説明

コネクタ

【課題】アクチュエータが誤ってコネクタから外れることを防止する。
【解決手段】アクチュエータ2は係合部23を有している。この係合部23は前接続端子5の上アーム53のフック53aの下方に位置し、当該フック53aに引っ掛かっている。端子4,5の左右に配置される補強金具3の上面には、前方に向かって上昇する斜面31aと、斜面31aの上縁31cからさらに前方に伸びる高上面31bとが形成されている。アクチュエータ2が開姿勢にあるとき、その少なくとも一部は斜面31aの上縁31cの後方、且つ当該上縁31cより低い位置に位置する。また、アクチュエータ2は、閉姿勢にあるとき、高上面31bの上方で支持される、

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットケーブルの抜けを防止するためのアクチュエータを備えるコネクタに関し、特に、アクチュエータがコネクタから誤って外れることを防止するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、FPC(Flexible printed circuits)やFFC(Flexible Flat Cable)など、フラットケーブルと接続するためのコネクタがある。この種のコネクタには、挿入されたフラットケーブルを上方から抑え、フラットケーブルの抜けを防止するためのアクチュエータを有するものがある(例えば、下記特許文献1参照)。アクチュエータを備えるコネクタでは、多くの場合、端子の前端にフックが形成されている。そして、アクチュエータには、フックに引っ掛かる係合部が形成されている。アクチュエータは、係合部を中心にして、端子の上方で立つ姿勢(以下、開姿勢(フラットケーブルの挿入を許容する姿勢))と、端子の前方で倒れた姿勢(以下、閉姿勢(フラットケーブルを押し下げる姿勢))との間で動く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−289283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなコネクタでは、開姿勢或いは閉姿勢にあるアクチュエータに対して、当該アクチュエータを前方に押す力が作用した場合などに、アクチュエータがコネクタから誤って外れてしまう場合がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、アクチュエータが閉姿勢及び開姿勢のいずれに配置されている場合においても、アクチュエータがコネクタから外れることを抑えることのできるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るコネクタは、フラットケーブルの挿入方向とは反対方向である前方に向かって伸びるアームを有する端子と、前記アームの下方に位置し、前記アームに形成されたフックに引っ掛かっている係合部と、前記係合部を含み、前記アームの上方で起立した第1の姿勢と、前記アームの前方に倒れた第2の姿勢との間で前記係合部を中心にして動くことのできるアクチュエータと、前記端子の左右に配置される補強部材であって、前方に向かって上昇する斜面と、前記斜面の上縁からさらに前方に伸びる高上面と、を含む上面を有する補強部材と、を備える。前記アクチュエータが前記第1の姿勢にあるとき、その少なくとも一部は前記斜面の前記上縁の後方、且つ当該上縁より低い位置に位置する。また、前記アクチュエータは、前記第2の姿勢にあるときには、前記高上面の上方で支持される。
【0007】
本発明によれば、第1の姿勢(すなわち開姿勢)にあるアクチュエータに対して、当該アクチュエータを前方に押す力が作用したときには、アクチュエータは補強部材の斜面に沿って上方且つ前方に移動しようとする。アクチュエータの係合部はフックの下方に位置しているので、アクチュエータのこの斜め前方への動きはフックによって抑えられる。その結果、アクチュエータの外れが防止される。また、第2の姿勢(すなわち閉姿勢)にあるアクチュエータは、斜面の上縁から前方に伸びる高上面の上方で支持されている。そのため、アクチュエータが第2の姿勢にある場合にも、係合部がフックに確実に引っ掛かった状態を維持できる。その結果、係合部がフックから外れることを防止でき、アクチュエータの外れを防止できる。
