説明

コラーゲンと黒砂糖エキスとを含有する化粧料組成物

【課題】 皮膚の老化を予防して、皮膚の保水性と弾力性を回復することができる化粧料組成物を提供すること。
【解決手段】 コラーゲンと、黒砂糖エキスとを含有することを特徴とする化粧料組成物とする。前記黒砂糖エキスは、フェニルグルコース化合物であることが好ましい。前記フェニルグルコース化合物として、2,5−ジメトキシフェニル−4’−O−D−グルコース、3,4−ジメトキシフェニル−4’−O−D−グルコース及び2,4,5−トリメトキシフェニル−4’−O−D−グルコースからなる群から選択される一種以上を含有することが好ましい。前記コラーゲンは、加水分解コラーゲン及び/又は水溶性コラーゲンであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコラーゲンと黒砂糖エキスとを含有する化粧料組成物に関する。本発明の目的は、皮膚の老化を予防して、皮膚の保水性と弾力性を回復することができる化粧料組成物を提供することにある。
【背景技術】
【0002】
コラーゲンは、皮膚、血管、腱、骨、歯などの結合組織を構成する線維状タンパク質である。哺乳類の場合、全タンパク質の約1/3がコラーゲンであるといわれている。コラーゲンの役割は、生体の保護、支持などの物理的な役割と、細胞間マトリックスとしての細胞基質の役割を果たしている。
加齢によって繊維芽細胞の活性が衰えることにより、コラーゲンの生合成量が低下する。繊維芽細胞は古くなったコラーゲンを分解して新しいコラーゲンを合成するという新陳代謝を常に行っている。繊維芽細胞の活性が低下することにより、コラーゲンの生合成量が低下して、コラーゲンが不足する。特に皮膚にはコラーゲンが大量に存在していることから、コラーゲンの生合成量が低下すると、影響を受け易い。具体的には、皮膚の保水性や弾力性が低下し、肌のシワが増加し、たるみの原因となる。
【0003】
コラーゲンは化粧料原料として用いられており、コラーゲンは皮膚表面における水分保持能を高めることが知られており、特許文献1には、コラーゲンと、海藻抽出物と、ニンジン抽出物とを含有する皮膚外用剤が開示されている。
特許文献2には、コラーゲンと、水溶性核タンパク質分解物とを含有する組成物が開示されている。
特許文献3には、コラーゲンと尿素とを含有する外用組成物が開示されている。
特許文献4には、コラーゲンと海藻抽出物とを含有する皮膚外用剤が開示されている。
特許文献5には、コラーゲンと、エゴマ油と、ヒアルロン酸とを含有する化粧料が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−35432号公報
【特許文献2】特開2004−16142号公報
【特許文献3】特開2003−321354号公報
【特許文献4】特開2000−229832号公報
【特許文献5】特開平7−145031号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記したコラーゲンを含有する化粧料組成物は、コラーゲンを含有することにより、確かに皮膚表面における水分保持能を高めることができるものの、それ以上の効果、即ち、皮膚の老化を予防したり、皮膚の保水性と弾力性を高めたりすることは困難であった。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を続けたところ、コラーゲンに黒砂糖エキスを加えることによって、皮膚の老化を予防したり、皮膚の保水性と弾力性を高めたりすることができることを見出し、本発明の完成に至った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、請求項1に係る発明は、コラーゲンと、黒砂糖エキスとを含有することを特徴とする化粧料組成物に関する。
請求項2に係る発明は、前記黒砂糖エキスが、フェニルグルコース化合物であることを特徴とする請求項1に記載の化粧料組成物に関する。
【0007】
請求項3に係る発明は、前記フェニルグルコース化合物として、次式1(化1)に示される2,5−ジメトキシフェニル−4’−O−D−グルコース、次式2(化2)に示される3,4−ジメトキシフェニル−4’−O−D−グルコース及び次式3(化3)に示される2,4,5−トリメトキシフェニル−4’−O−D−グルコースからなる群から選択される一種以上を含有することを特徴とする請求項2に記載の化粧料組成物に関する。
【0008】
【化1】

【0009】
【化2】

【0010】
【化3】

【0011】
請求項4に係る発明は、前記コラーゲンが、加水分解コラーゲン及び/又は水溶性コラーゲンであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の化粧料組成物に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る化粧料組成物は、有効成分として、コラーゲンと、黒砂糖エキスとを含有しているので、皮膚の老化を予防したり、皮膚の保水性と弾力性を高めたりすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る化粧料組成物に関して詳細に説明する。
本発明に係る化粧料組成物は、有効成分として、黒砂糖エキスとコラーゲンとを含有する。
黒砂糖エキスは、サトウキビ(Saccharum officinarum L.)から製造される黒砂糖(粗製糖)の着色成分を分離・濃縮することにより製造することができる。
黒砂糖エキスの着色成分を分離・濃縮する方法は特に限定されず、例えば黒砂糖を適当量の水に溶解し、これを吸着剤に接触させて天然黒色成分を吸着させた後に、吸着剤を水洗して糖分を充分除去し、最後に吸着された天然黒色成分を溶媒により溶離させことにより製造することができる。通常、この操作は吸着剤が充填されたカラムを用いて行われる。用いられる吸着剤としては、非極性のポリスチレン系吸着樹脂、例えばアンバーライトXAD−1、アンバーライトXAD−2(商品名、ローム・アンド・ハース社製)及びセルバクロムXAD−2(商品名、セルバ社製)等を例示することができ、収率の面からセルバクロムXAD−2を用いることが好ましい。吸着剤の使用量は特に限定されないが、含有天然黒色成分量の30〜300重量倍、より好ましくは50〜200重量倍とされる。
【0014】
黒砂糖エキスには、次式4(化4)に示される2,5−ジメトキシフェニル−4’−O−D−グルコース、次式5(化5)に示される3,4−ジメトキシフェニル−4’−O−D−グルコース、次式6(化6)に示される2,4,5−トリメトキシフェニル−4’−O−D−グルコースなどの、フェニルグルコース化合物が含まれている。
本発明では、黒砂糖エキスからフェニルグルコース化合物を分離して、本発明に係る化粧料組成物に配合することができる。
フェニルグルコース化合物は黒砂糖エキスをシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより得ることができる。
【0015】
【化4】

