説明

コネクタ及び電源モジュール

【課題】 製造工程の簡略化並びに製造時の安全性を向上させることが可能なコネクタ及びそれを用いた電源モジュールを提供する。
【解決手段】 一端が複数の単電池のいずれかの正極及びいずれかの負極とそれぞれ接続する一対の接続バー12と、一対の接続バーの他端が結合された、外部負荷と接続する一対の外部接続端子11と、一対の外部接続端子11が埋め込まれた、絶縁性のコネクタ本体10とを備え、接続バー12は、筐体側壁53並びに複数の単電池60の正極及び負極が位置する面に沿って屈曲した一定形状を有するものである、コネクタ1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単一の電源として利用するために組み合わせられた複数の単電池を外部負荷に接続するためのコネクタ及びそれを用いた電源モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄電池等の分野において、所望の電力を取り出すために出力の小さな単電池を複数接続して1個の電源モジュールを構成することは広く行われている。そのような電源モジュールにおいては、隣接した単電池の各電極は平板状のバスバーで接続されている(例えば特許文献1、図2を参照)。
【0003】
一方で、1個の電源モジュールから電気自動車等の外部負荷に電力を供給するためには、電源モジュールから当該外部負荷への配線を引き出す必要がある。そのような配線の一例として、特許文献2には、複数のバッテリーを筐体に収納してなる電源モジュールにおいて、筐体蓋板に露出する電極に固定された導線を、筐体の側面に設けられた開口から外部へ引き出した構成が開示されている(例えば図3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−160931号公報
【特許文献2】特開2003−157819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術においては、以下のような問題があった。
【0006】
すなわち、各特許文献に示されるような電源モジュールにおいては、各単電池の電極は例えば上面のような特定の主面に集中して露出しており、外部負荷への配線の取り付けは当該主面上にて行う必要がある。このとき、接続箇所の位置決めや固定に手間がかかってしまう。さらには作業中に接続対象とは異なる他の電極に接触してしまう恐れがある。なお、各単電池の電極は、特に組電池の状態では高電圧が印加される部分として露出されており、その扱いには注意が求められる。
【0007】
このように、従来の技術においては、電源モジュールの外部配線の接続においては、製造工程が複雑であり、かつ安全性が確保されていないという課題があった。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、製造工程の簡略化並びに製造時の安全性を向上させることが可能なコネクタ及びそれを用いた電源モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の側面は、複数の単電池が配置される筐体底面及び前記筐体底面の周囲の少なくとも一部に設けられた筐体壁面を有するモジュール筐体の、前記筐体壁面に装着されるコネクタであって、
一端が前記複数の単電池のいずれかの正極及びいずれかの負極とそれぞれ接続する一対の接続バーと、
前記一対の接続バーの他端が固定された、外部負荷と接続する一対の外部接続端子と、
前記一対の外部接続端子が埋め込まれた、絶縁性のコネクタ本体とを備え、
前記接続バーは、前記筐体側面並びに前記複数の単電池の前記正極及び前記負極が位置する面に沿って屈曲又は湾曲した一定形状を有するものである、コネクタである。
【0010】
又、本発明の第2の側面は、前記一対の接続バーの前記一端の間隔は、前記筐体底面に配置される前記複数の単電池のいずれかの正極及びいずれかの負極の間隔に対応している、本発明の第1の側面のコネクタである。
【0011】
又、本発明の第3の側面は、前記一対の接続バーの前記一端の間隔は、前記一対の外部接続端子の間隔よりも大きい、本発明の第1又は第2の側面のコネクタである。
【0012】
又、本発明の第4の側面は、前記一対の接続バーの、前記屈曲又は湾曲した部分と前記他端との間の部分は直線を成している、本発明の第1又は第2の側面のコネクタである。
【0013】
又、本発明の第5の側面は、前記外部接続端子又は前記コネクタ本体は、前記一対の接続バーの前記直線を成している前記部分に対応した溝又は凹部を有し、