【0008】
また、本発明の一態様では、前記斜面は、前記第1の姿勢にある前記アクチュエータと前記斜面との接点から、さらに前方且つ上方に伸びてもよい。この態様によれば、第1の姿勢にあるアクチュエータに対して、当該アクチュエータを前方に押す力が作用した場合に、アクチュエータがコネクタからさらに外れ難くなる。
【0009】
また、本発明の他の態様では、前記斜面は、前記第1の姿勢にある前記アクチュエータと前記斜面との接点から、さらに後方且つ下方に伸びてもよい。この態様によれば、第1の姿勢にあるアクチュエータに対して上方からの力が作用した場合に、アクチュエータが補強部材の斜面に沿って僅かに後方且つ下方に移動することが許容される。その結果、上方からの力に対するアクチュエータの耐性を増すことができる。
【0010】
また、本発明の他の態様では、前記アクチュエータの前記係合部と、前記端子の前記フックは、互いに向き合う平らな面を有してもよい。本発明では、上述したように、第1の姿勢にあるアクチュエータに対して、当該アクチュエータを前方に押す力が作用した場合に、アクチュエータは補強部材の斜面に沿って上方且つ前方に動こうとする。この態様によれば、アクチュエータがこのように動こうとする場合、係合部の上記平らな面が、フックの上記平らな面に押し付けられる。その結果、アクチュエータを前方に押す力によってアクチュエータが前方に倒れてしまうことを抑えることができる。
【0011】
また、本発明の他の態様では、前記補強部材は、上方に突出するとともに、その上面として前記高上面と前記斜面とを有する前記ストッパ部を有し、前記アクチュエータは、当該アクチュエータが前記第2の姿勢に配置されているときに前記ストッパ部の前方に位置する凸部を有してもよい。この態様によれば、第2の姿勢にあるアクチュエータが後方に移動することを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るコネクタの斜視図である。この図において、アクチュエータは開姿勢に配置されている。
【図2】フラットケーブルが挿入された上記コネクタの斜視図である。この図において、アクチュエータは開姿勢に配置されている。
【図3】図1に示すIII−III線での上記コネクタの断面図である。上記コネクタが備える後接続端子が示されている。また、この図においては、アクチュエータは開姿勢に配置されている。
【図4】図3と同じ切断線で得られる断面図である。この図においては、閉姿勢に配置されたアクチュエータが示されている。
【図5】図1に示すV−V線での断面図である。上記コネクタが備える前接続端子が示されている。また、この図においては、アクチュエータは開姿勢に配置されている。
【図6】図5と同じ切断線で得られる断面図である。この図においては、閉姿勢に配置されたアクチュエータが示されている。
【図7】上記コネクタが備える補強金具の斜視図である。
【図8】図1に示すVIII−VIII線での断面図である。この図においては、アクチュエータは開姿勢に配置されている。
【図9】図8と同じ切断線で得られる断面図である。閉姿勢に配置されたアクチュエータが示されている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1及び図2は、本発明の実施形態の例であるコネクタ1の斜視図である。図1はアクチュエータ2が後述する開姿勢に配置されたコネクタ1を示している。図2はフラットケーブル90が挿入されたコネクタ1を示している。図2においても、アクチュエータ2は開姿勢に配置されている。図3は図1に示すIII−III線でのコネクタ1の断面図であり、コネクタ1が備える後接続端子4を示している。また、図3においては、アクチュエータ2は開姿勢に配置されている。図4は図3と同じ切断線で得られる断面図であり、閉姿勢に配置されたアクチュエータ2が示されている。図5は図1に示すV−V線での断面図であり、コネクタ1が備える前接続端子5を示している。また、図5においては、アクチュエータ2は開姿勢に配置されている。図6は図5と同じ切断線で得られる断面図であり、閉姿勢に配置されたアクチュエータ2が示されている。
