説明

コルチコステロイド溶液を製造する方法

本発明は、コルチコステロイドおよび少なくとも1つの溶解性エンハンサーを含む組成物の製造方法、ならびにこれらの方法によって製造される組成物に関する。また、本発明は、コルチコステロイド溶液を製造するプロセスを提供し、このプロセスは、(a)出発物質としてコルチコステロイド、少なくとも1つの溶解性エンハンサー、および水を含むコルチコステロイド溶液の成分を、約50L以上の容量を有する高せん断ミキサーで混合する手順と、(b)前記成分を約5時間以内の均質化期間に均質化し、それによって前記コルチコステロイド出発物質の少なくとも約98%が前記均質化期間内に溶解される手順とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する優先権主張および相互参照)
本願は、米国特許法119(e)の下、2006年2月15日に出願された米国仮特許出願第60/774,151号に対して優先権を主張し、この出願はその全体が本明細書中に参考として援用される。本願はさらに、2006年2月15日に出願された米国仮特許出願第60/774,073号からの米国特許法§119(e)の下の優先権の利益を主張し、この出願もその全体が本明細書中に参考として援用される。本願はさらに、2006年2月15日に出願された米国仮特許出願第60/774,152号からの米国特許法§120(e)の下の優先権を主張し、この出願もその全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
本願は、2007年2月15日に出願された同時係属出願第__/___,___号(発明の名称「Sterilization of Corticosteroids With Reduced Mass Loss」;代理人整理番号31622−717/201)に関連し、この出願もその全体が本明細書中に参考として援用される。本願はまた、2007年2月15日に出願された同時係属出願第__/___,___号(発明の名称「Stable Corticosteroid Mixtures」;代理人整理番号31622−719/201)にも関連し、この出願もその全体が本明細書中に参考として援用される。
【0003】
(発明の分野)
本発明は、コルチコステロイドおよび少なくとも1つの溶解性エンハンサーを含む組成物を製造する方法、ならびにこれらの方法によって製造される組成物に関する。
【背景技術】
【0004】
(発明の背景)
吸入コルチコステロイドは、CPODおよび持続性喘息などの呼吸器疾患の長期管理に不可欠であり、喘息と診断される幼児の治療に関する米国ナショナルガイドラインによって推奨される。小児に対するこれらの有効性および相対的な安全性は、数多くの臨床試験で裏付けられている。さらに、早期のコルチコステロイド介入は、肺の永久的な損傷の減少において重要な役割を果たす可能性があり、この疾患の慢性的な進行性の性質を変化させる可能性があると考えられている。
【0005】
喘息治療における吸入コルチコステロイドの使用は、作用する部位、すなわち肺(本明細書で使用される「肺」とは、左右の肺器官のいずれか一方または両方を指す)に直接送達することから、大きな利点をもたらす。吸入コルチコステロイド治療の目的は、作用部位に即時型の薬物活性を有するコルチコステロイドを局所送達することである。吸入コルチコステロイドは、肺から十分に吸収されることが知られている。実際に、肺の受容体部位で利用可能な薬物は実質的にすべて吸収されると想定することができる。しかし、現在の方法および製剤では、吸入コルチコステロイドの用量の大部分が嚥下され、経口吸収で利用可能になることも知られている。従って、使用される特定の方法または系によって、一部のコルチコステロイドは、肺よりも口腔および喉に沈着される可能性が高く、有害作用を引き起こす場合がある。経口送達される吸入コルチコステロイドの用量の部分に関して、生物学的利用能は、胃腸管からの吸収および肝臓での初回通過代謝の程度により異なる。このコルチコステロイド剤送達の経口成分は、何ら有益な治療効果をもたらすことがなく、全身性副作用の危険性を高めることから、吸入コルチコステロイドの経口生物学的利用能が相対的に低いことが望ましい。従って、肺が標的器官であるため、吸入コルチコステロイドにおいては、経口生物学的利用能が高いことよりも肺の利用能が高いことの方が重要である。
【0006】
ブデソニド(R,S)−11β、16α、17、21−テトラヒドロキシプレグナ−1、4−ジエン−3、20−環状ジオン16,17−ブチルアルデヒドによるアセタール(C2534;MW:430.5)は、特に気管支障害の治療で使用される。ブデソニドは、2つのジアステレオマー(22Rおよび22S)の混合物からなるラセミ化合物であり、2つのアイソーマー(22Rおよび22S)の混合物として市販されている。ブデソニドは、強力なグルココルチコイド活性を示す坑炎症性コルチコステロイドとして作用する。ブデソニドの投与は、喘息の維持療法および小児の予防的治療として適応される。
【0007】
コルチコステロイド(例えば、ブデソニド)溶液の製造は、少なくとも一部は、コルチコステロイド粒子の低水和性、低溶解性および低速溶解によって妨げられている。低水和性の一つの結果としては、コルチコステロイドは、溶解容器に加えると凝集する傾向があることがあげられる。ブデソニドなどのコルチコステロイドの平衡溶解性の改善は、溶解性エンハンサーとしてシクロデキストリンを使用することで達成することができるが、コルチコステロイドの低水和性と付随する凝集塊のために、コルチコステロイドの適宜な湿潤および溶解を達成することは依然として困難である。従って、ブデソニドなどのコルチコステロイドの低水和性、低溶解性および低速溶解に起因するこの問題を回避するプロセスが必要である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本明細書では、コルチコステロイド溶液を製造する方法であって、(a)出発物質としてコルチコステロイド、少なくとも1つの溶解性エンハンサー、および水を含むコルチコステロイド溶液の成分を高せん断ミキサーで混合する手順と;(b)均質化期間に成分を均質化し、それによってコルチコステロイド出発物質の少なくとも約95%が均質化期間内に溶解される手順とを含む、方法が提供される。
【0009】
本明細書ではまた、コルチコステロイド溶液を製造する方法であって、(a)出発物質としてコルチコステロイド、少なくとも1つの溶解性エンハンサー、および水を含むコルチコステロイド溶液の成分を、約5Lを超える容量を有する高せん断ミキサーで混合する手順と;(b)約2時間以内の均質化期間に成分を均質化し、それによってコルチコステロイド出発物質の少なくとも約98%が均質化期間内に溶解される手順とを含む、方法も提供される。
【0010】
本明細書ではまた、コルチコステロイド溶液を製造する方法であって、(a)出発物質としてコルチコステロイド、少なくとも1つの溶解性エンハンサー、および水を含むコルチコステロイド溶液の成分を、約50L以内の容量を有する高せん断ミキサーで混合する手順と;(b)約5時間以内の均質化期間に成分を均質化し、それによってコルチコステロイド出発物質の少なくとも約98%が均質化期間内に溶解される手順とを含む、方法も提供される。
【0011】
本明細書ではまた、ブデソニド溶液を製造する方法であって、(a)出発物質としてブデソニド、シクロデキストリン溶解性エンハンサー、および水を含むブデソニド溶液の成分を、約50L以内の容量を有する高せん断ミキサーで混合する手順と;(b)約5時間以内の均質化期間に成分を均質化し、それによってブデソニドの少なくとも約98%が均質化期間内に溶解される手順とを含む、方法も提供される。本発明のいくつかの好ましい実施形態において、高せん断ミキサーは、100L以上の容量を有する。本発明のいくつかの好ましい実施形態において、高せん断ミキサーは、200L以上の容量を有する。本発明のいくつかの好ましい実施形態において、高せん断ミキサーは、300L以上の容量を有する。本発明のいくつかの好ましい実施形態において、高せん断ミキサーは、400L以上の容量を有する。本発明のいくつかの好ましい実施形態において、高せん断ミキサーは、500L以上の容量を有する。本発明のいくつかの好ましい実施形態において、高せん断ミキサーは、1000L、4000L、10000L以上の容量を有する。
【0012】
本明細書ではまた、ブデソニド溶液を製造する方法であって、(a)出発物質としてブデソニド、シクロデキストリン溶解性エンハンサー、および水を含むブデソニド溶液の成分を、約50L〜約10000L、またはそれ以上の容量を有する高せん断ミキサーで混合する手順と;(b)約5時間以内の均質化期間に成分を均質化し、それによってブデソニドの少なくとも約98%が均質化期間内に溶解される手順とを含む、方法も提供される。いくつかの実施形態において、高せん断ミキサーは、約50L〜10000Lの容量、とりわけ約100L〜10000L、特に約200L〜1000L、約300L〜1000L、および約500L〜約1000Lの容量を有する。
【0013】
本発明の特定の実施形態において、溶解性エンハンサーは、プロピレングリコール、非イオン性表面活性剤、チロキサポール、ポリソルベート80、ビタミンE−TPGS、マクロゴール−15−ヒドロキシステアラート、リン脂質、レシチン、精製および/または濃縮レシチン、レシチンから抽出したホスファチジルコリン画分、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、シクロデキストリンとその誘導体、SAE−CD誘導体、SBE−α−CD、SBE−β−CD、SBE−γ−CD、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、2−HP−β−CD、ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル−γ−シクロデキストリン、ジヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、グルコシル−α−シクロデキストリン、グルコシル−β−シクロデキストリン、ジグルコシル−β−シクロデキストリン、マルトシル−α−シクロデキストリン、マルトシル−β−シクロデキストリン、マルトシル−γ−シクロデキストリン、マルトトリオシル−β−シクロデキストリン、マルトトリオシル−γ−シクロデキストリン、ジマルトシル−β−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリン、カルボキシアルキルチオエーテル誘導体、ORG26054、ORG25969、ヒドロキシプロビルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニルのコポリマー、ビニルピロリドン、ラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0014】
他の実施形態において、コルチコステロイドはブデソニドである。
【0015】
いくつかの実施形態において、溶解性エンハンサーは、スルホアルキルエーテルシクロデキストリン(SAE−CD)である。好ましい実施形態において、溶解性エンハンサーは、SBE7−β−CD(例えば、Captisol(登録商標)、CyDex)である。
【0016】
いくつかの実施形態において、コルチコステロイド溶液またはブデソニド溶液はさらにアルブテロールも含む。
【0017】
種々の実施形態において、コルチコステロイドの少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%は、均質化期間内に溶解される。
【0018】
いくつかの実施形態において、均質化期間は、約3日間、約2日間、約1日間、約18時間、約12時間、約6時間、約5時間、約4時間、約3時間、約2時間、約1時間、約45分間、約30分間、または約15分間である。
【0019】
種々の実施形態において、コルチコステロイドの少なくとも約95%、少なくとも約97%、または少なくとも約99%は、均質化期間の最初の1時間内に溶解される。
【0020】
いくつかの実施形態において、高せん断ミキサーは、約5L〜約2000L、約250L〜約750L、約100L〜約1000L、または約50L〜500Lの容量を有する。
【0021】
他の実施形態において、高せん断ミキサーは、約5L、約10L、約20L、約30L、約40L、約50L、約75L、約100L、約125L、約150L、約175L、約200L、約250L、約300L、約350L、約400L、約450L、約500L、約750L、約1000L、約1500L、または約2000Lの容量を有する。
【0022】
種々の実施形態において、コルチコステロイド溶液の量は、約5L、約10L、約20L、約30L、約40L、約50L、約75L、約100L、約125L、約150L、約175L、約200L、約250L、約300L、約350L、約400L、約450L、約500L、約750L、約1000L、約1500L、または約2000Lである。
【0023】
いくつかの実施形態において、コルチコステロイド溶液は、2つ以上の溶解性エンハンサーの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、溶解性エンハンサーは、シクロデキストリンとモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80(PS80)など)との組み合わせである。種々の実施形態において、ポリソルベートは、約0.005重量%〜約0.1重量%の量で存在する。他の実施形態において、コルチコステロイド溶液は、実質的にポリソルベートを含まない。さらに他の実施形態において、コルチコステロイド溶液は、約0.01重量%未満のポリソルベートまたは約0.005重量%未満のポリソルベートを含有する。
【0024】
いくつかの実施形態において、高せん断ミキサーは、FrymaKoruma Dinexモデル700、1300、2400、3500、4200または5200(FrymaKoruma GmbH、ドイツ ノイエンブルグ)である。
