説明

コネクタ構造

【課題】端子金具同士をボルト留めする工具と検知部材との衝突を回避でき、かつ小型化できるコネクタ構造を提供する。
【解決手段】コネクタ構造は、端子金具20を複数備えたコネクタ2と、端子金具20がボルト留めされる端子金具12を複数備えたコネクタ取付部10と、外部に開口し端子金具20、12をボルト留めするための内部空間34と、内部空間34の開口35を覆うカバーと、コネクタ取付部10に設けられた第1検知部材6と、カバーに設けられた第2検知部材と、を備え、カバーが開口35を覆うと第1検知部材6と第2検知部材が接続してカバーが覆われたことを検知する。第1検知部材6は、コネクタ取付部10の端子金具12の間に配されるとともに、最も開口35側の第1ハウジング62の端面62aが、コネクタ2の端子金具20の電気接触部22の表面23よりも内部空間34の奥側に配されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタとコネクタ取付部の端子金具同士を孔を通してボルト留めするコネクタ構造において、孔を覆うカバーとコネクタ取付部とにそれぞれ孔が覆われたことを検知する検知部材を備えたコネクタ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車には、多種多様な電子機器が搭載されている。例えば、ハイブリッドカーや電気自動車には、三相交流のモータや、このモータにバッテリからの直流電力を交流電力に変換して供給するインバータ等の電子機器が搭載されている。これらモータとインバータを接続するために、例えば、モータに電線を介して接続されたコネクタを、インバータのコネクタ取付部に取り付けるコネクタ構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載されたコネクタ構造は、端子金具を3つ備えたコネクタ(接続端子集合体)と、コネクタの端子金具がそれぞれ重ねられてボルト留めされる端子金具を3つ備えたコネクタ取付部と、を備えている。コネクタ取付部にはコネクタを収容する収容孔が開口し、端子金具は収容孔内に配されている。また、コネクタ取付部には、収容孔に連通して外部に開口し、重なり合った端子金具同士をボルト留めするための孔が設けられている。端子金具同士をボルト留めすることで、端子金具同士の接続信頼性を向上させることができる。また、コネクタ構造は、コネクタの孔の開口を覆うカバーを備えている。
【0004】
前述したコネクタ構造では、モータとインバータとを接続しているので高電圧が印加される。このため、メンテナンス時等における作業者の感電等を確実に防止する必要があり、カバーが孔の開口(即ち、端子金具同士の接続部分)を覆ったときのみ、ボルト留めされた端子金具の間の通電を許容する構成となっている。前記構成として、コネクタ構造は、コネクタ取付部に設けられて収容孔内に配された第1検知部材と、カバーの表面から立設して第1検知部材と接続可能な第2検知部材と、を備えている。第1検知部材と第2検知部材は、インターロックコネクタである。
【0005】
第1検知部材は、一対の第1端子と、第1端子を収容する第1ハウジングとを備えている。各第1端子は、電線を介してECUに接続されている。第2検知部材は、U字状に形成された第2端子と、第2端子を収容する第2ハウジングとを備えている。カバーが孔の開口を覆うと、第2端子の両端部が各第1端子と接続して、第2検知部材が第1検知部材と接続する。
【0006】
前述のように第1検知部材と第2検知部材が接続すると、一方の第1端子、第2端子、他方の第1端子が順に接続してこれら端子を含む回路が閉じる。この回路が閉じることで、ECUは、開口が覆われたことを検知し、コネクタ取付部の端子金具とインバータの電気部品の間の通電を許容することで、ボルト留めされた端子金具の間の通電を許容する。また、カバーが外されると、第1検知部材と第2検知部材の接続が解除されて前記回路が開いた状態となり、ECUは、開口が覆われていないことを検知し、コネクタ取付部の端子金具とインバータの電気部品の間の通電を遮断することで、端子金具の間の通電を遮断(規制)する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−126661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述したコネクタ構造においては、第1検知部材がコネクタ取付部の収容孔内に配されているので、端子金具同士をボルト留めする際にボルト留め用の工具が第1検知部材に衝突しないように、第1検知部材を端子金具から離れた位置に設けていた。このため、コネクタ取付部が大型化し、コネクタ取付部に取り付けられるコネクタが大型化するといった問題があった。
【0009】
