説明

コネクタ装置

【課題】ハウジングに配線板状部材が差し込まれるコネクタ装置であって、配線板状部材に対する係止及び係止の解除を、その係止及び係止の解除を行う手段の耐久性を向上させることができ、かつ、製造コストの低減を図れるもとで行えるものを提供する。
【解決手段】ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13に対する係止と係止の解除とを行う係合部材30を備え、係合部材に、ハウジングに固定される固定部32と、固定部から伸びる基板接続部33と、固定部から連結部34を介して伸びる可動アーム状部35と、可動アーム状部の一端から折返し部36を介して可動アーム状部に重なって伸びる操作部37と、操作部の端部に設けられ、フレキシブル印刷配線基板に係合するとともに、操作部に対する操作に伴ってフレキシブル印刷配線基板に対する係合を止める係止部38とが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の特許請求の範囲に記載された発明は、フレキシブル印刷配線基板(FPC)やフレキシブル平板状ケーブル(FFC)等の配線板状部材が装着されるもとで、装着された配線板状部材に設けられた接触端子部に接触接続されるコンタクトが配列配置され、装着された配線板状部材に対する係止及び係止の解除を行う係合部材が備えられたコネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の電子機器に実装される比較的小型なフレキシブル印刷配線基板やフレキシブル平板状ケーブル等の配線板状部材は、各種の電気部品が取り付けられる主配線基板との連結が、当該主配線基板に電気的接続がなされて固定されるコネクタ装置が用いられて行われることが多いものとされる。このような配線板状部材の主配線基板との連結にあたって用いられるコネクタ装置は、配線板状部材に設けられた接触端子部に接触接続される導電性のコンタクトを有していて、そのコンタクトを介して、配線板状部材に設けられた接触端子部を主配線基板に設けられた配線端子に電気的に接続する。
【0003】
従来提案されている、例えば、フレキシブル印刷配線基板とされる配線板状部材の主配線基板との連結に用いられるコネクタ装置であって第1の類型に属するものは、配線板状部材が差し込まれる差込み部を形成するものとされて主配線基板に配される、例えば、絶縁材料によって形成されたハウジングを有している。そして、そのハウジング内に配列配置されて設けられて主配線基板に設けられた配線端子に接続され、配線板状部材が差込み部を通じてハウジングに差し込まれるとき、その配線板状部材に設けられた複数の接触端子部に夫々対応するものとなる複数のコンタクトと、ハウジングに対して回動可能に設けられたアクチュエータとを備えている。
【0004】
斯かる従来の第1の類型に属するコネクタ装置に備えられるアクチュエータは、複数のコンタクトの夫々に係合し、回動せしめられるとき複数のコンタクトの夫々における作動部を変位させて、複数のコンタクトに、差込み部を通じてハウジングに差し込まれた配線板状部材に設けられた複数の接触端子部に夫々接触接続された状態、もしくは、複数の接触端子部との接触接続から解放された状態をとらせるもの、または、差込み部を通じてハウジングに差し込まれた配線板状部材に当接し、回動せしめられるとき、配線板状部材を押圧して当該配線板状部材に設けられた複数の接触端子部を複数のコンタクトに夫々接触接続された状態におく、もしくは、配線板状部材に対する押圧を解除して当該配線板状部材に設けられた複数の接触端子部を複数のコンタクトとの接触接続から解放された状態におくものとされる。そして、複数のコンタクトと配線板状部材に設けられた複数の接触端子部とが相互接触接続されることにより、配線板状部材が主配線基板との電気的接続状態におかれる。
【0005】
さらに、従来提案されている配線板状部材の主配線基板への取付けに用いられるコネクタ装置であって第2の類型に属するものは、上述のようなハウジングを有し、上述のような複数のコンタクトを備えるとともに、外部からの電磁波ノイズに対するシールド効果を得るため、ハウジングを部分的もしくは全体的に覆うものとして配されて主配線基板に設けられた接地端子に接続される導電性シェルを備えているが、ハウジングに対して回動可能に設けられるアクチュエータは備えていない。斯かる従来の第2の類型に属するコネクタ装置にあっては、配線板状部材が差込み部を通じてハウジングに差し込まれたとき、自動的に、ハウジング内に設けられた複数のコンタクトが、差し込まれた配線板状部材に設けられた複数の接触端子部に夫々接触接続され、配線板状部材が差込み部を通じてハウジングに適正に差し込まれるだけで、配線板状部材が主配線基板との電気的接続状態におかれる。
【0006】
このような従来提案されているコネクタ装置にあっては、ハウジングに対して回動可能に設けられるアクチュエータを備えたもの及び斯かるアクチュエータを備えていないもののいずれの場合にも、例えば、フレキシブル印刷配線基板とされる配線板状部材が、主配線基板に配されたハウジングに差込み部を通じて差し込まれて、ハウジングに配された複数のコンタクトが、ハウジングに差し込まれた配線板状部材における複数の接触端子部に夫々接触接続され、それにより、配線板状部材が主配線基板との電気的接続状態におかれるにあたり、配線板状部材がハウジングから不所望に抜脱するような事態が回避されなくてはならない。当然のことながら、ハウジングに配された複数のコンタクトがハウジングに差し込まれた配線板状部材における複数の接触端子部に夫々接触接続された状態が適正に維持されるためには、ハウジングに差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材が、その状態を安定に維持することができ、ハウジングから不所望に抜脱されるような事態をまねかないものとされることが必要とされるのである。
【0007】
そのため、上述のような、ハウジングを有し、複数のコンタクトとハウジングに対して回動可能とされるアクチュエータとを備えた第1の類型に属するコネクタ装置であって、ハウジングに差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材に係合して、当該配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱の阻止に関与する係止手段を備えたものが従来提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、上述のような、ハウジングを有し、複数のコンタクトを備え、さらに導電性シェルを備えているが、ハウジングに対して回動可能とされるアクチュエータは備えていない第2の類型に属するコネクタ装置であって、ハウジングに差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材に係合して、当該配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱を阻止する係止手段を備えたものも従来提案されている(例えば、特許文献2及び特許文献3参照。)。
【0008】
特許文献1に示されるコネクタ装置(フレキシブル基板用コネクタ)にあっては、ハウジング(2) における複数のコンタクト(6) の配列方向の両端側壁(5) に一対の補強金具(20)が夫々取り付けられており、各補強金具には、ハウジングに差込み部(開口部(3))を通じて差し込まれた配線板状部材(フレキシブル基板(30)) に当接して配線板状部材にそれを押し上げる方向の押圧力を作用させる、もしくは、ハウジングに差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材における係合部(係合孔又は切欠き部(32)) に係合する状態をとる係止手段(弾性支持片(25)) が形成されている。そして、ハウジングに対して回動可能に設けられたアクチュエータ(加圧部材(12)) が、ハウジングに対して起き上がった位置からハウジングに対して伏した位置へと回動されるとき、ハウジングに差し込まれた配線板状部材が、アクチュエータによって、補強金具に形成された係止手段とは反対側から当該係止手段に向かって押圧される。
【0009】
