説明

コンクリート充填検知装置及びコンクリート充填装置

【課題】 簡単かつ安価な構成でありながら、トンネル内壁面と型枠との間の空隙にコンクリートを打設する際において、コンクリートの充填状態を精度良く、かつ信頼性高く検知することができるコンクリート充填検知装置及びコンクリート充填装置を提供する。
【解決手段】 本発明に係るコンクリート充填検知装置は、型枠20からコンクリート打設部側へ先端が突出して配設される筒状の中空部材100(120)と、中空部材先端(120A)側の外側に取り付けられるコンクリート充填センサ200と、を含んで構成され、前記筒状の中空部材100(120)の中空部分128を介して型枠20の内側と外側とが連通されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、打設の際にコンクリートの充填状態を検知する技術に関する。また、当該技術を利用してコンクリートを打設する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、トンネル覆工方法の一つとして、掘削されたトンネル内に移動自在に設置されるセントル(折り畳み自在な鋼製の移動式型枠)を用い、トンネル内壁面とセントルとの間の空隙に覆工コンクリートを打設し、覆工コンクリートの打設後にこの覆工コンクリートの打設箇所に隣接する箇所にセントルを順に移動し、当該箇所のトンネル内壁面とセントルとの間の空隙に覆工コンクリートを打設することとを繰り返すようにした方法が知られている(図5、図6等参照)。
【0003】
しかし、上述したようなトンネル覆工方法においては、トンネル内壁面と型枠(セントル)との間の空隙に覆工コンクリートを打設する際に、その空隙にコンクリートを良好に充填させることができないおそれがある。
【0004】
コンクリートの充填が不十分であると、コンクリートの厚みが不均衡となって強度低下を招くため、前記空隙に良好にコンクリートを充填してバラツキの少ない均一なコンクリートの厚みを確保できるようにすることが必須である。
【0005】
しかし、前記隙間は、トンネル通路側から見て型枠(セントル)の外周にあり、そこにコンクリートを充填することになるため、良好にコンクリートを充填できているか否かを直接的に目視等により確認することができないといった実情がある。
【0006】
なお、ある程度硬化が始まったコンクリートに対して、不十分な充填箇所に後からコンクリートを補充するように充填するようなことは、先に打設したコンクリートと、後から補充したコンクリートと、の間に境界面が形成されてしまって、亀裂、剥離などの起点となり易くなるため、同一箇所に対して複数回に亘ってコンクリートを打設することは避けるべきであり、一度の打設で前記空隙にコンクリートを良好に充填できるようにすることが必要とされる。
【0007】
このようなことから、例えば、特許文献1には、トンネルのアーチ部分の内壁面に沿って、コンクリート状態測定センサを配設しておいて、トンネル内壁面と型枠との間の空隙へのコンクリートの打設中にコンクリートの充填状態を測定できるようにしたものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−207021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載されている技術は、図5に示すように、比較的高価なコンクリート状態測定センサをトンネル内壁面に貼り付けるものであるため、覆工コンクリートが打設された後において当該センサを取り外すことができないため、コストが嵩むことになる。特に、トンネル長さが長い場合には、莫大なコストとなる。
【0010】
また、図6に例示するように、地山2側表面の割れや崩れなどを抑制するために、地山2側表面にはコンクリート3が比較的薄く吹き付けられている。そして、その吹付けコンクリート3のトンネル1側には、地山2側からトンネル1内への水の浸入などを抑制するために、防水シート4が配設されている。
【0011】
吹付けコンクリート3表面には地山2表面に対応して多少の凸凹が存在するため、コンクリート打設時に、前記空隙5に充填されるコンクリートがその凹凸に追従して充填されるように、またその際に防水シート4が破けたりしないように、また施工上の容易性などのために防水シート4は比較的大きな緩み(余裕、或いはたるみ、だぶつきなど)をもって配設されるのが実情である。
【0012】
このため、空隙5にコンクリートが充填されると、防水シート4には部分的に皺や折れ曲がりなどによって相互に重なり合う部分が生じるなどして、図5に示したようなコンクリート状態測定センサを利用する場合においては、断線、ショートなどのトラブルが生じるおそれがある。
【0013】
また、図6に示したように、コンクリート供給管30から空隙5へコンクリートの充填を行うが、トンネル長手方向のコンクリートの未打設部分(すなわち、図6平面に略直交する方向)から覗き穴などを介して作業員が目視により確認することなども行われている。
【0014】
しかしながら、かかる方法は、高所でかつ狭い場所での作業となるなど、作業環境が良いとは言えない状況での目視確認が必要であるため、作業員には負担が大きく、また目視確認には作業員の熟練も要求されるため、効率的なコンクリートの打設作業を行なえないといった実情がある。
【0015】
