説明

コンテナ及び搬送装置並びにこれらを備えた飼料プラント

【課題】 内容物をほぼ完全に排出でき、かつ、比較的省スペースかつ簡単な機構でフタを開閉できるコンテナ、そのようなコンテナとホッパーとを組み合わせた搬送装置、並びに、そのような搬送装置を備えた飼料製造プラントを提供する。
【解決手段】 コンテナ1は、内容物である粉粒体の安息角を越える傾斜を有する錐状の錐状部4を備えた容器本体3と、錐状部4の開口2を開閉するフタ6と、を具備する。内容物投入時は錐状部4が上となってフタ6がスライド開閉し、内容物排出時は錐状部4が下となってフタ6がスライド開閉し、さらに同コンテナ1と、コンテナ1のフタ6をスイング開閉する機構を備えたホッパーとを組み合わせた搬送装置を構成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配合飼料などの粉粒体を収容して、搬送・保管するコンテナに関する。特には、内容物をほぼ完全に排出でき、かつ、比較的省スペースかつ簡単な機構でフタを開閉できるコンテナに関する。さらには、そのようなコンテナとホッパーとを組み合わせた搬送装置、並びに、そのような搬送装置を備えた飼料製造プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
配合飼料の製造においては、各種原料や中間品、製品のトレーサビリティーを高めたり、生産量の増減に対応するために、これらの各種原料、中間品、製品を必要に応じて種類別やロット別に小型のコンテナに収容するという方法が提案されている。コンテナとしては、通常、排出口と投入口を備えた容器本体と、この口を開閉するフタとが備えられたものが使用される。
【0003】
このようなコンテナにおいては、フタは、スライド又はスイングして開口を開閉するように容器本体に取り付けられているものが多い。スライド式、スイング式のフタには次のような問題点がある。すなわち、スライド式のフタの場合、排出時に、フタの上面に内容物が残留することがある。このようにある内容物が残留した状態で、別の種類又はロットの内容物を投入すると、内容物が混合してしまうことがある。一方、スイング式の場合は、排出時にフタが回転するので残留物が残らないが、フタがスイングする際のスペースを設けておく必要がある。また、フタをスイングさせる機構が複雑になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、内容物をほぼ完全に排出でき、かつ、比較的省スペースかつ簡単な機構でフタを開閉できるコンテナを提供することを目的とする。さらには、このようなコンテナと、コンテナの開口の開閉を行う機構を備えたホッパーとからなる搬送装置、並びに、そのような搬送装置を備え、原料と製品間のトレーサビリティーに優れた飼料製造プラントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のコンテナは、 内容物である粉粒体の安息角を越える傾斜を有する錐状の錐状部を備えた容器本体と、 前記錐状部の開口を開閉するフタと、を具備するコンテナであって、 内容物投入時は前記錐状部が上となり、内容物排出時は前記錐状部が下となり、 前記フタがスイング開閉及びスライド開閉の両方が可能であることを特徴とする。
【0006】
本発明においては、 前記フタが、排出時はスイング開閉され、投入時はスライド開閉されることとできる。
【0007】
本発明によれば、錐状の錐状部を下にして内容物を排出するので、容器本体内に内容物が残留しない。一方、排出・投入口と反対側(底という)をフラットにできるので、内容積を大きくとることができる。また、排出口と投入口とを兼用する開口を1ヶ所に設けて、この開口を、スイング開閉及びスライド開閉可能なフタで開閉できるようにしたので、排出時にはスイング開閉、投入時にはスライド開閉できる。排出時にはフタをスイング開閉することにより、フタの裏側に内容物が残留することがなく、歩留まりロスがほとんどない。また、内容物のロット間や品種間の混合を避けることができる。さらに、投入時にフタがスライド式で開閉するので、フタの動作スペースが小さくてすむ。また、スライド式の方が開閉機構を比較的コンパクトとすることができる。このため設備サイズを小型化でき、費用を削減できる
