説明

コポリマー,非揮発性オイルおよび光沢のあるオイルを含有する化粧料組成物

【課題】一回の動作で快適な性質,良好な耐久性,及び光沢効果を有するメイクアップを得ることを可能にする新規な化粧料組成物の提供。
【解決手段】生理学的に許容される媒体中に,少なくともアルキルメタクリレートモノマー,アルキルアクリレートモノマー,及びアクリル酸モノマーを含む1のコポリマー,少なくとも16の炭素原子を含み,かつ650 g/モル未満のモル質量を有する炭化水素をベースとする鎖を有する少なくとも1の非揮発性オイル,及び650 g/モル以上のモル質量を有する1の光沢のあるオイルを少なくとも含む化粧料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,ケラチン物質,特に口唇をケアするため及び/又はメイクアップするための化粧料組成物に関する。
【0002】
皮膚又は口唇をメイクアップする及び/又はケアするための組成物は,ワックス及び/又はオイル,顔料,及び/又はフィラーに基づく脂肪相を慣用的に含み,任意的に添加剤,例えば化粧的又は皮膚科学的に活性な剤を含んでいてもよい。
【0003】
これらの組成物は,それらが意図されている基体に審美的な色を,又はそれらがより特に口唇のために意図されているときには光沢効果さえを与えるために一般的に使用される。
【0004】
この光沢を付与するために,化粧料製品の考案者は,高い粘度,及び高い屈折率を特徴とし,顔料及びフィラーが組成物中に存在するとき,顔料及びフィラーに関して良好な分散性をも有するオイルを一般的に使用する。
【0005】
この色及び光沢の効果に加えて,これらの化粧料組成物を使用するとき,ユーザーは快適さ及び非常に長い耐久性を求める。
【背景技術】
【0006】
実際,メイクアップのためにこれらの複数の性質,即ち,光沢,長い耐久性,及び快適さを獲得することは,複数の組成物の重ね合わせを必要とすることができ,該複数の組成物は単独の製品に包装されてもよいし,されなくてもよい。そのような二重組成物製品は,特に国際公開第02/067877号及び欧州特許出願公開第1518534に記載されている。
【0007】
明白な理由から,2つの組成物を重ねあわせるというこの必要性は望ましくない拘束であり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は,特に,一回の動作で快適な性質,良好な耐久性,及び光沢効果を有するメイクアップを得ることを可能にする新規な化粧料組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
即ち,本発明者らは,少なくとも1の特定のコポリマー,非揮発性のオイル,及び以降に記載されるような光沢のあるオイルがそのような組成物において混合されるならば,そのような組成物を得ることが可能であることを発見した。
【0010】
第一の特徴に従うと,より特に,本発明の課題は,生理学的に許容される媒体中に,
少なくともアルキルメタクリレートモノマー,アルキルアクリレートモノマー,及びアクリル酸モノマーを含む1のコポリマー,
少なくとも16の炭素原子を含み,かつ650 g/モル未満のモル質量を有する炭化水素をベースとする鎖を有する1の非揮発性オイル,及び
650 g/モル以上のモル質量を有する1の光沢のあるオイル
を少なくとも含む化粧料組成物である。
【0011】
本発明の課題は,上で定義された組成物のケラチン物質,特に口唇への施与を含む口唇をメイクアップするための化粧方法でもある。
【0012】
本発明の課題は,ケラチン物質,特に口唇上に堆積物を付与することを意図された組成物であって,良好な耐久性及び満足できる光沢を有する組成物において,アルキルメタクリレートモノマー,アルキルアクリレートモノマー,及びアクリル酸モノマーを含むコポリマーを使用する方法でもある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
コポリマー
本発明に従う組成物は,少なくともアルキルメタクリレートモノマー,アルキルアクリレートモノマー,及びアクリル酸モノマーを含む少なくとも1のコポリマーを含む。
【0014】
第一の実施態様に従うと,コポリマーは,アクリル酸,アルキルメタクリレート,アルキルアクリレート,及びこれらの混合物から選択されたモノマーから基本的に誘導される。
【0015】
上記及び下記の文中において,用語「基本的に」は,少なくとも85%,好ましくは少なくとも90%,よりよくは少なくとも95重量%,さらによりよくは100%含むことを意味することが意図される。
【0016】
この実施態様において,コポリマーは,好ましくは80000 g/モル超の分子量を有する。
【0017】
コポリマーは,有利に,2重量%のアクリル酸モノマー,特に2重量%〜15重量%,例えば3重量%〜15重量%,特に4重量%〜15重量%,又は5重量%〜10重量%さえのアクリル酸モノマーを,該コポリマーの合計重量に対して有利に含むことができる。
【0018】
アクリレート及びメタクリレートエステルに関しては,それらは直鎖又は分岐状の,環状又は芳香族のC1〜C12,特にC4〜C10のアルコールのエステル化から誘導されることができる。
【0019】
これらのアルコールの非制限的な例として,特にイソボルネオールが挙げられ得る。
【0020】
1の実施態様に従うと,該コポリマーは,同じアルコール,特にイソボルネオールのエステル化から由来する少なくともアクリレート及びメタクリレートを含む。
【0021】
別の実施態様に従うと,該コポリマーは,イソブチルアクリレートタイプの少なくともモノマーを含む。
【0022】
本発明の変形に従うと,コポリマーは,例えば少なくとも第一ブロック及び少なくとも第二ブロックを含むブロックコポリマーの形であり,
第一ブロックは,式CH2=CH-COOR2(ここでR2はC4〜C12のシクロアルキル基を表す)の少なくとも1のアクリレートモノマーから,及び式CH2=C(CH3)-COOR’2(ここでR’2はC4〜C12シクロアルキル基を表す)の少なくとも1のメタクリレートモノマーから得られ,
第二ブロックは,アクリル酸モノマーから,及び20℃以下のガラス転移温度を有する少なくとも1の他のモノマーから得られる。
【0023】
好ましい実施態様に従うと,R2及びR’2は独立して又は同時にイソボルニル基を表す。
【0024】
用語「少なくとも」1のブロックは,1以上のブロックを意味することが意図される。
【0025】
用語「ブロック」コポリマーは,少なくとも2の別個のブロック,好ましくは少なくとも3つの別個のブロックを含むポリマーを意味することが意図される。
【0026】
コポリマーの第一ブロック及び第二ブロックは,有利に互いに非相溶性であることができる。
【0027】
表現「互いに非相溶性であるブロック」は,第一ブロックに相当するポリマー及び第二ブロックに相当するポリマーにより形成される混合物が,ブロックコポリマーのための重合溶媒(重量において優勢である)に,環境温度(25℃)及び大気圧(105 Pa)において,該ポリマーの混合物及び該重合溶媒の合計重量に対して5重量%以上の該ポリマーの混合物の含有量に対して,混和性ではないことを意味することが意図され,