本発明は、かかる実情に鑑みなされたもので、簡単かつ安価な構成でありながら、トンネル内壁面と型枠との間の空隙にコンクリートを打設する際において、コンクリートの充填状態を精度良く、かつ信頼性高く検知することができるコンクリート充填検知装置及びコンクリート充填装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係るコンクリート充填検知装置は、
型枠からコンクリート打設部側へ先端が突出して配設される筒状の中空部材と、
中空部材先端側の外側に取り付けられるコンクリート充填センサと、
を含んで構成され、
前記筒状の中空部材の中空部分を介して型枠の内側と外側とが連通されることを特徴とする。
【0017】
なお、型枠の内側と外側との連通は、例えば空気穴122、側方開口部125、連通路126、中央開口部128などによりなされ、当該連通により、コンクリート充填に伴う空気抜き、ブリーディング水抜き、コンクリート充填の目視確認、更には型枠の外側からコンクリート充填などを行うことができることになる。
【0018】
本発明において、前記コンクリート充填センサとは周方向において異なる位置に、側方を向いて開口される側方開口部が形成され、該側方開口部は前記中空部分に連通されていることを特徴とすることができる。
【0019】
本発明において、前記側方開口部には前記中空部分に挿通されるコンクリート供給パイプが接続されることを特徴とすることができる。
【0020】
本発明において、前記側方開口部とは別に、前記中空部分に連通される空気通路が設けられることを特徴とすることができる。
【0021】
本発明において、前記筒状の中空部材の先端の型枠からコンクリート打設部側への突出量が調整可能であることを特徴とすることができる。
【0022】
本発明において、前記コンクリート充填センサの配線類が前記中空部分を通って外部へ導出されることを特徴とすることができる。
【0023】
前記型枠は、トンネルの覆工コンクリートの打設に用いられるアーチ状の型枠であることを特徴とすることができる。
【0024】
本発明に係るコンクリート充填装置は、
型枠からコンクリート打設部側へ先端が突出して配設される筒状の中空部材と、
中空部材先端側の外側に取り付けられるコンクリート充填センサと、
を含んで構成され、
前記コンクリート充填センサによりコンクリートの充填状態を確認しながら、前記筒状の中空部材の中空部分を介して型枠の外側からコンクリート打設部へコンクリートを充填することを特徴とする。
【0025】
本発明に係るコンクリート充填装置において、前記コンクリート充填センサとは周方向において異なる位置に、側方を向いて開口される側方開口部が形成され、該側方開口部は前記中空部分に連通され、前記側方開口部には前記中空部分に挿通されるコンクリート供給パイプが接続されることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、簡単かつ安価な構成でありながら、トンネル内壁面と型枠との間の空隙にコンクリートを打設する際において、コンクリートの充填状態を精度良く、かつ信頼性高く検知することができるコンクリート充填検知装置及びコンクリート充填装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係るトンネル内のコンクリート充填検知システムを概略的に示す断面図である。
【図2】同上実施の形態に係るコンクリート充填検知システムに用いられる検査ピンの構造を一部断面で示す部分断面図である。
【図3】同上実施の形態に係る検査ピンの先端部分の構造を拡大して一部断面で示す部分断面図である。
【図4】コンクリート供給管及び検査ピンの配設例の他の一例を示す図である。
【図5】従来のコンクリート状態測定センサをトンネルアーチ部に貼着して打設の際のコンクリート充填状態を検出するようにしたシステムの一例を説明するための図である。
【図6】従来のトンネル覆工コンクリートの打設方法の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る一実施の形態を、添付の図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施の形態により、本発明が限定されるものではない。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係るトンネル内の覆工コンクリート充填検知システム(装置)の利用状態を概略的に示す断面図であり、図2、図3は同充填検知システムに用いられる検査ピン100の構造を一部断面で示す断面図である。
【0030】
本実施の形態に係るコンクリート充填検知装置(システム)は、トンネル履行コンクリートの打設の際に利用されるが、図1に示すように、本実施の形態においても、従来同様、トンネル1が掘削されている地山2の表面には吹付けコンクリート3及び防水シート4が配設されている。
【0031】
そして、本実施の形態では、従来同様に、トンネル1内に移動自在に設置されるセントル(鋼製の移動式型枠)21を配設して、トンネル1の内壁面(防水シート4)と型枠21との間の空隙5に、コンクリート供給管30を介してコンクリートを充填するようになっている。
【0032】
ここで、本実施の形態では、図2に示すような検査ピン100が使用されている。
