説明

コポリマーの製造方法

本発明は、計量供給装置と接続された重合反応器を有する重合装置中で半連続的な操作モードでコポリマーを製造する方法に関し、その際に酸モノマーを計量供給装置中に、並びにポリエーテルマクロモノマー及び水を重合反応器中に、それぞれ装入し、酸モノマーを計量供給装置から重合反応器中へ計量供給し、重合反応器中への酸モノマーの計量供給前に及び/又は計量供給中に、ラジカル重合開始剤を重合反応器中へ導通して重合反応器中に水性媒体を生じさせ、前記媒体中で酸モノマー及びポリエーテルマクロモノマーを、コポリマーを形成しながら、ラジカル重合により反応させ、ラジカル重合開始剤としてH22又はアルカリ金属ペルオキソ二硫酸塩を含有するレドックス開始剤系を使用し、重合中の水性媒体の温度を5〜43℃に調節し、重合の開始時に水性媒体の温度は最大28℃であり、使用されるポリエーテルマクロモノマー1molあたり酸モノマーを全部で1〜20mol、重合反応器中へ計量供給し、使用されるポリエーテルマクロモノマー対使用される水の質量比が5:1〜1:5であり、その際に重合反応器中に装入される水の少なくとも70質量%を、前記水が最大19℃の温度で重合反応器中へ添加されるか又は、重合反応器中へ添加される前に、ポリエーテルマクロモノマーと合一され、かつその際に最大19℃の温度を有するかのいずれかで準備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コポリマーの製造方法、前記コポリマー並びに前記コポリマーの使用に関する。
【0002】
粉末状の無機物質又は有機物質、例えば粘土、シリカ粉(Silikatmehl)、白亜、カーボンブラック、砕石(Gesteinsmehl)及び水硬性結合剤の水性スラリーに、それらの加工性、すなわち混練性、塗工性、吹付性、ポンプ圧送性又は流動性を改善するために、しばしば分散剤の形の添加剤を添加することは知られている。この種の添加剤は、固体凝集体を破壊し、形成された粒子を分散させ、かつこのようにして加工性を改善することができる。この作用は特にまた意図的に、セメント、石灰、セッコウ又は硬セッコウのような水硬性結合剤を含有する建築材料混合物の製造の際に利用される。
【0003】
前記の結合剤をベースとするこれらの建築材料混合物を、すぐに使用できる加工可能な形へ変換するためには、通例、混練水が本質的により多く必要である、それというのも、その後の水和過程もしくは硬化過程に必要であるからである。コンクリート体中の、後で蒸発する過剰の水により形成される空洞含量は、著しく悪化した機械的強度及び耐久性をまねく。
【0004】
これらの過剰の水含量を所定の加工コンシステンシーで低下させる及び/又は加工性を所定の水/結合剤比で改善するために、一般的に減水剤又は流動化剤と呼ばれる添加剤が使用される。この種の薬剤として、実地において、酸モノマーとポリエーテルマクロモノマーとのラジカル共重合により製造されるコポリマーが特に使用される。
【0005】
実地において、前記共重合はたいていセミバッチ法で行われる。国際公開(WO)第2005/075529号には、前述のコポリマーのための半連続的な製造方法が記載されており、前記方法において、ポリエーテルマクロモノマーを装入し、引き続き酸モノマーを、特定時間にわたり装入物に計量供給する。前記の方法は既に費用がかからず、かつ方法により得られた物として高性能流動化剤が得られるにも関わらず、さらに、方法の経済性並びに方法により得られた物の品質をさらになお改善することが努力されている。
【0006】
本発明の基礎となる課題は、それゆえ、水硬性結合剤用の分散剤として、特に流動化剤として、良好な性能を示すコポリマーの経済的な製造方法を提供することである。
【0007】
この課題の解決手段は、計量供給装置と接続された重合反応器を有する重合装置中で半連続的な操作モードでコポリマーを製造する方法であって、
酸モノマーを計量供給装置中に、並びにポリエーテルマクロモノマー及び水を重合反応器中に、それぞれ装入し、
酸モノマーを計量供給装置から重合反応器中へ計量供給し、
重合反応器中への酸モノマーの計量供給前に及び/又は計量供給中に、ラジカル重合開始剤を重合反応器中へ導通して重合反応器中に水性媒体を生じさせ、前記媒体中で酸モノマー及びポリエーテルマクロモノマーを、コポリマーを形成しながら、ラジカル重合により反応させ、
