コネクタ
【課題】大型化を招くことなく、嵌合作業の作業性を改善できるコネクタを提供する。
【解決手段】フード部を有する機器側コネクタハウジング21と、機器側コネクタハウジング21と嵌合される電線側コネクタハウジングと、電線側コネクタハウジング21に支持されたホルダ43と、カム溝を有する嵌合用レバー42及びカムピンによる倍力機構とを備え、ホルダ43の操作に伴って両コネクタハウジングを嵌合させるコネクタにおいて、フード部には傾斜突部23が設けられ、ホルダ43には電線側コネクタハウジングに設けられた保持突部57に係合することで嵌合用レバーを前記嵌合初期位置に保持すると共に、ホルダ43をスライドさせることで保持突部23との係合が解除される保持爪58が突設され、フード部及び傾斜突部23には突部逃がし溝及び突部逃がし孔59Bが形成されている。
【解決手段】フード部を有する機器側コネクタハウジング21と、機器側コネクタハウジング21と嵌合される電線側コネクタハウジングと、電線側コネクタハウジング21に支持されたホルダ43と、カム溝を有する嵌合用レバー42及びカムピンによる倍力機構とを備え、ホルダ43の操作に伴って両コネクタハウジングを嵌合させるコネクタにおいて、フード部には傾斜突部23が設けられ、ホルダ43には電線側コネクタハウジングに設けられた保持突部57に係合することで嵌合用レバーを前記嵌合初期位置に保持すると共に、ホルダ43をスライドさせることで保持突部23との係合が解除される保持爪58が突設され、フード部及び傾斜突部23には突部逃がし溝及び突部逃がし孔59Bが形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のインストルメントパネルの電子ユニット等に組付けられるコネクタとして特許文献1に記載のものが公知である。このコネクタは嵌合抵抗が大きく、そして、作業者の手を挿入することができないような位置に配設する場合においても、コネクタの嵌合作業を容易かつ確実に行うことができるように配慮されている。その構造は、一方のコネクタがカムピンを有する第一のコネクタハウジングを備えて構成され、他方のコネクタがカムピンと係合するカム溝とガイドピンとを有するレバーと、レバーを回動可能に支持して第一のコネクタハウジングと嵌合する第二のコネクタハウジングと、ガイドピンと係合するガイド溝が設けられ第二のコネクタハウジングに嵌合方向及び離脱方向にスライド可能に保持された操作部材とを有するものである。そして、互いのコネクタを嵌合させる時には、この操作部材を嵌合方向にスライドさせることにより、レバーに設けられたガイドピンを案内してレバーを回動させることで互いのコネクタを引き寄せて嵌合させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−21992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記構成では、両コネクタの嵌合開始時には、レバーはそのカム溝がカムピンを受入可能な状態になっていることが必要であるにもかかわらず、レバー或いは操作部材を第二のコネクタハウジングに対して所定の位置関係に保持する機能が無い。このため、第一のコネクタハウジングに第二のコネクタハウジングを嵌合させる際に、第二のコネクタハウジングが周辺部等に接触するなどして第二のコネクタハウジングが操作部材側へスライドしてしまい、その結果、第一のコネクタハウジングのカムピンと第二のコネクタハウジングのカム溝とが係合する前にレバーが回動して、互いのハウジングが嵌合できない状態に至ってしまうといった問題がある。このような場合、再び第二のコネクタハウジングと操作部材とを互いにスライドさせてレバーがカムピンを受入可能な状態に戻し、これらが動かないようにして再び嵌合操作をやり直すことが必要になり、嵌合作業の作業性に改善の余地があった。
このような状況に対処すべく、レバーをカム溝がカムピンを受入可能な初期状態に保持する機能をコネクタに付加することが検討されているが、コネクタハウジングの周りに新たな構造を付加することはコネクタの大型化を招くといった問題がある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、大型化を招くことなく、嵌合作業の作業性を改善できるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成する手段として本発明は、フード部を有する第一のコネクタハウジングと、前記フード部に収容されて前記第一のコネクタハウジングと嵌合される第二のコネクタハウジングと、前記第二のコネクタハウジングに沿って嵌合方向及び離脱方向にスライド操作可能に支持された嵌合操作部材と、前記第二のコネクタハウジングに設けられた駆動機構部及び前記第一のコネクタハウジングに設けられて前記駆動機構部と係合する従動機構部とからなる嵌合倍力機構とを備え、前記駆動機構部が前記嵌合操作部材の嵌合方向側への操作に伴って前記駆動機構部及び前記従動機構部の動作が開始される嵌合初期位置から嵌合完了位置まで駆動されることで前記第一及び第二のコネクタハウジングを最終的に嵌合させるようにしたコネクタにおいて、前記フード部の外面には前記フード部の先端から基端に向かって、且つ、前記フード部から離れる方向に傾斜する傾斜面を有する傾斜突部が設けられ、前記嵌合操作部材には前記第二のコネクタハウジングの外面に設けられた保持突部に係合することで前記嵌合倍力機構の前記駆動機構部及び前記従動機構部を互いに前記嵌合初期位置に保持すると共に、前記嵌合操作部材を嵌合方向にスライドさせることで前記傾斜面に乗り上げて前記保持突部との係合が解除される保持爪が突設され、前記フード部と前記傾斜突部とには互いのコネクタハウジングが嵌合されるときに前記保持突部の通過軌跡に対応する突部逃がし溝が形成されているところに特徴を有する。
【0007】
このような構成のコネクタによると、互いのコネクタハウジングが嵌合前の状態のときには、保持突部と補助爪とによって嵌合操作部材を第二のコネクタハウジングに対して嵌合初期位置に保持し、互いのコネクタハウジングが嵌合させるときには操作部材を嵌合方向にスライドさせて保持爪が傾斜突部の傾斜面に乗り上げることで保持突部と保持爪との係合が解除されると共に、保持突起を突部逃がし溝に逃がして操作部材をスライド可能な状態にすることができる。これにより、嵌合作業時の煩わしさを防ぐと共に、嵌合作業性を向上させることができる。
【0008】
本発明の実施の態様として、以下の構成が望ましい。
前記倍力嵌合機構の前記駆動機構部と前記従動機構部とは、前記フード部及び前記第二のコネクタハウジングの一方の外面と、それとは反対側の他方の外面とにそれぞれ一対備えられている構成としてもよい。
このような構成によると、それぞれの機構部が第二のコネクタハウジングやフード部の両側面に備えることで、コネクタを多極化した場合においても互いのコネクタハウジングを容易に嵌合させることができる。
【0009】
前記倍力嵌合機構は前記従動機構部が前記第一のコネクタハウジングの外面に設けられたカムピンであり、前記駆動機構部が前記カムピンと係合するカム溝を有して前記第二のコネクタハウジングに回動可能に支持された嵌合用レバーである構成としてもよい。
【0010】
このような構成によると、カムピンとカム溝を有する嵌合用レバーを互いのコネクタハウジングが嵌合する方向に回動させることによって、倍力作用により容易に互いのコネクタハウジングを嵌合させることができる。
【0011】
前記嵌合操作部材及び前記嵌合用レバーにはその一方及び他方に形成されて互いに係合する連結ピンと連結溝とが備えられ、前記操作部材を嵌合方向に操作することで前記連結ピンが前記連結溝の終端部に案内されて前記嵌合用レバーが嵌合初期位置から嵌合完了位置まで回動し、前記嵌合操作部材を前記第一のコネクタハウジングから離脱する方向に操作することで前記連結ピンが前記連結溝の始端部に案内されて前記嵌合レバーが嵌合完了位置から嵌合初期位置まで回動する構成としてもよい。
このような構成によると、連結ピンが連結溝に沿って連結溝の終端部に案内されることで嵌合用レバーが嵌合初期位置から嵌合完了位置まで回動して互いのコネクタがカム作用により嵌合され、連結ピンが前記連結溝の始端部に案内されることで前記嵌合レバーが嵌合完了位置から嵌合初期位置まで回動して第一のコネクタハウジングから第二のコネクタハウジングが離脱される構成とすることができる。
【0012】
