説明

コンテンツ提供方法及びコンテンツ提供システム

【課題】利用者に提供されるコンテンツ等のソースコードの秘匿性を維持して不正なプログラムの解析等を防止することが可能なコンテンツ提供方法及びそのシステムを提供する。
【解決手段】SWFファイルを変換して画像ファイルを生成する第1ステップと、FLASHコンテンツ実行処理に応答し、対応する前記画像ファイルと上記画像ファイルから上記SWFファイルのSWF情報を抽出し、上記SWF情報に基づく上記FLASHコンテンツの実行処理を遂行させる変換用SWFファイルとを提供する第2ステップと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ提供方法に関し、より詳しくは、利用者に提供されるコンテンツ等のソースコードの秘匿性を維持して不正なプログラムの解析等を防止するコンテンツ提供方法及びそのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ソフトウェア(プログラム)のソースコードは、プログラムの機能や開発者の創意工夫など重要な技術情報を含まれており、プログラム自体を1つの情報財産として保護する必要がある。特に、近年のソフトウェアの多機能化、高機能化が進む中、その必要性が増している。しかしながら、プログラムは、デコーダや逆コンパイラ(Decompiler)などによって比較的簡単に解析することができ、プログラム等の不正な解析、改変、盗作、捏造等が後を絶たない。
【0003】
例えば、アドビシステムズ社製のFlash(登録商標)で作成されたFlashコンテンツは、WEBブラウザにインストールされて動作するプラグインソフトFlash Playerにより動作するが、利用者にダウンロードされたSWF形式ファイルをFlash Playerが読み込むことで動作する。このSWF形式のファイルは、記述されたActionScript等(ソースコード)をコンパイルすることで、バイナリ形式ファイルとして生成され、通常、テキストエディターなどで内容を確認したり、編集することはできない。
【0004】
しかしながら、上述のように、SWF形式ファイルからソースファイル(例えば、FLA形式ファイル)に変換・抽出する逆コンパイラが出回っており、容易にソースファイルの内容を把握することができる。このソースファイルの内容が把握されると、FlashPlayerでのインタラクティブな制御や参照しているサーバやデータ(参照先URL等)、データ形式等が判明し、不正な改変、盗作、捏造等のみならず、クラッカーに攻撃対象となるデータの位置等が知れ渡るなどのセキュリティ性低下にも繋がる。
【0005】
このような問題に対して特許文献1には、プログラム自体を解読困難な状態に変換し、当該プログラムに逆変換処理を組み込むことによって、プログラムの秘匿性を維持することが開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−280755号公報(段落0028〜0042、図1、図2等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ソースコードの秘匿性を維持するために、暗号化/復号化技術が適用される。しかしながら、当該暗号化/復号化技術は、一般的にデータ自体を暗号化し、暗号化されるファイル形式は変換されない。つまり、上記特許文献1のように解読困難な状態に変換されても、ファイル形式は同一であり、対応する逆コンパイルツールなどで解析されてしまう可能性が残る。より具体的に説明すると、データ自体が解読困難な状態であっても、ファイル形式が同一であれば、そのファイル形式に好適な逆コンパイル処理を遂行することで、完全な解読ができないまでも、ある程度解読できる場合がある。
【0008】
また、Flash(登録商標)のように、WEBブラウザにプラグインされたFlash Playerで動作するFlashコンテンツの場合、サービス性や汎用性の観点から別途暗号化/複合化技術を適用することはできない。例えば、FlashPlayerと暗号化/復号化ツールとの相性の問題や暗号化/復号化ツールに対応していないPCではFlashコンテンツを再生できないなどの問題が生じる。このため、コンテンツのソースコードの秘匿性を維持しつつ、好適にコンテンツを提供できる新しいコンテンツ提供方法が望まれていた。
【0009】
