説明

コネクタ

【課題】本発明は、パネルの損傷を防止することを目的とする。
【解決手段】コネクタは、コネクタ本体11と、スライダ42と、スライダ42をコネクタ本体11に対し相対的に移動可能に支持するガイド部38と、スライダ42のコネクタ本体11から遠ざかる方向へのスライドを許容しコネクタ本体11から遠ざかったスライダ42のコネクタ本体11に戻る方向へのスライドを規制するストッパ52と、を有する。コネクタ本体11は、コネクタ本体11をパネル62への挿通方向と交差する方向へスライド可能にパネル62に支持する第1及び第2の支持部30,34を含む。コネクタ本体11は、スライダ42がコネクタ本体11に接近した縮小状態で穴64に挿通され、スライダ42がコネクタ本体11から遠ざかった拡大状態で、穴64内でのパネル62に沿ったスライドが規制されて取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルの穴に取り付けるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、パネルの開口にコネクタを取り付けることが開示されている。コネクタは、パネルの開口に挿入してスライド移動させる。このとき、ラッチ突起が、パネルの開口の端を越えて、ラッチアームの弾性力を以て開口に係合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−190685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記コネクタでは、パネルの開口の端を越えるときにラッチ突起がパネルの端を傷つけないようにするには、コネクタの着脱回数に限界があった。
【0005】
本発明は、パネルの損傷を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るコネクタは、パネルに形成された穴に挿通された挿通状態で前記パネルに沿ってスライドされることで取り付けられる、端子を備えるコネクタ本体と、前記穴への挿通状態で、前記コネクタ本体とともに穴の内側に配置され、前記パネルに沿った方向に、前記コネクタ本体に対し相対的に移動可能なスライダと、前記スライダを前記コネクタ本体に対し相対的に移動可能に支持するガイド部と、前記スライダの前記コネクタ本体から遠ざかる方向へのスライドを許容し、前記コネクタ本体から遠ざかった前記スライダの前記コネクタ本体に戻る方向へのスライドを規制するストッパと、を有し、前記コネクタ本体は、前記コネクタ本体を前記パネルへの挿通方向と交差する方向へスライド可能に前記パネルに支持する第1及び第2の支持部を含み、前記コネクタ本体は、前記スライダが前記コネクタ本体に接近した縮小状態で前記穴に挿通され、前記スライダが前記コネクタ本体から遠ざかった拡大状態で、前記穴内での前記パネルに沿ったスライドが規制されて取り付けられることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、パネルの穴にコネクタ本体を挿通して第1及び第2の支持部によってコネクタ本体を支持してコネクタを取り付けられるようになっている。また、パネルの穴の内側でスライダがコネクタ本体から遠ざかった拡大状態で、ストッパによってスライダ及びコネクタ本体が接近することが規制されるので、コネクタ本体のスライドが規制されて、パネルの穴からの抜け止めが図られる。本発明によれば、ストッパは、スライダの動きを規制するものであり、パネルには力を加えないので、パネルの損傷を防止することができる。
【0008】
本発明の一態様では、前記ストッパは、前記ガイド部に向けて突出するように前記スライダに形成された第1の突起と、前記スライダに向けて突出するように前記ガイド部に形成された第2の突起と、を含み、前記スライダが前記コネクタ本体に最も接近した位置にあるときに、前記第1の突起が前記第2の突起よりも前記コネクタ本体に接近した位置にあり、前記スライダが前記コネクタ本体から離れる方向にスライドするときに、前記第1の突起が前記第2の突起を乗り越えるように、前記第1及び第2の突起が形成されている。
【0009】