本発明は、このような問題を解決することを目的としている。即ち、本発明は、端子金具同士をボルト留めする工具と検知部材との衝突を回避でき、かつ小型化できるコネクタ構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、端子金具を複数備えたコネクタと、前記コネクタを収容する収容孔が開口するとともに、前記収容孔内に配されかつ前記コネクタの前記端子金具が重ねられてボルト留めされる端子金具を複数備えたコネクタ取付部と、前記コネクタまたは前記コネクタ取付部に設けられて前記収容孔と連通しかつ外部に開口して設けられ、互いに重なり合った前記端子金具同士をボルト留めするための孔と、前記孔の開口を覆うカバーと、を備えるとともに、前記コネクタ取付部に設けられた第1検知部材と、前記カバーに設けられて前記第1検知部材と接続可能な第2検知部材と、を備え、前記カバーが前記孔の開口を覆うと前記第1検知部材と前記第2検知部材が接続して前記孔が覆われたことを検知し、前記ボルト留めされた前記端子金具同士の間の通電を許容するコネクタ構造であって、前記第1検知部材が、前記コネクタ取付部の互いに隣り合う前記端子金具の間に配され、かつ、前記第1検知部材の最も前記孔の開口側の部分が、前記端子金具同士の互いに重なり合った部分の最も前記孔の開口側の表面よりも前記孔の奥側に配されたことを特徴としたコネクタ構造である。
【0011】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載されたコネクタ構造において、前記第1検知部材が、前記第2検知部材と接続する第1端子と、前記第1端子を収容する第1ハウジングと、を備え、前記第1検知部材の最も前記孔の開口側の部分が、前記第1ハウジングの端面とされたことを特徴としたコネクタ構造である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1及び請求項2に記載された発明によれば、第1検知部材がコネクタ取付部の隣り合う端子金具の間に配されているので、第1検知部材をより端子金具に近づけてコネクタ取付部とコネクタを小型化できる。また、第1検知部材の最も孔の開口側の部分である第1ハウジングの端面が、端子金具同士の互いに重なり合った部分の最も孔の開口側の表面よりも孔の奥側に配されている。このため、第1検知部材を端子金具の間に配しても第1検知部材がボルト留め用の工具と衝突することがなく、前記衝突を回避するためにコネクタ取付部の端子金具の間隔を広げる必要がないので、コネクタ取付部とコネクタをさらに小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態にかかるコネクタ構造の分解斜視図である。
【図2】図1に示されたコネクタとカバーがコネクタ取付部に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図3】図2中のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】図2中のIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】図2に示されたカバーが取り付けられる前の状態を示す斜視図である。
【図6】図5中のVI−VI線に沿った断面図である。
【図7】図6中のA部分を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態にかかるコネクタ構造1を図1ないし図7を参照して説明する。本発明の一実施形態にかかるコネクタ構造1は、例えば、ハイブリッドカーや電気自動車に搭載された三相交流のモータに接続されたコネクタ2を、インバータのコネクタ取付部10に取り付けるための構造である。コネクタ構造1は、図1に示すように、コネクタ取付部10と、コネクタ2と、カバー5とを備えている。
【0015】
コネクタ取付部10は、インバータの表面に設けられている。コネクタ取付部10は、シールドシェル11と、端子金具12(図3等)と、ハウジング部(図示せず)とを備えている。シールドシェル11は、導電性の金属材料で構成され、箱状に形成されている。シールドシェル11の表面には、コネクタ2を収容する収容孔13が開口している。
【0016】
収容孔13は、シールドシェル11の表面側に形成されてコネクタ2の中央部分(フランジ部42)の外形に略沿った大径部13aと、大径部13aの奥側に形成されてコネクタ2の先端部分(フード部32)の外形に略沿った小径部13bと、を備えている。また、収容孔13の外縁部には、コネクタ2をボルト留めするためのボルト挿通孔11aが一対設けられている。
【0017】
