説明

コンクリートの打設高さ検知装置及び打設高さ検知方法

【課題】 作業指示者や作業員の経験と勘に頼ることなく、適切なコンクリート打設を行う。
【解決手段】 標準打設高さに配置された第1のコンクリート検知装置11と、標準打設高さよりも上方の限界打設高さに配置された第2のコンクリート検知装置12と、第1のコンクリート検知装置11がコンクリートを検知した場合に点灯する第1の発光装置13と、第2のコンクリート検知装置12がコンクリートを検知した場合に、第1の発光装置13とは異なる発光色で点灯する第2の発光装置14とを備える。また、第2のコンクリート検知装置12がコンクリートを検知した場合に、警報発生装置等からなる警告手段により警告を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートの打設高さ検知装置及び打設高さ検知方法に関するものであり、特に、コンクリートの打設時における打設高さを適切に管理して、締固め不足を防止することが可能なコンクリートの打設高さ検知装置及び打設高さ検知方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンクリート構造物の施工において、設計通りの耐力や耐久性を発揮させるためには、適切な打設高さとなるように型枠内にコンクリートを供給し、このコンクリートに対して十分な締固め作業を行いながらコンクリートを打設しなければならない。
【0003】
従来のコンクリートの打設時における打設高さの決定や締固め作業では、作業指示者や作業員の経験と現場における判断により、コンクリートの供給速度と締固め時間とを適切に調整しながら柔軟な対応を行っていた。
【0004】
しかし、作業員の不注意や、コンクリートの供給と締固め作業との連携が悪いと、締固めが十分に行われないことがあった。コンクリートの締固めが不十分であると、コンクリート構造物にジャンカや空隙・空洞等の欠陥が生じて、構造物の耐力や耐久性を損なうことになる。
【0005】
このような不都合に対応するため、コンクリートの締固め位置を適正に管理するための技術が種々開発されている。例えば、トンネル覆工におけるコンクリートの締固め操作を容易にするためのコンクリート締固め方法に関する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【0006】
この特許文献1に記載された技術は、バイブレータ本体の上側に球状の浮きを取り付けたものである。そして、投入されたコンクリートによってコンクリートの表面が上昇すると、バイブレータが浮きの浮力によって浮上し、周囲のコンクリートを締固めるようになっている。
【0007】
【特許文献1】特許第2918384号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した特許文献1に記載された技術は、特にトンネル覆工作業においてコンクリートの打設高さに合わせて適正な締固めを行うための技術であり、この点において、人力によりバイブレータを縦方向に移動させる作業を自動化して、作業効率を高めるという優れた効果を発揮する。
【0009】
しかし、この技術はコンクリートの打設高さを適切に管理することに主眼をおいたものではなく、コンクリートの打設高さが不適切であると締固めが不十分となることも考えられる。このため、適切なコンクリート締固め作業を行うために、さらなる工夫が望まれていた。
【0010】
上述したように、従来のコンクリートの打設時における打設高さの決定や締固め作業は、作業指示者や作業員の経験と勘に頼って行われる場合が多い。コンクリート構造物の施工にあたっては、作業マニュアルの作成及び作業手順の周知や、コンクリート打設前の打ち合わせの徹底など様々な対策が施されている。しかし、作業指示者や作業員の判断ミスや思い違いにより、コンクリートの打設高さが不適切である箇所が発生する可能性がないとは言い切れない。また、締固め作業は非常に激しい重労働であるため作業員の負担も多大であり、意図せずに不適切な作業が行われてしまう場合もあった。
【0011】
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、作業指示者や作業員の経験と勘に頼ることなく、コンクリートの打設高さを適切に管理して、適切なコンクリート締固め作業を行うことが可能なコンクリートの打設高さ検知装置及び打設高さ検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のコンクリートの打設高さ検知装置及び打設高さ検知方法は、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を有している。
すなわち、本発明のコンクリートの打設高さ検知装置は、コンクリート打設時において適切なコンクリート打設高さを検知するための装置である。このコンクリートの打設高さ検知装置は、コンクリートの標準打設高さに配置された第1のコンクリート検知装置と、前記標準打設高さよりも上方の限界打設高さに配置された第2のコンクリート検知装置と、前記第1のコンクリート検知装置がコンクリートを検知した場合に点灯する第1の発光装置と、前記第2のコンクリート検知装置がコンクリートを検知した場合に点灯する第2の発光装置と、を備えており、前記第1の発光装置と前記第2の発光装置は、互いに異なる発光色で発光することを特徴とするものである。
【0013】
このような構成からなるコンクリートの打設高さ検知装置では、型枠内に供給されたコンクリートが、まず第1のコンクリート検知装置に検知されて、第1の発光装置が点灯する。第1のコンクリート検知装置は、コンクリートの標準的な打設高さ(例えば、40cm〜50cm)に設置されているので、第1の発光装置が点灯した時点で、コンクリートの供給を停止すればよい。
【0014】
また、コンクリートの供給速度が速かったり、コンクリートの供給停止に手間取ったりすると、コンクリートが第2のコンクリート検知装置に検知されて、第2の発光装置が点灯する。第2のコンクリート検知装置は、適切なコンクリート打設高さの限界点(例えば、60cm〜70cm)に設置されているので、第2の発光装置が点灯した場合には、第1の発光装置が点灯した場合と比較して、より一層十分な締固めを行えばよい。
第1の発光装置は例えば青色で発光し、第2の発光装置は例えば赤色で発光するので、作業員はコンクリートの打設高さを容易に区別することができる。