ラジカル重合開始剤としてH22又はアルカリ金属ペルオキソ二硫酸塩を含有するレドックス開始剤系を使用し、
重合中の水性媒体の温度を5〜43℃に調節し、重合の開始時に水性媒体の温度は最大28℃であり、
使用されるポリエーテルマクロモノマー1molあたり酸モノマーを全部で1〜20mol、重合反応器中へ計量供給し、
使用されるポリエーテルマクロモノマー対使用される水の質量比が5:1〜1:5であり、
その際に重合反応器中に装入される水の少なくとも70質量%を、前記水が最大19℃の温度で重合反応器中へ添加されるか又は、重合反応器中へ添加される前に、ポリエーテルマクロモノマーと合一され、かつその際に最大19℃の温度を有するかのいずれかで準備する。
【0008】
酸モノマーは、少なくとも1つの酸官能基を有し、かつ水性媒体中で酸として反応する、少なくとも1つの炭素二重結合を有するラジカル共重合可能なモノマーであると理解されるべきである。さらに、酸モノマーは、水性媒体中での加水分解反応に基づいて少なくとも1つの酸官能基を形成し、かつ水性媒体中で酸として反応する、少なくとも1つの炭素二重結合を有するラジカル共重合可能なモノマーであるとも理解されるべきである(例:無水マレイン酸又は塩基性加水分解可能なエステル、例えばアクリル酸エチル)。本発明の範囲内のポリエーテルマクロモノマーは、少なくとも2個のエーテル酸素原子を、しかもコポリマー中に含まれているポリエーテルマクロモノマー構造単位が少なくとも2個のエーテル酸素原子を有する側鎖を有するという条件で有する、少なくとも1つの炭素二重結合を有するラジカル共重合可能な化合物である。
【0009】
室温での前記のポリエーテルマクロモノマーのコンシステンシーは主にモル質量に依存している。ほぼ全ての場合に、これらのポリエーテルマクロモノマーは室温で固体として存在する。固体計量供給は、大工業的プロセスの場合に、液体計量供給よりも一般的により費用がかかり、かつ固体の形で存在するポリエーテルマクロモノマーの溶解速度は、モル質量が上昇するにつれて明らかに低下するので、たいていの場合に前記マクロモノマーは溶融物として取り扱われる。ポリマー合成の第一工程の際に、ポリエーテルマクロモノマーの水溶液が製造されるので、溶融物として存在するポリエーテルマクロモノマーと水とを混合することにより生じる溶液の温度は、多くの場合に極めて高く、かつ開始温度までの冷却により低下されなければならない。消費されうる冷却時間は、しかしながらバッチ時間を延ばす。
【0010】
本発明による方法において比較的冷たい水が準備されることにより、出発物質のための冷却時間が省かれるか、もしくは相応する冷却時間が短縮される。冷却時間の短縮又は省略と、 − プロセス工学的な見地から − いわゆる空時収率の改善が結び付いており、それにより単位時間当たりより多く調合(Ansaetze)が可能である。このことは経済性の明らかな改善を生じさせる。
【0011】
本発明の特に好ましい一実施態様において、準備され、重合反応器中に装入される水の少なくとも70質量%が、自然に存在する地下水又は表面水(例えば河川水)、好ましくは地下水から得られる。
【0012】
外部冷却によるマクロモノマー溶液の冷却の際に、さらに、かなりの量のエネルギーが消費されなければならない。溶融物中に存在するマクロモノマーと、比較的冷たい水との混合により及びこれらから生じるより低い温度により、このようにして冷却エネルギーは節約されることができるので、それにより経済性はさらになお改善される。
【0013】
通常、重合中の水性媒体の温度は10〜38℃に調節され、その際に重合の開始時に水性媒体の温度は最大24℃であり、並びに重合反応器中に装入される水の少なくとも80質量%は、前記水が2〜17℃の温度で重合反応器中へ添加されるか、又は重合反応器中へ添加される前に、ポリエーテルマクロモノマーと合一され、かつその際に2〜17℃の温度を有するかのいずれかで冷却されて準備される。
【0014】
好ましくは、酸モノマーの反応によりコポリマー中に一般式(Ia)、(Ib)、(Ic)及び/又は(Id)の1つに相応している構造単位が生じる
【化1】

