説明

コネクタ

【課題】メスコネクタとオスコネクタとの回動を抑制すると共に、嵌合力が高くなることを抑制するコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ1は、電線端末の雌端子11が収容されフード部(外套フード部)23を有したメスコネクタ12と、電線端末の雄端子が収容されメスコネクタ12のフード部23内に嵌合して雌端子11と雄端子とが接続されるオスコネクタ14とからなるコネクタ1であって、メスコネクタ12のフード部23の内壁の対向位置にそれぞれ設けられた一対のガイド溝27と、オスコネクタ14の外周に設けられメスコネクタ12との嵌合状態で一対のガイド溝27にそれぞれ挿入されてメスコネクタ12とオスコネクタ14との回動を規制する一対のガイドリブ43と、ガイド溝27の底面にそれぞれ設けられてガイドリブ43と当接しメスコネクタ12とオスコネクタ14の縦横方向の移動を規制する規制突部29とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線端末の端子同士を接続するコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電線端末の雌端子と雄端子を電気的に接続するコネクタとして、例えば、特開2002−198127号公報(特許文献1)に記載されたコネクタが提案されている。
【0003】
このようなコネクタは、雌コネクタを収容したコネクタハウジングと、雄コネクタを収容したコネクタハウジングとを嵌合することにより、雌端子と雄端子とを接続することを可能にしたものである。
【0004】
図9(a)から図9(c)は、特許文献1に記載されたコネクタの構成を示す図である。図9(a)から図9(c)に示すように、コネクタ100は、雌端子が収容されるメスコネクタ102と、雄端子が収容されるオスコネクタ104とから略構成されている。
【0005】
図9(a)及び図9(b)に示すように、メスコネクタ102は、筒状に形成されたメスコネクタハウジング121と、雌端子が収容される端子収容室122が設けられたコネクタ本体123と、後述するガイドリブ144が進入可能なガイド溝124と、メスコネクタハウジング121内部に設けられた規制突部125とを備えている。
【0006】
図9(a)及び図9(c)に示すように、オスコネクタ104は、筒状に形成されたオスコネクタハウジング141と、雄端子を収容する雄端子収容室142と、メスコネクタ102の内部に挿入される嵌合フード部143と、嵌合フード部143の全長にわたって前後に延出してガイド溝124に進入可能なガイドリブ144とを備えている。
【0007】
そして、ガイド溝124にガイドリブ144を進入することによりメスコネクタ102とオスコネクタ104とを嵌合する。このとき、メスコネクタハウジング121内部に対角位置に設けられた規制突部125が嵌合フード部143に当接することにより、メスコネクタ102とオスコネクタ104との嵌合状態を保持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−198127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した従来のコネクタ100では、メスコネクタハウジング121が弾性的に拡開されて規制突部125が嵌合フード部143に当接することにより、メスコネクタ102とオスコネクタ104との回動を規制している。
【0010】
このため、規制突部125が嵌合フード部143に当接していない部分は、嵌合フード部143と規制突部125との間に適切なクリアランス(隙間)を設けないと嵌合力が高くなるという問題が発生する。
【0011】
そこで、本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、メスコネクタとオスコネクタとの回動を抑制すると共に、嵌合力が高くなることを抑制するコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本願請求項1に記載した本発明のコネクタは、電線端末の雌端子が収容されフード部を有したメスコネクタと、電線端末の雄端子が収容され前記メスコネクタのフード部内に嵌合して前記雌端子と雄端子とが接続されるオスコネクタとからなるコネクタであって、前記メスコネクタのフード部の内壁の対向位置にそれぞれ設けられた一対のガイド溝と、前記オスコネクタの外周に設けられ前記メスコネクタとの嵌合状態で前記一対のガイド溝にそれぞれ挿入されてメスコネクタとオスコネクタとの回動を規制する一対のガイドリブと、前記ガイド溝の底面にそれぞれ設けられて前記ガイドリブと当接しメスコネクタとオスコネクタの縦横方向の移動を規制する規制突部とを有することを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