前記部分は前記溝又は凹部に嵌り込んでいる、本発明の第4の側面のコネクタである。
【0014】
又、本発明の第6の側面は、前記一対の接続バーの、前記一端の間隔は、前記筐体底面に配置される複数の単電池の前記複数の単電池のいずれかの正極及びいずれかの負極の間隔に応じて可変自在である、本発明の第1の側面のコネクタである。
【0015】
又、本発明の第7の側面は、前記一対の接続バーの前記他端は、前記筐体底面に配置される複数の単電池の前記複数の単電池のいずれかの正極及びいずれかの負極の間隔に応じた複数の取り付け位置のいずれかにて前記外部接続端子に固定可能である、本発明の第6の側面のコネクタである。
【0016】
又、本発明の第8の側面は、前記一対の接続バーの、前記屈曲した部分と前記一端との間の部分は、前記筐体底面に配置される複数の単電池の前記複数の単電池のいずれかの正極及びいずれかの負極の間隔に応じて設けられた複数の取り付け位置のいずれかに応じた角度に可変自在であり、
前記一対の接続バーの前記他端は、前記筐体底面に配置される複数の単電池の前記複数の単電池のいずれかの正極及びいずれかの負極の間隔に応じた取り付け位置にて前記外部接続端子に固定されるものである、本発明の第6の側面のコネクタである。
【0017】
又、本発明の第9の側面は、本発明の第1から第8のいずれかの側面のコネクタと、
複数の単電池と、
筐体底面及び前記筐体底面の周囲の少なくとも一部に設けられた筐体壁面を有するモジュール筐体とを備え、
前記コネクタは前記筐体壁面に固定されており、
前記複数の単電池は前記筐体底面上に所定の配列で配置され、
前記複数の単電池のいずれかの正極及びいずれかの負極と、前記コネクタの前記一対の接続バーの前記一端とが電気的に接続されている、電源モジュールである。
【発明の効果】
【0018】
以上のような本発明によれば、製造工程の簡略化並びに製造時の安全性を向上させることが可能となる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態1に係るコネクタを用いた電源モジュールの構成を示す分解斜視図
【図2】本発明の実施の形態1に係るコネクタを用いた電源モジュールの要部構成を示す斜視図
【図3】本発明の実施の形態1に係るコネクタの構成を示す正面斜視図
【図4】本発明の実施の形態1に係るコネクタの構成を示す背面斜視図
【図5】本発明の実施の形態1に係るコネクタの構成を示す平面図
【図6】(a)本発明の実施の形態1に係るコネクタの接続バーの展開図(b)本発明の実施の形態1に係るコネクタの接続バーの構成を示す斜視図
【図7】(a)本発明の各実施の形態に係るコネクタを説明するための斜視図(b)本発明の各実施の形態に係るコネクタを説明するための側面図
【図8】(a)本発明の実施の形態1に係るコネクタの構成を示す分解斜視図(b)本発明の実施の形態1に係るコネクタの作製を説明するための図
【図9】本発明の実施の形態1に係るコネクタの他の構成例を示す分解斜視図
【図10】(a)本発明の実施の形態2に係るコネクタにおける接続バーの斜視図(b)本発明の実施の形態2に係るコネクタの構成を示す正面図
【図11】(a)本発明の実施の形態3に係るコネクタにおける接続バーの斜視図(b)本発明の実施の形態3に係るコネクタの構成を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る電源モジュール50の構成を示す分解斜視図である。
【0022】
図1に示すように、本実施の形態1の電源モジュール50は、平面形状が矩形の筐体底板51、筐体底板51と同一形状を有し、これと対向する筐体蓋板52,筐体底板51の主面上に配列された複数の単電池60、筐体底板51の短辺側に設けられた筐体側板53及び54を備える。
【0023】
筐体底板51、筐体蓋板52並びに筐体側板53及び54は、いずれも鋼板を加工して作製され、その表面は塗工されている。
【0024】
複数の単電池60は、筐体底板51上にて2行×4列でレイアウトされ、電気的には直列接続される。すなわち、複数の単電池60は、互いの正極と負極とが隣接するように配置され、銅等の導電性のバスバー55によって接続される。
【0025】
正負それぞれの電極に対応する、表面にネジが切られた接続端子61は、バスバー55の貫通孔55aに挿入され、ボルト56の締め付けにより固定される。図1においては、単電池60はバスバー55によりその短辺同士が隣接するように縦列接続された状態で筐体底板51上を蛇行して引回されており、列の両端の単電池はそれぞれ単電池60(イ)及び60(ロ)として、筐体側板53寄りに位置している。
