説明

コリメーション光学素子を持つLED光源

【課題】従来技術の不都合を軽減するLED光源を提供すること。
【解決手段】本発明は、好ましくは0.1よりも大きいアスペクト比を有する非球面ガラス・レンズを含むLED光源に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コリメーション光学素子を含むLED光源に関する。詳細には、本発明は、レンズ・アレイおよびレンズ・アレイを製作するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光半導体ダイオード(LED)は、照明目的のためにますます使用されている。そのような光源の利点は、それらの高効率および長寿命である。
【0003】
例えば回路基板上に薄膜LEDとして配置される半導体の発光層は、180°の広い角度内で光を放出する。多くの照明目的にとって、LED(複数可)によって放出される光を束ねることは有利である。LEDの中心軸から約±30°の角度範囲は、放出される光パワーの約70%をすでに含む。しかしながら、効率を高めるように、できる限り広い放出角度内の光を集めることが望ましい。実際には、ある角度の外側に放出される光を反射する側面反射体を含み、光が別の反射によって折り返され、次いで前方方向に放出される、この目的のための特別な光学素子が既知である。
【0004】
そのような光学素子は、満足のいく効率をもたらすが、それらの製作は、必要とされる複雑な幾何形状のために、面倒である。また、そのような複雑な幾何形状は一般に、プラスチック材料からしか作製できない。大部分のプラスチック材料は、十分な耐熱性がないので、120℃以上の温度を生成する可能性がある高パワーLEDに適していない。また、プラスチックは、特に長期間高輝度にさらされた場合、曇る傾向もある。
【0005】
LEDによって放出される光をコリメートするための別の方法は、フレネル・ゾーン・プレートを用いることである。そのような回折光学素子は、高効率をもたらすことができる。しかしながら、これに必要とされる微細構造の製作は、特に、ゾーン・プレート・リングの間隔をますます細くしなければならない広い放出角度の領域では、不可能でないにしても、コストがかかり、複雑である。加えて、フレネル・ゾーン・プレートは、単一波長に対して活性なだけである。良好なコリメーション効果を得るためには、フレネル・ゾーン・プレートのアレイは、各LED色に対して別個のゾーン・プレートを用意しなければならない。変換材料によっていくつかの波長で光を放出する白色光LEDには、フレネル・ゾーン・プレートを用いて満足のいくコリメーションを提供することはできない。
【0006】
通常薄膜技術を用いて製作される、ガラスでできた従来のマイクロレンズ・アレイは一般に、少なくとも放出される光の周辺領域では、満足のいくコリメーション効果を提供することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、少なくとも上で論じられた従来技術の不都合を軽減するLED光源を提供することである。
【0008】
特に、良好なコリメーション効果を持つ、耐熱性のレンズ・アレイを提供することが、本発明の目的である。
【0009】
特に、レンズ・アレイの十分なコリメーション効果は、広範囲の放出角度に対して提供されることになる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のこの目的は、独立クレームのいずれか1項による、LED光源によって、また非球面コリメーション・レンズによって、またレンズ・アレイを製作するための方法によって、すでに達成されている。
【0011】
本発明の好ましい実施形態および修正形態は、それぞれの従属クレームで説明される。
【0012】
本発明は、それの第1の態様では、LED光源に関するものであり、ここでLED光源は、光を放出するLEDを含む任意の構成として理解されなければならない。従って、LED光源は、必ずしも照明用として働く必要はなく、例えば信号装置として使用されてもよい。しかし、好ましくは、LED光源は、部屋用、読書用または信号用照明装置として特に提供される。他の好ましい応用は、自動車分野である。即ち具体的には、本発明のLED光源は、自動車のヘッドライトまたはバックライトとして使用されてもよい。また、そのような高パワーLEDは、映画、業務および/または家庭用映画投影応用例のための映写機にも応用されることになる。