【0014】
コネクタ1は、FPC(Flexible printed circuits)やFFC(Flexible Flat Cable)などのフラットケーブル90を、回路基板(不図示)に接続するためのコネクタであり、図2に示すように、フラットケーブル90が挿入可能に形成されている。また、コネクタ1は、その使用時には、回路基板上に配置される。
【0015】
図1、図3及び図5に示すように、コネクタ1は、左右方向(図においてX1−X2方向)に並ぶ複数の後接続端子4と、左右方向に並ぶ複数の前接続端子5とを有している。後接続端子4と前接続端子5は交互に配置されている。各端子4,5は、フラットケーブル90の表面に形成された導体パターンに接触し、それらと電気的に繋がる。また、コネクタ1は、後接続端子4と前接続端子5を保持するとともに、フラットケーブル90の先端部が挿入可能なハウジング11を有している。さらにコネクタ1はアクチュエータ2を有している。このアクチュエータ2は、コネクタ1に挿入されたフラットケーブル90を押し下げて、その導体パターンを各端子4,5に接触させる。また、アクチュエータ2は、フラットケーブル90を押し下げることによって、フラットケーブル90の抜けを防止する。ハウジング11とアクチュエータ2は、樹脂(例えば、プラスチック)などの絶縁体によって成型されている。
【0016】
図3に示すように、後接続端子4は、その最後部に接続部41を有している。この接続部41は、コネクタ1が回路基板(不図示)上に配置された時に、回路基板の導体パッドに半田付けされる。また、後接続端子4は、フラットケーブル90の挿入方向とは反対方向に、すなわち前方(図においてY1方向)に、基部42からに伸びる上アーム43と下アーム44とを有している。フラットケーブル90の先端部は、この上アーム43と下アーム44との間に挿入される。上アーム43は挿入されたフラットケーブル90の上方に位置し、下アーム44は挿入されたフラットケーブル90の下方に位置する。フラットケーブル90の下面に導体パターン(不図示)が形成されている。下アーム44の先端には接触部44aが形成されている。接触部44aは、上方に突出するよう形成され、フラットケーブル90が挿入された時には、その導体パターンと接触する。なお、後接続端子4はハウジング11に対して後方から圧入され、当該ハウジング11によって保持されている。
【0017】
図5に示すように、前接続端子5は、その最後部に位置する基部52から、前方に伸びる上アーム53と下アーム54とを有している。上アーム53と下アーム54との間に、フラットケーブル90の先端部が挿入される。上アーム53は挿入されたフラットケーブル90の上方に位置し、下アーム54は挿入されたフラットケーブル90の下方に位置する。下アーム54の先端には接触部54aが形成されている。接触部54aは、上方に突出するように形成され、フラットケーブル90が挿入された時には、その下面に形成された導体パターンと接触する。また、前接続端子5は、基部52から、下アーム54の下方で前方に伸びる底ロッド部55を有している。底ロッド部55の先端には、コネクタ1の使用時に回路基板に半田付けされる接続部51が形成されている。また、前接続端子5は、後接続端子4とは反対に、ハウジング11に前方から圧入されている。
【0018】
アクチュエータ2は、左右方向に細長い板状の部材である。図3及び図5に示すように、アクチュエータ2には、左右方向に並ぶ複数の凹部21と、同じく左右方向に並ぶ複数の孔22とが形成されている。これら凹部21と孔22は交互に並んでいる。凹部21には後接続端子4の上アーム43の最前部が嵌っている。孔22には前接続端子5の上アーム53の最前部が嵌っている。
【0019】