【0015】
また、上述した構成に加えて、前記標準打設高さに対応して、第1の締固め時間を指示する第1の締固め時間指示手段と、前記限界打設高さに対応して、前記第1の締固め時間よりも長い第2の締固め時間を指示する第2の締固め時間指示手段と、打設するコンクリートのスランプに応じて、前記第1の締固め時間及び前記第2の締固め時間を設定する締固め時間設定手段と、を備えた構成とし、前記第1のコンクリート検知装置がコンクリートを検知した場合に、前記第1の締固め時間指示手段の指示に基づいて締固め装置を作動させ、前記第2のコンクリート検知装置がコンクリートを検知した場合に、前記第2の締固め時間指示手段の指示に基づいて締固め装置を作動させることが可能である。
【0016】
このような構成からなるコンクリートの打設高さ検知装置では、第1のコンクリート検知装置がコンクリートを検知すると、標準打設高さに対応した締固め時間が指示される。また、第2のコンクリート検知装置がコンクリートを検知すると、限界打設高さに対応した締固め時間が指示される。締固め装置は、指示された時間に基づいて作動する。
【0017】
また、上述した構成に加えて、前記第2のコンクリート検知装置がコンクリートを検知した場合に警告を行う警告手段を備えることが好ましい。
【0018】
このような構成からなるコンクリートの打設高さ検知装置では、コンクリートの供給が適切なコンクリート打設高さの限界点に達したことを第2のコンクリート検知装置が検知すると、警報発生装置や警告灯等からなる警告手段により警告を行う。このため、適切なコンクリートの打設高さを超えてコンクリートが打設されるという不都合を未然に防止することができる。
【0019】
また、本発明のコンクリートの打設高さ検知装置は、コンクリートの基準打設高さに配置されたコンクリート検知装置と、前記コンクリート検知装置がコンクリートを検知した場合に点灯する発光装置と、前記コンクリート検知装置がコンクリートを検知した場合にコンクリートポンプの操作ユニットに対してポンプ停止信号を送信するポンプ停止手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0020】
このような構成からなるコンクリートの打設高さ検知装置では、型枠内に供給されたコンクリートがコンクリート検知装置に検知されると発光装置が点灯するとともに、ポンプ停止手段によりコンクリートポンプの操作ユニットに対してポンプ停止信号が送信される。コンクリート検知装置は、コンクリートの標準的な打設高さ(例えば、40cm〜50cm)に設置されているので、発光装置が点灯してコンクリートが適正位置にまで供給されたことを認識することができる。さらに、コンクリートの供給が自動的に停止されるので、不適切なコンクリート打設が行われることがない。
【0021】
ここで、前記コンクリート検知装置は、絶縁体からなる検知棒の外周において直径方向の対向する位置に取り付けられた一対の電気接点を備えており、前記各電気接点の周方向の幅は、前記検知棒の直径の1/4以下に設定されていることが好ましい。
【0022】
このような構成からなるコンクリートの打設高さ検知装置では、コンクリート検知装置を構成する一対の電気接点が適切な距離を隔てて配置されているので、供給されるコンクリートの飛沫や水分によりコンクリート検知装置が誤作動することがない。
【0023】
また、上述した構成に加えて、コンクリート供給位置と、締固め装置との距離を検知する締固め装置位置検知手段と、前記締固め装置位置検知手段により、コンクリート供給位置と前記締固め装置との距離が許容範囲を超えたことが検知された場合に警告を行う締固め位置警告手段と、を備えた構成とすることが可能である。
【0024】
このような構成からなるコンクリートの打設高さ検知装置では、コンクリート供給位置と所定距離以上離れた位置で締固め作業を行った場合に警告が行われるので、適切かつ確実な締固め作業を行うことができる。
【0025】
本発明のコンクリートの打設高さ検知方法は、コンクリート打設時において適切なコンクリート打設高さを検知するためのコンクリートの打設高さ検知方法である。このコンクリートの打設高さ検知方法は、コンクリートの打設場所における配筋状態や形状等の打設環境に応じて、標準打設高さと、前記標準打設高さよりも上方に位置する限界打設高さとを決定する工程と、決定した標準打設高さ及び限界打設高さの位置にそれぞれコンクリート検知装置を取り付ける工程と、前記標準打設高さの位置に取り付けられたコンクリート検知装置がコンクリートを検知した場合に、第1の発光装置を点灯させるとともに、締固め装置を標準的な締固め時間作動させて締固めを行う工程と、前記限界打設高さの位置に取り付けられたコンクリート検知装置がコンクリートを検知した場合に、前記第1の発光装置とは異なる発光色の第2の発光装置を点灯させるとともに、締固め装置を前記標準的な締固め時間よりも長時間作動させて締固めを行う工程と、を含むことを特徴とするものである。
【0026】
ここで、打設するコンクリートのスランプに応じて、前記標準打設高さに対応した第1の締固め時間を設定するとともに、前記限界打設高さに対応した第2の締固め時間を設定する工程と、前記標準打設高さに取り付けたコンクリート検知装置がコンクリートを検知した場合に、前記第1の締固め時間に基づいて締固め装置を作動させる工程と、前記限界打設高さに取り付けたコンクリート検知装置がコンクリートを検知した場合に、前記第2の締固め時間に基づいて締固め装置を作動させる工程と、を含ませることが可能である。
【0027】
また、前記限界打設高さに取り付けられたコンクリート検知装置がコンクリートを検知した場合に警告を行う工程を含ませることが好ましい。
【0028】
また、本発明のコンクリートの打設高さ検知方法は、コンクリートの打設場所における配筋状態や形状等の打設環境に応じて、打設高さを決定する工程と、決定した打設高さの位置にコンクリート検知装置を取り付ける工程と、前記コンクリート検知装置がコンクリートを検知した場合に、発光装置を点灯させるとともに、コンクリートポンプの操作ユニットに対してポンプ停止信号を送信する工程と、を含むことを特徴とするものである。
【0029】
ここで、コンクリート供給位置から所定距離を超えて締固め装置を作動させた場合に警告を行う工程を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0030】
