説明

コモンモードフィルタおよびその製造方法

【課題】コモンモードフィルタにおいて、従来技術の欠点を克服し、製作を簡単にし、製造コストを削減する。
【解決手段】コモンモードフィルタ10は、絶縁基板11と、下部コイルリード層13と、コイル本体積層構造18と、上部コイルリード層16とを備える。上部コイルリード層16は、上部リード線161と、上部リード端子162と、上部コンタクト163とを備えている。下部コイルリード層13は、下部リード線131と、下部リード端子132と、下部コンタクト133とを備えている。上部リード線161の両端は、上部リード端子162および上部コンタクト163にそれぞれ接続されるとともに、上部コンタクト163にまで延在してこれを巻回している。下部リード線131の両端は、下部リード端子132および下部コンタクト133にそれぞれ接続されるとともに、下部コンタクト133にまで延在してこれを巻回している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコモンモードフィルタおよびその製造方法に関し、特に薄膜コモンモードフィルタおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コモンモードフィルタはコモンモード電流を抑制するための素子であって、前記コモンモード電流は平行した伝送路内で電磁干渉を引き起こしてしまう。現在、コモンモードフィルタは携帯型通信機器に応用可能とすべく、小型化および高密度化の構造が求められることから、薄膜型および積層型のコモンモードフィルタが徐々に従来のコイル型コモンモードフィルタに取って代わってきている。コイル型コモンモードフィルタはまさにその名の通り、円柱状のフェライトコアに巻線を巻回した形状である。一方、薄膜型および積層型のコモンモードフィルタでは、例えば、薄膜型コモンモードフィルタは通常フェライト板に、フォトリソグラフィ技術を用いて、平面状のコイルを形成するという具合により多くの半導体製造工程を必要とする。また、積層型コモンモードフィルタでは、フェライト板に、スクリーン印刷技術でコイルを形成して、さらに焼成圧着の工程で完成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7,145,427B2号明細書
【特許文献2】米国特許第6,356,181B1号明細書
【特許文献3】米国特許第6,618,929B2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コイル線のコモンインピーダンスを調整するために、特許文献1にはコモンモードノイズフィルタ素子が開示されている。特許文献1では、コイル線を磁性基板上に形成するとともに、非直線のコイル線構造の一部にエッチング技術で孔を形成し、さらに磁性粉末を混入した合成樹脂を孔内に埋め込む。その後、平坦化工程で表面を平坦化した後、接着技術で他の磁性基板と接着して、前記素子の製作が完了する。この先行技術は絶縁層の厚みを変更してコモンインピーダンス調整しているので、厚みの調節こそがコモンインピーダンスを調節する重要な要因となる。しかしながら、絶縁層の厚みの調節は、製造方式、製造工程の変数および絶縁材料の性質に依存するので、厚みを正確な範囲に調節するのは容易ではなく、または相当に製造コストが嵩んでしまう。
【0005】
また特許文献2および特許文献3には積層型のコモンモードフィルタが開示されており、これもまた磁性基板の上にコイル構造を製作するとともに、磁性材料で被覆するものである。この先行技術はコイルの配置パターンを変更することで、差動信号のインピーダンスを低減するものである。しかしながら、コイルの配置パターンは連続してしかも異なる層に配置されているので、複雑になってしまい、しかも影響する変数はより多くなってしまう。
【0006】
上記をまとめるに、市場においては、製作が簡単でコモンインピーダンスを正確に変更可能とすることで、上記した従来技術のコモンモードフィルタに存在する欠点を克服するとともに、製造コストを削減できる製品が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、リード線が開口部のコンタクトを巻回するため、前記リード線の巻回パターンを変更するのみで、コモンインピーダンス値を正確に調整することができる、構造が簡素でコモンインピーダンスを調整可能なコモンモードフィルタを提供する。
【0008】
本発明は、リード線を異なるパターンで設計することでコモン信号のインピーダンスを調整するとともに、一般的なフォトリソグラフィを用いて正確なパターン調節が達成されるので、より正確なコモンインピーダンス値の調整が達成できつつ、コストが別途嵩むようなことのない、コモンモードフィルタの低コストの製造方法を提供する。
【0009】