【0008】
本発明においては、 前記フタが 前記錐状部の開口より一回り大寸法のフタ板と、 該フタ板の周縁に配設された、前記開口の外側の容器本体の外面に当てられるパッキンと、 該フタ板の一辺の外側に取り付けられた、スイング時の支点及びスライド時の引押部となるバーと、 前記容器本体に設けられた、前記フタ板の前記バーに対向する辺、及び、該バーを前記容器本体外面に対して押えるフック若しくはストッパと、を有することとできる。
【0009】
この場合、バーを引っ張ってフタ板をスライドさせたり、バーを中心としてフタ板をスイングさせるようにフタ板を操作することにより、比較的簡単な構造でフタをスイング可能及びスライド可能とすることができる。
【0010】
本発明においては、 前記フックが、前記フタのスライド方向に延び、前記バーの係合する係合凹部を有し、 該係合凹部の上縁に、前記バーの不意のスライドを防止するための凸部が形成されていることが好ましい。
【0011】
フタが上向き姿勢のとき、バーはパッキンの弾力で上に持ち上がっている。このとき、バーは係合凹部と干渉するので、持ち上がったままではスライドできない。つまり、いったんバーを下げないと係合凹部を通過できない。したがって、コンテナを傾けたような場合でも、バーを下げる動作を意図的に行わない限りフタがスライドしないので、フタの不意のスライドを防止できる。
【0012】
本発明においては、 前記フックの係合凹部の下方に、スライド方向において徐々に上方に傾斜するスロープが形成されていることが好ましい。
【0013】
フタをスライドする際、まず、前述のように、バーをいったん押し下げた後、バーをスロープに沿ってスライドさせる。バーは、スロープに沿って持ち上がるので、フタ板も同時に持ち上がり、パッキンの容器本体への押圧力が下がる。これによりフタのスライド抵抗が下がるので、フタをスライドさせる機構のパワーを低くできる。また、パッキンの摩擦による損耗も低減できる。
【0014】
本発明の搬送装置は、 内容物を収容するコンテナと、該コンテナから排出される内容物を受けて下方に落下させるホッパーと、からなる搬送装置であって、 前記コンテナが、 錐状の錐状部を備えた容器本体と、 前記錐状部の開口をスライド開閉及びスイング開閉するフタと、を具備し、 内容物投入時は、前記錐状部が上となって前記フタがスライド開閉し、内容物排出時は前記錐状部が下となって前記フタがスイング開閉されるものであり、 前記ホッパーが、 前記フタをスイング開閉する機構、を具備することを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、スライド開閉及びスイング開閉の両方が可能なフタを備えたコンテナを使用したプラントを実現できる。
【0016】
本発明においては、 前記フタをスライド開閉不能にロックする機構と、 さらに、該スライド開閉ロック機構を解除する機構と、を具備することとすれば、フタの不意のスライドを防止することができる。
【0017】
また、 前記フタのスライド開閉ロック機構が、 前記容器本体に設けられて、前記フタのスライド方向に延びる係合凹部を有するフックを有し、 前記係合凹部の上縁端部に凸部が形成されているとともに、下縁にスライド方向において徐々に上方に傾斜するスロープが形成されており、 前記フタのスライド開閉ロック解除機構が、 前記バーを前記パッキンの弾力に抗して押圧して、前記フックの凸部の下方へ該バーを下すアクチュエータと、 前記バーを、前記フックの係合凹部のスロープに沿って移動させるアクチュエータと、を有し、 前記フタのスイング開閉機構が、 前記バーを受けて前記フタのスイング支点となる受け部材と、 前記フタを下方から支えながら開くアクチュエータと、を有することとできる。
【0018】
この場合、比較的簡単な構成でフタをスイング開閉させて、ホッパー内に内容物を排出することができる。
【0019】
