説明

コネクタ

【課題】本発明は低背を維持しつつ、接続対象物の挿入方向や長手方向及びコネクタの厚み方向のコジリに強く、FPC等の可撓性がある基板に実装された場合でも、接続対象物の撓みを防止し、安定した接続が得られるコネクタ10を提供する。
【解決手段】本目的は複数のコンタクト14とハウジング12とロック部材18と回動部材16を備えるコネクタにおいて、ハウジング12の天井部125の補強で固定具20を配置し、厚み方向と長手方向へのコジリ対策をし、ロック部材18を接続対象物に係合させ、挿入方向のコジリ対策をし、ハウジング12に第1切欠部123と第2切欠部124を設け、コネクタ10の低背化を図り、第2切欠部124にコンタクト14の第1接続部143を配置し、FPC70等の可撓性がある基板80に実装された場合、接続対象物の撓み等を防止するようにしたコネクタ10により達成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末やプロジェクタやTV等の通信機器や電気機器や電子機器に使用されるコネクタに関するもので、特に、簡単な構造で、低背化を図り、挿入方向や長手ピッチ方向や上方向の接続対象物によるコジリ対策に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、接続対象物(フレシキブルプリント基板(以下「FPC」という)やフレキシブルフラットケーブル(以下「FFC」という)や細径同軸ケーブル等)を回動部材を用いて、前記回動部材を回転させることにより接続させるコネクタは、少なくとも複数のコンタクトとハウジングと回動部材とを備えている。前記回動部材を回転させて、接続対象物とコンタクトを接続されるコネクタは、大別すると、フロントロックタイプとバックロックタイプとがある。フロントロックタイプとは、前記回動部材を前記接続対象物の挿入方向側で回転させるものであり、バックロックタイプとは、前記回動部材を前記接続対象物の挿入方向と反対側で回転させるものである。ここでは、バックロックタイプに限定したものである。
下記に、フロントロックタイプで、固定具を用いたコネクタ及び本出願人が提案した、バックロックタイプのコネクタと低背を目的としたコネクタの文献を挙げる。
本出願人が提案したバックロックタイプの文献として、特許文献1(特開2004−71160)と、低背を目的とした文献として、特許文献2(特開2005−141956)と、バックロックタイプでロック部材を用いた文献として、特許文献3(特開2006−147271)を挙げます。フロントロックタイプで、固定具を用いた文献として、特許文献4(特開2006−134708)を挙げる。
【特許文献1】特開2004−71160の要約によると、本発明は、各部位の強度や仕様等を損なうことなく、スライダー16でFPC40又はFFCを確実にコンタクト14の接触部22に押圧することができ、作業性がよく、ピッチの狭小化や低背位化が可能なコネクタを提供することを目的とし、低背位化は、コンタクト14の接触部22と接続部24との間に弾性部34と支点部32とを設けるとともに接触部22と弾性部34と支点部32と接続部24とを略クランク形状に配置し、かつ、接続部24と対向する位置に弾性部34から延設された押受部20を設け、スライダー16に長手方向に連設した押圧部36を設け、押圧部36がコンタクト14の接続部22と押受部20との間で回動自在にスライダー16をハウジング12に装着することにより達成できる構造のコネクタが開示されている。
【特許文献2】特開2005−141956の要約によると、0.6mm程度の低背化を可能にした構造の低背コネクタ20を提供することを目的とし、FPC10又はFFCと着脱自在に嵌合するコネクタ20であって、FPC10又はFFCと接触する接触部32を有する複数のコンタクト24と、このコンタクト24が保持・配列されるとともにFPC10又はFFCが挿入される嵌合部30を有するハウジング22とを具える低背コネクタ20において、コンタクト24はハウジング22より突出されるとともにハード基板46若しくはFPCに対し平行に配置され、コンタクト24にはハード基板46若しくはFPC側に接触部32を設け、少なくとも接触部32若しくはハウジング22から突出した部分は前記ハウジング22に覆われてないようにすることにより達成できる構造の低背コネクタ20が開示されている。
【特許文献3】特開2006−147271の要約によると、少芯数のコネクタでも、FPCの安定した保持力が確保することができ、接続不良にも繋がらなく、より一層の低背化が可能なコネクタを提供することを目的とし、FPC80に係止部82を設け、一端側に係止部82と係合する係合部24と他端側に回動部材16により押圧される押受部26と押受部26の先端に内側に突出した突出部34とを有する第一片20と、他端側に基板に接続する接続部30を有する第二片22と、第一片20と第二片22の一端側とを連結する連結支点部32とを備えるロック部材18をハウジング12に装着し、回動部材16を回動させロック部材18の係合部24をFPC80の係止部82に係合させる際には係合部24に対向する位置に第二片22がなく、かつ、ロック部材18に対応する位置でハウジング12に切欠部42を設けることで達成できる構造のコネクタが開示されている。
【特許文献4】特開2006−134708の要約によると、FPCのシールド部材を確実に接地させることを目的とし、ハウジング3に複数の信号コンタクト11と、アースコンタクト12a、12bとが組み付けられ、アースコンタクト12a、12bは、FPC2のシールド部材22に接続されているアース接続片24に直接接続される接続部61と、ハウジング3に圧入されている圧入片と、プリント配線基板3において固定されると共に接地される固定タブ64とが一体となって成型されている構造のフレキシブル基板用コネクタが開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、通信機器や電気機器や電子機器等の小型化も進み、コネクタの小型化も進む中、更なる低背化若しくは現状の低背を維持しつつ、接続対象物の挿入方向や長手ピッチ方向及び上(コネクタの厚み)方向のコジリに強く、安定した接続が要求されている。さらには、コネクタがFPC等の可撓性がある基板に実装された場合でも、接続対象物の撓み等を防止し、安定した接続が得られることも要求されている。
しかしながら、上記に挙げた文献では、次のような問題がある。
特許文献1の構造では、接続対象物の挿入方向や長手ピッチ方向及び上(コネクタの厚み)方向のコジリに対して、何の対応策も施されていない。
特許文献2の構造では、下壁がない分だけ、コネクタの低背化は可能であるが、接続対象物の挿入方向や長手ピッチ方向及び上(コネクタの厚み)方向のコジリに対して、何の対応策も施されていないし、また、コネクタがFPC等の可撓性がある基板に実装された場合には、実装された基板が撓み易く、かつ、絶縁物の下壁がないため、接続対象物の撓み等を防止することができない。
