説明

コンタクトプローブ

【課題】超狭ピッチを維持しつつ寿命が長く精度の高いコンタクトプローブを提供すること。
【解決手段】検査対象物を電気的に検査する際に該検査対象物に直接接続する複数の梁状のカンチレバー2を有したコンタクトプローブであって、カンチレバー2を微小振動させる圧電素子4を備え、この圧電素子を駆動することによって、カンチレバー2の先端が上下動し、検査対象物の電極上の酸化皮膜などを容易に突き破り、電極との接触を確実にとることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液晶パネルや集積回路などの電子部品の電極あるいは端子部に接続して、この電子部品における導通状態検査や動作試験に用いるコンタクトプローブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、LCDパネルなどの電子部品である検査対象物を検査する場合、LCDパネルの接続端子にコンタクトプローブを介して電気的に接触させ、さらに各コンタクトプローブの他端に電気的に接続するコンタクトブロックを介してフラットケーブルなどに接続し、このフラットケーブルに接続された検査装置から各種のテスト信号などを与えてLCDパネルの検査を行っていた。
【0003】
このコンタクトプローブは、半導体製造方法のリソグラフィ技術を用いて、複数の検査用電極に対応した複数の梁形状のプローブを基板表面上に一括形成するものがある(特許文献1〜4参照)。さらに、フレキシブル基板などの導電箔をリソグラフィによって超狭ピッチにパターンエッチングし、このパターン上にプローブヘッドとしてバンプを形成するものがある(特許文献5参照)。これらのコンタクトプローブは、リソグラフィ技術を用いるので、近年における電極狭ピッチ化に対応することができる。
【0004】
【特許文献1】特開平8−50146号公報
【特許文献2】特許第3123483号公報
【特許文献3】特開2003−215161号公報
【特許文献4】特表2004−503785号公報
【特許文献5】特開2003−98189号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来のコンタクトプローブでは、40μm程度の超狭ピッチを維持しつつ大加重を付加するとプローブやプローブヘッドが破壊しやすく寿命が短いとともに、検査対象の電極を覆う酸化被膜や汚れがある場合に精度の高い検査を行うことができないという問題点があった。
【0006】
なお、カンチレバー型のコンタクトプローブは一般にプローブヘッドにかかる加重を大きくすることができないため、上述した検査時に、検査対象の電極を覆う酸化皮膜や汚れがある場合、これらを突き破ることができず、最終的な過大な加重をプローブヘッドにかけて損傷してしまい、コンタクトプローブの寿命が短くなる傾向があった。
【0007】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、超狭ピッチを維持しつつ寿命が長く精度の高いコンタクトプローブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかるコンタクトプローブは、検査対象物を電気的に検査する際に該検査対象物に直接接続するプローブを有したコンタクトプローブであって、前記プローブを微小振動させる振動手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2にかかるコンタクトプローブは、上記の発明において、前記振動手段は、前記プローブ上に設けられた圧電素子であり、該圧電素子を駆動することによって前記プローブを微小振動させることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3にかかるコンタクトプローブは、上記の発明において、前記振動手段は、前記プローブ上に設けられたコイルであり、磁場が形成される領域において該コイルに印可する電流を変化させることによって前記プローブを微小振動させることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4にかかるコンタクトプローブは、上記の発明において、前記振動手段は、複数の梁状のプローブ間に設けられた複数の固定プローブをさらに設けて形成された櫛歯電極であり、各プローブと各固定プローブとの間に印可される電圧を変化させることによって前記プローブを微小振動させることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5にかかるコンタクトプローブは、上記の発明において、前記プローブは、梁状のプローブであることを特徴とする。
【0013】