そこで、本発明の目的は、利用者に提供されるコンテンツ等のソースコードの秘匿性を維持して不正なプログラムの解析等を防止することが可能なコンテンツ提供方法及びそのシステムを提供することにある。
【0010】
特に、本発明は、FlashコンテンツのSWFファイルのソースコードの秘匿性を維持して不正な解析等を防止することが可能なFlashコンテンツ提供方法及びFlashコンテンツ提供システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の1つの観点としてのFlashコンテンツを提供する方法は、SWFファイルを変換して画像ファイルを生成する第1ステップと、Flashコンテンツ実行処理に応答し、対応する上記画像ファイルと上記画像ファイルから上記SWFファイルのSWF情報を抽出し、上記SWF情報に基づく上記Flashコンテンツの実行処理を遂行させる変換用SWFファイルとを提供する第2ステップと、を含むことを特徴とする。
【0012】
また、上記第1ステップは、上記SWFファイルをバイナリ形式で読み込んで得られたデータを色データに変換するステップと、上記色データに基づいて上記画像ファイルを生成するステップとを含み、上記変換用SWFファイルは、上記画像ファイルから得られる上記色データをメモリにロードし、上記メモリにロードされた上記色データを上記SWF情報に変換するように構成することができる。
【0013】
また、本発明の他の観点としてのFlashコンテンツ提供システムは、SWFファイルを画像ファイルに変換する変換手段と、Flashコンテンツ実行処理に応答し、対応する上記画像ファイルと、上記画像ファイルから上記SWFファイルのSWF情報を抽出し、上記SWF情報に基づく上記Flashコンテンツの実行処理を遂行させる変換用SWFファイルとを提供するコンテンツ提供手段と、を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明のさらに他の観点としてのFlashコンテンツ提供システムは、作成されたFlashコンテンツのSWFファイルを画像ファイルに変換する変換サーバと、利用者端末におけるFlashコンテンツ実行処理に応答し、対応する上記画像ファイルと、上記画像ファイルから上記SWFファイルのSWF情報を抽出し、上記SWF情報に基づく上記Flashコンテンツの実行処理を遂行させる変換用SWFファイルとを上記利用者端末に提供するコンテンツ提供サーバと、を有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の1つの観点としてのFlashPlayerでFlashコンテンツを実行する方法は、SWFファイルを変換して得られた画像ファイル及び変換用SWFファイルを受信する第1ステップと、上記FlashPlayerが上記変換用SWFファイルを読み込む第2ステップと、上記FlashPlayerが前記変換用SWFファイルの変換用SWF情報に基づいて、上記画像ファイルから前記SWFファイルのSWF情報を抽出し、上記SWF情報に基づいた上記Flashコンテンツの実行処理を遂行する第3ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、FlashPlayerが、Flashコンテンツに係るSWFファイルを直接読み込むことなく、Flashコンテンツを実行処理が遂行される。このため、SWFファイルが利用者に直接露出せず、かつ画像ファイルとして提供されるため、Flashコンテンツのソースコードの秘匿性を維持しつつ、好適にFlashコンテンツを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は、本発明のコンテンツ提供方法が適用されたFlashコンテンツ配信システムの構成図である。
【0019】
本実施形態のFlashコンテンツ配信システムは、パブリッシュされるFlashコンテンツを画像ファイルに変換する変換サーバ100、変換サーバ100で変換された画像ファイル等を、コンテンツ要求に応じて利用者の利用者端末300に提供するコンテンツ提供サーバ200、及びインターネット等のネットワークNを介してコンテンツ提供サーバ200に接続する利用者端末300を含む。利用者端末300は、パーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話機等の移動通信端末装置などの通信機能及び演算機能を備えた端末装置である。
【0020】