【0025】
他の実施形態において、均質化速度は約500〜約5000rpm、約1000〜約3000rpm、または約1500〜約2000rpmである。
【0026】
いくつかの実施形態において、本発明は、コルチコステロイド溶液を製造するプロセスであって、(a)出発物質としてコルチコステロイド、少なくとも1つの溶解性エンハンサー、および水を含むコルチコステロイド溶液の成分を、約50L以上の容量を有する高せん断ミキサーで混合する手順と;(b)約5時間以内の均質化期間に成分を均質化し、それによってコルチコステロイド出発物質の少なくとも約98%が均質化期間内に溶解される手順とを含む、プロセスを提供する。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドはブデソニドである。いくつかの実施形態において、溶解性エンハンサーは、スルホアルキルエーテルシクロデキストリン(SAE−CD)を含み、例えば、SEA−CDはSBE7−β−CDである。いくつかの実施形態において、コルチコステロイド溶液はさらにアルブテロールも含む。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドの少なくとも約98.5%は、均質化期間内に溶解される。いくつかの実施形態において、均質化期間は約2時間以内である。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドの少なくとも約99%は、均質化期間内に溶解される。いくつかの実施形態において、均質化期間は約2時間以内である。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドの少なくとも約99.5%は、均質化期間内に溶解される。いくつかの実施形態において、均質化期間は約2時間以内である。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドの少なくとも約95%は、均質化期間の最初の1時間内に溶解される。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドの少なくとも約97%は、均質化期間の最初の1時間内に溶解される。いくつかの実施形態において、高せん断ミキサーは、約100L〜約1000Lの容量を有する。いくつかの実施形態において、高せん断ミキサーは、約250L〜約750Lの容量を有する。いくつかの実施形態において、高せん断ミキサーは、約500Lの容量を有する。いくつかの実施形態において、ブデソニド溶液は、実質的にポリソルベート80を含まない。いくつかの実施形態において、ブデソニド溶液は、約0.01重量%未満のポリソルベート80を含有する。いくつかの実施形態において、ブデソニド溶液は、約0.005重量%未満のポリソルベート80を含有する。いくつかの実施形態において、ブデソニド溶液は、2つ以上の溶解性エンハンサーを含む。いくつかの実施形態において、溶解性エンハンサーは、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンとシクロデキストリンとの組み合わせである。いくつかの実施形態において、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンは、ポリソルベート80である。いくつかの実施形態において、ポリソルベートは、約0.005重量%〜約0.1重量%の量で存在する。いくつかの実施形態において、高せん断ミキサーは、FrymaKoruma Dinexモデル700、1300、2400、3500、4200または5200である。いくつかの実施形態において、高せん断ミキサーは、FrymaKoruma Dinexモデル700である。いくつかの実施形態において、均質化速度は約1000〜約3000rmpである。いくつかの実施形態において、本プロセスは、約1500〜約3000rpmの均質化速度で混合物を均質化する手順を含む。いくつかの実施形態において、均質化速度は約1700〜約2500rmpである。
【0027】
いくつかの実施形態において、本発明は、コルチコステロイド溶液を製造するプロセスであって、(a)出発物質としてコルチコステロイド、少なくとも1つの溶解性エンハンサー、および水を含むコルチコステロイド溶液の成分を、約50L以上の容量を有する高せん断ミキサーで混合する手順と;(b)約2時間以内の均質化期間に成分を均質化し、それによってコルチコステロイド出発物質の少なくとも約98%が均質化期間内に溶解される手順とを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドはブデソニドである。いくつかの実施形態において、溶解性エンハンサーは、スルホアルキルエーテルシクロデキストリン(SAE−CD)である。いくつかの実施形態において、SAE−CDはSBE7−β−CDである。いくつかの実施形態において、コルチコステロイド溶液はさらにアルブテロールも含む。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドの少なくとも約98.5%は、均質化期間内に溶解される。いくつかの実施形態において、均質化期間は約2時間以内である。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドの少なくとも約99%は、均質化期間内に溶解される。いくつかの実施形態において、均質化期間は約2時間以内である。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドの少なくとも約99.5%は、均質化期間内に溶解される。いくつかの実施形態において、均質化期間は約2時間以内である。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドの少なくとも約95%は、均質化期間の最初の1時間内に溶解される。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドの少なくとも約97%は、均質化期間の最初の1時間内に溶解される。いくつかの実施形態において、高せん断ミキサーは、約100L〜約1000Lの容量を有する。いくつかの実施形態において、高せん断ミキサーは、約250L〜約750Lの容量を有する。いくつかの実施形態において、高せん断ミキサーは、約500Lの容量を有する。いくつかの実施形態において、ブデソニド溶液は、実質的にポリソルベート80を含まない。いくつかの実施形態において、ブデソニド溶液は、約0.01重量%未満のポリソルベート80を含有する。いくつかの実施形態において、ブデソニド溶液は、約0.005重量%未満のポリソルベート80を含有する。いくつかの実施形態において、ブデソニド溶液は、2つ以上の溶解性エンハンサーを含む。いくつかの実施形態において、溶解性エンハンサーは、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンとシクロデキストリンとの組み合わせである。いくつかの実施形態において、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンは、ポリソルベート80である。いくつかの実施形態において、ポリソルベートは、約0.005重量%〜約0.1重量%の量で存在する。いくつかの実施形態において、高せん断ミキサーは、FrymaKoruma Dinexモデル700、1300、2400、3500、4200または5200である。いくつかの実施形態において、高せん断ミキサーは、FrymaKoruma Dinexモデル700である。いくつかの実施形態において、均質化速度は約1000〜約3000rmpである。いくつかの実施形態においては、約1500〜約3000rpmの均質化速度で混合物を均質化する。いくつかの実施形態において、均質化速度は約1700〜約2500rmpである。
【0028】
いくつかの実施形態において、本発明は、ブデソニド溶液を製造するプロセスであって、(a)出発物質としてブデソニド、シクロデキストリン溶解性エンハンサー、および水を含むブデソニド溶液の成分を、約100L以上の容量を有する高せん断ミキサーで混合する手順と;(b)約2時間以内の均質化期間に成分を均質化し、それによってブデソニドの少なくとも約98%が均質化期間内に溶解される手順とを含む、プロセスを提供する。いくつかの実施形態において、シクロデキストリン溶解性エンハンサーは、スルホアルキルエーテルシクロデキストリン(SAE−CD)である。いくつかの実施形態において、SAE−CDはSBE7−β−CDである。いくつかの実施形態において、コルチコステロイド溶液はさらにアルブテロールも含む。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドの少なくとも約98.5%は、均質化期間内に溶解される。いくつかの実施形態において、均質化期間は約2時間以内である。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドの少なくとも約99%は、均質化期間内に溶解される。いくつかの実施形態において、均質化期間は約2時間以内である。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドの少なくとも約99.5%は、均質化期間内に溶解される。いくつかの実施形態において、均質化期間は約2時間以内である。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドの少なくとも約95%は、均質化期間の最初の1時間内に溶解される。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドの少なくとも約97%は、均質化期間の最初の1時間内に溶解される。いくつかの実施形態において、高せん断ミキサーは、約100L〜約1000Lの容量を有する。いくつかの実施形態において、高せん断ミキサーは、約250L〜約750Lの容量を有する。いくつかの実施形態において、高せん断ミキサーは、約500Lの容量を有する。いくつかの実施形態において、ブデソニド溶液は、実質的にポリソルベート80を含まない。いくつかの実施形態において、ブデソニド溶液は、約0.01重量%未満のポリソルベート80を含有する。いくつかの実施形態において、ブデソニド溶液は、約0.005重量%未満のポリソルベート80を含有する。いくつかの実施形態において、ブデソニド溶液は、2つ以上の溶解性エンハンサーを含む。いくつかの実施形態において、溶解性エンハンサーは、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンとシクロデキストリンとの組み合わせである。いくつかの実施形態において、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンは、ポリソルベート80である。いくつかの実施形態において、ポリソルベートは、約0.005重量%〜約0.1重量%の量で存在する。いくつかの実施形態において、高せん断ミキサーは、FrymaKoruma Dinexモデル700、1300、2400、3500、4200または5200である。いくつかの実施形態において、高せん断ミキサーは、FrymaKoruma Dinexモデル700である。いくつかの実施形態において、均質化速度は約1000〜約3000rmpである。いくつかの実施形態においては、約1500〜約2000rpmの均質化速度で混合物を均質化する。いくつかの実施形態において、均質化速度は約1700〜約2500rmpである。
【0029】
いくつかの実施形態において、本発明は、コルチコステロイド溶液を製造するプロセスであって、(a)出発物質としてコルチコステロイド、少なくとも1つの溶解性エンハンサー、および水を含むコルチコステロイド溶液の成分を、高せん断ミキサーで混合する手順と;(b)均質化期間に成分を均質化し、それによってコルチコステロイド出発物質の少なくとも約95%が均質化期間内に溶解される手順とを含む、プロセスを提供する。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドはブデソニドである。いくつかの実施形態において、溶解性エンハンサーは、スルホアルキルエーテルシクロデキストリン(SAE−CD)である。いくつかの実施形態において、SAE−CDはSBE7−β−CDである。いくつかの実施形態において、コルチコステロイド溶液はさらにアルブテロールも含む。いくつかの実施形態において、均質化期間は、約3日間、約2日間、約1日間、約18時間、約12時間、または約6時間である。いくつかの実施形態において、均質化期間は、約5時間、約4時間、約3時間、約2時間、約1時間、約45分間、約30分間、または約15分間である。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドの少なくとも約95%は、均質化期間内に溶解される。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドの少なくとも約97%は、均質化期間内に溶解される。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドの少なくとも約99%は、均質化期間内に溶解される。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドの少なくとも約95%、または約97%、または約99%は、均質化期間の最初の1時間内に溶解される。いくつかの実施形態において、高せん断ミキサーは、約5L〜約2000L、約250L〜約750L、約100L〜約1000L、または約50L〜500Lの容量を有する。いくつかの実施形態において、高せん断ミキサーは、約5L、約10L、約20L、約30L、約40L、約50L、約75L、約100L、約125L、約150L、約175L、約200L、約250L、約300L、350L、約400L、約450L、約500L、約750L、約1000L、約1500L、または約2000Lの容量を有する。いくつかの実施形態において、ブデソニド溶液は、実質的にポリソルベート80を含まない。いくつかの実施形態において、ブデソニド溶液は、約0.01重量%未満のポリソルベート80を含有する。いくつかの実施形態において、ブデソニド溶液は、約0.005重量%未満のポリソルベート80を含有する。いくつかの実施形態において、ブデソニド溶液は、2つ以上の溶解性エンハンサーを含む。いくつかの実施形態において、溶解性エンハンサーは、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンとシクロデキストリンとの組み合わせである。いくつかの実施形態において、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンは、ポリソルベート80である。いくつかの実施形態において、ポリソルベートは、約0.005重量%〜約0.1重量%の量で存在する。いくつかの実施形態において、高せん断ミキサーは、FrymaKoruma Dinexモデル700、1300、2400、3500、4200または5200である。いくつかの実施形態において、均質化速度は約500〜約5000rpm、約1000〜約3000rmp、または約1500〜約2000rpmである。
