コネクタ
【課題】端子金具の挿入を支障なく行えるようにする。
【解決手段】リテーナ40が端子金具30に対して非係止となる待機位置にある状態では、リテーナ40の前面40Fと収容空間15の前壁面16との間に、リテーナ40が端子金具30に係止される係止位置に向けて斜め前方へ変位するのを許容するための変位許容スペースSが空く。コネクタハウジング10には、収容空間15の前壁面16から端子金具30の挿入経路に沿うように収容空間15内に突出した形態のガイド部19が形成され、リテーナ40には、その前面を凹ませた形態であって、リテーナ40が係止位置にある状態でガイド部19を収容させる逃がし凹部48が形成されている。
【解決手段】リテーナ40が端子金具30に対して非係止となる待機位置にある状態では、リテーナ40の前面40Fと収容空間15の前壁面16との間に、リテーナ40が端子金具30に係止される係止位置に向けて斜め前方へ変位するのを許容するための変位許容スペースSが空く。コネクタハウジング10には、収容空間15の前壁面16から端子金具30の挿入経路に沿うように収容空間15内に突出した形態のガイド部19が形成され、リテーナ40には、その前面を凹ませた形態であって、リテーナ40が係止位置にある状態でガイド部19を収容させる逃がし凹部48が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のキャビティを有するコネクタハウジングと、キャビティに対し後方から挿入される端子金具と、コネクタハウジングに対し端子金具の挿入方向とは斜め方向に組み付けられ、端子金具に対して抜止め状態に係止されるリテーナとを備えたコネクタが開示されている。コネクタハウジング内には、リテーナを収容するための収容空間が、コネクタハウジングの外面からキャビティに連通する形態で形成されている。これにより、キャビティは、収容空間よりも前方の前部キャビティと、収容空間よりも後方の後部キャビティに分断された状態となっている。
【0003】
リテーナの前面には、複数の端子金具に係止される複数の係止部が形成されている。この複数の係止部は、キャビティに挿入された複数の端子金具の配列に合わせて、端子金具の挿入方向と直交する方向に並ぶように配置されており、この係止部の配列に合わせて、リテーナの前面と収容空間の前壁面も、端子金具の挿入方向と直交する面となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−031032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のコネクタでは、リテーナを端子金具に係止しない位置へ退避させて端子金具を挿入する際には、リテーナの前面と収容空間の前壁面との間に前後方向の間隔が空くことになる。そのため、端子金具を挿入する過程では、端子金具の前端部がリテーナの前面と収容空間の前壁面との間の空間内に進入したときに、端子金具が姿勢を傾けて収容空間の前壁面に干渉し、前部キャビティへの挿入動作に支障を来すことが懸念される。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、端子金具の挿入を支障なく行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、複数のキャビティを有するコネクタハウジングと、前記キャビティに対し後方から挿入されることで、挿入方向と直交する方向に並ぶように配される複数の端子金具と、前記コネクタハウジングに対し前記端子金具の挿入方向とは斜めの方向に変位しながら組み付けられ、前記端子金具に対して抜止め状態に係止可能なリテーナとを備え、前記コネクタハウジング内には、前記リテーナを収容するための収容空間が、前記コネクタハウジングの外面から前記キャビティに連通するとともに前記キャビティを前後に分断する形態で形成され、前記リテーナが前記端子金具に対して非係止となる待機位置にある状態では、前記リテーナの前面と前記収容空間の前壁面との間に、前記リテーナが前記端子金具に係止される係止位置に向けて斜め前方へ変位するのを許容するための変位許容スペースが空くようになっているコネクタにおいて、前記コネクタハウジングには、前記収容空間の前壁面から前記端子金具の挿入経路に沿うように前記収容空間内に突出した形態のガイド部が形成され、前記リテーナには、その前面を凹ませた形態であって、前記リテーナが係止位置にある状態で前記ガイド部を収容させる逃がし凹部が形成されているところに特徴を有する。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記ガイド部には、前記端子金具の挿入方向に対して斜め方向であり、且つ前記端子金具の挿入経路に臨むように配された誘導斜面が形成されているところに特徴を有する。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2に記載のものにおいて、前記端子金具の挿入方向に対する前記誘導斜面の傾斜角度を、前記端子金具の挿入方向に対する前記リテーナの移動経路の傾斜角度と同じ角度、又はそれよりも大きい角度としたところに特徴を有する。
【0010】
請求項4の発明は、請求項2又は請求項3に記載のものにおいて、前記ガイド部は、隣り合う前記キャビティを区画する隔壁部から突出されており、前記ガイド部には、前記隣り合うキャビティと対応するように2つの前記誘導斜面が形成されているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0011】
<請求項1の発明>
リテーナが待機位置にある状態で端子金具を後方からキャビティ内に挿入する過程において、収容空間内に進入した端子金具の前端部は、ガイド部で案内されることによって、キャビティのうちの収容空間よりも前方の領域内に円滑に挿入される。また、リテーナが係止位置に変位した状態では、ガイド部が逃がし凹部内に収容されるので、リテーナの前面と収容空間の前壁面との間にデッドスペースが空かずに済む。
【0012】
<請求項2の発明>
端子金具の前端部が収容空間内に進入したときに端子金具の挿入方向が不正な向きに傾いても、端子金具の前端部が誘導斜面に摺接することによって、端子金具は正規の挿入方向を向くように誘導される。
【0013】
<請求項3の発明>
端子金具の挿入方向に対する誘導斜面の傾斜角度を、端子金具の挿入方向に対するリテーナの移動経路の傾斜角度よりも小さい角度とした場合には、リテーナが係止位置に変位したときに、逃がし凹部の内面と誘導斜面との間にデッドスペースが空くことになる。その点、本発明では、誘導斜面の傾斜角度を、リテーナの移動経路の傾斜角度と同じ角度又はそれよりも大きい角度としたので、逃がし凹部の内面と誘導斜面との間にデッドスペースを空けずに済む。
【0014】
<請求項4の発明>
1つのガイド部によって、2つの端子金具を、正規の挿入方向を向くように誘導することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態1においてキャビティに対する端子金具の挿入を開始した状態をあらわす断面図
【図2】キャビティに対する端子金具の挿入途中の状態をあらわす断面図
【図3】キャビティに対する端子金具の挿入が完了した状態をあらわす断面図
【図4】リテーナを係止位置へ移動させて端子金具を抜止めした状態をあらわす断面図
【図5】リテーナが待機位置にある状態の側面図
【図6】リテーナが係止位置にある状態の側面図
【図7】コネクタハウジングの側面図
【図8】図7のX−X線断面図
【図9】コネクタハウジングの背面図
【図10】リテーナの正面図
