説明

コンテンツ再生装置及びネットワークサービスを用いるコンテンツ再生方法

【課題】 ディスク再生装置と外部サーバ(コンテンツプロバイダ)間における通信(データの受け渡し)を、AACS規格により保護したことにより権利者の同意を得ない複製等のためのアクセスからコンテンツを保護できるコンテンツ再生装置及びネットワークサービスを用いるコンテンツ再生方法を提供する。
【解決手段】
この発明は、記録媒体に記録されているコンテンツを再生し、再生により取得したコンテンツにより特定される外部サーバの前段に位置されるプロキシサーバに対して暗号化されたリクエストを送信するとともに、リクエストに対応した外部サーバからのレスポンスがプロキシサーバで暗号化されたレスポンスを受け取り、復号し、復号した外部サーバからのレスポンスに従い、記録媒体に記録されているコンテンツの再生に対して所定の処理を付加することを特徴とするコンテンツ再生方法及びコンテンツ再生装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主として動画とオーディオ信号を含み、例えばDVD規格の光ディスクに代表される記録媒体を介して供給されるコンテンツを再生するコンテンツ再生装置、及びネットワークサービスを用いるコンテンツ再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
映像コンテンツあるいはオーディオコンテンツを高密度で保持可能な記録媒体として光ディスクが実用化されて久しい。
【0003】
光ディスクは、テープ状の媒体に比較して、任意の再生位置からのコンテンツの再生が可能で、物理的な大きさに対する記録容量が大きいことから、急速に普及している。
【0004】
近年、記録されているコンテンツ(情報)の再生に、青色または青紫色の、波長の短いレーザ光を用いることにより、HD規格の映像データと高品質のサラウンドオーディオデータとを一枚のディスクに保存できる超高密度光ディスク(High Definition Digital Versatile Disc,以下、HD DVDと略称する)も既に実用化されている。
【0005】
なお、HD DVD規格の光ディスク(一部のDVD規格の光ディスクを含む)では、光ディスクに収容されているコンテンツの1つに、ネットワークを介してそのコンテンツの供給元へのアクセスを推奨するアドレスあるいはリンク先情報が含まれている。反面、HD DVD規格の光ディスクにおいては、権利者の同意を得ない複製等に関し、ネットワーク等で結ばれた機器に対して、AACS(Advanced access content system)に準拠したコンテンツの保護が実施されている。
【0006】
特許文献1には、ネットワークを介してプロバイダから供給されるコンテンツに関し、ネイティブなDRM(Digital Rights Management)に変換する、DRM方式の違いが、コンテンツ消費者(ユーザ)に不利益(複数DRM対応のコンテンツ再生装置の用意等)をもたらすことのない、変換方法に関する記載がある。
【特許文献1】特表2005−514716
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1には、コンテンツ消費者(ユーザ)に複数DRM対応のコンテンツ再生装置の用意を要求する等の不利益をもたらすことがないよう、コンテンツ配信オペレータが属するネットワーク上に一貫したDRM方式を維持しつつ、消費者に不利益が生じることのないよう、異質のDRM方式を採用している複数のコンテンツプロバイダとの間のインタフェースに関しての記載があるが、HD DVD規格のAACSに関する記載(展開)は見当たらない。
【0008】
この発明は、AACS(Advanced access content system)コンテンツ保護規格を利用するアプリケーションが一般のWebサービスを利用する場合、ユーザが保持する再生装置とWebサーバとの間のデータの受け渡しにおいて、権利者の同意を得ない複製等のためのアクセスからコンテンツを保護可能なコンテンツ再生装置及びネットワークサービスを用いるコンテンツ再生方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、上記問題点に基づきなされたもので、記録媒体に記録されているコンテンツを再生するディスクドライブ装置と、このディスクドライブ装置により再生されたコンテンツにより特定される外部サーバとの間のデータの受け渡しを制御するネットワークコントローラと、このネットワークコントローラを介し、外部サーバとの間に設けられるプロキシサーバにより復号されたリクエストに対応した外部サーバからのレスポンスであって、プロキシサーバで暗号化されたレスポンスを受け取り、復号するとともに、外部サーバへのリクエストを暗号化するコンテンツ保護デコーダ/エンコーダユニットと、前記ネットワークコントローラ及び前記コンテンツデコーダ/エンコーダユニットによる外部サーバとの間のリクエスト/レスポンスの受け渡し及び前記コンテンツ保護デコーダ/エンコーダユニットによる復号化(デコード)/暗号化(エンコード)を制御する主制御装置と、を有することを特徴とするコンテンツ再生装置である。
【発明の効果】
【0010】
発明の実施の形態によれば、ユーザ端末であるディスク再生装置と外部サーバ(コンテンツプロバイダ)間における通信(データの受け渡し)を、AACS規格により保護したことにより権利者の同意を得ない複製等のためのアクセスからコンテンツを保護できる。すなわち、従来は(特許文献1では)、DRM方式毎の変換を行っているが、同じDRM方式を採用している異なるコンテンツに対しても、同じ暗号(暗号化)・復号(複合化)が行われることになる。本発明は、同じAACSという保護方式であっても、コンテンツ間で異なる暗号・復号の鍵を設定できることが新しい部分であり、仮にハッキングが発生した場合でも、一つのコンテンツだけに限定できる。
【0011】
また、AACSフィルタ(デコーダ/エンコーダ)を、コンテンツプロバイダのサーバと独立に設けたことにより、Webサービスを提供するコンテンツプロバイダの開発負荷を増大させることもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、この発明の実施の形態が適用可能なディスク再生装置の一例を概略的に示す。なお、以下に説明する本発明の実施の形態は、ディスク再生装置にのみ適用されるものではなく、例えばパーソナルコンピュータやビデオカメラ、もしくはビデオプログラムや映像コンテンツ等を再生可能な携帯端末装置においても、適用可能である。また、携帯端末装置やパーソナルコンピュータ、もしくはビデオゲーム端末装置に対して供給可能に取り扱われるプログラムとして販売されることも可能である。
【0014】
図1に示すディスク再生装置1は、記録媒体、例えばHD規格のDVDディスク(High Definition Digital Versatile Disc,以下、HD DVDと略称する)Dがセットされることで、光ディスクDに収容されている情報を再生することのできるディスクドライブユニット3、パーシステントストレージ(Persistent Storage,以下P−ストレージと呼称する)として用いられるハードディスクHDを含むハードディスクドライブ(HDD)ユニット5および、不揮発性メモリである半導体メモリ、例えばフラッシュメモリ7等を有する。
【0015】
ディスクドライブユニット3、ハードディスクドライブユニット5、フラッシュメモリ7は、CPUを含む主制御ブロック(Main Control Block)11に、データバス13、I/Oコントローラ21を介して接続されている。また、なお、データバス13には、メインメモリ(SDRAM)15、ネットワークコントローラ17およびAACSデコーダ/エンコーダ19等が接続されている。
【0016】
HD DVDディスクD、HDD5、およびフラッシュメモリ7等に保持されているデータは、周知のパケタイズド゛ストリーム(Packetized stream,以降“PS”と称する)と呼ばれるデータ形式である。また、詳述しないが、HD DVDレコーダの場合には、HDD5の容量が大きく、図示しないテレビチューナ部により受信された地上および衛星からのデジタル放送波等の録画(記録)も可能である。なお、デジタル放送は、TS(Transport stream,以降“TS”と称する)形式である。
【0017】
PSには、映像(ビデオ)と音声(オーディオ)およびその他の制御データが、時分割多重されている。さらに、映像(ビデオ)と音声(オーディオ)は、それぞれ送信すべきデータ量を低減する目的で圧縮された形態で送られてきている。また、データの多くは、ビデオデータであり、例えばH.264、VC1またはMPEG2と呼ばれる規格により圧縮されている。
【0018】