i) 該ポリマーは,それぞれの重量比が10/90〜90/10の範囲であるような量で混合物中に存在すること,及び
ii) 第一及び第二ブロックに相当する各ポリマーは,ブロックコポリマーの平均分子量+/-15%に等しい平均分子量(重量平均又は数平均)を有する,
と理解される。
【0028】
重合溶媒の混合物の場合,2以上の溶媒が同じ質量割合で存在すると,ポリマーの該混合物はそれらの少なくとも1に混和しない。
【0029】
もちろん,単独の溶媒において行われる重合の場合,後者が主溶媒である。
【0030】
該第一及び第二ブロックは,第一ブロックを構成する少なくとも1のモノマー及び第二ブロックを構成する少なくとも1のモノマーを含む中間セグメントにより,有利に互いに結合されることができる。
【0031】
中間セグメントは,コポリマーの,第一ブロックを構成する少なくとも1のモノマー及び第二ブロックを構成する少なくとも1のモノマーを含むブロックであり,これらのブロックを「相溶性化」することを可能にする。
【0032】
有利に,コポリマーの,第一ブロックを構成する少なくとも1のモノマー及び第二ブロックを構成する少なくとも1のモノマーを含む中間セグメントは,ランダムポリマーである。
【0033】
好ましくは,中間ブロックは,第一ブロック及び第二ブロックを構成するモノマーから基本的に誘導される。
【0034】
有利に,中間ブロックは第一ブロックのガラス転移温度と第二ブロックのガラス転移温度との間であるガラス転移温度Tgを有する。
【0035】
本発明に従う組成物のブロックコポリマーは,有利にフィルム形成性エチレン性ブロックコポリマーである。
【0036】
用語「エチレン性」ポリマーは,エチレン性不飽和を含むモノマーの重合により得られるポリマーを意味することが意図される。
【0037】
用語「フィルム形成性」ポリマーは,それ自身で,又は補助的なフィルム形成剤の存在下で,連続的かつ接着性フィルムを基体,特にケラチン物質の上で形成することのできるポリマーを意味することが意図される。
【0038】
好ましくは,コポリマーはその骨格中にケイ素原子を全く含まない。用語「骨格」は,ペンダント状の側鎖と反対に,コポリマーの主鎖を意味することが意図される。
【0039】
好ましくは,コポリマーは水溶性ではなく,即ちコポリマーは,pHの変更なしで,少なくとも1重量%の活性物質の含有量,環境温度(25℃)において水,又は水と,2〜5の炭素原子を有する直鎖又は分岐状の低級モノアルコール例えばエタノール,イソプロパノール又はn-プロパノールとの混合物に可溶ではない。
【0040】
コポリマーは好ましくはエラストマーではない。
【0041】
用語「非エラストマー性コポリマー」は,それを伸ばすことを意図された応力に付されたとき(例えばその初期の長さに対して30%だけ)において,応力が止まったとき,その初期の長さと実質的に同じ長さに戻らないポリマーを意味することが意図される。
【0042】
より具体的には,用語「非エラストマー性コポリマー」は,30%伸ばされた後に,瞬間回復(instantaneous recovery)(Ri < 50%)及び遅延回復(delayed recovery)(R2h < 70%)を有するポリマーを意味する。好ましくはRiは< 30%であり,R2h < 50%である。
【0043】
より具体的には,コポリマーの非エラストマー的な性質は,以下のプロトコルに従って測定される:
コポリマーのフィルムは,コポリマーの溶液をテフロン(商標)で被覆された鋳型に注ぎ,制御された雰囲気中で23 ± 5℃及び50 ± 10%の相対湿度において7日間乾燥することにより製造される。
【0044】
そうすると約100 μmの厚さのフィルムが得られ,該フィルムから,幅15 mm及び長さ80 mmの長方形の試験片が(例えばパンチで)切り抜かれる。
【0045】
引張応力は,乾燥のためのものと同じ温度及び湿度条件下でZwickの参照で販売されている装置によりこのサンプルに施与される。
【0046】
試験片は,50 mm/分の速度で引っ張られ,顎(jaw)と顎との間の距離は,試験片の初期の長さ(I0)に相当する50 mmである。
【0047】
瞬間回復Riは以下の方法で測定される。
試験片は30%(εmax),即ち初期の長さ(I0)の0.3倍だけ引っ張られ,
応力は,引張速度に等しい戻りの速度,即ち50 mm/分を施与することにより解放され,ゼロの拘束(εi)への戻りの後,試験片の百分率残余伸びが測定される。
【0048】
%瞬間回復(Ri)は以下の式により与えられる:

Ri= (εmax - εi)/εmax)×100
【0049】
2時間後の遅延回復を測定するために,試験片の残余伸び割合がゼロ拘束への戻り2時間後,百分率(ε2h)として測定される。
【0050】
%遅延回復(R2h)は,以下の式により与えられる:

R2h= (εmax - ε2h)/εmax)×100
【0051】
純粋に例として,コポリマーは,好ましくは10%の瞬間回復Ri及び30%の遅延回復R2hを有する。
【0052】
コポリマーの多分散性インデックス(polydiversity index)は有利に2超である。
【0053】
コポリマーの多分散性インデックスIは,重量平均分子量Mw:数平均分子量Mnの比に等しい。
【0054】
重量平均(Mw)及び数平均 (Mn)モル質量は,ゲル浸透液体クロマトグラフィーにより測定される(溶媒THF,線形ポリスチレンの標準で確立された校正曲線,屈折計検出器)。
【0055】
コポリマーの重量平均質量(Mw)は好ましくは300000g/mol以下であり,例えば35000〜200000g/mol,よりよくは45000〜150000 g/molの範囲である。
【0056】
コポリマーの数平均質量(Mn)は好ましくは70000g/mol以下であり,例えば10000〜60000 g/mol,よりよくは12000〜50000g/molの範囲である。
【0057】
好ましくは,コポリマーの多分散性インデックスは2超,例えば2〜9の範囲,好ましくは2.5以上,例えば2.5〜8の範囲,よりよくは2.8以上,特に2.8〜6の範囲である。
【0058】
ブロックコポリマーは,少なくとも第一ブロック及び少なくとも第二ブロックを含む。
【0059】
第一ブロックは,式CH2=CH-COOR2の少なくとも1のアクリレートモノマー及び式CH2=C(CH3)-COOR2(ここでR2はC4〜C12シクロアルキル基を表す)の少なくとも1のメタクリレートモノマーから有利に得られる。モノマー及びこれらの割合は,好ましくは第一ブロックのガラス転移温度が20℃超であるように選択される。
【0060】
第二ブロックは,アクリル酸モノマー,及び20℃以下のガラス転移温度を有する少なくとも1のモノマーから有利に選択される。
【0061】
モノマー及びこれらの割合は,第二ブロックのガラス転移温度が20℃以下であるように好ましくは選択される。
【0062】
第一及び第二ブロックの示されたガラス転移温度は,参考マニュアル,例えばポリマーハンドブック,第3版,1989年,ジョンワイリーにおいて見いだされることができるブロックのそれぞれを構成するモノマーの理論Tgから決定された理論Tgであることができ,フォックスの法則として知られる以下の関係

