説明

コネクタ装置及び電子装置

【課題】第一のコネクタの第一の接続部材と第二のコネクタの第二の接続部材との接点部分の温度を、効果的に制御することができるコネクタ装置及び電子装置の提供を目的とする。
【解決手段】 コネクタ装置1は、プラグ2、ソケット3及び冷却ファン4を備え、温度制御用流体を、接続されたプラグ用接続部材22及びソケット用接続部材32に吹き付けるための温度制御用流路を備えた構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ装置、及び、このコネクタ装置を介して電力が供給される電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置等の電子装置のなかには、高性能化にともない大電流を必要とするものがある。このような電子装置は、通常、給電用コネクタを介して、大電流が高密度で供給される。この際、給電用コネクタの接点部分が発熱するので、この熱を除去する必要がある。
このため、コネクタを冷却するための様々な技術、及び、これらの技術に関連する技術が研究開発されている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、電子管の各電極外周に接触する接触子を具備した電極基板に、接触子の至近位置に複数個の通風孔を設け、通風孔及び各接触子間以外の各電極基板間を密閉したことを特徴とする電子管ソケットの技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、電磁誘導を利用して電力を供給する、車両側コネクタと、電源側コネクタとを備え、各コネクタのケースに、相互の接合面と交差するように両ケースに亘って貫通形成されて、その内部に冷却風が流される複数の流路が設けられていることを特徴とする電気自動車充電用コネクタ装置の技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、電子部品に対して送風するための冷却ファンと、プリント基板に取り付けられ、冷却ファンを着脱可能にプリント基板に固定するソケットとを有するプリント基板上の電子部品冷却装置の技術が開示されている。このソケットは、プリント基板上に設けられた微小孔に挿着される脚部と、装着された冷却ファンの電源及び信号接続用のコンタクトと当接する位置に配設され、冷却ファンが装着されることによって冷却ファンとプリント基板とを電気的に接続するコネクタ機構を有している。
【0006】
さらに、特許文献4には、リードフレームの中間板から絶縁性樹脂の外部に突出する放熱板が連続して設けられていることを特徴とする電源供給用の電気コネクタアセンブリの技術が開示されている。
【0007】
ここで、冷却手段を備えないコネクタ装置の一例について、図面を参照して説明する。
図5は、冷却手段を備えないコネクタ装置の構成を説明するための、装着前の概略断面図を示している。
また、図6は、図5に示すコネクタ装置の、装着後の概略断面図を示している。
図5、6において、コネクタ装置101は、プラグ102とソケット103とからなっている。
【0008】
プラグ102は、複数のプラグ用接続部材22と、プラグ用接続部材22を収納した状態で射出成形される樹脂製のプラグ本体121とからなっている。
プラグ用接続部材22は、ほぼ矩形状の金属板であり、一方の端部に四本の接続ピン221が突設されている。このプラグ用接続部材22は、ソケット用接続部材32と接触する突出部(図示せず)が形成されており、接触性能を向上させることができる。また、接続ピン221は、たとえば、配線基板20に挿入され半田付けされる。
プラグ本体121は、ほぼ断面が矩形の有底筒状であり、接続ピン221と反対側の端部に、ソケット用接続部材32が挿入される挿入口122が開口されている。このプラグ本体121は、内部に上記プラグ用接続部材22が収納されている。
【0009】
ソケット103は、複数のソケット用接続部材32と、ソケット用接続部材32を収納した状態で射出成形される樹脂製のソケット本体131とからなっている。
ソケット用接続部材32は、ほぼ矩形状の金属板であり、プラグ102と反対側の下端部に四本の接続ピン321が突設されている。また、接続ピン321は、たとえば、配線基板30に挿入され半田付けされる。
ソケット本体131は、ほぼ断面が矩形の有底筒状であり、プラグ102と同じ側の端部に、装着口311が開口されている。このソケット本体131は、内部に上記ソケット用接続部材32が収納されている。また、ソケット本体131の装着口311に、プラグ本体121が嵌入される。
【0010】