【0026】
又、筐体側板53には後述するコネクタ1が設けられており、複数の単電池60と図示しない外部負荷とを接続する役割を有する。
【0027】
図2は、電源モジュール50のコネクタ1近傍の構成を示す要部拡大図である。
【0028】
図2に示すように、縦列接続された単電池60の一端である単電池60(イ)及び他端である単電池60(ロ)は、それぞれ筐体底板51の縁部寄りに配置され、互いに極性の異なる電極である接続端子61(イ)及び61(ロ)が、ボルト56の締付けによりコネクタ1の接続バーの、後述する端子部12b(イ)及び12b(ロ)に固定されている。
【0029】
次に、図3は、本発明の実施の形態1にかかるコネクタ1の構成を示す正面斜視図、図4は同背面斜視図、図5は、筐体側板53を含めたコネクタ1の要部断面図を含む平面図である。ただし、ここで「正面」とは電源モジュール50内において単電池60と対向する側であり、「背面」とは正面の反対側の面を意味する。
【0030】
図3に示すように、コネクタ1は、筐体側板53の中央部分に設けられたコネクタ本体10と、コネクタ本体10内に埋設された外部接続端子11と、外部接続端子11の一方の端面に固定ネジ13によって固定された接続バー12とから構成される。外部接続端子11及び一対の接続バー12は、バスバー55同様の導電性の金属製部材である。又、外部接続端子11は筐体側板53を貫通するようなレイアウトで配置された、両端面がそれぞれ電源モジュールの外側と内側とに対向した円筒形の形状を有する。
【0031】
又、図4及び図5に示すように、コネクタ本体10の背面側には凹部10aが設けられ、凹部10aの内部には外部接続端子11の他方の端面が露出し、さらにその端面には、外部負荷からの接続端子を着脱可能に固定するための取付穴11a が開口されている。
【0032】
図5に示すように、外部接続端子11の背面側の端面に開口された取付穴11aに、図示しない外部端子が装着されることにより、外部端子と接続バー12との電気的接続が得られる。なお、外部接続端子11と外部端子との着脱を実現する構成は、両者の電気的接続が確保できるものであれば、締結、係合などの任意の態様の周知技術を用いることができ、詳細は省略する。又、外部接続端子11は、正面及び背面の端面を除く殆どの部分がコネクタ本体10内に埋設されている。なお、図5においては、ネジ穴11bに固定ネジ13のネジ部13aが取り付けられている状態を示した。
【0033】
次に、一対の接続バー12は、図5に示すように筐体側板53と平行を保ちつつ、図3に示すように筐体側板53の上辺に向かって斜交して延伸する基台部12aと、図3及び図4に示すように、筐体側板53に直交して単電池60側に向かって延伸する端子部12bとから構成される。端子部12bの端部には、単電池60の接続端子61に嵌合するための貫通孔12cが開口されている。
【0034】
ここで図6(a)に接続バー12の展開図を、図6(b)に斜視図をそれぞれ示す。図6(a)に示すように、接続バー12は圧延、穿孔等により加工され、屈曲部12eを境界として両端が角度(開き角)をもって延伸する短冊状の形状を有し、個々の直線部分が基台部12a及び端子部12bを構成している。なお、基台部12aの端部には、固定ネジ13に嵌合するための貫通孔12dが開口されている。
【0035】
そして、図6(b)に示すように、接続バー12は、さらに基台部12a及び端子部12bの主面同士が屈曲角として直角をなすように屈曲部12eを屈曲させることにより完成される。接続バー12を構成する基台部12a及び端子部12bは、例えば数ミリ以上の厚みを有する金属製であり、これにより、屈曲部12eにおける屈曲角を保持する程度の剛性が確保される。
【0036】
以上の説明において、コネクタ1は本発明のコネクタに相当し、電源モジュール50は本発明の電源モジュールに相当する。又、電源モジュール50における、単電池60が載置される筐体底板51の主面、単電池60に対向する筐体側板53の主面は、それぞれ本発明の筐体底面、筐体壁面に相当する。又、筐体底板51、筐体蓋板52、並びに筐体側板53及び54の組み合わせは、本発明のモジュール筐体に相当する。
【0037】
又、接続バー12は本発明の接続バーに相当し、外部接続端子11は本発明の外部接続端子に相当し、コネクタ本体11は本発明のコネクタ本体に相当し、屈曲部12eは本発明の接続バーの屈曲した部分に相当する。