に従う(ここで,

は,考慮下のブロック中のモノマーiの質量によるフラクションであり,Tgiは,モノマーiのホモポリマーのガラス転移温度である)。
【0063】
他に示されない限り,本願の第一及び第二ブロックのために示されたTgは理論Tgである。
【0064】
第一ブロックのガラス転移温度と第二ブロックのガラス転移温度との間の差は,一般的には10℃超,好ましくは20℃超,よりよくさらに30℃超である。
【0065】
本発明において,表現
「〜と〜との間」は,挙げられた限界が除かれた値の範囲を意味することが意図される:そして「〜から〜」及び「〜から〜の範囲」は,限界が含まれる値の範囲を意味することが意図される。
【0066】
第一ブロック
第一ブロックは好ましくは20℃超のTg,例えば20〜170℃の範囲のTg,好ましくは50℃以上,例えば50℃〜160℃の範囲,特に90℃〜130℃の範囲のTgを有する。
【0067】
1の実施態様に従うと,式CH2=CH-COOR2(ここでR2はC4〜C12シクロアルキル基を表す)の少なくとも1のアクリレートモノマー及び,式CH2=C(CH3)-COOR’2(ここでR’2はC4〜C12シクロアルキル基を表す)の少なくとも1のメタクリレートモノマーから得られる。
【0068】
第一ブロックは,該アクリレートモノマー及び該メタクリレートモノマーからもっぱら得られることができる。
【0069】
アクリレートモノマー及びメタクリレートモノマーは,好ましくは30:70と70:30との間,好ましくは40:50と50:40との間,特に50:50のオーダーの質量による割合である。
【0070】
第一ブロックの割合は,有利には,コポリマーの合計重量に対して20%〜90重量%,よりよくは30%〜80重量%,さらによりよくは60%〜80重量%の範囲である。
【0071】
1の実施態様に従うと,第一ブロックは,イソボルニルメタクリレート及びイソボルニルアクリレートの重合により得られる。
【0072】
第一ブロックは以下を含み得る
(メタ)アクリル酸,好ましくはアクリル酸,
tert-ブチルアクリレート,
式CH2=C(CH3)-COOR1のメタクリレート
ここでR1は直鎖又は分岐状の,1〜4の炭素原子を含む無置換のアルキル基,例えばメチル,エチル,プロピル,又はイソブチル基を表す,
下式の(メタ)アクリルアミド:
【0073】
【化1】

【0074】
ここでR7及びR8は同一であっても異なっていてもよく,それぞれ水素原子,又は直鎖又は分岐状のC1〜C12アルキル基,例えばn-ブチル,t-ブチル,イソプロピル,イソヘキシル,イソオクチル又はイソノニル基を表す;又はR7はHを表し,R8は1,1-ジメチル-3-オキソブチル基を表し,そしてR’はH又はメチルを意味する。モノマーの例として,N-ブチルアクリルアミド,N-t-ブチルアクリルアミド,N-イソプロピルアクリルアミド,N,N-ジメチルアクリルアミド及びN,N-ジブチルアクリルアミドが挙げられ得る,
及びこれらの混合物。
【0075】
第二ブロック
第二ブロックは,20℃以下のガラス転移温度Tg,例えば-100〜20℃の範囲のTg,好ましくは15℃以下,特に-80℃〜15℃の範囲,よりよくは10℃以下,例えば-100℃〜10℃,特に-30℃〜10℃の範囲のTgを有利に有する。
【0076】
第二ブロックは,アクリル酸モノマー及び20℃以下のTgを有する少なくとも1の他のモノマーから得られる。
【0077】
20℃以下のガラス転移温度を有するモノマーは好ましくは以下のモノマーから選択される:
CH2=CHCOOR3のアクリレート,
R3は,tert-ブチル基を除く,無置換の,直鎖又は分岐状のC1〜C12アルキル基(該基においてO,N及びSから選択された1以上のヘテロ原子が任意的に挿入されていてもよい)例えばイソブチルを表す,
式CH2=C(CH3)-COOR4のメタクリレート,
R4は,無置換の,直鎖又は分岐状のC6〜C12アルキル基(該基においてO,N及びSから選択された1以上のヘテロ原子が任意的に挿入されていてもよい)を表す,
式R5-CO-O-CH=CH2のビニルエステル(ここでR5は,直鎖又は分岐状のC4〜C12アルキル基を表す),
ビニルアルコールとC4〜C12アルコールとのエーテル,
N-(C4〜C12)アルキルアクリルアミド,例えばN-オクチルアクリルアミド,
及びこれらの混合物。
【0078】
それらは,式CH2=CHCOOR3のアクリレートから好ましく選択されることができる(ここでR3は,tert-ブチル基を除く,無置換の,直鎖又は分岐状のC1〜C12アルキル基(該基においてO,N及びSから選択された1以上のヘテロ原子が任意的に挿入されていてもよい)を表し,特にR3はイソブチルを表す。
【0079】
20℃以下のTgを有する好ましいモノマーはイソブチルアクリレート,2-エチルヘキシルアクリレート,又は任意の割合におけるこれらの混合物である。
【0080】
第一及び第二ブロックのそれぞれは,他のブロックを構成する少なくとも1のモノマーを,少量の割合で含むことができる。
【0081】
即ち,第一ブロックは,第二ブロックを構成する少なくとも1のモノマーを含むことができ,また逆もある。
【0082】
第一及び/又は第二ブロックのそれぞれは,上に示されたモノマーに加えて,1以上の他のモノマー(追加モノマーと呼ばれる)であって,上述の主モノマーとは異なるモノマーを含むことができる。
【0083】
これ又はこれらの追加モノマーの性質及び量は,それらが存在するところのブロックが所望されるガラス転移温度を有するように選択される。
【0084】
この追加モノマーは例えば以下から選択される。
1以上のエチレン性不飽和を有するモノマーであって,少なくとも1の3級アミン官能基を含むもの,例えば2-ビニルピリジン,4-ビニルピリジン,ジメチルアミノエチルメタクリレート,ジエチルアミノエチルメタクリレート,ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド,及びこれらの塩,
式CH2=C(CH3)-COOR6のメタクリレート
ここでR6は1〜4の炭素原子を含む直鎖又は分岐状のアルキル基,例えばメチル,エチル,プロピル又はイソブチル基を表し,該アルキル基は,ヒドロキシル基から選択された1以上の置換基で置換されていてもよく(例えば2-ヒドロキシプロピルメタクリレート又は2-ヒドロキシエチルメタクリレート),ハロゲン原子(Cl,Br,I,F)から選択された1以上の置換基で置換されていてもよい(例えばトリフロロエチルメタクリレート),
式CH2=C(CH3)-COOR9のメタクリレート,
R9は,直鎖又は分岐状のC6〜C12アルキル基を表し,該基においてO,N及びSから選択された1以上のヘテロ原子が任意的に挿入されていてもよく,該アルキル基はヒドロキシル基及びハロゲン原子(Cl,Br,I,F)から選択された1以上の置換基で置換されていてもよい,
式CH2=CHCOOR10のアクリレート,