本発明の一態様では、前記第1の突起は、少なくとも前記スライダが前記コネクタ本体に最も接近した位置にあるときに、前記ガイド部によって覆われ、前記第2の突起は、少なくとも前記スライダが前記コネクタ本体に最も接近した位置にあるときに、前記スライダによって覆われている。
【0010】
本発明の一態様では、前記スライダが前記コネクタ本体に最も接近した位置にあるときの、前記第1及び第2の突起の対向面は、それぞれ、順テーパー面となっている。
【0011】
本発明の一態様では、前記スライダが前記コネクタ本体から最も離れた位置にあるときの、前記第1及び第2の突起の他の対向面は、それぞれ、前記スライダのスライド方向に対して垂直の角度又は前記順テーパー面よりも垂直に近い角度をなしている。
【0012】
本発明の一態様では、前記スライダは、前記第2の突起の突出方向に弾性変形する弾性片を含み、前記第1の突起は、前記弾性片に形成されている。
【0013】
本発明の一態様では、前記ガイド部は、前記スライダが前記コネクタ本体から最も離れた位置にあるときに前記第1の突起を露出させる貫通孔を有する。
【0014】
本発明の一態様では、前記コネクタ本体が前記穴の内側で前記パネルに沿った方向に移動可能であり、前記スライダは、前記穴の内側で前記パネルに沿った方向に移動しないように、前記穴との係合部を有する。これによれば、コネクタ本体を移動させて取り付けを行うことができるので、コネクタ本体の方がスライダよりも大きいときには作業がしやすい。
【0015】
本発明の一態様では、前記係合部は、前記コネクタ本体の前記パネルへの挿通方向に交差する方向に突出する。
【0016】
本発明の一態様では、前記コネクタ本体は、前記端子を備えるハウジングと、前記ハウジングを内側に収容するアダプタと、を含む複数の部品からなり、前記アダプタが、前記第1及び第2の支持部を含む。
【0017】
本発明の一態様では、前記コネクタ本体は、前記端子を備え、前記第1及び第2の支持部と前記ガイド部を含む一体的な1つの部品からなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係るコネクタ及び相手方コネクタを示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るコネクタの他の斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るコネクタの平面図である。
【図4】図3に示すコネクタのIV-IV線断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るコネクタの分解斜視図である。
【図6】コネクタの一部であるスライダの拡大斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るコネクタのパネルへの取り付けを説明する図である。
【図8】図7に示すパネルの平面図である。
【図9】パネルの穴に挿通されたコネクタを示す平面図である。
【図10】パネルの穴に挿通されたコネクタを示す側面図である。
【図11】パネルの穴に挿通されたコネクタを示すXI-XI線断面図である。
【図12】パネルの穴に装着されたコネクタを示す平面図である。
【図13】パネルの穴に装着されたコネクタを示す側面図である。
【図14】パネルの穴に装着されたコネクタを示す平XIV-XIV線断面図である。
【図15】本発明の実施の形態に係るコネクタの変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係るコネクタ及び相手方コネクタを示す斜視図である。図2は、本発明の実施の形態に係るコネクタの他の斜視図である。図3は、本発明の実施の形態に係るコネクタの平面図である。図4は、図3に示すコネクタのIV-IV線断面図である。図5は、本発明の実施の形態に係るコネクタの分解斜視図である。
【0021】
相手方コネクタ1は、オス型コネクタであって、図1では隠れた部分を含む端子2を有しており、その他の構造は周知であるため説明を省略する。
【0022】
コネクタ10は、コネクタ本体11の一部としてハウジング12を有する。ハウジング12を端子14(図2参照)が貫通している。ケーブル16が端子14に接続(圧着)されてハウジング12から引き出されている。ハウジング12は、相手方コネクタ1を挿入する凹部18を有する。凹部18内で露出した端子14が、相手方コネクタ1の端子2の図1では隠れた部分と接触して電気的に接続される。