上記をまとめるに、本発明は、絶縁基板と、下部コイルリード層と、コイル本体積層構造と、上部コイルリード層とを備えたコモンモードフィルタを開示する。前記上部コイルリード層は、少なくとも一つの上部リード線と、少なくとも一つの上部リード端子と、少なくとも一つの上部コンタクトとを備えており、また前記下部コイルリード層は少なくとも一つの下部リード線と、少なくとも一つの下部リード端子と、少なくとも一つの下部コンタクトとを備えている。前記上部リード線の両端は前記上部リード端子および前記上部コンタクトにそれぞれ接続されるとともに、前記上部コンタクトにまで延在してこれを巻回している。前記下部リード線の両端は前記下部リード端子および前記下部コンタクトにそれぞれ接続されるとともに、前記下部コンタクトにまで延在してこれを巻回している。前記コイル本体積層構造は前記上部コイルリード層と前記下部コイルリード層の間に介在され、そして前記下部コイルリード層は前記絶縁基板上に設けられている。
【0010】
本発明はさらにコモンモードフィルタの製造方法を開示しており、絶縁基板を提供する工程と、少なくとも一つの下部リード線と、少なくとも一つの下部リード端子と、少なくとも一つの下部コンタクトとを備えており、前記下部リード線の両端が前記下部リード端子および前記下部コンタクトにそれぞれ接続されるとともに、前記下部コンタクトにまで延在してこれを巻回している下部コイルリード層を前記絶縁基板上に形成する工程と、コイル本体積層構造を前記下部コイルリード層上に形成する工程と、少なくとも一つの上部リード線と、少なくとも一つの上部リード端子と、少なくとも一つの上部コンタクトとを備えており、前記上部リード線の両端が前記上部リード端子および前記上部コンタクトにそれぞれ接続されるとともに、前記上部コンタクトにまで延在してこれを巻回している上部コイルリード層を前記コイル本体層上に形成する工程と、を含む。
【0011】
本発明の一実施例では、磁性材料層を前記上部コイルリード層の上方に形成する。
【発明の効果】
【0012】
前記リード線の巻回パターンを変更するのみで、構造が簡素でコモンインピーダンス値を正確に調整することができる。
【0013】
リード線を異なるパターンで設計することでコモン信号のインピーダンスを調整するとともに、一般的なフォトリソグラフィを用いて正確なパターン調節が達成されるので、より正確なコモンインピーダンス値の調整が達成できつつ、コストが別途嵩むようなことがない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例におけるコモンモードフィルタの分解概略図
【図2】本発明の他の実施例におけるコモンモードフィルタの分解概略図
【図3A】本発明の他のリード線ユニット33の概略図
【図3B】本発明のさらに他のリード線ユニット33’の概略図
【図3C】従来技術のリード線ユニット33’’の概略図
【図4】本発明の図3Aおよび図3Bにおけるリード線ユニットと従来技術のリード線ユニットとを比較した挿入損失図
【図5A】本発明の他の実施例におけるコモンモードフィルタ50の構造概略図
【図5B】本発明のさらに他の実施例におけるコモンモードフィルタ50’の構造概略図
【図6A】本発明の一実施例におけるコモンモードフィルタの製造方法の工程の概略図
【図6B】本発明の一実施例におけるコモンモードフィルタの製造方法の工程の概略図
【図6C】本発明の一実施例におけるコモンモードフィルタの製造方法の工程の概略図
【図6D】本発明の一実施例におけるコモンモードフィルタの製造方法の工程の概略図
【図6E】本発明の一実施例におけるコモンモードフィルタの製造方法の工程の概略図
【図6F】本発明の一実施例におけるコモンモードフィルタの製造方法の工程の概略図
【図6G】本発明の一実施例におけるコモンモードフィルタの製造方法の工程の概略図
【図6H】本発明の一実施例におけるコモンモードフィルタの製造方法の工程の概略図
【図6I】本発明の一実施例におけるコモンモードフィルタの製造方法の工程の概略図
【図6J】本発明の一実施例におけるコモンモードフィルタの製造方法の工程の概略図
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明の一実施例におけるコモンモードフィルタの分解概略図である。図1に示すように、コモンモードフィルタ10は絶縁基板11と、第1の絶縁層121と、下部コイルリード層13と、第2の絶縁層122と、第1のコイル本体層14と、第3の絶縁層123と、第2のコイル本体層15と、第4の絶縁層124と、上部コイルリード層16と、第5の絶縁層125と、磁性材料層17とを備えている。また前記第2の絶縁層122、第1のコイル本体層14、第3の絶縁層123、第2のコイル本体層15および第4の絶縁層124はコイル本体積層構造18を構成している。
【0016】