本発明の飼料配合プラントは、 複数種類の主原料及び副原料を受け入れ配合・処理して配合飼料を製造する飼料配合プラントであって、 原料、副原料、各種中間品及び製品を加工・配合・包装する処理装置群を備え、 該処理装置間で原料、副原料、各種中間品及び製品を搬送するいずれかの過程において用いられる請求項6〜8いずれか1項記載の搬送装置を具備することを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、コンテナへの中身の充填や排出を、省スペースで、かつ、比較的簡易な機構で行うことができ、飼料製造工程において、各種原料、中間品、製品を必要に応じて種類別やロット別に小型のコンテナに収容して保管することが容易になる。これにより、各種原料や中間品、製品のトレーサビリティーを高めたり、生産量の増減に容易に対応しやすくなる。
【発明の効果】
【0021】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、内容物をほぼ完全に排出でき、かつ、比較的省スペースかつ簡単な機構でフタを開閉できるコンテナを提供できる。さらに、このようなコンテナと、同コンテナのフタのスイング開閉機構を備えたホッパーとを組み合わせることにより、各種原料、中間品、製品を種類別やロット別にコンテナに収容する場合に適した、省スペースで比較的簡単な構成の搬送装置を提供できる。そして、このような搬送装置を使用することにより、各種原料や中間品、製品のトレーサビリティーの信頼性を高めたり、生産量の増減に対応できる飼料製造プラントを実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るコンテナ(投入姿勢)の構造を示す図であり、図1(A)は正面図、図1(B)は側面図である。
図2は、図1のコンテナの容器本体の構造を示す平面図である。
コンテナ1は、図1に示すように、排出・投入用の開口2を備えた容器本体3と、開口2を開閉するフタ6とを備える。このコンテナ1の容器本体3は直方体の枠状のアングル7で囲まれている。このアングル7は、コンテナ1の補強や搬送時にコンテナの取り扱いの容易にするためのものである。この例では、アングル7の寸法は、高さが2m、幅が1.8m、奥行きが1.2mである。以下の説明において、上下、左側・右側及び前側・後側は、図面に示す側をいう。
【0023】
容器本体3は、先細の角錐台状の錐状部4と、方形の箱状の主収容部5とからなる。錐状部4の先端には、内容物が投入・排出される方形の開口2を中心に構成された排出・投入部となっている。容器本体3をこのような形状とすることにより、投入時には主収容部5が下になって底がフラットになるので、内容物を投入可能な容積をできるだけ大きくすることができる。一例で、この容器本体3の容積は約2.8mである。錐状部4の各側板の傾斜角度は、内容物である粉粒体の安息角以上の傾斜を有する。この例では、錐状部4の前板4aの水平面に対する傾斜角度は57°、後板4bの同傾斜角度は79°、左右の側板4c、4dの同傾斜角度は64°である。このように傾斜角度を設けることにより、錐状部4を下にした姿勢での排出時に、内容物が錐状部4の側壁に沿って開口2に向ってスムーズに流れ出すので、容器本体3内に内容物が残留しない。
【0024】
開口2は、図2に示すように、方形の平面形状であり、コンテナ1の中心からコンテナの短手方向(図の後方向)にずれた位置に形成されている(図1(B)も参照)。詳しくは後述するように、フタ6は、開口2の短手方向(前後方向)にスライドする。このため、開口2をコンテナ1の中心から前方向にずらして、開口2を開くためにフタ6を短手方向にスライドさせたときに、スライドしたフタ6が位置するためのスペース19を確保している。
【0025】
開口2の周囲には、水平に張り出すフランジ2aが形成されている。フランジ2aの前縁の両端付近からは、支持部材11がフタのスライド方向(図の前方向)に延びている。支持部材11は、アングル7の枠内を延びており、図1(B)に示すように、フランジ2aからやや上方に傾斜した後、前側に向ってやや下方に傾斜している。スライドしたフタ6は、この支持部材11上に支持される。
