説明

コンテンツ管理装置

【課題】コンテンツの転送に関する転送時間を短縮し、転送先における記憶残容量を大きくする。
【解決手段】コンテンツ転送元装置は、ユーザインターフェイスモジュール31と、再生履歴管理モジュール33と、再生モジュール35と、記録モジュール37と、転送モジュール41と、を有している。記録モジュールは、ストリーム分割判断部37aと、ファイル化部37bと、を有している。コンテンツの記録を行なう場合に、ストリームコンテンツを分割するか否かに関する判断を行ない、ストリーム分割判断部における判断に基づいて、コンテンツをファイル化する。転送モジュールは、ファイル転送判断部41aを有しており、再生履歴テーブルを参照して、ファイルを転送するか否かを判断する。再生履歴管理モジュールは、再生時にファイル単位で再生履歴テーブルを更新するとともに新しいコンテンツを記録した場合はコンテンツを再生履歴テーブルに登録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録・再生されたコンテンツの外部への転送に関する管理を行なうコンテンツ管理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンテンツの記録・再生に関する管理が重要になってきている。一般的に、コンテンツは、1つのファイルで記録保存され、外部に転送する場合には、コンテンツ単位で転送される。例えば、下記特許文献1では、1つのコンテンツを複数ストリームに分割して保存する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2005-223442号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
最近では、コンテンツを外出先でも視聴できるように、様々な携帯型コンテンツ視聴装置が提案されており、このような携帯型のコンテンツ視聴装置へのコンテンツの転送処理などに関する管理が重要になってきている。
【0004】
上記特許文献1には、コンテンツの転送に関する開示はないが、実際には、従来の管理技術では、データサイズが大きく転送するのに転送時間がかかりすぎるという問題がある。また、転送先のメモリの記憶領域を多く費やす場合において、転送先のメモリ記憶残容量が転送したいコンテンツの記憶サイズ分まではない場合に、そのコンテンツを転送できないという問題がある。特に、今後、高品質のコンテンツを取り扱う場合には、特に転送時間と転送先の記憶容量とが問題となってくる。
【0005】
本発明は、高品質なコンテンツを転送する場合において、その転送時間や記憶容量に関する適切な管理をする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコンテンツ管理装置においては、コンテンツを記録する時はファイル単位で記録する。コンテンツを再生するときは再生したかをファイル単位で管理する。コンテンツを転送する場合は再生したか否か判断し再生していないファイルのみファイル単位で転送する。
【0007】
コンテンツを転送する装置は、コンテンツの記録を行う時にストリームの分割を判断する分割判断部、分割判断部の結果を受けてストリームのファイル化を行うファイル化部、ストリームを転送する場合に転送するか否かを判断する転送判断部、再生時にファイル単位で再生履歴テーブルを更新するとともに新しいコンテンツを記録した場合はコンテンツを再生履歴テーブルに登録する再生履歴管理部を有する。転送判断部は再生履歴テーブルを参照して、転送するか否かを判断する。また、再生履歴テーブルは、ストリームのファイル単位で再生履歴を管理する。転送時は、再生履歴テーブルを参照し、再生していないファイルのみを転送する。
【発明の効果】
【0008】
従来に比べて、再生したファイルは転送しないため、転送する時間が短時間で済む。従来に比べて、再生したファイルは転送しないため、転送先の必要なデータサイズが少なくて済む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の一実施の形態によるコンテンツ管理技術にして図面を参照しながら説明を行なう。図1は、本実施の形態によるコンテンツ転送元装置のハードウェア構成例を示す機能ブロック図である。図2は、図1に示すコンテンツ転送元装置のソフトウェア構成例を示す図である。図3は、本実施の形態によるコンテンツ転送先装置のハードウェア構成例を示す図である。
【0010】
図1に示すように、本実施の形態によるコンテンツ転送元装置Aは、例えば、ハードディスクレコーダであり、操作部1と、コーデック処理部(DSP)3と、大容量記憶装置(HDD等)5と、例えばUSBなどの外部入出力インターフェイス(I/F)部7及びUSB端子(I/F)23と、各機能を制御するCPU11と、高速の記憶装置であるRAM15と、不揮発性メモリ装置であるフラッシュROM17と、例えばコンテンツであるテレビ番組を出力するテレビ出力端子21と、を有しており、これらの各機能ブロックがバスラインBL1により接続されている。
【0011】