I/Oコントローラ21を介して取り込まれたデータは、データバス13を介し、SDRAM(メインメモリ)15に格納され、再生時には、ストリームパーサ23に入力される。ストリームパーサ23に入力されたデータは、映像すなわちビデオ信号と、音楽(音声を含む)すなわちオーディオ信号とに分離され、それぞれに対応するビデオ系デコーダ25およびオーディオ系デコータ27により復号される。
【0019】
復号されたビデオ信号すなわち映像は、出力部29を通じて、例えば液晶ディスプレイやCRTに代表される表示装置31において表示可能に、出力される。また、復号されたオーディオ信号すなわち音楽あるいは音声は、出力部29からスピーカ33(表示装置に内蔵されている場合もある)に出力される。
【0020】
ネットワークコントローラ17は、公衆通信回線あるいはローカルエリアネットワーク(LAN)を経由して、外部サーバ(webサイト)やLAN上の任意数のディスク再生装置との間で、データの受け渡しおよび転送が可能である。
【0021】
なお、外部サーバとしては、例えばHD DVDディスクDの供給元が展開するwebサイトや、ディスク供給元が指定もしくは提携する特定の接続先であって、コンテンツを無償あるいは有償で提供する配信サイト(コンテンツプロバイダ)等が含まれる。また、ネットワーク上には、ディスク再生装置1と実質的に同一の機能を含む携帯可能型のディスク再生装置や、例えば家庭内に別の場所に設けられている同形式あるいはHD DVDディスクDを再生可能な別の形式のディスク再生装置が接続可能である。
【0022】
図1に示したディスク再生装置1においては、市販されているHD DVDディスク、すなわちビデオソフトをディスクドライブユニット3にセットして再生する場合、ネットワークコントローラ17を経由して、光ディスクに収容されているコンテンツの供給元へのアクセスを推奨するアドレスあるいはリンク先情報、として用意されたディスクの供給元のwebサイト、ならびにディスク供給元が提携する特定の接続先へのアクセスが可能である。
【0023】
HD DVDディスクに用意されているディスク供給元のwebサイトへアクセスすることにより、ビデオソフトが製造された後に追加された映像、例えばビデオソフトの購入者への特典として用意されたオリジナルプログラムやビデオソフトには収容されていない別の言語の音声等の付加的なコンテンツを、任意にダウンロードできる。なお、付加的なコンテンツとしては、例えば同じ供給元が供給する他のビデオソフトの案内等である新着案内と呼ばれるコンテンツも存在する。
【0024】
ダウンロードにより取得した付加的なコンテンツは、例えばHDDユニット5のハードディスクHDまたはフラッシュメモリ7に記憶される。
【0025】
このため、ディスク再生装置において光ディスクを再生する場合に、コンテンツ供給元が提供する付加的なコンテンツをネットワークからダウンロードすることにより、HD DVDディスクに収容されているコンテンツと、同時にまたは。並列に再生可能である。なお、コンテンツ供給元から取得可能な付加的なコンテンツには、有償、すなわちダウンロード毎に料金が要求されるものがある。
【0026】
ところで、ディスク再生装置1のディスクドライブユニット3にセットされた記録媒体がHD DVDディスクである場合、HD DVDディスクに格納されているコンテンツとしては、図2を用いて以下に説明するように、アドバンスドコンテンツ(Advanced Content)と呼ばれるコンテンツ及び図3を用いて以下に説明するように、アドバンスドディレクトリ(Advanced Directory)と呼ばれるコンテンツが含まれている。
【0027】
図2に示すように、HD DVD規格の光ディスクは、アドバンスドコンテンツとスタンダード(標準)コンテンツの両方を保存できる。アドバンスドコンテンツのデータタイプとして考えられるものとしては、アドバンスドナビゲーション、アドバンスドエレメント、プライマリビデオセット、セカンダリビデオセットなどがある。
【0028】
アドバンスドストリーム(Advanced Stream)は、プライマリビデオセット(Primary Video Set)を除く何れかのタイプのアドバンスドコンテンツファイルをアーカイブ化するデータフォーマットである。アドバンスドストリームは、プライマリエンハンスドビデオオブジェクトタイプ2(P-EVOBS-TY2)に多重化され、プライマリビデオプレーヤに供給されるP-EVOBS-TY2データとともに引き出される。
【0029】