【0030】
以上において本発明の好ましい実施形態を本明細書に示し、説明してきたが、このような実施形態が単に一例として示したものであることは、当業者に明らかとなるであろう。また、数多くの変動、変化または置換が、今後本発明から逸脱することなく当業者に行われるであろう。但し、本明細書に記載の本発明の実施形態の種々の代替案が、本発明を実施する際に使用される場合があることを理解する必要がある。添付の特許請求の範囲が本発明の適用範囲を定義し、これらの特許請求の範囲内の方法および構造ならびにそれらの等価物がそれにより包含されることが意図される。
【0031】
(参考としての援用)
本明細書で言及するすべての刊行物および特許出願は、あたかも個々の刊行物または特許出願が参考として援用されることが具体的かつ個別に示されているかのように、参考として本明細書で援用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
(発明の詳細な説明)
上述のように、ブデソニドなどのコルチコステロイドは水和性が低いため、コルチコステロイド溶液を調製することが困難になっている(例えば、コルチコステロイド出発物質は、水と混合すると凝集する傾向があるため)。ブデソニドなどのコルチコステロイドの全体的な溶解性は、溶解性エンハンサーとしてシクロデキストリンを使用することにより改善されてきたが、ブデソニドなどのコルチコステロイドの溶解は遅い状態が続いている。微粒子化ブデソニドなどの微粒子化コルチコステロイドは、動的な溶解プロファイルの改善をもたらす。本発明は、ブデソニドなどのコルチコステロイドが高せん断条件下で高速ミキサーに導入されるプロセスを提供することによって、コルチコステロイドの低水和性の問題の解決法を提供する。ミキサーの高せん断条件は、コルチコステロイド粒子(例えば、ブデソニド微粒子)を迅速に浸潤させ、それらの粒子が塊になる(凝集する)前に水性溶媒で懸濁させる。意外にも、本発明に基づき約50L以上のバッチサイズで使用すると、ブデソニドなどのコルチコステロイドの溶解プロファイルが、それよりも小さなバッチサイズ(例えば、およそ10L以下)の溶解プロファイルに比べて大幅に改善されることも判明している。
【0033】
以下では、本明細書で開示される組成物および方法の特定の例示的および非限定的実施形態について、詳細に言及する。これらの実施形態の例は、以下の実施例の項に例示する。
【0034】
特に定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本明細書に記載の発明が属する技術分野の当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で参照するすべての特許および刊行物は、参考として援用される。
【0035】
(特定の定義)
本明細書で使用される「含む」、「含めた」、「などの」、および「例えば」という用語は、オープンな非限定的な意味で使用される。
【0036】
「約」という用語は、「およそ」という用語と同義に使用される。当業者が理解するように、「約」の正確な境界は、組成物の成分により異なる。具体的に、「約」という用語の使用は、値が、引用された値から多少外れている(すなわち、±0.1%〜10%)ものの、有効で安全でもあることを示している。
【0037】
「治療有効量」または「有効量」とは、薬理効果を達成するような医薬品の量である。「治療有効量」という用語は、例えば、予防的有効量を含む。ブデソニドなどのコルチコステロイドの「有効量」はすべて、過度の副作用がなく、所望の薬理効果または治療上の改善を達成するのに有効な量である。ブデソニドなどのコルチコステロイドの有効量は、特定の患者および疾患のレベルに応じて当業者により選択される。「有効量」または「治療有効量」は、ブデソニドなどのコルチコステロイドの代謝の変動、年齢、体重、被験者の全身症状、治療中の病態、治療中の病態の重症度、および処方医師の判断によって、被験者間で変化し得ることが理解される。
【0038】
気管支収縮性障害と関連して使用される「治療する」または「治療」とは、障害または疾患の素因を有する可能性があるが、まだその障害または疾患を有すると診断されていない被験者をその障害または疾患の発症から予防すること、障害または疾患を抑制する(例えば、障害または疾患の進行を止める)こと、障害または疾患を緩和させること、障害または疾患を退行させること、疾患または障害により引き起こされる病態を緩和させること、または疾患または障害の症状を止めることなど、気管支の収縮に関連するいずれかの障害または疾患の治療を指す。従って、本明細書で使用される「治療する」という用語は、「予防する」という用語と同義に使用される。
【0039】
(I. コルチコステロイド)
「コルチコステロイド」という用語は、当業者により理解される全範囲を有するものとして意図される。本発明の適用範囲内に企図される特定のコルチコステロイドは、一般的に医薬品の投与に適した程度まで水に溶けないものであり、従って水溶液にそれらを溶解させるには、少なくとも1つの溶解性エンハンサーの存在が必要となる。この関連で記載される場合がある特定のコルチコステロイドには、国際公開第2005/065649号、同第2005/065435号および同第2005/065651号に記載されるものが含まれる。特に、参考として本明細書で援用される国際公開第2005/065651号の46頁を参照されたい。
【0040】
ブデソニドの代わりに使用される場合があるコルチコステロイドには以下が含まれる:アルドステロン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、シクレソニド、クロプレドノール、コルチゾン、コルチバゾール、デオキシコルトン、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフルオロコルトロン、フルクロロロン、フルメタゾン、フルニソリド、フルシノロン、フルオシノニド、フルオコルチンブチル、フルオコルチゾン、フルオコルトロン、フルオロメトロン、フルランドレノロン、フルチカゾン、ハルシノニド、ヒドロコルチゾン、イコメタゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、モメタゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ロフレポニド、RPR106541、チキソコルトール、トリアムシノロン、ならびにプロドラッグおよび薬学的に許容される塩を含めたそれらの薬学的活性誘導体。
【0041】
いくつかの実施形態において、コルチコステロイドはブデソニドである。他の実施形態において、コルチコステロイドはブデソニドであり、前記ブデソニドは治療効果のために個別にまたは一緒に投与される2つのジアステレオマーの個別のジアステレオマーまたは混合物のいずれかである。好ましい実施形態において、ブデソニドは微粒子化ブデソニドである。
【0042】
いくつかの実施形態において、コルチコステロイドは微粒子化される(例えば、微粒子化ブデソニド)。
【0043】
本発明のコルチコステロイド溶液中のコルチコステロイドの重量%は、約0.001〜約1までを含み、変動する場合がある。いくつかの実施形態において、コルチコステロイド溶液中のコルチコステロイドの重量%は、約0.001〜約0.1、または約0.005〜約0.1、または約0.005〜約0.05重量%である。
【0044】
本発明のコルチコステロイド溶液中のコルチコステロイドの濃度は、約1μg/mL〜約2000μg/mLまでを含み、変動する場合がある。記載される場合がある特定の値は、約1、約5、約10、約20、約50、約100、約200、約300、約400、約500、約600、約700、約800、約900、約1000、約1500、および約2000μg/mLである。いくつかの実施形態において、本発明のコルチコステロイド溶液中のコルチコステロイドは、約50〜約1000μg/mL、または約100〜約800μg/mL、または約200〜約600μg/mLである。いくつかの実施形態において、ブデソニドの濃度は80μg/mL、120μg/mL、240μg/mL、および480μg/mLが好ましい。
【0045】
(II. 溶解性エンハンサー)
「溶解性エンハンサー」という用語は、当業者により理解される全範囲を有するものとして意図される。
【0046】
溶解性エンハンサーは、当該技術分野で既知であり、例えば、それぞれ参考として本明細書で具体的に援用される、米国特許第5,134,127号、同第5,145,684号、同第5,376,645号、同第6,241,969号、および米国特許出願公開第2005/0244339号および同第2005/0008707号に記載されている。さらに、適切な溶解性エンハンサーの例を以下に記載する。
【0047】
本発明での使用に適した溶解性エンハンサーには、プロピレングリコール、非イオン性表面活性剤、リン脂質、シクロデキストリンとその誘導体、ならびに表面改質剤および/または表面安定剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0048】
本発明での使用に特に良好な生理学的適合性を有するように思われる非イオン性表面活性剤の例としては、チロキサポール;ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(Tween 20、40、60などの商標名で販売)、ポリソルベート80、ポリエチレングリコール400を含むがこれに限定されないポリソルベート;ラウリル硫酸ナトリウム;ラウリン酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタン(Span 20、40、60などの商標名で販売)、塩化ベンザルコニウム、PPO−PEOブロックコポリマー(プルロニック)、クレモフォール−EL、ビタミンE−TPGS(例えば、d−α−トコフェロール−ポリエチレングリコール−1000−コハク酸エステル)、ソルトールHS15、オレイン酸PEOエステル、ステアリン酸PEOエステル、トリトンX100、ノニデットP40、およびヒドロキシステアリン酸マクロゴール15などのヒドロキシステアリン酸マクロゴールがある。
【0049】
いくつかの実施形態において、本発明での使用に適した非イオン性表面活性剤は、リポソーム製剤、ミセル、または混合ミセルを形成するために、コルチコステロイドで調剤される。リポソームおよびリポソーム製剤を調製する方法および特徴付ける方法は、当該技術分野で既知である。両親媒性脂質が水和する場合に、多層ベシクルが自然に形成されることが多いが、小さな単層ベシクルの形成は、通常、超音波処理または高圧均質化などの実質的なエネルギー導入を伴うプロセスを必要とする。リポソームを調製するさらなる方法および特徴付けるさらなる方法は、例えば、それぞれ参考として本明細書で具体的に援用されるS.Vemuri et al.(Preparation and characterization of liposomes as therapeutic delivery systems:a review.Pharm Acta Helv.1995,70(2):95−111)、および米国特許第5,019,394号、同第5,192,228号、同第5,882,679号、同第6,656,497号に記載されている。
【0050】
いくつかの実施形態において、例えば、ミセルまたは混合ミセルは、低可溶性の活性剤が可溶化される表面活性剤によって形成される場合がある。通常、ミセルは、表面活性剤などの両親媒性分子が自然にかつ動的に結合することによって形成される実質的に球体構造として理解される。混合ミセルは、異なる型の両親媒性分子で構成されるミセルである。ミセルおよび混合ミセルはいずれも、構造、特性および作用が固体とはかなり異なるため、固体粒子として理解するべきではない。ミセルを形成する両親媒性分子は、通常一時的に結合する。ミセル溶液では、ミセルを形成する両親媒性物質と溶液中にも存在する単分子的に分散した両親媒性との間で動的な分子交換が行われる。このようなミセルまたは混合ミセル中で可溶化される薬物分子の位置は、これらの分子の構造ならびに使用される表面活性剤により異なる。例えば、特に非極性分子は、主にコロイド構造の内部に局在するのに対して、極性物質は表面上に見られる可能性が高いことが想定される。ミセルまたは混合ミセル溶液の一実施形態において、ミセルの平均径は、例えば、約10nm〜約100nmなど、約200nm未満(光子相関分光法で測定)である場合がある。特に、約10nm〜約50nmの平均径のミセルが好ましい。ミセルおよび混合ミセルを製造する方法は、当該技術分野で既知であり、例えば、それぞれ参考として本明細書で具体的に援用される、米国特許第5,747,066号および同第6,906,042号に記載されている。