前記下部コイルリード層13は二つの下部リード線ユニット13aおよび13bを備えており、各リード線ユニットは下部リード線131と、下部リード端子132と、下部コンタクト133とを備えている。前記下部リード線131の両端は前記下部リード端子132および前記下部コンタクト133にそれぞれ接続されるとともに、前記下部コンタクト133にまで延在してこれを巻回している。前記下部リード線131に電流が流れると、その経路が前記下部コンタクト133を巻回することで、誘電効果が生じるので、コモンインピーダンスが増加するとともにコモンモードの周波数が低下する。同じように、前記上部コイルリード層16は二つの上部リード線ユニット16aおよび16bを有し、各リード線ユニットは上部リード線161と、上部リード端子162と、上部コンタクト163とを備えている。前記上部リード線161の両端は前記上部リード端子162および前記上部コンタクト163にそれぞれ接続されるとともに、前記上部コンタクト163にまで延在してこれを巻回している。
【0017】
前記第1のコイル本体層14は二つの螺旋状コイル線141および螺旋状コイル線142を備えており、前記螺旋状コイル線141および螺旋状コイル線142は前記第2の絶縁層122の各開口部1221中におけるガイド突起1222をそれぞれ介して、下部リード線ユニット13aおよび13bに電気的に接続されている。同様に、前記第2のコイル本体層15は二つの螺旋状コイル線151および152を備えており、前記螺旋状コイル線151および螺旋状コイル線152は前記第4の絶縁層124の各開口部1241中におけるガイド突起1242をそれぞれ介して、上部リード線ユニット16aおよび16bに電気的に接続されている。本実施例では二組の螺旋状コイル線を有しているが、これに限定されず、より多くの螺旋状コイル線を同一のコモンモードフィルタ中に製作してもよい。
【0018】
前記絶縁基板11の材質は、酸化アルミニウム(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、ガラス、石英またはフェライトである。前記第1の絶縁層121から前記第5の絶縁層125の材質は、ポリイミド、エポキシ樹脂、ベンゾシクロブデン(BCB)樹脂またはその他高分子重合体とすることができる。前記下部コイルリード層13、前記第1のコイル本体層14、前記第2のコイル本体層15および前記上部コイルリード層16の材質は、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、金(Au)、銅(Cu)または白金(Pt)とすることができる。前記磁性材料層17の材質は、磁性基材または磁性粉末を混入した合成樹脂とすることができる。前記磁性粉末の合成樹脂は、磁性粉末とポリイミド、エポキシ樹脂、ベンゾシクロブデン(BCB)樹脂またはその他高分子重合体のうちの一つとを混合して作製することができる。
【0019】
図2は本発明の他の実施例におけるコモンモードフィルタの分解概略図である。図2に示すように、コモンモードフィルタ20は、絶縁層21と、第1の絶縁層221と、下部コイルリード層23と、第2の絶縁層222と、第1のコイル本体層24と、第3の絶縁層223と、第2のコイル本体層25と、第4の絶縁層224と、上部コイルリード層26と、第5の絶縁層225と、磁性材料層27とを備えている。図1における実施例と比較するに、本実施例では螺旋状コイル線が一組である。また第2の絶縁層222、第1のコイル本体層24、第3の絶縁層223、第2のコイル本体層25および第4の絶縁層224はコイル本体積層構造28である。
【0020】
図3Aは本発明の他のリード線ユニット33の概略図である。リード線331の両端は、リード端子332およびコンタクト333にそれぞれ接続されるとともに、前記コンタクト333にまで延在してこれを巻回している。図中におけるリード線331は、巻線全体で前記コンタクト333を略巻回するとともに、概ね正方形の巻回経路をなしている。前記リード線331は、例えば長方形、円形、八角形、不規則な形状という具合に異なる形状の巻回経路に変化することができ、これにより前記コモンモードノイズフィルタ素子のコモンインピーダンス値を調整することができる。
【0021】
図3Bは本発明のさらに他のリード線ユニット33’の概略図である。リード線331’の両端は、リード端子332’およびコンタクト333’にそれぞれ接続されるとともに、前記コンタクト333’にまで延在してこれを巻回している。図中におけるリード線331’は前記コンタクト333’の概ね3/4周を巻回しているが、1/2周、1/4周、倍数の巻き数または分数の巻き数も選択することができる。
【0022】
図3Cは従来技術のリード線ユニット33’’の概略図である。リード線331’’の両端はリード端子332’’およびコンタクト333’’にそれぞれ接続されるとともに、前記コンタクト333’’から直接引き出されるが、巻回はされない。
【0023】