【0013】
LED光源は、少なくとも1つのLEDと、好ましくは非球面形状を有し、ガラスまたはガラス・セラミックスでできている少なくとも1つのコリメーション・レンズとを含む。コリメーション・レンズは好ましくは、光を束ね、特に実質的に平行な光線の光束を放出するようにLEDの放出面に対して配置される、凸レンズとして理解される。
【0014】
広い放出角度、特に30°より大きい放出角度の場合には、関係sinα≒αは、もはや適用できないので、本発明の好ましい実施形態では、レンズは自由曲面を含む。即ち具体的には、コリメーション・レンズは、非球面形状を有する。適切なパラメータを選択することによって、非球面は、60°に至るまでの広い放出角度内でコリメーション効果を得ることを可能にする。本発明の一実施形態では、非球面は、回転対称形状を有する。
【0015】
非球面の形状は好ましくは、次式によって定義される。
【0016】
【数1】

ただし、cは曲率であり、rは半径(=1/c)であり、kは円錐定数であり、αは、それによって非球面をそれぞれの光学構成に適応させることができる非球面係数である。
【0017】
別法として、レンズは、球面形状を有してもよい。そのようなレンズは一般に、より低コストで製作できる可能性がある。
【0018】
本発明によると、アスペクト比、即ちレンズの高さと幅との関係は、0.1より大きい。レンズの幅は一般に、その直径によって定義される。レンズの高さは、レンズのクラウン高さとして理解される。
【0019】
薄膜技術によって加えられる微細構造とは対照的に、選択された、0.1より大きいアスペクト比は、広い放出角度内で良好なコリメーション効果を示すレンズ、特にレンズ・アレイ内のレンズを提供することを可能にする。ガラスまたはガラス・セラミックスでできているので、レンズおよびレンズ・アレイはそれぞれ、温度安定であり、LEDに近接して、特にLEDから1.5mm未満、好ましくは1mm未満、最も好ましくは0.5mm未満の距離に配置されてもよい。そのようにLEDに近接して置くことにより、広い放出角度内の光を集める、特に小さいレンズを提供することができる。
【0020】
本発明の好ましい実施形態では、アスペクト比は、0.2よりも大きく、好ましくは0.3よりも大きく、最も好ましくは0.4よりも大きい。特に、約0.5以上のアスペクト比は、可能である。本発明者らは、そのようなレンズが、特にレンズ・アレイの形態で、ホット・プレス技術による非常に簡単な仕方で製作できる可能性があることを見いだした。
【0021】
LED光源は好ましくは、少なくとも±30°、好ましくは±50°の角度内にLEDによって放出される光が、実質的に束ねられた状態で前方方向に放出されるように形成される。
【0022】
「実質的に束ねられた状態で前方方向に放出される」とは、光線がコリメーション・レンズの軸に対して10°未満の角度内に含まれることを意味する。
【0023】
LED光源は好ましくは、複数のLEDと、複数のコリメーション・レンズを含むアレイとを含む。アレイ内の各LEDは、それに関連するコリメーション・レンズを有する。フレネル・ゾーン・プレートとは対照的に、特にRGBのLEDアレイは、各色に対して同様に形成されたレンズを使用することを可能にする。本発明によるLEDアレイはまた、白色光LEDに対しても有用である。
【0024】
本発明のさらに特別な実施形態では、LEDアレイは、効率を増加するために、光の色の各々に適合される少なくとも2つの異なるコリメーション・レンズを含んでもよい。
【0025】
本発明は、中心軸に対して±60°の放出角度内にLEDによって放出される光を含む光線の発散が、25cm、5cm未満、好ましくは2.5cm未満の距離内であるように形成される、LED光源を提供することを可能にする。
【0026】
「発散」は、光束の直径が、LEDの放出面の直径に対して最大で前記距離だけ増加することを意味する。本明細書では、LEDの中心軸およびLEDに関連するレンズの中心軸のそれぞれに対して、±60°の放出角度内に放出される光のその部分だけが、考えられる。60°よりも大きな角度内に放出される光の部分は、LEDから放出されるエネルギーのわずかな量を占めるだけなので、60°の放出角度に至るまでの光に対する良好なコリメーション効果は、並はずれた効率を得ることを可能にする。
