説明

コレステロール逆転送をモジュレーションする化合物の同定方法

本発明は、哺乳動物におけるコレステロール逆転送をモジュレーションすることができる方法及び化合物、並びに、コレステロール逆転送をモジュレーションすることができる化合物の選択、同定又は特徴付けを可能とするスクリーニング方法に関する。本発明は、アテローム性動脈硬化症の処置のために使用される医薬化合物の外に、該方法を実施するのに使用することができる細胞、ベクター及び遺伝子構築物にも関する。本発明の方法は、apoAI遺伝子プロモーターに由来するLRH−1誘導体応答エレメントに応答するエレメントの使用に基づいている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳動物におけるコレステロール逆転送(reverse cholesterol transport)をモジュレーションすることができる方法及び化合物並びにコレステロール逆転送をモジュレーションすることができる化合物の選択、同定及び/又は特徴付けを可能とするスクリーニング方法に関する。本発明は、アテローム性動脈硬化症の処置を意図する医薬組成物の外に、前記方法を実行するのに使用することができる細胞、ベクター及び遺伝子構築物にも関する。
【0002】
アテローム性動脈硬化症は、罹病率、死亡率、心筋梗塞、脳虚血、心臓血管疾患及び末梢血管新生の主要な原因である。高コレステロール血症及び血管炎症に関与するマクロファージにおけるコレステロール過負荷は、アテローム性動脈硬化症における主要な寄与因子である。最近、高コレステロール血症は、食餌及び医薬の組み合わせにより、例えば、スタチン又は胆汁酸捕捉剤により処置される。しかしながら、現存の治療の限界を克服するために、新規な治療ストラテジーが開発される必要がある。
【0003】
HDL(高密度リポタンパク質)により行われるコレステロール逆転送は、末梢組織に蓄積されたコレステロールを抽出し、そして肝臓を介するその排除を確実にする。この方法で、HDLは、アテローム性動脈硬化症に対して身体を保護するのを助ける。アポリポタンパク質AI(apoAI)は、HDLの有効性を担っている、HDLの基本的成分である。この点で、apoAIの発現の増加は、アテローム性動脈硬化症に対する保護効果を有する。apoAI発現は、ホルモン又は治療剤、例えば、フィブラートにより調節される。核内受容体、例えば、HNF4、PPARα又はRORαは、apoAI遺伝子の転写を制御することにおいて決定的に重要な役割を演じることが示された。特に、PPARαは、異常脂質血症の処置のために診療所で使用されるフィブラートによるヒトにおいて誘導されるapoAIの増加した発現の責任を担っている。ゆえに、apoAI発現の制御に関与する新規な細胞内シグナル伝達経路の同定は、コレステロール逆転送の有効性を増加させ、そしてそれによりアテローム性動脈硬化症に対して保護することができる新規な治療ストラテジーを、規定することを可能とするであろう。
【0004】
核内ホルモン受容体は、天然及び/又は人工的リガンドによりその活性がモジュレーションされる転写因子の大きなファミリーを形成する。一般に、該因子は、特異的シス作用性応答エレメントに結合することにより、そして転写装置の活性化に必要なアクセサリータンパク質を動員することにより、該因子の標的遺伝子の発現を制御する。
【0005】
NR5A2、CPF、hB1F、PHR又はFTFとしても知られた核内受容体LRH−1(肝臓受容体相同体1(Liver Receptor Homolog-1)は、そのリガンドが同定されていないオーファン受容体である[1]。LRH−1は、ヒトにおけるそのパラログ(paralogue)がSF−1受容体であるショウジョウバエFTZ−F1受容体の相同体である。おそらく特定のポリアデニル化部位の選択的使用から生じる、少なくとも2つのアイソフォームが同定された[2]。LRH−1発現は、肝臓、膵臓外分泌腺及び腸並びに卵巣[3]及び前脂肪細胞に制限される。LRH−1は胚形成において初期に発現される[4,5]。LRH−1は、RXRとヘテロ二量体化しないが、配列YCAGGGYCR(式中、Y=T又はCであり、R=G又はAである)を有するDNA応答エレメントにモノマーとして結合する。胆汁酸の合成又は輸送[6]、ステロイド[3]及びリポタンパク質[7,8]の代謝の制御並びに転写又は発生(development)の制御において、いくつかの標的遺伝子が同定された。LRH−1は内胚葉の発生にも関与しているようだ[1]。
【0006】
本発明は、アポリポタンパク質AI(apoAI)をコードするヒト遺伝子の発現におけるLRH−1の役割の観察並びに、LRH−1と該遺伝子のプロモーターの断片との間で起こる直接相互作用に基づいている。本発明はまた、LRH−1の過剰発現は、ヒトapoAIプロモーターの活性の刺激をもたらすという独創的な観察に基づいている。本発明は、ヒトapoAI遺伝子プロモーターの領域BとCの接合部(junction)における機能的LRH−1応答エレメント[16に定義された]の同定及びその配列の特徴付けにも基づいている。
【0007】
かくして、本発明は、LRH−1核内受容体によるapoAI産生のモジュレーションを初めて証明する。それにより本発明は、該タンパク質の発現、HDLの活性又はコレステロール逆転送を調節することができる化合物の研究のための新規な標的及びアプローチを提供する。
【0008】
本発明は、apoAIプロモーターへのLRH−1の結合及び/又はヒトapoAI遺伝子の転写に対するその効果をモジュレーションする化合物の使用に基づいた、コレステロール逆転送を増加させるための方法も提供する。
【0009】
本発明は、ヒトapoAI遺伝子の発現及び/又はHDLの活性及び/又はコレステロール逆転送をモジュレーションすることができる治療物質の選択、同定又は特徴付けを可能とするスクリーニング方法も提供する。
【0010】
特定の態様に従えば、本発明のスクリーニング方法は、更に詳しくは、下記の工程:
1種以上の化合物を、ヒトapoAI遺伝子プロモーターの少なくとも1つのLRH−1応答エレメント又はその機能的変異体(functional vaiant)を含む核酸構築物と接触させ、
該化合物の該応答エレメントへの起こりうる結合(possible binding)を決定し、そして
場合により、先の測定を、同じ条件で、しかしヒトapoAI遺伝子プロモーターのLRH−1応答エレメントの少なくとも1つの突然変異したコピーを含む核酸構築物で行われた測定と比較する、
工程を含む。
【0011】
一般に、該接触は、該化合物が該応答エレメントに結合することを可能とする条件で行われる。
【0012】
好ましい様式では、本発明の方法は、
唯一のLRH−1応答エレメントとして下記の配列(配列番号1):
5’−CTGATCCTTGAAC−3’を含有するヒトアポリポタンパク質AI遺伝子プロモーターのLRH−1応答エレメントの少なくとも1つのコピーを含む核酸構築物と試験化合物を接触させ、そして
該試験化合物の該応答エレメントへの起こりうる結合を決定し、そして
場合により、先の測定を、同じ条件で、しかしヒトapoAI遺伝子プロモーターのLRH−1応答エレメントの少なくとも1つの突然変異したコピーを含む核酸構築物で行われた測定と比較する
ことを含む。
【0013】
本発明の方法の特定の態様に従えば、該化合物が該LRH−1応答エレメントに結合することを可能とする条件は、一般に外因性の(例えばモノマー形態にある)LRH−1受容体又は機能的同等物の存在並びに該試験化合物のLRH−1応答エレメントへの起こりうる結合及び/又はLRH−1のその応答エレメントへの結合により形成された複合体への該試験化合物の起こりうる結合の決定を含む。
【0014】
他の特定の態様(転写活性の試験)に従えば、場合により外因性LRH−1受容体又はその機能的同等物の存在下で、本発明に従う少なくとも1つのLRH−1応答エレメントを含むプロモーターの転写活性に対する1種以上の試験化合物の効果を測定する。該試験は、好ましくは、細胞系において、特に外因性LRH−1若しくはその同等物を含む及び/又はLRH−1のリガンド若しくはその機能的同等物を含む細胞において、該プロモーターの制御下に置かれたレポーター遺伝子の発現を決定することにより行われる。他の態様に従えば、試験は、LRH−1受容体又はその機能的同等物を含む細胞(例えば、天然又は組換え様式で、発現する)において行われる。
【0015】
本発明の好ましい態様は、場合により外因性LRH−1又はその同等物の存在下での、本発明に従う1つ以上のLRH−1応答エレメントをレポーター遺伝子と組み合わせた発現カセットの使用である。
【0016】
有利には、該レポ―ター遺伝子は、該応答エレメントの少なくとも1つのコピーを含むプロモーター、例えば、apoAIプロモーター又はその変異体若しくは断片の制御下に置かれる。生物学的抽出物におけるその活性又は存在を容易に測定することができる当業者に知られているいかなる遺伝子も、スクリーニング方法を行うためにレポーター遺伝子として使用することができる。
【0017】
本発明の特定の態様に従えば、スクリーニング方法は、
試験化合物を、レポーター遺伝子発現カセットを含有する宿主細胞と接触させ、該カセットは、唯一のLRH−1応答エレメントとして、下記の配列(配列番号1):5’−CTGATCCTTGAAC−3’を含有するヒトアポリポタンパク質AI遺伝子プロモーターのLRH−1応答エレメントの少なくとも1つのコピー、を含むプロモーターの制御下に置かれたレポーター遺伝子を含み、そして
応答エレメントへのLRH−1の結合又はレポーター遺伝子の発現に対する試験化合物の存在の効果を決定する、
工程を含む。
【0018】
好ましくは、宿主細胞は、外因性LRH−1受容体若しくはその機能的同等物及び/又はLRH−1のリガンド若しくはその機能的同等物を含有する。
【0019】
他の特定の態様に従えば、本方法は、試験化合物の存在下及び該化合物の不存在下にレポーター遺伝子の発現のレベルを決定することを含み、発現レベルの増加又は減少は、試験化合物のコレステロール逆転送をモジュレーションする能力を示す。
【0020】