前記第二のコネクタハウジングには一方の面とその反対側に位置する他方との面とに前記保持突部が設けられ、前記嵌合操作部材と前記フード部とには前記保持突部と対応する前記保持爪と、前記傾斜突部と、前記突部逃がし溝とがそれぞれ一対設けられている構成としてもよい。
このような構成によると、保持突部と保持爪とが第二のコネクタハウジングや嵌合操作部材の両側にそれぞれ一対設けられたことで、嵌合操作部材を第二のコネクタハウジングに対して傾斜したりガタついたりすることなく保持することができる。これにより、第一のコネクタハウジングのフード部への第二のコネクタハウジングの挿入操作が容易となり、嵌合作業性をより向上させることができる。
【0013】
前記操作部材には前記傾斜突部と対応する位置に前記傾斜面に押圧されることで弾性変形し、前記第一及び第二のコネクタハウジングが嵌合完了位置に至ったときに前記傾斜面の終端位置において弾性復帰して前記傾斜突部に設けられた係止部に係合する弾性係止片が一対設けられている構成としてもよい。
このような構成によると、互いのコネクタハウジングが嵌合完了位置に至ったときに前記フード部に前記操作部材をロックして互いのコネクタハウジングの嵌合状態を保持することができる。
【0014】
前記保持爪は前記弾性係止片から前記傾斜面に向かって突出した形状に設けられている構成としてもよい。このような構成によると、保持爪が弾性係止片から傾斜面に向かって突出しているため、互いのコネクタハウジングを嵌合させる際に、弾性係止片が傾斜面と当接することなく、傾斜面に押圧されて弾性変形させることが可能となる。これにより、互いのコネクタハウジングの嵌合過程で嵌合状態を保持する弾性係止片が摩耗することを防ぐことができる。
【0015】
前記弾性係止片はその両側面の中央部を前記嵌合操作部材に揺動可能に支持され、前記弾性係止片には先端部に前記係止部と係止する係合爪が設けられていると共に、末端部に前記第二のコネクタハウジング側に押圧操作することで前記弾性係止片を前記撓み変形させて前記係止部と前記係合爪との係止状態を解除する押圧操作部が設けられている構成としてもよい。
このような構成によると、メンテナンスなどの理由により、互いのコネクタハウジングを嵌合解除状態にする必要性が生じたときには、押圧操作部を押圧することによって弾性係止片を撓み変形させて係止状態を解除し、容易に第二のコネクタハウジングを離脱させることができる。
【0016】
前記嵌合操作部材は前記フード部の外側面と前記第二のコネクタハウジングの外側面を取り囲むことが可能な筒状に形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、嵌合操作部材を筒状にしてコネクタハウジングやフード部の外側面を取り囲むようにしたことで操作部材を嵌合方向にスライド操作させる際に、第二のコネクタハウジングを第一のコネクタハウジングに対して均等に押し付けて嵌合させることができ、嵌合作業の作業性をより確実に向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、コネクタの大型化を招くことなく、嵌合作業の作業性を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態に係る機器側及び電線側コネクタハウジングの嵌合前状態を示す斜視図
【図2】同平面図
【図3】同側面図
【図4】同背面図
【図5】図4のV−V線断面図
【図6】図4のVI−VI線断面図
【図7】図4のVII−VII線断面図
【図8】本実施形態に係る機器側コネクタハウジングの斜視図
【図9】図5の機器側及び電線側コネクタハウジングの仮嵌合状態に相当する断面図
【図10】図6の機器側及び電線側コネクタハウジングの仮嵌合状態に相当する断面図
【図11】図5の機器側及び電線側コネクタハウジングの嵌合完了状態に相当する断面図
【図12】図6の機器側及び電線側コネクタハウジングの嵌合完了状態に相当する断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態>
本発明の一実施形態を図1乃至図12によって説明する。
本実施形態では、機器70の取付孔71に取り付けられて固定された機器側コネクタ20と、電線Yの末端に接続された雌型端子金具15を装着する電線側コネクタ40(図7に詳細に現れる)とから構成されるコネクタを例示している。尚、以下の説明において「前」及び「後」とは、互いのコネクタを嵌合させるための操作方向の先側及び後側をいう。
【0020】
機器側コネクタ20は、図7に示すように、第一のコネクタハウジングに相当する合成樹脂製の機器側コネクタハウジング21と機器側コネクタハウジング21に取り付けられる雄型端子金具10によって構成される。
機器側コネクタハウジング21は図1及び図8に示すように、全体の外観が直方体形状をなし、前方部にフード部22が形成され、後方部に図面の簡略化のため図示しないキャビティが縦横に複数形成されたハウジング本体部21Aが形成されている。フード部22にはその長辺方向における両端に位置する側面の中央部に傾斜突部23が形成され、短辺方向における両端に位置する側面にはカムピン24が外向きに突設されている。
【0021】
傾斜突部23はフード部22の前方開口縁より後方の位置からフード部22の後方(図1,図8において下方)に向かって延びており、後方に行くほど徐々に高さが高くなる傾斜面23Aと、傾斜面23Aの後方端部において嵌合方向と直交する係止面部23B(図2参照)とによって構成されている。
カムピン24は長辺側の側面において側縁寄りの位置に設けられており、それぞれのカムピン24の位置関係は機器側コネクタハウジング21の嵌合面の中心に対して点対称の位置に配置されている。
【0022】
雄型端子金具10は先端部に電線側コネクタ40の雌型端子金具15に接続されるタブ部11が形成されており、機器側コネクタ20のフード部22の底面からタブ部11を突出させた状態に機器側コネクタハウジング21に装着されている。
【0023】
一方、電線側コネクタ40は、図4乃至図7に示すように電線Yが接続された雌型端子金具15を装着し機器側コネクタハウジング21のフード部22内に収容されて嵌合する第二のコネクタハウジングに相当する合成樹脂製の電線側コネクタハウジング41と、電線側コネクタハウジング41の側面に回動可能に支持された嵌合用レバー42と、嵌合用レバー42と電線側コネクタハウジング41の外側面を囲んで保持する嵌合操作部材に相当するホルダ43とによって構成されている。
電線側コネクタハウジング41は直方体形状をなし、その内部は図4に示すように、キャビティ44が長辺方向に四列、短辺方向に二段、縦横に計八つ形成されている。
【0024】
電線側コネクタハウジング41の長辺を構成する両側面には嵌合用レバー42を回動可能に支持する支持軸45がそれぞれ突設され、両支持軸45は電線側コネクタハウジング41の嵌合面の中心に対して点対称の位置に配置されている。
【0025】
嵌合用レバー42は図5に示すように一端が幅広で他端が先細りした合成樹脂製の板状をなしている。この嵌合用レバー42の幅広側の領域には弧状を成すカム溝48が嵌合用レバー42の幅広側の側縁部において進入口47を開口させて形成されている。また、先細り側の端部には板厚方向に延びる連結ピン49が外向きに一体に突設され、その先端にはフランジ部50が形成されている(図1参照)。嵌合用レバー42には、カム溝48の終端縁に隣接して軸受孔51が形成されている。この嵌合用レバー42は、電線側コネクタハウジング41の両側に位置して各1枚ずつ設けられ、その軸受孔51を電線側コネクタハウジング41に突設した前記支持軸45に嵌合することで各嵌合用レバー42が支持軸45を中心に回動可能となっている。
【0026】
この嵌合用レバー42の回動範囲は、図2及び図5に示すように嵌合用レバー42の進入口47がカムピン24と対応する状態となってカムピン24がカム溝48へ進入可能となった位置(以下、「嵌合初期位置」という)と、図11に示すように、カムピン24がカム溝48の奥端に至って両コネクタハウジング21,41の嵌合が完了した位置(以下、「嵌合完了位置」という)との間に設定されている。
【0027】