本発明のコンクリートの打設高さ検知装置及び打設高さ検知方法によれば、コンクリートの標準的な打設高さと、この標準的な打設高さよりも上方であって、適切なコンクリート打設を行うための限界となる打設高さに、それぞれコンクリート検知装置を配置することにより、型枠内に供給されるコンクリートの打設高さを検知している。そして、標準的な打設高さまでコンクリートが供給されると第1の発光装置を点灯させて、その旨を報知する。さらに、標準的な打設高さを超えて限界となる打設高さまでコンクリートが供給されると、第1の発光装置とは発光色が異なる第2の発光装置を点灯させて、その旨を報知する。
【0031】
したがって、適切なコンクリートの打設高さを指示することができるので、作業指示者や作業員の経験と勘に頼ることなく、適切かつ確実なコンクリート打設を行うことができる。
また、第2の発光装置が点灯した場合には、第1の発光装置が点灯した場合と比較して、より一層十分な締固めを行うことにより、適切かつ確実な締固め作業を行うことが可能となる。
【0032】
このため、ジャンカや空隙・空洞等の欠陥がないコンクリート構造物を施工することができる。また、コンクリートの供給を行う作業員は、自らの判断により打設高さを決定しなくてよいので、作業員の作業負担が軽減し、コンクリートの供給作業に集中して適切かつ確実なコンクリート打設作業を行うことができる。
【0033】
また、コンクリート構造物に欠陥が生じることがないので、予定外の調査費用や補修費用が発生せず、施工費用の上昇を抑制するとともに、施工会社の信用を高めるという副次的効果を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面を参照して、本発明のコンクリートの打設高さ検知装置及び打設高さ検知方法の実施形態について説明する。
<第1の実施形態>
図1〜図3は、本発明の第1の実施形態に係るコンクリートの打設高さ検知装置に関するもので、図1は打設高さ検知装置の概略構成を示す機能ブロック図、図2は打設高さ検知装置の具体的構成を示す説明図、図3はコンクリート検知装置の具体的構成を示す説明図である。また、図4は、本発明の第1の実施形態に係る打設高さ検知方法の手順を示すフローチャートである。
【0035】
本発明の第1の実施形態に係るコンクリートの打設高さ検知装置10は、コンクリート打設時において適切なコンクリート打設高さを検知するための装置であり、図1に示すように、第1のコンクリート検知装置11、第2のコンクリート検知装置12、第1の発光装置13、及び第2の発光装置14を主な構成要素としている。また、打設高さ検知装置10に電力を供給するための電源15を備えている。
【0036】
具体的には、第1の実施形態に係るコンクリートの打設高さ検知装置10は、図2に示すように、検知棒16の途中に第1のコンクリート検知装置11及び第2のコンクリート検知装置12を取り付けるとともに、検知棒16の上部に第1の発光装置13及び第2の発光装置14を取り付け、検知棒16の上方に各装置に電力を供給するための電源15を配置している。
【0037】
検知棒16は、可撓性を有するものであってもよいし、剛性を有するものであってもよい。この検知棒16は、湾曲させることにより各コンクリート検知装置の位置を変更可能である点と、運搬時及び保管時に湾曲して一纏めにできるという点では、可撓性を有する部材により構成することが好ましい。一方、コンクリート打設場所への取り付けが容易であるという点では、剛性を有する部材により検知棒16を構成することが好ましい。したがって、打設高さ検知装置10を使用する場所の状況等に応じて、可撓性を有する部材で検知棒16を構成するか、あるいは剛性を有する部材で検知棒16を構成するかを選択すればよい。
【0038】
また、中空状の部材により検知棒16を構成することにより、電源15及び電源ケーブル等を中空部内に収容することができる。電源15は、移動性及び安全性が良好であるという点で、バッテリータイプのものを使用することが好ましい。
【0039】
検知棒16の全長h3は、例えば、型枠の高さよりも数十cm程度長いものとする。また、第1のコンクリート検知装置11と検知棒16の下端部との距離h1は、例えば、40〜50cm程度とし、第1のコンクリート検知装置11と第2のコンクリート検知装置12との距離h2は、例えば、10〜20cm程度とする。
【0040】
<コンクリート検知装置>
第1のコンクリート検知装置11は、コンクリートの標準打設高さに配置された検知装置であり、第2のコンクリート検知装置12は、標準打設高さよりも上方の限界打設高さに配置された検知装置である。
【0041】
ここで、コンクリートの標準打設高さとは、一般的なコンクリート打設作業における1層の厚みのことであり、例えば40cm〜50cmに設定される。また、限界打設高さとは、標準打設高さよりも上方に位置し、適切な締め固めを行うことが可能なコンクリート打設高さの限界的な厚みのことであり、例えば60cm〜70cmに設定される。各打設高さは、コンクリート打設場所の状況等に応じて適宜変更して実施することができる。
【0042】
各コンクリート検知装置11、12は、図3に示すように、絶縁体からなる検知棒16の外周において直径方向の対向する位置に取り付けられた一対の電気接点100からなる。そして、各電気接点100の周方向の幅は、検知棒16の直径の1/4以下に設定することが好ましい。
すなわち、コンクリート検知装置11、12は、一対の接点100の間にコンクリートが存在すると、このコンクリートが伝導体の役割を果たして接点100の間で通電が生じ、コンクリートを検知することができるようになっている。
【0043】
ここで、打設中に跳ね上がったコンクリートや水分が一対の接点100の間に付着すると、一対の接点100の間で短絡が生じてコンクリート検知装置11、12が誤作動するおそれがある。そこで、検知棒16を絶縁体で構成するとともに、検知棒16の外周において直径方向の対向する位置にそれぞれ接点100を取り付け、さらに、各接点100の周方向の幅を検知棒16の直径の1/4以下に設定することにより、このような誤作動を防止することができる。
【0044】
<発光装置>
発光装置は、例えば電球やLED等から構成され、互いに異なる発光色で発光するようになっている。例えば、第1の発光装置13は青色で発光し、第2の発光装置14は赤色で発光するようになっている。