載した本発明のコネクタは、請求項1に記載のコネクタであって、前記メスコネクタはメスコネクタハウジングと、端子収容室が設けられるコネクタ本体と、このコネクタ本体を覆う外套フード部とで形成され、前記外套フード部の内壁に前記一対のガイド溝が設けられ、該一対のガイド溝のガイド面の奥方に前記規制突部がそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載した本発明のコネクタは、請求項2に記載のコネクタであって、前記オスコネクタはオスコネクタハウジングと、前記メスコネクタとの嵌合時に前記コネクタ本体と外套フード部との間に挿入される嵌合フード部とで形成され、前記ガイドリブは前記嵌合フード部の縦方向長さと横方向長さのうち長い方の両側壁にそれぞれ形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載した本発明のコネクタによれば、ガイド溝にガイドリブが挿入されるため、メスコネクタとオスコネクタとの回動を規制することができる。
【0016】
また、ガイドリブと当接してメスコネクタとオスコネクタの縦横方向の移動を規制する規制突部をガイド溝の底面に設けたため、嵌合力が高くなることを抑制することができる。
【0017】
従って、メスコネクタとオスコネクタとの回動を抑制すると共に、嵌合力が高くなることを抑制するコネクタを提供することができる。
【0018】
請求項2に記載した本発明のコネクタによれば、外套フード部の内壁に設けられた一対のガイド溝のガイド面の奥方に規制突部を設けることにより、メスコネクタとオスコネクタとを嵌合した際、メスコネクタとオスコネクタとの回動を抑制すると共に、コネクタの回動により発生する雌端子とオスタブとの摩擦を低減することができる。
【0019】
また、メスコネクタとオスコネクタとを嵌合した際、メスコネクタとオスコネクタとの間に適切なクリアランス(隙間)を設けることができるため、コネクタの嵌合力が高くなることを抑制することができる。
【0020】
請求項3に記載した本発明のコネクタによれば、嵌合フード部の両側壁に一対のガイドリブを形成することにより、メスコネクタとオスコネクタを正規嵌合位置に保持することができる。また、ガイドリブがガイド溝に挿入されることにより、保持力を向上することができる。
【0021】
また、ガイドリブを嵌合フード部の縦方向長さと横方向長さのうち長い方(本発明の実施形態では、横方向)の両側壁に形成することにより、メスコネクタとオスコネクタとの回動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係るメスコネクタとオスコネクタを示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るコネクタを示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係るコネクタの内部を示す平面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るメスコネクタ及びオスコネクタを示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るコネクタを示す断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係るメスコネクタを示す断面図である。
【図7】本発明の実施形態に係るコネクタの正面図及びコネクタの回動を示す断面図である。
【図8】本発明の実施形態に係るコネクタの規制突部を説明するための平面図である。
【図9】従来におけるコネクタを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態に係るコネクタについて図面を参照して説明する。はじめに、図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係るコネクタについて説明する。図1は、本発明の実施形態に係るメスコネクタとオスコネクタを示す斜視図である。図2は、本発明の実施形態に係るコネクタを示す斜視図である。
【0024】
本発明の実施形態に係るコネクタは、電線端末(車両や車両に搭載される電気機器等の配線に用いられる端末)の雌端子と雄端子とを電気的に接続するためのコネクタである。
【0025】
図1及び図2に示すように、コネクタ1は、雌端子11が収容されるメスコネクタ12と、メスコネクタ12と嵌合して雄端子(図示省略)と雌端子11とを接続するオスコネクタ14とから略構成されている。
【0026】
メスコネクタ12は、合成樹脂等の材料で筒状に形成されたメスコネクタハウジング21と、雌端子を収容するコネクタ本体22と、コネクタ本体22を覆う外套フード部23とを備えている。
【0027】