【0023】
コネクタ10は、コネクタ本体11の他の一部としてアダプタ20を有し、アダプタ20にハウジング12が取り付けられている(図4及び図5参照)。アダプタ20にはスペース22(貫通穴)が形成されており、そのスペース22にハウジング12が挿通されている。
【0024】
端子14を備えるハウジング12と、ハウジング12を内側に収容するアダプタ20と、を含む複数の部品から、コネクタ本体11が構成される。
【0025】
ハウジング12は、凹部18の開口の周囲に第1の張り出し部24(図5参照)を有し、第1の張り出し部24が、アダプタ20のスペース22の周囲部分に当たることで挿入方向の移動が規制される。ハウジング12は、端子14の貫通方向(コネクタ本体11のパネル62(図7参照)への挿通方向)に沿って、第1の張り出し部24から離れた位置(ケーブル16の引き出し側)に第2の張り出し部26を有する。アダプタ20のスペース22内に位置する係止片28(図4参照)が、ハウジング12の第2の張り出し部26に係合することで、ハウジング12の、挿入方向とは反対の方向への抜け止めが図られる(図4参照)。アダプタ20のスペース22の大きさよりもハウジング12の外形が小さいので、ハウジング12は、アダプタ20内で、所定範囲で移動できるようになっている。つまり、ハウジング12及びアダプタ20を含むコネクタ10は、フローティングコネクタである。
【0026】
アダプタ20は、パネル62への挿通方向と交差する方向へスライド可能に、パネル62に支持されるための第1及び第2の支持部30,34を有する。第1の支持部30は、壁部21の一部である第1の支持部30Aと、凸部として形成された第1の支持部30Bを含む。第1の支持部30は、端子14の貫通方向とは交差(例えば直交)する方向であって、ハウジング12から外方向への厚みを有する。例えば、第1の支持部30Aの厚みは壁部21の厚みであり、第1の支持部30Bの厚みは突出高さである。本実施の形態では、アダプタ20は4つの第1の支持部30(一対の第1の支持部30A及び一対の第1の支持部30B)を有する。一対の第1の支持部30A,30A同士(又は30B,30B同士)が反対方向への厚みを有する。異なる一対の第1の支持部30A,30Bが、間隔をあけて形成されており、それぞれ同じ(平行な)方向への厚みを有する。第1の支持部30は、端子14の貫通方向に沿った第1の方向Dを向く第1の面32を有する。第1の支持部30Aは第1の面32Aを有し、第1の支持部30Bは第1の面32Bを有する。
【0027】
第2の支持部34は、一対の壁部21の間隔に平行に突出する凸部である第2の支持部34Aと、これとは別の凸部である第2の支持部34Bと、を含む。第2の支持部34は、端子14の貫通方向とは交差(例えば直交)する方向であって、第1の支持部30とは異なる高さ位置から外方向への厚みを有する。例えば、第2の支持部34Aは、第1の支持部30Aの厚みの方向と同じ方向の厚みを有する。この厚みの方向は第1の支持部30Bの突出方向でもある。第1の支持部30及び第2の支持部34は、上下方向に重なりあう位置にあっても、ずれていても良い。本実施の形態では、アダプタ20は一対の第2の支持部34A及び1つの第2の支持部34Bを有する。一対の第2の支持部34Aが反対方向に突出形成されている。第2の支持部34Bは、一対の第2の支持部34Aの厚みと同じ(平行な)方向(一対の壁部21の間隔と平行方向)に突出する部分と、これらの部分とは異なる方向(壁部21の面に沿った方向)に突出する部分と、を含む。第2の支持部34は、端子14の貫通方向に沿って、第1の面32よりも第1の方向Dにずれた高さ位置に、第1の方向Dとは反対の第2の方向Dを向く第2の面36を有する。第2の支持部34Aは第1の面36Aを有し、第2の支持部34Bは第1の面36Bを有する。
【0028】
アダプタ20は、スライダ42をコネクタ本体11に対し相対的に移動可能に支持するガイド部38と一体的に成形されている。ガイド部38は、端子14の貫通方向とは交差(例えば直交)する方向であって、第1及び第2の支持部30,34とは異なる位置から外方向に突出する。ガイド部38の上下面(第1及び第2の方向D,Dを向く面)は平行であり、左右側面は平行であって上下面に垂直に接続する。ガイド部38は、上下面を貫通する貫通孔40を有する。