本発明に従う方法により同定されうる化合物は、LRH−1の活性を修飾することができる、異なる性質、構造及び起源の化合物、特に生物学的化合物、核内因子、補因子、化合物、合成化合物等であることができる。それらは、ライブラリー、特にコンビナトリアルライブラリー、化学的ライブラリーあるいはタンパク質、ペプチド又は核酸のライブラリー、例えば、1種以上のDNA結合性タンパク質、ペプチド又はポリペプチドをコードするクローンであることもできる。
【0021】
本発明に従う方法は、LRH−1及び/又はその補因子の、その応答エレメントの一つ及び/又は他方への結合を修飾することができる化合物及び/又は、ヒトapoAIをコードする遺伝子の発現、従ってヒトapoAIの発現を修飾する(即ち、増加又は減少させる)ことができる化合物及び/又はHDLの活性をモジュレーションすることができる化合物及び/又はコレステロール逆転送をモジュレーションすることができる化合物の選択、同定又は特徴付けのために使用することができる。
【0022】
本発明は、更に、コレステロール逆転送又はHDLの活性をモジュレーションするための組成物を製造するためのこの方法で選ばれた化合物の使用及び対応する処置方法を更に記載する。
【0023】
本願をより容易に理解するために、下記の定義を与えて、その通常の意味を明白にするか又は完全にする。
【0024】
「アポリポタンパク質AI」又はapoAI:アポリポタンパク質AIは、脂質に結合することができる全体的(globular)アミノ末端及びカルボキシ末端を有する243アミノ酸を含有するタンパク質である[9]。該タンパク質は、高密度リポタンパク質の主成分であり、そしてコレステロール逆転送における基本的役割を果たす[10,11]。apoAIの遺伝子、cDNA及びmRNAは、クローニングされ、そして配列決定されており[12−14]、そして受け入れ番号:NM_000039、M20656(プロモーター)及びJ00098の下でGenbank(登録商標)データベースに(例えば、インターネット:http://www.ncbi.nlm.nih.govに)見出されうる。
【0025】
「高密度リポタンパク質(HDL)」:HDL粒子は、主として末梢細胞からコレステロールを抽出し、そして肝臓へのその返還を促進する(肝臓でコレステロールは排除される)その能力により、アテローム性動脈硬化症に対して保護的役割を有していると推定される高密度リポタンパク質(1.063〜1.21g/ml)である[10]。apoAIは、このタンパク質の70%までの割合を占める、HDLの主要タンパク質成分である。HDLは、より小さな割合でapoAII、apoCI、apoCII、apoCIII及びapoEも含む。
【0026】
「LRH−1」:LRH−1受容体は、ヒト及びラットにおいて単離され、特徴付けられ、そして配列決定されている。mRNA配列は、それぞれ、ヒト、マウス及びラットについて受け入れ番号NM_003822、NM_030676及びNM_021742の下にGenbank(登録商標)データベースにおいても入手可能である。DNA結合に関与するLRH−1の領域(「DNA結合ドメイン」)は、主として、ヒトタンパク質の残基Glu38〜Asp113間に(NM_003822において319〜546に対応する)又はマウスタンパク質の残基Glu105〜Asp180間に含まれる。
【0027】
LRH−1受容体に言及する「機能的同等物」という用語は、LRH−1受容体の構造に由来し、そして応答エレメント、特に、配列番号1の配列又はその機能的変異体を有するいかなる応答エレメントにも結合する能力を保存している、いかなるポリペプチドも示す。機能的同等物は、天然の変異体(多形、スプライシング等)、断片、突然変異体、欠失体(deletants)等であることができる。好ましくは、それらは、LRH−1受容体に対する少なくとも60%の同一性(identity)、好ましくは少なくとも75%、更に好ましくは少なくとも90〜95%を示す少なくとも1つのアミノ酸領域を含むポリペプチドである。この用語は、LRH−1受容体の断片、特にLRH−1受容体のDNA結合部位を含有する断片も含む。
【0028】
「逆転送」という用語は、ときには欠陥のある生理学的機構であって、それを介して末梢組織の過剰コレステロールが高密度リポタンパク質又はHDL(高密度リポタンパク質)により処理され、次いで肝臓に転送されて排除される、生理学的機構を意味するのに使用される。
【0029】
A.LRH−1応答エレメントの同定
本発明は、apoAI発現の調節におけるLRH−1の関与及び機構を証明し、そしてコレステロール逆転送の調節においてそのようにすることを証明する。LRH−1の過剰発現は、apoAIプロモーターの活性の増加をもたらす。本発明は、ヒトapoAIをコードする遺伝子のプロモーターにおけるLRH−1応答エレメントの正確な配列も示す。
【0030】
本発明は、特定の構築物、特に、LRH−1応答エレメントを含む核酸の構築物並びに、それを含有するカセット、ベクター及び組換え細胞にも関する。
【0031】
かくして、本発明は、LRH−1とapoAIプロモーター間の相互作用及びapoAI発現のLRH−1による調節の責任を担っているヒトapoAI遺伝子プロモーターにおいて最初に同定されたLRH−1応答エレメントの配列(配列番号1)を提供する。
【0032】
3つの異なる機能的領域が、apoAIプロモーターにおいて同定された[15]。本明細書では、アポリポタンパク質AI遺伝子プロモーターの機能的ドメインは、先に定義された命名法に従ってA、B及びCと名付けられる[16]。
【0033】
かくして、領域B及びC(配列番号3及び4)の存在は、レポーター遺伝子の発現のLRH−1による増加を誘発する(実施例1、2、5及び6)。
【0034】
本発明の特定の目的は、下記する配列番号1の配列:5’−CTGATCCTTGAAC−3’又はその機能的変異体(「LRH−1応答エレメント」)を含む核酸である。
【0035】
本発明の他の目的は、上記した如きLRH−1応答エレメントを含む核酸構築物に基づいている。特に、それは、上記した如き応答エレメントの少なくとも1つのコピーを含む発現カセットであることができる。
【0036】
本発明は、配列番号1の下記配列:5’−CTGATCCTTGAAC−3’若しくはその機能的変異体を含むか又は好ましくは、配列番号1の下記配列:5’−CTGATCCTTGAAC−3’若しくはその機能的変異体により特徴付けられた核酸断片の少なくとも1つのコピー及び、CMV極初期プロモーター(CMV immediate early promoter)及びPKGプロモーターよりなる群から選ばれるプロモーターであって、該プロモーターの制御下に置かれたレポーター遺伝子と関連した(associated)プロモーターを含む発現カセットも目的とする。特に、該発現カセットは、HDLの活性をモジュレーションすることができる化合物のin vitroスクリーニングのために使用することができる。
【0037】
本発明は、更に、上記した如きLRH−1応答エレメントを含むいかなる人工的プロモーター又はキメラプロモーターにも関する。
【0038】
本発明に従う応答エレメントの機能的変異体は、LRH−1受容体に結合する能力を保存するネイティブ配列のいかなる誘導体又は断片であってもよい。一般に、変異体は、本明細書に記載されたネイティブ配列の残基の少なくとも50%を保存する。古典的には、変異体は、問題の配列において5より少ないヌクレオチドに影響を与える修飾を含有する。好ましくは、それは、本願に記載されたネイティブ配列に対して少なくとも60%の同一性、好ましくは少なくとも75%の同一性、そして更に好ましくは少なくとも90%の同一性すら示す配列である。変異体は、種々のタイプの修飾、例えば、1つ以上の点突然変異又はさもなければ、付加、欠失及び/又は置換を含有することができる。
【0039】
該修飾は、慣用の物理的、化学的又は分子生物学的方法、例えば、部位特異的突然変異誘発又は、更に実際的には、合成器における配列の人工的合成により導入されうる。
【0040】
変異体は、種々の方法でLRH−1に結合するその能力について試験されることができ、特に:
(i)試験配列をLRH−1受容体(例えば、無細胞試験における)と接触させ、そして複合体の形成を検出する(例えば、ゲルシフトにより)こと、
(ii)最小プロモーター及びレポーター遺伝子を含む発現カセットに試験配列を挿入し、カセットを細胞に導入し、そしてLRH−1の存在下及び不存在下にレポーター遺伝子の発現を検出する(場合によりアッセイする)こと、
(iii)当業者により知られている任意の他の技術によって、例えば、核酸とタンパク質間の相互作用の証明を可能とすること、
により試験することができる。
【0041】
本発明は、前記した応答エレメントの不活性変異体、特に、LRH−1受容体に本質的に結合することができない変異体を目的として有する。このような変異体は、特に配列番号2の配列により例示される。
【0042】
該不活性変異体は、機能的変異体について前記した条件で製造し、そして試験することができる。
【0043】
有利には、本発明に従う変異体は、配列番号1の配列又はその一部とハイブリダイゼーションすることができる。
【0044】
コレステロール逆転送をモジュレーションする化合物の選択、同定及び特徴付けのための方法
本発明は、コレステロール逆転送をモジュレーションする(即ち、増加又は減少させる)化合物の同定方法を説明する。該化合物は、LRH−1のリガンド又はLRH−1のコリプレッサー及びコアクチベーター等へのLRH−1の結合を変えることにより作用することができる。さもなければ、それらは、LRH−1のみ又はLRH−1及びその補因子の、その応答エレメントへの結合を修飾又は抑制することができ、かくしてヒトapoAI遺伝子の発現を修飾することができる。それにより、apoAIプロモーターの領域BとC(配列番号3及び4)の間の接合部(junction)に存在する応答エレメントへのLRH−1の結合は、ヒトapoAI遺伝子の転写を増加させ、そしてコレステロール逆転送を刺激する。ゆえに、該応答エレメントへのLRH−1結合を増加させる(この場合、LRH−1はアクチベーターの役割を果たす)ことができる化合物の使用は、ヒトapoAI遺伝子の転写を増加させ、そしてコレステロール逆転送を刺激することを可能とする。