それにより、ハウジングに差し込まれた配線板状部材が、アクチュエータと補強金具に形成された係止手段とによって押圧挟持されることにより係止され、もしくは、補強金具に形成された係止手段が配線板状部材における係合部に係合することにより係止される。それにより、ハウジングに差し込まれた配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱が阻止される。
【0010】
その後、アクチュエータが、ハウジングに対して伏した位置からハウジングに対して起き上がった位置へと回動されるとき、ハウジングに差し込まれた配線板状部材がアクチュエータにより押圧されなくなり、配線板状部材がアクチュエータと補強金具に形成された係止手段とによって押圧挟持された状態、もしくは、補強金具に形成された係止手段が配線板状部材における係合部に係合した状態が解除される。それにより、ハウジングに差し込まれた配線板状部材がハウジングから抜脱され得る状態におかれる。
【0011】
また、特許文献2に示されるコネクタ装置(ロック付きFPC用コネクタ)にあっては、ハウジング(絶縁ハウジング(5))にそれに対してスライド可能に設けられた可動導電性シェル(イジェクトプレート(8))が備えられている。この可動導電性シェルは、ハウジングとの間に配されたコイルスプリング等の弾性部材(7) によって、ハウジングに対する配線板状部材 (FPC基板(2))の差込み方向とは逆の方向に付勢されている。また、ハウジングにおける複数のコンタクト(コンンタクトピン(4))の配列方向の両端部分に一対の可動係止手段(弾性係止爪(6))が夫々取り付けられており、各可動係止手段は、その先端部に、ハウジングに差込み部(開口部(3))を通じて差し込まれた配線板状部材における係合部(凹部(2d)) に係合する状態をとる係止部(6c)が形成されていて、配線板状部材に対するロック装置を構成している。
【0012】
各可動係止手段には、可動導電性シェルにおける透孔内に配される突起を成すイジェクト係止片(6d)が形成されていて、このイジェクト係止片(6d)には、可動導電性シェルがスライドするとき、当該可動導電性シェルにおける透孔に形成されたテーパ部(8a)が係合する。
【0013】
そして、各可動係止手段に形成されたイジェクト係止片が可動導電性シェルにおける透孔内に配されていて、当該透孔に形成されたテーパ部がイジェクト係止片に係合していないもとで、配線板状部材がハウジングに差込み部を通じて差し込まれると、可動係止手段に形成された係止部が、配線板状部材における係合部に係合して配線板状部材を係止する。それにより、ハウジングに差し込まれた配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱が阻止される。
【0014】
その後、可動導電性シェルが、それをハウジングに対する配線板状部材の差込み方向とは逆の方向に付勢している弾性部材の付勢力に抗して、ハウジングに対する配線板状部材の差込み方向に沿う方向にスライドせしめられると、スライドする可動導電性シェルにおける透孔に形成されたテーパ部が、可動係止手段に形成されたイジェクト係止片に係合して、そのイジェクト係止片を押圧し、可動係止手段をそれに形成された係止部の配線板状部材における係合部との係合状態を解除する方向に移動させる。それにより、可動係止手段に形成された係止部が配線板状部材における係合部との係合から解放され、ハウジングに差し込まれた配線板状部材がハウジングから抜脱され得る状態におかれる。
【0015】
さらに、特許文献3に示されるコネクタ装置にあっては、ハウジング(11)の外面部を部分的に覆うものとして配された導電性シェル(14)に、ハウジング内に伸びて、ハウジングにそれに設けられた板状部材差込み部(12)を通じて差し込まれた配線板状部材であるフレキシブル印刷配線基板(40)を係止する状態をとる係止手段(ロック部(20)) が形成されている。また、ハウジングには、それと一体的に形成されて移動可能とされ、一端部が導電性シェルの外方に突出するとともに、他端部が係止手段に係合する係止解除手段(ロック解除部(30)) が設けられている。
【0016】
係止手段は、ハウジングに差し込まれた配線板状部材における係合部(43;44) に係合して配線板状部材を係止する係止部(23)と係止部を変位可能に支持する弾性ア−ム部(22)とを備えており、弾性ア−ム部に係止解除手段の他端部が係合する。
【0017】
そして、配線板状部材がハウジングに板状部材差込み部を通じて差し込まれたとき、配線板状部材における係合部に係止手段における係止部が係合して配線板状部材を係止し、それにより、ハウジングに差し込まれた配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱が阻止される。
【0018】
その後、導電性シエルの外部に突出した係止解除手段の一端部をハウジング内に向けて押圧する押圧操作が行われると、係止解除手段の他端部が係止手段における弾性ア−ム部に係合してその弾性ア−ム部を変位させ、それに伴って、弾性ア−ム部により支持された係止部が配線板状部材における係合部との係合を解除する位置へと変位せしめられる。それにより、可動係止手段に形成された係止部が配線板状部材における係合部との係合から解放され、ハウジングに差し込まれた配線板状部材がハウジングから抜脱され得る状態におかれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2003−100370号公報(3〜4頁,図1〜10)
【特許文献2】特開2009−231069号公報(3〜4頁,図1〜5)
【特許文献3】特開2011−40246号公報(11〜16頁,図5〜11,15〜17)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
上述のような、ハウジングに差し込まれたフレキシブル印刷配線基板等の配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱の阻止に関与する係止手段を備えた、配線板状部材の主配線基板への取付けに用いられるコネクタ装置として、従来提案されているものにあっては、係止手段の配線板状部材に対する係止への関与がハウジングに対して回動可能とされたアクチュエータの回動操作に連動して行われる状態,係止手段による配線板状部材に対する係止の解除がハウジングに対して移動可能に設けられた可動導電性シェルの移動に連動して行われる状態、あるいは、導電性シェルに形成された係止手段による配線板状部材に対する係止の解除がハウジングに一体的に設けられた係止解除手段が押圧操作されることにより行われる状態がとられる。
【0021】
そして、係止手段の配線板状部材に対する係止への関与がハウジングに対して回動可能とされたアクチュエータの回動操作に連動して行われる状態がとられる従来のコネクタ装置の場合には、ハウジングに対して回動可能とされたアクチュエータを備えることが不可欠とされ、そのことが、コネクタ装置の製造コストを嵩ませる要因となる。それに加えて、係止手段を配線板状部材に対する係止あるいは係止の解除に関与させるにあたっては、アクチュエータをハウジングに対して回動させる操作が不可欠とされ、斯かる操作を行うための不所望なスペースをコネクタ装置の周囲に設けることが必要とされる。
【0022】
また、ハウジングに対して移動可能とされた可動導電性シェルが備えられ、係止手段による配線板状部材に対する係止の解除が可動導電性シェルの移動に連動して行われる状態がとられる従来のコネクタ装置の場合には、可動導電性シェルがハウジングに対して移動可能とされるので、コネクタ装置の主配線基板への固定のために導電性シェルを利用することができず、別途、コネクタ装置を主配線基板に固定するための部材(ホールドダウン部材)を備えることが必要とされ、そのことが、コネクタ装置の製造コストを嵩ませる要因となる。さらに、ハウジングに対して可動導電性シェルを移動可能とするための機構が必要とされて、そのことが構成の複雑化をまねき、コネクタ装置の製造コストをなお一層嵩ませることになってしまう。
【0023】
さらに、導電性シェルに形成された係止手段による配線板状部材に対する係止の解除がハウジングに一体的に設けられた係止解除手段が押圧操作されることにより行われる状態がとられる従来のコネクタ装置の場合には、係止手段がハウジングの外面部を部分的に覆う導電性シェルに形成されるのに対して、係止解除手段がハウジングに一体的に設けられるので、導電性シェル及びハウジングの両方についての構成の複雑化がまねかれてしまう。また、導電性シェルは通常金属材料によって形成され、また、ハウジングは通常絶縁材料によって形成されるので、係止手段が金属材料製とされ、一方、係止解除手段は絶縁材料製とされることになり、その結果、ハウジングに一体的に設けられて移動可能とされる係止解除手段が、導電性シェルに形成される係止手段に比して耐久性において劣るものとなってしまうことが考えられる。