R10は,ヒドロキシル基及びハロゲン原子(Cl,Br,I及びF)から選択された1以上の置換基で置換された直鎖又は分岐状のC1〜C12アルキル基を表すか(例えば2-ヒドロキシプロピルアクリレート及び2-ヒドロキシエチルアクリレート),又はR10は,5〜30回のオキシエチレン単位の繰り返しを有する(C1〜C12)アルキル-O-POE(プロポキシエチレン),例えば例えばメトキシ-POEを表し,又はR8は,5〜30のエチレンオキシド単位を含むポリオキシエチレン化された基を表す。
【0085】
追加モノマーは,コポリマーの重量の0.5%〜30重量%であり得る。1の実施態様に従うと,コポリマーは任意の追加モノマーを全く含まない。
【0086】
好ましくは,コポリマーは,少なくともイソボルニルアクリレート及びイソボルニルメタクリレートモノマーを第一ブロックにおいて含み,イソブチルアクリレート及びアクリル酸モノマーを第二ブロックにおいて含む。
【0087】
好ましくは,該コポリマーは,少なくともイソボルニルアクリレート及びイソボルニルメタクリレートモノマーを第一ブロックにおいて同等の重量による割合で含み,イソブチルアクリレート及びアクリル酸モノマーを第二ブロックに含む。
【0088】
好ましくは,該コポリマーは,少なくともイソボルニルアクリレート及びイソボルニルメタクリレートモノマーを第一ブロックにおいて同等の重量による割合で含み,イソブチルアクリレート及びアクリル酸モノマーを第二ブロックに含み,第一ブロックはコポリマーの70重量%である。
【0089】
好ましくは,該コポリマーは,少なくともイソボルニルアクリレート及びイソボルニルメタクリレートモノマーを第一ブロックにおいて同等の重量による割合で含み,イソブチルアクリレート及びアクリル酸モノマーを第二ブロックに含み,20%超のTgを有するブロックはコポリマーの70重量%であり,アクリル酸はコポリマーの5重量%である。
【0090】
好ましい実施態様に従うと,コポリマーはコポリマーの合計重量に対して50%〜80重量%のイソボルニルメタクリレート/アクリレート,10%〜30重量%のイソブチルアクリレート,及び2%〜10重量%のアクリル酸を含む。
【0091】
本発明に従うコポリマーが,少なくとも1のアクリル酸モノマーを含むとき,該コポリマーは,重合溶媒,開始剤,アクリル酸モノマー,20℃以下のガラス転移温度を有する少なくとも1のモノマー,式CH2=CH-COOR2の少なくとも1のアクリレートモノマー(R2は,C4〜C12シクロアルキル基を表す)及び式CH2=C(CH3)-COOR’2の少なくとも1のメタクリレートモノマー(R’2は,C4〜C12シクロアルキル基を表す)を以下の工程の連続:
重合溶媒の一部及び開始剤の一部が反応器に入れられ,該混合物は60℃と120℃との間の反応温度まで加熱される,
第一流動体添加において,少なくとも,式CH2=CH-COOR2のアクリレートモノマー及び少なくとも,式CH2=C(CH3)-COOR’2のメタクリレートモノマーが続いて投入され,90%以下の該モノマーの転化の度合に対応する時間Tの間,反応するに任される,
続いて,第二の流動体添加において,さらに重合開始剤,アクリル酸モノマー及び少なくとも,20℃以下のガラス転移温度を有するモノマーが反応器に入れられ,時間T’であって,該時間の終わりに該モノマーの転化の度合がプラトーに到達する時間T’の間反応するに任される,
反応混合物が環境温度に戻される,
に従って同じ反応器で混合することからなる方法により製造されることができる。
【0092】
用語「重合溶媒」は溶媒又は溶媒の混合物を意味することが意図される。重合溶媒は特に酢酸エチル,酢酸ブチル,アルコール,例えばイソプロパノール又はエタノール,脂肪族アルカン,例えばイソドデカン,及びこれらの混合物から選択されることができる。好ましくは,重合溶媒は酢酸ブチル及びイソプロパノール又はイソドデカンの混合物である。
【0093】
別の実施態様に従うと,該コポリマーは,重合溶媒,開始剤,アクリル酸モノマー,20℃以下のガラス転移温度を有する少なくとも1のモノマー,式CH2=CH-COOR2の少なくとも1のアクリレートモノマー(ここでR2は,C4〜C12シクロアルキル基を表す)及び式CH2=C(CH3)-COOR’2の少なくとも1のメタクリレートモノマー(ここでR’2は,C4〜C12シクロアルキル基を表す)を以下の工程の連続:
重合溶媒の一部及び開始剤の一部が反応器に入れられ,該混合物は60℃と120℃との間の反応温度まで加熱される,
続いて,第一流動体添加において,アクリル酸モノマー及び20℃以下のガラス転移温度を有する少なくとも1のモノマーが入れられ,90%以下の該モノマーの転化の程度に対応する時間Tの間,反応するに任される,
続いて,第二の流動体添加において,さらに重合開始剤,少なくとも,式CH2=CH-COOR2のアクリレートモノマー及び少なくとも,式CH2=C(CH3)-COOR’2のメタクリレートモノマーが反応器に入れられ,時間T’であって,該時間の終わりに該モノマーの転化の度合がプラトーに到達する時間T’の間反応するに任される,
反応混合物が環境温度に戻される,
に従って同じ反応器で混合することからなる製造方法に従って製造されることができる。
【0094】
重合温度は好ましくは90℃のオーダーである。
【0095】
第二流動体添加後の反応時間は好ましくは3と6との間の時間である。
【0096】
この方法の文脈において使用されるモノマー及びそれらの割合は,コポリマーに関する段落において上述された通りである。
【0097】
本発明に従う組成物を作るために働くコポリマーは,上記の方法により得られることのできるコポリマーであり得る。
【0098】
本発明に従う組成物は組成物の合計重量に対して,40重量%未満の,有利には5%〜40重量%,特に5%〜30%,さらに10%〜20重量%さえのコポリマー活性物質を含む。
【0099】
非揮発性オイル
本発明に従う組成物は,少なくとも16の炭素原子の鎖を含み,650g/mol未満のモル質量を有する,炭化水素をベースとする非揮発性のオイルを有利に含む。
【0100】
用語「炭化水素をベースとする」とは,基本的に炭素及び水素からなり,少なくとも1のヘテロ原子,例えば酸素,ハロゲン,又は窒素を含むことのできる鎖を意味することが意図される。
炭化水素をベースとするオイルは,好ましくは炭素及び水素からなる。
【0101】
用語「オイル」は,環境温度(25℃)及び大気圧(760mmHg)において液状である非水性化合物を意味することが意図される。
【0102】
本発明に従う非揮発性オイルは,特に10 cPsと300 cPsとの間,好ましくは15 cPsと200 cPsとの間の粘度を有するオイルであって,環境温度及び大気圧において皮膚又はケラチン繊維,より一般的にはケラチン物質上に,少なくとも数時間残り,特に10-3 mmHg(0.13 Pa)未満の蒸気圧を有するオイルを特に含むことができる。このオイルのサブファミリーは,使用者の快適さ,特にその流動性に関して特に有利である。これらのオイルは容易でありかつ制御された広がりを実際にそれ自身に与える。
【0103】
非揮発性オイルの粘度は,「60/2°」のコーン−プレート・ローターを備えられたHaake RS75レオメーターを使用して,25℃において測定される。