【0045】
かくして、本発明は、コレステロール逆転送を増加させることができる化合物の選択、同定又は特徴付けのための新規な方法を記載する。
【0046】
1.発現スクリーニングに基づく方法
本発明は、コレステロール逆転送をモジュレーションすることができる化合物の選択、同定又は特徴付けのための方法であって、
(i)レポーター遺伝子発現カセットを含有する宿主細胞と試験化合物を接触させ、該カセットは、ヒトapoAI遺伝子プロモーターのLRH−1応答エレメント又はその機能的変異体の少なくとも1つのコピーを含むプロモーターの制御下に置かれたレポーター遺伝子を含み、そして
(ii)レポーター遺伝子の発現を決定する
ことを含む方法に関する。
【0047】
好ましい様式では、本発明の方法は、
(i)レポーター遺伝子発現カセットを含有する宿主細胞と試験化合物を接触させ、該カセットは、唯一のLRH−1応答エレメントとして、下記の配列(配列番号1):5’−CTGATCCTTGAAC−3’を含有するヒトアポリポタンパク質AI遺伝子プロモーターのLRH−1応答エレメントの少なくとも1つのコピーを含むプロモーターの制御下に置かれたレポーター遺伝子を含み、そして
(ii)応答エレメントへのLRH−1の結合又はレポーター遺伝子の発現に対する試験化合物の存在の効果を決定する、
ことを含む。
【0048】
本発明は、コレステロール逆転送をモジュレーションすることができる化合物の選択、同定又は特徴付けのための方法であって、
(i)外因性LRH−1受容体又はその機能的同等物の存在下に、レポーター遺伝子発現カセットを含有する宿主細胞と試験化合物を接触させ、該カセットは、ヒトapoAI遺伝子プロモーターのLRH−1応答エレメント又はその機能的変異体の少なくとも1つのコピーを含むプロモーターの制御下に置かれたレポーター遺伝子を含み、そして
(ii)応答エレメントへのLRH−1の結合又はレポーター遺伝子の発現に対する試験化合物の存在の効果を決定する、
ことを含む。
【0049】
なお更に好ましくは、本発明は、
(i)外因性LRH−1受容体又はその機能的同等物の存在下に、レポーター遺伝子発現カセットを含有する宿主細胞と試験化合物を接触させ、該カセットは、唯一のLRH−1応答エレメントとして、下記の配列(配列番号1):5’−CTGATCCTTGAAC−3’を含有するヒトアポリポタンパク質AI遺伝子プロモーターのLRH−1応答エレメントの少なくとも1つのコピーを含むプロモーターの制御下に置かれたレポーター遺伝子を含み、そして
(ii)応答エレメントへのLRH−1の結合又はレポーター遺伝子の発現に対する試験化合物の存在の効果を決定する
ことを含む。
【0050】
更に詳しくは、本発明に従う方法は、LRH−1応答エレメント(配列番号1)の少なくとも1つのコピーを含む核酸構築物又は発現カセットと試験化合物を接触させることを提供する。
【0051】
本発明の特定の目的は、核酸断片配列番号1の少なくとも1つのコピー、及びプロモーターであって、該プロモーターの制御下に置かれたレポーター遺伝子と関連した(associated)プロモーターを含む発現カセットに関する。
【0052】
本発明の他の特定の目的は、核酸断片配列番号1の少なくとも1つの突然変異したコピー、及びプロモーターであって、該プロモーターの制御下に置かれたレポーター遺伝子と関連したプロモーターを含む発現カセットに関する。
【0053】
本発明の方法の特定の態様では、前記方法の1つにより決定された生じうる効果を、同じ条件下に、しかしヒトapoAI遺伝子プロモーターのLRH−1応答エレメントの少なくとも1つの不活性変異体(例えば、突然変異したコピー)(配列番号2)又はその機能的変異体を含む核酸構築物で行われた方法により決定された生じうる効果と比較することが、追加的に提供される。
【0054】
本発明の方法の他の特定の態様に従えば、宿主細胞は、LRH−1のリガンド又はその機能的同等物を含有する。
【0055】
本発明の方法は、下記したとおり異なるタイプの細胞、プロモーター、レポーター遺伝子により、そして下記するとおり異なる条件で行うことができる。
a)化合物を宿主細胞と接触させること
本発明により記載されたある種のスクリーニング方法は、場合により外因性LRH−1受容体又はその機能的同等物の存在下に、試験化合物を、レポーター遺伝子の宿主細胞における発現を決定し、それにより試験化合物の効果に関する情報を得ることを可能とする特異的条件で、宿主細胞と接触させる工程を提供する。
【0056】
好ましくは、LRH−1受容体は、内因性LRH−1の量の少なくとも2倍となるように人工的に導入されるか又は加えられる。それは、LRH−1の同等物、即ち、LRH−1受容体の核酸配列に対して少なくとも60%の同一性、好ましくは少なくとも75%、なお更に好ましくは少なくとも90〜95%の同一性を示すいかなる核酸配列であってもよい。
【0057】
古典的には、試験化合物の効果は、該化合物の不存在下に(及び/又は突然変異した応答エレメントで)決定されたレポーター遺伝子の発現のレベルに関して比較される。
【0058】
特定の態様に従えば、本発明の方法は、試験化合物の存在下及び該化合物の不存在下にレポーター遺伝子発現のレベルを決定することを含み、レポーター遺伝子発現の増加又は減少は、試験化合物の、コレステロール逆転送をモジュレーションする能力を示す。
【0059】
好ましい態様では、該細胞は、哺乳動物細胞(肝細胞、繊維芽細胞、内皮細胞、筋肉細胞等)であることができる。なお更に好ましくは、該細胞は、ヒト細胞であることができる。それらは、初代培養物又は樹立された細胞系であることもできる。他の態様では、原核細胞(バクテリア)、酵母細胞(Saccharomyces、Kluyveromyces等)、植物細胞等を使用することも可能である。
【0060】
化合物は、それらの効果、それらの濃度、細胞の性質及び技術的考慮に依存して、異なる時間に細胞と接触させることができる。管又はフラスコ内で、いかなる適当な支持体上でも、特にプレート上で接触を行うことができる。一般に、多数の異なる試験を同時に行うことを可能とする多重ウエルプレートで接触を行う。典型的な支持体は、取り扱いが容易であり、そして古典的刺激により可視化を達成することができる、マイクロタイトレーションプレート、更に特定的には96又は384ウエル(又はそれより多い)を有するプレートを含む。
【0061】
試験化合物の支持体及び性質に依存して、前記した方法を実施する際、可変量の細胞を使用することができる。古典的には、10〜10個の細胞、好ましくは10〜10個の細胞を、適当な培養培地中で、あるタイプの試験化合物と接触させる。例として、96ウエルプレートにおいて、10個の細胞を各ウエルにおいて所望の量の試験化合物とインキュベーションさせることができる。384ウエルプレートにおいて、10個より少ない細胞、典型的には、1×10〜4×10個の細胞を一般に各ウエルにおいて試験化合物とインキュベーションさせる。
【0062】
試験化合物の量(又は濃度)は、化合物のタイプ(その毒性、細胞を透過する能力等)、細胞の数、インキュベーション時間等に従って使用者により調節されうる。一般に、細胞を1nM〜1mMの濃度の範囲の試験化合物に暴露する。もちろん、本発明から逸脱することなく他の濃度を試験することが可能である。更に、各化合物は、異なる濃度で平行して試験することができる。
【0063】
細胞中の化合物の透過を促進する種々のアジュバント及び/又はベクター及び/又は産物、例えば、リポソーム、カチオン性脂質、ポリマー、ペネトラチン(penetratin)、TatPDT、アデノウイルスから生じるペプチド(ペントン又はファイバー)又は他のウイルスから生じるペプチド等も、必用ならば使用することができる。
【0064】
5〜72時間、一般に、12〜48時間接触を維持する。実際に、細胞及び種々の試薬は、好ましくは、レポーター遺伝子の発現産物の新規な合成を可能とするのに十分に長く接触させておくべきである。好ましい様式では、インキュベーション時間は、約36時間である。
【0065】
b)化合物の活性の決定
コレステロール逆転送をモジュレーションすることができる化合物の選択、同定又は特徴付けのための本発明で提唱された方法は、レポーター遺伝子発現カセットによる宿主細胞の形質転換を提供する。特に、該レポーター遺伝子は、生物学的抽出物においてその活性又は存在を測定することができる、即ち、検出又はアッセイすることができるか又はその転写産物を測定することができる産物をコードし、そして発現するいかなる遺伝子であることもできる。例は、ヒトapoAI自体をコードする遺伝子又はさもなければルシフェラーゼ、更に特定的にはホタル又はRenillaルシフェラーゼをコードする遺伝子、分泌されたアルカリホスファターゼ、ガラクトシダーゼ、ラクタマーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、ヒト成長ホルモン(hGH)、β−グルクロニダーゼ(Gluc)、グリーン蛍光タンパク質(GFP)等をコードする遺伝子を含む。「遺伝子」という用語は、広い意味では、いかなる核酸も意味し、特にcDNA、gDNA、合成DNA、RNA等を意味することは理解される。
【0066】
レポーター遺伝子は、何であっても、上記した如きLRH−1応答エレメントの少なくとも1つのコピーを含むプロモーターの制御下に置かれる。
【0067】
ゆえに、レポーター遺伝子は、その配列が配列番号1の配列又はその機能的変異体を含むいかなるプロモーターの制御下にも置かれることができる。該特定の配列は、プロモーターにおける1つ以上のコピー(好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜6)において同じ配向又は反対の配向において、上流、下流又は中間に存在することができる。好ましくは、本発明に従うプロモーターは、唯一のLRH−1応答エレメントとして、下記の配列(配列番号1):5’−CTGATCCTTGAAC−3’又はその機能的変異体を含有するヒトアポリポタンパク質AI遺伝子プロモーターのLRH−1応答エレメントの少なくとも1つのコピーを含む。
