説明

コンタクト

【課題】温度変化による相手側コンタクトに対するコンタクトの相対摺動を抑え、摩耗粉の発生を抑制する。
【解決手段】 ピンコンタクトに接触する接触部10と、電線に接続される圧着部20とを、コンタクト長手方向Lと直交する第1の方向D1へ接触部10が圧着部20に対して首振り動作するように弾性変形する連結部30で連結した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はコンタクトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内側本体と外側ボディとを有するリセプタクル端子(コンタクト)が知られている(下記特許文献1参照)。
【0003】
このリセプタクル端子は電気コネクタハウジングのキャビティ内に固定される。リセプタクル端子の内側本体はベース部とばね部と接触部とを有する。ベース部は接続部を有する。接続部は圧着によって電線に電気的に接続される。ばね部はその両側壁部に弾性変形可能な二対のU形の弾性部を有する。ばね部はベース部と接触部との間に介在する。接触部は一対の接触アームを有する。一対の接触アームは相手方のタブ端子を挟む。
【0004】
外側ボディは箱形であり、接続部を除いて内側本体を収容する。外側ボディは保持タブを有する。保持タブは内側本体のベース部の上縁を保持する。
【0005】
外側ボディの内側底面には応力制限タブが形成されている。応力制限タブは外側ボディ内に内側本体が収容されたときにばね部に係合し、ばね部がリセプタクル端子の長手方向へ過圧縮されないようにばね部の圧縮が制限される。
【0006】
ばね部のばね力は接触アームが相手方のタブ端子を挟んだときに生じる縦方向の摩擦力よりも小さく設定されている。したがって、相手方のタブ端子が縦方向へ振動しても、リセプタクル端子の接触部はタブ端子の動きに追従し、接触アームはタブ端子に対して相対摺動しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−296886号公報(段落0009、0010、0012、0013、0015、0016、0017参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、リセプタクル端子の長手方向におけるばね部の圧縮は応力制限タブによって制限されている。このため、リセプタクル端子や相手方のタブ端子がそれらの周囲の温度上昇によって熱膨張した場合、タブ端子は相対的に内側本体の接続部の方へ移動する。このとき、ばね部の圧縮は応力制限タブによって制限されているので、接触部はタブ端子の動き(熱膨張)に追従できず、タブ端子は接触アームに対して摺動する。その結果、摩耗粉が発生し、リセプタクル端子とタブ端子との間の電気抵抗が増えるおそれがある。
【0009】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その課題は温度変化による相手側コンタクトに対するコンタクトの相対摺動を抑え、摩耗粉の発生を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の課題を解決するため請求項1の発明のコンタクトは、相手側コンタクトに接触する接触部と、接続対象物に接続される接続部と、前記接触部と前記接続部とを連結するとともに、コンタクト長手方向と直交する方向へ前記接触部が前記接続部に対して首振り動作するように弾性変形する連結部とを備えていることを特徴とする。
【0011】
上述のように、接触部と接続部とを連結するとともに、コンタクト長手方向と直交する方向へ接触部が接続部に対して首振り動作するように弾性変形する連結部を備えているので、コンタクトとこのコンタクトに接触する相手側コンタクトとの温度が上昇したとき、相手側コンタクトはコンタクト長手方向へ伸長し、コンタクトが相手側コンタクトに対して相対的に前進したり、後退したりするが、その相手側コンタクトに接触しているコンタクトの接触部は首振り動作をする。その結果、相手側コンタクトに対するコンタクトの相対摺動距離が少なくなる。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1記載のコンタクトにおいて、前記連結部が一対の連結片を有することを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項2記載のコンタクトにおいて、前記連結片にノッチが形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、請求項2記載のコンタクトにおいて、前記一対の連結片が、互いに近づくようにV字状に折り曲げられていることを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1記載のコンタクトにおいて、前記接触部の首振り動作を安定させる安定化手段を備えていることを特徴とする。