特許文献3の構造では、ロック部材を用いることにより接続対象物の挿入方向のコジリに対しての対応策は施されているものの、長手ピッチ方向及び上(コネクタの厚み)方向のコジリに対しては何の対応策も施されていない。
特許文献4の構造では、固定具を用いることにより長手ピッチ方向及び上(コネクタの厚み)方向のコジリに対しての対応策は施されているものの、接続対象物の挿入方向のコジリに対しては何の対応策も施されていない。
【0004】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、更なる低背化若しくは現状の低背を維持しつつ、接続対象物の挿入方向や長手ピッチ方向及び上(コネクタの厚み)方向のコジリに強く、コネクタがFPC等の可撓性がある基板に実装された場合でも、接続対象物の撓み等を防止し、安定した接続が得られるコネクタを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本目的は、請求項1記載のように、接続対象物が着脱されるコネクタであって、
前記接続対象物と接触する接触部と回動部材が作用する押受部とを有する複数のコンタクトと、該コンタクトが保持・配列されるとともに前記接続対象物が入る嵌合口を有するハウジングと、該ハウジングの嵌合口の反対側に回転可能に装着される回動部材と、を備えるコネクタにおいて、
前記接続対象物に係止部を設け、
前記係止部と係合する係合部と基板に接続する接続部と前記係合部と前記接続部との間に弾性部と支点部とを有し、前記弾性部より前記係合部と反対方向に延設された押受部を有するロック部材を長手ピッチ方向両側に配置し、
前記ハウジングには、前記コンタクトの押受部が変位可能なように第1切欠部を設けるとともに前記嵌合口側の下面に第2切欠部を設け、前記嵌合口側の上面に溝部を設け、
前記溝部に係合する係合部と前記基板に接続する接続部とを有する固定具を嵌合口側に配置し、
前記コンタクトとして、少なくとも、前記接触部である第1接触部と第1接続部との間に第1弾性部と第1支点部とを設けるとともに前記第1接触部と前記第1弾性部と前記第1支点部と前記第1接続部とを略コ字状に配置し、かつ、前記第1弾性部から前記第1接触部と反対方向に延設された前記押受部である第1押受部を設けられるコンタクトを含むことを特徴とするコネクタにより達成できる。
【0006】
請求項2記載のコネクタは、前記ロック部材により前記接続対象物の挿抜方向のコジリ対策を行うとともに前記固定具の係合部を前記ハウジングの溝部に係合させることにより前記接続対象物の上方向及びピッチ方向のコジリ対策を行い、前記第1切欠部及び前記第2切欠部によりコネクタの低背を可能にすることを特徴とする請求項1記載のコネクタにある。
また、請求項3記載のコネクタは、前記ロック部材の係合部と弾性部と支点部と接続部とを略クランク形状若しくは略コ字形状に配置することを特徴とする請求項1または2記載のコネクタにある。
さらに、請求項4記載のコネクタは、前記ロック部材の係合部と弾性部と支点部と接続部とを略クランク形状に配置するとともに前記嵌合口と反対側より前記ハウジングに挿入し、かつ、前記固定具の接続部を前記嵌合口側に配置し、
前記ロック部材の接続部と前記固定具の接続部とをそれぞれ逆側に配置することを特徴とする請求項1または2記載のコネクタにある。
【0007】
請求項5記載のコネクタは、前記接触部である第2接触部と第2接続部との間に第2弾性部と第2支点部とを設けるとともに前記第2接触部と前記第2弾性部と前記第2支点部と前記第2接続部とを略クランク形状に配置し、かつ、前記第2接続部と対向する位置に前記第2弾性部から延設された前記押受部である第2押受部が設けられる第2コンタクトを嵌合口と反対側より前記ハウジングに挿入し、かつ、前記コンタクトと前記第2コンタクトとを千鳥に配置することを特徴とする請求項1、2又は3、4記載のコネクタにある。
また、請求項6記載のコネクタは、前記接続対象物を前記嵌合口内に挿入する場合に、前記接続対象物を前記コンタクトの第1接続部に当てるようにして前記嵌合口内に挿入することを特徴とする請求項5記載のコネクタにある。
さらに、請求項7記載のコネクタは、前記回動部材を、前記嵌合口の反対側に回転可能に装着し、前記回動部材に長手方向に連設した細長形状の押圧部を設け、該押圧部が前記第1押受部及び/又は前記第2押受部及び前記ロック部材の押受部に作用し、かつ、前記第1押受部及び/又は前記第2押受部及び前記押受部が入る仕切壁を有する別個独立の係止孔を設け、前記押圧部が前記第1押受部及び/又は第2押受部及び前記ロック部材の押受部に作用することにより前記接続対象物と接続及び係合することを特徴とする請求項5または6記載のコネクタにある。
さらにまた、請求項8記載のコネクタは、前記コンタクトの延設部に、前記ハウジングの肉厚を逃げる凹を設けることを特徴とする請求項1から7項記載のうちいずれか1項記載のコネクタにある。
【発明の効果】
【0008】
以上の説明から明らかなように、本発明のコネクタによると、次のような優れた効果が得られる。
(1)請求項1記載のように、接続対象物が着脱されるコネクタであって、前記接続対象物と接触する接触部と回動部材が作用する押受部とを有する複数のコンタクトと、該コンタクトが保持・配列されるとともに前記接続対象物が入る嵌合口を有するハウジングと、該ハウジングの嵌合口の反対側に回転可能に装着される回動部材と、を備えるコネクタにおいて、前記接続対象物に係止部を設け、前記係止部と係合する係合部と基板に接続する接続部と前記係合部と前記接続部との間に弾性部と支点部とを有し、前記弾性部より前記係合部と反対方向に延設された押受部を有するロック部材を長手ピッチ方向両側に配置し、前記ハウジングには、前記コンタクトの押受部が変位可能なように第1切欠部を設けるとともに前記嵌合口側の下面に第2切欠部を設け、前記嵌合口側の上面に溝部を設け、前記溝部に係合する係合部と前記基板に接続する接続部とを有する固定具を嵌合口側に配置し、前記コンタクトとして、少なくとも、前記接触部である第1接触部と第1接続部との間に第1弾性部と第1支点部とを設けるとともに前記第1接触部と前記第1弾性部と前記第1支点部と前記第1接続部とを略コ字状に配置し、かつ、前記第1弾性部から前記第1接触部と反対方向に延設された前記押受部である第1押受部を設けられるコンタクトを含むことを特徴とするコネクタにしているので、0.5mm以下の低背を維持しつつ、接続対象物の挿入方向や長手ピッチ方向及び上(コネクタの厚み)方向のコジリに強く、安定した接続が得られ、コネクタがFPC等の可撓性がある基板に実装された場合でも、接続対象物の撓み等を防止し、安定した接続が得られる。