【0027】
1.4よりも大きく、好ましくは1.5よりも大きく、最も好ましくは1.7よりも大きい高屈折率nを有するガラスおよびガラス・セラミックスは、コリメーション・レンズを形成するために特に有用である。
【0028】
カラー誤差を回避するためにおよびいくつかの異なる光の色に対して有用であるコリメーション・レンズを提供するために、35よりも大きく、好ましくは40よりも大きく、最も好ましくは50よりも大きいアッベ係数νを有する材料が、使用されることが好ましい。
【0029】
本発明は、動作時に100℃以上に到達する可能性がある、高パワーLEDに対して特に有用である。
【0030】
本発明の好ましい実施形態では、LED光源は、特にLEDアレイを形成するために、透明平板上に配置される。
【0031】
コリメーション・レンズのクラウン高さは、本発明の好ましい実施形態では、0.1よりも大きく、好ましくは0.3よりも大きく、最も好ましくは0.5mmよりも大きい。コリメーション・レンズの直径は、好ましくは0.2と10mmとの間、最も好ましくは1と5mmとの間である。そのような小さなレンズはまた、マイクロレンズとしても既知である。大きなクラウン高さは、広い放出角度内の光のコリメーションのために有用であるアスペクト比を得ることを可能にする。
【0032】
本発明はさらに、特に材料特性、その他などの上で説明されたようなレンズの特性のいずれかを示す、ガラスまたはガラス・セラミックスでできている非球面コリメーション・レンズに関する。コリメーション・レンズのアスペクト比は、0.1よりも大きく、好ましくは0.3よりも大きく、最も好ましくは0.4よりも大きく、一方コリメーション・レンズの直径は、10未満、好ましくは5mm未満である。
【0033】
本発明は、広い角度範囲内で良好なコリメーション効果を持つ、温度安定なコリメーション・レンズを提供することを可能にする。
【0034】
好ましくは、コリメーション・レンズは、複数のコリメーション・レンズを含むレンズ・アレイの一部分である。
【0035】
そこで、レンズは好ましくは、ガラスまたはガラス・セラミックスでできている平板上に配置される。特に、レンズを含む平板として形成される、ワンピースの構成要素を提供することが企図される。一実施形態では、ガラスまたはガラス・セラミックスの平板は、少なくとも好ましくは、ガラス・フィルタもしくはガラス・セラミックス・フィルタまたはガラス変換器もしくはガラス・セラミックス変換器を含む。そのようにして、放出される色を変化させることが可能である。前記フィルタは、例えば光の色を設定するためのカラー・フィルタおよび/または偏光フィルタである。
【0036】
平板は、異なる材料から形成されてもよいが、好ましくは、平板は、同様の光学特性を有する。即ち具体的には本発明の好ましい実施形態では、平板の屈折率は、レンズの屈折率とは0.3未満だけ異なる。
【0037】
本発明の修正形態では、平板は、少なくとも2つの層を含む。レンズ・アレイは、特にホット・プレス操作で、基板平板上にプレスされてもよいことが見いだされた。そこでは、1つの層は、レンズが形成される材料によって形成され、もう1つの層は、基板平板によって形成される。その定義による基板平板およびレンズが、なおその上に異なる材料から形成されてもよいことを理解されたい。
【0038】
少なくとも2つの層の間の界面は好ましくは、前記界面に起因する光学干渉をほぼ回避するように、実質的に平坦である。
【0039】
本発明の修正形態では、平板、特に基板平板は、特に光を均一化するためのまたは2つの層の結合を強化するための構造を含んでもよい。
【0040】
レンズ・アレイは好ましくは、レンズがそれらの縁において互いに5未満、好ましくは2未満、最も好ましくは1mm未満だけ間隔をあけられるように形成される。特に、コリメーション・レンズは、互いに隣接している。
【0041】
このようにして、関連するLEDアレイ内のLEDは、非常に高い明るさを持つ小型光源を提供することを可能とするように、互いに近接して詰め込まれてもよい。
【0042】
レンズ・アレイは好ましくは、ワンピースで形成される。本発明の意味での「ワンピース」はまた、異なるガラスでできた構成要素が互いに熱的に結合された構成をも意味する。例えば平板に接着されるプラスチック・レンズとは対照的に、そのような構造は、高い機械的強度および耐熱性を示す。
【0043】
本発明はさらに、レンズ・アレイ、特に上で説明されたようなレンズ・アレイを製作するための方法に関する。
【0044】
その方法では、複数のブランク、特にガラス・ブランクが、プレス金型内に導入される。プレス金型は、レンズの輪郭、特に非球面を定義する複数の凹部を有する。
【0045】
この後、ブランクは、レンズに、特にコリメーション・レンズにプレスされ、それによってブランクは、少なくとも部分的に互いに結合する。従って、ブランクは、それぞれのブランクに関連する凹部よりも大きな体積を有する。従って、余分な材料は、縁で絞り出され、互いに流入する。これは特に、レンズ・アレイの平板を特に簡単な仕方で製作することを可能にする。
【0046】
そうするために、金型は好ましくは、その側面の1つで実質的に平坦である。
【0047】
本発明の修正形態では、プレス・ステップ中に、ブランクは、基板、特に円板上にプレスされ、それによってブランクの材料は、基板に結合する。
【0048】
ブランクの材料は、大きな面積で基板に結合するので、この実施形態は、安定性が強化されたレンズ・アレイを提供することを可能にする。基板は好ましくは、ガラスでできている。従って、ブランクの材料と同じ材料が、例えば基板ガラスとして使用されてもよい。基板が異なる材料でできていることも、同様に企図される。
【0049】
本発明の修正形態では、ブランクの材料は、プレス操作中に、基板の材料よりも低い粘性を有する。それは、基板材料とブランクの材料との間の界面が、平坦なままであること、即ちブランクの材料が、基板ガラス内に押し込まれないまたは実質的に押し込まれないことを達成するためである。ガラス基板内にブランクの材料が押し込まれると、普通なら光学誤差を引き起こすことになる。
【0050】
プレスの間、特にホット・プレス操作中は、基板材料をブランクの材料より硬くするという目的のために、異なる融解および/またはガラス転移温度を有する材料が、使用されてもよい。これを達成するための別の方法は、ブランク材料を基板材料よりも高く加熱することである。
【0051】
本発明の修正形態では、基板は、付随的に高い強度を持つレンズ・アレイの、全体的により薄い構造をもたらすために、プレス・ステップの後に薄くされる。
【0052】
ブランクは、例えば球または塊の形態で金型内に置かれてもよい。球または塊を置くことは、プレス中に材料のより均一な分布を達成することを可能にするが、ファイバーを置くことは、はるかに簡単である。
【0053】
ブランクは好ましくは、ガラスでできており、ガラス変態温度Tよりも20℃から100℃、好ましくは50℃から60℃高い温度のもとでプレスされる。
【0054】
好ましくは、350と650℃との間のガラス変態温度Tを有する光学ガラスでできているガラス・ブランクが使用される。
【0055】
出願人によって次の名前で商品化されている次の光学ガラス、即ちP−PK53、P−SK57、P−SF8、P−LASF47、P−SF67、P−SF68、N−FK51A、N−FK5、N−PK52A、N−PK51、N−LaF33、P−LaF46Bは、本発明にとって特に有用である。
【0056】
基板ガラスは、必ずしも変形を受けないので、異なる材料による基板が使用されてもよく、特により高いガラス変態温度Tを有するガラスが、使用されてもよい。従って、出願人によって名前D263、B270、F2、N−LaF21、N−LaF33、N−LaF34、N−LaF35、N−LaF36で商品化されているようなガラスが、基板として使用される。
【0057】
本発明について、本発明の例となる実施形態を概略的に示す図1から9を参照して、さらに詳細に以下で述べる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】LED光源を概略的に示す図である。
【図2】レンズ・アレイを概略的に示す図である。
【図3】コリメーション・レンズの異なる実施形態をさらに詳細に示す図である。
【図4】コリメーション・レンズの異なる実施形態をさらに詳細に示す図である。
【図5】非球面形状レンズのコリメーション効果をさらに詳細に例示するための図である。