【0024】
斯かる点に鑑み、本願の特許請求の範囲に記載された発明は、フレキシブル印刷配線基板やフレキシブル平板状ケーブル等とされる配線板状部材の他の配線基板との連結に用いられる、板状部材差込み部が設けられたハウジングとハウジングに配列配置されて設けられる複数のコンタクトとを備えたコネクタ装置であって、ハウジングに対して回動可能とされるアクチュエータ、あるいは、ハウジングに対して移動可能とされる可動導電性シェル等が不要とされ、さらには、導電性シェルとハウジングとに、夫々、配線板状部材に対する係止を行う係止手段と係止手段による配線板状部材に対する係止を解除する係止解除手段とを設ける必要がなく、それにより、構成の簡略化と部品点数の減少とによる製造コストの低減を図ることができ、しかも、配線板状部材に対する係止及び係止の解除を行う手段の耐久性を向上させることができるもとで、ハウジングに板状部材差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材に対するハウジングからの不所望な抜脱を阻止するための係止及びその係止の解除を、確実かつ容易に行えることになるものを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本願の特許請求の範囲における請求項1から請求項6までのいずれかに記載された発明(以下、本発明という。)に係るコネクタ装置は、板状部材差込み部が設けられて配線基板上に配されるハウジングと、ハウジングに配列配置され、配線板状部材が板状部材差込み部を通じてハウジングに差し込まれたとき、その配線板状部材における複数の接触端子部に接触接続される複数のコンタクトと、ハウジングにおける複数のコンタクトの配列方向の両端部の夫々に取り付けられて、板状部材差込み部を通じてハウジングに差し込まれた配線板状部材に対する係止を行う係止状態と係止を解除する係止解除状態とをとる係合部材とを備えて成り、係合部材が、ハウジングに固定される固定部と、固定部から伸びてハウジングが配される配線基板に接続される基板接続部と、固定部から複数のコンタクトの配列方向に伸びる可動アーム状部と、可動アーム状部の一端から折返し部をもって折り返して可動アーム状部に折り重なって複数のコンタクトの配列方向に伸びる操作部と、複数のコンタクトの配列方向において折返し部に対向する操作部の端部に設けられ、板状部材差込み部を通じてハウジングに差し込まれた配線板状部材に係合して係合部材に係止状態をとらせるとともに、操作部に加えられる操作に伴って配線板状部材に対する係合を止めて係合部材に係止解除状態をとらせる係止部と、が形成されていることを特徴とするものとされる。
【0026】
特に、本願の特許請求の範囲における請求項2に記載された本発明に係るコネクタ装置にあっては、係合部材が、金属材料によって一体的に構成され、可動アーム状部がそれに折り重ねられた操作部を伴って弾性変位する状態をとるものとされる。
【0027】
また、本願の特許請求の範囲における請求項3に記載された本発明に係るコネクタ装置にあっては、係合部材における可動アーム状部と操作部とを相互連結する折返し部が、ハウジングにおける複数のコンタクトの配列方向の端部からその外方に複数のコンタクトの配列方向に沿って突出したものとされ、操作部における折返し部の近傍部分にハウジングの厚み方向の変位を生じさせる操作が加えられるとき、配線板状部材に係合した係止部に配線板状部材に対する係合を止めさせる。
【0028】
上述のような本発明に係るコネクタ装置にあっては、配線板状部材が配線基板上に配されたハウジングにそれに設けられた板状部材差込み部を通じて差し込まれると、ハウジングに配列配置された複数のコンタクトが、差し込まれた配線板状部材における複数の接触端子部に接触接続されるとともに、ハウジングにおける複数のコンタクトの配列方向の両端部の夫々に取り付けられた係合部材が、ハウジング内において、差し込まれた配線板状部材を係止し、配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱を阻止する。そして、係合部材が配線板状部材を係止したもとで、その係合部材に所定の操作が加えられると、配線板状部材を係止した係合部材が、ハウジング内において、配線板状部材に対する係止を解除して、配線板状部材のハウジングからの抜脱を可能とする。
【0029】
斯かるもとで、係合部材には、ハウジングに固定される固定部と、固定部から伸びてハウジングが配される配線基板に接続される基板接続部と、固定部から複数のコンタクトの配列方向に伸びる可動アーム状部と、可動アーム状部の一端から折返し部をもって折り返して可動アーム状部に折り重なって複数のコンタクトの配列方向に伸びる操作部と、複数のコンタクトの配列方向において折返し部に対向する操作部の端部に設けられる係止部とが形成される。そして、操作部の端部に設けられた係止部は、板状部材差込み部を通じてハウジングに差し込まれた配線板状部材に係合して、それにより係合部材に係止状態をとらせることができ、また、操作部に所定の操作が加えられるとき、それに伴って配線板状部材に対する係合を止め、それにより係合部材に係止解除状態をとらせることができるものとされる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係るコネクタ装置においては、上述のように、ハウジングにそれに設けられた板状部材差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材に対しての、ハウジングにおける複数のコンタクトの配列方向の両端部の夫々に取り付けられた係合部材による、配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱を阻止するための係止、及び、配線板状部材のハウジングからの抜脱を可能とするための係止の解除を行うにあたり、例えば、ハウジングに対して回動可能とされるアクチュエータ、あるいは、ハウジングに対して移動可能とされる可動導電性シェル等が不要とされ、さらには、ハウジングの外面部を覆う導電性シェルとハウジングとに夫々係止手段と係止解除手段とを設けることが必要とされず、それにより、構成の簡略化と部品点数の減少とによる製造コストの低減を図ることができる。
【0031】
しかも、配線板状部材に対する係止及び係止の解除を行う手段である係合部材は、例えば、本願の特許請求の範囲における請求項2に記載された本発明に係るコネクタ装置の場合のように、金属材料によって一体的に構成されて、係止手段が導電性シェルに設けられて係止解除手段がハウジングに設けられるというものとはされないので、配線板状部材に対する係止及び係止の解除を行う手段の耐久性を向上させることができることになる。
【0032】
また、ハウジングに差し込まれた配線板状部材に対する係止及び係止の解除を行う係合部材が、ハウジングに固定される固定部と、固定部から伸びてハウジングが配される配線基板に接続される基板接続部と、固定部から複数のコンタクトの配列方向に伸びる可動アーム状部と、可動アーム状部の一端から折返し部をもって折り返して可動アーム状部に折り重なって複数のコンタクトの配列方向に伸びる操作部と、複数のコンタクトの配列方向において折返し部に対向する操作部の端部に設けられる係止部とが形成されたものとされ、操作部の端部に設けられた係止部が、板状部材差込み部を通じてハウジングに差し込まれた配線板状部材に係合して、それにより係合部材に係止状態をとらせ、また、操作部に所定の操作が加えられるとき、それに伴って配線板状部材に対する係合を止め、それにより係合部材に係止解除状態をとらせる。従って、係合部材は、配線板状部材を係止する係止部と係止部による配線板状部材に対する係止を解除する操作部とを含む全体が一体に形成される、簡単で容易に得ることができる構成を有していることになる。
【0033】