また、請求項6にかかるコンタクトプローブは、上記の発明において、前記プローブは、接触面に対してほぼ垂直に形成されたホルダ内に導電性針状部材と導電性バネ部材とが接続して閉じ込められ、導電性針状部材の先端が前記ホルダの開口部から伸縮可能に突出したプローブであることを特徴とする。
【0014】
また、請求項7にかかるコンタクトプローブは、上記の発明において、前記振動手段は、前記ホルダの開口部を形成する支持部材上に設けることを特徴とする。
【0015】
また、請求項8にかかるコンタクトプローブは、上記の発明において、前記プローブは、針状部材であることを特徴とする。
【0016】
また、請求項9にかかるコンタクトプローブは、上記の発明において、前記プローブは、支持部材上に形成されたバンプであることを特徴とする。
【0017】
また、請求項10にかかるコンタクトプローブは、上記の発明において、前記プローブは、薄い板状部材であり、板面方向が押圧方向であり、前記板状部材は、Niであり、厚さに対する幅の比が5以上であることを特徴とする。
【0018】
また、請求項11にかかるコンタクトプローブは、上記の発明において、前記振動手段は、プローブ先端を接触面に対してほぼ垂直方向に振動させることを特徴とする。
【0019】
また、請求項12にかかるコンタクトプローブは、上記の発明において、前記振動手段は、プローブ先端を接触面に対してほぼ平行に振動させることを特徴とする。
【0020】
また、請求項13にかかるコンタクトプローブは、上記の発明において、複数のプローブを有し、該複数のプローブは、各プローブのピッチを保持する保持部材によって覆われていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
この発明にかかるコンタクトプローブは、振動手段が、複数のプローブを微小振動させるようにし、この微小振動によって検査対象電極上の汚れをとり、酸化皮膜などを突き破るようにし、これによってコンタクト表面を露出させ、低コンタクト加重で所望の接触抵抗を確保することができるので、コンタクトプローブにかかる負荷が軽減され、超狭ピッチを維持した小型化を実現しつつ寿命が長く精度の高いコンタクトプローブを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、この発明を実施するための最良の形態であるコンタクトプローブについて説明する。なお、ここではLCDパネルの検査に用いるコンタクトプローブについて説明する。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1であるコンタクトプローブの構成を示す斜視図である。図1において、コンタクトプローブ10は、液晶パネルなどの電子部品の電極にプローブヘッド1を下降させ、電極とプローブヘッド1とを接触させることによって電気的な検査を行う。このコンタクトプローブ10は、片持ち梁構造である複数のカンチレバー2を並列配置したものであり、カンチレバー2の先端部には、三角板状で先端が尖ったプローブヘッド1が垂直に設けられている。コンタクトプローブ10は、大きくプローブヘッド1側の可動部11と基部側の固定部12とからなる。可動部11および固定部12の長さはそれぞれ2mm程度である。
【0024】
カンチレバー2は、Niで形成され、表面がAu−Co合金によって1μmのメッキが施されている。このカンチレバー2は、400本が並列配置され、図2に示すように、40μmピッチに配列される。カンチレバー2は、板状に形成され、厚さが20μm、幅が100μm、プローブヘッドの高さが100μmであり、隣接するカンチレバー2の間隙は20μmである。
【0025】
カンチレバー2の可動部11側の上面には、各カンチレバー2を覆うように各カンチレバー2を接続して保持するホールドフィルム3が設けられる。ホールドフィルム3は、厚さが5〜10μmであり、カンチレバー2に比して低弾性体で形成されている。たとえば、BCB(ベンゾサイクロテン)樹脂によって形成されている。
【0026】
固定部12のプローブヘッド1側には、ホールドフィルム3と同様の材質によって各カンチレバー2を覆って接続する支持部材4aが設けられ、その上面に圧電素子4が設けられる。この圧電素子4は、カンチレバー2の長手方向に分極して伸縮する。このため、圧電素子4が圧電効果によって伸縮すると、各カンチレバー2の上面側が伸縮し、各カンチレバー2の先端側が上下に振動することになる。圧電素子4は、PZTによって形成され、厚さ10μmであり、電極はPtがパターン形成され、この電極の厚さは、0.5μmである。
【0027】
固定部12の基部側には、異方性導電フィルム5がカンチレバー2の上面に形成され、各カンチレバー2を電気的に接続している。すなわち、異方性導電フィルム5は、カンチレバー2と異方性導電フィルム5とが接する面に垂直な方向に導電性をもち、上面に対する取り出し電極としての機能を果たしている。