【0104】
オイルの粘度は,相対的に低いので,切断が200ミクロンである同じ直径のローターのように60 mmのプレート(2°の角度に相当する)が選択される(従ってローターに関して参照60/2°)。
【0105】
過剰量のオイルがギャップ(ローターと,厚さが200ミクロンでありかつ直径が60 mmであるプレートとの間の距離)は完全に該オイルにより占められるようにプレートの上に載せられる。
【0106】
次にストレススイープ(例えば 10-2〜1000 Pa)が行われる。本発明に従うオイルはニュートニアン液体であるから,加えられた応力に関わらず,粘度について一定の値が得られる。
【0107】
オイルは,100 g/molと650 g/molの間,より特に200 g/molと650 g/molとの間のモル質量を有する直鎖又は分岐状の,炭化水素をベースとするオイルをより特に含むことができる。
【0108】
これらのオイルの非制限的な例として,ポリアルケン,特にポリブチレン,例えばIndopol H15(商標),ポリデセン例えばSilkflo 366(商標),アルカン,特にスクワラン例えばPhytosqualane(商標),Sophiderm(商標),又はFitoderm(商標),又は水添イソパラフィン,例えばParleam(商標),イソエイコサン,及びこれらの混合物が特に挙げられ得る。
【0109】
非揮発性のオイルは特にスクワランであることができる。
【0110】
特定の実施態様に従うと,本発明に従う組成物はスクワランとイソボルニルメタクリレート/イソボルニルアクリレート/イソブチルアクリレート/アクリル酸コポリマーとの組合せを含む。
【0111】
本発明に従う組成物は,組成物の合計重量に対して2%〜50重量%の,特に5%〜20%の非揮発性オイルを含むことができる。
【0112】
光沢のあるオイル
本発明に従う組成物は,非揮発性オイル以外に光沢のあるオイルをもまた,有利に含むことができる。
【0113】
用語「光沢のあるオイル」はそれを取り込んでいる組成物に関して光沢効果を付与することのできるオイルを意味することが意図される。
【0114】
一般的に,光沢のあるオイル及び本発明に従う組成物におけるそれらの量の選択は,20°において測定されて100のうち,35以上,例えば40,好ましくは45,55,60又は65以上の平均光沢,及び/又は60°において測定されて,100のうち65,70,75又は80以上の平均光沢を組成物に付与できるようにされることができる。
【0115】
用語「平均光沢」は,慣用的に下に示されるような光沢計を使用して測定されることができる光沢を意味する。
【0116】
平均光沢は以下のように20°において測定される。
【0117】
組成物の,50μmと150μmとの間の厚さの層が,自動スプレッダーを使用して参照型式1A PenopacのLenetaのコントラストカード上に広げられる。層は少なくともカードの白いバックグラウンドを被覆する。堆積物は,30℃の温度において24時間乾燥するに任され,次に参照名microTRI-GLOSSのByk Gardner光沢計を使用して白いバックグラウンド上で20°において光沢が測定される。
【0118】
(0と100との間の)この測定は,少なくとも3回繰り返され,平均光沢は,実行された少なくとも3の測定値の平均である。
【0119】
60°における平均光沢は,同じような方法で測定され,測定は20°よりむしろ60°において行われる。
【0120】
この光沢効果を付与するために使用されることのできるオイルは,650〜10000 g/mol,好ましくは750〜7500 g/molの範囲のモル質量を特に有することができる。
【0121】
650〜10000 g/molの範囲のモル質量のオイルは以下から選択されることができる。
親油性ポリマー,例えば
ポリブチレン例えばIndopol H-100(モル質量即ちMM=965g/molのもの),IndopolH-300(MM=1340 g/mol)又はIndopol H-1500 (MM=2160 g/mol),(Amoco社により販売又は製造されている),
水添ポリイソブチレン例えばPanalane H-300 E(Amoco社により販売又は製造されている)(MM=1340 g/mol),Viseal 20000(Synteal社により販売又は製造されている,(MM=6000 g/mol)),又はRewopal PIB 1000(Witco社により販売又は製造されている(MM=1000 g/mol)),
ポリデセン及び水添ポリデセン例えば:Puresyn 10(MM=723 g/mol),Puresyn 150(MM=9200 g/mol)(Mobil Chemicalsにより販売又は製造されている),
ビニルピロリドンコポリマー例えば:ビニルピロリドン/1-ヘキサデセンコポリマーAntaron V-216(ISP社により販売又は製造されている)(MM=7300 g/mol),
エステル,例えば
35〜70の範囲の合計炭素原子数を有する直鎖脂肪酸エステル,例えばペンタエリスリチルテトラペラルゴネート(MM=697.05 g/mol),
ヒドロキシル化エステル例えばポリグリセロール-2トリイソステアレート(MM=965.58 g/mol),
芳香族エステル例えばトリデシルトリメリテート(MM=757.19 g/mol),
C24〜C28の分岐状脂肪酸又は脂肪族アルコールエステル例えば欧州特許出願公開第0955039号に記載されたもの,そして特にクエン酸トリイソアラキジル(MM=1033.76g/mol),ペンタエリスリチルテトライソノナノエート(MM=697.05g/mol),グリセリルトリイソステアレート(MM=891.51g/mol),グリセリルトリデシル-2-テトラデカノエート(MM=1143.98g/mol),ペンタエリスリチルテトライソステアレート(MM=1202.02g/mol),ポリグリセリル-2-テトライソステアレート(MM=1232.04g/mol)又はさもなければペンタエリスリチルテトラデシル-2-テトラデカノエート(MM =1538.66 g/mol),
シリコーンオイル,例えばフェニルシリコーン,例えばWacker製のBelsil PDM 1000(MM=9000 g/mol),
植物起源のオイル,例えば胡麻油(820.6 g/mol)
及びこれらの混合物。
【0122】
特定の実施態様に従うと,本組成物は,光沢のあるとして少なくとも1の親油性ポリマー,特にポリブチレンを含む。
【0123】
特定の実施態様に従うと,本発明に従う組成物は,ポリブチレンとイソボルニルメタクリレート/イソボルニルアクリレート/イソブチルアクリレート/アクリル酸コポリマーとの組合せを含む。
【0124】
本発明に従う組成物は,20°において測定されて35以上の光沢,及び/又は60°において測定されて65以上の平均光沢を有することができる。
【0125】
本発明に従う組成物は組成物の合計重量に対して5%〜50重量%,特に10%〜40重量%,好ましくは15%〜35重量%の少なくとも1の光沢のあるオイルを有利に含む。
【0126】
生理学的に許容される媒体
