説明

コンクリート製枠体を用いた雨水貯留装置

【課題】コンクリート製枠体が遮水シートの膨張を確実に阻止するとともに、コンクリート製枠体を構成するコンクリート製枠材を互いに密着した状態で効率良く搬送し、またコンクリート製枠体の組立作業性を向上する。
【解決手段】貯留材11bを遮水シート11aで包んで雨水を貯留可能に形成された雨水貯留部11が地上に設置され、雨水貯留部11を収容するコンクリート製枠体12がコンクリート製枠材13を井桁状に積上げるとともに互いに連結して形成される。集められた雨水が流入管19により雨水貯留部11に導かれ、雨水の利用先に給水するために給水管23が雨水貯留部11に接続される。雨水貯留部11から溢れる雨水を排出するためにオーバフロー管26が雨水貯留部11の上部に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家屋やビルディング等の建物の樋を流下する雨水を集めて貯留する装置に関する。更に詳しくは、遮水シートの膨張をコンクリート製枠体により阻止する雨水貯留装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の雨水貯留槽として、地下に埋設されて水を貯留可能に構成された地下貯留槽が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この地下貯留槽では、内部貯留槽が複数の滞水材(本明細書では、貯留材という)を組合せてなる滞水材(貯留材)の集合体を第1遮水シートにより被覆して構成され、内部貯留槽の外側に土圧吸収用板材が設けられ、更に土圧吸収用板材が第2遮水シートにより被覆される。このように構成された地下貯留槽では、周囲からの土圧が第2遮水シートに加わり、土圧吸収用板材がその土圧を吸収し、第1遮水シートに土圧が直接加わることを防止する。この結果、第2遮水シートが土圧により破損したとしても第1遮水シートが破損することを回避して、内部貯留槽に貯留された水の外部への漏れを有効に防止できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開 WO2006/001139号公報(請求項1、段落[0006])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の特許文献1に示された地下貯水槽では、土が貯留槽内の水圧による遮水シートの膨張を阻止する。しかし、この貯留槽を地上に設置しようとすると、合成ゴム系や剛性樹脂系などの安価な遮水シートを用いた貯留槽では、この遮水シートの膨張を阻止することができない問題点があった。
【0005】
本発明の第1の目的は、コンクリート製枠体が遮水シートの膨張を確実に阻止することができる、コンクリート製枠体を用いた雨水貯留装置を提供することにある。本発明の第2の目的は、コンクリート製枠体を構成するコンクリート製枠材を互いに密着した状態で効率良く搬送することができ、またコンクリート製枠体の組立作業性を向上できる、コンクリート製枠体を用いた雨水貯留装置を提供することにある。本発明の第3の目的は、下側貯留部内の水位が低下しても、給水圧力だけで上側貯留部内の雨水を供給先に供給できる、コンクリート製枠体を用いた雨水貯留装置を提供することにある。本発明の第4の目的は、装置上面を緑化できるとともに、覆土による上側貯留部の膨張を阻止できる、コンクリート製枠体を用いた雨水貯留装置を提供することにある。本発明の第5の目的は、下側貯留部に作用する衝撃を吸収できるとともに、下側貯留部からコンクリート製枠体に作用する圧力を緩和でき、また寒冷期における上側貯留部及び下側貯留部内の雨水の凍結を防止できる、コンクリート製枠体を用いた雨水貯留装置を提供することにある。本発明の第6の目的は、安価な廃材の使用量を増やし、高価な貯留材を必要最低限に抑制することにより、製造コストを低減できる、コンクリート製枠体を用いた雨水貯留装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点は、図1及び図3に示すように、地上に設置されるか或いは下部が地中に埋設され上部が地上に突出するように設置され貯留材11bを遮水シート11aで包んで雨水を貯留可能に形成された雨水貯留部11と、雨水貯留部11を収容しコンクリート製枠材13を井桁状に複数段積上げるとともに互いに連結して形成されたコンクリート製枠体12と、集められた雨水を雨水貯留部11に導く流入管19と、雨水の利用先に給水するために雨水貯留部11に接続された給水管23と、雨水貯留部11から溢れる雨水を排出するために雨水貯留部11の上部に接続されたオーバフロー管26とを備えるコンクリート製枠体を用いた雨水貯留装置である。
【0007】
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に図3及び図4に示すように、コンクリート製枠材12が、両端部の上面及び下面に凹部21a,22aがそれぞれ形成された枠材本体21,22を有し、直交する枠材本体21,22の凹部21a,22aがそれぞれ係合することによりこれらの直交する枠材本体21,22が互いに連結されることを特徴とする。
【0008】
本発明の第3の観点は、第2の観点に基づく発明であって、更に図3及び図4に示すように、コンクリート製枠材13は、高さが枠材本体21,22の高さの1/2に形成され両端部の上面に凹部14a,14aがそれぞれ形成された枠下端部材14と、高さが枠材本体21,22の高さの1/2に形成され両端部の下面に凹部15a,15aがそれぞれ形成された枠上端部材15とを更に有することを特徴とする。