図4は本発明の図3Aおよび図3Bにおけるリード線ユニットと従来技術のリード線ユニットとを比較した挿入損失図(S21)である。ここで従来技術のリード線ユニットのリード線は前記コンタクトを巻回しておらず、つまり図3C中におけるリード線ユニット33’’を対照サンプルとするものである。図から理解できるように、図3Aおよび3Bにおけるリード線ユニット33および33’はコモンインピーダンスを増加させて、コモンモードの共振周波数を低下させるので、コモンモードフィルタの高周波特性およびコモンモードの周波数除去範囲を向上させて調整することができる。
【0024】
図1および図2における磁性材料層を最上層に積層する以外にも、最上層および最下層を被覆してもよい。図5Aは本発明の他の実施例におけるコモンモードフィルタ50の構造概略図であり、図中、第1の磁性材料層571が絶縁基板11の下面を被覆し、また第2の磁性材料層572が第5の絶縁層125の上面を被覆している。図5Bは本発明のさらに他の実施例におけるコモンモードフィルタ50’の構造概略図であり、図中、第3の磁性材料層573および第4の磁性材料層574がコモンモードフィルタ50’における対向する両側の面を被覆している。また、両側表面には電極が設けられているが、磁性材料層は被覆されていない。上記した磁性材料層はコモンモードフィルタの誘電効果を向上させることができる。
【0025】
図6Aないし図6Jは本発明の一実施例におけるコモンモードフィルタの製造方法の各工程の概略図である。図6Aに示すように、絶縁基板11上に第1の絶縁層121をスピンコーティング法で塗布する。図6Bに示すように、金属薄膜積層工程、フォトリソグラフィ技術または電気めっき工程などを用いて、下部コイルリード層13を製作する。続いて、図6Cに示すように、第2の絶縁層122をスピンコーティング法で塗布するとともに、フォトリソグラフィ技術またはエッチング技術などを用いて、リード線接続用の開口部1221を製作する。そして図6Dに示すように、再度薄膜積層工程、フォトリソグラフィ技術または電気めっき工程などを用いて第1のコイル本体層14を製作する。図6Eに示すように、第3の絶縁層123をスピンコーティング法で塗布する。図6Fに示すように、金属薄膜積層工程、フォトリソグラフィ技術または電気めっき工程などを用いて、第2のコイル本体層15を製作する。図6Gに示すように、第4の絶縁層124をスピンコーティング法で塗布するとともに、フォトリソグラフィ技術またはエッチング技術などを用いて、リード線接続用の開口部1241を製作する。図6Hに示すように、金属薄膜積層工程、フォトリソグラフィ技術または電気めっき工程を用いて、上部コイルリード層16を製作する。図6Iに示すように、上部コイルリード層16の表面に第5の絶縁層125をスピンコーティング法で塗布する。図6Jに示すように、接着工程技術、スクリーン印刷工程またはスピンコーティング技術などを用いて、第5の絶縁層125上に磁性材料層17を形成する。
【0026】
本発明の技術内容および技術的特徴は上記のように開示したが、当該技術に習熟する当業者であれば、本発明の教示および開示に基づいて、本発明の技術的思想に違わない様々な置換および付加を行うことは可能である。したがって、本発明の保護範囲は実施例に開示するものに限定されることなく、本発明に違わない様々な置換および付加が含まれるものであるとともに、別紙の特許請求の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0027】
10、20、50、50’ コモンモードフィルタ
11 絶縁基板
121、221 第1の絶縁層
1221、1241 開口部
1222、1242 ガイド突起
122、222 第2の絶縁層
123、223 第3の絶縁層
124、224 第4の絶縁層
125、225 第5の絶縁層
13、23 下部コイルリード層
13a、13b 下部リード線ユニット
131 下部リード線
132 下部リード端子
133 下部コンタクト
14、24 第1のコイル本体層
141、142 螺旋状コイル線
15、25 第2のコイル本体層
151、152 螺旋状コイル線
16、26 上部コイルリード層
16a、16b 上部リード線ユニット
161 上部リード線
162 上部リード端子
163 上部コンタクト
17、27 磁性材料層
18、28 コイル本体積層構造
21 絶縁層
33、33’、33’’ リード線ユニット
331、331’、331’’ リード線
332、332’、332’’ リード端子
333、333’、333’’ コンタクト
571 第1の磁性材料層
572 第2の磁性材料層
573 第3の磁性材料層
574 第4の磁性材料層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板と、