【0026】
図2に示すように、フランジ2aの上面の、開口2の左右外側には、フタ6をスライド方向(前後方向)に案内するガイド12が立設されている。また、開口2の後外側には、フタ6を閉位置で位置決めするストッパガイド13が立設されている。このストッパガイド13には、フタ6の後縁をフランジ2aに対して固定するストッパ14が設けられている。また、開口2の前外側には、フタ6の前側の縁をフランジ2aに対して固定するフック15が形成されている。ストッパ14やフック15の形状については後述する。
【0027】
次に、フタ6の構造を説明する。
図3は、図1のコンテナのフタの構造を示す図であり、図3(A)は平面図、図3(B)は側面断面図である。
フタ6は、容器本体1の開口2より一回り大寸法の方形のフタ板61を有する。フタ板61は、中央部61aと、中央部61aの周囲から立ち上がった周縁部61bとを有する。中央部61aには、一面に渡って補強用のリブ61cが設けられている(このリブ61cは図3(A)においてのみ図示する)。周縁部61bには内側(容器本体側)に開いた周溝部61dが形成されており、同部61d内にパッキン62が配設されている。このパッキン62は、容器本体3の開口2の外側のフランジ2aに当てられる。フタ板61の前縁の外側には、同板の長手方向(左右方向)に延びるバー63が設けられている。バー63の長さは、フタ板61の長手方向の長さよりも長く、バー63の両端はフタ板61から左右に突き出ている。このバー63は、フタ6のスイング時の支点及びスライド時の引押部となるものである。
【0028】
図4は、フタで閉じられた開口を示す図であり、図4(A)は平面図、図4(B)は側面断面図、図4(C)は図4(B)の一部を拡大した図である。
図5は、フタが開いた開口及びその周囲を示す側面断面図である。
フタ6は、図4(A)に示すように、容器本体3のフランジ2aの後側に設けられたストッパ14と前側に設けられたフック15とで、開口2を塞ぐように支持されている。ストッパ14は、図5(B)に示すようにL字状であり、この例では、3個のストッパ14がストッパガイド13に設けられている。同ストッパ14は、図4(B)に示すように、フタ板61の後縁に噛み合っている。
【0029】
フック15は、開口2の前方かつ左右両側に設けられている。フック15には、図4(C)に解りやすく示すように、フタ6のスライド方向(開口を開く方向、図の前方向)に延び、フタ6のバー63の両端が係合する係合凹部15aが形成されている。この係合凹部15aの上縁の端部には、下方に突き出た凸部15bが形成されている。一方、係合凹部15aの下縁の前側には、スライド方向において徐々に上方に傾斜するスロープ15cが形成されている。
【0030】
図4(A)に示すように、フタ6が閉じた状態では、フタ板61の左右縁及び後縁は、ガイド12及びストッパガイド13に囲まれ、パッキン62は開口2の周囲のフランジ2aに押し当てられている。そして、フタ板61の後縁はフック14に係止され、バー63の両端はフック15に係合している。これらのストッパフック14やフック15は、フタ板61をフランジ2aに押し当てて、パッキン62をフランジ2aに密接させている。言い換えれば、パッキン62の弾力によりフタ板61は上方に向って付勢されている。これにより、図4(C)に示すように、バー63がフック15の係合凹部15aの前縁に形成された凸部15bに係止される(バー63の凹部15aからの抜け出しが防止される)ので、コンテナ1が傾斜したような場合でも、フタ6が不用意にスライドすることがない(フタ6がロックされる)。
【0031】
このフタ6は、投入時にはスライド動作し、排出時にはスイング動作する。このスライド動作とスイング動作について説明する。
【0032】
まず、スライド動作を説明する。