図6に示すように、プラグ本体121が、ソケット本体131に装入されると、各プラグ用接続部材22は、ソケット用接続部材32と電気的に接続される。これにより、コネクタ装置101には、たとえば、駆動用の電流が流れる。
【0011】
次に、上記コネクタ装置101に引用文献3の技術を適用し、冷却手段を備えたコネクタ装置について、図面を参照して説明する。
図7は、本発明に関連する冷却手段を備えたコネクタ装置を説明するための概略断面図を示している。
図7において、コネクタ装置101aは、上記コネクタ装置101と比べると、ソケット用接続部材32の代わりに、ソケット用接続部材132を備えた点が相違する。その他の構成は、ほぼコネクタ装置101と同様としてある。
ソケット用接続部材132は、ソケット用接続部材32より長い構造としてあり、プラグ102と反対側の端部が、ソケット本体131より外部に突出する。すなわち、この突出した部分が放熱板として機能するので、プラグ用接続部材22とソケット用接続部材132との接点部分における発熱を除去する。
【特許文献1】実開昭61−026283号公報
【特許文献2】特開2000−115915号公報
【特許文献3】特開2000−244160号公報
【特許文献4】特開2001−167839号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記各文献の技術や、図7に示したコネクタ装置101aは、第一のコネクタの第一の接続部材と第二のコネクタの第二の接続部材との接点部分の温度を、効果的に制御することができないといった問題があった。すなわち、コネクタ装置101aでは、プラグ用接続部材22とソケット用接続部材132の接点部分、及び、プラグ用接続部材22やソケット用接続部材132の発熱による温度上昇が制約となり、供給できる電流に限界があった。なお、図5、6に示す冷却手段を備えないコネクタ装置101も同様に、供給できる電流に限界があった。
【0013】
また、特許文献1の電子管ソケットの技術は、本願発明におけるコネクタ装置の構成、すなわち、第一のコネクタと第二のコネクタを有する構成と、大きく異なっており、本願発明におけるコネクタ装置に適用できないものであった。
さらに、特許文献2の電気自動車充電用コネクタ装置の技術は、各コネクタのケースに、複数の流路が設けられているために、各コイルユニットを直接的に冷却することができず、十分な冷却性能を得ることができないといった問題があった。
【0014】
また、特許文献3の電源供給用の電気コネクタアセンブリの技術は、プリント基板上の電子部品冷却装置の技術は、冷却ファンとプリント基板とを電気的に接続するコネクタ機構を有しており、たとえば、プリント基板に実装されたマイクロプロセッサを冷却する技術であった。
さらに、特許文献4の電源供給用の電気コネクタアセンブリの技術(コネクタ装置101aの技術とほぼ同様である。)は、リードフレームの中間板から絶縁性樹脂の外部に突出する放熱板が連続して設けられているものの、十分な冷却性能を得ることができないといった問題があった。
【0015】
本発明は、上記課題を解決すべく、第一のコネクタの第一の接続部材と第二のコネクタの第二の接続部材との接点部分の温度を、効果的に制御することができるコネクタ装置及び電子装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明のコネクタ装置は、第一の接続部材を備えた第一のコネクタと、第一の接続部材と接続される第二の接続部材を備えた第二のコネクタとを有しており、温度制御用流体を、接続された第一の接続部材及び/又は第二の接続部材に吹き付けるための温度制御用流路を備えている。
【0017】
また、本発明は、給電用コネクタ装置を介して、電力が供給される電子装置としても有効であり、給電用コネクタが、第一の接続部材を備えた第一のコネクタと、第一の接続部材と接続される第二の接続部材を備えた第二のコネクタとを有し、温度制御用流体を、接続された第一の接続部材及び/又は第二の接続部材に吹き付けるための温度制御用流路を備えている。
【発明の効果】
【0018】
本発明のコネクタ装置及び電子装置によれば、第一のコネクタの第一の接続部材と第二のコネクタの第二の接続部材との接点部分の温度を、効果的に制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
[コネクタ装置の第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態にかかるコネクタ装置の概略分解斜視図を示している。
また、図2は、本発明の第一実施形態にかかるコネクタ装置の構成を説明するための概略断面図を示している。