【図6】本発明の実施形態での光線の経路を概略的に示す図である。
【図7】本発明の例となる実施形態の波長依存性焦点移動を示す図である。
【図8】レンズ・アレイの製作のさらなる記述のための図である。
【図9】レンズ・アレイを製作するための方法の別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1は、LED光源1を概略的に示す。
【0060】
LED光源1は、好ましくは高パワーLEDとして提供される、好ましくは回路基板(図示されず)上に配置されるLED2を含む。LED2によって放出される光は、放出された光線5が実質的に互いに平行に延びるように、ガラスでできた非球面形状コリメーション・レンズ3によってコリメートされる。
【0061】
コリメーション・レンズ3は、平板4上に配置され、従って特にレンズ・アレイの一部分を形成する。
【0062】
図2は、複数のコリメーション・レンズ3を含む平板4を含むとしてレンズ・アレイ6を概略的に示す。コリメーション・レンズ3は、この例となる実施形態では、実質的に互いに隣接するほどに互いに近接して詰め込まれる。
【0063】
この例となる実施形態では0.4よりも大きい、選択されたアスペクト比に起因して、特にアレイ6がLED(図示されず)の前で近接して配置される場合には、非常に良好なコリメーション効果が、達成されてもよい。
【0064】
図3は、コリメーション・レンズ3の例となる実施形態を示す。この実施形態のコリメーション・レンズ3は、平板4上に等しく配置される。
【0065】
コリメーション・レンズ3のアスペクト比は、その高さhをその幅または直径dで割ることから計算される。従って、関連するものは、湾曲レンズ本体の高さhのみである。
【0066】
ここで例示されるレンズは、約0.47のアスペクト比を有する。
【0067】
図4は、非球面コリメーション・レンズ3の別の例となる実施形態を例示する。この実施形態では、平板4は、2つの層から形成される。ここでのアスペクト比は、図3のコリメーション・レンズのそれよりもわずかに小さい。
【0068】
図5は、球面特性(7)と比較して、非球面の特性(8)を概略的に示す。ここでは、レンズの中心からの距離は、x軸上にプロットされる。レンズの高さは、y軸上にプロットされる。
【0069】
非球面8は、レンズの中心軸に平行に前方方向に光を放出する、非球面曲線8の線全体にわたってコリメーションが可能であるように、あらかじめ計算された。
【0070】
球面の曲線が1ミリメートルをいくらかわずかに超えた半径ですでに終わり、その結果、光をそれ以上「捕獲」できないことがわかる。しかしながら、非球面8は、はるかに広い放出角度を持つ光線をコリメートすることができる。
【0071】
図6は、光線の経路が例示される、例となる実施形態を概略的に示す。約±60°の広い放出角度内にLED2から放出される光は、光線5が実質的に互いに平行に放出されるように、非球面形状コリメーション・レンズ3によって方向を変えられることがわかる。
【0072】
図7は、本発明の例となる実施形態での波長依存性焦点移動を概略的に示す。x軸は、焦点移動をμm単位で与え、μm単位での波長は、y軸上にプロットされる。ガラスの適切な選択により、可視領域全体にわたってもっと小さい焦点移動を持つレンズが、提供されてもよい。そのようなレンズは、異なる色のLEDのために使用されてもよく、白色光LEDのためにもまた有用である。
【0073】
図8を参照して、レンズ・アレイを製作するための方法について、より詳細に述べる。
【0074】
第1のステップでは(最上部に例示される)、ガラスのブランク12(球、塊またはファイバー)が、プレス金型内に置かれる。プレス金型は、凹部13を有する上側金型部分10、および実質的に平らな表面またはフレネルもしくはロータス効果構造などの微細構造化表面を有する下側金型部分11を含む。凹部13は、非球面レンズの形状を定義する。
【0075】
ブランク12は、少なくともプレス金型の上側部分10が加熱されている間に、ホット・プレス操作で圧縮される。
【0076】
圧縮中に(中央で例示される)、ブランクは、最初に凹部13の形態を取り、従って非球面輪郭を帯びる。
【0077】