【0009】
本発明の第4の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に図5に示すように、地上に設置されるか或いは下部が地中に埋設され上部が地上に突出するように設置され貯留材51bを遮水シート51aで包んで雨水を貯留可能に形成された下側貯留部51と、下側貯留部51より小さく形成され下側貯留部51の上面に設置され雨水を貯留可能な上側貯留部52とを有し、下側貯留部51と上側貯留部52とが連通管53により連通接続され、下側貯留部51に貯留された雨水を上側貯留部52に汲み上げるポンプ54が連通管53の途中に設けられ、流入管19が上側貯留部52に連通接続され、給水管23が上側貯留部52に連通接続され、オーバフロー管66が、上側貯留部52から溢れる雨水を下側貯留部51に導く第1オーバフロー管66aと、下側貯留部51から溢れる雨水を排出する第2オーバフロー管66bとを有することを特徴とする。
【0010】
本発明の第5の観点は、第1又は第4の観点に基づく発明であって、更に図1に示すように、露出する雨水貯留部11の上面或いは露出する上側貯留部及び下側貯留部の上面を土18で覆うことにより、上側貯留部52を形成する遮水シート52aが水圧によって膨張するのを阻止するとともに、上記覆土18に植物を植えることが可能に構成されたことを特徴とする。
【0011】
本発明の第6の観点は、第1又は第4の観点に基づく発明であって、更に図1に示すように、雨水貯留部11又は下側貯留部の下面に緩衝機能及び断熱機能を有する下部保護板16が設けられ、コンクリート製枠体12と雨水貯留部11又は下側貯留部との間に緩衝機能及び断熱機能を有する側部保護板17が設けられたことを特徴とする。
【0012】
本発明の第7の観点は、第1又は第4の観点に基づく発明であって、更に図1及び図2に示すように、雨水貯留部11内或いは下側貯留部及び上側貯留部内のうち外周部に貯留材11bが充填され、この貯留材11bにより囲まれた内部に廃材11cが充填されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の観点の装置では、雨水貯留部が強固なコンクリート製枠体に収容されるので、雨水貯留部の遮水シートがこの貯留部内の雨水の水圧により膨張しようとしても、コンクリート製枠体がこの遮水シートの膨張を確実に阻止することができる。また雨水貯留部の合成ゴム系や剛性樹脂系などの安価な遮水シートが強固なコンクリート製枠体に収容されるので、遮水シートが損傷することがなく、雨水貯留部に雨水を確実に貯留できるとともに、雨水貯留装置の製造コストを低減できる。また雨水貯留部を収容するコンクリート製枠体がコンクリート製枠材を井桁状に複数段積上げるとともに互いに連結して形成されるので、コンクリート製枠体をボルトを用いずに容易に組立てることができる。この結果、コンクリート製枠体の組立作業性を向上できる。更にコンクリート製枠材が細長い板状であるため、コンクリート製枠材を互いに密着した状態でトラックに積載することができる。この結果、コンクリート製枠材を工場から設置現場へ効率良く搬送することができる。
【0014】
本発明の第2の観点の装置では、コンクリート製枠材のうち直交する枠材本体の凹部がそれぞれ係合することによりこれらの直交する枠材本体が互いに連結されるので、コンクリート製枠材を井桁状に強固に連結することができる。
【0015】
本発明の第3の観点の装置では、コンクリート製枠材が枠材本体に加えて枠下端部材及び枠上端部材を更に有するので、コンクリート製枠体の下面及び上面を平らにすることができる。この結果、コンクリート製枠体の下面全てを地面に密着して設置できるとともに、コンクリート製枠体の見栄えを向上できる。
【0016】
本発明の第4の観点の装置では、上側貯留部が地面より上方に位置し、下側貯留部内の雨水が上側貯留部にポンプで汲み上げられて、上側貯留部に常に所定量の雨水が貯留されているので、下側貯留部内の水位が低下しても、上側貯留部内の雨水の持つ位置エネルギに起因する給水圧力により、上側貯留部内の雨水を給水管から供給先に供給できる。
【0017】
本発明の第5の観点の装置では、露出する雨水貯留部の上面或いは露出する上側貯留部及び下側貯留部の上面を土で覆うことにより、上側貯留部を形成する遮水シートが水圧によって膨張するのを阻止することができる。また上記覆土に植物を植えることにより、雨水貯留装置の上面を緑化できるので、地球環境の改善に貢献できる。
【0018】
本発明の第6の観点の装置では、下部保護材及び側部保護材により、下側貯留部に作用する衝撃を吸収できるとともに、下側貯留部からコンクリート製枠体に作用する圧力を緩和できる。また下部保護材、側部保護材及び覆土により、寒冷期における下側貯留部及び上側貯留部内の雨水の凍結を防止できる。
【0019】
本発明の第7の観点の装置では、雨水貯留部内のうち外周部に貯留材を充填し、この貯留材に囲まれた内部に廃材を充填したので、安価な廃材の使用量を増やし、高価な貯留材の使用量を必要最低限に抑制することができる。この結果、雨水貯留装置の製造コストを更に低減できる。また下側貯留部内のうち外周部に貯留材を充填し、この貯留材により囲まれた内部に廃材を充填するとともに、上側貯留部内のうち外周部に貯留材を充填し、この貯留材により囲まれた内部に廃材を充填しても、上記と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明第1実施形態の雨水貯留装置の縦断面構成図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】その装置のコンクリート製枠体の斜視図である。