そして、このような本発明に係るコネクタ装置にあっては、配線板状部材をハウジングにそれに設けられた板状部材差込み部を通じて差し込むだけで、配線板状部材に対しての係合部材における係止部による係止を行うことができ、それとともに、配線板状部材に対しての係止部による係止の解除を、係合部材における操作部に、例えば、押圧操作とされる所定の操作を加えるだけで行うことができるので、配線板状部材についての係合部材による係止及び係止の解除を極めて簡単な操作によって行うことができるとともに、斯かる操作のために部材の周囲に不所望なスペースを設けることが必要とされない。
【0034】
特に、本願の特許請求の範囲における請求項3に記載された本発明に係るコネクタ装置にあっては、係合部材における可動アーム状部と操作部とを相互連結する折返し部が、ハウジングにおける複数のコンタクトの配列方向の端部からその外方に複数のコンタクトの配列方向に沿って突出したものとされ、操作部は、それにおける折返し部の近傍部分にハウジングの厚み方向の変位を生じさせる操作が加えられるとき、配線板状部材に係合した係止部に配線板状部材に対する係合を止めさせる。それにより、係止部に配線板状部材に対する係合を止めさせるための操作部に対する所定の操作が、ハウジングの端部からその外方に複数のコンタクトの配列方向に沿って突出する折返し部の近傍となる操作部の一部分に対する操作とされるので、極めて行い易く、確実に行うことができるものとされる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係るコネクタ装置の一例をそれに装着されるフレキシブル印刷配線基板と共に示す斜視図である。
【図2】本発明に係るコネクタ装置の一例を示す平面図である。
【図3】本発明に係るコネクタ装置の一例を示す正面図である。
【図4】図3におけるIV−IV線断面を示す断面図である。
【図5】本発明に係るコネクタ装置の一例が備える係合部材を示す斜視図である。
【図6】本発明に係るコネクタ装置の一例をそれに装着されたフレキシブル印刷配線基板と共に示す斜視図である。
【図7】本発明に係るコネクタ装置の一例が備える係合部材が、コネクタ装置の一例が備えるハウジングに差し込まれたフレキシブル印刷配線基板を係止した状態を示す断面図である。
【図8】本発明に係るコネクタ装置の一例が備える係合部材が、コネクタ装置の一例が備えるハウジングに差し込まれたフレキシブル印刷配線基板を係止した状態を示す断面図である。
【図9】本発明に係るコネクタ装置の一例が備える係合部材が、コネクタ装置の一例が備えるハウジングに差し込まれたフレキシブル印刷配線基板に対する係止を解除した状態を示す断面図である。
【図10】本発明に係るコネクタ装置の一例が備える係合部材が、コネクタ装置の一例が備えるハウジングに差し込まれたフレキシブル印刷配線基板に対する係止を解除した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明を実施するための形態は、以下に述べられる本発明についての実施例をもって説明される。
【実施例】
【0037】
図1(斜視図)は、本発明に係るコネクタ装置の一例をそれに装着されるフレキシブル印刷配線基板の部分と共に示し、図2(平面図)及び図3(正面図)は、本発明に係るコネクタ装置の一例を示す。
【0038】
図1,図2及び図3において、本発明に係るコネクタ装置の一例を成すコネクタ装置10は、合成樹脂等の絶縁材料によって形成されたハウジング11を備えている。ハウジング11には、その正面側端面部に板状部材差込み部12が設けられており、板状部材差込み部12からハウジング11の内部へと板状部材収容空間が伸びている。
【0039】
ハウジング11は、例えば、図示されていない配線基板に配され、それにより、コネクタ装置10の全体が配線基板に取り付けられたものとされる。その際、ハウジング11における正面側端面部とそれに対向する背面側端面部とに挟まれた、ハウジング10の厚み方向において相互対向する、一対の端面部分のうちの一方が配線基板に対面する端面部分とされて他方が開放された端面部分とされる。以下においては、配線基板に対面するハウジングの一端面部分を下方端面部分11aといい、それに対向するハウジングの他端面部分を上方端面部分11bという。そして、正面側端面部に設けられた板状部材差込み部12を通じて、例えば、フレキシブル印刷配線基板13が、配線板状部材を成すものとして、ハウジング11に差し込まれる。その際におけるハウジング11への板状部材差込み部12を通じたフレキシブル印刷配線基板13の差込み方向は、矢印Pにより示される。以下、矢印Pにより示される方向をP方向ということとする。
【0040】
ハウジング11には、その内部に、各々が弾性導電材料で形成された複数のコンタクト14が、図3に示されるように、ハウジング11が配される配線基板の面に沿うことになる方向である、ハウジング11の長手方向(矢印Lにより示される方向)に沿って配列配置されて設けられている。以下、矢印Lにより示される方向をL方向ということとし、従って、複数のコンタクト14の配列方向は、L方向であることになる。
【0041】
複数のコンタクト14は、配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板13に配列配置された複数の接触端子部15に接触接続される信号用コンタクトとして設けられているが、他のフレキシブル印刷配線基板における複数の信号接続端子部及び接地接続部に接触接続される信号用及び接地用コンタクトとして用いられてもよい。
【0042】
図3におけるIV−IV線断面をあらわす図4に示されるように、複数のコンタクト14の夫々は、ハウジング11に固定されてハウジング11内を背面側端面部側から正面側端面部側に向かって伸びる固定ビーム部21と、ハウジング11内において背面側端面部側から正面側端面部側に向かって伸びて移動可能とされた可動ビーム部22と、ハウジング11における背面側端面部側の位置において固定ビーム部21と可動ビーム部22とを相互連結する連結部23とを有している。そして、図2及び図4に示されるように、固定ビーム部21の一端には、それからハウジング11における背面側端面部の外部へと伸びる接続端子部24が設けられており、また、固定ビーム部21の他端には接点部25が形成されている。接続端子部24は、ハウジング11が配された配線基板に設けられた配線端子に、例えば、半田付けにより接続される。さらに、連結部23からハウジング11における正面側端面部側に向かって伸びる可動ビーム部22の先端部分には、接点部26が形成されている。そして、複数のコンタクト14は、例えば、ハウジング11の背面側端面部側から、ハウジング11の内部へと押圧挿入されて、各々の固定ビーム部21がハウジング11における下方端面部分11aに固定される。
【0043】
このようなもとで、ハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれるフレキシブル印刷配線基板13は、それにおける複数の接触端子部15がハウジング11に配列配置された複数のコンタクト14に夫々対応する位置をとる状態におかれる。そして、複数のコンタクト14の夫々における可動ビーム部22の先端部分に形成された接点部26が、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13における複数の接触端子部15のうちの対応するものに接触接続される。それにより、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13における複数の接触端子部15が、複数のコンタクト14を介して、ハウジング11が配された配線基板に設けられた配線端子に連結される。
【0044】
なお、複数のコンタクト14の夫々における固定ビーム部21の他端に形成された接点部25は、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13における複数の接触端子部15が設けられた面とは反対側の面に当接する。
【0045】
また、コネクタ装置10は、ハウジング11におけるL方向、即ち、複数のコンタクト14の配列方向の両端部に夫々取り付けられた、例えば、金属材料によって形成された一対の係合部材30及び31を備えている。係合部材30及び31の夫々は、配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板13が板状部材差込み部12を通じてハウジング11に差し込まれたとき、フレキシブル印刷配線基板13に対する係止を行う係止状態とその係止を解除する係止解除状態とをとるものとされている。