【図11】リテーナの側面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図11を参照して説明する。本実施形態のコネクタは、合成樹脂製であってブロック状をなす雌形のコネクタハウジング10と、コネクタハウジング10内に収容される複数の端子金具30と、コネクタハウジング10に組み付けられることで端子金具30を抜止めする合成樹脂製のリテーナ40とを備えて構成されている。
【0017】
図1〜4,9に示すように、コネクタハウジング10内には、前後方向に貫通する複数のキャビティ11A,11Bが上下2段に分かれて上下左右に整列して形成されている。キャビティ11A,11Bの前端部(図1〜4における左側の端部)は、コネクタハウジング10の前端面において相手側ハウジング(図示省略)のタブをキャビティ11A,11B内に進入させるための受受入口12を有する前壁部13となっている。前後方向における前壁部13の位置(キャビティ11A,11Bの前端の位置)は、全てのキャビティ11A,11Bにおいて同じ位置である。キャビティ11A,11Bの後端は、端子挿入口14としてコネクタハウジング10の後端面に開口されている。キャビティ11A,11Bの前端(前壁部13)から後端までの前後長さは、全てのキャビティ11A,11Bにおいて同じ寸法である。
【0018】
図1〜4,7に示すように、コネクタハウジング10には、その底面に開口する収容空間15が形成されている。収容空間15はリテーナ40を収容するための空間であって、コネクタハウジング10の左右両側面にも開口されている。コネクタハウジング10の側面における収容空間15の開口形状は、概ね直角三角形である。収容空間15の前壁面16は、端子金具30の挿入方向と直交する平面であり、収容空間15の後面壁は、端子金具30の挿入方向に対して斜め方向のガイド斜面17となっている。前後方向(端子金具30の挿入方向と平行な方向)における前壁面16とガイド斜面17との間隔は、収容空間15の上端において最も小さく、収容空間15の下端(コネクタハウジング10の底面への開口部分)において最も大きい寸法となっている。
【0019】
図1〜4に示すように、収容空間15は、上下方向においては全てのキャビティ11A,11Bと対応する領域に亘って形成され、左右方向においても全てのキャビティ11A,11Bと対応する領域に亘って形成されている。つまり、収容空間15は全てのキャビティ11A,11Bに連通している。そして、各キャビティ11A,11Bは、収容空間15によって前部空間11AF,11BFと後部空間11AR,11BRとに分断されている。前部空間11AF,11BFの前後長は、上段のキャビティ11Aと下段のキャビティ11Bとで同じ寸法であるが、後部空間11AR,11BRの前後長は、上段のキャビティ11Aの後部空間11ARに比べて下段のキャビティ11Bの後部空間11BRの方が短くなっている。また、前部空間11AF,11BF内には、その下面壁に沿って前方へ片持ち状に延出した形態のランス18が形成されている。
【0020】
図1〜8に示すように、収容空間15内には、その前壁面16から後方(ガイド斜面17側)に向かって突出するガイド部19が形成されている。図1〜4に示すように、ガイド部19は、上下方向においては、上段のキャビティ11Aと下段のキャビティ11Bとを区画する隔壁部20の後端から後方へ突出した形態である。換言すると、ガイド部19は、隔壁部20を後方へ延長させた形態である。ガイド部19は、収容空間15の全幅に亘って連続するような(つまり、全てのキャビティ11A,11Bと対応するような)壁状をなしている。収容空間15の前壁面16からのガイド部19の突出寸法は、前壁面16とガイド斜面17との間の最小前後間隔とほぼ同じ寸法である。
【0021】
ガイド部19の後端部(突出端部)には、第1誘導斜面21(本発明の構成要件である誘導斜面)と第2誘導斜面22(本発明の構成要件である誘導斜面)が形成されている。第1誘導斜面21は、ガイド部19の上面を端子金具30の挿入方向に対して斜めをなすように切欠した形態であり、上段のキャビティ11Aに挿入される端子金具30の挿入経路に臨んでいる。第1誘導斜面21は、ガイド部19の突出方向における全長に亘って連続し、且つ一定の傾斜角度αで形成されている。また、第1誘導斜面21は、幅方向においてガイド部19の全幅に亘って連続した形態となっている。図7に示すように、前後方向(キャビティ11A,11Bに対する端子金具30の正規の挿入方向)に対する第1誘導斜面21の傾斜角度αは、その前後方向全領域に亘って一定であって、前後方向に対するガイド斜面17(リテーナ40の移動経路)の傾斜角度αと同じ角度となっている。この傾斜角度αは、約45°である。
【0022】
第2誘導斜面22は、ガイド部19の下面を端子金具30の挿入方向に対して斜めをなすように切欠した形態であり、下段のキャビティ11Bに挿入される端子金具30の挿入経路に臨んでいる。第2誘導斜面22は、ガイド部19の突出方向における全長に亘って連続し、且つ一定の傾斜角度βで形成されている。また、第2誘導斜面22は、幅方向においてガイド部19の全幅に亘って連続した形態となっている。図7に示すように、前後方向に対する第2誘導斜面22の傾斜角度βは、その前後方向全領域に亘って一定であって、第1誘導斜面21の傾斜角度αよりも小さい角度とされている。このように第1誘導斜面21と第2誘導斜面22を形成したことにより、ガイド部19は、側方から見たときに後端側が尖った三角形状をなしている。
【0023】
図7,9に示すように、コネクタハウジング10の左右両外側面には、左右対称な一対の第1係止突起23と左右対称な一対の第2係止突起24と、左右対称な一対の係止リブ25とが形成されている。第1係止突起23と第2係止突起24と係止リブ25は、いずれも、収容空間15(ガイド斜面17)に対して斜め上後方に位置している。第1係止突起23は、第2係止突起24の斜め上前方に位置し、第1係止突起23と第2係止突起24は、ガイド斜面17(リテーナ40の移動方向)と平行に並んでいる。
【0024】
第1係止突起23は、リテーナ40を図1〜3,5に示す待機位置(仮係止位置)と図4,6に示す係止位置(本係止位置)との間で移動するときのガイドとしての機能と、リテーナ40を待機位置と係止位置に保持するための係止機能とを兼ね備えている。第2係止突起24は、リテーナ40を待機位置(仮係止位置)と係止位置(本係止位置)との間で移動するときのガイドとしての機能と、リテーナ40を待機位置に保持するための係止機能とを兼ね備えている。係止リブ25は、第1係止突起23及び第2係止突起24よりも上方に位置し、前後方向に直線状に延びた形態である。この係止リブ25は、リテーナ40を係止位置に保持するための係止機能を備えている。
【0025】
図1〜4に示すように、端子金具30は、前後方向に細長く、前端部に角筒状の端子接続部31が形成された雌形の端子である。端子接続部31には、その下面を凹ませた形態の第1係止部32が形成されている。第1係止部32には、端子金具30がキャビティ11A,11Bに正規挿入された状態において、ランス18が後方から係止するようになっている。また、端子接続部31の下面側の後端縁は、リテーナ40を係止させるための第2係止部33となっている。端子接続部31の前後長さは、前部空間11AF,11BFの前後長さと同じかそれよりも僅かに短い寸法とされている。端子金具30の後端部に形成された電線圧着部34には、電線35の前端部が圧着により接続されている。この端子金具30は、コネクタハウジング10の後方から端子挿入口14に差し込まれてキャビティ11A,11B内に挿入されるようになっている。