【図4】そのコンクリート製枠体を組立てる直前の状態を示す分解斜視図である。
【図5】本発明第2実施形態の雨水貯留装置の縦断面構成図である。
【図6】図5のB−B線断面図である。
【図7】図5のC−C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施の形態>
図1に示すように、雨水貯留装置10は、地上に設置された雨水貯留部11と、この雨水貯留部11を収容するコンクリート製枠体12を備える。雨水貯留部11は家屋やビルディング等の建物の屋根又は屋上に落下した雨水を内部に貯留可能に構成される。雨水貯留部11は遮水シート11a内に複数の貯留材11b及び複数の廃材11cを充填することにより形成される。遮水シート11aは合成ゴム系や合成樹脂系等の遮水性を有するシートであって、その両面には通常保護用の不織布(図示せず)が重ね合せられる。また貯留材11bは金型により角錐台形状に成形されたプラスチックの成型体であり、廃材11cは廃パイプである。貯留材11bの上面及び下面は開放されかつ貯留材11bの側面には複数の孔(図示せず)が形成される。また廃パイプ11cは直径の異なる複数のポリ塩化ビニル(PVC)パイプやポリプロピレン(PP)パイプ等の樹脂製パイプを所定の長さに切断して形成される。貯留材11bは雨水貯留部11内の外周部に充填され、廃パイプ11cは貯留材11bにより囲まれた内部に充填される。具体的には、複数の貯留材11bを四角形の筒状に配設しかつ積上げて角筒体11dを形成し、この角筒体11dにより囲まれた内部に複数の廃パイプ11cが一定の方向に並べて充填される。なお、廃材としては、廃パイプ以外にプラスチック製のコップや椀等の廃容器を用いてもよい。
【0022】
上記雨水貯留部11は長方形の筒状に形成されたコンクリート製枠体12に収容される。コンクリート製枠体12はコンクリート製枠材13を井桁状に複数段積上げるとともに互いに連結して形成される(図3及び図4)。図4に詳しく示すように、コンクリート製枠材13は、両端部の上面及び下面に凹部21a,22aがそれぞれ形成された第1及び第2枠材本体21,22と、高さH1が第1及び第2枠材本体21,22の高さH0の1/2に形成され両端部の上面に凹部14aがそれぞれ形成された枠下端部材14と、高さH2が第1及び第2枠材本体21,22の高さH0の1/2に形成され両端部の下面に凹部15aがそれぞれ形成された枠上端部材15とを有する。第1枠材本体21はコンクリート製枠体12の横方向に延びて設けられた部材であり、第2枠材本体22はコンクリート製枠体12の縦方向に延びて設けられた部材である。第1枠材本体21は第2枠材本体22より長く形成される。また第1枠材本体21及び第2枠材本体22は同一の高さH0に形成され、第1枠材本体21及び第2枠材本体22の両端部の上面及び下面にそれぞれ形成された凹部21a,22aの深さは第1枠材本体21及び第2枠材本体22の高さH0の1/4に形成される。また枠下端部材14は第2枠材本体22と同一長さに形成され、枠下端部材14の両端部の上面に形成された凹部14aの深さは枠下端部材14の高さH1の1/2、即ち第1枠材本体21の高さH0の1/4に形成される。更に枠上端部材15は第1枠材本体21と同一長さに形成され、枠上端部材15の両端部の下面に形成された凹部15aの深さは枠上端部材15の高さH2の1/2、即ち第2枠材本体22の高さH0の1/4に形成される。
【0023】
第1枠材本体21、第2枠材本体22、枠下端部材14及び枠上端部材15の厚さはそれぞれ同一に形成され、上記凹部21a,22a,14a,15aの幅は、第1枠材本体21、第2枠材本体22、枠下端部材14及び枠上端部材15の厚さより僅かに大きく形成される。例えば、第1枠材本体21の長さ、高さ及び厚さは4500mm、440mm及び150mmに形成され、第2枠材本体22の長さ、高さ及び厚さは3500mm、440mm及び150mmに形成される。また枠下端部材14の長さ、高さ及び厚さは3500mm、220mm及び150mmに形成され、枠上端部材15の長さ、高さ及び厚さは4500mm、220mm及び150mmに形成される。更に第1枠材本体21、第2枠材本体22、枠下端部材14及び枠上端部材15の各凹部21a,22a,14a,15aの深さ及び幅は110mm及び155mmにそれぞれ形成される。第1枠材本体21、第2枠材本体22、枠下端部材14及び枠上端部材15は、現場で組立を行うために予め工場で製造されたコンクリート部品、即ちプレキャストコンクリート部品である。なお、この実施の形態では、コンクリート製枠体を長方形の筒状に形成したが、コンクリート製枠体を正方形の筒状に形成してもよい。この場合、第1枠材本体と第2枠材本体とを同一形状にすることができるとともに、枠下端部材と枠上端部材とを同一形状にすることができるので、プレキャストコンクリート部品の点数を低減することができる。
【0024】