フタ6を図4(B)に示す閉位置からスライドさせる際は、次のようにフタ6やバー63を操作する(その操作アクチュエータについては次述する)。まず、バー63を、パッキン62の弾力に抗して押し下げる。すると、バー63が係合凹部15aの凸部15bから離れて、係合凹部15aから出る方向にスライド可能となる(ロックが解除される)。次に、バー63を、係合凹部15aの下縁のスロープ15cに沿って前方へスライドさせる。バー63は、スロープ15cに沿って斜め上方に移動しながらスライドする。このようにバー63をスライドさせると、フタ板61の後縁がストッパ14から外れ、フタ板61を押し当てていた力が解除される。そして、バー63がスロープ15cに沿って上方向に移動するにつれてフタ板61も持ち上がる。すると、パッキン62のフランジ2aに対する押圧力が下がり、パッキン62とフランジ2a間のスライド抵抗が下がる。フタ板61は、バー63に引かれて左右のガイド12に案内されてスライドするが、パッキン62とフランジ2a間のスライド抵抗が比較的低いので、バー63をスライドさせるためのパワーは小さくてもよい。最終的には、図5に示すように、開口2が全開するまでフタ6がスライドし、フタは支持部材11上に保持される。
【0033】
次に、フタをスライドさせる機構について説明する。
図6は、フタのスライド機構の一例を説明する図である。
フタスライド機構70は、例えば、コンテナ1に中身を供給するために、コンテナ1の上方に配置されるホッパーなどが取り付けられた架台Mに設けることができる。フタスライド機構70は、スライド方向(前後方向)に伸縮するスライド用シリンダ71と、同スライド用シリンダ71を上下方向に移動させる昇降用シリンダ72とから構成される。このフタスライド機構70は、フタ6のバー63の両端に対応するように、左右一対で設けられることが好ましい。
【0034】
昇降用シリンダ72は、上下方向に伸縮するようにブラケット73で架台に固定される。そして、同シリンダ72のロッド72bのヘッド72aには、ブラケット74を介して、フタ6のスライド方向に伸縮するスライド用シリンダ71が固定されている。スライド用シリンダ71のロッド71bの先端には、下向きのコの字状のヘッド71aが取り付けられている。
【0035】
フタ6をスライドさせる場合は、まず、スライド用シリンダ71のロッド71bを少し出して、ヘッド71aをフタ6のバー63の真上に位置させる。その後、昇降用シリンダ72のロッド72bを出して、スライド用シリンダ71のヘッド71aにフタ6のバー63を係合させる。さらに、昇降用シリンダ72をやや出して、バー63を押し下げる。バー63は、フタ6のパッキン62の弾力に抗して押し下げられ、前述のように、フック15の係合凹部15aから脱出可能となる。その後、ヘッド71aにバー63を係合させたまま、スライド用シリンダ71のロッド71bを出して、バー63を前方に移動させる。バー63は、フック15のスロープ15cに沿って移動し、フタ板61がバー63に引かれてスライドして、開口2が開く。
【0036】
次に、スイング動作を説明する。
図7は、フタのスイング動作を説明する図である(操作アクチュエータは省略)。
図7(A)に示す排出時は、コンテナは反転装置(公知のものでよい)で反転され、開口2は下向きとされている。このとき、フタ6は前述のようにスライド不能にロックされている。ここから、フタ6のバー63を中心として図7(C)、図11、図12のようにスイングしていくが、図7(A)の状態では、フタ6の後縁がストッパ14に係止されているので、フタ6はスイング不能である。そこで、まず、図7(B)に示すように、前述のスライド動作と同様にして、フタ6のバー63をフック15の係合凹部15aから脱出可能とした後フタ6をややスライドさせて、フタ6の後縁をストッパフック14から外す。その後、図7(C)に示すように、バー63を中心としてフタ6を図の反時計方向にスイングさせて、開口2を全開とする。
【0037】
次に、フタ6をスイング開閉させる機構について説明する。この機構によって、フタ6はスライド開閉ロックが解除されてスライドした後、スイング開閉する。
図8は、スイング開閉機構の一例を説明する図である。
図9〜図12は、スイング動作を説明する図である。
スイング開閉機構は、例えば、コンテナ1の中身を移し変える際に、コンテナ1の下方に配置されるホッパー50に設けられる。このホッパー50は、例えば、別のコンテナや、出荷用のトラックの上方に設けられた架台Mに取り付けられている。