【0045】
そして、第1の発光装置13は、第1のコンクリート検知装置11がコンクリートを検知した場合に点灯し、第2の発光装置14は、第2のコンクリート検知装置12がコンクリートを検知した場合に点灯する。
【0046】
<打設高さ検知方法>
次に、図4を参照して、第1の実施形態に係るコンクリートの打設高さ検知装置の具体的な使用方法について説明する。
第1の実施形態に係るコンクリートの打設高さ検知装置10は、図示しないが、コンクリートの打設現場において、コンクリート打設場所に設置された型枠や鉄筋等に沿わせて固定する。例えば、検知棒16の適宜箇所に磁石を取り付け、この磁石を鉄筋等の金属部分に接着させることにより、コンクリート打設場所に打設高さ検知装置10を固定することができる。
【0047】
第1の実施形態に係る打設高さ検知装置10を用いて締固め作業を行うには、図4に示すように、コンクリートの供給位置、各供給位置における1層の打設高さ、及びコンクリート検知装置11、12の設置位置を決定する(S1)。一般的なコンクリートの供給位置は、例えば2〜3m程度の間隔とされる。また、標準的な1層の打設高さは、例えば40cm〜50cm程度とされる。さらに、限界的な1層の打設高さは、例えば60cm〜70cm程度とされる。
【0048】
続いて、決定した位置にコンクリート検知装置11、12を取り付ける(S2)。この際、第1のコンクリート検知装置11は、型枠下面から上方へ向かって40cm〜50cmの位置に取り付け、第2のコンクリート検知装置12は、型枠下面から上方へ向かって60cm〜70cmの位置に取り付ける。なお、打設高さ検知装置10を複数用意しておき、コンクリートの供給位置毎に、それぞれ打設高さ検知装置10を取り付けるのが好ましい。
【0049】
そして、コンクリートの供給を開始し、標準打設高さに取り付けた第1のコンクリート検知装置11がコンクリートを検知すると(S3)、第1の発光装置13(青色発光)を点灯させる(S4)。
第1の発光装置13が点灯すると、直ちにコンクリートの供給を停止して、標準的な締固め時間の締固めを行う(S6)。なお、図4に示すフローチャートでは、第1の発光装置13を点灯させた後に、第2のコンクリート検知装置12がコンクリートを検知したか否かを判断し、その後、標準的な締固め時間の締固めを行うようになっている。ここで、標準的な締固め時間とは、例えば、10秒〜15秒程度である。
【0050】
また、第1の発光装置13が点灯したにもかかわらずコンクリートの供給停止が間に合わなかった場合に、限界打設高さに取り付けた第2のコンクリート検知装置12がコンクリートを検知すると(S5)、第2の発光装置14(赤色発光)を点灯させる(S7)。
なお、第1の発光装置13が点灯した後に第2の発光装置14が点灯した場合には、第1の発光装置13を消灯するような制御を行うことが好ましい。この場合、各発光装置13、14の点灯及び消灯は、マイクロコンピュータ等からなる制御装置や周知の電気回路等により制御される(他の実施形態においても同様)。このような制御を行うことにより、どちらの発光装置13、14が点灯しているかが明確となり、作業員による誤認識を防止することができる。
【0051】
第2の発光装置14が点灯すると、直ちにコンクリートの供給を停止して、標準的な締固め時間よりも長時間の締固めを行う(S8)。ここで、標準的な締固め時間よりも長時間とは、例えば、20秒〜30秒程度のことである。このように、第2の発光装置14が点灯した場合には、層厚が過大であることを認識して、十分時間をかけて慎重に、バイブレータを下層中まで繰り返して挿入して締固め作業を行わなければならない。
【0052】
作業員は、上述した操作を繰り返しながら、順次、コンクリートの供給位置へ移動してコンクリートの供給及び締固め作業を行う。
【0053】
このように、第1の実施形態では、コンクリートの打設高さを検知して、発光色の異なる2つの発光装置を点灯させることにより、作業員にコンクリートの供給が適切に行われているか否かを認識させることができる。そして、作業員は、標準的な打設高さでコンクリートの供給が停止された場合には、標準的な締固め時間の締固めを行う。また、標準的な打設高さを超えて、適切な締固めを行うことができる限界的な打設高さでコンクリートの供給が停止された場合には、標準的な締固め時間よりも長時間の締固めを行うことにより、作業指示者や作業員の経験と勘に頼ることなく、適切かつ確実な締固め作業を行うことができる。
【0054】
<第2の実施形態>
図5は、本発明の第2の実施形態に係るコンクリートの打設高さ検知装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
第2の実施形態に係るコンクリートの打設高さ検知装置20は、上述した第1の実施形態に係るコンクリートの打設高さ検知装置10の構成要素に対して、さらに2つの締固め時間指示手段と、締固め時間設定手段とを付加した構成となっている。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0055】
すなわち、第2の実施形態に係るコンクリートの打設高さ検知装置20は、図5に示すように、第1のコンクリート検知装置11、第2のコンクリート検知装置12、第1の発光装置13、第2の発光装置14、第1の締固め時間指示手段21、第2の締固め時間指示手段22、及び締固め時間設定手段23を主な構成要素としている。また、打設高さ検知装置20に電力を供給するための電源15を備えている。
【0056】
<締固め時間指示手段>
第1の締固め時間指示手段21は、標準打設高さに対応した第1の締固め時間を指示するための手段であり、第2の締固め時間指示手段22は、限界打設高さに対応して、第1の締固め時間よりも長い第2の締固め時間を指示するための手段である。
【0057】
各締固め時間指示手段は、例えば、バイブレータ等の締固め装置110に設けられた2つの操作スイッチと、バイブレータ等の締固め装置110の電気回路として構成されたタイマとからなる。各操作スイッチは、例えば青色と赤色のように、互いに異なる色となっている。
【0058】
そして、第1の締固め時間指示手段21(例えば、青色操作スイッチ)が操作された場合には、標準的な締固め時間となるようにタイマを作動させて、バイブレータ等の締固め装置110による締固めが行われる。また、第2の締固め時間指示手段22(例えば、赤色操作スイッチ)が操作された場合には、標準的な締固め時間よりも長時間となるようにタイマを作動させて、バイブレータ等の締固め装置110による締固めが行われる。なお、締固め時間は、締固め時間設定手段23により設定される。