コネクタ本体22は、筒状の内部に雌端子11が収容される端子収容室24と、オスコネクタ14がメスコネクタ12に嵌合する際、コネクタ本体22内側に撓み変形する防水栓25(パッキン、図2参照)が収容される防水栓収容室26とを備えている。
【0028】
この防水栓25は、略中央が貫通したリング状に形成されており、防水栓25が防水栓収容室26に収容された状態でオスコネクタ14とメスコネクタ12に嵌合すると、オスコネクタ14及びメスコネクタ12の内壁に弾性的に拡張して密着する。このため、オスコネクタ14側からコネクタ1内部に水が浸入することを防止することができる。
【0029】
外套フード部23の内壁の対向位置には、後で図4を参照して説明するように、それぞれ一対のガイド溝27が設けられている。
【0030】
ガイド溝27は、後述するオスコネクタ14のガイドリブ43が挿入されることにより、メスコネクタ12とオスコネクタ14とを正規の嵌合位置に保持し、メスコネクタ12とオスコネクタ14との間の回動を規制する。
【0031】
後で図4を参照して説明するように、一対のガイド溝27の底面にはそれぞれ規制突部29が設けられている。この規制突部29は、後述するオスコネクタ14のガイドリブ43と当接し、メスコネクタ12とオスコネクタ14との嵌合方向の縦横方向の移動を規制する。
【0032】
具体的には、規制突部29が設けられていない場合、メスコネクタ12とオスコネクタ14との間には一定のクリアランス(隙間)が発生する。
【0033】
しかしながら、本発明の実施形態に係るコネクタ1は、規制突部29が設けられてガイドリブ43と当接することにより、メスコネクタ12の横方向は後述する図3(a)の矢印S方向に変形する。
【0034】
この横方向の変形により、メスコネクタ12の縦方向は後述する図3(a)の矢印T方向に変形してメスコネクタ12とオスコネクタ14とのクリアランス(隙間)が縮小する。
【0035】
つまり、メスコネクタ12の横方向は、規制突部29がガイドリブ43と当接することにより、回動を規制する。また、メスコネクタ12の縦方向は、規制突部29とガイドリブの当接によりメスコネクタ12とオスコネクタ14とのクリアランス(隙間)が縮小して回動を規制する。
【0036】
このように、ガイド溝27にガイドリブ43が挿入することにより、メスコネクタ12とオスコネクタ14との回動を規制することができる。
【0037】
また、ガイドリブ43と当接してメスコネクタ12とオスコネクタ14の縦横方向の移動を規制する規制突部29をガイド溝27の底面に設けたため、嵌合力が高くなることを抑制することができる。
【0038】
従って、メスコネクタとオスコネクタとの回動を抑制すると共に、嵌合力が高くなることを抑制するコネクタを提供することができる。
【0039】
また、メスコネクタ12は、防水栓25の内壁(リング内)と接触して後述するオスコネクタ14のオスタブ44と嵌合するフロントホルダ30を備えている。
【0040】
オスコネクタ14は、合成樹脂等の材料で筒状に形成されたオスコネクタハウジング41と、メスコネクタ12との嵌合時にコネクタ本体22と外套フード部23との間に挿入される嵌合フード部42とを備えている。
【0041】
嵌合フード部42は、両側壁面の横方向(メスコネクタ12への嵌合方向)に一対に形成されているガイドリブ43を備えている。また、オスコネクタ14は、メスコネクタ12のフロントホルダ30と嵌合するオスタブ44(図2参照)とを備えている。
【0042】
嵌合フード部42の両側壁に一体に形成されたガイドリブ43は、メスコネクタ12とオスコネクタ14が嵌合した際、メスコネクタ12に設けられたガイド溝27に収容される。
【0043】
また、ガイドリブ43は、嵌合フード部42の縦方向長さと横方向長さのうち長い方(本発明の実施形態では、横方向)の両側壁に形成されている。
【0044】
このように、嵌合フード部42の両側壁に一対のガイドリブ43を形成することにより、メスコネクタ12とオスコネクタ14を正規の嵌合位置に保持することができる。また、ガイドリブ43がガイド溝27(後述する図4(a)参照)に挿入されることにより、保持力を向上することができる。
【0045】
さらに、ガイドリブ43を嵌合フード部42の縦方向長さと横方向長さのうち長い方(本発明の実施形態では、横方向)の両側壁に形成することにより、メスコネクタ12とオスコネクタ14との回動を抑制することができる。
【0046】
雌端子11は、図2に示すように、雄端子の端末(図示省略)と接続する接続部71と、メスコネクタ12の端子収容室24に密着する端子防水栓(パッキン)72と、車両や車両に搭載される電気機器等に接続された電線73とを備えている。
【0047】
端子防水栓72は、メスコネクタ12の端子収容室24の内壁に弾性的に拡張して密着するため、端子収容室24側からコネクタ1内部に水が浸入することを防止することができる。