【0068】
好ましくは、それは、LRH−1又はその機能的同等物の不存在下及び存在下のその活性の差(differential activity)を検出することができるプロモーターである。
【0069】
本発明のプロモーターを製造するために、LRH−1応答エレメントは、転写最小プロモーターと関連させることができる。最小プロモーターは、活性が低いか、又は活性がなく、そして転写アクチベーターの存在下に増加させることができる(領域B及びCの接合部とのLRH−1の相互作用)活性を有する転写プロモーターである。ゆえに、最小プロモーターは、哺乳動物細胞においては天然では弱い、即ち、顕著な生物学的効果を得るのに無毒性の及び/又は不十分な発現を生じさせるプロモーターであることができる。有利には、最小プロモーターは、転写活性に非必須の領域を欠失させることにより、ネイティブプロモーターから製造された構築物である。例えば、それは、好ましくは、一般にサイズが160ヌクレオチドより小さく、転写開始コドン周辺に中心を有する、本質的にTATAボックスを含むプロモーターである。かくして、最小プロモーターは、例えば、ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ(TK)遺伝子(HSV−TK)のプロモーター、CMV極初期プロモーター、PGKプロモーター、ヒトアポリポタンパク質AIをコードする遺伝子のプロモーター、SV40プロモーター等の如き強い又は弱いウイルス又は細胞プロモーターから製造することができる。最小プロモーターは、例えば領域B及びCを介して、LRH−1による活性化を増加させる化合物の同定を可能とするのに十分に高い活性を有することができる。
【0070】
プロモーター(P)、LRH−1応答エレメント(RE)、及びレポーター遺伝子(RG)は、発現カセットにおいて機能的様式で、即ち、最小プロモーターが該遺伝子の発現を制御するようにそしてその活性がLRH−1により調節されるように配置される。ゆえに、一般に、該領域は、5’→3’配向において下記の順序:RE−P−RG、において配置される。しかしながら、いかなる他の機能的配置も、本発明から逸脱することなく当業者により想定することができる。
【0071】
更に、異なる前記した機能的ドメインは、互いに直接フランキングする(flank)ことができるか、又は発現カセットの機能的性質に有意に影響を与えないヌクレオチド、又はシステム(増幅器、サイレンサー、イントロン、スプライシング部位等)の改良された特徴若しくは性能を与えるヌクレオチドにより、分離されることができる。
【0072】
コレステロール逆転送をモジュレーションすることができる化合物の選択、同定及び特徴付けの方法は、レポーター遺伝子の発現を決定する工程を与える。これは、転写活性の決定でありうる。このために、全RNAは、一方では実験条件で培養された細胞から抽出され、そして他方ではコントロール状況において培養された細胞から抽出される。該RNAは、例えば、レポーター遺伝子の発現の変化を分析するためのプローブとして使用される。
【0073】
それは、適当な基質の助けによりレポーター遺伝子の発現を可視化するという問題でもありうる。該可視化は、その性質が使用されるレポーター遺伝子のタイプに依存する種々の技術により行うことができる。例えば、測定値は、β−ガラクトシダーゼ又はルシフェラーゼをコードする遺伝子がレポーター遺伝子として使用される場合には、光学濃度、蛍光又はルミネッセンス発光に相当することができる。
【0074】
特定の態様では、レポーター遺伝子の発現は、レポーター遺伝子の発現産物の加水分解のレベルとして測定される。例えば、β−ラクタマーゼの発現を評価するのに多くの基質を使用することができる。特にそれらは、β−ラクタム核を含有し、そしてその加水分解を測定することができるいかなる産物であってもよい。好ましい基質は、β−ラクタマーゼの特異的な基質(即ち、それらは、一般にβ−ラクタマーゼの不存在下に哺乳動物細胞において加水分解されない)、哺乳動物に毒性ではない及び/又はその加水分解産物が、例えば蛍光、放射能、酵素活性又はいかなる他の検出方法によっても容易に測定できる基質である。
【0075】
なお更に好ましい基質は、レシオメトリック基質(ratiometric substrate)である。該基質の加水分解は、細胞の数によるレポーター遺伝子の発現産物の活性と直接相関させることができる。本発明で使用することができる特異的及び無毒性レシオメトリック基質は、CCF2−AMである。
【0076】
基質の濃度は、例えば、細胞の数に従って当業者により調節されうる。細胞は、一般に、約60分間基質と接触して保たれる。
【0077】
レポーター遺伝子産物(又は基質の加水分解産物)の存在は、当業者により知られている慣用の方法(蛍光、OD、ルミネッセンス、FRET(WO 0037077参照)、SPA、バイオチップ、免疫学的方法等により決定されうる。
【0078】
一般に、細胞における試験化合物の活性を決定し、そしてこの効果を、試験化合物の不存在下における活性のレベル又はいかなる試験化合物も不存在下に決定された平均値と比較する。
【0079】
加水分解の測定は、主として各反応サンプル中に含有された加水分解産物の測定(又は相対的量を決定すること)を含む。該測定は、蛍光、放射能、色、酵素活性、抗原抗体免疫複合体等の検出を含む、当業者により知られた種々の方法により行うことができる。好ましい様式では、加水分解産物を検出し、そして蛍光検出法により定量する。かくして種々の蛍光色素を使用することができ、そして細胞サンプルによって測定することができる。
【0080】
化合物の選択を動物において確証することができる第2の試験は、発現されたHDLの量を決定すること又は未処理細胞との比較において該化合物で処理された細胞におけるコレステロール逆転送の有意な変化を決定することにより行うこともできる。血漿コレステロールを測定すること及び/又はapoAIの肝臓発現を決定することも可能である。
【0081】
本発明の好ましい態様に従えば、宿主細胞は、LRH−1リガンドも含む。「LRH−1リガンド」という用語は、転写因子、コアクチベーター及びコリプレッサー、並びに遺伝子発現の調節装置に関与した他のポリペプチドにも当てはまる。例えば、それは、RXR又は核内ホルモン受容体のような他の受容体であることができる。
【0082】
本発明の他の好ましい態様に従えば、そして以前に記載されたとおり、LRH−1受容体又は機能的同等物を含む宿主細胞は、本発明の方法で使用される。LRH−1受容体の存在は、生理学的状況を模倣し、そしてLRH−1と、本発明に開示された如きその応答エレメントの一つ及び/又は他方との間の相互作用、あるいはLRH−1とLRH−1の1つ以上のリガンドとの相互作用をモジュレーションすることができる化合物の前記した方法による同定を可能とする。
【0083】
本発明は、試験化合物の存在下及び試験化合物の不存在下に、上記した当業者により知られている方法の1つに従って、レポーター遺伝子の発現のレベルの決定を可能とし、レポーター遺伝子発現のレベルの増加又は減少は、コレステロール逆転送をモジュレーションする試験化合物の能力を示す。
【0084】
故に、本発明は、HDLの活性をモジュレーションすることができる化合物のin vivoスクリーニングのために使用される本発明に従う構築物、カセット又は細胞の助けにより行うことができる。
【0085】
以前に示されたとおり、該方法は、1種以上の細胞集団(哺乳動物細胞、ヒト細胞、例えば、肝臓細胞、原核細胞等)に関する多くの試験化合物の迅速且つ同時的なスクリーニングを可能とする。該方法は、予測に役立ち、自動化することができ、そして該化合物の選択、同定及び特徴付けに適応する。
【0086】
スクリーニング方法の特定の態様は、DNA結合性タンパク質を発現するクローンを同定するための古典的方法を使用する。例えば、それは、λgt11におけるcDNA発現ライブラリーをスクリーニングすること又はいわゆる「ワンハイブリッド」若しくは「ファージディスプレイ」法を使用すること又はアフィニティークロマトグラフィーによる精製を行うことであることができる。単離したタンパク質を、次に配列決定する。
【0087】
2.結合試験に基づく方法
本発明は、1種以上の応答エレメントへの試験化合物の結合を測定することに基づくコレステロール逆転送をモジュレーションする(即ち、増加又は減少させる)ことができる化合物の選択、同定又は特徴付けのための方法にも関する。該方法は、更に詳しくは、
ヒトapoAI遺伝子プロモーターのLRH−1応答エレメント又はその機能的変異体の少なくとも1つのコピーを含む核酸構築物と試験化合物を接触させ、そして
応答エレメントへの該試験化合物の起こりうる結合を決定する
ことを含む。
【0088】
好ましくは、本発明の方法は、
唯一のLRH−1応答エレメントとして、下記の配列(配列番号1):5’−CTGATCCTTGAAC−3’を含有するヒトアポリポタンパク質AI遺伝子プロモーターのLRH−1応答エレメントの少なくとも1つのコピーを含む核酸構築物と試験化合物を接触させ、そして
応答エレメントへの該試験化合物の可能な結合を決定する
ことを含む。
【0089】
他の本発明の方法は、
外因性LRH−1受容体又はその機能的同等物の存在下に、ヒトapoAI遺伝子プロモーターのLRH−1応答エレメント又はその機能的変異体の少なくとも1つのコピーを含む核酸構築物と試験化合物を接触させ、そして
LRH−1応答エレメントへの試験化合物の結合、及び/又はLRH−1のその応答エレメントへの結合により形成された複合体への試験化合物の結合を決定する
ことを含む。
【0090】
なお更に好ましくは、本発明の方法は、
外因性LRH−1受容体又はその機能的同等物の存在下に、唯一のLRH−1応答エレメントとして、下記の配列(配列番号1):5’−CTGATCCTTGAAC−3’を含有するヒトアポリポタンパク質AI遺伝子プロモーターのLRH−1応答エレメントの少なくとも1つのコピーを含む核酸構築物と試験化合物を接触させ、そして
LRH−1応答エレメントへの該試験化合物の起こりうる結合、及び/又はLRH−1のその応答エレメントへの結合により形成された複合体への該試験化合物の起こりうる結合を決定する