少なくとも一つの下部リード線と、少なくとも一つの下部リード端子と、少なくとも一つの下部コンタクトとを備えており、前記下部リード線の両端は前記下部リード端子および前記下部コンタクトにそれぞれ接続されるとともに、前記下部コンタクトにまで延在してこれを巻回している、前記絶縁基板上に設けられている下部コイルリード層と、
少なくとも一つの上部リード線と、少なくとも一つの上部リード端子と、少なくとも一つの上部コンタクトとを備えており、前記上部リード線の両端は前記上部リード端子および前記上部コンタクトにそれぞれ接続されるとともに、前記上部コンタクトにまで延在してこれを巻回している上部コイルリード層と、
前記上部コイルリード層と前記下部コイルリード層の間に介在されているコイル本体積層構造と、
を具備したことを特徴とするコモンモードフィルタ。
【請求項2】
前記下部リード線が前記下部コンタクトを巻回する、または前記上部リード線が前記上部コンタクトを巻回する巻回経路が、正方形、長方形、円形、八角形または不規則な形状であることを特徴とする請求項1に記載のコモンモードフィルタ。
【請求項3】
前記下部リード線が前記下部コンタクトを巻回する、または前記上部リード線が前記上部コンタクトを巻回する巻回経路が、一周、3/4周、倍数の巻き数または分数の巻き数であることを特徴とする請求項1に記載のコモンモードフィルタ。
【請求項4】
前記絶縁基板と前記下部コイルリード層との中間に設けられている第1の絶縁層をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のコモンモードフィルタ。
【請求項5】
前記コイル本体積層構造は、順次積層して設けられている、第2の絶縁層と、第1のコイル本体層と、第3の絶縁層と、第2のコイル本体層と、第4の絶縁層とを備えており、また前記第1のコイル本体層および前記第2のコイル本体層は少なくとも一つの螺旋状コイル線をそれぞれ備えたことを特徴とする請求項4に記載のコモンモードフィルタ。
【請求項6】
前記上部コイルリード層の上方に順次積層して設けられている、第5の絶縁層と、第1の磁性材料層とをさらに備えたことを特徴とする請求項5に記載のコモンモードフィルタ。
【請求項7】
前記絶縁基板の表面に設けられている第2の磁性材料層をさらに備えたことを特徴とする請求項6に記載のコモンモードフィルタ。
【請求項8】
前記コイル本体積層構造における対向する両側に設けられている、第3の磁性材料層と、第4の磁性材料層とをさらに備えたことを特徴とする請求項7に記載のコモンモードフィルタ。
【請求項9】
前記絶縁基板の材質が、酸化アルミニウム(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、ガラス、石英またはフェライトであることを特徴とする請求項1に記載のコモンモードフィルタ。
【請求項10】
前記第1の絶縁層、前記第2の絶縁層、前記第3の絶縁層、前記第4の絶縁層および前記第5の絶縁層の材質が、ポリイミド、エポキシ樹脂、ベンゾシクロブデン(BCB)樹脂またはその他高分子重合体であることを特徴とする請求項6に記載のコモンモードフィルタ。
【請求項11】
前記下部コイルリード層、前記第1のコイル本体層、前記第2のコイル本体層および前記上部コイルリード層の材質が、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、金(Au)、銅(Cu)または白金(Pt)であってもよいことを特徴とする請求項5に記載のコモンモードフィルタ。
【請求項12】
前記第1の磁性材料層、前記第2の磁性材料層、前記第3の磁性材料層および前記第4の磁性材料層の材質が、磁性基材または磁性粉末を混入した合成樹脂であることを特徴とする請求項8に記載のコモンモードフィルタ。
【請求項13】
前記磁性粉末の合成樹脂の材質が、磁性粉末とポリイミド、エポキシ樹脂、ベンゾシクロブデン(BCB)樹脂または高分子重合体のうちの一つとの混合物であることを特徴とする請求項12に記載のコモンモードフィルタ。
【請求項14】
コモンモードフィルタの製造方法であって、
絶縁基板を提供する工程と、
少なくとも一つの下部リード線と、少なくとも一つの下部リード端子と、少なくとも一つの下部コンタクトとを備えており、前記下部リード線の両端が前記下部リード端子および前記下部コンタクトにそれぞれ接続されるとともに、前記下部コンタクトにまで延在してこれを巻回している下部コイルリード層を前記絶縁基板上に形成する工程と、
コイル本体積層構造を前記下部コイルリード層上に形成する工程と、
少なくとも一つの上部リード線と、少なくとも一つの上部リード端子と、少なくとも一つの上部コンタクトとを備えており、前記上部リード線の両端が前記上部リード端子および前記上部コンタクトにそれぞれ接続されるとともに、前記上部コンタクトにまで延在してこれを巻回している上部コイルリード層を前記コイル本体層上に形成する工程と、
を含むことを特徴とするコモンモードフィルタの製造方法。
【請求項15】
