説明

コンクリートの補修方法

【課題】 圧力をかけることによって、コンクリートに発生した細かいひび割れの内部にまで安全かつ確実に補修剤を浸入させることのできるコンクリートの補修方法を提供すること。
【解決手段】 ひび割れの発生したコンクリート10表面に注入孔12を穿孔し、該注入孔12の内部にアンカー31を固定し、固定された前記アンカー31に棒状部材30を固定し、該棒状部材30に固定されることによって前記注入孔12の開口部に密着させた注入プラグ20を用いて、ポンプで昇圧されたアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を圧入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートの補修方法に関する。特に、ひび割れの発生したコンクリート表面に穿孔された注入孔に対して、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を圧入することを特徴とするコンクリートの補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
硬化後のコンクリートには、さまざまな要因によってひび割れ(亀裂)が発生する。例えば、硬化時の収縮、温度変化による膨張と収縮の繰り返し、荷重による変形などがひび割れ発生の主要因である。このようにして発生したひび割れによって、コンクリート自体の強度が低下したり、漏水が引き起こされたりする。また、ひび割れから浸入した水分や空気によって、内部の鉄筋が腐食したり、ひび割れ周辺のコンクリートが炭酸ガスと反応して中性化して強度が低下したりすることもある。一旦発生したひび割れをそのまま放置していたのでは、ひび割れが成長して、問題がさらに深刻になるおそれがある。特に、漏水箇所をそのまま放置していたのでは、漏水量が徐々に増加するとともに強度低下も引き起こすので、効果的な止水方法が強く望まれているところである。
【0003】
コンクリートからの漏水を止める方法として、止水剤をひび割れの内部に注入する方法が広く行われている。このような止水剤としては、各種の無機系止水剤やポリマー系止水剤が使用されている。代表的な無機系止水剤として、微粒子セメントを用いたセメントペーストが用いられるが、細かいひび割れの中まで補修することは容易ではない。例えば、ひび割れの内面が乾いている場合にはセメントペーストの水分が奪われて流動性が低下してひび割れの深部までセメントペーストが届かないおそれがあるし、逆に、ひび割れの内面が濡れている場合には、セメント濃度が低下して十分な強度が発揮されないおそれがある。一方、ポリマー系止水剤としては、エポキシ樹脂やポリウレタン樹脂などの硬化性の樹脂が使用される。しかしながら、このような樹脂は一般に粘度が高いために、細かいひび割れの中まで浸透させることが困難であり、高い圧力をかけてひび割れに注入する必要があった。
【0004】
例えば、特許文献1には、漏水の発生しているコンクリートのひび割れ内部を高圧洗浄してから、注入部分以外のひび割れにシーリング材を圧入してシールし、二段掘りドリルを使用してアンカー孔と頭部の皿もみ窪みの二段状に搾孔して注入孔を形成し、次いで内ネジアンカーを打ち込み、シリコンゴム、座金、ナットの順に装着した中空ボルトを該内ネジアンカーに取り付けて前記ナットで締着し、その後親水性一液型ポリウレタン樹脂を入れた容器を中空ボルトにネジ込み固定し、漏水と反応させて該樹脂を発泡硬化させるコンクリート止水工法が記載されている。また、特許文献2には、コンクリート構造物の漏水亀裂に対してコンクリート表層から所定の角度に止水材注入孔を削孔して、該漏水亀裂を横断した状態で止水材を保留する密閉室を形成すると共に該密閉室に亀裂補強部材を挿入して置き、次いで、コンクリート表層の漏水亀裂を封鎖すると共に該止水材注入孔に逆流防止弁付注入プラグを装着し、しかる後に該注入プラグから親水性一液型ポリウレタンプレポリマーを主成分とする止水材を加圧注入して該密閉室内と漏水亀裂とに所定量充填し、該止水材を浸入水との化学反応で発泡させながら漏水亀裂内に浸透させることを特徴とする高圧注入止水工法が記載されている。
【0005】
一方、特許文献3には、コンクリートの細かいひび割れを補修する方法として、水ガラスに対して、クエン酸などの多価カルボン酸を溶解した水溶液からなるコンクリート改質剤を使用する方法が記載されている。当該改質剤は、ひび割れの発生したコンクリートの表面に塗布したり、ひび割れに注入したりして使用され、コンクリートの防水工事や止水工事に用いることができるとされている。
【0006】
【特許文献1】特開平10−245998号公報
【特許文献2】特開2004−251009号公報