【0016】
請求項6の発明は、請求項5記載のコンタクトにおいて、前記連結部が1つの連結片を有し、前記連結片の一端が前記接続部に連なり、前記連結片の他端が前記接触部に連なり、前記安定化手段が1つの安定化片で構成され、前記安定化片の一端が前記接続部に連なり、前記安定化片の他端が前記接触部に設けられた孔に相対摺動可能に挿入されていることを特徴とする。
【0017】
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれか1項記載のコンタクトにおいて、前記コンタクト長手方向と前記直交する方向とに直交する方向へ突出する一対のコンタクト固定片が、前記連結部に設けられていることを特徴とする。
【0018】
請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれか1項記載のコンタクトにおいて、前記接触部が、前記相手側コンタクトが挿入される角筒部と、この角筒部の上面部に設けられ、前記角筒部に挿入された前記相手側コンタクトの上面に接触する接触片とを有することを特徴とする。
【0019】
請求項9の発明は、請求項8記載のコンタクトにおいて、前記角筒部の両側面部に前記相手側コンタクトとの干渉を避ける切欠が設けられていることを特徴とする。
【0020】
請求項10の発明のコネクタは、請求項1〜9いずれか1項記載のコンタクトと、このコンタクトを収容する収容孔を有するハウジングとを備え、前記収容孔に前記コンタクトを収容したとき、前記コンタクト固定片が前記収容孔の内面に固定されるとともに、前記接触部と前記収容孔の内面との間に前記接触部の首振り動作を可能にする隙間が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、温度変化による相手側コンタクトに対するコンタクトの相対摺動を抑え、摩耗粉の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1はこの発明の第1実施形態のコネクタの側面図である。
【図2】図2は図1に示すコネクタのコンタクトの斜視図である。
【図3】図3は図2に示すコンタクトの相手側コンタクトの斜視図である。
【図4】図4は熱膨張していないときの図2に示すコンタクトと図3に示す相手側コンタクトのとの接続状態を示す平面図である。
【図5】図5は熱膨張しているときの図2に示すコンタクトと図3に示す相手側コンタクトのとの接続状態を示す平面図である。
【図6】図6はこの発明の第2実施形態のコンタクトの斜視図である。
【図7】図7はこの発明の第3実施形態のコンタクトの斜視図である。
【図8】図8はこの発明の第4実施形態のコンタクトの斜視図である。
【図9】図9は図8に示すコンタクトを別の角度から見たときの斜視図である。
【図10】図10は図8に示すコンタクトを別の角度から見たときの斜視図である。
【図11】図11は図8に示すコンタクトを別の角度から見たときの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
この発明の第1実施形態のソケットコネクタ(コネクタ)を図1〜図5に基づいて説明する。
【0025】
図1に示すように、ソケットコネクタ(コネクタ)100はソケットコンタクト(コンタクト)101とハウジング60とを備える。図1はソケットコネクタ100の一部を示す。ハウジング60は複数の収容孔61を有し、収容孔61にソケットコンタクト101が収容される。ソケットコネクタ100は例えば自動車に搭載されるコネクタであり、相手側コンタクトであるプラグコネクタ(図示せず)に接続される。
【0026】
図1、図2に示すように、ソケットコンタクト101は接触部10と圧着部(接続部)20と連結部30と一対のコンタクト固定片40,40とを備えている。
【0027】
ソケットコンタクト101は金属板に打抜き加工と曲げ加工とを施すことによって形成される。ソケットコンタクト101に例えば錫を含むめっきを施してもよい。ソケットコンタクト101は相手側コンタクトであるピンコンタクト901(図3参照)に接続可能である。
【0028】