ここで、Flash(登録商標)は、Flashデータの標準フォーマットとしてSWF形式ファイルをサポートしている。つまり、FlashPlayer上で実行されるアニメーションや動画、ゲーム等のFlashコンテンツは、SWF形式ファイルで提供され、FlashPlayerは、SWF形式ファイルを読み込むことで、Flashコンテンツを再生又は実行する。そして、Flashコンテンツは、コンテンツ要求に応答してコンテンツ提供サーバ200から利用者端末300にSWF形式ファイルがダウンロードされることで提供される。
【0021】
なお、FlashPlayerは、インターネット等のネットワークNを介して、又はCD−ROMやDVD−ROM等の記録媒体を通じて利用者端末300にインストールされる。本実施形態では、FlashPlayerが予め利用者端末300にインストールされている場合を一例に説明するが、例えば、Flashコンテンツを利用者端末300に提供する際に、コンテンツ提供サーバ200が、FlashPlayerの有無を確認してコンテンツ提供時にインストール処理を遂行してもよい。また、FlashPlayerは、WEBブラウザのプラグイン(機能を拡張するために追加するプログラム)として提供され、ブラウザ機能と共同して動作する場合もあるが、Flashコンテンツの実行は、ブラウザ機能の1つの機能としてFlashPlayerが動作することにより行われることに変りはないため、本実施形態では、WEBブラウザとは個別に動作するFlashPlayerを一例に説明し、WEBブラウザのプラグインとして動作する場合の説明を省略する。
【0022】
開発者サーバ400は、Flashコンテンツを開発/作成する開発者が利用するサーバであり、Flashコンテンツを作成するための開発アプリケーション(Flex2.0等)を提供したり、作成したファイルをパブリッシュ、すなわち、コンパイルすることでSWF形式ファイルを生成する機能を提供する。なお、開発者サーバ400は、Flashコンテンツを作成するための開発アプリケーション及びコンパイル機能を備えたコンピュータ等、つまり、Flashコンテンツを開発/作成する環境を有するコンピュータである。
【0023】
そして、近年、Flash(登録商標)は多機能化し、アニメーションや動画等のコンテンツの他に、Flashゲームに代表されるようなインタラクティブな制御をActionScript等で実現したFlashゲームコンテンツが提供されている。これらのFlashコンテンツには、インタラクティブな制御プロセスなどの技術情報(コーディング情報)や参照しているサーバやデータ(参照先URL等)等が含まれている。このため、上述のように逆コンパイラ等を用いてSWF形式ファイルが解析されると、不正な改変、盗作、捏造等のみならず、技術情報の流出及びセキュリティ性低下にも繋がる。
【0024】
そこで、本実施形態のFlashコンテンツ提供方法は、パブリッシュするSWF形式ファイルを変換サーバ100で画像ファイルに変換し、この画像ファイルと、画像ファイルからSWF情報(変換前のSWF形式ファイルフォーマットに基づく情報)を抽出して該SWF情報に基づくFlashコンテンツの実行処理を遂行させるための変換用SWFファイルとを利用者端末300に提供する。
【0025】
すなわち、Flashコンテンツに係るSWFファイルとは別に変換用SWFファイルを提供し、かつ当該SWFファイルを画像ファイルで提供する。このため、FlashPlayerは、Flashコンテンツに係るSWFファイルを直接読み込むのではなく、変換用SWFファイルを読み込むことで、Flashコンテンツに係る画像ファイルからSWF情報を抽出し、間接的にFlashコンテンツの実行処理を遂行する。
【0026】
このように構成することで、Flashコンテンツに係るSWFファイルの直接の露出を抑制しつつ、SWFファイルを画像ファイルで提供することで、SWFファイルを逆コンパイラで解析することで得られるソースコード等の露出の困難性を向上させ、Flashコンテンツのソースコード等の秘匿性を維持した好適なFlashコンテンツの提供を実現する。
【0027】
図2は、本実施形態の変換サーバ100及びコンテンツ提供サーバ200の構成ブロック図である。図4は、変換サーバ100でのSWFファイルの変換処理を説明するための図である。
【0028】