【0029】
アダプタ20は、箱状をなしており、複数の面(例えば4つの面)によってスペース22が囲まれている。スペース22の対向する一対の面が、それぞれ、壁部21によって区画されている。壁部21の端面(厚みを規定する面)は、高さ方向に最も高い位置に上端面を有し、上端面よりも低い(下がった)位置に上述した第1の面32Aを有する。第1の面32Aからは、接続端面が直角に立ち上がり、曲面を以て(Rを付けて)上端面に接続されている。第1の面32Aは第1の支持部30Aの面である。また、壁部21の外側にも第1の支持部30Bが凸部として形成されている。第1の支持部30Bは、壁部21の一部が他の部分よりも厚くなることで形成されている。第1の支持部30Bは、壁部21の下端から形成されて上端に至らないように形成されており、第1の支持部30Bの第1の面32Bは、壁部21の端面の一部である上記第1の面32Aと同じ高さになっている。かかる一対の壁部21が面対象になるように配置されている。
【0030】
スペース22の他の面(対向する一対の面を一方で接続する面)を区画する壁部23には、外側に、括れ部78の上面を区画する第2の面36Bを有する第2の支持部34Bが凸部として形成されている。括れ部78は、第2の面36B及びこれに対向する面によって区画されている。
【0031】
スペース22のさらに他の面(対向する一対の面を他方で接続する面)を区画する壁部25には、壁部21の端面の一部である第1の面32Aと面一の面によって下面が区画された括れ部27が形成され、この括れ部27の上面を区画する面が第2の面36Aである。第2の面36Aは第2の支持部34Aの下面である。
【0032】
図6は、コネクタの一部であるスライダの拡大斜視図である。コネクタ10は、ガイド部38にガイドされてスライドするスライダ42を有する。スライダ42は、ガイド部38の上下面及び左右側面に対向する部分を有することでガイド部38にガイドされる。スライダ42には、対向する一対の係止部44が弾性部46の先端に形成されており、弾性部46を反対方向に拡げて、スライダ42をガイド部38に取り付けるようになっている。一対の弾性部46は、対向する壁部であり、挟んだ領域を外部から遮断している。
【0033】
スライダ42は、パネル62の穴64の内側でパネル62に沿った方向に移動しないように、穴64との係合部48を有する。係合部48は、端子14の貫通方向及びスライダ42のスライド方向の両方に交差する方向に突出する。言い換えると、係合部48に隣接して窪みが形成されることで、相対的に係合部48が凸部になっている。係合部48がパネル62の穴64(図8参照)と係合することで、スライダ42は、パネル62の穴64の内側でパネル62に沿った方向に移動しない(図12参照)。スライダ42は、端子14の貫通方向に沿って、第1の面32よりも第1の方向Dにずれた高さであって第2の面36よりも第2の方向Dにずれた高さに、スライダ42がコネクタ本体11から離れる方向を向く第3の面50を有する。つまり、第3の面50は、第1及び第2の面32,36の間に広がるスペースに位置する。
【0034】
コネクタ10は、ストッパ52を有する。ストッパ52は、スライダ42のコネクタ本体11から離れる方向へのスライドを許容し、ハウジング12から離れたスライダ42のハウジング12に戻る方向へのスライドを規制する。「規制」とは、スライダ42が全く動かないようにすることの以外に、所定の条件を満たした場合にのみスライダ42の移動を許容することも含む。たとえば、所定の押圧力以下ではスライダ42は移動しないが、それ以上の大きな力を作用させればスライダ42が移動するようにストッパ52を構成してもよい。あるいは、ストッパ52を、何らかの方法で変形させればスライダ42は動くように構成してもよい。
【0035】
ストッパ52は、第1及び第2の突起54,56を含む。スライダ42に、ガイド部38に向けて突出するように第1の突起54が形成されている。スライダ42は、第2の突起56の突出方向に弾性変形する弾性片58を含む。第1の突起54は、弾性片58に形成されている。第1の突起54及び弾性片58は、一対の弾性部46によって挟まれた領域にあるので両側からの外力の作用が遮られている。