図5に示すように、前接続端子5の上アーム53の最前部には、フック53aが形成され、このフック53aがアクチュエータ2の孔22に嵌っている。アクチュエータ2の孔22の内側には、孔22の左右の内面に掛け渡される係合部23が形成されている。係合部23はフック53aの下方に位置し、フック53aに引っ掛かっている。詳細には、フック53aは、係合部23の上方で前方に向かって真っ直ぐ伸びる上ストッパ部53cと、上ストッパ部53cの先端から下がり係合部23の前方に位置する最前ストッパ部53bとを有している。上ストッパ部53cは、段差部53dを介して上アーム53の基部と繋がっており、上アーム53の基部よりも高い位置に位置している。係合部23は、最前ストッパ部53bと、上ストッパ部53cと、段差部53dの内側に位置している。係合部23は上アーム53の基部と、概ね同じ高さに配置されている。
【0020】
図3乃至図6に示すように、アクチュエータ2は、係合部23がフック53aに引っ掛かった状態で、前方に倒れたり、或いは、後方に起き上がったりできる。すなわち、アクチュエータ2は、上アーム43,53の上方で起立する姿勢(以下、開姿勢(図1、図3及び図5に示すアクチュエータ2の姿勢)と、上アーム43,53の前方で倒れた姿勢(以下、閉姿勢(図4及び図6に示すアクチュエータ2の姿勢)との間で、係合部23を中心にして動く。
【0021】
アクチュエータ2は、凹部21及び孔22とは反対側に、作業者がアクチュエータ2を動かす際に用いる操作部24を有している。アクチュエータ2が開姿勢にあるとき、操作部24は上アーム43,53の上方に位置する。この例では、アクチュエータ2が開姿勢に配置されているとき、操作部24が係合部23よりも後方に位置するように、アクチュエータ2は鉛直方向(図においてZ1−Z2方向)に対して後方に傾斜している。アクチュエータ2が係合部23を中心にして前方に倒れ、閉姿勢に配置された時、操作部24は、上アーム43,53の前方に位置する。
【0022】
アクチュエータ2が開姿勢に配置されているとき、上アーム43,53と、下アーム44,54の間のスペース、すなわち、フラットケーブル90を挿入するためのスペースが前方に開いており、フラットケーブル90の挿入が許容される。
【0023】
図3に示すように、上アーム43の先端が嵌る凹部21の内面には、上アーム43の上面と向き合う面(以下、被支持面)21aが形成されている。この被支持面21aは平らに形成されている。アクチュエータ2が開姿勢にあるときには、被支持面21aは、同じく平らな上アーム43の上面上に配置されている。そのため、開姿勢にあるアクチュエータ2は、この上アーム43によって安定的に支持されている。
【0024】
フラットケーブル90が上アーム43,53と下アーム44,54との間に挿入された状態で、アクチュエータ2が閉姿勢に配置された時には、アクチュエータ2はフラットケーブル90を押し下げる。この例では、図4に示すように、アクチュエータ2は、当該アクチュエータ2が閉姿勢にある時に下アーム44,54に向く押圧面27を有している。この押圧面27が、上アーム43,53と、下アーム44,54との間に配置されたフラットケーブル90を押し下げる。その結果、フラットケーブル90の導体パターンが、下アーム44,54の先端に形成された接触部44a,54aに押し付けられる。なお、押圧面27は、アクチュエータ2が開姿勢にある時には、前方且つ上方に向いている(図3参照)。また、この例では、アクチュエータ2が閉姿勢にある時には、押圧面27はその後側(凹部21及び孔22が形成された側)が低くなるように、水平に対して傾斜している。特に、この例では、押圧面27は、アクチュエータ2が閉姿勢に配置された時に、上アーム43の先端の下方に位置する複数の強圧部27aを有している。強圧部27aが押圧面27において最も低くなっている。そのため、この強圧部27aがフラットケーブル90を特に強く押し下げる。なお、この強圧部27aは、互いに隣り合う2つの孔22の間に位置している。また、アクチュエータ2が開姿勢にあるときには、強圧部27aは上アーム43の先端の前方に位置している。
【0025】
図1に示すように、コネクタ1は、複数の端子4,5の左右に配置される補強金具3を有している。図7は補強金具3の斜視図であり、図8は図1に示すVIII−VIII線での断面図である。図8においては、アクチュエータ2は開姿勢に配置されている。図9は図8と同じ切断線で得られる断面図であり、閉姿勢に配置されたアクチュエータ2が示されている。
【0026】