【0028】
圧電素子4の電極および異方性導電フィルムの取り出し端は、計測装置20側に電気的に接続され、圧電素子4の電極は発振部22に接続され、異方性導電フィルムの取り出し端は計測部21に接続される。制御部23は、計測部21および発振部22を制御する。特に、プローブヘッド1が検査対象の電極に接触した際に、制御部23は、発振部22から所定周波数の信号を出力し、圧電素子4を駆動することによって、プローブヘッド1と検査対象の電極との間の酸化皮膜や汚れを確実に取り除き、確実な接触を行わせる。
【0029】
図3に示すように、このコンタクトプローブ10と計測装置20との電気的な接続は、フレキシブルケーブル(FPC)13を用いることができる。図4に示すように、このFPC13は、プローブブロック14への取付にも用いられる。なお、コンタクトプローブ10は、プローブブロック14の水平面に対して下方に傾斜して設置される。したがって、図5に示すようにプローブヘッド1の形状は、プローブヘッド31のように、三角板状でなく、矩形板状であってもよい。要は、下部方向に尖った部分をもてばよい。
【0030】
ここで、コンタクトプローブ10の製造方法について概要を説明する。まず、Siウェハ基板41上に形成されたSiO2をレジストによって、プローブヘッド1が形成される面を開口し、異方性エッチングによって断面が三角状の穴を形成する(図6(a))。その後、エレクトロフォーミング用のシード層43と、カンチレバー2の板厚、すなわち100μmに相当するレジストを形成する(図6(b))。その後、リアクティブイオンエッチングによってカンチレバー2に対応する領域のレジストを取り除く(図6(c))。さらにこの取り除いた領域に線状のNiをエレクトロフォーミングし、カンチレバー2を形成する(図6(d))。その後、このカンチレバーの上面を覆うようにBCBを積層し、ホールドフィルム3および支持部材4aを形成する(図6(e))。さらに支持部材4a上に圧電素子4を形成する。すなわち、PZTとこれに電圧を印加する電極であるパターンをPtによって形成する(図6(f))。その後、Siウェハ基板41が取り除かれ、異方性導電フィルムを接続することによって、コンタクトプローブ10が形成されることになる。
【0031】
ところで、図1に示したコンタクトプローブ10の圧電素子4は、カンチレバー2の長手方向に伸縮駆動するものであったが、図7に示すように、カンチレバー2に垂直な方向に伸縮駆動するようにしてもよい。カンチレバー2が長手方向に伸縮駆動することによってプローブヘッド1が上下に微小振動し、上述したように酸化皮膜などを容易に突き破ることができるが、垂直な方向に伸縮駆動することによって、カンチレバー2のピッチを可変設定することができる。カンチレバー2のピッチは、温度などの環境条件によって変化するため、この垂直な方向への伸縮運動によってピッチを調整することができる。
【0032】
なお、カンチレバー2は、圧電素子4によって長手方向に伸縮させてプローブヘッド1を、接触面に対してほぼ垂直な方向に振動するようにしてもよいし、プローブ1を接触面に対してほぼ水平な方向、たとえば左右前後に振動させるようにしてもよい。さらには、これらの振動方向を適宜組み合わせるようにしてもよい。
【0033】
また、図8に示すように、カンチレバー2の長手方向に伸縮駆動する圧電素子52を各カンチレバー2毎に設けるようにしてもよい。これによって、所望のカンチレバー2のみに対して微小振動を起こさせ、電気的な接触を確実に行うことができる。すなわち、各カンチレバー2の微小振動によって検査対象電極上の汚れをとり、酸化皮膜などを突き破るようにし、これによってコンタクト表面を露出させ、低コンタクト加重で所望の接触抵抗を確保することができるので、コンタクトプローブにかかる負荷が軽減され、超狭ピッチを維持した小型化を実現しつつ、寿命が長く精度の高いコンタクトプローブを実現することができる。
【0034】
さらに、図9に示すように、隣接するカンチレバー2間に対し、垂直な方向に伸縮駆動する圧電素子53を設けるようにしてもよい。これによって、ピッチを一層微細かつ柔軟に調整することができる。
【0035】
また、上述したコンタクトプローブ10は、片持ち梁構造であったが、これに限らず、両端から支える構造であってもよい。
【0036】
さらに、図10に示すように、2つのコンタクトローブ10を対向させ、各カンチレバー2の先端を千鳥配置する構成としてもよい。この場合、各プローブヘッドのピッチは、1つのプローブヘッドの場合に比して半減し、一層、狭ピッチの電極検査にも対応することができる。
【0037】
また、上述したホールドフィルム3は、カンチレバー2の上面に形成するようにしているが、これに限らず、カンチレバー2の下面を覆うように形成してもよいし、カンチレバー2間を埋めるように形成してもよい。