【0036】
ガイド部38に、スライダ42に向けて突出するように第2の突起56が形成されている。第2の突起56も、一対の弾性部46によって挟まれた領域にあるので両側からの外力の作用が遮られている。ガイド部38には、第2の突起56に隣接して、ハウジング12の側に、窪み60が形成されており、窪み60に第1の突起54が入り込んでいる。窪み60に収納されることによって、第1の突起54は、外力の作用が遮られる。
【0037】
スライダ42がコネクタ本体11に最も接近した位置にあるときに、第1の突起54が第2の突起56よりもコネクタ本体11に接近した位置にある。スライダ42がコネクタ本体11から離れる方向にスライドするときに、第1の突起54が第2の突起56を乗り越えるように、第1及び第2の突起54,56が形成されている。スライダ42がコネクタ本体11に最も接近した位置にあるときの、第1及び第2の突起54,56の対向面は、それぞれ、順テーパー面となっている。したがって、第1の突起54が第2の突起56を容易に乗り越えられるようになっている。
【0038】
一方、スライダ42がコネクタ本体11から最も離れた位置にあるときの、第1及び第2の突起54,56の対向面は、それぞれ、スライダ42のスライド方向に対して垂直な面となっている(図14参照)。したがって、垂直な面同士が対向するので、スライダ42が戻る方向では、第1の突起54が第2の突起56を乗り越えられないようになっている。なお、対向面は、垂直な面でなくても、ある程度の力を加えないと第1の突起54が第2の突起56を乗り越えられない程度の順テーパー面であってもよい。この順テーパー面の角度は、スライダ42がコネクタ本体11に最も接近した位置にあるときの前述した順テーパー面の角度よりも、スライダ42のスライド方向に対して垂直に近い。
【0039】
第1の突起54は、少なくともスライダ42がコネクタ本体11に最も接近した位置にあるときに、ガイド部38によって覆われている。第2の突起56は、少なくともスライダ42がコネクタ本体に最も接近した位置にあるときに、スライダ42によって覆われている。したがって、第1及び第2の突起54,56が外力にさらされないようになっている。
【0040】
スライダ42がコネクタ本体11から最も離れた位置にあるとき(図14参照)に、第1の突起54はガイド部38の貫通孔40から露出する。貫通孔40から第1の突起54を押し上げることで、第1及び第2の突起54,56の係合を解除してスライダ42をコネクタ本体11に近づけることができる。
【0041】
図7は、本発明の実施の形態に係るコネクタのパネルへの取り付けを説明する図である。図8は、図7に示すパネルの平面図である。
【0042】
パネル62は、文字通りの平面プレートに限らず、凹凸や厚みの変化がある板材であってもよいし、電子機器などのハウジングの一部であってもよい。パネル62には穴64が形成されている。穴64は、その内側にコネクタ本体11を挿通可能な形状であって、内側でコネクタ本体11をパネルに沿った方向に移動可能な形状である。
【0043】
穴64は、コネクタ本体11を挿通したときに第1の支持部30(第1の面32)に対向する第1の縁部66を有する。つまり、穴64は、第1の支持部30が通らない形状になっている。第1の縁部66は、第1の縁部66A及び第2の縁部66Bを含む。凸部としての第1の支持部30Bの第1の面32Bに対向する第1の縁部66Bは直線のエッジを有するが、壁部21の端面としての第1の面32Aに対向する第1の縁部66Aは、穴64の内側への凸部になっている。
【0044】
穴64は、第2の支持部34を挿通することができる第2の縁部68を有する。第2の縁部68は、第2の支持部34よりもわずかに大きい空間を区画する形状になっている。第2の縁部68は、第2の縁部68A及び第2の縁部68Bを含む。コネクタ本体11のスライド方向とは交差する方向に突出する凸部としての第2の支持部34Aを挿通する第2の縁部68Aは凹部になっている。一方、コネクタ本体11のスライド方向に突出する凸部としての第2の支持部34Bを挿通する第2の縁部68Bは、第2の支持部34Bの角部に対応した角形状になっている。