上記コンクリート製枠体12は地上に設置される。また雨水貯留部11の下面には緩衝機能及び断熱機能を有する下部保護板16が設けられ、コンクリート製枠体12と雨水貯留部11との間には緩衝機能及び断熱機能を有する側部保護板17が設けられる。下部保護板16及び側部保護板17は発泡スチロールや発泡塩化ビニル等により形成される。露出する雨水貯留部11の上面は土18で覆われ、この覆土18には芝生等の植物(図示せず)が植えられる。更に家屋やビルディング等の建物の屋根又は屋上に落下した雨水は樋(図示せず)などに集められ、この雨水は流入管19を通って雨水貯留部11の上部に導かれる。即ち、流入管19の基端は樋に接続され、流入管19の先端はコンクリート製枠体12及び側部保護板17を貫通して雨水貯留部11の上面から雨水貯留部11内に挿入される。
【0025】
雨水貯留部11の下部には給水管23の基端が接続され、この給水管23の先端には蛇口24が設けられる。即ち、給水管23の基端は雨水貯留部11の各側面の下部に接続され、給水管23の先端は覆土18、側部保護板17及びコンクリート製枠体12を貫通して枠体12の外方に突出し、この突出端に蛇口24が設けられる。給水管23はこの実施の形態では4本設けられる(図3)。また雨水貯留部11の上部にはオーバフロー管26の基端が接続され、オーバフロー管26の先端は下方に曲げられて下向きに形成される。このオーバフロー管26は雨水貯留部11から溢れる雨水を排出するために設けられる。なお、流入管19、給水管23及びオーバフロー管26の雨水貯留部11への挿入部はシール部材(図示せず)によりシールされて水密性が保たれる。また流入管19、給水管23及びオーバフロー管26は雨水貯留部11の貯留材11bの内部に挿入するように構成される。これは各配管の施工を容易にするためである。
【0026】
このように構成された雨水貯留装置10の製造方法を説明する。予め細長い板状のコンクリート製枠材13を工場で製造しておき、このコンクリート製枠材13をトラックに積載して設置現場に搬送する。このときコンクリート製枠材13を互いに密着した状態でトラックに積載することができるので、コンクリート製枠材13を工場から設置現場へ効率良く搬送することができる。設置現場に到着すると、先ず地面27を砂利や砂で締め固めた後、コンクリート製枠体12を組立てる(図3及び図4)。具体的には、図4に示すように、2本の枠下端部材14,14を所定の間隔をあけて地面27に配置し、2本の第1枠材本体21,21を上記2本の枠下端部材14,14に掛け渡して井桁状に組む。このとき一方の第1枠材本体21の両端部下面の凹部21a,21aを2本の枠下端部材14,14の一方の端部上面の凹部14a,14aに係合させ、他方の第1枠材本体21の両端部下面の凹部21a,21aを2本の枠下端部材14,14の他方の端部上面の凹部14a,14aに係合させる。これにより2本の第1枠材本体21,21と2本の枠下端部材14,14とを井桁状に強固に組むことができるとともに、2本の第1枠材本体21,21と2本の枠下端部材14,14の下面が同一水平面に位置するので、コンクリート製枠体12の下面全てを地面に密着して設置できる。次いで2本の第2枠材本体22,22を上記2本の第1枠材本体21,21に掛け渡して井桁状に組む。このとき一方の第2枠材本体22の両端部下面の凹部22a,22aを2本の第1枠材本体21,21の一方の端部上面の凹部21a,21aに係合させ、他方の第2枠材本体22の両端部下面の凹部22a,22aを2本の第1枠材本体21,21の他方の端部上面の凹部21a,21aに係合させる。これにより2本の第2枠材本体22,22と2本の第1枠材本体21,21とを井桁状に強固に組むことができる。この作業を繰返して第1枠材本体21及び第2枠材本体22をそれぞれ4段積上げるとともに互いに連結する。このとき積上げられた第1枠材本体21の間に隙間が発生せず、また積上げられた第2枠材本体22の間に隙間が発生しない。更に2本の枠上端部材15,15を2本の第2枠材本体22,22に掛け渡して井桁状に組む。このとき一方の枠上端部材15の両端部下面の凹部15a,15aを2本の第2枠材本体22,22の一方の端部上面の凹部22a,22aに係合させ、他方の枠上端部材15の両端部下面の凹部15a,15aを2本の第2枠材本体22,22の他方の端部上面の凹部22a,22aに係合させる。これにより2本の枠上端部材15,15と2本の第2枠材本体22,22とを井桁状に強固に組むことができるとともに、2本の第2枠材本体22,22と2本の枠上端部材15,15の上面が同一水平面に位置するので、コンクリート製枠体12の見栄えを向上できる。このようにコンクリート製枠体12をボルトを用いずに容易に組立てることができるので(図3)、コンクリート製枠体12の組立作業性を向上できる。
【0027】
この状態でコンクリート製枠体12の内部の地面に下部保護板16を敷き、コンクリート製枠体12の内側面に側部保護板17を沿わせる。このときコンクリート製枠体12と側部保護板17との間に砂を充填する。これは、コンクリート製枠体12と側部保護板17との間にできる限り隙間が発生しないようにするためである。次いで雨水貯留部11用の遮水シート11aを、その中央部が下部保護板16の上面及び側部保護板17の内面を覆いかつその外周部がコンクリート製枠体12の外周面を覆うように広げた後、この遮水シート11a上に側部保護板17に沿うように複数の貯留材11bを配設して角筒体11dを形成し、この角筒体11dにより囲まれた内部に廃パイプ11cを一定の方向に並べて充填する。そして上記遮水シート11aの外周部を貯留材11b及び廃パイプ11cの上面に載せて重ね合せることにより、貯留材11b及び廃パイプ11cを遮水シート11aにより包み込む。このようにして雨水貯留部11がコンクリート製枠体12内に設置される。雨水貯留部11の合成ゴム系や剛性樹脂系などの安価な遮水シート11aが強固なコンクリート製枠体12に収容されるので、遮水シート11aが損傷することなく、雨水貯留部11に雨水を確実に貯留できるとともに、雨水貯留装置10の製造コストを低減できる。また雨水貯留部11内において、高価な貯留材11bの使用量を少なくし、安価な廃パイプ11cの使用量を多くしたので、雨水貯留装置10の製造コストを更に低減できる。