【0026】
リテーナ40は、キャビティ11A,11Bに挿入されている複数の端子金具30に係止することで、それらの端子金具30を抜止めするためのものであり、コネクタハウジング10に対し待機位置(図1〜3,5を参照)と、待機位置に対して斜め上前方の係止位置(図4,6を参照)との間で変位し得るように取り付けられている。このリテーナ40の変位方向は、端子金具30の挿入方向に対して斜めの方向である。
【0027】
図1〜4,10,11に示すように、リテーナ40は、本体部41と、本体部41の左右両側縁から上方及び後方へ張り出した左右対称な一対の側板部42とを備えている。図1〜4に示すように、本体部41の幅方向と直角に切断した断面形状は、収容空間15と整合するような略三角形をなす。リテーナ40をコネクタハウジング10に組み付けた状態において、本体部41(リテーナ40)の前面40Fは、収容空間15の前壁面16と平行をなし、本体部41の後面は、ガイド斜面17に対して面接触又は僅かなクリアランスを空けて平行に対向する被ガイド面43となっている。
【0028】
図10に示すように、本体部41の上面には、上段の複数のキャビティ11Aと対応するように突出した形態の複数の上段用抜止部44Aが形成されている。図4に示すように、上段用抜止部44Aは、上段のキャビティ11Aに正規挿入された端子金具30の第2係止部33に対して後方から係止される。本体部41には、下段の複数のキャビティ11Bと対応するように前後に貫通する複数の貫通孔45が形成されている。各貫通孔45の開口縁のうち下側の開口縁部には、下段用抜止部44Bが形成されている。図4に示すように、下段用抜止部44Bは、下段のキャビティ11Bに正規挿入された端子金具30の第2係止部33に対して後方から係止される。
【0029】
図5,6,11に示すように、側板部42は、側方から見て略方形をなしている。側板部42には、リテーナ40をコネクタハウジング10に組み付けた状態においてガイド斜面17と平行に延びるガイド溝46が形成されている。ガイド溝46の長さ方向は、リテーナ40の待機位置と係止位置との間の移動経路及び被ガイド面43と平行である。また、側板部42の上端部における内面には、リテーナ40をコネクタハウジング10に組み付けた状態において前後方向を向いた係止段部47が形成されている。
【0030】
リテーナ40には、リテーナ40を係止位置に移動させた状態でガイド部19との干渉を回避するための逃がし凹部48が形成されている。逃がし凹部48は、左右に隣り合う貫通孔45を仕切る仕切壁49の前端縁部と、左右両端の貫通孔45と本体部41の外面とを構成する外壁部50の前端縁部とを、側方から見て略三角形状に切欠した形態となっている。逃がし凹部48の上縁部51(図5,11を参照)は、リテーナ40をコネクタハウジング10に組み付けた状態において、端子金具30の挿入方向に対して斜めであり、リテーナ40の変位方向と平行な方向である。つまり、端子金具30の挿入方向に対する上縁部51の傾斜角度は、第1誘導斜面21及びガイド斜面17の傾斜角度と同じ角度である。また、逃がし凹部48の下縁部52(図5,11を参照)は、リテーナ40をコネクタハウジング10に組み付けた状態において、端子金具30の挿入方向に対して斜めであり、第2誘導斜面22と概ね平行である。
【0031】
リテーナ40は、図1〜4に示すように、本体部41をコネクタハウジング10の収容空間15内に収容して、被ガイド面43をガイド斜面17に対して面接触又は僅かなクリアランスを空けて対向させるとともに、図5に示すように、側板部42をコネクタハウジング10の外側面に重ねた状態で、コネクタハウジング10に対して待機位置に組み付けられる。組み付けられたリテーナ40は、ガイド溝46の上端に第1係止突起23を係止させるとともにガイド溝46の下端に第2係止突起24を係止させ、これらの係止作用によって、待機位置に保持される。
【0032】
リテーナ40が待機位置に保持されている状態では、図1〜3,5に示すように、リテーナ40の前面40Fが、収容空間15の前壁面16に対して変位許容スペースSを空けて平行に対向する。この変位許容スペースSは、リテーナ40が待機位置から係止位置に向けて斜め上前方へ移動するのを許容するためのスペースである。変位許容スペースSの前後寸法は、ガイド部19の突出寸法よりも大きいので、リテーナ40の前面40Fはガイド部19の突出端(後端)よりも更に後方に位置している。詳しくは、ガイド部19の突出端(後端)は、リテーナ40の前面40Fよりも収容空間15の前壁面16の近くに位置している。また、上段用抜止部44Aは、上段側のキャビティ11Aに挿入される端子金具30と干渉しないようにその挿入経路よりも下方へ退避し、下段用抜止部44Bは、下段側のキャビティ11Bに挿入される端子金具30と干渉しないようにその挿入経路よりも下方へ退避している。
【0033】
このようにリテーナ40を待機位置に保持した状態で、図1に示すように、各キャビティ11A,11Bに端子金具30を挿入する。上段のキャビティ11Aに挿入された端子金具30の端子接続部31は、後部空間11ARと、リテーナ40の本体部41の上方空間と、変位許容スペースSを順に通過し、図3に示すように、前部空間11AF内に挿入される。下段のキャビティ11Bに挿入された端子金具30の端子接続部31は、後部空間11BRと、リテーナ40の貫通孔45と、変位許容スペースSを順に通過して前部空間11BF内に挿入される。正規挿入された端子金具30は、その第1係止部32とランス18とによる一次係止によって抜止め状態に保持される。端子金具30が正規挿入された状態では、端子接続部31の後端の第2係止部33が収容空間15の前壁面16とほぼ面一となるように(つまり、収容空間15に臨むように)位置する。
【0034】
全ての端子金具30を挿入し終わったら、リテーナ40を待機位置から係止位置へ押し動かす。このとき、ガイド溝46の下端と第2係止突起24との係止力を上回る操作力を付与し、側板部42を幅方向外側へ弾性変形させる。リテーナ40が移動する過程では、第1係止突起23がガイド溝46に嵌合された状態を保つので、被ガイド面43はガイド斜面17に摺接する状態に保持され、これにより、リテーナ40は、ガイド斜面17に沿った正規の移動経路上を平行移動することができる。
【0035】
リテーナ40が係止位置に到達すると、図6に示すように、ガイド溝46の下端が第1係止突起23に係止するとともに、係止段部47が係止リブ25に係止し、この係止作用によってリテーナ40が係止位置に保持される。また、図4に示すように、各抜止部44A,44Bが、対応する端子金具30の第2係止部33に対して後方から係止することにより、全ての端子金具30がリテーナ40によって抜止めされる。つまり、ランス18による一次係止作用とリテーナ40による二次係止作用とにより、端子金具30が確実に抜止め状態に保持される。
【0036】
リテーナ40が係止位置に保持されると、リテーナ40の前面40Fが収容空間15の前壁面16に対して面当たり状態又は接近して対向した状態となる。また、ガイド部19が逃がし凹部48内に嵌合(収容)し、第1誘導斜面21が逃がし凹部48の上縁部51に対して面接触又は接近して対向するとともに、第1誘導斜面21が逃がし凹部48の上縁部51に対して面接触又は接近して対向した状態となる。また、第1誘導斜面21と逃がし凹部48の上縁部51の傾斜の向きはリテーナ40の移動方向と平行なので、ガイド部19が逃がし凹部48に嵌入される際に、ガイド部19がリテーナ40の前面40Fと干渉することなく、円滑に逃がし凹部48内に嵌入される。