【0045】
穴64は、係合部48を内側に配置できるように、係合部48の第3の面50に対向する第3の縁部70と、係合部48の第3の面50とは反対を向く第4の面72に対向する第4の縁部74と、を有する。つまり、第3及び第4の縁部70,74の間に係合部48を配置することができる。第3及び第4の縁部70,74によって、穴64には凹部が形成される。
【0046】
穴64は、第3の縁部70に対向する切り欠き76を有する。アダプタ20のスライダ42とは反対の側面に括れ部78が形成されており、切り欠き76は、括れ部78に対応した形状になっている。なお、括れ部78は第2の支持部34Bの下に形成されている。
【0047】
図9〜図11は、それぞれ、パネルの穴に挿通されたコネクタを示す平面図、側面図及びXI-XI線断面図である。
【0048】
スライダ42がコネクタ本体11に接近した縮小状態でコネクタ本体11を穴64に挿通する。凹部18の開口する側からパネル62の穴64(図7及び図8参照)にコネクタ本体11を挿通する。詳しくは、第2の支持部34を第2の縁部68の内側で通過させ、係合部48を第3及び第4の縁部70,74の間に配置し、第1の支持部30(第1の面32)を第1の縁部66に接触させる。パネル62は、第1及び第2の面32,36の間の位置にくる。パネル62の穴64に挿通するときのコネクタ10は、ストッパ52を構成する第1及び第2の突起54,56が、それぞれ、ガイド部38及びスライダ42によって相互に覆われている。したがって、コネクタ10を梱包するなどの作業時に、コネクタ10が重ねって収納されたときに、第1及び第2の突起54,56に外力が加えられてもこれらの変形することを防止できる。
【0049】
図12〜図14は、それぞれ、パネルの穴に装着されたコネクタを示す平面図、側面図及びXIV-XIV線断面図である。
【0050】
図9の状態にあるコネクタ10は、コネクタ本体11を図12に示すように移動させることでパネル62に装着する。詳しくは、コネクタ本体11をパネル62の表面に沿った方向にスライドさせることで、第2の支持部34(第2の面36)を、パネル62の穴64の第2の縁部68のうちスライド方向側(図8で左側)の部分に接触させる。例えば、スライド方向に突出する第2の支持部34Bは、穴64のスライド方向(左方向)の端部に係合する。また、スライド方向に交差する方向に突出する第2の支持部34Aは、凹部となった第2の縁部68Aのスライド方向側(左側)で第1の縁部66Aと隣接する部分に係合する。
【0051】
第1の支持部30(第1の面32)もパネル62の穴64の第1の縁部66及びこれに隣接する部分に接触している。したがって、パネル62の穴64の縁部が第1及び第2の支持部30,34の間に挟まれるのでコネクタ10がパネル62に装着される。第1及び第2の支持部30,34は、コネクタ本体11をパネル62への挿通方向と交差する方向へスライド可能にパネル62に支持する。
【0052】
また、コネクタ10の抜け止めが図られる。抜け止めは、パネル62の穴64の内側でコネクタ10全体の外形を拡大し、形状が元に戻らないようにすることで図られる。詳しくは、スライダ42又はコネクタ本体11を相互に離れる方向にスライドさせる。スライダ42又はコネクタ本体11は、穴64への挿通状態で、パネル62に沿った方向に移動可能になっている。スライダ42自体をスライドさせてもよいが、本実施の形態では、コネクタ本体11をスライドさせる。
【0053】
詳しくは、パネル62の穴64の第4の縁部74が、スライダ42の係合部48に対向しているので、コネクタ本体11をスライダ42とは反対方向にスライドさせると、スライダ42の移動が第4の縁部74によって規制されて、相対的にコネクタ本体11から離れる方向にスライダ42がスライドする。
【0054】
このとき、第1及び第2の突起54,56の対向面が、それぞれ、順テーパー面となっているので、スライダ42のスライドは許容される。一方、スライダ42がスライドした後の、第1及び第2の突起54,56の対向面は、それぞれ、スライダ42のスライド方向に対して垂直な面となっている。したがって、スライダ42は戻らないようになっている。ただし、ガイド部38の貫通孔40を通して第1の突起54を押し上げることでスライダ42を戻すことができる。