接触部10は角筒部11と第1接触片(接触片)17と第2接触片18とを有する。角筒部11は角筒状であり、上面部12と下面部13と側面部14,15とを有する。第1接触片17は板状であり、第1接触片17の一端部は上面部12に連なる。第1接触片17の他端部には第1接点17aが形成されている。下面部13には第2接点13aが形成されている。第2接点13aは後述する第2方向D2で第1接点17aと対向する。第2接触片18は板状であり、第2接触片18の一端部は上面部12に連なる。第2接触片18の他端部は第1接触片17の他端部の上方に位置する。
【0029】
圧着部20はワイヤバレル21とインシュレーションバレル22とを有する。ワイヤバレル21は図示しない電線の導線を抱くように折り曲げられて、導線を保持する。インシュレーションバレル22はワイヤバレル21に連なり、電線の被覆を抱くように折り曲げられて、被覆を保持する。なお、便宜上、図1、図4、図5には圧着部20に電線が結線されていない状態が示されている。
【0030】
連結部30は接触部10と圧着部20とを連結する。
【0031】
連結部30は第1連結片(連結片)31と第2連結片(連結片)32と第3連結片33とを有する。第1、第2連結片31,32はほぼ板状である。第1連結片31の厚さ方向と第2連結片32の厚さ方向とはコンタクト長手方向Lと直交する方向(以下、「第1の方向」という)D1と平行である。第1、第2連結片31,32の一端は接触部10に連なる。第1、第2連結片31,32は第1の方向D1(ソケットコネクタ100(又はソケットコンタクト101)の左右方向)へ接触部10が圧着部20に対して首振り動作するように弾性変形可能である。第3連結片33はほぼU字形であり、第1連結片31と第2連結片32とを連結する。第3連結片33の中間部は圧着部20に連なる。
【0032】
一対のコンタクト固定片40,40は板状であり、第1、第2連結片31,32の上部に連なる。一対のコンタクト固定片40,40はそれぞれコンタクト長手方向Lと第1の方向D1とに直交する第2の方向(ソケットコネクタ100(又はソケットコンタクト101)の上下方向)D2へ延びている。コンタクト固定片40はハウジング60の収容孔61の内面に固定される。
【0033】
ハウジング60は絶縁性の樹脂で形成されている。図1に示すように、ハウジング60の収容孔61にはソケットコンタクト101が収容される。収容孔61にソケットコンタクト101を収容したとき、収容孔61の内面とソケットコンタクト101の側面部14,15との間には、収容孔61内のソケットコンタクト101の接触部10の首振り動作を可能にする隙間Gがある(図4、図5参照)。
【0034】
図3に示すように、プラグコネクタのピンコンタクト901は接触部910と圧入部950と連結部930とを有する。
【0035】
接触部910の先端部と後端部とにはそれぞれ切欠911が形成されている。切欠911はソケットコンタクト101の接触部10が首振り動作をしたときに、接触部910が接触部10に干渉するのを防止する。
【0036】
圧入部950は接触部910に連なる。圧入部950の両側部は鋸歯状である。
【0037】
連結部930は圧入部950と接続部(図示せず)とを連結する。接続部は図示しないプリント基板のスルーホールに挿入され、半田付けされる。
【0038】
次に、一例として自動車のエンジンルームに搭載されたソケットコネクタ100の動作について説明する。
【0039】
自動車のエンジンを始動する前、ソケットコネクタ100とプラグコネクタとは嵌合しているが、ソケットコンタクト101の製造誤差やハウジング60に対するソケットコンタクト101の組付誤差があるため、第1接点17aと第2接点13aとは、首振り動作の回転中心Oを通り、コンタクト長手方向Lに平行な仮想直線C1に対して、第1の方向D1へわずかにずれている(このずれは小さいため図4中に表れていない。)。
【0040】
自動車のエンジンを始動すると、エンジンで発生した熱によってソケットコネクタ100及びプラグコネクタの温度が高くなり、ソケットコンタクト101及びピンコンタクト901は熱膨張する。
【0041】
ソケットコンタクト101及びピンコンタクト901が熱膨張すると、ピンコンタクト901が伸長し、図5に示すように、ソケットコンタクト101の接触部10が圧着部20に対して第1の方向D1へ首振り動作する。このとき、接触部10は首振り動作の回転中心Oを回転中心として首振り動作をする。
【0042】