【0038】
ホッパー50は、図8に示すように、比較的大寸法の投入口50aと、比較的小寸法の排出口50bを有し、排出口50bに向って先細となっている。投入口50aの周囲には、パッキン51が配設されている。投入口50aのやや下方には、外方向に張り出すフランジ50cが設けられている。ホッパー50は、複数(この例では2個)の昇降用シリンダ52によって、架台に昇降自在に取り付けられている。シリンダ52は伸縮方向が上向きとなるように架台に固定されており、同シリンダ52のヘッド52aが、ホッパー50のフランジ50cにブラケット53を介して固定されている。
【0039】
ホッパー50の内面の上縁付近には、スライド用シリンダ54が取り付けられている。このシリンダ54は、伸縮方向がフタ6のスライド方向(前後方向)となるように配置されている。シリンダ54のヘッド54aには、上向きコの字状の受け部材55が取り付けられている。シリンダ54を伸縮させることにより、受け部材55を、ホッパー50の上方に配置されたコンテナ1のフタ6のバー63に係合する位置に移動できる。
【0040】
ホッパー50内には、さらに、ホッパー内を後側から前側に向って斜め上方に伸縮するスイング用シリンダ56が設けられている。シリンダ56は、例えば、ホッパー50の外面にブラケット57で取り付けられて、ロッド56bがホッパー50の側壁を貫通してホッパー50内に伸びるように設けられる。ホッパー側壁の貫通孔とピストンロッド56b間には、パッキンなどにより密閉されている。このシリンダ56は、ホッパー内の下部の左右に配置されている。
【0041】
開口を開く際は、まず、図9に示すように、スライド用シリンダ54のロッド54bを出して、受け部材55をフタ6のバー63の真下に位置させる。その後、図10に示すように、昇降用シリンダ52のロッド52bを出してホッパー60を上昇させ、ホッパー50の上端のパッキン51をコンテナ1のフランジ2aに当てるとともに、各受け部材55にフタ6のバー63を係合させる。ここで、スイング用シリンダ56のロッド56bを伸ばしてヘッド56aをフタ板61の周縁部61bに当てる。その後、さらに昇降用シリンダ52のロッド52bを出して、バー63を押し上げる。すると、バー63がフック15の係合凹部15aの凸部15bから外れる。
【0042】
次に、図11に示すように、スライド用シリンダ54のロッド54bを引き込んで受け部材55を前方向に引き、フタ6をスライドさせる。すると、バー63は、フック15の係合凹部15a内をスライドし、フタ6の後縁がストッパフック14から外れる。これにより、図12に示すように、フタ6は受け部材55に支持されたバー63を中心として回動可能となり、スイング用シリンダ56のヘッド56aで押えられながら、内容物の自重でバー63を中心としてスイングする。この間、ロッド56bはフタ6に押されて引き込む。これにより、コンテナ1の内容物がホッパー50へ排出される。フタ6は、バー63を中心として回動するので、コンテナ1の中身を完全に排出することができ、フタ6の上面(コンテナ側の面)に中身が積もって残ることがない。
【0043】
次に、このようなコンテナ1及びホッパー50からなる搬送装置を使用した配合飼料製造プラントの一例を説明する。
この例では、バルキー配合品(圧ペン中間品とペレット加工品の混合品)を製造する工程において、圧ペン中間品及びペレット加工品をコンテナに収容する場合の一例を説明する。
図13は、バルキー配合工程の一例を示すフローチャートである。
まず、原料が原料タンクに受け入れられ(S1)、副原料が副原料タンクに受け入れられる(S2)。原料はタンクから切り出され、一部は圧ペン加工された後(S3)、コンテナ1に収容される(S4)。また、一部は、マッシュ加工された後(S5)、副原料タンクから切り出された副原料と配合される(S6)。配合物はペレット加工された後(S7)、コンテナ1に収容される(S8)。そして、コンテナ1に収容された圧ペン中間品と、コンテナ1に収容されたペレット加工品が配合されて(S9)、バルキー配合品が製造される。バルキー配合品はコンテナ1に収容され(S10)、自動倉庫などに保管された後(S11)、出荷される(S12)。