ことを含む。
【0091】
本発明の好ましい態様は、試験化合物の存在下に結合したLRH−1の量を、試験化合物の不存在下のこの量と比較して決定することにより、応答エレメントへのLRH−1の結合をモジュレーションする該試験化合物の能力を確立することからなる。例えば、当業者に知られているFP(蛍光偏向)を使用する競合試験を、該決定のために有効に使用することができる。
【0092】
LRH−1の応答エレメントへの結合をモジュレーションすることができる試験化合物は、その後、上記した方法の1つに従ってレポーター遺伝子及び/又はコレステロール逆転送の発現をモジュレーションするその能力について試験されうる。
【0093】
少なくとも1つのLRH−1応答エレメントへの試験化合物の結合は、上記した方法の実施の後形成されたヘテロ二量体の電気泳動により、ゲルシフトにより証明することができる。実際に、いくらかの試験化合物は、LRH−1のDNA結合部位と大部分同一の、それゆえそれと競合するDNA結合部位を含有することができる。
電気泳動は、LRH−1/LRH−1応答エレメントからなるヘテロ二量体を、試験化合物/LRH−1応答エレメントからなるヘテロ二量体及びLRH−1応答エレメントから直接区別することを可能とする。
【0094】
当業者に周知である他のルミネッセンスをベースとする方法又はFRET(蛍光共鳴エネルギー移動)技術を使用する方法を、本発明において、LRH−1応答エレメントの一方及び/又は他方への試験化合物の可能な結合を決定するのに使用することができる。
【0095】
特定の態様では、核酸構築物は、配列番号1の配列又はその機能的変異体の少なくとも1コピー、好ましくは2〜5コピーを含む。該構築物へのLRH−1結合を活性化する(即ち、少なくとも部分的に増加させる)ことができる試験化合物は、レポーター遺伝子発現の活性化を可能とし、そしてコレステロール逆転送の刺激のための候補を表す。
【0096】
本発明の特定の態様に従えは、前記方法の1つにより決定された起こりうる効果を、同じ条件で行われたが、ヒトapoAI遺伝子プロモーターのLRH−1応答エレメントの少なくとも1つの不活性変異体(例えば、突然変異したコピー)(配列番号2)又はその機能的変異体を含む核酸構築物により行われた方法により決定された起こりうる効果と比較することも提供される。好ましい様式では、核酸構築物は、下記の配列(配列番号1):5’−CTGATCCTTGAAC−3’を含有するヒトアポリポタンパク質AI遺伝子のプロモーターのLRH−1応答エレメントの少なくとも1つの突然変異したコピーを含有し、該突然変異したコピーは、本質的にLRH−1受容体に結合することができない。
【0097】
C.HDL及びアポリポタンパク質AIの活性
レポーター遺伝子の発現及び/又はコレステロール逆転送をモジュレーションする(即ち、増加又は減少させる)化合物の選択、同定又は特徴付けについて上記した方法は、好ましくは、コレステロール逆転送を増加させることができる化合物をスクリーニングするために使用され、そして本発明の他の態様に従えは、HDLの活性及び/又はapoAIの発現をモジュレーションすることができる化合物の選択、同定又は特徴付けのために使用することができる。
【0098】
D.試験化合物
本発明は、いかなるタイプの試験化合物についても使用することができる。例えば、試験化合物は、単離されているか又は他の産物と混合されているいかなる産物であってもよい。化合物は、その構造及び/又は組成によって定義されることができ又は定義できない。例えば、化合物は、単離され、そして構造的に定義された産物、定義されていない構造を有する単離された産物、既知のそして特徴付けされた産物の混合物又は1種以上の産物を含む定義されていない組成物であることができる。かくして、1種以上の化合物を、混合物において又は別々に試験することができる。例えば、該定義されていない組成物は、組織、生物学的流体、細胞上清、植物調製物等のサンプルであることができる。試験化合物は、無機又は有機産物、特にポリペプチド(又はタンパク質若しくはペプチド)、核酸、脂質、多糖、化合物又は生物学的化合物、例えば、核内因子、補因子又はそのいかなる混合物又は誘導体でもあることができる。化合物は、起源において天然又は合成であることができ、そして、コンビナトリアルライブラリー、1種以上のDNA結合性ペプチド等を発現するクローン又は核酸クローンのライブラリーを含むことができる。
【0099】
本発明は、多数の化合物の選択、同定又は特徴付けに特に適している。この簡単で有効なスクリーニングは、非常に短い期間の時間に達成されうる。特に、上記した方法は、部分的に自動化されることができ、それにより混合物の形態で又は別々に、多くの異なる化合物の有効かつ同時的なスクリーニングを可能とする。
【0100】
E.同定された化合物の使用
本発明に従って同定された化合物は、特にアテローム性動脈硬化症の分野において治療に使用するための有利な性質を有する。
【0101】
かくして、本発明は、コレステロール逆転送をモジュレーションする(即ち、増加又は減少させる)ことを意図した組成物を製造するための、ヒトapoAIをコードする遺伝子のプロモーターにおける応答エレメント又はその機能的変異体への(特に、配列番号1の配列又はその機能的変異体への)LRH−1及び/又はその補因子の結合をモジュレーションする(増加又は減少させる)ことができる化合物の使用を提供する。本発明の他の態様に従えば、該使用は、HDLの活性をモジュレーションすること(即ち、増加もしくは減少させること)又は、apoAIの発現をモジュレーションすることを意図することができる。
【0102】
本発明の他の態様は、コレステロール逆転送をモジュレーションする(即ち、増加させる)こと又はHDLの活性をモジュレーションする(即ち、増加又は減少させる)ことを意図した組成物を製造するための、ヒトapoAI遺伝子又はその機能的変異体の転写に対するLRH−1の効果をモジュレーションする(即ち、増加又は減少させる)ことができる化合物の使用を提供する。
本発明の好ましい態様では、それは化合物又は生物学的化合物である。他の好ましい態様では、それは核因子(nuclear factor)又は補因子である。なお更に好ましい態様では、それは、1種以上のDNA結合ポリペプチドを発現するクローンである。一般的には、それは、上記した方法の1つに従って選択、同定又は特徴付けされるいかなる化合物であってもよい。
【0103】
本発明は、実験的研究の標的として、あるいはコレステロール逆転送を増加させること又は高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、脂質疾患及び/又は心臓血管疾患を処置することを意図した医薬組成物の製造のための、本発明の範囲内の上記した方法の1つに従って選択、同定又は特徴付けされるいかなる化合物(又は該化合物の誘導体)の使用も包含し、そして該医薬組成物も包含する。
【0104】
本発明の他の利点及び適用は、下記の実施例で明らかになるが、これらの実施例は説明を目的とし、限定を目的としない。
【0105】
【表1】





【0106】
実施例
実施例1:HepG2細胞におけるヒトapoAIプロモーターの活性に対するLRH−1過剰発現の効果
実施例1は、hLRH−1の過剰発現は、ルシフェラーゼレポーター遺伝子の上流にクローニングされたapoAIプロモーターの断片−254/+91(領域A、B及びCを含有する)の活性を増加させたことを示す。
【0107】
HepG2細胞を、LRH−1過剰発現ベクターpCI−hLRH−1又はネガティブコントロールとして使用される空のベクターpCI100ng、並びにapoAIプロモーターの断片−254/+91(hApo AIプロモーターの領域A、B及びCを含む)の制御下にルシフェラーゼレポーター遺伝子を発現するレポーターベクターABCLuc+(ABCLuc+)250ng又はコントロールとしてプロモーターを含まないレポーターベクター(Luc+)250ngを用いて、リポフェクション技術(供給者の指示に従うJetPEI)によりコトランスフェクションした。これらの構築物は、以前に記載された構築物[16]からのCATレポーター遺伝子を、以前に記載された[17]PromegaプラスミドpGL3(Madison, WI, USA)から抽出されたルシフェラーゼレポーター遺伝子と交換することにより得られた。トランスフェクションされたDNAの総量は、pBKS+プラスミドを使用して500ngに調節した。3時間のトランスフェクションの後に、細胞を培養培地中で36時間インキュベーションした。次いで、ルシフェラーゼ活性を、LRH−1タンパク質の存在又は不存在下に以前に記載のとおりに[17]測定した。
【0108】
図1は、LRH−1過剰発現は、HepG2細胞がABCLuc+構築物でトランスフェクションされると、ルシフェラーゼ活性を2倍増加させたことを示す。この増加は、細胞をプロモーターなしのコントロール構築物Luc+でトランスフェクションした場合は得られなかった。
【0109】
実施例2:RK13細胞におけるヒトapoAIプロモーターの活性に対するLRH−1過剰発現の効果
実施例2は、hLRH−1の過剰発現は、ルシフェラーゼレポーター遺伝子の上流でクローニングされた、apoAIプロモーターの断片−254/+91(領域A、B及びCを含有する)及び−192/+21(領域B及びCを含有する)の活性を増加させたが、断片−128/+91(領域Cを含有する)及び−40/+91(最小プロモーターのみを含有する)の活性を増加させなかったことを示す。
【0110】