図1、2において、本実施形態のコネクタ装置1は、第一のコネクタとしてのプラグ2、第二のコネクタとしてのソケット3、及び、流体移動手段としての冷却ファン4を備えている。また、コネクタ装置1は、給電用のコネクタ装置である。
なお、図1、2において、理解しやすいように、冷却ファン4の軸、軸受、モータなどを省略してある。
【0020】
プラグ2は、第一の接続部材としての四つのプラグ用接続部材22と、プラグ用接続部材22を収納した状態で射出成形される樹脂製のプラグ本体21などを有している。
プラグ用接続部材22は、ほぼ矩形状の金属板であり、一方の端部に四本の接続ピン221が突設されている。このプラグ用接続部材22は、ソケット用接続部材32と接触する突出部(図示せず)が形成されており、接触性能を向上させることができる。また、接続ピン221は、たとえば、配線基板20に挿入され半田付けされる。なお、プラグ用接続部材22の構造は、上記構造に限定されるものではなく、たとえば、ソケット用接続部材32を挟み込む二枚の金属板を有する構造としてもよい。
【0021】
プラグ本体21は、ほぼ断面が矩形の有底筒状であり、内部の接続部材収納空間210に、プラグ用接続部材22を収納し、かつ、プラグ用接続部材22の一部がプラグ本体21に埋め込まれている。これにより、プラグ用接続部材22は、プラグ本体21に固定されている。
また、プラグ本体21は、接続ピン221と反対側の端部に、挿入口122が開口されている。この挿入口122は、プラグ側排出口211としても機能する。
【0022】
さらに、プラグ本体21は、上部に、プラグ用接続部材22が露出するように、細長い矩形状のプラグ側吸気口212が形成されている。
また、プラグ本体21は、接続ピン221と同じ側の端部が、左右方向に突出している。この突出部の段差面は、プラグ2がソケット3に装入される際、ソケット本体31の端面と当接し、ソケット3に対するプラグ2の装入位置を位置決めする。
【0023】
ソケット3は、第二の接続部材としての四つのソケット用接続部材32と、ソケット用接続部材32を収納した状態で射出成形される樹脂製のソケット本体31と、ファン用外部接続端子33などを有している。
ソケット用接続部材32は、ほぼ矩形状の金属板であり、プラグ2と反対側の下端部に四本の接続ピン321が突設されている。また、接続ピン321は、たとえば、配線基板30に挿入され半田付けされる。
【0024】
ソケット本体31は、ほぼ断面が矩形の有底筒状であり、内部の接続部材収納空間310に、ソケット用接続部材32を収納し、かつ、ソケット用接続部材32の一部がソケット本体31に埋め込まれている。これにより、ソケット用接続部材32は、ソケット本体31に固定されている。
また、ソケット本体31は、プラグ2と同じ側の端部に、装着口311が開口されている。
【0025】
さらに、ソケット本体31は、上部に、ソケット用接続部材32が露出するように、細長い矩形状のソケット側吸気口312が形成されている。このソケット側吸気口312は、プラグ2がソケット3に装着されると、プラグ側吸気口212とほぼ対応する位置に形成されている。
また、ソケット本体31は、プラグ2と反対側の端部に、ソケット用接続部材32が露出するように、細長い矩形状のソケット側排気口313が形成されている。
さらに、ソケット本体31は、上部に、冷却ファン4が取り付けられる。通常、冷却ファン4は、ソケット本体31に螺着されるので、ソケット本体31の上面に雌ねじ(図示せず)が形成される。なお、本実施形態では、冷却ファン4がソケット3に螺着される構成としてあるが、これに限定されるものではない。
【0026】
また、ソケット本体31は、プラグ2と同じ側から見て、右側の端部に、二本のファン用外部接続端子33が設けられている。ファン用外部接続端子33は、一方の端部が、ソケット本体31の段差面から上方に突き出ており、また、他方の端部が下方に突き出ている。この他方の端部は、ソケット3が配線基板30に実装される際、配線基板30に挿入され半田付けされる。すなわち、配線基板30は、冷却ファン4のためのファン用電源ライン(図示せず)が配線されており、このファン用電源ラインと接続されたスルーホールに、上記他方の端部が挿入され半田付けされる。
【0027】
冷却ファン4は、冷却用の空気を強制的に移動させる流体移動手段である。冷却ファン4を設けることにより、冷却性能を大幅に向上させることができる。
また、本実施形態の冷却ファン4は、ソケット3の上部に取り付けられている。このようにすると、送風ダクトなどを設ける必要がないので、省スペース化を図ることができる。また、冷却されるプラグ用接続部材22及びソケット用接続部材32に、ほぼ直接的に(すなわち、送風ダクトなどを介さないで)送風できるので、送風効率の低下を抑制することができる。