そして、嵌合用レバー42では、支持軸45と連結ピン49との間の距離を、支持軸45とカム溝48との間の距離に比べて長く設定してあり、そのため連結ピン49を前方側(図中下方向)に押圧して嵌合用レバー42を図5の矢印A方向に回動させると、その押圧力よりも強い力でカムピン24を相対的に引き上げる力が作用する。すなわち、この嵌合用レバー42及びカムピン24は、連結ピン49の押圧力をレバー作用によって増幅する嵌合倍力機構として機能し、上記嵌合用レバー42はその駆動機構部に相当し、カムピン24は従動機構部に相当する。なお、支持軸45及びカムピン24は、前述したように、ともに機器側コネクタハウジング21の嵌合面の中心に対して点対称位置にあるから、2枚の嵌合用レバー42はそのレバー作用を発揮する回動方向は互いに逆方向となる。
【0028】
一方、ホルダ43は合成樹脂製であって、図1乃至図4に示すように概ね角筒状を成し、その内部に嵌合用レバー42と電線側コネクタハウジング41とを収容可能である。
【0029】
ホルダ43の矩形状開口縁のうち短辺を構成する側壁には中央部分から前方開口縁まで延びる一対のスリット54が前後方向(図中上下方向)に延びて形成され、かつ、連結部52Cを残して中央部分から後方開口縁まで延びる他の一対のスリット54がやはり前後方向に延びて形成され、これにより連結部52Cを軸にして図1中の矢印B方向に回動可能となった弾性係止片52が設けられている。
【0030】
弾性係止片52の前方端部には係合爪52Aがホルダ43の内側に向かって突出するように形成され、後方端部には押圧操作部52Bが形成されている。
係合爪52Aは機器側コネクタハウジング21の傾斜突部23と対応する位置にある。
【0031】
各弾性係止片52の側縁を両側から挟む位置にある側壁には、それぞれホルダ43の内側に入り込むようにしてホルダ43の前後方向に沿って延びる端面壁55が形成され、その端面壁55がホルダ43の内側に収容されるフード部22の側壁に対して僅かなギャップを介して対向可能となっている。そして、各端面壁55の後端(図中上端)には、ホルダ43の内側に突出する押え部56が形成されている。
一方、上記ホルダ43の内部に収容されている電線側コネクタ40には、その電線側コネクタハウジング41の後端(図5における上端)には上記各押え部56に対応する位置に、受け部46が形成されている。各受け部46は、押え部56が後方(図中上方)から進入可能でかつ所定深さ進入したときに押え部56が当接する当たり面46Bを有する溝部46A(図5参照)を有する。
【0032】
また、ホルダ43にはその長辺側の各側壁にレバー駆動溝53が形成されている。このレバー駆動溝53はホルダ43の後方開口縁から嵌合方向に真直ぐ延びて側縁方向に向かって略L字状に屈曲されている。
レバー駆動溝53内には嵌合用レバー42の連結ピン49が摺動可能な状態に嵌め込まれており、連結ピン49のフランジ部50によってレバー駆動溝53から連結ピン49が抜けないようにしている。そして、嵌合用レバー42が嵌合初期位置にあるとき、連結ピン49はレバー駆動溝53の屈曲部を僅かに終端側に通り過ぎた位置にある。
【0033】
さて、図6に示すように、電線側コネクタハウジング41の短辺側の側壁の外面にはその中央部よりやや後方寄りの位置に保持突部57が突設され、ホルダ43の弾性係止片52の係合爪52Aには保持突部57と対応する位置に保持爪58が突設されている。また、機器側コネクタハウジング21のフード部22には保持突部57に対応してフード部22の開口縁部から傾斜突部23まで延びて、且つ傾斜突部23の後方から機器70の取付孔71まで真っ直ぐ延びる突部逃がし用スリット59Aが形成されており、傾斜突部23が設けられた位置には傾斜突部23の内部を貫通する突部逃がし孔59Bが形成されている。また、この突部逃がし用スリット59Aと突部逃がし孔59Bとの内部は保持突部57が通過可能にしてあり、突部逃がし用スリット59Aと突部逃がし孔59Bとが突部逃がし溝に相当する。
【0034】
保持突部57は前方側の外方の位置に当接傾斜面57Aが設けらた前後方向に僅かに長い箱型形状をなしており、電線側コネクタハウジング41と一体に形成されている。また、保持突部57の突出量はフード部22の壁面の厚さ寸法より僅かに長い寸法とされ、電線側コネクタハウジング41がホルダ43に収容された際には保持突部とホルダ43の内面とが当接しないようになっている。
【0035】
一方、保持爪58は、弾性係止片52の先端に位置する係合爪52Aの前方側の内側の位置に機器側コネクタハウジング21の保持突部57と対応するように設けられている。保持爪58には、後方から前方に向かって外方向に傾斜する傾斜受面58Aが設けられており、電線側コネクタハウジング41と、嵌合用レバー42と、ホルダ43とを前記嵌合初期位置状態としたときに、保持突部57の当接傾斜面57Aと当接することで、嵌合用レバー42が嵌合初期位置よりも嵌合完了位置の方向に向かって回動しないようになっている。
これにより、電線側コネクタ40を機器側コネクタ20に嵌合させるときには、予め保持突部57の当接傾斜面57Aと保持爪58の傾斜受面58Aとを当接可能な嵌合初期位置状態にしておくことで、電線側コネクタハウジング41と、嵌合用レバー42と、ホルダ43とを前記の嵌合初期位置の状態に保持したまま機器側コネクタ20に嵌合させることができる。
【0036】
また、保持爪58は、図2に示すように、機器側コネクタ20に電線側コネクタ40を嵌合初期位置で仮嵌合させた時には、保持爪58の傾斜受面58Aの中央部と電線側コネクタハウジング41のフード部22の開口縁部とが当接する位置関係となっており、保持爪58の電線側コネクタハウジング41側の先端部分がフード部22の外面の位置よりも僅かにフード部22の内部側に位置するようになっている。
突部逃がしスリット59A及び突部逃がし孔59Bは電線側コネクタハウジング41の保持突部の短辺方向の長さよりも僅かに幅広であり、且つ、弾性係止片52の保持爪58よりも僅かに幅狭に形成されている。
【0037】
また、突部逃がし用スリット59Aには機器70の開口縁部よりも僅かに前方寄りの位置から機器70の取付孔71までの位置に僅かに拡幅された拡幅部59Cが形成されており、機器側コネクタ20と電線側コネクタ40とが嵌合完了位置に至ったときには、図11及び図12に示すように、保持爪58がこの拡幅部59Cに収容されるようになっている。尚、この嵌合完了位置において、保持突部57は傾斜突部23に設けられている突部逃がし孔59Bに僅かに進入した状態になっている。
【0038】
本実施形態のレバー式コネクタは上記のような構造であって、続いて嵌合及び嵌合解除操作とその作用を説明する。
まず、図1乃至図7に示すように、電線側コネクタ40の電線側コネクタハウジング41と、嵌合用レバー42と、ホルダ43とをそれぞれ前記嵌合初期位置にセットする。すると、図6に示すように、電線側コネクタハウジング41の保持突部57の当接傾斜面57Aと保持爪58の傾斜受面58Aとが当接状態となって、電線側コネクタ40が嵌合初期位置に保持される。
【0039】
次に、この嵌合初期位置状態の電線側コネクタ40を機器側コネクタ20に嵌合させるが、このとき、電線側コネクタハウジング41の嵌合側の面がフード部22の周辺等に多少接触するなどしても保持突部57と保持爪58とが当接状態となって、電線側コネクタ40を嵌合初期位置に保持することができる。これにより、電線側コネクタハウジング41の嵌合側の面に多少の押圧力がかかっても、嵌合用レバー42は嵌合完了位置に向かって回動することがなく、ホルダ43に電線側コネクタハウジング41が収容されることを防ぐことができる。これにより、嵌合作業時の接触による嵌合初期位置へのやり直し作業をなくすことができ、嵌合作業の作業性を飛躍的に向上させることができる。
【0040】
そして、図5及び図6に示すように、電線側コネクタ40を機器側コネクタに仮嵌合させて、ホルダ43を機器側コネクタ20側に向かってスライド操作すると、嵌合用レバー42の連結ピン49が連結溝53の終端部に向かって案内されて嵌合用レバー42が嵌合完了位置に向かって回動し始める。このとき、弾性係止片52の保持爪58は保持突起57の当接傾斜面57Aを摺動して保持突部57に乗り上げると共に、機器側コネクタ20のフード部22の開口縁部に押圧される状態となって保持爪58がフード部に乗り上げ、保持突部57は機器側コネクタ20に電線側コネクタ40を仮嵌合させた時点から突部逃がしスリット59Aに進入する。
【0041】
更にホルダ43を機器側コネクタ20側にスライド操作すると、図9及び図10に示すように、保持突部57が傾斜突部23の傾斜面23Aに押圧される状態となって傾斜突部23に乗り上げ、弾性係止片52の先端部が支持部52Cを支点に外方に向かって撓み変形し、保持爪58との当接状態が解除される。