前記絶縁基板と前記下部コイルリード層との間に介在される第1の絶縁層を前記絶縁基板の表面に塗布する工程をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載のコモンモードフィルタの製造方法。
【請求項16】
前記コイル本体積層構造を製造する工程が、
第2の絶縁層を前記下部コイルリード層上に塗布するとともに、前記第2の絶縁層に少なくとも一つの第1の開口部を形成する工程と、
第1のコイル本体層を前記第2の絶縁層上に形成する工程と、
第3の絶縁層を前記第1のコイル本体層上に塗布する工程と、
第2のコイル本体層を前記第3の絶縁層上に形成する工程と、
第4の絶縁層を前記第2のコイル本体層上に塗布するとともに、前記第4の絶縁層に少なくとも一つの第2の開口部を形成する工程と、
を含むことを特徴とする請求項15に記載のコモンモードフィルタの製造方法。
【請求項17】
前記下部コイルリード層、前記第1のコイル本体層、前記第2のコイル本体層および前記上部コイルリード層が金属薄膜積層工程、フォトリソグラフィ技術または電気めっき工程により形成されることを特徴とする請求項16に記載のコモンモードフィルタの製造方法。
【請求項18】
第5の絶縁層および第1の磁性材料層を前記上部コイルリード層に順次形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項16に記載のコモンモードフィルタの製造方法。
【請求項19】
前記第1の絶縁層、前記第2の絶縁層、前記第3の絶縁層、前記第4の絶縁層および前記第5の絶縁層が塗布により形成されることを特徴とする請求項16に記載のコモンモードフィルタの製造方法。
【請求項20】
前記絶縁基板における前記下部コイルリード層に対向する面に第2の磁性材料層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項18に記載のコモンモードフィルタの製造方法。
【請求項21】
前記コイル本体積層構造における対向する両側に第3の磁性材料層と、第4の磁性材料層とを形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項20に記載のコモンモードフィルタの製造方法。
【請求項22】
前記絶縁基板の材質が、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ガラス、石英またはフェライトであることを特徴とする請求項14に記載のコモンモードフィルタの製造方法。
【請求項23】
前記第1の絶縁層、前記第2の絶縁層、前記第3の絶縁層、前記第4の絶縁層および前記第5の絶縁層の材質が、ポリイミド、エポキシ樹脂、ベンゾシクロブデン樹脂またはその他高分子重合体であってもよいことを特徴とする請求項18に記載のコモンモードフィルタの製造方法。
【請求項24】
前記下部コイルリード層、前記第1のコイル本体層、前記第2のコイル本体層および前記上部コイルリード層の材質が、銀、パラジウム、アルミニウム、クロム、ニッケル、チタン、金、銅または白金であることを特徴とする請求項16に記載のコモンモードフィルタの製造方法。
【請求項25】
前記第1の磁性材料層、前記第2の磁性材料層、前記第3の磁性材料層および前記第4の磁性材料層の材質が、磁性基材または磁性粉末を混入した合成樹脂であることを特徴とする請求項21に記載のコモンモードフィルタの製造方法。
【請求項26】
前記磁性粉末の合成樹脂の材質が、磁性粉末とポリイミド、エポキシ樹脂、ベンゾシクロブデン樹脂または高分子重合体のうちの一つとの混合物であることを特徴とする請求項25に記載のコモンモードフィルタの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図6G】
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【図6H】
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【図6I】
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【図6J】
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【公開番号】特開2011−35364(P2011−35364A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275382(P2009−275382)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(509333988)インパック テクノロジー カンパニー リミテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】INPAQ TECHNOLOGY CO., LTD.
【Fターム(参考)】