【0046】
ハウジング11におけるL方向の両端部の一方に取り付けられた係合部材30は、例えば、弾性金属板材に屈曲加工が施されて一体形成される。そして、係合部材30には、図5(斜視図)に示されるように、ハウジング11における下方端面部分11aに固定される固定部32と、固定部32から伸びてハウジング11が配された配線基板に接続される基板接続部33と、固定部32に連結部34をもって連結されて固定部32からL方向に伸びることになる可動アーム状部35と、可動アーム状部35の一端から折返し部36をもって折り返して可動アーム状部35に折り重なってL方向に伸びることになる操作部37と、操作部37におけるL方向において折返し部36に対向する端部に設けられた係止部38とが形成されている。
【0047】
基板接続部33は、ハウジング11が配線基板に固定されるとき、配線基板に設けられた導体部分に半田付けされて接続され、それにより、配線基板に対するその上に配されたハウジング11の堅固な固定に貢献する。可動アーム状部35は、固定部32と可動アーム状部35とを相互連結する連結部34を支軸部分として、固定部32及び基板接続部33に対して近接及び離隔する方向に揺動する弾性変位を行うことができる。
【0048】
操作部37には、例えば、固定部32及び基板接続部33に向かう方向の押圧操作とされる操作が加えられる。斯かる操作が操作部37に加えられるときには、可動アーム状部35が、それに折り重ねられた操作部37を伴って、固定部32及び基板接続部33に近接する方向の弾性変位を生じる。また、係止部38は、フレキシブル印刷配線基板13が板状部材差込み部12を通じてハウジング11に差し込まれたとき、そのフレキシブル印刷配線基板13に係合して、係合部材30にフレキシブル印刷配線基板13に対する係止を行う係止状態をとらせるとともに、操作部37に加えられる操作に伴ってフレキシブル印刷配線基板13に対する係合を止め、係合部材30にフレキシブル印刷配線基板13に対する係止を解除する係止解除状態をとらせる。
【0049】
さらに、可動アーム状部35と操作部37とを相互連結することになる折返し部36は、操作部37がハウジング11におけるL方向の端部に取り付けられたもとにあっては、当該端部からその外方にL方向に沿って突出するものとされる。そして、操作部37に加えられる操作は、例えば、操作部37における折返し部36の近傍部分に加えられる押圧操作とされ、斯かる操作は、可動アーム状部35に、操作部37を伴っての、固定部32及び基板接続部33に近接する方向の弾性変位、即ち、ハウジング11の厚み方向の弾性変位を生じさせる。このとき、操作部37におけるL方向において折返し部36に対向する端部に設けられた係止部38は、可動アーム状部35の操作部37を伴っての弾性変位により、ハウジング11の厚み方向において固定部32から離隔するように変位せしめられる。
【0050】
係止部38は、操作部37における端部から固定部32側に向かって、即ち、図5において下方に向かって突出するものとされている。そして、係止部38は、ハウジング11への板状部材差込み部12を通じたフレキシブル印刷配線基板13の差込み方向であるP方向に沿って下降傾斜することになる傾斜面38aを形成しており、傾斜面38aを形成する部分を、フレキシブル印刷配線基板13に設けられた切欠き係合部40に係合させる。フレキシブル印刷配線基板13が板状部材差込み部12を通じてハウジング11に差し込まれたとき、係止部38が形成する傾斜面38aは、それに当接するフレキシブル印刷配線基板13の端縁部41を係止部38を乗り越させるように案内する。
【0051】
このように構成された係合部材30が、ハウジング11におけるL方向の端部に、固定部32がハウジング11における下方端面部分11aに固定されて取り付けられたときには、操作部37の端部に設けられた係止部38が、ハウジング11の正面側端面部に設けられた板状部材差込み部12からハウジング11の内部へと伸びる板状部材収容空間内となる位置に配され、また、操作部37が、ハウジング11における上方端面部分11bに形成された切欠き部43を通じてハウジング11の外部に臨む位置に配され、折返し部36が、ハウジング11におけるL方向の端部からその外方にL方向に沿って突出している。
【0052】
それにより、フレキシブル印刷配線基板13がハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれたときには、板状部材収容空間内となる位置に配された係止部38がフレキシブル印刷配線基板13における切欠き係合部40に係合し、それにより係合部材30がフレキシブル印刷配線基板13に対する係止を行う係止状態をとる。そして、係止部38がフレキシブル印刷配線基板13における切欠き係合部40に係合して、係合部材30がフレキシブル印刷配線基板13に対する係止を行う係止状態をとるもとで、ハウジング11における上方端面部分11bに形成された切欠き部43を通じてハウジング11の外部に臨むものとされた操作部37における折返し部36の近傍部分に、ハウジング11の厚み方向の押圧操作が加えられると、可動ア−ム状部35が、操作部37を伴って、固定部32と可動アーム状部35とを相互連結する連結部34を支軸部分とし、固定部32及び基板接続部33に近接する方向に揺動する弾性変位を生じる。それにより、係止部38が、ハウジング11の厚み方向において固定部32から離隔するように変位せしめられて、フレキシブル印刷配線基板13における切欠き係合部40との係合を止め、係合部材30がフレキシブル印刷配線基板13に対する係止を解除する係止解除状態をとる。
【0053】
その後、操作部37における折返し部36の近傍部分に押圧操作が加えられなくなると、可動ア−ム状部35が、自らの弾性復元力により、操作部37を伴って、固定部32と可動アーム状部35とを相互連結する連結部34を支軸部分とし、固定部32及び基板接続部33から離隔する方向に揺動する弾性復元変位を生じて、元の位置に戻る。それに伴い、操作部37の端部に設けられた係止部38も元の位置に戻る。
【0054】
斯かる構成のもとで、係止部38は、固定部32と可動アーム状部35とを相互連結する連結部34を支軸部分として揺動する可動アーム状部35の操作部37を伴った弾性変位によって、ハウジング11の厚み方向に変位せしめられるものとされるので、係止部38の変位は、そのために要求される操作力が比較的小で済むことになるもとで、比較的大なるストロ−クをもって行われる。従って、係止部38がフレキシブル印刷配線基板13における切欠き係合部40との係合を止めて、係合部材30がフレキシブル印刷配線基板13に対する係止を解除する状態が、容易、かつ、確実に得られることになる。
【0055】
また、可動アーム状部35に対して操作部37が折返し部36を介して折り重ねられ、可動アーム状部35と操作部37とが二重構造をとるものとされるので、係合部材30は、機械的強度が増加せしめられて、例えば、操作部37に加えられる操作力により塑性変形がもたらされる事態が回避されるものとされる。
【0056】
そして、操作部37は、ハウジング11における上方端面部分11bに形成された切欠き部43を通じてハウジング11の外部に臨む位置に配されており、その折返し部36の近傍部分に押圧操作が加えられない状態のもとにおいて、ハウジング11の厚み方向においてハウジング11における上方端面部分11bの外方へ突出することが要されないものとされるので、コネクタ装置10は、ハウジング11の厚み方向の寸法の低減を図ることができるものとなる。
【0057】
また、ハウジング11におけるL方向の両端部の他方に取り付けられた係合部材31も、例えば、弾性金属板材に屈曲加工が施されて一体形成され、係合部材31は、係合部材30とは鏡面対称を成す構成を有するものとされる。従って、係合部材31には、係合部材30に形成された固定部32と基板接続部33と可動アーム状部35と操作部37と係止部38とに夫々相当する、ハウジング11における下方端面部分11aに固定される固定部と、固定部から伸びてハウジング11が配された配線基板に接続される基板接続部44(図3)と、固定部に連結部をもって連結されて固定部からL方向に伸びる可動アーム状部45と、可動アーム状部45の一端から折返し部46をもって折り返して可動アーム状部45に折り重なってL方向に伸びる操作部47と、操作部47におけるL方向において折返し部46に対向する端部に設けられた係止部とが形成されている。