【0038】
このような構成を有する本発明の実施の形態1のコネクタ1は、コネクタ本体10、外部接続端子11及び接続バー12が、複数の単電池60の配置に応じた一定の形態を維持するように組み合わされたことを特徴とする。
【0039】
すなわち、図7(a)の斜視図に示すように、コネクタ1は、(A)一対の外部接続端子11がコネクタ本体10に埋設されることで端子間の距離及び位置が固定されていること、(B)一対の接続バーの端子部12bが、単電池60(イ)及び60(ロ)の上面と平行な同一直線上に位置するように、接続バー12の基台部12aと外部接続端子11とが固定ネジ13により固定されていること、(C)接続バー12の端子部12bの、貫通孔12c(イ)及び12c(ロ)の間隔が、筐体底板51上に配列された単電池60(イ)及び60(ロ)の、接続端子61(イ)及び61(ロ)の間隔に一致するように、 基台部12aと端子部12bの開き角θ及び屈曲角が定められていること、の3条件を満たしている。
【0040】
このようなコネクタ1は、図7(b)の側面図に示すように、単電池60の角に対して接続バー12をかぶせるように移動させることにより、接続端子60と接続バー12の貫通孔12cとの位置決めを容易に行い、単電池60と外部接続端子11との電気的接続を簡便に実現することができる。
【0041】
このとき、コネクタ1の移動は、絶縁体であるコネクタ本体10を保持するか、又はコネクタ本体10を介することで電気的に絶縁された筐体側板53を保持することによって行われ、しかも移動の操作は単電池60の側面又は斜め上方から上面に向かって行えばよい。したがって、操作中に接続端子61(イ)及び61(ロ)以外の接続端子やバスバーに接触する恐れも著しく低減することができる。
【0042】
ところで、コネクタ1の作製において、上記の条件(B)を満たすためには、図8(a)に示すように、固定ネジ13の締結の際に接続バー12が従動して図中矢印方向に回転することを防ぐ必要がある。そこで本実施の形態1においては、例えば、図8(b)に示すような、治具70を用いる。治具70は接続バー12の基台部12aの幅及び傾斜角Φに応じた溝71を有しており、基台部12aを溝71に嵌め込んだ状態で固定ネジ13を締結することにより、接続バー12の回転を規制して、一定位置で外部接続端子11に固定することが可能となる。
【0043】
又、治具70の使用に替えて、図9に示す構成としてもよい。図9は、外部接続端子11の代わりに、端面に凹部21が形成された外部接続端子20を備えた構成例であるコネクタ73を示す斜視図である。凹部21は、基台部12aの端部形状の反転形状を有する。凹部21に基台部12aを嵌め込み固定ネジ13を締結することで、治具の使用よりも簡易かつ精密にコネクタ73を作製することができる。さらに、この構成によれば、作成後のコネクタ73において、固定ネジ13にゆるみ等が生じた場合であっても、接続バー12の固定位置が保持できるという効果を有する。凹部21に代えて、外部接続端子11を横断する、基台部12aの幅に対応した横幅を有する凹溝を形成するようにしても同様の効果が得られる。さらに、外部接続端子側でなく、コネクタ本体10に凹部又は凹溝を形成するようにしてもよい。この場合、コネクタ本体10は、当該凹部又は凹溝が形成される部分が外部接続端子11よりも基台部12a側にせり出すように構成する。
【0044】
なお、上記の説明においては、一対の接続バー12の端子部12bの間隔は、横4列に配列された単電池60の両端の接続端子61(イ)及び61(ロ)に対応したものとしたが、図6(a)の平面図に示す基台部12a及び端子部12bのなす開き角θを、単電池60の配列数や筐体底板53上における単電池60のレイアウトに基づく所望の接続端子61に応じて設定することにより、電源モジュール50における単電池の個数やレイアウトに応じて、単電池の接続端子への取り付けが容易なコネクタを得ることができる。
【0045】
以上のように、本実施の形態1のコネクタによれば、電源モジュールの製造に際して、外部負荷との接続に必要な工程の簡略化並びに当該工程における安全性を向上させることができる。
【0046】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2によるコネクタについて、図10(a)(b)を参照して説明を行う。ただし実施の形態1と共通の構成は同一符号を付し、詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0047】