ここで、
1は、同じか又は異なり、並びにH及び/又は非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表し;
Xは、同じか又は異なり、並びにNH−(Cn2n)[ここでn=1、2、3又は4である]及び/又はO−(Cn2n)[ここでn=1、2、3又は4である]及び/又は存在しない単位(nicht vorhandene Einheit)を表し;
2は、同じか又は異なり、並びにOH、SO3H、PO32、O−PO32及び/又はパラ置換されたC64−SO3Hを表すが、但し、Xが存在しない単位である場合には、R2はOHを表す;
【化2】

ここで、
3は、同じか又は異なり、並びにH及び/又は非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表し;
n=0、1、2、3又は4であり
4は、同じか又は異なり、並びにSO3H、PO32、O−PO32及び/又はパラ置換されて存在するC64−SO3Hを表す;
【化3】

ここで、
5は、同じか又は異なり、並びにH及び/又は非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表し;
Zは、同じか又は異なり、並びにO及び/又はNHを表す;
【化4】

ここで、
6は、同じか又は異なり、並びにH及び/又は非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表し;
Qは、同じか又は異なり、並びにNH及び/又はOを表し;
7は、同じか又は異なり、並びにH、(Cn2n)−SO3H[ここでn=0、1、2、3又は4である]、(Cn2n)−OH[ここでn=0、1、2、3又は4である];(Cn2n)−PO32[ここでn=0、1、2、3又は4である]、(Cn2n)−OPO32[ここでn=0、1、2、3又は4である]、(C64)−SO3H、(C64)−PO32、(C64)−OPO32及び/又は(Cm2me−O−(A`O)α−R9[ここでm=0、1、2、3又は4であり、e=0、1、2、3又は4であり、A`=C2x´[ここでx´=2、3、4又は5である]及び/又はCH2C(C65)H−であり、α=1〜350の整数であり、R9は、同じか又は異なり、並びに非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表す]を表す。
【0015】
しばしば、酸モノマーとして、メタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸の半エステル又はこれらの複数の成分の混合物が使用される。
【0016】
pH値に応じて、コポリマーの酸モノマー構造単位は、塩として脱プロトン化された形で存在していてもよく、その際に対イオンとしてNa+、K+並びにCa2+が典型的である。
【0017】
通例、ポリエーテルマクロモノマーの反応によりコポリマー中に一般式(IIa)、(IIb)及び/又は(IIc)の1つに相応している構造単位が生じる
【化5】

ここで、
10、R11並びにR12は、それぞれ同じか又は異なり、かつ互いに独立してH及び/又は非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表し;
Eは、同じか又は異なり、並びに非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C6アルキレン基、シクロヘキシル基、CH2−C610、オルト、メタ又はパラ置換されて存在するC64及び/又は存在しない単位を表し;
Gは、同じか又は異なり、並びにO、NH及び/又はCO−NHを表すが、但しEが存在しない単位である場合には、Gも存在しない単位として存在し;
Aは、同じか又は異なり、並びにCx2x[ここでx=2、3、4及び/又は5(好ましくはx=2)である]及び/又はCH2CH(C65)を表し;
nは、同じか又は異なり、並びに0、1、2、3、4及び/又は5を表し;
aは、同じか又は異なり、並びに2〜350(好ましくは10〜200)の整数を表し;
13は、同じか又は異なり、並びにH、非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基、CO−NH2、及び/又はCOCH3を表す;
【化6】

ここで、
14は、同じか又は異なり、並びにH及び/又は非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表し;
Eは、同じか又は異なり、並びに非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C6アルキレン基、シクロヘキシル基、CH2−C610、オルト、メタ又はパラ置換されて存在するC64を表し、及び/又は存在しない単位を表し;
Gは、同じか又は異なり、並びに存在しない単位、O、NH及び/又はCO−NHを表すが、但し、Eが存在しない単位である場合には、Gも存在しない単位として存在し;
Aは、同じか又は異なり、並びにCx2x[ここでx=2、3、4及び/又は5である]及び/又はCH2CH(C65)を表し;
nは、同じか又は異なり、並びに0、1、2、3、4及び/又は5を表し
aは、同じか又は異なり、並びに2〜350の整数を表し;
Dは、同じか又は異なり、並びに存在しない単位、NH及び/又はOを表すが、但し、Dが存在しない単位である場合には:b=0、1、2、3又は4並びにc=0、1、2、3又は4であり、その際にb+c=3又は4であり、かつ
但し、DがNH及び/又はOである場合には:b=0、1、2又は3、c=0、1、2又は3であり、その際にb+c=2又は3であり;
15は、同じか又は異なり、並びにH、非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基、CO−NH2、及び/又はCOCH3を表す;
【化7】