【0038】
さらに、上述した圧電素子の構成などは任意に組み合わせ可能である。
【0039】
なお、カンチレバー2の母材は、Niで形成していたが、これに限らず、Fe系合金、Ni系合金、Cu系合金、アルミニウム、タングステン、シリコン、カーボンなどの金属、ポリイミドなどの趣旨、アルミナ(Al23)やシリカ(SiO2)などのセラミックスでもよい。また、カンチレバー2のメッキは、Au、Rd、Ptなどの高導電性金属が好ましい。さらに、ホールドフィルム3や支持部材4aは、BCBに限らず、ポリイミドなどで実現してもよい。また、圧電素子4は、その他の圧電材料によって形成してもよく、たとえばLiNbO3によって実現してもよい。
【0040】
(実施の形態2)
つぎに、この発明の実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、圧電素子4を用いてカンチレバー2の先端を微小振動させるようにしていたが、この実施の形態2では、薄膜コイル60を設け、磁場内で通電することによってカンチレバー2の先端を微小振動させるようにしている。
【0041】
図11は、この発明の実施の形態2であるコンタクトプローブの概要構成を示す斜視図である。図11に示すように、このコンタクトプローブ60は、圧電素子4の代わりに薄膜コイル61をホールドフィルム3上に設けている。その他の構成は、実施の形態1と同じである。
【0042】
この薄膜コイル61は、CuやNiなどの導電性材料によって実現されるが、図11では、厚さ2μm、幅20μmのCuを30巻したコイルによって実現している。薄膜コイル61は、ホールドフィルム3上に形成されたBCBシート3a上に形成され、薄膜コイル61の中央部は、このBCBシート3aの裏面に接続され、ホールドフィルム3上のパッドに電気的に接続されている。
【0043】
薄膜コイル61が磁場内において通電されると、この通電量に応じて変位し、交流信号を印加することによってカンチレバー2の先端部分は微小振動する。
【0044】
(実施の形態3)
つぎに、この発明の実施の形態3について説明する。上述した実施の形態1では、圧電素子4を用いてカンチレバー2の先端部分を微小振動させるようにしていたが、この実施の形態3では、カンチレバー2を櫛歯電極の一方とすることによって微小振動させるようにしている。
【0045】
図12は、この発明の実施の形態3であるコンタクトプローブの概要構成を示す斜視図である。図12に示すように、このコンタクトプローブ70は、圧電素子2や薄膜コイル61を設けず、各カンチレバー2間に対向櫛歯電極72を形成し、この対向櫛歯電極72とカンチレバー2とで櫛歯電極を形成している。
【0046】
対向櫛歯電極72に電圧を印加すると、対向櫛歯電極72とカンチレバー2との間の静電力によってカンチレバー2が上下に変化する。したがって、対向櫛歯電極72に印加する電圧を交流信号とすることによって、カンチレバー2の先端部分が微小振動することになる。
【0047】
(実施の形態4)
つぎに、この発明の実施の形態4について説明する。上述した実施の形態1〜3ではいずれもカンチレバー構造であったが、この実施の形態4では、針状部材とバネ部材とを用いたコンタクトプローブに振動手段を設けるようにしている。
【0048】
図13は、この発明の実施の形態4であるコンタクトプローブの概要構成を示す断面図である。また、図14は、図13に示したコンタクトプローブの裏面を示す図である。図13および図14において、このコンタクトプローブ80は、接触面に対して垂直な方向に延びるホルダ84が複数、所定ピッチで配置され、各ホルダ84内にはリード線86側との接触をとる針状部材81と、バネ部材83と、検査対象電極との接触をとる針状部材82とがそれぞれ電気的に固着された状態で閉じ込められ、針状部材82の先端部分が、ホルダ84の検査対象電極側の開口部から伸縮自在に突出し、検査対象電極にコンタクト加重をかけて接触する。
【0049】
針状部材82の先端部分が突出する開口部を有する支持部材の面には圧電素子85が配置される。この圧電素子85に電圧を印加して微小振動させることによって針状部材82を支持部材の面に対して水平方向に微小振動させることができ、これによって針状部材82の先端部分と検査対象電極との間の接触を確実、かつ低コンタクト加重で接触させることができる。また、針状部材82間のピッチを可変することができる。
【0050】
この場合、図14に示すように複数のエリアに圧電素子85a〜85dを配置することによって停止状態の針状部材82がなくなり、全ての針状部材82を水平方向に微小振動させることができる。
【0051】
さらに、圧電素子85の振動方向を検査対象電極に対して垂直な方向にし、針状部材82を上下動させることによって、針状部材82の先端部分と検査対象電極との間の接触を確実、かつ低コンタクト加重で接触させるようにしてもよい。