RK13細胞は、LRH−1過剰発現ベクターpCI−hLRH−1又はネガティブコントロールとして使用される空のベクターpCI100ng、並びに断片−254/+91の制御下にルシフェラーゼレポーター遺伝子を発現するレポーターベクターABCLuc+(hApo AIプロモーターの領域A、B及びCを含む、ABCLuc+)、−192/+91(領域B及びCを含む;BCLuc+)、−128/+91(領域Cを含む;CLuc+)又は−40/+91(最小プロモーターを含む;pmin)の制御下にルシフェラーゼレポーター遺伝子を発現するレポーターベクター250ng又はコントロールとしてプロモーターを含まないレポーターベクター(Luc+)250ngを用いてリポフェクション技術(供給者の指示に従うJetPEI)によりコトランスフェクションした。これらの構築物は、以前に記載された構築物[16]からのCATレポーター遺伝子を以前に記載された[17]とおりのPromegaプラスミドpGL3(Madison, WI, USA)から抽出されたルシフェラーゼレポーター遺伝子と交換することにより得られた。トランスフェクションされたDNAの総量は、pBKS+プラスミドを使用して500ngに調節した。3時間のトランスフェクションの後に、細胞を培養培地中で36時間インキュベーションした。次いで、ルシフェラーゼ活性を、LRH−1タンパク質の存在又は不存在下に以前に記載のとおりに[17]測定した。
【0111】
図2は、LRH−1の存在下では、領域A、B及びC+最小プロモーターを含むヒトapoAIプロモーターの制御下に置かれたルシフェラーゼ遺伝子の発現(ABCLuc+;断片−254/+91)は、LRH−1受容体を内因的に発現しないRK13細胞において12倍増加したことを示す。ヒトapoAIプロモーターの領域B、C+最小プロモーターを含む構築物の制御下のルシフェラーゼ発現(BCLuc+;断片−192/+91)は、15倍増加した。ヒトapoAIプロモーターの領域C+最小プロモーターを含む構築物の制御下のルシフェラーゼ発現(CLuc+;断片−128/+91)は、影響を受けなかった。ヒトapoAIプロモーターの最小プロモーター(pmin;断片−40/+91)のみの制御下のルシフェラーゼ発現は僅かに2倍しか増加しなかった。
【0112】
RK13細胞が、プロモーターを含まないベクターLuc+でトランスフェクションされた場合は、ルシフェラーゼ発現は変化しなかった。
【0113】
ゆえに、apoAI遺伝子の発現は、LRH−1タンパク質により調節される。LRH−1タンパク質のトランス結合を可能とするヒトapoAI遺伝子の領域Bに位置したシス作用性部位がある。
【0114】
実施例3:ヒトapoAIプロモーターにおけるLRH−1結合部位の同定
実施例3は、LRH−1がヒトapoAI遺伝子プロモーターの断片−144/−122に結合することを示す。
hLRH−1タンパク質を、PromegaからのTNT−T7ウサギ網状赤血球溶解物キット(ref.L4610)及びベクターpCI−LRH−1を用いてin vitroで産生した。ヒトapoAI遺伝子プロモーター(配列番号5)の、Cyp7a遺伝子中に存在するLRH−1応答エレメント(hCyp7a wt)、
【0115】
【表2】

【0116】
同じ突然変異した応答エレメントhCyp7a mut、
【0117】
【表3】

【0118】
断片−191/−171(LRHRE_ApoA1_h_5)、
【0119】
【表4】

【0120】
断片−178/−145(LRHRE_ApoA1_h_6)、
【0121】
【表5】

【0122】
断片−144/−122野生型(LRHRE_ApoA1_h_7)又は突然変異(LRHRE_ApoA1 mut)、
【0123】
【表6】

【0124】
並びに断片−180/−158(LRHRE_ApoAI_h_8)、
【0125】
【表7】

【0126】
に相当する二本鎖オリゴヌクレオチドを、以前に記載されたとおりに[16]製造し、そしてポリヌクレオチドキナーゼを使用して[γ−32P]−ATPで標識した。
【0127】
hLRH−1によりプログラムされたウサギ網状赤血球溶解物2μlを、標識された二本鎖オリゴヌクレオチド(0.5ng)の存在下に、ポリdI−dC2.5μg及びニシン精子DNA1μgと共に、10mMHEPES、2.5mMMgCl、10%グリセロール、2.5mg/mlBSA、50mMNaCl及び0.5mMDTTを含有する緩衝剤20μlの最終容積において室温で15分間インキュベーションした。次いで複合体をTBE0.25X緩衝剤中で非変性ゲル電気泳動により分離した。
【0128】
図3は、in vitroで産生されたLRH−1タンパク質を、Cyp7a遺伝子におけるLRH−1応答エレメント(hCyp7a wt)に相当する標識された二本鎖オリゴヌクレオチドとインキュベーションさせた場合に、特異的LRH−1/DNA複合体が形成されたことを示す。対照的に、突然変異した応答エレメント(hCyp7a mut)に相当する標識された二本鎖オリゴヌクレオチドの存在下では複合体は検出されなかった。図3は、ヒトapoAI遺伝子プロモーターの断片−191/−171(LRHRE_ApoA1_h_5)、−178/−145(LRHRE_ApoA1_h_6)及び−180/−158(LRHRE_ApoA1_h_8)に相当する二本鎖オリゴヌクレオチドでは、DNA/LRH−1複合体は見られなかったことも示す。他方、ヒトapoAI遺伝子プロモーターの断片−144/−122(LRHRE_ApoA1_h_7)に相当する標識された二本鎖オリゴヌクレオチドでは、特異的LRH−1/DNA複合体が形成された。該断片は、ヒトapoAIプロモーターの領域B及びCにまたがり、そしてアンチセンス鎖上に、LRH−1応答エレメントのコンセンサス配列TCAAGGTCAに類似した配列TCAAGGATCを含有する。該エレメントは機能的である、何故ならば、図3は、配列TCAAGGATCが突然変異されている(TCAACAATC)対応する二本鎖オリゴヌクレオチドが、LRH−1(LRHRE_ApoAI mut)との複合体を形成することができなかったことを示すからである。
【0129】
実施例4:ヒトapoAI遺伝子プロモーターの断片−144/−122は、低アフィニティーLRH−1応答エレメントである。
実施例4は、ヒトapoAI遺伝子プロモーターの断片−144/−122は、LRH−1のための低アフィニティー結合部位であることを示す。
【0130】
hLRH−1タンパク質を、PromegaからのTNT−T7ウサギ網状赤血球溶解物キット(ref.L4610)及びベクターpCI−LRH−1を用いてin vitroで産生した。ヒトapoAI遺伝子プロモーター(配列番号4)の、Cyp7a遺伝子中に存在するLRH−1応答エレメント(LRH−1−プローブCyp7a)又は野生型断片−144/−122(ApoAI_h_7)に相当する二本鎖オリゴヌクレオチドを、以前に記載されたとおりに製造し[16]、そしてポリヌクレオチドキナーゼを使用して[γ−32P]−ATPで標識した。hLRH−1によりプログラムされた網状赤血球溶解物2μlを、標識されたプローブ(0.5ng)に対して過剰の(10X、50X及び100X)標識されていない二本鎖オリゴヌクレオチドの存在下にポリdI−dC2.5μg及びニシン精子DNA1μgと共に、10mMHEPES、2.5mMMgCl、10%グリセロール、2.5mg/mlBSA、50mMNaCl及び0.5mMDTTを含有する緩衝剤20μlの最終容積において4℃で15分間インキュベーションした。次いで標識した二本鎖オリゴヌクレオチド(0.5ng)を混合物に加え、そして室温で15分間インキュベーションした。次いで複合体をTBE0.25X緩衝剤中で非変性ゲル電気泳動により分離した。
【0131】
図4Aは、ヒトapoAI遺伝子プロモーターの断片−144/−122に相当する標識されていない二本鎖オリゴヌクレオチドは、LRH−1とCyp7a遺伝子中のLRH−1応答エレメントに相当する標識された二本鎖オリゴヌクレオチドとの間で形成された複合体を部分的に置き換えたことを示す。他方、図4Aは、ヒトapoAI遺伝子プロモーターの突然変異した断片−144/−122に相当する標識されていない二本鎖オリゴヌクレオチドによる、LRH−1とCyp7a遺伝子におけるLRH−1応答エレメントに相当する標識された二本鎖オリゴヌクレオチドとの間に形成された複合体の置き換えはなかったことを示す。
【0132】
図4Bは、Cyp7a遺伝子におけるLRH−1応答エレメントに相当する標識されていない二本鎖オリゴヌクレオチドは、LRH−1とヒトapoAI遺伝子プロモーターの断片−144/−122に相当する標識された二本鎖オリゴヌクレオチドとの間で形成された複合体を完全に置き換えたことを示す。他方、図4Bは、Cyp7a遺伝子中に存在する突然変異したLRH−1応答エレメントに相当する標識されていない二本鎖オリゴヌクレオチドによる、LRH−1とヒトapoAI遺伝子プロモーターの断片−144/−122に相当する標識された二本鎖オリゴヌクレオチドとの間で形成された複合体の置き換えがなかったことを示す。図4A及びBの比較は、ヒトapoAI遺伝子プロモーターの断片−144/−122に対するLRH−1のアフィニティーはCyp7a遺伝子中に存在するLRH−1応答エレメントに対するアフィニティーより低かったことを示す。
【0133】
実施例5:HuH7細胞における突然変異された又はされていないヒトapoAIプロモーターの活性に対するLRH−1過剰発現の効果
実施例5は、ヒトapoAI遺伝子プロモーターの断片−144/−122中に存在する部位TCAAGGATCの突然変異は、ヒトapoAI遺伝子プロモーターの断片−254/+91を含有する構築物のLRH−1に対する感受性を減少させたことを示す。
【0134】
HuH7細胞は、LRH−1過剰発現ベクターpCI−hLRH−1又はネガティブコントロールとして使用された空のベクターpCI100ng及び、apoAIプロモーターの野生型領域A、B及びCを含む断片−254/+91の制御下にルシフェラーゼレポーター遺伝子を発現するレポーターベクターABCLuc+(ABCLuc+)、部位TCAAGGATCが突然変異しているapoAIプロモーターの領域A、B及びCを含む断片−254/+91の制御下にルシフェラーゼレポーター遺伝子を発現するレポーターベクター(ABCmutLuc+)、hApoAIプロモーターの領域B及びCを含む断片−192/+91の制御下にルシフェラーゼレポーター遺伝子を発現するレポーターベクター(BCLuc+)、apoAIプロモーターの領域Cを含む断片−128/+91の制御下にルシフェラーゼレポーター遺伝子を発現するレポーターベクター(CLuc+)、又は、最小apoAIプロモーターを含む断片−40/+91の制御下にルシフェラーゼレポーター遺伝子を発現するレポーターベクター(pmin)50ng、又はコントロールとしてプロモーターを含まないレポーターベクター(Luc+)50ngで、コトランスフェクションした。