用語「生理学的に許容される媒体」は,ケラチン物質と両立する媒体,例えば有機オイル,又は化粧料組成物において一般的に使用される溶媒を意味することが意図される。
【0127】
1の実施態様に従うと,生理学的に許容される媒体は,環境温度(一般的に25℃)において液状である少なくとも1の脂肪性物質を含む。この液状脂肪性物質は動物,植物,鉱物,又は合成起源であってもよい。
【0128】
一般的にオイルと呼ばれ,本発明において使用されることのできる,環境温度において液状である脂肪性物質として以下のもの:動物起源の炭化水素をベースとするオイル,例えばパーヒドロスクワラン;植物の炭化水素をベースとするオイル,例えば4〜10の炭素原子を含む液状脂肪酸トリグリセリド,例えばヘプタン酸又はオクタン酸トリグリセリド,さもなければヒマワリ油,トウモロコシ油,大豆油,菜種油,胡麻油,アプリコットオイル,マカダミアオイル,ヒマシ油,アボカドオイル,カプリル/カプリン酸トリグリセリド,ホホバオイル,シアバター;鉱物又は合成起源の直鎖又は分岐状の炭化水素,例えばパラフィンオイル及びそれらの誘導体,石油ゼリー;合成エステル及びエーテル,特に脂肪酸のもの,例えばプルセリンオイル,イソプロピルミリステート,2-エチルヘキシルパルミテート,2-オクチルドデシルステアレート,2-オクチルドデシルエルケート,イソステアリルイソステアレート;ヒドロキシル化エステル例えばイソステアリルラクテート,オクチルヒドロキシステアレート,オクチルドデシルヒドロキシステアレート,ジイソステアリルマレート,クエン酸トリイソセチル,脂肪族アルコールのヘプタン酸エステル,オクタン酸エステル,デカン酸エステル;ポリオールエステル例えばプロピレングリコールジオクタノエート,ネオペンチルグリコールジヘプタノエート,ジエチレングリコールジイソノナノエート;及びペンタエリスリチルエステル;12〜26の炭素原子を有する脂肪族アルコール,例えばオクチルドデカノール,2-ブチルオクタノール,2-ヘキシルデカノール,2-ウンデシルペンタデカノール,オレイルアルコール;部分的に炭化水素に基づく及び/又はシリコーンに基づくフルオロオイル;シリコーンオイル,例えば直鎖又は環状の,揮発性又は非揮発性のポリメチルシロキサン(PDMS),例えばシクロメチコーン又はジメチコーン,任意的にフェニル基を含んでいてもよい,例えばフェニルトリメチコーン,フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン,ジフェニルメチルジメチルトリシロキサン,ジフェニルジメチコーン,フェニルジメチコーン,ポリメチルフェニルシロキサン;及びこれらの混合物が挙げられ得る。
【0129】
これらのオイルは組成物の合計重量に対して0.01%〜90%,よりよくは0.1%〜85重量%の範囲の量で存在し得る。
【0130】
本発明に従う組成物の生理学的に許容される媒体は,1以上の生理学的に許容される有機溶媒をもまた含むことができる(耐性,毒物学,及び使用感(feel))。
【0131】
用語「重合溶媒」は,溶媒又は溶媒の混合物を意味することが意図される。本発明に従うコポリマーのための重合溶媒は,酢酸エチル,酢酸ブチル,アルコールイ例えばソプロパノール又はエタノール,脂肪族アルカン,例えばイソドデカン,及びこれらの混合物から選択されることができる。好ましくはコポリマーのための重合溶媒は,酢酸ブチル及びイソプロパノールの混合物又はイソドデカンである。
【0132】
本発明の組成物において使用されることのできる溶媒として,上記の重合溶媒に加えて,環境温度において液状であるケトン,例えばメチルエチルケトン,メチルイソブチルケトン,ジイソブチルケトン,イソホロン,シクロヘキサノン又はアセトン;環境温度において液状であるプロピレングリコール,例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル,プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート,ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル;短鎖のエステル(合計で3〜8の炭素原子を有する)例えばエチルアセテート,メチルアセテート,プロピルアセテート,n-ブチルアセテート又はイソペンチルアセテート;環境温度において液状であるエーテル,例えばジエチルエーテル,ジメチルエーテル又はジクロロジエチルエーテル;環境温度において液状であるアルカン,例えばデカン,ヘプタン,ドデカン,イソドデカン又はシクロヘキサン;環境温度において液状である芳香族環状化合物,例えばトルエン及びキシレン;環境温度において液状であるアルデヒド,例えばベンズアルデヒド,アセトアルデヒド,及びこれらの混合物が挙げられ得る。
【0133】
生理学的に許容される媒体は,水又は水と親水性有機溶媒,例えばアルコール及び
特に2〜5の炭素原子を有する,直鎖又は分岐状の低級モノアルコール,例えばエタノール,イソプロパノール又はn-プロパノール,及びポリオール例えばグリセロール,ジグリセロール,プロピレングリコール,ソルビトール,ペンチレングリコール,及びポリエチレングリコール,又はC2エーテル,及び親水性であるC2〜C4アルデヒドとの混合物を含む親水性媒体を含むことができる。
【0134】
本発明に従う組成物は,そのような親水性媒体を実質的に含まないことも可能である。本発明に従う組成物は,組成物の合計重量に対して5重量%未満,又は2重量%未満さえの水を含むことができ,特に無水であることができる。
【0135】
組成物は,上記のコポリマーに加えて,追加ポリマー,例えばフィルム形成性ポリマーを含むことができる。
【0136】
本発明に従うと,用語「フィルム形成性ポリマー」は,それ自身で,又は補助のフィルム形成剤の存在下で,基体,特にケラチン物質上で連続的であり,かつ接着性であるフィルムを形成することのできるポリマーを意味することが意図される。
【0137】
本発明の組成物において使用されることのできるフィルム形成性ポリマーの中で,ラジカルタイプの,又は重縮合タイプの合成ポリマー,天然起源のポリマー,及びこれらの混合物が挙げられ得る。フィルム形成性ポリマーとして,特にアクリルポリマー,ポリウレタン,ポリエステル,ポリアミド,ポリウレア及びセルロースポリマー,例えばニトロセルロースが挙げられ得る。
【0138】
ポリマーは,1以上の補助のフィルム形成剤と組み合わされることができる。そのようなフィルム形成剤は,所望される機能を実行することができるとして当業者に公知であるすべての化合物から選択されることができ,特に可塑剤及び凝集剤(coalescence agent)から選択されることができる。
【0139】
本発明に従う組成物は,少なくとも1のワックスを含むこともできる。
【0140】
本発明の目的のために,用語「ワックス」は環境温度に(25℃)において固体であり,過逆な固体/液体状態変化を有し,30℃以上であって,120℃までであってもよい融点を有する親油性化合物を意味することが意図される。
【0141】
ワックスの融点は示差走査熱量計(DSC),例えばMetler社によりDSC 30の名前で販売されている熱量計を使用して測定されることができる。