【0042】
最終的に機器側コネクタ20と電線側コネクタ40とが嵌合完了位置に至るときには、機器側コネクタ20のフード部22がホルダ43に完全に収容されると共に、保持爪58と傾斜突部23との当接状態が解除されて弾性係止片52の撓み変形が解除され、弾性係止片52の係合爪52Aが傾斜突部23の係止面部23Bと係合する。これにより両コネクタ20,40の嵌合完了状態が保持され、コネクタの導通状態が保証される。尚、この最終過程において、ホルダ43の各押え部56は電線側コネクタハウジング41のガイド受46の当たり面46Bを押さえつけることで電線側コネクタハウジング41を機器側コネクタハウジング21に対して均一に嵌め合わせることができるようになっている。
【0043】
また、保持爪58は嵌合完了位置において、突部逃がしスリット59Aの拡幅部59Cに嵌り込むことで弾性係止片52と傾斜突部23との係合に干渉することはない。また、保持突部57も電線側コネクタ40を機器側コネクタ20に仮嵌合させた位置から嵌合完了位置まで、機器側コネクタ20のフード部22に形成された突部逃がしスリット59A及び突部逃がし孔59Bを通過するため、コネクタ20,40の嵌合過程で互いに干渉することはない。
また、機器側コネクタ20と電線側コネクタ40とを嵌合させる際に従来型のコネクタに比べて保持突部57と保持爪58との係合状態を解除するための押圧力が必要となるが、保持突部57と保持爪58との当接部分は互いに傾斜した当接傾斜面57Aと傾斜受面58Aとであるため、保持突部57と保持爪58との解除に対する負荷は従来型と大きく変わることはない。
【0044】
更に、メンテナンスなどにおいて両コネクタ20,40の嵌合状態を解除する必要がある時には、ホルダ43の弾性係止片52の押圧操作部52Bを押圧操作することで、弾性係止片52の支持部52Cを支点に弾性係止片52を撓み変形させて、ホルダ43を離脱方向にスライドさせることにより両コネクタ20,40を容易に嵌合解除状態にすることができる。
【0045】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、駆動機構部をカム溝48を有する嵌合用レバー42とし、従動機構部をフード部22から突設するカムピン24とする嵌合倍力機構の構成としたが、本発明はこのような態様に制限されるものではなく、例えば、嵌合用レバー42の外周部に駆動機構部としてのピニオンギアを設け、従動機構部としてフード部の外面にラック部を嵌合方向に沿って設けた構成のいわゆるラックアンドピニオン式の嵌合倍力機構としてもよい。
(2)上記実施形態では、弾性係止片52がホルダ43の両側面に形成されている構成としたが、本発明はこのような態様に制限されるものではなく、例えば、弾性係止片52はホルダ43のどちらか一方の側面に形成される構成としてもよい。
(3)上記実施形態では、傾斜突部23と弾性係止片52とを設けてホルダ43を機器側コネクタ20に係合させることで、ひいては電線側コネクタ40の嵌合状態を保持できるようにした。しかし、これは必ずしも必要ではなく、例えば電線側コネクタ40と機器側コネクタ20とが直接に係合して嵌合状態を保持できるようにしてもよく、或いは、嵌合位置に至ったホルダ43を他の部品によって後方に移動することを規制することで両コネクタ20,40の嵌合状態を保持するようにしてもよい。
(4)上記実施形態では、弾性係止片52に押圧操作部52Bを形成することで弾性係止片52と傾斜突部23との係合を解除できる構成としたが、これは必ずしも必要ではなく、例えば、治具によって弾性係止片52を撓み変形させることで弾性係止片52と傾斜突部23との係合を解除する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0046】
21:機器側コネクタハウジング(第一のコネクタハウジング)
22:フード部、23:傾斜突部、23A:傾斜面
23B:係止部、24:カムピン(従動機構部)
41:電線側コネクタハウジング(第二のコネクタハウジング)
42:嵌合用レバー(駆動機構部)、43:ホルダ(嵌合用操作部材)
48:カム溝(駆動機構部)、49:連結ピン、52:弾性係止片
52A:係合爪、52B:押圧操作部、53:連結溝、57:保持突部
58:保持爪、59:突部逃がし溝
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のインストルメントパネルの電子ユニット等に組付けられるコネクタとして特許文献1に記載のものが公知である。このコネクタは嵌合抵抗が大きく、そして、作業者の手を挿入することができないような位置に配設する場合においても、コネクタの嵌合作業を容易かつ確実に行うことができるように配慮されている。その構造は、一方のコネクタがカムピンを有する第一のコネクタハウジングを備えて構成され、他方のコネクタがカムピンと係合するカム溝とガイドピンとを有するレバーと、レバーを回動可能に支持して第一のコネクタハウジングと嵌合する第二のコネクタハウジングと、ガイドピンと係合するガイド溝が設けられ第二のコネクタハウジングに嵌合方向及び離脱方向にスライド可能に保持された操作部材とを有するものである。そして、互いのコネクタを嵌合させる時には、この操作部材を嵌合方向にスライドさせることにより、レバーに設けられたガイドピンを案内してレバーを回動させることで互いのコネクタを引き寄せて嵌合させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−21992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記構成では、両コネクタの嵌合開始時には、レバーはそのカム溝がカムピンを受入可能な状態になっていることが必要であるにもかかわらず、レバー或いは操作部材を第二のコネクタハウジングに対して所定の位置関係に保持する機能が無い。このため、第一のコネクタハウジングに第二のコネクタハウジングを嵌合させる際に、第二のコネクタハウジングが周辺部等に接触するなどして第二のコネクタハウジングが操作部材側へスライドしてしまい、その結果、第一のコネクタハウジングのカムピンと第二のコネクタハウジングのカム溝とが係合する前にレバーが回動して、互いのハウジングが嵌合できない状態に至ってしまうといった問題がある。このような場合、再び第二のコネクタハウジングと操作部材とを互いにスライドさせてレバーがカムピンを受入可能な状態に戻し、これらが動かないようにして再び嵌合操作をやり直すことが必要になり、嵌合作業の作業性に改善の余地があった。
このような状況に対処すべく、レバーをカム溝がカムピンを受入可能な初期状態に保持する機能をコネクタに付加することが検討されているが、コネクタハウジングの周りに新たな構造を付加することはコネクタの大型化を招くといった問題がある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、大型化を招くことなく、嵌合作業の作業性を改善できるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成する手段として本発明は、フード部を有する第一のコネクタハウジングと、前記フード部に収容されて前記第一のコネクタハウジングと嵌合される第二のコネクタハウジングと、前記第二のコネクタハウジングに沿って嵌合方向及び離脱方向にスライド操作可能に支持された嵌合操作部材と、前記第二のコネクタハウジングに設けられた駆動機構部及び前記第一のコネクタハウジングに設けられて前記駆動機構部と係合する従動機構部とからなる嵌合倍力機構とを備え、前記駆動機構部が前記嵌合操作部材の嵌合方向側への操作に伴って前記駆動機構部及び前記従動機構部の動作が開始される嵌合初期位置から嵌合完了位置まで駆動されることで前記第一及び第二のコネクタハウジングを最終的に嵌合させるようにしたコネクタにおいて、前記フード部の外面には前記フード部の先端から基端に向かって、且つ、前記フード部から離れる方向に傾斜する傾斜面を有する傾斜突部が設けられ、前記嵌合操作部材には前記第二のコネクタハウジングの外面に設けられた保持突部に係合することで前記嵌合倍力機構の前記駆動機構部及び前記従動機構部を互いに前記嵌合初期位置に保持すると共に、前記嵌合操作部材を嵌合方向にスライドさせることで前記傾斜面に乗り上げて前記保持突部との係合が解除される保持爪が突設され、前記フード部と前記傾斜突部とには互いのコネクタハウジングが嵌合されるときに前記保持突部の通過軌跡に対応する突部逃がし溝が形成されているところに特徴を有する。