図2に示すように、上記コンテンツ転送元装置AのROM17に記憶されているプログラムに基づくソフトウェア構成17aであり、ユーザインターフェイス(UI)モジュール31と、コンテンツの再生履歴についてファイル単位で管理する再生履歴管理モジュール33と、再生モジュール35と、記録モジュール37と、転送モジュール41と、を有している。記録モジュール37は、ストリーム分割判断部37aと、ファイル化部37bと、を有している。
【0012】
ストリーム分割判断部37aは、コンテンツの記録を行なう場合に、ストリームコンテンツを分割するか否かに関する判断を行なう。ファイル化部37bは、ストリーム分割判断部37aにおける判断に基づいて、コンテンツをファイル化する。転送モジュール41は、ファイル転送判断部41aを有しており、再生履歴テーブルを参照して、ファイルを転送するか否かを判断する。再生履歴管理モジュール33は、再生時にファイル単位で再生履歴テーブルを更新するとともに新しいコンテンツを記録した場合はコンテンツを再生履歴テーブルに登録する。再生履歴テーブルは、コンテンツの再生履歴をファイル単位で管理するテーブルである。
【0013】
図3は、本実施の形態によるコンテンツ転送先装置である例えば携帯型コンテンツ再生装置の一構成例を示す機能ブロック図である。図3に示すように、コンテンツ転送先装置Bは、例えば、携帯型コンテンツ再生装置(例:音楽再生プレーヤ)であり、操作部101と、コーデック処理部(DSP)103と、大容量記憶装置(HDD等)105と、例えばUSBなどの外部入出力インターフェイス(I/F)部107及びUSB端子(I/F)と、各機能を制御するCPU111と、高速の記憶装置であるRAM115と、不揮発性メモリ装置であるフラッシュROM117と、を有しており、これらの各機能ブロックがバスラインBL2により接続されている。
【0014】
図1に示すコンテンツ転送元装置Aと図3に示すコンテンツ転送先装置Bとを図示しないUSBケーブル等により接続すると、コンテンツ転送元装置Aからコンテンツ転送先装置Bに向けて、後述するようにして決められたコンテンツが転送される。
【0015】
図4は、コンテンツ転送元装置Aの再生履歴管理モジュール33において管理されている再生履歴テーブルの一構成例を示す図である。図4において、コンテンツ欄は、例えば、CONTENTS_001〜CONTENTS_006までのコンテンツを管理しており、CONTENTS_001は、STREAM_001_001〜STREAM_001_007までの例えば10分単位などの7つに分割されたファイルを有している。これらの分割されたファイルのそれぞれに関して、再生履歴と転送履歴とが“0”と“1”とのフラグにより管理されている。
【0016】
再生履歴が“0”とは該当するファイルが未再生であることを示し、再生履歴が“1”とは該当するファイルが再生済みであることを示している。転送履歴が“0”とはファイルが転送がされていないことを、転送履歴が“1”とはファイルが転送済みであることを意味している。このテーブルによって、複数のファイルに分割されたコンテンツに関して、ファイル毎に再生済みであるかどうか、転送済みであるかどうかがわかる。
【0017】
図5は、記録モジュール37(図2、以下図2を参照する。)の処理の流れを示すフローチャート図である。図5に示すように、ステップS1において記録を開始すると、ステップS2において記録モジュール37が記録処理を開始する記録開始時に変数を初期化し、コンテンツ単位で新たなコンテンツ用のファイルを再生履歴テーブルに追加登録する。次いで、ステップS3において、コンテンツ用のファイル作成時における初期化処理を行なう。まず、サイズがある容量を超えないようにコンテンツ毎に複数のファイルに分割し、再生履歴テーブルへのファイル登録を行なう。新規登録の際には、ファイル毎の再生履歴、転送履歴等の変数を初期化(“0”)する。
【0018】
次いで、ステップS4において、ストリームコンテンツを取得し、ステップS5においてエンコード処理を行なう。ステップS6において、ストリームファイルの再生時間を計時しておき、ステップS7において計時しているファイル再生時間が、設定されているファイルの管理単位時間、例えば10分を超えてか否かを判断する。超えていれば(Y)、ステップS8に進みファイルをクローズし、ステップS9において次のファイルを作成し、継続してストリームを取得する。
【0019】
以下、同様の処理を行ない、図4に示すように1つのコンテンツについて複数のファイルからなる再生履歴テーブルを順次作成していく。ステップS7においてNであれば、それ以上ファイルを作成する必要はないため、ステップS10においてエンコードデータを継続してファイル化し、ステップS11において記録終了を促す操作があったか否かを判定する。記録終了操作がなければ(N)、ステップS4に進み、ストリームを取得し、以降、同様の処理を行なう。記録終了操作があれば(Y)、ステップS12に進み、ファイルをクローズにしてステップS13で処理を終了する。
【0020】