補強金具3は、打ち抜き加工によって金属板から形成された金具である。図7及び図8に示すように、補強金具3の上面(補強金具3の厚さを規定する面)は、前方に向かって上昇する斜面31aと、斜面31aの上縁31cに連なる高上面31bとを有している。この高上面31bは上縁31cから前方に伸びている。すなわち、高上面31bは概ね水平に形成されている。この例の補強金具3は、その前後方向の中央部に、上方に突出する後ストッパ部31を有している。この後ストッパ部31の上面が、斜面31aと高上面31bとなっている。
【0027】
また、補強金具3は、その最前部に、上方に突出する前ストッパ部32を有している。前ストッパ部32と後ストッパ部31との間には凹部34が形成されている。図1及び図2に示すように、この例のフラットケーブル90は、その左右の縁から側方に突出する凸部91を有している。フラットケーブル90の先端部が、コネクタ1に挿入された時には、図2に示すように、この凸部91が、前ストッパ部32と後ストッパ部31とによって規定される凹部34に配置される。また、補強金具3の下面の最前部には、コネクタ1がその使用時に載せられる回路基板に半田付けされる固定部35が形成されている。
【0028】
図7及び図8に示すように、さらに、補強金具3は、後ストッパ部31からさらに後方(図においてY2方向)に伸びている。そのため、補強金具3の後部33の上面(以下、低上面)33aは、斜面31aの下縁31dからさらに後方に伸びている。すなわち、低上面33aは概ね水平に形成されている。図8に示すように、ハウジング11には、当該ハウジング11を前後方向に貫通する孔12が形成されている。補強金具3の後部33はこの孔12に前方から差し込まれている。低上面33aには、爪部33b,33cが形成されている。この爪部33b,33cは孔12の内面に引っ掛かっており、これによって補強金具3はハウジング11に固定されている。
【0029】
図1に示すように、アクチュエータ2は、補強金具3の上方に位置する当接部25を有している。当接部25はアクチュエータ2の最左部と最右部とに位置している。この例の当接部25は、図8に示すように、厚板状に形成され、略矩形の断面(左右方向に垂直な面を切断面とする断面)を有している。また、図1に示すように、当接部25の幅W1は、アクチュエータ2の、左右の当接部25の間の部分の幅W2と概ね等しくなっている。すなわち、当接部25は、アクチュエータ2の、凹部21や孔22が位置する側から、反対側の縁2aまで伸びている。
【0030】
上述したように、アクチュエータ2は上アーム43,53上で起立した開姿勢と、上アーム43,53の前方に倒れた閉姿勢との間で動くことができる。アクチュエータ2が開姿勢にあるとき、当接部25は補強金具3の上方で起立した姿勢(図8に示す姿勢)に配置される。アクチュエータ2が閉姿勢に向かって動くとき、当接部25は補強金具3上で前方に倒れ、その結果、当接部25は補強金具3上に倒れた姿勢(図9に示す姿勢)で配置される。
【0031】
図8に示すように、アクチュエータ2が開姿勢に配置されるとき、当接部25の最下部は、補強金具3の斜面31aの上縁31cの後方に位置している。また、当接部25の最下部は、上縁31cよりも低い位置に位置している。この例では、アクチュエータ2が開姿勢にあるときには、被支持部の下面25aは斜面31aと向き合っている。特にこの例では、当接部25は斜面31a上に位置し、下面25aは斜面31aに当っている。なお、下面25aは斜面31aに対して斜めに配置されており、下面25aの後部は斜面31aに当っているものの、下面25aの前部は斜面31aから離れている。
【0032】
アクチュエータ2が開姿勢にある状況で、後方から力(図8においてF1)を受けたときは、アクチュエータ2は斜面31aに沿って上方且つ前方に斜めに移動しようとする。上述したように、アクチュエータ2の係合部23はフック53aの下方に位置している。そのため、アクチュエータ2が上方且つ前方に斜めに移動しようとしたときには、係合部23がフック53aの上ストッパ部53c及び最前ストッパ部53bに押し付けられるので、そのようなアクチュエータ2の移動はフック53aによって規制される。特にこの例では、アクチュエータ2が開姿勢にあるときには、係合部23はフック53aの最前ストッパ部53bに当っている(図5参照)。そのため、アクチュエータ2の前方への移動は完全に規制されている。