前述のように、エンジンの始動時点で、第1接点17aと第2接点13aとは仮想直線C1に対して第1の方向D1へわずかにずれているので、ピンコンタクト901が伸長すると、ソケットコンタクト101の接触部10に回転モーメントが生じ、接触部10が首振り動作する。その結果、接触部10が首振り動作しない構造のソケットコンタクト(図示せず)に較べ、ピンコンタクト901の接触部910に対する接触部10の相対摺動距離が短くなる。
【0043】
自動車のエンジンを停止すると、エンジンが冷え、それに伴ってソケットコネクタ100及びプラグコネクタの温度が低くなり、ソケットコンタクト101及びピンコンタクト901は収縮する。このとき、ピンコンタクト901の接触部910は第1、第2連結片31,32のばね力によってエンジン始動前のもとの位置まで首振り動作する。
【0044】
第1実施形態によれば、接続されたソケットコンタクト101とピンコンタクト901とが熱膨張したり、収縮したりしたとき、ソケットコンタクト101の接触部10が首振り動作するので、ピンコンタクト901の接触部910に対する接触部10の相対摺動を抑えることができ、摩耗粉の発生を抑制することができる。その結果、電気抵抗の増加を防ぐことができる。
【0045】
次に、この発明の第2実施形態のソケットコンタクト201を図6に基づいて説明する。第1実施形態と共通する部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0046】
ソケットコンタクト201の連結部230の第1、第2連結片(連結片)231,232の接触部10側部分にはそれぞれノッチ231a,232aが形成されている。
【0047】
第2実施形態によれば、第1実施形態の効果と同様の効果を奏するとともに、第1、第2連結片231,232がノッチ231a,232aを有するので、第1実施形態の第1、第2連結片31,32よりも変形し易くなる。
【0048】
次に、この発明の第3実施形態のソケットコンタクト301を図7に基づいて説明する。第1実施形態と共通する部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0049】
ソケットコンタクト301の連結部330の第1、第2連結片(連結片)331,332は互いに近づくようにV字状に折り曲げられている。
【0050】
一対のコンタクト固定片340,340の一方のコンタクト固定片340は連結部330の第3連結片333の一端に連なり、一対のコンタクト固定片340,340の他方のコンタクト固定片340は第3連結片333の他端に連なる。一対のコンタクト固定片340,340の位置は第1実施形態のソケットコンタクト101のコンタクト固定片40,40の位置よりも後方(圧着部20の方)に位置する。
【0051】
第3実施形態によれば、第1実施形態の効果と同様の効果を奏するとともに、第1、第2連結片331,332がV字状に折り曲げられているので、第1実施形態の第1、第2連結片31,32よりも変形し易くなる。
【0052】
更に、コンタクト固定片340の位置が第1実施形態のコンタクト固定片40の位置よりも後方に位置するので、第1、第2連結片331,332を長くしたのと同様の効果を得られる。
【0053】
次に、この発明の第4実施形態のソケットコンタクト401を図8〜図11に基づいて説明する。第1実施形態と共通する部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0054】
第1実施形態では、製造誤差や組付誤差によって第1,第2接点17a,13aが、首振り動作の回転中心Oを通り、コンタクト長手方向Lに平行な仮想直線C1に対して、右方(図4の上方)へずれていれば、ピンコンタクト901及びソケットコンタクト101が熱膨張したとき、接触部10は右方へ首を振り、第1、第2接点17a,13aが仮想直線C1に対して左方(図4の下方)へずれていれば、接触部10は左方へ首を振る。
【0055】
これに対し、第4実施形態では後述のようにソケットコンタクト401の接触部410が左方へだけ首を振る。
【0056】
ソケットコンタクト401の接触部410の角筒部411の側面部414,415には切欠414a,415aが形成されている(図8、図11参照)。切欠414a,415aは接触部410が首振り動作をしたときに、角筒部411とピンコンタクト901の接触部910との干渉を避ける。
【0057】
側面部415はコンタクト長手方向Lへ突出する突出片415bを有する。突出片415bは平板状である。突出片415bには孔415cが形成されている。
【0058】