ここで、
16、R17並びにR18は、それぞれ同じか又は異なり、かつ互いに独立してH及び/又は非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表し;
Eは、同じか又は異なり、並びに非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C6アルキレン基、シクロヘキシル基、CH2−C610及び/又はオルト、メタ又はパラ置換されて存在するC64を表し;
Aは、同じか又は異なり、並びにCx2x[ここでx=2、3、4及び/又は5である]及び/又はCH2CH(C65)を表し;
nは、同じか又は異なり、並びに0、1、2、3、4及び/又は5を表し;
Lは、同じか又は異なり、並びにCx2x[ここでx=2、3、4及び/又は5である]及び/又はCH2−CH(C65)を表し;
aは、同じか又は異なり、並びに2〜350の整数を表し;
dは、同じか又は異なり、並びに1〜350の整数を表し;
19は、同じか又は異なり、並びにH及び/又は非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表し、
20は、同じか又は異なり、並びにH及び/又は非分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表す。
【0018】
しばしば、ポリエーテルマクロモノマーとして、アルコキシル化ヒドロキシブチルビニルエーテル及び/又はアルコキシル化ジエチレングリコールモノビニルエーテル及び/又はアルコキシル化イソプレノール及び/又はアルコキシル化(メタ)アリルアルコール及び/又はビニル化メチルポリアルキレングリコールが使用され、これらは好ましくは4〜300のオキシアルキレン基の算術平均数をそれぞれ有する。
【0019】
ポリエーテルマクロモノマーのアルコキシ単位は、通例、エトキシ基として又はエトキシ基及びプロポキシ基の混合物として存在する(これらのポリエーテルマクロモノマーは、相応するモノマーアルコールのエトキシル化もしくはプロポキシル化から得ることができる)。
【0020】
通例、ラジカル重合開始剤として、H22又はアルカリ金属ペルオキソ二硫酸塩を含有し、還元剤と共に使用されるレドックス開始剤系が使用され、その際に前記還元剤は、好ましくは、亜硫酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−2−スルフィナト酢酸の二ナトリウム塩、2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸の二ナトリウム塩、ナトリウムヒドロキシメタンスルフィナート、アスコルビン酸及び/又はイソアスコルビン酸の形で存在し、その際に重合中の水性媒体の温度は5〜43℃に調節され、かつ重合の開始時に水性媒体の温度は最大28℃である。
【0021】
好ましくは、前記水性媒体は水溶液の形で存在する。
【0022】
たいてい、コポリマーの全ての構造単位の少なくとも45mol%、好ましくは少なくとも80mol%が、酸モノマー及びポリエーテルマクロモノマーの重合導入により生じる。
【0023】
しばしば、通常少なくとも1つのチオール基を有する連鎖調節剤が使用される。
【0024】
さらに、本発明は、前記の方法により製造可能であるコポリマーに関する。
【0025】
さらに、本発明は、水硬性結合剤用及び/又は潜在水硬性結合剤用の分散剤としてのこのコポリマーの使用に関する。本発明によるコポリマーは、例えば、(特に脱水された形で)セメント生産用の添加剤(純粋なポルトランドセメントもしくはコンポジットセメント用の粉砕助剤及び"減水剤")としても使用されることができる。
【0026】
以下に、本発明は実施例に基づいてより詳細に説明される。
【0027】
合成例
ポリマー1
二重壁反応器 − 撹拌機、pH電極及び複数の供給装置を備えている − 中に、水336gを15.0℃の温度で、及び溶融物で80℃の温度で存在するビニルオキシブチルポリエチレングリコール(4−ヒドロキシブチル−モノビニルエーテルへのエチレンオキシド129molの付加生成物)348.00gを装入する。42.0℃の混合温度となる。反応器内容物を引き続き25.0℃の温度に冷却し、冷却媒体の循環温度はこの場合に一定で13.0℃である。
【0028】
別個の供給容器中で、アクリル酸17.60g及び無水マレイン酸3.41gを脱イオン水61.07gと均質に混合し、冷却しながら40%水酸化カリウム溶液7.83gを添加する。
【0029】
並行して、Brueggolit(登録商標)FF6(Brueggemann Chemicals GmbH社の市販製品)1.08g及び水17.00gからなる第二の溶液を製造する(溶液B)。
【0030】
25.0℃への装入物混合物の冷却を行った後に(ビニルオキシブチルポリエチレングリコール溶融物の添加15min後に)、溶液A 42.50mL並びに20%カセイソーダ液3.90g及び3−メルカプトプロピオン酸0.21gを装入物に添加する。引き続き、残りの溶液Aに3−メルカプトプロピオン酸1.88gを添加し、引き続き硫酸鉄(II)七水和物0.12g並びに過酸化水素(水中30%)2.00gを装入物混合物に添加し、反応を開始させる。溶液A及び溶液Bの添加と同時に、装入物の撹拌を開始する。
【0031】
溶液Aの計量供給速度は、以下の計量供給プロフィールから得られることができる。溶液Bを、一定の計量供給速度で溶液Aの計量供給が終了するまで反応器中へ計量供給する。
【0032】
【表1】