【特許文献3】特開2001−294461号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載されているように、ポリマー系の補修剤を使用したのでは、注入される樹脂の粘度が高いために、高い圧力をかけたとしてもなお細かいひび割れにまで十分に充填して補修することは困難であった。また、特許文献3に記載されているような低粘度の水溶液を使用するのであれば、細かいひび割れへの浸透性は向上すると考えられるが、それでもなお、細かいひび割れの深部にまで十分に浸透させようとする場合には、圧力をかけて注入する方が好ましい場合がある。ところが、低粘度で浸透性の高い液体であるために、圧力をかけた場合に注入プラグの脇から漏れやすく、高い圧力を安定的に維持することが困難になるおそれがあった。また、低粘度の液体が漏れる際には飛散しやすく、作業員の安全面から問題を有する場合があった。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、圧力をかけることによって、コンクリートに発生した細かいひび割れの内部にまで安全かつ確実に補修剤を浸入させることのできるコンクリートの補修方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、ひび割れの発生したコンクリート表面に注入孔を穿孔し、該注入孔の内部にアンカーを固定し、固定された前記アンカーに棒状部材を固定し、該棒状部材に固定されることによって前記注入孔の開口部に密着させた注入プラグを用いて、ポンプで昇圧されたアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を圧入することを特徴とするコンクリートの補修方法を提供することによって解決される。
【0010】
ここで補修剤として使用されるアルカリ金属ケイ酸塩水溶液は、比較的粘度の低い水溶液であり、しかも注入に際して圧力を加えるので細かいひび割れの深い部分にまで十分に補修剤を行き渡らせることが可能である。しかも注入孔の内部にアンカーを固定することによって、高い圧力をかけても注入プラグが外れることがない。したがって、安全、かつ確実にひび割れの深部にまで補修剤を浸入させることが可能である。
【0011】
このとき、前記アンカーが内ネジを有するものであり、前記棒状部材が外ネジを有していて前記アンカーに螺着されるとともに前記注入プラグを貫通し、パッキンを介したナットを締め付けることによって前記注入プラグを前記開口部に密着させるものであることが好ましい。前記注入プラグが緩衝材で覆われた封止部を有していて、該封止部を前記注入孔の開口部に挿入して密着させることも好ましい。また、前記注入プラグ内において、前記棒状部材の外側に存在するクリアランスから前記注入孔内に前記アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を圧入することも好ましい。
【0012】
前記注入プラグがバルブとジョイントとを備えることが、本発明の好適な実施態様である。前記ポンプと前記注入プラグとの間に、圧力計及びバルブを有して両端にジョイントを備えるユニットが、前記圧力計が前記注入プラグ側になる向きに、着脱自在に接続されてなることも、本発明の好適な実施態様である。前記ポンプと前記注入プラグとの間に圧力計が接続され、前記ポンプで昇圧された前記アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を圧入した後で、前記ポンプと前記圧力計との間のバルブを閉じ、その後の圧力の低下状況から前記アルカリ金属ケイ酸塩水溶液のひび割れへの浸入状況を判断することも、本発明の好適な実施態様である。また、前記ポンプと前記注入プラグとの間に空気が入ったバッファ部が接続され、前記ポンプから前記アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を圧入した後で、前記ポンプと前記バッファ部との間の接続を解除して、前記バッファ部内の圧縮空気の圧力による注入を継続することも、本発明の好適な実施態様である。
【0013】
前記アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を圧入する際の圧力が0.5〜10MPaであることが好ましい。前記アルカリ金属ケイ酸塩水溶液が、当該ケイ酸塩の一部が酸で中和されているものであることも好ましい。また、前記アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を圧入した後で、引き続き微粒子セメント分散液又は周期律表第2族に属する金属の塩が溶解した水溶液を圧入することも好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の補修方法によれば、圧力をかけることによって、コンクリートに発生した細かいひび割れの内部にまで安全に補修剤を浸入させることができる。高い圧力を安定的に維持することや、注入プラグの脇からの補修剤の漏れを防止することが容易であり、漏水の発生したコンクリートの止水処理などに好適に採用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を使用して本発明をより具体的に説明する。図1は本発明で使用する注入プラグとその固定装置の一例の外観を示した図である。図2は、図1の注入プラグを注入孔に固定した状態を示した断面模式図である。図3は、注入装置全体の一例を示した模式図である。図4は、注入装置全体の他の一例を示した模式図である。以下、図1〜図4を参照しながら、本発明のコンクリートの補修方法を説明する。
【0016】