連結部430は連結片431と連結片433とで構成されている。連結片431は円弧状に折り曲げられ、弾性変形可能である。連結片431の一端は接触部410に連なり、連結片431の他端は連結片433を介して圧着部20に連なる。連結片433はほぼU字形に折り曲げられ、連結片433の中間部が圧着部20に連なる。連結部430は接触部410を圧着部20に回転可能に連結するヒンジの役割を有する。
【0059】
一対のコンタクト固定片440,440の一方のコンタクト固定片440は連結片433の一端に連なり、一対のコンタクト固定片440,440の他方のコンタクト固定片440は連結片433の他端に連なる。
【0060】
ソケットコンタクト401は安定化片(安定化手段)450を備えている。安定化片450は円弧状部451と連結部452とを有する。円弧状部451の一端は連結部452を介して連結片433に連なる。円弧状部451の他端は側面部415の突出片415bの孔415cに摺動可能に挿入されている(図8、図10参照)。
【0061】
連結部452はほぼL字形に折り曲げられ、円弧状部451と連結片433とを連結している(図9参照)。
【0062】
次に、第4実施形態のソケットコンタクト401の動作について説明する。
【0063】
ピンコンタクト901(図3参照)及びソケットコンタクト401の温度が上昇すると、ピンコンタクト901及びソケットコンタクト401が熱膨張する。その結果、第1、第2接点17a,13a(図10、図8参照)はコンタクト長手方向Lに沿って固定片440から離れる方向へ移動しようとする。このとき第1、第2接点17a,13aはピンコンタクト901を押圧し、その反力Rをピンコンタクト901から受ける。反力Rは仮想直線C2(接触部410の首振り動作の回転中心(連結片431の中心部)を通り、コンタクト長手方向Lに平行な仮想直線)とほぼ平行で、圧着部20の方へ向かう力であり、仮想直線C2から大きく左方へずれている(図10参照)。このため、反力Rにより首振り動作の回転中心を中心とする反時計回りの回転モーメントMが生じ(図10参照)、その結果、接触部410は左方(図10の左方)へ首を振る。
【0064】
接触部410が第1の方向D1以外の方向に首振り動作しようとしても、安定化片450の円弧状部451が孔415cに挿入されているので、接触部410の第1の方向D1以外の方向の首振り動作は規制される。その結果、接触部410の第1の方向D1へだけ回転し、接触部410の動作が安定する。
【0065】
第4実施形態によれば、第1実施形態の効果と同様の効果を奏するとともに、接触部410の首振り動作を許容するため隙間G(図4参照)をソケットコンタクト401の片側にだけ形成すればよいので、ソケットコンタクト401をより狭ピッチでハウジングに配置することができ、よりコネクタを小型化することがでる。
【0066】
また、切欠414a,415aを有するので、ピンコンタクト901の接触部910の切欠911を不要とすることができ、また、接触部910に切欠911を残す場合、接触部410の首振り動作の範囲をより大きくすることができる。
【0067】
なお、上述の実施形態では角筒部11,411を有する接触部10,410が採用されているが、接触部としては角筒部11,411を有するものに限られない。
【0068】
また、上述の実施形態はソケットコンタクト101,201,301,401であるが、ソケットコンタクト以外のコンタクト、例えば、ピンコンタクト等にもこの発明を適用することができる。
【0069】
なお、上述の実施形態では接続部として圧着部20が採用されているが、接続部として、例えば、図示しないプリント基板のパッドに半田付けされる半田付け部でもよい。
【0070】
また、第1の実施形態では、エンジンルームに搭載されるソケットコネクタ100とピンコネクタとを一例として説明したが、この発明の適用範囲はこれに限定されず、例えば、砂漠のような昼夜の温度差が著しく大きな環境下で使用されるコネクタとして好適である。
【0071】
上述の実施形態では、ピンコンタクト901及びソケットコンタクト101,201,301,401の温度が上昇すると、ピンコンタクト901及びソケットコンタクト101,201,301,401が熱膨張してピンコンタクト901がより深くソケットコンタクト101,201,301,401に挿入される。しかし、ピンコネクタ(相手側コネクタ)及びソケットコネクタのハウジングの熱膨張率は、ピンコンタクト901及びソケットコンタクト101,202,301,401の熱膨張率よりも大きいので、ピンコンタクト901のハウジングに対する固定位置、ソケットコンタクト101,201,301,401のハウジングに対する固定位置、ピンコネクタのハウジングとソケットコネクタのハウジングとの嵌合状態等によっては、ピンコネクタ及びソケットコネクタが熱膨張すると、ピンコンタクト901がソケットコンタクト101,202,301,401に対して相対的に後退する場合がある。