(2)請求項2記載のように、前記ロック部材により前記接続対象物の挿抜方向のコジリ対策を行うとともに前記固定具の係合部を前記ハウジングの溝部に係合させることにより前記接続対象物の上方向及びピッチ方向のコジリ対策を行い、前記第1切欠部及び前記第2切欠部によりコネクタの低背を可能にすることを特徴とする請求項1記載のコネクタにしているので、0.5mm以下の低背を維持しつつ、接続対象物の挿入方向や長手ピッチ方向及び上(コネクタの厚み)方向のコジリに強く、安定した接続が得られ、コネクタがFPC等の可撓性がある基板に実装された場合でも、接続対象物の撓み等を防止し、安定した接続が得られる。
(3)請求項3記載のように、前記ロック部材の係合部と弾性部と支点部と接続部とを略クランク形状若しくは略コ字形状に配置することを特徴とする請求項1または2記載のコネクタにしているので、0.5mm以下の低背を維持しつつ、接続対象物の挿入方向や長手ピッチ方向及び上(コネクタの厚み)方向のコジリに強く、安定した接続が得られ、コネクタがFPC等の可撓性がある基板に実装された場合でも、接続対象物の撓み等を防止し、安定した接続が得られる。
(4)請求項4記載のように、前記ロック部材の係合部と弾性部と支点部と接続部とを略クランク形状に配置するとともに前記嵌合口と反対側より前記ハウジングに挿入し、かつ、前記固定具の接続部を前記嵌合口側に配置し、前記ロック部材の接続部と前記固定具の接続部とをそれぞれ逆側に配置することを特徴とする請求項1または2記載のコネクタにしているので、0.5mm以下の低背を維持しつつ、接続対象物の挿入方向や長手ピッチ方向及び上(コネクタの厚み)方向のコジリに強く、安定した接続が得られ、コネクタがFPC等の可撓性がある基板に実装された場合でも、接続対象物の撓み等を防止し、安定した接続が得られ、実装基板へのバランスもよく、実装基板への実装強度も安定する。
(5)請求項5記載のコネクタは、前記接触部である第2接触部と第2接続部との間に第2弾性部と第2支点部とを設けるとともに前記第2接触部と前記第2弾性部と前記第2支点部と前記第2接続部とを略クランク形状に配置し、かつ、前記第2接続部と対向する位置に前記第2弾性部から延設された前記押受部である第2押受部が設けられる第2コンタクトを嵌合口と反対側より前記ハウジングに挿入し、かつ、前記コンタクトと前記第2コンタクトとを千鳥に配置することを特徴とする請求項1、2又は3、4記載のコネクタにしているので、0.5mm以下の低背を維持しつつ、接続対象物の挿入方向や長手ピッチ方向及び上(コネクタの厚み)方向のコジリに強く、安定した接続が得られ、コネクタがFPC等の可撓性がある基板に実装された場合でも、接続対象物の撓み等を防止し、安定した接続が得られる。
(6)請求項6記載のコネクタは、前記接続対象物を前記嵌合口内に挿入する場合に、前記接続対象物を前記コンタクトの第1接続部に当てるようにして前記嵌合口内に挿入することを特徴とする請求項5記載のコネクタにしているので、0.5mm以下の低背を維持しつつ、接続対象物の挿入方向や長手ピッチ方向及び上(コネクタの厚み)方向のコジリに強く、安定した接続が得られ、コネクタがFPC等の可撓性がある基板に実装された場合でも、接続対象物の撓み等を防止し、安定した接続が得られる。
(7)請求項7記載のコネクタは、前記回動部材を、前記嵌合口の反対側に回転可能に装着し、前記回動部材に長手方向に連設した細長形状の押圧部を設け、該押圧部が前記第1押受部及び/又は前記第2押受部及び前記ロック部材の押受部に作用し、かつ、前記第1押受部及び/又は前記第2押受部及び前記押受部が入る仕切壁を有する別個独立の係止孔を設け、前記押圧部が前記第1押受部及び/又は第2押受部及び前記ロック部材の押受部に作用することにより前記接続対象物と接続及び係合することを特徴とする請求項5または6記載のコネクタにしているので、0.5mm以下の低背を維持しつつ、接続対象物の挿入方向や長手ピッチ方向及び上(コネクタの厚み)方向のコジリに強く、安定した接続が得られ、コネクタがFPC等の可撓性がある基板に実装された場合でも、接続対象物の撓み等を防止し、安定した接続が得られる。
(8)請求項8記載のコネクタは、前記コンタクトの延設部に、前記ハウジングの肉厚を逃げる凹を設けることを特徴とする請求項1から7項記載のうちいずれか1項記載のコネクタにしているので、0.5mm以下の低背を維持しつつ、接続対象物の挿入方向や長手ピッチ方向及び上(コネクタの厚み)方向のコジリに強く、安定した接続が得られ、コネクタがFPC等の可撓性がある基板に実装された場合でも、接続対象物の撓み等を防止し、安定した接続が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(A) 回動部材が開いた状態で、嵌合口上方より見たコネクタとFPCの斜視図である。(B) 回動部材が閉じた状態で、嵌合口上方より見たコネクタの斜視図である。(C) 回動部材が閉じた状態のコネクタを、あるコンタクト部分で断面した断面図である。(C) 回動部材が閉じた状態のコネクタを、固定具部分で断面した断面図である。
【図2】(A) 基板に実装され、FPCが挿入され、回動部材が閉じた状態で、嵌合口上方より見たコネクタの斜視図である。(B) (A)の状態のコネクタを、あるコンタクト部分で断面した断面図である。(C) (A)の状態のコネクタを、ロック部材部分で断面した断面図である。(C) (A)の状態のコネクタを、固定具部分で断面した断面図である。
【図3】長手ピッチ方向左右の固定具の斜視図である。
【図4】コンタクトの斜視図である。
【図5】ロック部材の斜視図である。
【図6】(A) 嵌合口上方向より見たハウジングの斜視図である。(B) 嵌合口下方向より見たハウジングの斜視図である。(C) ハウジングを、あるコンタクト挿入孔部分で断面した断面図である。(D) ハウジングを、あるロック部材挿入孔部分で断面した断面図である。
【図7】(A) 嵌合口方向より見た回動部材の斜視図である。(B) 嵌合口と反対側より見た回動部材の斜視図である。(C) 回動部材を、あるコンタクトの押受部が入る係止孔部分で断面した断面図である。(D) 回動部材を、あるロック部材の押受部が入る係止孔部分で断面した断面図である。