本発明で、コンクリートを補修するために使用する液は、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液である。当該水溶液は、有効成分が水に溶けている上に、コンクリートに対する親和性が高く、しかも粘度が低い場合が多いので、コンクリートに発生した微細なひび割れ内に浸入させることが容易である。さらに、高い圧力をかけて注入することによって、微細なひび割れの奥深くにまで水溶液を浸透させることが可能となる。一方で、浸透性が高く比較的粘度が低いことから、圧力をかけて注入する際には漏れやすいという問題を有しており、本発明の補修方法が特に好適に採用されるものである。アルカリ金属のケイ酸塩は、ひび割れ内部のコンクリート表面近傍のカルシウム塩、特に水酸化カルシウムと反応してケイ酸カルシウムの結晶を形成すると考えられており、これによってコンクリートの主成分であるケイ酸カルシウムと一体化してひび割れ内部が充填されると考えられる。
【0017】
アルカリ金属ケイ酸塩のカチオン種は、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどが例示されるが、入手の容易さやコストの面などからナトリウムイオンであることが好ましい。また、そのアニオン種も特に限定されず、オルトケイ酸アニオン[SiO44-]やメタケイ酸アニオン[SiO32-]などのアニオン種のみならず、ケイ酸[SiO2]単位が複数個連結してアニオン種を形成したものであっても良い。具体的な化合物としては、オルトケイ酸ナトリウム、オルトケイ酸カリウム、オルトケイ酸リチウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、メタケイ酸リチウム、水ガラスなどが例示される。
【0018】
中でも本発明で好適に使用されるのは水ガラスである。水ガラスはアルカリ金属のケイ酸塩の水溶液であって、ケイ酸[SiO2]単位が複数個連結してアニオン種を形成したものである。ここで使用されるアルカリ金属はカリウムの場合もあるが通常ナトリウムである。ケイ酸ナトリウムの場合の固形分の一般式はNa2O・nSiO2で示される。ケイ酸塩中の金属原子数とケイ素原子数の比[金属/ケイ素]は0.1〜2の範囲であることが好ましい。前記比[金属/ケイ素]が0.1未満の場合には、水溶性が低下し、微細なひび割れ中で、深部まで水溶液が到達しないおそれがある。より好適には0.2以上であり、さらに好適には0.3以上である。逆に比[金属/ケイ素]が2を超える場合には、硬化のために大量のカルシウム分が必要となり、硬化性が低下するおそれがある。より好適には1.5以下であり、さらに好適には1以下である。
【0019】
水溶液中のアルカリ金属ケイ酸塩の濃度が高いほど水溶液の比重は高くなる。水溶液の好適な比重は1.05〜1.4である。このような濃度とすることによって、ひび割れの深部に十分に浸透できるとともに、十分な量のアルカリ金属ケイ酸塩をひび割れの内部に供給することができる。比重はより好適には1.1以上であり、さらに好適には1.15以上である。一方、より好適には1.35以下であり、さらに好適には1.3以下である。
【0020】
また、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液に酸が配合され、その酸によって前記アルカリ金属ケイ酸塩の一部が中和されていることが好ましい。中和されることによって、水溶液のpHが高くなりすぎず、ひび割れ内のコンクリート表面に生成している炭酸カルシウムが溶出しやすくなり、コンクリート表面に強く接着したケイ酸カルシウムが形成されやすくなると考えられる。酸の種類は特に限定されるものではないが、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を適切なpHとすることができ、コンクリートの安定性や内部の鉄筋などに悪影響を及ぼさないという点から、カルボン酸が好適である。
【0021】
使用されるカルボン酸は特に限定されるものではなく、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などのモノカルボン酸;グリコール酸、乳酸、グルコン酸などのオキシモノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、ピメリン酸、アジピン酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、テレフタル酸などの多価カルボン酸;リンゴ酸、クエン酸などのヒドロキシ多価カルボン酸;アクリル酸重合体、無水マレイン酸重合体などの多価カルボン酸重合体などを使用することができる。これらの中でも揮発性が低く、水溶性の良好なオキシカルボン酸や多価カルボン酸が好適であり、多価カルボン酸がより好適である。マレイン酸、フマル酸のような不飽和多価カルボン酸も好適である。
【0022】