ブランク12の体積は、それが凹部13の容積よりも大きいように選択される。従って、余分な材料は、図8の下で例示されるように、コリメーション・レンズ3および平板4を含むレンズ・アレイを形成するために、側方へ押される。平板4は、ブランク12の材料からプレスされるので、平板4は、この実施形態では、コリメーション・レンズ3と同じ材料で作られる。
【0078】
図9を参照して、レンズ・アレイをプレスするための方法の例となる代替実施形態について、詳細に述べる。
【0079】
図8で例示される方法とは対照的に、基板平板14は、プレス金型の下側部分11上に置かれる。そのほかの点では、その方法は、図8で例示される実施形態に一致する。即ち具体的には、プレス金型の上側部分10は、非球面レンズ3の形状を定義する。その方法のこの実施形態では、ブランクの材料は同様に、レンズ3が配置される平板4の形になる。
【0080】
平板4および基板平板14は、この例となる実施形態によって作製されるレンズ・アレイが、図8で例示される例となる実施形態のそれよりも高い安定性を有するように、大きな面積で結合される。
【0081】
平板14、4間の界面は好ましくは、実質的に平坦である。
【0082】
これは、例えばより高いガラス変態温度Tを有するガラスを基板平板14として使用することによって、または平板14をホット・プレス操作中により低い温度に保持することによって、達成されてもよい。
【0083】
本発明は、上述のような特徴の組合せに限定されない、即ちむしろ当業者は、必要に応じて、任意の特徴を組み合わせてもよいことは、理解されるであろう。
【符号の説明】
【0084】
1 LED光源
2 LED
3 コリメーション・レンズ
4 平板
5 光線
6 レンズ・アレイ
7 球面
8 非球面
9 焦点移動
10 プレス金型上側部分
11 プレス金型下側部分
12 ブランク
13 凹部
14 基板平板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLEDと、ガラスまたはガラス・セラミックスでできた複数のコリメーション・レンズを含むアレイとを含み、前記コリメーション・レンズのアスペクト比は、0.1よりも大きい、LED光源。
【請求項2】
前記コリメーション・レンズは、自由曲面を含むこと、特に前記コリメーション・レンズは、非球面形状を有することを特徴とする、請求項1に記載のLED光源。
【請求項3】
前記コリメーション・レンズは、球面形状を有することを特徴とする、請求項1に記載のLED光源。
【請求項4】
前記アスペクト比は、0.2よりも大きく、好ましくは0.3よりも大きく、最も好ましくは0.4よりも大きいことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のLED光源。
【請求項5】
前記コリメーション・レンズは、前記LEDから1.5mm未満、好ましくは1.0mm未満、最も好ましくは0.5mm未満だけ間隔をあけられることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のLED光源。
【請求項6】
前記LED光源は、少なくとも±30°、好ましくは±50°の角度内に前記LEDによって放出される光が、実質的に束の状態で前方方向に放出されるように、形成されることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のLED光源。
【請求項7】
前記LED光源は、前記LEDの中心軸から±60°の放出角度内に前記LEDによって放出される光の光線の発散が、25cm、5cm未満、好ましくは2.5cm未満の距離内であるように、形成されることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のLED光源。
【請求項8】
前記コリメーション・レンズは、1.4よりも大きく、好ましくは1.5よりも大きく、最も好ましくは1.7よりも大きい屈折率nを有する材料から作られることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のLED光源。
【請求項9】
前記コリメーション・レンズは、35よりも大きく、好ましくは40よりも大きく、最も好ましくは50よりも大きいアッベ係数νを有する材料から作られることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のLED光源。