【0037】
リテーナ40を待機位置に保持した状態で端子金具30を挿入する際には、キャビティ11A,11Bの後部空間11AR,11BRと端子金具30との間のクリアランスによって端子金具30の挿入姿勢が傾くことがある。その一形態として、図2に示すように、上段のキャビティ11Aに挿入した端子金具30の前端部が、変位許容スペースS内に進入したときに下方へ傾くことが考えられる。しかし、本実施形態では、変位許容スペースS内にガイド部19が待ち受けているで、端子金具30の前端部がガイド部19の上面(第1誘導斜面21)に当接する(支持される)ことによって、それ以上の姿勢の傾きが防止される。
【0038】
しかも、この端子金具30の前端部を支持するガイド部19の上面は、前方に向かって上り勾配の第1誘導斜面21となっているので、端子金具30の挿入が進むのに伴い、第1誘導斜面21の傾斜によって姿勢の傾きが次第に矯正され、端子金具30の前端部は収容空間15の前壁面16と干渉することなく、前部空間11AF内に進入することができる。しかも、リテーナ40を係止位置に変位させた状態では、ガイド部19がリテーナ40の逃がし凹部48内に収容されるようにしたので、リテーナ40の前面40Fと収容空間15の前壁面16との間にデッドスペースが空かずに済むようになっている。
【0039】
また、端子金具30の挿入方向に対する第1誘導斜面21の傾斜角度を、端子金具30の挿入方向に対するリテーナ40の移動経路の傾斜角度よりも小さい角度とした場合には、リテーナ40が係止位置に変位したときに、逃がし凹部48の上縁部51(内面)と第1誘導斜面21との間にデッドスペースが空くことになる。その点、本実施形態では、第1誘導斜面21の傾斜角度αを、リテーナ40の移動経路の傾斜角度αと同じ角度としたので、逃がし凹部48の上縁部51と第1誘導斜面21との間にデッドスペースが空かずに済む。
【0040】
また、ガイド部19は、上下に隣り合うキャビティ11A,11Bを区画する隔壁部20から突出されており、ガイド部19には、隣り合うキャビティ11A,11Bと対応するように上段用の第1誘導斜面21と下段用の第2誘導斜面22との2つの誘導斜面を形成している。したがって、下段のキャビティ11Bに挿入された端子金具30が上方へ姿勢を傾けたときには、第2誘導斜面22によって姿勢の傾きが矯正されるようになっている。
【0041】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、リテーナの前面と収容空間の前壁面を、端子金具の挿入方向と直交する面としたが、本発明は、リテーナの前面と収容空間の前壁面が、端子金具の挿入方向に対して斜めの面である場合にも適用できる。
(2)上記実施形態では、リテーナが待機位置にある状態で、ガイド部の突出端部(後端部)が、リテーナの前面よりも収容空間の前壁面の近くに位置するようにした(つまり、ガイド部の突出寸法を、変位許容スペースの前後寸法よりも小さい寸法とした)が、これに替えて、リテーナが待機位置にある状態で、ガイド部の突出端部(後端部)が、収容空間の前壁面よりもリテーナの前面の近くに位置するようにして(つまり、ガイド部の突出寸法を、変位許容スペースの前後寸法に近い寸法として)もよく、ガイド部の突出端部(後端部)が、リテーナの内部に進入するようにして(つまり、ガイド部の突出寸法を、変位許容スペースの前後寸法よりも大きい寸法として)もよい。
(3)上記実施形態では、ガイド部を、端子金具の挿入方向とリテーナの移動方向の両方向に対して直交する幅方向において、複数のキャビティに亘って壁状に繋がった形態としたが、ガイド部は、幅方向において各キャビティ毎に独立して個別に突出する形態であってもよい。
(4)上記実施形態では、ガイド部にテーパ状の誘導斜面を形成したが、ガイド部は、テーパ状の誘導面を有しない形態であってもよい。
(5)上記実施形態では、誘導斜面をガイド部の突出領域の全長に亘って連続して形成したが、誘導斜面は、ガイド部のうち突出端部側の一部分のみに形成してもよい。
(6)上記実施形態では、1つのガイド部に2つの誘導斜面を形成したが、1つのガイド部に形成する誘導斜面の数は1つだけであってもよい。
(7)上記実施形態では、第1誘導斜面を、リテーナの移動方向とほぼ平行としたが、端子金具の挿入方向に対する第1誘導斜面の傾斜角度は、端子金具の挿入方向に対するリテーナの移動経路(ガイド斜面)の傾斜角度よりも大きい角度であってもよい。
(8)上記実施形態では、誘導斜面の傾斜角度を、その前後方向全領域に亘って一定の角度としたが、誘導斜面の傾斜角度は、誘導斜面の前端から後端に亘る範囲で異なっていてもよい。
(9)上記実施形態では、第1誘導斜面とガイド斜面の傾斜角度を約45°としたが、この角度は、適宜に変更することができる。
(10)上記実施形態では、端子金具の挿入方向に対する第2誘導斜面の傾斜角度を、第1誘導斜面の傾斜角度よりも小さい角度としたが、第2誘導斜面の傾斜角度は、第1誘導斜面の傾斜角度と同じか、それよりも大きい角度としてもよい。
(11)上記実施形態では、端子金具が、前端部に角筒部を有する雌端子金具である場合について説明したが、本発明は、端子金具が、前端部に細長いタブを有する雄端子金具である場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0042】
10…コネクタハウジング
11A,11B…キャビティ
15…収容空間
16…収容空間の前壁面
19…ガイド部
20…隔壁部
21…第1誘導斜面(誘導斜面)
22…第2誘導斜面(誘導斜面)
30…端子金具
40…リテーナ
40F…リテーナの前面
48…逃がし凹部
S…変位許容スペース
α…第1誘導斜面及びガイド斜面(リテーナの移動経路)の傾斜角度
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のキャビティを有するコネクタハウジングと、キャビティに対し後方から挿入される端子金具と、コネクタハウジングに対し端子金具の挿入方向とは斜め方向に組み付けられ、端子金具に対して抜止め状態に係止されるリテーナとを備えたコネクタが開示されている。コネクタハウジング内には、リテーナを収容するための収容空間が、コネクタハウジングの外面からキャビティに連通する形態で形成されている。これにより、キャビティは、収容空間よりも前方の前部キャビティと、収容空間よりも後方の後部キャビティに分断された状態となっている。
【0003】