アドバンスドストリームにアーカイブ化され、アドバンスドコンテンツ再生用に必須な同一のファイルは、ファイルとして保存する必要がある。これらの複製されたコピーは、アドバンスドコンテンツの再生を保証するものである。これは、プライマリビデオセットの再生をジャンプしたときに、アドバンスドストリームの供給が完了していないことがあるためである。この場合、指定されたジャンプ位置から再生を再開する前に、必要なファイルが直接ディスクからデータキャッシュ(Data Cache)に読み込まれる。
【0030】
アドバンスドナビゲーション(Advanced Navigation):
アドバンスドナビゲーション(Advanced Navigation)ファイルは、ファイルとして位置づけられる。アドバンスドナビゲーションファイルは、起動シーケンスの間に読み込まれ、アドバンスドコンテンツの再生用に解釈される。
【0031】
アドバンスドエレメント(Advanced Element):
アドバンスドエレメント(Advanced Element)は、ファイルとして位置づけることができ、またP-EVOB-TY2データに多重化されるアドバンスドストリームにアーカイブ化することもできる。
【0032】
プライマリビデオセット(Primary Video Set(s)):
ディスク上にあるプライマリビデオセットは、ただ一つだけである。
【0033】
セカンダリビデオセット(Secondly Video Set):
セカンダリビデオセット(Secondly Video Set)は、ファイルとして位置づけることができ、またP-EVOB-TY2データに多重化されるアドバンスドストリームにアーカイブ化することもできる。
【0034】
その他のファイル(Other File):
アドバンスドコンテンツによっては、その他のファイル(Other File)が用意されている(存在する)こともある。
【0035】
図3は、図2に示したHD DVDディスクに保存されるファイルシステム、すなわち、ディレクトリ(directory)とファイルの構成(file)を説明する概略図である。図3に示すように、アドバンスドコンテンツ用のファイルは、ディレクトリ内に位置づけることが好ましい。
【0036】
HD DVD_TSディレクトリ(HD DVD_TS directory):
「HD DVD_TS」ディレクトリ(HD DVD_TS directory)41は、ルートディレクトリ(Root Derectory)のすぐ下層に規定されている。プライマリビデオセット用の一つのアドバンスドVTS42,43および一つまたは複数の標準ビデオセットが、このディレクトリ以下に定義されている。
【0037】
ADV_OBJディレクトリ(Advanced Video_Object):
「ADV_OBJ」ディレクトリ(Advanced Video_Object)44は、ルートディレクトリ41のすぐ下にある。アドバンスドナビゲーション(Advanced Navigation)45に属する起動ファイルは、総てこのディレクトリにある。アドバンスドナビゲーション(Advanced Navigation)45に加え、アドバンスドエレメント(Advanced Element)46、セカンダリビデオセット(Primary Video Set(s))の全ファイルがこのディレクトリにある。
【0038】
アドバンスドコンテンツ用のその他のディレクトリ(Other Directory for Advanced content)47:
「アドバンスドコンテンツ用のその他のディレクトリ」(Other Directory for Advanced content)47は、「ADV_OBJ」ディレクトリ以下にのみ存在することができる。アドバンスドナビゲーション48、アドバンスドエレメント49、セカンダリビデオセットのファイルであればこのディレクトリに置くことができる。このディレクトリ名はd文字とd1文字で構成される。「ADV_OBJ」サブディレクトリの総数(「ADV_OBJ」ディレクトリを除く)は512未満とする。ディレクトリ階層の深さは8またはそれ以下とする。
【0039】
図2及び図3により説明したHD DVDディスクに収容されているコンテンツの中には、コンテンツ供給元が用意したコンテンツの供給元へのアクセスを推奨するアドレスあるいはリンク先情報として用意されたディスクの供給元のwebサイトならびにディスク供給元が提携する特定の接続先(例えば、Amazon.com等が代表例として知られている)サーバへのアクセスのためのアドレス情報等が含まれている。なお、HD DVD規格においては、webサイトとの接続あるいはネットワーク上にあるディスク再生装置との間のデータの受け渡しについては、AACS(Advanced access content system)コンテンツ保護規格に準拠することが求められおり、図4に示すように、ディスク供給元が提携(推奨)する特定の接続先(例えば、Amazon.com等、以下コンテンツプロバイダAと呼称する)が運営するサーバ401へのアクセスのついては、特定の制限あるいはアクセス手順が設定されている。なお、このディスク供給元が提携(推奨)するコンテンツプロバイダAのサーバへのアクセスのついては、AACSを策定した各社においても、制定されていない部分が存在する。