【0028】
次に流入管19、給水管23及びオーバフロー管26を雨水貯留部11に配索する。このときこれらの管を挿通する孔がコンクリート製枠体12や側部保護板17に予め形成しておけば、施工現場での配管作業を容易に行うことができる。更に露出する雨水貯留部11の上面を土18で覆い、この覆土18に植物を植える。これにより雨水貯留装置10の上面を緑化できるので、地球環境の改善に貢献できる。なお、下部保護板16及び側部保護板17により、雨水貯留部11に作用する衝撃を吸収できるとともに、雨水貯留部11からコンクリート製枠体12に作用する圧力を緩和できる。また、下部保護板16、側部保護板17及び覆土18により、寒冷期における雨水貯留部11内の雨水の凍結を防止できる。
【0029】
このように製造された雨水貯留装置10の動作を説明する。雨が降って、家屋やビルディング等の建物の屋根や屋上に落下した雨水は樋及び流入管19を通って雨水貯留部11に貯留される。このとき雨水貯留部11の遮水シート11aがこの貯留部11内の雨水の水圧により膨張しようとするけれども、コンクリート製枠体12がこの遮水シート11aの膨張を確実に阻止することができる。一方、雨水貯留部11に貯留された雨水を庭の植木などへの散布に利用する場合には、給水管23の蛇口24にホース(図示せず)を接続し、蛇口24のハンドルを操作して給水管23を開く。これにより雨水貯留部11内の雨水のうち給水管23より上方に位置する雨水の持つ位置エネルギに起因する給水圧力により、雨水貯留部11内の雨水を給水管23からホースを通って植木に散布することができる。
【0030】
<第2の実施の形態>
図5〜図7は本発明の第2の実施の形態を示す。図5〜図7において図1〜図4と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、雨水貯留装置50は、下部が地中に埋設され上部が地上に突出するように設置された下側貯留部51と、下側貯留部51より小さく形成され下側貯留部51の上面に設置された上側貯留部52とを備える。下側貯留部51及び上側貯留部52は家屋やビルディング等の建物の屋根又は屋上に落下した雨水を内部に貯留可能に構成される。下側貯留部51は、第1の実施の形態の雨水貯留部と同様に、遮水シート51a内に複数の貯留材51b及び複数の廃材51cを充填することにより形成される。上側貯留部52も、第1の実施の形態の雨水貯留部と同様に、遮水シート52a内に複数の貯留材52b及び複数の廃パイプ52cを充填することにより形成される。なお、下側貯留部51と上側貯留部52の容積比は(7:3)〜(10:2)の範囲に設定することが好ましい。上記容積比を(7:3)〜(10:2)の範囲に限定したのは、(7:3)(7/3=約2.3)未満では、露出する上側貯留部52及び下側貯留部51の上面に土盛りをする際に、土18が流れ易くなって植物を植えるためのマウンドを形成し難くなり、(10:2)(10/2=5)を越えると下側貯留部51内の雨水を頻繁に上側貯留部52に汲み上げなければならず、また上側貯留部52が小さくなり過ぎて全体の貯水量が減少してしまうからである。
【0031】
上記下側貯留部51の全部及び上側貯留部52の下部は、第1の実施の形態のコンクリート製枠体と同様にして組立てられたコンクリート製枠体12に収容される。このコンクリート製枠体12は下部が地中に埋設され上部が地上に突出するように設置される。また下側貯留部51の下面には緩衝機能及び断熱機能を有する下部保護板16が設けられ、コンクリート製枠体12と下側貯留部51との間には緩衝機能及び断熱機能を有する側部保護板17が設けられる。更に露出する上側貯留部52及び下側貯留部51の上面は土18で覆われ、この覆土18には芝生等の植物(図示せず)が植えられる。
【0032】
家屋やビルディング等の建物の屋根又は屋上に落下した雨水は樋(図示せず)などに集められ、この雨水は流入管19を通って上側貯留部52の上部に導かれる。即ち、流入管19の基端は樋に接続され、流入管19の先端は上側貯留部52の上面から上側貯留部52内に挿入される。また下側貯留部51と上側貯留部52とは連通管53により連通接続され、連通管53の途中には電動ポンプ54が設けられる。一端が電動ポンプ54の吸入口に接続された連通管53の他端は下側貯留部51の上面から下側貯留部51に挿入され、一端が電動ポンプ54の吐出口に接続された連通管53の他端は上側貯留部52の上面から上側貯留部52に挿入される。なお、下側貯留部51に挿入された連通管53は下側貯留部51の底面近傍まで延びて設けられる。更に電動ポンプ54はコンクリート製枠体12上面に設置され、下側貯留部51内の雨水を上側貯留部52に汲み上げるように構成される。
【0033】
