、角形の金属線材を曲げ加工して形成されており、図4に示すように、大まかには、直線部11の基端側に、略門形に曲げ形成された門形部12が連設された形状であって、主に門形部12が相対的に大きい第1端子金具10Aと、同門形部12が小さい第2端子金具10Bの2種類が5本ずつ備えられている。
なお、以下において、両端子金具10A,10Bに共通した説明をする場合は、端子金具10として説明することがある。
【0016】
両端子金具10A,10Bの門形部12の後端側の垂下部は、直線部11を越えてその下方に所定寸法突出しており、この垂下部が端子金具10A,10Bの一端部13A,13Bとなる。一方、直線部11の先端側が、端子金具10A,10Bの他端部14A,14Bとなる。
なお、第2端子金具10Bでは、直線部11に対して門形部12が側方にずれるように途中で屈曲されている。
【0017】
これらの端子金具10は、第1端子金具10Aが上段側に、第2端子金具10Bが下段側において、それぞれ水平方向に所定間隔を開けて並べられた形態で端子装着部23に装着され、端子金具10A,10Bの他端部14A,14Bが、第2嵌合部22の奥面22Aから5本ずつが上下2段に亘って突出されている。一方、端子金具10A,10Bの一端部13A,13Bは、端子装着部23における天井面23Aから、5本ずつが左右2列に分かれ、かつ千鳥状の配置を採って下方に向けて突出している。
【0018】
上記した第1嵌合部21の右側の壁面21Aにおける下部位置には、水平姿勢をなす2本の通気口35が、所定間隔を開けて第2嵌合部22の奥面22Aの下部位置に開口するようにして形成されている。通気口35は断面円形をなし、ただし第2嵌合部22側から第1嵌合部21側に向けて次第に断面形状が縮径されるようなテーパ状に形成されている。
【0019】
このような構造になるハウジング20は、後記するように二度のインサート成形によって成形されるようになっており、一次インサート成形によって成形された一次成形体41と、この一次成形体41を中子40とした二次インサート成形により同一次成形体41の回りに成形された二次成形体55とから構成されており、上記した2本の通気口35は、一次成形体41と二次成形体55との所定の境界面において形成されている。
【0020】
コネクタCのさらに詳細な構造を、製造方法と併せて説明する。
一次成形型に10本の端子金具10を上記した配列でセットし、これらの端子金具10を中子して一次インサート成形を行うことにより、図6ないし図8に示すように、同端子金具10を埋設した一次成形体41が成形される。この端子金具10を埋設した一次成形体41が、後記する二次インサート成形を行う場合の中子40となる。
【0021】
一次成形体41の形状は、正面視において、図6に示すように、端子金具10の形状に略倣うようにして、垂直部42の左側面の上部と、右側面の下部からそれぞれ水平部43,44を突出形成したようなクランク状をなしており、図7に示すように、左側の水平部43は幅広に形成されている。同水平部43の下面の中央幅領域が、端子金具10A,10Bの一端部13A,13Bの突出面43Aとなっており、同突出面43Aは、上記した端子装着部23の天井面23Aと一致する。一方、右側の水平部44の右端面が、端子金具10A,10Bの他端部14A,14Bの突出面44Aとなっており、同突出面44Aは、ハウジング20の第2嵌合部22の奥面22Aのうちの下側領域を形成するようになっている。
【0022】
一次成形体41における左側の水平部43の幅方向の両端部には、上下両面に貫通した円形の樹脂流入孔46が形成されている。また、左右の水平部43,44の基端側における上下両面には、それぞれ端子金具10A,10Bを面一に露出させる程度まで凹んだ樹脂流入溝47が全幅に亘って形成されている。上下の樹脂流入溝47の両底面の間には、隣り合う端子金具10の間の位置ごとに、それぞれ小径の円形孔からなる樹脂流入孔48が貫通して形成されている。
【0023】
さて、一次成形体41における右側の水平部44から垂直部42に亘る下面(境界面50)には、上記したハウジング20内に形成された通気口35を上下に二分割したうちの上側部分を構成するような第1分割溝51が形成されている。したがって第1分割溝51の断面形状は上半分の半円形であって、かつ右側の水平部44から垂直部42側に向けて次第に縮径されたテーパ状となっている。
【0024】
また、2本の第1分割溝51は、右側の水平部44から垂直部42に亘る境界面50のうち、図8に示すように、5本並んだ第2端子金具10Bのうちの両端の第2端子金具10Bとそれぞれの内側の第2端子金具10Bとの間の領域においてそれぞれ形成されている。
なお、両第1分割溝51は、右側の水平部44の基端側の下面に形成された樹脂流入溝47を横切る部分では、分断された形態となっている。
【0025】
次に、上記のように形成された端子金具10を埋設した一次成形体41を中子40として、二次インサート成形が行われる。
二次成形型100は、図12に示すように、固定の下型101と、昇降可能な上型102と、左右に可動なスライド型103とを備えている。なお、スライド型103は実際には、同図の鎖線に示すように、下型101の直上位置において左右に可動に設けられている。