【0052】
(実施の形態5)
つぎに、この発明の実施の形態5について説明する。この実施の形態5では、剛性の高い複数の針プローブを有したコンタクトプローブに振動手段を設けるようにしている。
【0053】
図15は、この発明の実施の形態5であるコンタクトプローブの概要構成を示す斜視図である。図15に示すように、このコンタクトプローブ90は、先端部分が錐上となった円柱部材が並列配置され、この先端部分が約90度に折り曲がって検査対象電極方向に臨んだ複数の針状部材91を有する。複数の針状部材91は、基部側で支持部材92によって各針状部材91間のピッチが保持され、この支持部材92の上面には、圧電素子93が設けられている。
【0054】
圧電素子93の微小振動によって針プローブ91の先端部分が微小振動し、これによって針プローブ91の先端と検査対象電極との間の接触を確実、かつ低コンタクト加重で接触することができる。なお、上述した実施の形態1〜4と同様に、圧電素子93の微小振動方向は、検査対象電極の面に対して平行な方向であってもよいし、垂直な方向であってもよい。また、圧電素子93に印加する電圧によって針プローブ91の先端を平行な方向に広げ、ピッチを可変に設定することもできる。
【0055】
(実施の形態6)
つぎに、この発明の実施の形態6について説明する。この実施の形態5では、支持部材の面に複数のバンプを形成したコンタクトプローブに振動手段を設けるようにしている。
【0056】
図16は、この発明の実施の形態6であるコンタクトプローブの概要構成を示す斜視図である。また、図17は、図16に示したコンタクトプローブの上面図である。図16および図17において、このコンタクトプローブ100は、ポリイミドなどによって実現される平板上の支持部材101を有し、この支持部材101の一方の面の縁近傍に、Niで形成される複数のバンプ103を直線状に配置される。このバンプ103が検査対象電極と接触することになる。各バンプ103間は所定のピッチで配置され、それぞれNiで実現される配線パターン102によってリードされる。
【0057】
支持部材101の他方の面であって基部側には圧電素子104が設けられる。なお、バンプ103とその近傍の配線パターンとに対応する支持部材101の部分は、ダイシングソーなどによって間隙104を形成し、各バンプ103部分の振動がし易いようにしている。
【0058】
この実施の形態6では、上述した実施の形態1〜5と同様に、圧電素子104の微小振動によってバンプ103が微小振動し、これによってバンプ103と検査対象電極との間の接触を確実、かつ低コンタクト加重で接触することができる。なお、上述した実施の形態1〜5と同様に、圧電素子104の微小振動方向は、検査対象電極の面に対して平行な方向であってもよいし、垂直な方向であってもよい。また、圧電素子104に印加する電圧によってバンプ103を平行な方向に広げ、ピッチを可変に設定することもできる。
【0059】
なお、上述した実施の形態1〜6では、複数のプローブを有したコンタクトプローブについて説明したが、これに限らず、1つのプローブで構成されたコンタクトプローブであってもよい。また、上述した実施の形態1〜6では、圧電素子などの振動手段がプローブの基部側に設けられていたが、これに限らず、プローブの先端側に配置してもよい。要は、プローブの先端部分が振動すればよい。
【0060】
なお、上述した実施の形態1〜6に示した構成要素は、適宜組み合わせ可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】この発明の実施の形態1であるコンタクトプローブの概要構成を示す斜視図である。
【図2】カンチレバーの先端部分を示す斜視図である。
【図3】フレキシブルケーブルを付加したコンタクトプローブの構成を示す斜視図である。
【図4】プローブブロックに接続された状態を示す図である。
【図5】プローブヘッドの変形例を示す図である。
【図6】図1に示したコンタクトプローブの製造工程を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態1の変形例を示す図である。
【図8】この発明の実施の形態1の変形例を示す図である。
【図9】この発明の実施の形態1の変形例を示す図である。
【図10】この発明の実施の形態1の変形例を示す図である。
【図11】この発明の実施の形態2であるコンタクトプローブの概要構成を示す斜視図である。
【図12】この発明の実施の形態3であるコンタクトプローブの概要構成を示す斜視図である。
【図13】この発明の実施の形態4であるコンタクトプローブの概要構成を示す断面図である。
【図14】図13に示したコンタクトプローブの裏面を示す図である。