変換サーバ100は、開発者サーバ400で作成されたSWF形式ファイルを画像ファイルに変換する変換制御部110と、変換制御部110の変換アルゴリズムに基づいて変換された画像ファイルから変換前のSWFファイルのSWF情報を抽出するための変換用SWFファイルを生成する変換用SWFファイル生成部120と、開発者サーバ400で作成されたSWF形式ファイル(Flashコンテンツ)を格納するSWFファイル格納部130とを備える。
【0029】
ここで、画像は、複数の画素(ピクセル)の集合であり、ピクセル毎に色情報を有する。この色情報は数値化され、コンピュータは、画像データを表示する際にこの数値から各ピクセルの色を決定して表示する。すなわち、画像は、数値で画像の色情報(色データ)を保持している。RGBの色情報では、Red,Green,Blueの3原色の強さをそれぞれ数値で指定し,その組み合わせによって各ピクセルの色を決定する。例えば、色情報を10進法(R,G,B)で表した場合、黒を「000,000,000」、白を「255,255,255」、赤を「255,000,000」、緑を「000,255,000」、青を「000,000,255」、黄を「255,255,000」、マゼンタを「255,000,255」、シアンを「000,255,255」で表すことができる。また、16進法(#RRGGBB)で表した場合、黒を「#00 00 00」、白を「#FF FF FF」、赤を「#FF 00 00」、緑を「#00 FF 00」、青を「#00 00 FF」、黄を「#FF FF 00」、マゼンタを「#FF 00 FF」、シアンを「#00 FF FF」と表すことができる。
【0030】
そこで、本実施形態の変換制御部110は、SWFファイルを、該SWFファイルのバイトデータ(SWF情報)を色データとして保持させた画像ファイルに変換する。具体的には、図4に示すように、SWFファイル格納部130に格納されたSWFファイル(図中のgame.swf)を取得し、当該SWFファイルを1バイト毎にバイナリ形式で読み込み、1バイト毎に10進法(0〜255)又は16進法(00〜FF)の値に変換する。そして、この変換した値を直接用いた色データ、又は、1バイト毎のデータを複数バイト分組み合わせて生成した色データを用いて画像ファイル(図中のgame.png)を生成する。また、生成された画像ファイルは、コンテンツ提供サーバ200に提供される。
【0031】
なお、バイナリ形式で読み込まれたデータを10進法のデータに変換し、さらに16進法のHEXデータに変換することで、色データを生成してもよい。また、画像ファイルの解読困難性を向上させるために、SWFファイルから生成された色データを有するピクセル以外にも、ダミーの色データを有するピクセルをランダムに挿入して画像ファイルを生成することも可能である。
【0032】
また、画像ファイル形式としては、BMP形式、DPX形式、GIF形式、JPEG形式、PNG形式、RAW形式、TIFF形式等の様々なファイル形式が挙げられるが、本実施形態では、色データ(RGB値)を用いて画像ファイルを生成する際に当該色データの損失がないPNG形式ファイルを用いることで、SWF情報の完全性を保持している。
【0033】
また、当該SWFファイルを1バイト毎にバイナリ形式で読み込んで得られたデータ、又はその読み込んで得られたデータを16進法に変換したHEXデータ(バイナリ形式で読み込んだデータを16進法表記したデータ)から、当該HEXデータ等に基づく色データを有するピクセルを生成する処理は、HEXデータから画像ファイルを生成する専用の画像生成アプリケーションプログラムやスクリプト等を用いて遂行することができる。
【0034】
変換用SWFファイル生成部120は、利用者端末300に提供される変換用SWFファイル(図4のframe.swf)を生成する。変換用SWFファイルは、Flashコンテンツとして提供される画像ファイルから変換前のSWFファイルの情報を抽出し、FlashPlayerで当該Flashコンテンツの実行処理を遂行させるためのSWFファイルである。なお、当該変換用SWFファイル生成部120が、変換サーバ100ではなく、開発者サーバ400に設置することができ、この場合、開発者サーバ400から変換サーバ100を経由又は経由しないで、コンテンツ提供サーバ200に提供される。
【0035】