【0051】
リン脂質は、リンを含有する両親媒性脂質として定義される。化学的にホスファチジン酸に由来するリン脂質は、広く発生し、また医薬品の目的で一般的に使用されている。この酸は、脂肪酸残基の長さが異なる場合がある、通常(二重に)アシル化したグリセロール−3−リン酸塩である。ホスファチジン酸の誘導体には、例えば、リン酸基が付加的にコリンによってエステル化されるホスホコリンまたはホスファチジルコリン、さらにはホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトールなどが含まれる。レシチンは、通常ホスファチジルコリンの占める割合が多い種々のリン脂質の天然混合物である。特定のレシチンの供給源およびその抽出および/または濃縮方法によって、これらの混合物は相当量のステロール、脂肪酸、トリグリセリド、および他の物質も含む場合がある。
【0052】
生理学的特性のために本発明での使用に適した追加のリン脂質は、特に、大豆またはニワトリの卵黄などの天然源からレシチンの形状で抽出されるリン脂質混合物、好ましくは水素化形状でおよび/またはリゾレシチンを含まず、ならびに精製された、濃縮されたまたは部分的合成で調製された(好ましくは、飽和脂肪酸エステルを使用して)リン脂質を含む。リン脂質混合物の中ではレシチンが特に好ましい。濃縮されたまたは部分的合成で調製された中鎖から長鎖の両性イオンリン脂質は、主にアシル鎖に不飽和がなく、かつリゾレシチンおよびペルオキシドがない。濃縮化合物または純粋化合物の例には、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、およびジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)がある。これらの中ではDMPCが現在のところより好ましい。あるいは、オレイル残基を有するリン脂質およびコリン残基を有さないホスファチジルグリセロールが、本発明のいくつかの実施形態および用途に適している。
【0053】
いくつかの実施形態において、本発明での使用に適した非イオン性表面活性剤およびリン脂質は、コロイド構造を形成するために、コルチコステロイドを使用して調剤される。コロイド溶液は、コロイド溶液内に分散したコロイド物質が、通常固体物資と関連する測定可能な物理的特性を有さない単相系として定義される。コロイド分散を産生する方法は、例えば、参考として本明細書で具体的に援用される、米国特許第6,653,319号に記載されるように、当該技術分野で既知である。
【0054】
本発明での使用に適したシクロデキストリンおよび誘導体は、例えば、それぞれ参考として本明細書で具体的に援用される、Challa etal.,AAPS PharmSciTech 6(2):E329−E357(2005)、米国特許第5,134,127号、同第5,376,645号、同第5,874,418号など、当該技術分野で記載されている。いくつかの実施形態において、本発明での使用に適したシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体には、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、SAE−CD誘導体(例えば、SBE−α−CD、SBE−β−CD(Captisol(登録商標))、およびSBE−γ−CD)(CyDex,Inc.、米国カンザス州レネクサ)、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル(2−および3−ヒドロキシプロピルを含む)、およびジヒドロキシプロピルエーテル、それらの対応する混合エーテル、およびさらにメチル基またはエチル基と混合したエーテル(例えば、α−、β−、およびγ−シクロデキストリンのメチルヒドロキシエチル、エチル−ヒドロキシエチル、およびエチル−ヒドロキシプロピルエーテル);ならびに1つ以上の糖残基(例えば、グルコシルまたはジグルコシル、マルトシルまたはジマルトシル、ならびにそれらの種々の混合物(例えば、マルトシルとジマルトシル誘導体の混合物))を含有する場合があるα−、β−、およびγ−シクロデキストリンのマルトシル、グルコシルおよびマルトトリシル誘導体が含まれるが、これらに限定されない。本発明での使用のための特定のシクロデキストリン誘導体には、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル−γ−シクロデキストリン、ジヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、グルコシル−α−シクロデキストリン、グルコシル−β−シクロデキストリン、ジグルコシル−β−シクロデキストリン、マルトシル−α−シクロデキストリン、マルトシル−β−シクロデキストリン、マルトシル−γ−シクロデキストリン、マルトトリオシル−β−シクロデキストリン、マルトトリオシル−γ−シクロデキストリン、ジマルトシル−β−シクロデキストリン、ジエチル−β−シクロデキストリン、グルコシル−α−シクロデキストリン、グルコシル−β−シクロデキストリン、ジグルコシル−β−シクロデキストリン、トリ−O−メチル−β−シクロデキストリン、トリ−O−エチル−β−シクロデキストリン、トリ−O−ブチリル−β−シクロデキストリン、トリ−O−バレリル−β−シクロデキストリン、およびジ−O−ヘキサノール−β−シクロデキストリン、ならびにメチル−β−シクロデキストリン、およびそれらの混合物(例えば、マルトシル−β−シクロデキストリン/ジマルトシル−β−シクロデキストリン)が含まれる。このようなシクロデキストリン誘導体を調製する手順は、例えば、米国特許第5,024,998号および参考としてこの文献で援用された参考文献から周知である。本発明での使用に適した他のシクロデキストリンには、カルボキシアルキルチオエーテル誘導体(例えば、ORGANON(AKZO−NOBEL)製のORG26054およびORG25969)、EASTMAN製のヒドロキシブテニルエーテル誘導体、スルホアルキル−ヒドロキシアルキルエーテル誘導体、スルホアルキル−アルキルエーテル誘導体、ならびに例えば、それぞれ参考として本明細書で援用される米国特許出願第2002/0128468号、同第2004/0106575号、同第2004/0109888号および同第2004/0063663号、または米国特許第6,610,671号、同第6,479,467号、同第6,660,804号、または第6,509,323号に記載されるような他の誘導体がふくまれる。
【0055】
ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンは、Research Diagnostics Inc.(米国ニュージャージー州フランダース)から入手可能である。例示的なヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン製品には、Encapsin(登録商標)(置換度4)およびMolecusol(登録商標)(置換度8)が含まれるが、他の置換度を含む実施形態も利用可能であり、本発明の適用範囲内に含まれる。
【0056】
ジメチルシクロデキストリンは、FLUKA Chemie(スイス ブックス)またはWacker(米国アイオワ州)から入手可能である。本発明での使用に適した他の誘導体化シクロデキストリンには、水溶性誘導体化シクロデキストリンが含まれる。例示的な水溶性誘導体化シクロデキストリンには、カルボキシル化誘導体、硫酸化誘導体、アルキル化誘導体、ヒドロキシアルキル化誘導体、メチル化誘導体、およびカルボキシ−β−シクロデキストリン(例えば、スクシニル−β−シクロデキストリン(SCD))が含まれる。これらの物質はすべて、当該技術分野で既知の方法によって製造可能であり、および/または市販されている。適切な誘導体化シクロデキストリンは、Modified Cyclodextrins: Scaffolds and Templates for Supramolecular Chemistry (Eds.Christopher J.Easton,Stephen F.Lincoln,Imperial College Press,London,UK,1999)に開示されている。
【0057】
本発明での使用に適した表面改質剤は、例えば、それぞれ参考として本明細書で具体的に援用される、米国特許第5,145,684号、同第5,510,118号、同第5,565,188号および同第6,264,922号など、当該技術分野で記載されている。本明細書での使用に適した表面改質剤および/または表面安定剤の例には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸塩、ゼラチン、カゼイン、レシチン(ホスファチド)、デキストラン、アラビアゴム、コレステロール、トラガント、ステアリン酸、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、グリセロールモノステアレート、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、セトマクロゴール1000などのマクロゴールエーテル)、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、市販されるTweensTM(例えば、Tween 20TMおよびTween 80TM)(ICI Specialty Chemicals)、ポリエチレングリコール(例えば、Carbowax 3550TMおよび934TM(Union Carbide))、ステアリン酸ポリオキシエチレン、コロイド状二酸化ケイ素、リン酸塩、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸塩、非結晶セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレンオキシドおよびホルムアルデヒドによる4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノールポリマー(チロキサポール、スペリオーネ、およびトリトンとしても知られる)、ポロキサマー(例えば、エチレンオキシトと酸化プロピレンとのブロックコポリマーであるPluronics F68TMおよびF108TM)、ポロキサミン(例えば、エチレンジアミン(BASF Wyandotte Corporation、米国ニュージャージー州パーシッパニー))への酸化プロピレンおよびエチレンオキシドの逐次付加に由来する四官能基ブロックコポリマーであるPoloxamine 908TMとしても知られる、Tetronic 908TM)、Tetronic 1508TM(T−1508)(BASF Wyandotte Corporation)、アルキルアリールポリエーテルスルホン酸塩であるTritons X−200TM(Rohm and Haas)、ステアリン酸スクロースとジステアリン酸スクロースとの混合物であるCrodestas F−100TM(Croda Inc.)、p−イソノニルフェノキシリポリ−(グリシドール)(Olin−1OGTMまたはSurfactant 10TM(Olin Chemicals、米国コネチカット州ステムフォード)としても知られる)、Crodestas SL−40TM(Croda, Inc.)、およびC1837CH(−CON(CH)−CH(CHOH)(CHOH)(Eastman Kodak Co.)であるSA9OHCO、デカノール−N−メチルグルカミド、n−デシル−β−D−グルコピラノシド、n−デシル−β−D−マルトピラノシド、n−ドデシル−β−D−グルコピラノシド、n−ドデシル−β−D−マルトシド、ヘプタノール−N−メチルグルカミド、n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド、n−ヘプチル−β−D−チオグルコシド、n−ヘキシル−β−D−グルコピラノシド、ノナノイル−N−メチルグルカミド、n−ノイル−β−D−グルコピラノシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、n−オクチル−β−D−グルコピラノシド、オクチル−β−D−チオグルコピラノシド、PEG−リン脂質、PEG−コレステロール、PEG−コレステロール誘導体、PEG−ビタミンA、PEG−ビタミンE、リゾチーム、ビニルピロリドンと酢酸ビニルのランダムコポリマー、および同等物(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニルのコポリマー、ビニルピロリドン、ラウリル硫酸ナトリウム、およびスルホコハク酸ジオクチルナトリウム)が含まれるが、これらに限定されない。
【0058】