上側貯留部52の下部には給水管23の基端が接続され、この給水管23の先端には蛇口24が設けられる。即ち、給水管23の基端は上側貯留部52の各側面の下部に接続され、給水管23の先端は覆土18、側部保護板17及びコンクリート製枠体12を貫通して枠体12の外方に突出し、この突出端に蛇口24が設けられる。給水管23はこの実施の形態では4本設けられる(図7)。またオーバフロー管66は、上側貯留部52から溢れる雨水を下側貯留部51に導く第1オーバフロー管66aと、下側貯留部51から溢れる雨水を排出する第2オーバフロー管66bとを有する。第1オーバフロー管66aの基端は上側貯留部52の上部に接続され、第1オーバフロー管66aの先端は下側貯留部51の上部に接続される。第2オーバフロー管66bの基端は下側貯留部51の上部に接続され、第2オーバフロー管66bの先端は側部保護板17及びコンクリート製枠体12を貫通した後に下方に曲げられて下向きに形成される。更に下側貯留部51の上部には水道水供給管56が接続される。即ち、水道水供給管56の基端は水道管(図示せず)に接続され、水道水供給管56の先端はコンクリート製枠体12及び側部保護板17を貫通して下側貯留部51の上面から下側貯留部51内に挿入される。この水道水供給管56の途中にはこの水道水供給管56を開閉する電磁弁57(開閉弁)が設けられる。なお、流入管19、連通管53、給水管23、オーバフロー管66(第1及び第2オーバフロー管66a,66b)及び水道水供給管56の下側貯留部51や上側貯留部52への挿入部はシール部材(図示せず)によりシールされて水密性が保たれる。更に流入管19、連通管53、給水管23、オーバフロー管66(第1及び第2オーバフロー管66a,66b)及び水道水供給管56は、下側貯留部51の貯留材51bの内部又は上側貯留部52の貯留材52bの内部に挿入するように構成される。これは各配管の施工を容易にするためである。図5において、連通管53を下側貯留部51の廃パイプ51c中に挿入しているが、実際には連通管53は下側貯留部51の貯留材51b内に挿入される。
【0034】
一方、下側貯留部51には、この下側貯留部51内に貯留された雨水のレベルを検出する下部水位センサ61が設けられ、上側貯留部52には、この上側貯留部52内に貯留された雨水のレベルを検出する上部水位センサ62が設けられる。下部水位センサ61及び上部水位センサ62の各検出出力はコントローラ63の制御入力に接続され、コントローラ63の制御出力は駆動回路(図示せず)を介して電動ポンプ54及び電磁弁57に接続される。上部水位センサ62は上側貯留部52内の雨水の水位が40〜60%の範囲内の所定値に達したときにオンし、水位が87〜93%の範囲内の所定に達したときにオフするように構成される。また下部水位センサ61は下側貯留部51内の雨水の水位が10〜20%の範囲内の所定値に達したときにオンし、水位が30〜60%の範囲内の所定に達したときにオフするように構成される。
【0035】
このように構成された雨水貯留装置50の製造方法を説明する。先ず地面27を所定の深さの直方体状に掘削し、この掘削部の底面を砂利や砂で締め固めた後、コンクリート製枠材13を井桁状に複数段積上げるとともに互いに連結して長方形の筒状のコンクリート製枠体12を掘削部内に組立てる。この状態でコンクリート製枠体12の内部であって掘削部の底面に下部保護板16を敷き、コンクリート製枠体12の内側面に側部保護板17を沿わせる。このとき第1の実施の形態と同様に、コンクリート製枠体12と側部保護板17との間に砂を充填する。次いで下側貯留部51用の遮水シート51aを、その中央部が下部保護板16の上面及び側部保護板17の内面を覆いかつその外周部がコンクリート製枠体12の外周面を覆うように広げた後、この遮水シート51a上に側部保護板17に沿うように複数の貯留材51bを配設して角筒体51dを形成し、この角筒体51dにより囲まれた内部に廃パイプ51cを一定の方向に並べて充填する。そして上記遮水シート51aの外周部を貯留材51b及び廃パイプ51cの上面に載せて重ね合せることにより、貯留材51b及び廃パイプ51cを遮水シート51aにより包み込む。このようにして下側貯留部51がコンクリート製枠体12内に設置される。
【0036】
次に上側貯留部52用の遮水シート52aを、その中央部が下側貯留部51の上面及び側部保護板17の上部内面を覆いかつその外周部がコンクリート製枠体12の外周面を覆うように広げた後、この遮水シート52a上に下側貯留部51より一回り小さくなるように複数の貯留材52bを配設して角筒体52dを形成し、この角筒体52dにより囲まれた内部に廃パイプ52cを一定の方向に並べて充填する。そして上記遮水シート52aの外周部を貯留材52b及び廃パイプ52cの上面に載せて重ね合せることにより、貯留材52b及び廃パイプ52cを遮水シート52aにより包み込む。このようにして上側貯留部52が下側貯留部51の上面に設置される。また下側貯留部51の合成ゴム系や剛性樹脂系などの安価な遮水シート51aの全部と、上側貯留部52の合成ゴム系や剛性樹脂系などの安価な遮水シート52aの下部とが強固なコンクリート製枠体12に収容されるので、遮水シート51a,52aが損傷することなく、下側貯留部51及び上側貯留部52に雨水を確実に貯留できるとともに、雨水貯留装置50の製造コストを低減できる。更に下側貯留部51内において、高価な貯留材51bの使用量を少なくし、安価な廃パイプ51cの使用量を多くするとともに、上側貯留部52内において、高価な貯留材52bの使用量を少なくし、安価な廃パイプ52cの使用量を多くしたので、雨水貯留装置50の製造コストを更に低減できる。
【0037】