変換用SWFファイル生成部120は、変換制御部110で変換されるSWFファイルの変換アルゴリズムに基づいて、変換用SWFファイルを生成し、コンテンツ提供サーバ200に提供する。なお、この変換用SWFファイルは、変換制御部110で生成された画像ファイルと一対一の関係で生成されてもよい。すなわち、各SWFファイルについて変換制御部110が異なる変換アルゴリズム、例えば、ダミーデータの数や色データを生成する際にさらに変換処理を施すなど、個別の変換アルゴリズムを使用する場合は、変換制御部110と連動して変換用SWFファイル生成部120が、その都度対応する変換用SWFファイルを生成し、変換した画像ファイルと変換用SWFファイルとをセットにしてコンテンツ提供サーバ200に提供することも可能である。また、逆に、画像ファイルと変換用SWFファイルとが多対一の関係(一つの変換用SWFファイルが複数の画像ファイルに対応している関係)となるように構成してもよい。通常は、1つの変換用SWFファイルを生成してコンテンツ格納部230に格納し、各利用者に提供する。
【0036】
次に、コンテンツ提供サーバ200は、ネットワークNを介した利用者端末300との通信制御を遂行する通信制御部210、利用者端末300から送信されるコンテンツ要求に応答して、Flashコンテンツを提供する配信制御部220、及びSWF形式ファイルが変換された画像ファイルと変換用SWFファイルとを格納するコンテンツ格納部230とを備える。なお、本実施形態のコンテンツ提供サーバ200の一例としては、特定のコンテンツのみを専用に提供するゲームサーバ等、アニメーション、動画、ゲーム、音楽等のコンテンツとともに情報を提供するWEBサーバ等が挙げられる。また、コンテンツ要求とは、利用者端末300での利用者の選択操作を通じた要求やWEBブラウザのブラウザ制御(WEBページのHTMLデータ)に従って、WEBページ内にFlashコンテンツを自動的に表示させる際の要求が含まれる。
【0037】
配信制御部220は、利用者端末300からのコンテンツ要求に応じ、当該要求に対応する画像ファイルと変換用SWFファイルとをコンテンツ格納部230から抽出し、利用者端末300に配信する(図4のgame.pngとframe.swf)。なお、変換前のSWFファイルと画像ファイルとの対応関係を格納した別途の対応リスト等を保持するように構成することも可能である。
【0038】
図3は、利用者端末300の構成ブロック図であり、ネットワークNを介したコンテンツ提供サーバ200との通信制御を行う通信制御部310、利用者端末300全体の制御を司る制御部(CPU)320、Flash制御部330、外部インターフェース340、操作入力部350(キーボード、マウス、コントローラ等)、表示インターフェース360、及び表示部370(表示ディスプレイ)を備える。
【0039】
Flash制御部330は、コンテンツ提供サーバ200から提供されるFlashコンテンツの受信、他のアプリケーションやWEBブラウザの要求、又は利用者の起動操作に応答して、Flashコンテンツを再生する。つまり、Flash制御部330は、FlashPlayerである。
【0040】
図5は、利用者端末300におけるFlashPlayerのFlashコンテンツ実行方法を説明する図であり、制御部320は、利用者の選択操作、又は読み込んだWEBページのブラウザ制御等に応じて、コンテンツ要求をコンテンツ提供サーバ200に通信制御部310を介して送信する。コンテンツ提供サーバ200は、利用者端末300のコンテンツ要求を受信すると、当該要求に対応する画像ファイルと変換用SWFファイルを利用者端末300に送信する。
【0041】
Flash制御部330としてのFlashPlayerは、画像ファイルと変換用SWFファイルを受信すると、まず、変換用SWFファイルを読み込んでFlashコンテンツ実行処理を遂行する。FlashPlayerは、画像ファイルの各ピクセルのRGB値(色データ)を抽出する。そして、このRGB値、すなわち、HEXデータをメモリにロードし、メモリに格納されたHEXデータを変換前のSWFファイルのSWF情報に変換する。このように本実施形態の変換用SWFファイルは、画像ファイルの各ピクセルのRGB値を抽出し、RGB値(HEXデータ)をメモリにロードし、メモリに格納されたHEXデータを変換前のSWFファイルのSWF情報に変換する変換用SWF情報を含んでいる。
【0042】
図6は、本実施形態のFlashコンテンツ提供システムの処理フローを説明するための図である。
【0043】