アルカリ金属ケイ酸塩水溶液にカルボン酸を配合する場合、ケイ酸塩中の金属原子数とカルボン酸中のカルボキシル基の数との比[金属/カルボキシル基]は1〜200であることが好適である。比[金属/カルボキシル基]が1未満の場合には、水溶性が低下し、微細なひび割れ中で、深部まで水溶液が到達しないおそれがある。より好適には2以上であり、さらに好適には5以上であり、最適には10以上である。逆に比[金属/カルボキシル基]が200を超えると、硬化のために大量のカルシウム分が必要となり、硬化性が低下するおそれがある。より好適には100以下であり、さらに好適には50以下である。
【0023】
アルカリ金属ケイ酸塩水溶液は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、その他の成分を含有しても構わない。しかしながら、不溶成分を実質的に含有しない均一な水溶液であることが好ましい。そうすることによって、微細なひび割れの深部まで水溶液が浸透していくことが容易になる。
【0024】
以上説明したアルカリ金属ケイ酸塩水溶液からなる補修剤を注入することによって、コンクリート10が補修される。本発明の補修方法では、ひび割れ11の発生したコンクリート10の表面に注入孔12を穿孔し、当該注入孔12の開口部に密着させた注入プラグ20を用いて、ポンプ40で昇圧されたアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を圧入する。このとき、注入孔12は、ひび割れ11を貫通するような位置に形成することが好ましい。
【0025】
注入プラグ20は、略T字状の管状体から構成され、上部開口21と下部開口22と側方開口23とを有する。下部開口22の近傍に封止部24が形成されていて、当該封止部24は下方に向かって先細りのテーパー形状を有し、その表面が緩衝材25で覆われている。封止部24はコンクリート10の表面に穿孔された注入孔12に挿入されて、緩衝材25を介して注入孔12の開口部を封止する。これによって確実に封止することが可能である。注入プラグ20の材質は金属などの硬質の素材が使用される。そして緩衝材25としては、柔軟性を有するゴムや樹脂などが使用される。例えばゴムチューブや軟質ビニルチューブを被せても良いし、ビニルテープやテフロン(登録商標)テープを巻きつけても良い。
【0026】
注入プラグ20の上部開口21と下部開口22とは一直線に繋がっており、その内部を棒状部材30が貫通する。棒状部材30は外ネジが全面に形成されていて、その下端部にアンカー31が螺着される。アンカー31は、内ネジを有していて、棒状部材30の外ネジとの間で相互に螺着される。アンカー31の下端32には、切込み33が4本入れられており、くさび34を打ち込むことによって下端32が開いて注入孔12の内壁に押し付けられる。くさび34を注入孔12の底部13に押し付けて、棒材を介して当該棒材の上端をハンマーなどで叩くことによって、下端32を開かせてアンカー31を注入孔12に固定してから、棒状部材30をアンカー31に螺着させることによって棒状部材30を注入孔12に確実に固定することができる。アンカー31を予め棒状部材30に螺着しておいてからその上端35をハンマーなどで叩くことによっても、棒状部材30を注入孔12に固定することができる。アンカー31は、注入孔12内に固定可能なものであれば特に限定されず、様々な形式のものを使用することができる。
【0027】
注入孔12に固定されたアンカー31に螺着された棒状部材30が注入プラグ20の内部を貫通するようにして、棒状部材30の上方からナット36が螺着される。そして、パッキン37を介して注入プラグ20の上部開口21にナット36を押し付けるようにして締めこむ。これによって、上部開口21とナット36との間が強く封止されるとともに、注入孔12の開口部と封止部24との間も強く封止される。アンカー31が注入孔12の底部13付近で強く固定されているので、高い圧力をかけて補修剤を注入する場合でも、注入プラグ20が外れたり補修剤が漏れたりすることがない。そのため、高い圧力をかけることが可能になって、細かいひび割れの中まで補修剤を注入することが可能になる。パッキン37としては、適当な柔軟性を有していて封止可能なものであれば限定されないが、O−リングが好適に使用される。また、棒状部材30は注入プラグ20を貫通するので、棒状部材30の長さを大まかに調整すれば、どのような深さの注入孔12に対しても適用が容易である。注入プラグ20周辺において、コンクリート10の表面に表れているひび割れ11は、注入操作に先立ってシールすることが好ましい。シール方法は特に限定されないが、例えば、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液の塗布や、微粒子セメントペーストの摺り込みなどによってシールされる。
【0028】
注入プラグ20の側方開口23は、ジョイント46の雌部になっており、ジョイント46の雄部を、着脱自在に接続して固定できるようになっている。ジョイント46を構成する雌部の内部には逆止弁が備えられており、接続を解除したときに補修剤が漏洩しないようになっている。このような漏洩防止のバルブとしては、前記逆止弁に限られず、手動のバルブなどを使用することもできる。この側方開口23を経由して、ポンプ40で昇圧された補修剤が供給される。補修剤はジョイント46の内部を通り、注入プラグ20内において、棒状部材30の外側に存在するクリアランス26から注入孔12内に圧入される。注入孔12の入口付近から補修剤を供給できるので、注入孔12の全体に対して補修剤を行き渡らせるのが容易であり、注入孔12内のどの位置にひび割れが存在しても、補修剤の浸入が容易である。