【0040】
以下、図5を用いて、AACSに準拠しつつ、ネットワーク上のWebサービスを利用する場合の、ユーザが保持するディスク再生装置1とWebサーバとの間のデータの受け渡しにおいて、権利者の同意を得ない複製等のためのアクセスからコンテンツを保護可能なコンテンツ再生方法について、その一例を説明する。
【0041】
先ず、図4を用いて、ディスク再生装置1と任意のWebサーバとの間のデータの受け渡しの概略について、説明する。
【0042】
ディスク再生装置1は、図1に示したように、ネットワークコントローラ17を介してネットワーク101と接続され、インターネット(internet)網の任意のwebサイトへのアクセスが可能である。反面、AACSで保護されたコンテンツについては、図4に示す通り、コンテンツプロバイダA401との間に、HTTPサーバ411とHTTP AACS proxy(プロキシ)サーバ421を介在させることが必要となる。
【0043】
すなわち、インターネット(internet)網を介して接続可能なWebサイトの中には、上述のコンテンツプロバイダAのように、XML文書等で定義されたスキーマを使用することで、サイト内の情報を自由に引き出せるサービスを提供しているプロバイダが存在する。
【0044】
一般のPCアプリケーションなどから、このサービスを利用する場合、ユーザの要求する内容をWebサイトが提供するスキーマの形に変形し、Webサイトへ送信するというアプリケーションを記述すればよく、これはよく知られた実装となっている。
【0045】
しかしながら、図1に示したディスク再生装置1のように、HD DVD−Videoを再生可能な場合、HD DVD−Video規格、あるいはそのコンテンツ保護規格であるAACS規格からの仕様制約により、通常のPCアプリケーションのような実装とはならない。
【0046】
従って、Webサイトの内容をHD DVDコンテンツとして表示する際には、通常のブラウザからの表示フローとは別の、HD DVDコンテンツに独自の処理フローが必要となる。また、上記HD DVD独自のフローに追加する形で、コンテンツ保護規格であるAACS独自のフローも反映した形で実装されなければならない。
【0047】
再び、図4を参照すれば、HTTPサーバ411は、HD DVD−Video規格で定められたアプリケーション仕様では、コンテンツプロバイダA401のサーバが要求するスキーマを表現できない。そこで、HTTPサーバ411には、この変換を行うためのフィルタ処理(フィルタリング)が必要となる。一つの形態として、ダウンロードされる(Down loaded)コンテンツは、AACS規格において、カプセル化(AACSカプセル化)されている。
【0048】
すなわち、AACS規格においては、HD DVD−Videoを再生可能なディスク再生装置1を用い、ネットワーク(インターネット(Internet)網)を経由して、XML文書をやり取りする場合、XML文書そのものがAACSにより保護されていることが要求されている。よって、HTTPサーバ411には、AACS処理のためのフィルタであるAACS proxyサーバ421が必要となる。なお、HTTPサーバ411とAACS proxyサーバ421は、多くの場合スタジオ(Studio)と呼ばれ、コンテンツプロバイダA401とは、独立して設けられている。
【0049】
実際のディスク再生装置1とコンテンツプロバイダAサーバ401とのアクセスは、図5に示すように、AASCフィルタ(デコーダ/エンコーダ)を、一体にあるいは独立に含むプロキシサーバ421とHTTPサーバ411とを介して、
[0]ディスク再生装置1内部で、HD DVD−Video規格仕様のXML文書を生成し、AACS暗号化する。
[1][0]で生成した文書(AACS暗号文)がプロキシサーバ421へ送信される<HTTPリクエスト(Request)、すなわち問い合わせ(Query)が「XML AACS」で、送信される>。