【0142】
ワックスは,炭化水素をベースとするワックス,フルオロワックス及び/又はシリコーンワックスであり得,植物,鉱物,動物及び/又は合成起源であってもよい。特にワックスは25℃超,より良くは45℃超の融点を有する。
【0143】
本発明の組成物において使用されることができるワックスとして,ビーズワックス,カルナウバワックス,パラフィン,マイクロクリスタリンワックス,セレシン,又はオゾケライト;合成ワックス,例えばポリエチレンワックス,又はFischer-Tropschワックス,シリコーンワックス,例えば16〜45の炭素原子を有するアルキルジメチコーン又はアルコキシジメチコーンが挙げられ得る。
【0144】
固体脂肪性物質の性質及び量は所望される機械的性質及びテクスチュアに依存する。
【0145】
示唆として,組成物は組成物の合計重量に対して0%〜50重量%のワックス,よりよくは,1%〜30重量%含むことができる。
【0146】
本発明に従う化粧料組成物は,少なくとも1のペースト状化合物をもまた含むことができる。
【0147】
用語「ペースト状化合物」は,過逆な固体/液体状態変化を有し,23℃の温度において液状フラクション及び固体フラクションを含む脂肪性物質を特に意味することが意図される。
【0148】
ペースト状化合物は以下:
ラノリン及びこれの誘導体
ポリマー状又は非ポリマー状シリコーン化合物,
ポリマー状又は非ポリマーフルオロ化合物,
ビニルポリマー,
1以上のC2〜C100,好ましくはC2〜C50,のジオール間のポリエーテル化から生成する脂溶性ポリエーテル,
エステル,
及びこれらの混合物,
から選択されることができる。
【0149】
本発明に従う組成物は,親油性のゲル化剤をもまた含むことができる。
【0150】
それらは特にポリマー状又は分子状の,有機又は無機の親油性のゲル化剤であり得る。
【0151】
親油性ゲル化剤として,任意的に変性されていてもよい粘土,例えば変性されたヘクトライト,疎水性の処理されたシリカ,脂肪酸の金属塩,例えばステアリン酸アルミニウム,及びこれらの混合物が挙げられ得る。
【0152】
本発明に従う組成物は,水溶性染料,粉体染料例えば顔料,真珠光沢剤,及び当業者に周知であるフレークから選択された染料をもまた含むことができる。染料は組成物中に,組成物の合計重量に対して0.01%〜50重量%,好ましくは0.01%〜30重量%の範囲の量で存在し得る。
【0153】
用語「顔料」は,無機又は有機の,生理学的媒体に不溶であり,組成物を着色することを意図されている任意の形状の白色又は有色の粒子を意味すると理解されるべきである。
【0154】
用語「真珠光沢剤」は,特にある種の軟体動物によりその殻の中で製造された,さもなくば合成された任意の形状の遊色効果のある粒子を意味すると理解されるべきである。
【0155】
顔料は,白色又は有色,無機及び/又は有機であってもよい。無機顔料の中では,任意的に表面処理されていてもよい二酸化チタン,酸化ジルコニウム又は酸化セリウム,及び酸化亜鉛もまた,(黒,黄,又は赤の)酸化鉄,又は酸化クロム,マンガン紫,群青,クロムハイドレート,及び第二鉄青,及び金属粉末,例えばアルミニウム粉末又は銅粉末が挙げられ得る。
【0156】
有機顔料の中では,カーボンブラック,D & Cタイプの顔料,及びコチニール/カーマインをベースとする,バリウムをベースとする,ストロンチウムをベースとする,カルシウムをベースとする,又はアルミニウムをベースとするレーキが挙げられ得る。
【0157】
効果を有する顔料,例えば天然又は合成の,有機又は無機の基体,例えばガラス,アクリル樹脂,ポリエステル,ポリウレタン,ポリエチレンテレフタレート,セラミック又はアルミナを含む粒子もまた挙げられ得る。基体は金属物質,例えばアルミナ,金,銀,プラチナ,銅又は青銅,又は金属酸化物,例えば二酸化チタン,酸化鉄,酸化クロム及びこれらの混合物で被覆されていなくても,被覆されていてもよい。
【0158】
真珠光沢顔料は,白色真珠光沢顔料,例えばチタン又は塩化オキシビスマスで被覆されたマイカ,着色された真珠光沢顔料,例えば酸化鉄で被覆されたチタンマイカ,特に第二鉄青又は酸化クロムで被覆されたチタンマイカ,又は上述のタイプの有機顔料で被覆されたチタンマイカ,及び塩化オキシビスマスをベースとする真珠光沢顔料からもまた選択されることができる。干渉顔料,特に液晶又は多層結晶を有するものもまた使用されることができる。
【0159】
水溶性染料は,例えばビートルートジュース及びメチレンブルーである。
【0160】
本発明に従う組成物は,組成物の合計重量に対して0.01%〜50重量%の範囲,好ましくは0.01%〜30重量%の範囲の含有量において特に,1以上のフィラーをもまた含むことができる。用語「フィラー」は,鉱物又は合成の,無色又は白色の任意の形状の粒子であって,組成物が製造されるところの温度に関わらず組成物の媒体に不溶である粒子を意味すると理解されるべきである。これらのフィラーは,組成物のレオロジー又はテクスチュアを変性させるために特に役立つ。
【0161】
フィラーは,結晶系(例えば葉状,立方晶系,六方晶系,斜方晶系等)に関わらず任意の形状,小板型,球状又は長方形の無機又は有機性であり得る。タルク,マイカ,シリカ,カオリン,ポリアミド(Nylon(商標))粉末(Atochem製Orgasol(商標)),ポリ-β-アラニン粉末及びポリエチレン粉末,テトラフルオロエチレン(Teflon(商標))ポリマー粉末,ラウロイルリジン,澱粉,窒化ホウ素,ポリマー状中空マイクロスフィア例えばポリビニリデンクロライド/アクリロニトリルのもの,例えばExpancel(商標)(Nobel Industrie),又はアクリル酸コポリマーのもの(DowCorning社製Polytrap(商標)),及びシリコーン樹脂マイクロビーズ(例えば東芝製Tospearls(商標)),エラストマー状ポリオルガノシロキサン粒子,沈降炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,炭酸水素マグネシウム,ハイドロキシアパタイト,中空シリカマイクロスフィア(Maprecos製Silica Beads(商標)),ガラス又はセラミックのマイクロカプセル,及び8〜22の炭素原子,好ましくは12〜18の炭素原子を有する有機カルボン酸から誘導された金属石鹸,例えばステアリン酸亜鉛,ステアリン酸マグネシウム,ステアリン酸リチウム,ラウリン酸亜鉛,又はミリスチン酸マグネシウムが挙げられ得る。
【0162】
本発明に従う組成物は,特に懸濁物,分散物,溶液,ゲル,又はエマルジョン,特に水中油型(O/W)又は油中水型(W/O)又はマルチ型(W/O/W又はポリオール/O/W又はO/W/O)エマルジョンの形態,又はクリーム,ペースト,フォーム,特にイオン性又はノニオン性の脂質中のベシクルの分散物,2相又は多相ローション,スプレー,粉末又はペースト,特に可撓性のあるペーストの形態であり得る。
【0163】
当業者は適切な剤型(galenic form)を,それを製造する方法をもまた,当業者の常識に基づいて,第一に使用される成分の性質,特に基体における成分の溶解度を,第二に,組成物の適切な想定される用途を考慮に入れて選択し得る。