【請求項10】
前記コリメーション・レンズは、透明平板上に配置されることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のLED光源。
【請求項11】
前記コリメーション・レンズのクラウン高さは、0.1よりも大きく、好ましくは0.3よりも大きく、最も好ましくは0.5mmよりも大きいことを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のLED光源。
【請求項12】
前記コリメーション・レンズは、0.2から10mm、好ましくは1から5mmの直径を有することを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか1項に記載のLED光源。
【請求項13】
前記レンズは、ガラスまたはガラス・セラミックスでできた平板上に配置されること、および前記平板は、フィルタまたは変換器として機能することを特徴とする、請求項1乃至12のいずれか1項に記載のLED光源。
【請求項14】
前記レンズは、ガラスまたはガラス・セラミックスでできた平板上に配置されること、および前記平板は、その面の1つまたは両方に光学的に活性な微細構造を有することを特徴とする、請求項1乃至13のいずれか1項に記載のLED光源。
【請求項15】
前記平板は、少なくとも2つの層を含むことを特徴とする、請求項1乃至14のいずれか1項に記載のLED光源。
【請求項16】
前記少なくとも2つの層の間の界面は、実質的に平坦であることを特徴とする、請求項15に記載のLED光源。
【請求項17】
前記レンズは、それらの縁において互いに5未満、好ましくは2未満、最も好ましくは1mm未満だけ間隔をあけられること、特に、前記レンズは、互いに直接隣接していることを特徴とする、請求項16に記載のLED光源。
【請求項18】
前記レンズ・アレイは、ワンピースで形成されることを特徴とする、請求項1乃至17のいずれか1項に記載のLED光源。
【請求項19】
レンズ・アレイ、特に請求項1乃至18のいずれか1項に記載のレンズ・アレイを製作するための方法であって、
ブランク、特にガラス・ブランクを、複数の凹部を有するプレス金型内に導入するステップと、
前記ブランクをレンズ、特にコリメーション・レンズにプレスし、それによって前記ブランクが少なくとも部分的に互いに結合するステップとを含む方法。
【請求項20】
前記金型は、その側面の1つにおいて実質的に平坦であることを特徴とする、請求項19に記載のレンズ・アレイを製作するための方法。
【請求項21】
プレスの間、前記ブランクは、前記ブランクの材料が基板と混合するように、前記基板に対してプレスされることを特徴とする、請求項19乃至20のいずれか1項に記載のレンズ・アレイを製作するための方法。
【請求項22】
少なくともプレス中は、前記ブランク材料は、前記基板材料よりも柔らかいことを特徴とする、請求項20乃至21のいずれか1項に記載のレンズ・アレイを製作するための方法。
【請求項23】
前記プレス・ステップの後に、前記基板を薄くすることを特徴とする、請求項20乃至22のいずれか1項に記載のレンズ・アレイを製作するための方法。
【請求項24】
前記ブランクを、異なる材料でできた基板上に、特に異なるガラス変態温度Tを有するガラス基板上にプレスすることを特徴とする、請求項19乃至23のいずれか1項に記載のレンズ・アレイを製作するための方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−74167(P2010−74167A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−216627(P2009−216627)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(504299782)ショット アクチエンゲゼルシャフト (346)
【氏名又は名称原語表記】Schott AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr.10,D−55122 Mainz,Germany
【Fターム(参考)】