【0028】
冷却ファン4は、ファン用外部接続端子33と対応する位置に、外部接続端子43が設けられており、冷却ファン4がソケット3に取り付けられると、外部接続端子43がファン用外部接続端子33と接続される。すなわち、冷却ファン4は、配線基板30のファン用電源ラインから、ファン用外部接続端子33及び外部接続端子43を介して、駆動電力が供給される。このようにすると、冷却ファン4のための電源ケーブルなどが不要となり、製造原価のコストダウンを図ることができる。また、冷却ファン4の取付け及び取外しを容易に行うことができるので、メンテナンスなどにおいて、作業性を向上させることができる。
【0029】
なお、本実施形態では、ファン用外部接続端子33及び外部接続端子43が、冷却ファン4に電力を供給しているが、さらに多くのファン用外部接続端子33及び外部接続端子43を設けてもよい。すなわち、冷却ファン4が、温度センサなどを有する場合、この増設されたファン用外部接続端子33及び外部接続端子43を用いて、信号を送信することができる。これにより、信号ケーブルなどが不要となり、製造原価のコストダウンを図ることができる。
【0030】
次に、上記構成のコネクタ装置1の動作について、図面を参照して説明する。
図3は、本発明の第一実施形態にかかるコネクタ装置の動作状態を説明するための概略断面図を示している。
図3において、まず、コネクタ装置1は、プラグ本体21が装着口311に嵌入され、プラグ2がソケット3に装着される。これにより、プラグ用接続部材22がソケット用接続部材32とそれぞれ接続され、プラグ2からソケット3に給電される。
【0031】
また、プラグ2がソケット3に装着されると、ソケット側吸気口312のほぼ真下にプラグ側吸気口212が位置し、ソケット側吸気口312とプラグ側吸気口212が連通する。すなわち、コネクタ装置1は、ソケット側吸気口312、プラグ側吸気口212、接続部材収納空間210、接続部材収納空間310及びソケット側排気口313とからなる、温度制御用流路を備えることとなる。
上述したように、接続部材収納空間210及び接続部材収納空間310には、プラグ用接続部材22及びソケット用接続部材32が収納されている。
【0032】
次に、通常、配線基板30に実装された電子部品(図示せず)が作動すると、ファン用電源ラインに通電され、ファン用外部接続端子33及び外部接続端子43を介して、冷却ファン4のモータに電力が供給され、羽根車42が回転する。
羽根車42が回転すると、図3の太い矢印に示す方向に空気が流れる。すなわち、冷却ファン4の上方の空気が、ソケット側吸気口312及びプラグ側吸気口212に送り込まれる。この空気は、接続部材収納空間210に入り、プラグ用接続部材22及びソケット用接続部材32に吹き付けられる。この際、空気が、プラグ用接続部材22とソケット用接続部材32の接点部分及びその近傍の部分に直接的に吹き付けられるので、効果的にプラグ用接続部材22及びソケット用接続部材32を冷却することができる。続いて、プラグ用接続部材22及びソケット用接続部材32に吹き付けられた空気は、ソケット側排気口313の方向に向きを変え、プラグ側排出口211を通って接続部材収納空間310に入り、ソケット用接続部材32を冷却し、ソケット側排気口313から外部に排出される。
【0033】
以上説明したように、本実施形態のコネクタ装置1によれば、プラグ用接続部材22及びソケット用接続部材32を効果的に冷却することができるので、大電流を高密度で供給することができる。また、最も発熱するプラグ用接続部材22及びソケット用接続部材32の接点部分に直接的に冷却風を当ることができるので、優れた冷却効果を得ることができる。
また、コネクタ装置1が大型化するといった不具合を回避し、小型化を図ることができる。
さらに、ソケット側吸気口312、プラグ側吸気口212及びソケット側排気口313を形成することにより、構造を単純化でき、製造原価のコストダウンを図ることができる。
【0034】
なお、冷却ファン4は、ソケット側吸気口312と対応する位置に取り付けてあるが、この構成に限定されるものではなく、たとえば、ソケット側排気口313と対応する位置に取り付けてもよい。
また、冷却ファン4は、外部から空気を吸い込み、ソケット側吸気口312に吹き出す構成としてあるが、これに限定されるものではなく、たとえば、ソケット側吸気口312から空気を吸い込み、外部に排出する構成としてもよい。