【0164】
本発明に従う組成物は,ケラチン物質特に口唇及び皮膚,特に口唇をケアする及び/又はメイクアップすることを意図されてもよい。
【0165】
本発明に従う組成物は,液状グロスの形であってもよい。
【0166】
以下の実施例は,本発明に従う組成物を非制限的な方法で説明する。
【0167】
量はグラムで表される。
【実施例】
【0168】
実施例1:ポリ(イソボルニルアクリレート/ジイソボルニルメタクリレート/イソブチルアクリレート/アクリル酸)コポリマーの製造
300 gのイソドデカンが,1リットルの反応器に導入され,次に温度が環境温度(25℃)から〜90℃に1時間のうちに行くように上げられる。次に105 gのイソボルニルメタクリレート,105 gのイソボルニルアクリレート及び1.8 gの2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン(Akzo Nobel製Trigonox(商標)141)が90℃において1時間内に添加される。
【0169】
混合物は90℃において1時間30分の間,維持される。
【0170】
次に75 gのイソブチルアクリレート,15 gのアクリル酸及び1.2 gの2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサンが,まだ90℃において30分間で上記混合物に導入される。
【0171】
混合物は90℃において3時間維持され,次に全体が冷却される。
【0172】
イソドデカン中に50%のコポリマーの活性物質を含む溶液が得られる。
【0173】
第一ブロック又は128℃のTgを有するポリ(イソボルニルアクリレート/イソボルニルメタクリレート)ブロック,-9℃のTgを有する第二のポリ(イソブチルアクリレート/アクリル酸)ブロック,及びイソボルニルアクリレート/イソボルニルメタクリレート/イソブチルアクリレート/アクリル酸ランダムコポリマーである中間ブロックを含むコポリマーが得られる。
【0174】
コポリマーのTgは74℃である。
【0175】
これらはFoxの法則により計算された理論Tgである。
【0176】
実施例2:液状グロスタイプの配合物
200 gの以下の配合物のための手順は以下の通りである。
顔料は,予め60℃に至らせられたオクチルドデカノール中,3本ロールミルで3回粉砕される。粉砕された物質は,ジャケット付の加熱パン又はビーカー中で環境温度(25℃)まで冷却するに任される。
コポリマー,スクワラン,ポリブチレン,真珠光沢剤,及び香料が粉砕された物質に添加される。均一化させるために,全体がタービンミキサー(タイプ:レイネリ)を使用して攪拌される。
混合物が均一になったとき,ポリフェニルトリメチルシロキシジメチルシロキサンが約30分に渡って,レイネリで800 rpmにおいて攪拌しながら添加される。
最後に,フュームドシリカが徐々に添加され,タービンミキサーによる攪拌が1000rpmにおいて20分間維持される。
【0177】
【表1】

【0178】
一回の動作で口唇に施与されたこのグロス組成物は,満足のできる快適さと光沢性を有する。
【0179】
組成物の保持もまた改良される;組成物は口唇の輪郭の皺及び小じわの中へ移動しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理学的に許容される媒体中に,
少なくともアルキルメタクリレートモノマー,アルキルアクリレーモノマー,及びアクリル酸モノマーを含む1のコポリマー,
少なくとも16の炭素原子を含み,かつ650 g/モル未満のモル質量を有する炭化水素をベースとする鎖を有する1の非揮発性オイル,及び
650 g/モル以上のモル質量を有する1の光沢のあるオイル
を少なくとも含む化粧料組成物。
【請求項2】
該ブロックコポリマーが,少なくとも1の第一ブロック及び少なくとも1の第二ブロックを含み,第一ブロックは,式CH2=CH-COOR2(ここでR2はC4〜C12のシクロアルキル基を表す)の少なくとも1のアクリレートモノマーから,及び式CH2=C(CH3)-COOR’2(ここでR’2はC4〜C12シクロアルキル基を表す)の少なくとも1のメタクリレートモノマーから得られ,
第二ブロックは,アクリル酸モノマーから,及び20℃以下のガラス転移温度を有する少なくとも1の他のモノマーから得られる,
請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
20℃以下のガラス転移温度を有するモノマーが,式CH2=CHCOOR3(R3は,tert-ブチル基を除く無置換の,直鎖又は分岐状のC1〜C12アルキル基であって,該基においてO,N及びSから選択された1以上のヘテロ原子が任意的に挿入されていてもよい)のアクリレートから選択される,請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
組成物の合計重量に対して40重量%未満のコポリマー活性物質を含む,請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
非揮発性オイルがスクワランである,請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
組成物の合計重量に対して2重量%〜50重量%の非揮発性オイルを含む,請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
光沢のあるオイルがポリブチレンである,請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
組成物の合計重量に対して5重量%〜50重量%の少なくとも1の光沢のあるオイルを含む,請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
該組成物が無水である,請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
口唇をケアする及び/又はメイクアップするための,請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物の口唇への施与を含む,口唇をメイクアップするための化粧方法。
【請求項12】
口唇の上に,良好な耐久性及び満足できる光沢を有する堆積物を付与することを意図された組成物において,アルキルメタクリレートモノマー,アルキルアクリレートモノマー,及びアクリル酸モノマーを含むコポリマーを使用する方法。

【公開番号】特開2008−44937(P2008−44937A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−194997(P2007−194997)
【出願日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(595100370)ロレアル (108)
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL
【Fターム(参考)】