【図8】(A)〜(E) 回動部材が回動する場合の押圧部と回転軸の移動を説明する説明図である。(F) コンタクトに回転軸がない場合の低背の効果の説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の特徴は、接続対象物が着脱されるコネクタ10であって、前記接続対象物と接触する接触部と回動部材16が作用する押受部とを有する複数のコンタクト14と、該コンタクト14が保持・配列されるとともに前記接続対象物が入る嵌合口5を有するハウジング12と、該ハウジング12の嵌合口5の反対側に回転可能に装着される回動部材16と、を備えるコネクタ10において、前記接続対象物に係止部72を設け、前記係止部72と係合する係合部181と基板80に接続する接続部183と前記係合部181と前記接続部183との間に弾性部184と支点部185とを有し、前記弾性部184より前記係合部181と反対方向に延設された押受部186を有するロック部材18を長手ピッチ方向両側に配置し、前記ハウジング12には、前記コンタクト14の押受部が変位可能なように第1切欠部123を設けるとともに前記嵌合口5側の下面に第2切欠部124を設け、前記嵌合口5側の上面に溝部126を設け、前記溝部126に係合する係合部202と前記基板80に接続する接続部201とを有する固定具20を嵌合口5側に配置し、前記コンタクト14として、少なくとも、前記接触部である第1接触部141と第1接続部143との間に第1弾性部144と第1支点部145とを設けるとともに前記第1接触部141と前記第1弾性部144と前記第1支点部145と前記第1接続部143とを略コ字状に配置し、かつ、前記第1弾性部144から前記第1接触部141と反対方向に延設された前記押受部である第1押受部146を設けられるコンタクト14を含むことを特徴とするコネクタ10である。
つまり、前記ハウジング12の天井部125の補強で前記固定具20を配置し、上方向と長手ピッチ方向へのコジリ対策をし、前記ロック部材18を接続対象物に係合させ、挿入方向のコジリ対策をし、前記ハウジング12に第1切欠部123と第2切欠部124を設け、コネクタ10の低背化を図り、前記第2切欠部124に前記コンタクト14の第1接続部143を配置し、コネクタ10がFPC70等の可撓性がある基板80に実装された場合でも、接続対象物の撓み等を防止するようにしたものである。
【0011】
図1(A)は回動部材が開いた状態で、嵌合口上方より見たコネクタとFPCの斜視図であり、(B)は回動部材が閉じた状態で、嵌合口上方より見たコネクタの斜視図であり、(C)は回動部材が閉じた状態のコネクタを、あるコンタクト部分で断面した断面図であり、(C)は回動部材が閉じた状態のコネクタを、固定具部分で断面した断面図である。図2(A)は基板に実装され、FPCが挿入され、回動部材が閉じた状態で、嵌合口上方より見たコネクタの斜視図であり、(B)は(A)の状態のコネクタを、あるコンタクト部分で断面した断面図であり、(C)は(A)の状態のコネクタを、ロック部材部分で断面した断面図であり、(C)は(A)の状態のコネクタを、固定具部分で断面した断面図である。図3は長手ピッチ方向左右の固定具の斜視図である。図4はコンタクトの斜視図であり、図5はロック部材の斜視図である。図6(A)は嵌合口上方向より見たハウジングの斜視図であり、(B)は嵌合口下方向より見たハウジングの斜視図であり、(C)はハウジングを、あるコンタクト挿入孔部分で断面した断面図であり、(D)はハウジングを、あるロック部材挿入孔部分で断面した断面図である。図7(A)は嵌合口方向より見た回動部材の斜視図であり、(B)は嵌合口と反対側より見た回動部材の斜視図であり、(C)は回動部材を、あるコンタクトの押受部が入る係止孔部分で断面した断面図であり、(D)は回動部材を、あるロック部材の押受部が入る係止孔部分で断面した断面図である。図8(A)〜(E)は回動部材が回動する場合の押圧部と回転軸の移動を説明する説明図であり、(F)はコンタクトに回転軸がない場合の低背の効果の説明図である。
本実施例のコネクタ10は、複数のコンタクト(コンタクト14)とハウジング12と回動部材16とロック部材18と固定具20とを備えている。
【0012】
本発明のコネクタ10について説明する前に、前記コネクタ10の嵌合口5に挿入する接続対象物について説明する。前記接続対象物としては、FPC70やFFCや細径同軸ケーブル等を挙げることができる。本実施例では、FPC70を用いて説明する。前記FPC70には、少なくとも前記コンタクト14の第1接触部141と接触する接触部と該接触部から回路へ繋がるパターンと前記ロック部材18の係合部181と係合する係止部72とを備えている。本実施例では前記FPC70の接触部は上面のみに配置されている。客先等の要求によっては、上下両面に配置したものであってもよい。 前記係止部72の形状としては、前記ロック部材18の係合部181に係合できれば如何なるものでも良いが、本実施例では図1(A)のようにコ字形状の切り欠きにしてもよく、貫通孔にしてもよい。仕様によっては貫通孔を止め孔にしてもよい。
【0013】
次に、前記コネクタ10が実装される基板80について説明する。前記基板80には、ハード基板やFPC(フレキシブルプリント基板)が含まれる。ここでは、ハード基板80を例として説明する。前記基板80には、少なくとも前記コンタクト14の第1接続部143と接続するランドと該ランドから回路へ繋がるパターンとを備えている。
【0014】
以降、図に基づいて、本発明のコネクタ10の構成部品について説明する。
まず、固定具20について説明する。この固定具20は金属製であり、公知技術のプレス加工によって製作されている。前記固定具20の材質としては、バネ性や成型性などが要求されるので、黄銅やベリリウム銅やリン青銅等を挙げることができる。
【0015】
前記固定具20は、前記固定具20を配置することにより前記ハウジング12を補強し、前記接続対象物による上(コネクタ10の厚さ)方向へコジリ対策を施したものである。前記固定具20には、少なくとも前記基板80に接続する接続部201と前記ハウジング12の溝部126と係合する係合部202を有している。本実施例では、前記接続部201と前記係合部202とは略L字形状に配置されている。前記接続対象物であるFPC70の上方向へのコジリ対策を考えると、前記接続部201は前記係合部202に出来る限り近い位置にすることが望ましい。なぜなら、上方向にコジられた場合に、前記基板80に実装されている前記接続部201が前記係合部202に近い方が強度が強いからである。前記係合部202の形状・大きさ及び位置は、このようなコジリ対策や実装強度や加工性等を考慮して適宜設計する。本実施例では、前記接続部201を実装密度等を考えて表面実装(SMT)タイプにしたが、ディップタイプであってもよい。
【0016】
本実施例では、前記固定具20を前記ハウジング12の長手ピッチ方向両側に対称に2つ配置したが、上記のようにコジリ対策を満足できれば、前記係合部202同士を連結し、前記固定具20を一体化したものであってもよい。一体化した場合には、長手ピッチ方向両側の前記ハウジング12の溝部126も連結することは言うまでもない。
【0017】
本実施例において、前記固定具20には、前記接続部201付近より延設された延設部204が設けられ、前記延設部204には前記ハウジング12へ固定するための固定部203が設けられている。前記固定部203は前記ハウジング12へ固定できれば如何なる位置でもよく、前記接続部201の両側に圧入する矢じりを設けたものでは前記延設部204を設けなくてもよい。