さらに、プラグ本体21、プラグ用接続部材22、ソケット本体31及びソケット用接続部材32は、上記形状に限定されるものではなく、様々な形状を有することができる。たとえば、本実施形態では、プラグ2の挿抜方向が、配線基板30に対して平行な方向としてあるが、プラグ2の挿抜方向が、配線基板30に対して垂直な方向となる構成としてもよい。
【0035】
[コネクタ装置の第二実施形態]
図4は、本発明の第二実施形態にかかるコネクタ装置の構成及び動作状態を説明するための概略断面図を示している。
図4において、本実施形態のコネクタ装置1aは、第一実施形態のコネクタ装置1と比べると、吸込口用遮蔽部314及び排気口用遮蔽部317が形成されている点が相違する。コネクタ装置1aの他の構成は、コネクタ装置1とほぼ同様としてある。
したがって、図4において、図3と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0036】
ソケット3aは、上部に、ソケット側吸気口312を囲むように吸込口用遮蔽部314が形成されている。この吸込口用遮蔽部314は、ソケット側吸気口312を覆うほぼ矩形の無底箱状であり、ほぼ矩形平板状の内部空間316を有している。また、吸込口用遮蔽部314は、プラグ2と反対側の上部に、吸気口315を有している。この吸気口315は、内部空間316を介して、ソケット側吸気口312と連通している。さらに、吸込口用遮蔽部314の上部に、冷却ファン4が取り付けられている。
このようにすると、プラグ用接続部材22やソケット用接続部材32がソケット側吸気口312から露出しないので、たとえば、ごみなどの異物やピンセットなどの工具が、容易にプラグ用接続部材22やソケット用接続部材32と接触するといった不具合を効果的に回避することができる。また、冷却ファン4からの空気は、吸気口315及び内部空間316を通って、ソケット側吸気口312に送られる。
【0037】
また、ソケット3aは、プラグ2と反対側の端部に、ソケット側排気口313を囲むように排気口用遮蔽部317が形成されている。この排気口用遮蔽部317は、ソケット側排気口313を覆うほぼ矩形の箱状であり、ほぼ矩形平板状の内部空間319を有している。また、排気口用遮蔽部317は、下方の端部に、排気口318を有している。この排気口318は、内部空間319を介して、ソケット側排気口313と連通している。
このようにすると、ソケット用接続部材32がソケット側排気口313から露出しないので、たとえば、ごみなどの異物やピンセットなどの工具が、容易にソケット用接続部材32と接触するといった不具合を効果的に回避することができる。また、冷却に使用された空気は、ソケット側排気口313及び内部空間319を通って、排気口318から外部に排出される。
【0038】
次に、上記構成のコネクタ装置1aの動作について、図4を参照して説明する。
まず、羽根車42が回転するまでの動作は、上記第一実施形態とほぼ同様である。
羽根車42が回転すると、図4の太い矢印に示す方向に空気が流れる。すなわち、冷却ファン4の上方の空気が、吸気口315及び内部空間316を通って、ソケット側吸気口312及びプラグ側吸気口212に送り込まれる。この空気は、接続部材収納空間210に入り、プラグ用接続部材22及びソケット用接続部材32に吹き付けられる。この際、空気が、プラグ用接続部材22とソケット用接続部材32の接点部分及びその近傍の部分に直接的に吹き付けられるので、効果的にプラグ用接続部材22及びソケット用接続部材32を冷却することができる。続いて、プラグ用接続部材22及びソケット用接続部材32に吹き付けられた空気は、ソケット側排気口313の方向に向きを変え、プラグ側排出口211を通って接続部材収納空間310に入り、ソケット用接続部材32を冷却する。さらに、この空気は、ソケット側排気口313及び内部空間319を通って、排気口318から外部に排出される。
【0039】
以上説明したように、本実施形態のコネクタ装置1aによれば、上記コネクタ装置1とほぼ同様の効果を奏するとともに、たとえば、ごみなどの異物やピンセットなどの工具が、容易にプラグ用接続部材22やソケット用接続部材32と接触するといった不具合を効果的に回避することができる。
【0040】
[電子装置の一実施形態]
本発明は、電子装置(図示せず)の発明としても、有効である。
本実施形態の電子装置は、上記のコネクタ装置1を備えており、コネクタ装置1を介して、電力が供給される。
なお、電子装置は、通常、情報処理装置などであるが、これに限定されるものではない。
【0041】
コネクタ装置1は、上述したように、プラグ2、ソケット3及び冷却ファン4を有している。