【0029】
アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を圧入する際の圧力は特に限定されないが、好適には0.5〜10MPaである。0.5MPa以下の圧力の場合には、微細なひび割れの深部にまで補修剤が到達しないおそれがある。また、水溶液圧力がそれほど高くないので、本発明の構成を採用しなくても、注入プラグ20の外れや液漏れが発生しない場合も多いので、本発明の補修方法を採用する利益がそれほど大きくない。より好適には1MPa以上であり、さらに好適には1.5MPa以上である。一方、10MPa以上の圧力の場合には、コンクリートを破損するおそれがあるし、加圧装置も大掛かりとなる。より好適には5MPa以下であり、さらに好適には3.5MPa以下である。加圧操作に際しては、注入状況を確認しながら徐々に圧力を上昇させることが好ましい。加圧のためのポンプ40は特に限定されず、各種のものが使用可能であり、ポンプ40に供給するための液を溜めるタンク41が接続されている。
【0030】
図3の例では、ポンプ40と注入プラグ20との間に、バルブ42と圧力計43とを有するユニット44がジョイント45,46によって着脱可能に接続されている。このような構成とすることによって、ポンプ40で昇圧されたアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を圧入した後で、ジョイント45と圧力計43との間のバルブ42を閉じ、その後の圧力の低下状況からアルカリ金属ケイ酸塩水溶液のひび割れへの浸入状況を判断することができる。これまで現場の勘に頼った注入操作が行われることが多かったが、実際にひび割れの中に供給される状況を定量的に判断でき、信頼性の高い補修工事が可能となる。
【0031】
図4の例では、ポンプ40と注入プラグ20との間に、空気が入ったバッファ部47とバルブ42とを有するユニット48がジョイント45,46によって着脱可能に接続されている。このような構成とすることによって、ポンプ40で昇圧されたアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を圧入した後で、ジョイント45とバッファ部47との間のバルブ42を閉じてから、ジョイント45の接続を解除して、バッファ部47内の圧縮空気の圧力による注入を継続することができる。水溶液をひび割れに注入するのに長時間を要する場合に、1台のポンプ40で多数の注入プラグ20からの注入操作を並行的に行うことができ、作業の効率が向上する。そしてバッファ部47の内部の圧力が示される圧力計43がバッファ部47に設けられていることが好ましい。これによって、圧力の低下が認められたときには、再度ポンプ40と接続して加圧を繰り返すことができる。バッファ部47は空気が収容されて、耐圧性があるものであれば特に限定されず、タンク形状であってもよいし、単なるパイプ形状であってもよい。また、バルブ42は、手動で閉じるものであってもよいし、接続が解除されたときに自動的に閉まる逆止弁のようなものであってもよい。
【0032】
図3で使用するユニット44と図4で使用するユニット48は、1箇所の注入孔12に対して、両方を使用してもよいし、片方を使用してもよいし、いずれも使用しなくてもよい。補修されるひび割れの状況などに対応して、現場において適宜判断してユニットの組み換えを行いながら的確な作業を選択することができる。両方のユニット44,48を使用する場合には、直列に接続して同時に使用してもよいし、順次切り替えて接続して使用してもよい。
【0033】
以上のような要領でアルカリ金属ケイ酸塩水溶液の注入操作を行ってもなお、ひび割れの閉塞ができなかった場合には、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を圧入した後で、同じ注入プラグ20から、引き続き微粒子セメント分散液又は周期律表第2族に属する金属の塩が溶解した水溶液を圧入することが好ましい。アルカリ金属ケイ酸塩水溶液は微細なひび割れにまで浸入することができるが、広すぎるひび割れを充填することはできない。これに対し、より広いひび割れに対しては、引き続き微粒子セメント分散液又は周期律表第2族に属する金属の塩が溶解した水溶液を圧入することによって充填が可能となる。
【0034】
微粒子セメント分散液を注入する場合、アルカリ金属ケイ酸塩の存在が微粒子セメントの硬化を促進するので、広いひび割れの閉塞が容易になる。ここで使用される微粒子セメントは、JIS R5201に基づいて測定した比表面積が、通常5000cm/g以上であり、好適には8000cm/g以上であり、より好適には10000cm/g以上である。また比表面積は、通常30000cm/g以下であり、入手のしやすさの点からは20000cm/g以下であることが好ましい。なお、普通ポルトランドセメントの比表面積が、通常2500〜3300cm/g程度である。また、比表面積が8000cm/g以上のセメントは、超微粒子セメントと呼ばれることもある。微粒子セメント分散液中の微粒子セメントの含有量は33〜67重量%であることが好ましい。微粒子セメントの含有量が33重量%未満である場合には、硬化物の強度が不十分となるおそれがあり、より好適には50重量%以上であり、さらに好適には55重量%以上である。一方、微粒子セメントの含有量が67重量%を超える場合には、ひび割れ内部への充填性が低下するおそれがあり、より好適には63重量%以下である。