次に電動ポンプ54をコンクリート製枠体12の上面に設置するとともに、流入管19、連通管53、給水管23、オーバフロー管66(第1及び第2オーバフロー管66a,66b)、水道水供給管56を下側貯留部51や上側貯留部52に配索する。このときこれらの管を挿通する孔がコンクリート製枠体12や側部保護板17に予め形成しておけば、施工現場での配管作業を容易に行うことができる。更に露出する上側貯留部52及び下側貯留部51の上面を土18で覆い、この覆土18に植物を植える。これにより雨水貯留装置50の上面を緑化できるので、地球環境の改善に貢献できる。また露出する下側貯留部51の上面及び露出する上側貯留部52の上面を覆った土18は、上側貯留部52内の水圧による上側貯留部52の遮水シート52aの膨張を阻止する機能を有する。更に上記覆土18は下側貯留部51や上側貯留部52の遮水シート51a,52aを保護する機能も有する。なお、下部保護板16及び側部保護板17により、下側貯留部51に作用する衝撃を吸収できるとともに、下側貯留部51からコンクリート製枠体12に作用する圧力を緩和できる。また、下部保護板16、側部保護板17及び覆土18により、寒冷期における下側貯留部51及び上側貯留部52内の雨水の凍結を防止できる。
【0038】
このように製造された雨水貯留装置50の動作を説明する。雨が降って、家屋やビルディング等の建物の屋根や屋上に落下した雨水は樋及び流入管19を通って上側貯留部52に貯留され、上側貯留部52から溢れる雨水は第1オーバフロー管66aを通って下側貯留部51に貯留される。このとき下側貯留部51の遮水シート51aがこの貯留部51内の雨水の水圧により膨張しようとするけれども、コンクリート製枠体12がこの遮水シート51aの膨張を確実に阻止することができる。一方、上側貯留部52に貯留された雨水を庭の植木などへの散布に利用する場合には、給水管23の蛇口24にホース(図示せず)を接続し、蛇口24のハンドルを操作して給水管23を開く。上側貯留部52内の雨水が徐々に減って上側貯留部52内の雨水の水位が例えば80%まで低下すると、上部水位センサ62がオンするので、コントローラ63は上部水位センサ62の検出出力に基づいて電動ポンプ54をオンする。これにより下側貯留部51内の雨水が電動ポンプ54により上側貯留部52に汲み上げられる。そして上側貯留部52内の雨水の水位が例えば90%まで上昇すると、上部水位センサ62がオフするので、コントローラ63は上部水位センサ62の検出出力に基づいて電動ポンプ54をオフする。これにより下側貯留部51から上側貯留部52への雨水の汲み上げが停止する。このように上側貯留部52には常に所定量以上の雨水が貯留されているので、高い水位が保たれる。この結果、下側貯留部51内の雨水の水位が低下しても、上側貯留部52内の雨水の持つ位置エネルギに起因する給水圧力により、上側貯留部52内の雨水を給水管23からホースを通って植木に散布することができる。
【0039】
一方、渇水期に、下側貯留部51内の雨水の水位が例えば20%まで低下したことを下部水位センサ61が検出すると、この下部水位センサ61の検出出力に基づいてコントローラ63が電磁弁57をオンして水道水供給管56を開く。これにより水道水が水道水供給管56を通って下側貯留部51に供給される。そして下側貯留部51内の水道水の水位が例えば50%まで上昇すると、下部水位センサ61がオフするので、コントローラ63は下部水位センサ61の検出出力に基づいて電磁弁57をオフする。これにより下側貯留部51への水道水の供給が停止する。このように下側貯留部51には常に必要最小限の水(雨水又は水道水のいずれか一方又は双方)が貯留されるので、下側貯留部51から上側貯留部52にいつでも水を汲み上げることができる。
【0040】
なお、上記第1及び第2の実施の形態では、コンクリート製枠材の凹部同士を係合することにより、ボルトを用いずにコンクリート製枠体を組立てたが、コンクリート製枠材の凹部同士を係合してコンクリート製枠体を組立てた後に、積上げられた各枠材にボルトを貫通してナットを螺合してもよい。これによりコンクリート製枠体を更に強固にすることができる。また、上記第1及び第2の実施の形態では、覆土に植物を植えたが、覆土の上方に太陽光発電用のパネルを設置してもよい。この場合、コンクリート製枠体にアングル材等を掛け渡して支持フレームを形成し、この支持フレームに太陽光発電用のパネルを所定の角度で取付ける。これにより、太陽光発電用のパネルで発生した電力で電動ポンプを駆動し、このポンプにより下側貯留部内の雨水を上側貯留部に汲み上げることができる。この結果、上記電動ポンプの電力を他の場所から供給する必要がなく、自家発電で賄うことができる。
【0041】
また、第2の実施の形態では、貯留材及び廃パイプを遮水シートで包んで雨水を貯留できるように上側貯留部を形成したが、上側貯留部はステンレス鋼又はプラスチック等により形成された貯留槽でもよい。この場合、露出する下側貯留部の上面及び露出する上側貯留部の上面を土で覆ったときに、下側貯留部の上面及び上側貯留部の側面を覆う土の量を少なくして、この土が上側貯留部内の水圧による上側貯留部の膨張を阻止する力が十分でなくても、剛性を有するステンレス鋼製又はプラスチック製の貯留槽からなる上側貯留部が上側貯留部内の水圧による上側貯留部の膨張を阻止できる。また、第2の実施の形態では、下側貯留部内の雨水を上側貯留部に汲み上げるポンプとして電動ポンプを用いたが、手動ポンプを用いてもよい。この場合、上側貯留槽の雨水がなくなって雨水が蛇口から出なくなったときに、手動ポンプを用いて下側貯留槽内の雨水を上側貯留槽に汲み上げることにより、上側貯留部内の雨水の持つ位置エネルギに起因する給水圧力により、上側貯留部内の雨水を蛇口から供給先に供給できる。更に、第2の実施の形態では、下側貯留槽の上面に直接上側貯留槽を載せた、即ち下側貯留槽の遮水シートの上面に上側貯留槽の遮水シートの下面を接触させたが、下側貯留槽の遮水シートの上面と上側貯留槽の遮水シートの下面との間に、発泡スチロールや発泡塩化ビニル等により形成され緩衝機能及び断熱機能を有する中間保護板を介装してもよい。この中間保護板の存在により、下側貯留部に作用する衝撃を緩衝でき、また下側貯留槽の断熱性を向上でき、更に上側貯留部の荷重を下側貯留部にほぼ均等に作用させることもできる。