プラグ2は、プラグ側吸気口212とプラグ側排出口211を備えており、ソケット3は、ソケット側吸気口312とソケット側排気口313を備えている。
【0042】
上記構成の電子装置は、まず、図3に示すように、プラグ本体21が装着口311に嵌入され、プラグ2がソケット3に装着される。これにより、プラグ用接続部材22がソケット用接続部材32とそれぞれ接続され、プラグ2からソケット33に給電され、電子装置に電力が供給される。
【0043】
また、プラグ2がソケット3に装着されると、ソケット側吸気口312のほぼ真下にプラグ側吸気口212が位置し、ソケット側吸気口312とプラグ側吸気口212が連通する。すなわち、コネクタ装置1は、ソケット側吸気口312、プラグ側吸気口212、接続部材収納空間210、接続部材収納空間310及びソケット側排気口313とからなる、温度制御用流路を備えることとなる。
【0044】
次に、通常、電子装置が作動すると、ファン用電源ラインに通電され、ファン用外部接続端子33及び外部接続端子43を介して、冷却ファン4のモータに電力が供給され、羽根車42が回転する。
羽根車42が回転すると、図3の太い矢印に示す方向に空気が流れる。すなわち、冷却ファン4の上方の空気が、ソケット側吸気口312及びプラグ側吸気口212に送り込まれる。この空気は、接続部材収納空間210に入り、プラグ用接続部材22及びソケット用接続部材32に吹き付けられる。この際、空気が、プラグ用接続部材22とソケット用接続部材32の接点部分及びその近傍の部分に直接的に吹き付けられるので、効果的にプラグ用接続部材22及びソケット用接続部材32を冷却することができる。続いて、プラグ用接続部材22及びソケット用接続部材32に吹き付けられた空気は、ソケット側排気口313の方向に向きを変え、プラグ側排出口211を通って接続部材収納空間310に入り、ソケット用接続部材32を冷却し、ソケット側排気口313から外部に排出される。
【0045】
以上説明したように、本実施形態の電子装置によれば、プラグ用接続部材22及びソケット用接続部材32を効果的に冷却することができるので、大電流を高密度で供給することができる。また、電子装置は、コネクタ装置1が大型化するといった不具合を回避し、小型化されているので、内部スペースを有効に利用でき、電子装置の小型化を図ることができる。
【0046】
以上、本発明のコネクタ装置及び電子装置について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係るコネクタ装置及び電子装置は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
たとえば、上述した各実施形態のコネクタ装置1、1aにおいて、図示してないが、接続されるプラグ用接続部材22及びソケット用接続部材32ごとに独立した四つの温度制御用流路を備える構成としてもよい。この際、各温度制御用流路の流路断面積を、流れる電流の大きさに応じて設定してもよい。このようにすると、各プラグ用接続部材22及びソケット用接続部材32に対する温度制御性能を設定することができる。すなわち、温度制御用流体を有効に利用することができ、また、コネクタ装置の付加価値を向上させることができる。
また、温度制御用流体は、空気に限定されるものではなく、たとえば、不活性ガスや液体を使用してもよい。
さらに、本発明のコネクタ装置及び電子装置における温度制御は、冷却に限定されるものではなく、たとえば、加熱などを行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1は、本発明の第一実施形態にかかるコネクタ装置の概略分解斜視図を示している。
【図2】図2は、本発明の第一実施形態にかかるコネクタ装置の構成を説明するための概略断面図を示している。
【図3】図3は、本発明の第一実施形態にかかるコネクタ装置の動作状態を説明するための概略断面図を示している。
【図4】図4は、本発明の第二実施形態にかかるコネクタ装置の構成及び動作状態を説明するための概略断面図を示している。
【図5】図5は、冷却手段を備えないコネクタ装置の構成を説明するための、装着前の概略断面図を示している。
【図6】図6は、図5に示すコネクタ装置の、装着後の概略断面図を示している。
【図7】図7は、本発明に関連する冷却手段を備えたコネクタ装置を説明するための概略断面図を示している。
【符号の説明】
【0048】
1 コネクタ装置
1a コネクタ装置
2 プラグ
3 ソケット
3a ソケット
4 冷却ファン
20 配線基板
21 プラグ本体
22 プラグ用接続部材
30 配線基板
31 ソケット本体
32 ソケット用接続部材