【0048】
次に、図3から図5を参照して、メスコネクタ12とオスコネクタ14とを嵌合する場合について説明する。
【0049】
図3(a)は、本発明の実施形態に係るメスコネクタの内部を示す平面図である。図3(b)は、本発明の実施形態に係るオスコネクタの内部を示す平面図である。図4(a)は、本発明の実施形態に係るメスコネクタを示す断面図である。図4(b)は、本発明の実施形態に係るオスコネクタを示す断面図である。図5は、本発明の実施形態に係るコネクタを示す断面図である。
【0050】
図3から図5に示すように、メスコネクタハウジング21とオスコネクタハウジング41とを嵌合させると、嵌合フード部42がコネクタ本体22と外套フード部23との間に挿入される。嵌合する際、ガイドリブ43がガイド溝27でスライドすることにより、オスコネクタ14が正規の嵌合位置に案内される。
【0051】
このとき、コネクタ本体22の端子収容室24には、雌端子11が収容され、メスコネクタハウジング21とオスコネクタハウジング41とを嵌合させると、雌端子11の接続部71が雄端子の接続部(図示省略)と接続する。また、コネクタ本体22の防水栓収容室26には、防水栓25が収容される(図2参照)。
【0052】
また、オスコネクタハウジング41の内部に設けられたオスタブ44は、メスコネクタ12とオスコネクタ14との嵌合方向の略中心でフロントホルダ30の他側(防水栓25に対向する側)と嵌合する(図2参照)。
【0053】
そして、メスコネクタハウジング21に設けられたロックアーム31がオスコネクタハウジング41に設けられたロック突部45の上部に乗り上げると共に、ロックアーム31が上方向に撓み変形する。
【0054】
そして、メスコネクタ12とオスコネクタ14とが正規の嵌合位置まで嵌合されると、ロック孔32(図3(a)参照)内にロック突部45が挿入され、ロックアーム31の撓み変形が復帰する。
【0055】
このとき、ロック突部45のオスコネクタ14側の端部がロックアーム31の雌端子11側に当接することにより係止するため、メスコネクタ12とオスコネクタ14とが嵌合状態から離脱不可能に保持される。
【0056】
図4(a)に示すように、本発明の実施形態に係るメスコネクタ12は、外套フード部23の内壁に設けられた一対のガイド溝27のガイド面28の奥方には規制突部29が設けられている。
【0057】
規制突部29は、コネクタ1の回動により発生する雌端子11とオスタブ44との摩擦を低減することが可能な位置である端子収容室24の近傍に設けられている。
【0058】
このように、外套フード部23の内壁に設けられた一対のガイド溝27のガイド面28の奥方に規制突部29を設けることにより、メスコネクタ12とオスコネクタ14とを嵌合した際、メスコネクタ12とオスコネクタ14との回動を抑制すると共に、コネクタ1の回動により発生する雌端子11とオスタブ44との摩擦を低減することができる。
【0059】
また、メスコネクタ12とオスコネクタ14とを嵌合した際、メスコネクタ12とオスコネクタ14との間に適切なクリアランス(隙間)を設けることができるため、コネクタ1の嵌合力が高くなることを抑制することができる。
【0060】
次に、図6から図8を参照して、本発明の実施形態に係るメスコネクタ12に設けられた規制突部29について詳細に説明する。
【0061】
図6は、本発明の実施形態に係るメスコネクタを示す断面図である。図7(a)は、本発明の実施形態に係るオスコネクタの内部を示す正面図である。図7(b)は、本発明の実施形態に係るメスコネクタの横方向の動きを示す断面図である。図7(c)は、本発明の実施形態に係るメスコネクタの縦方向の動きを示す断面図である。図7(d)は、本発明の実施形態に係るメスコネクタの前後方向の動きを示す断面図である。図7(e)は、本発明の実施形態に係るメスコネクタの一部拡大図である。
【0062】
また、図8(a)は、本発明の実施形態に係る規制突部の設定について説明するための図である。図8(b)は、本発明の実施形態に係るコネクタ同士の接触について説明するための図である。図8(c)は、本発明の実施形態に係る規制突部について説明するための図である。
【0063】
図6に示すように、メスコネクタ12には、端子収容室24側であって外套フード部23に設定した幅A内にガイド面28と規制突部29を有する一対のガイド溝27が設けられている。規制突部29は、一対のガイド溝27のガイド面28の奥方に設けられている。
【0064】
また、図7(a)に示すように、オスコネクタ14は、嵌合フード部42の縦方向の長さXと横方向の長さYのうち長い方の両側壁(図7(a)では、横方向の両側壁)にそれぞれガイドリブ43が形成されている。
【0065】