【0018】
前記固定具20の接続部201は、基板80への実装強度を考えて、前記ロック部材18とのバランスを考慮して、位置を決めるが、前記FPC70の上方向へのコジリ対策や前記基板80へのバランスのよい実装強度を考慮すると嵌合口5側に設けることが望ましい。
【0019】
つぎに、コンタクト14について説明する。このコンタクト14は金属製であり、公知技術のプレス加工によって製作されている。前記コンタクト14の材質としては、バネ性や導電性などが要求されるので、黄銅やベリリウム銅やリン青銅等を挙げることができる。
【0020】
前記コンタクト14は、本実施例では図4のように略倒H字形状をしている。前記コンタクト14は、少なくともFPC70又はFFC等と接触する第1接触部141と基板80に接続する第1接続部143とハウジング12に固定する第1固定部142と前記第1接触部141と前記第1接続部143との間に設けられた第1弾性部144及び第1支点部145と前記第1接触部141と反対方向に前記第1弾性部144から延設された第1押受部146とを備えている。本実施例では、さらに、前記第1支点部145から前記第1押受部146に対向するように延設した第1延設部147と前記第1延設部147の基板80側を切欠いた凹部148を備えている。前記FPC70又はFFC等の仕様によっては、前記第1支点部145から前記第1接続部143との間で、かつ、前記第1接触部141に対向する位置に、前記FPC70又はFFCと接触するもう一つの接触部とを設けてもよい。この場合、上下の2つの接触部により、即ち、2つの第1接触部411を設けて、前記FPC又はFFC等を挟持することになり、確実に前記FPC70又はFFC等と接触できるようになる。上方側の前記第1接触部141(図4の図面の上側)と前記第1弾性部144と前記第1支点部145と前記第1接続部143とは、略コ字形状に配置されている。前記第1接触部141は、前記FPC70又はFFC等と接触し易いように凸部形状にしており、前記第1接続部143は本実施例では図1及び図4のように表面実装タイプ(SMT)にしているが、ディップタイプでも良い。つまり、前記コンタクト14の第1接続部143は、前記ハウジング12の第2切欠部124内に配置されることになる。前記第1接続部143が前記第2切欠部124内に配置されることにより、前記コネクタ10がFPC等の可撓性がある基板80に実装された場合に、前記FPC70が前記第1接続部143により撓みを防止できる。
【0021】
前記第1支点部145と前記第1弾性部144と前記第1押受部146とは、前記FPC70又はFFC等が挿入された際に、次のような作用を果たすための部分である。前記FPC70又はFFCが前記ハウジング12の嵌合口5内に挿入された後に、前記回動部材16の押圧部163が前記コンタクト14の第1押受部146に作用するように回動すると、前記第1押受部146が前記押圧部163によって押し上げられることで前記コンタクト14の第1支点部145を支点にし、前記コンタクト14の第1弾性部144が前記第1接触部141側に傾くことによって、前記第1接触部141が前記FPC70又はFFC側に押圧される。前記第1支点部145と前記第1弾性部144と前記第1押受部146の大きさや形状は、このような作用を果たすために、適宜設計されている。
【0022】
前記コンタクト14は、本実施例では、さらに、前記第1支点部145から前記第1押受部146に対向するように延設した第1延設部147と前記第1延設部147の基板80側を切欠いた凹部148が設けられている。本実施例では、前記第1固定部142を前記延設部147上に図4のように設けた。前記第1固定部142の位置は、前記ハウジング12に固定でき、前記ハウジング12への保持強度が満足できれば如何なる位置であってもよい。そのため、前記第1延設部147を必ずしも設ける必要もなく、設けたとしても本実施例の長さよりも短いように前記第1固定部142部分までであってもよい。
【0023】
前記コンタクト14の凹部148は、コネクタを低背するために、前記ハウジング12の肉厚部分を逃げるためのものである。前記凹部148の大きさ・形状は、このような役割やコネクタの低背化や前記ハウジング12の肉厚や加工性や強度等を考慮して適宜設計する。
【0024】
また、前記コンタクト14の第1押受部146の先端に第1突出部149を設け、前記回動部材16の押圧部163を前記コンタクト14の第1押受部146に作用するように回動させるとき前記回動部材16の回動に対する反発力が強い為に、前記回動部材16の中央部が膨れてしまうことを防ぐようにすることが望ましい。前記第1突出部149の大きさは、このような役割を果たすことが出来れば如何なる大きさでもよく、前記回動部材16の押圧部163が引っ掛かる程度に適宜設計する。
【0025】
次に、ロック部材18について説明する。このロック部材18は金属製であり、公知技術のプレス加工によって製作されている。前記ロック部材18の材質としては、バネ性や成型性などが要求されるので、黄銅やベリリウム銅やリン青銅等を挙げることができる。
本実施例では、図5のように、前記ロック部材18は略倒h形状をしており、少なくとも一端側に前記FPC70の係止部72と係合する係合部181と前記基板80に接続する接続部183と前記ハウジング12に固定する固定部182と前記係合部181と前記接続部183との間に設けられた弾性部184及び支点部185と前記係合部181と反対方向に前記弾性部184から延設された押受部186とを備えている。
【0026】
前記係合部181と前記弾性部184と前記支点部185と前記接続部183は、本実施例では略クランク形状に配置されている。前記接続部183は、本実施例では、表面実装タイプ(SMT)にしているが、ディップタイプでも良い。前記接続部183の位置としては、本実施例では嵌合口5と反対側に配置している。つまり、前記固定具20の接続部201とは逆側に配置することで、基板実装強度のバランスをとっている。
【0027】
前記弾性部184と前記支点部185と前記押受部186とは、前記FPC70を挿入する際に、挿入力の掛からない所謂ZIF構造を果たすための部分である。前記FPC70を前記ハウジング12の嵌合口5内に挿入する際には、前記回動部材16は開いた状態になっている。前記FPC70を挿入した後、図2(B)のように、前記回動部材16の押圧部163が前記ロック部材18の押受部186と接続部183との間で斜めに立った状態になり、前記押受部186が前記押圧部163によって押し上げられる(図面の上方向)ことで、前記ロック部材18の支点部185を支点にし、前記ロック部材18の弾性部184が前記係合部181側に傾くことによって、前記係合部183が下げられるため、前記ハウジング12の嵌合口5内に挿入された前記FPC70の係止部72と係合するようになる。前記弾性部184と前記支点部185と前記押受部186の大きさや形状は、このような作用を果たすために、適宜設計されている。