【0055】
あるいは、スライド後の第1及び第2の突起54,56の対向面が、垂直な面に近いとはいうものの垂直な面ではなく、順テーパー面であれば、ある程度以上の力を加えることでスライダ42を戻すことができる。
【0056】
コネクタ10は、スライダ42がコネクタ本体11から遠ざかった拡大状態で、穴64内でのパネル62に沿ったスライドが規制されて取り付けられる。
【0057】
本実施の形態によれば、第1及び第2の突起54,56を含むストッパ52は、スライダ42の動きを規制するものであり、パネル62には力を加えないので、パネル62の損傷を防止することができる。
【0058】
図15は、本発明の実施の形態に係るコネクタ10の変形例を説明する図である。変形例に係るコネクタは、コネクタ本体112が、ハウジング及びアダプタが一体化したものである点で、上記実施の形態と相違する。
【0059】
上記実施の形態では、第1及び第2の支持部30,34並びにガイド部38がアダプタ20に形成されており、これらは、ハウジング12に対して、所定の範囲では相対的に移動するようになっている。これに対して、図15に示す例では、ハウジング及びアダプタが一体的になっているので、全体をコネクタ本体112と定義することができる。その場合、当然に、第1及び第2の支持部130,134並びにガイド部138の位置がコネクタ本体112に対して固定されていることになる。つまり、コネクタ本体112は、上述した端子14(図2参照)を備え、第1及び第2の支持部130,134を含む一体的な1つの部品からなる。この相違に伴って形状の違いはあるが、それ以外の詳細は上述した内容が該当する。
【0060】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施の形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0061】
第1の方向、D 第2の方向、1 相手方コネクタ、2 端子、10 コネクタ、11 コネクタ本体、12 ハウジング、14 端子、16 ケーブル、18 凹部、20 アダプタ、21 壁部、22 スペース、23 壁部、24 第1の張り出し部、25 壁部、26 第2の張り出し部、28 係止片、30 第1の支持部、30A 第1の支持部、30B 第1の支持部、32 第1の面、32A 第1の面、32B 第1の面、34 第2の支持部、34A 第2の支持部、34B 第2の支持部、36 第2の面、36A 第2の面、36B 第2の面、38 ガイド部、40 貫通孔、42 スライダ、44 係止部、46 弾性部、48 係合部、50 第3の面、52 ストッパ、54 第1の突起、56 第2の突起、58 弾性片、60 窪み、62 パネル、64 穴、66 第1の縁部、66A 第1の縁部、66B 第1の縁部、68 第2の縁部、68A 第2の縁部、68B 第2の縁部、70 第3の縁部、72 第4の面、74 第4の縁部、76 切り欠き、78 括れ部、112 コネクタ本体、130 第1の支持部、134 第2の支持部、138 ガイド部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルに形成された穴に挿通された挿通状態で前記パネルに沿ってスライドされることで取り付けられる、端子を備えるコネクタ本体と、
前記穴への挿通状態で、前記コネクタ本体とともに穴の内側に配置され、前記パネルに沿った方向に、前記コネクタ本体に対し相対的に移動可能なスライダと、
前記スライダを前記コネクタ本体に対し相対的に移動可能に支持するガイド部と、
前記スライダの前記コネクタ本体から遠ざかる方向へのスライドを許容し、前記コネクタ本体から遠ざかった前記スライダの前記コネクタ本体に戻る方向へのスライドを規制するストッパと、
を有し、
前記コネクタ本体は、前記コネクタ本体を前記パネルへの挿通方向と交差する方向へスライド可能に前記パネルに支持する第1及び第2の支持部を含み、