そして、特筆すべきは、スライド型103の型閉じ方向の前面に、2本の成形ピン106が所定間隔を開けて並んで突出形成されている。同成形ピン106は、上記した通気口35の中空を緊密に埋めるべく、先細りのテーパ状をなす丸ピンからなっている。
【0026】
このような二次成形型100内に上記した中子40がセットされる。それには、図12に示す型開き状態から、中子40における端子金具10A,10Bの下向きに突出した一端部13A,13Bを下型101の上面に形成された位置決め孔104に挿入して位置決めしつつ、中子40を下型101上に載置する。続いてスライド型103を型閉じ位置に前進させると、中子40における端子金具10A,10Bの横向きに突出した他端部14A,14Bが、同スライド型103の前面に形成された位置決め孔105に挿入される。併せてスライド型103に突設された2本の成形ピン106が前進し、同成形ピン106の上半分が、一次成形体41における右側の水平部44から垂直部42に亘る下面である境界面50に形成された第1分割溝51に嵌る。これにより、主に中子40における端子金具10A,10Bの他端部14A,14B側ががスライド型103で支持される。最後に、上型102が下降して、図9及び図10に示すように型閉じが完了する。
【0027】
二次成形型100の型閉じ状態では、各成形型101,102,103と中子40との間に所定形状のキャビティ108が構成される。キャビティ108は概ね、ハウジング20における第1嵌合部21、第2嵌合部22並びに同第2嵌合部22の奥壁の上部領域に相当する。
係る状態から、二次成形型100内に溶融樹脂が注入されることで二次インサート成形が行われ、溶融樹脂は、中子40に形成された樹脂流入溝47や樹脂流入孔46,48に流入しつつキャビティ108内に充填され、これが固化されることで二次成形体55が成形される。この二次成形体55は、一部が中子40内に入って結合しつつ、ハウジング20のうちの第1嵌合部21、第2嵌合部22並びに同第2嵌合部22の奥壁の上部領域を形成する。
また、二次成形体55における一次成形体41の第1分割溝51が形成された境界面50と対向した境界面56(図5参照)には、2本の成形ピン106の下半分が進入していることで、二分割された通気口35の下側部分を構成するような第2分割溝57が形成される。
【0028】
以上により完成品としてのコネクタCが形成され、続いて図12に示すように、スライド型103並びに上型102が後退位置に移動することで型開きされ、スライド型103に突設された成形ピン106が互いに合わさった上下の分割溝51,57の間から後方に抜けた形態で、コネクタCが下型101上に残る。最後に、下型101に設けられたエジェクトピンによりコネクタCが突き出されて取り出される。
【0029】
このように成形されたコネクタCは、既述したように、一次成形体41と二次成形体55とが一体化されることで、第1嵌合部21、第2嵌合部22及び端子装着部23からなるハウジング20が構成され、かつ同ハウジング20内に、10本の端子金具10A,10Bがそれぞれの一端部13A,13Bと他端部14A,14Bとをそれぞれ第1嵌合部21と第2嵌合部22に臨ませた形態で埋設され、さらに、一次成形体41と二次成形体55の所定の境界面50,56にそれぞれ形成された上下の分割溝51,57同士が合わさることで、第1嵌合部21の右側の壁面21Aにおける下部位置から、第2嵌合部22の奥面22Aの下部位置に開口する2本の通気口35が形成された構造となる。
【0030】
このコネクタCは例えば、第1嵌合部21の下端部が、機器のケースに開口された取付孔にシール部材を介して密閉して嵌着された形態で取り付けられ、第1嵌合部21内に突出した端子金具10A,10Bの一端部13A,13B群に対して、ケース内に配された内部コネクタやプリント基板の導電路が接続される。このとき、ハウジング20に形成された通気口35を利用して検査用の圧縮空気を内部に送り込むことによって、ケースの密閉性が確保されているか否か、例えばシール部材が正規に装着されているか否かを確認することができる。
【0031】
また、コネクタCの第2嵌合部22にハーネスの端末等に接続された外部コネクタが嵌合された状態で機器が作動され、その際、ケース内が温度上昇する等によってケースの内圧が上昇する可能性があるが、ケース内の高圧の空気は、コネクタCの第1嵌合部21から通気口35を通って第2嵌合部22に流出し、さらに外部コネクタとの嵌合部分等から外部に逃がされ、すなわちケース内の圧抜きが行われる。
【0032】
以上のように本実施形態のコネクタCでは、ハウジング20が、二度のインサート成形によって一次成形体41の回りに二次成形体55を成形することで形成されるものにおいて、一次成形体41と二次成形体55の互いに密着する境界面50,56にそれぞれ分割溝51,57を形成して両分割溝51,57を合わせることで通気口35が形成されている。すなわち、一次成形体41と二次成形体55の境界面50,56において両者に亘って通気口35を形成するようにしたから、一次成形体または二次成形体のいずれか一方に通気口を形成した場合と比較すると、通気口35を構成する分割溝51,57の周りに肉盛りをすることが不要にでき、その分一次成形体41または二次成形体55、ひいてはハウジング20が嵩高となることが避けられ、結果コネクタCの小型化を図ることができる。