尚、このようにして作成された再生履歴テーブルは、ファイル毎の再生履歴と転送履歴とがともに“0”である。
【0021】
次に、図6を参照しながら、再生モジュールの処理の流れについて説明を行なう。まず、ステップS21において再生処理を開始すると、ステップS22において、変数の初期化(再生対象コンテンツに含まれる全てのファイルの再生履歴を“0”にリセット)し、ステップS23においてファイルを開く際における初期化処理を行なう。
【0022】
すなわち、新規ファイルを作成し、変数を初期化し、再生履歴テーブルへのファイル登録を行なう。次いで、ステップS24においてファイルからストリームを取得し、ステップS25において取得したストリームをデコード処理する。ステップS26において現在のファイルを最後まで再生したかどうかを判定し、最後まで再生した場合には(Y)、ステップS27に進み、ファイルをクローズし、ステップS28においてファイルの再生履歴情報を“1”に更新し、ステップS29において次のファイルに関して、ステップS23からの処理を行なう。
【0023】
S26においてNの場合には、ステップS30に進み、再生終了操作があるか否かを判定する、再生終了操作がない場合には(N)、ステップS24に戻る、再生終了操作がある場合には(Y)、ステップS31に進みファイルをクローズし、ステップS32において処理を終了する。このような処理により、あるコンテンツを分割されたファイルを単位として再生していくことができる。
【0024】
次に、コンテンツの転送処理を行なう転送モジュールの処理の流れについて図7を参照しながら説明を行なう。まず、転送元装置から転送先装置へのコンテンツの転送処理を開始すると(ステップS41)、ステップS42において転送開始時の初期化を行なう。ここで、転送対象であるコンテンツに含まれる全ファイル数を取得し、ファイル数のカウンタを0に初期化する。
【0025】
次いで、ステップS43において、ファイル単位で再生履歴が“1”であるかどうかを判定し、“1”である場合には(Y)、既に転送元装置で再生したファイルであるため転送は不要であると判断しステップS46に進む、“0”である場合には(N)、まだ転送元装置で再生していないファイルであると判断されるため、転送先装置で再生する必要があり従ってステップS44に進み該当するファイルを転送先装置に転送し、ステップS45において該当するファイルの転送履歴を“1”に変更する。
【0026】
ステップS46において、転送カウンタ数がコンテンツの全ファイル数以下であるか否かを判定し、全ファイル数を超えていた場合には(N)ステップS47に進み処理を終了する。全ファイル数以下である場合には(Y)ステップS48に進み、ファイル数カウンタを+1し、ステップS49において次のファイルを対象とし、ステップS43に進む。
【0027】
以上に説明したように、コンテンツに含まれるファイルであって転送元装置で再生されていないファイルのみを全て転送すると、ファイル単位での転送処理が終了する。
【0028】
以上に説明したように、本実施の形態によるコンテンツ転送技術においては、コンテンツを記憶し、再生する場合に、コンテンツを複数のファイルに分割して管理しておき、コンテンツを別の装置に転送する際にもファイル単位で転送することにより、きめ細かい転送管理を行なうことができる。例えば、記憶したコンテンツのうち再生済みのファイルは転送しないように管理することで、視聴者が新に視聴したいコンテンツの部分だけを転送することができ、転送時間を短縮するとともに、転送先でのメモリ占有を極力少なくすることができるという利点がある。尚、分割ファイル数は、コンテンツを転送しようとした場合に、転送先装置の記憶装置には入りきらない程度の容量しか残っていない場合には、残容量内に入り切るようにファイルの再分割を検討し、入りきるようであれば、そのような条件でファイルを再分割することも可能である。
【0029】
次に、本発明の第2の実施の形態によるコンテンツ転送技術について図面を参照しながら説明を行なう。図8は、本実施の形態によるコンテンツ転送に関連するユーザインターフェイスの一表示例を示す図である。図8に示すコンテンツ転送元装置のユーザインターフェイス50は、図4に示す再生履歴テーブルの構成に基づいて作成されるグラフィックユーザインターフェイス(GUI)である。このGUIは、基本的に、横軸に時間をとった帯状の形状を有しており、時間軸上においてコンテンツを複数のファイル単位51に区切るとともに、ファイル単位で時間軸上を移動可能な選択カーソル53を有している。さらに、表示される時間軸を変更できるボタン63a、63bを有している。ファイル単位で転送元装置で再生済みのファイルと、未再生のファイルとが一見して区別できるようになっている。選択カーソル53で選んだファイルから時間軸上で先のファイルを転送することができる。ファイル毎、全ファイル、転送も可能である。このようなGUIを利用することで、ファイル単位で所望の時間から先のファイルを転送先装置に転送する際に便利なインターフェイスを提供することができる。すなわち、コンテンツ転送時は、転送判断部がコンテンツ転送するか否かを判断しているが、視覚的に1つのコンテンツを再生したファイル(領域)と、再生していないファイル(領域)と、に区別して表示し、ユーザーが転送したいファイル(領域)を選択できるようにすることができる。尚、上記の例では、ファイルの時間単位が一定の例について説明したが、ファイルの時間単位は可変でも良く、ファイル毎に異なっていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、コンテンツの転送装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施の形態によるコンテンツ転送元装置のハードウェア構成例を示す機能ブロック図である。