【0007】
このような構成のコネクタによると、互いのコネクタハウジングが嵌合前の状態のときには、保持突部と補助爪とによって嵌合操作部材を第二のコネクタハウジングに対して嵌合初期位置に保持し、互いのコネクタハウジングが嵌合させるときには操作部材を嵌合方向にスライドさせて保持爪が傾斜突部の傾斜面に乗り上げることで保持突部と保持爪との係合が解除されると共に、保持突起を突部逃がし溝に逃がして操作部材をスライド可能な状態にすることができる。これにより、嵌合作業時の煩わしさを防ぐと共に、嵌合作業性を向上させることができる。
【0008】
本発明の実施の態様として、以下の構成が望ましい。
前記倍力嵌合機構の前記駆動機構部と前記従動機構部とは、前記フード部及び前記第二のコネクタハウジングの一方の外面と、それとは反対側の他方の外面とにそれぞれ一対備えられている構成としてもよい。
このような構成によると、それぞれの機構部が第二のコネクタハウジングやフード部の両側面に備えることで、コネクタを多極化した場合においても互いのコネクタハウジングを容易に嵌合させることができる。
【0009】
前記倍力嵌合機構は前記従動機構部が前記第一のコネクタハウジングの外面に設けられたカムピンであり、前記駆動機構部が前記カムピンと係合するカム溝を有して前記第二のコネクタハウジングに回動可能に支持された嵌合用レバーである構成としてもよい。
【0010】
このような構成によると、カムピンとカム溝を有する嵌合用レバーを互いのコネクタハウジングが嵌合する方向に回動させることによって、倍力作用により容易に互いのコネクタハウジングを嵌合させることができる。
【0011】
前記嵌合操作部材及び前記嵌合用レバーにはその一方及び他方に形成されて互いに係合する連結ピンと連結溝とが備えられ、前記操作部材を嵌合方向に操作することで前記連結ピンが前記連結溝の終端部に案内されて前記嵌合用レバーが嵌合初期位置から嵌合完了位置まで回動し、前記嵌合操作部材を前記第一のコネクタハウジングから離脱する方向に操作することで前記連結ピンが前記連結溝の始端部に案内されて前記嵌合レバーが嵌合完了位置から嵌合初期位置まで回動する構成としてもよい。
このような構成によると、連結ピンが連結溝に沿って連結溝の終端部に案内されることで嵌合用レバーが嵌合初期位置から嵌合完了位置まで回動して互いのコネクタがカム作用により嵌合され、連結ピンが前記連結溝の始端部に案内されることで前記嵌合レバーが嵌合完了位置から嵌合初期位置まで回動して第一のコネクタハウジングから第二のコネクタハウジングが離脱される構成とすることができる。
【0012】
前記第二のコネクタハウジングには一方の面とその反対側に位置する他方との面とに前記保持突部が設けられ、前記嵌合操作部材と前記フード部とには前記保持突部と対応する前記保持爪と、前記傾斜突部と、前記突部逃がし溝とがそれぞれ一対設けられている構成としてもよい。
このような構成によると、保持突部と保持爪とが第二のコネクタハウジングや嵌合操作部材の両側にそれぞれ一対設けられたことで、嵌合操作部材を第二のコネクタハウジングに対して傾斜したりガタついたりすることなく保持することができる。これにより、第一のコネクタハウジングのフード部への第二のコネクタハウジングの挿入操作が容易となり、嵌合作業性をより向上させることができる。
【0013】
前記操作部材には前記傾斜突部と対応する位置に前記傾斜面に押圧されることで弾性変形し、前記第一及び第二のコネクタハウジングが嵌合完了位置に至ったときに前記傾斜面の終端位置において弾性復帰して前記傾斜突部に設けられた係止部に係合する弾性係止片が一対設けられている構成としてもよい。
このような構成によると、互いのコネクタハウジングが嵌合完了位置に至ったときに前記フード部に前記操作部材をロックして互いのコネクタハウジングの嵌合状態を保持することができる。
【0014】
前記保持爪は前記弾性係止片から前記傾斜面に向かって突出した形状に設けられている構成としてもよい。このような構成によると、保持爪が弾性係止片から傾斜面に向かって突出しているため、互いのコネクタハウジングを嵌合させる際に、弾性係止片が傾斜面と当接することなく、傾斜面に押圧されて弾性変形させることが可能となる。これにより、互いのコネクタハウジングの嵌合過程で嵌合状態を保持する弾性係止片が摩耗することを防ぐことができる。
【0015】
前記弾性係止片はその両側面の中央部を前記嵌合操作部材に揺動可能に支持され、前記弾性係止片には先端部に前記係止部と係止する係合爪が設けられていると共に、末端部に前記第二のコネクタハウジング側に押圧操作することで前記弾性係止片を前記撓み変形させて前記係止部と前記係合爪との係止状態を解除する押圧操作部が設けられている構成としてもよい。
このような構成によると、メンテナンスなどの理由により、互いのコネクタハウジングを嵌合解除状態にする必要性が生じたときには、押圧操作部を押圧することによって弾性係止片を撓み変形させて係止状態を解除し、容易に第二のコネクタハウジングを離脱させることができる。
【0016】
前記嵌合操作部材は前記フード部の外側面と前記第二のコネクタハウジングの外側面を取り囲むことが可能な筒状に形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、嵌合操作部材を筒状にしてコネクタハウジングやフード部の外側面を取り囲むようにしたことで操作部材を嵌合方向にスライド操作させる際に、第二のコネクタハウジングを第一のコネクタハウジングに対して均等に押し付けて嵌合させることができ、嵌合作業の作業性をより確実に向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、コネクタの大型化を招くことなく、嵌合作業の作業性を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態に係る機器側及び電線側コネクタハウジングの嵌合前状態を示す斜視図
【図2】同平面図
【図3】同側面図
【図4】同背面図
【図5】図4のV−V線断面図
【図6】図4のVI−VI線断面図
【図7】図4のVII−VII線断面図
【図8】本実施形態に係る機器側コネクタハウジングの斜視図
【図9】図5の機器側及び電線側コネクタハウジングの仮嵌合状態に相当する断面図
【図10】図6の機器側及び電線側コネクタハウジングの仮嵌合状態に相当する断面図
【図11】図5の機器側及び電線側コネクタハウジングの嵌合完了状態に相当する断面図
【図12】図6の機器側及び電線側コネクタハウジングの嵌合完了状態に相当する断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態>
本発明の一実施形態を図1乃至図12によって説明する。
本実施形態では、機器70の取付孔71に取り付けられて固定された機器側コネクタ20と、電線Yの末端に接続された雌型端子金具15を装着する電線側コネクタ40(図7に詳細に現れる)とから構成されるコネクタを例示している。尚、以下の説明において「前」及び「後」とは、互いのコネクタを嵌合させるための操作方向の先側及び後側をいう。
【0020】
機器側コネクタ20は、図7に示すように、第一のコネクタハウジングに相当する合成樹脂製の機器側コネクタハウジング21と機器側コネクタハウジング21に取り付けられる雄型端子金具10によって構成される。
機器側コネクタハウジング21は図1及び図8に示すように、全体の外観が直方体形状をなし、前方部にフード部22が形成され、後方部に図面の簡略化のため図示しないキャビティが縦横に複数形成されたハウジング本体部21Aが形成されている。フード部22にはその長辺方向における両端に位置する側面の中央部に傾斜突部23が形成され、短辺方向における両端に位置する側面にはカムピン24が外向きに突設されている。
【0021】
傾斜突部23はフード部22の前方開口縁より後方の位置からフード部22の後方(図1,図8において下方)に向かって延びており、後方に行くほど徐々に高さが高くなる傾斜面23Aと、傾斜面23Aの後方端部において嵌合方向と直交する係止面部23B(図2参照)とによって構成されている。
カムピン24は長辺側の側面において側縁寄りの位置に設けられており、それぞれのカムピン24の位置関係は機器側コネクタハウジング21の嵌合面の中心に対して点対称の位置に配置されている。