端子金具12は、板金にプレス加工を施して得られ、複数(図示例では3つ)設けられている。端子金具12は、機器接続部(図示せず)と、電気接触部14とを備えている。機器接続部は、端子金具12の一端側に設けられ、インバータの電気部品と接続される。
【0018】
電気接触部14は、端子金具12の他端側に設けられている。電気接触部14は、図3に示すように、平板状に形成され、中央部にボルト挿通孔14aが貫通している。電気接触部14は、その平面方向がコネクタ2の挿入方向X(後述。矢印Xで示す)に略直交(交差)するように配されている。各端子金具12の電気接触部14は、同一平面上に互いに間隔をあけて並んでいる。
【0019】
また、電気接触部14は、収容孔13の小径部13b内に配され、コネクタ2がコネクタ取付部10に取り付けられるとコネクタ2の後述するフード部32の内部空間34に配される。電気接触部14は、コネクタ2の端子金具20が重ねられてボルト留めされる。ハウジング部は、絶縁性の合成樹脂で構成され、機器接続部を図3中で下方に配し電気接触部14を図3中で上方に配するように、端子金具12の一部を埋設している。
【0020】
コネクタ2は、シールドコネクタであり、図1に示すように、複数の端子金具20と、コネクタハウジング30と、シールドシェル40と、シールドリング45とを備えている。
【0021】
端子金具20は、板金にプレス加工を施して得られ、複数(図示例では3つ)設けられている。端子金具20は、図4に示すように、全体として略L字状に形成され、電線接続部21と、電気接触部22とを備えている。電線接続部21は、L字状の一端側に設けられ、電線21aと接続される。電線21aは、導電性の芯線と、芯線を被覆する絶縁性の被覆部と、を備えた被覆電線である。
【0022】
電気接触部22は、L字状の他端側に設けられている。電気接触部22は、図3に示すように、平板状に形成され、中央部にボルト挿通孔22aが貫通している。電気接触部22は、その平面方向がコネクタ2の挿入方向Xに略直交(交差)するように配されている。各端子金具20の電気接触部22は、同一平面上に互いに間隔をあけて並んでいる。
【0023】
また、電気接触部22は、コネクタ取付部10の端子金具12の電気接触部14に重ねられてボルト留めされる。電気接触部22、14同士をボルト留めすることで、端子金具20、12の接続信頼性が向上する。なお、電気接触部22、14は、特許請求の範囲に記載の「端子金具20、12同士の互いに重なり合った部分」に相当する。
【0024】
コネクタハウジング30は、絶縁性の合成樹脂で構成されている。コネクタハウジング30は、図4に示すように、ハウジング本体31と、フード部32と、ハウジング本体31とフード部32とを連結する連結部33と、を備えている。
【0025】
ハウジング本体31は、扁平な箱状に形成されている。ハウジング本体31には、端子金具20の電線接続部21を収容する端子収容室31aが3つ(図4には1つのみ図示)設けられている。これら端子収容室31aは、直線孔状に形成され、互いに平行に設けられ、同一平面上に互いに間隔をあけて並んでいる。
【0026】
フード部32は、筒状に形成され、その中心軸方向(図4中で上下方向)が端子収容室31aの長手方向と平行となる向きで、連結部33を介してハウジング本体31に連なっている。フード部32内には、端子金具20の電気接触部22が突出している。フード部32の外周には、収容孔13の小径部13bの内面に密着してコネクタ2とコネクタ取付部10の間を水密に保つパッキン32aが取り付けられている。
【0027】
連結部33は、箱状に形成され、ハウジング本体31の図4中で下方のフード部32側の表面と、フード部32の図4中で上方のハウジング本体31側の表面と、に連なって、ハウジング本体31とフード部32とを連結している。連結部33は、端子金具20の中央部を互いに絶縁された状態で埋設している。
【0028】
シールドシェル40は、導電性の金属材料で構成されている。シールドシェル40は、図1に示すように、ハウジング本体31の図1中で上方の端部の外周に配された筒状の筒部41と、筒部41に連なりフード部32及び連結部33の端面に重ねられる略平板状のフランジ部42と、を一体に備えている。フランジ部42は、収容孔13の平面形状よりも一回り大きな外形に形成されている。フランジ部42には、フード部32の外形に沿った形状に形成され、フード部32の内部空間34を外部に開口させる孔43が設けられている。また、フランジ部42の外縁部には、ボルト挿通孔44aの貫通した固定片44が一対突出している。
【0029】
シールドリング45は、導電性の金属材料で構成され、円環状に形成されている。シールドリング45は、シールドシェル40の筒部41の外周に配され、縮径するように加締められて筒部41に取り付けられている。シールドリング45と筒部41の間には、導電性の金属材料で筒状に形成されて電線21aを覆う編組線等のシールド部材(図示せず)の端部が挟まれている。