この検査ピン100は、図1に示すように、型枠20を貫通して、放射状に地山2側に突出され、トンネル内壁面(防水シート4)へほぼ到達するまで空隙5内を延伸されるように複数配設されている。
【0033】
より詳細には、検査ピン100は、図2に示したように、型枠20のフランジ21に挿し通される中空円筒状の基端側テーパ付円筒部110と、基端側テーパ付円筒部110の中空部分に挿通される先端側パイプ120と、を含んで構成されている。
【0034】
基端側テーパ付円筒部110は、フランジ21の内側開口に嵌挿されて、固定用ボルト22によりフランジ21に固定される。
【0035】
また、先端側パイプ120は、基端側テーパ付円筒部110の中空開口に嵌挿されて、固定用ボルト23により先端側パイプ120に固定される。
【0036】
従って、基端側テーパ付円筒部110は、その長手方向に関して、フランジ21延いては型枠20に対する相対位置が、固定用ボルト22の固定位置を変更することで、調整可能に構成されている。
【0037】
また、先端側パイプ120は、その長手方向に関して、基端側テーパ付円筒部110に対する相対位置が、固定用ボルト23の固定位置を変更することで、調整可能に構成されている。
【0038】
このため、型枠20からの先端側パイプ120の先端の突出量が調整可能であり、トンネル1に型枠20を設置した際に、固定用ボルト22、23の固定位置を変更することで、先端側パイプ120(検査ピン100)の先端が、トンネル内壁面(防水シート4)へ到達するまで空隙5内を延伸させることができるようになっている。
【0039】
なお、基端側テーパ付円筒部110とフランジ21との間、及び基端側テーパ付円筒部110と先端側パイプ120との間には、グリースなどの潤滑剤を適用することができ、これにより良好な密閉性と摺動性能を発揮させることができる。
【0040】
本実施の形態に係る検査パイプ100の先端側パイプ120の先端部は、図3に示すように、先端側が細い先端部120Aと、先端部120の基端側に取り付けられる中空パイプ部120Bと、を含んで構成されている。なお、中空パイプ部120Bは、本発明に係る筒状の中空部材に相当している。筒状の断面形状は円形に限定されるものではなく、多角形形状や楕円形状などとすることができる。
【0041】
そして、先端部120Aの先端面121には、空気穴122及びボルト穴123が設けられていると共に、コンクリート充填センサ200を収容するための凹部であるセンサ収容部124が刻設されている(図3のa矢視図等参照)。
【0042】
空気穴122は、本発明に係る空気通路として機能するもので、先端部120Aを貫通して中空パイプ部120Bの中央開口部128(本発明に係る筒状の中空部材の中空部分に相当する)に連通されている。なお、空気穴122は、空隙5へのコンクリートの充填に伴う空隙5からの空気の排出口として機能する。すなわち、空隙5の容積変化に対応するために、型枠20の外側(空隙5側)と内側(トンネル1側)とを連通する連通穴である。
【0043】
また、ボルト穴123には、図3の(A)に示すように、先端面121から突出するようにボルト(六角ボルト、六角穴付きボルトなど)123Aが取り付けられる。このボルト123Aの突出は、空気穴122が防水シート4により閉塞されてしまうようなおそれを抑制することができ、空気穴122を確実に空気抜き穴として機能させることに寄与するものである。
【0044】
ここで、センサ収容部124には、近傍にコンクリートが充填されたか否かなどを検出することができるコンクリート充填センサ200が配設されるが、コンクリート充填センサ200としては、例えば、振動デバイスを利用したコンクリート充填検知システムを利用することができる。
【0045】
この種のデバイスとしては、曙ブレーキ工業製 コンクリート充填検知システム「ジューテンダー CIFD−3」などを利用することができる(特開2003−194615号公報など参照)。
【0046】
このものは、センサ近傍に存在するものが、空気(コンクリート未充填部)、不完全な充填(ブリーディング水など)、コンクリート(モルタル)であるかを明確に区別して検知することができるようになっている。なお、ブリーディングとは、コンクリート打設後に比重の大きい材料(砂やセメント)は下に沈み、軽い水(上澄み)が表面に上がって来る現象で、軽い水(上澄み)をブリーディング水と称している。
【0047】
また、コンクリート充填センサ200としては、ひずみゲージ式変換器を利用したものを採用することができる。例えば、株式会社東京測器研究所製 コンクリート充填感知センサ(型番:KZA−1A/−1B/−1C)などを利用することができる。
【0048】
このものは、フレッシュコンクリートにセンサが接触状態で、センサの電極に電圧を印加してフレッシュコンクリート内部の自由水に存在するイオンの移動に起因する電荷を蓄積し、その後電圧印加を停止したときの放電の過程を残留電圧を測定することで、フレッシュコンクリート、ブリーディング水、及び空気などの存在を区別して検知することができるようになっている。
【0049】
なお、コンクリート充填センサ200の配線類は、先端部120Aを貫通して中空パイプ部120Bの中央開口部128に連通されるケーブル用穴127を介して、断線のおそれ等なく安全に外部(測定装置など)へ導かれるようになっている。
【0050】