【0135】
突然変異体構築物ABCmutLuc+は、配列番号19のセンス配列及び配列番号20のアンチセンス配列に相当するQuick Change Site Directed Mutagenesis kit(Stratagene)を使用して、野生型ABCLuc+構築物の部位特異的突然変異誘発により得られた。
【0136】
図5は、LRH−1過剰発現は、HuH7細胞がABCLuc+構築物でトランスフェクションされた場合にルシフェラーゼ活性の5.8倍増加及びBCLuc+構築物がトランスフェクションのために使用された場合に2.6倍の増加をもたらしたことを示す。部位TCAAGGATCが突然変異されているapoAIプロモーターの領域A、B及びCを含む構築物(ABCmutLuc+)で細胞をトランスフェクションするか、又はapoAIプロモーターの領域Cを含む構築物(CLuc+)、最小apoAIプロモーター(pmin)又はプロモーターを含まない構築物(Luc+)で細胞をトランスフェクションした場合には、増加は殆どないか又は全然なかった。
【0137】
実施例5は、ヒトapoAI遺伝子プロモーターの断片−144/−122に存在するTCAAGGATC部位はそれをLRH−1に感作させることを示す。
【0138】
実施例6:HuH7細胞における異なるヒトapoAIプロモーター突然変異体の活性に関するLRH−1過剰発現の効果
実施例6は、断片−144/−122に存在するTCAAGGATC部位の突然変異は、ヒトapoAIプロモーターの隣接FXR応答エレメントの突然変異とは対照的に、ルシフェラーゼレポーター遺伝子の上流にクローニングされたヒトapoAI遺伝子プロモーターの断片−254/+91を含む構築物のLRH−1に対する感受性を減少させたことを示す。
【0139】
HuH7細胞は、LRH−1過剰発現ベクターpCI−hLRH−1又はネガティブコントロールとして使用された空のベクターpCI100ng、及びapoAIプロモーターの野生型領域A、B及びCを含む断片−254/+91の制御下に(ABCLuc+及びABCpGL3)、部位TCAAGGATCが突然変異しているapoAIプロモーターの領域A、B及びCを含む断片−254/+91の制御下に(ABCmutLuc+ 実施例5参照)、FXR応答エレメントが突然変異しているapoAIプロモーターの領域A、B及びCを含む断片−254/+91の制御下に(ABCpGL3FXREKO)、hApoAIプロモーターの領域B及びCを含む断片−192/+91の制御下に(BCLuc+及びBCpGL3)、FXR応答エレメントが突然変異している断片−192/+91の制御下に(BCpGL3FXREKO)、apoAIプロモーターの領域Cを含む断片−128/+91の制御下に(Cluc+)、最小apoAIプロモーターを含む断片−40/+91の制御下に(pmin)、ルシフェラーゼレポーター遺伝子を発現するレポーターベクター50ngにより、又はコントロールとしてプロモーターを含まないレポーターベクター(Luc+及びpGL3)50ngにより、コトランスフェクションした。
【0140】
ABCLuc+ベクターから(SalI/SphI消化)のapoAIプロモーターの断片−254/+91をPromegaからのpGL3ベクター(XhoI/SphI消化)にサブクローニングすることによりABCpGL3構築物を得た。ABCpGL3FXREKO構築物は、以前に記載された[18]ABCLuc+FXREKOベクター(SalI/SphI消化)からのapoAIプロモーターの突然変異した断片−254/+91をpGL3ベクター(XhoI/SphI消化)にサブクローニングすることにより得られた。BCpGL3及びBCpGL3FXREKO構築物は、それぞれ、ABCpGL3及びABCpGL3FXREKOの部分的消化及び再ライゲーションにより得られた。
【0141】
図6は、HuH7細胞がABCLuc+構築物でトランスフェクションされた場合にルシフェラーゼ活性を4.8倍増加させ、BCLuc+によるトランスフェクション後に2.1倍、ABCpGL3によるトランスフェクション後に8.7倍、ABCpGL3FXREKOでは11.5倍、BCpGL3では1.9倍及びBCpGL3FXREKOによるトランスフェクション後には2.4倍増加させたことを示す。TCAAGGATCが突然変異しているapoAIプロモーターの領域A、B及びCを含む構築物(ABCmutLuc+)で細胞をトランスフェクションした場合又はapoAIプロモーターの領域C(Cluc+)、最小apoAIプロモーター(pmin)又はプロモーターを含まない構築物(LUC+及びpGL3)で細胞をトランスフェクションした場合には、増加は殆ど又は全然観察されなかった。
【0142】
実施例6は、ヒトapoAI遺伝子プロモーターの断片−144/−122中に存在するTCAAGGATC部位は、LRH−1に対してそれを感作させることを示す。LRH応答エレメントに隣接したFXR応答エレメントの存在は、LRHに対する応答に必要ではないようであった。
【0143】
ゆえに、これらの2つの応答エレメントは、物理的にはよく似ているけれども、機能的には異なっている。
【0144】
実施例7:ヒトapoAI遺伝子プロモーターにおけるLRH−1結合部位はヒトapoAI遺伝子プロモーターにおけるFXR結合部位とは異なる。
実施例3は、LRH−1は、ヒトapoAI遺伝子プロモーターの断片−144/−122に結合することを示す。
【0145】
実施例7は、ヒトapoAI遺伝子プロモーター上のLRH−1の結合部位は、この同じプロモーター上のFXRの結合部位とは異なることを示す。
【0146】
LRH−1及びFXRタンパク質は、TNT−T7(ウサギ網状赤血球溶解物、Promega,ref.L4610)及びベクターpCI−LRH−1及びpCDNA3−FXRによりin vitroで産生された。
【0147】
ゲルシフト実験を、Cyp7a遺伝子中に存在するLRH−1応答エレメント(hCyp7a wt)、
【0148】
【表8】

【0149】
ヒトapoAI遺伝子プロモーターのFXR応答エレメント(FXRRE_ApoA1_h_1)、
【0150】
【表9】

【0151】
突然変異した形態にある同じ応答エレメント(FXRRE_ApoA1_h_1_mut)、
【0152】
【表10】

【0153】
及び野生型ヒトapoAI遺伝子プロモーターの断片−144/−122(LRHRE_ApoA1_h_7)又は突然変異(LRHRE_ApoA1 mut)、
【0154】
【表11】

【0155】
に相当する二本鎖オリゴヌクレオチドで実施例3に記載のとおりに行った。
【0156】
図3及び7Bは、in vitroで産生されたLRH−1タンパク質を、Cyp7a遺伝子におけるLRH−1応答エレメント(hCyp7a wt)に相当する標識された二本鎖オリゴヌクレオチドとインキュベーションさせた場合に、特異的LRH−1/DNA複合体が形成されたことを示す。他方、突然変異した応答エレメント(hCyp7a mut)に相当する標識された二本鎖オリゴヌクレオチドでは複合体は検出されなかった(図3)。図3は、LRH−1タンパク質がヒトapoAI遺伝子プロモーターの断片−144/−122(LRHRE_ApoA1_h_7)に相当する標識された二本鎖オリゴヌクレオチドとインキュベーションされた場合には、特異的LRH−1/DNA複合体が形成されたが、これに対して、該複合体は、配列TCAAGGATCが突然変異されている(LRHRE_ApoAI mut)対応する二本鎖オリゴヌクレオチドでは、存在しかったことを示す。
【0157】
図7Aは、in vitroで産生されたFXRタンパク質がヒトapoAI遺伝子プロモーターの断片−144/−122(LRHRE_ApoA1_h_7)に相当する標識された二本鎖オリゴヌクレオチド又は突然変異した同じ断片(LRHRE_ApoA1 mut)とインキュベーションされた場合に、FXR/DNA複合体は検出されなかったことを示す。他方、図7Aは、in vitroで産生されたFXRタンパク質がヒトapoAI遺伝子プロモーターのFXR応答エレメント(FXRRE_ApoA1_h_1)に相当する標識された二本鎖オリゴヌクレオチドとインキュベーションされた場合は、特異的FXR/DNA複合体の存在を示すが、これに対して、FXRタンパク質を突然変異した同じ応答エレメント(FXRRE_ApoA1_h_1_mut)とインキュベーションした場合には、この複合体はもはや存在しない。
【0158】
図7Bは、in vitroで産生されたLRH−1タンパク質をヒトapoAI遺伝子プロモーターのFXR応答エレメント(FXRRE_ApoA1_h_1)に相当する標識した二本鎖オリゴヌクレオチドとインキュベーションした場合、又は突然変異した同じ応答エレメント(FXRRE_ApoA1_h_1_mut)とインキュベーションした場合に、特異的LRH−1/DNA複合体が形成されことを示す。
【0159】
ヒトapoAI遺伝子プロモーターにおけるFXR応答エレメントの突然変異は、その応答エレメントへのLRH−1の結合に影響を与えなかったが、これに対して該突然変異は、ヒトapoAI遺伝子プロモーターにおけるその応答エレメントへのFXRの結合に影響を与えた。ゆえに、実施例7は、ヒトapoAI遺伝子プロモーターにおけるLRH−1及びFXRのための結合部位は異なることを証明する。
【0160】
【表12】



【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1】HepG2細胞におけるヒトapoAIプロモーターの活性に対するLRH−1過剰発現の効果(RLU:相対的ルミネッセンス単位)。
【図2】PK13細胞におけるヒトapoAIプロモーターの活性に対するLRH−1過剰発現の効果(RLU:相対的ルミネッセンス単位)。