【0030】
前述した構成のコネクタ2は、端子収容室31aの長手方向、即ち図1中の矢印Xに沿って、コネクタ取付部10の収容孔13に挿入される。矢印Xは、コネクタ2の挿入方向Xをなしている。そして、コネクタ2が収容孔13に収容されると、シールドシェル40のフランジ部42の外縁部が収容孔13の外縁部に重ねられ、シールドシェル40のボルト挿通孔44aがシールドシェル11のボルト挿通孔11aと連通する。そして、連通したボルト挿通孔44a、11aにボルト83をねじ込んで、コネクタ2を(後述のカバー5とともに)コネクタ取付部10にボルト留めする。
【0031】
また、コネクタ2が収容孔13内に収容されると、図6に示すように、フード部32が収容孔13内に収容されてフード部32の内部空間34が収容孔13と連通し、内部空間34でコネクタ2の端子金具20の電気接触部22がコネクタ取付部10の端子金具12の電気接触部14に重ねられ、各電気接触部22、14のボルト挿通孔22a、14aが連通する。そして、連通したボルト挿通孔22a、14aに内部空間34の図6中で上方の一方の開口35側からボルト84をねじ込んで、互いに重なり合った電気接触部22、14同士をボルト留めする。このように、フード部32の内部空間34は、特許請求の範囲に記載の「孔」に相当する。
【0032】
前述したボルト留めは、例えば周知の電動式やエアー式のボルト留め用の工具8(図5ないし図7中に先端のみ図示)を用いて行われる。工具8の先端には、円柱状に形成され、その中心軸を中心にして回転自在なソケット部81が設けられている。ソケット部81には、先端面81aから凹に形成されたボルト保持孔82(図6)が形成されている。
【0033】
ボルト保持孔82は、ボルト84の頭部の外形よりも若干大きな形状に形成され、内側にボルト84の頭部を位置付ける。ボルト保持孔82内にボルト84の頭部を位置付けたソケット部81が回転することで、ボルト84がねじ込まれる。このとき、ソケット部81の先端面81aは、図7に示すように、コネクタ2の端子金具20の電気接触部22の表面23と重なっている。なお、工具8は、手動式のものであっても勿論よい。
【0034】
カバー5は、図1に示すように、絶縁性の合成樹脂で構成されたカバー本体51と、導電性の金属材料で構成されてカバー本体51とボルト固定されたシールド部52と、を備えている。カバー本体51は、肉厚板状に形成され、フード部32内に挿入可能な外形に形成されている。カバー本体51の外周には、フード部32の内面に密着して内部空間34を水密に保つパッキン51a(図3)が取り付けられている。
【0035】
シールド部52は、略平板状に形成され、シールドシェル40の孔43の平面形状よりも一回り大きな外形に形成されている。また、シールド部52の外縁部には、ボルト挿通孔53aの貫通した固定片53が一対突出している。
【0036】
前述したカバー5は、カバー本体51が開口35と相対する向きで、開口35を覆うようにコネクタ2に重ねられる。カバー5は、カバー本体51がフード部32内に挿入され、シールド部52の外縁部がシールドシェル40の孔43の外縁部に重ねられて、孔43即ち開口35を覆う(塞ぐ)。そして、シールド部52のボルト挿通孔53aがコネクタ2及びコネクタ取付部10のボルト挿通孔44a、11aと連通し、連通したボルト挿通孔53a、44a、11aにカバー5側からボルト83をねじ込んで、カバー5をコネクタ2とともにコネクタ取付部10にボルト留めする。
【0037】
前述したコネクタ構造1は、さらに、図3及び図4に示すように、コネクタ取付部10に設けられた第1検知部材6と、カバー5に設けられて第1検知部材6と接続可能な第2検知部材7と、を備えている。これら第1検知部材6と第2検知部材7は、インターロックコネクタである。
【0038】
第1検知部材6は、図4に示すように、第1端子61と、第1ハウジング62とを備えている。第1端子61は、導電性の板金にプレス加工を施して得られ、一対設けられている。第1端子61は、雌型の端子金具であり、第2検知部材7の後述の第2端子と接続する筒状の電気接触部61aと、ECU(図示せず)に接続された電線(図示せず)と接続する電線接続部61bと、を備えている。
【0039】
第1ハウジング62は、絶縁性の合成樹脂で構成され、箱状に形成されている。第1ハウジング62は、コネクタ取付部10のハウジング部に連なり(図示例では省略)、収容孔13内に配されて収容孔13の開口に向かって立設している。第1ハウジング62は、コネクタ2がコネクタ取付部10に取り付けられるとフード部32の内部空間34に配される。第1ハウジング62には、第1端子61を収容する端子収容室63が2つ設けられている。