リテーナの前面には、複数の端子金具に係止される複数の係止部が形成されている。この複数の係止部は、キャビティに挿入された複数の端子金具の配列に合わせて、端子金具の挿入方向と直交する方向に並ぶように配置されており、この係止部の配列に合わせて、リテーナの前面と収容空間の前壁面も、端子金具の挿入方向と直交する面となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−031032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のコネクタでは、リテーナを端子金具に係止しない位置へ退避させて端子金具を挿入する際には、リテーナの前面と収容空間の前壁面との間に前後方向の間隔が空くことになる。そのため、端子金具を挿入する過程では、端子金具の前端部がリテーナの前面と収容空間の前壁面との間の空間内に進入したときに、端子金具が姿勢を傾けて収容空間の前壁面に干渉し、前部キャビティへの挿入動作に支障を来すことが懸念される。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、端子金具の挿入を支障なく行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、複数のキャビティを有するコネクタハウジングと、前記キャビティに対し後方から挿入されることで、挿入方向と直交する方向に並ぶように配される複数の端子金具と、前記コネクタハウジングに対し前記端子金具の挿入方向とは斜めの方向に変位しながら組み付けられ、前記端子金具に対して抜止め状態に係止可能なリテーナとを備え、前記コネクタハウジング内には、前記リテーナを収容するための収容空間が、前記コネクタハウジングの外面から前記キャビティに連通するとともに前記キャビティを前後に分断する形態で形成され、前記リテーナが前記端子金具に対して非係止となる待機位置にある状態では、前記リテーナの前面と前記収容空間の前壁面との間に、前記リテーナが前記端子金具に係止される係止位置に向けて斜め前方へ変位するのを許容するための変位許容スペースが空くようになっているコネクタにおいて、前記コネクタハウジングには、前記収容空間の前壁面から前記端子金具の挿入経路に沿うように前記収容空間内に突出した形態のガイド部が形成され、前記リテーナには、その前面を凹ませた形態であって、前記リテーナが係止位置にある状態で前記ガイド部を収容させる逃がし凹部が形成されているところに特徴を有する。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記ガイド部には、前記端子金具の挿入方向に対して斜め方向であり、且つ前記端子金具の挿入経路に臨むように配された誘導斜面が形成されているところに特徴を有する。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2に記載のものにおいて、前記端子金具の挿入方向に対する前記誘導斜面の傾斜角度を、前記端子金具の挿入方向に対する前記リテーナの移動経路の傾斜角度と同じ角度、又はそれよりも大きい角度としたところに特徴を有する。
【0010】
請求項4の発明は、請求項2又は請求項3に記載のものにおいて、前記ガイド部は、隣り合う前記キャビティを区画する隔壁部から突出されており、前記ガイド部には、前記隣り合うキャビティと対応するように2つの前記誘導斜面が形成されているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0011】
<請求項1の発明>
リテーナが待機位置にある状態で端子金具を後方からキャビティ内に挿入する過程において、収容空間内に進入した端子金具の前端部は、ガイド部で案内されることによって、キャビティのうちの収容空間よりも前方の領域内に円滑に挿入される。また、リテーナが係止位置に変位した状態では、ガイド部が逃がし凹部内に収容されるので、リテーナの前面と収容空間の前壁面との間にデッドスペースが空かずに済む。
【0012】
<請求項2の発明>
端子金具の前端部が収容空間内に進入したときに端子金具の挿入方向が不正な向きに傾いても、端子金具の前端部が誘導斜面に摺接することによって、端子金具は正規の挿入方向を向くように誘導される。
【0013】
<請求項3の発明>
端子金具の挿入方向に対する誘導斜面の傾斜角度を、端子金具の挿入方向に対するリテーナの移動経路の傾斜角度よりも小さい角度とした場合には、リテーナが係止位置に変位したときに、逃がし凹部の内面と誘導斜面との間にデッドスペースが空くことになる。その点、本発明では、誘導斜面の傾斜角度を、リテーナの移動経路の傾斜角度と同じ角度又はそれよりも大きい角度としたので、逃がし凹部の内面と誘導斜面との間にデッドスペースを空けずに済む。
【0014】
<請求項4の発明>
1つのガイド部によって、2つの端子金具を、正規の挿入方向を向くように誘導することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態1においてキャビティに対する端子金具の挿入を開始した状態をあらわす断面図
【図2】キャビティに対する端子金具の挿入途中の状態をあらわす断面図
【図3】キャビティに対する端子金具の挿入が完了した状態をあらわす断面図
【図4】リテーナを係止位置へ移動させて端子金具を抜止めした状態をあらわす断面図
【図5】リテーナが待機位置にある状態の側面図
【図6】リテーナが係止位置にある状態の側面図
【図7】コネクタハウジングの側面図
【図8】図7のX−X線断面図
【図9】コネクタハウジングの背面図
【図10】リテーナの正面図
【図11】リテーナの側面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図11を参照して説明する。本実施形態のコネクタは、合成樹脂製であってブロック状をなす雌形のコネクタハウジング10と、コネクタハウジング10内に収容される複数の端子金具30と、コネクタハウジング10に組み付けられることで端子金具30を抜止めする合成樹脂製のリテーナ40とを備えて構成されている。
【0017】
図1〜4,9に示すように、コネクタハウジング10内には、前後方向に貫通する複数のキャビティ11A,11Bが上下2段に分かれて上下左右に整列して形成されている。キャビティ11A,11Bの前端部(図1〜4における左側の端部)は、コネクタハウジング10の前端面において相手側ハウジング(図示省略)のタブをキャビティ11A,11B内に進入させるための受受入口12を有する前壁部13となっている。前後方向における前壁部13の位置(キャビティ11A,11Bの前端の位置)は、全てのキャビティ11A,11Bにおいて同じ位置である。キャビティ11A,11Bの後端は、端子挿入口14としてコネクタハウジング10の後端面に開口されている。キャビティ11A,11Bの前端(前壁部13)から後端までの前後長さは、全てのキャビティ11A,11Bにおいて同じ寸法である。
【0018】
図1〜4,7に示すように、コネクタハウジング10には、その底面に開口する収容空間15が形成されている。収容空間15はリテーナ40を収容するための空間であって、コネクタハウジング10の左右両側面にも開口されている。コネクタハウジング10の側面における収容空間15の開口形状は、概ね直角三角形である。収容空間15の前壁面16は、端子金具30の挿入方向と直交する平面であり、収容空間15の後面壁は、端子金具30の挿入方向に対して斜め方向のガイド斜面17となっている。前後方向(端子金具30の挿入方向と平行な方向)における前壁面16とガイド斜面17との間隔は、収容空間15の上端において最も小さく、収容空間15の下端(コネクタハウジング10の底面への開口部分)において最も大きい寸法となっている。
【0019】
図1〜4に示すように、収容空間15は、上下方向においては全てのキャビティ11A,11Bと対応する領域に亘って形成され、左右方向においても全てのキャビティ11A,11Bと対応する領域に亘って形成されている。つまり、収容空間15は全てのキャビティ11A,11Bに連通している。そして、各キャビティ11A,11Bは、収容空間15によって前部空間11AF,11BFと後部空間11AR,11BRとに分断されている。前部空間11AF,11BFの前後長は、上段のキャビティ11Aと下段のキャビティ11Bとで同じ寸法であるが、後部空間11AR,11BRの前後長は、上段のキャビティ11Aの後部空間11ARに比べて下段のキャビティ11Bの後部空間11BRの方が短くなっている。また、前部空間11AF,11BF内には、その下面壁に沿って前方へ片持ち状に延出した形態のランス18が形成されている。
【0020】