【0016】
【化5】

【0017】
【化6】

【0018】
本発明に係る化粧料組成物の第二の有効成分は、コラーゲンである。コラーゲンは、皮膚、血管、腱、骨、歯などの結合組織を構成する線維状タンパク質である。
一般的に、コラーゲンは、ウシ、ブタ、ヒツジ等の哺乳類、ニワトリ等の鳥類、或いは魚類などの皮膚や骨等から抽出することにより得られる。
また必要に応じて、低分子化処理を施すこともできる。コラーゲンを低分子化するには、酸処理、アルカリ処理或いは、ペプシン、トリプシン、コラゲナーゼなどによる酵素処理によって、コラーゲンを加水分解物すればよい。低分子化処理することにより、水に不溶性であったコラーゲンが水溶性となる。
【0019】
コラーゲンと、黒砂糖エキスの含有量の比は特に限定されないが、コラーゲン1重量部に対して黒砂糖エキスを0.01〜100重量部、好ましくは0.1〜10重量部含有させると良い。コラーゲンの含有量に対して黒砂糖エキスの含有量が極端に少ない場合や、極端に多い場合、コラーゲンと黒砂糖エキスの相乗効果が得にくくなる。
【0020】
コラーゲンと黒砂糖エキスの合計の含有量は特に限定されないが、本発明に係る化粧料組成物中、0.0001〜100重量%、好ましくは0.001〜90重量%とされる。
【0021】
本発明に係る化粧料組成物では、上記した有効成分に加えて、通常の化粧料組成物に配合される成分、例えばビタミン類、ヒアルロン酸ナトリウム等の保湿剤、増粘剤、界面活性剤、湿潤剤、香料、色素、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、アミノ酸類、各種動植物抽出物、胎盤抽出物などを適宜任意に組み合わせて配合することもできる。
【0022】
本発明に係る化粧料組成物の形態は特に限定されず、ローション、乳液、クレンジングクリーム、マッサージクリーム、エモリエントクリーム等のクリーム類、パック類等の基礎化粧品、或いはファンデーション、口紅、頬紅、アイシャドー、おしろい等のメークアップ化粧品等として用いることができる。また石鹸、洗顔クリーム、ボディローション、入浴剤、シャンプー、リンス等に調製することもできる。
【実施例】
【0023】
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0024】
1.試料の調製
黒砂糖エキス及びコラーゲンの等量混合物を実施例1の試料とした。黒砂糖エキスを比較例1の試料とした。コラーゲンを比較例2の試料とした。
実施例1及び比較例1〜2の各試料を用いて、以下の組成に従い、3種類のクリームを調製した。
【0025】
各試料 2.0
ミツロウ 6.0
エタノール 5.0
還元ラノリン 8.0
スクワラン 37.5
酸化防止剤 適 量
防腐剤 適 量
プロピレングリコール 5.0
精製水 残 量
合計 100.0重量%
【0026】
2.試験例
上記調製したクリームそれぞれを、乾燥肌で肌荒れを起こしている女性10名のパネラーに、1日3〜5回、肌荒れを起こしている部位に塗布してもらった。1ヶ月後、肌荒れ改善の程度及びしっとり感について、以下の評価基準に従い評価した。
10名のパネラーの平均値を算出した。結果を表1に記載する。
【0027】
[評価基準]
使用前より悪化している 0点
使用前と殆ど変化がない 1点
使用前に比べてやや改善している 2点
使用前に比べてかなり改善している 3点
【0028】
【表1】

【0029】
表1に示されるとおり、本発明に係る化粧料組成物は優れた美肌効果が得られることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明に係る化粧料組成物は、皮膚の老化を予防して、皮膚の保水性と弾力性を回復することができるので、皮膚用の化粧料組成物として好適に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コラーゲンと、黒砂糖エキスとを含有することを特徴とする化粧料組成物。
【請求項2】
前記黒砂糖エキスが、フェニルグルコース化合物であることを特徴とする請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項3】
前記フェニルグルコース化合物として、次式1(化1)に示される2,5−ジメトキシフェニル−4’−O−D−グルコース、次式2(化2)に示される3,4−ジメトキシフェニル−4’−O−D−グルコース及び次式3(化3)に示される2,4,5−トリメトキシフェニル−4’−O−D−グルコースからなる群から選択される一種以上を含有することを特徴とする請求項2に記載の化粧料組成物。
【化1】

【化2】

【化3】

【請求項4】
前記コラーゲンが、加水分解コラーゲン及び/又は水溶性コラーゲンであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の化粧料組成物。

【公開番号】特開2006−28020(P2006−28020A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−204153(P2004−204153)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【出願人】(390016997)株式会社大阪薬品研究所 (3)
【Fターム(参考)】