【0059】
<締固め時間設定手段>
締固め時間設定手段23は、打設するコンクリートのスランプに応じて、第1の締固め時間及び第2の締固め時間を設定するための手段であり、例えば、バイブレータ等の締固め装置110の電気回路を構成するタイマに対して時間設定を行うためのボリュームスイッチ等からなる。
【0060】
一般的に、コンクリートの締固め時間は、1箇所あたり5秒〜15秒程度である。この締固め時間は、コンクリートのスランプ、打設厚さ、バイブレータ等の締固め装置110の挿入間隔などにより変化する。例えば、バイブレータの直径の10倍程度の間隔で締固めを行う場合には、次のような締固め時間とすることが好ましい。すなわち、スランプが15cm程度の場合には標準締固め時間を10秒程度とし、スランプが8cm程度の場合には、標準締固め時間を15秒程度とする。また、限界締固め時間は、この標準締固め時間の2倍程度とすることが好ましい。
【0061】
<打設高さ検知方法>
次に、図6を参照して、第2の実施形態に係るコンクリートの打設高さ検知装置の具体的な使用方法について説明する。図6は、本発明の第2の実施形態に係る打設高さ検知方法の手順を示すフローチャートである。
第2の実施形態に係るコンクリートの打設高さ検知装置20の使用方法は、上述した第1の実施形態とほぼ同様である。すなわち、第2の実施形態では、図6に示すように、コンクリートの供給位置、各供給位置における1層の打設高さ、及びコンクリート検知装置11、12の設置位置を決定し(S11)、スランプに応じて締固め時間を設定する(S12)。
【0062】
続いて、決定した位置にコンクリート検知装置11、12を取り付ける(S13)。そしてコンクリートの供給を開始し、標準打設高さに取り付けた第1のコンクリート検知装置11がコンクリートを検知すると(S14)、第1の発光装置13(青色発光)を点灯させる(S15)。
第1の発光装置13が点灯すると、直ちにコンクリートの供給を停止し、青色操作スイッチを操作して標準的な締固め時間の締固めを行う(S17)。
【0063】
また、第1の発光装置13が点灯したにもかかわらずコンクリートの供給停止が間に合わなかった場合に、限界打設高さに取り付けた第2のコンクリート検知装置12がコンクリートを検知すると(S16)、第2の発光装置14(赤色発光)を点灯させる(S18)。
【0064】
第2の発光装置14が点灯すると、直ちにコンクリートの供給を停止し、赤色操作スイッチを操作して標準的な締固め時間よりも長時間の締固めを行う(S19)。
【0065】
作業員は、上述した操作を繰り返しながら、順次、コンクリートの供給位置へ移動してコンクリートの供給及び締固め作業を行う。
【0066】
このように、第2の実施形態では、予めスランプに応じて標準締固め時間及び限界締固め時間を設定しておくとともに、設定された締固め時間だけバイブレータを作動させる回路及び操作スイッチを設けている。そして、作業員は、コンクリートの打設高さに対応した操作スイッチを操作することにより、作業指示者や作業員の経験と勘に頼ることなく、適切かつ確実な締固め作業を行うことができる。
【0067】
<第3の実施形態>
図7は、本発明の第3の実施形態に係るコンクリートの打設高さ検知装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
第3の実施形態に係るコンクリートの打設高さ検知装置30は、上述した第1の実施形態に係るコンクリートの打設高さ検知装置10の構成要素に対して、さらに警告手段31を付加した構成となっている。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0068】
すなわち、第3の実施形態に係るコンクリートの打設高さ検知装置30は、図7に示すように、第1のコンクリート検知装置11、第2のコンクリート検知装置12、第1の発光装置13、第2の発光装置14、及び警告手段31を主な構成要素としている。また、打設高さ検知装置30に電力を供給するための電源15を備えている。
【0069】
<警告手段>
警告手段31は、第2のコンクリート検知装置12がコンクリートを検知した場合に警告を行うための手段であり、例えばスピーカやアンプ等を備えた警報発生装置により構成される。すなわち、第2のコンクリート検知装置12がコンクリートを検知した場合には、第2の発光装置14が点灯するだけではなく、警報発生装置から警報音が発生される。
【0070】
第2のコンクリート検知装置12がコンクリートを検知したということは、適切なコンクリート打設高さの限界点にまでコンクリートが供給されたということである。したがって、作業員は、層厚が過大であることを認識して、十分時間をかけて慎重に、バイブレータを下層中まで繰り返して挿入して締固め作業を行わなければならない。
【0071】
第2のコンクリート検知装置12がコンクリートを検知した場合には、第2の発光装置14が点灯して、その旨を報知する。第1の発光装置13と第2の発光装置14とは発光色が異なり、例えば第2の発光装置14は赤色で点灯する。しかし、作業員が第2の発光装置14が点灯したにもかかわらず、第1の発光装置13が点灯していると勘違いする場合も想定される。
【0072】
そこで、第3の実施形態では、第2のコンクリート検知装置12がコンクリートを検知した場合に第2の発光装置14を点灯させるだけではなく、警告を行って、限界打設高さまでコンクリートが供給されたことを作業員に確実に認識させている。
【0073】
<打設高さ検知方法>
次に、図8を参照して、第3の実施形態に係るコンクリートの打設高さ検知装置30の具体的な使用方法について説明する。図8は、本発明の第3の実施形態に係る打設高さ検知方法の手順を示すフローチャートである。
【0074】
第3の実施形態に係るコンクリートの打設高さ検知装置30の使用方法は、上述した第1の実施形態とほぼ同様である。すなわち、第3の実施形態では、図8に示すように、コンクリートの供給位置、各供給位置における1層の打設高さ、及びコンクリート検知装置11、12の設置位置を決定し(S21)決定した位置にコンクリート検知装置11、12を取り付ける(S22)。そしてコンクリートの供給を開始し、標準打設高さに取り付けた第1のコンクリート検知装置11がコンクリートを検知すると(S23)、第1の発光装置13(青色発光)を点灯させる(S24)。