【0022】
雄型端子金具10は先端部に電線側コネクタ40の雌型端子金具15に接続されるタブ部11が形成されており、機器側コネクタ20のフード部22の底面からタブ部11を突出させた状態に機器側コネクタハウジング21に装着されている。
【0023】
一方、電線側コネクタ40は、図4乃至図7に示すように電線Yが接続された雌型端子金具15を装着し機器側コネクタハウジング21のフード部22内に収容されて嵌合する第二のコネクタハウジングに相当する合成樹脂製の電線側コネクタハウジング41と、電線側コネクタハウジング41の側面に回動可能に支持された嵌合用レバー42と、嵌合用レバー42と電線側コネクタハウジング41の外側面を囲んで保持する嵌合操作部材に相当するホルダ43とによって構成されている。
電線側コネクタハウジング41は直方体形状をなし、その内部は図4に示すように、キャビティ44が長辺方向に四列、短辺方向に二段、縦横に計八つ形成されている。
【0024】
電線側コネクタハウジング41の長辺を構成する両側面には嵌合用レバー42を回動可能に支持する支持軸45がそれぞれ突設され、両支持軸45は電線側コネクタハウジング41の嵌合面の中心に対して点対称の位置に配置されている。
【0025】
嵌合用レバー42は図5に示すように一端が幅広で他端が先細りした合成樹脂製の板状をなしている。この嵌合用レバー42の幅広側の領域には弧状を成すカム溝48が嵌合用レバー42の幅広側の側縁部において進入口47を開口させて形成されている。また、先細り側の端部には板厚方向に延びる連結ピン49が外向きに一体に突設され、その先端にはフランジ部50が形成されている(図1参照)。嵌合用レバー42には、カム溝48の終端縁に隣接して軸受孔51が形成されている。この嵌合用レバー42は、電線側コネクタハウジング41の両側に位置して各1枚ずつ設けられ、その軸受孔51を電線側コネクタハウジング41に突設した前記支持軸45に嵌合することで各嵌合用レバー42が支持軸45を中心に回動可能となっている。
【0026】
この嵌合用レバー42の回動範囲は、図2及び図5に示すように嵌合用レバー42の進入口47がカムピン24と対応する状態となってカムピン24がカム溝48へ進入可能となった位置(以下、「嵌合初期位置」という)と、図11に示すように、カムピン24がカム溝48の奥端に至って両コネクタハウジング21,41の嵌合が完了した位置(以下、「嵌合完了位置」という)との間に設定されている。
【0027】
そして、嵌合用レバー42では、支持軸45と連結ピン49との間の距離を、支持軸45とカム溝48との間の距離に比べて長く設定してあり、そのため連結ピン49を前方側(図中下方向)に押圧して嵌合用レバー42を図5の矢印A方向に回動させると、その押圧力よりも強い力でカムピン24を相対的に引き上げる力が作用する。すなわち、この嵌合用レバー42及びカムピン24は、連結ピン49の押圧力をレバー作用によって増幅する嵌合倍力機構として機能し、上記嵌合用レバー42はその駆動機構部に相当し、カムピン24は従動機構部に相当する。なお、支持軸45及びカムピン24は、前述したように、ともに機器側コネクタハウジング21の嵌合面の中心に対して点対称位置にあるから、2枚の嵌合用レバー42はそのレバー作用を発揮する回動方向は互いに逆方向となる。
【0028】
一方、ホルダ43は合成樹脂製であって、図1乃至図4に示すように概ね角筒状を成し、その内部に嵌合用レバー42と電線側コネクタハウジング41とを収容可能である。
【0029】
ホルダ43の矩形状開口縁のうち短辺を構成する側壁には中央部分から前方開口縁まで延びる一対のスリット54が前後方向(図中上下方向)に延びて形成され、かつ、連結部52Cを残して中央部分から後方開口縁まで延びる他の一対のスリット54がやはり前後方向に延びて形成され、これにより連結部52Cを軸にして図1中の矢印B方向に回動可能となった弾性係止片52が設けられている。
【0030】
弾性係止片52の前方端部には係合爪52Aがホルダ43の内側に向かって突出するように形成され、後方端部には押圧操作部52Bが形成されている。
係合爪52Aは機器側コネクタハウジング21の傾斜突部23と対応する位置にある。
【0031】
各弾性係止片52の側縁を両側から挟む位置にある側壁には、それぞれホルダ43の内側に入り込むようにしてホルダ43の前後方向に沿って延びる端面壁55が形成され、その端面壁55がホルダ43の内側に収容されるフード部22の側壁に対して僅かなギャップを介して対向可能となっている。そして、各端面壁55の後端(図中上端)には、ホルダ43の内側に突出する押え部56が形成されている。
一方、上記ホルダ43の内部に収容されている電線側コネクタ40には、その電線側コネクタハウジング41の後端(図5における上端)には上記各押え部56に対応する位置に、受け部46が形成されている。各受け部46は、押え部56が後方(図中上方)から進入可能でかつ所定深さ進入したときに押え部56が当接する当たり面46Bを有する溝部46A(図5参照)を有する。
【0032】
また、ホルダ43にはその長辺側の各側壁にレバー駆動溝53が形成されている。このレバー駆動溝53はホルダ43の後方開口縁から嵌合方向に真直ぐ延びて側縁方向に向かって略L字状に屈曲されている。
レバー駆動溝53内には嵌合用レバー42の連結ピン49が摺動可能な状態に嵌め込まれており、連結ピン49のフランジ部50によってレバー駆動溝53から連結ピン49が抜けないようにしている。そして、嵌合用レバー42が嵌合初期位置にあるとき、連結ピン49はレバー駆動溝53の屈曲部を僅かに終端側に通り過ぎた位置にある。
【0033】
さて、図6に示すように、電線側コネクタハウジング41の短辺側の側壁の外面にはその中央部よりやや後方寄りの位置に保持突部57が突設され、ホルダ43の弾性係止片52の係合爪52Aには保持突部57と対応する位置に保持爪58が突設されている。また、機器側コネクタハウジング21のフード部22には保持突部57に対応してフード部22の開口縁部から傾斜突部23まで延びて、且つ傾斜突部23の後方から機器70の取付孔71まで真っ直ぐ延びる突部逃がし用スリット59Aが形成されており、傾斜突部23が設けられた位置には傾斜突部23の内部を貫通する突部逃がし孔59Bが形成されている。また、この突部逃がし用スリット59Aと突部逃がし孔59Bとの内部は保持突部57が通過可能にしてあり、突部逃がし用スリット59Aと突部逃がし孔59Bとが突部逃がし溝に相当する。
【0034】
保持突部57は前方側の外方の位置に当接傾斜面57Aが設けらた前後方向に僅かに長い箱型形状をなしており、電線側コネクタハウジング41と一体に形成されている。また、保持突部57の突出量はフード部22の壁面の厚さ寸法より僅かに長い寸法とされ、電線側コネクタハウジング41がホルダ43に収容された際には保持突部とホルダ43の内面とが当接しないようになっている。
【0035】
一方、保持爪58は、弾性係止片52の先端に位置する係合爪52Aの前方側の内側の位置に機器側コネクタハウジング21の保持突部57と対応するように設けられている。保持爪58には、後方から前方に向かって外方向に傾斜する傾斜受面58Aが設けられており、電線側コネクタハウジング41と、嵌合用レバー42と、ホルダ43とを前記嵌合初期位置状態としたときに、保持突部57の当接傾斜面57Aと当接することで、嵌合用レバー42が嵌合初期位置よりも嵌合完了位置の方向に向かって回動しないようになっている。
これにより、電線側コネクタ40を機器側コネクタ20に嵌合させるときには、予め保持突部57の当接傾斜面57Aと保持爪58の傾斜受面58Aとを当接可能な嵌合初期位置状態にしておくことで、電線側コネクタハウジング41と、嵌合用レバー42と、ホルダ43とを前記の嵌合初期位置の状態に保持したまま機器側コネクタ20に嵌合させることができる。
【0036】
また、保持爪58は、図2に示すように、機器側コネクタ20に電線側コネクタ40を嵌合初期位置で仮嵌合させた時には、保持爪58の傾斜受面58Aの中央部と電線側コネクタハウジング41のフード部22の開口縁部とが当接する位置関係となっており、保持爪58の電線側コネクタハウジング41側の先端部分がフード部22の外面の位置よりも僅かにフード部22の内部側に位置するようになっている。