【0028】
前記ロック部材18の係合部181は、前記FPC70の係止部72に対応した位置に設けられ、かつ、前記ロック部材18は前記係合部181と前記係止部72とが係合できるように前記ハウジング12に圧入や引っ掛け(ランス)等により固定する。前記係合部181の大きさは要求される保持力を満足するように適宜設計し、また、形状は前記FPC70の係止部72に係合できれば如何なるものでもよいが、保持力等を考慮し、本実施例では略直角三角形にし、垂直の面が前記FPC70の係止部72の面に接するようにする。
【0029】
本実施例では、前記ロック部材18は略倒h形状にしたが、前記支点部185より前記係合部181と対向する方向に延設した延設部(図示せず)を設けたものであってもよい。但し、係合性を考慮して、前記係合部181の先端までの長さと前記延設部との長さとの関係は、前記延設部の方を短くし、前記ロック部材18が前記FPC70に係合した際に前記係合部181が前記延設部に接触することなく、かつ、前記係合部181が十分な変位量を確保できるように適宜設計設計する。
【0030】
前記固定部182は、前記ハウジング12に固定できればよく、本実施例では前記支点部185と前記接続部183の間で、前記支点部185の近傍に設けられており、その位置は保持力や低背化や強度や加工性等を考慮して適宜設計する。本実施例では圧入により固定されているため、前記ハウジング12への保持力等を考えた大きさの図5のような凸が設けられている。
また、前記ロック部材18の押受部186の先端には、前記回動部材16の回動に対する強い反発力に対抗し、前記回動部材16の中央部が膨れてしまうことを防ぐようにするために突出部を設けてもよい。前記突出部は、前記コンタクト14と前記ロック部材18のどちらか一方か双方に設けることが望ましい。
【0031】
次に、ハウジング12について説明する。このハウジング12は電気絶縁性のプラスチックであり、公知技術の射出成形によって製作され、この材質としては寸法安定性や加工性やコスト等を考慮して適宜選択するが、一般的にはポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリアミド(66PA、46PA)や液晶ポリマー(LCP)やポリカーボネート(PC)やこれらの合成材料を挙げることができる。
【0032】
前記ハウジング12には、所要数の前記コンタクト14及び前記ロック部材18が装着される挿入溝121、122が設けられており、圧入や引っ掛け(ランス)や溶着等によって固定されている。本実施例では、前記ロック部材18が入る前記挿入溝122は長手ピッチ方向両側に設けられ、前記挿入溝122との間に前記コンタクト14が入る所要数の前記挿入溝121が設けられている。前記挿入溝121、122の形状・大きさは、前記コンタクト14及び前記ロック部材18が挿入・保持できれば如何なるものでもよく、接続安定性や前記ハウジング12への保持力や強度や加工性等考慮して適宜設計する。
【0033】
また、長手ピッチ方向両側には、前記回動部材16の軸162が回動可能に装着される軸受127が設けられている。この軸受127の形状や大きさは、前記回動部材16の軸162が回動できるように装着されていれば如何なるものでもよく、この役割やハウジング12の強度や大きさ等を考慮して適宜設計する。前記軸162と前記軸受127との間には、幾分のクリアランスが設けられている。本実施例では、クリアランスを0.03〜0.08mmにしている。
【0034】
前記ハウジング12には、前記コンタクト14の接触部141を被覆する天井部125が設けられている。前記天井部125は、前記コンタクト14の防塵性を高めるためのものであり、その大きさや形状はこの役割や前記ハウジング12の強度や前記回動部材16の回動性や強度等を考慮して適宜設計する。低背化を考慮して、前記ハウジング12の肉厚は出来るかぎり薄くしている。
【0035】
前記ハウジング12には、前記嵌合口5側で、長手ピッチ方向両側に前記固定具20の係合部202と係合する溝部126が設けられている。前記溝部126に、前記固定具20の係合部202を係合させることで、前記ハウジング12(天井部125)を補完し、前記FPC70の上方向へのコジリ対策をしたものである。前記溝部126の形状・大きさは、前記固定具20の係合部202と係合し、かつ、低背できれば如何なるものでもよく、前記係合部202の形状・大きさに沿い、コジリ対策や低背化や強度や加工性等を考慮して適宜設計する。前記固定具20の係合部202同士を連結されて前記固定具20が一体化したものの場合には、前記溝部126は長手ピッチ方向に連結することは言うまでもない。
【0036】
前記ハウジング12には、コネクタ10の低背を図るために、2つの第1切欠部123と第2切欠部124が設けられている。前記第1切欠部123は、前記コンタクト14の第1押受部146及び前記ロック部材18の押受部186が前記回動部材16の押圧部163によって押上げられた際の逃げ部分で、かつ、前記回動部材16の逃げ部分でもある。本実施例では、強度や加工性等を考慮して前記コンタクト14及び前記ロック部材18に係る全体部分を切り欠いた。
【0037】
前記第2切欠部124は、前記嵌合口5側で、前記天井部125の反対側に設けられている。前記第2切欠部124は、前記コンタクト14の第1支点部145から第1接続部143までを逃げるための部分である。本実施例では、強度や加工性等を考慮して前記コンタクト14に係る全体部分を切り欠いたが、前記コンタクト14の第1支点部145から第1接続部143までを逃げられればよく、それぞれの前記コンタクト14ごとにスリット状に切り欠いたものであってもよい。
【0038】
最後に、前記回動部材16について説明する。この回動部材16は電気絶縁性のプラスチックであり、公知技術の射出成形によって製作され、この材質としては寸法安定性や加工性やコスト等を考慮して適宜選択するが、一般的にはポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリアミド(66PA、46PA)や液晶ポリマー(LCP)やポリカーボネート(PC)やこれらの合成材料を挙げることができる。
【0039】