【0035】
また、前述のように、アルカリ金属ケイ酸塩はカルシウムイオンなどの周期律表第2族に属する金属の塩と反応してケイ酸カルシウムの結晶を形成すると考えられている。微粒子セメント分散液の場合に比べて、ひび割れに対する浸入性が良好なので、微細ではないものの、比較的狭いひび割れに対して有効である。周期律表第2族に属する塩としては、ベリリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩などが挙げられるが、入手の容易性や毒性などを考慮すれば、マグネシウム塩又はカルシウム塩が好適に使用される。なかでもマグネシウム塩が大きいひび割れを迅速に閉塞させる効果に優れていて好ましい。周期律表第2族に属する金属の塩のアニオン種も特に限定されないが、コンクリートに悪影響を与えず、しかも水に対する溶解度の大きい塩が多いことから、カルボン酸塩が好適に使用される。カルボン酸塩としては、酢酸塩、プロピオン酸塩、乳酸塩などが好適なものとして例示される。
【0036】
第2族金属塩水溶液に溶解している周期律表第2族に属する金属の塩の含有量が、金属元素換算で0.01重量%以上であることが好ましい。一定量以上の2族金属イオンが溶解していることによって、大きいひび割れの内部を充填できるだけの2族金属イオンを容易に提供することができるからである。上記塩の含有量は金属元素換算でより好適には0.5重量%以上であり、さらに好適には1重量%以上である。一方、上記塩の含有量は、通常金属元素換算で20重量%以下である。第2族金属塩水溶液には、その中に溶解している周期律表第2族に属する金属の塩以外の成分を含有していても良い。第2族金属塩水溶液が、不溶成分を実質的に含有しない均一な水溶液である場合には、ひび割れの内部に浸入させることが容易である。第2族金属塩水溶液中の、上記塩の含有量は金属元素換算で好適には0.5重量%以上であり、より好適には1重量%以上であり、さらに好適には2重量%以上である。第2族金属塩水溶液が不溶成分を含有していてもよいが、不溶成分が2族金属元素を含有していても、上記「溶解している周期律表第2族に属する金属の塩の含有量」には含めないものとする。
【0037】
微粒子セメント分散液又は周期律表第2族に属する金属の塩が溶解した水溶液のいずれか一方だけを圧入してもよいし、それら二種類の液を順次圧入してもよいし、周期律表第2族に属する金属の塩が溶解した水溶液に対して微粒子セメントが分散された液を圧入してもよい。ひび割れの状況などに対応して適宜選択される。微粒子セメント又は周期律表第2族に属する金属の塩が溶解した水溶液を圧入してから、再度アルカリ金属ケイ酸塩水溶液の注入操作を行ってもよい。広いひび割れが閉塞されて高圧をかけることが可能になっているので、微細なひび割れに対してアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を浸入させることができる。
【0038】
以上のようにして、補修剤を注入した後は、ナット36を緩めて注入プラグ20を注入孔12から外し、棒状部材30を回転させてアンカー31から外す。その後、超速硬セメントなどを使用して注入孔12を塞ぐことが好ましい。またその後、注入孔12付近のコンクリート表面に、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を塗布することも好ましい。
【0039】
以上説明したように、本発明の補修方法によれば、コンクリートに発生した微細なひび割れの内部にまで安全かつ確実に補修剤を浸入させることができる。そして、現場の状況に応じて、さまざまな手法を組み合わせて、最適なひび割れの補修方法を選択することも容易であり、作業効率の良い施工方法が提供される。
【0040】
本発明の補修方法は、様々な場所や目的に対して適用することが可能である。例えば、屋上、ベランダ、地下室、駐車場などの床、壁、天井などに発生したひび割れを補修することができ、特に漏水を伴う場合の止水に有効である。コンクリート硬化物におけるジャンカ部や打ち継ぎ部の補修にも適している。また、プールや水槽などの漏水を、水を溜めたままで止水するのにも適している。
【実施例】
【0041】
以下、実施例を使用して本発明をさらに詳細に説明する。本実施例は、図3又は図4に示した構成の装置を用いて、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を注入して、コンクリートに発生したひび割れを補修する方法の例を示したものである。本方法によって、コンクリートに発生した水漏れを効果的に止めることができた。
【0042】
[アルカリ金属ケイ酸塩水溶液の調製]