【0058】
係合部材31の基板接続部44も、ハウジング11が配線基板に固定されるとき、配線基板に設けられた導体部分に半田付けされて接続され、それにより、配線基板に対するその上に配されたハウジング11の堅固な固定に貢献する。可動アーム状部45は、固定部と可動アーム状部45とを相互連結する連結部を支軸部分として、固定部及び基板接続部44に対して近接及び離隔する方向に揺動する弾性変位を行うことができる。
【0059】
操作部47には、例えば、固定部及び基板接続部44に向かう方向の押圧操作とされる操作が加えられる。斯かる操作が操作部47に加えられるときには、可動アーム状部45が、それに折り重ねられた操作部47を伴って、固定部及び基板接続部44に近接する方向の弾性変位を生じる。また、操作部47の端部に設けられた係止部は、フレキシブル印刷配線基板13が板状部材差込み部12を通じてハウジング11に差し込まれたとき、そのフレキシブル印刷配線基板13に係合して、係合部材31にフレキシブル印刷配線基板13に対する係止を行う係止状態をとらせるとともに、操作部47に加えられる操作に伴ってフレキシブル印刷配線基板13に対する係合を止め、係合部材31にフレキシブル印刷配線基板13に対する係止を解除する係止解除状態をとらせる。
【0060】
さらに、可動アーム状部45と操作部47とを相互連結することになる折返し部46は、操作部47がハウジング11におけるL方向の端部に取り付けられたもとにあっては、当該端部からその外方にL方向に沿って突出するものとされる。そして、操作部47に加えられる操作は、例えば、操作部47における折返し部46の近傍部分に加えられる押圧操作とされ、斯かる操作は、可動アーム状部45に、操作部47を伴っての、固定部及び基板接続部44に近接する方向の弾性変位、即ち、ハウジング11の厚み方向の弾性変位を生じさせる。このとき、操作部47におけるL方向において折返し部46に対向する端部に設けられた係止部は、可動アーム状部45の操作部47を伴っての弾性変位により、ハウジング11の厚み方向において固定部から離隔するように変位せしめられる。
【0061】
操作部47の端部に設けられた係止部は、操作部47における端部から固定部側に向かって、即ち、図1及び図3において下方に向かって突出するものとされている。そして、斯かる係止部は、ハウジング11への板状部材差込み部12を通じたフレキシブル印刷配線基板13の差込み方向であるP方向に沿って下降傾斜することになる傾斜面を形成しており、その傾斜面を形成する部分を、フレキシブル印刷配線基板13に設けられた切欠き係合部50に係合させる。フレキシブル印刷配線基板13が板状部材差込み部12を通じてハウジング11に差し込まれたとき、操作部47の端部に設けられた係止部が形成する傾斜面は、それに当接するフレキシブル印刷配線基板13の端縁部51を係止部を乗り越させるように案内する。
【0062】
このように構成された係合部材31が、ハウジング11におけるL方向の端部に、固定部がハウジング11における下方端面部分11aに固定されて取り付けられたときには、操作部47の端部に設けられた係止部が、ハウジング11の正面側端面部に設けられた板状部材差込み部12からハウジング11の内部へと伸びる板状部材収容空間内となる位置に配され、また、操作部47が、ハウジング11における上方端面部分11bに形成された切欠き部52を通じてハウジング11の外部に臨む位置に配され、折返し部46が、ハウジング11におけるL方向の端部からその外方にL方向に沿って突出している。
【0063】
それにより、フレキシブル印刷配線基板13がハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれたときには、板状部材収容空間内となる位置に配された係止部がフレキシブル印刷配線基板13における切欠き係合部50に係合し、それにより係合部材31がフレキシブル印刷配線基板13に対する係止を行う係止状態をとる。そして、係止部がフレキシブル印刷配線基板13における切欠き係合部50に係合して、係合部材31がフレキシブル印刷配線基板13に対する係止を行う係止状態をとるもとで、ハウジング11における上方端面部分11bに形成された切欠き部52を通じてハウジング11の外部に臨むものとされた操作部47における折返し部46の近傍部分に、ハウジング11の厚み方向の押圧操作が加えられると、可動ア−ム状部45が、操作部47を伴って、固定部と可動アーム状部45とを相互連結する連結部を支軸部分とし、固定部及び基板接続部44に近接する方向に揺動する弾性変位を生じる。それにより、係止部が、ハウジング11の厚み方向において固定部から離隔するように変位せしめられて、フレキシブル印刷配線基板13における切欠き係合部50との係合を止め、係合部材31がフレキシブル印刷配線基板13に対する係止を解除する係止解除状態をとる。
【0064】
その後、操作部47における折返し部46の近傍部分に押圧操作が加えられなくなると、可動ア−ム状部45が、自らの弾性復元力により、操作部47を伴って、固定部と可動アーム状部45とを相互連結する連結部を支軸部分とし、固定部及び基板接続部44から離隔する方向に揺動する弾性復元変位を生じて、元の位置に戻る。それに伴い、操作部47の端部に設けられた係止部も元の位置に戻る。
【0065】
斯かる構成のもとで、操作部47の端部に設けられた係止部は、固定部と可動アーム状部45とを相互連結する連結部を支軸部分として揺動する可動アーム状部45の操作部47を伴った弾性変位によって、ハウジング11の厚み方向に変位せしめられるものとされるので、係止部の変位は、そのために要求される操作力が比較的小で済むことになるもとで、比較的大なるストロ−クをもって行われる。従って、係止部がフレキシブル印刷配線基板13における切欠き係合部50との係合を止めて、係合部材31がフレキシブル印刷配線基板13に対する係止を解除する状態が、容易、かつ、確実に得られることになる。
【0066】
また、可動アーム状部45に対して操作部47が折返し部46を介して折り重ねられ、可動アーム状部45と操作部47とが二重構造をとるものとされるので、係合部材31は、機械的強度が増加せしめられて、例えば、操作部47に加えられる操作力により塑性変形がもたらされる事態が回避されるものとされる。
【0067】
そして、操作部47は、ハウジング11における上方端面部分11bに形成された切欠き部52を通じてハウジング11の外部に臨む位置に配されており、その折返し部46の近傍部分に押圧操作が加えられない状態のもとにおいて、ハウジング11の厚み方向においてハウジング11における上方端面部分11bの外方へ突出することが要されないものとされるので、コネクタ装置10は、ハウジング11の厚み方向の寸法の低減を図ることができるものとなる。
【0068】
このようなもとで、コネクタ装置10のハウジング11が、その下方端面部分11aを配線基板に対面させて配線基板に取り付けられたもとで、フレキシブル印刷配線基板13が板状部材差込み部12を通じてハウジング11に差し込まれる際には、上述の図1に示されるように、フレキシブル印刷配線基板13における複数の接触端子部15が配列配置された部分の先端部が、ハウジング11の正面側端面部に設けられた板状部材差込み部12に対向する位置に配される。そして、フレキシブル印刷配線基板13は、それにおける複数の接触端子部15がコネクタ装置10のハウジング11に配列配置された複数のコンタクト14に夫々対応する位置をとる状態におかれる。
【0069】
このとき、コネクタ装置10のハウジング11における係合部材30が取り付けられた端部においては、係合部材30が、その固定部32がハウジング11における下方端面部分11aに固定され、その操作部37の端部に設けられた係止部38が形成する傾斜面38aが、ハウジング11の正面側端面部に設けられた板状部材差込み部12からハウジング11の内部へと伸びる板状部材収容空間内に臨み、その操作部37がハウジング11における上方端面部分11bに設けられた切欠き部43を通じてハウジング11の外部に臨む位置に配され、その固定部32から伸びる基板接続部33がハウジング11の外部へと突出する状態をもって配されている。そして、フレキシブル印刷配線基板13は、それにおける切欠き係合部40が係合部材30の操作部37の端部に設けられた係止部38に対応する位置をとる。
【0070】