突部逃がしスリット59A及び突部逃がし孔59Bは電線側コネクタハウジング41の保持突部の短辺方向の長さよりも僅かに幅広であり、且つ、弾性係止片52の保持爪58よりも僅かに幅狭に形成されている。
【0037】
また、突部逃がし用スリット59Aには機器70の開口縁部よりも僅かに前方寄りの位置から機器70の取付孔71までの位置に僅かに拡幅された拡幅部59Cが形成されており、機器側コネクタ20と電線側コネクタ40とが嵌合完了位置に至ったときには、図11及び図12に示すように、保持爪58がこの拡幅部59Cに収容されるようになっている。尚、この嵌合完了位置において、保持突部57は傾斜突部23に設けられている突部逃がし孔59Bに僅かに進入した状態になっている。
【0038】
本実施形態のレバー式コネクタは上記のような構造であって、続いて嵌合及び嵌合解除操作とその作用を説明する。
まず、図1乃至図7に示すように、電線側コネクタ40の電線側コネクタハウジング41と、嵌合用レバー42と、ホルダ43とをそれぞれ前記嵌合初期位置にセットする。すると、図6に示すように、電線側コネクタハウジング41の保持突部57の当接傾斜面57Aと保持爪58の傾斜受面58Aとが当接状態となって、電線側コネクタ40が嵌合初期位置に保持される。
【0039】
次に、この嵌合初期位置状態の電線側コネクタ40を機器側コネクタ20に嵌合させるが、このとき、電線側コネクタハウジング41の嵌合側の面がフード部22の周辺等に多少接触するなどしても保持突部57と保持爪58とが当接状態となって、電線側コネクタ40を嵌合初期位置に保持することができる。これにより、電線側コネクタハウジング41の嵌合側の面に多少の押圧力がかかっても、嵌合用レバー42は嵌合完了位置に向かって回動することがなく、ホルダ43に電線側コネクタハウジング41が収容されることを防ぐことができる。これにより、嵌合作業時の接触による嵌合初期位置へのやり直し作業をなくすことができ、嵌合作業の作業性を飛躍的に向上させることができる。
【0040】
そして、図5及び図6に示すように、電線側コネクタ40を機器側コネクタに仮嵌合させて、ホルダ43を機器側コネクタ20側に向かってスライド操作すると、嵌合用レバー42の連結ピン49が連結溝53の終端部に向かって案内されて嵌合用レバー42が嵌合完了位置に向かって回動し始める。このとき、弾性係止片52の保持爪58は保持突起57の当接傾斜面57Aを摺動して保持突部57に乗り上げると共に、機器側コネクタ20のフード部22の開口縁部に押圧される状態となって保持爪58がフード部に乗り上げ、保持突部57は機器側コネクタ20に電線側コネクタ40を仮嵌合させた時点から突部逃がしスリット59Aに進入する。
【0041】
更にホルダ43を機器側コネクタ20側にスライド操作すると、図9及び図10に示すように、保持突部57が傾斜突部23の傾斜面23Aに押圧される状態となって傾斜突部23に乗り上げ、弾性係止片52の先端部が支持部52Cを支点に外方に向かって撓み変形し、保持爪58との当接状態が解除される。
【0042】
最終的に機器側コネクタ20と電線側コネクタ40とが嵌合完了位置に至るときには、機器側コネクタ20のフード部22がホルダ43に完全に収容されると共に、保持爪58と傾斜突部23との当接状態が解除されて弾性係止片52の撓み変形が解除され、弾性係止片52の係合爪52Aが傾斜突部23の係止面部23Bと係合する。これにより両コネクタ20,40の嵌合完了状態が保持され、コネクタの導通状態が保証される。尚、この最終過程において、ホルダ43の各押え部56は電線側コネクタハウジング41のガイド受46の当たり面46Bを押さえつけることで電線側コネクタハウジング41を機器側コネクタハウジング21に対して均一に嵌め合わせることができるようになっている。
【0043】
また、保持爪58は嵌合完了位置において、突部逃がしスリット59Aの拡幅部59Cに嵌り込むことで弾性係止片52と傾斜突部23との係合に干渉することはない。また、保持突部57も電線側コネクタ40を機器側コネクタ20に仮嵌合させた位置から嵌合完了位置まで、機器側コネクタ20のフード部22に形成された突部逃がしスリット59A及び突部逃がし孔59Bを通過するため、コネクタ20,40の嵌合過程で互いに干渉することはない。
また、機器側コネクタ20と電線側コネクタ40とを嵌合させる際に従来型のコネクタに比べて保持突部57と保持爪58との係合状態を解除するための押圧力が必要となるが、保持突部57と保持爪58との当接部分は互いに傾斜した当接傾斜面57Aと傾斜受面58Aとであるため、保持突部57と保持爪58との解除に対する負荷は従来型と大きく変わることはない。
【0044】
更に、メンテナンスなどにおいて両コネクタ20,40の嵌合状態を解除する必要がある時には、ホルダ43の弾性係止片52の押圧操作部52Bを押圧操作することで、弾性係止片52の支持部52Cを支点に弾性係止片52を撓み変形させて、ホルダ43を離脱方向にスライドさせることにより両コネクタ20,40を容易に嵌合解除状態にすることができる。
【0045】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、駆動機構部をカム溝48を有する嵌合用レバー42とし、従動機構部をフード部22から突設するカムピン24とする嵌合倍力機構の構成としたが、本発明はこのような態様に制限されるものではなく、例えば、嵌合用レバー42の外周部に駆動機構部としてのピニオンギアを設け、従動機構部としてフード部の外面にラック部を嵌合方向に沿って設けた構成のいわゆるラックアンドピニオン式の嵌合倍力機構としてもよい。
(2)上記実施形態では、弾性係止片52がホルダ43の両側面に形成されている構成としたが、本発明はこのような態様に制限されるものではなく、例えば、弾性係止片52はホルダ43のどちらか一方の側面に形成される構成としてもよい。
(3)上記実施形態では、傾斜突部23と弾性係止片52とを設けてホルダ43を機器側コネクタ20に係合させることで、ひいては電線側コネクタ40の嵌合状態を保持できるようにした。しかし、これは必ずしも必要ではなく、例えば電線側コネクタ40と機器側コネクタ20とが直接に係合して嵌合状態を保持できるようにしてもよく、或いは、嵌合位置に至ったホルダ43を他の部品によって後方に移動することを規制することで両コネクタ20,40の嵌合状態を保持するようにしてもよい。
(4)上記実施形態では、弾性係止片52に押圧操作部52Bを形成することで弾性係止片52と傾斜突部23との係合を解除できる構成としたが、これは必ずしも必要ではなく、例えば、治具によって弾性係止片52を撓み変形させることで弾性係止片52と傾斜突部23との係合を解除する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0046】
21:機器側コネクタハウジング(第一のコネクタハウジング)
22:フード部、23:傾斜突部、23A:傾斜面
23B:係止部、24:カムピン(従動機構部)
41:電線側コネクタハウジング(第二のコネクタハウジング)
42:嵌合用レバー(駆動機構部)、43:ホルダ(嵌合用操作部材)
48:カム溝(駆動機構部)、49:連結ピン、52:弾性係止片
52A:係合爪、52B:押圧操作部、53:連結溝、57:保持突部
58:保持爪、59:突部逃がし溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フード部を有する第一のコネクタハウジングと、
前記フード部に収容されて前記第一のコネクタハウジングと嵌合される第二のコネクタハウジングと、
前記第二のコネクタハウジングに沿って嵌合方向及び離脱方向にスライド操作可能に支持された嵌合操作部材と、
前記第二のコネクタハウジングに設けられた駆動機構部及び前記第一のコネクタハウジングに設けられて前記駆動機構部と係合する従動機構部とからなる嵌合倍力機構とを備え、
前記駆動機構部が前記嵌合操作部材の嵌合方向側への操作に伴って前記駆動機構部及び前記従動機構部の動作が開始される嵌合初期位置から嵌合完了位置まで駆動されることで前記第一及び第二のコネクタハウジングを最終的に嵌合させるようにしたコネクタにおいて、
前記フード部の外面には前記フード部の先端から基端に向かって、且つ、前記フード部から離れる方向に傾斜する傾斜面を有する傾斜突部が設けられ、
前記嵌合操作部材には前記第二のコネクタハウジングの外面に設けられた保持突部に係合することで前記嵌合倍力機構の前記駆動機構部及び前記従動機構部を互いに前記嵌合初期位置に保持すると共に、前記嵌合操作部材を嵌合方向にスライドさせることで前記傾斜面に乗り上げて前記保持突部との係合が解除される保持爪が突設され、