【0075】
第1の発光装置13が点灯すると、直ちにコンクリートの供給を停止し、標準的な締固め時間の締固めを行う(S26)。
【0076】
また、第1の発光装置13が点灯したにもかかわらずコンクリートの供給停止が間に合わなかった場合に、限界打設高さに取り付けた第2のコンクリート検知装置12がコンクリートを検知すると(S25)、第2の発光装置14(赤色発光)を点灯させるとともに(S27)、その旨の警告を行う(S28)。
第2の発光装置14が点灯すると、直ちにコンクリートの供給を停止し、標準的な締固め時間よりも長時間の締固めを行う(S29)。
【0077】
作業員は、上述した操作を繰り返しながら、順次、コンクリートの供給位置へ移動してコンクリートの供給及び締固め作業を行う。
【0078】
このように、第3の実施形態では、標準的な打設高さを超えて、適切な締固めを行うことができる限界的な打設高さでコンクリートの供給が停止された場合に警告を行って、標準的な締固め時間よりも長時間の締固めを行うことにより、作業指示者や作業員の経験と勘に頼ることなく、適切かつ確実な締固め作業を行うことができる。
【0079】
<第4の実施形態>
図9は、本発明の第4の実施形態に係るコンクリートの打設高さ検知装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
第4の実施形態に係るコンクリートの打設高さ検知装置40は、上述した第1の実施形態に係るコンクリートの打設高さ検知装置10と比較して、1つのコンクリート検知装置及び1つの発光装置を備えるとともに、ポンプ停止手段を備えた構成となっている。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0080】
すなわち、第4の実施形態に係るコンクリートの打設高さ検知装置40は、図9に示すように、コンクリート検知装置41、発光装置42、及びポンプ停止手段43を主な構成要素としている。また、打設高さ検知装置40に電力を供給するための電源15を備えている。
【0081】
<ポンプ停止手段>
ポンプ停止手段43は、コンクリート検知装置41がコンクリートを検知した場合にポンプ操作ユニット120に対してポンプ停止信号を送信するための手段であり、マイクロコンピュータ等からなる制御装置や周知の電気回路等により構成される。
【0082】
第4の実施形態では、標準打設高さにのみコンクリート検知装置41を取り付け、限界打設高さにはコンクリート検知装置を取り付けない。すなわち、標準打設高さに取り付けたコンクリート検知装置41がコンクリート検知すると、発光装置42を点灯させるとともに、ポンプ操作ユニット120に対してポンプ停止信号を送信して、コンクリートポンプが停止するため、限界打設高さにコンクリート検知装置を取り付ける必要がない。
【0083】
<打設高さ検知方法>
次に、図10を参照して、第4の実施形態に係るコンクリートの打設高さ検知装置の具体的な使用方法について説明する。図10は、本発明の第4の実施形態に係る打設高さ検知方法の手順を示すフローチャートである。
【0084】
第4の実施形態に係るコンクリートの打設高さ検知装置40の使用方法は、上述した第1の実施形態と比較して、限界打設高さにおけるコンクリート検知装置を省略したものである。すなわち、第4の実施形態では、図10に示すように、コンクリートの供給位置、供給位置における1層の打設高さ、及びコンクリート検知装置41の設置位置を決定し(S31)、決定した位置にコンクリート検知装置41を取り付ける(S32)。そしてコンクリートの供給を開始し、標準打設高さに取り付けたコンクリート検知装置41がコンクリートを検知すると(S33)、発光装置(青色発光)42を点灯させるとともに(S34)、ポンプ操作ユニット120に対してポンプ停止信号を送信する(S35)。ポンプ停止信号を受信したポンプ操作ユニット120は、コンクリートポンプを停止させてコンクリートの供給を終了する。そして、作業員は、標準的な締め締め時間の締固めを行う(S36)。なお、ポンプ操作ユニット120におけるコンクリートポンプの停止は、マイクロコンピュータ等からなる制御装置や周知の電気回路等により制御される。
【0085】
作業員は、上述した操作を繰り返しながら、順次、コンクリートの供給位置へ移動してコンクリートの供給及び締固め作業を行う。
【0086】
このように、第4の実施形態では、標準的な打設高さとなると自動的にコンクリートポンプを停止させてコンクリートの供給を終了することにより、コンクリートの過剰供給を確実に防止することができる。そして、作業員は、標準的な締固め時間の締固めを行うことにより、作業指示者や作業員の経験と勘に頼ることなく、適切かつ確実な締固め作業を行うことができる。
【0087】
<第5の実施形態>
図11は、本発明の第5の実施形態に係るコンクリートの打設高さ検知装置50の概略構成を示す機能ブロック図である。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
第5の実施形態に係るコンクリートの打設高さ検知装置50は、上述した第1の実施形態に係るコンクリートの打設高さ検知装置10の構成要素に対して、さらに締固め装置位置検知手段51と締固め位置警告手段52とを付加した構成となっている。
【0088】
すなわち、第5の実施形態に係るコンクリート打設高さ検知装置50は、図11に示すように、第1のコンクリート検知装置11、第2のコンクリート検知装置12、第1の発光装置13、第2の発光装置14、締固め装置位置検知手段51、及び締固め位置警告手段52を主な構成要素としている。また、打設高さ検知装置50に電力を供給するための電源15を備えている。
【0089】
<締固め装置位置検知手段>
締固め装置位置検知手段51は、コンクリートの供給位置と締固め装置との距離を検知するための手段である。この締固め装置位置検知手段51としては、種々のものが考えられるが、例えば以下に説明する形態とすることができる。
【0090】
締固め装置位置検知手段51の第1の例としては、コンクリートの供給位置(例えば、供給管の先端部)と、バイブレータ等の締固め装置との間に掛け渡されたワイヤやロープを用いることができる。このワイヤやロープは、例えば2m程度の長さを有しており、コンクリートの供給位置と締固め装置とが所定距離以上離れることができないようになっている。