[2]プロキシサーバ421は、「XML AACS」をAACS復号した後、XML文書を解析し、[3]コンテンツプロバイダA401が要求するXML文書形式(平文,plain textすなわち暗号化されていない一般的な記述)へ変換し、[4]プロキシサーバ421へ戻す。
【0050】
[5][3]で生成されたXML文書(平文)を、コンテンツプロバイダA401へのアクセスが可能なHTTPサーバ411へ送信する<HTTPリクエスト>。
[6]HTTPサーバ411からのアクセス(リクエスト)に対応して、コンテンツプロバイダA401から受信したXML文書のリクエストに対する結果(例えば、検索結果や関連する推奨コンテンツの紹介)が、[7]XML文書で返信される<HTTPリクエスト(Response)、すなわち応答または回答(Answer)が「XML文書(平文)」で、送信(返信)される>。
【0051】
[8][7]でプロキシサーバ421へ返信されたコンテンツプロバイダA401からの検索結果や推奨コンテンツを紹介する内容である「XML文書(平文)」が、AACSデコーダ/エンコーダにおいて暗号化(ディスク再生装置1が準拠するHD DVD Video規格に合致したXMLAACS形式に変換)され、[9]<HTTPレスポンス>として、ディスク再生装置1へ戻される。
【0052】
[10]ディスク再生装置1は、受信したXML文書をAACSデコーダ/エンコーダ19で復号し、XML文書の内容に従い、実行処理を行う。
【0053】
例えば、<HTTPレスポンス>としてディスク再生装置1へ戻されたXML文書において、ディスク再生装置1にセットされているHD DVDディスクDに収容されているコンテンツに関連のある特典映像等の配信サービスの存在が報告され、ディスク再生装置1を所有するユーザが、その特典映像の取得を希望した場合、
[11]ユーザの入力操作によりディスク再生装置1内部で作成されたHD DVD−Video規格仕様のXML文書がAACS暗号化され、(暗号化された)AACS暗号文がプロキシサーバ421へ送信される<HTTPリクエスト>。
[12]プロキシサーバ421は、AACS暗号文をAACS復号(デコード)し、XML文書を解析し、[13]コンテンツプロバイダA401が要求するXML文書形式(平文)へ変換し、[14]プロキシサーバ421へ戻す。
【0054】
[15][13]で生成されたXML文書は、コンテンツプロバイダA401へのアクセスが可能なHTTPサーバ411へ送信される<HTTPリクエスト>。
[16]HTTPサーバ411からのアクセス(リクエスト)に対応して、コンテンツプロバイダA401から受信したXML文書のリクエストに対する結果(リクエストがあった特典映像のファイル(PNGファイル)等)が、[17]XML文書で返信される。
【0055】
[18][17]でプロキシサーバ421へ返信されたコンテンツプロバイダA401からのPNGファイルが、AACSデコーダ/エンコーダにおいて暗号化(ディスク再生装置1が復号可能なAACSパッケージ化)され、[19]<HTTPレスポンス>として、ディスク再生装置1へ戻される。
[20]ディスク再生装置1は、受信したXML文書(PNGファイル)を、AACSデコーダ/エンコーダ19で復号し、XML文書の内容に従い、実行処理を行う(この例では、PNGファイルの展開/表示用信号の出力)。
なお、図4及び図5により説明した例では、アクセスすべきネットワークサーバ(アクセス先)は、ディスク再生装置1で再生するコンテンツに依存して随時が変更される。すなわち、HD DVDディスクDのアドバンスドコンテンツとして記述/保持されているアドレス(ネットワークサーバ名)に応じてコンテンツプロバイダA401へのアクセスが可能となる(ネットワークサーバ名(アクセス先情報)は、コンテンツに一体化されている)。すなわち、プロキシサーバを、ディスク再生装置と独立に設けることにより、コンテンツ(のアドバンス領域の)記述によって指定することによって、コンテンツプロバイダが、それぞれ独自のサーバを運用することができる。
【0056】
また、AACS暗号化のための鍵情報は、コンテンツとネットワークサーバ上で共有されており、ディスク再生装置1には、用意されていない。これにより、一層セキュリティが高められる。すなわち、再生装置内部に、鍵を格納する方法に比較して、コンテンツとネットワークサーバとにより鍵を共有することによって、鍵情報がグローバルな秘密情報となることなく、コンテンツプロバイダの責任で運用することが可能となる。
【0057】