【0033】
反応の終了後に、得られたポリマー溶液を、20%水酸化ナトリウム溶液を用いて6.5のpH値に調節する。
淡黄色を帯びたポリマー溶液が得られ、前記コポリマーは、53000g/molの質量平均を有する。
【0034】
ポリマー2
ポリマー2をポリマー1に類似して合成し、その際にビニルオキシブチルポリエチレングリコールと水との混合物の製造の際に、使用される水の温度は25.0℃である。48.5℃の混合物温度となり、25.0℃への水溶液の冷却までの時間は17分である。
ポリマー1に類似した製造方法により、淡黄色を帯びたポリマー溶液が得られ、前記コポリマーは53500g/molの質量平均を有する。
【0035】
以下に、温度差及び時間差が表により再度示されている:
【表2】

【0036】
水が25℃の温度で使用されたポリマー2の製造の場合に、混合温度は明らかにより高くなり、それゆえ明らかに冷却時間は延び、かつ混合物の冷却のためのエネルギー消費は明らかにより高くなる。以下に、ポリマの応用技術的なデータがより詳細に考察される:
ポルトランドセメント(CEM I 42.5 R)400kgを、16mmの粗大粒子を有するFullerふるい系列(Fuller-Sieblinie)に相応して構成される丸い骨材と及び本発明による生成物を溶解された形で含有する水140kgと混ぜ合わせた。コンクリート混合物の製造直後に、フレッシュコンクリート特性並びに30分の期間にわたるそれらの時間的な変化の測定を行った。
【0037】
試験の結果は以下の表に示されている。
【0038】
【表3】

1 用量 セメント秤量分を基準としたポリマー固体[質量%]、2 DIN EN 12350-5により測定。
【0039】
前記の結果から、ポリマー1及びポリマー2が、測定精度の範囲内で同一の応用特性を有し、かつポリマー1の合成における冷たい井戸水の使用の際の経済的な利点が応用特性の悪化により減少されないことが明らかになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量供給装置と接続された重合反応器を有する重合装置中で半連続的な操作モードでコポリマーを製造する方法であって、
酸モノマーを計量供給装置中に、並びにポリエーテルマクロモノマー及び水を重合反応器中に、それぞれ装入し、
酸モノマーを計量供給装置から重合反応器中へ計量供給し、
重合反応器中への酸モノマーの計量供給前に及び/又は計量供給中に、ラジカル重合開始剤を重合反応器中へ導通して重合反応器中に水性媒体を生じさせ、前記媒体中で酸モノマー及びポリエーテルマクロモノマーを、コポリマーを形成しながら、ラジカル重合により反応させ、
ラジカル重合開始剤としてH22又はアルカリ金属ペルオキソ二硫酸塩を含有するレドックス開始剤系を使用し、
重合中の水性媒体の温度を5〜43℃に調節し、重合の開始時に水性媒体の温度は最大28℃であり、
使用されるポリエーテルマクロモノマー1molあたり酸モノマーを全部で1〜20mol、重合反応器中へ計量供給し、
使用されるポリエーテルマクロモノマー対使用される水の質量比が5:1〜1:5であり、
その際に重合反応器中に装入される水の少なくとも70質量%を、前記水が最大19℃の温度で重合反応器中へ添加されるか又は、重合反応器中へ添加される前に、ポリエーテルマクロモノマーと合一され、かつその際に最大19℃の温度を有するかのいずれかで準備する
ことを特徴とする、半連続的な操作モードでコポリマーを製造する方法。
【請求項2】
準備され、重合反応器中に装入される水の少なくとも70質量%を、自然に存在する地下水又は表面水、好ましくは地下水から得る、請求項1記載の方法。
【請求項3】
重合中の水性媒体の温度を10〜38℃に調節し、その際に重合の開始時に水性媒体の温度は最大24℃であり、並びに重合反応器中に装入される水の少なくとも80質量%を、前記水が2〜17℃の温度で重合反応器中へ添加されるか、又は重合反応器中へ添加される前に、ポリエーテルマクロモノマーと合一され、かつその際に2〜17℃の温度を有するかのいずれかで冷却して準備する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
酸モノマーの反応によりコポリマー中に一般式(Ia)、(Ib)、(Ic)及び/又は(Id)の1つに相応している構造単位が生じる、
【化1】