【0091】
締固め装置位置検知手段51の第2の例としては、コンクリートの供給位置の近傍と、バイブレータ等の締固め装置とにそれぞれ取り付けた一組の発信装置及び受信装置と、警告信号発生装置とを用いることができる。発信装置及び受信装置は、コンクリートの供給位置の近傍と、締固め装置のどちらに取り付けてもよい。そして、発信装置と受信装置とが例えば2m離れると、警告信号発生装置から警告信号を発生するような構成となっている。
【0092】
<締固め位置警告手段>
締固め位置警告手段52は、締固め装置位置検知手段51により、コンクリートの供給位置と締固め装置との距離が許容範囲を超えたことが検知された場合に警告を行うための手段である。
【0093】
上述した第1の例に係る締固め装置位置検知手段51を用いた場合には、ワイヤやロープ等からなる締固め装置位置検知手段51が、締固め位置警告手段52としても機能する。すなわち、ワイヤやロープ等の長さが規定されているため、コンクリートの供給位置と締固め装置とが所定距離以上離れようとすると、ワイヤやロープ等に邪魔されて締固め装置を移動することができないため、作業者に警告を与えることができる。
【0094】
また、上述した第2の例に係る締固め装置位置検知手段51を用いた場合には、警告信号を受信して警告を行う警報音発生器や警告灯により、締固め位置警告手段52を構成することができる。
【0095】
<打設高さ検知方法>
次に、図12を参照して、第5の実施形態に係るコンクリートの打設高さ検知装置50の具体的な使用方法について説明する。図12は、本発明の第5の実施形態に係る打設高さ検知方法の手順を示すフローチャートである。
【0096】
第5の実施形態に係るコンクリートの打設高さ検知装置50の使用方法は、上述した第1の実施形態とほぼ同様である。すなわち、第5の実施形態では、図12に示すように、コンクリートの供給位置、各供給位置における1層の打設高さ、及びコンクリート検知装置11、12の設置位置を決定し(S41)、決定した位置にコンクリート検知装置11、12を取り付ける(S42)。そしてコンクリートの供給を開始し、標準打設高さに取り付けた第1のコンクリート検知装置11がコンクリートを検知すると(S43)、第1の発光装置13(青色発光)を点灯させる(S44)。
第1の発光装置13が点灯すると、直ちにコンクリートの供給を停止し、標準的な締固め時間の締固めを行う(S46)。
【0097】
また、第1の発光装置13が点灯したにもかかわらずコンクリートの供給停止が間に合わなかった場合に、限界打設高さに取り付けた第2のコンクリート検知装置12がコンクリートを検知すると(S45)、第2の発光装置14(赤色発光)を点灯させる(S47)。
【0098】
第2の発光装置14が点灯すると、直ちにコンクリートの供給を停止し、標準的な締固め時間よりも長時間の締固めを行う(S48)。
そして、締固め作業を行っている際に、コンクリートの供給位置と締固め装置との距離が適切であるか否かを判断する(S49)。ここで、コンクリートの供給位置と締固め装置との距離が適切ではない場合には、警報音発生器から警報音を発生したり、警告灯を点灯あるいは点滅させたりして警告を行う(S50)。
【0099】
作業員は、上述した操作を繰り返しながら、順次、コンクリートの供給位置へ移動してコンクリートの供給及び締固め作業を行う。
【0100】
このように、第5の実施形態では、コンクリートの供給位置から所定距離以上離れて締固め作業を行うことができず、あるいはこのような位置で締固め作業を行った場合に警告が行われるので、不適切な締固め作業を防止することができる。
【0101】
<他の実施形態>
本発明のコンクリートの打設高さ検知装置及び打設高さ検知方法は、上述した実施形態に限定されるものではなく、各実施形態に示した構成要素や工程を適宜組み合わせて実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る打設高さ検知装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図2】打設高さ検知装置の具体的構成を示す説明図である。
【図3】コンクリート検知装置の具体的構成を示す説明図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る打設高さ検知方法の手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るコンクリートの打設高さ検知装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る打設高さ検知方法の手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第3の実施形態に係るコンクリートの打設高さ検知装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る打設高さ検知方法の手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第4の実施形態に係るコンクリートの打設高さ検知装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図10】本発明の第4の実施形態に係る打設高さ検知方法の手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第5の実施形態に係るコンクリートの打設高さ検知装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図12】本発明の第5の実施形態に係る打設高さ検知方法の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0103】
10、20、30、40、50 打設高さ検知装置
11 第1のコンクリート検知装置
12 第2のコンクリート検知装置
13 第1の発光装置
14 第2の発光装置
15 電源
16 検知棒
21 第1の締固め時間指示手段
22 第2の締固め時間指示手段
23 締固め時間設定手段
31 警告手段
41 コンクリート検知装置
42 発光装置
43 ポンプ停止手段
51 締固め装置位置検知手段
52 締固め位置警告手段