他の有用なカチオン性安定剤には、カチオン性脂質、スルホニウム、ホスホニウム、および第四アンモニウム化合物(例えば、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジル−ジ(2−クロロエチル)エチルアンモニウムブロミド、ココナツトリメチルアンモニウムクロリドまたはブロミド、ココナツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリドまたはブロミド、デシルトリエチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドまたはブロミド、C12−15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドまたはブロミド、ココナツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドまたはブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムメチル硫酸塩、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリドまたはブロミド、ラウリルジメチル(エテノキシ)アンモニウムクロリドまたはブロミド、N−アルキル(C12−18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N−アルキル(C14−18)ジメチル−ベンジルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、ジメチルジデシルアンモニウムクロリド、N−アルキルおよび(C12−14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、ハロゲン化トリメチルアンモニウム、アルキル−トリメチルアンモニウム塩とジアルキル−ジメチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、エトキシ化アルキルアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩および/またはエトキシ化トリアルキルアンモニウム塩、ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウムクロリド、N−ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、N−アルキル(C12−14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリドとドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、C12、C15、C17トリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ポリ−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、ジメチルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルアンモニウムハロゲン化物、トリセチルメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド(ALIQUAT 336TM)、POLYQUAT 10TM、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、コリンエステル(例えば、脂肪酸のコリンエステル)、ベンザルコニウムクロリド、ステアラルコニウムクロリド化合物(例えば、ステアリルトリモニウムクロリドおよびジステアリルジモニウムクロリド)、セチルピリジニウムブロミドまたはクロリド、四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハライド塩、MirapolTMおよびALKAQUATTM(Alkaril Chemical Company)、アルキルピリジニウム塩、アミン(例えば、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アルカノールアミン、ポリエチレンポリアミン、N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリル酸塩、およびビニルピリジン)、アミン塩(例えば、ラウリルアミン酢酸塩、ステアリルアミン酢酸塩、アルキルピリジニウム塩、およびアルキルイミダゾリウム塩)、およびアミンオキシド、イミドアゾリニウム塩、プロトン化第四アクリルアミド、メチル化第四ポリマー(例えば、ポリ[ジアリルジメチルアンモニウムクロリド]およびポリ−[N−メチルビニルピリジニウムクロリド])、ならびにカチオン性グアー)が含まれるが、これらに限定されない。
【0059】
本発明の文脈において、溶解性エンハンサーには、溶解性エンハンサーとして作用する化学薬品を使用してまたは使用せずに溶解性を増強する方法によって調製される水溶液が含まれる。このような方法には、例えば、超臨界流体の調製が含まれる。このような方法によれば、ブデソニドなどのコルチコステロイド組成物は、平均粒子の流体力学半径が50ナノメートル〜700ナノメートルである狭い粒子径分布(通常、200ナノメートル未満)を有する粒子に加工される。ブデソニド粒子などのナノサイズのコルチコステロイド粒子は、超臨界流体急速膨張法(RESS)または超臨界流体溶液促進分散(SEDS)、ならびに超臨界液体に関連するその他いずれかの技法を含めた超臨界流体(SCF)プロセスを使用して加工される。粒子を形成するためのSCFプロセスの使用は、Palakodaty, S., et al.,Pharmaceutical Research 16:976−985(1999)で考察され、それぞれ参考として本明細書で具体的に援用される、Bandi et al.,Eur.J.Pharm.Sci.23:159−168(2004)、米国特許第6,576,264号、および米国特許出願第2003/0091513号に記載されている。これらの方法は、選択される方法およびパラメータにより形態が異なるミクロン径およびサブミクロン径の粒子の形成が可能である。さらに、これらのナノ粒子は、噴霧乾燥、凍結乾燥、体積排除、およびその他いずれかの従来の粒子低減法によって加工することができる。
【0060】
さらに、SCFを含めたナノサイズ粒子を産生するプロセスは、沈澱または凝縮時に粒子形成条件を適切に調節することによって所望の形態(例えば、非結晶型、結晶型、分離ラセミ型)を選択することを可能にする。所望の粒子形態を選択することで、選択された薬剤の持続放出を達成することができる。これらの粒子加工プロセスは、純度が高く、表面欠陥が少なく、表面荷電が少なく、沈降速度が遅いナノ粒子を得るために使用される。このような粒子の特徴によって、粒子凝集、集塊が抑制され、液体分散での沈澱が防止される。さらに、SCFなどのプロセスによって特定の薬剤の異性体を分離することができることから、このような分離によって、薬剤の高い活性、有効性、ならびに極度の用量低減がもたらされる可能性がある。場合によっては、異性体の分離によって副作用が減少することもある。
【0061】
溶解性エンハンサーの好ましいクラスは、国際公開第2005/065649号、同第2005/065435号および同第2005/065651号に記載されるようなスルホアルキルエーテルシクロデキストリン誘導体(SAE−CD誘導体)である。特に、コルチコステロイドに関してモル過剰の溶解性エンハンサーを使用することが有利であると考えられる。SAE−CD誘導体の特に好ましいクラスは、CyDex,Inc.(米国カンザス州レネクサ)から入手可能なSBE7−β−CD(Captisol(登録商標))などのSBE−β−CD化合物である。溶液に含まれる場合がある他の溶解性エンハンサーには、ポリソルベート80が含まれる。ポリソルベート80が存在する場合の好ましい濃度には、0.01%以下、0.005%以下、および0.001%以下が含まれる。特に、SBE7−β−CDなどのSAE−CDを含み、かつポリソルベート80を含まない組成物が好ましい。好ましい実施形態において、コルチコステロイド溶液はまた、追加の有効成分、特に水溶性有効成分も含む。コルチコステロイド溶液に好ましくは含まれる化合物の1つのクラスは、アルブテロールなどの水溶性の即効性β2アゴニストである。
【0062】
種々の実施形態において、溶解性エンハンサーは微粒子化される。
【0063】
いくつかの実施形態において、溶解性エンハンサーは、2つ以上の構成成分の組み合わせである。例えば、溶解性エンハンサーは、シクロデキストリン(例えば、SBE7−β−CD)とモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(例えば、ポリソルベート80)との組み合わせである場合がある。
【0064】
本明細書に記載の系および方法のいくつかの実施形態においては、さらに少なくとも1つの溶解性エンハンサーも含むコルチコステロイド含有水溶液が使用される。いくつかの実施形態において、溶解性エンハンサーは、約0.001%〜約25%の濃度(重量/容量)を有してもよい。他の実施形態において、溶解性エンハンサーは、約0.01%〜約20%の濃度(重量/容量)を有してもよい。さらに他の実施形態において、溶解性エンハンサーは、約0.1%〜約15%の濃度(重量/容量)を有してもよい。さらに他の実施形態において、溶解性エンハンサーは、約1%〜約10%の濃度(重量/容量)を有してもよい。さらに他の実施形態において、溶解性エンハンサーは、約5%〜約10%の濃度(重量/容量)を有してもよい。好ましい実施形態において、溶解性エンハンサーがシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体である場合に、溶解性エンハンサーは、約1%〜約8.0%の濃度(重量/容量)を有してもよい。
【0065】
(III. コルチコステロイド溶液)
本明細書では、少なくとも1つのコルチコステロイド、少なくとも1つの溶解性エンハンサー、水、および他の任意の成分を含むコルチコステロイド溶液を製造する方法が提供される。いくつかの実施形態において、コルチコステロイド溶液は、(a)出発物質としてコルチコステロイド、少なくとも1つの溶解性エンハンサー、および水を含むコルチコステロイド溶液の成分を高せん断ミキサーで混合する手順と、(b)これらの成分を均質化期間に均質化する手順とを含むプロセスによって製造される。
【0066】
本発明によるプロセスを図4に示す(これは、例示的な非限定的実施形態であり、例示した手順のすべてが本発明のすべての実施形態で必要なわけではない)。S100では、乾燥成分200が同定され、それらの含水量を測定するために検定される。乾燥成分200には、コルチコステロイド(例えば、ブデソニド、特に微粒子化ブデソニド)およびシクロデキストリン(例えば、Captisol(登録商標)シクロデキストリン)、ならびに追加の成分(例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、およびEDTAナトリウム(エデト酸ナトリウム))が含まれる。S102では、成分200を調剤室に移し、成分を調剤するのに適した容器で秤量されて、調合タンク204に入れられる。シクロデキストリンは3つのアリコートに分けるのが有利であり、コルチコステロイド(例えば、ブデソニド)は適切な容器に入れられる。注射用蒸留水(WFI)202は、調合タンク204に充填される。乾燥成分200は、次いで調合タンク204に添加される。調合タンクの混合の少なくとも一部は、酸素欠乏条件で行われる。例えば、溶存酸素を除去するために、WFI202に窒素またはアルゴンを散布しておく場合もある。あるいは、調合タンク204が密閉されて、不活性ガス216(例えば、窒素またはアルゴン)を使用して陰圧/保存/過圧のサイクルが1回以上(好ましくは2回)行われる場合もある。不活性ガス216の過圧とは、気圧を上回る値(任意の陽ゲージ圧)である場合があり、例えば、100ミリバール〜約3000ミリバールの範囲内である場合がある。現在のところ好ましい実施形態において、過圧は、窒素ガスの約1200ミリバールである。いくつかの実施形態において、調合タンク204には、高せん断条件を生成するように設計された均質化装置が取り付けられている。いくつかの実施形態において、調合タンク204は、FrymaKoruma Diflex(登録商標)調合ミキサーであり、ウォータージャケットを有する貯蔵タンク、液体成分(例えば、WFI)を導入するための注入口、ホモジナイザー、スターラー、乾燥成分を導入するための短いループ、長いループ、および漏斗を含む。FrymaKoruma Diflex(登録商標)調合ミキサーの高せん断条件は、約1000rpm〜4000rmp、好ましくは約1500rpm〜約3000rpmである。500Lの最大容量を収容するように設計された調合タンク204における500Lのバッチサイズにおいて、1つの好ましいホモジナイザーの速度は約2500rpmであるが、当業者により他の値が選択される場合もある。500Lの最大容量を収容するように設計された調合タンク204における50Lのバッチサイズにおいて、1つの好ましいホモジナイザーの速度は約1700rpmであるが、当業者により他の値が選択される場合もある。調合タンク204は、雰囲気ガスを排除するために密閉される場合がある。調合タンク204は、いずれかの適切なサイズ、特に約50L〜1000Lの容量である場合がある。500Lのモデルが現在のところ好ましい。混合が終了すると(例えば、30〜600分間、好ましくは約120分間)、コルチコステロイド(例えば、ブデソニド)溶液は、加圧下で貯蔵タンク208に放出される。いくつかの実施形態において、フィルター206は、調合タンク204と貯蔵タンク208との間に設置される。フィルターは、適合する組成物(例えば、PVDF)でできた孔径0.1〜0.22μmのフィルター(例えば、Millipore(登録商標)CVGL71TP3の0.22μmフィルター)である場合がある。
【0067】
コルチコステロイド(例えば、ブデソニド)溶液は、貯蔵タンクに一定期間(例えば、7日間まで)保存される場合がある。貯蔵タンク208は、気密である場合があり、窒素またはアルゴンなどの不活性ガス218の過圧が負荷される場合がある。一般的に、不活性ガス圧は、大気圧よりもはるかに高圧(例えば、約2000ミリバール)で保存する必要がある。コルチコステロイド(例えば、ブデソニド)溶液は、次いで、加圧下でバッファータンク212に放出される。バッファータンク212は、貯蔵タンク208とブローフィルシール手順S104のフィルターとの間に機械的な緩衝材を備える。バッファータンクはまた、不活性ガス220のオーバーレイも有する場合がある。フィルター210は、貯蔵タンク208とバッファータンク212との間に挿入される場合がある。フィルター210は、存在する場合、適合する組成物(例えば、PVDF)でできた孔径0.1〜0.22μmのフィルター(例えば、Millipore(登録商標)CVGL71TP3の0.22μmフィルター)である場合がある。