本発明の実施の形態2によるコネクタは、単一の接続バーを用いて、複数の単電池の個数、配置のバリエーションに対応可能としたものである。
【0048】
図10(a)の斜視図に示すように、本実施の形態2のコネクタは、実施の形態1の接続バー12に替えて、接続バー30を有することを特徴とする。接続バー30は、接続バー12の端子部12b、貫通孔12c及び屈曲部12eと同一形状、同一寸法の端子部30b、貫通孔30c及び屈曲部30eを有する一方で、独自の構成として、3つの貫通孔30f、30g、30hが開口された基台部30dと、基台部30d及び端子部30bを接続するブリッジ部30aとを備える。
【0049】
接続バー30において、屈曲部30e、ブリッジ部30a及び貫通孔30gの三者間の寸法又は位置関係は、接続バー12の屈曲部12e、基台部12a及び貫通孔12dのそれと同一であり、貫通孔30f及び30hは、端子部30bの主面と平行をなす直線上にて、貫通孔30gの両隣に位置している。
【0050】
ここで貫通孔30fと貫通孔30gとの間隔、及び貫通孔30fと貫通孔30gとの間隔を、単電池60の配列数や筐体底板53上における単電池60のレイアウトに基づく所望の接続端子61に応じて設定することにより、電源モジュール50における単電池の個数やレイアウトに応じて、単電池の接続端子への取り付けが容易なコネクタを得ることができる。
【0051】
具体例を図10(b)の正面図に示す。コネクタ31は、一対の接続バーの一方を接続バー30、他方を接続バー12として備えたものである。図中実線で示す接続バー30(イ)のように、接続バー30を、貫通孔30gを介して外部接続端子11に固定した場合は、実施の形態1と同様の寸法となる。
【0052】
一方、貫通孔30hを介して外部接続端子11に固定した場合は、図中一点鎖線で示す接続バー30(ハ)のように、接続対象となる単電池の接続端子の間隔がより狭い場合に好適な構成となる。さらに、貫通孔30fを介して固定した場合は、図中破線で示す接続バー30(ロ)のように、単電池の接続端子の間隔がより広い場合に好適な構成となる。
【0053】
このように、本実施の形態2のコネクタによれば、単一の接続バーを用いて、複数の単電池の個数、配置のバリエーションに対応することができる。
【0054】
なお、上記の説明においてはコネクタ31は一方の接続バーが接続バー30であるとしたが、一対の接続バー同士が短絡しない限り、双方の接続バーを接続バー30により構成してもよい。又、基台部30dに設ける貫通孔は2つ又は4つ以上であってもよい。さらに、各貫通孔同士を繋げて一つのスリットとして、端子部30bの間隔を無段階に変更できる構成としてもよい。
【0055】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3によるコネクタについて、図11(a)(b)を参照して説明を行う。ただし実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0056】
本発明の実施の形態3によるコネクタも、実施の形態2と同様、単一の接続バーによって、複数の単電池の個数、配置のバリエーションに対応可能としたものである。
【0057】
図11(a)の斜視図に示すように、本実施の形態3のコネクタは、実施の形態1の接続バー12に替えて、端子部41と基台部42とが回動可能に結合された接続バー40を備えたことを特徴とする。
【0058】
端子部41は、接続バー12の端子部12b、貫通孔12c及び屈曲部12eとそれぞれ同一形状、同一寸法の端子片40b、貫通孔40c及び屈曲部40eを有し、さらに屈曲部40eを境界に直角に屈曲した回動端40dを有する。又、基台部42は、一端に長円形状のスリット40fが、又他端に貫通孔40hがそれぞれ開口された基台片40aから構成される。
【0059】
端子部41の貫通孔40gと基台部42の貫通孔40hにはリベット40iが挿入され、これにより端子部41と基台部42はその主面上で回動可能に結合される。なお、図中にはリベット40iの一端の外径を貫通孔40g、40hと同寸として示したが、これは説明のためであり、両端の外径は貫通孔40g、40hの外径よりも大きい。
【0060】
以上のような構成を有する接続バー40においては、端子部41及び基台部42のなす回動角を、単電池60の配列数や筐体底板53上における単電池60のレイアウトに基づく所望の接続端子61に応じて設定することにより、電源モジュール50における単電池の個数やレイアウトに応じて、単電池の接続端子への取り付けが容易なコネクタを得ることができる。