図6に示すように、開発者サーバ400では、開発者が、開発アプリケーション(Flex2.0等)などでコンテンツを作成し(ステップS401)、作成されたファイルをコンパイルする(ステップS402)。そして、コンパイルされたSWFファイルを変換サーバ100のSWFファイル格納部130に格納(提供)する(ステップS403)。
【0044】
変換サーバ100では、変換制御部110がSWFファイル格納部130から格納されているSWFファイルを取得し、当該SWFファイルを1バイト毎にバイナリ形式で読み込み、1バイト毎に10進法(0〜255)又は16進法(00〜FF)の値に変換する。そして、この変換した値を直接用いた色データ、又は、1バイト毎のデータを複数バイト分組み合わせて生成した色データを用いて画像ファイルを生成する(ステップS101)。そして、変換サーバ100から生成した画像ファイルがコンテンツ提供サーバ200のコンテンツ格納部230に格納(提供)される(ステップS102)。
【0045】
なお、図示していないが、変換サーバ100では、変換用SWFファイル生成部120が、変換制御部110で変換されるSWFファイルの変換アルゴリズムに基づいて、変換用SWFファイルを生成し、コンテンツ提供サーバ200のコンテンツ格納部230に提供する処理が、変換制御部110の変換処理と並行して若しくは個別に遂行される。
【0046】
次に、コンテンツ提供サーバ200は、利用者端末300からのコンテンツ要求を受信した場合(ステップS201)、配信制御部220は、当該要求に対応する画像ファイルと変換用SWFファイルとを利用者端末300に送信する(ステップS202)。
【0047】
利用者端末300では、ステップS301で送信したコンテンツ要求に伴って、画像ファイルと変換用SWFファイルとを受信する。Flash制御部330としてのFlashPlayerは、画像ファイルと変換用SWFファイルを受信すると、変換用SWFファイルを読み込んでFlashコンテンツ実行処理を遂行する(ステップS302)。つまり、FlashPlayerが変換用SWFファイルのSWF情報に従って、画像ファイルの各ピクセルの色データを抽出し、抽出した色データをメモリにロードする。そして、メモリに格納されたHEXデータを変換前のSWFファイルのSWF情報に変換する。
【0048】
以上、上記実施形態では、Flashコンテンツを一例に説明したが、他のコンテンツにも利用可能である。例えば、音楽コンテンツ(mp3形式)や動画コンテンツ(FLV形式)などのコンテンツの提供及び実行に対しても適用可能である。
【0049】
また、上記実施形態におけるFlashコンテンツの実行方法は、Flash9(ActionScript3.0)で追加されたFlashの機能により実現可能である。すなわち、Flash8までのFlashPlayerは、SWF形式以外のデータ形式をサポートしていなかったが、Flash9では、mp3形式、テキスト形式、XML形式、FLV形式、バイナリ形式のファイルフォーマットを読み込んでFlashPlayerで実行することが可能となっている。このため、実際には、FlashPlayerは、変換用SWFファイルに記述されたプロセスに従って、画像ファイルから色データを抽出してバイナリデータ(16進表記ではHEXデータ)に変換し、バイナリデータをメモリにロードし、メモリにロードされたバイナリデータ、すなわち、変換前のSWF情報に基づくFlashコンテンツの実行処理を遂行する。
【0050】
また、上記実施形態では、SWFファイルを1バイト毎にバイナリ形式で読み込んでいるが、text形式やXML形式の他の形式で読み込むことも可能であるが、text形式やXML形式等の形式は、バイナリ形式よりもデータ容量が大きくなるため、バイナリ形式でSWFファイルを読み込むことが好ましい。
【0051】
また、上記実施形態における変換サーバ100は、開発者サーバ400に組み込まれて構成されてもよい。つまり、変換サーバ100の変換制御部110及び変換用SWFファイル生成部120は、ファイル変換アプリケーション及びファイル生成アプリケーションとして、開発者サーバ400に搭載し、コンテンツ開発者がFlashコンテンツをパブリッシュする際に、ファイル変換アプリケーションを使用してSWFファイルを画像ファイルに変換し、直接コンテンツ提供サーバ200に提供することができる。
【0052】