水温60℃の水15重量部を入れた容器に、フマル酸0.15重量部を投入し、撹拌して溶解させた。引き続き、撹拌を継続しながら、東曹産業(株)製水ガラス「JIS3号珪酸ソーダ」25重量部を加えた。このとき、水ガラスを加えた部分では一時的に粘度が大きく上昇するが、撹拌することによって全体が均質化された。この操作を繰り返して水ガラスの全量を加えて、全体として均一な不溶物のない水溶液を調製した。なお、ここで使用した水ガラスは、酸化ナトリウム(Na2O:MW=61.98)成分を9〜10重量%、二酸化ケイ素(SiO2:MW=60.09)成分を28〜30重量%含有するものである。中央値を採用して、酸化ナトリウム成分を9.5重量%、二酸化ケイ素成分を29重量%含有するとした場合、比[金属/ケイ素]の値は0.64である。ナトリウム原子数と、2価の酸であるフマル酸(C4H4O4:MW=116.07)中のカルボキシル基の数との比[金属/カルボキシル基]の値は、30であった。また、水溶液の比重は1.24であった。
【0043】
[削孔]
コンクリート10の表面から観察されるひび割れ11から100mm程度離れた位置から斜め45度の角度でひび割れ11を貫通するように直径12.5mm、深さ250mm程度の注入孔12を削孔し、エアーブローして切削粉を除去した。
【0044】
[注入プラグの設置]
以下の要領で、図1及び図2に示す注入プラグ20を注入孔12に設置した。まず、アンカー31を注入孔12に投入し、金属棒を介してハンマーで叩いて注入孔12の底部13にアンカー31を固定した。引き続き、外ネジが全面に形成されている棒状部材30をアンカー31の内ネジに螺着して固定した。固定された棒状部材30に対して、封止部24が緩衝材25(塩ビチューブ)で覆われた注入プラグ20、パッキン37(O−リング)、ナット36を順番に、棒状部材30の上端35側から装着し、ナット36を締め付けて注入プラグ20を注入孔12に固定した。
【0045】
[ひび割れ部のシール]
ひび割れ11付近のコンクリート10の表面に対して、前記アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を塗布した。引き続き、三菱マテリアル株式会社製超微粒子セメント「アーマ#600」(JIS R5201に基づいて測定した比表面積:12200cm/g)100重量部に、水30重量部を加えて練り混ぜたものを、ひび割れ11に対して擦り込んだ。当該セメントペーストが固まるまでに表面を削り、表面が平坦になるように仕上げた。
【0046】
[アルカリ金属ケイ酸塩水溶液の注入]
タンク41に前記アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を投入し、ポンプ40を運転して、ホース49先端(接続が解除されているジョイント45)をタンク41に入れて、水溶液を循環させてホース49内の空気を除去した。ポンプ40としては、最高圧力が3.2MPaのプランジャ式ポンプを使用した。一旦ポンプ40の運転を停止して、ホース49先端のバルブ50を閉じて、圧力計43とバルブ42とが備えられたユニット44をジョイント45,46で接続し、図3に示された装置構成とした。バルブ50を少しずつ開けながら、徐々に圧力を上昇させて、最終的に3.0MPaになるまで昇圧した。この間、周囲のひび割れ11や注入孔12からの漏れがないか確認した。昇圧後にバルブ42を閉じて圧力計43の圧力の低下具合を確認しながら注入を行った。注入後、バルブ50を閉めてからポンプ40を停止した。続いて、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液の注入速度が遅すぎる場合には、下記[バッファ部を使用する注入]操作を行った。アルカリ金属ケイ酸塩水溶液の注入速度が速すぎる場合や、ひび割れからの漏れが確認される場合には、下記[微粒子セメント分散液の注入]操作を行った。また、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液の注入速度が適当であると判断された場合には、下記[仕上げ]操作に進んだ。
【0047】
[バッファ部を使用する注入]
前記[アルカリ金属ケイ酸塩水溶液の注入]操作後に、ポンプ40を停めて、圧力計43とバルブ42とが備えられたユニット44を取り外し、代わりに空気が入ったバッファ部47とバルブ42とを有するユニット48を接続し、図4に示された装置構成とした。ここでのバッファ部47は長さ約300mm、内径約8mmの金属製中空パイプであり、その上端に圧力計43が備えられているものである。バルブ50を少しずつ開けながら、徐々に圧力を上昇させて、最終的に3.0MPaになるまで昇圧した。この状態でバルブ42を閉め、ポンプ40の運転を停止し、ジョイント45の接続を解除し、バッファ部47内での圧縮空気による注入を継続した。注入後、下記[仕上げ]操作に進んだ。
【0048】
[微粒子セメント分散液の注入]
前記[アルカリ金属ケイ酸塩水溶液の注入]操作後に、ポンプ40を停めて、ジョイント45の接続を解除し、ホース49内の液をタンク41に戻した。三菱マテリアル株式会社製超微粒子セメント「アーマ#600」100重量部に、水65重量部を加えた微粒子セメント分散液を入れた別のタンク41にポンプ40を接続した。そして、前記[アルカリ金属ケイ酸塩水溶液の注入]と同様の操作で、注入状況を確認しながら微粒子セメント分散液を注入した。注入後、バルブ50を閉めてからポンプ40を停止し、下記[仕上げ]操作に進んだ。