このように、本実施の形態によれば、空隙5を貫通して地山2(防水シート4など)へ到達するまで伸長される検査パイプ100の先端部120Aのセンサ収容部124にコンクリート充填センサ200を取り付ける構成としたので、空間などが生じやすい空隙5の最外周側(防水シート4付近)へ良好にコンクリートを充填できたか否かを正確に検知することができる。
【0051】
また、本実施の形態に係る検査パイプ100の先端部120Aのセンサ収容部124の反対側には、側方に向けて開口する側方開口部125が設けられると共に、この側方開口部125には、中空パイプ部120Bの中央開口部128に連通される連通路126が接続されている。
【0052】
このため、当該側方開口部125、連通路126、中央開口部128を介して、不要物であるブリーディング水などを排出することができると共に、充填されたコンクリートがここから排出されてくることを確認することで、目視によってもコンクリートの充填を確認することができる。なお、空気穴122を介しても、同様の確認を行うことができるものである。
【0053】
なお、ブリーディング水が排出された後は、連通路126に、外周にネジ切りされたメクラ蓋を螺合することでコンクリート等の必要以上の流出を抑制するようにすることなども可能である。
【0054】
更に、本実施の形態では、前記連通路126に、図3に示すようなコンクリート供給パイプ300を螺合させて接続させることができる。
【0055】
このコンクリート供給パイプ300の基端側には、コンクリート供給ユニット等からのコンクリート供給ホースなどを接続することで、前記側方開口部125を介して、空間などが生じやすい空隙5の最外周側(防水シート4付近)へコンクリートを充填することも可能となっている。
【0056】
すなわち、例えば、コンクリート充填センサ200によりコンクリートの充填が確認できない場合には、そのコンクリート充填センサ200近傍には、空間かブリーディング水が存在するため、側方開口部125を介してコンクリートを供給することで、空気やブリーディン水を空気穴122などを介して排出しながら、コンクリートを充填することが可能となる。
【0057】
このような場合には、側方開口部125近傍に、コンクリートの供給を許可し逆方向への流れを規制する逆止弁(一方向弁)を配設することで、逆流等を防止して確実に所定圧力をかけてコンクリートを空隙5へ充填することができる。
【0058】
なお、空気穴122は、円形状に限定されるものではなく、例えば楕円形状やスリット形状などとしてコンクリートが目詰まりし難い形状とすることもできる。
【0059】
このように、本実施の形態では、トンネル内壁面と型枠20との間の空隙5へのコンクリート打設の際に、検査ピン100の先端に取り付けたコンクリート充填センサ200によってコンクリートの充填状態をリアルタイムで確認しながらコンクリートを打設することができるため、従来のように目視確認をしなくて良いため、少ない作業員によって信頼性高く確実にコンクリートを空隙へ充填することができる。
【0060】
そして、この検査ピン100は、引き抜いて再利用することができるため、低コストな施工を実現可能にするものである。なお、検査ピン100の基端側テーパ付円筒部110の外周にはテーパが形成されているため、引き抜きが容易となっている。
【0061】
また、コンクリート充填センサ200にトラブルなどが発生した場合など、状況に応じて、側方開口部125(或いは空気穴122)、連通路126、中央開口部128を介して流出する物質を観察することで、目視によっても、コンクリートの充填状態をリアルタイムで確認しながらコンクリートを打設することができるため、状況変化に迅速に対応でき、使い勝手に優れたコンクリートの充填システムを提供することができる。
【0062】
更に、本実施の形態によれば、側方開口部125、連通路126、コンクリート供給パイプ300を介してコンクリートを充填することも可能である。
【0063】
このため、本実施の形態によれば、ある程度充填が進んでもコンクリート充填センサ200によって空間があると検知された場合には、目視により確認することもできるうえに、検査ピン100の側方開口部125等を介して直ちにコンクリートを該当箇所に充填することができるため、コンクリートの打ち直しなどの非効率な作業を回避することができるため、施工コストの増大、施工期間の長期化などが抑制され、信頼性の高い施工を提供することができる。
【0064】
すなわち、本実施の形態によれば、コンクリート打設中に十分にコンクリートを充填できないような状況となった場合などには、そのことを早期に発見することができると共に、コンクリートが硬化してしまわないうちに早期に対応策を施すことが可能であり、以ってコンクリート構造物としての品質の向上等に寄与することができるものである。
【0065】
なお、本実施の形態では、側方開口部125をコンクリート充填センサ200の背面側に設けているので、側方開口部125からコンクリートを供給した場合でも、側方開口部125から供給されたコンクリートが直接的にコンクリート充填センサ200に触れてしまうことによって、未だ空隙5への充填が行われていない場合でも、充填されたと誤検出されてしまうようなおそれを回避することができるようになっている。
例えば、コンクリート充填センサ200を上向きに、側方開口部125を下向きに配設するようなことも可能である。なお、