【0033】
なお、上述したように、当接部25は厚板状に形成されている。そのため、当接部25が補強金具3の斜面31aに押し付けられることに対する当該当接部25の強度を増すことができている。
【0034】
図5に示すように、係合部23とフック53aは、互いに向き合う平らな面を有している。すなわち、フック53aの上ストッパ部53cの下面53eは、平らに形成されている。また、係合部23は、その断面(左右方向に対して垂直な面を切断面とする断面)が前後方向(Y1−Y2方向)に長い略楕円形となるように形成されている。係合部23の上面も平らに形成されている。アクチュエータ2が開姿勢にある時には、これら係合部23の上面と上ストッパ部53cの下面とが向き合っている。上述したように、アクチュエータ2が、開姿勢にある状況で、アクチュエータ2を前方に移動させようとする力を受けた場合には、アクチュエータ2が斜面31aに沿って上方且つ前方に移動しようとする。この時、係合部23の上面が上ストッパ部53cの下面に押し付けられる。係合部23の上面と上ストッパ部53cの下面は平らに形成されているので、アクチュエータ2がそのような力が原因で前方に倒れることが抑えられている。
【0035】
なお、上述したように、この例では、アクチュエータ2に形成された凹部21の内面が、上アーム43の上面上に配置され、アクチュエータ2はこの上アーム43によって支持されている。アクチュエータ2は、当接部25が斜面31aから僅かに離れて位置するように、上アーム43によって支持されてもよい。このような構造においても、アクチュエータ2が後方から力F1を受けた場合には、アクチュエータ2の当接部25が斜面31aに当たり、その後、上方且つ前方に移動しようとする。そのため、この構造においても、アクチュエータ2の前方への移動はフック53aによって制限される。
【0036】
このように、当接部25は、斜面31aから僅かに離れて位置することも許容されている。そのため、補強金具3とアクチュエータ2の寸法や取付位置に要求される精度を緩和でき、コネクタの生産性を向上できる。
【0037】
図8に示すように、補強金具3の斜面31aは、当接部25との接点Pからさらに上方且つ前方に伸びている。そのため、アクチュエータ2が開姿勢にある状況で、後方からの力を受けた場合であっても、当接部25が斜面31aを乗り上げ、高上面31bに至ることが抑えられている。
【0038】
また、補強金具3の斜面31aは、当接部25との接点Pからさらに後方且つ下方に伸びており、下縁31dに続く低上面33aは当接部25の最下部よりもさらに下方に位置している。そのため、アクチュエータ2が開姿勢にある状況で、上方から力を受けたときには、アクチュエータ2は斜面31aに沿って僅かに下方に動くことができる。その結果、上方から受ける力に対する、アクチュエータ2の耐性を増すことができている。
【0039】
図9に示すように、アクチュエータ2は、閉姿勢にあるときには、補強金具3の高上面31bの上方で支持されている。この例では、アクチュエータ2が閉姿勢にあるときには、当接部25の後部25bは高上面31b上に配置されている。一方、当接部25の前部25cは前ストッパ部32の上方に位置している。この例では、図1に示すように、ハウジング11は、補強金具3の内側に位置するとともに補強金具3に沿って形成された内壁部13を有している。内壁部13は前ストッパ部32よりも高いため、アクチュエータ2が閉姿勢にあるときには、当接部25の前部25cは内壁部13の最前柱部13a上に配置され、当該内壁部13によって支持されている。なお、この時、当接部25は、前ストッパ部32の上面32aから離れて位置している。
【0040】
このように、アクチュエータ2は、閉姿勢にあるときには、高上面31bの上方で支持されている。そのため、閉姿勢にあるアクチュエータ2の位置は、高い位置に維持され、図6に示すように、その係合部23がフック53aに引っ掛かった状態が維持される。この例では、アクチュエータ2が閉姿勢にある時でも、係合部23は、フック53aの上ストッパ部53cと最前ストッパ部53bとに当っている。そのため、閉姿勢にあるアクチュエータ2が誤ってコネクタ1から外れることを抑えることができている。