前記回動部材16は、主に前記ハウジング12に回動可能に装着される軸162部分と前記コンタクト14の第1押受部146及び前記ロック部材18の押受部186を押圧する押圧部163、163と前記第1押受部146及び押受部186が入り、かつ、仕切壁165により区切られた別個独立の係止孔164、164とを備えている。前記軸162は、前記回動部材16を回動するための回転軸であり、前記ハウジング12の長手ピッチ方向両側に前記回動部材16が回動可能に適宜装着されている。この軸162の形状や大きさは、前記回動部材16が回動できるように装着されていれば如何なるものでもよく、この役割やハウジング12の強度や大きさ等を考慮して適宜設計する。前記軸162と前記軸受127との間には、幾分のクリアランスが設けられている。本実施例では、クリアランスを0.03〜0.08mmにしている。また、長手ピッチ方向両側には、前記コンタクト14の第1押受部146を押圧した際に前記回動部材16が高さ(図面の上)方向に持ち上がらないようにするために前記ハウジング12と係合するロック部が設けられている場合がある。設ける場合のロック部の形状や大きさ等は、前記ハウジング12に係合できれば如何なるものでもよく、上述の役割やコネクタの大きさや強度等を考慮して適宜設計する。
【0040】
前記押圧部163は、前記コンタクト14の第1押受部146及び前記ロック部材18の押受部186に押し付ける部分であり、その形状としては細長形状にすることが望ましく、本実施例では楕円形状をしている。このように楕円形状にすることによって、前記コンタクト14の第1押受部146及び前記ロック部材18の押受部186に作用するように回転させることで、前記押圧部163の大きさの変化により前記コンタクト14の第1押受部146及び前記ロック部材18の押受部186が持ち上げられ、前記FPC70又はFFCに前記コンタクト14の第1接触部141を押し付け、及び前記ロック部材18の係合部181を係合させている。前記押圧部163の形状としては、前記コンタクト14の第1押受部146及び前記ロック部材18の押受部186に作用するように回転でき、長軸と短軸といった大きさの違いにより前記コンタクト14の第1押受部146及び前記ロック部材18の押受部186を押し上げられれば、如何なるものでもよい。
【0041】
前記回動部材16には、前記回動部材16を回動させるための操作部161が設けられている。前記操作部161は、前記FPC70又はFFC等を挿入・抜去する際に前記回動部材16を操作する部分である。前記操作部161の形状・大きさは、操作性や低背化や強度や加工性等を考慮して適宜設計する。
【0042】
また、前記回動部材16を回動した際に、前記回動部材16の回動に対する反発力が強い為に、前記コンタクト14の第1押受部146及び前記ロック部材18の押受部186が入る係止孔164が仕切壁165を形成することにより別個独立に設けられている。前記係止孔164を別個独立に設けることで、前記回動部材16の強度アップや回動時の変形を防止している。上述した前記回動部材16は前記ハウジング12の嵌合口5と反対側に回動自在に装着されている。前記係止孔164と前記仕切壁165の形状・大きさは、前記コンタクト14の第1押受部146及び前記ロック部材18の押受部186が前記係止孔164に入ればよく、強度アップや回動時の変形防止や強度や加工性等を考慮して適宜設計する。
【0043】
また、前記回動部材16を回動した際に、前記回動部材16の回動に対する反発力が強く、前記回動部材16の中央部が膨れてしまうことを防ぐようにする為に、前記コンタクト14の第1押受部146及び/または前記ロック部材18の押受部186の先端に設けられた第1突出部149及び/または突出部が前記係止孔164に係合している。前記係止孔164を別個独立に設けることで、前記回動部材16の強度アップや回動時の変形を防止している。
【0044】
前記回動部材16には、前記ロック部材18に対応する位置で、前記ロック部材18の支点部185から接続部183に接する側に、凹166が設けられている。前記凹166は、前記コンタクト14の凹部148と同様の目的のために設けられたものである。つまり、前記ロック部材18は前記回動部材16に接するのが接続部183であるため、前記ロック部材18に凹み(逃げ)を設けることができないので、前記回動部材16側に凹み(逃げ)を設けたものである。前記凹166は、前記回動部材16が閉じた際に、前記ロック部材18の支点部185から接続部183を逃げる部分であり、逃げることで低背化を図ったものである。前記凹166の形状・大きさは、前記ロック部材18の支点部185から接続部183を逃げられればよく、役割や低背化や強度や加工性等を考慮して適宜設計する。
【0045】
ここで、図8(A)から(E)に基づいて、前記回動部材16の押圧部163の移動及び回動の仕方について説明する。つまり、前記回動部材16の押圧部163の回動軸は、前記回動部材16の軸162と前記ハウジング12の軸受127とのクリアランス分だけ移動しながら回動する。
図8(A)は前記接続対象物と前記コネクタ10との接続前の状態で、前記押圧部163の下端30側が前記第1押受部146の第1突出部149と第1延設部147との間に位置する。
図8(B)のように、前記操作部161を回動(図面の時計回り方向)させると前記押圧部163が嵌合口5と反対方向に移動し、前記押圧部163の下端30が前記第1押受部146の第1突出部149と第1延設部147との間に挟持される。
図8(C)のように、前記操作部161をさらに回動させると(B)の位置で前記押圧部163が押圧部163の中心を回転軸34として回動する。
図8(D)のように、前記操作部161をさらに回動させると(C)の位置で前記押圧部163が押圧部163の中心を回転軸34として回動し、前記押圧部163が前記第1押受部146と前記第1延設部147との間でほぼ垂直になり回転軸34が前記第1突出部149に接した上端32側に移動する。
図8(E)のように、前記操作部161をさらに回動させると(D)の位置で前記押圧部163が前記第1突出部149に接した上端32側を中心に回動し、前記押圧部163を前記第1突出部149に引っ掛かった状態に係合させる。
即ち、前記押圧部163は最初は移動し、その後回動し、さらに回動を続けると回転軸34が変化して、省スペース間でコンパクトな回動(回転)を行なうものである。
省スペース間でコンパクトな回動(回転)を行う(前記押圧部163が前記軸162と前記軸受127とのクリアランス分だけ移動しつつ回動する)ことで、前記押圧部163の回転軸をコンタクトに設けた場合の回転軸の深さ分(深さ分だけ、コンタクトの厚さを厚くする必要がある)だけの低背化や、前記第1押受部146に対する負荷を小さくでき、小さくすることにより前記第1押受部146の耐久性の向上及び奥行き(前記接続部の延設方向)の小型化ができる。前記第1延設部147に回転軸を掘り込んだだけでは前記第1延設部147の強度が弱くなり、かつ、前記第1延設部147の厚さを厚くし、回転軸を設けると前記第1延設部147と前記第1押受部146との間が狭くなり、前記押圧部163を挿入(装着)できなくなり、前記押受部163の挿入スペースを確保する為には、図8(F)のように、前記第1延設部147の厚さをA寸法分だけ大きくし、かつ、A寸法分だけ前記第1延設部147と前記第1押受部146を広げる必要がある。つまり、回転軸を設けないとA寸法分だけ低背になる。