図1〜8に示すように、収容空間15内には、その前壁面16から後方(ガイド斜面17側)に向かって突出するガイド部19が形成されている。図1〜4に示すように、ガイド部19は、上下方向においては、上段のキャビティ11Aと下段のキャビティ11Bとを区画する隔壁部20の後端から後方へ突出した形態である。換言すると、ガイド部19は、隔壁部20を後方へ延長させた形態である。ガイド部19は、収容空間15の全幅に亘って連続するような(つまり、全てのキャビティ11A,11Bと対応するような)壁状をなしている。収容空間15の前壁面16からのガイド部19の突出寸法は、前壁面16とガイド斜面17との間の最小前後間隔とほぼ同じ寸法である。
【0021】
ガイド部19の後端部(突出端部)には、第1誘導斜面21(本発明の構成要件である誘導斜面)と第2誘導斜面22(本発明の構成要件である誘導斜面)が形成されている。第1誘導斜面21は、ガイド部19の上面を端子金具30の挿入方向に対して斜めをなすように切欠した形態であり、上段のキャビティ11Aに挿入される端子金具30の挿入経路に臨んでいる。第1誘導斜面21は、ガイド部19の突出方向における全長に亘って連続し、且つ一定の傾斜角度αで形成されている。また、第1誘導斜面21は、幅方向においてガイド部19の全幅に亘って連続した形態となっている。図7に示すように、前後方向(キャビティ11A,11Bに対する端子金具30の正規の挿入方向)に対する第1誘導斜面21の傾斜角度αは、その前後方向全領域に亘って一定であって、前後方向に対するガイド斜面17(リテーナ40の移動経路)の傾斜角度αと同じ角度となっている。この傾斜角度αは、約45°である。
【0022】
第2誘導斜面22は、ガイド部19の下面を端子金具30の挿入方向に対して斜めをなすように切欠した形態であり、下段のキャビティ11Bに挿入される端子金具30の挿入経路に臨んでいる。第2誘導斜面22は、ガイド部19の突出方向における全長に亘って連続し、且つ一定の傾斜角度βで形成されている。また、第2誘導斜面22は、幅方向においてガイド部19の全幅に亘って連続した形態となっている。図7に示すように、前後方向に対する第2誘導斜面22の傾斜角度βは、その前後方向全領域に亘って一定であって、第1誘導斜面21の傾斜角度αよりも小さい角度とされている。このように第1誘導斜面21と第2誘導斜面22を形成したことにより、ガイド部19は、側方から見たときに後端側が尖った三角形状をなしている。
【0023】
図7,9に示すように、コネクタハウジング10の左右両外側面には、左右対称な一対の第1係止突起23と左右対称な一対の第2係止突起24と、左右対称な一対の係止リブ25とが形成されている。第1係止突起23と第2係止突起24と係止リブ25は、いずれも、収容空間15(ガイド斜面17)に対して斜め上後方に位置している。第1係止突起23は、第2係止突起24の斜め上前方に位置し、第1係止突起23と第2係止突起24は、ガイド斜面17(リテーナ40の移動方向)と平行に並んでいる。
【0024】
第1係止突起23は、リテーナ40を図1〜3,5に示す待機位置(仮係止位置)と図4,6に示す係止位置(本係止位置)との間で移動するときのガイドとしての機能と、リテーナ40を待機位置と係止位置に保持するための係止機能とを兼ね備えている。第2係止突起24は、リテーナ40を待機位置(仮係止位置)と係止位置(本係止位置)との間で移動するときのガイドとしての機能と、リテーナ40を待機位置に保持するための係止機能とを兼ね備えている。係止リブ25は、第1係止突起23及び第2係止突起24よりも上方に位置し、前後方向に直線状に延びた形態である。この係止リブ25は、リテーナ40を係止位置に保持するための係止機能を備えている。
【0025】
図1〜4に示すように、端子金具30は、前後方向に細長く、前端部に角筒状の端子接続部31が形成された雌形の端子である。端子接続部31には、その下面を凹ませた形態の第1係止部32が形成されている。第1係止部32には、端子金具30がキャビティ11A,11Bに正規挿入された状態において、ランス18が後方から係止するようになっている。また、端子接続部31の下面側の後端縁は、リテーナ40を係止させるための第2係止部33となっている。端子接続部31の前後長さは、前部空間11AF,11BFの前後長さと同じかそれよりも僅かに短い寸法とされている。端子金具30の後端部に形成された電線圧着部34には、電線35の前端部が圧着により接続されている。この端子金具30は、コネクタハウジング10の後方から端子挿入口14に差し込まれてキャビティ11A,11B内に挿入されるようになっている。
【0026】
リテーナ40は、キャビティ11A,11Bに挿入されている複数の端子金具30に係止することで、それらの端子金具30を抜止めするためのものであり、コネクタハウジング10に対し待機位置(図1〜3,5を参照)と、待機位置に対して斜め上前方の係止位置(図4,6を参照)との間で変位し得るように取り付けられている。このリテーナ40の変位方向は、端子金具30の挿入方向に対して斜めの方向である。
【0027】
図1〜4,10,11に示すように、リテーナ40は、本体部41と、本体部41の左右両側縁から上方及び後方へ張り出した左右対称な一対の側板部42とを備えている。図1〜4に示すように、本体部41の幅方向と直角に切断した断面形状は、収容空間15と整合するような略三角形をなす。リテーナ40をコネクタハウジング10に組み付けた状態において、本体部41(リテーナ40)の前面40Fは、収容空間15の前壁面16と平行をなし、本体部41の後面は、ガイド斜面17に対して面接触又は僅かなクリアランスを空けて平行に対向する被ガイド面43となっている。
【0028】
図10に示すように、本体部41の上面には、上段の複数のキャビティ11Aと対応するように突出した形態の複数の上段用抜止部44Aが形成されている。図4に示すように、上段用抜止部44Aは、上段のキャビティ11Aに正規挿入された端子金具30の第2係止部33に対して後方から係止される。本体部41には、下段の複数のキャビティ11Bと対応するように前後に貫通する複数の貫通孔45が形成されている。各貫通孔45の開口縁のうち下側の開口縁部には、下段用抜止部44Bが形成されている。図4に示すように、下段用抜止部44Bは、下段のキャビティ11Bに正規挿入された端子金具30の第2係止部33に対して後方から係止される。
【0029】
図5,6,11に示すように、側板部42は、側方から見て略方形をなしている。側板部42には、リテーナ40をコネクタハウジング10に組み付けた状態においてガイド斜面17と平行に延びるガイド溝46が形成されている。ガイド溝46の長さ方向は、リテーナ40の待機位置と係止位置との間の移動経路及び被ガイド面43と平行である。また、側板部42の上端部における内面には、リテーナ40をコネクタハウジング10に組み付けた状態において前後方向を向いた係止段部47が形成されている。
【0030】
リテーナ40には、リテーナ40を係止位置に移動させた状態でガイド部19との干渉を回避するための逃がし凹部48が形成されている。逃がし凹部48は、左右に隣り合う貫通孔45を仕切る仕切壁49の前端縁部と、左右両端の貫通孔45と本体部41の外面とを構成する外壁部50の前端縁部とを、側方から見て略三角形状に切欠した形態となっている。逃がし凹部48の上縁部51(図5,11を参照)は、リテーナ40をコネクタハウジング10に組み付けた状態において、端子金具30の挿入方向に対して斜めであり、リテーナ40の変位方向と平行な方向である。つまり、端子金具30の挿入方向に対する上縁部51の傾斜角度は、第1誘導斜面21及びガイド斜面17の傾斜角度と同じ角度である。また、逃がし凹部48の下縁部52(図5,11を参照)は、リテーナ40をコネクタハウジング10に組み付けた状態において、端子金具30の挿入方向に対して斜めであり、第2誘導斜面22と概ね平行である。