【0044】
このフローチャートにおいて、加工された圧ペン中間品をコンテナ1に収容する工程(S3〜S4)において、コンテナ1を開口2を上にしてセットし、圧ペンロールからホッパーを介して、コンテナ1に圧ペン中間品を収容する。
そして、コンテナ1に収容された圧ペン中間品を、配合用の計量器に設けられている計量用コンテナに移す工程(S4〜S9)においては、コンテナ1を反転器で反転させて開口2を下にする。反転器としては、一般に使用されているものを使用できる。そして、開口2を下にしてホッパー50の上方にセットする。その後、前述のようにフタ6をスイングさせて開口2を開き、ホッパー50を介して中身を配合用の計量器に設けられている計量用コンテナに移す。
【0045】
また、加工されたペレット加工品をコンテナ1に収容する工程(S7〜S8)において、コンテナ1を開口2を上にしてセットし、ペレットミルからホッパーを介して、コンテナ1にペレット加工品を収容する。
そして、コンテナ1に収容されたペレット加工品を計量用コンテナに移す工程(S8〜S9)においては、コンテナ1を反転器で反転させて開口を下にする。反転器としては、一般に使用されているものを使用できる。そして、開口2を下にしてホッパー50の上方にセットする。その後、前述のようにフタ6をスイングさせて開口を開き、ホッパーを介して中身を配合用の計量器に設けられている計量用コンテナに移す。
【0046】
なお、他の工程においても、コンテナ1を使用することができる。
原料(主原料及び副原料)をコンテナ1に収容する場合は、例えば、トラックで運ばれてタンクにいったん貯蔵された原料を、精選器を通した後、コンテナ1に収容する。マッシュ中間品やマッシュ配合品をコンテナ1に収容する場合は、例えば、マッシュ中間品の場合は粉砕機、マッシュ配合品の場合は予備混合機から、ホッパーを介してコンテナ1に内容物が充填される。
【0047】
コンテナ1に収容された原料、マッシュ中間品、マッシュ配合品を、配合のために排出する場合は、コンテナ1を反転させた後、ホッパー50を介して、配合用の計量器に設けられている計量用コンテナに排出する。一方、コンテナ1に収容されたマッシュ配合品やバルキー配合品を、出荷のために排出する場合は、コンテナ1を反転させた後、ホッパー50を介して、バルク車の製品タンクや、TB(トランスバック)包装器や紙袋包装器用のシュートに排出する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態に係るコンテナ(投入姿勢)の構造を示す図であり、図1(A)は正面図、図1(B)は側面図である。
【図2】図1のコンテナの容器本体の構造を示す平面図である。
【図3】図1のコンテナのフタの構造を示す図であり、図3(A)は平面図、図3(B)は側面断面図である。
【図4】フタで閉じられた開口を示す図であり、図4(A)は平面図、図4(B)は側面断面図、図4(C)は図4(B)の一部を拡大した図である。
【図5】フタが開いた開口及びその周囲を示す側面断面図である。
【図6】フタのスライド機構の一例を説明する図である。
【図7】フタのスイング動作を説明する図である。
【図8】スイング開閉機構の一例を説明する図である。
【図9】スイング動作を説明する図である。
【図10】スイング動作を説明する図である。
【図11】スイング動作を説明する図である。
【図12】スイング動作を説明する図である。
【図13】バルキー配合工程の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0049】
1 コンテナ 2 開口
3 容器本体 4 錐状部
5 主収容部 6 フタ
7 アングル 11 支持部材
12 ガイド 13 ストッパガイド
14 ストッパ 15 フック
19 スペース 50 ホッパー
51 パッキン 52 昇降用シリンダ
53、57 ブラケット 54 スライド用シリンダ
55 受け部材 56 スイング用シリンダ
61 フタ板 62 パッキン
63 バー 70 フタスライド機構