なお、図4および図5に示したネットワーク及びプロキシサーバ421を経由したコンテンツプロバイダ401との間のAACS暗号化(AACSパッケージ化)されたコンテンツの受け渡しは、メインコントロールブロック(CPU)11のファームウエアであってもよいし、外部から供給され、例えばHDD5あるいは図示しないプログラムメモリにおいて保持されてもよい。
【0058】
以上説明したように上記発明の実施の形態によれば、AACS(Advanced access content system)コンテンツ保護規格を利用するアプリケーションが一般のWebサービスを利用する場合であっても、ユーザが保持する再生機とWebサーバとの間のデータの受け渡しにおいて権利者の同意を得ない複製等のためのアクセスからコンテンツを保護可能なコンテンツ再生装置が得られる。また、従来は(特許文献1では)、DRM方式毎の変換を行っているが、同じDRM方式を採用している異なるコンテンツに対しても、同じ暗号(暗号化)・復号(複合化)が行われることになる。本発明は、同じAACSという保護方式であっても、コンテンツ間で異なる暗号・復号の鍵を設定できることが新しい部分であり、仮にハッキングが発生した場合でも、一つのコンテンツだけに限定できる。
【0059】
また、HD DVD−Video規格の光ディスクDを再生する場合に、ネットワークを介して、ディスクの供給元のwebサイトに加え、ディスク供給元が提携(推奨)する特定の接続先(コンテンツプロバイダA)のサーバへのアクセス及びアクセスにより得られる新たな情報の取得が可能なコンテンツ再生方法が実現できる。なお、HD DVD−Video規格のアプリケーションは、一般のWebアプリケーションに対して、完全に互換とならない部分を持っているため、非互換部分の処理を、実際にサービスを提供するサーバ自身またはユーザが保持しているディスク再生装置とは独立の、プロキシサーバに分担することで、Webサービスを提供する事業者への開発負荷やディスク再生装置への実装負荷(並びに、それに伴うコストアップ)を減らすことができる。
【0060】
なお、本発明の内容はここに記述した形態だけに限定されるものではなく、その主旨を逸脱しない範囲で、他にも様々な形態を取り得ることはいうまでもない。また、本発明では、映像表示装置(テレビ受信装置)を例に説明したが、情報記録再生装置すなわちビデオディスクレコーダやパーソナルコンピュータ(PC)なども含まれることはいうまでもない。なお、各実施の形態は、可能な限り適宜組み合わせて、もしくは一部を削除して実施されてもよく、その場合は、組み合わせもしくは削除に起因したさまざまな効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】この発明の実施の形態が適用可能なディスク再生装置の一例を示す概略図。
【図2】図1に示したディスク再生装置が再生可能なHD DVDディスクに保存可能なデータのタイプを説明する概略図。
【図3】図3に示したHD DVDディスクに保存されるファイルシステム、すなわち、ディレクトリ(directory)とファイルの構成(file)を説明する概略図。
【図4】図1に示したディスク再生装置と外部サーバとをネットワークを介して接続する概念を説明する概略図。
【図5】図4に示したネットワーク上で外部サーバから取得可能で、AACS規格で保護されたHD DVD−Videoコンテンツを図1のディスク再生装置により再生させるための一連の手順を説明する概略図。
【符号の説明】
【0062】
1…ディスク再生装置、3…ディスクドライブユニット、5…HDDユニット、7…カードスロット、11…主制御ブロック(CPU)、13…データバス、15…メインメモリ、17…ネットワークコントローラ、19…AACSデコーダ/エンコーダ、21…I/Oコントローラ、23…ストリームパーサ、25…ビデオ系デコーダ、27…オーディオ系デコータ、29…出力部、401…コンテンツプロバイダ(サーバ)、411…HTTPサーバ(スタジオ)、421…AACSプロキシサーバ(スタジオ)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に記録されているコンテンツを再生するディスクドライブ装置と、
このディスクドライブ装置により再生されたコンテンツにより特定される外部サーバとの間のデータの受け渡しを制御するネットワークコントローラと、