【0061】
具体例を図11(b)の正面図に示す。コネクタ43は、一対の接続バーの一方を接続バー40で置きかえたものである。図中実線で示す接続バー40(イ)は、端子部41及び基台部42のなす回動角を、図6(a)に示す開き角θと同一とすることにより、実施の形態1と同様の配置を実現したものである。なお、スリット40fに対して固定ネジ13の位置は可変自在な状態にあるが、回動角が固定されればこれに応じて一意に定まる。
【0062】
次に、回動角をより大きくとった場合は、図中一点鎖線で示す接続バー40(ハ)のように、接続対象である単電池の接続端子の間隔がより狭い場合に好適な構成となる。又、回動角をより小さくとった場合は、図中破線で示す接続バー40(ロ)のように、単電池の接続端子の間隔がより広い場合に好適な構成となる。
【0063】
特に本実施の形態のコネクタ43の接続バー40は、実施の形態2の接続バー30と比較した場合、端子部41の間隔を変更する際に、基台部42の端部が端子部41と逆方向に移動する特徴を有する。これは他方の接続バーとの接触可能性を低減する効果を有し、結果として接続バーの可動範囲をより大きく取ることができるという利点を与える。例えば、接続バー12の端子部12bの間隔を、外部接続端子11の間隔と同一又はより小さく設定することが可能となる。又、図中二点鎖線で示す接続バー40(ハ)のように、接続バー12の端子部12bの間隔を外部接続端子11の間隔と同一状態に保ったまま、筐体側壁53における端子部の位置のみを変更させることも可能となる。
【0064】
このように、本実施の形態3のコネクタによれば、単一の接続バーを用いて、複数の単電池の個数、配置のより幅広いバリエーションに対応することができる。
【0065】
なお、上記の説明においては、コネクタ43は一方の接続バーが接続バー40であるとしたが、接続バー同士が短絡しない限り、双方の接続バーを接続バー40により構成してもよい。
【0066】
以上説明したように、本発明の各実施の形態によれば、電源モジュールの製造に際して、外部負荷との接続に必要な工程の簡略化並びに当該工程における安全性を向上させ、さらには電源モジュールに用いられる複数の単電池の個数や配置のバリエーションにも対応することができる。
【0067】
しかしながら、本発明は上記の各実施の形態に限定されるものではない。図6(a)の展開図にて接続バー12の基台部12aは直線状であるとしたが、同一平面内での変形である限り、曲線であってもよいし、さらに屈曲した部分を有していてもよい。接続バー12の構成は、単電池60の所望の接続端子の位置に対応して基台部12aと端子部12bとの開き角θが一定に維持され、かつ基台部12a及び端子部12bの主面同士が直角をなすように屈曲部12eが屈曲していればよく、基台部12の具体的な平面形状によって本発明は限定されるものではない。ただし、基台部12aは直線状としたほうが、電気経路を最短とできるため損失を最小限に抑えることができ、より好適である。
【0068】
さらに、上記の説明においては、接続バー12は、基台部12a及び端子部12bの主面同士が直角をなすように屈曲部12eが屈曲するものとしたが、これはコネクタ1が装着される電源モジュール50の外形が直方体状の形状を有することに基づく便宜上のものであって、本発明のコネクタは図7(a)を参照して説明した(A)(B)(C)の3条件を満たす構造であればよい。したがって屈曲部12eは直角より大きな角度で屈曲していてもよいし、小さな角度で屈曲してもよい。
【0069】
又、図3、図5等においては一対の端子部12bは平行状態で延伸しているものとして示したが、交差する向きにて延伸している構成としてもよい。
【0070】
又、上記の説明においては、接続バーの基台部12aと端子部12bとは屈曲部12eを境に開き角θで開き、かつ屈曲するものとしたが、屈曲の代わりに湾曲した構成であってもよい。要するに、本発明の接続バーは、上記(c)の条件に従い一定形状を保持できればよく、開き角θや角度の形成のための具体的な形状によって限定されない。
【0071】
要するに、本発明の要旨を逸脱しない範囲内であれば、以上説明したものを含め、上記各実施の形態に種々の変更を加えてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上のような本発明は、製造工程の簡略化並びに製造時の安全性を向上させることが可能な効果を有し、例えば電源モジュールに組み込まれるコネクタ又は当該コネクタを用いた電源モジュールにおいて有用である。