【0068】
ブデソニド溶液は、バッファータンク212から手順S104のブローフィルシール装置に放出される。フィルター214は、バッファータンク212と手順S104のブローフィルシール装置との間に挿入される場合がある。フィルター214は、存在する場合、0.1〜0.22μmのフィルター(好ましくは、0.22μmのPVDFフィルター)(例えば、Millipore(登録商標)CVGL71TP3の0.22μmフィルター)である場合賀ある。ブローフィルシール手順S104は、液体コルチコステロイド(例えば、ブデソニド)溶液を個々の薬学的に許容される容器(本明細書の他の箇所では、ボトル、アンプルまたはバイアルと称する)に分注し、個々の容器を密封する手順を伴う。いくつかの実施形態において、本容器は、0.5mLの呼び容量を有するLDPEアンプルであるが、他の物質とサイズも当該技術分野に含まれる。いくつかの実施形態において、ブローフィルシール手順S104は、例えば、不活性ガス220(例えば、窒素)陽圧下の酸素欠乏条件下で行われる場合がある。個々の容器は、次いで、パウチ手順S106でパウチに包装される。いくつかの実施形態において、パウチ手順S106は、例えば、不活性ガス222(例えば、窒素)陽圧下などの酸素欠乏条件下で行われる場合がある。各パウチは、コルチコステロイド(例えば、ブデソニド)の1つ以上の容器(例えば、アンプルまたはバイアル)を含む場合がある。いくつかの実施形態において、各パウチは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14以上の容器を含む。いくつかの現在のところ好ましい実施形態において、各パウチは5つのアンプルを含有する。パウチは、カートン手順S108でカートンに包装される。
【0069】
いくつかの実施形態において、コルチコステロイド溶液は、大量のコルチコステロイド、溶解性エンハンサー、および他の成分を高せん断ミキサーで約3日間、約2日間、約1日間、約16時間、約12時間、または約8時間混合することによって製造される。
【0070】
種々の実施形態において、コルチコステロイド溶液は、大量のコルチコステロイド、溶解性エンハンサー、および他の成分を高せん断ミキサーで約5時間未満、約4時間未満、約3時間未満、および特に約2時間以内混合することによって製造される。いくつかの実施形態において、混合は窒素下で行われる。
【0071】
いくつかの実施形態において、コルチコステロイド溶液は、大量のコルチコステロイド、溶解性エンハンサー、および他の成分を高せん断ミキサーで約15分から5時間、または約15分〜約4時間、または約30分〜約3時間、または約30分〜約2時間混合することによって製造される。
【0072】
いくつかの実施形態において、コルチコステロイド溶液は、5分間、または10分間、または15分間、または20分間、または25分間、または30分間混合した後、少なくとも約90%の溶解を有する。他の実施形態において、コルチコステロイド溶液は、5分間、または10分間、または15分間、または20分間、または25分間、または30分間混合した後、少なくとも約95%の溶解を有する。いくつかの実施形態において、コルチコステロイド溶液は、5分間、または10分間、または15分間、または20分間、または25分間、または30分間混合した後、少なくとも約98%の溶解を有する。
【0073】
いくつかの実施形態において、混合が開始されると、コルチコステロイド溶液は、約5時間以内に、または約4時間以内に、または約3時間以内に、または約2時間以内に、または約1時間以内に、または30分以内に、または15分以内に少なくとも約98%の溶解を有する。他の実施形態において、混合が開始されると、コルチコステロイド溶液は、約5時間以内に、または約4時間以内に、または約3時間以内に、または約2時間以内に、または約1時間以内に、または30分以内に、または15分以内に少なくとも約95%の溶解を有する。
【0074】
いくつかの実施形態において、15分から5時間混合する間に、コルチコステロイド溶液は、少なくとも約98%の溶解を達成する。別の実施形態において、約15分から4時間混合する間に、コルチコステロイド溶液は、少なくとも約98%の溶解を達成する。さらに他の実施形態において、約15分から3時間混合する間に、コルチコステロイド溶液は、少なくとも約98%の溶解を達成する。さらに他の実施形態において、約30分〜約1時間混合する間に、コルチコステロイド溶液は、少なくとも約98%の溶解を達成する。
【0075】
特定の実施形態において、混合は、少なくとも約5L、少なくとも約10L、少なくとも約20L、少なくとも約40L、少なくとも約50L、少なくとも約100L、少なくとも約250L、少なくとも約500L、または少なくとも約1000Lの容量を有する高せん断ミキサーで行われる。このようないくつかの好ましい実施形態において、混合は、陰圧と不活性ガス(例えば、窒素またはアルゴン)の陽圧によるオーバーレイとの交互のサイクルによって行われる。いくつかの特定の実施形態において、混合した後、コルチコステロイド溶液は、少なくとも約100ミリバール、少なくとも約200ミリバール、少なくとも約500ミリバール、少なくとも約1000ミリバール、または少なくとも約1200ミリバール以上の不活性ガス(窒素またはアルゴン)のオーバーレイ下で貯蔵される。
【0076】
他の実施形態において、混合は、約5L〜1000L、または約25L〜1000L、または約50L〜約1000L、または約50L〜約700L、または約50L〜約500L、または約100L〜約500Lの容量を有する高せん断ミキサーで行われる。このようないくつかの好ましい実施形態において、混合は、陰圧と不活性ガス(例えば、窒素またはアルゴン)の陽圧によるオーバーレイとの交互のサイクルによって行われる。いくつかの特定の実施形態において、混合した後、コルチコステロイド溶液は、少なくとも約100ミリバール、少なくとも約200ミリバール、少なくとも約500ミリバール、少なくとも約1000ミリバール、または少なくとも約1200ミリバール以上の不活性ガス(窒素またはアルゴン)のオーバーレイ下で貯蔵される。
【0077】
いくつかの実施形態において、コルチコステロイド溶液は、少なくとも約5L、少なくとも約10L、少なくとも約20L、少なくとも約40L、少なくとも約50L、少なくとも約100L、少なくとも約250L、少なくとも約500L、または少なくとも約1000Lの量を有する。このようないくつかの好ましい実施形態において、混合は、陰圧と不活性ガス(例えば、窒素またはアルゴン)の陽圧によるオーバーレイとの交互のサイクルによって行われる。いくつかの特定の実施形態において、混合した後、コルチコステロイド溶液は、少なくとも約100ミリバール、少なくとも約200ミリバール、少なくとも約500ミリバール、少なくとも約1000ミリバール、または少なくとも約1200ミリバール以上の不活性ガス(窒素またはアルゴン)のオーバーレイ下で貯蔵される。
【0078】
種々の実施形態において、コルチコステロイド溶液の量は、約5L〜1000L、または約25L〜1000L、または約50L〜約1000L、または約50L〜約700L、または約50L〜約500L、または約100L〜約500Lである。このようないくつかの好ましい実施形態において、混合は、陰圧と不活性ガス(例えば、窒素またはアルゴン)の陽圧によるオーバーレイとの交互のサイクルによって行われる。いくつかの特定の実施形態において、混合した後、溶液は、少なくとも約100ミリバール、少なくとも約200ミリバール、少なくとも約500ミリバール、少なくとも約1000ミリバール、または少なくとも約1200ミリバール以上の不活性ガス(窒素またはアルゴン)のオーバーレイ下で貯蔵される。
【0079】
上述のコルチコステロイドおよび溶解性エンハンサーに加えて、コルチコステロイド溶液には、他の有効成分、特に他の水溶性有効成分が含まれる場合がある。特に適した有効成分は、例えば、気管支痙攣、気管支炎症などの肺疾患の1つ以上の症状の治療でコルチコステロイドと組み合わせて作用するか、またはこれと相乗的に作用する成分である。従って、コルチコステロイドは、例えば、β2アドレナリン受容体アゴニスト(例えば、アルブテロール)、ドーパミンD受容体アンタゴニスト、坑コリン剤、または局所麻酔剤などの1つ以上の他の薬剤と混合される場合もある。特定の有効成分が当該技術分野で既知であり、好ましい実施形態は、国際公開第2005/065651号の48〜49頁(これらの頁は全体が参考として本明細書で明示的に援用される)に記載されている。
【0080】
いくつかの実施形態においては、他の有効成分、特に水溶性有効成分がコルチコステロイド溶液に含まれる。いくつかの好ましい実施形態において、コルチコステロイド溶液には、アルブテロールなどの短時間作用型β2アゴニストが含まれる。従って、いくつかの好ましい実施形態には、ブデソニド、シクロデキストリン溶解性エンハンサーの(ブデソニドに対する)モル過剰(例えば、SBE7−β−CD)、およびアルブテロールが含まれる。
【0081】
(ターボ乳化機)
別の実施形態において、有効成分の溶解は、スチール製容器によって構成され、高出力タービンが取り付けられ、場合により攪拌装置とともに使用される真空ターボ乳化機によって達成される。「高出力タービン」とは、15から55Kワットの出力を有するタービンを意味する。
【0082】
真空ターボ乳化機は、スチール製容器、高出力タービン、アイソレーターの内部に取り付けられ、剛性パイプまたはホースを介してターボ乳化機のタービンに接続されるホッパー、および場合により攪拌装置で構成される。「アイソレーター」は、透明な容器であり、ハンドリンググローブを使用して粉体を移すための1つ以上の出入口が取り付けられている。ホッパーへの粉体の流入は、ターボ乳化機への空気の導入を最小限にするためのバタフライ弁で調節することができる。
【0083】
一実施形態において、ターボ乳化機は、FrymaKoruma Dinex(登録商標)700(FrymaKoruma GmbH、ドイツ ノイエンブルグ)の真空プロセッサーである。別の実施形態において、真空ターボ乳化機は、Charles Ross and Son Company、Pope Scientific, Inc.、またはRPA Process Technologiesを含めた種々のメーカーによって製造されたものである。
【0084】
第1の手順で、ビヒクルを構成する水溶液は、適切なタンクで調製される。水溶液は、全く滅菌されなくてもよければ、あるいは熱もしくは濾過によって清澄濾過が行われる場合もあり、かつ適切な添加剤もしくは賦形剤、安定剤および/または緩衝剤を含む場合がある。このようにして得られた水溶液は、真空ポンプによってターボ乳化機に移される。あるいは、ターボ乳化機に取り付けられる場合があり、ターボ乳化機を蒸気加熱または水冷することができるジャケットを介して、水溶液はターボ乳化機内で調製または滅菌してもよい。
【0085】
第2の手順で、例えば、粉体または結晶形の固体の有効成分は、次いで、上部からターボ乳化機に直接添加されるか、さもなければ真空を適用した後、タービンからターボ乳化機内に移される。
【0086】
第3の手順で、有効成分は、タービン装置を使用して、750〜4000rpm、好ましくは1000〜3600rpm、さらにより好ましくは1600〜3000rpmにて5分〜60分間、好ましくは20分〜40分間作動させ、真空下で均質化される。好ましい条件では、2900rpmで30分間作動するタービン装置が使用される。いくつかの実施形態において、50Lのバッチは、約1700rpmにて、例えば約2時間、均質化される。いくつかの実施形態において、500Lのバッチは、約2500rpmにて、例えば約2時間、均質化される。
【0087】
(高速ミキサー)
本発明による溶解手順の別の実施形態を、プロセスフロー模式図である図5に示す。混合容器304は溶液306を含んでいる。この溶液には、最終溶液に含まれるWFIの一部が含まれる。この溶液306を、例えば、高速混合装置(図示なし)を使用して、ボルテックス308にかける。ブデソニド310は、ブデソニド310からボルテックス308の上部へ向けられる矢印で示すように、直接ボルテックスに導入される。溶液306は、パイプ312を通って均質化ポンプ302に引き込まれ、パイプ314を通って混合容器304に戻されて再循環する。この再循環および高速混合は、ブデソニド310を溶解して最終ブデソニド溶液を形成するのに効果的である。図5に示すように高速ミキサーを使用することで、本質的にいかなるサイズの混合タンクでも、適切な容量の均質化ポンプに適応させることができる。従って、50L、500L、1000L、4000Lおよび10000L以上のバッチサイズが、図5に示すように装置を使用して適応される場合がある。いくつかの実施形態において、均質化ポンプは、インライン型の高せん断ローター/ステーターホモジナイザーである。
【実施例】
【0088】
本明細書で開示する装置および方法を実施するための以下の成分、プロセスおよび手順は、上述のものに対応する。以下の実施例で具体的に説明していない方法、物質または賦形剤も、本発明の適用範囲内に含まれており、本明細書の開示内容に関連して当業者に明らかとなる。以下の実施例は、単に例示を目的としたものであり、本発明の完全な適用範囲を構成するものではない。
【0089】
(実施例1A) 溶解試験1A
表1Aに列挙する成分を溶解試験1Aで使用した。最初にCaptisol(「SBE7−β−CD」または「CAP」)および水を含有する溶液を調製することによって、溶液を製造した。次いで水溶性成分を加えて、pHを4.5±0.5に調節した。次いでブデソニドを溶液に加えて、懸濁液を室温にて5時間攪拌した。ブデソニド溶液の全容積は100mLであった。次いで0.22μmフィルターを使用して製剤を濾過した。溶解したブデソニドである濾過組成物を、混合物中の全ブデソニドである非濾過ブデソニドと比較した。溶解試験1Aの結果を以下の表1A−1に示す。
【0090】
【表1A】