ここで、
1は、同じか又は異なり、並びにH及び/又は非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表し;
Xは、同じか又は異なり、並びにNH−(Cn2n)[ここでn=1、2、3又は4である]及び/又はO−(Cn2n)[ここでn=1、2、3又は4である]及び/又は存在しない単位を表し;
2は、同じか又は異なり、並びにOH、SO3H、PO32、O−PO32及び/又はパラ置換されたC64−SO3Hを表すが、但し、Xが存在しない単位である場合には、R2はOHを表す;
【化2】

ここで、
3は、同じか又は異なり、並びにH及び/又は非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表し;
n=0、1、2、3又は4であり
4は、同じか又は異なり、並びにSO3H、PO32、O−PO32及び/又はパラ置換されて存在するC64−SO3Hを表す;
【化3】

ここで、
5は、同じか又は異なり、並びにH及び/又は非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表し;
Zは、同じか又は異なり、並びにO及び/又はNHを表す;
【化4】

ここで、
6は、同じか又は異なり、並びにH及び/又は非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表し;
Qは、同じか又は異なり、並びにNH及び/又はOを表し;
7は、同じか又は異なり、並びにH、(Cn2n)−SO3H[ここでn=0、1、2、3又は4である]、(Cn2n)-OH[ここでn=0、1、2、3又は4である];(Cn2n)−PO32[ここでn=0、1、2、3又は4である]、(Cn2n)−OPO32[ここでn=0、1、2、3又は4である]、(C64)−SO3H、(C64)−PO32、(C64)−OPO32及び/又は(Cm2me−O−(A`O)α−R9[ここでm=0、1、2、3又は4であり、e=0、1、2、3又は4であり、A`=C2x´[ここでx´=2、3、4又は5である]及び/又はCH2C(C65)H−であり、α=1〜350の整数であり、R9は、同じか又は異なり、並びに非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表す]を表す、
請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
酸モノマーとして、メタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸の半エステル又はこれらの複数の成分の混合物を使用する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
ポリエーテルマクロモノマーの反応によりコポリマー中に一般式(IIa)、(IIb)及び/又は(IIc)の1つに相応している構造単位が生じる、
【化5】

ここで、
10、R11並びにR12は、それぞれ同じか又は異なり、かつ互いに独立してH及び/又は非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表し;
Eは、同じか又は異なり、並びに非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C6アルキレン基、シクロヘキシル基、CH2−C610、オルト、メタ又はパラ置換されて存在するC64及び/又は存在しない単位を表し;
Gは、同じか又は異なり、並びにO、NH及び/又はCO−NHを表すが、但しEが存在しない単位である場合には、Gも存在しない単位として存在し;
Aは、同じか又は異なり、並びにCx2x[ここでx=2、3、4及び/又は5(好ましくはx=2)である]及び/又はCH2CH(C65)を表し;
nは、同じか又は異なり、並びに0、1、2、3、4及び/又は5を表し;
aは、同じか又は異なり、並びに2〜350(好ましくは10〜200)の整数を表し;
13は、同じか又は異なり、並びにH、非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基、CO−NH2、及び/又はCOCH3を表す;
【化6】