同様に、コネクタ装置10のハウジング11における係合部材31が取り付けられた端部においても、係合部材31が、その固定部がハウジング11における下方端面部分11aに固定され、その操作部47の端部に設けられた係止部が形成する傾斜面が、ハウジング11の正面側端面部に設けられた板状部材差込み部12からハウジング11の内部へと伸びる板状部材収容空間内に臨み、その操作部47がハウジング11における上方端面部分11bに設けられた切欠き部52を通じてハウジング11の外部に臨む位置に配され、その固定部から伸びる基板接続部44がハウジング11の外部へと突出する状態をもって配されている。そして、フレキシブル印刷配線基板13は、それにおける切欠き係合部50が係合部材31の操作部47の端部に設けられた係止部に対応する位置をとる。
【0071】
その後、図6に示されるように、フレキシブル印刷配線基板13は、コネクタ装置10のハウジング11に、その正面側端面部に設けられた板状部材差込み部12を通じて差し込まれる。その際には、先ず、フレキシブル印刷配線基板13における複数の接触端子部15が配列配置された部分を挟む一対の端縁部41及び51が、係合部材30の操作部37における端部に設けられた係止部38が形成する傾斜面38a及び係合部材31の操作部47における端部に設けられた係止部が形成する傾斜面に夫々当接する。
【0072】
続いて、フレキシブル印刷配線基板13における端縁部41及び51は、フレキシブル印刷配線基板13のハウジング11に対する差込み移動に伴って、夫々、係合部材30の係止部38が形成する傾斜面38a及び係合部材31の係止部が形成する傾斜面による案内を受けて係合部材30の係止部38及び係合部材31の係止部を乗り越える。このとき、係合部材30の可動アーム状部35及び係合部材31の可動アーム状部45は、一旦、操作部37及び操作部47を伴った揺動を生じて、係合部材30の固定部32及び係合部材31の固定部に夫々近接する位置へと変位し、その後、自らの弾性復元力によって元の位置に戻る。それにより、図7及び図8に示されるように、係合部材30における係止部38が、フレキシブル印刷配線基板13に設けられた切欠き係合部40に係合して、係合部材30がフレキシブル印刷配線基板13を係止する係止状態をとるとともに、係合部材31における係止部が、フレキシブル印刷配線基板13に設けられた切欠き係合部50に係合して、係合部材31がフレキシブル印刷配線基板13を係止する係止状態をとる。
【0073】
係合部材30における係止部38が切欠き係合部40に係合するとともに係合部材31における係止部が切欠き係合部50に係合する状態が得られると、フレキシブル印刷配線基板13のハウジング11への差込みが完了し、フレキシブル印刷配線基板13は、ハウジング11に対する正規の差込み位置をとり、係合部材30及び31により係止されて、ハウジング11からの不所望な抜脱が阻止される状態におかれる。即ち、フレキシブル印刷配線基板13は、ハウジング11に板状部材差込み部12を通じて適正に差し込まれるだけで、係合部材30及び31により係止されて、ハウジング11からの不所望な抜脱が阻止される状態におかれることになる。
【0074】
このようにして、フレキシブル印刷配線基板13がハウジング11への板状部材差込み部12を通じての差込みを完了して正規の差込み位置をとるもとにおいては、ハウジング11に配列配置された複数のコンタクト14が、各々の可動ビーム部22の先端部分に形成された接点部26をハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13における複数の接触端子部15に夫々弾性当接させて、複数の接触端子部15に夫々接触接続された状態におかれる。それにより、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13における複数の接触端子部15が、複数のコンタクト14を介して、ハウジング11が配された配線基板に設けられた配線端子に連結される。斯かる状態は、フレキシブル印刷配線基板13がハウジング11に板状部材差込み部12を通じて適正に差し込まれるだけで得られる。
【0075】
その後、図9及び図10に示されるように、係合部材30において、ハウジング11の上方端面部分11bに形成された切欠き部43を通じてハウジング11の外部に臨む操作部37における折返し部36の近傍部分に、ハウジング11の厚み方向の押圧操作が加えられると、可動ア−ム状部35が、操作部37を伴って、固定部32と可動アーム状部35とを相互連結する連結部34を支軸部分とし、固定部32及び基板接続部33に近接する方向に揺動する弾性変位を生じる。それにより、係止部38が、ハウジング11の厚み方向において固定部32から離隔するように変位せしめられて、フレキシブル印刷配線基板13における切欠き係合部40との係合を止め、それにより、係合部材30にフレキシブル印刷配線基板13に対する係止を解除する係止解除状態をとらせる。
【0076】
同様に、係合部材31においても、ハウジング11の上方端面部分11bに形成された切欠き部52を通じてハウジング11の外部に臨む操作部47における折返し部46の近傍部分に、ハウジング11の厚み方向の押圧操作が加えられると、可動ア−ム状部45が、操作部47を伴って、固定部と可動アーム状部45とを相互連結する連結部を支軸部分とし、固定部及び基板接続部44に近接する方向に揺動する弾性変位を生じる。それにより、操作部47の端部に設けられた係止部が、ハウジング11の厚み方向において固定部から離隔するように変位せしめられて、フレキシブル印刷配線基板13における切欠き係合部50との係合を止め、それにより、係合部材31にフレキシブル印刷配線基板13に対する係止を解除する係止解除状態をとらせる。
【0077】
このようにして、係合部材30及び31によるフレキシブル印刷配線基板13に対する係止が解除されることにより、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13が、ハウジング11から適正に抜脱され得る状態におかれる。
【0078】
そして、係合部材30における操作部37及び係合部材31における操作部47に、押圧操作とされる操作が加えられなくなると、係合部材30の可動アーム状部35及び係合部材31の可動アーム状部45の夫々は、自らの弾性復元力により、操作部37または操作部47を伴って元の位置に戻る。
【0079】
なお、上述の例にあっては、フレキシブル印刷配線基板13が一対の切欠き係合部40及び50が設けられたものとされているが、フレキシブル印刷配線基板13は、一対の切欠き係合部40及び50に代えて、一対の係合孔が設けられたものとされてもよく、斯かる場合にも、上述と同様にして、係合部材30における係止部38及び係合部材31における係止部によるフレキシブル印刷配線基板13に対する係止及び係止の解除が行われる。
【0080】
上述のようなコネクタ装置10が用いられてそれにおけるハウジング11に配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板13が差し込まれるもとにあっては、フレキシブル印刷配線基板13をコネクタ装置10におけるハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込むだけで、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13における複数の接触端子部15が、複数のコンタクト14を介して、ハウジング11が配された配線基板に設けられた信号端子部に連結されるとともに、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13が、係合部材30及び31によって適正に係止され、フレキシブル印刷配線基板13のハウジング11からの不所望な抜脱が阻止される状態を得ることができる。また、それとともに、フレキシブル印刷配線基板13に対しての係合部材30及び31による係止の解除を、係合部材30における操作部37及び係合部材31における操作部47に、例えば、押圧操作とされる所定の操作を加えるだけで行うことができるので、フレキシブル印刷配線基板13についての係合部材30及び31による係止及び係止の解除を極めて簡単な操作によって行うことができるとともに、斯かる操作のために係合部材30及び31の周囲に不所望なスペースを設けることが必要とされない。