71 スライド用シリンダ 72 昇降用シリンダ
73、74 ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物である粉粒体の安息角を越える傾斜を有する錐状の錐状部を備えた容器本体と、
前記錐状部の開口を開閉するフタと、
を具備するコンテナであって、
内容物投入時は前記錐状部が上となり、内容物排出時は前記錐状部が下となり、
前記フタがスイング開閉及びスライド開閉の両方が可能であることを特徴とするコンテナ。
【請求項2】
前記フタが、排出時はスイング開閉され、投入時はスライド開閉されることを特徴とする請求項1記載のコンテナ。
【請求項3】
前記フタが
前記錐状部の開口より一回り大寸法のフタ板と、
該フタ板の周縁に配設された、前記開口の外側の容器本体の外面に当てられるパッキンと、
該フタ板の一辺の外側に取り付けられた、スイング時の支点及びスライド時の引押部となるバーと、
前記容器本体に設けられた、前記フタ板の前記バーに対向する辺、及び、該バーを前記容器本体外面に対して押えるフック若しくはストッパと、
を有することを特徴とする請求項1又は2記載のコンテナ。
【請求項4】
前記フックが、前記フタのスライド方向に延び、前記バーの係合する係合凹部を有し、
該係合凹部の上縁に、前記バーの不意のスライドを防止するための凸部が形成されていることを特徴とする請求項3記載のコンテナ。
【請求項5】
前記フックの係合凹部の下方に、スライド方向において徐々に上方に傾斜するスロープが形成されていることを特徴とする請求項3又は4記載のコンテナ。
【請求項6】
内容物を収容するコンテナと、該コンテナから排出される内容物を受けて下方に落下させるホッパーと、からなる搬送装置であって、
前記コンテナが、
錐状の錐状部を備えた容器本体と、
前記錐状部の開口をスライド開閉及びスイング開閉するフタと、
を具備し、
内容物投入時は、前記錐状部が上となって前記フタがスライド開閉し、内容物排出時は前記錐状部が下となって前記フタがスイング開閉されるものであり、
前記ホッパーが、
前記フタをスイング開閉する機構、
を具備することを特徴とする搬送装置。
【請求項7】
前記フタをスライド開閉不能にロックする機構と、
さらに、該スライド開閉ロック機構を解除する機構と、
を具備することを特徴とする請求項6記載の搬送装置。
【請求項8】
前記フタのスライド開閉ロック機構が、
前記容器本体に設けられて、前記フタのスライド方向に延びる係合凹部を有するフックを有し、
前記係合凹部の上縁端部に凸部が形成されているとともに、下縁にスライド方向において徐々に上方に傾斜するスロープが形成されており、
前記フタのスライド開閉ロック解除機構が、
前記バーを前記パッキンの弾力に抗して押圧して、前記フックの凸部の下方へ該バーを下すアクチュエータと、
前記バーを、前記フックの係合凹部のスロープに沿って移動させるアクチュエータと、
を有し、
前記フタのスイング開閉機構が、
前記バーを受けて前記フタのスイング支点となる受け部材と、
前記フタを下方から支えながら開くアクチュエータと、
を有することを特徴とする請求項7記載の搬送装置。
【請求項9】
複数種類の主原料及び副原料を受け入れ配合・処理して配合飼料を製造する飼料配合プラントであって、
原料、副原料、各種中間品及び製品を加工・配合・包装する処理装置群を備え、
該処理装置間で原料、副原料、各種中間品及び製品を搬送するいずれかの過程において用いられる請求項6〜8いずれか1項記載の搬送装置を具備することを特徴とする飼料製造プラント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−18990(P2008−18990A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−193665(P2006−193665)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【出願人】(596013394)パシフィックサイエンス株式会社 (8)
【出願人】(506242898)
【Fターム(参考)】