このネットワークコントローラを介し、外部サーバとの間に設けられるプロキシサーバにより復号されたリクエストに対応した外部サーバからのレスポンスであって、プロキシサーバで暗号化されたレスポンスを受け取り、復号するとともに、外部サーバへのリクエストを暗号化するコンテンツ保護デコーダ/エンコーダユニットと、
前記ネットワークコントローラ及び前記コンテンツデコーダ/エンコーダユニットによる外部サーバとの間のリクエスト/レスポンスの受け渡し及び前記コンテンツ保護デコーダ/エンコーダユニットによる復号化(デコード)/暗号化(エンコード)を制御する主制御装置と、
を有することを特徴とするコンテンツ再生装置。
【請求項2】
前記ネットワークコントローラによりアクセスされる上記プロキシサーバ及び上記外部サーバは、前記ディスクドライブ装置により再生される上記コンテンツ内に記述されていることを特徴とする請求項1記載のコンテンツ再生装置。
【請求項3】
前記コンテンツ保護デコーダ/エンコーダユニットによる上記複合化/暗号化に用いる鍵は、上記コンテンツ内部に用意されていることを特徴とする請求項1記載のコンテンツ再生装置。
【請求項4】
HD DVD−Video規格に準拠したコンテンツを再生するディスクドライブ装置と、
このディスクドライブ装置により再生されたコンテンツにより特定される外部サーバとの間のデータの受け渡しを制御するネットワークコントローラと、
このネットワークコントローラを介し、外部サーバとの間に設けられるプロキシサーバにより復号されたリクエストに対応した外部サーバからのレスポンスであって、プロキシサーバで暗号化されたレスポンスを受け取り、復号するとともに、外部サーバへのリクエストを暗号化するHD DVDフィルタユニットと、
前記ネットワークコントローラ及び前記HD DVDフィルタユニットによる外部サーバとの間のリクエスト/レスポンスの受け渡し及び前記HD DVDフィルタユニットによるフィルタリングを制御する主制御装置と、
を有することを特徴とするコンテンツ再生装置。
【請求項5】
記録媒体に記録されているコンテンツを再生し、
再生により取得したコンテンツにより特定される外部サーバの前段に位置されるプロキシサーバに対して暗号化されたリクエストを送信するとともに、リクエストに対応した外部サーバからのレスポンスがプロキシサーバで暗号化されたレスポンスを受け取り、復号し、
復号した外部サーバからのレスポンスに従い、記録媒体に記録されているコンテンツの再生に対して所定の処理を付加する
ことを特徴とするコンテンツ再生方法。
【請求項6】
プロキシサーバにおいてリクエストの復号及びレスポンスの暗号化に用いる鍵は、コンテンツに含まれるとともに、プロキシサーバにより保持されることを特徴とする請求項5記載のコンテンツ再生方法。
【請求項7】
プロキシサーバ及び外部サーバは、再生されるコンテンツ内に記述されていることを特徴とする請求項6記載のコンテンツ再生方法。
【請求項8】
プロキシサーバ及び外部サーバが記述されているコンテンツは、HD DVD規格のアドバンスドコンテンツであることを特徴とする請求項7記載のコンテンツ再生方法。
【請求項9】
外部ネットワーク上に存在するコンテンツプロバイダとの間のデータの受け渡しを制御するネットワークコントローラと、
HD DVD規格の光ディスクのコンテンツを再生するディスクドライブ装置と、
AACS規格で保護されたコンテンツとして光ディスクに保持されているディスク供給元が推奨する特定のコンテンツプロバイダへのアクセスにおいて、コンテンツに含まれる鍵を用いて、コンテンツプロバイダが属するサーバの前段に設けられたプロキシサーバとネットワークコントローラとの間のデータの受け渡し時に、AACS規格により保護されたリクエストの送信及びレスポンスの受信を実行する制御装置と、
を有するディスク再生装置と、
外部ネットワーク上に存在するコンテンツプロバイダと前記ディスク再生装置との間にコンテンツプロバイダと独立に設けられ、前記ディスク再生装置からのAACS規格で暗号化されたリクエストを復号してコンテンツプロバイダに供給するとともに、コンテンツプロバイダからのレスポンスを暗号化して前記ディスク再生装置に供給するプロキシサーバと、
を含むコンテンツ再生システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−278256(P2008−278256A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−120106(P2007−120106)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】