【0081】
そして、コネクタ装置10にあっては、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13に対しての、ハウジング11に取り付けられた係合部材30及び31による、フレキシブル印刷配線基板13のハウジング11からの不所望な抜脱を阻止するための係止、及び、フレキシブル印刷配線基板13のハウジング11からの抜脱を可能とするための係止の解除を行うにあたり、ハウジング11に対して回動可能とされるアクチュエータやハウジング11に対して移動可能とされる可動導電性シェル等が不要とされ、さらには、ハウジング11の外面部を覆う導電性シェルとハウジングとに夫々係止手段と係止解除手段とを設けることが必要とされず、それにより、構成の簡略化と部品点数の減少とによる製造コストの低減を図ることができる。
【0082】
また、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13に対する係止及び係止の解除を行う係合部材30及び31の夫々を、フレキシブル印刷配線基板13を係止する係止部と係止部によるフレキシブル印刷配線基板13に対する係止を解除する操作部とを含む全体が一体形成される、簡単で容易に得ることができる構成を有したものとすることができる。しかも、係合部材30及び31の夫々は、フレキシブル印刷配線基板13に対する係止及び係止の解除を行う手段であって、例えば、弾性金属板材に屈曲加工が施されて一体的に形成されるものとされるので、フレキシブル印刷配線基板13に対する係止及び係止の解除を行う手段の耐久性を向上させることができることになる。
【0083】
さらに、係合部材30における可動アーム状部35と操作部37とを相互連結する折返し部36及び係合部材31における可動アーム状部45と操作部47とを相互連結する折返し部46の夫々が、ハウジング11における端部からその外方にL方向に沿って突出したものとされ、操作部37が、それにおける折返し部36の近傍部分にハウジング11の厚み方向の変位を生じさせる操作が加えられるとき、フレキシブル印刷配線基板13に係合した係止部38にフレキシブル印刷配線基板13に対する係合を止めさせ、また、操作部47が、それにおける折返し部46の近傍部分にハウジング11の厚み方向の変位を生じさせる操作が加えられるとき、フレキシブル印刷配線基板13に係合した係止部にフレキシブル印刷配線基板13に対する係合を止めさせる。それにより、係合部材30における係止部38にフレキシブル印刷配線基板13に対する係合を止めさせるための操作部37に対する所定の操作、及び、係合部材31における係止部にフレキシブル印刷配線基板13に対する係合を止めさせるための操作部47に対する所定の操作が、ハウジング11の端部からその外方にL方向に沿って突出する折返し部36の近傍となる操作部37の一部分に対する操作、及び,ハウジング11の端部からその外方にL方向に沿って突出する折返し部46の近傍となる操作部47の一部分に対する操作とされるので、極めて行い易く、確実に行うことができるものとされる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上のような本発明に係るコネクタ装置は、例えば、フレキシブル印刷配線基板等とされる配線板状部材の配線基板との連結に用いられる、板状部材差込み部が設けられたハウジングと、ハウジングに配列配置されて設けられる複数のコンタクトと、ハウジングに設けられ、配線板状部材がハウジングに差し込まれたとき、配線板状部材に対する係止状態と係止解除状態とをとる係合部材とを備えたコネクタ装置であって、構成の簡略化と部品点数の減少とによる製造コストの低減を図ることができ、しかも、配線板状部材に対する係止及び係止の解除を行う手段の耐久性を向上させることができるもとで、ハウジングに板状部材差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材に対するハウジングからの不所望な抜脱を阻止するための係止及びその係止の解除を、確実かつ容易に行えることになるものとして、様々な電子機器等に広く適用され得るものである。
【符号の説明】
【0085】
10・・・コネクタ装置, 11・・・ハウジング, 12・・・板状部材差込み部, 13・・・フレキシブル印刷配線基板, 14・・・コンタクト, 15・・・接触端子部, 21・・・固定ビーム部, 22・・・可動ビーム部, 24・・・接続端子部, 25,26・・・接点部, 30,31・・・係合部材, 32・・・固定部, 33,44・・・基板接続部, 34・・・連結部, 35,45・・・可動アーム状部, 36,46・・・折返し部, 37,47・・・操作部, 38・・・係止部, 38a・・・傾斜面, 40,50・・・切欠き係合部, 41,51・・・端縁部, 43,52・・・切欠き部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状部材差込み部が設けられて配線基板上に配されるハウジングと、
該ハウジングに配列配置され、配線板状部材が上記板状部材差込み部を通じて上記ハウジングに差し込まれたとき、該配線板状部材における複数の接触端子部に接触接続される複数のコンタクトと、
上記ハウジングにおける上記複数のコンタクトの配列方向の両端部の夫々に取り付けられて、上記板状部材差込み部を通じて上記ハウジングに差し込まれた配線板状部材に対する係止を行う係止状態と上記係止を解除する係止解除状態とをとる係合部材と、
を備えて成り、
上記係合部材が、上記ハウジングに固定される固定部と、該固定部から伸びて上記配線基板に接続される基板接続部と、上記固定部から上記複数のコンタクトの配列方向に伸びる可動アーム状部と、該可動アーム状部の一端から折返し部をもって折り返して上記可動アーム状部に折り重なって上記複数のコンタクトの配列方向に伸びる操作部と、上記複数のコンタクトの配列方向において上記折返し部に対向する上記操作部の端部に設けられ、上記板状部材差込み部を通じて上記ハウジングに差し込まれた配線板状部材に係合して上記係合部材に上記係止状態をとらせるとともに、上記操作部に加えられる操作に伴って上記配線板状部材に対する係合を止めて上記係合部材に上記係止解除状態をとらせる係止部と、が形成されていることを特徴とするコネクタ装置。
【請求項2】
上記係合部材が、金属材料によって一体的に構成され、上記可動アーム状部が該可動アーム状部に折り重ねられた上記操作部を伴って弾性変位する状態をとるものとされることを特徴とする請求項1記載のコネクタ装置。
【請求項3】
上記係合部材が、上記可動アーム状部と上記操作部とを相互連結する上記折返し部が上記ハウジングにおける上記複数のコンタクトの配列方向の端部からその外方に上記複数のコンタクトの配列方向に沿って突出したものとされ、上記操作部における上記折返し部の近傍部分に、上記可動アーム状部に上記ハウジングの厚み方向の変位を生じさせる操作が加えられるとき、上記配線板状部材に係合した上記係止部が該配線板状部材に対する係合を止めさせられることを特徴とする請求項1記載のコネクタ装置。
【請求項4】
上記係合部材における上記係止部が、上記操作部の端部から上記ハウジングの厚み方向において上記配線基板に向かって突出することを特徴とする請求項1記載のコネクタ装置。
【請求項5】
上記係合部材における上記係止部が、上記ハウジングへの上記板状部材差込み部を通じた配線板状部材の差込み方向に沿って傾斜する傾斜面を有していて、該傾斜面を形成する部分を上記配線板状部材に設けられた係合部に係合させることを特徴とする請求項1記載のコネクタ装置。
【請求項6】
上記係合部材における上記基板接続部が、上記ハウジングにおける上記複数のコンタクトの配列方向の端部からその外方に上記複数のコンタクトの配列方向に沿って突出して上記配線基板に設けられた導体部分に半田付けされることを特徴とする請求項1記載のコネクタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−51129(P2013−51129A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188540(P2011−188540)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(592028846)第一精工株式会社 (94)
【Fターム(参考)】