図7(b)に示すように、メスコネクタ12が横方向B(メスコネクタ12とオスコネクタ14の嵌合方向に対して水平方向)に移動、図7(c)に示すように、メスコネクタ12が縦方向C(メスコネクタ12とオスコネクタ14の嵌合方向に対して垂直方向)に移動した場合、図7(e)に示すように、雌端子11とオスタブ44との接点Eが移動する。
【0066】
また、図7(d)に示すように、メスコネクタ12が前後方向D(メスコネクタ12とオスコネクタ14の嵌合方向)に移動した場合にも、図7(e)に示すように、雌端子11とオスタブ44との接点Eが移動する。
【0067】
つまり、図7(b)から図7(d)に示すメスコネクタ12とオスコネクタ14の中心線Oから、雌端子11とオスタブ44との接点Eとの距離が遠い場合、雌端子11とオスタブ44との接点Eの移動距離F(図7(c)参照)が大きくなり、コネクタ1の移動(回動)により接点Eの摩擦が促進されるため、コネクタ1の耐振性が低下する。
【0068】
そこで、本発明の実施形態に係るコネクタ1は、メスコネクタ12の一対の外套フード部23のガイド面28の奥方(端子収容室24側)であって、移動距離F(図7(c)参照)が大きくなる位置近傍に規制突部29を設けている。
【0069】
図8(a)に示すように、外套フード部23に規制突部29を設けない場合、嵌合フード部42と規制突部29との間に適切なクリアランス(隙間)がなく、嵌合力が高くなるという問題が発生する。
【0070】
特に、オスコネクタ14の嵌合フード部42は合成樹脂等の材料で薄い筒状に形成されている。このため、樹脂形成時の反り等が発生して、メスコネクタ12との嵌合時にメスコネクタ12が干渉して嵌合抵抗が高くなる。
【0071】
しかしながら、図8(b)に示すように、メスコネクタ12とオスコネクタ14との嵌合方向と直交する方向の4箇所に規制突部29を設けた場合、メスコネクタ12とオスコネクタ14との嵌合した際、オスコネクタ14は弾性的に拡開される。このため、規制突部29以外の部分もオスコネクタ14がメスコネクタ12と接触する。
【0072】
そこで、図8(c)に示すように、メスコネクタ12とオスコネクタ14との嵌合方向と直交する方向の2箇所に規制突部29を設けた場合、規制突部29以外の部分はクリアランス(隙間)が少なくなるが嵌合力が低下する。
【0073】
このため、本発明の実施形態に係るコネクタ1は、雌端子11とオスタブ44との接点Eの移動距離Fが大きくなる方向のコネクタ1の回動を規制するため、メスコネクタ12の外套フード部23の内壁に一対のガイド溝27を設け、この一対のガイド溝27のガイド面28の奥方に規制突部29を設けた(図4(a)及び図6参照)。
【0074】
このように、一対のガイド溝27のガイド面28の奥方に規制突部29を設けることにより、コネクタ1の移動(回動)により接点Eの摩擦を低減すると共に、コネクタ1の回動を規制して嵌合力が高くなることを抑制することができる。
【0075】
このようにして、本発明の実施形態に係るコネクタ1は、電線端末の雌端子11が収容されフード部(外套フード部)23を有したメスコネクタ12と、電線端末の雄端子が収容されメスコネクタ12のフード部23内に嵌合して雌端子11と雄端子とが接続されるオスコネクタ14とからなるコネクタ1であって、メスコネクタ12のフード部23の内壁の対向位置にそれぞれ設けられた一対のガイド溝27と、オスコネクタ14の外周に設けられメスコネクタ12との嵌合状態で一対のガイド溝27にそれぞれ挿入されてメスコネクタ12とオスコネクタ14との回動を規制する一対のガイドリブ43と、ガイド溝27の底面にそれぞれ設けられてガイドリブ43と当接しメスコネクタ12とオスコネクタ14の縦横方向の移動を規制する規制突部29とを有する。
【0076】
また、本発明の実施形態に係るコネクタ1は、メスコネクタ12はメスコネクタハウジング21と、端子収容室24が設けられるコネクタ本体22と、このコネクタ本体22を覆う外套フード部23とで形成され、外套フード部23の内壁に一対のガイド溝27が設けられ、一対のガイド溝27のガイド面28の奥方に規制突部29がそれぞれ設けられている。
【0077】
さらに、本発明の実施形態に係るコネクタ1は、オスコネクタ14はオスコネクタハウジング41と、メスコネクタ12との嵌合時にコネクタ本体22と外套フード部23との間に挿入される嵌合フード部42とで形成され、ガイドリブ43は嵌合フード部42の縦方向長さと横方向長さのうち長い方の両側壁にそれぞれ形成されている。
【0078】
そして、本発明の実施形態に係るコネクタ1によれば、ガイド溝27にガイドリブ43が挿入されるため、メスコネクタ12とオスコネクタ14との回動を規制することができる。
【0079】
また、ガイドリブ43と当接してメスコネクタ12とオスコネクタ14の縦横方向の移動を規制する規制突部29をガイド溝27の底面に設けたため、嵌合力が高くなることを抑制することができる。
【0080】
従って、メスコネクタとオスコネクタとの回動を抑制すると共に、嵌合力が高くなることを抑制するコネクタを提供することができる。