33 ファン用外部接続端子
41 ケーシング
42 羽根車
43 外部接続端子
210 接続部材収納空間
211 プラグ側排出口
212 プラグ側吸気口
221 接続ピン
310 接続部材収納空間
311 装着口
312 ソケット側吸気口
313 ソケット側排気口
314 吸込口用遮蔽部
315 吸気口
316 内部空間
317 排気口用遮蔽部
318 排気口
319 内部空間
321 接続ピン
101 コネクタ装置
101a コネクタ装置
102 プラグ
103 ソケット
103a ソケット
121 プラグ本体
122 挿入口
131 ソケット本体
132 ソケット用接続部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の接続部材を備えた第一のコネクタと、前記第一の接続部材と接続される第二の接続部材を備えた第二のコネクタとを有するコネクタ装置において、
温度制御用流体を、接続された前記第一の接続部材及び/又は前記第二の接続部材に吹き付けるための温度制御用流路を備えたことを特徴とするコネクタ装置。
【請求項2】
前記第一のコネクタが、プラグ側吸入口とプラグ側排出口とを備えたプラグであり、前記第二のコネクタが、ソケット側吸入口とソケット側排出口とを備えたソケットであり、前記プラグが前記ソケットに装着されると、前記温度制御用流体が、前記ソケット側吸入口及び前記プラグ側吸入口を通って前記温度制御用流路に吸入され、さらに、前記プラグ側排出口及び前記ソケット側排出口を通って前記温度制御用流路から排出されることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項3】
前記ソケットが、吸入口用遮蔽部及び排出口用遮蔽部を備え、前記吸入口用遮蔽部が、前記ソケット側吸入口を覆うとともに、該ソケット側吸入口と連通する内部空間を有し、また、前記排出口用遮蔽部が、前記ソケット側排出口を覆うとともに、該ソケット側排出口と連通する内部空間を有することを特徴とする請求項2に記載のコネクタ装置。
【請求項4】
複数の前記第一の接続部材及び前記第二の接続部材を備え、接続される前記第一の接続部材及び前記第二の接続部材に対応する複数の前記温度制御用流路を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のコネクタ装置。
【請求項5】
前記温度制御用流体を強制的に移動させる流体移動手段を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のコネクタ装置。
【請求項6】
前記流体移動手段がファンであり、前記第一のコネクタ又は前記第二のコネクタに取り付けられたことを特徴とする請求項5に記載のコネクタ装置。
【請求項7】
前記ファンが外部接続端子を有し、前記第一のコネクタ又は前記第二のコネクタが、前記外部接続端子と接続されるファン用外部接続端子を有し、前記外部接続端子及び前記ファン用外部接続端子を介して、前記ファンに駆動電力が供給されることを特徴とする請求項6に記載のコネクタ装置。
【請求項8】
前記コネクタ装置が、給電用であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のコネクタ装置。
【請求項9】
給電用コネクタ装置を介して、電力が供給される電子装置において、
前記給電用コネクタが、
第一の接続部材を備えた第一のコネクタと、
前記第一の接続部材と接続される第二の接続部材を備えた第二のコネクタと
を有し、
温度制御用流体を、接続された前記第一の接続部材及び/又は前記第二の接続部材に吹き付けるための温度制御用流路を備えたことを特徴とする電子装置。
【請求項10】
前記第一のコネクタが、プラグ側吸入口とプラグ側排出口とを備えたプラグであり、前記第二のコネクタが、ソケット側吸入口とソケット側排出口とを備えたソケットであり、前記プラグが前記ソケットに装着されると、前記温度制御用流体が、前記ソケット側吸入口及び前記プラグ側吸入口を通って前記温度制御用流路に吸入され、さらに、前記プラグ側排出口及び前記ソケット側排出口を通って前記温度制御用流路から排出されることを特徴とする請求項9に記載の電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−266418(P2009−266418A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−111435(P2008−111435)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】