【図15】この発明の実施の形態5であるコンタクトプローブの概要構成を示す斜視図である。
【図16】この発明の実施の形態6であるコンタクトプローブの概要構成を示す斜視図である。
【図17】図16に示したコンタクトプローブの上面図である。
【符号の説明】
【0062】
1,31 プローブヘッド
2 カンチレバー
3 ホールドフィルム
3a BCBシート
4,51,52,53,85,85a〜85d,93,104 圧電素子
4a,92,101 支持部材
5 異方性導電フィルム
10,30,60,70,80,90,100 コンタクトプローブ
11 可動部
12 固定部
13 FPC
14 プローブブロック
55 検査電極端子部
61 薄膜コイル
72 対向櫛歯電極
81,82 針状部材
83 バネ部材
84 ホルダ
86 リード線
91 針プローブ
102 配線パターン
103 バンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物を電気的に検査する際に該検査対象物に直接接続するプローブを有したコンタクトプローブであって、
前記プローブを微小振動させる振動手段を備えたことを特徴とするコンタクトプローブ。
【請求項2】
前記振動手段は、前記プローブ上に設けられた圧電素子であり、該圧電素子を駆動することによって前記プローブを微小振動させることを特徴とする請求項1に記載のコンタクトプローブ。
【請求項3】
前記振動手段は、前記プローブ上に設けられたコイルであり、磁場が形成される領域において該コイルに印可する電流を変化させることによって前記プローブを微小振動させることを特徴とする請求項1に記載のコンタクトプローブ。
【請求項4】
前記振動手段は、複数の梁状のプローブ間に設けられた複数の固定プローブをさらに設けて形成された櫛歯電極であり、各プローブと各固定プローブとの間に印可される電圧を変化させることによって前記プローブを微小振動させることを特徴とする請求項1に記載のコンタクトプローブ。
【請求項5】
前記プローブは、梁状のプローブであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のコンタクトプローブ。
【請求項6】
前記プローブは、接触面に対してほぼ垂直に形成されたホルダ内に導電性針状部材と導電性バネ部材とが接続して閉じ込められ、導電性針状部材の先端が前記ホルダの開口部から伸縮可能に突出したプローブであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のコンタクトプローブ。
【請求項7】
前記振動手段は、前記ホルダの開口部を形成する支持部材上に設けることを特徴とする請求項6に記載のコンタクトプローブ。
【請求項8】
前記プローブは、針状部材であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のコンタクトプローブ。
【請求項9】
前記プローブは、支持部材上に形成されたバンプであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のコンタクトプローブ。
【請求項10】
前記プローブは、薄い板状部材であり、板面方向が押圧方向であり、
前記板状部材は、Niであり、厚さに対する幅の比が5以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のコンタクトプローブ。
【請求項11】
前記振動手段は、プローブ先端を接触面に対してほぼ垂直方向に振動させることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載のコンタクトプローブ。
【請求項12】
前記振動手段は、プローブ先端を接触面に対してほぼ平行に振動させることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載のコンタクトプローブ。
【請求項13】
複数のプローブを有し、該複数のプローブは、各プローブのピッチを保持する保持部材によって覆われていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一つに記載のコンタクトプローブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−284362(P2006−284362A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−104604(P2005−104604)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000004640)日本発条株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】