【0081】
また、本発明の実施形態に係るコネクタ1によれば、外套フード部23の内壁に設けられた一対のガイド溝27のガイド面28の奥方に規制突部29を設けることにより、メスコネクタ12とオスコネクタ14とを嵌合した際、メスコネクタ12とオスコネクタ14との回動を抑制すると共に、コネクタ1の回動により発生する雌端子11とオスタブ44との摩擦を低減することができる。
【0082】
また、メスコネクタ12とオスコネクタ14とを嵌合した際、メスコネクタ12とオスコネクタ14との間に適切なクリアランス(隙間)を設けることができるため、コネクタ1の嵌合力が高くなることを抑制することができる。
【0083】
さらに、本発明の実施形態に係るコネクタ1によれば、嵌合フード部42の両側壁に一対のガイドリブ43を形成することにより、メスコネクタ12とオスコネクタ14を正規嵌合位置に保持することができる。また、ガイドリブ43がガイド溝27に挿入されることにより、保持力を向上することができる。
【0084】
また、ガイドリブ43を嵌合フード部42の縦方向長さと横方向長さのうち長い方(本発明の実施形態では、横方向)の両側壁に形成することにより、メスコネクタ12とオスコネクタ14との回動を抑制することができる。
【0085】
また、本発明の実施形態に係るコネクタ1によれば、このように、一対のガイド溝27のガイド面28の奥方に規制突部29を設けることにより、コネクタ1の回動により接点E(図7(c)参照)の摩擦を低減すると共に、コネクタ1の回動を規制して嵌合力が高くなることを抑制することができる。
【0086】
以上、本発明のコネクタを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【0087】
例えば、上述した本発明の実施形態では、ガイドリブ43は、嵌合フード部42の横方向に形成されている場合について説明したが、嵌合フード部42の縦方向長さと横方向長さのうち縦方向長さの方が長い場合には、縦方向に形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、メスコネクタとオスコネクタとの回動を抑制すると共に、嵌合力が高くなることを抑制するコネクタを提供する上で極めて有用である。
【符号の説明】
【0089】
1 コネクタ
11 雌端子
12 メスコネクタ
14 オスコネクタ
21 メスコネクタハウジング
22 コネクタ本体
23 外套フード部
24 端子収容室
25 防水栓
26 防水栓収容室
27 ガイド溝
28 ガイド面
29 規制突部
30 フロントホルダ
31 ロックアーム
32 ロック孔
41 オスコネクタハウジング
42 嵌合フード
43 ガイドリブ
44 オスタブ
45 ロック突起
71 接続部
72 端子防水栓
73 電線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線端末の雌端子が収容されフード部を有したメスコネクタと、電線端末の雄端子が収容され前記メスコネクタのフード部内に嵌合して前記雌端子と雄端子とが接続されるオスコネクタとからなるコネクタであって、
前記メスコネクタのフード部の内壁の対向位置にそれぞれ設けられた一対のガイド溝と、
前記オスコネクタの外周に設けられ前記メスコネクタとの嵌合状態で前記一対のガイド溝にそれぞれ挿入されてメスコネクタとオスコネクタとの回動を規制する一対のガイドリブと、
前記ガイド溝の底面にそれぞれ設けられて前記ガイドリブと当接しメスコネクタとオスコネクタの縦横方向の移動を規制する規制突部とを有することを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタであって、
前記メスコネクタはメスコネクタハウジングと、端子収容室が設けられるコネクタ本体と、このコネクタ本体を覆う外套フード部とで形成され、前記外套フード部の内壁に前記一対のガイド溝が設けられ、該一対のガイド溝のガイド面の奥方に前記規制突部がそれぞれ設けられていることを特徴とするコネクタ。
【請求項3】
請求項2に記載のコネクタであって、
前記オスコネクタはオスコネクタハウジングと、前記メスコネクタとの嵌合時に前記コネクタ本体と外套フード部との間に挿入される嵌合フード部とで形成され、前記ガイドリブは前記嵌合フード部の縦方向長さと横方向長さのうち長い方の両側壁にそれぞれ形成されていることを特徴とするコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−134104(P2012−134104A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287385(P2010−287385)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】