ここで、
14は、同じか又は異なり、並びにH及び/又は非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表し;
Eは、同じか又は異なり、並びに非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C6アルキレン基、シクロヘキシル基、CH2−C610、オルト、メタ又はパラ置換されて存在するC64を表し、及び/又は存在しない単位を表し;
Gは、同じか又は異なり、並びに存在しない単位、O、NH及び/又はCO−NHを表すが、但し、Eが存在しない単位である場合には、Gも存在しない単位として存在し;
Aは、同じか又は異なり、並びにCx2x[ここでx=2、3、4及び/又は5である]及び/又はCH2CH(C65)を表し;
nは、同じか又は異なり、並びに0、1、2、3、4及び/又は5を表し
aは、同じか又は異なり、並びに2〜350の整数を表し;
Dは、同じか又は異なり、並びに存在しない単位、NH及び/又はOを表すが、但し、Dが存在しない単位である場合には:b=0、1、2、3又は4並びにc=0、1、2、3又は4であり、その際にb+c=3又は4であり、かつ
但し、DがNH及び/又はOである場合には:b=0、1、2又は3、c=0、1、2又は3であり、その際にb+c=2又は3であり;
15は、同じか又は異なり、並びにH、非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基、CO−NH2、及び/又はCOCH3を表す;
【化7】

ここで、
16、R17並びにR18は、それぞれ同じか又は異なり、かつ互いに独立してH及び/又は非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表し;
Eは、同じか又は異なり、並びに非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C6アルキレン基、シクロヘキシル基、CH2−C610及び/又はオルト、メタ又はパラ置換されて存在するC64を表し;
Aは、同じか又は異なり、並びにCx2x[ここでx=2、3、4及び/又は5である]及び/又はCH2CH(C65)を表し;
nは、同じか又は異なり、並びに0、1、2、3、4及び/又は5を表し;
Lは、同じか又は異なり、並びにCx2x[ここでx=2、3、4及び/又は5である]及び/又はCH2−CH(C65)を表し;
aは、同じか又は異なり、並びに2〜350の整数を表し;
dは、同じか又は異なり、並びに1〜350の整数を表し;
19は、同じか又は異なり、並びにH及び/又は非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表し、
20は、同じか又は異なり、並びにH及び/又は非分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表す、
請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
ポリエーテルマクロモノマーとして、アルコキシル化ヒドロキシブチルビニルエーテル及び/又はアルコキシル化ジエチレングリコールモノビニルエーテル及び/又はアルコキシル化イソプレノール及び/又はアルコキシル化(メタ)アリルアルコール及び/又はビニル化メチルポリアルキレングリコールを使用し、これらは好ましくは4〜300のオキシアルキレン基の算術平均数をそれぞれ有する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
ラジカル重合開始剤として、H22又はアルカリ金属ペルオキソ二硫酸塩を含有し、還元剤と共に使用される使用されるレドックス開始剤系を使用し、その際に前記還元剤は、好ましくは、亜硫酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−2−スルフィナト酢酸の二ナトリウム塩、2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸の二ナトリウム塩、ナトリウムヒドロキシメタンスルフィナート、アスコルビン酸及び/又はイソアスコルビン酸の形で存在し、その際に重合中の水性媒体の温度を5〜43℃に調節し、かつ重合の開始時に水性媒体の温度は最大28℃である、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
水性媒体が水溶液の形で存在する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
コポリマーの全ての構造単位の全部で少なくとも45mol%、好ましくは少なくとも80mol%が、酸モノマー及びポリエーテルマクロモノマーの重合導入により生じる、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
チオール基を好ましくは有する連鎖調節剤を使用する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか1項記載の方法により製造されることができる、コポリマー。
【請求項13】
水硬性結合剤用及び/又は潜在水硬性結合剤用の分散剤としての請求項12記載のコポリマーの使用。

【公表番号】特表2012−511064(P2012−511064A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538910(P2011−538910)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【国際出願番号】PCT/EP2009/050290
【国際公開番号】WO2010/066470
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(503343336)コンストラクション リサーチ アンド テクノロジー ゲーエムベーハー (139)
【氏名又は名称原語表記】Construction Research & Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Dr.−Albert−Frank−Strasse 32, D−83308 Trostberg, Germany
【Fターム(参考)】