【0041】
上述したように、アクチュエータ2が開姿勢にあるときに、係合部23はフック53aの最前ストッパ部53bに当っている(図5参照)。そのため、アクチュエータ2が開姿勢から閉姿勢に移る過程において、係合部23の前方への移動は許容されていない。そのため、アクチュエータ2が開姿勢から閉姿勢に移る過程では、当接部25は斜面31a上を僅かにスライドしながら、補強金具3上に倒れる。また、アクチュエータ2が閉姿勢に達するまで、当接部25と補強金具3との接点は常に斜面31a上に位置している。
【0042】
図1及び図9に示すように、当接部25は、アクチュエータ2が閉姿勢にあるときに下方に突出するよう形成された凸部25dを有している。この例では、凸部25dは、概ね矩形に形成されている(図1参照)。アクチュエータ2が閉姿勢にあるときに、凸部25dは後ストッパ部31の前方に位置している。すなわち、凸部25dの後面25eと、後ストッパ部31の前面31eとが前後方向で向き合っている。アクチュエータ2が閉姿勢に配置されたときには、その係合部23と、フック53aの段差部53dとの間には隙間が設けられる(図7参照)。そのため、アクチュエータ2が前方から力を受けたときには、アクチュエータ2は後方に移動しようとするものの、凸部25dが後ストッパ部31の前面31eに当るため、そのようなアクチュエータ2の後方への移動は制限されている。
【0043】
図1に示すように、内壁部13には凹部13bが形成されている。図2に示すように、フラットケーブル90がコネクタ1に挿入された時には、フラットケーブル90の凸部91は、この凹部13bと、前ストッパ部32と後ストッパ部31との間の凹部34とに配置される。フラットケーブル90が前方に引っ張られた時には、凸部91が最前柱部13aに当ることによって、フラットケーブル90の抜けが防止される。
【0044】
以上説明したように、コネクタ1では、アクチュエータ2は開姿勢にある時には、アクチュエータ2の当接部25の最下部は、補強金具3の斜面31aの上縁31cの後方に位置している。また、当接部25の最下部は、上縁31cよりも低い位置に位置している。そのため、アクチュエータ2は、後方から力を受けた場合、斜面31aに沿って上方且つ前方に移動しようとする。この時、係合部23はフック53aに押し付けられる。その結果、アクチュエータ2のそのような前方への移動を規制でき、アクチュエータ2のコネクタ1からの外れを防止できる。また、アクチュエータ2が閉姿勢にある時には、補強金具3の高上面31bの上方で支持されている。そのため、係合部23がフック53aに適切に引っ掛かった状態が維持される。つまり、閉姿勢に移ろうとするアクチュエータ2がストッパ部31を乗り越え、閉姿勢に至ったアクチュエータ2が高上面31bより低い位置で支持される構造では、係合部23のフック53aに対する位置が低くなり、その結果、係合部23がフック53aから外れやすくなる。コネクタ1では、アクチュエータ2が高上面31bの上方で支持されるので、係合部23の位置が比較的高くなり、その結果、係合部23がフック53aに適切に引っ掛かった状態が維持される。そのため、閉姿勢にあるアクチュエータ2に対して外力が作用した場合であっても、アクチュエータ2が前方に移動することを防止でき、アクチュエータ2がコネクタ1から外れることが抑えられている。
【0045】
なお、本発明は、以上説明したコネクタ1に限られず、種々の変更が可能である。
【0046】
例えば、以上の説明では、閉姿勢にあるアクチュエータ2は、補強金具3の高上面31b上で支持されていた。しかしながら、閉姿勢にあるアクチュエータ2は、高上面31bから上方に離れて支持されてもよい。
【0047】
また、以上の説明では、補強金具3とハウジング11の内壁部13には、フラットケーブル90の縁に形成された凸部91を収容するための凹部が形成されていた。しかしながら、この様な凸部91が形成されていないフラットケーブルが接続されるコネクタにおいては、補強金具3やハウジング11に、そのような凹部が形成されていなくてもよい。