【0046】
以下で、2種類のコンタクトを千鳥に配列したコネクタ(図示せず)について説明する。上記で説明した前記コンタクト14を第1コンタクトとし、前記ロック部材18を次のように読み替えて、第2コンタクトとし、前記第1コンタクトを嵌合口5側より、前記第2コンタクトを嵌合口5と反対側より前記ハウジング12に千鳥に挿入したコネクタである。前記ロック部材18の前記係合部181を第2接触部とし、前記固定部182を第2固定部とし、前記接続部183を第2接続部とし、前記弾性部184を第2弾性部とし、前記支点部185を第2支点部とし、前記押受部186を第2押受部とし、第2コンタクトとする。このような前記第2コンタクトを使用する場合、前記回動部材16には、さらに、前記第2コンタクトに対応する位置に、凹を設ける。前記第2コンタクトは、さらに、前記第2支点部から前記第2接触部と対向する方向に延設した第2延設部を設けてもよい。前記第2接触部の形状・大きさは、前記第1接触部141と同様にする。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、携帯端末やプロジェクタやTV等の通信機器や電気機器や電子機器に使用されるコネクタに活用され、特に、特に、簡単な構造で、低背化を図り、挿入方向や長手ピッチ方向や上方向の接続対象物のコジリ対策に関するものである。
【符号の説明】
【0048】
5 嵌合口
10 コネクタ
12 ハウジング
121 挿入溝(コンタクト用)
122 挿入溝(ロック部材用)
123 第1切欠部
124 第2切欠部
125 天井部
126 溝部
127 軸受
14 コンタクト
141 第1接触部
142 第1固定部
143 第1接続部
144 第1弾性部
145 第1支点部
146 第1押受部
147 第1延設部
148 凹部
149 第1突出部
16 回動部材
161 操作部
162 軸
163 押圧部
164 係止孔
165 仕切壁
166 凹
18 ロック部材
181 係合部
182 固定部
183 接続部
184 弾性部
185 支点部
186 押受部
20 固定具
201 接続部
202 係合部
203 固定部
204 延設部
30 下端
32 上端
34 回転軸
70 FPC(フレキシブルプリント基板)
72 係止部
80 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続対象物が着脱されるコネクタであって、
前記接続対象物と接触する接触部と回動部材が作用する押受部とを有する複数のコンタクトと、該コンタクトが保持・配列されるとともに前記接続対象物が入る嵌合口を有するハウジングと、該ハウジングの嵌合口の反対側に回転可能に装着される回動部材と、を備えるコネクタにおいて、
前記接続対象物に係止部を設け、
前記係止部と係合する係合部と基板に接続する接続部と前記係合部と前記接続部との間に弾性部と支点部とを有し、前記弾性部より前記係合部と反対方向に延設された押受部を有するロック部材を長手ピッチ方向両側に配置し、
前記ハウジングには、前記コンタクトの押受部が変位可能なように第1切欠部を設けるとともに前記嵌合口側の下面に第2切欠部を設け、前記嵌合口側の上面に溝部を設け、
前記溝部に係合する突出片と前記基板に接続する接続部とを有する固定具を嵌合口側に配置し、前記コンタクトとして、少なくとも、前記接触部である第1接触部と第1接続部との間に第1弾性部と第1支点部とを設けるとともに前記第1接触部と前記第1弾性部と前記第1支点部と前記第1接続部とを略コ字状に配置し、かつ、前記第1弾性部から前記第1接触部と反対方向に延設された前記押受部である第1押受部を設けられるコンタクトを含むことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記ロック部材により前記接続対象物の挿抜方向のコジリ対策を行うとともに前記固定具の係合部を前記ハウジングの溝部に係合させることにより前記接続対象物の上方向及びピッチ方向のコジリ対策を行い、前記第1切欠部及び前記第2切欠部によりコネクタの低背を可能にすることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記ロック部材の係合部と弾性部と支点部と接続部とを略クランク形状若しくは略コ字形状に配置することを特徴とする請求項1または2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ロック部材の係合部と弾性部と支点部と接続部とを略クランク形状に配置するとともに前記嵌合口と反対側より前記ハウジングに挿入し、かつ、前記固定具の接続部を前記嵌合口側に配置し、
前記ロック部材の接続部と前記固定具の接続部とをそれぞれ逆側に配置することを特徴とする請求項1または2記載のコネクタ。
【請求項5】
前記接触部である第2接触部と第2接続部との間に第2弾性部と第2支点部とを設けるとともに前記第2接触部と前記第2弾性部と前記第2支点部と前記第2接続部とを略クランク形状に配置し、かつ、前記第2接続部と対向する位置に前記第2弾性部から延設された前記押受部である第2押受部が設けられる第2コンタクトを嵌合口と反対側より前記ハウジングに挿入し、かつ、前記コンタクトと前記第2コンタクトとを千鳥に配置することを特徴とする請求項1、2又は3、4記載のコネクタ。
【請求項6】
前記接続対象物を前記嵌合口内に挿入する場合に、前記接続対象物を前記コンタクトの第1接続部に当てるようにして前記嵌合口内に挿入することを特徴とする請求項5記載のコネクタ。
【請求項7】
前記回動部材を、前記嵌合口の反対側に回転可能に装着し、前記回動部材に長手方向に連設した細長形状の押圧部を設け、該押圧部が前記第1押受部及び/又は前記第2押受部及び前記ロック部材の押受部に作用し、かつ、前記第1押受部及び/又は前記第2押受部及び前記押受部が入る仕切壁を有する別個独立の係止孔を設け、前記押圧部が前記第1押受部及び/又は第2押受部及び前記ロック部材の押受部に作用することにより前記接続対象物と接続及び係合することを特徴とする請求項5または6記載のコネクタ。
【請求項8】
前記コンタクトの延設部に、前記ハウジングの肉厚を逃げる凹を設けることを特徴とする請求項1から7項記載のうちいずれか1項記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−151021(P2012−151021A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9617(P2011−9617)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000208835)第一電子工業株式会社 (182)
【Fターム(参考)】