また、上記実施形態における各サーバは、ハードウェア構成として上述以外にも、キーボード、マウス、スキャナー等の操作入力手段、液晶ディスプレイ等の表示手段、プリンタ、スピーカなどの出力手段、主記憶装置(メモリ)、補助記憶装置(ハードディスク等)等を備えることが可能であり、ユーザ端末においてもこれらの手段を備えることができる。各手段に制御は、サーバ又はコンピュータ全体の制御を司る制御手段(CPU)により遂行される(不図示)。
【0053】
また、本発明のコンテンツ提供方法及びコンテンツ実行方法は、コンピュータを機能させるプログラムとして実現され、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された状態で、又はインターネット等のネットワークを通じて利用者端末に提供される。コンピュータ読取可能な記録媒体としては、CD−ROM等の光ディスク、DVD−ROM等の相変化型光ディスク、MO(Magnet Optical)やMD(Mini Disk)などの光磁気ディスク、フロッピー(登録商標)ディスクやリムーバブルハードディスクなどの磁気ディスク、コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、SDメモリカード、メモリスティック等のメモリカードが挙げられる。
【0054】
なお、本発明の詳細な説明では具体的な実施形態について説明したが、本発明の要旨から逸脱しない範囲内で多様に変形できる。よって、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載及びこれと均等なものに基づいて定められるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施形態におけるFLASHコンテンツ提供システムの構成図である。
【図2】本発明の実施形態における変換サーバ及びコンテンツ提供サーバの構成ブロック図である。
【図3】本発明の実施形態における利用者端末の構成ブロック図である。
【図4】本発明の実施形態におけるSWFファイル変換方法及びコンテンツ提供方法を説明するための図である。
【図5】本発明の実施形態におけるFLASHコンテンツの実行方法を説明するための図である。
【図6】本発明の実施形態におけるコンテンツ提供方法が適用されたFLASHコンテンツ提供システムの処理フローを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
100 変換サーバ
110 変換制御部
120 変換用SWFファイル生成部
130 SWFファイル格納部
200 コンテンツ提供サーバ
210 通信制御部
220 配信制御部
230 コンテンツ格納部
300 利用者端末
310 通信制御部
320 制御部
330 FLASH制御部
340 外部インターフェース
350 操作入力部
360 表示インターフェース
370 表示部
400 開発者サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Flashコンテンツを提供する方法であって、
SWFファイルを変換して画像ファイルを生成する第1ステップと、
Flashコンテンツ実行処理に応答し、対応する前記画像ファイルと前記画像ファイルから前記SWFファイルのSWF情報を抽出し、前記SWF情報に基づく前記Flashコンテンツの実行処理を遂行させる変換用SWFファイルとを提供する第2ステップと、を含むことを特徴とするFlashコンテンツ提供方法。
【請求項2】
前記第1ステップは、
前記SWFファイルをバイナリ形式で読み込んで得られたデータを色データに変換するステップと、
前記色データに基づいて前記画像ファイルを生成するステップと、を含み、
前記変換用SWFファイルは、前記画像ファイルから得られる前記色データをメモリにロードし、前記メモリにロードされた色データを前記SWF情報に変換する変換用SWF情報を含むことを特徴とする請求項1に記載のFlashコンテンツ提供方法。
【請求項3】
Flashコンテンツ提供システムであって、
SWFファイルを画像ファイルに変換する変換手段と、
Flashコンテンツ実行処理に応答し、対応する前記画像ファイルと、前記画像ファイルから前記SWFファイルのSWF情報を抽出し、前記SWF情報に基づく前記Flashコンテンツの実行処理を遂行させる変換用SWFファイルとを提供するコンテンツ提供手段と、を有することを特徴とするFlashコンテンツ提供システム。
【請求項4】
Flashコンテンツ提供システムであって、