本試験の結果は、以下の表1A−1に示す。
【0091】
【表1A−1】


【0092】
(実施例1B) 溶解試験1B
表1Bに列挙する物質を含有する溶液を、実施例1Aに概説した手順によって製造した。溶解したブデソニドである濾過組成物を、混合物中の全ブデソニドである非濾過ブデソニドと比較した。溶解試験1Bの結果を表1B−1に示す。
【0093】
【表1B】

本試験の結果を以下の表1B−1に示す。
【0094】
【表1B−1】


【0095】
(実施例1C) 溶解試験1C
表1Cに列挙する物質を含有する溶液を、実施例1Aに概説した手順によって製造した。溶解したブデソニドである濾過組成物を、混合物中の全ブデソニドである非濾過ブデソニドと比較した。
【0096】
【表1C】

溶解試験1Cの結果を以下の表1C−1に示す。
【0097】
【表1C−1】


【0098】
(実施例1D) 溶解試験1D
表1Dに列挙する物質を含有する溶液を、実施例1Aに概説した手順によって製造した。溶解したブデソニドである濾過組成物を、混合物中の全ブデソニドである非濾過ブデソニドと比較した。溶解試験1Dの結果を以下の表1D−1に示す。
【0099】
【表1D】

試験の結果を以下の表1D−1に示す。
【0100】
【表1D−1】


【0101】
(実施例1E) 溶解試験1E
表1Eに列挙する物質を含有する溶液を以下の手順によって製造した。水およびCaptisolからなる溶液を製造し、マグネチックスターラーを使用して攪拌した。次いで、水溶性成分を加えて、pHを4.5±0.5に調節した。ブデソニドを溶液に加えて、この懸濁液をブデソニドが分散するまで攪拌した。さらに、ブデソニドの分散を、Ultra−Turraxを使用して(20分間攪拌し、20分間冷蔵庫で冷却)達成した。次いで、0.2μmフィルターを使用して溶液を濾過した。溶解したブデソニドである濾過組成物を、混合物中の全ブデソニドである非濾過ブデソニドと比較した。溶解試験1Eの結果を以下の表1E−1に示す。
【0102】
【表1E】

試験の結果を以下の表1E−1に示す。
【0103】
【表1E−1】


【0104】
(実施例2) 120μg/mLのブデソニソ溶液の調製
50Lバッチのブデソニド溶液(名目上120μg/mL)を以下の手順によって調製した。
【0105】
Captisol(登録商標)シクロデキストリン(シクロデキストリン)およびブデソニドを秤量する前に、出発物質を検定した。この検定値を使用して、製剤で使用するシクロデキストリンよびブデソニド出発物質の実際の量を算出した。シクロデキストリンは、4.9%の水(95.1%のシクロデキストリン)であることが分った。従って、必要とされるシクロデキストリン出発物質の総量を比例量で増加させた。必要とされるシクロデキストリン出発物質の量は935.8569g(890.0gのシクロデキストリン)であると算出された。このシクロデキストリン出発物質を、735.86g、100.0g、および100.0gの3回の計量で秤量した。同様に、ブデソニド出発物質を検定して、98.2%のブデソニド主成分を含有していることが分った。次いで、ブデソニド出発物質の量が5.95g/0.982=6.06gであると算出した。このようにして6.06gのブデソニド出発物質を秤量した。
【0106】
以下の追加の成分を秤量した:15.0g無水クエン酸、25.0gクエン酸ナトリウムニ水和物(USP)。50kgの溶液を製造するのに十分な注射用蒸留水も準備した。
【0107】
混合装置には、アイソレーター内に高せん断ミキサーとフィード漏斗、ならびに真空装置および窒素ガス源から構成されていた。高せん断ミキサーは密閉されており、それによって混合中にミキサーの内容物に真空を適用することが可能であった。
【0108】
40kgの水を混合装置(FrymaKouma Dinex(登録商標)真空プロセッサー、最大容量500L)に導入した。224ミリバールの陰圧を混合装置にかけて、5分間維持した。次いで、1278ミリバール(ゲージ圧)の窒素ガスを混合容器に導入した。混合容器は、混合手順の間ミキサーの外部で大気から隔離された状態のままであった。Captisol(登録商標)シクロデキストリンの約3分の1をアイソレーター内の漏斗に加えた。次いで、約100.0gのシクロデキストリンをエルレンマイヤーフラスコ内のブデソニド出発物質に加えて、均質の混合物が形成されるまで振盪した。次いで、この混合物をフィード漏斗に加えた。次いで、100.0gのシクロデキストリンをエルレンマイヤーフラスコに加えて、均質になるまで振盪した。エルレンマイヤーフラスコの内容物を次いでフィード漏斗に加えた。最後に、15.0gの無水クエン酸、25.0gのクエン酸ナトリウムニ水和物(USP)、5.0gのエデト酸ナトリウムニ水和物、および325.0gの塩化ナトリウムをそれぞれ順次フィード漏斗に加えた。成分のすべてをフィード漏斗で混合してから、真空吸引によってすべてをミキサーに導入した。
【0109】
次いで、ミキサーの内容物を、約17℃にて1500rpm速度で約5分間均質化した。次いで、前にブデソニド出発物質を入れたエルレンマイヤーフラスコを約150mLの水で2回すすぎ、すすいだ水をフィード漏斗に加えた。残りの水の約半分をフィード漏斗に加えて、フィード漏斗の内容物を真空吸引によってミキサーに導入した。次いで、最後の量の水をフィード漏斗に加えて、真空吸引によってミキサーに導入した。最後に、ホモジナイザーの速度を1700rpmに上げて、120分間維持した。
【0110】
120分間の均質化の間に、以下のように混合タンクに酸素をパージした:(1)約200ミリバールの第1の陰圧を適用して、約5分間維持した;(2)1200ミリバールの窒素圧を適用した;(3)約200ミリバールの第2の陰圧を適用して、約5分間維持した;(4)約1215ミリバールの第2の窒素オーバーレイをミキサーに適用した。均質化の終了後、均質化したブデソニド溶液の試料を採取して、品質管理に送った。
【0111】

(実施例3) 溶解試験3
【0112】
【表2】

本溶解試験3では以下の手順を使用した:(1)注射用蒸留水(41.0kg)をDinex700処理装置に加えた。(2)陰圧(200ミリバール)を適用し、窒素を1200ミリバールで適用して、これらのプロセスを繰り返した。(3)秤量した乾燥成分を、グローブボックスの下に配置した偏心型添加用漏斗に入れた。重くなる順に加えていき、それによってブデソニドの空になった樹脂製容器にCaptisolの一部を2回充填し、密閉して、揺すりながらブデソニドを漏斗に空けていき、容器内に残っているブデソニドを除去した。次いで漏斗に蓋をして密閉した。(4)漏斗の表面の粉体を底へ洗い流すために、注射用蒸留水の一部6.8kgを漏斗に加えて使用した。(5)ホモジナイザーの回転速度を1700min−1に調節した。(6)ゴムベラを使用して粉体を漏斗の底にこすり落とし、粉体を漏斗の底へ洗い流すために、注射用蒸留水の一部500mLを使用した。次いで漏斗に蓋をして密閉した。(7)無菌空気をDinex700処理装置に入れて、大気圧を調節する;(a)攪拌プロセス/サンプリング、(i)T=50分(T=1回目の吸引プロセス)。(8)試料(ブデソニド検定)をループから採取して、0.45μmフィルターで濾過した。(9)陰圧(200ミリバール)を適用し、窒素を1200ミリバールで適用して、これらのプロセスを繰り返した;(i)T=60分(T=1回目の吸引プロセス)。(10)試料をループから採取し(0.45μmで濾過)、容器の上部から採取した(0.45μmで濾過、非濾過)。それによって攪拌プロセスを10〜15分間停止させた;(i)T=120〜360分(T=1回目の吸引プロセス)。(11)1時間ごとに試料をループから採取した(0.45μm濾過、非濾過)。(12)360分後、さらに非濾過試料をループおよび容器の上部から採取した。(13)生成物を非無菌の貯蔵タンクに移した後、廃棄した。
【0113】
【表3】

=1回目の吸引プロセス
0.45μmメチルセルロースフィルター
60分:上部、その他:ループ
100%=237.7μg/mLブデソニド=ブデソニドの理論的濃度
N.D.=測定せず。
【0114】
(実施例4) 溶解試験4
以下の物質を使用することを除き、実施例3に記載のプロセスと同様のプロセスを使用した。
【0115】
【表4】

結果を以下の表4−1に示す。
【0116】
【表4−1】

=1回目の吸引プロセス
0.45μmメチルセルロースフィルター
0.2μmPVDFフィルター
100%=240.2μg/mLブデソニド=ブデソニドの理論的濃度。
【0117】
(実施例5) 溶解試験5(50kgバッチ)
【0118】
【表5】

結果を以下の表5−1に示す。
【0119】
【表5−1】

=1回目の吸引プロセス
0.45μmメチルセルロースフィルター
100%=480.4μg/mLブデソニド=ブデソニドの理論的濃度。
【0120】
(実施例6) 溶解試験6
【0121】
【表6】