前記コネクタ本体は、前記スライダが前記コネクタ本体に接近した縮小状態で前記穴に挿通され、前記スライダが前記コネクタ本体から遠ざかった拡大状態で、前記穴内での前記パネルに沿ったスライドが規制されて取り付けられることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載されたコネクタにおいて、
前記ストッパは、前記ガイド部に向けて突出するように前記スライダに形成された第1の突起と、前記スライダに向けて突出するように前記ガイド部に形成された第2の突起と、を含み、
前記スライダが前記コネクタ本体に最も接近した位置にあるときに、前記第1の突起が前記第2の突起よりも前記コネクタ本体に接近した位置にあり、前記スライダが前記コネクタ本体から離れる方向にスライドするときに、前記第1の突起が前記第2の突起を乗り越えるように、前記第1及び第2の突起が形成されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項3】
請求項2に記載されたコネクタにおいて、
前記第1の突起は、少なくとも前記スライダが前記コネクタ本体に最も接近した位置にあるときに、前記ガイド部によって覆われ、
前記第2の突起は、少なくとも前記スライダが前記コネクタ本体に最も接近した位置にあるときに、前記スライダによって覆われていることを特徴とするコネクタ。
【請求項4】
請求項2又は3に記載されたコネクタにおいて、
前記スライダが前記コネクタ本体に最も接近した位置にあるときの、前記第1及び第2の突起の対向面は、それぞれ、順テーパー面となっていることを特徴とするコネクタ。
【請求項5】
請求項4に記載されたコネクタにおいて、
前記スライダが前記コネクタ本体から最も離れた位置にあるときの、前記第1及び第2の突起の他の対向面は、それぞれ、前記スライダのスライド方向に対して垂直の角度又は前記順テーパー面よりも垂直に近い角度をなしていることを特徴とするコネクタ。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか1項に記載されたコネクタにおいて、
前記スライダは、前記第2の突起の突出方向に弾性変形する弾性片を含み、
前記第1の突起は、前記弾性片に形成されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項7】
請求項6に記載されたコネクタにおいて、
前記ガイド部は、前記スライダが前記コネクタ本体から最も離れた位置にあるときに前記第1の突起を露出させる貫通孔を有することを特徴とするコネクタ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載されたコネクタにおいて、
前記コネクタ本体が前記穴の内側で前記パネルに沿った方向に移動可能であり、
前記スライダは、前記穴の内側で前記パネルに沿った方向に移動しないように、前記穴との係合部を有することを特徴とするコネクタ。
【請求項9】
請求項8に記載されたコネクタにおいて、
前記係合部は、前記スライダのスライド方向に交差する方向に突出することを特徴とするコネクタ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載されたコネクタにおいて、
前記コネクタ本体は、前記端子を備えるハウジングと、前記ハウジングを内側に収容するアダプタと、を含む複数の部品からなり、
前記アダプタが、前記第1及び第2の支持部を含み、前記ガイド部と一体的に成形されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか1項に記載されたコネクタにおいて、
前記コネクタ本体は、前記端子を備え、前記第1及び第2の支持部を含み、前記ガイド部と一体的に成形された1つの部品からなることを特徴とするコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−165623(P2010−165623A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−8790(P2009−8790)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(591043064)モレックス インコーポレイテド (441)
【氏名又は名称原語表記】MOLEX INCORPORATED
【Fターム(参考)】