作成されたFlashコンテンツのSWFファイルを画像ファイルに変換する変換サーバと、
利用者端末におけるFlashコンテンツ実行処理に応答し、対応する前記画像ファイルと、前記画像ファイルから前記SWFファイルのSWF情報を抽出し、前記SWF情報に基づく前記Flashコンテンツの実行処理を遂行させる変換用SWFファイルとを前記利用者端末に提供するコンテンツ提供サーバと、を有することを特徴とするFlashコンテンツ提供システム。
【請求項5】
Flashコンテンツを提供するコンピュータに、
SWFファイルを変換して画像ファイルを生成する機能と、
利用者端末におけるFlashコンテンツ実行処理に応答し、対応する前記画像ファイルと前記画像ファイルから前記SWFファイルのSWF情報を抽出し、前記SWF情報に基づく前記Flashコンテンツの実行処理を遂行させる変換用SWFファイルとを前記利用者端末に提供する機能と、を実現させるためのプログラム。
【請求項6】
Flashコンテンツ提供装置であって、
SWFファイルを画像ファイルに変換する変換手段と、
利用者端末におけるFlashコンテンツ実行処理に応答し、対応する前記画像ファイルと、前記画像ファイルから前記SWFファイルのSWF情報を抽出し、前記SWF情報に基づく前記Flashコンテンツの実行処理を遂行させる変換用SWFファイルとを前記利用者端末に提供するコンテンツ提供手段と、を有することを特徴とするFlashコンテンツ提供装置。
【請求項7】
FlashPlayerでFlashコンテンツを実行する方法であって、
SWFファイルを変換して得られた画像ファイル及び変換用SWFファイルを受信する第1ステップと、
前記FlashPlayerが、前記変換用SWFファイルを読み込む第2ステップと、
前記FlashPlayerが、前記変換用SWFファイルの変換用SWF情報に基づいて、前記画像ファイルから前記SWFファイルのSWF情報を抽出し、前記SWF情報に基づいた前記Flashコンテンツの実行処理を遂行する第3ステップと、を含むことを特徴とするFlashコンテンツを実行する方法。
【請求項8】
前記画像ファイルは、前記SWFファイルをバイナリ形式で読み込んで得られたデータを色データに変換することにより生成され、
前記第3ステップは、
前記FlashPlayerが、前記変換用SWF情報に基づいて前記画像ファイルから得られる前記色データをメモリにロードするステップと、前記メモリにロードされた色データを前記SWF情報に変換するステップと、を含むことを特徴とする請求項7に記載のFlashコンテンツを実行する方法。
【請求項9】
コンピュータに設置されたFlashPlayerでFlashコンテンツを実行するために、前記コンピュータに、
SWFファイルを変換して得られた画像ファイル及び変換用SWFファイルを受信する機能と、
前記FlashPlayerが、前記変換用SWFファイルを読み込む機能と、
前記FlashPlayerが、前記変換用SWFファイルの変換用SWF情報に基づいて、前記画像ファイルから前記SWFファイルのSWF情報を抽出し、前記SWF情報に基づいた前記Flashコンテンツの実行処理を遂行する機能と、を実行させるためのプログラム。
【請求項10】
請求項5又は9に記載のプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【請求項11】
コンテンツを提供する方法であって、
前記コンテンツのコンテンツファイルを変換して画像ファイルを生成する第1ステップと、
コンテンツ実行処理に応答し、対応する前記画像ファイルと前記画像ファイルから前記コンテンツファイルの実行情報を抽出し、前記実行情報に基づく前記コンテンツの実行処理を遂行させる変換用コンテンツファイルとを提供する第2ステップと、を含むことを特徴とするコンテンツ提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−146278(P2009−146278A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−324760(P2007−324760)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【出願人】(505205812)エヌエイチエヌ コーポレーション (408)
【出願人】(501333021)NHNJapan株式会社 (29)
【Fターム(参考)】