結果を以下の表6−1に示す。
【0122】
【表6−1】

=1回目の吸引プロセス
0.45μmメチルセルロースフィルター
100%=240.3μg/mLブデソニド=ブデソニドの理論的濃度。
【0123】
(実施例7) 80μg/mLのブデソニド溶液(バッチGI059)
約80μg/mLの最終濃度を有するブデソニド溶液の50Lバッチを以下の手順によって調製した。
【0124】
最初に、各試料の水の割合を測定するために、ブデソニドおよびCaptisol(登録商標)シクロデキストリン(シクロデキストリン)を検定した。50Lバッチ中のシクロデキストリンの標的質量は595gであり、ブデソニドの標的質量は4.1gであった。シクロデキストリンの検定により、4.8%の水の値、すなわち95.2%のシクロデキストリン値を得た。ブデソニドの検定では、99.2%のブデソニド値を得た。従って、シクロデキストリンの量を595g/0.952=625gと算出し、ブデソニドの質量を4.1g/0.992=4.133gと算出した。
【0125】
シクロデキストリンを100g、100gおよび425gの3つのアリコートでそれぞれ秤量した。4.133gのブデソニドを容器(ブデソニド容器)で秤量した。
【0126】
洗浄した貯蔵タンクを蒸気で滅菌して、40kgの注射用蒸留水(WFI)をこの貯蔵タンクに充填した。スターラーおよびホモジナイザーを備えた清浄なステンレス製の500L(最大容量)のFrymaKoruma Dinex(登録商標)(FrymaKoruma GmbH、ドイツ ノイエンブルグ)混合容器(混合タンク)を蒸気で10分間滅菌して、乾燥させた。この混合タンクは、短い均質化ループ(短いループ)と乾燥成分を導入するための漏斗(粉体添加用漏斗)を備えている。次いで、40kgの水を、加圧下で貯蔵タンクから混合タンクに移した。次いで、事前に秤量したシクロデキストリンの425gアリコートのほぼ半分を粉体添加用漏斗に加えた。次いで、ブデソニドを漏斗の内壁に接触させないように注意しながら、ブデソニド容器の全内容物を漏斗に加えた。次に、シクロデキストリンの最初の100gアリコートをブデソニド容器に加え、ブデソニドが残らぬよう振盪させてスカベンジさせた。次いで、ブデソニド容器の内容物を漏斗に加えた。この手順を、シクロデキストリンの次の100gアリコートを使用して繰り返した。
【0127】
次いで、以下の量の成分を漏斗に加えた:15.0gの無水クエン酸、25.0gのクエン酸ナトリウムニ水和物、5.0gのエデト酸ナトリウムニ水和物、395.0gの塩化ナトリウム、および425gのアリコートのシクロデキストリンの残り半分。スターラーを25rpmに設定し、ホモジナイザーを1500rpmに設定し、粉体添加用漏斗の全内容物を吸引下で混合タンクに加えた。次いで、混合タンクの内容物を短いループを通して約10分間均質化した。
【0128】
次いで、ブデソニド容器をWFIの各150gアリコートを使用して2回洗浄した。WFIの最初の150gアリコートをブデソニド容器に加えて、振盪させた。次いで、ブデソニドの内容物を漏斗に加えた。この手順を、WFIの次の150gアリコードを使用して繰り返し、漏斗の全内容物(約300mL)を吸引によって混合タンクに加えた。8.631kgのWFIのほぼ半分を漏斗に加えた。次いで、漏斗内のWFIを吸引によって混合タンクに加えた。この手順を、8.631gのWFIの残り約半分を使用して繰り返した。
【0129】
ホモジナイザーの速度を1700rpmに上げた。次いで、混合タンクを窒素(N)でパージしたが、まず、−200ミリバールの陰圧を混合タンクに適用し、5分間維持した後、混合タンクを1200ミリバールの窒素で加圧した。この手順をもう一度繰り返した。60分、90分および120分の時点に、ブデソニド溶液の試料を、0.22μmPVDFフィルターを介して混合タンクから抽出した。124分経った時点で、混合タンクの全内容物をTeflon(登録商標)PTFEホースと0.22μmのDurapore(登録商標)PVDFカートリッジフィルターを通して貯蔵タンクに放出させた。この手順により、80.2μg/mL(検定値)でブデソニド溶液46.6kgを得た。ブデソニド溶液を、窒素下でLDPEバイアルにブローフィル法により充填し、0.53mL/バイアル(42.1μg/バイアルのブデソニド)を含有する充填バイアルを用意した。密封したLDPEバイアルを窒素下でパウチした(1パウチにつきバイアル5本)。各溶液は米国薬局方<71>および欧州薬局方2.6.1に従って滅菌した。
【0130】
(実施例8) 40、60、120および240μg/0.5mL用量のブデソニド溶液
上記の実施例1および7に概説した基本手順に従って、80、120、240および480μg/mLの濃度を有するブデソニド溶液を調製し、0.5mL用量でLPDEバイアル(アンプル)に調剤し、上述のようにパウチした。得られた0.5mLの用量は、0.5mL用量あたり40、60、120および240μgのブデソニドを含有した。各アンプルに含まれる各成分の量を以下の表に示す。各溶液は米国薬局方<71>および欧州薬局方2.6.1に従って滅菌した。
【0131】
【表7】

記載の値は[重量%]である;重量モル浸透圧濃度は290mOsm/kgに調節した;pH4.5。
【0132】
(実施例9) ブデソニドの溶解 ― 諸因子の比較
本発明によるブデソニド溶液の製造効率に関する種々のパラメータの効果を測定するために、以下の表8に列挙する変更(溶解因子)を使用して、基本的には上記の実施例7で記載したように、ブデソニドをいくつかのバッチで調製した。手短に言うと、4つの因子(それぞれ2つのレベル)を解析した:スケール(50Lまたは500L);ホモジナイザー速度(50kg:1700rmp±200rpm;500kg:2500rmp±200rpm);温度:15〜20℃または30〜35℃;およびブデソニド濃度:120μg/mLまたは240μg/mL。各溶液は米国薬局方<71>および欧州薬局方2.6.1に従って滅菌した。
【0133】
【表8】

各溶解試験の条件を以下の表9に示す。
【0134】
【表9】

Comp=組成。
【0135】
上記ロットの溶解プロファイルを以下の表10に示す。混合から60分、90分、120分、150分の時点で、ブデソニド溶液を各バッチから0.22μmのPVDFフィルターを通して抽出し、溶解したブデソニドの濃度をHPLCで測定した。
【0136】
【表10】


【0137】
前述のデータ(JMP5.1.2(SAS Institute、米国ノースカロライナ州ケアリー)を使用して作成)のTukey−Kramer法による検定を、以下の表11に要約する。表を見ると明らかなように、溶解試験の結果で最大の影響を及ぼす1つの因子は、「スケール」であった。この影響は統計的に有意なものであった(全時点でP<0.05)。50kgバッチは500kgバッチよりも3〜4%低かった。一方で、温度は120分の時点で統計的に有意を示した(p=0.03)。120分の時点で30〜35℃におけるブデソニドの溶解は2%上昇した。温度の結果は図6に示す。この傾向は、90および150分ではあまり顕著ではなかった。しかし、これらの条件下におけるホモジナイザー速度に関しては、有意な傾向が見られなかった。
【0138】
【表11】


【0139】
2つのバッチスケール(それぞれ50kgおよび500kg)および2つの温度範囲(それぞれ15〜20℃および30〜35℃)のブデソニド溶解データを、以下の表12に示す。温度スケールは以下の2つを別々に選択した:15〜20℃(周辺温度)および30〜35℃(上昇温度)。図9を見ると明らかなように、120分のマークにおける上昇温度の溶解率に顕著な影響が見られた。
【0140】
【表12】


【0141】
本発明の好ましい実施形態を本明細書に示し、説明してきたが、このような実施形態は単に一例として示したものであることは、当業者に明らかとなるであろう。また、数多くの変動、変更および置換が、本発明から逸脱することなく当業者に明らかとなるであろう。但し、本明細書に記載の本発明の実施形態の種々の代替案が、本発明を実施する際に使用される場合があることを理解する必要がある。添付の特許請求の範囲が本発明の適用範囲を定義し、これらの特許請求の範囲内の方法および構造、ならびにそれらの等価物が本明細書に包含されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】図1は、PS80を含む場合と含まない場合とにおいてCaptisol(登録商標)(SBE7−β−CD)の量を変化させることによるコルチコステロイド(ブデソニド)の溶解速度を示す。試験手順は実施例1A〜1Dに記載する。
【図2】図2は、Captisol(登録商標)(SBE7−β−CD)の量を変化させることによるコルチコステロイド(ブデソニド)の溶解速度を示す。試験手順は実施例1A〜1Cに記載する。
【図3】図3は、PS80を含む場合と含まない場合とにおいてCaptisol(登録商標)(SBE7−β−CD)の量を変化させることによるコルチコステロイド(ブデソニド)の溶解速度を示す。試験手順は実施例1A〜1Dに記載する。
【図4】図4は、本発明によるプロセス手順を含むプロセスフロー図である。
【図5】図5は、本発明による溶解プロセスの別の実施形態を示すプロセスフロー図である。
【図6】図6は、2つの濃度のブデソニド溶液の溶解プロファイルに対する温度の影響を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コルチコステロイド溶液を製造するプロセスであって、
(a)出発物質としてコルチコステロイド、少なくとも1つの溶解性エンハンサー、および水を含むコルチコステロイド溶液の成分を、約50L以上の容量を有する高せん断ミキサーで混合する手順と、
(b)前記成分を約5時間以内の均質化期間に均質化し、それによって前記コルチコステロイド出発物質の少なくとも約98%が前記均質化期間内に溶解される手順と
を含む、プロセス。
【請求項2】
前記コルチコステロイドがブデソニドである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記溶解性エンハンサーがスルホアルキルエーテルシクロデキストリン(SAE−CD)を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記SAE−CDがSBE7−β−CDである、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記コルチコステロイド溶液がさらにアルブテロールも含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記コルチコステロイドの少なくとも約98.5%が前記均質化期間内に溶解される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記均質化期間が約2時間以内である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記コルチコステロイドの少なくとも約99%が前記均質化期間内に溶解される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記均質化期間が約2時間以内である、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記コルチコステロイドの少なくとも約99.5%が前記均質化期間内に溶解される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
前記均質化期間が約2時間以内である、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記コルチコステロイドの少なくとも約95%が前記均質化期間の最初の1時間内に溶解される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
前記コルチコステロイドの少なくとも約97%が前記均質化期間の最初の1時間内に溶解される、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記せん断ミキサーが約100L〜約10000L、約250L〜約4000L、または約500Lの容量を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項15】
前記ブデソニド溶液が実質的にポリソルベート80を含まない、請求項1に記載のプロセス。
【請求項16】
前記ブデソニド溶液が約0.01重量%未満のポリソルベート80または約0.005重量%未満のポリソルベート80を含有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項17】
前記ブデソニド溶液が2つ以上の溶解性エンハンサーを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項18】
前記溶解性エンハンサーがモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンとシクロデキストリンとの組み合わせである、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
前記モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンがポリソルベート80である、請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
前記ポリソルベートが約0.005重量%〜約0.1重量%の量で存在する、請求項19に記載のプロセス。
【請求項21】
前記高せん断ミキサーがFrymaKoruma Dinexモデル700、1300、2400、3500、4200または5200である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項22】
前記高せん断ミキサーがFrymaKoruma Dinexモデル700である、請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】
前記均質化速度が約1000〜約3000rpmである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項24】
約1500〜約3000rpmの均質化速度で前記混合物を均質化する手順を含む、請求項23のプロセス。
【請求項25】
前記均質化速度が約1700rpm〜約2500rpmである、請求項24に記載のプロセス。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−526858(P2009−526858A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555360(P2008−555360)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際出願番号】PCT/US2007/004052
【国際公開番号】WO2007/095339
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(508185328)ティカ レーケメデル アーベー (11)
【Fターム(参考)】