【0066】
ただし、側方開口部125の配設位置は、コンクリート充填センサ200の背面に限定されるものではなく、側方開口部125をコンクリート充填センサ200とは周方向において異なる位置に設けることも可能である。
【0067】
ところで、本実施の形態に係る検査ピン100を用いる場合には、図1に示したコンクリート供給管30を省略して、検査ピン100からコンクリートを供給することも可能である。
【0068】
なお、本実施の形態においても、トンネル1の最上部などへのコンクリートの充填を確実なものとするために、トンネル1の長手方向において、図1における断面とは異なる、例えば図4のように各要素を配設することもできるものである。
【0069】
また、本実施の形態では、トンネル内の覆工コンクリートの打設を代表的に説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、他のコンクリート構造物のコンクリートの打設においても適用可能である。
【0070】
以上で説明した一実施の形態は、本発明を説明するための例示に過ぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることは可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 トンネル
2 地山
3 吹付けコンクリート
4 防水シート
5 空隙
20 型枠(セントル)
21 フランジ
22 固定用ボルト
23 固定用ボルト
30 コンクリート供給管
100 検査ピン
110 基端側テーパ付円筒部
120 先端側パイプ
120A 先端部
120B 中空パイプ部
121 先端面
122 空気穴
123 ボルト穴
123A 六角ボルト等
124 センサ収容部
125 側方開口部
126 連通路
127 ケーブル用穴
128 中央開口部
200 コンクリート充填センサ
300 コンクリート供給パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
型枠からコンクリート打設部側へ先端が突出して配設される筒状の中空部材と、
中空部材先端側の外側に取り付けられるコンクリート充填センサと、
を含んで構成され、
前記筒状の中空部材の中空部分を介して型枠の内側と外側とが連通されることを特徴とするコンクリート充填検知装置。
【請求項2】
前記コンクリート充填センサとは周方向において異なる位置に、側方を向いて開口される側方開口部が形成され、該側方開口部は前記中空部分に連通されていることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート充填検知装置。
【請求項3】
前記側方開口部には前記中空部分に挿通されるコンクリート供給パイプが接続されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンクリート充填検知装置。
【請求項4】
前記側方開口部とは別に、前記中空部分に連通される空気通路が設けられることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1つに記載のコンクリート充填検知装置。
【請求項5】
前記筒状の中空部材の先端の型枠からコンクリート打設部側への突出量が調整可能であることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1つに記載のコンクリート充填検知装置。
【請求項6】
前記コンクリート充填センサの配線類が前記中空部分を通って外部へ導出されることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1つに記載のコンクリート充填検知装置。
【請求項7】
前記型枠は、トンネルの覆工コンクリートの打設に用いられるアーチ状の型枠であることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか1つに記載のコンクリート充填検知装置。
【請求項8】
型枠からコンクリート打設部側へ先端が突出して配設される筒状の中空部材と、
中空部材先端側の外側に取り付けられるコンクリート充填センサと、
を含んで構成され、
前記コンクリート充填センサによりコンクリートの充填状態を確認しながら、前記筒状の中空部材の中空部分を介して型枠の外側からコンクリート打設部へコンクリートを充填することを特徴とするコンクリート充填装置。
【請求項9】
前記コンクリート充填センサとは周方向において異なる位置に、側方を向いて開口される側方開口部が形成され、該側方開口部は前記中空部分に連通され、前記側方開口部には前記中空部分に挿通されるコンクリート供給パイプが接続されることを特徴とする請求項8に記載のコンクリート充填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−7351(P2012−7351A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143298(P2010−143298)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000231198)日本国土開発株式会社 (51)
【Fターム(参考)】