【符号の説明】
【0042】
10,50 雨水貯留装置
11 雨水貯留部
11a,51a,52a 遮水シート
11b,51b,52b 貯留材
11c,51c,52c 廃パイプ(廃材)
12 コンクリート製枠体
13 コンクリート製枠材
14 枠下端部材
14a,15a,21a,22a 凹部
15 枠上端部材
16 下部保護板
17 側部保護板
18 覆土
19 流入管
21 第1枠材本体
22 第2枠材本体
23 給水管
26,66 オーバフロー管
51 下側貯留部
52 上側貯留部
53 連通管
54 電動ポンプ(ポンプ)
56 水道水供給管
66a 第1オーバフロー管
66b 第2オーバフロー管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上に設置されるか或いは下部が地中に埋設され上部が地上に突出するように設置され貯留材(11b)を遮水シート(11a)で包んで雨水を貯留可能に形成された雨水貯留部(11)と、
前記雨水貯留部(11)を収容しコンクリート製枠材(13)を井桁状に複数段積上げるとともに互いに連結して形成されたコンクリート製枠体(12)と、
集められた雨水を前記雨水貯留部(11)に導く流入管(19)と、
前記雨水の利用先に給水するために前記雨水貯留部(11)に接続された給水管(23)と、
前記雨水貯留部(11)から溢れる雨水を排出するために前記雨水貯留部(11)の上部に接続されたオーバフロー管(26)と
を備えるコンクリート製枠体を用いた雨水貯留装置。
【請求項2】
コンクリート製枠材(13)が、両端部の上面及び下面に凹部(21a,22a)がそれぞれ形成された枠材本体(21,22)を有し、直交する枠材本体(21,22)の凹部(21a,22a)がそれぞれ係合することにより前記直交する枠材本体(21,22)が互いに連結される請求項1記載のコンクリート製枠体を用いた雨水貯留装置。
【請求項3】
コンクリート製枠材(13)は、高さが枠材本体(21,22)の高さの1/2に形成され両端部の上面に凹部(14a)がそれぞれ形成された枠下端部材(14)と、高さが枠材本体(21,22)の高さの1/2に形成され両端部の下面に凹部(15a)がそれぞれ形成された枠上端部材(15)とを更に有する請求項2記載のコンクリート製枠体を用いた雨水貯留装置。
【請求項4】
地上に設置されるか或いは下部が地中に埋設され上部が地上に突出するように設置され貯留材(11b)を遮水シート(11a)で包んで雨水を貯留可能に形成された下側貯留部(51)と、前記下側貯留部(51)より小さく形成され前記下側貯留部(51)の上面に設置され雨水を貯留可能な上側貯留部(52)とを有し、
前記下側貯留部(51)と前記上側貯留部(52)とが連通管(53)により連通接続され、
前記下側貯留部(51)に貯留された雨水を前記上側貯留部(52)に汲み上げるポンプ(54)が前記連通管(53)の途中に設けられ、
流入管(19)が前記上側貯留部(52)に連通接続され、
給水管(23)が前記上側貯留部(52)に連通接続され、
オーバフロー管(66)が、前記上側貯留部(52)から溢れる雨水を前記下側貯留部(51)に導く第1オーバフロー管(66a)と、前記下側貯留部(51)から溢れる雨水を排出する第2オーバフロー管(66b)とを有する
請求項1記載のコンクリート製枠体を用いた雨水貯留装置。
【請求項5】
露出する雨水貯留部(11)の上面或いは露出する上側貯留部(52)及び下側貯留部(51)の上面を土(18)で覆うことにより、前記上側貯留部(52)を形成する遮水シート(52a)が水圧によって膨張するのを阻止するとともに、前記覆土(18)に植物を植えることを可能に構成された請求項1又は4記載のコンクリート製枠体を用いた雨水貯留装置。
【請求項6】
雨水貯留部(11)又は下側貯留部(51)の下面に緩衝機能及び断熱機能を有する下部保護板(16)が設けられ、コンクリート製枠体(12)と前記雨水貯留部(11)又は前記下側貯留部(51)との間に緩衝機能及び断熱機能を有する側部保護板(17)が設けられた請求項1又は4記載のコンクリート製枠体を用いた雨水貯留装置。
【請求項7】
雨水貯留部(11)内或いは下側貯留部(51)及び上側貯留部(52)内のうち外周部に貯留材(11b,51b,52b)が充填され、この貯留材(11b,51b,52b)により囲まれた内部に廃材(11c,51c,52c)が充填された請求項1又は4記載のコンクリート製枠体を用いた雨水貯留装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−1790(P2011−1790A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−147354(P2009−147354)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【出願人】(391028535)株式会社トーテツ (6)
【Fターム(参考)】