【0031】
リテーナ40は、図1〜4に示すように、本体部41をコネクタハウジング10の収容空間15内に収容して、被ガイド面43をガイド斜面17に対して面接触又は僅かなクリアランスを空けて対向させるとともに、図5に示すように、側板部42をコネクタハウジング10の外側面に重ねた状態で、コネクタハウジング10に対して待機位置に組み付けられる。組み付けられたリテーナ40は、ガイド溝46の上端に第1係止突起23を係止させるとともにガイド溝46の下端に第2係止突起24を係止させ、これらの係止作用によって、待機位置に保持される。
【0032】
リテーナ40が待機位置に保持されている状態では、図1〜3,5に示すように、リテーナ40の前面40Fが、収容空間15の前壁面16に対して変位許容スペースSを空けて平行に対向する。この変位許容スペースSは、リテーナ40が待機位置から係止位置に向けて斜め上前方へ移動するのを許容するためのスペースである。変位許容スペースSの前後寸法は、ガイド部19の突出寸法よりも大きいので、リテーナ40の前面40Fはガイド部19の突出端(後端)よりも更に後方に位置している。詳しくは、ガイド部19の突出端(後端)は、リテーナ40の前面40Fよりも収容空間15の前壁面16の近くに位置している。また、上段用抜止部44Aは、上段側のキャビティ11Aに挿入される端子金具30と干渉しないようにその挿入経路よりも下方へ退避し、下段用抜止部44Bは、下段側のキャビティ11Bに挿入される端子金具30と干渉しないようにその挿入経路よりも下方へ退避している。
【0033】
このようにリテーナ40を待機位置に保持した状態で、図1に示すように、各キャビティ11A,11Bに端子金具30を挿入する。上段のキャビティ11Aに挿入された端子金具30の端子接続部31は、後部空間11ARと、リテーナ40の本体部41の上方空間と、変位許容スペースSを順に通過し、図3に示すように、前部空間11AF内に挿入される。下段のキャビティ11Bに挿入された端子金具30の端子接続部31は、後部空間11BRと、リテーナ40の貫通孔45と、変位許容スペースSを順に通過して前部空間11BF内に挿入される。正規挿入された端子金具30は、その第1係止部32とランス18とによる一次係止によって抜止め状態に保持される。端子金具30が正規挿入された状態では、端子接続部31の後端の第2係止部33が収容空間15の前壁面16とほぼ面一となるように(つまり、収容空間15に臨むように)位置する。
【0034】
全ての端子金具30を挿入し終わったら、リテーナ40を待機位置から係止位置へ押し動かす。このとき、ガイド溝46の下端と第2係止突起24との係止力を上回る操作力を付与し、側板部42を幅方向外側へ弾性変形させる。リテーナ40が移動する過程では、第1係止突起23がガイド溝46に嵌合された状態を保つので、被ガイド面43はガイド斜面17に摺接する状態に保持され、これにより、リテーナ40は、ガイド斜面17に沿った正規の移動経路上を平行移動することができる。
【0035】
リテーナ40が係止位置に到達すると、図6に示すように、ガイド溝46の下端が第1係止突起23に係止するとともに、係止段部47が係止リブ25に係止し、この係止作用によってリテーナ40が係止位置に保持される。また、図4に示すように、各抜止部44A,44Bが、対応する端子金具30の第2係止部33に対して後方から係止することにより、全ての端子金具30がリテーナ40によって抜止めされる。つまり、ランス18による一次係止作用とリテーナ40による二次係止作用とにより、端子金具30が確実に抜止め状態に保持される。
【0036】
リテーナ40が係止位置に保持されると、リテーナ40の前面40Fが収容空間15の前壁面16に対して面当たり状態又は接近して対向した状態となる。また、ガイド部19が逃がし凹部48内に嵌合(収容)し、第1誘導斜面21が逃がし凹部48の上縁部51に対して面接触又は接近して対向するとともに、第1誘導斜面21が逃がし凹部48の上縁部51に対して面接触又は接近して対向した状態となる。また、第1誘導斜面21と逃がし凹部48の上縁部51の傾斜の向きはリテーナ40の移動方向と平行なので、ガイド部19が逃がし凹部48に嵌入される際に、ガイド部19がリテーナ40の前面40Fと干渉することなく、円滑に逃がし凹部48内に嵌入される。
【0037】
リテーナ40を待機位置に保持した状態で端子金具30を挿入する際には、キャビティ11A,11Bの後部空間11AR,11BRと端子金具30との間のクリアランスによって端子金具30の挿入姿勢が傾くことがある。その一形態として、図2に示すように、上段のキャビティ11Aに挿入した端子金具30の前端部が、変位許容スペースS内に進入したときに下方へ傾くことが考えられる。しかし、本実施形態では、変位許容スペースS内にガイド部19が待ち受けているで、端子金具30の前端部がガイド部19の上面(第1誘導斜面21)に当接する(支持される)ことによって、それ以上の姿勢の傾きが防止される。
【0038】
しかも、この端子金具30の前端部を支持するガイド部19の上面は、前方に向かって上り勾配の第1誘導斜面21となっているので、端子金具30の挿入が進むのに伴い、第1誘導斜面21の傾斜によって姿勢の傾きが次第に矯正され、端子金具30の前端部は収容空間15の前壁面16と干渉することなく、前部空間11AF内に進入することができる。しかも、リテーナ40を係止位置に変位させた状態では、ガイド部19がリテーナ40の逃がし凹部48内に収容されるようにしたので、リテーナ40の前面40Fと収容空間15の前壁面16との間にデッドスペースが空かずに済むようになっている。
【0039】
また、端子金具30の挿入方向に対する第1誘導斜面21の傾斜角度を、端子金具30の挿入方向に対するリテーナ40の移動経路の傾斜角度よりも小さい角度とした場合には、リテーナ40が係止位置に変位したときに、逃がし凹部48の上縁部51(内面)と第1誘導斜面21との間にデッドスペースが空くことになる。その点、本実施形態では、第1誘導斜面21の傾斜角度αを、リテーナ40の移動経路の傾斜角度αと同じ角度としたので、逃がし凹部48の上縁部51と第1誘導斜面21との間にデッドスペースが空かずに済む。
【0040】
また、ガイド部19は、上下に隣り合うキャビティ11A,11Bを区画する隔壁部20から突出されており、ガイド部19には、隣り合うキャビティ11A,11Bと対応するように上段用の第1誘導斜面21と下段用の第2誘導斜面22との2つの誘導斜面を形成している。したがって、下段のキャビティ11Bに挿入された端子金具30が上方へ姿勢を傾けたときには、第2誘導斜面22によって姿勢の傾きが矯正されるようになっている。
【0041】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、リテーナの前面と収容空間の前壁面を、端子金具の挿入方向と直交する面としたが、本発明は、リテーナの前面と収容空間の前壁面が、端子金具の挿入方向に対して斜めの面である場合にも適用できる。
(2)上記実施形態では、リテーナが待機位置にある状態で、ガイド部の突出端部(後端部)が、リテーナの前面よりも収容空間の前壁面の近くに位置するようにした(つまり、ガイド部の突出寸法を、変位許容スペースの前後寸法よりも小さい寸法とした)が、これに替えて、リテーナが待機位置にある状態で、ガイド部の突出端部(後端部)が、収容空間の前壁面よりもリテーナの前面の近くに位置するようにして(つまり、ガイド部の突出寸法を、変位許容スペースの前後寸法に近い寸法として)もよく、ガイド部の突出端部(後端部)が、リテーナの内部に進入するようにして(つまり、ガイド部の突出寸法を、変位許容スペースの前後寸法よりも大きい寸法として)もよい。