【0048】
また、以上の説明では、開姿勢にあるアクチュエータ2の当接部25は、補強金具3の斜面31a上に配置されていた。しかしながら、アクチュエータ2が開姿勢にある際、当接部25は、斜面31aの下縁(後縁)31dよりもさらに後方に位置してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 コネクタ、2 アクチュエータ、2a 縁、3 補強金具、4 後接続端子、5 前接続端子、11 ハウジング、12 孔、13 内壁部、13a 最前柱部、13b 凹部、21 凹部、21a 被支持面、22 孔、23 係合部、24 操作部、25 当接部、25a 下面、25b 後部、25c 前部、25d 凸部、25e 後面、27 押圧部、31 後ストッパ部、31a 斜面、31b 高上面、31c 上縁、31d 下縁、31e 前面、32 前ストッパ部、32a 上面、33 後部、33a 低上面、33b,33c 爪部、34 凹部、35 固定部、41 接続部、42 基部、43 上アーム、44 下アーム、44a 接触部、51 接続部、52 基部、53 アーム、53a フック、53b 最前ストッパ部、53c 上ストッパ部、53d 段差部、53e 下面、54 下アーム、54a 接触部、55 底ロッド部、90 フラットケーブル、91 凸部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラットケーブルの挿入方向とは反対方向である前方に向かって伸びるアームを有する端子と、
前記アームの下方に位置し、前記アームに形成されたフックに引っ掛かっている係合部と、
前記係合部を含み、前記アームの上方で起立した第1の姿勢と、前記アームの前方に倒れた第2の姿勢との間で前記係合部を中心にして動くことのできるアクチュエータと、
前記端子の左右に配置される補強部材であって、前方に向かって上昇する斜面と、前記斜面の上縁からさらに前方に伸びる高上面と、を含む上面を有する補強部材と、を備え、
前記アクチュエータが前記第1の姿勢にあるとき、その少なくとも一部は前記斜面の前記上縁の後方、且つ当該上縁より低い位置に位置し、
前記アクチュエータは、前記第2の姿勢にあるとき、前記高上面の上方で支持される、
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタにおいて、
前記斜面は、前記第1の姿勢にある前記アクチュエータと前記斜面との接点から、さらに前方且つ上方に伸びている、
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項3】
請求項1に記載のコネクタにおいて、
前記斜面は、前記第1の姿勢にある前記アクチュエータと前記斜面との接点から、さらに後方且つ下方に伸びている、
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項4】
請求項1に記載のコネクタにおいて、
前記アクチュエータの前記係合部と、前記端子の前記フックは、互いに向き合う平らな面を有している、
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項5】
請求項1に記載のコネクタにおいて、
前記補強部材は、上方に突出するとともに、その上面として前記高上面と前記斜面とを有する前記ストッパ部を有し、
前記アクチュエータは、当該アクチュエータが前記第2の姿勢に配置されているときに前記ストッパ部の前方に位置する凸部を有する、
ことを特徴とするコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−222328(P2011−222328A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90836(P2010−90836)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(591043064)モレックス インコーポレイテド (441)
【氏名又は名称原語表記】MOLEX INCORPORATED
【Fターム(参考)】