【図2】図1に示すコンテンツ転送元装置のソフトウェア構成例を示す図である。
【図3】本実施の形態によるコンテンツ転送先装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図4】コンテンツ転送元装置の再生履歴管理モジュールにおいて管理されている再生履歴テーブルの一構成例を示す図である。
【図5】記録モジュール(図2)の処理の流れを示すフローチャート図である。
【図6】再生モジュールの処理の流れを示すフローチャート図である。
【図7】コンテンツの転送処理を行なう転送モジュールの処理の流れを示すフローチャート図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態によるコンテンツ転送技術に関連するユーザインターフェイスの一表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
A…コンテンツ転送元装置、BL…バスライン、1…操作部、3…コーデック処理部(DSP)、5…大容量記憶装置(HDD等)、7…外部入出力インターフェイス(I/F)部、11…CPU、15…RAM、17…フラッシュROM、21…テレビ出力端子、31…ユーザインターフェイスモジュール、33…再生履歴管理モジュール、35…再生モジュール、37…記録モジュール、37a…ストリーム分割判断部、37b…ファイル化部、41…転送モジュール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツの再生及び転送を管理するコンテンツ管理装置であって、
コンテンツを複数のファイルに時分割するコンテンツ分割部と、
分割されたファイル毎にコンテンツの再生履歴の管理を行なう再生履歴管理部と
を有することを特徴とするコンテンツ管理装置。
【請求項2】
前記再生履歴管理部は、前記ファイル毎にコンテンツの転送履歴を管理することを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ管理装置。
【請求項3】
前記再生履歴に基づいて、前記ファイルの転送を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のコンテンツ管理装置。
【請求項4】
前記ファイルの分割数は、前記コンテンツの容量と転送先装置の残容量とに基づいて決められることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載のコンテンツ管理装置。
【請求項5】
ファイルを転送する場合であって、転送先装置の記憶残容量が不足している場合に、未再生のファイルを細かく再分割することを特徴とする請求項4に記載のコンテンツ管理装置。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載のコンテンツ管理装置であって、
時分割されたファイルを時間軸に沿って表示するとともに、前記ファイルのうちのいずれかを選択してそれよりも後のファイルを転送する制御を行なう選択カーソルを有することを特徴とするコンテンツ管理装置。
【請求項7】
前記ファイルのうちの再生済みファイルと未再生ファイルとを視覚的に識別可能な形態で表示することを特徴とする請求項6に記載のコンテンツ管理装置。
【請求項8】
記録するコンテンツのファイルサイズを計算するファイルサイズ演算部と、該ファイルサイズ演算部の演算結果を受けてファイル化を行うコンテンツファイル化部と、ファイル毎に再生履歴の有無を記録するファイル再生確認テーブルを有し、
記録のときには、所定のサイズでファイル化を行うとともにファイル再生確認テーブルに新規登録し、再生のときには、ファイル単位で再生を行いながら、ファイル再生確認テーブルを更新し、転送時には、前記ファイル再生確認テーブルを参照し、再生していないファイルのみを転送すること特徴とするコンテンツ管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−157269(P2007−157269A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−352902(P2005−352902)
【出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】