(3)上記実施形態では、ガイド部を、端子金具の挿入方向とリテーナの移動方向の両方向に対して直交する幅方向において、複数のキャビティに亘って壁状に繋がった形態としたが、ガイド部は、幅方向において各キャビティ毎に独立して個別に突出する形態であってもよい。
(4)上記実施形態では、ガイド部にテーパ状の誘導斜面を形成したが、ガイド部は、テーパ状の誘導面を有しない形態であってもよい。
(5)上記実施形態では、誘導斜面をガイド部の突出領域の全長に亘って連続して形成したが、誘導斜面は、ガイド部のうち突出端部側の一部分のみに形成してもよい。
(6)上記実施形態では、1つのガイド部に2つの誘導斜面を形成したが、1つのガイド部に形成する誘導斜面の数は1つだけであってもよい。
(7)上記実施形態では、第1誘導斜面を、リテーナの移動方向とほぼ平行としたが、端子金具の挿入方向に対する第1誘導斜面の傾斜角度は、端子金具の挿入方向に対するリテーナの移動経路(ガイド斜面)の傾斜角度よりも大きい角度であってもよい。
(8)上記実施形態では、誘導斜面の傾斜角度を、その前後方向全領域に亘って一定の角度としたが、誘導斜面の傾斜角度は、誘導斜面の前端から後端に亘る範囲で異なっていてもよい。
(9)上記実施形態では、第1誘導斜面とガイド斜面の傾斜角度を約45°としたが、この角度は、適宜に変更することができる。
(10)上記実施形態では、端子金具の挿入方向に対する第2誘導斜面の傾斜角度を、第1誘導斜面の傾斜角度よりも小さい角度としたが、第2誘導斜面の傾斜角度は、第1誘導斜面の傾斜角度と同じか、それよりも大きい角度としてもよい。
(11)上記実施形態では、端子金具が、前端部に角筒部を有する雌端子金具である場合について説明したが、本発明は、端子金具が、前端部に細長いタブを有する雄端子金具である場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0042】
10…コネクタハウジング
11A,11B…キャビティ
15…収容空間
16…収容空間の前壁面
19…ガイド部
20…隔壁部
21…第1誘導斜面(誘導斜面)
22…第2誘導斜面(誘導斜面)
30…端子金具
40…リテーナ
40F…リテーナの前面
48…逃がし凹部
S…変位許容スペース
α…第1誘導斜面及びガイド斜面(リテーナの移動経路)の傾斜角度
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のキャビティを有するコネクタハウジングと、
前記キャビティに対し後方から挿入されることで、挿入方向と直交する方向に並ぶように配される複数の端子金具と、
前記コネクタハウジングに対し前記端子金具の挿入方向とは斜めの方向に変位しながら組み付けられ、前記端子金具に対して抜止め状態に係止可能なリテーナとを備え、
前記コネクタハウジング内には、前記リテーナを収容するための収容空間が、前記コネクタハウジングの外面から前記キャビティに連通するとともに前記キャビティを前後に分断する形態で形成され、
前記リテーナが前記端子金具に対して非係止となる待機位置にある状態では、前記リテーナの前面と前記収容空間の前壁面との間に、前記リテーナが前記端子金具に係止される係止位置に向けて斜め前方へ変位するのを許容するための変位許容スペースが空くようになっているコネクタにおいて、
前記コネクタハウジングには、前記収容空間の前壁面から前記端子金具の挿入経路に沿うように前記収容空間内に突出した形態のガイド部が形成され、
前記リテーナには、その前面を凹ませた形態であって、前記リテーナが係止位置にある状態で前記ガイド部を収容させる逃がし凹部が形成されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記ガイド部には、前記端子金具の挿入方向に対して斜め方向であり、且つ前記端子金具の挿入経路に臨むように配された誘導斜面が形成されていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記端子金具の挿入方向に対する前記誘導斜面の傾斜角度を、前記端子金具の挿入方向に対する前記リテーナの移動経路の傾斜角度と同じ角度、又はそれよりも大きい角度としたことを特徴とする請求項2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ガイド部は、隣り合う前記キャビティを区画する隔壁部から突出されており、
前記ガイド部には、前記隣り合うキャビティと対応するように2つの前記誘導斜面が形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のコネクタ。
【請求項1】
複数のキャビティを有するコネクタハウジングと、
前記キャビティに対し後方から挿入されることで、挿入方向と直交する方向に並ぶように配される複数の端子金具と、
前記コネクタハウジングに対し前記端子金具の挿入方向とは斜めの方向に変位しながら組み付けられ、前記端子金具に対して抜止め状態に係止可能なリテーナとを備え、
前記コネクタハウジング内には、前記リテーナを収容するための収容空間が、前記コネクタハウジングの外面から前記キャビティに連通するとともに前記キャビティを前後に分断する形態で形成され、
前記リテーナが前記端子金具に対して非係止となる待機位置にある状態では、前記リテーナの前面と前記収容空間の前壁面との間に、前記リテーナが前記端子金具に係止される係止位置に向けて斜め前方へ変位するのを許容するための変位許容スペースが空くようになっているコネクタにおいて、
前記コネクタハウジングには、前記収容空間の前壁面から前記端子金具の挿入経路に沿うように前記収容空間内に突出した形態のガイド部が形成され、
前記リテーナには、その前面を凹ませた形態であって、前記リテーナが係止位置にある状態で前記ガイド部を収容させる逃がし凹部が形成されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記ガイド部には、前記端子金具の挿入方向に対して斜め方向であり、且つ前記端子金具の挿入経路に臨むように配された誘導斜面が形成されていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記端子金具の挿入方向に対する前記誘導斜面の傾斜角度を、前記端子金具の挿入方向に対する前記リテーナの移動経路の傾斜角度と同じ角度、又はそれよりも大きい角度としたことを特徴とする請求項2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ガイド部は、隣り合う前記キャビティを区画する隔壁部から突出されており、
前記ガイド部には、前記隣り合うキャビティと対応するように2つの前記誘導斜面が形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のコネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−22926(P2012−22926A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160661(P2010−160661)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]