【0049】
[仕上げ]
ナット36を緩めて注入プラグ20を注入孔12から外し、棒状部材30を回転させてアンカー31から外した。株式会社マノール製超速硬セメント「アーローQ」100重量部に、水25重量部を加えて練り混ぜたものを充填し、表面を平坦に削って仕上げた。その後、注入孔12付近のコンクリート10の表面に、前記アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を塗布した。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明で使用する注入プラグとその固定装置の一例の外観を示した図である。
【図2】図1の注入プラグを注入孔に固定した状態を示した断面模式図である。
【図3】注入装置全体の一例を示した模式図である。
【図4】注入装置全体の他の一例を示した模式図である。
【符号の説明】
【0051】
10 コンクリート
11 ひび割れ
12 注入孔
20 注入プラグ
30 棒状部材
31 アンカー
36 ナット
40 ポンプ
41 タンク
42,50 バルブ
43 圧力計
45,46 ジョイント
47 バッファ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ひび割れの発生したコンクリート表面に注入孔を穿孔し、該注入孔の内部にアンカーを固定し、固定された前記アンカーに棒状部材を固定し、該棒状部材に固定されることによって前記注入孔の開口部に密着させた注入プラグを用いて、ポンプで昇圧されたアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を圧入することを特徴とするコンクリートの補修方法。
【請求項2】
前記アンカーが内ネジを有するものであり、前記棒状部材が外ネジを有していて前記アンカーに螺着されるとともに前記注入プラグを貫通し、パッキンを介したナットを締め付けることによって前記注入プラグを前記開口部に密着させる請求項1記載のコンクリートの補修方法。
【請求項3】
前記注入プラグが緩衝材で覆われた封止部を有していて、該封止部を前記注入孔の開口部に挿入して密着させる請求項1又は2記載のコンクリートの補修方法。
【請求項4】
前記注入プラグ内において、前記棒状部材の外側に存在するクリアランスから前記注入孔内に前記アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を圧入する請求項1〜3のいずれか記載のコンクリートの補修方法。
【請求項5】
前記注入プラグがバルブとジョイントとを備える請求項1〜4のいずれか記載のコンクリートの補修方法。
【請求項6】
前記ポンプと前記注入プラグとの間に、圧力計及びバルブを有して両端にジョイントを備えるユニットが、前記圧力計が前記注入プラグ側になる向きに、着脱自在に接続されてなる請求項1〜5のいずれか記載のコンクリートの補修方法。
【請求項7】
前記ポンプと前記注入プラグとの間に圧力計が接続され、前記ポンプで昇圧された前記アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を圧入した後で、前記ポンプと前記圧力計との間のバルブを閉じ、その後の圧力の低下状況から前記アルカリ金属ケイ酸塩水溶液のひび割れへの浸入状況を判断する請求項1〜6のいずれか記載のコンクリートの補修方法。
【請求項8】
前記ポンプと前記注入プラグとの間に空気が入ったバッファ部が接続され、前記ポンプから前記アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を圧入した後で、前記ポンプと前記バッファ部との間の接続を解除して、前記バッファ部内の圧縮空気の圧力による注入を継続する請求項1〜7のいずれか記載のコンクリートの補修方法。
【請求項9】
前記アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を圧入する際の圧力が0.5〜10MPaである請求項1〜8のいずれか記載のコンクリートの補修方法。
【請求項10】
前記アルカリ金属ケイ酸塩水溶液が、当該ケイ酸塩の一部が酸で中和されているものである請求項1〜9のいずれか記載のコンクリートの補修方法。
【請求項11】
前記アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を圧入した後で、引き続き微粒子セメント分散液又は周期律表第2族に属する金属の塩が溶解した水溶液を圧入する請求項1〜10のいずれか記載のコンクリートの補修方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−322267(P2006−322267A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−148202(P2005−148202)
【出願日】平成17年5月20日(2005.5.20)
【出願人】(592199102)株式会社アストン (9)
【Fターム(参考)】