【図3】ヒトapoAIプロモーターの領域B及びCの接合部に位置したLRH−1応答エレメントの同定を示すゲルシフト。電気泳動ゲル上に現れる分離された複合体は、実施例3において同定される。
【図4A】ヒトapoAIプロモーターの断片−144/−122に含まれたLRH−1応答エレメントの同定を示すゲルシフト。
【図4B】ヒトapoAIプロモーターの断片−144/−122に含まれたLRH−1応答エレメントの同定を示すゲルシフト。
【図5】HuH7細胞における突然変異した又はしていない、ヒトapoAIプロモーターの活性に対するLRH−1過剰発現の効果(RLU:相対的ルミネッセンス単位)。
【図6】HuH7細胞におけるヒトapoAIプロモーターの異なる突然変異体の活性に対するLRH−1過剰発現の効果。
【図7A】ヒトapoAI遺伝子プロモーターにおけるLRH−1結合部位は、ヒトapoAI遺伝子プロモーターにおけるFXR結合部位とは異なる。
【図7B】ヒトapoAI遺伝子プロモーターにおけるLRH−1結合部位は、ヒトapoAI遺伝子プロモーターにおけるFXR結合部位とは異なる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
唯一のLRH−1応答エレメントとして、下記の配列(配列番号1):
5’−CTGATCCTTGAAC−3’を含有するヒトアポリポタンパク質AI遺伝子のプロモーターのLRH−1応答エレメントの少なくとも1つのコピーを含む核酸構築物と試験化合物を接触させ、そして
該試験化合物の応答エレメントへの起こりうる結合を決定する
ことを含む、コレステロール逆転送をモジュレーションすることができる化合物の選択、同定又は特徴付けのための方法。
【請求項2】
外因性LRH−1受容体又はその機能的同等物の存在下に接触を行うこと、及び、LRH−1応答エレメントへの該試験化合物の起こりうる結合及び/又はLRH−1のその応答エレメントへの結合により形成された複合体への該試験化合物の結合を決定することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
試験化合物を、レポーター遺伝子発現カセットを含有する宿主細胞と接触させ、該カセットは、唯一のLRH−1応答エレメントとして、下記の配列(配列番号1):5’−CTGATCCTTGAAC−3’を含有するヒトアポリポタンパク質AI遺伝子のプロモーターのLRH−1応答エレメントの少なくとも1つのコピーを含むプロモーターの制御下に置かれたレポーター遺伝子を含み、そして
応答エレメントへのLRH−1の結合又はレポーター遺伝子の発現に対する試験化合物の存在の効果を決定する
ことを含む、コレステロール逆転送をモジュレーションすることができる化合物の選択、同定又は特徴付けのための方法。
【請求項4】
宿主細胞が外因性LRH−1受容体又はその機能的同等物を含むことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
宿主細胞がLRH−1のリガンドを含むことを特徴とする、請求項3又は4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
試験化合物の存在下及び該化合物の不存在下にレポーター遺伝子の発現のレベルを決定することを含み、レポーター遺伝子発現のレベルの増加又は減少は、コレステロール逆転送をモジュレーションする試験化合物の能力を示す、請求項3〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
宿主細胞が哺乳動物細胞であることを特徴とする、請求項3〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
哺乳動物細胞がヒト細胞であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
レポーター遺伝子が、生物学的抽出物におけるその活性又は存在を測定することができる産物をコードする遺伝子であり、特にこの遺伝子の1つは、ルシフェラーゼ、分泌されたアルカリホスファターゼ、ガラクトシダーゼ又はラクタマーゼをコードすることを特徴とする、請求項3〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
プロモーターが、HSV−TKプロモーター、CMV極初期プロモーター、PGKプロモーター、ヒトアポリポタンパク質AIをコードする遺伝子のプロモーター、及びSV40プロモーターよりなる群から選ばれることを特徴とする、請求項3〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
1種以上の化合物を、混合物として又は別々に試験することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
試験化合物がコンビナトリアルライブラリーであることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
試験化合物が、1種以上のDNA結合性ポリペプチドをコードするクローン又は核酸クローンのライブラリーであることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
接触を多重ウエルプレートで行うことを特徴とする、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記方法により決定された生じうる効果を、同じ条件下に、しかし下記の配列(配列番号1):5’−CTGATCCTTGAAC−3’を含有するヒトアポリポタンパク質AI遺伝子のプロモーターのLRH−1応答エレメントの少なくとも1つの突然変異したコピーを含有する核酸構築物により行われた方法により決定された起こりうる効果と比較することを更に含み、
該突然変異体コピーは、本質的にLRH−1受容体に結合することができない、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
コレステロール逆転送を増加させることができる化合物の選択、同定又は特徴付けのための、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
HDLの活性をモジュレーションすることができる化合物の選択、同定又は特徴付けのための、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
アポリポタンパク質AIの発現をモジュレーションすることができる化合物の選択、同定又は特徴付けのための、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
コレステロール逆転送をモジュレーションすることを意図した組成物を製造するための、ヒトアポリポタンパク質遺伝子のプロモーターの応答エレメント又はその機能的変異体へのLRH−1及び/又はその補因子の結合をモジュレーションすることができる化合物の使用。
【請求項20】
コレステロール逆転送を増加させることを意図した組成物を製造するための、配列番号1の配列又はその機能的変異体へのLRH−1及び/又はその補因子の結合を増加させる化合物の使用。
【請求項21】
HDLの活性をモジュレーションすることを意図した組成物を製造するための、配列番号1の配列又はその機能的変異体へのLRH−1及び/又はその補因子の結合をモジュレーションする化合物の使用。
【請求項22】
HDLの活性を増加させることを意図した組成物を製造するための、配列番号1の配列又はその機能的変異体へのLRH−1及び/又はその補因子の結合を増加させる化合物の使用。
【請求項23】
ApoAIの発現をモジュレーションすることを意図した組成物を製造するための、配列番号1の配列又はその機能的変異体へのLRH−1及び/又はその補因子の結合をモジュレーションする化合物の使用。
【請求項24】
コレステロール逆転送をモジュレーションすることを意図した組成物を製造するための、ヒトアポリポタンパク質AI遺伝子の転写に対するLRH−1及び/又はその補因子の効果を増加させる化合物の使用。
【請求項25】
該化合物が生物学的化合物又は化学的化合物である、請求項19〜24のいずれか1項に記載の使用。
【請求項26】
化合物が核因子又は補因子であることを特徴とする、請求項19〜24のいずれか1項に記載の使用。
【請求項27】
化合物が、1種以上のDNA結合性ポリペプチドを発現するクローンであることを特徴とする、請求項19〜24のいずれか1項に記載の使用。
【請求項28】
化合物が、請求項1〜18のいずれか1項に従って選択、同定又は特徴付けられる化合物であることを特徴とする、請求項19〜24のいずれか1項に記載の使用。
【請求項29】
下記の配列(配列番号1):5’−CTGATCCTTGAAC−3’により特徴付けられた核酸断片。
【請求項30】
請求項29に記載の核酸断片の少なくとも1つのコピー、並びに、CMV極初期プロモーター及びPGKプロモーターの中から選ばれるプロモーターであって、該プロモーターの制御下に置かれたレポーター遺伝子と関連したプロモーター、を含む発現カセット。
【請求項31】
HDLの活性をモジュレーションすることができる化合物のin vitroスクリーニングのための、請求項30に記載のカセットの使用。
【請求項32】
請求項1〜18のいずれか1項に従って選択、同定又は特徴付けられる化合物を含む医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【公表番号】特表2007−515183(P2007−515183A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546252(P2006−546252)
【出願日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【国際出願番号】PCT/FR2004/003373
【国際公開番号】WO2005/064014
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(503067111)
【氏名又は名称原語表記】GENFIT
【Fターム(参考)】