【0033】
また、二次インサート成形の中子40となる一次成形体41に2本の第1分割溝51が設けられていて、この中子40を二次成形型100にセットする場合に、二次成形型100のスライド型103に設けた2本の成形ピン106を両第1分割溝51に嵌めて中子40を受けることができ、そのため同中子40を樹脂圧を受けても移動不能に安定して支持することができ、ひいては二次インサート成形において二次成形体55を正規形状に成形することができる。
【0034】
さらに、一次成形体41の境界面50に第1分割溝51を形成するに当たり、同境界面50のうちの隣り合う第2端子金具10Bの間の位置といった、元々樹脂の肉厚が大きい部分に形成するようにしたから、第1分割溝51を設けるに当たっての格別の肉盛りが不要にでき、一次成形体41の嵩高化をより確実に回避できる。
【0035】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、両分割溝について通気口の断面を二等分した断面を有するものを例示したが、互いに合わさったときに通気口の正規の断面が形成される限り、各分割溝の断面の比率は異なっていてもよい。
(2)通気口の断面形状については上記実施形態に例示した円形に限らず、楕円形、角形等、成形ピンを抜くことができる限り、任意の断面形状とすることができる。
【0036】
(3)通気口の形成位置は上記実施形態に例示した位置に限らず、一次成形体と二次成形体との境界面であって、かつ成形ピンが抜き差しできる位置である限り、他の位置であってもよい。
(4)コネクタの大きさ等の条件に応じて、通気口の数は1本でもよく、逆に3本以上であっても良い。
【符号の説明】
【0037】
C…コネクタ
10,10A,10B…端子金具
13A,13B…(端子金具10A,10Bの)一端部
20…ハウジング
21…第1嵌合部(嵌合部)
35…通気口
40…中子
41…一次成形体
50…境界面
51…第1分割溝
55…二次成形体
56…境界面
57…第2分割溝
100…二次成形型
105…スライド型
106…成形ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端子金具が装着されたハウジングには、前記各端子金具の一端側を内部に臨ませてなる中空の嵌合部が形成され、同嵌合部が機器のケース等に開口された取付孔に密閉状態で嵌着されるとともに、前記嵌合部の内面から前記ハウジングの外面に達する通気口が設けられたコネクタの製造方法であって、
前記端子金具を中子とした一次インサート成形を行うことにより同端子金具を埋設しかつ外面に前記通気口の二分割された一側を構成する第1の分割溝を形成してなる一次成形体を成形する工程と、
前記端子金具を埋設した前記一次成形体を中子として前記第1の分割溝を成形ピンに嵌めつつ二次成形型にセットして二次インサート成形を行うことにより、前記一次成形体を埋設し、かつ前記第1の分割溝が形成された前記一次成形体の外面と接触した外面に前記通気口の二分割された他側を構成する第2の分割溝を形成してなる二次成形体を成形する工程と、
前記成形ピンを抜きつつ前記二次成形型を型開きして前記二次成形体を取り出す工程と、
が備えられたことを特徴とするコネクタの製造方法。
【請求項2】
複数の端子金具が装着されたハウジングには、前記各端子金具の一端側を内部に臨ませてなる中空の嵌合部が設けられ、同嵌合部が機器のケース等に開口された取付孔に密閉状態に嵌着されるとともに、前記嵌合部の内面から前記ハウジングの外面に達する通気口が設けられたコネクタであって、
前記ハウジングが、前記端子金具を中子とした一次インサート成形により形成された一次成形体と、この端子金具を埋設した一次成形体を中子とした二次インサート成形により形成された二次成形体によって構成され、
かつ、前記一次成形体と前記二次成形体のそれぞれの境界面には、互いに合わされることにより前記通気口を構成するべく分割溝が形成されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項3】
前記通気口が複数本形成されていることを特徴とする請求項2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記一次成形体には複数の前記端子金具が間隔を開けて並んで埋設されており、前記分割溝は、前記一次成形体の境界面のうち隣り合う前記端子金具の間に対応する位置に形成されていることを特徴とする請求項2または請求項3記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−16388(P2013−16388A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149161(P2011−149161)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】