【0040】
端子収容室63は、直線孔状に形成され、コネクタ2の挿入方向Xに沿って延びている。端子収容室63は、第1ハウジング62の収容孔13の開口側の端面62aと奥側の端面62bとの双方に開口している。端子収容室63は、第1端子61の電気接触部61aを端面62a側に配し、電線接続部21を端面62bに配する向きで、第1端子61を収容している。
【0041】
前述した第1検知部材6は、図6に示すように、互いに隣り合う端子金具12の間に配されている。また、第1検知部材6は、従来よりも内部空間34(収容孔13)の奥側に配されている。そして、図6及び図7に示すように、第1検知部材6の最も開口35側の部分、即ち、第1ハウジング62の端面62aは、電気接触部22、14の最も開口35側の表面、即ち、電気接触部22の電気接触部14から離れた表面23よりも、内部空間34の奥側(図7中で下側)に配されている。
【0042】
このため、電気接触部22、14同士をボルト留めする際には、図7に示すように、工具8の先端面81aが、第1ハウジング62の端面62aよりも開口35側(図7中で上側)に配される。したがって、電気接触部22、14同士をボルト留めする際に、工具8と第1検知部材6が衝突することがない。
【0043】
第2検知部材7は、図4に示すように、第2端子(図示せず)と、第2ハウジング72とを備えている。第2端子は、導電性の金属材料で構成され、U字状に形成されている。第2端子の両端部は、各第1端子61の電気接触部61a内に挿入されて、各第1端子61と電気的に接続する。
【0044】
第2ハウジング72は、絶縁性の合成樹脂で構成されている。第2ハウジング72は、カバー本体51のシールド部52から離れた側の表面から立設し、カバー5が開口35を覆ったときに第1ハウジング62と嵌合可能な位置に設けられている。第2ハウジング72は、カバー本体51に連なり第2端子の中央部を埋設した本体部72aと、本体部72aに連なり内側に第2端子の両端部が突出したフード部72bと、を一体に備えている。第2ハウジング72は、第2端子の中央部をカバー5寄りに配し両端部をカバー5から離れた側に配する向きで、第2端子をカバー5の平面方向と直交する状態で収容している。
【0045】
前述した構成の第1検知部材6と第2検知部材7は、カバー5が開口35を覆うと、図3及び図4に示すように、第2ハウジング72のフード部72bが第1ハウジング62を内側に位置付け、第2端子の両端部が各第1端子61と接続する。即ち、第1検知部材6と第2検知部材7は、カバー5が開口35を覆うと互いに接続する。
【0046】
第1検知部材6と第2検知部材7が接続すると、一方の第1端子61、第2端子、他方の第1端子61が順に接続してこれら端子を含む回路が閉じる。前記回路が閉じることで、第1端子61に接続されたECUは、開口35が覆われたことを検知し、この検知の後に端子金具12とインバータの電気部品とを結ぶ回路を閉じて端子金具12と前記電気部品の間の通電を許容して、ボルト留めされた端子金具20、12の間の通電を許容する。
【0047】
また、カバー5が外されると、第1検知部材6と第2検知部材7の接続が解除されて第1端子61等を含む回路が開いた状態となり、ECUは、開口35が覆われていないことを検知して端子金具12とインバータの電気部品とを結ぶ回路を開いて端子金具12と前記電気部品の通電を遮断して、端子金具20、12の間の通電を遮断(規制)する。
【0048】
前述した構成のコネクタ構造1において、コネクタ2をコネクタ取付部10に取り付ける際には、まず、コネクタ2を矢印Xに沿ってコネクタ取付部10の収容孔13内に挿入していく。すると、シールドシェル40のフランジ部42の外縁部が収容孔13の外縁部に重ねられ、コネクタ2とコネクタ取付部10のボルト挿通孔44a、11aが連通する。
【0049】
また、このとき、フード部32内では、コネクタ2の端子金具20の電気接触部22とコネクタ取付部10の端子金具12の電気接触部14とが重なり合ってボルト挿通孔22a、14aが連通するので、連通したボルト挿通孔22a、14aに工具8を用いてボルト84をねじ込んで、電気接触部22、14同士をボルト留めする。
【0050】
その後、シールドシェル40の孔43即ち開口35を覆うように、カバー5を矢印Xに沿ってコネクタ2(コネクタ取付部10)に近づけていく。すると、カバー本体51がフード部32の内部空間34に挿入され、シールド部52の外縁部が孔43の外縁部に重ねられて開口35が覆われる。また、カバー5のボルト挿通孔53aが、連通したボルト挿通孔44a、11aに連通する。
【0051】
その後、連通したボルト挿通孔53a、44a、11aに工具8を用いてボルト83をねじ込んで、カバー5とコネクタ2をコネクタ取付部10にボルト留めする。こうして、図2に示すように、コネクタ2とカバー5がコネクタ取付部10に取り付けられる。