【符号の説明】
【0073】
1 コネクタ
10 コネクタ本体
10a 凹部
11 外部接続端子
11a 取付穴
11b ネジ穴
12 接続バー
12a 基台部
12b 端子部
12c、12d 貫通孔
12e 屈曲部
13 固定ネジ
50 電源モジュール
51 筐体底板
52 筐体蓋板
53、54 筐体側板
60 単電池
61 接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単電池が配置される筐体底面及び前記筐体底面の周囲の少なくとも一部に設けられた筐体壁面を有するモジュール筐体の、前記筐体壁面に装着されるコネクタであって、
一端が前記複数の単電池のいずれかの正極及びいずれかの負極とそれぞれ接続する一対の接続バーと、
前記一対の接続バーの他端が固定された、外部負荷と接続する一対の外部接続端子と、
前記一対の外部接続端子が埋め込まれた、絶縁性のコネクタ本体とを備え、
前記接続バーは、前記筐体側面並びに前記複数の単電池の前記正極及び前記負極が位置する面に沿って屈曲又は湾曲した一定形状を有するものである、コネクタ。
【請求項2】
前記一対の接続バーの前記一端の間隔は、前記筐体底面に配置される前記複数の単電池のいずれかの正極及びいずれかの負極の間隔に対応している、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記一対の接続バーの前記一端の間隔は、前記一対の外部接続端子の間隔よりも大きい、請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記一対の接続バーの、前記屈曲した部分と前記他端との間の部分は直線を成している、請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記外部接続端子又は前記コネクタ本体は、前記一対の接続バーの前記直線を成している前記部分に対応した溝又は凹部を有し、
前記部分は前記溝又は凹部に嵌り込んでいる、請求項3に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記一対の接続バーの、前記一端の間隔は、前記筐体底面に配置される複数の単電池の前記複数の単電池のいずれかの正極及びいずれかの負極の間隔に応じて可変自在である、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記一対の接続バーの前記他端は、前記筐体底面に配置される複数の単電池の前記複数の単電池のいずれかの正極及びいずれかの負極の間隔に応じた複数の取り付け位置のいずれかにて前記外部接続端子に固定可能である、請求項6に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記一対の接続バーの、前記屈曲した部分と前記一端との間の部分は、前記筐体底面に配置される複数の単電池の前記複数の単電池のいずれかの正極及びいずれかの負極の間隔に応じて設けられた複数の取り付け位置のいずれかに応じた角度に可変自在であり、
前記一対の接続バーの前記他端は、前記筐体底面に配置される複数の単電池の前記複数の単電池のいずれかの正極及びいずれかの負極の間隔に応じた取り付け位置にて前記外部接続端子に固定されるものである、請求項6に記載のコネクタ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載のコネクタと、
複数の単電池と、
筐体底面及び前記筐体底面の周囲の少なくとも一部に設けられた筐体壁面を有するモジュール筐体とを備え、
前記コネクタは前記筐体壁面に固定されており、
前記複数の単電池は前記筐体底面上に所定の配列で配置され、
前記複数の単電池のいずれかの正極及びいずれかの負極と、前記コネクタの前記一対の接続バーの前記一端とが電気的に接続されている、電源モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−20700(P2013−20700A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150547(P2011−150547)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(507151526)株式会社GSユアサ (375)
【Fターム(参考)】