前記フード部と前記傾斜突部とには互いのコネクタハウジングが嵌合されるときに前記保持突部の通過軌跡に対応する突部逃がし溝が形成されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記倍力嵌合機構の前記駆動機構部と前記従動機構部とは、前記フード部及び前記第二のコネクタハウジングの一方の外面と、それとは反対側の他方の外面とにそれぞれ一対備えられていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記倍力嵌合機構は前記従動機構部が前記第一のコネクタハウジングの外面に設けられたカムピンであり、前記駆動機構部が前記カムピンと係合するカム溝を有して前記第二のコネクタハウジングに回動可能に支持された嵌合用レバーであることを特徴とする請求項1または請求項2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記嵌合操作部材及び前記嵌合用レバーにはその一方及び他方に形成されて互いに係合する連結ピンと連結溝とが備えられ、
前記操作部材を嵌合方向に操作することで前記連結ピンが前記連結溝の終端部に案内されて前記嵌合用レバーが嵌合初期位置から嵌合完了位置まで回動し、前記嵌合操作部材を前記第一のコネクタハウジングから離脱する方向に操作することで前記連結ピンが前記連結溝の始端部に案内されて前記嵌合レバーが嵌合完了位置から嵌合初期位置まで回動することを特徴とする請求項3記載のコネクタ。
【請求項5】
前記第二のコネクタハウジングには一方の面とその反対側に位置する他方との面とに前記保持突部が設けられ、
前記嵌合操作部材と前記フード部とには前記保持突部と対応する前記保持爪と、前記傾斜突部と、前記突部逃がし溝とがそれぞれ一対設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記操作部材には前記傾斜突部と対応する位置に前記傾斜面に押圧されることで弾性変形し、前記第一及び第二のコネクタハウジングが嵌合完了位置に至ったときに前記傾斜面の終端位置において弾性復帰して前記傾斜突部に設けられた係止部に係合する弾性係止片が一対設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記保持爪は前記弾性係止片から前記傾斜面に向かって突出した形状に設けられていることを特徴とする請求項6記載のコネクタ。
【請求項8】
前記弾性係止片はその両側面の中央部を前記嵌合操作部材に揺動可能に支持され、
前記弾性係止片には先端部に前記係止部と係止する係合爪が設けられていると共に、末端部に前記第二のコネクタハウジング側に押圧操作することで前記弾性係止片を前記撓み変形させて前記係止部と前記係合爪との係止状態を解除する押圧操作部が設けられていることを特徴とする請求項6または請求項7に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記嵌合操作部材は前記フード部の外側面と前記第二のコネクタハウジングの外側面を取り囲むことが可能な筒状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載のコネクタ。
【請求項1】
フード部を有する第一のコネクタハウジングと、
前記フード部に収容されて前記第一のコネクタハウジングと嵌合される第二のコネクタハウジングと、
前記第二のコネクタハウジングに沿って嵌合方向及び離脱方向にスライド操作可能に支持された嵌合操作部材と、
前記第二のコネクタハウジングに設けられた駆動機構部及び前記第一のコネクタハウジングに設けられて前記駆動機構部と係合する従動機構部とからなる嵌合倍力機構とを備え、
前記駆動機構部が前記嵌合操作部材の嵌合方向側への操作に伴って前記駆動機構部及び前記従動機構部の動作が開始される嵌合初期位置から嵌合完了位置まで駆動されることで前記第一及び第二のコネクタハウジングを最終的に嵌合させるようにしたコネクタにおいて、
前記フード部の外面には前記フード部の先端から基端に向かって、且つ、前記フード部から離れる方向に傾斜する傾斜面を有する傾斜突部が設けられ、
前記嵌合操作部材には前記第二のコネクタハウジングの外面に設けられた保持突部に係合することで前記嵌合倍力機構の前記駆動機構部及び前記従動機構部を互いに前記嵌合初期位置に保持すると共に、前記嵌合操作部材を嵌合方向にスライドさせることで前記傾斜面に乗り上げて前記保持突部との係合が解除される保持爪が突設され、
前記フード部と前記傾斜突部とには互いのコネクタハウジングが嵌合されるときに前記保持突部の通過軌跡に対応する突部逃がし溝が形成されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記倍力嵌合機構の前記駆動機構部と前記従動機構部とは、前記フード部及び前記第二のコネクタハウジングの一方の外面と、それとは反対側の他方の外面とにそれぞれ一対備えられていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記倍力嵌合機構は前記従動機構部が前記第一のコネクタハウジングの外面に設けられたカムピンであり、前記駆動機構部が前記カムピンと係合するカム溝を有して前記第二のコネクタハウジングに回動可能に支持された嵌合用レバーであることを特徴とする請求項1または請求項2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記嵌合操作部材及び前記嵌合用レバーにはその一方及び他方に形成されて互いに係合する連結ピンと連結溝とが備えられ、
前記操作部材を嵌合方向に操作することで前記連結ピンが前記連結溝の終端部に案内されて前記嵌合用レバーが嵌合初期位置から嵌合完了位置まで回動し、前記嵌合操作部材を前記第一のコネクタハウジングから離脱する方向に操作することで前記連結ピンが前記連結溝の始端部に案内されて前記嵌合レバーが嵌合完了位置から嵌合初期位置まで回動することを特徴とする請求項3記載のコネクタ。
【請求項5】
前記第二のコネクタハウジングには一方の面とその反対側に位置する他方との面とに前記保持突部が設けられ、
前記嵌合操作部材と前記フード部とには前記保持突部と対応する前記保持爪と、前記傾斜突部と、前記突部逃がし溝とがそれぞれ一対設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記操作部材には前記傾斜突部と対応する位置に前記傾斜面に押圧されることで弾性変形し、前記第一及び第二のコネクタハウジングが嵌合完了位置に至ったときに前記傾斜面の終端位置において弾性復帰して前記傾斜突部に設けられた係止部に係合する弾性係止片が一対設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記保持爪は前記弾性係止片から前記傾斜面に向かって突出した形状に設けられていることを特徴とする請求項6記載のコネクタ。
【請求項8】
前記弾性係止片はその両側面の中央部を前記嵌合操作部材に揺動可能に支持され、
前記弾性係止片には先端部に前記係止部と係止する係合爪が設けられていると共に、末端部に前記第二のコネクタハウジング側に押圧操作することで前記弾性係止片を前記撓み変形させて前記係止部と前記係合爪との係止状態を解除する押圧操作部が設けられていることを特徴とする請求項6または請求項7に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記嵌合操作部材は前記フード部の外側面と前記第二のコネクタハウジングの外側面を取り囲むことが可能な筒状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載のコネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−233401(P2011−233401A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103639(P2010−103639)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
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