【0052】
カバー5が取り付けられると、第1検知部材6と第2検知部材7が接続するので、ECUは開口35が覆われたことを検知して端子金具20、12同士の間の通電を許容する。また、メンテナンス時等にカバー5が取り外されて端子金具20、12が露出した状態では、第1検知部材6と第2検知部材7の接続が解除されるので、ECUは開口35が覆われていないことを検知して端子金具20、12同士の間の通電を遮断(規制)し、作業者の感電を防止する。
【0053】
また、コネクタ2がコネクタ取付部10に取り付けられると、電線21aから外部に漏洩する(または内部に流入する)電気的なノイズは、電線21aを覆うシールド部材、シールドシェル40、シールドシェル11を順次経てアースされる。また、端子金具20、12から外部に漏洩する(または内部に流入する)電気的なノイズは、例えば、シールド部52、シールドシェル40、シールドシェル11(取付部)を順次経てアースされる。
【0054】
本実施形態によれば、第1検知部材6がコネクタ取付部10の隣り合う端子金具12の間に配されているので、第1検知部材6をより端子金具12に近づけることができ、コネクタ取付部10及びコネクタ2を小型化できる。また、第1検知部材6の最も開口35側の部分、即ち第1ハウジング62の端面62aが、コネクタ2の端子金具20の表面23よりも内部空間34の奥側に配されている。このため、第1検知部材6を端子金具12の間に配しても第1検知部材6が工具8と衝突することがなく、前記衝突を回避するためにコネクタ取付部10の端子金具12の間隔を広げる必要がないので、コネクタ取付部10及びコネクタ2をさらに小型化できる。
【0055】
前述した実施形態においては、コネクタ2の内部空間34を通して端子金具20、12同士をボルト留めしていたが、コネクタ取付部10に収容孔13と連通する孔を設け、この孔を通して端子金具20、12同士をボルト留めしてもよい(従来例の特開平11−126661号公報)。また、前述した実施形態においては、モータに接続されたコネクタ2をインバータのコネクタ取付部10に取り付けていたが、モータ以外の電子機器に接続されたコネクタ2を、インバータ以外のコネクタ取付部10に取り付けても勿論よい。
【0056】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 コネクタ構造
2 コネクタ
5 カバー
6 第1検知部材
7 第2検知部材
10 コネクタ取付部
12 端子金具
13 収容孔
14 電気接触部(端子金具同士の重なり合った部分)
20 端子金具
22 電気接触部(端子金具同士の重なり合った部分)
23 表面
34 内部空間(孔)
35 開口
61 第1端子
62 第1ハウジング
62a 端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子金具を複数備えたコネクタと、
前記コネクタを収容する収容孔が開口するとともに、前記収容孔内に配されかつ前記コネクタの前記端子金具が重ねられてボルト留めされる端子金具を複数備えたコネクタ取付部と、
前記コネクタまたは前記コネクタ取付部に設けられて前記収容孔と連通しかつ外部に開口して設けられ、互いに重なり合った前記端子金具同士をボルト留めするための孔と、
前記孔の開口を覆うカバーと、を備えるとともに、
前記コネクタ取付部に設けられた第1検知部材と、
前記カバーに設けられて前記第1検知部材と接続可能な第2検知部材と、を備え、
前記カバーが前記孔の開口を覆うと前記第1検知部材と前記第2検知部材が接続して前記孔が覆われたことを検知し、前記ボルト留めされた前記端子金具同士の間の通電を許容するコネクタ構造であって、
前記第1検知部材が、前記コネクタ取付部の互いに隣り合う前記端子金具の間に配され、かつ、
前記第1検知部材の最も前記孔の開口側の部分が、前記端子金具同士の互いに重なり合った部分の最も前記孔の開口側の表面よりも前記孔の奥側に配されたことを特徴とするコネクタ構造。
【請求項2】
前記第1検知部材が、前記第2検知部材と接続する第1端子と、前記第1端子を収容する第1ハウジングと、を備え、
前記第1検知部材の最も前記孔の開口側の部分が、前記第1ハウジングの端面とされたことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−100551(P2011−100551A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−252686(P2009−252686)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】