100 電気接点
110 締固め装置
120 ポンプ操作ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート打設時において適切なコンクリート打設高さを検知するためのコンクリートの打設高さ検知装置であって、
コンクリートの標準打設高さに配置された第1のコンクリート検知装置と、
前記標準打設高さよりも上方の限界打設高さに配置された第2のコンクリート検知装置と、
前記第1のコンクリート検知装置がコンクリートを検知した場合に点灯する第1の発光装置と、
前記第2のコンクリート検知装置がコンクリートを検知した場合に点灯する第2の発光装置と、
を備え、
前記第1の発光装置と前記第2の発光装置は、互いに異なる発光色で発光することを特徴とするコンクリートの打設高さ検知装置。
【請求項2】
前記標準打設高さに対応して、第1の締固め時間を指示する第1の締固め時間指示手段と、
前記限界打設高さに対応して、前記第1の締固め時間よりも長い第2の締固め時間を指示する第2の締固め時間指示手段と、
打設するコンクリートのスランプに応じて、前記第1の締固め時間及び前記第2の締固め時間を設定する締固め時間設定手段と、
を備え、
前記第1のコンクリート検知装置がコンクリートを検知した場合に、前記第1の締固め時間指示手段の指示に基づいて締固め装置を作動させ、
前記第2のコンクリート検知装置がコンクリートを検知した場合に、前記第2の締固め時間指示手段の指示に基づいて締固め装置を作動させることを特徴とする請求項1に記載のコンクリートの打設高さ検知装置。
【請求項3】
前記第2のコンクリート検知装置がコンクリートを検知した場合に警告を行う警告手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のコンクリートの打設高さ検知装置。
【請求項4】
コンクリート打設時において適切なコンクリート打設高さを検知するためのコンクリートの打設高さ検知装置であって、
コンクリートの基準打設高さに配置されたコンクリート検知装置と、
前記コンクリート検知装置がコンクリートを検知した場合に点灯する発光装置と、
前記コンクリート検知装置がコンクリートを検知した場合にコンクリートポンプの操作ユニットに対してポンプ停止信号を送信するポンプ停止手段と、
を備えたことを特徴とするコンクリートの打設高さ検知装置。
【請求項5】
前記コンクリート検知装置は、絶縁体からなる検知棒の外周において直径方向の対向する位置に取り付けられた一対の電気接点を備え、
前記各電気接点の周方向の幅は、前記検知棒の直径の1/4以下に設定されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のコンクリートの打設高さ検知装置。
【請求項6】
コンクリート供給位置と、締固め装置との距離を検知する締固め装置位置検知手段と、
前記締固め装置位置検知手段により、コンクリート供給位置と前記締固め装置との距離が許容範囲を超えたことが検知された場合に警告を行う締固め位置警告手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のコンクリートの打設高さ検知装置。
【請求項7】
コンクリート打設時において適切なコンクリート打設高さを検知するためのコンクリートの打設高さ検知方法であって、
コンクリートの打設場所における配筋状態や形状等の打設環境に応じて、標準打設高さと、前記標準打設高さよりも上方に位置する限界打設高さとを決定する工程と、
決定した標準打設高さ及び限界打設高さの位置にそれぞれコンクリート検知装置を取り付ける工程と、
前記標準打設高さの位置に取り付けられたコンクリート検知装置がコンクリートを検知した場合に、第1の発光装置を点灯させるとともに、締固め装置を標準的な締固め時間だけ作動させて締固めを行う工程と、
前記限界打設高さの位置に取り付けられたコンクリート検知装置がコンクリートを検知した場合に、前記第1の発光装置とは異なる発光色の第2の発光装置を点灯させるとともに、締固め装置を前記標準的な締固め時間よりも長時間作動させて締固めを行う工程と、
を含むことを特徴とするコンクリートの打設高さ検知方法。
【請求項8】
打設するコンクリートのスランプに応じて、前記標準打設高さに対応した第1の締固め時間を設定するとともに、前記限界打設高さに対応した第2の締固め時間を設定する工程と、
前記標準打設高さに取り付けたコンクリート検知装置がコンクリートを検知した場合に、前記第1の締固め時間に基づいて締固め装置を作動させる工程と、
前記限界打設高さに取り付けたコンクリート検知装置がコンクリートを検知した場合に、前記第2の締固め時間に基づいて締固め装置を作動させる工程と、
を含むこと特徴とする請求項7に記載のコンクリートの打設高さ検知方法。
【請求項9】
前記限界打設高さに取り付けられたコンクリート検知装置がコンクリートを検知した場合に警告を行う工程、
を含むことを特徴とする請求項7又は8に記載のコンクリートの打設高さ検知方法。
【請求項10】
コンクリート打設時において適切なコンクリート打設高さを検知するためのコンクリートの打設高さ検知方法であって、
コンクリートの打設場所における配筋状態や形状等の打設環境に応じて、打設高さを決定する工程と、
決定した打設高さの位置にコンクリート検知装置を取り付ける工程と、
前記コンクリート検知装置がコンクリートを検知した場合に、発光装置を点灯させるとともに、コンクリートポンプの操作ユニットに対してポンプ停止信号を送信する工程と、
を含むことを特徴とするコンクリートの打設高さ検知方法。
【請求項11】
コンクリート供給位置から所定距離を超えて締固め装置を作動させた場合に警告を行う工程を含むことを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1項に記載のコンクリートの打設高さ検知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−144385(P2008−144385A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−330069(P2006−330069)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(000201478)前田建設工業株式会社 (358)
【Fターム(参考)】