【0072】
このような場合に磨耗粉の発生を抑制するには、第4実施形態のソケットコンタクト401の接触部410を予め仮想直線C2に対して左方(図10の左方)傾けておけばよい。
【0073】
この変形例では、ピンコネクタ及びソケットコネクタが熱膨張すると、第1,第2接点17a,13aがピンコンタクト901に引っ張られて、接触部410に時計回りのモーメントが生じ、その結果、第1,第2接点17a,13aがピンコンタクト901の動きに追随し、磨耗粉の発生が抑制される。
【符号の説明】
【0074】
100 ソケットコネクタ(コネクタ)
101,201,301,401 ソケットコンタクト(コンタクト)
10,410 接触部
11,411 角筒部
12 上面部
14,15,414,415 側面部
414a,415a 切欠
415c 孔
17 第1接触片(接触片)
20 圧着部(接続部)
30,230,330,430 連結部
31,231,331 第1連結片(連結片)
32,232,332 第2連結片(連結片)
431,433 連結片
231a,232a ノッチ
40,340,440 コンタクト固定片
450 安定化片(安定化手段)
60 ハウジング
61 収容孔
G 隙間
901 ピンコンタクト(相手側コンタクト)
910 接触部
L コンタクト長手方向
D1 第1の方向(コンタクト長手方向と直交する方向)
D2 第2の方向(コンタクト長手方向と直交する方向とに直交する方向)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側コンタクトに接触する接触部と、
接続対象物に接続される接続部と、
前記接触部と前記接続部とを連結するとともに、コンタクト長手方向と直交する方向へ前記接触部が前記接続部に対して首振り動作するように弾性変形する連結部と
を備えていることを特徴とするコンタクト。
【請求項2】
前記連結部が一対の連結片を有することを特徴とする請求項1記載のコンタクト。
【請求項3】
前記連結片にノッチが形成されていることを特徴とする請求項2記載のコンタクト。
【請求項4】
前記一対の連結片が、互いに近づくようにV字状に折り曲げられていることを特徴とする請求項2記載のコンタクト。
【請求項5】
前記接触部の首振り動作を安定させる安定化手段を備えていることを特徴とする請求項1記載のコンタクト。
【請求項6】
前記連結部が1つの連結片を有し、前記連結片の一端が前記接続部に連なり、前記連結片の他端が前記接触部に連なり、
前記安定化手段が1つの安定化片で構成され、前記安定化片の一端が前記接続部に連なり、前記安定化片の他端が前記接触部に設けられた孔に相対摺動可能に挿入されている
ことを特徴とする請求項5記載のコンタクト。
【請求項7】
前記コンタクト長手方向と前記直交する方向とに直交する方向へ突出する一対のコンタクト固定片が、前記連結部に設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のコンタクト。
【請求項8】
前記接触部が、前記相手側コンタクトが挿入される角筒部と、この角筒部の上面部に設けられ、前記角筒部に挿入された前記相手側コンタクトの上面に接触する接触片とを有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載のコンタクト。
【請求項9】
前記角筒部の両側面部に前記相手側コンタクトとの干渉を避ける切欠が設けられていることを特徴とする請求項8記載のコンタクト。
【請求項10】
請求項1〜9いずれか1項記載のコンタクトと、このコンタクトを収容する収容孔を有するハウジングとを備え、
前記収容孔に前記コンタクトを収容したとき、前記コンタクト固定片が前記収容孔の内面に固定されるとともに、前記接触部と前記収容孔の内面との間に前記接触部の首振り動作を可能にする隙間が形成される
ことを特徴とするコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−119129(P2011−119129A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275792(P2009−275792)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】